(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073288
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/10 20060101AFI20240522BHJP
A47L 5/24 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
A47L9/10 D
A47L5/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184406
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山谷 遼
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】横田 雅瑛
(72)【発明者】
【氏名】関 順平
【テーマコード(参考)】
3B062
【Fターム(参考)】
3B062AG00
(57)【要約】
【課題】本発明は、使用時の吸込み口からのごみのこぼれを防止し、集塵フィルタを交換時のごみこぼれを防止する電気掃除機を提供する。
【解決手段】
本発明の電気掃除機は、掃除機本体10に備えられた電動送風機14と、掃除機本体10に備えられ、電動送風機14が発生する吸引力により吸込んだ塵埃を集塵する集塵部12と、掃除機本体10の前方に固定され、集塵部12と連通する接続管101と、を備える。集塵部12には、支持板122を固定することによって装着される集塵フィルタ120が備えられ、支持板122の流入口122aの中心軸Eは、接続管101の吸込口101bの中心軸Aに対し、下流側に向かって下るように傾斜させた。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機本体と、前記掃除機本体に備えられた電動送風機と、前記掃除機本体に備えられ、前記電動送風機が発生する吸引力により吸込んだ塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の前方に固定され、前記集塵部と連通する接続管と、を備えた電気掃除機において、
前記集塵部には、支持板を固定することによって装着される集塵フィルタが備えられ、
前記集塵フィルタの前記支持板の流入口の中心軸は、前記接続管の吸込口の中心軸に対し、下流側に向かって下るように傾斜させたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
請求項1に記載の電気掃除機において、
前記電動送風機の回転軸の回転中心線は、前記集塵フィルタの前記支持板の中心軸と平行になるようにしたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気掃除機において、
前記接続管と前記集塵フィルタの間に流入通路を設け、前記流入通路の中心軸は、前記接続管の中心軸、及び前記集塵フィルタの前記支持板の中心軸と異なる角度であることを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
掃除機本体に設けたハンドル部を使用者が把持して掃除を行う電気掃除機として、スティック型電気掃除機がある。スティック型電気掃除機は、掃除機本体内に電動送風機、集塵部を備えており、掃除機本体に接続した延長管を介して吸口体から吸込んだ塵埃を集塵部に集塵するようにしている。
【0003】
また、一般的なスティック型電気掃除機は、掃除機本体に接続した延長管を取り外し、掃除機本体の吸込み口から塵埃を吸い込むハンディ型電気掃除機としても使用可能である。
【0004】
スティック型電気掃除機は、電動送風機と集塵部と吸込み口が一直線であることが一般的である。このような電気掃除機は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示の電気掃除機を使用する場合、使用者は掃除機本体後方のハンドル部を把持し、掃除機本体の吸込み口から塵埃を吸い込ませようと掃除機本体を、前側を下にして傾ける。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示の電気掃除機では、集塵部と吸込み口が一直線に配置されているため、一度集塵部に入ったごみが、掃除機本体を傾けることで漏れてしまう課題があった。また、特許文献1に開示の電気掃除機は、集塵フィルタを交換する際に真上に引き抜く必要があり、交換時にごみがこぼれてしまう課題があった。
【0008】
本発明の目的は、使用時の吸込み口からのごみのこぼれを防止し、集塵フィルタを交換時のごみこぼれを防止する電気掃除機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、掃除機本体と、前記掃除機本体に備えられた電動送風機と、前記掃除機本体に備えられ、前記電動送風機が発生する吸引力により吸込んだ塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体の前方に固定され、前記集塵部と連通する接続管と、を備えた電気掃除機において、前記集塵部には、支持板を固定することによって装着される集塵フィルタが備えられ、前記集塵フィルタの前記支持板の流入口の中心軸は、前記接続管の吸込口の中心軸に対し、下流側に向かって下るように傾斜させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、使用時の吸込み口からのごみのこぼれを防止し、集塵フィルタを交換時のごみこぼれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例1に係るスタンドに収納した状態を示す電気掃除機の外観斜視図である。
【
図2】本発明の実施例1に係るスティック型として使用する状態を示す電気掃除機の外観斜視図である。
【
図3】本発明の実施例1に係るハンディ型として使用する状態を示す電気掃除機の外観斜視図である。
【
図4】電気掃除機1の掃除機本体10を前後方向に沿って切断した断面図である。
【
図5】本発明の実施例2に係る集塵フィルタ120を折り畳んだ状態の外観斜視図である。
【
図6】本発明の実施例2に係る集塵フィルタ120を廃棄する時の外観斜視図である。
【
図7】本発明の実施例2に係る電気掃除機1の集塵部12から集塵フィルタ120を取り出す状態を示す図である。
【
図8】集塵蓋11の開動作機能を示す
図7の要部拡大図である。
【
図9】本発明の実施例2に係る電気掃除機1からフィルタ枠18、及び保護フィルタ180を取り外した状態の分解斜視図である。
【
図10】袋部材121が膨らんだ状態の集塵フィルタ120を引き出す際のフィルタ枠18の動作を示す側面図であり、(A)が集塵フィルタ120を引き出す前の状態を、(B)が集塵フィルタ120を引き出した後の状態をそれぞれ示す。
【
図11】本発明の実施例3に係る接続管101、集塵部12を分解した電気掃除機1の分解斜視図である。
【
図12】本発明の実施例3に係る接続管101からボタンカバー102を取り外した状態の分解斜視図である。
【
図13】
図12の状態から接続管101にボタンカバー102を取り付けた状態の斜視図である。
【
図14】本発明の実施例3に係る口パッキン103の前方から見た斜視図である。
【
図15】本発明の実施例3に係る口パッキン103の後方から見た斜視図である。
【
図16】本発明の実施例4に係る電気掃除機1を下方から見た底面図である。
【
図17】本発明の実施例4に係る電気掃除機1を左側から見た左側面図である。
【
図18】本発明の実施例5に係る接続管101、下ケース10a、上ケース10bを分解した状態の分解斜視図である。
【
図19】本発明の実施例5に係るパック室10eから集塵部パッキン127を取り外した状態の斜視図である。
【
図20】本発明の実施例6に係るスタンドに収納した状態を示す電気掃除機の外観斜視図および電気掃除機本体の斜視図である。
【
図21】本発明の実施例6に係る集塵フィルタケースの斜視図である。
【
図22】本発明の
図20の電気掃除機本体におけるA-A断面図である。
【
図23】本発明の実施例6に係る集塵フィルタを取り出す際の一連の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、同一の要素については、全ての図において、原則として同一の符号を付している。また、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。なお、以下に説明する構成はあくまで実施例に過ぎず、本発明に係る実施様態が、以下の具体的様態に限定されることを意図する趣旨ではない。
【実施例0013】
図1は、本発明の実施例1に係るスタンドに収納した状態を示す電気掃除機の外観斜視図である。
図2は、本発明の実施例1に係るスティック型として使用する状態を示す電気掃除機の外観斜視図である。
図3は、本発明の実施例1に係るハンディ型として使用する状態を示す電気掃除機の外観斜視図である。
図4は、電気掃除機1の掃除機本体10を前後方向に沿って切断した断面図である。実施例1では、矢印にて方向を示すように、使用者が掃除を行う視点から、前後・左右・上下を定義する。
【0014】
図1及び
図2に示すように、電気掃除機1は、外郭を構成する掃除機本体10と、一端が掃除機本体10に接続管101を介して接続された延長管20と、延長管20の他端に接続された吸口体30を備えている。また、実施例1の電気掃除機1は、接続管101の外周に刷毛部40が備えられている。接続管101は掃除機本体10の前方に固定されており、接続管101の内部には、空気が流れる吸込通路101aが形成され、延長管20の内部通路と連通している。
【0015】
延長管20は、接続管101を介して掃除機本体10と接続される。電気掃除機1は、不使用時はスタンド50の上に載置されている。接続管101の上部には、延長管20を接続した時、延長管20の抜け出しを防止するロックボタン102aと、ロックボタン102aを覆うボタンカバー102が備えられている。
【0016】
掃除機本体10は、下ケース10aと、下ケース10aの上方に配置された上ケース10bにより外郭を構成し、下ケース10aは集塵フィルタ120を収容するパック室10eと電動送風機14を収容するモータ室10f(電動送風機収容部)から構成される。また、掃除機本体10は、吸込んだ塵埃を集塵する集塵部12と、集塵部12の上部を開閉可能に覆う集塵蓋11と、掃除を行う際に使用者が把持するハンドル部13とを備えている。ハンドル部13は上ケース10bの一部により形成され、上ケース10bは排気口を備えている。集塵蓋11は、回動軸105を中心に開閉し、後述するコイルばね110(
図8)によって集塵蓋11を開く方向に付勢されている。また、集塵蓋11は、集塵蓋クランプ112によって集塵部12を閉状態に保持する。集塵部12の下側を形成する下ケース10aには、集塵部パッキン127(
図8)が備えられており、集塵蓋11を閉じた際、集塵蓋11が集塵部パッキン127と接触し、集塵部12内の気密を保つようにしている。
【0017】
集塵蓋11は半透明の部材で形成することにより集塵フィルタ120の膨らみを確認でき、さらに意匠性を向上できる。
【0018】
集塵蓋クランプ112に引っかかる集塵蓋爪11aの後方近傍には下ケース10aに設けたリブ10dを形成している。これによりスティック型として使用する際に使用者がハンドル部13を持って電気掃除機1を持ち上げたとき、リブ10dで集塵蓋爪11aを押さえることで、掃除機本体10全体が反るようにたわんで集塵蓋爪11aが集塵蓋クランプ112から外れることを防止できる。
【0019】
掃除機本体10の内部には、吸引力を発生する電動送風機14(
図4)と、電動送風機14を制御する制御装置を実装する制御基板15(
図4)と、電動送風機14の後方側に位置し、電動送風機14に電力を供給する複数本の蓄電池を備えた電池パック16が備えられている。
【0020】
ハンドル部13には、電動送風機14の入切、吸込み力の調整を行う操作スイッチ17が配置されている。
【0021】
図4に示すように、集塵部12には、吸込通路101aから吸込んだ塵埃を集塵し、濾過する使い捨て式の集塵フィルタ120が着脱可能に備えられている。集塵フィルタ120は、通気性及び可撓性を有し、塵埃を溜める袋部材121と、中央部に流入口122aが形成された支持板122とから構成されている。支持板122は、集塵部12に備えられた案内溝に沿って挿入され、上部を支持板クランプ104によって集塵部12に固定される。
【0022】
集塵フィルタ120は、支持板クランプ104によって支持板122が固定されることにより、集塵部12に装着される。
【0023】
吸込通路101aの中心軸(吸込口101bの中心軸A)を水平にした状態において支持板122は、上部が下部より後方に位置するように傾斜して集塵部12に装着されている。換言すると、吸込口101bの中心軸Aと、集塵フィルタ120および支持板122の中心軸Eは平行でなく、略20°傾いた関係(異なる角度)となっている。また、接続管101と集塵部12との間には、口パッキン103が備えられている。口パッキン103は、接続管101の吸込通路101aと連通する流入通路103a(中心軸C)と、支持板122と当接する後側リップ103c(中心軸E)によって形成されている。また、口パッキン103は柔軟性のある部材で形成されている。例えば、柔軟性のある部材としてSBRを使用し、逆止弁103dの側面に流入通路103a側の金型と後側リップ103c側の金型の合わせ面を設けることで、逆止弁103dの側面に薄板部を発生させることができ、その薄板部が糸リブの役割をすることによって逆止弁103dと流入通路103aとのすき間を小さくすることができる。逆止弁103dと流入通路103aのすき間を小さくすることで集塵フィルタ120に堆積した塵埃が流入通路103a側に逆流するのを防ぐことができる。口パッキン103の前側リップ103b先端にはリップ形状が設けられ、支持板122と当接することで気密が保たれる。
【0024】
吸込通路101aの吸込口101bから吸込まれた塵埃は、空気と共に吸込通路101a、口パッキン103の流入通路103aを通過し、支持板122の流入口122aから集塵フィルタ120の袋部材121に集塵される。袋部材121に吸込まれた塵埃は、袋部材121で濾過され、袋部材121を通過した空気が保護フィルタ180と電動送風機用開口部12bを通り、電動送風機14に吸引される。保護フィルタ180は、袋部材121から漏れ出した塵埃が、電動送風機14に吸引されるのを抑制するために、集塵フィルタ120と電動送風機用開口部12bとの間に配置されている。保護フィルタ180は、略上下方向に摺動可能なフィルタ枠18によって支持され、集塵部12に装着されている。
【0025】
電動送風機14は、吸引力を発生させるファン141と、ファン141と回転軸142を介して接続されファン141を回転駆動させる電動機143を備えている。電動送風機14の回転軸142の回転中心線Dは、下流側(後方側)に向かって下るように傾斜して配置されている。
【0026】
電動送風機14の下流側(後方側)には、電動送風機14の電力を供給する電池パック16が備えられている。
【0027】
スティック型電気掃除機として使用する場合には、
図2に示すように掃除機本体10の接続管101に延長管20を介して吸口体30を接続する。使用者はハンドル部13を把持し、操作スイッチ17を操作して電動送風機14を駆動させ、吸口体30を前後方向に移動させる。電動送風機14の吸引力により、吸口体30には吸引力が発生する。吸口体30から吸込まれた塵埃は、延長管20を通過し、集塵部12の集塵フィルタ120に集塵される。
【0028】
また、ハンディ型電気掃除機として使用する場合には、
図3に示すように掃除機本体10の接続管101から延長管20を取り外す。接続管101から延長管20を外すことにより、吸込通路101aの吸込口101bが露出する。使用者はハンドル部13を把持し、操作スイッチ17を操作して電動送風機14を駆動させ、接続管101を移動させる。そして、吸込口101bから直接塵埃を吸い込み、吸込まれた塵埃は、集塵部12の集塵フィルタ120に集塵される。
【0029】
一般的な電気掃除機では、支持板122は吸込口101bの中心軸Aに対して垂直であるため、その状態で十分に袋部材121が膨らんで集塵容量が確保できるように掃除機本体の上面が掃除機本体の吸込み口から掃除機本体の後方に行くに従い、徐々に上方に向かって膨らむように形成されているので、ハンディ型電気掃除機として使用する場合、吸込み口が見えず、床面の塵埃を掃除し難いといった課題があった。これを解決するための構成について、
図4を用いて説明する。
【0030】
図4において、吸込口101bの中心軸をAとし、集塵フィルタ120の流入口の中心位置(支持板122の流入口122aの中心位置)をBとした時、実施例1では、吸込口101bの中心軸Aを集塵フィルタ120の流入口の中心位置B(支持板122の流入口122aの中心位置)よりも上方に位置させている。換言すると、吸込口101bの中心軸Aは、集塵フィルタ120の流入口の中心位置B(支持板122の流入口122aの中心位置)よりもハンドル部13側に位置させている。
【0031】
吸込通路101aの下流側(後方側)と、集塵フィルタ120の流入口122aとの間には下流側(後方側)に向かって下るように傾斜した口パッキン103が形成されているので、集塵フィルタ120の流入口の中心位置Bは、吸込口101bの中心軸Aよりも下方に位置している。
【0032】
実施例1によれば、吸込口101bの中心軸Aを集塵フィルタ120の流入口の中心位置B(支持板122の流入口122aの中心位置)よりも上方に位置させているので、ハンディ型電気掃除機として使用する場合に使用者の目線から見て吸込口101bが見え易くなり、掃除時における操作性を向上することができる。
【0033】
また、実施例1によれば、吸込口101bの上面は、凹凸がなくハンドル部13側(後方側)に向かって直線的に形成されるので、意匠性を向上することができる。
【0034】
さらに、実施例1によれば、吸込口101bの中心軸Aと集塵フィルタ120の流入口の中心位置Bがずれて配置されるので、吸込口101bが下になるように掃除機本体10を立てた時、集塵フィルタ120に集塵された塵埃が流入口122aから零れ出し、零れ出した塵埃が吸込口101bから外部に排出されることを抑制できる。
【0035】
さらにまた、実施例1では、集塵フィルタ120の中心軸をEとした時、吸込口101bの中心軸Aと、集塵フィルタ120の中心軸Eとが平行とならないように構成している。このように構成したことにより、集塵フィルタ120を集塵部12から取り出すときに、集塵フィルタ120に集塵された塵埃が流入口122aから零れ出し、零れ出した塵埃が吸込口101bから外部に排出されることを抑制できる。
【0036】
実施例1では、使用者がハンドル部13を把持して電気掃除機1を動作させるので、使用者の手にモーメントがかかる。このため、電気掃除機1では、使用者がハンドル部13を把持して電気掃除機1を動作させる際に手にかかるモーメントを低減させることが好ましい。そこで、実施例1では、ハンドル部13が吸込口101bの中心軸Aの延長線上を跨ぐように構成している。換言すると、実施例1のハンドル部13は、吸込口101bの中心軸Aの延長線と交差するように構成している。実施例1では上記のように構成することにより、使用者の手にかかるモーメントを低減でき、電気掃除機の操作性を向上することができる。
【0037】
電気掃除機1では、集塵効率を向上させるために、通気損失を低減することが好ましい。そこで、実施例1では、電動送風機14の回転軸142の回転中心線をDとした時、電動送風機14の回転軸142の回転中心線Dと、集塵フィルタ120の中心軸Eは、平行に構成している。このように構成することにより、集塵フィルタ120から電動送風機14に至る通気損失を低減でき、集塵効率を向上できる。より効率を向上するためには電動送付機の回転中心線Dと集塵フィルタ120の中心軸Eが一直線上であってもよい。特に、蓄電池を備えた電気掃除機においては、集塵効率向上により、電動送風機14の稼働時間を低減でき、蓄電池の小型化による電気掃除機の重量を低減できる。
【0038】
また、電気掃除機1では、集塵量を確保するために、集塵部12を大きくすることが望ましい。ただし、操作性の低下を抑制することから、掃除機本体10は必要以上に大きくしないことが好ましい。そこで、実施例1では、口パッキンの流入通路103aの中心軸Cを、集塵フィルタ120の支持板122の中心軸Eよりもさらに後方に傾けた角度(中心軸Aに対して略25°)に構成している。すなわち、流入通路103aの中心軸Cと集塵フィルタ120の支持板122の中心軸Eは異なる角度に設定している。このような構成にすることで、支持板122の面積を確保しながら流入通路103aの前後方向の長さを抑制できるので、掃除機本体10の長さを抑制しつつ、集塵部12を大きくすることができる。
【0039】
また、電気掃除機1は小型であることが望ましい。掃除機本体10に収納する電池パック16は、電池容量を確保するために、電動送風機14より体積が大型化し、掃除機本体10が大型化し易い原因となる。そこで、実施例1では、電池パック16の中心軸をGとした時、電池パック16の中心軸Gを、電動送風機14の回転軸142の回転中心線Dよりも上方に位置させている。このように構成することにより、掃除機本体10の電池パック16を収納する部分を膨らませることを抑制でき、掃除機本体10の大型化を抑制できる。さらに、実施例1では、制御基板15の平行線をFとした時、制御基板15の平行線Fが電動送風機14の回転軸142の回転中心線Dと平行とならないようにしている。上述したように電池パック16は、電動送風機14より体積が大型化するので、実施例1では電動送風機14と電池パック16の体積を考慮し制御基板15を配置している。これにより、電気掃除機1の大型化を抑制することができる。
【0040】
また、電気掃除機1は軽量であることが望ましい。外郭を形成する下ケース10aや上ケース10bの内側に外郭の肉厚が変化するように凹凸を設けることにより軽量化できる(トポロジー軽量化技術によって)。その凹凸は強度が必要な部分は厚肉にし、不要な部分は薄肉にすることが望ましく、シミュレーションにより形状を決めても良い。
【0041】
なお、
図4中の点P1はハンディ型状態での重心を示し、点P2はスティック型状態での重心を示す。
集塵フィルタ120は、流入口122aを有した厚紙やプラスチック等で構成された四辺形の支持板122と、紙、布、獣毛やプラスチック材等の不織布等で構成された通気性のある袋部材121と、支持板122に取り付けられたシール部材123を備える。袋部材121は支持板122の裏面側に接着されている。実施例2では、シール部材123は四辺形の支持板122のうち何れか一片に取り付けられている。また、実施例2では、シール部材123は支持板122に取り付けられているが、袋部材121の一部に接着して取り付けるようにしても良い。
袋部材121と支持板122の接着部分は、支持板122の全体に亘っておらず、支持板122の外周部分は袋部材121と接着していない。袋部材121は支持板122の開口部周りに接着されている。支持板122は電気掃除機1の集塵部12に装着する際、支持板クランプ104の爪部に引っ掛かり固定されるが、支持板122の外周端部まで袋部材121が接着していると、支持板122と支持板クランプ104の爪部を引っ掛けることができず、また、支持板クランプ104の爪部で袋部材121を傷付ける虞がある。このため、実施例2では支持板122の外周部分は袋部材121と接着していない。支持板122と袋部材121とが接着しない部分は、少なくとも支持板122の一辺、すなわち支持板クランプ104の爪部に引っ掛かる側の辺は必要であるが、その他の辺は支持板122の端部まで接着されていても良い。
シール部材123は、支持板122と袋部材121とが接着されていない部分の支持板122の裏面側に取り付けられている。実施例2では支持板122の裏面上側としている。支持板122の裏面上側にシール部材123を接着する場合には、支持板122の端部付近は接着しない方が好ましい。この理由は、支持板122の上側は、支持板クランプ104の爪部に引っ掛かり固定されるので、シール部材123を傷付けないためにも、支持板クランプ104の爪部に引っ掛かる部分は、支持板122とシール部材123とは接着させない方が好ましい。
シール部材123は、粘着面である糊を有するシール部124と、粘着面を被う剥離紙125(剥離部)を備える。シール部124と剥離紙125とは糊を境として、支持板122の前面側に剥離紙125が、支持板122の裏面側にシール部124が位置するように配置されている。剥離紙125には、電気掃除機1の支持板クランプ104に設けた突起部104aに引掛けるための引っ掛け穴126が形成されている。
シール部材123は、剥離紙125を下方(引っ掛け穴126側)から剥がすと、シール部124の接着面が露出する。そして、シール部124を支持板122の上部で折り返し、露出した接着面を支持板122の前面と対向させ、シール部124の接着面を支持板122に貼り付ける。支持板122の流入口122aはシール部124によって覆われ、閉塞されるので、集塵フィルタ120の廃棄時においても流入口122aから塵埃が零れ出すことを抑制でき、衛生的に扱うことができる。
また、集塵部12の内壁12aには電動送風機用開口部12bが形成されており、電動送風機用開口部12bは電動送風機14の前側に位置する。電動送風機用開口部12bは、空気の流入経路を確保しつつ、使用者が電動送風機14に誤って指を入れてしまうことを防ぐために格子形状としている。
電動送風機14が駆動し、吸引力が発生すると、集塵蓋11は負圧により内側に撓む。集塵蓋11の内側には、集塵蓋11が撓んだ際に掃除機本体10の下ケース10aと接触する接触部111が備えられている。電動送風機14が駆動している状態では、接触部111が下ケース10aに接触するので、集塵蓋11が開くのを抑制している。
また、剥離紙125に形成した引っ掛け穴126が支持板クランプ104の突起部104aに引っ掛かっているので、集塵フィルタ120を上方に向かって引き出す際に、シール部124から剥離紙125が捲れ、さらにシール部124が引っ張られて支持板122の表面側に折り返され、シール部124が支持板122の表面に接着し、流入口122aを閉塞する。これにより、流入口122aから塵埃が零れ出すことを抑制できる。
実施例2の集塵フィルタ120は、塵埃が満杯になったら交換する使い捨て式の集塵フィルタである。このため、交換する集塵フィルタを用意しておく必要があるが、買い忘れる恐れがある。そこで、電気掃除機1に集塵フィルタ120を交換したことを検知するセンサを設け、集塵フィルタ120の交換回数に応じて集塵フィルタ120を自動発注するようにしても良い。例えば、家庭内サーバーを設置し、この家庭内サーバーと電気掃除機1を無線で接続し、家庭内サーバーが集塵フィルタ120を交換した情報を電気掃除機1から受け取り、販売店に発注するようにすると良い。