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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073292
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/00 20060101AFI20240522BHJP
   A47L 5/24 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
A47L9/00 Z
A47L5/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184410
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】山谷 遼
(72)【発明者】
【氏名】横田 雅瑛
(72)【発明者】
【氏名】関 順平
【テーマコード(参考)】
3B006
【Fターム(参考)】
3B006GA00
(57)【要約】
【課題】本発明は、掃除機本体と集塵フィルタの気密を確保しつつ逆止弁を備え、掃除機本体から延長管側に堆積した塵埃が逆流しにくい電気掃除機を提供する。
【解決手段】
本発明の電気掃除機は、掃除機本体と前記掃除機本体に備えられた電動送風機と、前記掃除機本体に備えられ、前記電動送風機が発生する吸引力により吸込んだ塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体と前記集塵部に密着した口パッキンを備え、前記口パッキンは逆止弁を備えた電気掃除機において、前記口パッキンは前記逆止弁に対して流入口側の側面に穴を備え、前記電気掃除機の通路内突起が前記口パッキンの穴に挿入され、前記逆止弁動作時に前記逆止弁が前記通路内突起に接触させた。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機本体と前記掃除機本体に備えられた電動送風機と、前記掃除機本体に備えられ、前記電動送風機が発生する吸引力により吸込んだ塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体と前記集塵部に密着した口パッキンを備え、前記口パッキンは逆止弁を備えた電気掃除機において、
前記口パッキンは前記逆止弁に対して流入口側の側面に穴を備え、前記電気掃除機の通路内突起が前記口パッキンの穴に挿入され、前記逆止弁動作時に前記逆止弁が前記通路内突起に接触することを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記逆止弁の流入口側に逆止弁リブを備え、前記逆止弁動作時に前記逆止弁リブが前記通路内突起に接触することを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記通路内突起は流入口側にL字に曲がっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記通路内突起は流入口側に面取りを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記口パッキンは逆止弁接続部を備え、前記逆止弁接続部は前記逆止弁に対して排気側に凸、流入口側に凹としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記通路内突起は前記逆止弁接続部に対して対角の位置に配置、または前記逆止弁の根元と前記対角の位置の突起を結んだ軸に対して線対称の位置2か所に配置されることを特徴とする請求項5に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記口パッキンは流入口側に延伸しており、前記延伸方向の軸は集塵フィルタの流入口の軸とは異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記電気掃除機は延長管保持部を備え、前記電気掃除機に接続管を挿入した際に前記口パッキンの流入口側端面が接続管端面に接触することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
掃除機本体に集塵フィルタを備えた電気掃除機として、紙パック式スティック型電気掃除機がある。紙パック式スティック型電気掃除機は、掃除機本体内に電動送風機、集塵フィルタを備えており、掃除機本体に接続した延長管を介して吸口体から吸込んだ塵埃を集塵フィルタに集塵するようにしている。掃除機本体と集塵フィルタとの間の気密を確保するため、掃除機本体または集塵フィルタにパッキンを備えている。また、紙パック式スティック型電気掃除機は集塵フィルタの流入口の中心軸が吸込通路の中心軸と平行であることが多く、集塵フィルタに堆積した塵埃が延長管方向に逆流しやすい。塵埃の逆流を防ぐために、掃除機本体または集塵フィルタに逆止弁を備える。このような電気掃除機は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-72837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の電気掃除機は掃除機本体と集塵フィルタの気密を確保するために掃除機本体にパッキンを備えている。また、塵埃収集部に逆止弁を備え、塵埃収集部を集塵フィルタの取り付けることで集塵フィルタから延長管側への逆流を防いでいる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の電気掃除機では、集塵フィルタを廃棄する際に、塵埃収集部が一緒に廃棄される虞がある。また塵埃収集部と集塵フィルタとの間にパッキンを備えていないため、気密を確保できない虞がある。
【0006】
本発明の目的は、掃除機本体と集塵フィルタの気密を確保しつつ逆止弁を備え、掃除機本体から延長管側に堆積した塵埃が逆流しにくい電気掃除機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、掃除機本体と前記掃除機本体に備えられた電動送風機と、前記掃除機本体に備えられ、前記電動送風機が発生する吸引力により吸込んだ塵埃を集塵する集塵部と、前記掃除機本体と前記集塵部に密着した口パッキンを備え、前記口パッキンは逆止弁を備えた電気掃除機において、前記口パッキンは前記逆止弁に対して流入口側の側面に穴を備え、前記電気掃除機の通路内突起が前記口パッキンの穴に挿入され、前記逆止弁動作時に前記逆止弁が前記通路内突起に接触することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、掃除機本体と集塵フィルタの気密を確保しつつ逆止弁を備え、掃除機本体から延長管側に堆積した塵埃が逆流しにくい電気掃除機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例1に係るスタンドに収納した状態を示す電気掃除機の外観斜視図である。
図2】本発明の実施例1に係るスティック型として使用する状態を示す電気掃除機の外観斜視図である。
図3】本発明の実施例1に係るハンディ型として使用する状態を示す電気掃除機の外観斜視図である。
図4】電気掃除機1の掃除機本体10を前後方向に沿って切断した断面図である。
図5】本発明の実施例2に係る集塵フィルタ120を折り畳んだ状態の外観斜視図である。
図6】本発明の実施例2に係る集塵フィルタ120を廃棄する時の外観斜視図である。
図7】本発明の実施例2に係る電気掃除機1の集塵部12から集塵フィルタ120を取り出す状態を示す図である。
図8】集塵蓋11の開動作機能を示す図7の要部拡大図である。
図9】本発明の実施例2に係る電気掃除機1からフィルタ枠18、及び保護フィルタ180を取り外した状態の分解斜視図である。
図10】袋部材121が膨らんだ状態の集塵フィルタ120を引き出す際のフィルタ枠18の動作を示す側面図であり、(A)が集塵フィルタ120を引き出す前の状態を、(B)が集塵フィルタ120を引き出した後の状態をそれぞれ示す。
図11】本発明の実施例3に係る接続管101、集塵部12を分解した電気掃除機1の分解斜視図である。
図12】本発明の実施例3に係る接続管101からボタンカバー102を取り外した状態の分解斜視図である。
図13図12の状態から接続管101にボタンカバー102を取り付けた状態の斜視図である。
図14】本発明の実施例3に係る口パッキン103の前方から見た斜視図である。
図15】本発明の実施例3に係る口パッキン103の後方から見た斜視図である。
図16】本発明の実施例4に係る電気掃除機1を下方から見た底面図である。
図17】本発明の実施例4に係る電気掃除機1を左側から見た左側面図である。
図18】本発明の実施例5に係る接続管101、下ケース10a、上ケース10bを分解した状態の分解斜視図である。
図19】本発明の実施例5に係るパック室10eから集塵部パッキン127を取り外した状態の斜視図である。
図20】本発明の実施例6に係るスタンドに収納した状態を示す電気掃除機の外観斜視図および電気掃除機本体の斜視図である。
図21】本発明の実施例6に係る集塵フィルタケースの斜視図である。
図22】本発明の図20の電気掃除機本体におけるA-A断面図である。
図23】本発明の実施例6に係る集塵フィルタを取り出す際の一連の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、同一の要素については、全ての図において、原則として同一の符号を付している。また、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。なお、以下に説明する構成はあくまで実施例に過ぎず、本発明に係る実施様態が、以下の具体的様態に限定されることを意図する趣旨ではない。
【実施例0011】
図1は、本発明の実施例1に係るスタンドに収納した状態を示す電気掃除機の外観斜視図である。図2は、本発明の実施例1に係るスティック型として使用する状態を示す電気掃除機の外観斜視図である。図3は、本発明の実施例1に係るハンディ型として使用する状態を示す電気掃除機の外観斜視図である。図4は、電気掃除機1の掃除機本体10を前後方向に沿って切断した断面図である。実施例1では、矢印にて方向を示すように、使用者が掃除を行う視点から、前後・左右・上下を定義する。
【0012】
図1及び図2に示すように、電気掃除機1は、外郭を構成する掃除機本体10と、一端が掃除機本体10に接続管101を介して接続された延長管20と、延長管20の他端に接続された吸口体30を備えている。また、実施例1の電気掃除機1は、接続管101の外周に刷毛部40が備えられている。接続管101は掃除機本体10の前方に固定されており、接続管101の内部には、空気が流れる吸込通路101aが形成され、延長管20の内部通路と連通している。
【0013】
延長管20は、接続管101を介して掃除機本体10と接続される。電気掃除機1は、不使用時はスタンド50の上に載置されている。接続管101の上部には、延長管20を接続した時、延長管20の抜け出しを防止するロックボタン102aと、ロックボタン102aを覆うボタンカバー102が備えられている。
【0014】
掃除機本体10は、下ケース10aと、下ケース10aの上方に配置された上ケース10bにより外郭を構成し、下ケース10aは集塵フィルタ120を収容するパック室10eと電動送風機14を収容するモータ室10f(電動送風機収容部)から構成される。また、掃除機本体10は、吸込んだ塵埃を集塵する集塵部12と、集塵部12の上部を開閉可能に覆う集塵蓋11と、掃除を行う際に使用者が把持するハンドル部13とを備えている。ハンドル部13は上ケース10bの一部により形成され、上ケース10bは排気口を備えている。集塵蓋11は、回動軸105を中心に開閉し、後述するコイルばね110(図8)によって集塵蓋11を開く方向に付勢されている。また、集塵蓋11は、集塵蓋クランプ112によって集塵部12を閉状態に保持する。集塵部12の下側を形成する下ケース10aには、集塵部パッキン127(図8)が備えられており、集塵蓋11を閉じた際、集塵蓋11が集塵部パッキン127と接触し、集塵部12内の気密を保つようにしている。
【0015】
集塵蓋11は半透明の部材で形成することにより集塵フィルタ120の膨らみを確認でき、さらに意匠性を向上できる。
【0016】
集塵蓋クランプ112に引っかかる集塵蓋爪11aの後方近傍には下ケース10aに設けたリブ10dを形成している。これによりスティック型として使用する際に使用者がハンドル部13を持って電気掃除機1を持ち上げたとき、リブ10dで集塵蓋爪11aを押さえることで、掃除機本体10全体が反るようにたわんで集塵蓋爪11aが集塵蓋クランプ112から外れることを防止できる。
【0017】
掃除機本体10の内部には、吸引力を発生する電動送風機14(図4)と、電動送風機14を制御する制御装置を実装する制御基板15(図4)と、電動送風機14の後方側に位置し、電動送風機14に電力を供給する複数本の蓄電池を備えた電池パック16が備えられている。
【0018】
ハンドル部13には、電動送風機14の入切、吸込み力の調整を行う操作スイッチ17が配置されている。
【0019】
図4に示すように、集塵部12には、吸込通路101aから吸込んだ塵埃を集塵し、濾過する使い捨て式の集塵フィルタ120が着脱可能に備えられている。集塵フィルタ120は、通気性及び可撓性を有し、塵埃を溜める袋部材121と、中央部に流入口122aが形成された支持板122とから構成されている。支持板122は、集塵部12に備えられた案内溝に沿って挿入され、上部を支持板クランプ104によって集塵部12に固定される。
【0020】
集塵フィルタ120は、支持板クランプ104によって支持板122が固定されることにより、集塵部12に装着される。
【0021】
吸込通路101aの中心軸(吸込口101bの中心軸A)を水平にした状態において支持板122は、上部が下部より後方に位置するように傾斜して集塵部12に装着されている。換言すると、吸込口101bの中心軸Aと、集塵フィルタ120および支持板122の中心軸Eは平行でなく、略20°傾いた関係(異なる角度)となっている。また、接続管101と集塵部12との間には、口パッキン103が備えられている。口パッキン103は、接続管101の吸込通路101aと連通する流入通路103a(中心軸C)と、支持板122と当接する後側リップ103c(中心軸E)によって形成されている。また、口パッキン103は柔軟性のある部材で形成されている。例えば、柔軟性のある部材としてSBRを使用し、逆止弁103dの側面に流入通路103a側の金型と後側リップ103c側の金型の合わせ面を設けることで、逆止弁103dの側面に薄板部を発生させることができ、その薄板部が糸リブの役割をすることによって逆止弁103dと流入通路103aとのすき間を小さくすることができる。逆止弁103dと流入通路103aのすき間を小さくすることで集塵フィルタ120に堆積した塵埃が流入通路103a側に逆流するのを防ぐことができる。口パッキン103の前側リップ103b先端にはリップ形状が設けられ、支持板122と当接することで気密が保たれる。
【0022】
吸込通路101aの吸込口101bから吸込まれた塵埃は、空気と共に吸込通路101a、口パッキン103の流入通路103aを通過し、支持板122の流入口122aから集塵フィルタ120の袋部材121に集塵される。袋部材121に吸込まれた塵埃は、袋部材121で濾過され、袋部材121を通過した空気が保護フィルタ180と電動送風機用開口部12bを通り、電動送風機14に吸引される。保護フィルタ180は、袋部材121から漏れ出した塵埃が、電動送風機14に吸引されるのを抑制するために、集塵フィルタ120と電動送風機用開口部12bとの間に配置されている。保護フィルタ180は、略上下方向に摺動可能なフィルタ枠18によって支持され、集塵部12に装着されている。
【0023】
電動送風機14は、吸引力を発生させるファン141と、ファン141と回転軸142を介して接続されファン141を回転駆動させる電動機143を備えている。電動送風機14の回転軸142の回転中心線Dは、下流側(後方側)に向かって下るように傾斜して配置されている。
【0024】
電動送風機14の下流側(後方側)には、電動送風機14の電力を供給する電池パック16が備えられている。
【0025】
スティック型電気掃除機として使用する場合には、図2に示すように掃除機本体10の接続管101に延長管20を介して吸口体30を接続する。使用者はハンドル部13を把持し、操作スイッチ17を操作して電動送風機14を駆動させ、吸口体30を前後方向に移動させる。電動送風機14の吸引力により、吸口体30には吸引力が発生する。吸口体30から吸込まれた塵埃は、延長管20を通過し、集塵部12の集塵フィルタ120に集塵される。
【0026】
また、ハンディ型電気掃除機として使用する場合には、図3に示すように掃除機本体10の接続管101から延長管20を取り外す。接続管101から延長管20を外すことにより、吸込通路101aの吸込口101bが露出する。使用者はハンドル部13を把持し、操作スイッチ17を操作して電動送風機14を駆動させ、接続管101を移動させる。そして、吸込口101bから直接塵埃を吸い込み、吸込まれた塵埃は、集塵部12の集塵フィルタ120に集塵される。
【0027】
一般的な電気掃除機では、支持板122は吸込口101bの中心軸Aに対して垂直であるため、その状態で十分に袋部材121が膨らんで集塵容量が確保できるように掃除機本体の上面が掃除機本体の吸込み口から掃除機本体の後方に行くに従い、徐々に上方に向かって膨らむように形成されているので、ハンディ型電気掃除機として使用する場合、吸込み口が見えず、床面の塵埃を掃除し難いといった課題があった。これを解決するための構成について、図4を用いて説明する。
【0028】
図4において、吸込口101bの中心軸をAとし、集塵フィルタ120の流入口の中心位置(支持板122の流入口122aの中心位置)をBとした時、実施例1では、吸込口101bの中心軸Aを集塵フィルタ120の流入口の中心位置B(支持板122の流入口122aの中心位置)よりも上方に位置させている。換言すると、吸込口101bの中心軸Aは、集塵フィルタ120の流入口の中心位置B(支持板122の流入口122aの中心位置)よりもハンドル部13側に位置させている。
【0029】
吸込通路101aの下流側(後方側)と、集塵フィルタ120の流入口122aとの間には下流側(後方側)に向かって下るように傾斜した口パッキン103が形成されているので、集塵フィルタ120の流入口の中心位置Bは、吸込口101bの中心軸Aよりも下方に位置している。
【0030】
実施例1によれば、吸込口101bの中心軸Aを集塵フィルタ120の流入口の中心位置B(支持板122の流入口122aの中心位置)よりも上方に位置させているので、ハンディ型電気掃除機として使用する場合に使用者の目線から見て吸込口101bが見え易くなり、掃除時における操作性を向上することができる。
【0031】
また、実施例1によれば、吸込口101bの上面は、凹凸がなくハンドル部13側(後方側)に向かって直線的に形成されるので、意匠性を向上することができる。
【0032】
さらに、実施例1によれば、吸込口101bの中心軸Aと集塵フィルタ120の流入口の中心位置Bがずれて配置されるので、吸込口101bが下になるように掃除機本体10を立てた時、集塵フィルタ120に集塵された塵埃が流入口122aから零れ出し、零れ出した塵埃が吸込口101bから外部に排出されることを抑制できる。
【0033】
さらにまた、実施例1では、集塵フィルタ120の中心軸をEとした時、吸込口101bの中心軸Aと、集塵フィルタ120の中心軸Eとが平行とならないように構成している。このように構成したことにより、集塵フィルタ120を集塵部12から取り出すときに、集塵フィルタ120に集塵された塵埃が流入口122aから零れ出し、零れ出した塵埃が吸込口101bから外部に排出されることを抑制できる。
【0034】
実施例1では、使用者がハンドル部13を把持して電気掃除機1を動作させるので、使用者の手にモーメントがかかる。このため、電気掃除機1では、使用者がハンドル部13を把持して電気掃除機1を動作させる際に手にかかるモーメントを低減させることが好ましい。そこで、実施例1では、ハンドル部13が吸込口101bの中心軸Aの延長線上を跨ぐように構成している。換言すると、実施例1のハンドル部13は、吸込口101bの中心軸Aの延長線と交差するように構成している。実施例1では上記のように構成することにより、使用者の手にかかるモーメントを低減でき、電気掃除機の操作性を向上することができる。
【0035】
電気掃除機1では、集塵効率を向上させるために、通気損失を低減することが好ましい。そこで、実施例1では、電動送風機14の回転軸142の回転中心線をDとした時、電動送風機14の回転軸142の回転中心線Dと、集塵フィルタ120の中心軸Eは、平行に構成している。このように構成することにより、集塵フィルタ120から電動送風機14に至る通気損失を低減でき、集塵効率を向上できる。より効率を向上するためには電動送付機の回転中心線Dと集塵フィルタ120の中心軸Eが一直線上であってもよい。特に、蓄電池を備えた電気掃除機においては、集塵効率向上により、電動送風機14の稼働時間を低減でき、蓄電池の小型化による電気掃除機の重量を低減できる。
【0036】
また、電気掃除機1では、集塵量を確保するために、集塵部12を大きくすることが望ましい。ただし、操作性の低下を抑制することから、掃除機本体10は必要以上に大きくしないことが好ましい。そこで、実施例1では、口パッキンの流入通路103aの中心軸Cを、集塵フィルタ120の支持板122の中心軸Eよりもさらに後方に傾けた角度(中心軸Aに対して略25°)に構成している。すなわち、流入通路103aの中心軸Cと集塵フィルタ120の支持板122の中心軸Eは異なる角度に設定している。このような構成にすることで、支持板122の面積を確保しながら流入通路103aの前後方向の長さを抑制できるので、掃除機本体10の長さを抑制しつつ、集塵部12を大きくすることができる。
【0037】
また、電気掃除機1は小型であることが望ましい。掃除機本体10に収納する電池パック16は、電池容量を確保するために、電動送風機14より体積が大型化し、掃除機本体10が大型化し易い原因となる。そこで、実施例1では、電池パック16の中心軸をGとした時、電池パック16の中心軸Gを、電動送風機14の回転軸142の回転中心線Dよりも上方に位置させている。このように構成することにより、掃除機本体10の電池パック16を収納する部分を膨らませることを抑制でき、掃除機本体10の大型化を抑制できる。さらに、実施例1では、制御基板15の平行線をFとした時、制御基板15の平行線Fが電動送風機14の回転軸142の回転中心線Dと平行とならないようにしている。上述したように電池パック16は、電動送風機14より体積が大型化するので、実施例1では電動送風機14と電池パック16の体積を考慮し制御基板15を配置している。これにより、電気掃除機1の大型化を抑制することができる。
【0038】
また、電気掃除機1は軽量であることが望ましい。外郭を形成する下ケース10aや上ケース10bの内側に外郭の肉厚が変化するように凹凸を設けることにより軽量化できる(トポロジー軽量化技術によって)。その凹凸は強度が必要な部分は厚肉にし、不要な部分は薄肉にすることが望ましく、シミュレーションにより形状を決めても良い。
【0039】
なお、図4中の点P1はハンディ型状態での重心を示し、点P2はスティック型状態での重心を示す。
【実施例0040】
次に、図5及び図6を用いて、実施例2について説明する。実施例2では、集塵フィルタ120及び集塵部12の構成について説明する。図5は、本発明の実施例2に係る集塵フィルタ120を折り畳んだ状態の外観斜視図である。図6は、本発明の実施例2に係る集塵フィルタ120を廃棄する時の外観斜視図である。実施例1と共通する構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0041】
集塵フィルタ120は、流入口122aを有した厚紙やプラスチック等で構成された四辺形の支持板122と、紙、布、獣毛やプラスチック材等の不織布等で構成された通気性のある袋部材121と、支持板122に取り付けられたシール部材123を備える。袋部材121は支持板122の裏面側に接着されている。実施例2では、シール部材123は四辺形の支持板122のうち何れか一片に取り付けられている。また、実施例2では、シール部材123は支持板122に取り付けられているが、袋部材121の一部に接着して取り付けるようにしても良い。
【0042】
袋部材121と支持板122の接着部分は、支持板122の全体に亘っておらず、支持板122の外周部分は袋部材121と接着していない。袋部材121は支持板122の開口部周りに接着されている。支持板122は電気掃除機1の集塵部12に装着する際、支持板クランプ104の爪部に引っ掛かり固定されるが、支持板122の外周端部まで袋部材121が接着していると、支持板122と支持板クランプ104の爪部を引っ掛けることができず、また、支持板クランプ104の爪部で袋部材121を傷付ける虞がある。このため、実施例2では支持板122の外周部分は袋部材121と接着していない。支持板122と袋部材121とが接着しない部分は、少なくとも支持板122の一辺、すなわち支持板クランプ104の爪部に引っ掛かる側の辺は必要であるが、その他の辺は支持板122の端部まで接着されていても良い。
【0043】
シール部材123は、支持板122と袋部材121とが接着されていない部分の支持板122の裏面側に取り付けられている。実施例2では支持板122の裏面上側としている。支持板122の裏面上側にシール部材123を接着する場合には、支持板122の端部付近は接着しない方が好ましい。この理由は、支持板122の上側は、支持板クランプ104の爪部に引っ掛かり固定されるので、シール部材123を傷付けないためにも、支持板クランプ104の爪部に引っ掛かる部分は、支持板122とシール部材123とは接着させない方が好ましい。
【0044】
シール部材123は、粘着面である糊を有するシール部124と、粘着面を被う剥離紙125(剥離部)を備える。シール部124と剥離紙125とは糊を境として、支持板122の前面側に剥離紙125が、支持板122の裏面側にシール部124が位置するように配置されている。剥離紙125には、電気掃除機1の支持板クランプ104に設けた突起部104aに引掛けるための引っ掛け穴126が形成されている。
【0045】
シール部材123は、剥離紙125を下方(引っ掛け穴126側)から剥がすと、シール部124の接着面が露出する。そして、シール部124を支持板122の上部で折り返し、露出した接着面を支持板122の前面と対向させ、シール部124の接着面を支持板122に貼り付ける。支持板122の流入口122aはシール部124によって覆われ、閉塞されるので、集塵フィルタ120の廃棄時においても流入口122aから塵埃が零れ出すことを抑制でき、衛生的に扱うことができる。
【0046】
シール部124による支持板122の流入口122aの閉塞は、集塵フィルタ120を電気掃除機1の集塵部12から取り出す際に動作するようにすることが好ましい。図7を用いて、集塵フィルタ120の取り出し動作について説明する。
【0047】
図7は、本発明の実施例2に係る電気掃除機1の集塵部12から集塵フィルタ120を取り出す状態を示す図である。図8は、集塵蓋11の開動作機能を示す図7の要部拡大図である。
【0048】
集塵フィルタ120を電気掃除機1の集塵部12に装着する場合には、集塵蓋11を開き、折り畳まれた集塵フィルタ120(図5)の支持板122を口パッキン103の出口部に対向させようにして案内部に挿入し、支持板122の上部を支持板クランプ104の爪部に引っ掛け、固定する。また、剥離紙125に形成した引っ掛け穴126を支持板クランプ104の突起部104aに引っ掛ける。その後、集塵蓋11を閉じる。
【0049】
集塵蓋11は、図8に示すようにコイルばね110によって開く方向に付勢している。コイルばね110は左右方向に並んで2つ配置された形状になっている。コイルばね110の一方の下側先端部110aは掃除機本体10の固定部106に引っ掛けられ、他方の上側先端部110bは、集塵蓋11に接触している。この構成により、集塵蓋11は開く方向に付勢されている。また、コイルばね110の集塵蓋11側の上側先端部110bは集塵部12側に向かって折り曲げられている。これにより、製造組立の際に、コイルばね110を固定部106に取り付けた後、コイルばねの先端を押さえながら集塵蓋11を取り付ける際に折り曲げ部がガイドとなり、取り付けやすい。
【0050】
電動送風機14と仕切られた集塵部12の内壁12aには、制御基板15が収容される空間と連通する連通開口部151が形成されている。電気掃除機1では、保守や不具合改善のために制御基板15に書き込まれた制御ソフトを書き換えることがある。実施例2では、連通開口部151から工具を挿入し、制御ソフトの書き換えを行うことができる構成としている。なお、連通開口部151は集塵部パッキン127よりも外側に配置することにより、集塵部12の気密構成とは無関係となる構成としている。通常使用時は、使用者が制御基板15に触れないよう、連通開口部151は閉塞する必要がある。そこで、実施例2では、連通開口部151を塞ぐようにラベル152を貼り付けている。ラベル152には、集塵部12の装着する集塵フィルタ120の型式が記載されている。使用者は、ラベル152に記載された型式を見て、交換用の集塵フィルタ120を購入できる。また、使用者は型式を容易に確認することができるので、型式の異なる集塵フィルタ120が誤って装着されることを抑制できる。ラベル152の貼り付け面は、電動送風機14の回転軸142の回転中心線Dと直交する線に対し、上方が下方に対して後方側となるように傾斜して配置している(図4参照)。これにより、ラベル152に記載された型式を使用者から見易くしている。また、同様に、ラベル152の貼り付け面は、制御基板15の平行線Fと直交する線に対し、上方が下方に対して後方側となるように傾斜して配置している(図4参照)。これにより、制御基板15上の制御ソフト書き換え用コネクタ(図示しない)の位置が把握し易くなり、作業性を向上することができる。そのため、ラベル152の貼り付け面は、電動送風機14の回転軸142の回転中心線D及び制御基板15の平行線Fと直交しないようにしている。
【0051】
また、集塵部12の内壁12aには電動送風機用開口部12bが形成されており、電動送風機用開口部12bは電動送風機14の前側に位置する。電動送風機用開口部12bは、空気の流入経路を確保しつつ、使用者が電動送風機14に誤って指を入れてしまうことを防ぐために格子形状としている。
【0052】
電動送風機14を駆動させ、吸引力が発生すると、吸込気流により集塵フィルタ120の袋部材121が膨らみ、袋部材121に塵埃が集塵される。袋部材121の下流側は、フィルタ枠18によって保持される。図9に示す通り、フィルタ枠18は、前後方向は大きい開口部を有した格子部18aを備えており、格子部18aの前面に接する形で保護フィルタ180が支持されている。これにより、袋部材121が膨らんでも保護フィルタ180を挟む形で格子部18aに当接するため、袋部材121及び保護フィルタ180が直接電動送風機14の入口部分を塞いでしまうことを防止し、吸込み力を持続しやすくできる。またフィルタ枠18は、上面開口部18bと側面開口部18cを有している。これによって前後方向の開口部を有する格子部18aが袋部材121によって塞がってしまった場合でも、周囲の開口部から空気を吸うことによって吸込み力を持続しやすくできる。
【0053】
電動送風機14が駆動し、吸引力が発生すると、集塵蓋11は負圧により内側に撓む。集塵蓋11の内側には、集塵蓋11が撓んだ際に掃除機本体10の下ケース10aと接触する接触部111が備えられている。電動送風機14が駆動している状態では、接触部111が下ケース10aに接触するので、集塵蓋11が開くのを抑制している。
【0054】
袋部材121が塵埃で満杯となり、集塵フィルタ120を交換する場合には、集塵蓋11を回動させて開き、支持板クランプ104の爪部に引っ掛かっている支持板122を爪部の位置からずらし、集塵フィルタ120を上方に向かって引き上げる(図7)。
【0055】
袋部材121は膨らみ、集塵部12の内壁、特に電動送風機14側のフィルタ枠18に張り付いているが、実施例2の構成では、図10(A)及び図10(B)に示すようにフィルタ枠18は略上下方向に摺動可能であるため、集塵フィルタ120を上方に向かって引き出す際にフィルタ枠18も上方向に向かって摺動し、集塵フィルタ120の引き上げを容易に行うことができる。さらに、実施例2ではフィルタ枠18の上部に隆起形状18dを設けている(図9)。これにより、袋部材121がフィルタ枠18に張り付くほど膨らんだ際、袋部材121が隆起形状18dの下側に潜り込むため、集塵フィルタ120を引き出す際に隆起形状18dが上方向へ押される形となり、フィルタ枠18が摺動しやすくなっている(図10(A)、(B))。
【0056】
フィルタ枠18には凸部18eが備わっており、集塵部12の電動送風機14側の内壁12aには略長方形状の溝である凹部12cが設けられている(図9)。凹部12cは凸部18eに対して略上下方向に大きく、凹部12cに凸部18eが嵌まる形でフィルタ枠18が集塵部12に備わっている。これにより、フィルタ枠18は略上下方向に摺動可能であり、フィルタ枠18が引き出された際には、凹部12cの上端面に凸部18eが当たって抜け止めとなる。なお、凹部12cの位置は電動送風機用開口部12bと左右方向的に重ならない。これにより、凹部12cの略上下方向の大きさ、ひいてはフィルタ枠18の摺動範囲が電動送風機用開口部12bの大きさに左右されにくい。なお、実施例1では、凹部12cを内壁12aのうち電動送風機14側に設けたが、内壁12aの側面側に設けてもよい。例えば、電動送風機用開口部12bの左右方向の大きさが電動送風機14側の内壁12aの大部分を占めている場合、電動送風機14側の内壁12aに凹部12cを設けるスペースに制限が生じるが、側面側の内壁12aに凹部12cを設けることでこの問題を回避できる。
【0057】
また、剥離紙125に形成した引っ掛け穴126が支持板クランプ104の突起部104aに引っ掛かっているので、集塵フィルタ120を上方に向かって引き出す際に、シール部124から剥離紙125が捲れ、さらにシール部124が引っ張られて支持板122の表面側に折り返され、シール部124が支持板122の表面に接着し、流入口122aを閉塞する。これにより、流入口122aから塵埃が零れ出すことを抑制できる。
【0058】
実施例2の集塵フィルタ120は、塵埃が満杯になったら交換する使い捨て式の集塵フィルタである。このため、交換する集塵フィルタを用意しておく必要があるが、買い忘れる恐れがある。そこで、電気掃除機1に集塵フィルタ120を交換したことを検知するセンサを設け、集塵フィルタ120の交換回数に応じて集塵フィルタ120を自動発注するようにしても良い。例えば、家庭内サーバーを設置し、この家庭内サーバーと電気掃除機1を無線で接続し、家庭内サーバーが集塵フィルタ120を交換した情報を電気掃除機1から受け取り、販売店に発注するようにすると良い。
【実施例0059】
図11から図15を用いて、実施例3について説明する。実施例3では、集塵部12の構成について説明する。図11は、本発明の実施例3に係る接続管101、集塵部12を分解した電気掃除機1の分解斜視図である。図12は、本発明の実施例3に係る接続管101からボタンカバー102を取り外した状態の分解斜視図である。図13は、図12の状態から接続管101にボタンカバー102を取り付けた状態の斜視図である。図14は、本発明の実施例3に係る口パッキン103の前方から見た斜視図である。図15は、本発明の実施例3に係る口パッキン103の後方から見た斜視図である。実施例1、2と共通する構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0060】
集塵部12の前方には、集塵部12の内側から口パッキン103が装着され、さらに集塵部12の外側(前方側)から接続管101が装着される。接続管101の端部は、口パッキン103の前側リップ103bと接触する。口パッキン103は柔軟性のある部材で形成されているので、前側リップ103bが接続管101と接触した際、吸込通路101aと流入通路103aとの間で気密を確保することができる。
【0061】
集塵部12の下側を形成する下ケース10aの上部開口縁には、集塵蓋11を閉じた際に、集塵蓋11と接触して集塵部12の気密を保つための集塵部パッキン127が配置される。集塵部パッキン127の前方は、支持板クランプ104と集塵蓋クランプ112との間に配置され、集塵部パッキン127の後方は、フィルタ枠18の後方に配置される。集塵部パッキン127の前方端部には、パッキン固定部127aが形成されている(図11図12)。
【0062】
接続管101の上方には、ボタンカバー102が配置され、ロックボタン102a、集塵蓋クランプ112の上方を覆う。集塵蓋クランプ112を接続管101の上方に配置した際、集塵蓋クランプ112は集塵部パッキン127の前方端部にあるパッキン固定部127aを覆う。これにより、パッキン固定部127aは下ケース10aとボタンカバー102によって上下方向から挟まれ、集塵部パッキン127の前方が下ケース10aに固定される(図13)。
【0063】
本実施例では、集塵蓋11に爪部を前方向に向けて設け、集塵蓋クランプ112で引っかける構造としているが、集塵蓋11の爪部を後方向に向けて設け、ボタンカバー102に爪受け部を設けて引っかける構造とし、使用者が直接集塵蓋11に手をかけて開く構造にしても良い。その場合は集塵蓋クランプ112を省略できる。
【0064】
集塵部パッキン127と下ケース10aの間には吸口への電力を供給するリード線(図示せず)が配線される。集塵部パッキン127が下ケース10a側に取り付けられていることで、使用者からはリード線は見えず、デザイン性を確保できる。
【0065】
また、集塵部パッキン127は、左右辺は下に下がり、前後辺は上に上がっている形状となっている。これにより、前の流入口および後のモータ入口部の経路を確保しながら、左右が下がっていることで集塵蓋11の範囲が広くなり、集塵蓋11を開いたときに使用者は集塵部12にアプローチしやすくなり、集塵フィルタ120を交換しやすい。
【0066】
図14及び図15に示すように口パッキン103は、接続管101の端部と接触する前側リップ103bと、前側リップ103bより径大であり、集塵フィルタ120の支持板122と接触する後側リップ103cと、集塵フィルタ120の袋部材121に集塵した塵埃が漏れ出すのを抑制する逆止弁103dと、逆止弁103dと後側リップ103cを接続する逆止弁接続部103eを備えている。
【0067】
口パッキン103は柔軟性のある部材で形成されているので、後側リップ103cが支持板122と接触した際、流入通路103aと流入口122aとの間で気密を確保することができる。
【0068】
逆止弁103dは、逆止弁接続部103eを支点として下流側(後方側)に開くように動作する。逆止弁接続部103eは逆止弁103dに対して後側リップ103c側に凸、前側リップ103b側に凹にすることで、逆止弁接続部103eと逆止弁103dが同一面である場合に比べて後側リップ103c方向に動作しやすくなる。また、口パッキン103の流入通路103a内には、流入通路103aの無い方に向かって突出した通路内突起103fが左右に対になって備えられている。さらに通路内突起103fは流入通路103a内の逆止弁接続部103eに対して対角の位置にも備えられている。通路内突起103fは、逆止弁103dが上流側(前側)に開くのを抑制している。これにより、集塵フィルタ120の袋部材121に集塵した塵埃が漏れ出すのを抑制することができる。逆止弁103dの前側リップ103b側には逆止弁リブ103gを設け、逆止弁103dの剛性を確保することで、逆止弁103dの振動による騒音を抑制している。さらに逆止弁リブ103gが配置された位置に通路内突起103fを配置することで、逆止弁103dが塵埃の重みで前側リップ103b側にたわむことを防ぐことができる。通路内突起103fは前側リップ103b側にL時に曲がっており、後側リップ103c方向に口パッキン103を引っ張った際に、口パッキン103が通路内突起103fに引っかかり、口パッキン103が外れにくくなる。通路内突起103fの前側リップ103b側の端面は面取りされており、吸引時の流路損失を低減するとともに、吸引した塵埃が通路内突起103fに引っかかるのを低減することができる。後側リップ103cは外側リップ103jと内側リップ103iを備える。集塵フィルタ120取り付け時に各リップがたわみ、口パッキン103と支持板122の気密を確保する。集塵フィルタ120取り付け時の内側リップ103iの先端の内径は、集塵フィルタ120の流入口122aの外径よりも小さくすることで、支持板122での流路損失およびごみの引っ掛かりを低減できる。口パッキン103は、内側リップ103iの内側にこぼれ防止リブ103hを備える。こぼれ防止リブ103hの外径は集塵フィルタ120の流入口122aの外径よりも小さくすることで、吸込口101bを下向きにした際に、集塵フィルタ120に堆積した塵埃がこぼれ防止リブ103hに引っかかり、吸込通路側103a方向に塵埃が逆流するのを低減することができる。なお、通路内突起103fは下ケース10aに設け、口パッキン103には貫通穴を設ける構成にしても良い。その場合通路内突起103fが下ケース10aの硬い素材で形成できるため、塵埃漏れの抑制効果を上げることができる。
【0069】
接続管101は、延長管20を接続することができる。接続管101に延長管20を接続するにあたっては、接続管101の内部に延長管20を挿入する。接続管101の内部に延長管20が挿入されると、延長管20の端部が口パッキン103の前側リップ103bに接触する。これにより、延長管20の内部通路と口パッキン103の流入通路103aとの気密を確保することができる。
【0070】
本実施例では、接続管101と集塵部12との間に柔軟性を有する口パッキン103を設けるようにしたので、接続管101の吸込通路101aと口パッキン103の流入通路103aとの間、延長管20の内部通路と口パッキン103の流入通路103aとの間、及び口パッキン103の流入通路103aと支持板122(集塵フィルタ120)の流入口122aとの間の気密を確保することができる。
【実施例0071】
図16及び図17を用いて、実施例4について説明する。図16は、本発明の実施例4に係る電気掃除機1を下方から見た底面図である。図17は、本発明の実施例4に係る電気掃除機1を左側から見た左側面図である。実施例1から3と共通する構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0072】
実施例1から3で説明した電気掃除機1は、電池パック16から供給される電力で電動送風機14を駆動する。そのため、電池パック16の充電容量が低下した場合には、充電を行う必要がある。図16に示すように、電気掃除機1の底部には、電池パック16を充電するためのDCジャック19が備えられている。
【0073】
DCジャック19には、電池パック16の充電時に充電端子60が接続される。DCジャック19に充電端子60を挿入すると、充電端子60は掃除機本体10の下面(外周)から突出した状態となる。充電端子60をDCジャック19に接続した状態で電気掃除機1を床面Yに置くと、充電端子60が床面Yと接触し、充電端子60が破損したり、床面Yを傷付けたりする可能性がある。
【0074】
そこで、本実施例の電気掃除機1では、掃除機本体10の下ケース10aの下部に、下方に向かって突出した本体下部突起10cを設けるようにしている。
【0075】
電気掃除機1(電池パック16)の後端最下部と本体下部突起10cとを直線的に結んだ場合、電気掃除機1(電池パック16)の後端最下部と本体下部突起10cとの間には、空間が形成される。すなわち、電気掃除機1を床面Yに置いた場合、電気掃除機1(電池パック16)の後端最下部と本体下部突起10cとの間には、床面Yから離れた空間が形成される。そして、この空間にDCジャック19を配置すると、DCジャック19に充電端子60を接続した状態においても充電端子60が床面Yと接触することがない。
【0076】
実施例4によれば、DCジャック19に充電端子60を接続して電池パック16の充電を行っている状態においても充電端子60が床面Yと接触することが無いので、充電端子60の破損や床面Yの傷付きを抑制することができる。
【実施例0077】
図18は本発明の実施例5に係る接続管101、下ケース10a、上ケース10bを分解した電気掃除機1の分解斜視図である。図19は本発明の実施例5に係るパック室10eから集塵部パッキン127を取り外した状態の斜視図である。実施例1から4と共通する構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0078】
掃除機本体10は、吸込んだ塵埃を集塵する集塵部12と、集塵部12の上部を構成し開閉可能に覆う集塵蓋11と集塵部12の下部を構成するパック室10eを備えている。集塵蓋11は、回動軸105を中心に開閉し集塵蓋クランプ112(ロック機構)によって集塵部12を閉状態に保持する。パック室10eは、集塵部パッキン127 (気密保持部材)を備え、集塵蓋11を閉じた際、集塵蓋11が集塵部パッキン127と接触し、集塵部12内の気密を保つようにしている。パック室10eはで構成され、気密が漏れる要素を最小限に抑えることで気密を保持しやすい。本実施例では集塵部パッキン127は柔軟性のある部材で形成されているが、集塵蓋11との接触により集塵部12内の気密を保つことができれば柔軟性のある部材に限らない。
【0079】
集塵蓋11と集塵部パッキン127の接触がずれてしまうと集塵部12内の気密を保つことができなくなってしまうが、パック室10eと別部品に集塵蓋11と集塵蓋クランプ112を設けると、公差集積が大きくなり気密を保てなくなる虞がある。そこで本実施例の電気掃除機1では集塵蓋11の固定部と集塵蓋クランプ112の固定部はそれぞれパック室10eに設けられ、集塵部12の気密確保に必要な部品の取り付け構造がパック室10eに集約している。これにより気密空間の公差集積を最小限に抑えることができ、気密を保持しやすい。
【0080】
パック室10e後方には防振ゴム144(振動吸収部材)を備えている。防振ゴム144は電動送風機14の少なくとも一部を固定し集塵部12から電動送風機14までの気密の確保と電動送風機14の振動吸収を行っている。
【0081】
実施例1から4で説明した電気掃除機1は、電池パック16から供給される電力で吸口体30に備えた吸口モータ(図示しない)を駆動させ、吸口体に備えた回転ブラシ(図示しない)を回転させる。そのためモータ室10f(電動送風機収容部)に収容している制御基板15から接続管101、延長管20を通して電力供給する必要がある。導電部については安全性、意匠性の観点から隠す必要があるが、パック室10eには集塵部パッキン127と接触する側壁107aとパック室10eの外殻との間に導電部108が配置され、電動送風機14と仕切られた集塵部12の内壁12aには、制御基板15が収容される空間と連通する配線開口部153が形成されている。配線開口部153から導電部108を通して配線を行うことにより集塵部パッキン127で配線と配線開口部153は隠すことができ安全性、意匠性を確保できる。配線開口部153は集塵部パッキン127より外側に配置することで、集塵部12の気密構成とは無関係な構成とし、気密を確保することができる。また、電気掃除機1は小型であることが望ましい。配線を隠すための部品を設けず、集塵部12に不可欠な集塵部パッキン127と集塵部12の外殻により隠すことで、部品点数を削減し、小型軽量化している。
【0082】
集塵部パッキン127は側壁107aとパッキン固定リブ107bに挟み込み固定されている。一般にヒケなどの成形不良を起こさないためにリブは平面に立てる必要があるが、集塵蓋11に側壁107aとパッキン固定リブ107bを設けると電気掃除機1の意匠性を大きく損なう虞がある。そこで本実施例の電気掃除機1ではパック室10eにパック室平面109を設け、パック室平面109に側壁107aとパッキン固定リブ107bを設けることで意匠性を損なわない構造としている。
【実施例0083】
図20から図23を用いて、実施例6について説明する。実施例6は、集塵部での集塵フィルタの取り付け方法の別方式について説明する。図20は、本発明の実施例6に係る電気掃除機1(集塵フィルタ式電気掃除機)の斜視図である。
【0084】
(a)は掃除機本体を示しており、(b)はスタンド50に収納している状態を示している。図21は、本発明の実施例6に係る集塵フィルタケース500の斜視図である。(a)は集塵フィルタケースが集塵部12内に収まっている状態、(b)は集塵フィルタケースを集塵室の外に引き出すために各構成部品を摺動・回動させた状態をそれぞれ示している。図22図20におけるA-A断面図である。(a)は集塵フィルタケースの集塵フィルタ取付部が集塵室に収納される前の状態を示しており、(b)は集塵フィルタ取付部を集塵室内に収納した状態を示している。図23は、本発明の実施例6に係る集塵フィルタを取り出す際の一連の動作を示す図である。(a)は集塵蓋11が閉じた状態であって、通常掃除をしているときの状態を示しており、(b)は集塵蓋11を開けた状態を示しており、(c)は集塵フィルタケースを引き出した状態を示しており、(d)は集塵フィルタの開口部を下方向から前方向に向けるために集塵フィルタ取付部を回転させた状態を示しており、(e)は集塵フィルタを集塵フィルタケースから取り外した状態を示している。
【0085】
本実施例では、集塵部12は、図21に示すような集塵フィルタ120の固定及び位置決めを担う集塵フィルタケース500と、をさらに有する構成となっている。
【0086】
集塵フィルタケース500は、下ケース10aに設けられた第1ガイド部501と、第1ガイド部501に設けられた第2ガイド部502と、第2ガイド部502に設けられた集塵フィルタ取付部503を備えている。第1ガイド部501、第2ガイド部502、集塵フィルタ取付部503はそれぞれ垂直方向に摺動可能に設けられている。また、集塵フィルタ取付部503は第2ガイド部502の回転軸Hに対して回動自在に取り付けられている。この構成により、集塵フィルタ120の交換時には、集塵フィルタ取付部503を集塵部12外に引き出した後、集塵フィルタ取付部503の開口部503aの向きを変更できる。これによって、床面掃除時やスタンド50への収納時など、集塵部12内の集塵フィルタ120の流入口122aが水平方向より下向きとなる状態であっても、集塵フィルタ取付部503から集塵フィルタ120を取り外すタイミングでは集塵フィルタ120の流入口122aを水平方向より上向きの状態とすることが可能となり、塵埃がこぼれることを防止することができる。
【0087】
ここで、集塵フィルタケースを集塵室外へ引き出す方向は本実施例のように上方向に限定されず、集塵フィルタケースを構成する各部品の摺動方向も上下方向に限定されない。例えば、集塵フィルタケースを左右方向に引き出す構造としてもよい。
【0088】
また、集塵フィルタケースの引き出し動作に関し、本実施例では直線的な摺動により集塵室外へ引きだした後、集塵フィルタ取付部を回動させて集塵フィルタの向きを変えるという2段階の工程となっているが、摺動の軌道は直線的なものに限定されず、工程も2段階に限定されない。
【0089】
例えば、略円的もしくは略楕円的な軌道で摺動してもよく、摺動と同時に集塵フィルタの向きが変わるようにしてもよい。
【0090】
集塵フィルタ取付部503は、集塵フィルタ120の流入口122aを塞がないように開口部504が設けられている。また、集塵フィルタ取付部503には圧縮バネ505を挟む形で塵埃こぼれ防止蓋506が取り付けられており、外力を加えない限りは塵埃こぼれ防止蓋506が圧縮バネ505の弾性力により集塵フィルタ取付部503の開口部504を塞ぐ。
【0091】
ここで、塵埃こぼれ防止蓋506が集塵フィルタ取付部503の開口部504を塞ぐための手段は本実施例のような圧縮バネ505を用いた手段に限らない。例えば、引張バネやねじりバネといった他の種類のバネを用いてもよく、リンク機構のような弾性力を扱わない機構でもよい。
【0092】
塵埃こぼれ防止蓋506には受けリブ507が設けられている。これにより、集塵フィルタケース500を集塵室内に収納する際には掃除機本体に設けられた押しのけ凸部508と接触し、塵埃こぼれ防止蓋506のみ集塵フィルタ取付部503の開口部504を開放する方向に押しのけられる。
【0093】
上記の構成により、集塵フィルタ取付部503が集塵室内にある状態では開口部504が開放され、それ以外の状態では塵埃こぼれ防止蓋506により開口部504が塞がれる。これによって、塵埃がこぼれでることを防ぐことができる。
【0094】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成を置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0095】
1…電気掃除機、10…掃除機本体、10a…下ケース、10b…上ケース、10c…本体下部突起、10d…リブ、10e…パック室、10f…モータ室、101…接続管、101a…吸込通路、101b…吸込口、102…ボタンカバー、102a…ロックボタン、103…口パッキン、103a…流入通路、103b…前側リップ、103c…後側リップ、103d…逆止弁、103e…逆止弁接続部、103f…通路内突起、103g…逆止弁リブ、103h…こぼれ防止リブ、103i…内側リップ、103j…外側リップ、104…支持板クランプ、104a…突起部、105…回動軸、106…固定部、107a…側壁、107b…パッキン固定リブ、108…導電部、109…パック室平面、11…集塵蓋、11a…集塵蓋爪、110…コイルばね、110a…下側先端部、110b…上側先端部、111…接触部、112…集塵蓋クランプ、12…集塵部、12a…内壁、12b…電動送風機用開口部、12c…凹部、120…集塵フィルタ、121…袋部材、122…支持板、122a…流入口、123…シール部材、124…シール部、125…剥離紙、126…引っ掛け穴、127…集塵部パッキン、127a…パッキン固定部、13…ハンドル部、14…電動送風機、141…ファン、142…回転軸、143…電動機、144…防振ゴム、15…制御基板、151…連通開口部、152…ラベル、153…配線開口部、16…電池パック、17…操作スイッチ、18…フィルタ枠、18a…格子部、18b…上面開口部、18c…側面開口部、18d…隆起形状、18e…凸部、180…保護フィルタ、19…DCジャック、20…延長管、30…吸口体、40…刷毛部、50…スタンド、60…充電端子
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