(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073301
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20240522BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184423
(22)【出願日】2022-11-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】399009642
【氏名又は名称】JFE条鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 敬祐
(74)【代理人】
【氏名又は名称】石井 裕充
(72)【発明者】
【氏名】小林 日登志
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB58
5L049BB58
(57)【要約】
【課題】カーボンニュートラルな鋼材製品の発注を支援する。
【解決手段】情報処理装置1による情報処理方法であって、情報処理装置1は、制御部と通信部と記憶部とを含み、通信部を介してネットワークと通信可能であり、制御部によって、非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力を用いて鋼材製品を製造することを注文する注文情報を取得することと、注文情報に含まれる製品重量と鋼材製品の歩留まりの値とから、鋼材製品の製造に必要な必要電力量を決定することと、必要電力量の少なくとも一部を、非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力であることを証明する証明情報と関連付けて記憶部に記憶することと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置による情報処理方法であって、
前記情報処理装置は、制御部と通信部と記憶部とを含み、前記通信部を介してネットワークと通信可能であり、
前記制御部によって、
非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力を用いて鋼材製品を製造することを注文する注文情報を取得することと、
前記注文情報に含まれる製品重量と前記鋼材製品の歩留まりの値とから、前記鋼材製品の製造に必要な必要電力量を決定することと、
前記必要電力量の少なくとも一部を、非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力であることを証明する証明情報と関連付けて前記記憶部に記憶することと、
を含む情報処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理方法において、
前記歩留まりは、圧延歩留まりと鋳片歩留まりと出鋼歩留まりとの少なくとも1つを含む、情報処理方法。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理方法において、
前記製品重量と、前記歩留まりの値と、圧延電力量と、鋳造電力量と、電気炉電力量とから、前記必要電力量を算出することを含む、
情報処理方法。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理方法において、
前記必要電力量が、前記証明情報によって証明される電力量の範囲内にないと判定すると、追加の証明情報を購入することを含む、
情報処理方法。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理方法において、
前記ネットワークはブロックチェーンネットワークを含み、
前記鋼材製品のミルシート情報と前記証明情報とをブロックチェーンに登録することを更に含む、
情報処理方法。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理方法において、
前記鋼材製品についてのミルシートを発行することを含み、
前記ミルシートは、前記鋼材製品のミルシート情報と前記証明情報とにアクセスするためのコード情報を含む、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ等の画像形成装置で使用されるサプライ品の使用量が所定量に達したときに、追加のサプライ品の発注及び発送を指示する発注システムが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の発注システムで発注される商品は、画像形成装置で使用されるサプライ品に限定されている。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、カーボンニュートラルな鋼材製品の発注を支援することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、
情報処理装置による情報処理方法であって、
前記情報処理装置は、制御部と通信部と記憶部とを含み、前記通信部を介してネットワークと通信可能であり、
前記制御部によって、
非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力を用いて鋼材製品を製造することを注文する注文情報を取得することと、
前記注文情報に含まれる製品重量と前記鋼材製品の歩留まりの値とから、前記鋼材製品の製造に必要な必要電力量を決定することと、
前記必要電力量の少なくとも一部を、非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力であることを証明する証明情報と関連付けて前記記憶部に記憶することと、
を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、カーボンニュートラルな鋼材製品の発注を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】注文情報DB(database)のデータ構造を示す図である。
【
図6】情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示される情報処理装置1は、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属するサーバなどのコンピュータである。代替例として情報処理装置1は、携帯電話機、スマートフォン、ウェアラブル機器、若しくはタブレットなどのモバイル機器であってよい。別の代替例として情報処理装置1は、PCなどの汎用機器、又は専用機器であってもよい。「PC」は、personal computerの略語である。
【0010】
情報処理装置1は、ネットワークを介して、他の1以上の情報処理装置と互いに通信可能である。ネットワークは有線又は無線の任意のネットワークを含み、例えば移動体通信網、固定通信網、又はインターネットを含む。
【0011】
情報処理装置1の内部構成が詳細に説明される。情報処理装置1は、制御部11と通信部12と記憶部13とを含む。情報処理装置1の各構成要素は、例えば専用線を介して互いに通信可能に接続される。
【0012】
制御部11は例えば、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)を含む1つ以上の汎用プロセッサを含む。制御部11は、特定の処理に特化した1つ以上の専用プロセッサを含んでよい。制御部11は、プロセッサを含む代わりに、1つ以上の専用回路を含んでもよい。専用回路は例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってよい。制御部11は、ECU(Electronic Control Unit)を含んでもよい。制御部11は通信部12を制御して、任意の情報を送信及び受信する。
【0013】
通信部12は、ネットワークNWに接続するための、1つ以上の有線又は無線LAN(Local Area Network)規格に対応する通信モジュールを含む。通信部12は、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、又は5G(5th Generation)を含む1つ以上の移動体通信規格に対応するモジュールを含んでよい。通信部12は、Bluetooth(登録商標)、AirDrop(登録商標)、IrDA、ZigBee(登録商標)、Felica(登録商標)、又はRFIDを含む1つ以上の近距離通信の規格又は仕様に対応する通信モジュール等を含んでよい。通信部12は、ネットワークNWを介して任意の情報を送信及び受信する。
【0014】
記憶部13は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせが含まれるが、これらに限られない。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。ROMは、例えば、EEPROMである。記憶部13は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部13は、制御部11によって分析又は処理された結果の情報を記憶してよい。記憶部13は、情報処理装置1の動作又は制御に関する各種情報等を記憶してよい。記憶部13は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び組み込みソフトウェア等を記憶してよい。記憶部13は情報処理装置1の外部に設けられて、情報処理装置1からアクセスされてよい。記憶部13は、注文情報DBを含む。
【0015】
情報処理装置1による情報処理方法は後述される。
【0016】
本実施形態では、
図2の電気炉EFにて鋼材製品が製造される。電気炉EFは、電極ELに高電圧をかけて電気アークEAを発生させる。電気炉EFは、アーク熱で例えば鉄スクラップを溶解する。溶解によって生成された溶鋼MLは、成分調整、鋳造及び圧延等の過程を経た後、鋼材製品へ加工される。
【0017】
本実施形態の電気炉EFで使用される電力は、再生可能エネルギー等の非化石電源から発電された、二酸化炭素を排出しない電力である。ここでの再生可能エネルギーとは、次に掲げるエネルギー源をいう。
一 太陽光
二 風力
三 水力
四 地熱
五 バイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される製品を除く。)をいう。)
六 上記一乃至五のエネルギー源のほか、原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される製品以外のエネルギー源のうち、電気のエネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの
【0018】
非化石電源には、再生可能エネルギーだけでなく、例えば原子力も含まれる。非化石電源から発電された電気には次の2つが含まれる。
1.電気そのものが有する価値(kWh価値等)
2.非化石としての価値
本実施形態では、上記2つの価値のうち「2.非化石としての価値」を、非化石価値と称する。電気炉EFでは、非化石価値で定義された電力が使用される。ここでの非化石価値は、日本国の「エネルギー供給構造高度化法」上の非化石電源比率の算定時に非化石電源として計上される価値である。非化石価値は、定められた目標値を達成するために、新規の電力小売事業者によって購入される価値である。
【0019】
非化石価値によって定義された電力は、例えば次の3つの手段のうち少なくとも1つを利用して入手及び証明可能である。
(1)非化石証書
(2)グリーン電力証書
(3)Jクレジット
【0020】
非化石証書とは、再生可能エネルギーで発電された電気の環境価値を証書のかたちにしたものである。
【0021】
グリーン電力証書とは、再生可能エネルギーで発電された電力の環境価値の証書である。グリーン電力証書にはシリアルナンバーが付されるので、唯一無二である。グリーン電力証書には、発電電力量と発電期間と発電方法と証書の発行日との情報が含まれる。グリーン電力証書には更に、認証機関名と証書発行事業者名との情報が含まれる。
【0022】
Jクレジットとは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出削減量と吸収量とを「クレジット」として国が認証する制度である。
【0023】
追加例として又は代替例として、非化石価値で定義された電力は、次の手段によっても入手及び証明可能である。
(4)自社が保有する太陽光発電設備を用いた発電
【0024】
代替例として、電気炉EFで使用される電力は、非化石価値で定義された電力ではなく、ゼロエミ価値で定義された電力であってよい。ここでのゼロエミ価値とは、日本国の「地球温暖化対策の推進に関する法律」(以下、温対法)上の二酸化炭素排出係数がゼロである価値である。具体的にはゼロエミ価値は、電気の小売事業者が調整後排出係数の算定時に、調達した非化石証書の電力量に「全国平均係数」を乗じることで算出した二酸化炭素排出量を実二酸化炭素排出量から減算することができる価値である。製造業等の電力購入者が温対法に基づいて二酸化炭素排出量を国に報告する際には、ゼロエミ価値を持つ電力の二酸化炭素排出係数はゼロとなる。例えば、ゼロエミ価値で定義された電力は、既存の電力販売会社が水力等の再生可能エネルギー又は原子力で発電した電力であってよい。ゼロエミ価値で定義された電力は、次の手段によって入手及び証明可能である。
(5)電力小売との契約(例:東京電力エナジーパートナー(登録商標)社によって提供される「アクアプレミアム」(登録商標)及び「アクアエナジー100」)
【0025】
上記で例示された手段(1)乃至(5)のそれぞれにつき、電気炉EFで使用された電力が非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力であることを証明する証書等の情報は、唯一無二の証明情報として証明書発行事業者又は認証機関等から取得される。上記の手段(1)乃至(5)は一例であり、電気炉EFで使用された電力が非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力であることを証明する他の任意の手段によって代替可能である。
【0026】
本実施形態において、電気炉EFで使用された電力が非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力であることの証明方法には、上記(1)乃至(5)のいずれかによって証明情報を入手して証明する方法がある。証明情報は、オークションにおいて又は仲介業者から購入される。証明情報は、記憶部13又は在庫管理システムにおいて記憶される。
【0027】
追加例として証明情報は、任意のメーカーによって証明された非化石残渣情報を含んでよい。
【0028】
情報処理装置1の制御部11は、非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力を用いて鋼材製品を製造することを注文する注文情報を取得する。注文情報はネットワーク及び通信部12を介して他の情報処理装置から受信されることにより取得されてよいし、情報処理装置1に手動で入力されることにより取得されてよい。注文情報は例えば、JIS規格、数量、又は納期の情報を含む。
【0029】
制御部11は、注文情報から、鋼材製品の製造規格を決定する。製造規格は品種、製造ルート、製品重量、鋼種等の情報を含んでよい。ここでは説明の便宜のため、製品重量の値をm[ton]とする。品種は例えば次のいずれかを含むが、これに限られない。
・異形棒鋼
・線材
・平鋼
・形鋼
・H形鋼
・角鋼
・丸鋼
・厚板
・熱延板
・薄板
【0030】
制御部11は、
図3に示される品種別歩留まりテーブルを参照する。品種別歩留まりテーブルは記憶部13に含まれる。ここでの歩留まりは例えば出鋼歩留まり、鋳片歩留まり、及び圧延歩留まりであるが、これに限られない。各歩留まりの値は、次の計算式で算出される。
圧延歩留=製品重量/圧延重量(良鋳片重量)
鋳片歩留=良鋳片重量/出鋼重量
出鋼歩留=出鋼重量/全装入鉄重量
【0031】
各歩留まりの値は、0から1までの間の実績値である。各歩留まりの値は、定期的(例えば1ヶ月ごと)に更新されてよい。
【0032】
制御部11は、注文情報に含まれる品種に対応する出鋼歩留まりの値(a1からa10までのいずれか)と鋳片歩留まりの値(b1からb10までのいずれか)と圧延歩留まりの値(c1からc10までのいずれか)とを読み出す。以下、説明の便宜のために、読み出された出鋼歩留まりの値をaとし、鋳片歩留まりの値をbとし、圧延歩留まりの値をcとする。このため、次の関係式が成立する。
圧延重量(良鋳片重量)= m/c
出鋼重量=(m/c)/b
全装入鉄重量=((m/c)/b)/a
【0033】
制御部11は、注文情報に含まれる製品重量と鋼材製品の歩留まりの値とから、鋼材製品の製造に必要な必要電力量を下記の通り決定する。
【0034】
制御部11は、次の計算式を用いて、圧延電力原単位Er[kWh/t]を算出する。「t」は「ton」を示す。
圧延電力原単位Er=圧延電力量/圧延重量(良鋳片重量)
更に制御部11は、次の計算式を用いて、圧延電力量Wr[kWh]を算出する。
Wr=Er*圧延重量=Er*(m/c)
【0035】
制御部11は、次の計算式を用いて、鋳造電力原単位Ec[kWh/t]を算出する。
鋳造電力原単位Ec=鋳造電力量/出鋼重量
更に制御部11は、次の計算式を用いて、鋳造電力量Wc[kWh]を算出する。
Wc=Ec*出鋼重量=Ec*(m/c)/b
【0036】
制御部11は、次の計算式を用いて、電気炉電力原単位Ea[kWh/t]を算出する。
電気炉電力原単位Ea[kWh/t]=電気炉電力量/出鋼重量
更に制御部11は、次の計算式を用いて、電気炉電力量Wa[kWh]を算出する。
Wa=Ea*出鋼重量=Ea*(m/c)/b
【0037】
制御部11は、圧延電力量Wrと鋳造電力量Wcと電気炉電力量Waとを算出すると、次の計算式を用いて、鋼材製品を製造するために必要な必要電力量Wrn[kWh]を算出する。
Wrn=Wr+Wc+Wa
【0038】
以上のように必要電力量が計算される。代替例として、圧延電力量Wrと鋳造電力量Wcと電気炉電力量Waとに加えて、別の電力量(例えばオフィスで使用された電力量)が加算されてもよい。
【0039】
図4に示されるように制御部11は、必要電力量を、鋼材製品の製造時に電気炉EFで使用された電力が非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力であることを証明する証明情報と関連付けて、記憶部13の注文情報DBに記憶する。本実施形態の必要電力量はミルシート情報として記憶されるが、代替例として別の項目で記憶されてもよい。例えば必要電力量が5,213kWhであるとき、制御部11は、5,213kWh分の証明情報を記憶部13から読み出す。この構成により制御部11は、電気炉EFで使用された電力が非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力であることを実現及び証明することができる。代替例として制御部11は、必要電力量の一部を、証明情報と関連付けて記憶してよい。
【0040】
追加例として制御部11は、必要電力量が、記憶部13内の証明情報によって証明される電力量の範囲内にないと判定すると、外部システムから追加の証明情報を購入することができる。
【0041】
図5に示されるように制御部11は、注文情報DBの情報からミルシートMSを電子的又は物理的に発行する。ミルシートMSが物理的である場合、ミルシートMSは鋼材製品に添付される。
【0042】
ミルシートMSは、鋼材製品が、指定された規格などの要求事項を満たしているかどうかを証明する検査証明書である。ミルシートMSは例えば次のミルシート情報51乃至58と、証明情報59と、コード情報60とを含む。
が含まれる。
・証明書番号51(唯一無二のシリアルナンバー)
・検査番号52
・製品寸法53
・本数54
・質量55
・引張試験の結果56
・曲げ試験の結果57
・化学成分58
【0043】
ここでの証明情報59は、グリーン電力証書のシリアルナンバーと、グリーン電力証書によって証明される電力の電力量の情報(ここでは5,213kWh)とを含む。
【0044】
追加例としてミルシートMSは、ミルシート情報として、鋼材製品の製造に必要な必要電力量の情報、又は、歩留まりの値を含んでよい。
【0045】
ミルシートMSは、ミルシート情報と証明情報とにアクセスするためのコード情報60を含む。
図5に示されるように、コード情報60はQRコード(登録商標)である。代替例としてコード情報60は、バーコード等の任意のコードであってよい。コード情報60は、任意のユーザ端末(例えばスマートフォン)で読取り可能である。制御部11は、コード情報60が読み取られたことを検出すると、ミルシート情報と証明情報とをユーザ端末に送信してよい。すなわちミルシート情報と証明情報とは、クラウド化され、ユーザ端末によって読み出し可能である。
【0046】
追加例として、情報処理装置1は、分散台帳(Hyperledger)型のブロックチェーンネットワークにノードとして参加してよい。ブロックチェーンネットワークは、インターネットに接続されたパブリックなネットワークであってよいし、プライベートなネットワークであってもよい。制御部11は、注文情報DBに記憶される情報(例えばミルシート情報及び証明情報)をブロックチェーンに登録する。注文情報DBに記憶される情報は、レコードごとに、ブロックチェーンの1つのブロックに記憶されてよい。
【0047】
図6を参照して、情報処理装置1の制御部11による情報処理方法が説明される。
【0048】
ステップS1にて制御部11は注文情報を取得する。ステップS2にて制御部11は、注文情報から製造規格等を決定する。ステップS3にて制御部11は、注文情報に含まれる製品重量と鋼材製品の歩留まりの値とから、鋼材製品の製造に必要な必要電力量を決定する。ステップS4にて制御部11は、必要電力量の少なくとも一部を、非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力であることを証明する証明情報と関連付けて記憶部13に記憶する。ステップS5にて制御部11は、鋼材製品のミルシートを発行する。
【0049】
[効果]
以上述べたように本実施形態によれば、制御部11は、非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力を用いて鋼材製品を製造することを注文する注文情報を取得することと、注文情報に含まれる製品重量と鋼材製品の歩留まりの値とから、鋼材製品の製造に必要な必要電力量を決定することと、必要電力量の少なくとも一部を、非化石価値又はゼロエミ価値で定義された電力であることを証明する証明情報と関連付けて記憶部13に記憶することと、を実行する。この構成により情報処理装置1は、第1の効果として、カーボンニュートラルな鋼材製品の発注を支援することができる。第2の効果として情報処理装置1は、鋼材製品の製造者に対する行政からの総合評価を上昇させることができるので、競争入札で落札を勝ち取る可能性を高めることができ、もって受注量及び収益を拡大することができる。第3の効果として情報処理装置1は、カーボンニュートラルな鋼材製品を所望する顧客からの需要を取り込むことができるので、鋼材製品の販売価格を上昇させることができる。第4の効果として、本特許出願が特許を受けた場合には、特許に係る発明の実施をする者(例えば、鋼材製品を製造する電気炉メーカー)に実施権を設定することによって使用料(ライセンス料)を得ることができる可能性がある。
【0050】
また本実施形態によれば、歩留まりは、圧延歩留まりと鋳片歩留まりと出鋼歩留まりとの少なくとも1つを含む。また、制御部11は、製品重量と、歩留まりの値と、圧延電力量と、鋳造電力量と、電気炉電力量とから、必要電力量を算出する。この構成により、情報処理装置1は、必要電力量の算出精度を高めることができる。
【0051】
また本実施形態によれば、制御部11は、必要電力量が、証明情報によって証明される電力量の範囲内にないと判定すると、追加の証明情報を購入する。この構成により情報処理装置1は、証明情報が不足する状況を回避することができ、カーボンニュートラルな鋼材製品の発注を支援することができる。
【0052】
また本実施形態によれば、ネットワークはブロックチェーンネットワークを含む。制御部11は、関連付けられたミルシート情報と証明情報とをブロックチェーンに登録する。このようにブロックチェーン技術が利用される場合、登録情報が分散して全てのノードで共有される。すなわち中央管理者が不要である。このため、次の効果が奏される。
・改ざんが困難
・単一障害点が無いため、システムダウンが無い
・他者システムとのデータ共有が容易
よって情報処理装置1は、安全性が高く、低コストであるシステムを実現することができる。更に、ブロックチェーンにおいて全てのデータが記録されるので、トレーサビリティが確保される。
【0053】
また本実施形態によれば、制御部11は、鋼材製品についてのミルシートを発行する。ミルシートは、ミルシート情報と証明情報とにアクセスするためのコード情報を含む。この構成により、情報処理装置1は、ミルシート情報及び証明情報に対するアクセス性を高めることができる。
【0054】
本開示が諸図面及び実施例に基づき説明されるが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。例えば、各手段又は各ステップに含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段又はステップを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0055】
例えば、上記の実施形態において、情報処理装置1の機能又は処理の全部又は一部を実行するプログラムは、コンピュータで読取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読取り可能な記録媒体は、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体を含み、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又は半導体メモリである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記録したDVD(Digital Versatile Disc)又はCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。またプログラムの流通は、プログラムを任意のサーバのストレージに格納しておき、任意のサーバから他のコンピュータにプログラムを送信することにより行ってもよい。またプログラムはプログラムプロダクトとして提供されてもよい。本開示は、プロセッサが実行可能なプログラムとしても実現可能である。
【0056】
コンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。サーバからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP型のサービスによって処理を実行してもよい。「ASP」は、application service providerの略語である。プログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものが含まれる。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【符号の説明】
【0057】
1 情報処理装置