(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073322
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】グレイジングチャンネル保護部材
(51)【国際特許分類】
E06B 3/62 20060101AFI20240522BHJP
【FI】
E06B3/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184460
(22)【出願日】2022-11-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】522451595
【氏名又は名称】武市 真梨子
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】武市 真梨子
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016AA01
2E016BA07
2E016BA08
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC01
2E016DA06
2E016DB03
2E016DD04
(57)【要約】
【課題】簡易な方法で低コストにグレイジングチャンネルの表面に生じたカビによる見栄えの悪化や環境の悪化を防止できるグレイジングチャンネル保護部材を提供する。
【解決手段】サッシ窓103のグレイジングチャンネル109の表面117に貼り付けられるグレイジングチャンネル保護部材1である。グレイジングチャンネル保護部材1は、グレイジングチャンネル109の表面117の幅と同等の幅を有するテープ状の本体部11と、本体部11の一方の面に形成されグレイジングチャンネル109の表面117に接着される接着層13と、本体部11の他方の面に形成される撥水層15とを有する。窓板107に当接する側の端辺を、その反対側の端辺の厚みよりも厚く形成してなる窓板弾接部A1とする。本体部11は、吸水性を有する弾性部材17の表面を、吸水性を有するデザイン用シート19で覆う構造である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシ窓を構成する枠と窓板の間に介在するグレイジングチャンネルの露出している表面に取り付けられるグレイジングチャンネル保護部材であって、
前記グレイジングチャンネルの幅と同等の幅を有するテープ状の本体部と、
前記本体部の一方の面に形成され、前記グレイジングチャンネルの表面に接着される接着層と、
前記本体部の他方の面に形成される撥水層と、
を有することを特徴とするグレイジングチャンネル保護部材。
【請求項2】
請求項1に記載のグレイジングチャンネル保護部材であって、
前記窓板に当接する側の端辺を、その反対側の端辺の厚みよりも厚く形成してなる窓板弾接部としたことを特徴とするグレイジングチャンネル保護部材。
【請求項3】
サッシ窓を構成する枠と窓板の間に介在するグレイジングチャンネルの露出している表面に取り付けられるグレイジングチャンネル保護部材であって、
前記グレイジングチャンネルの幅と同等の幅を有するテープ状の本体部と、
前記本体部の一方の面に形成され、前記グレイジングチャンネルの表面に接着される接着層と、有し、
さらに前記本体部の窓板に当接する側の端辺を、その反対側の端辺の厚みよりも厚く形成してなる窓板弾接部としたことを特徴とするグレイジングチャンネル保護部材。
【請求項4】
請求項1又は3に記載のグレイジングチャンネル保護部材であって、
前記本体部は、吸水性を有する弾性部材の表面を、吸水性を有するシートで覆う構造であることを特徴とするグレイジングチャンネル保護部材。
【請求項5】
請求項4に記載のグレイジングチャンネル保護部材であって、
前記弾性部材は、スポンジ状部材によって構成されており、
前記シートは、紙素材によって構成されていることを特徴とするグレイジングチャンネル保護部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシ窓を構成する枠(框)と窓板(ガラス板)の間に介在するグレイジングチャンネルの化粧や防カビ等のために用いて好適なグレイジングチャンネル保護部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物のサッシは、建築物側に固定されたサッシ枠内に、サッシ窓を取り付けて構成されている。サッシ窓は、例えば特許文献1に示すように、その外周を囲む金属製の枠(框)(B)と、当該枠(B)内に取り付けられる窓板(ガラス板)(A)によって構成されている。窓板(A)の外周と枠(B)との間には、両者間を安定して固定するためのパッキンとなるグレイジングチャンネル(1)が取り付けられている。グレイジングチャンネル(1)は合成樹脂などからなる弾性部材によって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記サッシ窓は、室内外の温度差等によって結露する。このときグレイジングチャンネルにも当該結露が付着することで、その表面にカビが発生する。ガラス製の窓板や、金属製の枠は硬質であり且つその表面は滑らかなため、カビを容易に拭き取ることができるが、グレイジングチャンネルは合成樹脂製の弾性部材であり且つその表面が粗いため、当該表面に付着したカビ(黒いカビ)を完全には拭き取ることは難しく、黒く残ってしまう。グレイジングチャンネル表面にカビが残ると、その見栄えが悪くなるばかりか、カビ(その胞子など)による環境の悪化(カビアレルギーの発生など)を招いたりする虞が生じる。
【0005】
当該黒カビを取り除くためには、強い薬品を使って漂白を行えばよいが、ペットや子供がいる家庭では、強い薬剤を使うことに抵抗がある。
【0006】
またグレイジングチャンネルを丸ごと取り替える方法も考えられるが、専門の業者に依頼すると、高額な費用が発生する。一方、ホームセンターなどで部品を購入して自分で交換する方法もあるが、女性や高齢者や賃貸の方等にはその交換が困難な場合も多いと考えられる。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、簡易な方法で低コストに前記グレイジングチャンネルの表面に生じたカビによる見栄えの悪化や環境の悪化を防止することができるグレイジングチャンネル保護部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、サッシ窓を構成する枠と窓板の間に介在するグレイジングチャンネルの露出している表面に取り付けられるグレイジングチャンネル保護部材であって、前記グレイジングチャンネルの幅と同等の幅を有するテープ状の本体部と、前記本体部の一方の面に形成され、前記グレイジングチャンネルの表面に接着される接着層と、前記本体部の他方の面に形成される撥水層と、を有することを特徴としている。
本発明によれば、グレイジングチャンネルの表面を、グレイジングチャンネル保護部材で覆うことができるので、窓板に生じた結露が、グレイジングチャンネルの表面に付着することを効果的に防止することができる。これによってグレイジングチャンネル表面にカビが繁殖することを防止できる。
またグレイジングチャンネル保護部材を取り付ける前のグレイジングチャンネルの表面に、既にカビが発生していた場合、グレイジングチャンネル保護部材をグレイジングチャンネルの表面に取り付けることで、当該カビを隠すことができ、これによってグレイジングチャンネルの表面の見栄えを良くすることができる。また当該カビから胞子などが飛び散ることを防止でき、カビアレルギーの発生等の環境の悪化を防止することができる。
またその表面に撥水層を有するので、窓板表面などで結露した水滴の本体部内への浸入を抑制することができ、本体部内においてのカビの発生を防止することができる。また撥水層の表面は滑らかに形成できるので、その表面に付着した汚れを容易に除去することができる。
【0009】
また本発明によれば、上記特徴に加え、前記窓板に当接する側の端辺を、その反対側の端辺の厚みよりも厚く形成してなる窓板弾接部としたことを特徴としている。
本発明によれば、窓板弾接部を窓板に押し付けることで、グレイジングチャンネル保護部材を容易に窓板に圧接することができ、その撥水層を確実に窓板に圧接することができる。このとき窓板弾接部はその厚みが厚いので、弾性変形し易く、上記圧接面積を大きくすることができる。これらのことから、窓板表面などで結露した水滴が窓板弾接部と窓板の圧接部分を通ってその下側に浸入していくことを確実に防止することができる。
また窓板弾接部はその厚みが厚くて弾性変形し易いので、このグレイジングチャンネル保護部材の幅寸法が、グレイジングチャンネルの表面の幅寸法よりも大きいような場合であっても、窓板弾接部を窓板に押し付ける強さを調整することでその幅寸法を調整でき、前記窓板弾接部とは反対側の端辺をグレイジングチャンネル表面の端辺に容易に一致させることも可能になる。
【0010】
また本発明は、サッシ窓を構成する枠と窓板の間に介在するグレイジングチャンネルの露出している表面に取り付けられるグレイジングチャンネル保護部材であって、前記グレイジングチャンネルの幅と同等の幅を有するテープ状の本体部と、前記本体部の一方の面に形成され、前記グレイジングチャンネルの表面に接着される接着層と、有し、さらに前記本体部の窓板に当接する側の端辺を、その反対側の端辺の厚みよりも厚く形成してなる窓板弾接部としたことを特徴としている。
本発明によれば、グレイジングチャンネルの表面を、グレイジングチャンネル保護部材で覆うことができるので、窓板に生じた結露が、グレイジングチャンネルの表面に付着することを効果的に防止することができる。これによってグレイジングチャンネル表面にカビが繁殖することを防止できる。
またグレイジングチャンネル保護部材を取り付ける前のグレイジングチャンネルの表面に、既にカビが発生していた場合、グレイジングチャンネル保護部材をグレイジングチャンネルの表面に取り付けることで、当該カビを隠すことができ、これによってグレイジングチャンネルの表面の見栄えを良くすることができる。また当該カビから胞子などが飛び散ることを防止でき、カビアレルギーの発生等の環境の悪化を防止することができる。
また窓板弾接部を窓板に押し付けることで、グレイジングチャンネル保護部材を容易に窓板に圧接することができる。このとき窓板弾接部はその厚みが厚いので、弾性変形し易く、上記圧接面積を大きくすることができる。これらのことから、窓板表面などで結露した水滴が窓板弾接部と窓板の圧接部分を通ってその下側に浸入していくことを確実に防止することができる。
また窓板弾接部はその厚みが厚くて弾性変形し易いので、このグレイジングチャンネル保護部材の幅寸法が、グレイジングチャンネルの表面の幅寸法よりも大きいような場合であっても、窓板弾接部を窓板に押し付ける強さを調整することでその幅寸法を調整でき、前記窓板弾接部とは反対側の端辺をグレイジングチャンネル表面の端辺に容易に一致させることも可能になる。
【0011】
また本発明は、上記特徴に加え、前記本体部は、吸水性を有する弾性部材の表面を、吸水性を有するシートで覆う構造であることを特徴としている。
本発明によれば、窓板に発生した結露が例えグレイジングチャンネル保護部材に浸入しても、本体部において吸水でき、これによってグレイジングチャンネルの表面でのカビの発生を防止できる。このため、グレイジングチャンネル保護部材を取り換えるだけで、容易にカビの発生を防止できる。
【0012】
また本発明は、上記特徴に加え、前記弾性部材は、スポンジ状部材によって構成されており、前記シートは、紙素材によって構成されていることを特徴としている。
本発明によれば、スポンジ状部材によって容易に本体部の厚みを厚くすることができ、また適度な弾性を持たせることができ、さらに容易に吸水性を持たせることができる。また吸水した水分を容易に蒸発させることができる。即ち、所望の厚みと弾性と吸水性と蒸発性とを持たせることができる。
またシートを紙素材とすることで、吸水性を容易に持たせることができると同時に、印刷などを容易に行うことができる。印刷を行った場合は、グレイジングチャンネル保護部材に容易にデザイン性を持たせることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡易な方法で低コストに、グレイジングチャンネルの表面のカビによる見栄えの悪化の防止や、カビ自体の発生の防止や、カビ胞子の発散による環境の悪化防止などを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】建造物の窓100の一例を示す正面図である。
【
図2】サッシ窓103のグレイジングチャンネル109近傍部分の拡大横断面図(
図1のA-A断面拡大図)である。
【
図3】グレイジングチャンネル保護部材1の拡大図であり、
図3(A)は平面図、
図3(B)は側断面図(
図3(A)のB-B断面矢視図)である。
【
図4】グレイジングチャンネル保護部材1をグレイジングチャンネル109の表面117に取り付けた状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明を適用する住宅やビルなどの建造物の窓100の一例を示す正面図である。窓100は、窓枠101の内側に、複数枚(この例では2枚)のサッシ窓(障子)103,103を取り付けて構成されている。
【0016】
窓枠101は、建造物に固定される額縁の内側に、レール部分を有する枠を固定して構成されている。
【0017】
サッシ窓103は、この例では2枚の引き戸であり、それぞれ枠105の内側に窓板(ガラス板)107と取り付けて構成されている。枠105と窓板107の間には、パッキンとなるグレイジングチャンネル109が介在している。サッシ窓103は、窓枠101に取り付けたレール部分にガイドされながら窓枠101内を左右に移動する引き違い戸になっている。グレイジングチャンネル109の表面には、本発明の1実施形態にかかるグレイジングチャンネル保護部材1がその4辺全周にわたって貼り付けられている。
【0018】
図2は、サッシ窓103のグレイジングチャンネル109近傍部分の拡大横断面図(
図1のA-A断面拡大図)である。同図に示すように、窓板107は、その外周辺をグレイジングチャンネル109を介在して枠105に固定されている。同図において、窓板107はこの例ではガラス板であり、枠105はこの例では金属製(アルミニウム製)である。窓板107は、その外周辺に取り付けたゴム弾性を有する樹脂材からなるグレイジングチャンネル109を、枠105に設けた溝111内に係合することで、枠105に取り付けられている。
【0019】
グレイジングチャンネル109は、その上面中央に凹状の窓板固定部113を設け、また窓板固定部113の両側に枠当接固定部115,115を設けて構成されている。グレイジングチャンネル109の露出している表面(上面)117,117には、それぞれ本実施形態にかかるテープ状のグレイジングチャンネル保護部材1,1が、当該表面117,117をそれぞれ覆うように貼り付けられている。
【0020】
図3(A),(B)は、グレイジングチャンネル保護部材1の拡大図であり、
図3(A)は平面図、
図3(B)は側断面図(
図3(A)のB-B断面矢視図)である。これらの図に示すように、グレイジングチャンネル保護部材1は、グレイジングチャンネル109の表面117の幅と同等の幅を有するテープ状の本体部11と、本体部11の一方の面に形成される接着層13と、本体部11の他方の面に形成される撥水層15とを有して構成されている。
【0021】
本体部11は、さらに吸水性を有する弾性部材17と、当該弾性部材17の表面全体を覆う吸水性を有するシート(以下「デザイン用シート」という)19とによって構成されている。
【0022】
弾性部材17は、多孔質の柔らかい合成樹脂の発泡体によって構成されている。具体的にこの実施形態では、ポリウレタンフォーム製のスポンジ状部材で構成されている。この弾性部材17を構成する合成樹脂発泡体の気泡の形状は連続気泡であって、水分や空気を通し易い構造となっている。すなわちこの弾性部材17は、吸水性と蒸発容易性とを有し、且つ軽量である。またこの弾性部材17を押し潰そうとすると、気泡から空気が抜けるので、十分な弾性を有する。
【0023】
弾性部材17は、同一幅の長尺な略テープ形状であり、その横断面は、
図3(B)に示すように、略円弧形状であり、その一方の端辺(窓板103に当接する側の端辺)a1側の厚みを、その反対の端辺a2側の厚みよりも厚く形成している。端辺a1の表面はその横断面形状が略円形な湾曲面となっている。端辺a2の厚みは薄くしている。
【0024】
デザイン用シート19は、可撓性を有する薄い紙素材、この例では和紙のシートである。デザイン用シート19は、前記弾性部材17のほぼ全周を覆うように弾性部材17の表面に接着剤などによって取り付けられ、これによって本体部11が形成される。デザイン用シート19は紙素材なので、吸水性と蒸発容易性を有する。和紙などの紙素材は、吸湿排湿し、適度に柔軟性があり、また弾性部材17にも密着させ易い。
【0025】
接着層13は、例えば両面接着テープによって構成され、一方の面の剥離紙を剥がして本体部11の一方の面(グレイジングチャンネル109の表面117側を向く面)に貼り付けられる。従ってもう一方の面側の剥離紙119は接着層13の表面にそのまま残しておく。なお接着層13の粘着力は、貼り直しができる程度で、紫外線に強く糊残りしにくいアクリル系などが好適である。
【0026】
撥水層15は、本体部11の前記接着層13を設けた反対側の面全体を覆うように形成されている。撥水層15は、透明(または半透明)なシリコン樹脂やフッ素系樹脂などからなる撥水コーティング剤を塗布することで形成される。また撥水層15は撥水性を有する透明(または半透明)なテープを貼り付けることで構成しても良い。
【0027】
上記グレイジングチャンネル保護部材1において、窓板107に当接する側の端辺(端面)の部分を窓板弾接部A1とし、反対側の端辺の部分を枠側端部A2としている。枠側端部A2は薄いシートを複数枚重ねているだけなので、
図3(B)で示すよりも実際の厚みはかなり薄い。
【0028】
図4は以上のように構成されているグレイジングチャンネル保護部材1をグレイジングチャンネル109の表面117に取り付けた状態を示す拡大断面図である。グレイジングチャンネル保護部材1をグレイジングチャンネル109の表面117に取り付けるには、まずグレイジングチャンネル保護部材1から剥離紙119(
図3(B)参照)を剥がし、グレイジングチャンネル109の表面117の窓板107とは反対側の端部B1と、グレイジングチャンネル保護部材1の枠側端部A2とをほぼ一致させた状態で当該枠側端部A2側から接着層13をグレイジングチャンネル109の表面117に接着していく。
【0029】
この接着を行う際、グレイジングチャンネル保護部材1の窓板弾接部A1は、少し変形した状態で窓板107の表面に弾接する。このとき撥水層15の一方の端辺部分も窓板107に弾接する。一方、グレイジングチャンネル保護部材1の接着層13は、グレイジングチャンネル109の表面117のみに接着され、窓板107には接着されない。これによってグレイジングチャンネル保護部材1のグレイジングチャンネル109の表面117への取り付けが完了する。なお上記グレイジングチャンネル保護部材1のグレイジングチャンネル109への取付手順はその一例であり、他の各種異なる取付手順を用いて取り付けても良いことはいうまでもない。
【0030】
グレイジングチャンネル保護部材1は、窓板弾接部A1を窓板107の表面に押し付けることで、グレイジングチャンネル保護部材1を容易に窓板107に圧接することができ、その撥水層15を確実に窓板107に圧接することができる。このとき窓板弾接部A1はその厚みが厚いので、弾性変形し易く、また圧接面積を大きくすることができる。
【0031】
また上述のように、窓板弾接部A1はスポンジ状部材によって形成されているので、その厚みを厚くし易く、また弾性変形し易くでき、このグレイジングチャンネル保護部材1の幅寸法が、グレイジングチャンネル109の表面117の幅寸法よりも大きいような場合でも、窓板弾接部A1を窓板107に押し付ける強さを調整することでその幅寸法を調整でき、従って窓板弾接部A1とは反対側の枠側端部A2をグレイジングチャンネル109の表面117の端部B1に容易に一致させることも可能になる。これによってグレイジングチャンネル109の表面117の端部B1から枠側端部A2が枠105上に大きくはみ出ることを防止でき、見栄えが良くなるばかりか、枠側端部A2がはみ出ることによってサッシ窓103,103の開閉がスムーズでなくなることを確実に防止できる。
【0032】
これによって、グレイジングチャンネル109の表面117が、カビなどによって見栄えが悪くなっていても、グレイジングチャンネル保護部材1によってこれを覆うことで、その見栄えを良くすることができる。またカビからの胞子の飛散を防止することができ、カビアレルギーの発生等の環境の悪化を防止することができる。またデザイン用シート19を用いることで、グレイジングチャンネル保護部材1を容易に装飾することができ、サッシ窓103の見栄えをさらに良くすることができる。またデザイン用シート19を紙素材としたので、印刷などを容易に行うことができ、吸水性も容易に持たせることができる。
【0033】
また、グレイジングチャンネル109の表面117をグレイジングチャンネル保護部材1で覆うので、
図4に示すように、窓板107に生じた結露による水滴K1が、窓板107の表面を伝って下降してきてグレイジングチャンネル109の表面117に付着しようとしても、その上に弾接しているグレイジングチャンネル保護部材1の窓板弾接部A1によって当該付着が阻止される。このとき上述のように窓板弾接部A1はその厚みが厚く弾性変形し易く圧接面積を大きくすることができるので、水滴K1の窓板107からの下降阻止能力は大きい。このため当該水滴K1は、グレイジングチャンネル保護部材1の撥水層15の上を伝って枠105上に移動する。従って、グレイジングチャンネル109の表面117でのカビの発生や繁殖を効果的に防止または抑制することができる。
【0034】
またグレイジングチャンネル保護部材1の表面には撥水層15が形成されているので、水滴K1の本体部11内への浸入を制限することができ、本体部11内においてのカビの発生を防止することができる。また撥水層15の表面に付着した汚れは容易に拭き取ることができる。
【0035】
また窓板107に結露した水滴K1が、たとえ当該窓板107と撥水層15の間を通過したとしても、その下に圧接されている吸水性を有する本体部11において吸水される。これによってもグレイジングチャンネル109の表面117でのカビの発生を防止できる。また一旦本体部11を構成する弾性部材17とデザイン用シート19に吸水した水分は、その後容易に蒸発する。
【0036】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、本発明は、引き戸のグレイジングチャンネルに限られず、固定されたサッシ窓のグレイジングチャンネルにも同様に適用できる。上記実施形態ではグレイジングチャンネル保護部材の横断面形状を、グレイジングチャンネルの表面の円弧状の横断面形状に合わせて円弧状に形成したが、直線等の他の各種形状であっても良い。またデザイン用シートは、紙素材の代わりに樹脂製シートによって構成しても良いし、色彩も単色でも良い。また上記実施形態では、本体部の上面に撥水層を設けたが、場合によっては(例えば結露の少ないような場所の場合など)、撥水層はこれを省略しても良い。また上記実施形態では、窓板に当接する側の端辺の厚みと、その反対側の端辺の厚みとを異ならせたが、場合によっては(例えば結露の少ないような場所の場合など)、同一の厚み、さらには逆の厚みとしても良い。
【0037】
また、上記記載及び各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、上記記載及び各図の記載内容は、その一部であっても、それぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は上記記載及び各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0038】
1 グレイジングチャンネル保護部材
11 本体部
13 接着層
15 撥水層
17 弾性部材
19 デザイン用シート(シート)
A1 窓板弾接部(窓板に当接する側の端辺)
A2 枠側端部(反対側の端辺)
100 窓
101 窓枠
103 サッシ窓(障子)
105 枠
107 窓板
109 グレイジングチャンネル
117 表面
【手続補正書】
【提出日】2022-12-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明は、サッシ窓を構成する枠と窓板の間に介在するグレイジングチャンネルの露出している表面に取り付けられるグレイジングチャンネル保護部材であって、前記グレイジングチャンネルの幅と同等の幅を有するテープ状の本体部と、前記本体部の一方の面に形成され、前記グレイジングチャンネルの表面に接着される接着層と、前記本体部の他方の面に形成される撥水層と、を有し、前記本体部は、吸水性を有する弾性部材の表面を、吸水性を有するシートで覆う構造であることを特徴としている。
本発明によれば、グレイジングチャンネルの表面を、グレイジングチャンネル保護部材で覆うことができるので、窓板に生じた結露が、グレイジングチャンネルの表面に付着することを効果的に防止することができる。これによってグレイジングチャンネル表面にカビが繁殖することを防止できる。
またグレイジングチャンネル保護部材を取り付ける前のグレイジングチャンネルの表面に、既にカビが発生していた場合、グレイジングチャンネル保護部材をグレイジングチャンネルの表面に取り付けることで、当該カビを隠すことができ、これによってグレイジングチャンネルの表面の見栄えを良くすることができる。また当該カビから胞子などが飛び散ることを防止でき、カビアレルギーの発生等の環境の悪化を防止することができる。
またその表面に撥水層を有するので、窓板表面などで結露した水滴の本体部内への浸入を抑制することができ、本体部内においてのカビの発生を防止することができる。また撥水層の表面は滑らかに形成できるので、その表面に付着した汚れを容易に除去することができる。
また本発明によれば、窓板に発生した結露が例えグレイジングチャンネル保護部材に浸入しても、本体部において吸水でき、これによってグレイジングチャンネルの表面でのカビの発生を防止できる。このため、グレイジングチャンネル保護部材を取り換えるだけで、容易にカビの発生を防止できる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また本発明は、サッシ窓を構成する枠と窓板の間に介在するグレイジングチャンネルの露出している表面に取り付けられるグレイジングチャンネル保護部材であって、前記グレイジングチャンネルの幅と同等の幅を有するテープ状の本体部と、前記本体部の一方の面に形成され、前記グレイジングチャンネルの表面に接着される接着層と、を有し、前記本体部は、吸水性を有する弾性部材の表面を、吸水性を有するシートで覆う構造であり、さらに前記本体部の窓板に当接する側の端辺を、その反対側の端辺の厚みよりも厚く形成してなる窓板弾接部としたことを特徴としている。
本発明によれば、グレイジングチャンネルの表面を、グレイジングチャンネル保護部材で覆うことができるので、窓板に生じた結露が、グレイジングチャンネルの表面に付着することを効果的に防止することができる。これによってグレイジングチャンネル表面にカビが繁殖することを防止できる。
またグレイジングチャンネル保護部材を取り付ける前のグレイジングチャンネルの表面に、既にカビが発生していた場合、グレイジングチャンネル保護部材をグレイジングチャンネルの表面に取り付けることで、当該カビを隠すことができ、これによってグレイジングチャンネルの表面の見栄えを良くすることができる。また当該カビから胞子などが飛び散ることを防止でき、カビアレルギーの発生等の環境の悪化を防止することができる。
また窓板弾接部を窓板に押し付けることで、グレイジングチャンネル保護部材を容易に窓板に圧接することができる。このとき窓板弾接部はその厚みが厚いので、弾性変形し易く、上記圧接面積を大きくすることができる。これらのことから、窓板表面などで結露した水滴が窓板弾接部と窓板の圧接部分を通ってその下側に浸入していくことを確実に防止することができる。
また窓板弾接部はその厚みが厚くて弾性変形し易いので、このグレイジングチャンネル保護部材の幅寸法が、グレイジングチャンネルの表面の幅寸法よりも大きいような場合であっても、窓板弾接部を窓板に押し付ける強さを調整することでその幅寸法を調整でき、前記窓板弾接部とは反対側の端辺をグレイジングチャンネル表面の端辺に容易に一致させることも可能になる。
また本発明によれば、窓板に発生した結露が例えグレイジングチャンネル保護部材に浸入しても、本体部において吸水でき、これによってグレイジングチャンネルの表面でのカビの発生を防止できる。このため、グレイジングチャンネル保護部材を取り換えるだけで、容易にカビの発生を防止できる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシ窓を構成する枠と窓板の間に介在するグレイジングチャンネルの露出している表面に取り付けられるグレイジングチャンネル保護部材であって、
前記グレイジングチャンネルの幅と同等の幅を有するテープ状の本体部と、
前記本体部の一方の面に形成され、前記グレイジングチャンネルの表面に接着される接着層と、
前記本体部の他方の面に形成される撥水層と、
を有し、
前記本体部は、吸水性を有する弾性部材の表面を、吸水性を有するシートで覆う構造であることを特徴とするグレイジングチャンネル保護部材。
【請求項2】
請求項1に記載のグレイジングチャンネル保護部材であって、
前記窓板に当接する側の端辺を、その反対側の端辺の厚みよりも厚く形成してなる窓板弾接部としたことを特徴とするグレイジングチャンネル保護部材。
【請求項3】
サッシ窓を構成する枠と窓板の間に介在するグレイジングチャンネルの露出している表面に取り付けられるグレイジングチャンネル保護部材であって、
前記グレイジングチャンネルの幅と同等の幅を有するテープ状の本体部と、
前記本体部の一方の面に形成され、前記グレイジングチャンネルの表面に接着される接着層と、を有し、
前記本体部は、吸水性を有する弾性部材の表面を、吸水性を有するシートで覆う構造であり、
さらに前記本体部の窓板に当接する側の端辺を、その反対側の端辺の厚みよりも厚く形成してなる窓板弾接部としたことを特徴とするグレイジングチャンネル保護部材。
【請求項4】
請求項1又は3に記載のグレイジングチャンネル保護部材であって、
前記弾性部材は、スポンジ状部材によって構成されており、
前記シートは、紙素材によって構成されていることを特徴とするグレイジングチャンネル保護部材。