(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073325
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】井戸ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 23/02 20060101AFI20240522BHJP
【FI】
F04B23/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184464
(22)【出願日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000176383
【氏名又は名称】三相電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003801
【氏名又は名称】KEY弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木戸 康二
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 智矢
(72)【発明者】
【氏名】舩原 一馬
【テーマコード(参考)】
3H071
【Fターム(参考)】
3H071AA02
3H071CC32
3H071CC35
3H071CC36
3H071CC37
3H071DD84
(57)【要約】
【課題】制御装置をメンテナンスする際の作業性を向上させることができる井戸ポンプを提供する。
【解決手段】井戸ポンプ1は、ベース2と、ポンプ部3と、ポンプ部3を駆動するモータ部4と、水の圧力を蓄圧する圧力タンク6と、水の圧力を検知する圧力検知部7と、水の流量を検知する流量検知部8と、圧力検知部7および流量検知部8からそれぞれ入力された信号に基づいてモータ部4を制御する制御装置10と、を備える。制御装置10は、上方から視てその一部または全部が圧力検知部7、流量検知部8または圧力タンク6の下方に隠れる位置に配置され、スライド機構100を介してベース2に取り付けられている。そして、スライド機構100は、制御装置10をベース2の上面2uに沿った方向にスライドさせることが可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、前記ベースに取り付けられたポンプ部と、前記ベースに取り付けられ前記ポンプ部を駆動するモータ部と、前記ポンプ部から圧送された水の圧力を蓄圧する圧力タンクと、前記ポンプ部から圧送された水の圧力を検知する圧力検知部と、前記ポンプ部から圧送された水の流量を検知する流量検知部と、前記圧力検知部および前記流量検知部からそれぞれ入力された信号に基づいて前記モータ部を制御する制御装置と、を備える井戸ポンプであって、
前記制御装置は、上方から視てその一部または全部が前記圧力検知部、前記流量検知部または前記圧力タンクの下方に隠れる位置に配置され、スライド機構を介して前記ベースに取り付けられており、
前記スライド機構は、前記制御装置を前記ベースの上面に沿った方向にスライドさせることが可能である、
ことを特徴とする井戸ポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の井戸ポンプであって、
前記スライド機構は、
前記ベースに取り付けられた支持台と、
前記ベースの上面に沿った方向にスライド可能に前記支持台に載置され、上面に前記制御装置が取り付けられたテーブル板と、
を有する、
ことを特徴とする井戸ポンプ。
【請求項3】
請求項2に記載の井戸ポンプであって、
前記支持台は、
前記ベースに取り付けられ、上面が前記ベースの上面に沿った方向に延在する本体部と、
前記本体部との間に前記テーブル板を介装可能なガイド部と、
を有する、
ことを特徴とする井戸ポンプ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の井戸ポンプであって、
前記ベースは、上方から視て略矩形に形成された縁部を有し、
前記スライド機構は、前記制御装置を、当該制御装置の全体が上方から視て前記ベースの縁部の内側に配される格納位置と、当該制御装置の一部または全部が上方から視て前記ベースの縁部から外に出る位置に配される点検位置との間でスライドさせることが可能であり、
前記スライド機構は、前記縁部に含まれる四辺部のうち、前記格納位置にある前記制御装置と最も近い辺部の上を通過するように前記制御装置をスライドさせることが可能である、
ことを特徴とする井戸ポンプ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の井戸ポンプであって、
前記スライド機構は、上方から視て前記制御装置の短手方向に前記制御装置をスライドさせることが可能である、
ことを特徴とする井戸ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、井戸ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示された給水ポンプ装置のように、ポンプ部(特許文献1では「給水ポンプ1」と称されている。)と、ポンプ部を駆動するモータ部(特許文献1では明示されていない。)と、圧力タンク(特許文献1では「アキュムレータ2」と称されている。)とを備える井戸ポンプが知られている。井戸ポンプは、狭い場所に設置されることが多い。このため、特許文献1に示された給水ポンプ装置では、圧力タンク等の補器類をポンプ部およびモータ部に対して高さ方向にずらして配置して、設置面積を低減させている。
【0003】
また、特許文献1では明示されていないが、一般的な井戸ポンプは、モータ部を制御する制御装置を備えている。制御装置は、ポンプ部が圧送する水の流量および圧力に応じて、モータ部を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、圧力タンク等の補器類のメンテナンス頻度に比して、制御装置のメンテナンス頻度が低いことと、多くの井戸ポンプの設置面積が小さいことから、制御装置は補器類の下方に設置することが望ましい場合がある。
【0006】
また、井戸ポンプは、特許文献1の箱体(3)のような全体を覆うカバーを備えているので、熱が上部に籠もりやすい。このため、熱に弱い制御装置は、なるべく下方に設置することが望ましい。
【0007】
本願の発明者らは、ベースと、前記ベースに取り付けられたポンプ部と、前記ベースに取り付けられ前記ポンプ部を駆動するモータ部と、前記ポンプ部から圧送された水の圧力を蓄圧する圧力タンクと、前記ポンプ部から圧送された水の圧力を検知する圧力検知部と、前記ポンプ部から圧送された水の流量を検知する流量検知部と、前記圧力検知部および前記流量検知部からそれぞれ入力された信号に基づいて前記モータ部を制御する制御装置と、を備える井戸ポンプであって、前記制御装置は、上方から視てその一部または全部が前記圧力検知部、前記流量検知部または前記圧力タンクの下方に隠れる位置に配置される、井戸ポンプを研究開発している。
【0008】
この井戸ポンプによれば、制御装置の上方にメンテナンス頻度の高い補器類が配置されるので、メンテナンス性が向上する。また、この井戸ポンプによれば、熱に弱い制御装置が補器類の下方に配置されるので、制御装置を熱影響から保護することができるとともに、井戸ポンプの設置面積を低減させることができる。
【0009】
しかし、この井戸ポンプによれば、制御装置のメンテナンス頻度が補器類のメンテナンス頻度よりも低いとは言え、上方から視て制御装置の一部または全部が補器類の下方に隠れているので、制御装置をメンテナンスする際の作業性が悪くなる場合がある。例えば、井戸ポンプが家屋に挟まれた狭小地に設置されている場合のように、制御装置を井戸ポンプの側方ないし斜め側方から視ることが困難な場合には、メンテナンス作業員は、制御装置にアクセスしづらくなる。その結果、制御装置をメンテナンスする際の作業性が悪くなる。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、制御装置をメンテナンスする際の作業性を向上させることができる井戸ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様に係る井戸ポンプは、ベースと、前記ベースに取り付けられたポンプ部と、前記ベースに取り付けられ前記ポンプ部を駆動するモータ部と、前記ポンプ部から圧送された水の圧力を蓄圧する圧力タンクと、前記ポンプ部から圧送された水の圧力を検知する圧力検知部と、前記ポンプ部から圧送された水の流量を検知する流量検知部と、前記圧力検知部および前記流量検知部からそれぞれ入力された信号に基づいて前記モータ部を制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、上方から視てその一部または全部が前記圧力検知部、前記流量検知部または前記圧力タンクの下方に隠れる位置に配置され、スライド機構を介して前記ベースに取り付けられている。そして、前記スライド機構は、前記制御装置を前記ベースの上面に沿った方向にスライドさせることが可能である。
【0012】
かかる構成を備える井戸ポンプにおいては、制御装置は、上方から視てその一部または全部が補器類である圧力検知部、流量検知部または圧力タンクの下方に隠れる位置に配置されるものの、当該制御装置をベースの上面に沿った方向にスライドさせることが可能なスライド機構を介して前記ベースに取り付けられている。このため、制御装置は、上方から視てその一部または全部が補器類に隠れる位置から、メンテナンス作業員がアクセス可能な位置までスライドすることができる。したがって、かかる構成を備える井戸ポンプによれば、制御装置をメンテナンスする際の作業性を向上させることができる。
【0013】
本発明の第2の態様に係る井戸ポンプは、第1の態様に係る井戸ポンプであって、前記スライド機構は、前記ベースに取り付けられた支持台と、前記ベースの上面に沿った方向にスライド可能に前記支持台に載置され、上面に前記制御装置が取り付けられたテーブル板と、を有する。
【0014】
本発明の第3の態様に係る井戸ポンプは、第2の態様に係る井戸ポンプであって、前記支持台は、前記ベースに取り付けられ、上面が前記ベースの上面に沿った方向に延在する本体部と、前記本体部との間に前記テーブル板を介装可能なガイド部と、を有する。
【0015】
本発明の第4の態様に係る井戸ポンプは、第1の態様ないし第3の態様のいずれかに係る井戸ポンプであって、前記ベースは、上方から視て略矩形に形成された縁部を有し、前記スライド機構は、前記制御装置を、当該制御装置の全体が上方から視て前記ベースの縁部の内側に配される格納位置と、当該制御装置の一部または全部が上方から視て前記ベースの縁部から外に出る位置に配される点検位置との間でスライドさせることが可能である。そして、前記スライド機構は、前記縁部に含まれる四辺部のうち、前記格納位置にある前記制御装置と最も近い辺部の上を通過するように前記制御装置をスライドさせることが可能である。
【0016】
本発明の第5の態様に係る井戸ポンプは、第1の態様ないし第3の態様のいずれかに係る井戸ポンプであって、前記スライド機構は、上方から視て前記制御装置の短手方向に前記制御装置をスライドさせることが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、制御装置をメンテナンスする際の作業性を向上させることができる井戸ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る井戸ポンプを示した正面図であり、スライド機構により制御装置が側方にスライドする様子を示した図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る井戸ポンプを示した平面図であり、スライド機構により制御装置が側方にスライドする様子を示した図である。なお、
図2は、制御装置のカバー部が外された状態で図示されている。
【
図3】本発明の実施形態に係る井戸ポンプの制御装置を示した斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る井戸ポンプの制御装置の本体部を示した右側面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る井戸ポンプの制御装置の本体部を示した平面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る井戸ポンプのスライド機構を示した斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る井戸ポンプの制御装置(外形線のみで図示)およびスライド機構を示した右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る井戸ポンプについて、図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書において、井戸ポンプの正面とは、ポンプ部の吸込口を正面とするものとし、方向は、井戸ポンプの正面を基準として定義するものとする。
【0020】
<実施形態>
本実施形態に係る井戸ポンプ1は、深井戸用のポンプ装置である。井戸ポンプ1は、
図1および
図2に示すように、ベース2、ポンプ部3、モータ部4、配管5、圧力タンク6、圧力検知部7、流量検知部8、カバー9、制御装置10、圧力管(不図示)、吸込管(不図示)、ジェット部(不図示)等により構成されている。なお、カバー9については、
図1では仮想線で図示し、
図2では、カバー9を取り外した状態で図示している。
【0021】
ベース2は、井戸ポンプ1の底部において、台座として機能する。ベース2は、本実施形態では、上方から視て略四角形の形状を有し、四辺に相当する4つの辺部を有する。また、ベース2は、上面2uを有する。
【0022】
カバー9は、
図1に示すように、井戸ポンプ1のベース2上の構成要素を覆う。これにより、カバー9は、風雨から井戸ポンプ1を守る。
【0023】
ジェット部は、図示されていない井戸の内部であって、井戸の中の水面より下方に配置されている。圧力管は、ポンプ部3の圧送口3aに一端が接続され、他端がジェット部に接続されている。吸込管は、ポンプ部3の吸込口3bに一端が接続され、他端がジェット部に接続されている。
【0024】
ポンプ部3は、圧送口3aからジェット水流を圧力管を通して井戸(不図示)の内部に配置されたジェット部に圧送する。同時に、ポンプ部3は、ジェット部においてジェット水流とともに吸い上げた井戸水を吸込管を通して吸込口3bから吸い込む。そして、ポンプ部3は、吸い込んだ水の一部を配管5に圧送する。ポンプ部3は、ベース2の上面2uに取り付けられている。ポンプ部3には、ポンプ部3の温度を検知するサーモスタット31と、ポンプ部3を温めるヒータ32とが取り付けられている。
【0025】
モータ部4は、ポンプ部3を駆動する。本実施形態では、モータ部4は、電動モータである。モータ部4は、ベース2の上面2uに取り付けられている。モータ部4に繋がる導線は、図示されていないが、制御装置10の後述する第1端子22aに接続されている。
【0026】
配管5は、ポンプ部3から延出して、井戸ポンプ1の上側を経由して、
図1の右方すなわち側方に向いた吐出口5aにまで延びている。これにより、配管5は、ポンプ部3が圧送した水を吐出口5aから吐出することができる。
【0027】
圧力タンク6は、ポンプ部3から圧送された水の圧力を蓄圧する。圧力タンク6は、本実施形態では、アキュムレータである。圧力タンク6は、ポンプ部3と吐出口5aとの間おいて配管5に設けられている。圧力タンク6は、井戸ポンプ1の補器類の1つである。
【0028】
圧力検知部7は、ポンプ部3から圧送された水の圧力を検知する。圧力検知部7は、本実施形態では、圧力スイッチである。圧力検知部7に繋がる導線は、図示されていないが、制御装置10の後述する第2端子22bに接続されている。これにより、圧力検知部7は、検知した水の圧力を示す信号を制御装置10に入力する。圧力検知部7は、ポンプ部3と圧力タンク6との間において配管5に設けられている。圧力検知部7は、井戸ポンプ1の補器類の1つである。
【0029】
流量検知部8は、ポンプ部3から圧送された水の流量を検知する。流量検知部8は、本実施形態では、磁気近接スイッチである。流量検知部8に繋がる導線は、図示されていないが、制御装置10の後述する第2端子22bに接続されている。これにより、流量検知部8は、検知した水の流量を示す信号を制御装置10に入力する。流量検知部8は、圧力検知部7と圧力タンク6との間において配管5に設けられている。流量検知部8は、井戸ポンプ1の補器類の1つである。
【0030】
制御装置10は、圧力検知部7および流量検知部8からそれぞれ入力された信号に基づいてモータ部4を制御する。制御装置10は、例えば、流量検知部8が検知した流量の値が0を超えており、圧力検知部7が検知した圧力の値が所定の値を下回ると、モータ部4を稼働させるように、モータ部4を制御する。また、制御装置10は、例えば、流量検知部8が検知した流量の値が0であり、圧力検知部7が検知した圧力の値が所定の値を上回ると、モータ部4を停止させるように、モータ部4を制御する。また、制御装置10は、サーモスタット31からの信号に基づいてヒータ32を発熱させまたは停止させ、ポンプ部3の温度を所定の範囲の値となるように制御する。
【0031】
制御装置10は、スライド機構100を介してベース2に取り付けられている。スライド機構100は、制御装置10を格納位置Aと点検位置Bとの間でベース2の上面2uに沿った方向にスライドさせることができるように構成されている。制御装置10は、格納位置Aにあるとき、上方から視て圧力検知部7、流量検知部8または圧力タンク6の下方に一部または全部が隠れる位置に配置される。より具体的には、制御装置10は、ポンプ部3および配管5より後方であって、モータ部4の側方に配置されている。さらに、制御装置10は、格納位置Aにあるとき、圧力タンク6の下方に配置される。このとき、制御装置10は、上方から視て、圧力タンク6の下方に略全部が隠れる位置に配置される。このように、制御装置10が格納位置Aにあるとき、井戸ポンプ1全体はコンパクトな形態を成すものの、制御装置10は、上方から視てメンテナンス作業員がアクセスしづらい位置に配置されていることとなる。
【0032】
制御装置10は、
図3に示すように、上方から視て、略長方形の形状をなしている。すなわち、制御装置10は、上方から視て、長手の2辺と、短手の2辺とを有する。
【0033】
制御装置10は、本体部20とカバー部40とを有する。本体部20は、
図4に示すように、制御基板22と、筐体部24と、脚部26と、を有する。筐体部24は、制御基板22を内包している。脚部26は、筐体部24を支えている。カバー部40は、制御基板22に虫等の異物が進入しないように、制御基板22および筐体部24を覆う。
【0034】
制御基板22は、
図4および
図5に示すように、上方に向いた第1端子22aと、側方に向いた第2端子22bと、を有する。第1端子22aには、電源プラグに繋がる導線、モータ部4に繋がる導線、および、サーモスタット31に繋がる導線がそれぞれ接続されている。第2端子22bには、ヒータ32に繋がる導線、圧力検知部7に繋がる導線、および、流量検知部8に繋がる導線がそれぞれ接続されている。
【0035】
スライド機構100は、制御装置10がベース2の上面2uに沿った方向にスライド可能であるように構成されている。スライド機構100は、
図1および
図2に示すように、制御装置10を格納位置Aと点検位置Bとの間でスライドさせることができる。格納位置Aは、制御装置10の全体が上方から視てベース2の縁部の内側に配される位置である。点検位置Bは、制御装置10の一部または全部が上方から視てベース2の縁部から外に出るように配される位置である。また、スライド機構100は、制御装置10の短手方向に制御装置10をスライドさせることが可能である。
【0036】
スライド機構100は、制御装置10を上記のようにスライドさせるために、
図1および
図6に示すように、支持台120と、テーブル板150と、を有する。支持台120は、ベース2に取り付けられている。テーブル板150は、ベース2の上面2uに沿った方向にスライド可能に支持台120に載置されている。テーブル板150の上面に制御装置10の脚部26が取り付けられている。なお、
図6では、ベース2は模式的に示されている。
【0037】
支持台120は、
図6に示すように、本体部130と、一対のガイド部140と、を有する。本体部130は、ベース2に取り付けられ、上面がベース2の上面2uに沿った方向に延在する。一対のガイド部140は、その上端部と本体部130との間にテーブル板150を介装可能となっている。
【0038】
本体部130は、天板部132と、2つの脚部134と、を有する。天板部132は、ベース2の上面2uに沿った方向に延在する。2つの脚部134は、天板部132の前端部および後端部からそれぞれ下方に延出しベース2に接合されている。
【0039】
天板部132には、制御装置10のスライド方向一方側、本実施の形態では
図1および
図2の右側から下方に垂れるように延出する下垂部133が設けられている。下垂部133には、側方に開口した雌ネジ孔133hが形成されている。雌ネジ孔133hには、後述する固定用蝶ボルト180が螺入される。
【0040】
また、天板部132には、下垂部133が設けられている側と反対側の端部から、下垂部133が設けられている側に向かって切り欠いて形成され上下方向に貫通するスリット132sが形成されている。スリット132sには、後述する抜止用蝶ボルト190の軸部を挿入可能となっている。
【0041】
また、天板部132には、制御装置10のスライド方向に並ぶように、本実施形態では前後二列に側方に向かって並ぶように複数のリベット132rが設けられている。複数のリベット132rは、本体部130の天板部132の上面上でスライドするテーブル板150が天板部132の上面に接触することがないよう、その頭部がテーブル板150の下面に接触することで、テーブル板150が摺動することを可能とする。
【0042】
2つの脚部134は、ベース2の複数の辺部のうちの最も近い辺部近傍すなわち
図1および
図2の右側の辺部近傍において、当該辺部と所定の距離をおいて、ベース2に接合されている。
【0043】
一対のガイド部140は、断面が逆L字状のアングル材を用いてそれぞれ構成されている。一対のガイド部140は、天板部132を挟むように、脚部134にそれぞれ固定されている。一対のガイド部140は、一対の脚部134のそれぞれから上方に向けて延出し、天板部132の中心に向かって折れ曲がるように形成されている。これにより、一対のガイド部140の上端部と、本体部130の天板部132との間には、所定の間隔を有する隙間が形成され、この隙間にテーブル板150が介装可能となっている。
【0044】
テーブル板150は、
図6に示すように、板部160と、一対の壁部170と、を有する。板部160は、ベース2の上面2uに沿った方向に延在する。一対の壁部170は、板部160の前後の両端部から上方に延出する。
【0045】
板部160には、制御装置10のスライド方向一方側、本実施の形態では
図1および
図2の右側、から下方に垂れるように延出する下垂部163が設けられている。下垂部163は、支持台120にテーブル板150が載置された状態で、側方から視て、支持台120の下垂部133に重なる位置に設けられている。
【0046】
下垂部163には、側方に開口した貫通孔163hが形成されている。貫通孔163hは、支持台120にテーブル板150が載置された状態で、側方から視て、支持台120の下垂部133に形成されている雌ネジ孔133hに重なる位置に形成されている。貫通孔163hには、後述する固定用蝶ボルト180の軸部を挿入可能となっている。
【0047】
また、板部160には、下垂部163が設けられている側と反対側の端部近傍に、上下方向に貫通する雌ネジ孔160hが形成されている。雌ネジ孔160hは、支持台120にテーブル板150が載置された状態で、上方から視て、支持台120の天板部132に形成されているスリット132sに重なる位置に形成されている。雌ネジ孔160hには、後述する抜止用蝶ボルト190が螺入される。
【0048】
また、板部160には、図示されていないが、制御装置10の脚部26が取付可能となっている。
【0049】
図7に示すように、一対のガイド部140同士の間に、かつ、一対のガイド部140の上端部と天板部132との間に、テーブル板150が介装されることにより、テーブル板150が本体部130の天板部132の上面上で側方にスライドすることが可能となっている。すなわち、一対のガイド部140および本体部130により、テーブル板150が支持台120に対して側方にスライド可能となっている。
【0050】
制御装置10が取り付けられたテーブル板150が支持台120に対して側方にスライドすることにより、制御装置10がベース2の上面2uに沿った方向にスライドすることとなる。
【0051】
また、制御装置10は、スライド機構100により、側方にスライドすることにより、
図1および
図2に示すように、ベース2の複数の辺部のうちの最も近い辺部の上方を通過するようにスライドすることとなる。すなわち、スライド機構100は、格納位置Aにある制御装置10がベース2の複数の辺部のうちの最も近い辺部の上方を通過するようにスライド可能であるように構成されている。
【0052】
さらに、スライド機構100は、制御装置10のスライドが制限されるように構成されている。具体的には、スライド機構100は、固定用蝶ボルト180と抜止用蝶ボルト190とを更に有する。
【0053】
固定用蝶ボルト180は、
図7に示すように、支持台120の下垂部133に形成された雌ネジ孔133hと、テーブル板150の下垂部163に形成された貫通孔163hとが側方に重なった状態で、貫通孔163hに挿通され雌ネジ孔133hに螺入されることによって、テーブル板150を支持台120に固定する。
【0054】
図7において、テーブル板150が支持台120に載置されている状態において、
図7には図示されていないが、支持台120に形成されたスリット132sと、テーブル板150に形成された雌ネジ孔160hとが上下方向に重なった状態となっている。このとき、抜止用蝶ボルト190は、雌ネジ孔160hに螺入されスリット132sに軸部が挿入されることで、テーブル板150の支持台120に対する側方へのスライドの可動範囲を制限する。すなわち、テーブル板150が側方にスライドしていくと、抜止用蝶ボルト190の軸部がスリット132sの中で移動することとなるが、スリット132sの長さ分移動すると、スリット132sの端部を形成する支持台120の天板部132の端面に当該軸部が当たって、それ以上テーブル板150がスライドすることが制限される。
【0055】
次に、メンテナンス作業員が井戸ポンプ1の制御装置10をメンテナンスする際に、メンテナンス作業員が、制御装置10をスライドさせて、制御装置10にアクセス可能となるまでの作業工程を、
図1および
図2を用いて説明する。
【0056】
図1および
図2は、井戸ポンプ1においてスライド前後の制御装置10を示した図である。なお、制御装置10をメンテナンスするに際して、
図1および
図2の前の状態において、井戸ポンプ1のカバー9を外しておく必要がある。
【0057】
第1の工程として、メンテナンス作業員は、制御装置10のスライド機構100によるスライドを制限している固定用蝶ボルト180を取り外す。これにより、テーブル板150は、支持台120に対してスライド可能となる。すなわち、制御装置10は、スライド機構100により、ベース2の上面2uに沿った方向である側方にスライド可能となる。
【0058】
第2の工程として、メンテナンス作業員は、制御装置10を側方にスライドさせる。これにより、メンテナンス作業員は、制御装置10に上方からアクセス可能となる。
【0059】
<作用効果>
以上に説明した本実施形態に係る井戸ポンプ1において、格納位置Aにある制御装置10は、上方から視て補器類である圧力タンク6の下方に略全部が隠れている。しかし、本実施形態に係る井戸ポンプ1によれば、当該制御装置10は、スライド機構100を介してベース2に取り付けられているので、上方から視て制御装置10の略全部が補器類に隠れる格納位置Aから、上方から視てメンテナンス作業員がアクセス可能な点検位置Bまでスライドすることができる。したがって、井戸ポンプ1によれば、制御装置10をメンテナンスする際の作業性を向上させることができる。
【0060】
また、井戸ポンプ1において、スライド機構100は、ベース2に取り付けられた支持台120と、ベース2の上面2uに沿った方向にスライド可能に支持台120に載置され、上面に制御装置10が取り付けられたテーブル板150と、を有する。これにより、
図1に示すように、制御装置10をベース2近傍に配置しながらもベース2より支持台120の高さ分だけ高い位置に配置することができる。したがって、井戸ポンプ1によれば、例えば洪水等で、井戸ポンプ1の周りが水に浸かっても、制御装置10を浸水から守ることができる。
【0061】
また、井戸ポンプ1において、支持台120は、ベース2に取り付けられ、上面がベース2の上面2uに沿った方向に延在する本体部130と、本体部130との間にテーブル板150を介装可能なガイド部140と、を有する。これにより、制御装置10が取り付けられたテーブル板150を、ベース2の上面2uに沿った方向にスライド可能にしながら、上下方向には移動が制限された状態にすることができる。
【0062】
また、井戸ポンプ1において、スライド機構100は、ベース2の縁部に含まれる四辺部のうち、格納位置Aにある制御装置10と最も近い辺部の上を通過するように制御装置10をスライドさせることが可能となっている。これにより、制御装置10は、
図1および
図2に示すように、最小の移動距離で、格納位置Aから点検位置Bまでスライドすることができる。
【0063】
また、井戸ポンプ1によれば、スライド機構100は、制御装置10のスライドが制限されるように、固定用蝶ボルト180と抜止用蝶ボルト190とを有するので、メンテナンスの作業者が工具を用いることなく手で直接、スライド機構100におけるスライドの制限を解除し、制御装置10のスライドおよび取外しを行うことができる。
【0064】
<変形例>
井戸ポンプ1は、上記の実施形態では深井戸ポンプであるとして説明を行ったが、浅井戸ポンプであってもよい。
【0065】
また、スライド機構100は、支持台120を必須の構成要素とするものではなく、例えば、ベース2の上面2uにテーブル板150が載置して、ベース2上で制御装置10がスライド可能であるように構成されていてもよい。
【0066】
また、井戸ポンプ1は、制御装置10が上方から視て圧力検知部7または流量検知部8の下方に一部または全部が隠れる位置に配置されているものであってもよい。
【0067】
また、上記の実施形態では、スライド機構100は、制御装置10のスライドが制限されるように、固定用蝶ボルト180と抜止用蝶ボルト190とを有するものであるとして説明を行ったが、固定用蝶ボルト180および抜止用蝶ボルト190の代わりに、それぞれ通常の六角ボルトやネジを用いて構成されているものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、例えば、井戸ポンプに適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 井戸ポンプ
2 ベース
3 ポンプ部
4 モータ部
6 圧力タンク
7 圧力検知部
8 流量検知部
10 制御装置
100 スライド機構
120 支持台
130 支持台の本体部
140 支持台のガイド部
150 テーブル板