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▶ ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイスの特許一覧

特開2024-73361マイクロメカニカルな又は時計のコンポーネントを維持し、センタリングし、及び/又は締め付ける把持具デバイスと、関連締結方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073361
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】マイクロメカニカルな又は時計のコンポーネントを維持し、センタリングし、及び/又は締め付ける把持具デバイスと、関連締結方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20240522BHJP
   B23Q 3/08 20060101ALI20240522BHJP
   B23B 31/20 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
B23Q3/06 303A
B23Q3/08 A
B23B31/20 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023152187
(22)【出願日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】22208083.0
(32)【優先日】2022-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ファム、 パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ドンゼ、 クリストフ
【テーマコード(参考)】
3C016
3C032
【Fターム(参考)】
3C016CA04
3C016CB07
3C016CC02
3C016CE02
3C016DA02
3C032JJ01
3C032JJ18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マイクロメカニカルな又は時計のコンポーネントを維持し、センタリングし、及び/又は締め付ける把持具デバイスに関する。
【解決手段】可動ジョー(2)の少なくとも一部が、コンポーネント(200)の前面支承のための基準面(20)を含み、この把持具デバイス(100)は、締め付けチャンバに真空をもたらす真空生成器(60)を含む。本発明はまた、かかる把持具デバイス(100)の締め付けチャンバにおいてマイクロメカニカルな又は時計のコンポーネント(200)を締結する方法に関する。これによれば、前記コンポーネント(200)が前記基準面(20)に配置され、その後、真空による第1の維持が行われ、その後、可動ジョー(2)の枢動による前記第1の維持のトルクよりも大きなトルクを有する第2の維持が行われる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプによって画定される締め付けチャンバにおいてマイクロメカニカルな又は時計のコンポーネント(200)を維持し、センタリングし、及び/又は締め付ける把持具デバイス(100)であって、
前記クランプは、前記クランプの長手軸に対して径方向に可動な少なくとも一つのジョー(2)を含み、
特徴は、
前記少なくとも一つの可動ジョー(2)が、又は前記クランプが複数のジョーを含む場合には前記可動ジョー(2)の少なくとも一部が、前記コンポーネント(200)の直接の軸方向支承のために配列される基準面(20)を含むことと、前記把持具デバイス(100)が、前記可動ジョー(2)のうちの少なくとも一つに作られた少なくとも一つのチャネル(25)を介して前記締め付けチャンバの中に真空をもたらすように配列される少なくとも一つの真空生成器(60)を含むこととにある、把持具デバイス(100)。
【請求項2】
前記把持具デバイス(100)が、クランプ軸(D)に従って整列されるように、機器及び/又はマニピュレータと協働するべく配列される把持手段(41)を含むプレート(40)と、前記クランプの開又は閉を制御するべく配列される作動具デバイスとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の把持具デバイス(100)。
【請求項3】
前記把持具デバイス(100)が、クランプ軸(D)に従って整列されるように、機器及び/又はマニピュレータと協働するべく配列される把持手段(41)を含むプレート(40)と、前記可動ジョー(2)のいくつかを押圧することによって前記クランプの閉を制御するべく前記クランプ軸(D)まわりに回転リングを含む前記作動具デバイスとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の把持具デバイス(100)。
【請求項4】
前記把持具デバイス(100)が、クランプ軸(D)に従って整列されるように、機器及び/又はマニピュレータと協働するべく配列される把持手段(41)を含むプレート(40)と、弾性支持体上に押圧手段(50)を含む前記作動具デバイスと、前記可動ジョー(2)に含まれて前記クランプを作動させる面を形成する相補面(23)と協働するべく配列される円錐面(32)を含む閉じる又は開くコーン(30)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の把持具デバイス(100)。
【請求項5】
前記把持具デバイス(100)が、前記可動ジョー(2)に作られた少なくとも一つのチャネル(25)を介して前記締め付けチャンバに真空をもたらすべく配列される少なくとも一つの真空生成器(60)を含み、前記少なくとも一つの真空生成器(60)が、少なくとも一つの吹き込みトラック(471、472)を介して空気を吹き込む入口回路と、前記入口における空気の吹き込み中に、前記少なくとも一つのチャネル(25)によって前記締め付けチャンバに伝えられる真空がもたらされる吸引ゾーン(600)との間に位置決めされるベンチュリカートリッジを含むことを特徴とする、請求項1に記載の把持具デバイス(100)。
【請求項6】
前記把持具デバイス(100)が前記真空生成器(60)を含み、前記真空生成器(60)が、一の主要オリフィス(450)に収容されるベンチュリカートリッジと、少なくとも一つの前記吹き込みトラック(471、472)により供給される少なくとも一つの吹き込みチャネル(475)を含む空気循環チャネルを画定する複数の補助オリフィス(460、470)とを含むことを特徴とする、請求項5に記載の把持具デバイス(100)。
【請求項7】
前記プレート(40)が、前記真空生成器(60)、前記ベンチュリカートリッジ、前記主要オリフィス(450)、前記補助オリフィス(460、470)、前記吹き込チャネル(475)、前記少なくとも一つの前記吹き込みトラック(471、472)、及び前記逆止弁(476)を含み、前記トラック及び前記オリフィスが逆止弁(476)又はブッシュによって制限を受けることを特徴とする、請求項2及び6に記載の把持具デバイス(100)。
【請求項8】
請求項1に記載の把持具デバイス(100)の締め付けチャンバにおいてマイクロメカニカルな又は時計のコンポーネント(200)を締結する方法であって、前記コンポーネント(200)が、前記基準面(20)に配置され、前記基準面(20)において、可動ジョー(2)からの真空開口の下のネットワークのオリフィスに直接支承され、その後、真空による第1の維持が行われ、その後、前記可動ジョー(2)の枢動による前記第1の維持のトルクよりも大きなトルクを有する第2の維持が行われる、締結方法。
【請求項9】
ブランクであるコンポーネント(200)が前記可動ジョー(2)において維持され、オペレータ又はロボットマニプレータによる回収前に真空によって維持される機械加工済みコンポーネントが、前記ブランクから切り出される、請求項8に記載の締結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの可動ジョーを含むクランプによって画定される締め付けチャンバにおいてマイクロメカニカルな又は時計のコンポーネントを維持し、センタリングし、及び/又は締め付ける把持具デバイスに関する。
【0002】
本発明はまた、かかる把持具デバイスに含まれる締め付けチャンバにおける、かかるマイクロメカニカル又は時計のコンポーネントの締結方法に関する。
【0003】
本発明は、マイクロメカニクスの分野に関し、製造ステップ中のコンポーネントの位置決め及び締め付け、又は製造ステップ中のツールの位置決め及び締め付けに関する。
【背景技術】
【0004】
製造機器におけるマイクロメカニカルコンポーネント、特に時計コンポーネントの極めて精密な位置決めは常に複雑である。この精密な位置決めは、過度の変形を誘発することのないように、十分な締め付けと折り合いを付ける必要がある。この問題は、完璧な角度インデックス付け(indexing)が必要とされることが多い製造オペレーションにおいて使用されるマイクロツールの位置決め及び維持に対しても同様である。
【0005】
既存の締め付け手段の中でも、クランプを備えるチャックの様々な変形例が知られている。これらのクランプは、コンポーネントを維持するべく弾性又は多関節性である。詳しくは、従来型の締め付け手段の中でも、時計の分野において「Ottet」クランプタイプの締め付けが使用されることが極めて多い。このタイプの締め付けは、弾性変形するクランプセグメントを、一般には、当該セグメントに含まれるナット・ボルトシステムの、ばねのような弾性戻り手段の、この弾性戻り手段上のボール又は同様のベアリングのような押し込み片の、及び円錐状の又は丸まった形状を有するセクターと協働する開くコーン又は閉じるコーンの、軸方向に従う組み合わせられたアクションのもとで開閉することによって、コンポーネントを締め付けることを許容する。これらのセグメントは、締め付け対象のコンポーネントの輪郭に最もよく適合するように、大抵は内側が機械加工されるように与えられ、最大限の精密度を目的として機械における定位置で機械加工され得る。クランプ自体は、加工機械のテーブル上に与えられるのが一般的な自動締め付けデバイスにおいて締め付け/締め付け解除され得るプレート上に取り付けられる。かかるクランプのコーン締め付けの原理は、特許文献1に記載されている。
【0006】
しかしながら、これらのセグメントは、コンポーネントを締め付けるべく枢動する必要があるので、コンポーネントの高さ及び位置を確かにするべく空間に固定される基準支持体が存在しない。換言すれば、このタイプのクランプによってコンポーネントが締め付けられる場合、その位置を精密に軸方向及び径方向の双方で保証することが難しくなる。例えば、コンポーネントが正確に同じ寸法を有しないこと、又は様々なセグメントと締め付けコーンとの間の摩擦が変化することだけでも、クランプに対するコンポーネントの相対位置がわずかに変更される。この問題は、先行するオペレーションよりも局所的な態様での機械加工オペレーションが必要となる修正機械加工にとってかなり重要である。
【0007】
精密な支持が必要とされる場合、一般に、このタイプの標準的な弾性クランプを使用することはもはや不可能である。締め付けの中心で利用可能な空間は、締め付け/締め付け解除の応力を伝える機械的なコンポーネントのために取られているからである。
【0008】
その結果、これらの場合においては一般に、カスタマイズされたソリューションが必要とされ、ひいては柔軟性が低くなり、かさばり、高コストとなる。
【0009】
もう一つの問題は、機械加工オペレーション後に、単独でクランプの中に維持されたままとなる原コンポーネントから切り出された機械加工済みコンポーネントを維持することである。
【0010】
再び留意されるのは、マイクロメカニカルな機械加工のための機械が小型化される傾向により、今日、所望の機能、必要な剛性及び精度すべてを保証するさらにコンパクトな締め付け手段の構築が必要とされているということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第1602426(B1)号明細書
【発明の概要】
【0012】
本発明は、把持具デバイスにおけるマイクロメカニカルな又は時計のコンポーネント又はツールの位置決め及び締め付けを、従来型の機械的締め付けを補完し又はかかる締め付けの代わりとなる真空による維持の当該把持具デバイスへの組み込みによって改善することを意図する。この目的のために、本発明は、請求項1に記載の、マイクロメカニカルな又は時計のコンポーネントを維持し、センタリングし、及び/又は締め付ける把持具デバイスに関する。
【0013】
すなわち本発明は、市販の広く認められた普及モデルの標準的なクランプの修正によって、この問題を解決することができる。このため、本発明によれば、把持具デバイスの製造が極めて経済的になる。さらに、かかる修正は、クランプの外部バルクを修正することがない。
【0014】
クランプに維持されている原コンポーネントから切り出された機械加工済みコンポーネントを維持する問題については、真空維持手段を含むそのような把持具によって解決することができる。しかしながら、標準的なクランプがそのようなシステムを有しない一方、切り出し後にそのような機械加工済みコンポーネントを維持すること、この機械加工済みコンポーネントを維持する力を増加させること、及びこれを定位置に維持することが必要となる。実際のところ、切り出し後、クランプは、原コンポーネントの残り部分を締め付け続け得るので、機械加工済みコンポーネント自体はもはや、クランプが締め付けられていようがいまいが、締め付けられていない。
【0015】
本発明はまた、この問題も解決し、維持対象コンポーネントに真空を与えることができる。これもまた、修正された標準的なクランプに基づく。
【0016】
本発明のもう一つの側面は、かかる把持具デバイスに含まれる締め付けチャンバにおける、かかるマイクロメカニカル又は時計のコンポーネントの締結方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
添付図面を参照して、以下の詳細な説明を読むことで、本発明の目的、利点及び特徴が明確になる。
【0018】
図1】スロットによって分離された複数のジョーを含む市販の弾性クランプに基づいて製造された本発明に係る把持具デバイスを模式的に斜視図で示す。この弾性クランプは、クランプ軸まわりに実質的に同心の締め付けをするタイプであり、このクランプだけは可動ジョーを含む。
図2図1の把持具デバイスを模式的に側面図で示す。
図3図1の把持具デバイスを模式的に上面図で示す。
図4図1の把持具デバイスを、模式的に、図2により画定される切断面A-Aに沿った断面図で示す。プレートにおいて、空気通路としてのチャネルと、真空生成器として作用するベンチュリを収容するチャンバの一部分とが可視である。可動ジョーの上端が、位置決め及び締め付け対象のコンポーネントを支承して締め付けるように配列される。
図5図1の把持具デバイスを、模式的に、図2により画定される切断面B-Bに従う断面図で示す。すべてが作動コーンを含む複数の可動ジョーがすべて可視である。これらの可動ジョーの前端において真空によりコンポーネントを支持する真空回路のチャネルもまた可視である。
図6】ジョーが枢動した後の図1の把持具デバイスを、図3と同様に示す。
図7図1の把持具デバイスを、図6によって画定される切断面E-Eに従う断面図で、図4と同様に示し、可動ジョーと、図面下部において可視のベンチュリによってもたらされる吸引ゾーンと連通する真空回路のチャネルとを示す。
図8】ジョーが枢動した後の図1の把持具デバイスを、図2と同様に示す。
図9図1の把持具デバイスを、図8によって画定される切断面C-Cに従う断面図で、図7と同様に示し、ベンチュリをそのチャネルにおいて示す。
図10図1の把持具デバイスを、図8によって画定される切断面D-Dに従う断面図で示し、ベンチュリをそのチャネルにおいて示すとともに、吹き込み及び排気のための隣接チャネルも示す。
図11図1の把持具デバイスを、図10によって画定される切断面F-Fに従う断面図で示し、2つの吹き込みトラックを有する吹き込みチャネルと、可動ジョーのうちの一つにおける吸引ダクトの一部とを示す。
図12図1から11のうちの一つに係る把持具デバイスを製造するべく使用可能な弾性クランプの基本コンポーネントを、閉じるコーンとともに、模式的に、分解側面図で示す。
図13】他実施形態に係る把持具デバイスを製造するべく使用可能な弾性クランプの基本コンポーネントを、開コーンとともに、模式的に、分解側面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、少なくとも一つの可動ジョー2を含むクランプによって画定される締め付けチャンバにおいてマイクロメカニカルな又は時計のコンポーネント200を維持し、センタリングし、及び/又は締め付ける把持具デバイス100に関する。
【0020】
詳しくは、図により示される非限定的バージョンにおいて、本発明は、クランプ軸Dまわりに分散される実質的に同心の複数のジョーを有するクランプを備えた把持具に関する。しかしながら、以下に説明される本発明の原理は、万力(vice)タイプの他の製造機器にも、又は可動ジョーを有する特別な機器にも適用可能である。
【0021】
図により示される非限定的な代替例において、本発明は、(「Ottet」タイプ又はこれと同様の)市販のクランプの、高度なコンパクト性を備えた真空による維持を加える修正によって達成される。
【0022】
真空による維持により、いくつかのオプション、詳しくは、
・締め付けられている原コンポーネントから機械加工済みコンポーネントを、原コンポーネントの残りがクランプにおいて締め付けられたまま、この機械加工済みコンポーネントを、真空を介してクランプの押し付け部に維持することによって切り出すことと、
支持体に対してコンポーネントを維持する力を増加させることと、
締め付け解除して締め付け解除位置に配置した後のコンポーネントを、例えばオペレータ又はロボットがコンポーネントを載せる/降ろすのを待っている間に定位置に維持することと
が許容される。
【0023】
図示の例は、締め付けベースのような標準的なクランプの使用に関する。「Ottet」クランプ又は同様のタイプの標準的なクランプが経済的に修正されている。
【0024】
この修正されたクランプは、この締め付け手段と交換可能となるように、かつ、この締め付け手段とともに任意のタイプの機械に与えられるように、「Erowa」、「Yerly」、「TG-Colin」等のようなサプライヤによって提案される標準的なインタフェイス41が設けられたプレート40に組み付けられるように与えられる。代替実施形態において、このデバイスはまた、任意のシャフトノーズに直接はめ込まれてよい。
【0025】
コンポーネントの締め付け/締め付け解除は、例えば、機械の外側からねじを使って手動で、又は自動で、そして非限定的な態様では、機械に設けられた制御ロッドを使って、行うことができる。
【0026】
把持具デバイス100はコーン30を含む。コーン30は、図12(閉じるコーン)及び図13(開くコーン)において可視のように、その閉じる/開く形状に従ってクランプの閉開それぞれを許容する要素である。
【0027】
可動ジョー2の作動は、一方において、プレート40を貫通する締め付けねじ90であって、押し込み手段50、詳しくはボール又はシャトル押圧片、を押し込むべく配列された締め付けねじ90を介して動かされる、閉じる又は開く制御コーン30と、他方において、相補的な移り変わる面23、詳しくはクランプに組み入れられる可動ジョー2が含む円錐面、との協働によって行われる。押し込み手段50は、ばねのような軸方向弾性戻り手段51と組み合わされ、このコーンは円錐面32を含む。当然であるが、コーン30の円錐面及びジョーの円錐面は、移り変わる形状を有する他の面に置換してよい。
【0028】
すなわち、本発明によれば、少なくとも一つの可動ジョー2、又はクランプが複数のジョーを含む場合には複数のジョー2の一部が、コンポーネント200の直接前面支承を目的として配列される基準面20を含む。
【0029】
そして、把持具デバイス100は、少なくとも一つの真空生成器60を含む。これは、少なくとも一つの可動ジョー2に作られる少なくとも一つのチャネル25を介して締め付けチャンバの中に真空をもたらすように配列される。
【0030】
詳しくは、把持具デバイス100は、クランプ軸Dに従って整列されるように、機器及び/又はマニピュレータと協働するべく配列される把持手段41を含むプレート40と、クランプの開閉を制御するべく配列される作動具デバイスとを含む。
【0031】
一特定実施形態において、この作動具デバイスは、クランプが含む可動ジョー2を押圧することによってクランプの閉を制御するクランプ軸Dまわりに回転リングを含む。
【0032】
図により示される他の特定実施形態において、把持具デバイス100は、このプレート40を通るクランプ軸Dに従って、又はそのまわりに、弾性支持体上の押圧手段50を作動させる、ねじ、ナット又はプッシュ・プルロッドのような操縦手段90と、可動ジョー2に含まれてクランプを作動させる面を形成する相補面23と協働するように配列される移り変わる面32、詳しくは円錐面、を含む閉じる又は開くコーン30とを含む。
【0033】
詳しくは、把持具デバイス100は、少なくとも一つの可動ジョー2に作られる少なくとも一つのチャネル25を介して締め付けチャンバの中に真空をもたらすように配列される少なくとも一つの真空生成器60を含む。この少なくとも一つの真空生成器60は、詳しくは、ベンチュリカートリッジを含む。ベンチュリカートリッジは、少なくとも一つの吹き込みトラック471、472を介して空気を吹き込むための空気入口回路と、空気出口回路460と、吸引ゾーン600との間に位置決めされる。吸引ゾーン600において、この少なくとも一つのチャネル25によって締め付けチャンバに伝えられる真空が、当該入口における空気の吹き込み中にもたらされる。
【0034】
有利なことに、把持具デバイス100は真空生成器60を含む。真空生成器60は、一の主要オリフィス450に収容されるベンチュリカートリッジと、少なくとも一つの吹き込みトラック471、472により供給される少なくとも一つの吹き込みチャネル475を含む空気循環チャネルを画定する複数の補助オリフィス460、470とを含む。
【0035】
詳しくは、真空生成器60を含むのがプレート40であり、真空生成器60は、一の主要オリフィス450を有するチャネル45に収容されるベンチュリカートリッジと、少なくとも一つの吹き込みトラック471、472により供給される少なくとも一つの吹き込みチャネル475を含む空気循環チャネルを画定する複数の補助オリフィス460、470とを含む。非限定的な特定実施形態において、この少なくとも一つのトラックと、これらのオリフィスとは、逆止弁476及び/又はブッシュによる制限を受ける。
【0036】
他の代替例において、これらのオリフィスのうちいくつかが開のままとされる。
【0037】
図により示される一特定実施形態において、把持具デバイス100は単に、複数の可動ジョー2を含む。
【0038】
直径6mmのハウジングにおいて「FESTO(登録商標)」の「VN-05-H」又は「VN-05-L」タイプのベンチュリを使用すれば、吹き込みトラック471及び472における4バールから6バールの吹き込み圧力により、チャンバにおいて所望の真空度を達成することができる。
【0039】
クランプの締め付け手段について、図は、ねじを、手動締め付け/締め付け解除手段として提示する。しかしながら、プレートの中心を貫通する制御ロッドが機械に装備される場合、この制御ロッドが、十分に強力であれば、自動締め付け/締め付け解除手段としてのねじを置換してよい。
【0040】
本発明はまた、かかる把持具デバイス100の締め付けチャンバにおいてマイクロメカニカルな又は時計のコンポーネント200を締結する方法に関する。これによれば、コンポーネント200が基準面20に配置され、この基準面20において、可動ジョー2からの真空開口の下のネットワークのオリフィスに直接支承され、その後、真空による第1の維持が行われ、その後、可動ジョー2の枢動による第1の維持のトルクよりも大きなトルクを有する第2の維持が行われる。
【0041】
当然であるが、コンポーネント200の位置のインデクス付け、特に角度位置のインデクス付けは、任意の手段によって行うことができる。最も単純かつ最も低コストなのはピンである。一代替例において、例えばノッチのような基準を有する標準化されたブランクを使用して作業する場合、ジョーにおいて一配向を有することが有利となり得る。図示のソリューションにより、機械加工済みコンポーネント200は、例えばひとたび切り出されてしまっても、完成部品を修正する必要があれば、修正することが許容される。
【0042】
詳しくは、把持具デバイス100に少なくとも一つの真空生成器60が設けられ、ブランクであるコンポーネント200が可動ジョー2において維持され、オペレータ又はロボットマニピュレータによる回収前に真空によって維持される機械加工済みコンポーネントがこのブランクから切り出される。
【0043】
つまり、本発明により、コンポーネントの良好な締め付けを保証する把持具デバイスの経済的な作成が許容される。これは、詳しくは、「Ottet」クランプ又は類似のタイプのクランプのような広く認められて普及された標準的な締め付け手段の修正によって行うことができる。
【0044】
本発明によれば、基準支持体により良好な位置決め再現性が許容されるので、機械加工の、詳しくは機械加工修正のための、精密度の向上が得られる。
【0045】
本発明は、様々な機能のために真空を利用する可能性、すなわち、機械加工済みコンポーネントを完全に切り出せる可能性、当該コンポーネントの維持を改善できる可能性、締め付け解除されたクランプによりコンポーネントを維持できる可能性、を提供する。
【0046】
本発明のコンパクト性は、補完的な機能を統合しながらも現行のマイクロ機械の寸法要求をちょうど満たすバルクによって、マイクロメカニクスにおける機械加工手段の小型化傾向に完全に整合する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプによって画定される締め付けチャンバにおいてマイクロメカニカルな又は時計のコンポーネント(200)を維持し、センタリングし、及び/又は締め付ける把持具デバイス(100)であって、
前記クランプは、前記クランプの長手軸に対して径方向に可動な少なくとも一つのジョー(2)を含み、
特徴は、
前記少なくとも一つの可動ジョー(2)が、又は前記クランプが複数のジョーを含む場合には前記可動ジョー(2)の少なくとも一部が、前記コンポーネント(200)の直接の軸方向支承のために配列される基準面(20)を含むことと、前記把持具デバイス(100)が、前記可動ジョー(2)のうちの少なくとも一つに作られた少なくとも一つのチャネル(25)を介して前記締め付けチャンバの中に真空をもたらすように配列される少なくとも一つの真空生成器(60)を含むこととにある、把持具デバイス(100)。
【請求項2】
前記把持具デバイス(100)が、クランプ軸(D)に従って整列されるように、機器及び/又はマニピュレータと協働するべく配列される把持手段(41)を含むプレート(40)と、前記クランプの開又は閉を制御するべく配列される作動具デバイスとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の把持具デバイス(100)。
【請求項3】
前記把持具デバイス(100)が、クランプ軸(D)に従って整列されるように、機器及び/又はマニピュレータと協働するべく配列される把持手段(41)を含むプレート(40)と、前記可動ジョー(2)のいくつかを押圧することによって前記クランプの閉を制御するべく前記クランプ軸(D)まわりに回転リングを含む作動具デバイスとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の把持具デバイス(100)。
【請求項4】
前記把持具デバイス(100)が、クランプ軸(D)に従って整列されるように、機器及び/又はマニピュレータと協働するべく配列される把持手段(41)を含むプレート(40)と、弾性支持体上に押圧手段(50)を含む作動具デバイスと、前記可動ジョー(2)に含まれて前記クランプを作動させる面を形成する相補面(23)と協働するべく配列される円錐面(32)を含む閉じる又は開くコーン(30)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の把持具デバイス(100)。
【請求項5】
前記把持具デバイス(100)が、前記可動ジョー(2)に作られた少なくとも一つのチャネル(25)を介して前記締め付けチャンバに真空をもたらすべく配列される少なくとも一つの真空生成器(60)を含み、前記少なくとも一つの真空生成器(60)が、少なくとも一つの吹き込みトラック(471、472)を介して空気を吹き込む入口回路と、前記入口回路における空気の吹き込み中に、前記少なくとも一つのチャネル(25)によって前記締め付けチャンバに伝えられる真空がもたらされる吸引ゾーン(600)との間に位置決めされるベンチュリカートリッジを含むことを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の把持具デバイス(100)。
【請求項6】
前記把持具デバイス(100)が前記真空生成器(60)を含み、前記真空生成器(60)が、一の主要オリフィス(450)に収容されるベンチュリカートリッジと、前記少なくとも一つの吹き込みトラック(471、472)により供給される少なくとも一つの吹き込みチャネル(475)を含む空気循環チャネルを画定する複数の補助オリフィス(460、470)とを含むことを特徴とする、請求項5に記載の把持具デバイス(100)。
【請求項7】
前記プレート(40)が、前記真空生成器(60)、前記ベンチュリカートリッジ、前記主要オリフィス(450)、前記補助オリフィス(460、470)、前記吹き込チャネル(475)、前記少なくとも一つの吹き込みトラック(471、472)、及び逆止弁(476)を含み、前記少なくとも一つの吹き込みトラック(471、472)並びに前記主要オリフィス(450)及び前記補助オリフィス(460、470)前記逆止弁(476)又はブッシュによって制限を受けることを特徴とする、請求項6に記載の把持具デバイス(100)。
【請求項8】
請求項1に記載の把持具デバイス(100)の締め付けチャンバにおいてマイクロメカニカルな又は時計のコンポーネント(200)を締結する方法であって、前記コンポーネント(200)が、前記基準面(20)に配置され、前記基準面(20)において、可動ジョー(2)からの真空開口の下のネットワークのオリフィスに直接支承され、その後、真空による第1の維持が行われ、その後、前記可動ジョー(2)の枢動による前記第1の維持のトルクよりも大きなトルクを有する第2の維持が行われる、締結方法。
【請求項9】
ブランクであるコンポーネント(200)が前記可動ジョー(2)において維持され、オペレータ又はロボットマニプレータによる回収前に真空によって維持される機械加工済みコンポーネントが、前記ブランクから切り出される、請求項8に記載の締結方法。
【外国語明細書】