(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007337
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】フェイルセーフ確定フラップ支持体翼下取付具
(51)【国際特許分類】
B64C 3/18 20060101AFI20240110BHJP
B64D 27/24 20240101ALI20240110BHJP
【FI】
B64C3/18
B64D27/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023090018
(22)【出願日】2023-05-31
(31)【優先権主張番号】17/853,634
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・エル・ブロック
(57)【要約】
【課題】フラップまたは構造体の接地時に翼から構造体を分離することを可能にするための融着要素を有する翼下フラップ支持構造を備える航空機を提供する。
【解決手段】翼下梁であって、その前端に一体型クレビスを備え、主翼ボックスの下部外板に取り付けられ、クレビスが第1および第2のクレビス穴を備える翼下梁と、主翼ボックスラグならびにレースおよび球面軸受を担持する球面軸受支持アセンブリを備える主翼ボックスラグ取付具であって、主翼ボックスラグが主翼ボックスラグ穴を有し、球面軸受が球面軸受穴を有する、主翼ボックスラグ取付具とを含む、翼下フラップ支持取り付け構造が開示され、主翼ボックスの下部外板に取り付けられた主翼ボックスラグ取付具に対する翼下梁およびクレビスの相対的な直線-垂直運動を抑制するため、前後に向けられたヒューズピンは、球面軸受穴、第1のクレビス穴および第2のクレビス穴に摺動可能に収容される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体型翼下梁であって、前記一体型翼下梁の前端に一体型クレビスを備え、主翼ボックスの下部外板に取り付けられ、前記一体型クレビスが第1のクレビス穴および第2のクレビス穴を備える、一体型翼下梁と、
主翼ボックスラグならびにレースおよび球面軸受を担持する球面軸受支持アセンブリを備える主翼ボックスラグ取付具であって、前記主翼ボックスラグが主翼ボックスラグ穴を有し、前記球面軸受が球面軸受穴を有する、主翼ボックスラグ取付具と
を備え、
前記主翼ボックスの前記下部外板に取り付けられた主翼ボックスラグ取付具に対する前記一体型翼下梁および前記一体型クレビスの相対的な直線-垂直運動を抑制するために、前後に向けられたヒューズピンが、前記球面軸受穴、前記第1のクレビス穴、および前記第2のクレビス穴に摺動可能に収容され、
前記主翼ボックスからの分離を促すのに十分な前記翼下梁の後方部分に加えられる力が、前記一体型翼下梁および前記一体型クレビスが旋回することを可能にする剪断力を加え、前記前後に向けられたヒューズピンを剪断し、前記一体型翼下梁が分離されることを可能にするように前記一体型翼下梁を誘導するモーメントを生成し、
それにより、前記翼下梁が翼構造の下側に損傷をもたらすことなく翼から分離する、翼下フラップ支持取り付け構造。
【請求項2】
前記一体型翼下梁を前記下部翼外板から上方に延在する後桁に取り付ける取り付けブラケットをさらに備える、請求項1に記載の翼下フラップ支持取り付け構造。
【請求項3】
前記主翼ボックスラグ取付具が、固定翼構造に固定された取り付けプレートを備える、請求項1に記載の翼下フラップ支持取り付け構造。
【請求項4】
前記一体型翼下梁と係合するためのフェイルセーフデバイスとして、前記主翼ボックスラグ取付具から延在するキャッチャをさらに備える、請求項3に記載の翼下フラップ支持取り付け構造。
【請求項5】
前記キャッチャが、嵌合取付具によって前記主翼ボックスラグ取付具から延在する、請求項4に記載の翼下フラップ支持取り付け構造。
【請求項6】
前記キャッチャを拘束するために前記嵌合取付具と係合するボルトをさらに備える、請求項5に記載の翼下フラップ支持取り付け構造。
【請求項7】
前記モーメントがさらに、前記一体型翼下梁に剪断力を加え続けさせ、前記前後に向けられたヒューズピンの剪断を引き起こす、請求項1に記載の翼下フラップ支持取り付け構造。
【請求項8】
前記取り付けブラケットが、恒久的なヘッドまたは壊れやすいヘッドを有する締め具を用いて前記翼下梁に取り付けられる、請求項2に記載の翼下フラップ支持取り付け構造。
【請求項9】
前記力がさらに、前記翼下梁を回転させて壊れやすいヘッドを破砕し、それによって前記翼下梁を取り付けブラケットから解放する、請求項1に記載の翼下フラップ支持取り付け構造。
【請求項10】
フラップが、1つまたは複数の支持リンクを用いて前記翼下梁に取り付けられ、前記支持リンクが、前記フラップの伸長位置において前記翼下梁の前記後方部分に近接して係合し、それによって前記フラップの接地が前記後方部分に前記力を加える、請求項1に記載の翼下フラップ支持取り付け構造。
【請求項11】
前記主翼ボックスが金属または炭素を含む材料から構成される、請求項1に記載の翼下フラップ支持取り付け構造。
【請求項12】
衝撃時に翼下フラップ支持構造を分離するための方法であって、前記方法は、
球面軸受内のラグから延在する前後に向けられたヒューズピンを支持するステップと、
翼に取り付けられた翼下梁の前端に一体型翼下梁の一体型クレビスを係合させるステップと、
前記翼からの分離を促すのに十分な力を前記翼下梁の後方部分に加えるステップと、
前記一体型翼下梁および前記一体型クレビスを係合する前記前後に向けられたヒューズピンを剪断するために、前記一体型翼下梁で剪断力を加えるステップと、
前記翼下梁の前記一体型クレビスを回転させるステップと、
連続的な回転のために前記翼下梁の前端を解放するステップとを含む、方法。
【請求項13】
前記前後に向けられたヒューズピンの故障に応答して、前記翼下梁を動作位置から最初の位置まで回転させるステップと、
前記一体型翼下梁をキャッチャに接触させるステップと、
前記キャッチャとともに前記一体型翼下梁をフェイルセーフ位置に支持するステップと
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
キャッチャを嵌合フランジに固定する二次ボルトを主翼ボックスラグ取付具に係合されたプレートから剪断するステップと、
前記キャッチャを解放するステップと、
前記翼下梁が回転し続けることを可能にするステップと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
後桁取り付けブラケットを中心に前記翼下梁を回転させるステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
後桁に取り付けられたままの前記取り付けブラケットおよび固定翼構造に取り付けられたままの前記球面軸受支持アセンブリによって、翼構造、前記後桁、および関連する一体型燃料電池の下側への損傷を低減するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
フラップが、1つまたは複数の支持リンクを用いて前記翼下梁に取り付けられ、前記フラップの伸長位置において前記翼下梁の前記後方部分に近接して前記支持リンクを係合するステップと、前記後方部分に前記力を加えるために前記フラップを地面に接触させるステップとをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
翼と、
前記翼に取り付けられた翼下フラップ支持取り付け構造と
を備える、航空機であって、前記翼下フラップ支持取り付け構造が、
一体型翼下梁であって、前記一体型翼下梁の前端に一体型クレビスを備え、主翼ボックスの下部外板に取り付けられ、前記一体型クレビスが第1のクレビス穴および第2のクレビス穴を備える、一体型翼下梁と、
主翼ボックスラグならびにレースおよび球面軸受を担持する球面軸受支持アセンブリを備える主翼ボックスラグ取付具であって、前記主翼ボックスラグが主翼ボックスラグ穴を有し、前記球面軸受が球面軸受穴を有する、主翼ボックスラグ取付具とを備え、
前記主翼ボックスの前記下部外板に取り付けられた主翼ボックスラグ取付具に対する前記一体型翼下梁および前記一体型クレビスの相対的な直線-垂直運動を抑制するために、前後に向けられたヒューズピンが、前記球面軸受穴、前記第1のクレビス穴、および前記第2のクレビス穴に摺動可能に収容され、
前記主翼ボックスからの分離を促すのに十分な前記翼下梁の後方部分に加えられる力が、前記一体型翼下梁および前記一体型クレビスが旋回することを可能にする剪断力を加え、前記前後に向けられたヒューズピンを剪断し、前記一体型翼下梁が分離されることを可能にするように前記一体型翼下梁を誘導するモーメントを生成し、
それにより、前記翼下梁が翼構造の下側に損傷をもたらすことなく翼から分離する、
航空機。
【請求項19】
前記一体型翼下梁を前記下部翼外板から上方に延在する後桁に取り付ける取り付けブラケットをさらに備える、請求項18に記載の航空機。
【請求項20】
前記モーメントがさらに、前記一体型翼下梁に剪断力を加え続けさせ、前記前後に向けられたヒューズピンの剪断を引き起こす、請求項18または19に記載の航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施態様は、一般に、航空機のための構造システムに関し、より詳細には、フラップまたは構造体の接地時に翼から構造体を分離することを可能にするための融着要素を有する翼下フラップ支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
民間航空機は、通常、翼から下方に伸長可能な翼フラップを使用する。フラップおよび支持構造は、胴体着陸などの特定の操作シナリオ中に地面に接触する場合がある。翼フラップ構造は、通常、翼の構造要素に直接または近接して接続され、フラップによる接地に起因する主翼構造へのいかなる損傷も最小限に抑えることが望ましい。
【0003】
したがって、前述の欠点および不十分さに対処するために、詳細には、より高い性能、例えば、より低い重量、抗力、コスト、構造継手のために、これまで対処されていなかった必要性が業界には存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の例によれば、翼下フラップ支持取り付け構造が開示され、一体型翼下梁であって、一体型翼下梁の前端に一体型クレビスを備え、主翼ボックスの下部外板に取り付けられ、一体型クレビスが第1のクレビス穴および第2のクレビス穴を備える、一体型翼下梁と、主翼ボックスラグならびにレースおよび球面軸受を担持する球面軸受支持アセンブリを備える主翼ボックスラグ取付具であって、主翼ボックスラグが主翼ボックスラグ穴を有し、球面軸受が球面軸受穴を有する、主翼ボックスラグ取付具とを備え、主翼ボックスの下部外板に取り付けられた主翼ボックスラグ取付具に対する一体型翼下梁および一体型クレビスの相対的な直線-垂直運動を抑制するために、前後に向けられたヒューズピンは、球面軸受穴、第1のクレビス穴、および第2のクレビス穴に摺動可能に収容され、主翼ボックスからの分離を促すのに十分な翼下梁の後方部分に加えられる力は、一体型翼下梁および一体型クレビスが旋回することを可能にする剪断力を加え、前後に向けられたヒューズピンを剪断し、一体型翼下梁が分離されることを可能にするように一体型翼下梁を誘導するモーメントを生成し、それにより、翼下梁は翼構造の下側に損傷をもたらすことなく翼から分離する。
【0005】
翼下フラップ支持取り付け構造は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。翼下フラップ支持取り付け構造は、一体型翼下梁を下部翼外板から上方に延在する後桁に取り付ける取り付けブラケットをさらに備える。主翼ボックスラグ取付具は、固定翼構造に固定された取り付けプレートを備える。翼下フラップ支持取り付け構造は、一体型翼下梁と係合するためのフェイルセーフデバイスとして、主翼ボックスラグ取付具から延在するキャッチャをさらに備える。キャッチャは、嵌合取付具によって主翼ボックスラグ取付具から延在する。翼下フラップ支持取り付け構造は、キャッチャを拘束するために嵌合取付具と係合するボルトをさらに備える。モーメントはさらに、一体型翼下梁に剪断力を加え続けさせ、前後に向けられたヒューズピンの剪断を引き起こす。取り付けブラケットは、恒久的なヘッドまたは壊れやすいヘッドを有する締め具を用いて翼下梁に取り付けられる。さらに、この力は、翼下梁を回転させて壊れやすいヘッドを破砕し、それによって翼下梁を取り付けブラケットから解放する。フラップは、1つまたは複数の支持リンクを用いて翼下梁に取り付けられ、前記支持リンクは、フラップの伸長位置において翼下梁の後方部分に近接して係合し、それによってフラップの接地が後方部分に力を加える。主翼ボックスは、金属または炭素を含む材料から構成される。
【0006】
本開示の例によれば、衝撃時に翼下フラップ支持構造を分離するための方法が開示され、球面軸受内のラグから延在する前後に向けられたヒューズピンを支持するステップと、翼に取り付けられた翼下梁の前端に一体型翼下梁の一体型クレビスを係合させるステップと、翼からの分離を促すのに十分な力を翼下梁の後方部分に加えるステップと、一体型翼下梁および一体型クレビスを係合する前後に向けられたヒューズピンを剪断するために、一体型翼下梁で剪断力を加えるステップと、翼下梁の一体型クレビスを回転させるステップと、連続的な回転のために翼下梁の前端を解放するステップとを含む。
【0007】
翼下フラップ支持取り付け構造を分離するための方法は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。方法は、前後に向けられたヒューズピンの故障に応答して、翼下梁を動作位置から最初の位置まで回転させるステップと、一体型翼下梁をキャッチャに接触させるステップと、キャッチャとともに一体型翼下梁をフェイルセーフ位置に支持するステップとをさらに含む。方法は、キャッチャを嵌合フランジに固定する二次ボルトを主翼ボックスラグ取付具に係合されたプレートから剪断するステップと、キャッチャを解放するステップと、翼下梁が回転し続けることを可能にするステップとをさらに含む。方法は、後桁取り付けブラケットを中心に翼下梁を回転させるステップをさらに含む。方法は、後桁に取り付けられたままの取り付けブラケットおよび固定翼構造に取り付けられたままの球面軸受支持アセンブリによって、翼構造、後桁、および関連する一体型燃料電池の下側への損傷を低減するステップをさらに含む。フラップは、1つまたは複数の支持リンクを用いて翼下梁に取り付けられ、方法は、フラップの伸長位置において翼下梁の後方部分に近接して支持リンクを係合するステップと、後方部分に力を加えるためにフラップを地面に接触させるステップとをさらに含む。
【0008】
本開示の例によれば、翼と、翼に取り付けられた翼下フラップ支持取り付け構造とを備える航空機が開示され、翼下フラップ支持取り付け構造は、一体型翼下梁であって、一体型翼下梁の前端に一体型クレビスを備え、主翼ボックスの下部外板に取り付けられ、一体型クレビスが第1のクレビス穴および第2のクレビス穴を備える、一体型翼下梁と、主翼ボックスラグならびにレースおよび球面軸受を担持する球面軸受支持アセンブリを備える主翼ボックスラグ取付具であって、主翼ボックスラグが主翼ボックスラグ穴を有し、球面軸受が球面軸受穴を有する、主翼ボックスラグ取付具とを備え、主翼ボックスの下部外板に取り付けられた主翼ボックスラグ取付具に対する一体型翼下梁および一体型クレビスの相対的な直線-垂直運動を抑制するために、前後に向けられたヒューズピンは、球面軸受穴、第1のクレビス穴、および第2のクレビス穴に摺動可能に収容され、主翼ボックスからの分離を促すのに十分な翼下梁の後方部分に加えられる力は、一体型翼下梁および一体型クレビスが旋回することを可能にする剪断力を加え、前後に向けられたヒューズピンを剪断し、一体型翼下梁が分離されることを可能にするように一体型翼下梁を誘導するモーメントを生成し、それにより、翼下梁は翼構造の下側に損傷をもたらすことなく翼から分離する。
【0009】
航空機は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。航空機は、一体型翼下梁を下部翼外板から上方に延在する後桁に取り付ける取り付けブラケットをさらに備える。モーメントはさらに、一体型翼下梁に剪断力を加え続けさせ、前後に向けられたヒューズピンの剪断を引き起こす。
【0010】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本教示の実施形態を例示し、説明とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本明細書に開示された実施態様が使用され得る航空機の図である。
【
図2】航空機内のフラップおよび可動フェアリング用の翼下梁(UWB)支持体の内部構造の部分断面図である。
【
図3A】本明細書に開示された例示的な実装形態のUWBおよび関連構造の詳細な側面図である。
【
図3B】UWBおよび関連構造の詳細な上面図である。
【
図4A】UWBの前端を翼構造に係合させるための例示的な実装形態の要素のさらに詳細な上面斜視図である。
【
図4B】明確にするために主翼ボックスラグ取付具が取り外された
図4Aを見下ろす図である。
【
図5】本教示の例によるUWBおよび関連構造の側面図である。
【
図6】前後に向けられたヒューズピンが最初に剪断されている
図5の図である。
【
図7】UWBがキャッチャに接触するときの
図6の図である。
【
図8】主翼ボックスラグ嵌合フランジに共通のキャッチャボルトが破断するときの
図7の図である。
【
図9】UWBが下方に回転し続け、それとともにキャッチャをさらに押し出すときの
図8の図である。
【
図10】本教示の例による、衝撃時に翼下フラップ支持構造を分離するための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本実施形態が詳細に参照され、それらの例が添付図面に図示される。可能な限り、同じかまたは同様の部分を指すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用される。
【0013】
一般的に言えば、本開示の例は、製造が簡単で、フェイルセーフであり、確定した荷重を有し、コスト/重量が低く、設置公差および熱的不整合による部品の成長/収縮を可能にし、必要なフェアリング容積が最小である、主翼ボックスへの高ファウラおよび低ファウラ翼下梁設計のための取り付け構成を提供する。取り付けは、重量、コスト、およびフェアリング容積を減少させ、一方、固定的に決定され、部品の設置公差および熱膨張係数(CTE)の不一致を可能にするように、翼下梁を主翼ボックスに取り付ける。一部の航空機では、自由物体図が静的に不確定であるため、フラップ支持前方取付具を取り付けることが困難になり得る。これにより、実際の分布が局所的な剛性に大きく依存するので、前方取付具と後方取付具との間の荷重分担に関する必然的に保守的な想定がもたらされる。さらに、不確定性のために、フラップ支持体が荷重下で屈曲するか、またはCTEの不一致から成長/収縮するにつれて、取り付け荷重が不必要に増加し、その結果、重量が増加する。特定の航空機の不確定なフラップ支持システムはまた、公差が極めて厳しくなければならないので、設置が困難になっている。これを解決するために、特定の航空機は、重要なヒューズピン接合部をより緩い嵌合に開く必要があり得るが、それは早期の疲労亀裂をもたらす可能性がある。
【0014】
主翼ボックスへの翼下梁のための本取り付け構成は、小さい炭素繊維強化ポリマー(CFRP)翼で使用するための一体型クレビスを有する一体型翼下梁を有する軸方向にクランプされていない前後に向けられたヒューズピンを使用して適切な自由度を提供する。この組合せにより、以前の設計と比較してフェイルセーフ要件および低コスト/小型フェアリングを満たしながら、容易な部品統合、確定した荷重、ならびに実質的な設置および熱的不整合の許容範囲が可能になる。本取り付け構成は、前後に向けられたヒューズピンおよび球面軸受を用いて主翼ボックスに取り付けられたフラップ支持体と、主翼ボックス上のラグを有するフラップ支持体上のクレビスとを提供する。これにより、フラップ支持体がヒューズピンに沿って軸方向に自由に摺動するので、確定した荷重および実質的な設置公差がもたらされる。さらに、(クレビスではなく)主翼ボックス側にラグのみを有すると、一体化は単純であり、取り付けのための既存の2×2ボルトパターンと同様である。一体型翼下梁は、機械加工が容易であり、単純な主翼ボックス一体化を可能にする。フラップ支持体上の一体型クレビスは、主翼ボックスラグの周りに完全に巻き付き、ヒューズピンの故障状態下で側面荷重経路を提供するが、燃料タンクを破裂させることなくフラップ支持体の離脱を可能にする。
【0015】
したがって、本明細書に開示された実装形態は、球面軸受内に配置された分離可能なピンを有するジョイントを有する翼下フラップ支持マウントと、翼下フラップ支持体に結合されたラグ端とを提供する。翼下フラップ支持体を分離することができるフラップ支持体の後方部分へのいかなる力(例えば、胴体着陸)も、犠牲「ヒューズ」ピンを剪断させ、ジョイントピンを球面軸受から分離させる。
【0016】
図面を参照すると、
図1Aおよび
図1Bは、フラップ14を操作する翼12を有する航空機10を描写している。フラップ14は、固定フェアリング16aおよび可動フェアリング16b内に部分的に収容された翼下構造により、複数の取り付け点において翼12に係合している。離陸時および着陸時に空気力学的性能を高めるためのフラップ14の展開は、フラップ14および可動フェアリング16bを翼12に対して下方に回転させる。
図2に見られるように、各取り付け点において、翼下梁(UWB)18は、フラップ14ならびに関連する作動支持リンク15およびアクチュエータを翼12に取り付けるための翼下フラップ支持取り付け構造における主要要素を構成する。UWB18は、翼下部外板22によって形成される下面20で翼12に取り付けられ、固定フェアリング16a内に部分的に収容される。後桁24は、翼下部外板22から翼12内で上方に延在し、UWB18は、取り付けブラケット26によって後桁に取り付けられる。取り付けブラケット26は、恒久的なヘッドまたは壊れやすいヘッドを有する締め具を用いて翼下梁に取り付けられる。翼下部外板22、後桁24、および上部翼外板28は、翼内に一体型燃料電池30を形成する。
図2に示されたフラップ14の伸長位置(非伸長位置は仮想線で示されている)では、支持リンク15は、UWBの後方部分32に近接して支持される。胴体着陸の間、フラップ14、可動フェアリング16b、および潜在的にUWB18の後方部分32は地面に接触し、回転モーメント33がUWB18にかけられるようにする力を行使する。フラップ14は、1つまたは複数の支持リンク15を用いて翼下梁46に取り付けられ、支持リンク15は、フラップの伸長位置においてUWB18の後方部分に近接して係合し、それによってフラップ14の接地が後方部分に力を加える。
【0017】
全体構造の一般的なレイアウトは
図3Aおよび
図3Bに見られ、詳細は
図4A、
図4B、および
図4Cに示されている。UWB18は、UWB18の前端36に一体型クレビス34を有する。(後により詳細に記載される予定の)球面軸受を担持する球面軸受支持アセンブリは、(仮想線で示された)下部翼外板22に近接して固定翼構造40に取り付けられる。取り付けブラケット26は、締結具42によってUWB18に接続され、上方に延在し、(仮想線で示された)後桁24の後面44に沿って取り付けられる。
【0018】
図4Aは、本教示の例による、UWBの前端を翼構造に係合させるための例示的な実装形態の要素のさらに詳細な上面斜視図である。
図4Bは、明確にするためにキャッチャが取り外された
図4Aの明確にするために主翼ボックス取付具が取り外された上面図である。
図4Cは
図4Aの断面図である。
図5は、本教示の例によるUWBおよび関連構造の側面図を示す。
【0019】
図4A、
図4B、
図4C、および
図5により詳細に示されたように、翼下フラップ支持取り付け構造は一体型UWB18を備える。UWB18は、UWB18の前端36に一体型クレビス34を備え、主翼ボックス50の下部外板22に取り付けられる。主翼ボックス50は、金属または炭素を含む材料から構成される。一体型クレビス34は、第1のクレビス穴46および第2のクレビス穴48を備える。
【0020】
翼下フラップ支持取り付け構造はまた、主翼ボックスラグ54と、レース58および球面軸受60を担持する球面軸受支持アセンブリ56とを備える主翼ボックスラグ取付具52を備える。主翼ボックスラグ54は主翼ボックスラグ穴56を有し、球面軸受58は球面軸受穴62を有する。主翼ボックスラグ取付具52は、固定翼構造40に固定された取り付けプレート70をさらに備える。
【0021】
前後に向けられたヒューズピン66は、球面軸受穴62、第1のクレビス穴46、および第2のクレビス穴48に摺動可能に受け入れられて、主翼ボックス50の下部外板22に取り付けられた主翼ボックスラグ取付具52に対するUWB18および一体型クレビス34の相対的な直線-垂直運動を阻止する。レース58は、前後に向けられたヒューズピン66および球面軸受58が球面軸受支持アセンブリ56内で旋回することを可能にする。
【0022】
翼からの分離を促すのに十分なUWB18の後方部分に加えられる力が、UWB18および一体型クレビス34が旋回し、前後に向けられたヒューズピン66を剪断し、UWB18が外れることを可能にする剪断力を加えるようにUWB18を誘導するモーメントを生成する。このように、UWB18は、翼構造の下側に損傷をもたらすことなく翼12から分離する。
【0023】
翼下フラップ支持取り付け構造は、一体型翼下梁46を下部翼外板22から上方に延在する後桁24に取り付ける取り付けブラケット26をさらに備える。翼下フラップ支持取り付け構造は、UWB18と係合するためのフェイルセーフデバイスとして、主翼ボックスラグ取付具52から延在するキャッチャ72をさらに備える。キャッチャ72は、嵌合取付具76によって主翼ボックスラグ取付具54から延在する。翼下フラップ支持取り付け構造は、キャッチャ72を拘束するために嵌合取付具76と係合するボルト78をさらに備える。
【0024】
球面軸受支持アセンブリ56の側面荷重は、球面軸受60の(軸方向ではない)半径方向であるため、ねじ付きまたはボルト付きの軸受保持は必要でない。側面荷重はラグの強軸内に簡単に入る。前後に向けられたヒューズピン66が疲労し亀裂が入る故障状態では、キャッチャ72は垂直荷重を受けるが、側面荷重経路は、再び部品間接触を介してラグの強軸を直接通過する。この特徴の組合せにより、より軽量で、より低コストで、設置がより速く、フェアリング深さが浅いフラップ支持構成がもたらされる。
【0025】
図6は、前後に向けられたヒューズピン66が破砕線80において最初に剪断されている
図5の図を示す。
図7は、UWB18がキャッチャ72に接触するときの
図6の図を示す。
図8は、主翼ボックスラグ嵌合フランジに共通のキャッチャボルト82が破断するときの
図7の図を示す。
図9は、UWB18が下方に回転し続け、それとともにキャッチャ72をさらに押し出すときの
図8の図を示す。
【0026】
図10は、本教示の例による、衝撃時に翼下フラップ支持構造を分離するための方法1000を示す。方法1000は、1002にあるように、球面軸受内のラグから延在する前後に向けられたヒューズピンを支持することを含む。例えば、前後に向けられたヒューズピン66は、主翼ボックスラグ取付具52の球面軸受60から延在する。方法1000は、1004にあるように、翼に取り付けられた翼下梁(UWB)の前端に一体型翼下梁クレビス内のラグを係合させることによって継続する。例を続けると、主翼ボックスラグ取付具52は、翼12に取り付けられたUWB18と係合する。方法1000は、1006にあるように、翼からの分離を促すのに十分な力をUWBの後方部分に加えることによって継続する。方法1000は、1008にあるように、一体型翼下梁および一体型クレビス34と係合する前後に向けられたヒューズピンを剪断するために、一体型翼下梁に剪断力を加えることによって継続する。
図6に示されたように、前後に向けられたヒューズピン66は、十分な剪断力を受けて破砕線80で剪断する。方法1000は、1010にあるように、翼下梁の一体型クレビス34を回転させることによって継続する。
図7、
図8、および
図9に示されたように、前後に向けられたヒューズピン66が破砕すると、主翼ボックスラグ嵌合フランジに共通のキャッチャボルト82が破断し、UWB18は下方に回転し続け、それとともにキャッチャ72をさらに押し出す。方法1000は、1012にあるように、連続的な回転のためにUWBの前端を解放することによって継続する。
図7、
図8、および
図9に示されたように、連続的な剪断力によってサドルボルト82が破断し、UWB18の前端およびキャッチャ72が解放される。
【0027】
方法1000は、1014にあるように、前後に向けられたヒューズピンの故障に応答して、UWBを動作位置から最初の位置まで回転させ、一体型翼下梁をキャッチャに接触させ、キャッチャとともに一体型翼下梁をフェイルセーフ位置に支持することによって継続する。
図7および
図8に示されたように、前後に向けられたヒューズピン66が破砕すると、主翼ボックスラグ嵌合フランジに共通のキャッチャボルト82が破断し、UWB18は下方に回転し続け、それとともにキャッチャ72をさらに押し出す。
【0028】
方法1000は、1016にあるように、固定翼構造に係合されたプレートから嵌合フランジにキャッチャを固定する二次ボルトを剪断し、キャッチャを解放し、UWBが回転し続けることを可能にすることによって継続する。
図7および
図8に示されたように、前後に向けられたヒューズピン66が破砕すると、主翼ボックスラグ嵌合フランジに共通のキャッチャボルト82が破断し、UWB18は下方に回転し続け、それとともにキャッチャ72をさらに押し出す。また、
図4Cに示されたように、キャッチャ72を主翼ボックスラグ取付具52に固定するボルト78は、UWBが回転し続けると破砕する。
【0029】
方法1000は、1018にあるように、後桁取り付けブラケットを中心にUWBを回転させることによって継続する。上記の例を続けると、UWB18は、後桁24の取り付けブラケット26を中心に回転する。
【0030】
方法1000は、1020にあるように、後桁に取り付けられたままの取り付けブラケットおよび固定翼構造に取り付けられたままの球面軸受支持アセンブリによって、翼構造、後桁、および関連する一体型燃料電池の下側への損傷を低減することによって継続する。
【0031】
本開示の例には、以下に列挙される条項が含まれるが、それらに限定されない。
【0032】
例1.一体型翼下梁であって、一体型翼下梁の前端に一体型クレビスを備え、主翼ボックスの下部外板に取り付けられ、一体型クレビスが第1のクレビス穴および第2のクレビス穴を備える、一体型翼下梁と、
主翼ボックスラグならびにレースおよび球面軸受を担持する球面軸受支持アセンブリを備える主翼ボックスラグ取付具であって、主翼ボックスラグが主翼ボックスラグ穴を有し、球面軸受が球面軸受穴を有する、主翼ボックスラグ取付具と
を備え、
主翼ボックスの下部外板に取り付けられた主翼ボックスラグ取付具に対する一体型翼下梁および一体型クレビスの相対的な直線-垂直運動を抑制するために、前後に向けられたヒューズピンが、球面軸受穴、第1のクレビス穴、および第2のクレビス穴に摺動可能に収容され、
主翼ボックスからの分離を促すのに十分な翼下梁の後方部分に加えられる力が、一体型翼下梁および一体型クレビスが旋回することを可能にする剪断力を加え、前後に向けられたヒューズピンを剪断し、一体型翼下梁が分離されることを可能にするように一体型翼下梁を誘導するモーメントを生成し、
それにより、翼下梁が翼構造の下側に損傷をもたらすことなく翼から分離する、
翼下フラップ支持取り付け構造。
【0033】
例2.一体型翼下梁を下部翼外板から上方に延在する後桁に取り付ける取り付けブラケットをさらに備える、例1の翼下フラップ支持取り付け構造。
【0034】
例3.主翼ボックスラグ取付具が、固定翼構造に固定された取り付けプレートを備える、例1および/または例2の翼下フラップ支持取り付け構造。
【0035】
例4.一体型翼下梁と係合するためのフェイルセーフデバイスとして、主翼ボックスラグ取付具から延在するキャッチャをさらに備える、例1から3の翼下フラップ支持取り付け構造。
【0036】
例5.キャッチャが、嵌合取付具によって主翼ボックスラグ取付具から延在する、例1から4の翼下フラップ支持取り付け構造。
【0037】
例6.キャッチャを拘束するために嵌合取付具と係合するボルトをさらに備える、例1から5の翼下フラップ支持取り付け構造。
【0038】
例7.モーメントがさらに、一体型翼下梁に剪断力を加え続けさせ、前後に向けられたヒューズピンの剪断を引き起こす、例1から6の翼下フラップ支持取り付け構造。
【0039】
例8.取り付けブラケットが、恒久的なヘッドまたは壊れやすいヘッドを有する締め具を用いて翼下梁に取り付けられる、例1から7の翼下フラップ支持取り付け構造。
【0040】
例9.力がさらに、翼下梁を回転させて壊れやすいヘッドを破砕し、それによって翼下梁を取り付けブラケットから解放する、例1から8の翼下フラップ支持取り付け構造。
【0041】
例10.フラップが、1つまたは複数の支持リンクを用いて翼下梁に取り付けられ、前記支持リンクが、フラップの伸長位置において翼下梁の後方部分に近接して係合し、それによってフラップの接地が後方部分に力を加える、例1から9の翼下フラップ支持取り付け構造。
【0042】
例11.主翼ボックスが金属または炭素を含む材料から構成される、例1から10の翼下フラップ支持取り付け構造。
【0043】
例12.衝撃時に翼下フラップ支持構造を分離するための方法であって、方法は、
球面軸受内のラグから延在する前後に向けられたヒューズピンを支持するステップと、
翼に取り付けられた翼下梁の前端に一体型翼下梁の一体型クレビスを係合させるステップと、
翼からの分離を促すのに十分な力を翼下梁の後方部分に加えるステップと、
一体型翼下梁および一体型クレビスを係合する前後に向けられたヒューズピンを剪断するために、一体型翼下梁で剪断力を加えるステップと、
翼下梁の一体型クレビスを回転させるステップと、
連続的な回転のために翼下梁の前端を解放するステップと
を含む、方法。
【0044】
例13.前後に向けられたヒューズピンの故障に応答して、翼下梁を動作位置から最初の位置まで回転させるステップと、
一体型翼下梁をキャッチャに接触させるステップと、
キャッチャとともに一体型翼下梁をフェイルセーフ位置に支持するステップと
をさらに含む、例12の方法。
【0045】
例14.キャッチャを嵌合フランジに固定する二次ボルトを主翼ボックスラグ取付具に係合されたプレートから剪断するステップと、
キャッチャを解放するステップと、
翼下梁が回転し続けることを可能にするステップと
をさらに含む、例12および/または例13の方法。
【0046】
例15.後桁取り付けブラケットを中心に翼下梁を回転させるステップをさらに含む、例12から14の方法。
【0047】
例16.後桁に取り付けられたままの取り付けブラケットおよび固定翼構造に取り付けられたままの球面軸受支持アセンブリによって、翼構造、後桁、および関連する一体型燃料電池の下側への損傷を低減するステップをさらに含む、例12から15の方法。
【0048】
例17.フラップが、1つまたは複数の支持リンクを用いて翼下梁に取り付けられ、フラップの伸長位置において翼下梁の後方部分に近接して支持リンクを係合するステップと、後方部分に力を加えるためにフラップを地面に接触させるステップとをさらに含む、例12から16の方法。
【0049】
例18.翼と、
翼に取り付けられた翼下フラップ支持取り付け構造と
を備える、航空機であって、翼下フラップ支持取り付け構造が、
一体型翼下梁であって、一体型翼下梁の前端に一体型クレビスを備え、主翼ボックスの下部外板に取り付けられ、一体型クレビスが第1のクレビス穴および第2のクレビス穴を備える、一体型翼下梁と、
主翼ボックスラグならびにレースおよび球面軸受を担持する球面軸受支持アセンブリを備える主翼ボックスラグ取付具であって、主翼ボックスラグが主翼ボックスラグ穴を有し、球面軸受が球面軸受穴を有する、主翼ボックスラグ取付具と
を備え、
主翼ボックスの下部外板に取り付けられた主翼ボックスラグ取付具に対する一体型翼下梁および一体型クレビスの相対的な直線-垂直運動を抑制するために、前後に向けられたヒューズピンが、球面軸受穴、第1のクレビス穴、および第2のクレビス穴に摺動可能に収容され、
主翼ボックスからの分離を促すのに十分な翼下梁の後方部分に加えられる力が、一体型翼下梁および一体型クレビスが旋回することを可能にする剪断力を加え、前後に向けられたヒューズピンを剪断し、一体型翼下梁が分離されることを可能にするように一体型翼下梁を誘導するモーメントを生成し、
それにより、翼下梁が翼構造の下側に損傷をもたらすことなく翼から分離する、
航空機。
【0050】
例19.一体型翼下梁を下部翼外板から上方に延在する後桁に取り付ける取り付けブラケットをさらに備える、例18の航空機。
【0051】
例20.モーメントがさらに、一体型翼下梁に剪断力を加え続けさせ、前後に向けられたヒューズピンの剪断を引き起こす、例18および/または例19の航空機。
【0052】
本実施形態の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、具体例に示された数値は可能な限り正確に記載されている。しかしながら、いずれの数値も、それらのそれぞれの検査測定値に見られる標準偏差から必然的にもたらされる一定の誤差を本質的に含んでいる。その上、本明細書に開示されたすべての範囲は、その中に包含されるありとあらゆる部分範囲を網羅すると理解されるべきである。例えば、「10未満」の範囲は、ゼロの最小値と10の最大値との間の(かつ両方の値を含む)ありとあらゆる部分範囲、すなわち、ゼロ以上の最小値および10以下の最大値を有するありとあらゆる部分範囲、例えば1~5を含むことができる。場合によっては、パラメータとして記載された数値は負の値をとることができる。この場合、「10未満」と記載された範囲の例示的な値は、負の値、例えば-1、-2、-3、-10、-20、-30などを想定することができる。
【0053】
以下の実施形態は、図を参照して例示のみを目的として記載される。当業者は、以下の説明が本質的に例示的であり、本実施形態の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されたパラメータに対する様々な修正を行うことができることを諒解されよう。本明細書および例は、例としてのみ考慮されることが意図されている。いくつかの実施形態は、1つまたは複数の他の実施形態と組み合わせて新しい実施形態を形成することができるので、様々な実施形態は必ずしも相互に排他的ではない。
【0054】
本実施形態は、1つまたは複数の実装形態に関して例示されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、例示された例に対して改変および/または修正を行うことができる。加えて、本実施形態の特定の特徴が、いくつかの実装形態のうちの1つのみに対して開示されている場合があるが、そのような特徴は、任意の所与の機能または特定の機能に対して所望され、かつそれにとって都合がよいように、他の実装形態の1つまたは複数の他の形態と組み合わされてもよい。
【0055】
さらに、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」という用語、またはそれらの変形形態は、発明を実施するための形態および特許請求の範囲のいずれかで使用される限りにおいて、そのような用語は、「備える(comprising)」という用語と同様の方式で含まれることを意図している。本明細書で使用される、例えばA、B、およびCの「1つまたは複数」 という語句は、以下のA、B、もしくはCのいずれか単独、またはAおよびB、BおよびC、ならびにAおよびCなどの2つの組合せ、またはA、B、およびCの組合せのいずれかを意味する。
【0056】
他の実施形態は、本明細書に開示された説明の仕様および実践を考慮することにより、当業者には明らかになるであろう。本明細書および例は例示としてのみ考慮されることが意図され、本実施形態の正確な範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0057】
10 航空機
12 翼
14 フラップ
15 作動支持リンク
16a 固定フェアリング
16b 可動フェアリング
18 翼下梁(UWB)
20 下面
22 翼下部外板
24 後桁
26 取り付けブラケット
28 上部翼外板
30 一体型燃料電池
32 後方部分
33 回転モーメント
34 一体型クレビス
36 前端
40 固定翼構造
42 締結具
44 後面
46 第1のクレビス穴
48 第2のクレビス穴
50 主翼ボックス
52 主翼ボックスラグ取付具
54 主翼ボックスラグ
56 主翼ボックスラグ穴、球面軸受支持アセンブリ
58 球面軸受
60 球面軸受
62 球面軸受穴
66 ヒューズピン
70 取り付けプレート
72 キャッチャ
76 嵌合取付具
78 ボルト
80 破断線
82 キャッチャボルト
1000 方法
【外国語明細書】