IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

<>
  • 特開-SCR供給システムを空にする方法 図1
  • 特開-SCR供給システムを空にする方法 図2
  • 特開-SCR供給システムを空にする方法 図3
  • 特開-SCR供給システムを空にする方法 図4
  • 特開-SCR供給システムを空にする方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073374
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】SCR供給システムを空にする方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 9/00 20060101AFI20240522BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20240522BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20240522BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
F01N9/00 Z
F01N3/08 B ZAB
F01N3/10 Z
B01D53/94 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023190342
(22)【出願日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】10 2022 212 244.5
(32)【優先日】2022-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ジョシ ロヒト
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
【Fターム(参考)】
3G091AB04
3G091BA14
3G091BA21
3G091CA17
4D148AA06
4D148AB02
4D148AC03
4D148CC61
4D148DA02
4D148DA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】SCR供給システムを空にする方法、ならびにこれを実行するための制御装置およびコンピュータプログラムに関する。
【解決手段】SCR供給システムを空にする方法であって、SCR供給システムがポンプ室220を有するポンプ210と、能動的に制御可能な吸入バルブ221と、能動的に制御可能な吐出バルブ222とを備え、SCR供給システムを空にするプロセスは、負圧段階および/または圧力緩和段階における圧力プロファイルに依存して決定された基準を認識し、かつ制御される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SCR供給システム(100)を空にする方法であって、前記SCR供給システム(100)がポンプ室(220)を有するポンプ(210)と能動的に制御可能な吸入バルブ(221)と能動的に制御可能な吐出バルブ(222)とを備え、
前記SCR供給システム(100)が前記吸入バルブ(221)を介しライン(124)を介して流体タンク(120)に接続され、
前記SCR供給システム(100)が前記吐出バルブ(222)を介して圧力ライン(122)および計量バルブ(130)に接続され、
前記圧力ライン(122)の圧力(p)が圧力センサ(123)によって決定され、
SCR供給システム(100)は、特に9barの安定した最小圧力で動作状態にあり、
前記計量バルブ(130)は閉状態にあり、
前記SCR供給システム(100)を空にすることが開始されると、少なくとも1つの負圧プロセス(C)が実行され、
前記負圧プロセス(C)が負圧段階と圧力緩和段階を含み
前記負圧段階において、前記圧力ライン(122)の前記圧力(p)が所定の第1の負圧(pup1)に達すると第1の負圧時間(t1up,Ci)が決定され、前記圧力ライン(122)の前記圧力(p)が所定の第2の負圧(pup2)に達すると、第2の負圧時間(t2up,Ci)が決定され、
殊に、前記所定の第2の負圧(pup2)に達した後に所定の待ち時間(twait)が待たれ、
前記所定の第2の負圧(pup2)への到達、または前記所定の待ち時間(twait)に続いて圧力緩和段階が実行され、
前記圧力緩和段階において、前記圧力ライン(122)の前記圧力(p)が前記所定の第1の負圧(p)に達するまで前記計量バルブ(130)が開かれ、前記計量バルブ(130)が再び閉じられ、
前記第2の負圧時間(t2up,Ci)と前記第1の負圧時間(t2up,Ci)との間の負圧時間差(Δtup,Ci)が決定される、方法において、
前記負圧時間差のうちの1つ(Δtup,Ci)が所定の第1の基準時間差(Δtup,Ref)を超える場合、前記SCR供給システム(100)の前記空にするプロセスが終了されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記所定の第1の基準時間差(Δtup,Ref)は、前記第1の負圧時間差(Δtup,C1)に依存して決定され、特に前記第1の負圧時間差(Δtup,C1)の倍数に相当することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記圧力緩和段階において前記計量バルブ(130)を開くことで開始し、前記所定の第1の負圧(pup1)の前記圧力ライン(122)の前記圧力(p)に達することで、または前記計量バルブ(130)が閉じることで第1の圧力緩和時間(t1pr,Ci)および第2の圧力緩和時間(t2pr,Ci)が決定され、
前記第2の圧力緩和時間(t2pr,Ci)と第1の圧力緩和時間(t1pr,Ci)との間の圧力緩和時間差(Δtpr,Ci)が決定され、
前記圧力緩和時間差のうちの1つ(Δtpr,Ci)が所定の第2の基準時間差(Δtpr,Ref)を超える場合、前記空にするプロセスが終了されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の第2の基準時間差(Δtpr,Ref)は、前記第1の圧力緩和時間差(Δtpr,C1)に依存して決定され、特に前記第1の圧力緩和時間差(Δtpr,C1)の倍数に相当することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記圧力ライン(122)の前記圧力(p)が、前記所定の第1の負圧(pup1)を乗じた所定のファクタに達することにより、第2の圧力緩和時間(t2pr,ci)が決定されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法を実行するように設定されたコンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のコンピュータプログラムを有する電子記憶媒体。
【請求項8】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法を実行するように設定された装置、特に制御装置(150)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SCR供給システムを空にする方法、ならびにこれを実行するための制御装置およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
SCR法(選択触媒還元:elective atalytic eduction)では、3分の1が尿素、3分の2が水からなる還元剤AdBlue(登録商標)が内燃機関の排ガス中に混合される。SCR触媒の直前で、ノズルが液体を排ガス流中に噴射する。そこでは尿素からさらなる反応のために必要なアンモニアが生じる。第2のステップにおいて、SCR触媒中で排ガスからの窒素酸化物とアンモニアが結合して水および無害な窒素になる。
【0003】
特許文献1は、液体媒体、特にSCR触媒の反応剤溶液の給送および計量システムを動作させる方法に関し、自動車において、液体媒体の凍結リスクの表示を可能にする情報が処理されることにより、自動車の駐車後に計量システムからの媒体の部分的または完全な吸い戻しが制御される。部分的または完全な吸い戻しは、それぞれの凍結リスクの蓋然性に応じて制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102014202038号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、SCR供給システムを空にするための改良された確実な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本発明は、SCR供給システムを空にする方法に関し、SCR供給システムがポンプ室を有するポンプと能動的に制御可能な吸入バルブと能動的に制御可能な吐出バルブとを備え、
SCR供給システムが吸入バルブを介しラインを介して流体タンクに接続され、
SCR供給システムが吐出バルブを介して圧力ラインおよび計量バルブに接続され、
圧力ラインの圧力が圧力センサによって決定され、
SCR供給システムは、特に9barの安定した最小圧力で動作状態にあり、
計量バルブは閉状態にあり、
前記SCR供給システムを空にすることが開始されると、少なくとも1つの負圧プロセスが実行され、
負圧プロセスが負圧段階と圧力緩和段階を含み
負圧段階において、圧力ラインの圧力が所定の第1の負圧に達すると第1の負圧時間が決定され、圧力ラインの圧力が所定の第2の負圧に達すると第2の負圧時間が決定され、
殊に、所定の第2の負圧に達した後に所定の待ち時間が待たれ、
所定の第2の負圧への到達または所定の待ち時間に続いて圧力緩和段階が実行され、
圧力緩和段階において、圧力ラインの圧力が所定の第1の負圧に達するまで計量バルブが開かれ、計量バルブが再び閉じられ、
第2の負圧時間と第1の負圧時間との間の負圧時間差が決定され、方法は、
負圧時間差のうちの1つが所定の第1の基準時間差を超える場合、SCR供給システムの空にするプロセスが終了されることを特徴とする。
方法は、計量モジュールが確実に空になること、および圧力ラインが空になることを負圧段階の圧力信号から認識でき、それにより計量モジュールおよび圧力ラインに液体が残らないか、またはごくわずかしか残らないという特別な利点を有する。
AdBlueという商品名で知られる尿素の質量濃度が32.5%の尿素水溶液は、凝固点が11℃である。そこで共晶が生じ、それによって、凍結した場合に溶液の分解(Entmischen)が不可能になる。
この組成で不都合な分解が生じなくても還元剤計量バルブおよびシステムの他のコンポーネントの凍結、例えばラインの凍結は可能な限り防がれなければならない。
システムが凍結した場合、還元剤を計量できなくなり、そのことが自動車の窒素酸化物の排出を増加させるという結果になるかもしれない。それでも万一、不都合な環境条件下でシステムが凍結した場合に、自動車の運転中に再び解凍できなければならない。さらに、計量モジュールにおける尿素水溶液の結晶化は、計量モジュールをロバストに空にすることによって阻止できる。
【0007】
特別な実施形態において、所定の第1の基準時間差は、第1の負圧時間差に依存して決定され、特に第1の負圧時間差の倍数に相当し得る。第1の負圧プロセス、したがって第1の負圧時間差は、SCRシステムがこの状態で完全に充填されていたため、特に基準測定値として適している。したがって、方法をこの基準時間差にもとづいてロバストに実行することができる。
【0008】
別の実施形態において、圧力緩和段階において計量バルブを開くことで開始し、所定の第1の負圧の圧力ラインの圧力に達することにより、または計量バルブが閉じることで第1の圧力緩和時間および第2の圧力緩和時間が決定され、第2の圧力緩和時間と第1の圧力緩和時間との間の圧力緩和時間差が決定され、圧力緩和時間差のうちの1つが所定の第2の基準時間差を超える場合、空にするプロセスが終了される。
【0009】
方法は、さらに圧力緩和段階にもとづいてロバストに実行することができる。
【0010】
特別な実施形態において、所定の第2の基準時間差は、第1の圧力緩和時間差に依存して決定され、特に第1の圧力緩和時間差の倍数に相当し得る。
同様に、第1として決定された圧力緩和時間差は、後続の圧力緩和段階のための基準時間差を形成する。
【0011】
有利な実施形態において、圧力ラインの圧力が、所定の第1の負圧を乗じた所定のファクタに達することにより、第2の圧力緩和時間が決定される。
圧力緩和段階において、所定の第1の負圧pup1に達することができないということが起こる可能性がある。所定のファクタ、特に0と1との間で方法をロバストに継続することができる。
【0012】
他の態様では、本発明は、方法のうちの1つを実行するように設定、特にプログラミングされた装置、特に制御装置、およびコンピュータプログラムに関する。さらに別の態様では、本発明は、コンピュータプログラムが記憶される機械可読記憶媒体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による方法を実行可能なポンプを有する流体供給システムの模式図である。
図2】本発明による方法を実行可能なポンプの模式図である。
図3】特に複数の負圧プロセスの負圧段階についての圧力プロファイルの第1の例示的測定と、ポンプ、吸入および吐出バルブ、ならびに計量バルブの制御の図である。
図4】特に複数の負圧プロセスの圧力緩和段階についての圧力プロファイルの第2の例示的測定の図である。
図5】本発明による方法の例示的実施形態の模式的フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1において、SCR供給システムとして形成された流体供給システム100が模式的および例示的に示され、このシステムもしくはそこに存在するポンプで本発明による方法を実行することができる。SCR供給システム100は、ポンプ室220、ポンプ室220のための2つの能動的に制御可能なバルブ221および222と、フィルタ230とを有するポンプもしくはフィードポンプ210とを備えている。これらのコンポーネントは一緒に、例示的に、例えば構造上のユニットとして利用可能にされ得る1つのフィードユニット200を形成する。
【0015】
その場合、通常のフィード方向では、バルブ221は吸入バルブとして機能し、それとは逆にバルブ222は吐出バルブとして機能する。それに加えて、ポンプ210は、ポンプ室220の容積を拡大および縮小するためにフィードエレメント225を有する。フィードエレメント225は、例えば以下にさらに詳しく説明されるように膜であり得る。
【0016】
その場合、ポンプ210は、給送される流体としての還元剤121(もしくは還元剤溶液)を流体タンク120から圧力ライン122を介して計量モジュールまたは計量バルブ130へ給送するように設定されている。次いで、そこで還元剤121が内燃機関の排気系統170に噴射される。
【0017】
さらに、制御装置150は、フィードユニット200に、そこで特にポンプ210、および計量モジュール130に接続され、これらを制御することができる。これは能動的に制御可能なバルブ221および222を制御することも含む。
【0018】
その場合、第1の能動的に制御可能なバルブ221は、吸入バルブ221として形成され、このバルブはラインを介して流体タンク120に接続されている。その場合、第2の能動的に制御可能なバルブ222は吐出バルブ222として形成され、このバルブは圧力ライン122を介して計量バルブ130に接続されている。
さらに、圧力センサ123が、吐出バルブ222の下流および計量バルブ130の上流で圧力ライン内の圧力Pを測定できるように圧力ライン122に接続されている。その場合、圧力センサ123は、殊に有線で制御装置150に接続されている。制御装置は圧力センサ123の信号を受信し、続いてこれを記憶する。
【0019】
制御装置150は、尿素水溶液を運用手順に従ってSCR触媒の前で排気管に入れるために、関連するデータ、例えばモータ制御装置またはセンサによって受信された温度、圧力および排ガス中の窒素酸化物量についてのデータをもとにしてシステムのアクチュエータを調整するように設定されている。さらに、例えばオン・ボード・ダイアグノーシス(OBD)は、排ガス限界値を遵守するために排ガス後処理システムの関連する部品および組立品を監視する。
【0020】
図3は、測定をもとにして方法の進行を示す。上の線図(a)において時間上に圧力pのプロファイルが示されている。さらに上の線図において所定の第1および第2の負圧pup1、pup2がプロットされている。その場合、所定の第1の負圧pup1は、所定の第2の負圧pup2よりも常に大きく選択されている。
線図(b)において、時間tに対してポンプ210の速度がプロットされている。特に、ポンプ210は、値が1のときに毎分回転数が100%、値がゼロのときに毎分回転数なしである。線図(c)において時間上にバルブ、特に吸入および吐出バルブ221、222の開放が示されている。値が1のときにバルブは開であり、値が0のときにバルブは閉である。線図(d)は、時間t上にプロットされた計量バルブ130の開放を示す。特に、計量バルブは、値が1のときに開であり、値が0のときに閉である。
【0021】
線図(a)において合計4つの負圧プロセスCがある。負圧プロセスCはいつも負圧段階を含み、圧力緩和段階がそれに続く。圧力緩和段階が続行されるまで、制御装置150によって負圧段階と圧力緩和段階との間の任意的な待ち時間twaitが待たれてもよい。
第1の負圧プロセスCにおいて、負圧段階で第1の負圧時間t1up,C1と第2の負圧時間t2up,C1が( )される。
その場合、第1の負圧時間t1up,C1は、圧力pが所定の第1の負圧pup1に達する時点に相当する。
その場合、第2の負圧時間t2up,Ciは、圧力pが所定の第2の負圧pup2に達する時点に相当する。
第1の負圧プロセスについて、第1および第2の負圧時間t1up,C1、t2up,C1に依存して第1の負圧時間差Δtup,C1が決定される。他の各負圧プロセスCにより負圧時間差Δtup,Ciの延長が行われることがはっきりと見て取れる。
線図(b)から、流体の返送中にポンプ210が100%の毎分回転数で動作すること、ならびに吸入および吐出バルブ221;222が同様に開かれることも見て取れる。圧力pは低下し続け、システム、とりわけ圧力ライン122に負圧が形成される。第2の負圧時間t2up,Ciを決定することにより、ポンプ210が0%の毎分回転数で引き続き動作し、吸入および吐出バルブ221;222が閉じられる。
続いて、制御装置150によって、計量バルブ130が開かれることが線図(d)に見て取れる時点まで待ち時間twaitがどのように待たれるのかが見て取れる。
計量バルブ130は、圧力pが所定の第1の負圧pup1に達して再び閉じられるまで開いたままである。
代替の実施形態において、計量バルブ130は、圧力pが所定の第1の負圧と乗算された所定のファクタに達するまで開いたままであり、その後閉じられる。
続いて、第2の負圧プロセスCが開始し、第3および第4の負圧プロセスC;Cがそれに続く。これらの負圧プロセスにおいて、新たに負圧時間t1up,Ci、t2up,Ci、ならびに負圧時間差Δtup,Ciが決定される。
【0022】
図4において、図3(a)と同じ圧力プロファイルが示される。その際、ここでは負圧プロセスCの圧力緩和段階における第1の圧力緩和時間t1pr,Ciと第2の圧力緩和時間t2pr,Ciのみが示されている。
第1の負圧プロセスCにおいて計量バルブ130を開くことで開始して、第1の圧力緩和時間t1pr,C1が決定され、所定の第1の負圧pup1の圧力ライン122の圧力pに達するか、または計量バルブ130が閉じることにより第2の圧力緩和時間t2pr,C1が決定される。
第1の負圧プロセスについて、第1および第2の圧力緩和時間t1pr,C1、t2pr,C2に依存して第1の圧力緩和時間差Δtpr,C1が決定される。これは第2の圧力緩和時間t2pr,C1と第1の圧力緩和時間t1pr,C1との間の差に相当する。他の各負圧プロセスCにより圧力緩和時間差Δtpr,Ciの延長が行われることがはっきりと認識できる。
【0023】
図5において、本発明によるSCR供給システム100を確実に空にする方法の例示的進行を示す。方法は、以下に第1および第2の負圧プロセスC、Cについて説明される。しかし方法は、負圧プロセスCをi=1,..,n、n∈N、に限定することなしに実行可能である。
【0024】
第1のステップ300において、方法の許可条件が制御装置150で監視される。方法は、SCR供給システム100を空にする要求を制御装置150が検出した場合に許可される。有利には、SCR供給システム100は、事前に、殊に9barの安定した最小圧力が存在する動作状態で動作させられる。
空にする要求の検出により第1の負圧プロセスC1が開始し、方法はステップ310に続く。
【0025】
次に、ステップ310において、吸入および吐出バルブ221、222が開かれ、追加的に、ポンプ210は、流体を計量バルブ130の上流で流体タンク120に戻すように動作する。したがって、ポンプ210は返送動作で回転する。それによって、第1の負圧プロセスCの負圧段階が開始する。
方法は、ステップ320に続く。
【0026】
ステップ320において、圧力ライン122の圧力pが圧力センサ123を手段として連続的に制御装置150によって受信および記憶される。圧力pが所定の第1の負圧pup1に達すると、第1の負圧時間t1up,C1が制御装置150によって決定および記憶される。圧力pは、引き続き連続的に読み取られ、圧力pが所定の第2の負圧pup2に達すると、第2の負圧時間t2up,C1が制御装置150に記憶される。続いて、第2の負圧時間t2up,C1と第1の負圧時間t1up,C1との間の第1の負圧時間差Δtup,C1が決定される。
さらに、所定の第2の負圧pup2に達すると、ポンプ210が停止され、吸入および吐出バルブ221、222が閉じられる。
さらに、第1の負圧時間差Δtup,C1が第1の基準時間差Δtup,Refと比較される。その場合、第1の基準時間差Δtup,Refは、付加段階(Applikationsphase)で、圧力ライン122の剛性、圧力ライン長さ、および圧力ライン122の直径と周囲圧力とに依存して制御装置150に記憶される。
第1の負圧時間差Δtup,C1が第1の基準時間差Δtup,Refを上回ると、計量ライン(Dosierleitung)122から十分な量の流体が返送され、したがってSCR供給システム100もしくは計量ライン122、および計量バルブ130が確実に空になっていると考えられる。
この場合、方法を終了することができる。そうでない場合、方法はステップ330に続く。
【0027】
特別な実施形態において、任意的に、付加段階で制御装置150に保存される所定の待ち時間twaitが、方法がステップ330に続くまで制御装置150によって待たれてもよい。
【0028】
次に、ステップ330において、計量バルブ130が開かれ、計量バルブ130が開くことにより制御装置150によって第1の圧力緩和時間t1pr,C1が決定および記憶される。計量バルブ130が開くことにより、第1の負圧プロセスCの圧力緩和段階が開始される。追加的に、圧力pが連続的に監視され、この圧力は次に再び上昇し、圧力pが所定の第1の負圧pup1を超えると、計量バルブ130が閉じられ、制御装置150が第2の圧力緩和時間t2pr,C1を記憶する。
【0029】
特別な実施形態において、第2の圧力緩和時間(t2pr,C1)と第1の圧力緩和時間(t1pr,C1)との間の第1の圧力緩和時間差Δtpr,C1を決定することができる。
さらに、第1の圧力緩和時間差Δtpr,C1が第2の基準時間差Δtpr,Refと比較される。その場合、第2の基準時間差Δtpr,Refは、付加段階で、圧力ライン122の剛性、圧力ライン長さ、および圧力ライン122の直径と周囲圧力とに依存して制御装置150に記憶される。
第1の圧力緩和時間差Δtpr,C1が第2の基準時間差Δtpr,Refを超えると、計量ライン122から十分な量の流体が返送され、それによりSCR供給システム100もしくは計量ライン122、および計量バルブ130が確実に空になっていると考えられる。
この場合、方法を終了することができる。そうでない場合、方法はステップ340に続く。
【0030】
次に、ステップ340において、第2の負圧プロセスCが、第2の負圧プロセスCの負圧段階で開始される。
次に、吸入および吐出バルブ221、222が新たに開かれ、ポンプ210が返送動作を始動させる。
方法はステップ350に続く。
【0031】
ステップ350において、圧力ライン122の圧力pが圧力センサ123を手段として制御装置150によって連続的に受信および記憶される。
圧力pが所定の第1の負圧pup1に達すると、第3の負圧時間t1up,C2が制御装置150によって決定および記憶される。圧力pが引き続き連続的に読み取られ、圧力pが所定の第2の負圧pup2に達すると、第4の負圧時間t2up,C2が制御装置150に記憶される。続いて、第3の負圧時間t2up,C2と第4の負圧時間t1up,C2との間の第2の負圧時間差Δtup,C2が決定される。
さらに、所定の第2の負圧pup2に達することにより、ポンプ210が停止され、吸入および吐出バルブ221、222が閉じられる。
さらに、第2の負圧時間差Δtup,C2が第1の基準時間差Δtup,Refと比較される。
第2の負圧時間差Δtup,C2が第1の基準時間差Δtup,Refを超えると、計量ライン122から十分な量の流体が返送され、したがってSCR供給システム100あるいは計量ライン122および計量バルブ130が確実に空になっていると考えられる。
【0032】
特別な実施形態において、第1の基準時間差Δtup,Refを第1の負圧時間差Δtup,C1に依存して決定することもできる。特に、第1の基準時間差Δtup,Refは、第1の負圧時間差Δtup,C1の倍数に相当し得る。
この場合、方法を終了することができる。そうでない場合、方法はステップ360に続く。
【0033】
任意的に、方法がステップ360において続行されるまで、新たに所定の待ち時間twaitが制御装置150によって待たれてもよい。
【0034】
次にステップ360において、計量バルブ130が再び開かれ、計量バルブ130が開くことにより第3の圧力緩和時間t1pr,C2が制御装置150によって決定および記憶される。計量バルブ130が開くことにより、第2の負圧プロセスCの圧力緩和段階が開始される。
【0035】
追加的に、圧力pが連続的に監視され、この圧力は次に再び上昇し、圧力pが所定の第1の負圧pup1を超えると、計量バルブ130が閉じられ、制御装置150が第4の圧力緩和時間t2pr,C2を記憶する。
【0036】
特別の実施形態において、第3の圧力緩和時間t2pr,C2と第4の圧力緩和時間t1pr,C2との間の第2の圧力緩和時間差Δtpr,C2が決定され得る。
さらに、第2の圧力緩和時間差Δtpr,C2が第2の基準時間差Δtpr,Refと比較される。
第2の圧力緩和時間差Δtpr,C2が第2の基準時間差Δtpr,Refを超えると、計量ライン122から十分な量の流体が返送され、したがってSCR供給システム100あるいは計量ライン122および計量バルブ130が確実に空になっていると考えられる。
この場合、方法を終了することができ、SCR供給システム100が確実に空になっている。
そうでない場合、方法は、SCR供給システム100が方法により確実に空になっていることが検出されるまで、さらなる負圧プロセスCにより続行される。
【0037】
特別な実施形態において、最大数の実行される負圧プロセスCを制御装置150に保存することもでき、これを方法の代替的中止条件として使用することができる。
【符号の説明】
【0038】
100 流体供給システム
121 還元剤
122 圧力ライン
123 圧力センサ
130 計量バルブ
150 制御装置
170 排気系統
200 フィードユニット
210 フィードポンプ
220 ポンプ室
221 吸入バルブ
222 吐出バルブ
225 フィードエレメント
230 フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SCR供給システム(100)を空にする方法であって、前記SCR供給システム(100)がポンプ室(220)を有するポンプ(210)と能動的に制御可能な吸入バルブ(221)と能動的に制御可能な吐出バルブ(222)とを備え、
前記SCR供給システム(100)が前記吸入バルブ(221)を介しライン(124)を介して流体タンク(120)に接続され、
前記SCR供給システム(100)が前記吐出バルブ(222)を介して圧力ライン(122)および計量バルブ(130)に接続され、
前記圧力ライン(122)の圧力(p)が圧力センサ(123)によって決定され、
SCR供給システム(100)は、安定した最小圧力で動作状態にあり、
前記計量バルブ(130)は閉状態にあり、
前記SCR供給システム(100)を空にすることが開始されると、少なくとも1つの負圧プロセス(C)が実行され、
前記負圧プロセス(C)が負圧段階と圧力緩和段階を含み
前記負圧段階において、前記圧力ライン(122)の前記圧力(p)が所定の第1の負圧(pup1)に達すると第1の負圧時間(t1up,Ci)が決定され、前記圧力ライン(122)の前記圧力(p)が所定の第2の負圧(pup2)に達すると、第2の負圧時間(t2up,Ci)が決定され、
殊に、前記所定の第2の負圧(pup2)に達した後に所定の待ち時間(twait)が待たれ、
前記所定の第2の負圧(pup2)への到達、または前記所定の待ち時間(twait)に続いて圧力緩和段階が実行され、
前記圧力緩和段階において、前記圧力ライン(122)の前記圧力(p)が前記所定の第1の負圧(p)に達するまで前記計量バルブ(130)が開かれ、前記計量バルブ(130)が再び閉じられ、
前記第2の負圧時間(t2up,Ci)と前記第1の負圧時間(t2up,Ci)との間の負圧時間差(Δtup,Ci)が決定される、方法において、
前記負圧時間差のうちの1つ(Δtup,Ci)が所定の第1の基準時間差(Δtup,Ref)を超える場合、前記SCR供給システム(100)の前記空にするプロセスが終了されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記最小圧力は9barであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定の第1の基準時間差(Δtup,Ref)は、前記第1の負圧時間差(Δtup,C1)に依存して決定され、特に前記第1の負圧時間差(Δtup,C1)の倍数に相当することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記圧力緩和段階において前記計量バルブ(130)を開くことで開始し、前記所定の第1の負圧(pup1)の前記圧力ライン(122)の前記圧力(p)に達することで、または前記計量バルブ(130)が閉じることで第1の圧力緩和時間(t1pr,Ci)および第2の圧力緩和時間(t2pr,Ci)が決定され、
前記第2の圧力緩和時間(t2pr,Ci)と第1の圧力緩和時間(t1pr,Ci)との間の圧力緩和時間差(Δtpr,Ci)が決定され、
前記圧力緩和時間差のうちの1つ(Δtpr,Ci)が所定の第2の基準時間差(Δtpr,Ref)を超える場合、前記空にするプロセスが終了されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の第2の基準時間差(Δtpr,Ref)は、前記第1の圧力緩和時間差(Δtpr,C1)に依存して決定され、特に前記第1の圧力緩和時間差(Δtpr,C1)の倍数に相当することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記圧力ライン(122)の前記圧力(p)が、前記所定の第1の負圧(pup1)を乗じた所定のファクタに達することにより、第2の圧力緩和時間(t2pr,ci)が決定されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法を実行するように設定されたコンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項に記載のコンピュータプログラムを有する電子記憶媒体。
【請求項9】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法を実行するように設定された装置、特に制御装置(150)。
【外国語明細書】