(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073384
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】レーザプラスチック溶接温度決定用パイロメータ装置およびレーザプラスチック溶接用システム
(51)【国際特許分類】
B29C 65/16 20060101AFI20240522BHJP
G02B 6/26 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
B29C65/16
G02B6/26
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023193323
(22)【出願日】2023-11-14
(31)【優先権主張番号】22208140
(32)【優先日】2022-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512058490
【氏名又は名称】ライスター テクノロジーズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー フランケ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル クサッティ
【テーマコード(参考)】
2H137
4F211
【Fターム(参考)】
2H137AA13
2H137AB01
2H137BA01
2H137BC31
2H137BC32
4F211AK03
4F211AP05
4F211AQ01
4F211AR06
4F211TA01
4F211TC03
4F211TD11
4F211TN27
4F211TQ10
(57)【要約】
【課題】レーザプラスチック溶接のための改良されたシステムおよびレーザプラスチック溶接における温度決定のためのパイロメータ装置を提供する。
【解決手段】第1の光ファイバ(31)用の第1のファイバコネクタ(61)と、第2の光ファイバ(32)用の第2のファイバコネクタ(62)と、放射温度センサ(63)と、を備え、該パイロメータ装置(60)が、第1のファイバコネクタ(61)を介して受けたプロセスレーザ照射(71)を第2のファイバコネクタ(62)に送り、第2のファイバコネクタ(62)を介して出力するように構成され、該パイロメータ装置(60)が、第2のファイバコネクタ(62)を介して受けた熱放射(72)を放射温度センサ(63)に送るように構成されている、パイロメータ装置(60)。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザプラスチック溶接における温度決定のためのパイロメータ装置(60)であって、
第1の光ファイバ(31)用の第1のファイバコネクタ(61)と、
第2の光ファイバ(32)用の第2のファイバコネクタ(62)と、
放射温度センサ(63)と、
を備え、
前記パイロメータ装置(60)が、前記第1のファイバコネクタ(61)を介して受けたプロセスレーザ照射(71)を前記第2のファイバコネクタ(62)に送り、前記第2のファイバコネクタ(62)を介して出力するように構成され、
前記パイロメータ装置(60)が、前記第2のファイバコネクタ(62)を介して受けた熱放射(72)を前記放射温度センサ(63)に送るように構成されている、パイロメータ装置。
【請求項2】
前記パイロメータ装置(60)が、前記第1のファイバコネクタ(61)を介して、外部ビーム源(20)により供給されたプロセスレーザ照射(71)を受け、前記プロセスレーザ照射(71)を前記第2のファイバコネクタ(62)に送り、前記第2のファイバコネクタ(62)を介して前記プロセスレーザ照射(71)を出力するように構成されている、請求項1に記載のパイロメータ装置。
【請求項3】
前記パイロメータ装置(60)が、前記第2のファイバコネクタ(62)を介して、外部プロセス光学系(40)から受けた熱放射を前記放射温度センサ(63)に送るように構成されている、請求項1に記載のパイロメータ装置。
【請求項4】
前記パイロメータ装置(60)が、(a)前記第1のファイバコネクタ(61)からのプロセスレーザ照射(71)を前記第2のファイバコネクタ(62)に送り、(b)前記第2のファイバコネクタ(62)を介して受けた熱放射(72)を前記放射温度センサ(63)に送るように配置および構成されている部分透過ミラー(64)を備える、請求項1に記載のパイロメータ装置(60)。
【請求項5】
前記第1のファイバコネクタ(61)、前記第2のファイバコネクタ(62)、前記部分透過ミラー(64)および前記放射温度センサ(63)は、
前記部分透過ミラー(64)が、前記第1のファイバコネクタ(61)からの前記プロセスレーザ照射(71)を反射して、前記第2のファイバコネクタ(62)へと方向変換するように、かつ、前記部分透過ミラー(64)が、前記第2のファイバコネクタ(62)を介して受けた前記熱放射(72)を通過させ、前記放射温度センサ(63)に送るように、
配置および構成されている、請求項4に記載のパイロメータ装置。
【請求項6】
前記パイロメータ装置(60)が、前記第1のファイバコネクタ(61)と前記第2のファイバコネクタ(62)との間の光学結合を調整するように構成されている第1の調整装置(68)をさらに備えている、請求項1に記載のパイロメータ装置。
【請求項7】
前記パイロメータ装置(60)が、前記第2のファイバコネクタ(62)と前記放射温度センサ(63)との間の光学結合を調整するように構成されている第2の調整装置(69)をさらに備える、請求項1に記載のパイロメータ装置。
【請求項8】
前記プロセスレーザ照射(71)が、900nm~1,100nmの範囲の波長を有し、および/または、前記熱放射(72)が、1,700nm~2,300nmの範囲の波長を有し、および/または、前記プロセスレーザ照射(71)が、前記放射温度センサ(63)の評価可能スペクトルの中心または縁部に存在する、請求項1に記載のパイロメータ装置。
【請求項9】
前記放射温度センサ(63)の前方にスペクトルフィルタ(65)が配置され、前記プロセスレーザ照射(71)を遮断するように構成されている、請求項1に記載のパイロメータ装置。
【請求項10】
前記パイロメータ装置(60)が、
前記第1のファイバコネクタ(61)に接続されている第1の光ファイバ(31)、および/または、
前記第2のファイバコネクタ(62)に接続されている第2の光ファイバ(32)、
をさらに備えている、請求項1に記載のパイロメータ装置。
【請求項11】
前記第2の光ファイバ(32)が、前記第1の光ファイバ(31)よりも大きなコア径を有する、請求項10に記載のパイロメータ装置。
【請求項12】
前記第2の光ファイバ(32)が、前記第1の光ファイバ(31)よりも大きなビームパラメータ積(BPP)を有する、請求項10に記載のパイロメータ装置。
【請求項13】
前記パイロメータ装置(60)が、(a)前記第1のファイバコネクタ(61)を介して受けた前記プロセスレーザ照射(71)のレーザ出力を測定するためのパワーメータ(81)、および/または、(b)光源をさらに備え、前記第2のファイバコネクタ(62)を介して、前記光源からの光、特に可視光を出力するように構成されている、請求項1に記載のパイロメータ装置。
【請求項14】
レーザプラスチック溶接のためのシステム(200)であって、
レーザプラスチック溶接のためのレーザビーム源(20)と、
レーザプラスチック溶接のためのプロセス光学系(40)と、
請求項1~請求項13のいずれか1項に記載のレーザプラスチック溶接における温度決定のためのパイロメータ装置(60)と、
を備え、
前記レーザビーム源(20)が、第1の光ファイバ(31)を介して、前記パイロメータ装置の前記第1のファイバコネクタ(61)に結合され、
前記プロセス光学系(40)が、第2の光ファイバ(32)を介して、前記パイロメータ装置の前記第2のファイバコネクタ(62)に結合されている、システム。
【請求項15】
前記レーザビーム源(20)が、ファイバ結合ダイオードレーザまたはファイバレーザである、請求項14に記載のレーザプラスチック溶接のためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプラスチック溶接における温度決定のためのパイロメータ装置に関する。本発明はさらに、レーザビーム源と、レーザプラスチック溶接のためのプロセス光学系と、レーザプラスチック溶接における温度決定のためのパイロメータ装置とを備えたレーザプラスチック溶接のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最先端の技術により、プラスチック、特に熱可塑性プラスチック、を高温空気およびレーザ照射によって溶接するためのシステムが一般に知られている。熱可塑性プラスチックのレーザ溶接においては通例、レーザビームに対して透明な接合相手が吸収性の接合相手に接合される。レーザビームは、専門用語で接合相手と称する透明プラスチックを貫通して、吸収性プラスチックに当たる。そこで照射のエネルギーが熱に変換され、プラスチックが融ける。透明プラスチックとの接触により、熱伝導によって透明プラスチックも融け、吸収性プラスチックと結合する。両プラスチックが冷えると直ちに、材料結合が形成される。
【0003】
特許文献1は、高い溶接速度でプラスチック材料を接合するための方法および装置を開示している。透過技術によってエンドレスのプラスチック材料を接合するための方法および装置が記載されている。接合のため、エンドレスの材料は、互いに押し合う2つの対向ローラにガイドされる。第1のローラは、レーザビームを透過する材料からなり、管状である。第2のローラは、表面を容易に変形可能な材料により形成されているため、その表面が第1のローラの形状に適応可能である。第1のローラにおいては、接合対象の材料間の接触面でレーザビームを生成するための手段が配置されている。これにより、ビームが材料の移動方向に沿う線形レーザビームとして供給されることから、過度に高いレーザ出力を供給する必要なく、材料の通過時に融点までの連続加熱が発生する。この方法および装置によれば、高速の連続結合が可能となる。温度測定のため、温度のIR測定用のパイロメータを設けることができる。この測定により、溶融帯を観察し、それに対応してレーザ出力を制御することができる。IR測定用の装置は、第1のローラの内側ひいてはプロセスヘッドの内側に配置されているのが好ましい。
【0004】
特許文献2は、3次元に延びている少なくとも2つのワークピースをレーザ透過溶接によって接続するための方法および装置を開示しており、ワークピースは、クランプ装置により接合領域において局所的に一体押圧されている。接合領域は、少なくとも2つの隣り合う接合領域断片に細分され、入射角がそれぞれ異なるレーザビームによって同時または準同時に加工されるものとしている。この方法の好適な一実施の形態においては、レーザビームによってワークピースに伝わるエネルギーが制御される。このため、ワークピースの接合領域における温度が非接触で(たとえば、パイロメータにより)検出されるのが好ましく、各接合領域断片に入力されるエネルギーは検出温度に応じて適応され、かかる適応は、そのようにレーザビームの移動速度を増減させることによるのが好ましい。
【0005】
特許文献3は、プラスチックにより構成されているワークピースを接合するための方法を開示しており、2つのワークピースの隣り合う接触面が融けてその後の加圧冷却において一体的に接合されるように、レーザ源に対向する上側ワークピースがレーザビームに対して透明な材料からなり、下側ワークピースがレーザビームを吸収する材料からなっており、ここで、接合対象の部位へのレーザビームのガイドおよびワークピースの機械的な一体押圧は、1つの加工ヘッドによって同時に実行され、また、加工ヘッドには、溶接部位から生じる熱放射を温度測定装置へと偏向させるビームスプリッタを組み込むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1366890 A1号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第3181331 A1号明細書
【特許文献3】欧州特許第1405713 B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような背景に対して、本発明の目的は、レーザプラスチック溶接のための改良されたシステムおよびレーザプラスチック溶接における温度決定のためのパイロメータ装置を提供することである。また、プロセスヘッドの重量およびサイズを小さく保つのが望ましい。さらに、既存の機器であっても、プロセス精度をさらに向上させるのが望ましい。さらに、調整の容易化および/または設置労力の低減を図るのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、レーザプラスチック溶接における温度決定のためのパイロメータ装置であって、第1の光ファイバ用の第1のファイバコネクタと、第2の光ファイバ用の第2のファイバコネクタと、放射温度センサと、を備え、該パイロメータ装置が、第1のファイバコネクタを介して受けたプロセスレーザ照射を第2のファイバコネクタに送り、第2のファイバコネクタを介して出力するように構成され、該パイロメータ装置が、第2のファイバコネクタを介して受けた熱放射を放射温度センサに送るように構成されている、パイロメータ装置が提供される。
【0009】
本発明の別の態様によれば、レーザビーム源と、レーザプラスチック溶接のためのプロセス光学系と、特に上述のようなレーザプラスチック溶接における温度決定のためのパイロメータ装置と、を備え、レーザビーム源が、第1の光ファイバを介して、パイロメータ装置の第1のファイバコネクタに結合され、プロセス光学系が、第2の光ファイバを介して、パイロメータ装置の第2のファイバコネクタに結合されている、レーザプラスチック溶接のためのシステムが提供される。
【0010】
このように、本発明の一態様に係る解決手段においては、レーザプラスチック溶接のための、温度決定のためのパイロメータ装置の新規の実施の形態および構成が提案されており、第1のファイバコネクタにおけるプロセスレーザ照射用のファイバ結合レーザビーム源と第2のファイバコネクタにおけるファイバ結合プロセスヘッドとの間の挿入モジュールとして、両側ファイバ結合パイロメータ装置を挿入可能である。パイロメータ装置は、それ自体のハウジングにおいて、ファイバ結合レーザビーム源とファイバ結合プロセスヘッド(プロセス光学系とも称する)との間のファイバ経路に挿入可能である。すなわち、レーザビーム源からの光ファイバが提案のパイロメータ装置に入り、パイロメータ装置からの第2の光ファイバがプロセス光学系につながり、これが溶接のために、第2の光ファイバからの照射をワークピースに投射することができる。したがって、プロセスレーザ照射は、最初に第1の光ファイバを通過した後、第2の光ファイバを通過してワークピースに向かう。一方、ワークピースからの熱放射は、反対方向に第2の光ファイバを進んで、パイロメータ装置の放射温度センサ(パイロメータとも称する)に至る。
【0011】
これに対して、本発明者らは、レーザプラスチック溶接における従来技術が他の手法を開示していることに気付いた。一方では、プロセスモニタリングのために、プロセスレーザビームの照射経路に配置されていない別個のパイロメータをこのように使用可能である。他方、従来の解決手段においては、パイロメータが組み込まれたプロセス光学系を使用可能である。
【0012】
ただし、本発明者らは、上記に対して、本発明の態様に係る解決手段がいくつかの利点をもたらすことに気付いた。放射温度センサがプロセス光学系(プロセスヘッド)に配置されていないことから、プロセス光学系を特に軽量化および/または小型化可能である。これにより、たとえば、ロボットによるプロセス光学系の高速移動が可能になる。別の利点として、このように軽量化されたプロセス光学系は、荷重負担能力の低いロボットアームでも移動可能である。別の利点として、プロセス光学系に電子部品を具備する必要がなくなる。これにより、電磁放射すなわちEMCに対する耐性を向上させることができる。別の利点として、パイロメータ装置をプロセス光学系から離して配置可能である。特に、プロセス光学系から距離を置いて、移動、振動、および/または電磁場への曝露の可能性のない場所にパイロメータ装置を固定的に取り付けることができる。
【0013】
別の利点として、既存のシステムのプロセス精度を遡及的にさらに向上可能である。たとえば、これまでパイロメータを有していなかった既存のレーザ溶接システムを遡及的にアップグレードすることができる。このため、プロセスレーザ照射用の既存の(レーザ)ビーム源と既存のプロセス光学系との間のファイバリンクに提案のパイロメータ装置を挿入可能である。ビーム源は、第1の光ファイバによって第1のファイバコネクタに接続される。プロセス光学系は、第2の光ファイバによって第2のファイバコネクタに接続される。パイロメータ装置は、第1のファイバコネクタを介して受けたプロセスレーザ照射を第2のファイバコネクタに送り、第2のファイバコネクタを介して出力するように構成されているため、プロセス光学系を介してプロセスレーザ照射をワークピースに供給することができる。ワークピースから放出された熱放射は、プロセス光学系を介して逆方向に、第2の光ファイバに入る。パイロメータ装置は、第2のファイバコネクタを介して受けた熱放射を放射温度センサに受け渡すように構成されている。また、提案の解決手段の利点として、さまざまなプロセス光学系を柔軟に使用可能である。したがって、各プロセス光学系にそれぞれのパイロメータを組み込む必要がない。その代わりに、パイロメータを組み込むことなく、提案のファイバ結合パイロメータ装置をさまざまなプロセス光学系とともに使用可能である。これにより、さまざまなプロセス光学系を使用する場合のシステムコストをさらに低減可能である。特に、既存のプロセス光学系を継続的に使用し、提案のパイロメータ装置によって後でアップグレードすることができる。
【0014】
第1および/または第2のファイバコネクタとしては、たとえばIPGコリメータコネクタまたはSMAコネクタが可能である。本発明の背景において、SMAコネクタは、IEC 61754‐22に準拠したF‐SMAコネクタを参考にすることができる。第1のファイバコネクタとしては、たとえばIPGコリメータコネクタが可能である。第2のファイバコネクタとしては、たとえばIEC 61754‐22に準拠したF‐SMAコネクタが可能である。本発明の背景において、ファイバコネクタ(fiber connector)という用語は、ガラスで構成されている光ファイバまたはプラスチック光ファイバ等の光ファイバ(光伝導ファイバ、光ガイド、または光ファイバケーブル)用のコネクタを言うことができる。本発明の背景において、プロセス光学系は、レーザプラスチック溶接のためのプロセス照射がワークピースに供給されるプロセスヘッドを言うことができる。特に、プロセスヘッドは、第2の光ファイバ用のファイバコネクタを備えることができる。プロセスヘッドは、レンズ、DOE(回折光学素子)等の1つまたは複数のビーム成形素子をさらに備えることができる。
【0015】
このパイロメータ装置は、第1のファイバコネクタを介して、外部ビーム源により供給されたプロセスレーザ照射を受け、プロセスレーザ照射を第2のファイバコネクタに送り、第2のファイバコネクタを介してプロセスレーザ照射を出力するように構成可能である。このパイロメータ装置は、第2のファイバコネクタを介して、外部プロセス光学系から受けた熱放射を放射温度センサに送るように構成可能である。
【0016】
言い換えると、プロセスレーザ照射は、外部レーザビーム源により供給される。使用されるレーザビーム源としては、たとえばファイバ結合ダイオードレーザまたはファイバレーザが可能である。レーザ照射は、第1の光ファイバを介して第1のファイバコネクタに供給される。一方、プロセス光学系は、第2の光ファイバを介して第2のファイバコネクタに接続可能である。プロセスレーザ照射は、プロセス光学系を介してワークピースに供給される(たとえば、自由ビームとしてワークピースに集光される)。熱放射については、外部プロセス光学系から反対方向に受け、第2の光ファイバおよび第2のファイバコネクタを介して放射温度センサに送ることができる。
【0017】
このパイロメータ装置は、部分透過ミラーを備えることができる。部分透過ミラーは、第1のファイバコネクタからのプロセスレーザ照射を第2のファイバコネクタに送るように配置および構成可能である。部分透過ミラーは、第2のファイバコネクタを介して受けた熱放射を放射温度センサに送るように配置および構成可能である。これにより、熱放射またはプロセスレーザ照射を方向変換可能である。言い換えると、部分透過ミラーは、熱放射を透過可能であるとともに、プロセスレーザ照射を方向変換可能である。あるいは、部分透過ミラーは、プロセスレーザ照射を透過可能であるとともに、熱放射を方向変換可能である。
【0018】
別の改良形態において、第1のファイバコネクタ、第2のファイバコネクタ、部分透過ミラー、および放射温度センサは、部分透過ミラーが、第1のファイバコネクタからのプロセスレーザ照射を反射して、第2のファイバコネクタへと方向変換するように、また、部分透過ミラーが、第2のファイバコネクタを介して受けた熱放射を通過させ、放射温度センサに送るよう構成されるように、配置および構成可能である。本例においては、レーザ照射を反射する部分透過ミラーがこのように挿入されて、熱放射を通過させる。
【0019】
このパイロメータ装置は、第1のファイバコネクタと第2のファイバコネクタとの間の光学結合を調整(または、最適化)するように構成されている第1の調整装置を備えることができる。第1の調整装置は、たとえば第2のファイバコネクタに対する第1のファイバコネクタの位置のシフトおよび/または入射角の適応を行うように構成可能である。ただし、第1の調整装置は、第2のファイバコネクタ用の集光レンズ等の光学素子を第2のファイバコネクタに対して調整するように構成することも可能である。また、第1の調整装置は、部分透過ミラーを調整することにより、第1のファイバコネクタと第2のファイバコネクタとの間の光学結合を調整するように構成可能である。本実施の形態の利点として、簡単、柔軟、および/または正確な組み立てが可能である。
【0020】
さらにまたはあるいは、このパイロメータ装置は、第2のファイバコネクタと放射温度センサとの間の光学結合を調整(または、最適化)するように構成されている第2の調整装置を備えることができる。第2の調整装置は、たとえば放射温度センサに対する第2のファイバコネクタの位置のシフトおよび/または入射角の適応を行うように構成可能である。特に、第2の調整装置は、放射温度センサの位置を調整するように構成可能である。ただし、第2の調整装置は、第2のファイバコネクタ用の集光レンズ等の光学素子を第2のファイバコネクタに対して調整するように構成することも可能である。また、第2の調整装置は、部分透過ミラーを調整することにより、放射温度センサと第2のファイバコネクタとの間の光学結合を調整するように構成可能である。本実施の形態の利点として、簡単、柔軟、および/または正確な組み立てが可能である。
【0021】
プロセスレーザ照射は、900nm~1,100nmの範囲の波長を有することができる。熱放射は、1,700nm~2,300nmの範囲の波長を有することができる。プロセスレーザ照射は、放射温度センサの評価可能(検出可能または分析可能)スペクトルの中心または縁部に存在する可能性がある。本実施の形態の利点として、光ファイバ、特にガラス光ファイバを、両波長範囲で十分に透明なものとすることができる。プロセスレーザ照射は、たとえば1μmの波長の範囲である。光学的に透明なほとんどのプラスチックの透過率は、2.3μmの波長を超えると著しく低下することが多い。このため、一方では、プロセスレーザ照射によって有利なエネルギー入力を実現可能であり、他方では、第2の光ファイバが戻り経路でも伝送可能な波長範囲の熱放射によってプロセスモニタリングを実行可能である。
【0022】
任意選択として、このパイロメータ装置の放射温度センサの前方に、プロセスレーザ照射を遮断するように構成されているスペクトルフィルタを配置可能である。本実施の形態の利点として、測定精度をさらに向上可能である。さらに、プロセスレーザ照射から放射温度センサを保護することができる。特に、第2のファイバコネクタを介して熱放射を受けるが、プロセスレーザ照射がワークピースに達する場合もこの第2のファイバコネクタを介することになるため、過剰な量のプロセスレーザ照射が放射温度センサに達することを回避可能である。
【0023】
このパイロメータ装置は、第1のファイバコネクタに接続されている第1の光ファイバを備えることができる。このパイロメータ装置は、第2のファイバコネクタに接続されている第2の光ファイバを備えることができる。言い換えると、第1の光ファイバおよび/または第2の光ファイバをパイロメータ装置の一部とすることができる。本実施の形態の利点として、第1のファイバコネクタを介して受けたプロセスレーザ照射が第2のファイバコネクタに送られ、第2のファイバコネクタを介して出力されるようにする適正な結合および/もしくは調整、ならびに/または、第2のファイバコネクタを介して受けた熱放射が放射温度センサに送られるようにする適正な結合および/もしくは調整を事前に、特に顧客への納入前に、行うことができる。使用のためには、レーザビーム源を第1の光ファイバに接続し、プロセス光学系を第2の光ファイバに接続しさえすればよい。
【0024】
第2の光ファイバは、第1の光ファイバよりも大きなコア径を有することができる。このため、プロセス光学系までの第2の光ファイバのコア径は、レーザビーム源までの光ファイバのコア径よりも大きいのが好ましい。たとえば、レーザビーム源までの第1の光ファイバは、第1のコア径300μmを有することができ、プロセス光学系までの第2の光ファイバは、第2のコア径600μmを有することができる。本実施の形態の利点として、レーザ光の正確なビームガイドおよび容易な結合を提供可能である。小さなコア径の第1の光ファイバおよび大きなコア径の第2の光ファイバの組み合わせによって、第2のファイバコネクタへのプロセス照射の中継もしくは送達の容易化ならびに/またはプロセス光学系からのフィードバックの容易化が可能となる。第2の例によれば、第2の光ファイバは、コア径220μmを有することができ、第1の光ファイバは、コア径200μmを有することができる。コア径が大きな第2の光ファイバとの第1の光ファイバの組み合わせは、提案のパイロメータ装置において有利となる可能性がある。プロセスレーザ照射が第1のファイバコネクタから第2のファイバコネクタに結合または送達される際、任意の結像誤差またはアライメントの逸脱によって、ビーム品質が低下すると考えられるためである。提案の組み合わせは、組み立ておよびアライメントを容易化するとともに、いかなるビーム品質の低下にも対応することができる。
【0025】
さらにまたはあるいは、第2の光ファイバは、第1の光ファイバよりも大きなビームパラメータ積(BPP)を有することができる。ビームパラメータ積は、ビーム品質の尺度と捉えることができる。これは、ビーム径およびその発散に比例する。BPPは、結像または収差等によって劣化する可能性があることから、BPPの大きな第2の光ファイバを選択することによって、第1の光ファイバから第2の光ファイバへのプロセスレーザ照射の移行または送達が容易となる。コア径および/または開口数(NA)の大きな第2の光ファイバ、すなわち、BPPの大きな第2の光ファイバを提供するのが好都合である。ピンホールの使用等の他の解決手段と比較して、本手法の利点は、ピン開口部によってビーム透過の効率が低下しない点である。レーザプラスチック溶接の特定用途のシナリオでは、開口部の冷却が必要となる可能性もある。
【0026】
このパイロメータ装置は、第1のファイバコネクタを介して受けたプロセスレーザ照射のレーザ出力を測定するためのパワーメータを備えることができる。本解決手段の利点は、相乗効果である。これは、パワーメータおよびパイロメータを1つのステップで一体的に組み込み可能なためである。さらにまたはあるいは、このパイロメータ装置は、(ポインタ)光源を備え、第2のファイバコネクタを介して、光源からの光、特に可視光を出力するように構成可能である。本解決手段の利点として、プロセス光学系にもレーザビーム源にもポインタ光源が不要となる。したがって、プロセス光学系をより高いコスト効率で製造可能となる。これは、変更可能な異なるプロセス光学系が使用される場合に特に都合が良い。別の利点として、プロセスレーザビーム用の異なるレーザビーム源も使用可能であり、第1のファイバコネクタを介して接続されるレーザビーム源においてポインタ光源がもはや不要となる。また、プロセスレーザ照射のみを第1のファイバコネクタから第2のファイバコネクタに送ればよく、レーザビーム源に設けられたポインタ光源の逸脱した付加的な光波長が不要となるため、パイロメータ装置のビーム経路にも都合が良い。これが特に重要なのは、ポインタ光源の波長(可視スペクトル域の波長)とプロセスレーザ照射の波長(通例は、赤外スペクトル域のレーザ照射)とが異なるためである。
【0027】
パイロメータ装置は、放射温度センサおよび/またはパワーメータの測定データを提供するための通信インターフェースを備えられることが了解されるものとする。たとえば、製造機器またはレーザプラスチック溶接のためのシステムの他の構成要素に対するパイロメータ装置のデータ接続が可能である。パイロメータ装置からのデータは、文書化目的での格納または(オンライン)プロセス制御での使用が可能である。たとえば、温度センサからの測定データに基づいて、ワークピースまたはプロセスヘッドのレーザ出力または送り速度を制御可能である。提案のパイロメータ装置の利点として、特に、パイロメータ装置による放射温度センサでの測定データ取得によって、既存の機器も改良可能である。
【0028】
レーザプラスチック溶接のためのシステムにおいては、パイロメータ装置から離してレーザビーム源を配置可能である。同様に、パイロメータ装置から離してプロセス光学系を配置可能である。レーザビーム源は、第1の光ファイバを介して、パイロメータ装置の第1のファイバコネクタに接続可能である。プロセス光学系は、第2の光ファイバを介して、パイロメータ装置の第2のファイバコネクタに接続可能である。レーザビーム源としては、ファイバ結合ダイオードレーザまたはファイバレーザが可能である。
【0029】
提案の解決手段の利点として、特に、プロセス光学系を大幅に変更する必要がない。既存のプロセス光学系を使用し、後でアップグレードすることができる。
【0030】
本発明の第1の態様について詳しく上述した利点は、本発明の他の態様にも対応して当てはまる。
【0031】
前述の特徴および以下に説明する特徴は、それぞれ示した組み合わせのみならず、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組み合わせでの使用または別々の使用も可能であることが了解されるものとする。
【0032】
本発明の例示的な実施の形態については、以下の図面に示すとともに、以下の記述においてより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、レーザプラスチック溶接のための従来システムの模式図である。
【
図2】
図2は、ファイバ結合パイロメータ装置を備えたレーザプラスチック溶接のためのシステムの模式図である。
【
図3】
図3は、パイロメータ装置の第1の実施の形態の斜視図である。
【
図5】
図5は、パイロメータ装置の第2の実施の形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、レーザプラスチック溶接のための従来システム100の模式図である。図示の例においては、透明な接合相手1および吸収性の接合相手2がプロセスレーザビーム3によって溶接される。レーザビーム3は、透明プラスチック1を貫通して吸収性プラスチック2に当たり、照射のエネルギーが熱に変換されてプラスチックが融ける。透明プラスチック1との接触により、透明プラスチックも融け、吸収性プラスチック2と結合する。両プラスチックが冷えると直ちに、材料結合が形成される。
【0035】
従来システム100は、光ファイバ30を介してプロセスヘッド40に接続されているレーザビーム源20を備える。使用されるレーザビーム源20としては、たとえばファイバ結合ダイオードレーザまたはファイバレーザが可能である。プロセスヘッド40は、光ファイバ30用のファイバコネクタ41を備える。プロセスヘッド40は、レンズ、DOE(回折光学素子)等の1つまたは複数のビームガイド素子42をさらに備えて、2つの接合相手1、2を含むワークピースにレーザ照射を供給することができる。システムは、レーザビーム源20を制御するためのコントローラ50をさらに備えることができる。たとえば、レーザビーム源20の出力を調整可能である。
【0036】
図2は、レーザプラスチック溶接における温度決定のためのファイバ結合パイロメータ装置60を追加で備えたレーザプラスチック溶接のためのシステム200の模式図である。パイロメータ装置60は、第1の光ファイバ31用の第1のファイバコネクタ61を備える。第1の光ファイバ31は、レーザビーム源20をパイロメータ装置60に接続する。パイロメータ装置60は、第2の光ファイバ32用の第2のファイバコネクタ62をさらに備える。第2の光ファイバ32は、パイロメータ装置60をプロセスヘッド40に接続する。プロセスヘッド40としては、従来のプロセスヘッド、特に、パイロメータ装置が組み込まれていないプロセスヘッドが可能である。パイロメータ装置60の他の実施の形態については、
図3~
図6に詳しく示す。
【0037】
パイロメータ装置60は、第1のファイバコネクタ61を介して、外部レーザビーム源20により供給されたプロセスレーザ照射を受け、プロセスレーザ照射を第2のファイバコネクタ62に送り、第2のファイバコネクタ62を介してプロセスレーザ照射を出力するように構成されている。プロセスレーザ照射は、第2のファイバコネクタ62から第2の光ファイバ32を介してプロセスヘッド40にガイドされる。ただし、パイロメータ装置60から第2の光ファイバ32を介してプロセスヘッド40にガイドされるのは、プロセスレーザ照射だけではない。プロセスヘッド40から受けた熱放射も第2の光ファイバを介してパイロメータ装置60へと反対方向にガイドされる。プロセスレーザ照射は、参照記号71により示される。ワークピースから放出された熱放射は、参照記号72により示される。パイロメータ装置60は、外部プロセス光学系40から第2のファイバコネクタ62を介して受けた熱放射72を該パイロメータ装置の放射温度センサ63に送るように構成されている。放射温度センサ63は、パイロメータとも称することができる。
【0038】
図2に示すように、パイロメータ装置60は、たとえば(a)第1のファイバコネクタからのプロセスレーザ照射を第2のファイバコネクタに送り、(b)第2のファイバコネクタを介して受けた熱放射を放射温度センサに送るように配置および構成されている部分透過ミラー64を備えることができる。図示の例においては、プロセスレーザ照射71が方向変換される。図示の例において、第1のファイバコネクタ、第2のファイバコネクタ、部分透過ミラー、および放射温度センサは、部分透過ミラー64が、第1のファイバコネクタ61からのプロセスレーザ照射を反射して、第2のファイバコネクタ62へと方向変換するように、また、部分透過ミラー64が、第2のファイバコネクタを介して受けた熱放射を通過させ、放射温度センサ63に送るように、配置および構成されている。
【0039】
また、提案のパイロメータ装置は、レーザビーム源20とプロセスヘッド40との間のファイバ経路に遡及的に挿入して、レーザプラスチック溶接のためのシステム200を遡及的にアップグレード可能であるのが好ましい。別の利点として、さまざまなプロセスヘッド40および/またはさまざまなレーザビーム源20を、それぞれの要件に応じて使用可能である。パイロメータ装置60は、プロセスヘッド40から離して配置可能である。このため、より小さくて軽量のプロセスヘッドを使用することができる。他の利点については、導入部で説明済みである。
【0040】
図2において第1の光ファイバ31および第2の光ファイバ32を異なる線幅で示しているように、第2の光ファイバ32は、第1の光ファイバ31よりも大きなコア径を有するのが好ましい。さらにまたはあるいは、第2の光ファイバ32は、第1の光ファイバ31よりも大きなビームパラメータ積(BPP)を有することができる。たとえば、レーザビーム源20までの第1の光ファイバ31は、第1のコア径300μmを有することができ、プロセス光学系40までの第2の光ファイバ32は、第2のコア径600μmを有することができる。第2の例によれば、第2の光ファイバ32は、コア径220μmを有することができ、第1の光ファイバ31は、コア径200μmを有することができる。本実施の形態は、パイロメータ装置60において、第1の光ファイバ31から第2の光ファイバ32への伝達を容易化する。
【0041】
また、レーザプラスチック溶接のためのシステム200は、レーザビーム源20を制御するためのコントローラ50をさらに備えることができる。コントローラ50は、たとえば放射温度センサ63からの測定データを該コントローラに伝達する通信インターフェースを介して、放射温度センサにさらに接続可能である。このため、溶接プロセスのプロセスモニタリングを実行可能である。特に、溶接スポットで所望の温度が実現されるように、レーザビーム源20のレーザ出力を制御することができる。さらにまたはあるいは、放射温度センサ63が測定した温度に基づいて、ワークピースおよびプロセスヘッド40の互いの送り速度を制御可能である。
【0042】
図3および
図4は、パイロメータ装置60の第1の実施の形態の斜視図および上面図である。ここでも、パイロメータ装置60は、第1の光ファイバ31用の第1のファイバコネクタ61、第2の光ファイバ32用の第2のファイバコネクタ62、および放射温度センサ63を備える。第1のファイバコネクタ61としては、たとえばIPGコリメータポートが可能である。第2のファイバコネクタ62としては、たとえばIEC 61754‐22に準拠したF‐SMAコネクタが可能である。ただし、他のコネクタも使用可能である。部分透過ミラー64は、第1のファイバコネクタ61を介して受けたプロセスレーザ照射を第2のファイバコネクタ62に送る。部分透過ミラー64は、第2のファイバコネクタ62を介して受けた熱放射を透過して、これを放射温度センサ63に送る。
【0043】
任意選択として、放射温度センサ63の前方にフィルタ65を設けることができる。フィルタ65は、プロセスレーザ照射を遮断するかまたは減衰させるように構成されている。これにより、放射温度センサ63がプロセスレーザ照射から保護され、溶接の温度測定時に、より良い測定結果を実現可能である。
【0044】
図3は、放射温度センサ63に接続されている回路基板66の形態の付加的な電子モジュールを示している。この電子モジュールとしては、
図2に示すように、放射温度センサ63を動作させるための構成要素および/またはコントローラ50に接続するための通信インターフェースが可能である。
【0045】
図3および
図4に示すように、パイロメータ装置60は、第1のファイバコネクタ61と第2のファイバコネクタ62との間の光学結合を調整するように構成されている第1の調整装置68を備えることができる。たとえば、好ましくは可能な限り損失を抑えつつ第1のファイバコネクタ61から第2のファイバコネクタ62へとプロセスレーザ照射が伝達されるように、主ビーム方向と直交するx-y平面内の調整、ビーム偏向、および/またはプロセスレーザ照射の集光を実行することができる。原理上、パイロメータ装置60は、第1のファイバコネクタ61に接続されている第1の光ファイバ31および/または第2のファイバコネクタ62に接続されている第2の光ファイバ32を備えることができる。したがって、第1の光ファイバおよび/または第2の光ファイバを既にパイロメータ装置60の一部とすることができる。この場合は、パイロメータ装置60の製造時点で既に調整が実行可能である。これにより、顧客での組み立てが容易となる。
【0046】
さらにまたはあるいは、パイロメータ装置は、第2のファイバコネクタ62と放射温度センサ63との間の光学結合を調整するように構成されている第2の調整装置69を備えることができる。本例においては、放射温度センサ63用のホルダに第2の調整装置69を組み込むことができる。ただし、別個の調整装置69を設けることも可能である。
【0047】
図5および
図6は、パイロメータ装置60の別の実施の形態の斜視図および上面図である。パイロメータ装置は、該パイロメータ装置の光学部品が配置されるハウジングを備えることができる。図示の実施の形態は、コンパクトなアセンブリを提供しており、レーザビーム源20とプロセス光学系40との間のファイバ経路に容易に組み込み可能である。
図6の上面図においては、プロセスレーザ照射71および熱放射72のビーム経路を強調している。
【0048】
図5および
図6に示すように、パイロメータ装置は、第1のファイバコネクタを介して受けたプロセスレーザ照射のレーザ出力を測定するためのパワーメータ81をさらに備えることができる。部分透過ミラーは、第1のファイバコネクタ61を介して受けたプロセスレーザ照射71の大部分を第2のファイバコネクタ62に送る。ただし、わずかな部分は、反射されずにパワーメータ81に達する。部分透過ミラー64による偏向のため、任意選択として、パワーメータ81の前方の光減衰器または減光フィルタを省略することができる。これにより、製造コストを削減するとともに、組み立てを簡素化することができる。
【0049】
任意選択として、パイロメータ装置は、ポインタ光源とも称する光源(図示せず)を組み込むことができ、第2のファイバコネクタを介して、光源からの光、特に可視光を出力するように構成されている。ポインタ光源からの光は、たとえば別の部分透過ミラーを介して、ビーム経路に結合することができる。また、ポインタ光源からの光は、第2の光ファイバおよびプロセス光学系を介してワークピースにガイドされ、プロセスレーザ照射により加熱されたエリアを示す光学的なマーカをユーザに提供することができる。これにより、プロセスヘッドおよびワークピースの位置決めが容易となる。
【0050】
結論として、本明細書に提案の解決手段によれば、レーザプラスチック溶接のための改良されたシステムおよびレーザプラスチック溶接における温度決定のためのパイロメータ装置を提供可能である。特に、既存システムも遡及的に改良またはアップグレード可能である。また、プロセスヘッドの重量およびサイズを小さく保つことができる。
【外国語明細書】