(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073389
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】時計部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
G04B 45/00 20060101AFI20240522BHJP
A44C 5/00 20060101ALI20240522BHJP
A44C 27/00 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
G04B45/00 D
A44C5/00 C
A44C27/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023194175
(22)【出願日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】22207941.0
(32)【優先日】2022-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】599091346
【氏名又は名称】ロレックス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】ROLEX SA
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スラン, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ディ ピアザ, フィリップ
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114AA01
3B114AA11
3B114AA21
3B114BD03
3B114JA01
3B114JA07
3B114JB03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】少なくとも1つの補完要素及びまたは1つの追加機能性を含むと同時に、十分な機械的性質を有し、信頼性があり安定した、繰り返し可能な態様で簡単に得られる、審美的に魅力的な結果を有する、時計部品の製造の解決策を提案すること。
【解決手段】少なくとも1つの締結要素12を含む、時計部品10の製造方法であって、
少なくとも1つの締結要素12を、少なくとも1つの案内要素を用いて、製造金型内に位置決めする、
少なくとも1つの締結要素12を素材によりオーバーモールドする、即ち素材により少なくとも部分的に包み配置するため、製造金型を素材で充填する、
素材と少なくとも1つの締結要素12により少なくとも部分的に形成された時計部品10を製造金型から除去する、
ステップを含む、
時計部品(10)の製造方法。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの締結要素(12)を含む、時計部品(10)の製造方法であって、
少なくとも1つの締結要素(12)を、少なくとも1つの案内要素(25;35)を用いて、製造金型(20)内に位置決めする、
前記少なくとも1つの締結要素(12)を素材によりオーバーモールドする、即ち素材により少なくとも部分的に包み配置するため、前記製造金型(20)を素材で充填する、
前記素材と前記少なくとも1つの締結要素(12)により少なくとも部分的に形成された前記時計部品(10)を前記製造金型(20)から除去する、
ステップを含む、
時計部品(10)の製造方法。
【請求項2】
前記製造金型(20)は、製造されるべき前記時計部品の形状に対応するまたは実質的に対応する形状のキャビティ(21)の境界を定める、少なくとも2つの補完的半金型(22、23)を含み、
前記半金型(22、23)の少なくとも1つは、前記製造金型の前記キャビティ(21)内での前記少なくとも1つの締結要素(12)の位置決めを可能にする、前記少なくとも1つの案内要素(25)を含む、及びまたは
前記半金型(22、23)と前記時計部品(10)の少なくとも1つの独立部品が前記製造金型(20)に追加され、前記独立部品は、前記製造金型の前記キャビティ(21)内での前記少なくとも1つの締結要素(12)の位置決めを可能にする、前記少なくとも1つの案内要素(25)を含む、及びまたは
製造されるべき前記時計部品の少なくとも1つのインサート(15)は、前記製造金型(20)の前記キャビティ(21)内に位置決めされ、前記インサート(15)は、前記製造金型の前記キャビティ(21)内での前記少なくとも1つの締結要素(12)の位置決めを可能にする、前記少なくとも1つの案内要素(35)を含み、前記インサート(15)に属する前記少なくとも1つの案内要素(35)は、特に一時的に前記インサート(15)に固定され、前記時計部品が前記金型から除去される際に除去される、突起の形状、または前記インサート(15)内の開口(155)の形状である、
請求項1に記載の時計部品(10)の製造方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの案内要素(25;35)は、前記製造金型(20)のキャビティ(21)内への一方向に突出する、とりわけ前記方向に平行な軸周りに対称的に配置され、とりわけ円筒または円錐台状形状及びまたは前記軸に対して断面円形である、要素であり、前記少なくとも1つの締結要素(12)は、前記少なくとも1つの案内要素(25;35)周りに延長し、とりわけ円筒または円錐台状形状の、及びまたは前記軸に対して断面円形のリングの形状である、及びまたは台座リングの形状である、
請求項1または2に記載の時計部品(10)の製造方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの締結要素(12)は、前記製造金型(20)の前記キャビティ(21)内に位置決めされ、第一半金型(22)から第二の異なる半金型(23)へ、前記キャビティ(21)の全高さにわたり延長する、または第一半金型(22)から第二の異なる半金型(23)の間で、前記キャビティ(21)の高さの一部にわたり延長する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の時計部品(10)の製造方法。
【請求項5】
前記素材の前記オーバーモールドを受けることが意図される前記少なくとも1つの締結要素(12)の表面をテクスチャ化する及びまたは拘束下塗液を追加することからなる、中間ステップを含む、及びまたは少なくとも部分的に前記少なくとも1つの締結要素(12)周りに配置された引掛要素(14)、とりわけ連結リング、とりわけアルミニウムまたはチタン発泡体といったハニカム構造を有する引掛要素を追加することからなる中間ステップを含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の時計部品(10)の製造方法。
【請求項6】
前記製造金型(20)を素材で充填することからなる前記ステップは、前記製造金型(20)のキャビティ(21)内への前記素材の圧力注入からなる、または前記素材のブランクの圧縮成形からなる、
請求項1から5のいずれか一項に記載の時計部品(10)の製造方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの締結要素(12)内へ装飾要素(13)を、とりわけ打ち込みにより、配置するステップを含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の時計部品(10)の製造方法。
【請求項8】
少なくとも1つの締結要素(12)を含む、時計部品(10)、特にブレスレットストランドであって、前記時計部品(10)は、前記少なくとも1つの締結要素(12)を前記時計部品(10)内へ少なくとも部分的に包み配置するオーバーモールド素材に基づく、
時計部品(10)、特にブレスレットストランド。
【請求項9】
前記少なくとも1つの締結要素(12)は、円筒または円錐台状形状の、及びまたは環状断面形状のリングの形状である、及びまたは台座リングの形状である、
請求項8に記載の時計部品(10)、特にブレスレットストランド。
【請求項10】
前記少なくとも1つの締結要素(12)は、前記時計部品(10)の全高さまたは厚さにわたり延長する、または前記時計部品(10)の高さの一部のみにわたり延長する、
請求項8または9に記載の時計部品(10)、特にブレスレットストランド。
【請求項11】
少なくとも1つのインサート(15)であって、前記少なくとも1つの締結要素(12)が、とりわけ前記インサート(15)の突起周りにまたは開口(155)内にまたは前記インサート(15)の表面上に、載置されるまたは配置される、少なくとも1つのインサート(15)を含む、
請求項8から10のいずれか一項に記載の時計部品(10)、特にブレスレットストランド。
【請求項12】
前記少なくとも1つの締結要素(12)は、前記素材がオーバーモールドされる、テクスチャ化された表面及びまたは拘束下塗液を含む表面を含む、または前記少なくとも1つの締結要素(12)は、前記締結要素(12)周りに少なくとも部分的に配置された、引掛要素(14)、とりわけ連結リング、とりわけ前記素材がその中に挿入される、アルミニウムまたはチタン発泡体といったハニカム構造を有する引掛要素を含む、
請求項8から11のいずれか一項に記載の時計部品(10)、特にブレスレットストランド。
【請求項13】
前記素材は、熱可塑性または熱硬化性重合体またはエラストマまたはエラストマ系素材、とりわけフルオロエラストマ(FKM、FFKM、またはFEPM)、または天然ゴム(NR)または合成ゴム(SBR、HNBR、EPDM)、またはビニルメチルシリコン(VMQ)またはフルオロシリコン(FVMQ)である、及びまたは前記少なくとも1つの締結要素(12)は、金属または金属合金製である、
請求項8から12のいずれか一項に記載の時計部品(10)、特にブレスレットストランド。
【請求項14】
前記少なくとも1つの締結要素(12)内へ、とりわけ打ち込みにより、配置された、受け溝内の石、または一体要素といった装飾要素(13)を含む、またはピンバックルの穴といった、ブレスレットストランドの締結部分を形成する、複数の締結要素(12)を含む、
請求項8から13のいずれか一項に記載の時計部品(10)、特にブレスレットストランド。
【請求項15】
請求項8から14のいずれか一項に記載の時計部品(10)を少なくとも1つ含む、時計、とりわけ腕時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計部品の製造方法に関する。本発明はまた、時計部品そのもの、及び当該時計部品を含む時計に関する。
【背景技術】
【0002】
小型時計またはクロック製造分野において、部品へ、例えばブレスレットストランドへ、装飾要素を追加することが望まれる場合がある。より一般的には、特定の部品へ様々な要素及びまたは機能性を追加することが望まれる場合がある。
【0003】
このような追加を生じさせるため、
- 審美性、及び装着時の快適性の意味での、十分な結果、
- 十分な機械的性質を有する結果、
- 信頼性があり、安定した結果、
- 繰り返し可能な態様で、簡単に得られる結果、
の目的の全てまたは一部を達成することが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、本発明の全般的な目的は、少なくとも1つの補完要素及びまたは1つの追加機能性を含むと同時に、十分な機械的性質を有し、信頼性があり安定した、繰り返し可能な態様で簡単に得られる、審美的に魅力的な結果を有する、時計部品の製造の解決策を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明は、少なくとも1つの締結要素を含む、時計部品の製造方法であって、
少なくとも1つの締結要素を、少なくとも1つの案内要素を用いて、製造金型内に位置決めする、
前記少なくとも1つの締結要素を素材によりオーバーモールドする、即ち素材により少なくとも部分的に包み配置するため、前記製造金型を素材で充填する、
前記素材と前記少なくとも1つの締結要素により少なくとも部分的に形成された前記時計部品を前記製造金型から除去する、
ステップを含む、
時計部品の製造方法に基づく。
【0006】
本発明はまた、少なくとも1つの締結要素を含む、時計部品、特にブレスレットストランドであって、前記時計部品は、前記少なくとも1つの締結要素を前記時計部品内へ少なくとも部分的に包み配置するオーバーモールド素材に基づく、時計部品、特にブレスレットストランドに関する。
【0007】
本発明は、より具体的には請求項により定義される。
【0008】
本発明の目的、特徴、及び利点は、添付する図面に関して非限定的な態様で示される、特定の実施形態についての以下の記載においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態にかかる、ブレスレットストランドの製造用金型の第一断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態にかかる、ブレスレットストランドの製造用金型の第二断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第一実施形態にかかる、ブレスレットストランドの製造方法のステップの模式的断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第一実施形態にかかる、ブレスレットストランドの製造方法のステップの模式的断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第一実施形態にかかる、ブレスレットストランドの製造方法のステップの模式的断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第一実施形態にかかる、ブレスレットストランドの製造方法のステップの模式的断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第一実施形態にかかる方法を介して得られた、第一実施変形例にかかるブレスレットストランドの部分断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第一実施形態にかかる方法を介して得られた、第二実施変形例にかかるブレスレットストランドの拡大部分断面図である。
【
図9】
図9は、第二実施変形例にかかるブレスレットストランドを得るための、本発明の第一実施例にかかる製造方法のステップの模式的断面図である。
【
図10】
図10は、第二実施変形例にかかるブレスレットストランドを得るための、本発明の第一実施例にかかる製造方法のステップの模式的断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第二実施形態にかかる、ブレスレットストランドの製造方法のステップの模式的断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第二実施形態にかかる、ブレスレットストランドの製造方法のステップの模式的断面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第二実施形態にかかる、ブレスレットストランドの製造方法のステップの模式的断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第二実施形態にかかる方法を介して得られた、第一実施変形例にかかるブレスットストランドの拡大部分断面図である。
【
図15】
図15は、本発明の第二実施形態にかかる方法を介して得られた、第二実施変形例にかかるブレスレットストランドの拡大部分断面図である。
【
図16】
図16は、本発明の第三実施形態にかかる、ブレスレットストランドの製造方法のステップの模式的断面図である。
【
図17】
図17は、本発明の第三実施形態にかかる、ブレスレットストランドの製造方法のステップの模式的断面図である。
【
図18】
図18は、本発明の第三実施形態にかかる方法を介して得られた、第一実施変形例にかかるブレスレットストランドの拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書中、「上」及び「下」の形容詞は、時計部品の将来の位置を称するために用いられる。例えば、ブレスレットストランドの場合、「下」の形容詞は、装着者の手首側にあることが意図される方向を意味し、「上」の形容詞は、反対の方向を意味する。
【0011】
本発明は、例として、ブレスレットストランドの製造の特定の場合について説明される。変形例として、他の時計部品の製造に用いられても良い。
【0012】
図1及び2は、本発明を実施するために用いられる金型20を図示する。当該金型20は、互いに対して可動である2つの半金型22、23により境界が定められる、キャビティ21を含む。これら2つの半金型22、23はそれぞれ、金型20のキャビティ21の境界画定を、それぞれキャビティ21の上面及び下面を形成する、壁221、231を含む。
図1及び2は、より正確には、それぞれ2つの直角正中面に沿った、キャビティ21の高さでの、金型20の断面を示す。キャビティ21は、製造されるブレスレットストランドの形状に対応する、実質的に平坦且つ長方形状を有し、
図1及び2の2つの断面平面は、それぞれ、長手方向の、即ちキャビティ21の長さに沿って向けられ、当該キャビティの壁221、231により形成された平面に垂直な正中面と、横方向の、即ちキャビティ21の長手方向に垂直に向けられ、当該キャビティの壁221、231により形成された平面に垂直な正中面である。
【0013】
2つの半金型22、23は、それぞれ、実質的に平坦であり、
図1及び2において平行な、壁221、231を含む。代替的に、これら壁221、231は、曲面であってもよい。壁の形状は、製造されるブレスレットストランドの上面及び下面の形状に対応する。任意のハウジング部分24a、24bは、金型キャビティ21内に位置決めされる。ハウジング部分の機能は、後述する。
【0014】
本発明のコンセプトは、締結要素をオーバーモールドするため、即ち締結要素を素材内に配置するのに十分な態様で、当該素材内で少なくとも部分的に包むために、製造金型を素材で充填する前に、当該製造金型内に締結要素を位置決めすることからなる。当該素材は、ブレスレットストランドの主素材、及びまたはブレスレットストランドの上面及びまたは下面から見ることができる素材に対応し、以下、「ブレスレットストランドの素材」または単に「素材」と称される。
【0015】
金型は、あらゆる手段で、とりわけ射出成形または圧縮成形により、充填可能である。射出成形方法の場合、素材は、例えば、金型が既に閉じられ、所定の温度(典型的には150℃から250℃の間、または150℃から200℃の間)を有するときに、キャビティ21内に、所定の圧力(典型的には80バールと150バールの間、または80バールと90バールの間)により射出される。圧縮成形方法の場合、金型が閉じられる前に、壁231上にストランド素材のプリフォームまたはブランクが位置決めされ、その後所定の温度(典型的には150℃から250℃の間、または150℃から200℃の間)により圧縮される。全ての場合において、当該素材は、締結要素を包み、ブレスレットストランド内に配置するために、1以上の締結要素の周囲の少なくとも部分的に配置される。当該素材は、このように、締結要素をオーバーモールドする。
【0016】
有利には、素材は、エラストマまたはエラストマ系素材、即ちエラストマを少なくとも50重量%含む素材である。特に、エラストマ素材は、フルオロエラストマ(FKM、FFKM、またはFEPM)、または天然ゴム(NR)または合成ゴム(SBR、HNBR、EPDM)、またはビニルメチルシリコン(VMQ)またはフルオロシリコン(FVMQ)であってもよい。より一般的には、部品素材は重合体であってもよい。部品素材は、とりわけ、熱可塑性または熱硬化性重合体であってもよい。
【0017】
ブレスレットストランドの製造方法の第一実施形態を、
図3から6を参照して以下に説明する。
【0018】
図3は、少なくとも1つの案内要素25を用いて、製造金型20内に少なくとも1つの締結要素12を位置決めすることからなる、第一モードにかかる方法の第一ステップを図示する。図示する例において、それぞれ案内要素25を用いて、3つの締結要素12が位置決めされる。このように、締結要素12の数と同数の案内要素25が存在する。
【0019】
当該第一実施形態において、各案内要素25は、金型20の半金型23上に、好ましくは金型20の固定半金型23上に、固定されたまたは一体的に形成された、突出要素である。
【0020】
例えば、少なくとも1つの案内要素25は、半金型23上に直接、機械加工されても、とりわけ放電加工により製造されてもよい。代替的に、少なくとも1つの案内要素25は、その後半金型23に固定される、補助板上に製造されてもよい。また代替的に、少なくとも1つの案内要素25は、半金型23上に形成された開口の中に、とりわけ打ち込みにより、含められてもよい。
【0021】
当該第一実施形態において、各案内要素25は、下部半金型23の壁231から突出し、金型20のキャビティ21内に延長する、円筒状スタッドの形状である。スタッドの外形は、締結要素12上に形成された、第二案内表面121と協働することが意図される、第一案内表面251を少なくとも部分的に形成する。
【0022】
締結要素12は、自身では、スタッドを受けることが意図される開口120を有するリングの形状である。開口120の境界を定める、リングの内面は、第二案内表面121を形成する。当該実施形態において、各締結要素12は、(組立クリアランスを除き)金型20のキャビティ21の全高さにわたり実質的に延長する。
【0023】
方法はその後、
図4に示す、少なくとも1つの締結要素12を素材11によりオーバーモールドするために、製造金型20を素材11により充填することからなる、第二ステップを含む。
【0024】
有利には、当該第二ステップにおいて、案内要素25は、締結要素12の開口120内への素材のあらゆる侵入を阻止する、または素材の侵入を大幅に制限する。締結要素12の外面形状は、自身では、自身周りに射出されるまたは圧縮される素材11と接触することが意図される、少なくとも1つの拘束表面123を形成する。
【0025】
方法はその後、
図5に示す、時計部品10を、即ちブレスレットストランドを、製造金型20から除去することからなる、第三ステップを含む。当該時計部品10は、このように、金型20のキャビティ21を充填した素材11と少なくとも1つの締結要素12、とりわけ図示した例によれば3つの締結要素12により、少なくとも部分的に形成される。当該脱金型ステップにおいて、上部半金型22は、当該実施例において固定された、下部半金型23から分離される。脱金型ステップにおいて得られた結果は、最終ブレスレットストランドを得る前に、切断、表面処理等といった仕上げ作業を更に必要とする、ブレスレットストランドの未完成の輪郭に過ぎないこともあることを、注記する。
【0026】
当該第一実施形態において、各締結要素12は、装飾要素13を受けることが意図される開口120を含むリングである。特に、開口120の外形は、装飾要素13の第一受け表面131と協働することが意図される、第二受け表面122を少なくとも部分的に形成する。方法は、このため、
図6に示す、装飾要素13を少なくとも1つの締結要素12内へ配置する、第四ステップを含む。第一及び第二受け表面122、131は、例えば、案内及びまたは打ち込み表面である。締結要素12の第二受け表面122は、ここでは、上述の第二案内表面121と融合されることを注記する。事前に、第二充填ステップに起因するかもしれない、とりわけ開口120内の、望ましくないあふれた素材11を、当業者に既知の技術により、例えば低温サンドブラストにより、除去してもよい。
【0027】
図7は、上述の製造方法の第一実施形態で得られたブレスレットストランドの第一変形例の、部分断面図を図示する。
【0028】
当該第一変形例によれば、製造された時計部品10、即ちブレスレットストランドは、それぞれ装飾要素13を受ける、リングの形状の3つの締結要素12を含む。締結要素12のそれぞれは、真直円筒の形状であり、その高さe12は、締結要素12の外側の素材11により定義される、ブレスレットストランドの厚さe10に対応するまたは実質的に対応する。当該素材11は、締結要素12周りに、とりわけ締結要素12の拘束表面123上に、オーバーモールドされるまたは圧縮される。当該実施形態によれば、案内要素25の高さは、締結要素12の高さに、またキャビティ21の高さに、実質的に対応し、その高さはブレスレットストランドの厚さに対応することを注記する。このように締結要素12は、ブレスレットストランドの厚さにわたり通過する開口120を定義する。
【0029】
締結要素12周りへの素材11の拘束を促進するため、拘束表面123は、特に粗くするために、当業者に既知の技術によりテクスチャ化されてもよい。代替的にまたは追加で、これら表面は、拘束下塗液により被覆されてもよい。当該第一変形例によれば、締結要素12の拘束表面123は、締結要素12を形成する円筒リングの全外周表面を形成する。
【0030】
更に、当該第一変形例によれば、装飾要素13は、それぞれ、その中にブレスレットストランドの上部表面101から見ることができる石13aが配置される、受け溝13bを含む。各受け溝13bは、ここでは、必要により、ブレスレットストランドの下部表面102からの装飾要素13の解放を可能にするために、到達可能である。
【0031】
図8は、方法の第一実施形態により得られた第二変形例にかかるブレスレットストランドの、拡大部分図を示す。当該第二変形例は、ブレスレットストランドの屈曲を局所的に制限すると同時に、締結要素12への素材11の拘束を最大化することを追求する。
【0032】
有利には、締結要素12は、ここでは、中央開口を常に定義し、その基部は、台座12aを定義する、円板または第一円筒部分周りに配置される第二円筒部分で終結する、第一上部円筒部分を含む。ここでは、締結要素12は、台座リングである。更に、当該特定の第二変形例において、締結要素12の高さe12は、ブレスレットストランドの厚さe10よりも厳密に小さい。このため締結要素12の台座12aは、素材11が当該台座12aの上部及び下部表面の両側にわたり延長するため、ブレスレットストランドの素材11内に、即ちブレスレットストランドの厚さ内に、埋め込まれる。第二実施形態変形例は、ブレスレットストランドの屈曲を、締結要素12の周囲面周りにおいて、とりわけ締結要素12の第一円筒部分周りにおいて、特に締結要素12の円板または第二円筒部分により形成された台座12aにおいて、局所的に最小化可能にする。
【0033】
任意で、追加により、引掛要素14を締結要素12と関連付けることができる。当該第二実施変形例において、当該引掛要素は、開口140を有するリングの形状であり、その直径は、より具体的には
図9に示される第一実施形態にかかる方法のステップにより、締結要素周りに位置決めされることが意図される。更に、引掛要素14は有利には、ブレスレットストランドの素材11が、引掛要素14内に、また締結要素12と引掛要素14との間に、挿入され固定されることができるように、ハニカム構造を含む。「ハニカム構造」の文言は、開口による多数の交差を含む構造を意味する。有利には、引掛要素14は、金属発泡体の形状であってもよい。優先的に、引掛要素14は、その体積がブレスレットストランドの厚さの内部に向かい、即ちブレスレットストランドの上部表面から下部表面に向かう方向に増加する、円錐状または円錐台状の形状である。当該形状の利点は、ブレスレットストランドの上部表面からの引掛要素14の可視性を最小化することである。更に、このような漸進的形状は、素材11をより良く拘束することを可能にする。このような引掛要素14と組み合わされた締結要素12のこのような形状は、締結要素12周りの大きな開口現象、即ち望ましくない裂け目が出現する、締結要素12周りのストランドの開口の変形を、非常に実質的に最小化する、または解消することを可能にする。変形例として、当該引掛要素14は、本発明にかかるあらゆる実施変形例の全ての締結要素と組み合わせることができることを注記する。引掛要素は、全ての場合において、任意である。
【0034】
加えて、第二実施例にかかるブレスレットストランドを得るための方法中に、締結要素12と関連する案内要素25の高さは、ここでは、以下に説明するように、キャビティ21の高さよりも厳密に小さい。このため、締結要素の開口120は、ブレスレットストランドの厚さにわたる貫通開口を形成せず、止まり穴開口を形成する。この結果、第一実施変形例に関して説明した、締結要素12内に配置された装飾要素13は、ブレスレットストランドの下部表面102から見ることができない。にもかかわらず、装飾要素13の、特に受け溝13bの構造は、当該下部表面102から作動可能なように設けられてもよい。例えば、受け溝13bは、当該下部表面の近くで、ブレスレットストランドの下部表面102に平行または実質的に並行に延長する下部表面を示すために、締結要素12から突出する、即ち締結要素12よりもブレスレットストランドの厚さ内に深く延長する、作動表面132bを含んでもよい。このような表面は、例えば、装飾要素の解放を可能にするため、専用の工具と協働してもよい。代替的に、装飾要素13は、特に受け溝13bは、締結要素12内に組み立てられた後は作動できないような形状にされてもよい。例として、受け溝13bは、以下で
図18を参照して図示するように、締結要素12内に埋め込まれてもよい。
【0035】
図9及び10は、第二実施変形例にかかるブレスレットストランドを得るための、第一実施形態にかかる製造方法のステップを示す。
【0036】
方法の第一ステップは、第一変形例に関して説明した方法に加えて、
図9に示すように、案内要素25周りへの締結要素12の位置決め前のまたは最中の、締結要素12周りの引掛要素14の位置決めを含む。このため、締結要素12の第一円筒部分は、その外周に、引掛要素14を受けるための表面124を含む。このため、締結要素12は、引掛要素14の中央開口140内に挿入される。当該組立体は、その後、第一実施変形例の製造に関して説明したように、案内要素25を用いて、とりわけ案内表面121と251の協働により、金型20のキャビティ21内に位置決めされてもよい。当該説明において、半金型23は、金型の上部半金型を、即ちブレスレットストランドの上部表面を形成することが意図される半分を、形成することを注記する。
【0037】
図10は、ブレスレットストランドの包みを形成する素材11により金型を充填する第二ステップを図示する。前述のように、案内要素25はキャビティ21の全高さにわたり延長せず、このため素材11もまた、案内要素25の遠位端部と、ブレスレットストランドの下部表面を形成する金型20のキャビティ21の壁221との間にわたり延長する。
【0038】
図11から13は、本発明の第二実施形態にかかるブレスレットストランドの製造方法を図示する。
【0039】
当該第二実施形態は、製造されるブレスレットストランドを構成するインサート15を用いる点で、第一実施形態と異なる。更に、当該実施形態によれば、少なくとも1つの締結要素12は、製造されるブレスレットストランドを構成するインサート15上に前もって位置決めされた案内要素35を用いて、金型キャビティ21内に位置決めされる。
【0040】
このため、
図11及び12から見て取れるように、特定の実施形態にかかるインサート15は、有利には金属ブレード151、特に超弾性金属合金ブレード151であってもよい、ブレード151の形状である。当該ブレードは、自身の長手方向端部のそれぞれに配置される、2つのループ152a、152bを含む。インサート15はまた、(複数の)締結要素12を位置決めするために設けられる(複数の)案内要素35の支持部の役割も果たす。
【0041】
図11から見て取れるように、案内要素35は、ブレード151の貫通開口150へねじ込まれる、ねじの形状であってもよい。ねじ頭の周囲が、ここでは、締結要素12上に配置される第二案内表面121と協働することが意図される、第一案内表面351を構成する。第一実施形態を詳述する上記実施例のように、締結要素12は、第二案内表面121を少なくとも部分的に形成する開口120が設けられた、リングの形状である。
【0042】
図11に示すように、締結要素12は、第一実施形態にかかる方法により得られたブレスレットストランドの第二変形例の締結要素に実質的に対応し、引掛要素14と同様に関連し、当該組立体は、案内要素35が、
図12に示すように、第一実施形態にかかる方法で使用された金型20と同一である金型20のキャビティ21の外または中でインサート15上に位置決めされると、その後案内要素35に搭載される。
【0043】
その後、素材11は、
図13に図示するように、キャビティ21の容積を充填し、インサートを素材11へ、そして結果として得られるブレスレットストランド内へ組み込むために、インサート15を含む組立体をオーバーモールドする。
【0044】
このように、当該第二実施形態にかかる製造方法は、第一実施形態のステップを含み、以下に説明するステップを含む点で異なる。
【0045】
方法の第一ステップは、少なくとも1つの案内要素35をインサート15上へ組み立てることからなる、予備サブステップを含む。当該組み立ては、前述のねじ込み以外の、あらゆる方法で実施されてよい。このため、案内要素35は、変形例として、図示したねじと異なってもよい。当該予備ステップは、締結要素12周りへの引掛要素14の搭載を含んでもよいことを注記する。
【0046】
このように、少なくとも1つの締結要素12の製造金型内への位置決めの第一ステップは、当該案内要素35を用いて、また優先的に製造金型内に位置決めされたインサート15を用いて得られる。
【0047】
このため第一ステップは、例えば、金型の半金型23上へのインサート15の位置決めを含む。このため、第一にインサート15の、特にブレード151のループ152a、152bへ、第二に金型の半金型23に形成されたハウジング24a、24bの部分へ、挿入されるため、ピン41a、41bが設けられる。このように、ブレード151は、キャビティ21内に位置決めされ、金型が閉じられると、金型20の対向する長手方向壁221、231から離れた吊り下げが維持される。
【0048】
金型からブレスレットストランドを除去した後、方法は、少なくとも1つの案内要素35をブレスレットストランドブランクから、とりわけ図示した実施例によればねじ抜きにより、除去することからなる、中間ステップを含む。次に、第一実施形態に関して説明したように、例えば装飾要素13が、少なくとも1つの締結要素12の開口120内へ、とりわけ噛み合いにより、取り付けられてもよい。
【0049】
このように、
図14は、第二実施形態にかかる方法により得られたブレスレットストランドの第一変形例を図示する。インサート15を形成するブレード151は、ブレスレットストランドの厚さe10の中心に位置決めされる。換言すれば、ブレード151は、ブレスレットストランドの上部表面101と下部表面の102から等距離にまたは実質的に等距離にあり、自身を上部表面101から分離する距離e15は、e10/2に等しいまたは実質的に等しい。このため、ブレード151は、ブレスレットストランドが単純曲げに曝されると、ブレスレットストランドの中立素分の層を構成するまたは接近する。更に、当該ブレード151は、ブレスレットストランドの補強の役割を果たすことを注記する。
【0050】
図15は、第二実施形態にかかる方法により得られたブレスレットストランドの第二変形例を図示する。ブレスレットストランドは、中立素分の層を上部表面101へ向かいシフトするため、ブレード151がブレスレットストランドの上部表面101により近く位置決めされる点で、第一変形例にかかるブレスレットストランドと異なる。これは、ブレード151の素材が、有利には時計部品の、特にブレスレットストランドの素材よりも、即ち少なくとも1つの締結要素を少なくとも部分的に包む素材よりも、硬いという事実により可能になる。このため、当該デザインにおいて、厚さは以下の条件に従う。e15<e10/2、またはe15<e10/3。当該第二実施変形例によるブレスレットストランドを得るため、方法の第一ステップ中に、ブレード151を金型20の半金型の長手方法壁に近づけるために、金型のキャビティ21内のハウジング24a、24bの位置をシフトしてもよい。当該第二実施変形例は、ブレスレットストランドが曲げられる際の、締結要素12周りの牽引現象を最小化する利点がある。特に、試験により、当該デザインは、引掛要素14の挿入の必要なくして、締結要素12周りのあらゆる大きな開口を実質的に制限、または阻止することを可能にすることが示されている。当該デザインはまた、締結要素12の台座12aのサイズ、特に直径を最小化可能にし、または台座12aを省くことを可能にする。このため、当該第二実施変形例にかかる当該デザインは、一方では引掛要素14を省くことにより、他方では締結要素12のサイズを最小化することにより、ブレスレットストランドへ装飾要素13を締結するために必要な要素の体積を制限する利点を有する。当該デザインの利点は、このため、異なる装飾要素をより接近させ、ブレスレットストランド上の装飾要素の数を場合により、例えば審美的目的のため、最大化することを可能にするという点である。
【0051】
これら実施形態において、結果として得られる締結要素12は、インサート15上に載置される。
【0052】
第三実施形態にかかる方法は、第二実施形態の代替を構成する。少なくとも1つの締結要素12はインサート15上に、事前にブレード151上に位置決めされた案内要素35によってではなく、
図16に示すように、案内要素35としての役割を果たす、ブレード上に形成された開口155内に直接、位置決めされる。このため、少なくとも1つの締結要素12は、開口155の外形と協働することが意図され、即ち案内要素35を形成する、案内表面121を含む。特に、少なくとも1つの締結要素12は、外周面が、開口155内に格納されることが意図される案内表面121を含む、リングの形状である。ブレード151上へのリングの保持を可能にするため、リングの外周面はまた、リングの形状の引掛要素14を、受けるための、とりわけ噛み合いのための表面124を含む。加えて、締結要素12はまた、ブレード151上に軸方向に保持可能なように、台座12aを含む。代替的にまたは追加で、インサート15は、案内要素の機能を充足するその他の形状、例えば突起を、有しても含んでもよいことを注記する。
【0053】
図16及び17は、当該第三実施形態にかかる製造方法ステップを模式的に図示する。
【0054】
図16で図示する第一ステップ中、締結要素12は、第二実施形態同様、ブレード151の形状であるインサート15上に組み立てられる。当該実施形態において、締結要素12は、ブレード151の下面から、開口155を通して通され、その後引掛要素14が反対の上面から、とりわけ締結要素12の外表面周りの噛み合いにより、締結要素12内へ配置される。
【0055】
第一ステップはまた、ブレスレットストランドの素材11により金型を充填する第二ステップ前に実施される、
図17に示す更なるサブステップを含む。サブステップは、締結要素12の開口120を充填素材により閉鎖することからなる。例えば、当該充填素材は、数分で重合するという利点を有する、ビニール、ケイ酸、及び凝集剤を含む、二成分シリコンであってもよい。例えば、当該素材は、Plastiform(商標)F50またはPlastiform(商標)F85の商品名で知られる製品であってもよい。充填素材は、例えば、定量ピストルを用いて堆積され、その後即座に硬化され、第二ステップ中の締結要素12の開口120内への素材11のあらゆる再進入に対する障害物40を形成する。
【0056】
金型からの除去後、方法は、当該開口120を開放するため、締結要素12の開口120に堆積された充填素材により形成された障害物40を除去する、中間ステップを含む。
【0057】
方法の他のステップは、第二実施形態を参照して説明したものと同一である。
【0058】
図18は、例として、インサート15を形成するブレード151がブレスレットストランドの厚さの実質的に中央に位置する、当該第三実施形態にかかる方法を介して得られたブレスレットストランドの第一実施変形例を示す。図示しない第二変形例において、当該ブレードは、第二変形例にかかるブレスレットストランドを得るための第二実施形態にかかる方法の文脈で説明したように、ブレスレットストランドの上表面に近づけて位置決めされてもよい。このような第二ストランド変形例は、締結要素12を単純化することに加えて、引掛要素14のサイズを最小化する利点をも有することを注記する。これら実施形態において、得られる締結要素12は、インサート15内に配置される。
【0059】
全ての実施形態において、締結要素12は、方法に関連する温度に耐えることができる、あらゆる素材から製造されてよい。有利には、当該素材は、より具体的には、装飾要素13の噛み合いを可能にするのに適している。例として、当該素材は、真鍮やCuBe2といった銅合金といった金属合金、またはステンレス鋼であってもよい。
【0060】
上述の実施変形例において、締結要素は、装飾要素を受けることが意図された。もちろん、締結要素は、例えば新たな機能を充足するため、他の要素を受けることが意図されてもよい。例えば、ピンバックルを含む特定のブレスレット構成において、締結要素の開口は、ピンを受けることが意図され、このためブレスレットの長さの調節に参加する、整列した開口の一連を形成してもよい。このような構成は、通常開口が素材を切断することでブレスレットストランド上に直接形成されるため、ピンを受けることが意図されるこれら開口のあらゆる変形を除去する利点を有する。本発明にかかる締結要素は、このように、様々な機能を充足可能であり、このため締結要素内に異なる要素を必ずしも永続的に固定しなくてもよい。
【0061】
更に、上述のように、全ての実施変形例において、締結要素は、任意で台座を含むリングの形状であってよい。このような台座は、締結要素周りのストラップストランドの屈曲を局所的に制限する利点を有する。もちろん、本発明は、図示する締結要素の形状に限定されず、要求される機能性に応じて他の形状を取ってもよい。例えば、締結要素は、軸周りに配置された、円筒または円錐台状リングの形状や他の形状、例えば当該軸に対して断面で環状形の形状であってもよい。優先的に、全ての実施変形例において、締結要素、特に締結要素としての役割を果たすリングは、時計部品の上部表面と同一平面の表面を含む。
【0062】
説明した実施形態において、締結要素は、少なくとも1つの案内要素を用いて、金型内に位置決めされる。当該案内要素は、様々な形状であってよい。例えば、案内要素は、製造金型のキャビティ内へ特定方向に突出する、とりわけ当該方向に平行な軸周りに対称に配置された、とりわけ円筒または円錐台状形状及びまたは当該軸に対して断面で円形の、要素であってもよい。追加でまたは代替的に、少なくとも1つの案内要素は、締結要素の位置決めを可能にする、磁気要素の形状であってもよい。当該特定の場合、このような案内要素は、必ずしも金型キャビティ内に突出する要素の形状でなくてもよい。
【0063】
インサートを含むブレスレットストランドの特定の実施変形例において、少なくとも1つの締結要素が、当該インサートとは独立して、例えば製造金型に含まれる少なくとも1つの案内要素を用いて、配置及びまたは位置決めされることも、もちろん想定される。換言すれば、第一モードにかかる方法を少なくとも部分的に実施することで、インサートを含むストランドの変形例を得ることが可能である。
【0064】
更に、全ての実施変形例において、締結要素は、引掛要素と組み合わされてもされなくてもよく、引掛要素は締結要素周りの部品の包みを構成する素材の固着を最大化するために設けられる。優先的に、引掛要素は、アルミニウムまたはチタン発泡体製であってよい。
【0065】
上述のように、装飾要素は、受け溝内に配置された石といった、組立体の形状であってもよい。石は、例えば、貴金属(ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルド)といった天然石であってもよく、例えば碧玉といった精石であってもよい。石はまた、有機体であってもよく、例えば、真珠または真珠層の形状であってもよい。受け溝は、例えば、金系合金といった、貴金属合金製であってもよい。
【0066】
代替的に、装飾要素は、一体に製造されてもよい。例えば、装飾要素は、セラミック、例えばジルコニア、アルミナ、シリコン窒化物、炭化ホウ素、または窒化アルミニウムで主としてまたは大部分構成されるセラミック製であってもよい。代替的に、装飾要素は、アルミナ-ジルコニアZTA/ATZ合成物といった、複合素材製であってもよい。また代替的に、装飾要素は、金またはプラチナ系合金といった、貴金属合金製であってもよい。更に、装飾要素は、パターンを含んでもよい。
【0067】
とりわけ補強機能を満たすインサートが用いられる場合、当該インサートは、ブレードの形状として説明されてきた。もちろん、当該ブレードは、異なる表面を占めてもよく、ブレスレットストランドの顕著な寸法にわたり、例えば長さの少なくとも50%または70%にわたり、実質的に連続して延長してもよく、または代替的に、制限された寸法を取り、締結要素のみに設置されてもよい。更に、本発明は、ブレード形状のインサートに限定されるものではない。
【0068】
最後に、本発明は、ブレスレットストランドの観点で説明されてきた。しかしながら、本発明は、少なくとも部分的に上述の成形に適した素材製である、あらゆる時計部品に適応可能である。例えば、時計部品は、ベゼルまたはベゼルリングに取り付けられたベゼルディスクであってもよい。装飾要素は、例えば、目盛りを含んでもよい。
【0069】
本発明はまた、直接、ブレスレットストランドに、またはより一般的には、説明したように素材によりオーバーモールドされた締結要素を含む、時計部品に関する。任意で、時計部品は、当該素材でオーバーモールドされた、インサートまたは補強部を含む。
【0070】
本発明はまた、当該ブレスレットストランドを、またはより一般的には当該時計部品を含む、時計、とりわけ腕時計に関する。
【符号の説明】
【0071】
10 時計部品
12 締結要素
15 インサート
20 金型
21 キャビティ
22 半金型
23 半金型
25 案内要素
35 案内要素
【外国語明細書】