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特開2024-73399検査室システムを最適化するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073399
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】検査室システムを最適化するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20240522BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
G01N35/00 E
G01N35/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023195442
(22)【出願日】2023-11-16
(31)【優先権主張番号】22383111
(32)【優先日】2022-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス・チウ
(72)【発明者】
【氏名】カルロス・フェルナンデス・グリアス
(72)【発明者】
【氏名】イオン・イオルダノアイア
(72)【発明者】
【氏名】ワーナー・スミット
(72)【発明者】
【氏名】チェ・イン・プリシリア・タン
(72)【発明者】
【氏名】モリッツ・フォン・ホプフガルテン
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CC02
2G058GC02
2G058GC03
2G058GC05
2G058GE02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】検査室システムにおける試料分配を最適化するための方法を提供する。
【解決手段】検査室システムが、少なくとも試料投入ユニット(2)と、試料バッファユニット(3)と、分析装置(4)と、運搬システム(5)と、制御ユニット(6)と、を備え、制御ユニット(6)が行う制御ステップは、試料投入ユニット(2)を介して検査室システムに提供された試料の試験要求を取得するステップと、試料を試料バッファユニット(3)に搬送するように運搬システム(5)を制御するステップと、、最適化基準に基づいて試験プレート上の選択された試料に対して要求された試験の実行命令を作成するステップと、実行命令を1つの分析装置(4)に送信するステップと、選択された試料を試料バッファユニット(3)から1つの分析装置(4)に搬送するように運搬システム(5)を制御するステップと、を含む、方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査室システム(1)における試料分配を最適化するための方法であって、前記検査室システム(1)が、少なくとも、
- 試料投入ユニット(2)と、
- 1つまたは複数の試料バッファユニット(3)と、
- 1つまたは複数の分析装置(4)と、
- 前記試料投入ユニット(2)から前記試料バッファユニット(3)および前記分析装置(4)に前記試料を搬送するための運搬システム(5)と、
- 前記試料投入ユニット(2)、前記試料バッファユニット(3)、前記分析装置(4)および前記運搬システム(5)に接続された制御ユニット(6)と、を備え、
前記方法が、以下:
- 前記制御ユニット(6)が、前記試料投入ユニット(2)を介して前記検査室システム(1)に提供された前記試料のそれぞれについて1つまたは複数の試験要求を取得するステップ(100)と、
- 前記制御ユニット(6)が、前記提供された試料を前記1つまたは複数の試料バッファユニット(3)に搬送するように前記運搬システム(5)を制御するステップ(110)と、
- 前記制御ユニット(6)が、最適化基準に基づいて試験プレート上の選択された試料に対して1つまたは複数の要求された試験を実行するための実行命令を作成するステップ(120)と、
- 前記制御ユニット(6)が、作成された前記実行命令を1つの分析装置(4)に送信するステップ(130)と、
- 前記制御ユニット(6)が、1つまたは複数の要求された試験が実行されるべき前記選択された試料を前記試料バッファユニット(3)から前記1つの分析装置(4)に搬送するように前記運搬システム(5)を制御するステップ(140)と
を含む、方法。
【請求項2】
前記最適化基準が、
- 前記試料バッファ内および/または前記システム内に既に存在する試料に対する試験要求、
- 前記分析装置(4)内に既に存在する試料に対する試験要求、
- 前記1つまたは複数の分析装置(4)の利用可能性、
- 試験プレート上で使用される対照の数および種類、
- 試験プレート上に存在する試料/対照の比、
- 前記要求された試験の熱プロファイル、
- 分析装置(4)に装填された試薬の量、
- 分析装置(4)に装填された試薬の有効期限の時間/日付、
- 前記試料の有効期限の時間/日付
- 事実上の昼間、
- 試験のためのコスト、
- 試験結果が配信される目標時間、
- 前記検査室システム(1)における試料の休止時間、
- 前記検査室システム(1)の2つの特定の場所の間の試料の移動時間、
- ユーザ固有の嗜好
から選択される1つまたは複数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
- 前記1つの分析装置(4)が、前記選択された試料を受け取るステップと、
- 前記1つの分析装置(4)が、分析装置固有の実行命令を作成するステップと、
- 前記1つの分析装置(4)が、前記分析装置固有の実行命令を送信するステップと、
- 前記制御ユニット(6)が、前記分析装置固有の実行命令を受信するステップと、
- 前記制御ユニット(6)が、作成された前記実行命令を前記分析装置固有の実行命令と比較するステップと、
- 前記制御ユニット(6)が、前記作成された実行命令と前記分析装置固有の実行命令との間の差を決定するステップと、
- 前記制御ユニット(6)が、最適化基準と、前記作成された実行命令と前記分析装置固有の実行命令との間の決定された前記差とに基づいて、更新された実行命令を作成するステップと、
- 前記制御ユニット(6)が、前記更新された実行命令を前記1つの分析装置(4)に送信するステップと、
- 前記制御ユニット(6)が、任意選択的に、1つまたは複数の要求された試験が実行されるべき前記試料を前記試料バッファユニット(3)から前記1つの分析装置(4)に、および/または前記1つの分析装置(4)から前記試料バッファユニット(3)に搬送するように前記運搬システム(5)を制御するステップと
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
- 前記1つの分析装置(4)が、前記選択された試料を受け取るステップと、
- 受け取った前記試料のそれぞれについて、前記1つの分析装置(4)が、前記試料が前記分析装置(4)によって受け取られたという情報を前記制御ユニット(6)に送信するステップと、
- 前記制御ユニット(6)が、前記1つの分析装置(4)によって受け取られた前記情報を用いて前記1つの分析装置(4)の実行状況を更新するステップと
をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
- 前記1つの分析装置(4)によって受け取られた試料の数が1つの分析装置(4)に搬送された試料の数よりも少ない場合に、前記制御ユニット(6)が、更新された実行命令を前記1つの分析装置(4)に送信して、前記1つの分析装置(4)によって受け取られた前記試料を用いて前記1つまたは複数の選択された試験を実行するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
- 前記1つの分析装置(4)によって受け取られた試料の数が前記1つの分析装置(4)に搬送された試料の数よりも少ない場合に、前記制御ユニット(6)が、前記1つの分析装置(4)を確認するようにユーザに促すことを送信するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記試験プレートが、行および列に配置された複数のウェル、好ましくは12行および8列を有する96ウェルプレートを備えるマルチウェルプレートであり、前記実行命令が、前記試験プレートの行に選択された試料および/または要求された試験のための対照のみを配置する命令を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
検査室システム(1)であって、少なくとも、
- 試料投入ユニット(2)と、
- 1つまたは複数の試料バッファユニット(3)と、
- 1つまたは複数の分析装置(4)と、
- 前記試料投入ユニットから前記試料バッファユニット(3)および前記分析装置(4)に前記試料を搬送するための運搬システム(5)と、
- 前記試料投入ユニット(2)、前記試料バッファユニット(3)、前記分析装置(4)および前記運搬システム(5)に接続された制御ユニット(6)と
を備え、
前記検査室システム(1)が、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されている、検査室システム。
【請求項9】
請求項8に記載の検査室システム(1)に、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項10】
請求項9に記載のコンピュータプログラム製品を記憶したコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査室システムにおける試料分配を最適化するための方法に関する。本発明は、さらに、そのような方法を実行するための検査室システムに関する。本発明は、さらに、検査室システムに試料分配を最適化するための方法を実行させるための命令を含むコンピュータプログラム製品、および前記コンピュータプログラム製品を記憶したコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような検査室装置は、当該技術分野において知られている。過去数十年の間に、ユーザの手動相互作用に大きく依存する検査室装置、必要なタスクの全てまたはほぼ全てを自動的に実行することができる完全に自動化された検査室装置に対して大きな進歩がなされてきた。ユーザは、装置に試料を提供するだけでよく、試験結果を提供するために必要な全てのステップは、検査特有のプロトコルにしたがって検査室装置によって自動的に実行される。
【0003】
この分野における別の改善は、検査室の自動化である。この場合、1つまたは複数の検査室装置は、運搬システムを介して分析前および分析後装置に接続される。そのような自動化された検査室システムでは、試料がシステムに提供され、次いで、実行される1つまたは複数の試験に応じて必要な装置(分析前、検査室装置、分析後)に送られる。
【0004】
しかしながら、既知の検査室システムには、装置のスループットおよび占有が最適ではないという問題がある。既存の装置では、原則として、異なる装置は異なる試験に専用である。したがって、ユーザは、手動で試料を選別し、試験または分析前もしくは分析後のステップが実行される1つまたは複数の装置に応じてそれらをグループ化しなければならない。既知の装置の別の欠点は、試料を送るための規則が非常に剛性であることが多く、したがって、例えば、検査室システムの検査室装置が不良に、ゆっくりと、またはいくつかの問題を有しているときに、機会を許容しないことである。
【0005】
これに加えて、既知の検査室装置、特にNAT検査室装置は、それらが同じ試験プレート(複数のウェルを有するプレート)によって異なる試験を行うことができるように最適化され、通常、12×8のマルチウェルプレートが使用される。このような検査室装置の熱ブロックはモノリシックであり、異なる温度ゾーンを提供することができないため、試験は、それらの適合性、通常はNAT増幅反応中に使用される熱プロファイルに基づいて一緒にグループ化される。このようにして、そのようなシステムでは、通常、マルチヘッドピペッタが使用され、したがって流体を添加するときにプレートの単一のウェルを除外することはできないことから、試験プレートの全てまたはほぼ全てのウェルが試料または対照(コントロール)によって満たされ、試薬が「空の」(試料なしを意味する)ウェルに添加されないため、検査室装置のスループットが向上し、リソースの浪費が低減される。しかしながら、そのような手法はまた、装置ベースであり、同じ検査室システム内の複数の検査室装置を有するため、装置は互いに通信せず、結果として生じる欠点を有する。例として、試料に対して異なる試験が要求される場合、一般に検査室装置は、管ごとに試験を処理することしかできないため、試料は最初に異なる試料容器にアリコートされなければならない。さらに、試験が異なる機器で行われる場合、それぞれの試料容器が、右側の検査室装置に搬送されると予想されるラックに配置されることが保証されるべきである。高度に自動化された検査室システムでは、これは、試料をシステムに追加する前に、それらが手動でアリコートされなければならないことを意味する。さらに、試料容器は、複数の試料容器を収容するラックに運搬されることが多い。また、この場合、特定の検査室装置に指定された試料を一緒にグループ化するために容器の選別が必要であり、そうでなければラックは異なる試験を実行するために異なる検査室装置間を移動しなければならない。あらゆる人間の相互作用が起こり得るエラー原因であり、柔軟性および高いスループットを維持しながら検査室システムを完全に自動化することが望まれていることは明らかである。
【0006】
この問題は、独立請求項に記載の検査室システムにおける試料分配を最適化する方法によって解決される。
【0007】
以下において使用される場合、「有する(have)」、「備える(comprise)」、もしくは「含む(include)」という用語、またはそれらの任意の文法的変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、この文脈で説明されているエンティティにさらなる特徴が存在しない状況と、1つまたは複数の追加の特徴が存在する状況との双方を指し得る。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」および「AはBを含む」という表現は、双方とも、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独で、且つ排他的にBからなる状況)、および、B以外に、要素C、要素CおよびD、さらにはさらなる要素など、1つまたは複数のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指し得る。
【0008】
さらに、特徴または要素が1回または複数回存在してもよいことを示す「少なくとも1つ」、「1つまたは複数」という用語または同様の表現は、通常、それぞれの特徴または要素を導入するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を指すとき、それぞれの特徴または要素が1回または1回を超えて存在してもよいという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」という表現は繰り返されない。
【0009】
さらに、以下において使用される場合、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的に」、「より具体的に」または同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語により導入される特徴は、任意の特徴であり、特許請求の範囲を、いかなる方法によっても制約することを意図されていない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実行されてもよい。同様に、「本発明の実施形態において」または同様の表現によって紹介される特徴は、任意の特徴であることが意図され、本発明の代替の実施形態に関するいかなる制限も伴わず、本発明の範囲に関するいかなる制限も伴わず、そのような方法で紹介される特徴を本発明の他の任意の特徴または任意でない特徴と組み合わせる可能性に関するいかなる制限も伴わない。
【0010】
本発明の意味の範囲内で、分析前装置は、試料の受け取り、試料情報の読み取り、分析システム固有の標識およびIDを有する試料の標識、試料容器のキャッピング/デキャッピング、一次試料容器から二次試料容器への試料の移送および/またはアリコート、試料の混合、試料のボルテックスまたは振盪などの分析前ステップを実行するために使用され得る分析システムの任意の構成要素であることを意味する。
【0011】
本発明の意味の範囲内で、分析後装置は、分析された試料を受け取ること、分析された試料を貯蔵すること、分析された試料をさらなる処理のために分析システムの別の構成要素に戻すこと、または廃棄のために分析システムの外部に戻すことなどの分析後ステップを実行するために使用され得る分析システムの任意の構成要素であることを意味する。
【0012】
本発明によれば、検査室システムは、少なくとも試料投入ユニットと、1つまたは複数の試料バッファユニットと、1つまたは複数の分析装置と、試料投入された試料から試料バッファユニットおよび分析装置に試料を搬送するための運搬システムと、試料投入ユニット、試料バッファユニット、分析装置および運搬システムに接続された制御ユニットとを備える。
【0013】
本発明の意味の範囲内で、試料投入ユニットは、試料の検査室システムへのアクセスを提供するために使用される検査室システムの任意の構成要素であることを意味する。試料容器に配置された試料は、試料投入ユニットを介して検査室システムに添加される。好ましい実施形態では、試料投入ユニットは、試料が検査室システムにアクセスすることを可能にするだけでなく、分析前ステップを実行することもできる分析前装置である。
【0014】
本発明の意味の範囲内で、試料バッファユニットは、冷却された試料貯蔵ユニットなど、所与の期間にわたって試料を貯蔵するために使用され得るが、単に試料が貯蔵され、容易に回収される検査室システムの領域とすることもできる、検査室システムの任意の構成要素であることを意味する。
【0015】
本発明の意味の範囲内で、分析装置は、1つまたは複数の試料に対して1つまたは複数の試験を実行するために使用され得る検査室システムの任意の構成要素であることを意味する。好ましくは、分析装置は、NAT分析装置であり、より好ましくはPCR分析装置である。
【0016】
本発明の意味の範囲内で、運搬システムは、例えばコンベヤのように分析システムの他の異なる構成要素間で試料を運搬するために使用され得、かつ1つまたは複数の試料容器または1つまたは複数の試料容器を含む1つまたは複数のラックを運搬するように構成され得る、分析システムの任意の構成要素であることを意味する。
【0017】
本発明の意味の範囲内で、制御ユニットは、試料投入ユニット、試料バッファユニット、分析装置および運搬システムに有線または無線で接続され、または接続可能であり、それらの構成要素の少なくともいくつかの機能を制御することができる検査室システムの任意の構成要素であることを意味する。制御ユニットは、好ましくは専用のコンピューティングユニットであるが、サブ構成要素が1つまたは複数の検査室システムの異なる装置および/または構成要素と共有される分散アーキテクチャにおいて実装されてもよい。
【0018】
本発明にかかる方法は、以下:
- 制御ユニットが、試料投入ユニットを介して検査室システムに提供された試料のそれぞれについて1つまたは複数の試験要求を取得するステップと、
- 制御ユニットが、提供された試料を1つまたは複数の試料バッファユニットに搬送するように運搬システムを制御するステップと、
- 制御ユニットが、最適化基準に基づいて試験プレート上の選択された試料に対して1つまたは複数の要求された試験を実行するための実行命令を作成するステップと、
- 制御ユニットが、作成された実行命令を1つの分析装置に送信するステップと、
- 制御ユニットが、1つまたは複数の要求された試験が実行されるべき選択された試料を試料バッファユニットから1つの分析装置に搬送するように運搬システムを制御するステップと
を含む。
【0019】
第1のステップにおいて、制御ユニットは、試料投入ユニットを介して検査室システムに提供された試料のそれぞれについて1つまたは複数の試験要求を取得する。試料投入ユニットを介して検査室システムに試料を供給すると、検査室システムは、試料容器の試料識別情報(例えば、バーコード、QRコード(登録商標)、RFIDタグ、試料容器識別コードのグラフィック認識など)を読み取り、試料について、試料容器に収容された試料に対してどの1つまたは複数の試験を実行すべきかに関する情報を取得する。試験要求は、例えばLISから取得されてもよい。より多くの試料容器がラックに配置される場合、ラック識別子も取得し、ラックに配置された試料の試料識別情報をラック識別子にリンクして、後のラックの搬送を簡略化することが有利である。
【0020】
第2のステップにおいて、制御ユニットは、提供された試料を1つまたは複数の試料バッファユニットに搬送するように運搬システムを制御する。検査室システムに添加された試料は、さらなる処理までそこに貯蔵される試料バッファユニットに搬送される。上述したように、試料バッファユニットは、分析前ユニットとして構成されてもよく、その結果、試料および/または試料の試験要求に応じて、後により詳細に説明するように、さらなる分析のために試料を分析装置に直接搬送することを可能にするために、この段階において分析前ステップが既に実行されてもよい。
【0021】
第3のステップにおいて、制御ユニットは、最適化基準に基づいて試験プレート上の選択された試料に対して1つまたは複数の要求された試験を実行するための実行命令を作成する。既に上述したように、同じ試験プレート上の異なる試験のグループ化は、既知の分析装置における一般的な慣行である。しかしながら、これは、主に分析装置自体で行われ、実行されなければならないNAT試験の熱プロファイルに基づいて行われる。本発明によれば、制御ユニットは、少なくとも、試験プレート上の分析される試料、試験プレート上で実行される試験、試料の位置、および必要に応じて試験プレートおよび試験プレートを処理する分析装置(複数の分析装置が検査室システムの一部である場合)上の対照の情報を含む実行命令を作成する。実行命令の作成は、既知の分析装置と同じプレート上で実行される試験の熱プロファイルだけでなく、異なる最適化基準を考慮に入れる。
【0022】
実行命令を作成することにより、以下により詳細に説明するように、試料が正常に処理され、分析装置のスループット、したがって分析装置が属する検査室システムのスループットが最適化され、リソースの浪費が最適化され、時間管理が最適化された試験結果の正確なオンタイム配信をもたらすことが保証され得る。これはまた、ユーザと検査室システムとの相互作用を低減することを可能にし、検査室技術者が検査室動作の監視に集中することを可能にする。
【0023】
第4のステップ、すなわち実行命令の作成後、制御ユニットは、最適化基準に基づいて最適な選択であると決定された分析装置に作成された実行命令を送信する。
【0024】
最後に、第5のステップにおいて、制御ユニットは、1つまたは複数の要求された試験が試験プレート上で実行されるべき選択された試料を試料バッファユニットから1つの分析装置に搬送するように運搬システムを制御する。
【0025】
好ましくは、最適化基準は、
- 試料バッファ内および/またはシステム内に既に存在する試料に対する試験要求、
- 分析装置内に既に存在する試料に対する試験要求、
- 1つまたは複数の分析装置の利用可能性、
- 試験プレート上で使用される対照の数および種類、
- 試験プレート上に存在する試料/対照の比、
- 要求された試験の熱プロファイル、
- 分析装置に装填された試薬の量、
- 分析装置に装填された試薬の有効期限の時間/日付、
- 試料の有効期限の時間/日付
- 事実上の昼間、
- 試験のためのコスト、
- 試験結果が配信される目標時間、
- 検査室システムにおける試料の休止時間、
- 検査室システムの2つの特定の場所の間の試料の移動時間、
- ユーザ固有の嗜好
から選択される1つまたは複数である。
【0026】
本方法は、実行命令を作成する場合に、試料バッファおよび/またはシステムに既に存在する試料に対する1つまたは複数の試験要求を考慮し得る。本方法はまた、特定の試料バッファまたは試料バッファのグループに存在する試料、ならびに検査室システムの特定の領域にのみ存在する試料に対する1つまたは複数の試験要求のみを考慮し得る。例として、大規模な検査室システムでは、本方法は、検査室システムを複数の構成要素を備え得る異なる領域に細分化し、実行命令を作成する場合、例えば、同じプレート上で組み合わせられ得る2つの試料が互いにあまりにも遠くに配置されている場合にのみ領域を使用し得て、2つの試料が所望の分析装置に到達するのを待つのには時間がかかりすぎるため、一方または両方の試料が実行命令から除外され得ると決定され得る。
【0027】
本方法は、実行命令を作成する場合に、分析装置に既に存在する試料に対する1つまたは複数の試験要求を考慮し得る。場合によっては、試料が1つの分析装置に搬送されるが、例えば、優先的に分析される必要がある試料のために、または試験プレートが分析のために準備されている間に試薬の変更が必要な場合のように、試料の代わりに追加の対照をプレートに含める必要があるために、実行命令が変更される場合があり得る。この場合、試料は、さらなる処理を待つ機器内に置かれてもよく、本方法は、分析される後続の試験プレートのための分析装置の実行命令を作成する場合に、分析装置内に既に存在する試料を考慮する。
【0028】
本方法は、実行命令を作成する場合に1つまたは複数の分析装置の利用可能性を考慮し得て、したがって、作成された実行命令を実行するために利用可能な分析装置を選択することが好ましい。しかしながら、利用可能性はまた、特定の分析装置が1つまたは複数の試験のための好ましい分析装置として定義されることを意味し得る。したがって、それらの試験を含む実行命令は、現時点で利用できない場合であっても、この分析装置に割り当てられ得る。さらに、所与の分析装置の処理時間が考慮され得る。前述の例のように、特定の試験のための好ましい分析装置は、既に実行命令のキューを有しており、したがって、新たな実行命令が制御ユニットによって作成されるときには考慮されないと決定され得る。
【0029】
本方法は、実行命令を作成する場合に試験プレート上で使用される対照の数および/または種類を考慮し得る。分析プロトコルに応じて、特定の対照(陰性および/または陽性)が異なる量で必要とされる。本方法は、実行命令を作成する場合に、これ、特に対照の価格を考慮し得る。例えば、分析装置で使用される試薬が以前の実行において既に検証/較正されているため、プレート上で使用される高価な対照の数が少ないかまたは0である試験プレートに試料を割り当てることのみが有利であり得る。
【0030】
本方法は、実行命令を作成する場合に試験プレート上に存在する試料/対照の比を考慮し得る。上述したように、対照は高価である。したがって、本方法は、比率を制御するための試料の閾値を考慮し、試料/対照比率が、ユーザによって事前定義または定義され得る閾値を下回る場合にのみ、試料を実行命令に割り当て得る。
【0031】
本方法は、実行命令を作成する場合に、要求された試験の熱プロファイルを考慮し得る。分析装置の種類(例えば、ただ1つの温度ゾーンを有する熱ブロック)に応じて、本方法は、試験が増幅サイクルの同じ熱プロファイルを共有する場合、同じ試験プレートに異なる試験を割り当て得る。熱ブロックが2つ以上の温度ゾーンを有する場合、それは両方の熱ゾーンを考慮することによってそれに応じて処理する。
【0032】
本方法は、実行命令を作成する場合に分析装置に装填される試薬の量を考慮し得る。制御ユニットは、特定の試験のための特定の試薬の量に関する状況情報を分析装置から取得し、次いで、利用可能な試薬の量によって分析され得る試料の量のみを試験プレートに割り当て得て、したがって、時間の損失および新たな試薬のための追加の対照を追加する必要性を引き起こす試験プレート上の試薬の変更を回避する。
【0033】
本方法は、実行命令を作成する場合に分析装置に装填された試薬の有効期限の時間/日付を考慮し得る。制御ユニットは、特定の試薬の有効期限に関する状況情報を分析装置から取得し、次いで試薬の有効期限が切れる前にそれぞれの試験をこの分析装置に割り当て得て、したがって、時間の損失および新たな試薬のための追加の対照を追加する必要性を引き起こす試験プレート上の試薬の変更を回避する。
【0034】
本方法は、実行命令を作成する場合に試料の有効期限の時間/日付を考慮し得る。制御ユニットは、試料が検査室システムに装填されると、試料の有効期限に関する情報を取得して、試料の有効期限前に試料が分析されていることを保証し得る。
【0035】
本方法は、実行命令を作成する場合に事実上の昼間を考慮し得る。制御ユニットは、異なる時間制約、例えば、所与の時間デッドライン前に試料が分析されていることを保証するために、所与の時間デッドラインまでに特定の試験の結果が利用可能であるべきであるという知識を有し得る。制御ユニットはまた、検査室の作業時間および/または検査室のシフト持続時間の知識を有してもよく、したがって、検査室システムに装填された試料の一部または全てが検査室の閉鎖および/またはシフトの終了前に処理されることを保証する。
【0036】
本方法は、実行命令を作成する場合に試験のコストを考慮し得る。例として、制御ユニットは、実行命令に含まれる特定の試験(対照、消耗品、試薬などのコストを考慮する)の実際のコストを計算し得、実行命令を作成する場合に超えてはならない事前定義された試験コスト閾値を有し得、したがって、試験が作成されている実際の実行命令に含まれるべきか否か、または全ての試料の平均試験コストを削減するために追加の試料が追加されるべきかを決定することができる。
【0037】
本方法は、実行命令を作成する場合に試験結果が配信される目標時間を考慮し得る。特定の試験または試料は、例えば「緊急」と定義され得て、試験結果の最大配信時間が設定され得る。したがって、制御ユニットは、この「緊急」試験を考慮し、それらが試験結果の最大配信時間を超える前に処理されることを保証する。
【0038】
本方法は、実行命令を作成する場合に検査室システムにおける試料の休止時間を考慮し得る。制御ユニットは、試験またはユーザによって事前定義または定義された特定の試料の最大休止時間を有し得て、したがって、最大休止時間に達する前に試料が処理されることを保証するために、この最大休止時間を考慮する。
【0039】
本方法は、実行命令を作成する場合に、検査室システムの2つの特定の位置の間の試料の移動時間を考慮し得る。特に大規模な検査室システムでは、試料は、検査室システムの広域にわたって分配され得る。したがって、制御ユニットは、検査室システムの2つの特定の位置の間、例えば試料バッファユニットと分析装置との間の試料の移動時間を計算し、特に上述した他の時間的に重要な最適化基準を満たすために、試料が特定の実行命令に含まれることを考慮に入れるべきかどうかを決定し得る。
【0040】
本方法は、実行命令を作成する場合にユーザ固有の好みを考慮し得る。ユーザは、例えば、1つまたは複数の特定の試験または試料の種類に固有の異なる分析装置を定義し得て、またはユーザは、特定のアッセイまたは試料の種類を優先的に処理されるべき異なる作業期間を定義し得る。もちろん、上述した最適化基準の全ては、ユーザによって定義可能な要素を含んでいてもよい。
【0041】
好ましくは、本方法は、以下:
- 1つの分析装置が、選択された試料を受け取るステップと、
- 1つの分析装置が、分析装置固有の実行命令を作成するステップと、
- 1つの分析装置が、分析装置固有の実行命令を送信するステップと、
- 制御ユニットが、分析装置固有の実行命令を受信するステップと、
- 制御ユニットが、作成された実行命令を分析装置固有の実行命令と比較するステップと、
- 制御ユニットが、作成された実行命令と分析装置固有の実行命令との間の差を決定するステップと、
- 制御ユニットが、最適化基準と、作成された実行命令と分析装置固有の実行命令との間の決定された差とに基づいて、更新された実行命令を作成するステップと、
- 制御ユニットが、更新された実行命令を1つの分析装置に送信するステップと、
- 制御ユニットが、任意選択的に、1つまたは複数の要求された試験が実行されるべき試料を試料バッファユニットから1つの分析装置に、および/または1つの分析装置から試料バッファユニットに搬送するように運搬システムを制御するステップと
をさらに含む。
【0042】
場合によっては、実行命令の作成と分析装置によって処理されている試料との間に生じる正当な状況により、実行命令が完全にまたは部分的に実行されないことが起こり得る。例として、搬送の問題のために試料が分析装置に到達しない場合があり、または機器上の試薬の変更のために対照が試験プレートに含まれなければならず、または緊急の試料が機器に装填され、実行命令に存在する試料の代わりに分析されるべきであるなどである。したがって、分析装置は、所与の試験プレートに対する分析装置固有の実行命令を作成し、それらの分析装置固有の実行命令は、比較およびさらなる最適化のために制御ユニットに送信されることが好ましい。分析装置固有の実行命令が、制御ユニットによって最初に作成された実行命令に等しい場合、制御ユニットは、実行命令に基づいて分析を実行するための命令を送信し得る。あるいは、分析装置自体は、実行命令を分析装置固有の実行命令と比較し、差が決定された場合にのみ送信し、そうでなければ分析をさらに進めてもよい。制御ユニットが分析装置固有の実行命令と最初に作成された実行命令との間の差を決定する場合、制御ユニットは、更新された実行命令(分析装置固有の実行命令またはさらには最適化された実行命令に等しくてもよい)を作成し、それらをさらなる処理のために分析装置に送信し得る。更新された実行命令に応じて、試料は、分析装置に搬送され、および/または分析装置から離れるように搬送される必要があり得る。したがって、制御ユニットは、任意選択的に、1つまたは複数の要求された試験が実行されるべき試料を試料バッファユニットから1つの分析装置に、および/または1つの分析装置から試料バッファユニットに搬送するように運搬システムを制御し得る。
【0043】
好ましくは、本方法は、以下:
- 1つの分析装置が、選択された試料を受け取るステップと、
- 受け取った試料のそれぞれについて、1つの分析装置が、試料が分析装置によって受け取られたという情報を制御ユニットに送信するステップと、
- 制御ユニットが、1つの分析装置によって受け取られた情報を用いて1つの分析装置の実行状況を更新するステップと
をさらに含む。
【0044】
この場合、制御ユニットは、実行命令に含まれていた特定の試料が分析装置によって効果的に受け取られたことをリアルタイムで監視することができる。さらに、制御ユニットはまた、試料が受け取られる時間、および分析装置への実行命令の送信と分析装置による試料の受取りとの間の時間フレームを監視し得る。
【0045】
より好ましくは、本方法は、以下:
- 1つの分析装置によって受け取られた試料の数が1つの分析装置に搬送された試料の数よりも少ない場合に、制御ユニットが、更新された実行命令を1つの分析装置に送信して、1つの分析装置によって受け取られた試料を用いて1つまたは複数の選択された試験を実行するステップ
をさらに含む。
【0046】
この場合、制御ユニットは、特に所与の期間内に全ての試料が分析装置に搬送されたわけではないと決定し、したがって、分析装置内に存在する試料の分析を実行すべきか否かを決定することができる。
【0047】
あるいは、本方法は、以下:
- 1つの分析装置によって受け取られた試料の数が1つの分析装置に搬送された試料の数よりも少ない場合に、制御ユニットが、1つの分析装置を確認するようにユーザに促すことを送信するステップ
をさらに含む。
【0048】
実行命令に含まれる試料の量が分析装置によって受け取られた試料よりも多いと制御ユニットが決定した場合、特に所与の閾値差を超えた場合、ユーザは、分析装置、検査室システム、コンピュータ、モバイル装置、スマートウォッチなどでテキストおよび/または視覚および/または音声信号によって、分析装置の問題を確認するように促されることがある。
【0049】
好ましくは、本発明にかかる試験プレートは、行および列に配置された複数のウェル、より好ましくは12行および8列を有する96ウェルプレートを備えるマルチウェルプレートであり、実行命令は、要求された試験のために試験プレートの行に選択された試料および/または対照のみを配置する命令を含む。
【0050】
上述したように、使用される分析装置および分析装置に含まれるピペットシステムに応じて、試薬を試験プレートの1つの列に対してプレートに分注することしかできず、したがって、実行命令は、試験プレート試料および/または同じ試験に属する対照の列に配置するだけでこれを考慮に入れる。好ましくは、実行命令は、試薬および消耗品の浪費を回避するために、試験プレートの列全体を同じ試験に属する試料および/または対照によって満たすための命令を含む。
【0051】
本発明は、さらに、少なくとも試料投入ユニットと、1つまたは複数の試料バッファユニットと、1つまたは複数の分析装置と、試料投入から試料バッファユニットおよび分析装置に試料を搬送するための運搬システムと、試料投入ユニット、試料バッファユニット、分析装置および運搬システムに接続された制御ユニットとを備える検査室システムであって、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されている、検査室システムに関する。
【0052】
したがって、本発明の方法に関する上記の説明は、本発明にかかる検査室システムに適用される。特に、検査室システムは、複数の試料投入ユニット、試料バッファユニット、分析装置および運搬システムを含み得る。
【0053】
好ましくは、本方法またはシステムは、分析前ステップを実行するための、特に共通の試料容器ラックホルダ上で特定の試験が要求された試料を含む試料容器をグループ化するための分析前装置をさらに備える。この場合、分析前装置は、必ずしも試料投入ユニットとして構成されている必要はなく、任意の所与の場所の検査室システム内に配置されてもよいことに留意されたい。この場合、分析前装置は、制御ユニットによって接続され、制御ユニットは、ラックホルダ上の試料容器のグループ化を含む特定の分析前ステップを実行するように分析前装置に命令するように構成されている。
【0054】
本発明は、さらに、本発明にかかる検査室システムに本発明にかかる方法のステップを実行させるための命令を含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0055】
本発明は、さらに、本発明にかかるコンピュータプログラム製品を記憶したコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】本発明の実施形態にかかる検査室システムの概略図を示している。
図2】本発明の別の実施形態にかかる検査室システムの概略図を示している。
図3】本発明にかかる方法のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明を、図面および上記の説明に関連して好ましい実施形態によって以下に説明する。
【0058】
図1は、試料投入ユニット2、試料バッファユニット3、分析装置4、運搬システム5、および試料投入ユニット2、試料バッファユニット3、分析装置4、および運搬システム5に接続された制御ユニット6を備える比較的小型の検査室システム1を概略的に示しており、点線によって概略的に表されている。
【0059】
図2は、試料投入ユニット2および2’、試料バッファユニット3および3’、分析装置4、4’および4”、運搬システム5、試料投入ユニット2および2’、試料バッファユニット3および3’、分析装置4、4’および4”、運搬システム5、ならびに分析前装置7に接続された制御ユニット6を備える比較的大型の検査室システム1を概略的に示しており、点線によって概略的に表されている。
【0060】
図1および図2から分かるように、両方の検査室システム1は、共通の手法を共有しており、唯一の相違は、構成要素の量および配置、ならびに図2の例における専用の分析前装置7の存在である。
【0061】
図3は、図2の検査室システムに関して説明される本発明にかかる方法のフローチャートを示している。しかしながら、図3に示す方法は、図1の検査室システム1に適宜適用されてもよい。
【0062】
第1のステップ100において、制御ユニット6は、試料投入ユニット2および2’を介して検査室システム1に提供された試料のそれぞれについて1つまたは複数の試験要求を取得する。試料投入ユニット2および2’は、特定の試料容器または試料容器用のラックのみを受け入れるように構成され得る。
【0063】
試料投入ユニット2および2’を介して検査室システム1に試料を供給すると、検査室システム1は、試料容器の試料識別情報(例えば、バーコード、QRコード、RFIDタグ、試料容器識別コードのグラフィック認識など)を読み取り、試料について、試料容器に収容された試料に対してどの1つまたは複数の試験を実行すべきかに関する情報を取得する。試験要求は、例えばLISから取得されてもよい。より多くの試料容器がラックに配置される場合、ラック識別子も取得し、ラックに配置された試料の試料識別情報をラック識別子にリンクして、後のラックの搬送を簡略化することが有利である。
【0064】
第2のステップ110において、制御ユニット6は、提供された試料を試料バッファユニット3および3’に搬送するように運搬システム5を制御する。検査室システム1に添加された試料は、さらなる処理までそこに貯蔵される試料バッファユニット(3または3’)に搬送される。試料バッファユニット3または3’は、特定の試料の種類、試料容器の種類、またはラックの種類の貯蔵用に構成され得る。
【0065】
上述したように、試料バッファユニット3または3’は、分析前ユニットとして構成されてもよく、その結果、試料および/または試料の試験要求に応じて、さらなる分析のために試料を分析装置4、4’または4”に直接搬送することを可能にするために、この段階において分析前ステップが既に実行されてもよい。
【0066】
必要に応じて、制御ユニット6は、運搬システム5を制御して分析前装置7に試料を送ることにより、分析前ステップを実行し、特に、試料容器の種類、試料の種類、試験要求などに応じてラック上の試料容器をグループ化し得る。
【0067】
第3のステップ120において、制御ユニット6は、最適化基準に基づいて試験プレート上の選択された試料に対して1つまたは複数の要求された試験を実行するための実行命令を作成する。本発明によれば、制御ユニット6は、試験プレート上で分析される試料、試験プレート上で実行される試験、試料の位置、および必要に応じて試験プレートを処理する分析装置4、4’または4”のうちの1つに関する少なくとも情報を含む実行命令を作成する。実行命令の作成は、異なる最適化基準を考慮に入れる。
【0068】
実行命令を作成することにより、試料が正常に処理され、分析装置4、4’および4”、したがって検査室システム1のスループットが最適化され、リソースの最適化された浪費および最適化された時間管理を伴う試験結果の正しいオンタイム配信をもたらすことが保証され得る。これはまた、ユーザと検査室システムとの相互作用を減らすことを可能にする。
【0069】
第4のステップ130において、すなわち、実行命令の作成後、制御ユニット6は、最適化基準に基づいて最適な選択であると決定された分析装置4に作成された実行命令を送信する。
【0070】
最後に、第5のステップ150において、制御ユニットは、1つまたは複数の要求された試験が試験プレート上で実行されるべき選択された試料を試料バッファユニット3および3’から分析装置4に搬送するように運搬システム5を制御する。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査室システム(1)における試料分配を最適化するための方法であって、前記検査室システム(1)が、少なくとも、
- 試料投入ユニット(2)と、
- 1つまたは複数の試料バッファユニット(3)と、
- 1つまたは複数の分析装置(4)と、
- 前記試料投入ユニット(2)から前記試料バッファユニット(3)および前記分析装置(4)に前記試料を搬送するための運搬システム(5)と、
- 前記試料投入ユニット(2)、前記試料バッファユニット(3)、前記分析装置(4)および前記運搬システム(5)に接続された制御ユニット(6)と、を備え、
前記方法が、以下:
- 前記制御ユニット(6)が、前記試料投入ユニット(2)を介して前記検査室システム(1)に提供された前記試料のそれぞれについて1つまたは複数の試験要求を取得するステップ(100)と、
- 前記制御ユニット(6)が、前記提供された試料を前記1つまたは複数の試料バッファユニット(3)に搬送するように前記運搬システム(5)を制御するステップ(110)と、
- 前記制御ユニット(6)が、最適化基準に基づいて試験プレート上の選択された試料に対して1つまたは複数の要求された試験を実行するための実行命令を作成するステップ(120)と、
- 前記制御ユニット(6)が、作成された前記実行命令を1つの分析装置(4)に送信するステップ(130)と、
- 前記制御ユニット(6)が、1つまたは複数の要求された試験が実行されるべき前記選択された試料を前記試料バッファユニット(3)から前記1つの分析装置(4)に搬送するように前記運搬システム(5)を制御するステップ(140)と
を含む、方法。
【請求項2】
前記最適化基準が、
- 前記試料バッファ内および/または前記システム内に既に存在する試料に対する試験要求、
- 前記分析装置(4)内に既に存在する試料に対する試験要求、
- 前記1つまたは複数の分析装置(4)の利用可能性、
- 試験プレート上で使用される対照の数および種類、
- 試験プレート上に存在する試料/対照の比、
- 前記要求された試験の熱プロファイル、
- 分析装置(4)に装填された試薬の量、
- 分析装置(4)に装填された試薬の有効期限の時間/日付、
- 前記試料の有効期限の時間/日付
- 事実上の昼間、
- 試験のためのコスト、
- 試験結果が配信される目標時間、
- 前記検査室システム(1)における試料の休止時間、
- 前記検査室システム(1)の2つの特定の場所の間の試料の移動時間、
- ユーザ固有の嗜好
から選択される1つまたは複数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
- 前記1つの分析装置(4)が、前記選択された試料を受け取るステップと、
- 前記1つの分析装置(4)が、分析装置固有の実行命令を作成するステップと、
- 前記1つの分析装置(4)が、前記分析装置固有の実行命令を送信するステップと、
- 前記制御ユニット(6)が、前記分析装置固有の実行命令を受信するステップと、
- 前記制御ユニット(6)が、作成された前記実行命令を前記分析装置固有の実行命令と比較するステップと、
- 前記制御ユニット(6)が、前記作成された実行命令と前記分析装置固有の実行命令との間の差を決定するステップと、
- 前記制御ユニット(6)が、最適化基準と、前記作成された実行命令と前記分析装置固有の実行命令との間の決定された前記差とに基づいて、更新された実行命令を作成するステップと、
- 前記制御ユニット(6)が、前記更新された実行命令を前記1つの分析装置(4)に送信するステップと、
- 前記制御ユニット(6)が、任意選択的に、1つまたは複数の要求された試験が実行されるべき前記試料を前記試料バッファユニット(3)から前記1つの分析装置(4)に、および/または前記1つの分析装置(4)から前記試料バッファユニット(3)に搬送するように前記運搬システム(5)を制御するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
- 前記1つの分析装置(4)が、前記選択された試料を受け取るステップと、
- 受け取った前記試料のそれぞれについて、前記1つの分析装置(4)が、前記試料が前記分析装置(4)によって受け取られたという情報を前記制御ユニット(6)に送信するステップと、
- 前記制御ユニット(6)が、前記1つの分析装置(4)によって受け取られた前記情報を用いて前記1つの分析装置(4)の実行状況を更新するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
- 前記1つの分析装置(4)によって受け取られた試料の数が1つの分析装置(4)に搬送された試料の数よりも少ない場合に、前記制御ユニット(6)が、更新された実行命令を前記1つの分析装置(4)に送信して、前記1つの分析装置(4)によって受け取られた前記試料を用いて前記1つまたは複数の選択された試験を実行するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
- 前記1つの分析装置(4)によって受け取られた試料の数が前記1つの分析装置(4)に搬送された試料の数よりも少ない場合に、前記制御ユニット(6)が、前記1つの分析装置(4)を確認するようにユーザに促すことを送信するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記試験プレートが、行および列に配置された複数のウェル、好ましくは12行および8列を有する96ウェルプレートを備えるマルチウェルプレートであり、前記実行命令が、前記試験プレートの行に選択された試料および/または要求された試験のための対照のみを配置する命令を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
検査室システム(1)であって、少なくとも、
- 試料投入ユニット(2)と、
- 1つまたは複数の試料バッファユニット(3)と、
- 1つまたは複数の分析装置(4)と、
- 前記試料投入ユニットから前記試料バッファユニット(3)および前記分析装置(4)に前記試料を搬送するための運搬システム(5)と、
- 前記試料投入ユニット(2)、前記試料バッファユニット(3)、前記分析装置(4)および前記運搬システム(5)に接続された制御ユニット(6)と
を備え、
前記検査室システム(1)が、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されている、検査室システム。
【請求項9】
請求項8に記載の検査室システム(1)に、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体。
【外国語明細書】