(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073402
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】インク組成物及びその製造方法とこれから製造される複合体及び電子素子並びに表示装置
(51)【国際特許分類】
C09D 11/101 20140101AFI20240522BHJP
C09K 11/02 20060101ALI20240522BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20240522BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240522BHJP
H10K 50/11 20230101ALI20240522BHJP
H10K 50/115 20230101ALI20240522BHJP
H10K 85/10 20230101ALI20240522BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240522BHJP
H10K 59/38 20230101ALI20240522BHJP
H10K 59/122 20230101ALI20240522BHJP
H10K 71/40 20230101ALI20240522BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20240522BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240522BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240522BHJP
C09K 11/08 20060101ALN20240522BHJP
C09K 11/62 20060101ALN20240522BHJP
【FI】
C09D11/101
C09K11/02 Z
H05B33/14 Z
H10K50/10
H10K50/11
H10K50/115
H10K85/10
H10K59/10
H10K59/38
H10K59/122
H10K71/40
H01L33/50
G02F1/1335 505
G02F1/13357
C09K11/08 G ZNM
C09K11/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196018
(22)【出願日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】10-2022-0154923
(32)【優先日】2022-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】文 得 圭
(72)【発明者】
【氏名】朴 相 鉉
(72)【発明者】
【氏名】元 鍾 勳
(72)【発明者】
【氏名】金 泰 坤
【テーマコード(参考)】
2H291
2H391
3K107
4H001
4J039
5F142
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
【課題】向上した物性を示すインク組成物及びその製造方法とこれから製造される複合体及び電子素子並びに表示装置を提供する。
【解決手段】本発明のインク組成物は、半導体ナノ粒子及び重合性モノマーを有し、半導体ナノ粒子は、銀(silver)、13族金属、及びカルコゲン元素を含む11-13-16族化合物、並びに亜鉛を含み、13族金属は、インジウム及びガリウムを含み、カルコゲン元素は、硫黄を含み、インク組成物は、第1有機リガンドを更に含み、第1有機リガンドは、R
1-COO-Aで表される化合物又は残基を含み、ここでR
1は第1有機基であり、Aは水素又は前記半導体ナノ粒子の表面に結合される部分である。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ナノ粒子及び重合性モノマーを有するインク組成物であって、
前記半導体ナノ粒子は、銀(silver)、13族金属、及びカルコゲン元素を含む11-13-16族化合物、並びに亜鉛を含み、
前記13族金属は、インジウム及びガリウムを含み、
前記カルコゲン元素は、硫黄を含み、
前記インク組成物は、第1有機リガンドを更に含み、
前記第1有機リガンドは、R1-COO-Aで表される化合物又は残基を含み、ここでR1は第1有機基であり、Aは水素又は前記半導体ナノ粒子の表面に結合される部分であることを特徴とするインク組成物。
【請求項2】
前記半導体ナノ粒子は、第2有機リガンドを更に含み、
第2有機リガンドは、R2S-Aで表される化合物又は残基を含み、ここでR2は第2有機基であり、Aは水素又は前記半導体ナノ粒子の表面に結合される部分であり、
選択により、前記第2有機基は、置換又は非置換のC1-500炭化水素基であり、主鎖(backbone)に-CO-、-O-、-COO-、-S-、-SO-、-NHCO-、又はこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
【請求項3】
前記半導体ナノ粒子は、11-13-16族化合物を含む半導体ナノ結晶、及び前記半導体ナノ結晶の表面上に前記亜鉛を含み、
前記ガリウムは、前記半導体ナノ結晶の表面に露出し、
前記第1有機リガンドは、前記半導体ナノ結晶の表面に連結されることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
【請求項4】
前記半導体ナノ粒子は、
硫黄に対する亜鉛のモル比が0.01~0.8であり、
下記式2により表される電荷均衡値(charge balance value)が0.8以上1.5以下であることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
charge balance value={[Ag]+3x([In]+[Ga])+2x[Zn]}/2x[S]) ・・・式2
(ここで[Ag]、[In]、[Ga]、[Zn]、及び[S]は、それぞれ前記半導体ナノ粒子内の銀、インジウム、ガリウム、亜鉛、及び硫黄のモル含有量である。)
【請求項5】
前記半導体ナノ粒子で、
銀(Ag)に対する亜鉛(Zn)のモル比(Zn/Ag)は、0.3以上5以下であるか、
ガリウムに対する亜鉛のモル比(Zn/Ga)は、0.4以上1.5以下であるか、又は
ガリウム、インジウム、及び銀の総和に対する亜鉛のモル比は、0.05以上2以下であることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
【請求項6】
前記第1有機基は、置換又は非置換のC3-15炭化水素基を含み、
選択により、前記C3-15炭化水素基は、その主鎖(backbone)に-CO-、-O-、-COO-、-SO-、-S-、-NHCO-、又はこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
【請求項7】
前記第1有機基は、(メタ)アクリレート残基を含むことを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
【請求項8】
前記インク組成物で、前記半導体ナノ粒子の含有量は、組成物の総重量を基準に15重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
【請求項9】
前記第1有機リガンドは、下記化学式2-1で表されるカルボン酸化合物又は下記化学式2-3で表されるカルボキシレート残基を含み、
前記インク組成物は、重合により半導体ナノ粒子-ポリマーの複合体を形成するように構成され、
前記インク組成物は、下記式3により定義される量子効率の維持率が50%以上であることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
量子効率の維持率(%)=[重合後の半導体ナノ粒子含有複合体の量子効率/インク組成物内での半導体ナノ粒子の量子効率]×100 ・・・式3
【化2-1】
【化2-3】
(ここで、Rは、同一であるか又は異なり、それぞれ独立して水素又はC1~C10アルキル基であり、
Lは、直接結合、置換又は非置換のC1~C30炭化水素基、CO、O、SO、COO、S、NHCO、又はこれらの組み合わせであり、
Aは、直接結合、置換又は非置換のC1~C30炭化水素基、CO、O、SO、COO、S、NHCO、又はこれらの組み合わせであり、
*は半導体ナノ粒子に結合される部分である。)
【請求項10】
請求項1に記載のインク組成物の製造方法であって、
前記方法は、前記第1有機リガンドと共に前記半導体ナノ粒子を前記重合性モノマーと混合する段階と、
前記第1有機リガンドを含む前記半導体ナノ粒子を準備する段階と、を有し、
前記第1有機リガンドを含む前記半導体ナノ粒子を準備する段階は、11-13-16族化合物を含む半導体ナノ結晶粒子を有機溶媒内で前記第1有機リガンド及び亜鉛塩化合物と混合して前記第1有機リガンドを含む前記半導体ナノ粒子を得る段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記11-13-16族化合物を含む半導体ナノ結晶粒子は、亜鉛塩処理された半導体ナノ粒子を含み、
前記亜鉛塩処理された半導体ナノ粒子は、前記11-13-16族化合物を含む半導体ナノ結晶粒子と第1亜鉛塩化合物とを、前記第1有機リガンドの不存在下で、第1有機溶媒内で接触させて得られることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1亜鉛塩化合物は、C8~C50の亜鉛脂肪酸エステル化合物を含み、
前記半導体ナノ結晶粒子と前記第1亜鉛塩化合物とを接触させることは、第1温度で行われ、
前記第1温度は、20℃以上100℃以下であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1有機リガンドは、下記化学式2-1で表されるカルボン酸化合物又は下記化学式2-3で表されるカルボキシレート残基を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【化2-1】
【化2-3】
(ここで、Rは、同一であるか又は異なり、それぞれ独立して水素又はC1~C10アルキル基であり、
Lは、直接結合、置換又は非置換のC1~C30炭化水素基、CO、O、SO、COO、S、NHCO、又はこれらの組み合わせであり、
Aは、直接結合、置換又は非置換のC1~C30炭化水素基、CO、O、SO、COO、S、NHCO、又はこれらの組み合わせであり、
*は半導体ナノ粒子に結合される部分である。)
【請求項14】
前記亜鉛塩化合物は、亜鉛ハライドを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
半導体ナノ粒子-ポリマーの複合体であって、
請求項1に記載のインク組成物から製造されることを特徴とする複合体。
【請求項16】
重合性モノマーの重合生成物、半導体ナノ粒子、及び第1有機リガンドを含む半導体ナノ粒子-ポリマーの複合体であって、
前記半導体ナノ粒子は、銀、13族金属、及び16族元素を含む11-13-16族化合物、並びに亜鉛を含み、
前記13族金属は、インジウム及びガリウムを含み、
前記16族元素は、硫黄を含み、
前記第1有機リガンドは、R1-COO-Aで表される化合物又は残基を含み、
ここでR1は第1有機基であり、Aは水素又は前記半導体ナノ粒子の表面に結合される部分であることを特徴とする複合体。
【請求項17】
色変換区域を含む色変換層及び選択により前記色変換層の各区域を定義する隔壁を含む素子であって、
前記色変換区域は、第1画素に対応する第1区域を含み、
前記第1区域は、請求項16に記載の複合体を含むことを特徴とする素子。
【請求項18】
光源及び請求項16に記載の複合体を含む表示装置であって、
前記光源は、前記複合体に入射光を提供するように構成されることを特徴とする表示装置。
【請求項19】
前記光源は、有機発光ダイオード、マイクロLED、ミニLED、ナノロッドを含むLED、又はこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項18に記載の表示装置。
【請求項20】
前記表示装置は、携帯端末装置、モニター、ノートパソコン、テレビ、電光板、カメラ、又は車両用電装部品であることを特徴とする請求項18に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク組成物及びその製造方法とこれから製造される複合体及び電子素子並びに表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ナノ粒子は、物質の固有特性として知られている物理的特性(ギャップエネルギーバンド、融点など)の面でバルク物質とは異なる様相を示す。例えば、半導体ナノ粒子(複数)は、エネルギー励起(例えば、光照射又は電圧印加)により光を放出するように構成される。このような発光性ナノ粒子は、多様な素子(例えば、電子素子)で応用の可能性が発見される。環境的観点で向上した発光物性が実現されて、カドミウムなどの有害重金属を含まない発光性ナノ粒子の開発が望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国公開特許第2022-0017357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、向上した物性を示す半導体ナノ粒子含有インク組成物及びその製造方法とこれから製造される(半導体ナノ粒子-ポリマー)複合体及び電子素子並びに表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によるインク組成物は、半導体ナノ粒子及び重合性モノマーを有し、前記半導体ナノ粒子は、銀(silver)、13族金属、及びカルコゲン元素を含む11-13-16族化合物、並びに亜鉛を含み、前記13族金属は、インジウム及びガリウムを含み、前記カルコゲン元素は、硫黄を含み、前記インク組成物は、第1有機リガンドを更に含み、前記第1有機リガンドは、R1-COOAで表される化合物を含み、ここでR1は第1有機基であり、Aは水素又は半導体ナノ粒子の表面に結合される部分である。
【0006】
前記半導体ナノ粒子は、例えばインク組成物内で、或いはこれから製造された複合体で65%以上、67%以上、又は70%以上~100%の量子効率を示すように構成される。
前記半導体ナノ粒子は、その表面に結合された前記第1有機リガンドを含む。
前記インク組成物又は前記半導体ナノ粒子は、前記第1リガンドとは異なる第2有機リガンドを更に含む。前記第2有機リガンドは、R2S-Aで表される化合物を含み、ここでR2は第2有機基であり、Aは水素又は半導体ナノ粒子の表面に結合される部分である。
前記13族金属は、インジウム及びガリウムを含む。
前記半導体ナノ粒子の表面は、ガリウム及び亜鉛を含む。
前記半導体ナノ粒子は、下記式1により表される電荷均衡値(charge balance value、総陽イオン/総陰イオン)が0.8以上、1.8以下又は1.5以下である。
charge balance value={[Ag]+3x([13族金属])+2[Zn]}/2x[CHA]) ・・・式1
ここで[Ag]、[13族金属]、[Zn]、及び[CHA]は、それぞれ前記ナノ粒子内の銀、13族金属、亜鉛、及びカルコゲン元素のモル含有量である。
前記電荷均衡値は、0.9以上又は1以上である。前記電荷均衡値は、1.3以下、1.2以下、又は1.1以下である。
前記13族金属は、インジウム、ガリウム、アルミニウム、又はこれらの組み合わせを含む。前記13族金属は、インジウム及びガリウムを含む。前記カルコゲン元素は、硫黄、セレニウム、又はこれらの組み合わせを含む。前記ナノ粒子で、前記カルコゲン元素は、硫黄を含み、選択によりセレニウムを更に含むか又は含まない。
前記半導体ナノ粒子で、カルコゲン元素(例えば、硫黄)に対する亜鉛のモル比は、0.8以下、0.3以下、0.25以下、又は0.19以下である。前記半導体ナノ粒子で、カルコゲン元素(例えば、硫黄)に対する亜鉛のモル比は、0.01以上又は0.05以上である。
前記半導体ナノ粒子で、銀(Ag)に対する亜鉛(Zn)のモル比(Zn/Ag)は、0.3以上又は0.5以上、及び5以下、3.5以下、又は2以下である。
前記半導体ナノ粒子で、銀、インジウム、及びガリウムの総和に対する硫黄のモル比(S/(Ag+In+Ga))は、1.3以上又は1.35以上、及び2以下である。
前記半導体ナノ粒子で、銀に対するインジウムとガリウムとの総和のモル比((In+Ga)/Ag)は、1.5以上又は1.8以上、及び7.0以下又は3.5以下である。
前記半導体ナノ粒子で、インジウムとガリウムとの総和に対するガリウムのモル比[Ga/(In+Ga)]は、0.99以下又は0.8以下である。インジウムとガリウムとの総和に対するガリウムのモル比は、0.65以上又は0.7以上である。
前記ナノ粒子で、硫黄に対するガリウムのモル比(Ga/S)は、0.5以下又は0.41以下である。硫黄に対するガリウムのモル比(Ga/S)は、0.1以上、0.3以上、又は0.35以上である。
前記半導体ナノ粒子は、リチウムを含まない。前記ナノ粒子は、ナトリウムを含まない。前記ナノ粒子は、アルカリ金属を含まない。前記ナノ粒子は、銅を含まないか又は更に含む。
前記半導体ナノ粒子は、第1光を放出するように構成される。前記半導体ナノ粒子又は前記第1光は、半値幅が5nm以上70nm以下である。前記ナノ粒子は、50%以上の量子収率を示す。
前記半導体ナノ粒子又は前記第1光は発光ピーク波長が500nm以上650nm以下の範囲に存在する。前記第1光は緑色光である。前記発光ピーク波長は、505nm以上580nm以下の範囲である。
前記半導体ナノ粒子は60%以上の(絶対)量子収率を示す。前記量子収率は、62%以上、65%以上、又は70%以上である。前記量子収率は80%~100%である。
前記半値幅は、45nm以下、40nm以下、又は35nm以下である。前記半値幅は、5nm以上、10nm以上、15nm以上、又は25nm以上である。
【0007】
前記第1有機基は、置換又は非置換のC1-500、C2-300、C3-100、C4-50、又はC5-10の炭化水素基であり、選択により(例えば、主鎖(backbone)で)一つ以上のメチレンが-CO-、-O-、-COO-、-S-、-SO-、-NHCO-、又はこれらの組み合わせに代替される。
前記第2有機基は、置換又は非置換のC1-500、C2-300、C3-100、C4-50、又はC5-10炭化水素基であり、選択により(例えば、主鎖(backbone)で)一つ以上のメチレンが-CO-、-O-、-COO-、-S-、-SO-、-NHCO-、又はこれらの組み合わせを含む。
前記第1有機基は、炭素-炭素二重結を含有する残基を含む。前記炭素-炭素二重結を含有する残基は、(メタ)アクリレート基を含む。前記第2有機基は、アルコキシカルボニル残基を含む。
前記第2有機リガンドは、ピペリジン残基を含まない。
前記第2有機リガンドは、アミン基を含むか又は含まない。
前記半導体ナノ粒子は、前記第2有機リガンドを含まない。一実施形態の半導体ナノ粒子は前記第2有機リガンドを含み、第2有機リガンドと第1有機リガンドとの間のモル比(第2有機リガンド:第1有機リガンド)は、1:1~1:100、1:2~1:50、又はこれらの組み合わせである。
前記第1有機リガンドは、前記第2有機リガンドよりも過量で存在する。
前記半導体ナノ粒子は、塩素を更に含む。
前記第1有機リガンドは、C3~C500(例えばC4-C100、C4-C50、C5-C12)カルボキシアルキル(メタ)アクリレートを含む。前記第1有機リガンドは、分子量が10g/mol以上、50g/mol以上、又は120g/mol以上、及び800g/mol以下、500g/mol以下、400g/mol以下、300g/mol以下、又は250g/mol以下の小分子化合物(例えば、非高分子型化合物)を含む。
前記第2有機リガンドは、チオール基を含むC3~C500(例えばC4-C100、C4-C50、C5-C12)カルボン酸アルキルエステルを含む。
前記インク組成物で、前記半導体ナノ粒子の含有量は、組成物の総重量を基準に15重量%以上又は20重量%以上である。前記インク組成物で、前記半導体ナノ粒子の含有量は、組成物の総重量を基準に50重量%以下である。
【0008】
前記インク組成物で、前記モノマーは、下記化学式1で表される化合物を含む。
【化1】
前記化学式1で、Xは、炭素-炭素二重結合を有するC2~C30の有機基であり、
L
2は、単一結合、炭素原子、置換又は非置換のC2~C50のアルキレン基、置換又は非置換のC1~C50のアルケニレン基、置換又は非置換のC3~C50(例えば、C6-C30)のシクロアルキレン基、置換又は非置換のC3~C50(例えば、C6-C30)のシクロアルケニレン基、置換又は非置換のC6~C50のアリーレン基、置換又は非置換のC3~C30のヘテロアリーレン基、オキシアルキレン単位を1個以上有する基[(R-O)n、ここでRは置換又は非置換のメチレン、エチレン、イソプロピレン、ブチレンなどのC1~C10のアルキレンであり、nは、1以上、3以上、5以上、又は10以上、及び500以下、300以下、100以下、50以下、又は15以下]、スルホニル(-S(=O)
2-)、カルボニル(-C(=O)-)、エーテル(-O-)、スルフィド(-S-)、スルホキシド(-S(=O)-)、エステル(-C(=O)O-)、アミド(-C(=O)NR-)(ここでRは水素又はC1~C10の直鎖又は分枝鎖アルキル基である)、イミン(-NR-)(ここでRは水素又はC1~C10の直鎖又は分枝鎖アルキル基である)、又はこれらの組み合わせであり、
Yは、単一結合、置換又は非置換のC1~C30のアルキレン基、置換又は非置換のC2~C30のアルケニレン基、スルホニル(-S(=O)
2-)、カルボニル(-C(=O)-)、エーテル(-O-)、スルフィド(-S-)、スルホキシド(-S(=O)-)、エステル(-C(=O)O-)、アミド(-C(=O)NR-)(ここでRは水素又はC1~C10の直鎖又は分枝鎖アルキル基である)、イミン(-NR-)(ここでRは水素又はC1~C10の直鎖又は分枝鎖アルキル基である)、又はこれらの組み合わせであり、
nは1以上の整数であり、
kは1以上の整数であり、
nとkとの合計は、2以上(例えば、3以上、又は4以上、及び10以下又は5以下)の整数である。
nはYの原子価数により決定される。kはLの原子価数により決定される。
Xは、ビニル基、(メタ)アクリレート基、又はこれらの組み合わせを含む。
【0009】
前記モノマーは、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、置換又は非置換のアルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、エチルグリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアクリロイルオキシアルカン、又はこれらの組み合わせを含む。
【0010】
一実施形態で、前記モノマーは光重合性単量体を含む。前記モノマーは、置換又は非置換のジ(メタ)アクリレート化合物、置換又は非置換のトリ(メタ)アクリレート化合物、置換又は非置換のテトラ(メタ)アクリレート化合物、置換又は非置換のペンタ(メタ)アクリレート化合物、置換又は非置換のヘキサ(メタ)アクリレート化合物、又はこれらの組み合わせを含む。
前記インク組成物は、開始剤、金属酸化物(ナノ)粒子、又はこれらの組み合わせを更に含む。
前記開始剤の含有量は、組成物の総重量を基準に0.5重量%以上10重量%以下である。
前記金属酸化物粒子の含有量は、組成物の総重量を基準に0.5重量%以上30重量%以下である。
前記インク組成物は、(例えば、厚さ15マイクロメーター以下、又は厚さ10マイクロメーター以下の)フィルムの形態で重合されて複合体又はそのパターンを形成するように構成される。
前記インク組成物は、重合により半導体ナノ粒子-ポリマーの複合体を形成するように構成され、前記半導体ナノ粒子-ポリマーの複合体において半導体ナノ粒子の量子収率は60%以上である。
前記インク組成物は、重合により複合体を形成するように構成され、下記式3により定義される前記量子効率の維持率は50%以上である。
量子効率の維持率(%)=[重合後の半導体ナノ粒子含有複合体の量子効率/(例えば、インク組成物内での)半導体ナノ粒子の量子効率]×100 ・・・式3
前記複合体は、下記式4により定義される青色光吸収率が85%以上、88%以上、又は90%以上である。
青色光吸収率(%)=[(B-B’)/B]×100 ・・・式4
B:青色光の光量
B’:前記複合体を通過した青色光の光量
前記複合体の青色光吸収率は、例えば7μmのフィルムで測定することができる。
前記青色光吸収率は、99.5%以下、99%以下、98%以下、又は97%以下である。
【0011】
前記インク組成物の製造方法は、前記第1有機リガンドと共に(例えば、含む、又は隣接する)前記半導体ナノ粒子を前記重合性モノマーと混合する段階と、前記第1有機リガンドを含む前記半導体ナノ粒子を準備する段階と、を有し、前記第1有機リガンドを含む前記半導体ナノ粒子を準備する段階は、11-13-16族化合物を含む半導体ナノ結晶粒子を有機溶媒内で前記第1有機リガンド及び亜鉛塩化合物(例えば、亜鉛ハライド)と混合(admixing)して前記第1有機リガンドを含む前記半導体ナノ粒子を得る段階を含む。
【0012】
前記第1有機リガンドは、前記半導体ナノ粒子の表面に結合される。
前記11-13-16族化合物を含む半導体ナノ結晶粒子は、亜鉛塩処理されたナノ結晶粒子を含み、前記亜鉛塩処理されたナノ結晶粒子は、11-13-16族化合物を含むナノ結晶粒子と第1亜鉛塩化合物とを(例えば、第1有機リガンドの不存在下で)第1有機溶媒内で、第1温度で接触させて得られる。
前記方法は、前記亜鉛塩処理されたナノ結晶粒子を前記有機溶媒内に分散させた分散液を準備する段階を更に含む。
前記混合(admixing)する段階中に、前記半導体ナノ粒子の表面でリガンド交換反応が起きる。
前記方法は、前記混合(admixing)する段階で、前記第2有機リガンドを付加する段階を更に含む。前記リガンド交換反応は、前記第2有機リガンド化合物の存在下で行われる。
前記第1温度は、20℃以上、100℃以下、60℃以下、又は50℃以下である。
前記混合又は前記リガンド交換反応は、100分以上5日以下で行われる。
前記混合又は前記リガンド交換反応は、20℃以上、及び100℃以下、80℃以下、60℃以下、50℃以下、又は40℃以下で行われる。
前記亜鉛塩化合物は、亜鉛脂肪酸エステル化合物、亜鉛ハライド、又はこれらの組み合わせを含む。
【0013】
他の実施形態は、前記インク組成物から製造される半導体ナノ粒子-ポリマーの複合体に関するものである。
一実施形態で、前記半導体ナノ粒子-ポリマーの複合体は、重合性モノマーの重合生成物、半導体ナノ粒子、及び第1有機リガンドを含み、前記半導体ナノ粒子は、亜鉛、及び11-13-16族化合物を含み、前記11-13-16族化合物は、銀、13族金属、及び16族元素を含み、前記13族金属はインジウム及びガリウムを含み、前記16族元素は硫黄を含み、前記第1有機リガンドはR1-COO-Aで表される化合物又は残基を含む。R1及びAの定義は、本明細書に記載した通りである。
一実施形態で、前記複合体は、マトリックス及び前記マトリックス内に分散された前記ナノ粒子(例えば、複数の前記ナノ粒子)を含む。前記マトリックスは、上述したモノマーの重合生成物を含む。前記(ポリマー)マトリックス又は前記重合生成物は、架橋されたポリマーを含む。前記複合体は、金属酸化物微粒子(例えば、ナノ粒子)を更に含む。前記複合体は、パターン化されたフィルムの形態を有する。前記複合体は、第1光を放出する前記ナノ粒子及び前記第1光とは異なる第2光を放出するナノ粒子が混合されたシートである。前記複合体で前記ナノ粒子の含有量は、複合体の総重量を基準に1重量%~50重量%、10重量%~30重量%、又は15重量%~20重量%、又はこれらの組み合わせである。
前記複合体の青色光吸収率は、70%以上、80%以上、85%以上、又は90%以上である。前記複合体の青色光吸収率は、70%~100%、80%~98%、95%~99%、96%~98%、又はこれらの組み合わせである。前記複合体は、青色光吸収率が85%以上である。
前記複合体又は前記複合体に含まれる半導体ナノ粒子は、発光効率又は量子効率(QY)が50%以上、55%以上、58%以上、60%以上、63%以上、65%以上、68%以上、69%以上、70%以上、又は75%以上である。
【0014】
一実施形態は、上述したナノ粒子を含む色変換区域を含む色変換層(例えば、色変換構造物)を提供する。一実施形態で、色変換パネルは、色変換区域を含む色変換層(例えば、色変換構造物)及び選択により前記色変換層の各区域を定義する隔壁を含む。前記色変換区域は第1画素に対応する第1区域を含み、前記第1区域は第1光を放出するように構成される第1複合体を含み、前記第1複合体はマトリックス及び前記マトリックス内に分散された半導体ナノ粒子を含む。
【0015】
他の実施形態は、光源及び前記複合体を含む表示装置(或いは表示パネル)に関するものである。一実施形態で、前記表示パネルは、発光パネル(又は光源)、及び前記色変換パネル、そして選択により前記発光パネルと前記色変換パネルとの間に位置する透光層を含む。
前記発光パネル(又は光源)は前記色変換パネルに励起光を提供するように構成される。前記励起光は青色光及び選択により緑色光を含む。前記青色光は440nm~460nm又は450nm~455nmの範囲にあるピーク波長を有する。
前記光源は、有機発光ダイオード、マイクロLED、ミニLED、ナノロッド含むLED、又はこれらの組み合わせを含む。
【0016】
一実施形態で、電子装置(或いは表示装置)は前記色変換パネル又は前記表示パネルを含む。
【0017】
一実施形態で、前記表示装置は、携帯端末装置、モニター、ノートパソコン、テレビ、電光板、カメラ、又は車両用電装部品を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるインク組成物は、インクジェット方式で向上した物性(吸収率などの光学的物性)を示すナノ粒子-複合体又はそのパターンを提供することができる。また、本発明によるインク組成物は、向上した安定性(工程安定性や化学安定性など)を示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1a】一実施形態による色変換パネルを模式的に示した断面図である。
【
図1b】一実施形態による電子素子(表示装置)の断面図である。
【
図2】一実施形態によるインク組成物を利用した(インクジェット印刷方式の)パターン形成工程を模式的に示した図である。
【
図3a】一実施形態による色変換パネルを含む表示パネルの一例を示す斜視図である。
【
図3b】他の実施形態による表示素子の分解図である。
【
図5a】
図3aの表示パネルの画素配列の一例を示す平面図である。
【
図6】
図5aの表示パネルをIV-IV線に沿って切断した断面図である。
【
図7】一実施形態による表示素子(例えば、液晶表示素子)を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
しかし、具現される形態は、以下で開示する実施形態に限定されるものではない。他の定義がなければ本明細書で使用する全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、当該技術分野で通常の知識を有する者に共通的に理解される意味で使用される。また一般に使用される辞書に定義されている用語は、明白に特に定義されない限り、理想的又は過度に解釈されない。明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素を更に含み得ることを意味する。
【0022】
図面において、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体に亘って類似の部分については同一の図面符号を付した。
【0023】
層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるという場合、これは他の部分の「直上」にある場合だけではなく、その中間に更に他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「直上」にあるという場合には中間に更に他の部分がないことを意味する。
【0024】
また、単数形は、文句で特に言及しない限り、複数形も含む。
【0025】
ここでカドミウム(又はその他の毒性重金属)を含まないという記載は、カドミウム(又は当該重金属)の濃度が100ppm(by weight)以下、50ppm以下、10ppm以下、1ppm以下、0.1ppm以下、0.01ppm以下、又は略0であるものを称する。本実施形態で、実質的にカドミウム(又は当該重金属)が存在しないか、もし存在する場合にも、与えられた検出手段の検出限界以下の量又は不純物水準で存在し得る。
【0026】
以下で別途の定義がない限り、「置換」とは、化合物中の水素がC1~C30のアルキル基、C2~C30のアルケニル基、C2~C30のアルキニル基、C6~C30のアリール基、C7~C30のアルキルアリール基、C1~C30のアルコキシ基、C1~C30のヘテロアルキル基、C3~C30のヘテロアルキルアリール基、C3~C30のシクロアルキル基、C3~C15のシクロアルケニル基、C6~C30のシクロアルキニル基、C2~C30のヘテロシクロアルキル基、ハロゲン(-F、-Cl、-Br、又は-I)、ヒドロキシ基(-OH)、ニトロ基(-NO2)、シアノ基(-CN)、アミノ基(-NRR’、ここでR及びR’は互いに独立的に水素又はC1~C6アルキル基である)、アジド基(-N3)、アミジノ基(-C(=NH)NH2)、ヒドラジノ基(-NHNH2)、ヒドラゾノ基(=N(NH2))、アルデヒド基(-C(=O)H)、カルバモイル基(carbamoyl group、-C(O)NH2)、チオール基(-SH)、エステル基(-C(=O)OR、ここでRはC1~C6アルキル基又はC6~C12アリール基である)、カルボキシル基(-COOH)又はその塩(-C(=O)OM、ここでMは有機又は無機陽イオンである)、スルホン酸基(-SO3H)又はその塩(-SO3M、ここでMは有機又は無機陽イオンである)、リン酸基(-PO3H2)又はその塩(-PO3MH又は-PO3M2、ここでMは有機又は無機陽イオンである)、及びこれらの組み合わせから選択される置換基で置換されたことを意味する。
【0027】
また以下で別途の定義がない限り、「ヘテロ」とは、N、O、S、Si、及びPから選択されるヘテロ原子を1~3個含むことを意味する。
【0028】
また「脂肪族炭化水素基」は、C1~C30の直鎖又は分枝鎖アルキル基、C2~C30の直鎖又は分枝鎖アルケニル基、又はC2~C30の直鎖又は分枝鎖アルキニル基を意味し、
「芳香族有機基」は、C6~C30のアリール基又はC2~C30のヘテロアリール基を意味し、
本明細書で、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを含んで称するものである。
【0029】
本明細書で、「族(Group)」は、元素周期表の族をいう。
【0030】
ここでナノ構造体(nanostructure)は、ナノ規模の寸法を有する少なくとも一つの領域又は特性寸法を有する構造体をいう。一実施形態で、ナノ構造体の寸法は約300nm未満、約250nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約50nm未満、又は約30nm未満である。このような構造体は任意の形状を有する。ナノ構造体は、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノチューブ、2以上のポッドを有するマルチポッドタイプ形状、ナノドット(又は量子ドット)などの任意の形状を有し、特に制限されない。ナノ構造体は、例えば実質的に結晶質、実質的に単結晶質、多結晶質、非晶質、又はこれらの組み合わせである。
【0031】
ここで量子ドットとは、量子閉じ込め(quantum confinement)又はエキシトン閉じ込め(exciton confinement)を示す(例えば、半導体基盤の)ナノ結晶をいい、発光性(例えば、エネルギー励起により光を放出する)ナノ構造体の一種である。
【0032】
ここで「分散液(dispersion)」は、分散相(dispersed phase)が固体(solid)であり、連続媒質(continuous medium)が液体又は分散相とは異なる固体を含む分散を含む。一実施形態のインク組成物は、分散液の形態である。一実施形態で、「分散液」は、分散相が1nm以上、例えば2nm以上、3nm以上、4nm以上、10nm以上、50nm以上、又は100nm以上、及び数マイクロメーター(μm)以下(例えば5μm以下、4μm以下、3μm以下、2μm以下、1μm以下、900nm以下、800nm以下、700nm以下、600nm以下、又は500nm以下)の寸法(dimension)を有するコロイド型分散である。
【0033】
ここで寸法(大きさ、厚さなど)は、個別単体(single entity)に対する値であるか、又は複数個の粒子のための平均である。ここで平均とは中央値(median)又は平均値(mean)である。一実施形態で、平均は平均値(mean)である。
【0034】
ここで発光ピーク波長とは、与えられた光の発光スペクトルがその最大値に達する波長をいう。
【0035】
ここで量子効率は、(例えば、日立又は浜松ホトニクス社などから)商業的に入手可能な装置を使用し、例えばそれぞれの装置製造会社から提供されたマニュアルを参考にして簡単且つ再現性があるように決定される。量子効率(又は量子収率)は、溶液状態又は(複合体内で)固体状態で測定される。一実施形態で、量子効率(又は量子収率)は、ナノ構造体又はこれらの集団により、吸収された光子(photon)に対する放出された光子の比率である。一実施形態で、量子効率は任意の方法で測定される。例えば、蛍光量子収率、又は効率のためには絶対法及び相対法の2種類の方法がある。本明細書で、絶対法により測定される量子効率を絶対量子効率という。
【0036】
絶対法では、積分球を通じて全てのサンプルの蛍光を検出して量子効率を得る。相対法では、標準染料(標準試料)の蛍光強度を未知のサンプルの蛍光強度と比較して未知のサンプルの量子効率を計算する。Coumarin 153、Coumarin 545、Rhodamine 101 inner salt、Anthracene and Rhodamine 6GなどがこれらのPL波長により標準染料として使用されるが、これに制限されない。
【0037】
半値幅及び最大PLピーク波長は、例えば蛍光スペクトロフォトメーターなどのようなスペクトロフォトメーターにより得られる光発光スペクトルにより測定される。
【0038】
ここで「第1吸収ピーク波長」は、UV-Vis吸収スペクトルで最も低いエネルギー領域で現れる一番目の主ピークの波長をいう。
【0039】
半導体ナノ粒子は、多様な電子素子内に含まれる。半導体ナノ粒子の電気及び/又は光学的物性は、これらの物性(例えば、組成、大きさ、及び/又は形状)により変わる。例えば、半導体ナノ粒子は半導体ナノ結晶粒子である。半導体ナノ粒子(例えば、量子ドット)は、単位体積当たりの表面積が広く、量子閉じ込め効果を示し、同一組成のバルク材料とは異なる物性を示す。例えば、半導体ナノ粒子は、励起源(excitation source)からエネルギー(例えば、光又は電圧)を提供され、エネルギー励起状態になって、そのバンドギャップエネルギーに相応するエネルギーを放出する。
【0040】
半導体ナノ粒子は色変換パネル(例えば、自発光カラーフィルター)でも使用される。例えば、量子ドット基盤の色変換パネル又は発光型カラーフィルターを含む表示素子では、発光材料である量子ドットを含有する層が素子の前方に配置され、光源から提供された青色光(励起光)が量子ドット層により緑色光又は赤色光に変換される。色変換パネルは、色変換層又は構造物を含む素子或いは電子素子である。
【0041】
このような色変換パネルを含む表示素子で、半導体ナノ粒子の物性(例えば、光学的物性及び安定性など)は素子の表示品質に直接的な影響を与える。例えば、素子の前方に配置される色変換パネルに含まれる発光材料は、発光効率だけでなく、励起光に対して向上した水準の吸収率を有するように要求される。カラーフィルターなどのパターン化された単膜への応用時、励起光吸収率の減少は、表示素子でのブルーリーケージ(blue leakage)の直接的原因になり、色再現率(例えば、DCI一致率)にも否定的影響を与え、ブルーリーケージ(blue leakage)を防止するために吸収型カラーフィルターの使用は発光効率の追加的減少をもたらす。ナノ粒子の低下した吸収率はこれを含む素子で減少した輝度につながる。
【0042】
素子に応用可能な物性(光学的物性及び/又は安定性)を示すナノ粒子のうちの多数がカドミウム基盤の化合物(例えば、カドミウムカルコゲン化物)を含む。カドミウムは、深刻な環境/健康上の問題を提起し、規制対象元素のうちの一つである。そこで、カドミウムのない(cadmium-free)環境に優しいナノ粒子のために、III-V族化合物に基づいたナノ結晶に対する深みのある研究が行われてきたが、III-V族化合物(例えば、インジウムフォスファイド)に基づいた非カドミウムナノ粒子よりも増加した入射光吸収率及び狭くなった半値幅を示す新規組成のナノ粒子の開発が必要であるのが実情である。
【0043】
色変換パネル(例えば、自発光カラーフィルター)は量子ドットなどを含む組成物を利用したフォトリソグラフィ方法又はインクジェット印刷(inkjet printing)方法により製造される。フォトリソグラフィ方法又はインクジェット印刷方法は再現性があるように精巧なカラーフィルターを提供する。フォトリソグラフィ法は、各(サブ)画素に対してコーティング、露光、現像、及び硬化が必要であり、これは製造時間及び費用に影響を与える。インクジェット印刷方法はインクジェットヘッド(inkjet head)を通じて吐出された液状インクが所定位置に堆積して所望するパターンでナノ粒子-複合体を製造する。インクジェット印刷方法では、赤色、緑色、及び青色などの異なる色を示す画素を同時に提供することができるため、製造工程、時間、及び費用の面で有利である。そこで、新規組成のナノ粒子に対して強化された工程安定性を有し、向上した発光物性を示す複合体を製造することができるインク組成物の開発が望ましい。
【0044】
本実施形態によるインク組成物は、向上した光変換効率を示す半導体ナノ粒子-ポリマーの複合体又はそのパターンを、向上した収率で、そして増加した工程安定性で提供される。
【0045】
本実施形態で、インク組成物は、半導体ナノ粒子及び重合性モノマーを含む。半導体ナノ粒子は、銀(silver)、13族金属、及びカルコゲン元素を含む11-13-16族化合物、並びに亜鉛を含む。インク組成物又は半導体ナノ粒子は、第1有機リガンドを含む。第1有機リガンドは、R1-COO-Aで表される化合物を含み、ここでR1は第1有機基であり、Aは水素又は半導体ナノ粒子表面に接触(例えば、表面に結合)される部分である。インク組成物又は半導体ナノ粒子は、第2有機リガンドを更に含む。第2有機リガンドは、R2S-Aで表される化合物を含み、ここでR2は第2有機基であり、*は水素又は半導体ナノ粒子の表面に接触(例えば、表面に結合)される部分である。
【0046】
本実施形態の半導体ナノ粒子は、カドミウムを含まない。本実施形態の半導体ナノ粒子は、水銀、鉛、又はこれらの組み合わせを含まない。
【0047】
本実施形態の半導体ナノ粒子は、第1光を放出するように構成される。本実施形態の半導体ナノ粒子は、所望する範囲の波長の光を放出しながらも向上した光学的物性(例えば、狭い半値幅、増加した量子収率、及び青色光吸収率)を達成する。本実施形態の半導体ナノ粒子は、例えば色変換パネル又は色転換シートなどの多様な色変換(或いは波長下向き転換)材料として活用され、発光粒子重量当たり増加した吸収率を示すため、これを含むパネル又はシートなどの素子は減少した費用で製造することができ、向上した光変換(photoconversion)を提供することができる。
【0048】
一実施形態の半導体ナノ粒子で、13族金属は、インジウム、ガリウム、アルミニウム、又はこれらの組み合わせを含む。13族金属は、インジウム及びガリウムを含む。カルコゲン元素は、硫黄、セレニウム、又はこれらの組み合わせを含む。カルコゲン元素は、硫黄を含む。
【0049】
半導体ナノ粒子は、表面にガリウム及び亜鉛を含む。
【0050】
半導体ナノ粒子は、下記式1により表される電荷均衡値(charge balance value)が0.8以上1.5以下である。
【0051】
charge balance value={[Ag]+3x([13族金属])+2x[Zn]}/2x[CHA]) ・・・式1
【0052】
ここで、[Ag]、[13族金属]、[Zn]、及び[CHA]は、それぞれ半導体ナノ粒子内の銀、13族金属(例えば、インジウム、ガリウム、又はこれらの組み合わせ)、及びカルコゲン元素(例えば、硫黄、セレニウム、又はこれらの組み合わせ)のモル含有量である。
【0053】
13族金属は、インジウム及びガリウムを含む。カルコゲン元素は、硫黄を含む。一実施形態で、電荷均衡値は、下記式2で表される。
【0054】
charge balance value={[Ag]+3x([In]+[Ga])+2x[Zn]}/2x[S]) ・・・式2
【0055】
ここで[Ag]、[In]、[Ga]、[Zn]、及び[S]は、それぞれ半導体ナノ粒子内の銀、インジウム、ガリウム、亜鉛、及び硫黄のモル含有量である。
【0056】
一実施形態で、半導体ナノ粒子は、銅を更に含むか又は含まない。
【0057】
電荷均衡値は、1.8以下、1.5以下、1.45以下、1.4以下、1.35以下、1.33以下、1.31以下、1.3以下、1.29以下、1.28以下、1.27以下、1.26以下、1.25以下、1.24以下、1.23以下、1.22以下、1.21以下、1.2以下、1.15以下、1.1以下、又は1.05以下である。
【0058】
電荷均衡値は、0.81以上、0.85以上、0.9以上、0.95以上、0.97以上、0.99以上、1以上、1.01以上、1.02以上、1.03以上、1.04以上、1.05以上、1.06以上、1.07以上、1.08以上、1.09以上、1.1以上、1.11以上、1.12以上、1.13以上、1.14以上、1.15以上、1.16以上、1.17以上、1.18以上、1.19以上、1.2以上、1.21以上、1.22以上、1.23以上、1.24以上、又は1.25以上である。
【0059】
一実施形態の半導体ナノ粒子で、銀、インジウム、及びガリウムの総和に対する硫黄のモル比(S/(Ag+In+Ga))は、0.65以上、0.68以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、0.85以上、0.9以上、0.95以上、1以上、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.35以上、1.36以上、1.38以上、1.4以上、又h1.45以上である。半導体ナノ粒子で、銀、インジウム、及びガリウムの総和に対する硫黄のモル比(S/(Ag+In+Ga))は、3以下、2.5以下、2以下、1.9以下、1.88以下、1.6以下、1.55以下、1.5以下、1.45以下、1.4以下、1.35以下、1.33以下、1.3以下、1.25以下、1.2以下、1.17以下、1.15以下、1.09以下、1.05以下、又は1.02以下である。
【0060】
一実施形態の半導体ナノ粒子で、銀に対するインジウムとガリウムとの総和のモル比((In+Ga)/Ag)は、1.3以上、1.4以上、1.5以上、1.65以上、1.7以上、1.75以上、1.8以上、1.85以上、1.9以上、1.95以上、1.99以上、2以上、2.1以上、2.2以上、2.3以上、又は2.35以上である。銀に対するインジウムとガリウムとの総和のモル比((In+Ga)/Ag)は、7以下、6.5以下、6.3以下、6以下、5.9以下、5.7以下、5.66以下、5.5以下、5.3以下、5.1以下、4.5以下、4以下、3.5以下、3.2以下、3以下、2.8以下、2.6以下、又は2.4以下である。
【0061】
一実施形態の半導体ナノ粒子で、インジウムとガリウムとの総和に対するガリウムのモル比は、0.5以上、0.55以上、0.6以上、0.65以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、又は0.85以上である。インジウムとガリウムとの総和に対するガリウムのモル比は、0.99以下、0.98以下、0.97以下、0.96以下、0.95以下、0.94以下、0.93以下、0.92以下、0.91以下、0.9以下、又は0.83以下である。
【0062】
一実施形態の半導体ナノ粒子で、硫黄に対するガリウムのモル比(Ga/S)は、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、0.31以上、0.32以上、0.33以上、0.34以上、0.35以上、0.38以上、0.4以上、0.47以上、0.5以上、0.53以上、0.55以上、0.56以上、0.58以上、0.6以上、又は0.62以上である。硫黄に対するガリウムのモル比(Ga/S)は、1以下、0.9以下、0.8以下、0.6以下、0.55以下、0.45以下、0.42以下、0.41以下、又は0.4以下である。
【0063】
一実施形態の半導体ナノ粒子で、硫黄に対する銀のモル比(Ag/S)は、0.03以上、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上、0.09以上、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、0.35以上、0.4以上、又は0.45以上である。硫黄に対する銀のモル比(Ag/S)は、1以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.38以下、0.36以下、0.35以下、0.3以下、0.25以下、0.24以下、又は0.23以下である。
【0064】
一実施形態の半導体ナノ粒子で、硫黄に対するインジウムのモル比(In/S)は、0.01以上、0.05以上、0.08以上、0.09以上、又は0.1以上である。硫黄に対するインジウムのモル比(In/S)は、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.25以下、0.15以下、0.14以下、0.13以下、又は0.12以下である。
【0065】
一実施形態の半導体ナノ粒子で、インジウムに対する銀(Ag/In)のモル比は、1.5以上、1.7以上、1.8以上、1.88以上、又は2以上である。インジウムに対する銀(Ag/In)のモル比は、3.5以下、3以下、2.94以下、2以下、1.88以下、又は1.8以下である。
【0066】
一実施形態の半導体ナノ粒子で、インジウムに対する亜鉛のモル比は、0.1以上、0.3以上、0.5以上、0.7以上、0.75以上、0.78以上、0.9以上、1以上、1.2以上、1.4以上、1.6以上、1.7以上、又は1.72以上である。一実施形態の半導体ナノ粒子で、インジウムに対する亜鉛のモル比は、3以下、2.5以下、2以下、1.9以下、1.85以下、1.7以下、1.75以下、又は1.72以下である。
【0067】
一実施形態で、半導体ナノ粒子は、リチウムを含まない。半導体ナノ粒子は、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属を含まない。
【0068】
半導体ナノ粒子で、インジウムの含有量は半径方向に(例えば、中心から外郭に行くほど)変化する(例えば、減少する)濃度勾配を有する。一実施形態で、表面に隣接する部分(例えば、シェル層又は最外郭層)のインジウム含有量は粒子の内側部分でのインジウム含有量よりも小さい。一実施形態で、表面に隣接する部分(例えば、シェル層又は最外郭層)はインジウムを含まない。一実施形態で、半導体ナノ粒子において、ガリウムは半導体ナノ結晶の表面に、或いは表面に露出し、亜鉛が半導体ナノ結晶の表面にあり、有機リガンドは半導体ナノ結晶の表面に隣接するか又はこれに接触する。
【0069】
一実施形態で、半導体ナノ粒子は、第1半導体ナノ結晶(又はこれを含むコア)及び(例えば、第1半導体ナノ結晶上に配置されるか又は第1半導体ナノ結晶を囲む)第2半導体ナノ結晶(又はこれを含むシェル)を含む。ナノ粒子はコアシェル構造を有する。第1半導体ナノ結晶は第2半導体ナノ結晶とは異なる組成を有する。半導体ナノ粒子又はシェルは、例えば最外郭層として亜鉛カルコゲン化物を含む(例えば、第3半導体ナノ結晶を含む)無機物層を更に含む。亜鉛カルコゲン化物は、亜鉛、並びにセレニウム、硫黄、又はこれらの組み合わせを含む。亜鉛カルコゲン化物は、ZnSe、ZnSeS、ZnS、又はこれらの組み合わせを含む。
【0070】
第1半導体ナノ結晶又はコアの大きさ(例えば、平均大きさ)は、0.5nm以上、1nm以上、1.5nm以上、1.7nm以上、1.9nm以上、2nm以上、2.1nm以上、2.3nm以上、2.5nm以上、2.7nm以上、2.9nm以上、3nm以上、3.1nm以上、3.3nm以上、3.5nm以上、3.7nm以上、又は3.9nm以上である。第1半導体ナノ結晶又はコアの大きさは、5nm以下、4.5nm以下、4nm以下、3.5nm以下、3nm以下、2.5nm以下、2nm以下、又は1.5nm以下である。
【0071】
第2半導体ナノ結晶又はシェルの厚さ若しくは平均厚さ(以下、厚さという)は、0.1nm以上、0.3nm以上、0.5nm以上、0.7nm以上、1nm以上、1.5nm以上、1.7nm以上、1.9nm以上、2nm以上、2.1nm以上、2.3nm以上、2.5nm以上、2.7nm以上、2.9nm以上、3nm以上、3.1nm以上、3.3nm以上、3.5nm以上、3.7nm以上、又は3.9nm以上である。第2半導体ナノ結晶又はシェルの厚さは、5nm以下、4.5nm以下、4nm以下、3.5nm以下、3nm以下、2.5nm以下、2nm以下、又は1.5nm以下である。
【0072】
一実施形態で、無機層の厚さは適切に選択される。無機層の厚さは、5nm以下、4nm以下、3.5nm以下、3nm以下、2.5nm以下、2nm以下、1.5nm以下、1nm以下、又は0.8nm以下である。無機層の厚さは、0.1nm以上、0.3nm以上、0.5nm以上、又は0.7nm以上である。無機層の厚さは、0.1nm~5nm、0.3nm~4nm、0.5nm~3.5nm、0.7nm~3nm、0.9nm~2.5nm、1nm~2nm、1.5nm~1.7nm、又はこれらの組み合わせの範囲である。
【0073】
第1半導体ナノ結晶は、銀、13族金属(例えば、インジウム、ガリウム、又はこれらの組み合わせ)、及びカルコゲン元素(例えば、硫黄、選択によりセレニウム)を含む。第1半導体ナノ結晶は、銀(Ag)、インジウム、ガリウム、及び硫黄を含む11-13-16族化合物基盤の四元合金半導体物質を含む。半導体ナノ粒子又は第1半導体ナノ結晶は、銀インジウムガリウムスルフィド、例えばAg(InxGa1-x)S2(xは0超過1以下)を含む。第1半導体ナノ結晶で各成分間のモル比率は最終のナノ粒子が所望する組成及び光学的物性を示すように調節すされる。
【0074】
第2半導体ナノ結晶は、13族金属(インジウム、ガリウム、又はこれらの組み合わせ)、及びカルコゲン元素(硫黄、選択によりセレニウム)を含む。第2半導体ナノ結晶は、銀(Ag)を更に含む。第2半導体ナノ結晶は、銀、ガリウム、及び硫黄を含む。第2半導体ナノ結晶は、銀、ガリウム、及び硫黄を含む三元合金半導体物質を含む。第2半導体ナノ結晶は第1半導体ナノ結晶とは異なる組成を有する。第2半導体ナノ結晶は、13-16族化合物、11-13-16族化合物、又はこれらの組み合わせを含む。13-16族化合物は、ガリウムスルフィド、ガリウムセレニド、インジウムスルフィド、インジウムセレニド、インジウムガリウムスルフィド、インジウムガリウムセレニド、インジウムガリウムセレニドスルフィド、又はこれらの組み合わせを含む。第2半導体ナノ結晶のバンドギャップエネルギーは第1半導体ナノ結晶とは異なる。第2半導体ナノ結晶は第1半導体ナノ結晶の少なくとも一部を被覆(cover)する。第2半導体ナノ結晶のバンドギャップエネルギーは第1半導体ナノ結晶のバンドギャップエネルギーよりも大きい。第2半導体ナノ結晶のバンドギャップエネルギーは第1半導体ナノ結晶のバンドギャップエネルギーよりも小さい。第2半導体ナノ結晶で、各成分間のモル比率は最終のナノ粒子が所望する組成及び光学的物性を示すように調節される。
【0075】
第2半導体ナノ結晶のバンドギャップエネルギーは第3半導体ナノ結晶のバンドギャップエネルギーよりも小さい。第2半導体ナノ結晶は第1半導体ナノ結晶と無基層との間に配置される。
【0076】
第2半導体ナノ結晶又は第1半導体ナノ結晶は、例えば適切な分析手段(例えば、X線回折分析、Hight angle annular dark field(HAADF)-scanning transmission electron microscope(STEM)分析などの電子顕微鏡分析)で確認すると、結晶性を示す。一実施形態で、第1半導体ナノ結晶又は第2半導体ナノ結晶は、例えば適切な分析手段で確認すると、非晶質である。
【0077】
一実施形態で、半導体ナノ粒子の大きさ又は平均大きさ(以下、粒子の大きさ)は、1nm以上、1.5nm以上、2nm以上、2.5nm以上、3nm以上、3.5nm以上、4nm以上、4.5nm以上、5nm以上、5.5nm以上、6nm以上、6.5nm以上、7nm以上、7.5nm以上、8nm以上、8.5nm以上、9nm以上、9.5nm以上、10nm以上、又は10.5nm以上である。半導体ナノ粒子の大きさは、50nm以下、48nm以下、46nm以下、44nm以下、42nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、18nm以下、16nm以下、14nm以下、12nm以下、11nm以下、10nm以下、8nm以下、6nm以下、又は4nm以下である。本明細書で、粒子の大きさは、粒子直径である。(ナノ粒子又は第1半導体ナノ結晶が球形でない場合)粒子の大きさは、透過電子顕微鏡分析により確認される二次元の面積を円に転換して計算される直径である。大きさはナノ粒子の組成及び発光波長から計算される値である。
【0078】
一実施形態の半導体ナノ粒子は、向上した物性を示しながら所望する光(例えば、第1光)を放出するように構成される。第1光は緑色光である。或いは第1光は赤色光である。
【0079】
第1光の最大発光ピーク波長が500nm以上、505nm以上、510nm以上、515nm以上、520nm以上、525nm以上、530nm以上、535nm以上、540nm以上、545nm以上、550nm以上、555nm以上、560nm以上、565nm以上、570nm以上、575nm以上、580nm以上、585nm以上、590nm以上、又は600nm以上である。第1光の最大発光ピーク波長は、650nm以下、620nm以下、600nm以下、595nm以下、590nm以下、580nm以下、575nm以下、570nm以下、565nm以下、560nm以下、555nm以下、550nm以下、545nm以下、540nm以下、535nm以下、530nm以下、525nm以下、520nm以下、又は515nm以下である。
【0080】
第1光又は半導体ナノ粒子は、半値幅が5nm以上、10nm以上、15nm以上、20nm以上、25nm以上、又は30nm以上である。半値幅は、70nm以下、65nm以下、60nm以下、55nm以下、50nm以下、45nm以下、40nm以下、38nm以下、36nm以下、35nm以下、34nm以下、33nm以下、32nm以下、31nm以下、30nm以下、29nm以下、28nm以下、27nm以下、26nm以下、又は25nm以下である。
【0081】
ナノ粒子は50%以上の量子収率を示す。量子収率は絶対量子収率である。量子収率は、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、又は95%以上である。量子収率は、100%以下、99.5%以下、99%以下、98%以下、又は97%以下である。
【0082】
第1光はバンド端発光を含む。
【0083】
一実施形態による半導体ナノ粒子の製造方法は、銀、13族金属、及びカルコゲン元素を含む第1半導体ナノ結晶を得る段階と、有機溶媒内に第1前駆体及び有機リガンドを含む反応媒質を準備する段階と、反応媒質を所定の温度で加熱する段階と、反応媒質に第1半導体ナノ結晶及び第2前駆体を付加して反応混合物を得る段階と、反応媒質を反応温度で加熱し、第1反応時間の間に反応させて半導体ナノ粒子を形成する段階と、を有し、第1前駆体及び第2前駆体のうちの一つは、ガリウム前駆体であり、残りの一つは、硫黄前駆体であり、所定の温度は、120℃以上(180℃以上)280℃以下であり、反応温度は、180℃以上(190℃以上、又は240℃以上)380℃以下である。
【0084】
第1時間は、ナノ粒子の電荷バランス値が得られるように制御される。所定の温度は反応温度とは異なる(低いか又は高い)。反応温度は所定の温度よりも高い。
【0085】
一実施形態で、第1前駆体はガリウム前駆体であり、第2前駆体は硫黄前駆体である。一実施形態で、第1前駆体は硫黄前駆体であり、第2前駆体はガリウム前駆体であり、このような実施形態はガリウム前駆体の酸化抑制に追加的に有利になる。
【0086】
一実施形態の方法は、有機溶媒内に有機リガンド及び亜鉛前駆体を含む追加の反応媒質を準備する段階と、追加の反応媒質を反応温度で加熱しながら、形成されたナノ粒子及びカルコゲン前駆体を付加して追加反応させてナノ粒子の表面に亜鉛カルコゲン化物を含む外層を提供する段階と、を更に含む。カルコゲン前駆体は、硫黄前駆体、セレニウム前駆体、又はこれらの組み合わせを含む。追加反応のための温度は反応温度について記載する事項を参照する。
【0087】
第1半導体ナノ結晶に関する内容は本明細書に記載した通りである。第1半導体ナノ結晶は、銀(Ag)、インジウム、ガリウム、及び硫黄を含む。第1半導体ナノ結晶の製造方法は、特に制限されず、適切に選択される。一実施形態で、第1半導体ナノ結晶は、組成により必要な前駆体、例えば銀前駆体、インジウム前駆体、ガリウム前駆体、及び硫黄前駆体を、有機リガンド及び有機溶媒を含む溶液中で所定の反応温度(例えば、20℃~300℃、80℃~295℃、120℃~290℃、又は200℃~280℃)で反応させ、分離されて得られる。分離及び回収については後述する方式を参照する。
【0088】
第1半導体ナノ結晶の準備で、各前駆体間のモル比は所望する第1半導体ナノ結晶の組成が得られるように調節される。一実施形態で、インジウム1モルに対する銀(Ag)前駆体の含有量は、0.1モル以上、0.3モル以上、0.5モル以上、0.7モル以上、1モル以上、1.5モル以上、2モル以上、又は2.5モル以上である。一実施形態で、インジウム1モルに対する銀前駆体の含有量は、10モル以下、8モル以下、6モル以下、4モル以下、2モル以下、1.2モル以下、1モル以下、又は0.5モル以下である。
【0089】
一実施形態で、インジウム1モルに対するガリウム前駆体の含有量は、0.5モル以上、1モル以上、1.5モル以上、2モル以上、又は2.5モル以上である。一実施形態で、銀1モルに対するガリウム前駆体の含有量は、15モル以下、12モル以下、10モル以下、8モル以下、5モル以下、又は3モル以下である。
【0090】
一実施形態で、インジウム1モルに対する硫黄前駆体の含有量は、0.5モル以上、1モル以上、1.5モル以上、2モル以上、2.5モル以上、3モル以上、3.5モル以上、4モル以上、又は4.5モル以上である。一実施形態で、インジウム1モルに対する硫黄前駆体の含有量は、20モル以下、15モル以下、10モル以下、8モル以下、6モル以下、4モル以下、又は2モル以下である。
【0091】
所定の温度と反応温度との差は、10℃以上、20℃以上、30℃以上、40℃以上、50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上、90℃以上、又は100℃以上である。所定の温度と反応温度との差は、200℃以下、190℃以下、180℃以下、170℃以下、160℃以下、150℃以下、140℃以下、130℃以下、120℃以下、110℃以下、100℃以下、90℃以下、80℃以下、70℃以下、60℃以下、50℃以下、40℃以下、30℃以下、又は20℃以下である。
【0092】
所定の温度は、120℃以上、200℃以上、210℃以上、220℃以上、230℃以上、240℃以上、又は250℃以上である。所定の温度は、280℃以下、275℃以下、270℃以下、265℃以下、260℃以下、255℃以下、250℃以下、240℃以下、230℃以下、220℃以下、210℃以下、200℃以下、190℃以下、180℃以下、170℃以下、160℃以下、又は150℃以下である。
【0093】
反応温度は、180℃以上、245℃以上、250℃以上、255℃以上、260℃以上、265℃以上、270℃以上、275℃以上、280℃以上、285℃以上、290℃以上、295℃以上、300℃以上、305℃以上、310℃以上、315℃以上、320℃以上、330℃以上、335℃以上、340℃以上、又は345℃以上である。反応温度は、380℃以下、375℃以下、370℃以下、365℃以下、360℃以下、355℃以下、350℃以下、340℃以下、330℃以下、320℃以下、310℃以下、300℃以下、290℃以下、280℃以下、270℃以下、260℃以下、又は250℃以下である。
【0094】
第1時間は、ナノ粒子の電荷バランス値が得られるように制御される。特定の理論により拘束しようとするものではないが、本発明者らが確認したことによると、上述した反応で所定の温度及び反応温度と第1時間とを調節することによりナノ粒子の形成時に、副反応生成物(例えばガリウム酸化物)が発生することが効果的に抑制され、そのためにナノ粒子が上述した電荷バランス値(そして選択により本明細書に記載した各成分間のモル比)を示し、本明細書に記載したような物性が達成されると考えられる。
【0095】
一実施形態で、第1時間は、1分~240分、5分~200分、10分~3時間、20分~150分、30分~100分、又はこれらの組み合わせの範囲である。第1時間は、前駆体の種類、反応温度、最終粒子での所望する組成などを勘案して選択される。一実施形態で、反応温度は、比較的に高い温度範囲内(例えば、280℃以上、285℃~340℃、又は290℃~330℃)であり、第1時間は、1分以上、5分以上、10分以上、15分以上、20分以上、又は25分以上、及び2時間以下、90分以下、80分以下、70分以下、60分以下、50分以下、45分以下、40分以下、35分以下、30分以下、25分以下、20分以下、15分以下、又は12分以下である。一実施形態で、反応温度は、比較的低い温度範囲内(例えば、290℃未満、280℃以下、270℃以下、260℃以下、250℃以下、240℃以下、230℃以下、220℃以下、又は210℃以下)であり、第1反応時間は、30分以上、35分以上、40分以上、45分以上、50分以上、55分以上、60分以上、65分以上、70分以上、75分以上、又は80分以上である。
【0096】
銀前駆体の種類は、特に制限されず、適切に選択される。銀前駆体は、銀粉末、アルキル化銀化合物、銀アルコキシド、銀カルボキシレート、銀アセチルアセトネート、銀ニトレート、銀スルフェート、銀ハロゲン化物、銀シアニド、銀ヒドロキシド、銀酸化物、銀ペルオキシド、銀カーボネート、又はこれらの組み合わせを含む。銀前駆体は、銀ニトレート、銀アセテート、銀アセチルアセトネート、銀クロリド、銀ブロミド、ヨウ化銀、又はこれらの組み合わせを含む。
【0097】
インジウム前駆体の種類は、特に制限されず、適切に選択される。インジウム前駆体は、インジウム粉末、アルキル化インジウム化合物、インジウムアルコキシド、インジウムカルボキシレート、インジウムニトレート、インジウムパーコレート、インジウムスルフェート、インジウムアセチルアセトネート、インジウムハロゲン化物、インジウムシアン化物、インジウムヒドロキシド、インジウムオキシド、インジウムペルオキシド、インジウムカーボネート、インジウムアセテート、又はこれらの組み合わせである。インジウム前駆体は、インジウムオリエート、インジウムミリステートなどのインジウムカルボキシレート、インジウムアセテート、インジウムヒドロキシド、インジウムクロリド、インジウムブロミド、又はヨウ化インジウムを含む。
【0098】
ガリウム前駆体の種類は、特に制限されず、適切に選択される。ガリウム前駆体は、ガリウム粉末、アルキル化ガリウム化合物、ガリウムアルコキシド、ガリウムカルボキシレート、ガリウムニトレート、ガリウムパーコレート、ガリウムスルフェート、ガリウムアセチルアセトネート、ガリウムハロゲン化物、ガリウムシアン化物、ガリウムヒドロキシド、ガリウム酸化物、ガリウムペルオキシド、ガリウムカーボネート、ガリウムクロリド、ガリウムブロミド、ヨウ化ガリウム、又はこれらの組み合わせである。ガリウム前駆体は、ガリウムクロリド、ヨウ化ガリウム、ガリウムブロミド、ガリウムアセテート、ガリウムアセチルアセトネート、ガリウムオリエート、ガリウムパルミテート、ガリウムステアレート、ガリウムミリステート、ガリウムヒドロキシド、又はこれらの組み合わせを含む。
【0099】
硫黄前駆体の種類は、特に制限されず、適切に選択される。硫黄前駆体は、硫黄の有機溶媒分散液又は反応生成物(例えば、硫黄-オレイルアミン(S-oleylamine)、硫黄-ドデシルアミン(S-dodecylamine)、硫黄-オクタデセン(S-ODE)、トリオクチルホスフィン-スルフィド(S-TOP)、トリブチルホスフィン-スルフィド(S-TBP)、トリフェニルホスフィン-スルフィド(S-TPP)、硫黄-トリオクチルアミン(S-TOA)、トリメチルシリルアルキルスルフィド、ビス(トリメチルシリル)スルフィド、メルカプトプロピルシラン、硫化アンモニウム、硫化ナトリウム、C1-30チオール化合物(例えば、α-toluenethiol、オクタンチオール、ドデカンチオール、オクタデセンチオールなど)、イソチオシアネート化合物(例えば、シクロヘキシルイソチオシアネート(cyclohexyl isothiocyanate))、アルキレントリチオカーボネート(例えば、エチレントリチオカーボネート(ethylene trithiocarbonate))、アリルメルカプタン(allyl mercaptan)、チオ尿素化合物(例えば、チオ尿素、ジアルキルチオ尿素、フェニルチオ尿素)、又はこれらの組み合わせを含む。
【0100】
存在する場合、セレニウム前駆体は、トリオクチルホスフィンセレニド(Se-TOP)、トリブチルホスフィンセレニド(Se-TBP)、トリフェニルホスフィンセレニド(Se-TPP)、又はこれらの組み合わせを含む。
【0101】
亜鉛前駆体の種類は、特に制限されず、適切に選択される。例えば、亜鉛前駆体は、Zn金属粉末、アルキル化Zn化合物、Znアルコキシド、Znカルボキシレート、Znニトレート、Znパーコレート、Znスルフェート、Znアセチルアセトネート、Znハロゲン化物、Znシアン化物、Znヒドロキシド、Znオキシド、Znペルオキシド、又はこれらの組み合わせである。亜鉛前駆体は、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、亜鉛アセテート、亜鉛アセチルアセトネート、ヨウ化亜鉛、亜鉛ブロミド、亜鉛クロリド、亜鉛フルオリド、亜鉛カーボネート、亜鉛シアニド、亜鉛ニトレート、亜鉛オキシド、亜鉛ペルオキシド、亜鉛パークロレート、亜鉛スルフェート、などである。
【0102】
有機リガンドは、RCOOH、RNH2、R2NH、R3N、RSH、RH2PO、R2HPO、R3PO、RH2P、R2HP、R3P、ROH、RCOOR’、RPO(OH)2、RHPOOH、R2POOH(ここでR、R’は、それぞれ独立して置換又は非置換のC1~C40(又はC3~C24)の脂肪族炭化水素(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基)、置換又は非置換のC6~C40(又はC6~C24)の芳香族炭化水素(例えば、C6~C20のアリール基))、又はこれらの組み合わせを含む。有機リガンドは製造されたナノ粒子の表面に結合される。有機リガンドは、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、ヘプタンチオール、オクタンチオール、ノナンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、ベンジルチオール;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン;メタン酸、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ドデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸、安息香酸;置換又は非置換メチルホスフィン(例えば、トリメチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィンなど)、置換又は非置換エチルホスフィン(例えば、トリエチルホスフィン、エチルジフェニルホスフィンなど)、置換又は非置換プロピルホスフィン、置換又は非置換ブチルホスフィン、置換又は非置換ペンチルホスフィン、置換又は非置換オクチルホスフィン(例えば、トリオクチルホスフィン(TOP))などのホスフィン;置換又は非置換メチルホスフィンオキシド(例えば、トリメチルホスフィンオキシド、メチルジフェニルホスフィンオキシドなど)、置換又は非置換エチルホスフィンオキシド(例えば、トリエチルホスフィンオキシド、エチルジフェニルホスフィンオキシドなど)、置換又は非置換プロピルホスフィンオキシド、置換又は非置換ブチルホスフィンオキシド、置換又は非置換オクチルホスフィンオキシド(例えば、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO))などのホスフィンオキシド;ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン化合物、又はそのオキシド化合物;ホスホン酸(phosphonic acid)、ヘキシルホスフィン酸、オクチルホスフィン酸、ドデカンホスフィン酸、テトラデカンホスフィン酸、ヘキサデカンホスフィン酸、オクタデカンホスフィン酸などC5~C20のアルキルホスフィン酸、又はC5~C20のアルキルホスホン酸(phosphonic acid);などが挙げられるが、これに制限されるものではない。有機リガンドは、単独で又は2種以上の混合物として使用される。
【0103】
有機溶媒は、アミン溶媒、ピリジンなどの窒素含有ヘテロ環化合物;ヘキサデカン、オクタデカン、オクタデセン、スクアレン(squalane)などのC6~C40の脂肪族炭化水素(例えば、アルカン、アルケン、アルキンなど);フェニルドデカン、フェニルテトラデカン、フェニルヘキサデカンなどC6~C30の芳香族炭化水素;トリオクチルホスフィンなどのC6~C22のアルキル基で置換されたホスフィン;トリオクチルホスフィンオキシドなどのC6~C22のアルキル基で置換されたホスフィンオキシド;フェニルエーテル、ベンジルエーテルなどC12~C22の芳香族エーテル、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される。アミン溶媒は、C1-50、C2-45、C3-40、C4-35、C5-30、C6-25、C7-20、C8-15、又はC6-22の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基)を1個以上(例えば、2個又は3個)有する化合物である。一実施形態で、アミン溶媒は、ヘキサデシルアミン、オレイルアミンなどのC6-22の第1級アミン;ジオクチルアミンなどのC6-22の第2級アミン;トリオクチルアミンなどのC6-22の第3級アミン;又はこれらの組み合わせを含む。
【0104】
反応媒質内で有機リガンド及び各前駆体の含有量は、溶媒の種類、有機リガンド及び各前駆体の種類、所望する粒子の大きさ及び組成などを勘案して適切に選択される。各前駆体の間のモル比は、最終のナノ粒子での所望するモル比、各前駆体の間の反応性などを勘案して適切に選択される。各前駆体の付加方式は、特に制限されず、1回以上、2回以上~10回以下で分割注入される。それぞれの前駆体は同時に又は順次に行われる。反応は、不活性気体雰囲気、空気中、又は真空状態で行われるが、これに制限されない。反応終了後、最終の反応液に非溶媒(nonsolvent)を付加すると(例えば、有機リガンドが配位された)ナノ粒子が分離(例えば、沈澱)される。非溶媒は、反応に使用された溶媒と混ざるが、ナノ結晶を分散させない極性溶媒である。非溶媒は、反応に使用した溶媒により決定され、例えばアセトン、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、エタンジオール、水、テトラハイドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルエーテル(diethylether)、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、羅列された溶媒と類似の溶解度パラメータ(solubility parameter)を有する溶媒、又はこれらの組み合わせを含む。分離は、遠心分離、沈澱、クロマトグラフィー、又は蒸留が利用される。分離されたナノ結晶は、必要に応じて洗浄溶媒に付加して洗浄される。洗浄溶媒は、特に制限されず、有機溶媒又はリガンドと類似の溶解度パラメータを有する溶媒が使用される。非溶媒又は洗浄溶媒は、アルコール;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどアルカン溶媒;クロロホルム;トルエン、ベンゼンなどの芳香族溶媒;又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これに制限されない。
【0105】
ナノ粒子は、分散溶媒に分散される。ナノ粒子は、有機溶媒分散液を形成する。有機溶媒分散液は、水及び/又は水と混和可能な有機溶媒を含まない。分散溶媒は、適切に選択される。分散溶媒は上述した有機溶媒を含む。分散溶媒は、置換又は非置換のC1~C40脂肪族炭化水素、置換又は非置換のC6~C40芳香族炭化水素、又はこれらの組み合わせを含む。
【0106】
ナノ粒子の形状は、特に限定されず、例えば球形、多面体、ピラミッド形、マルチポッド、立方体(cubic)形、ナノチューブ、ナノワイヤー、ナノ繊維、ナノシート、又はこれらの組み合わせを含むが、これに制限されない。
【0107】
一実施形態で、インク組成物又は半導体ナノ粒子は、第1有機リガンド及び選択により第2有機リガンドを含む。第1有機リガンド及び第2有機リガンドは半導体ナノ粒子の表面に結合される。一実施形態で、第1有機リガンド又は第2有機リガンドは半導体ナノ粒子の表面に接触又は隣接する。
【0108】
上述した半導体ナノ粒子は、本明細書に記載したような発光物性を示すが、本発明者らが確認したことによると、インクジェット用インク組成物を形成するための成分(例えば、重合性モノマー)と混合された場合、或いは複合体で製造された場合、発光物性が顕著に減少することがある。マイクロLEDなどの光源を含むディスプレイ装置(例えば、TV、Watch、VR、AR)などでは増加した光変換率(例えば、発光効率)が望ましい。驚くべきことに、本発明者らは、上述した半導体ナノ粒子の複合体内での発光物性は、本明細書に記載した通り半導体ナノ粒子と共にリガンドを導入することにより顕著に向上することを確認した。
【0109】
本実施形態で、インク組成物は、本明細書に記載した半導体ナノ粒子と共に本明細書に記載したリガンド又はこれらの組み合わせ(第1有機リガンド及び選択により第2有機リガンド)を含む。リガンドは、半導体ナノ粒子の表面に結合される。本実施形態のインク組成物は向上した安定性でパターンが製造され、これにより製造された複合体は所望する発光物性を示す。
【0110】
第1有機リガンドは、R1-COO-Aで表され、ここでR1は第1有機基であり、Aは水素又は半導体ナノ粒子表面に結合される部分である。第1有機リガンドは、1種以上、例えば2種以上を含む。第1有機基は、置換又は非置換のC1-500、C2-300、C3-100、C4-50、又はC5-10炭化水素基であり、選択により主鎖(backbone)に-CO-、-O-、-COO-、-S-、-SO-、-NHCO-、又はこれらの組み合わせを含む。
【0111】
第1有機リガンドは、R1-COOHで表されるカルボン酸化合物又はこれに由来する残基(例えば、カルボキシレート)を含む。第1有機基は、炭素-炭素二重結を含有する残基を含む。炭素-炭素二重結を含有する残基は、(メタ)アクリレート基を含む。第1有機基又は第1有機リガンドは、ピペリジン残基、アミン残基(例えば、-NR-、ここでRは水素又はC1-C10炭化水素基)、アミド残基、又はこれらの組み合わせを含むか又は含まない。
【0112】
第1有機基又はR1は、E1-L-*で表される残基であり、ここでE1は、水素、置換又は非置換のC1~C10アルキル基、置換又は非置換のC2~C10アルケニル基、(メタ)アクリレート基、又はこれらの組み合わせであり、Lは、直接結合、置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基(例えば、アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基)、[R3-O]n(R3は、エチレン、イソプロピレン、又はこれらの組み合わせであり、nは1~140)、CO、O、SO、COO、S、-NHCO-、又はこれらの組み合わせを含む残基であり、*は隣接する原子(例えば、カルボニル炭素)に連結される部位である。Lは、置換又は非置換のC1~C50のアルキレン基、[R3-O]n(R3は、エチレン、イソプロピレン、又はこれらの組み合わせであり、nは1~140、2~10、3~7、又は4~6)、CO、O、SO、COO、S、-NHCO-、又はこれらの組み合わせからなる群より少なくとも2つが結合して形成される残基である。
【0113】
第1有機リガンドは、下記化学式2-1及び化学式2-2で表されるカルボン酸化合物又はこれに由来する基(例えば、下記化学式2-3で表される残基又は下記化学式2-4で表される残基)を含む。
【0114】
【化2-1】
【化2-2】
【化2-3】
【化2-4】
【0115】
Rは、同一であるか又は異なり、それぞれ独立して水素又はC1~C10アルキル(例えば、メチル)であり、
Eは水素又はC1~C10又はC6~C8の(脂肪族又は芳香族)炭化水素基(例えば、メチルなどのアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基)であり、
Lは、直接結合、置換又は非置換のC1~C50炭化水素基(例えば、アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基)[R3-O]n(R3は、エチレン、イソプロピレン、又はこれらの組み合わせであり、nは1~140、2~10、3~7、又は4~6)、CO、O、SO、COO、S、NHCO、又はこれらの組み合わせ(例えば、上述の基のうちの少なくとも2つが互いに連結されて形成される残基)であり、
Aは、直接結合、置換又は非置換のC1~C50炭化水素基(例えば、アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基)、[R3-O]n(R3は、エチレン、イソプロピレン、又はこれらの組み合わせであり、nは1~140)、CO、O、SO、COO、S、NHCO、又はこれらの組み合わせ(例えば、上述の基のうちの少なくとも2つが互いに連結されて形成される残基)であり、
*は半導体ナノ粒子に結合又は連結される部分である。
【0116】
化合物でCOOHがCOO(カルボキシレート)に転換されて半導体ナノ粒子の表面に結合される。
【0117】
L又はAで、アルキレン基で一つ以上のメチレンは、CO、O、SO、COO、S、NHCO、又はこれらの組み合わせ(例えば、上述の基のうちの少なくとも2つが互いに連結されて形成される残基)により代替される。
【0118】
第1有機リガンドは、下記の化学式R1~R3で表される化合物、下記化学式4で表される化合物、又はこれに由来する残基(例えば、カルボキシレート残基)を含む。
【0119】
【0120】
(ここでn1は、1~100、3~80、5~70、7~60、9~50、10~45、又は15~35の整数であり、n2は、1~20、2~15、又は3~10の整数である。)
【0121】
インク組成物又は半導体ナノ粒子は、第1有機リガンドとは異なる第2有機リガンドを更に含む。第2有機リガンドは、半導体ナノ粒子の表面に結合される。第2有機リガンドは、R2S-Aで表される化合物を含み、ここでR2は第2有機基であり、Aは水素又は半導体ナノ粒子の表面に結合される部分である。
【0122】
驚くべきことに、本発明者らは、第1有機リガンド及び選択により第2有機リガンドを本明細書に記載した通り半導体ナノ粒子の表面に(共に)含むことにより、工程中に発生する半導体ナノ粒子の物性(例えば、発光効率)の低下を顕著に抑制できることを確認した。
【0123】
一実施形態で、有機リガンドは、半導体ナノ粒子の表面に結合され、半導体ナノ粒子を非溶媒又は溶媒内で所定の時間(例えば、30分~3時間、1時間~2時間、又はこれらの組み合わせの時間の間)攪拌後にも有機リガンドがナノ粒子から分離されないことがある。特定の理論により拘束しようとするものではないが、第1有機リガンドのカルボキシル基及び第2有機リガンドのチオール基は、カルボキシレート又はチオレートの形態で半導体ナノ粒子表面に存在する金属(例えば、ガリウム、亜鉛、又はこれらの組み合わせ)と結合して表面をパッシベーションすると考えられる。
【0124】
第2有機基は、置換又は非置換のC1-500、C2-300、C3-100、C4-50、又はC5-10の炭化水素基(アルキレン、アルケニレン、又はアルキニレン)であり、選択により主鎖(backbone)で一つ以上のメチレンは、-CO-、-O-、-COO-、SO、S、NHCO、又はこれらの組み合わせにより代替される。
【0125】
第2有機リガンドは、R2-SHで表されるチオール化合物又はこれに由来する基(チオレート基)を含む。第2有機基は、アルコキシカルボニル残基を更に含む。第2有機リガンド又は第2有機基は、ピペリジン残基、アミン基(-NR-、ここでRは水素又はC1-10炭化水素基、例えばアルキル基)、アミド基、又はこれらの組み合わせを含むか又は含まない。
【0126】
第2有機基又はR2は、E2-L-*で表される残基を含み、ここでE2は、水素、置換又は非置換のC1~C10アルキル基、置換又は非置換のC1~C10アルコキシ(例えば、メトキシ)基、又はこれらの組み合わせであり、Lは、直接結合、置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基(例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基)、[R3-O]n(R3は、エチレン、イソプロピレン、又はこれらの組み合わせであり、nは1~140)、CO、O、SO、COO、S、NHCO、又はこれらの組み合わせを含む残基であり、*は隣接する原子(例えば、硫黄)に連結される部位である。Lは、置換又は非置換のC1~C50の炭化水素基(例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基)、[R3-O]n(R3は、エチレン、イソプロピレン、又はこれらの組み合わせであり、nは1~140)、CO、O、SO、COO、S、及びNHCOのうちの2つ以上が結合して形成される残基である。
【0127】
第2有機リガンドは下記化学式3で表される化合物を含む。
【0128】
[化学式3]
E2-M-A-SH
【0129】
E2は、水素、置換又は非置換のC1~C10アルキル(例えば、メチル)基、又は置換又は非置換のC1~C10アルコキシ(例えば、メトキシ)基、
Mは、直接結合、置換又は非置換のC1~C30炭化水素基(例えば、アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基)、[R3-O]n(R3は、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、又はこれらの組み合わせであり、nは1~140)、CO、O、SO、COO、S、NHCO、又はこれらの組み合わせ(例えば、上述の基のうちの少なくとも2つが互いに連結されて形成される残基)であり、
Aは、直接結合、置換又は非置換のC1~C30炭化水素基(例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基)、[R3-O]n(R3は、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、又はこれらの組み合わせであり、nは1~140)、CO、O、SO、COO、S、NHCO、又はこれらの組み合わせ(例えば、上述の基のうちの少なくとも2つが互いに連結されて形成される残基)である。
【0130】
一実施形態の化合物で、上記化学式3のSHはS-(チオレート)に転換されて半導体ナノ粒子の表面に結合される。
【0131】
M又はAで、アルキレン基で一つ以上のメチレンは、CO、O、SO、COO、S、NHCO、又はこれらの組み合わせにより代替される。
【0132】
第2有機リガンドは下記化学式3-1で表される化合物又はこれに由来する残基を含む。
【0133】
【0134】
Rは置換又は非置換のC1~C10アルキル(例えば、メチル)基であり、
M、Aは、上記で定義された通りである。第1有機リガンド及び第2有機リガンドは知られている合成法によって容易に合成されるか、或いは商業的に入手可能である。
【0135】
一実施形態で、半導体ナノ粒子は、アミン化合物(例えば、オレイルアミンなどの脂肪族アルキル基を1個有する第1級アミン)などの合成過程内で使用された有機リガンド化合物由来のネイティブリガンド(native ligand)を更に有する。ネイティブリガンドのための有機リガンド化合物の例示は本明細書に記述した通りである。
【0136】
本発明者らが確認したことによると、ネイティブリガンドのみを有する半導体ナノ粒子がインク組成物内に含まれる場合、インク組成物内の半導体ナノ粒子の分散性が保証され難い。特定の理論により拘束しようとするものではないが、インクジェットインク用組成物内に含まれる(本明細書に記載した)モノマーは半導体ナノ粒子のネイティブリガンドとの相溶性がよくなく、そのために十分な分散性を提供し難いと考えられる。本実施形態によるインク組成物は、第1有機リガンド及び選択により第2有機リガンドを表面に含む半導体ナノ粒子を使用することにより、ナノ粒子がインクジェットインク用組成物の液状ビヒクル(例えば、モノマー又は存在する場合には溶媒)内によく分散される。
【0137】
第2有機リガンドは、存在するか又は存在しない。
【0138】
第1有機リガンドと第2有機リガンドとの間のモル比は、1:0~100、1:0.05~80、1:0.1~50、1:0.15~40、1:0.2~30、1:0.3~25、1:0.5~20、1:0.7~15、1:0.8~10、1:0.9~8、1:1~5、又はこれらの組み合わせの範囲である。
【0139】
第2有機リガンドが存在する場合、第2有機リガンド(チオール系リガンド)と第1有機リガンド(カルボン酸リガンド)との間のモル比(第2有機リガンド:第1有機リガンド)は、1:0.1~1000、1:0.5~100、1:0.7~50、1:0.8~40、1:1~30、1:2~20、1:2.5~10、1:3~8、1:4~6、又はこれらの組み合わせの範囲である。第2有機リガンドと第1有機リガンドとの間のモル比(第2リガンド:第1リガンド)は、1:0.6以上、1:1.1以上、1:1.2以上、1:1.5以上、1:1.8以上、又は1:2以上、及び1:10以下、1:9以下、1:8以下、1:7以下、1:6以下、1:5以下、1:4以下、1:3以下、1:2以下、又は1:1以下である。
【0140】
第1有機リガンド及び選択により第2有機リガンドを(例えば、表面に)含む半導体ナノ粒子は本明細書に記載した方法により得られる。上記方法はリガンド交換反応を伴う。リガンドは半導体ナノ粒子の表面に結合される。従って、一実施形態で、インク組成物の製造方法は、第1有機リガンド及び選択により第2有機リガンドと共に(例えば、これを含有する)半導体ナノ粒子をモノマーと混合する段階と、第1有機リガンド及び選択により第2有機リガンドを含有する半導体ナノ粒子を準備する段階と、を有し、第1有機リガンド及び選択により第2有機リガンドを含有する半導体ナノ粒子を準備する段階は、11-13-16族化合物を含む半導体ナノ結晶粒子を有機溶媒内で第1有機リガンド化合物(及び選択により第2有機リガンド)及び亜鉛塩化合物(例えば、亜鉛ハライド又は第2亜鉛塩化合物)と混合(admixing)して第1有機リガンドを含有する(例えば、第1有機リガンドで表面処理された)半導体ナノ粒子を得る段階を含む。第1有機リガンド(及び選択により第2有機リガンド)は半導体ナノ粒子の表面に結合される。
【0141】
11-13-16族化合物を含む半導体ナノ結晶粒子は、亜鉛塩処理されたナノ結晶粒子を含み、亜鉛塩処理されたナノ結晶粒子は、11-13-16族化合物を含むナノ結晶粒子と第1亜鉛塩化合物とを、(例えば、第1有機リガンドの不存在下で)第1有機溶媒内で、第1温度で接触させて得られる。
【0142】
上記方法は、亜鉛塩処理されたナノ結晶粒子を有機溶媒内に分散させた分散液を準備する段階を含む。混合中に(第1有機リガンド及び選択により第2有機リガンドで)リガンド交換反応が半導体ナノ粒子の表面で起きる。上記方法は、混合で第2有機リガンドを例えば分散液に付加する段階を更に含む。リガンド交換反応は第2有機リガンドの存在下で行われる。半導体ナノ粒子は、表面に結合された第1有機リガンド及び選択により第2有機リガンドを含む。
【0143】
ナノ結晶粒子は、第1半導体ナノ結晶を含み、第2半導体ナノ結晶、亜鉛カルコゲン化物を含む無機物層、又はこれらの組み合わせを更に含む。第1半導体ナノ結晶及び第2半導体ナノ結晶、無機物層又は最外郭層に対する内容及びナノ結晶粒子の製造に関する詳細な内容は本明細書に記述したものを参照する。
【0144】
本発明者らが確認したことによると、ネイティブリガンドを含むナノ結晶粒子の場合、第1有機リガンド及び/又は第2有機リガンドを使用したリガンド交換反応が容易に行われないことがある。本実施形態の方法では、リガンド交換反応が亜鉛塩化合物の使用を伴う。一実施形態で、リガンド交換反応は亜鉛塩化合物の存在下で行われ、第1有機リガンド及び選択により第2有機リガンドが所望する比率で結合された半導体ナノ粒子が得られる。一実施形態のリガンド交換反応では、ネイティブリガンドを含むナノ結晶粒子を本明細書に記載したような亜鉛塩処理をしてから(例えば、追加の亜鉛塩化合物の存在下で)リガンド交換反応を進行する。
【0145】
第1有機リガンド及び第2有機リガンドに関する詳細内容は本明細書に記載した通りである。
【0146】
第1有機溶媒は、有機リガンド化合物及びネイティブリガンド、そして亜鉛塩化合物の種類を勘案して適切に選択される。第1有機溶媒は、オクタン、ヘキサン、ヘプタンなどのC6~C40の脂肪族炭化水素(例えば、アルカン、アルケン、アルキン)溶媒;トルエン、キシレン、などのC6~C30の芳香族炭化水素溶媒;又はこれらの組み合わせである。
【0147】
(第1又は第2)亜鉛塩化合物は、C8~C50の亜鉛脂肪酸エステル化合物(例えば、亜鉛オリエート、亜鉛ステアレート、亜鉛ミリステートなど)、亜鉛ハライド(例えば、亜鉛クロリド、亜鉛ブロミド、ヨウ化亜鉛、亜鉛フルオリドなど)、又はこれらの組み合わせを含む。第1亜鉛塩化合物と第2亜鉛塩化合物とは、同一であるか又は異なる。第1亜鉛塩化合物はC8~C50の亜鉛脂肪酸エステル化合物であり、第2亜鉛塩化合物は亜鉛ハライドであるか、或いはその反対である。
【0148】
第1温度は、20℃以上、30℃以上、40℃以上、45℃以上、又は50℃以上である。第1温度は、150℃以下、100℃以下、80℃以下、60℃以下、55℃以下、又は45℃以下である。
【0149】
混合(admixing)(又はリガンド交換反応)の温度は、20℃以上、30℃以上、40℃以上、45℃以上、又は50℃以上である。混合(又はリガンド交換反応)温度は、150℃以下、100℃以下、80℃以下、60℃以下、55℃以下、又は45℃以下である。
【0150】
混合(或いはリガンド交換反応)は、50分以上、1時間以上、90分以上、100分以上、2時間以上、3時間以上、及び5日以下、4日以下、3日以下、2日以下、1日以下、又は12時間以下の時間の間に行われる。
【0151】
第1亜鉛塩化合物及び第2亜鉛塩化合物の使用量は、化合物の種類及びリガンド化合物の種類、所望する置換度などを勘案して適切に選択される。第1亜鉛塩化合物の使用量は、半導体ナノ粒子1モルに対して10モル以上、100モル以上、500モル以上、1000モル以上、5000モル以上、1万モル以上、1万5千モル以上、又は2万モル以上、及び20万モル以下、15万モル以下、10万モル以下、5万モル以下、3万モル以下、2万モル以下、1万モル以下、5000モル以下、1000モル以下、500モル以下、又は100モル以下である。第2亜鉛塩化合物の使用量は、使用される有機リガンド化合物(例えば、第1有機リガンド化合物及び第2有機リガンド化合物の総合)1モル当たり0.01モル以上、0.05モル以上、0.1モル以上、又は0.3モル以上、及び1モル以下、0.5モル以下、又は0.1モル以下の範囲で使用される。
【0152】
リガンド交換された半導体ナノ粒子は、インク組成物のための液体ビヒクル(例えば、本明細書に記載したモノマー)内によく分散される。
【0153】
上記方法で、第1有機リガンドの使用量は、ナノ結晶粒子の含有量(1モル)を基準に10モル以上、50モル以上、100モル以上、300モル以上、500モル以上、600モル以上、700モル以上、1000モル以上、1500モル以上、2000モル以上、2500モル以上、3000モル以上、3500モル以上、4000モル以上、4500モル以上、5000モル以上、5500モル以上、6000モル以上、6500モル以上、7000モル以上、7500モル以上、8000モル以上、8500モル以上、9000モル以上、10000モル以上、12000モル以上、15000モル以上、17000モル以上、19000モル以上、又は19500モル以上、及び40000モル以下、30000モル以下、又は20000モル以下である。
【0154】
上記方法で、第2有機リガンド化合物の使用量は、ナノ結晶粒子の含有量(1モル)を基準に、0モル以上、10モル以上、50モル以上、100モル以上、300モル以上、500モル以上、600モル以上、700モル以上、1000モル以上、1500モル以上、2000モル以上、2500モル以上、3000モル以上、3500モル以上、4000モル以上、4500モル以上、5000モル以上、5500モル以上、6000モル以上、6500モル以上、7000モル以上、7500モル以上、8000モル以上、8500モル以上、9000モル以上、10000モル以上、12000モル以上、15000モル以上、17000モル以上、19000モル以上、又は19500モル以上、及び40000モル以下、30000モル以下、又は20000モル以下である。
【0155】
一実施形態で、リガンド交換された半導体ナノ粒子は、クルード(crude)半導体ナノ粒子に比べて増加した有機物の含有量を示す。一実施形態の半導体ナノ粒子で有機物の含有量は、半導体ナノ粒子の総重量を基準に15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、29重量%以上、30重量%以上、33重量%以上、又は35重量%以上、及び60重量%以下、55重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、38重量%以下、又は36重量%以下である。
【0156】
インク組成物内の半導体ナノ粒子で、カルコゲン元素(例えば、硫黄)に対する亜鉛のモル比(例えば、亜鉛/硫黄)は、0.8以下、0.3以下、又は0.25以下である。半導体ナノ粒子で、カルコゲン元素(例えば、硫黄)に対する亜鉛のモル比(例えば、亜鉛/硫黄)は、0.01以上、0.05以上、又は0.1以上である。
【0157】
インク組成物内の半導体ナノ粒子で、銀(Ag)に対する亜鉛(Zn)のモル比(Zn/Ag)は、0.3以上、0.35以上、0.4以上、0.45以上、0.5以上、0.55以上、0.6以上、0.65以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、0.85以上、0.9以上、0.95以上、1以上、1.2以上、1.4以上、1.6以上、1.7以上、1.9以上、2以上、2.5以上、3以上、3.5以上、又は4以上である。インク組成物内の半導体ナノ粒子で、銀(Ag)に対する亜鉛(Zn)のモル比(Zn/Ag)は、5以下、4.7以下、4.4以下、4.1以下、3.9以下、3.7以下、3.5以下、3以下、2.7以下、2.6以下、又は2.3以下である。
【0158】
インク組成物内の半導体ナノ粒子で、インジウムに対する亜鉛(Zn)のモル比(Zn/In)は、0.1以上、0.3以上、0.5以上、0.7以上、0.9以上、1.1以上、1.3以上、1.5以上、1.7以上、1.9以上、2.1以上、2.3以上、2.5以上、2.7以上、2.9以上、又は3以上である。インク組成物内の半導体ナノ粒子で、インジウム(In)に対する亜鉛(Zn)のモル比(Zn/In)は、10以下、8以下、6以下、5以下、4.5以下、4以下、3.5以下、2以下、又は1.6以下である。
【0159】
インク組成物内の半導体ナノ粒子で、ガリウムに対する亜鉛(Zn)のモル比(Zn/Ga)は、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.35以上、0.4以上、0.45以上、又は0.5以上である。インク組成物内の半導体ナノ粒子で、ガリウムに対する亜鉛(Zn)のモル比(Zn/Ga)は、3以下、2.5以下、2以下、1.9以下、1.7以下、1.5以下、1.4以下、1.2以下、1.1以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、又は0.49以下である。
【0160】
インク組成物内の半導体ナノ粒子で、ガリウム、インジウム、及び銀(Ag)の総合に対する亜鉛(Zn)のモル比(Zn/(Ga+In+Ag))は、0.05以上、0.1以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、0.35以上、又は0.4以上である。インク組成物内の半導体ナノ粒子で、ガリウム、インジウム、及び銀(Ag)の総合に対する亜鉛(Zn)のモル比(Zn/(Ga+In+Ag))は、2以下、1.7以下、1.4以下、1.1以下、0.9以下、0.7以下、0.5以下、又は0.45以下である。
【0161】
インク組成物内の半導体ナノ粒子で、ガリウム及びインジウムの総合に対する亜鉛(Zn)のモル比(Zn/(Ga+In))は、0.05以上、0.1以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、0.35以上、又は0.4以上である。インク組成物内の半導体ナノ粒子で、ガリウム及びインジウムの総合に対する亜鉛(Zn)のモル比(Zn/(Ga+In))は、2以下、1.7以下、1.4以下、1.1以下、0.9以下、0.7以下、0.5以下、又は0.45以下である。
【0162】
組成物(又は複合体)内で半導体ナノ粒子の含有量は、(例えば、カラーフィルターなど)所望する最終用途などを勘案して適切に調節される。一実施形態で、組成物(又は複合体)でのナノ粒子の含有量は、組成物又は複合体の固形分(以下、固形分とは、組成物の固形分又は複合体の固形分である)を基準に1重量%以上、例えば2重量%以上、3重量%以上、4重量%以上、5重量%以上、6重量%以上、7重量%以上、8重量%以上、9重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、又は40重量%以上である。半導体ナノ粒子の含有量は、固形分を基準に70重量%以下、例えば65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、又は50重量%以下である。組成物内の総固形分含有量に対する成分の重量百分率は後述する複合体内での成分の含有量を代表する。
【0163】
一実施形態のインク組成物で、重合性モノマーは、炭素-炭素二重結合を一つ以上(例えば、2個以上又は3個以上、及び10個以下)含む化合物を含む。モノマーは、絶縁性ポリマーのための前駆体である。モノマーは、光又は熱により重合される。
【0164】
インク組成物で、モノマーは、下記化学式1で表される化合物を含む。
【0165】
【0166】
上記化学式1で、Xは炭素-炭素二重結合を有するC2~C30の有機基であり、
Lは、単一結合、炭素原子、置換又は非置換のC1~C50のアルキレン基、置換又は非置換のC3~C50(例えば、C6-C30)のシクロアルキレン基、置換又は非置換のC3~C50(例えば、C6-C30)のシクロアルケニレン基、置換又は非置換のC6~C50のアリーレン基、置換又は非置換のC3~C30のヘテロアリーレン基、オキシアルキレン単位を1個以上有する基[(R-O)n、ここでRは、置換又は非置換のエチレン、イソプロピレン、ブチレンなどのアルキレンであり、nは1以上500以下]、スルホニル(-S(=O)2-)、カルボニル(-C(=O)-)、エーテル(-O-)、スルフィド(-S-)、スルホキシド(-S(=O)-)、エステル(-C(=O)O-)、アミド(-C(=O)NR-)(ここでRは水素又はC1~C10の直鎖又は分枝鎖アルキル基である)、イミン(-NR-)(ここでRは水素又はC1~C10の直鎖又は分枝鎖アルキル基である)、又はこれらの組み合わせであり、
Yは、単一結合、置換又は非置換のC1~C30のアルキレン基、置換又は非置換のC2~C30のアルケニレン基、スルホニル(-S(=O)2-)、カルボニル(-C(=O)-)、エーテル(-O-)、スルフィド(-S-)、スルホキシド(-S(=O)-)、エステル(-C(=O)O-)、アミド(-C(=O)NR-)(ここでRは水素又はC1~C10の直鎖又は分枝鎖アルキル基である)、イミン(-NR-)(ここでRは水素又はC1~C10の直鎖又は分枝鎖アルキル基である)、又はこれらの組み合わせであり、
nは1以上の整数であり、
kは1以上の整数であり、
nとkとの合計は2以上(例えば、3以上又は4以上、及び10以下又は5以下)の整数である。
【0167】
nはYの原子価数により決定される。kはLの原子価数により決定される。
【0168】
Xは、ビニル基、(メタ)アクリレート基、又はこれらの組み合わせを含む。
【0169】
モノマーは、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、置換又は非置換のアルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、エチルグリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアクリロイルオキシアルカン、又はこれらの組み合わせを含む。
【0170】
モノマーは、置換又は非置換のジ(メタ)アクリレート化合物、置換又は非置換のトリ(メタ)アクリレート化合物、置換又は非置換のテトラ(メタ)アクリレート化合物、置換又は非置換のペンタ(メタ)アクリレート化合物、置換又は非置換のヘキサ(メタ)アクリレート化合物、又はこれらの組み合わせを含む。
【0171】
重合性モノマーの含有量は、組成物の総重量を基準に0.5重量%以上、例えば1重量%以上、2重量%以上、3重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、又は40重量%以上である。重合性モノマーの含有量は、組成物の総重量を基準に99%以下、90%以下、80%以下、70%以下、60重量%以下、50重量%以下、45重量%以下、28重量%以下、25重量%以下、23重量%以下、20重量%以下、18重量%以下、17重量%以下、16重量%以下、又は15重量%以下である。
【0172】
インク組成物は、開始剤、金属酸化物粒子、又はこれらの組み合わせを更に含む。
【0173】
組成物に含まれる(光)開始剤は、上述したモノマーの(光)重合のためのものである。開始剤は、温和な条件下で(例えば、熱又は光により)ラジカル化学種を生成してラジカル反応(例えば、モノマーのラジカル重合)を促進する化合物である。開始剤は、熱開始剤又は光開始剤である。開始剤は、特に制限されず、適切に選択される。
【0174】
熱開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシドなどを含むが、これに制限されない。光開始剤は、トリアジン系化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物、ベンゾイン化合物、オキシムエステル化合物、アミノケトン化合物、ホスフィン又はホスフィンオキシド化合物、カーバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、非イミダゾール系化合物、又はこれらの組み合わせを含むが、これに制限されない。開始剤は、Igacure 754、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Hydroxycyclohexyl phenyl ketone)(Irgacure 184、CAS 947-19-3)、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(2,4,6-Trimethylbenzoyl diphenylphosphine oxide)(Irgacure TPO、CAS 75980-60-8)、オキシフェニル-酢酸2[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステル、又はこれらの組み合わせを含む。
【0175】
インク組成物で、開始剤の含有量は使用された重合性モノマーの種類及び含有量を考慮して適切に調節される。一実施形態で、開始剤の含有量は、組成物の総重量(又は固形分の総重量)を基準に0.01重量%以上、例えば1重量%以上、及び10重量%以下、例えば9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、又は5重量%以下であるが、これに制限されない。
【0176】
組成物で、金属酸化物微粒子は、TiO2、SiO2、BaTiO3、Ba2TiO4、ZnO、又はこれらの組み合わせを含む。組成物(又は複合体)内で金属酸化物の含有量は、総固形分を基準に1重量%以上、2重量%以上、3重量%以上、5重量%以上、又は10重量%以上、及び50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、7重量%以下、5重量%以下、又は3重量%以下である。
【0177】
金属酸化物粒子の直径は、特に制限されず、適切に選択される。金属酸化物粒子の直径は、100nm以上、例えば150nm以上、又は200nm以上、及び1000nm以下、又は800nm以下である。
【0178】
本実施形態によるインク組成物は重合(例えば、光重合)によりナノ粒子-複合体又はそのパターンを提供する。従って、本実施形態は、マトリックス及びマトリックス内に分散された上述した複数のナノ粒子を含む複合体を提供する。本実施形態の複数のナノ粒子又はこれらを含む複合体は、増加した水準の青色光吸収率(例えば、向上した励起光吸収率)と共に向上した光学的物性(例えば、増加した発光効率及び狭くなった半値幅)を有して所望する波長の光(例えば、第1光)を放出することができる。複合体はシート形態を有する。複合体はパターン化されたフィルムの形態である。一実施形態で、半導体ナノ粒子-ポリマーの複合体は、重合性モノマーの重合生成物(ポリマー)及び半導体ナノ粒子並びに第1有機リガンドを含む。一実施形態で、半導体ナノ粒子は重合生成物内にコロイド状に分散される。半導体ナノ粒子及び第1有機リガンドは、本明細書に記載した通りである。
【0179】
(ポリマー)マトリックスは、重合性モノマーの重合生成物を含む。マトリックスは、線状ポリマー、架橋されたポリマー、又はこれらの組み合わせを含む。架橋されたポリマーは、チオレン樹脂、架橋されたポリ(メタ)アクリレート、架橋されたポリウレタン、架橋されたエポキシ樹脂、架橋されたビニルポリマー、架橋されたシリコン樹脂、又はこれらの組み合わせを含む。一実施形態で、架橋されたポリマーは、上述した重合性モノマー及び選択により多重チオール化合物の重合生成物である。
【0180】
線状ポリマーは、炭素-炭素不飽和結合(例えば、炭素-炭素二重結合)に由来する繰り返し単位を含む。繰り返し単位はカルボン酸基を含む。線状ポリマーはエチレン繰り返し単位を含む。カルボン酸基含有繰り返し単位は、カルボン酸基及び炭素-炭素二重結合を含むモノマーに由来する単位、ジアンハイドライド残基を有するモノマーに由来する単位、又はこれらの組み合わせを含む。線状ポリマーはアルカリ可溶性バインダーポリマー又は樹脂である。一実施形態のインク組成物はアルカリ可溶性バインダーポリマー又は樹脂を含まない。
【0181】
一実施形態によるナノ粒子-ポリマーの複合体で、マトリックスの含有量は、複合体の総重量を基準に10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、又は60%以上である。マトリックスの含有量は、複合体の総重量を基準に95%以下、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、又は50%以下である。
【0182】
複合体は、例えば所定の厚さを有し、所定の含有量のナノ粒子を含む。インク組成物又はこれから製造される複合体は、厚さ10マイクロメーターのフィルムの形態を含む。複合体はフィルム又はパターンの形態を有し、複合体の厚さは、例えば30μm以下の厚さ、例えば25μm以下、20μm以下、15μm以下、10μm以下、8μm以下、又は7μm以下、及び2μm超、例えば3μm以上、3.5μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上、又は10μm以上である。
【0183】
インク組成物又はこれから製造された複合体は、増加した入射光(例えば、青色光)吸収率を示す。複合体の入射光吸収率は、70%以上、73%以上、75%以上、77%以上、80%以上、83%以上、85%以上、87%以上、90%以上、93%以上、95%以上、97%以上、又は99%以上である。複合体の青色光吸収率は、70%~100%、80%~98%、95%~99%、96%~98%、90~94%、又はこれらの組み合わせである。
【0184】
入射光吸収率(%)=[(B-B’)/B]×100 ・・・式8
B:入射光の光量
B’:複合体を通過した入射光の光量
【0185】
インク組成物は、重合により複合体を形成するように構成され、下記式3により定義される量子効率の維持率は、50%以上、51%以上、55%以上、57%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、88%以上、又は90%以上である。
【0186】
量子効率の維持率(%)=[重合後の半導体ナノ粒子含有複合体の量子効率/(例えば、インク組成物内での)半導体ナノ粒子の量子効率]×100 ・・・式3
【0187】
量子効率の維持率は、88%~100%、90%~99%、93%~97%、又はこれらの組み合わせの範囲である。
【0188】
インク組成物は、(光)重合により複合体を形成するように構成され、下記式5により定義される工程維持率は、50%以上、51%以上、55%以上、57%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、88%以上、又は90%以上である。
【0189】
工程維持率(%)=[半導体ナノ粒子含有複合体の180℃で30分間熱処理後量子効率/(光)重合後半導体ナノ粒子含有複合体の量子効率]×100 ・・・式5
【0190】
複合体又はそれに含まれる半導体ナノ粒子は、(例えば、露光後、又は180℃で30分間熱処理後)下記式6により得られる量子効率又は光変換率(CE)が50%以上、55%以上、60%以上、63%以上、69%以上、又は75%以上である。
【0191】
複合体の量子効率又は光変換率(%)=[A/(B-B’)]×100 ・・・式6
A:半導体ナノ粒子又は複合体から放出される第1光の光量
B:複合体に提供された入射光の光量
B’:複合体を通過した入射光の光量
【0192】
複合体は、光源上に配置される発光粒子を含むシート又は色変換パネル(例えば、発光型カラーフィルター)に使用される。
【0193】
従って、本実施形態は、上述したナノ粒子を含む色変換層(例えば、色変換構造物)又はこれを含む色変換パネルに関するものである。色変換層(例えば、色変換構造物)は本実施形態の複合体又はそのパターン化された膜を含む。色変換層は色変換区域を含む。
【0194】
色変換区域は(例えば、入射光照射により)第1光(又は緑色光)を放出するように構成された第1区域を含む。一実施形態で、第1区域は緑色画素に対応する。第1区域は第1複合体(例えば、発光型複合体)を含む。第1光は上述した通りである。第1光は緑色光である。緑色光の最大発光ピーク波長は、500nm以上、501nm以上、504nm以上、505nm以上、又は520nm以上である。緑色光の最大発光ピーク波長は、580nm以下、560nm以下、550nm以下、530nm以下、525nm以下、520nm以下、515nm以下、又は510nm以下である。
【0195】
色変換区域は、(例えば、入射光照射により)第1光とは異なる第2光(例えば、赤色光)を放出するように構成された(例えば、1個以上の)第2区域を更に含む。第2区域は第2複合体を含む。第2区域のナノ粒子複合体は、第1区域のナノ粒子複合体とは異なる波長の(例えば、異なる色の)光を放出する量子ドットを含む。
【0196】
第2光は最大発光ピーク波長が600nm~650nm(例えば、620nm~650nm)に存在する赤色光である。
【0197】
色変換パネルは、第1光及び第2光とは異なる第3光(例えば、青色光)を放出するか又は通過させる1個以上の)第3区域を更に含む。第3光は励起光(青色光及び選択により緑色光)を含む。第3光は最大ピーク波長が380nm以上(例えば、440nm以上、445nm以上、450nm以上、又は455nm以上)、及び480nm以下、475nm以下、470nm以下、465nm以下、又は460nm以下)の範囲にある青色光を含む。
【0198】
図1aは、一実施形態による色変換パネルを模式的に示した断面図である。
図1bは、一実施形態による電子素子(表示装置)の断面図であって、色変換層(例えば、色変換構造物)及び光源を含む電子素子(表示素子)の断面図である。
【0199】
図1aを参照すると、色変換パネルは、選択により色変換層の各区域を定義する隔壁(例えば、ブラックマトリックス(BM)、バンク、又はこれらの組み合わせ)を更に含む。電子素子で、色変換層はLED on chip(例えば、マイクロLED on chip)上に配置される。
【0200】
図1bを参照すると、入射光(例えば、青色光)を放出するように構成された光源(例えば、blue LED)の下には光源を駆動するための回路(Si Driver IC)が配置される。色変換層は、第1光(例えば、緑色光)を放出するナノ粒子を含む第1複合体、及び第2光(赤色光)を放出するナノ粒子を含む第2複合体、或いは第3光(例えば、入射光又は青色光)を放出又は通過させる第3複合体を含む。それぞれの複合体の間には(例えば、ケイ素又はケイ素酸化物などの無機物材料基盤又は有機物材料基盤の)隔壁が配置される。隔壁は、トレンチホール、ビアホール、又はこれらの組み合わせを含む。色変換層の光抽出面上には第1光学要素(例えば、吸収型カラーフィルター)が配置される。第1光学要素の上にはマイクロレンズなどの追加の光学要素が更に配置される。
【0201】
色変換層又はナノ粒子複合体のパターン化された膜は、本実施形態のインク組成物を使用してインクジェット印刷方式で製造される。
【0202】
図2は、一実施形態によるインク組成物を利用した(インクジェット印刷方式の)パターン形成工程を模式的に示した図である。
【0203】
図2を参照すると、このような方法は、インク組成物を製造する段階と、(例えば、電極及び選択によりバンク又はトレンチ型隔壁などによって画素領域がパターン化される)基板を提供する段階と、基板(又は画素領域)上にインク組成物を堆積して例えば第1複合体層(又は第1区域)を形成する段階と、を有する。上記方法は、基板(又は画素領域)上にインク組成物を堆積して例えば第2複合体層(又は第2区域)を形成する段階を含む。第1複合体層の形成及び第2複合体層の形成は同時に又は順次に行われる。
【0204】
インク組成物の堆積は(例えば、インク貯蔵所及び1個以上のプリントヘッドを有する)インクジェット又はノズルプリンティングシステムなどの適切な液晶吐出装置を使用して行われる。堆積されたインク組成物は、加熱により溶媒の除去及び重合を経て(第1又は第2)複合体層を提供する。このような方法は、簡単な方式で短時間に高度に精密なナノ粒子-ポリマーの複合体フィルム又はパターン化された膜を形成することができる。
【0205】
上述した半導体ナノ粒子又は複数の半導体ナノ粒子、これらを含む複合体(パターン)、又はこれらを含む色変換パネルは電子素子(electronic device)に含まれる。このような電子素子は、表示素子、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、クォントムドットLED、センサー(sensor)、太陽電池、イメージングセンサー、フォトディテクター、又は液晶表示素子を含むが、これらに制限されない。上述した半導体ナノ粒子又はこれを含む複合体は電子装置(electronic apparatus)に含まれる。このような電子装置は、携帯端末装置、モニター、ノートPC、テレビ、電光板、カメラ、自動車などを含むが、これに制限されない。電子装置は、量子ドットを含む表示素子(又は発光素子)を含む携帯端末装置、モニター、ノートPC、又はテレビである。電子装置は量子ドットを含むイメージセンサーを含むカメラ又は携帯端末装置である。電子装置は量子ドットを含むフォトディテクターを含むカメラ又は自動車である。
【0206】
一実施形態で、電子素子又は表示素子(例えば、表示パネル)は、色変換層(又は色変換パネル)及び選択により光源を更に含む。光源は色変換層又は色変換パネルに入射光を提供するように構成される。一実施形態で、表示パネルは、発光パネル(又は光源)、上述した色変換パネル、発光パネルと色変換パネルとの間に位置する透光層を含む。色変換パネルは基板を含み、色変換層は基板上に配置される。(参照:
図3a及び
図4)
【0207】
一実施形態で、光源又は発光パネルは、発光要素に入射光を提供するように構成される。入射光は、440nm以上、例えば450nm以上、及び580nm以下、例えば480nm以下、470nm以下、又は460nm以下の範囲にある光発光ピーク波長を有する。
【0208】
一実施形態で、電子素子(例えば、光発光タイプの素子)はナノ粒子複合体のシート(sheet)を含む。
【0209】
図3aは、一実施形態による色変換パネルを含む表示パネルの一例を示す斜視図である。
図3bは、他の実施形態による表示素子の分解図である。
図4は、
図3aの表示パネルの断面図である。
【0210】
図3bを参照すると、電子素子はバックライトユニット及び液晶パネル(LC)を含み、バックライトユニットは量子ドットポリマーの複合体シート(QDシート)を含む。具体的に、バックライトユニットは、反射板(reflector)、導光板(LGP)、光源(青色LEDなど)、量子ドットポリマーの複合体シート(QDシート)、光学フィルム(プリズム、二重輝度向上フィルム(Double brightness enhance film:DBEF)など)が積層された構造を有する。液晶パネル(LC)は、バックライトユニットの上に配置され、二つの偏光子(Pol)の間に液晶及びカラーフィルターを含む構造を有する。量子ドットポリマーの複合体シート(QDシート)は光源から光を吸収して赤色光を発光する量子ドット及び緑色光を発光する量子ドットを含む。光源から提供される青色光は、量子ドットポリマーの複合体シートを経て、量子ドットから放出される赤色光及び緑色光と結合して白色光に変換される。この白色光は、液晶パネル内のカラーフィルターにより青色光、緑色光、及び赤色光に分離されて、画素別に外部に放出される。
【0211】
色変換パネルは基板を含み、色変換層は基板上に配置される。色変換層又は色変換パネルはナノ粒子複合体のパターン化された膜を含む。パターン化された膜は所望する光を放出するように構成された反復区画を含む。第2区域は赤色光放出区画である。第1区域は緑色光放出区画である。第3区域は青色光を放出又は透過する区画である。第1、第2、及び第3区域に関する詳細内容は上述した通りである。
【0212】
発光パネル又は光源は励起光を放出する要素である。励起光は青色光及び選択により緑色光を含む。光源はLEDを含む。光源は有機LED(OLED)を含む。光源はマイクロLEDを含む。第1区域及び第2区域の前面(光放出面)には、青色光(及び選択により緑色光)を遮断(例えば、反射又は吸収)する光学要素、例えば青色光(及び選択により緑色光)遮断層又は後述する第1光学フィルターが配置される。光源が青色光放出有機発光ダイオード及び緑色光放出有機発光ダイオードを含む場合、青色光が透過する第3区画上には緑色光除去フィルターが更に配置される。
【0213】
発光パネル又は光源は第1区域及び第2区域にそれぞれ対応する複数個の発光単位を含み、発光単位は、互いに対向する第1電極及び第2電極、並びに第1電極と第2電極との間に配置された(有機)電界発光層を含む。電界発光層は有機発光物質を含む。例えば、光源のそれぞれの発光単位は所定の波長の光(例えば、青色光、緑色光、又はこれらの組み合わせ)を放出するように構成された電界発光素子(例えば、有機発光ダイオード)を含む。電界発光素子及び有機発光ダイオードの構造及び材料は、知られており、特に制限されない。
【0214】
以下、図面を参照して表示パネル及び色変換パネルについてより詳しく説明する。
【0215】
図3a及び
図4を参照すると、本実施形態による表示パネル又は電子素子1000は、発光パネル100又は光源、そして色変換パネル200を含む。表示パネル又は電子素子は、発光パネル100と色変換パネル200との間に位置する透光層300、発光パネル100と色変換パネル200とを結合する結合材400、又はこれらの組み合わせを更に含むが、これに制限されない。透光層は、パッシベーション層、充填材料、エンキャプシュレーション層、又はこれらの組み合わせを含む。透光層材料は、適切に選択され、特に制限されない。透光層材料は、無機物、有機物、有機-無機ハイブリッド材料、又はこれらの組み合わせを含む。
【0216】
発光パネル100及び色変換パネル200は透光層300を間に置いて互いに対向し、色変換パネル200は発光パネル100から光が放出される方向に配置される。結合材400は、発光パネル100及び色変換パネル200の周縁に沿って配置され、例えばシーリング材である。
【0217】
図5aは、
図3aの表示パネルの画素配列の一例を示す平面図である。
【0218】
図5aを参照すると、本実施形態による表示パネル1000は、画像を表示するための表示領域1000D、及び表示領域1000Dの周辺に位置して結合材400が配置される非表示領域1000Pを含む。
【0219】
表示領域1000Dは行(例えばx方向)及び/又は列(例えばy方向)に沿って配列された複数の画素PXを含み、各画素PXは互いに異なる色を表示する複数のサブ画素(PX1、PX2、PX3)を含む。ここでは一例として3個のサブ画素(PX1、PX2、PX3)が一つの画素をなしている構成を示したが、これに限定されず、白色サブ画素のような追加的なサブ画素を更に含み得、同一の色を表示するサブ画素が1個以上更に含まれ得る。複数の画素PXは、例えばバイヤーマトリックス(Bayer matrix)、ペンタイルマトリックス(PenTile matrix)、ダイヤモンドマトリックス(diamond matrix)などで配列されるが、これに限定されるものではない。
【0220】
各サブ画素(PX1、PX2、PX3)は三原色(three primary color)又は三原色の組み合わせの色を表示し、例えば赤色、緑色、青色、又はこれらの組み合わせの色を表示する。一例として、第1サブ画素PX1は赤色を表示し、第2サブ画素PX2は緑色を表示し、第3サブ画素PX3は青色を表示する。
【0221】
図面では全てのサブ画素が同一の大きさを有する例を示したが、これに限定されず、サブ画素のうちの少なくとも一つは他のサブ画素よりも大きいか又は小さくあり得る。図面では全てのサブ画素が同一の模様を有する例を示したが、これに限定されず、サブ画素のうちの少なくとも一つは他のサブ画素とは異なる模様を有することができる。
【0222】
一実施形態の表示パネル又は電子素子で、発光パネルは、基板及び基板上に配置される(例えば酸化物基盤の)TFTを含む。TFT上には(例えば、タンデム(tandem)構造を有する)発光素子が配置される。
【0223】
発光素子は、対向する第1電極と第2電極との間に発光層(例えば、青色発光層、緑色発光層、又はこれらの組み合わせ)を含む。それぞれの発光層の間には電荷発生層が配置される。第1電極及び第2電極は画素に対応するようにそれぞれ複数の電極要素でパターニングされる。第1電極はアノード又はカソードである。第2電極はカソード又はアノードである。
【0224】
発光素子は、有機LED、ナノロッドLED、ミニLED、マイクロLED、又はこれらの組み合わせを含む。
【0225】
図5b~
図5eは、それぞれ発光素子の例を示す断面図である。
【0226】
一実施形態で、ミニLEDは、100マイクロメーター(μm)以上、150μm以上、200μm以上~1ミリメートル以下、0.5ミリメートル以下、0.15ミリメートル以下、又は0、12ミリメートル以下の大きさを有するが、これに制限されない。一実施形態で、マイクロLEDは、100マイクロメーター未満、50マイクロメーター以下、10マイクロメーター以下の大きさを有する。マイクロLEDの大きさは、0.1μm以上、0.5μm以上、1μm以上、又は5μm以上であるが、これに制限されない。
【0227】
図5bを参照すると、本実施形態で、発光素子180は、互いに対向する第1電極181及び第2電極182、第1電極181と第2電極182との間に位置する発光層183、そして選択的に第1電極181と発光層183との間及び第2電極182と発光層183との間に位置する補助層(184、185)を含む。
【0228】
第1電極181と第2電極182とは厚さ方向(例えばz方向)に沿って互いに対向するように配置され、第1電極181及び第2電極182のうちのいずれか一つはアノード(anode)であり、他の一つはカソード(cathode)である。第1電極181は、透光電極、半透過電極、又は反射電極であり、第2電極182は透光電極又は半透過電極である。透光電極又は半透過電極は、例えばインジウムスズ酸化物(indium tin oxide、ITO)、インジウム亜鉛酸化物(indium zinc oxide、IZO)、亜鉛酸化物(ZnO)、スズ酸化物(SnO)、アルミニウムスズ酸化物(AlTO)、及びフッ素ドーピングされたスズ酸化物(FTO)のような導電性酸化物、或いは銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、マグネシウム-銀(Mg-Ag)、マグネシウム-アルミニウム(Mg-Al)、又はこれらの組み合わせを含む薄い厚さの単一層又は複数層の金属薄膜で作られる。反射電極は、金属、金属窒化物、又はこれらの組み合わせを含み、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、これらの合金、これらの窒化物(例えばTiN)、又はこれらの組み合わせを含むが、これに限定されるものではない。
【0229】
複数の発光層183は、青色発光スペクトルを有する光を放出する第1発光体、緑色発光スペクトルを有する光を放出する第2発光体、又はこれらの組み合わせを放出する。
【0230】
青色発光スペクトルの最大発光波長は、約400nm以上500nm未満の波長領域に属し、上記範囲内で約410nm~490nm、約420nm~480nm、430nm~470nm、440nm~465nm、445nm~460nm、450nm~458nm、又はこれらの組み合わせの範囲の波長領域に属する。
【0231】
緑色発光スペクトルの最大発光波長は、約500nm以上590nm未満の波長領域に属し、上記範囲内で約510nm~580nm、約515nm~570nm、520nm~560nm、525nm~555nm、530nm~550nm、535nm~545nm、又はこれらの組み合わせの範囲の波長領域に属する。
【0232】
一例として、複数の発光層183又はそれらに含まれる発光体は、燐光物質、蛍光物質、又はこれらの組み合わせを含む。一例として、発光体は有機発光体を含み、有機発光体は、低分子化合物、高分子化合物、又はこれらの組み合わせである。燐光物質及び蛍光物質の具体的な種類は、特に制限されず、公知の材料の中から適切に選択される。一例として、発光体は無機発光体を含み、無機発光体は、無機半導体、量子ドット、ペロブスカイト、又はこれらの組み合わせである。無機半導体は、金属窒化物、金属酸化物、又はこれらの組み合わせを含む。金属窒化物、金属酸化物、又はこれらの組み合わせは、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムなどのIII族金属、ケイ素、ゲルマニウム、スズなどのIV族金属、又はこれらの組み合わせを含む。発光体が無機発光体を含む場合、発光素子180は、量子ドット発光ダイオード、ペロブスカイト発光ダイオード、又はマイクロ発光ダイオード(μLED)である。無機発光体として使用可能な材料は知られている。
【0233】
一実施形態で、発光素子180は補助層(184、185)を更に含む。補助層(184、185)はそれぞれ第1電極181と発光層183との間及び第2電極182と発光層183との間に位置する。補助層(184、185)は、それぞれ電荷の注入及び/又は移動性を調節するための電荷補助層である。補助層(184、185)は、それぞれ1層又は2層以上であり、例えば正孔注入層、正孔輸送層、電子遮断層、電子注入層、電子輸送層、正孔遮断層、又はこれらの組み合わせである。補助層(184、185)のうちの少なくとも一つは省略される。それぞれの補助層のための材料は、有機電界発光素子などに対して知られている材料の中から適切に選択される。
【0234】
各サブ画素(PX1、PX2、PX3)に配置された発光素子180は互いに同一であるか又は異なる。各サブ画素(PX1、PX2、PX3)に配置された発光素子180は互いに同一であるか又は異なる発光スペクトルの光を放出する。各サブ画素(PX1、PX2、PX3)に配置された発光素子180は、例えばそれぞれ青色発光スペクトルの光、緑色発光スペクトルの光、又はこれらの組み合わせを放出する。各サブ画素(PX1、PX2、PX3)に配置された発光素子180は画素定義膜(図示せず)により分離される。
【0235】
図5cを参照すると、発光素子180は、タンデム(tandem)構造の発光素子であり、互いに対向する第1電極181及び第2電極182、第1電極181と第2電極182との間に位置する第1発光層183a及び第2発光層183b、第1発光層183aと第2発光層183bとの間に位置する電荷生成層(charge generation layer)186、そして選択的に第1電極181と第1発光層183aとの間及び第2電極182と第2発光層183bとの間に位置する補助層(184、185)を含む。
【0236】
第1電極181、第2電極182、及び補助層(184、185)は上述した通りである。
【0237】
第1発光層183aと第2発光層183bとは互いに同一であるか又は異なる発光スペクトルの光を放出する。一実施形態で、第1発光層183a又は第2発光層183bは青色発光スペクトルの光又は緑色発光スペクトルの光を放出する。電荷生成層186は、第1発光層183a及び/又は第2発光層183bに電荷を注入し、第1発光層183aと第2発光層183bとの間で電荷均衡を調節する。電荷生成層186は、例えばn型層及びp型層を含み、例えばn型ドーパント及び/又はp型ドーパントが含まれる電子輸送物質及び/又は正孔輸送物質を含む。電荷生成層186は1層又は2層以上である。
【0238】
図5dを参照すると、(例えば、タンデム構造を有する)発光素子は、互いに対向する第1電極181及び第2電極182、第1電極181と第2電極182との間に位置する第1発光層183a、第2発光層183b、及び第3発光層183c、第1発光層183aと第2発光層183bとの間に位置する第1電荷生成層186a、第2発光層183bと第3発光層183cとの間に位置する第2電荷生成層186b、そして選択的に第1電極181と第1発光層183aとの間及び第2電極182と第3発光層183cとの間に位置する補助層(184、185)を含む。
【0239】
第1電極181、第2電極182、及び補助層(184、185)は上述した通りである。
【0240】
第1発光層183a、第2発光層183b、及び第3発光層183cは互いに同一であるか又は異なる発光スペクトルの光を放出する。第1発光層183a、第2発光層183b、及び第3発光層183cは青色光を放出する。一実施形態で、第1発光層183a及び第3発光層183cは青色発光スペクトルの光を放出し、第2発光層183bは緑色発光スペクトルの光を放出する。他の実施形態で、第1発光層183a及び第3発光層183cは緑色発光スペクトルの光を放出し、第2発光層183bは青色発光スペクトルの光を放出する。
【0241】
第1電荷生成層186aは、第1発光層183a及び/又は第2発光層183bに電荷を注入し、第1発光層183aと第2発光層183bとの間で電荷均衡を調節する。第2電荷生成層186aは、第2発光層183b及び/又は第3発光層183cに電荷を注入し、第2発光層183bと第3発光層183cとの間で電荷均衡を調節する。第1及び第2電荷生成層(186a、186b)はそれぞれ1層又は2層以上である。
【0242】
図5eを参照すると、発光素子180は、第1電極181、第2電極182、及び複数のナノ構造体187を含む発光層183を含む。
【0243】
第1電極181及び第2電極182のうちのいずれか一つはアノードであり、他の一つはカソードである。第1電極181及び第2電極182は、複数のナノ構造体187の配列方向によりパターン化された電極であり、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛酸化物(ZnO)、スズ酸化物(SnO)、アルミニウムスズ酸化物(AlTO)及びフッ素ドーピングされたスズ酸化物(FTO)のような導電性酸化物;銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、これらの合金、これらの窒化物(例えばTiN);又はこれらの組み合わせを含むが、これに限定されるものではない。
【0244】
発光層183は、複数のナノ構造体187を含み、各サブ画素(PX1、PX2、PX3)は複数のナノ構造体187を含む。複数のナノ構造体187は、一方向に沿って配列されるが、これに限定されるものではない。ナノ構造体187は、電流を加えると所定波長の光を放出する化合物半導体であり、例えばナノロッド(nanorod)又はナノニードル(nanoneedle)のような線状ナノ構造体である。ナノ構造体187の直径又は長径は例えば数~数百ナノメートルであり、ナノ構造体187のアスペクト比(aspect-ratio)は、約1超、約1.5以上、約2.0以上、約3.0以上、約4.0以上、約4.5以上、又は約5.0以上、或いは約1超20以下、約1.5~20、約2.0~20、約3.0~20、約4.0~20、約4.5~20、又は約5.0~20、又はこれらの組み合わせの範囲である。
【0245】
各ナノ構造体187は、p型領域187p、n型領域187n、及び多重量子ウエル(multiple quantumw ell)領域187iを含み、多重量子ウエル領域187iで光を放出する。ナノ構造体187は、例えば窒化ガリウム(GaN)、インジウム窒化ガリウム(InGaN)、アルミニウム窒化ガリウム(AlGaN)、又はこれらの組み合わせを含み、例えばコア-シェル構造を有する。
【0246】
複数のナノ構造体187は互いに同一であるか又は異なる発光スペクトルの光を放出する。一実施形態で、第1ナノ構造体187aは、青色発光スペクトルの光を放出し、例えば約400nm以上500nm未満、約410nm~490nm、又は約420nm~480nmの波長領域に最大発光波長を有する青色発光スペクトルの光を放出する。
【0247】
図6は、
図5aの表示パネルをIV-IV線に沿って切断した断面図である。
【0248】
図6を参照すると、光源(又は発光パネル)は青色光(及び選択により緑色光)を放出する有機発光ダイオードを含む。有機発光ダイオードは、基板上に形成された2以上の画素電極、隣接する画素電極の間に形成された画素定義膜、及びそれぞれの画素電極上に形成された有機発光層、有機発光層上に形成された共通電極層を含む。有機発光ダイオードの下には薄膜トランジスター及び基板が配置される。OLEDの画素領域は後述する第1、2、3区域に対応して配置される。
図6では色変換パネルと発光パネルとが分離された形態で示しているが、発光パネルの真上に色変換パネルが積層されてもよい。
【0249】
光源上にはナノ粒子複合体の(例えば、赤色量子ドットを含む第1区域及び緑色量子ドットを含む第2区域)パターン及び基板を含む積層構造物が配置される。光源から放出された青色光は第1区域及び第2区域に入射してそれぞれ赤色及び緑色光を放出する。光源から放出された青色光は第3区域を通過する。ナノ粒子複合体層(R、G)と基板との間には選択により励起光を遮断する要素(第1光学フィルター又は励起光遮断層)が配置される。励起光が青色光及び緑色光を含む場合、第3区域には緑色光遮断フィルターが追加される。第1光学フィルター又は励起光遮断層については以下でより詳しく説明する。
【0250】
このような素子は、上述した色変換パネルと(例えば、青色光及び選択により緑色光を放出する)LED又はOLEDとを別途に製造した後に結合されて製造される。代案的に、素子は、LED又はOLED上にナノ粒子複合体のパターンを直接形成することにより製造すされる。
【0251】
一実施形態の色変換パネル又は表示素子で、基板は絶縁材料を含む基板である。基板は、ガラス;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレートなどのような多様なポリマー;ポリシロキサン(例えば、PDMS);Al2O3、ZnOなどの無機材料;又はこれらの組み合わせを含むが、これに制限されない。基板の厚さは、基板材料などを考慮して適切に選択され、特に制限されない。基板は柔軟性である。基板は、量子ドットから放出される光に対して透過率が50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上になるように構成される。
【0252】
基板上には薄膜トランジスターなどを含む配線層が形成される。配線層には、ゲート線、維持電圧線、ゲート絶縁膜、データ線、ソース電極、ドレイン電極、半導体、保護膜などが更に含まれる。配線層の詳細構造は実施形態により多様になる。ゲート線と維持電圧線とは互いに電気的に分離され、データ線はゲート線及び維持電圧線に絶縁交差する。ゲート電極、ソース電極、及びドレイン電極は、それぞれ薄膜トランジスターの制御端子、入力端子、及び出力端子を構成する。ドレイン電極は後述する画素電極に電気的に連結される。
【0253】
画素電極は表示装置の電極(例えばアノード)として機能する。画素電極はインジウムスズ酸化物(ITO)又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)のような透明な導電物質で形成される。或いは、画素電極は、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)などの遮光性を有する物質で形成される。画素電極は上述した透明な導電物質と上述した遮光性を有する物質とが順次積層された2層構造を有することもできる。
【0254】
隣接する二つの画素電極の間には、画素電極末端にオーバーラップ(overlap)して画素電極を画素(pixel)単位で区分する画素定義層(pixel define layer:PDL)が形成される。画素定義層は、絶縁層であり、2以上の画素電極を電気的に遮断する。
【0255】
画素定義層は、画素電極の上部面の一部分だけを覆い、画素定義層により覆われない画素電極の残りの部分は開口部を形成する。開口部として限定された領域の上に後述する有機発光層が形成される。
【0256】
有機発光層は上述した画素電極及び画素定義層によりそれぞれの画素領域として定義される。即ち、画素定義層により区分された一つの画素電極に接触する一つの有機発光単位層が形成された領域を一つの画素領域として定義する。一実施形態による表示装置で、有機発光層は、第1画素領域、第2画素領域、及び第3画素領域として定義され、それぞれの画素領域は画素定義層により所定間隔で離隔される。
【0257】
有機発光層は可視光領域に属するか又はUV領域に属する第3光を発光する。有機発光層の第1~第3画素領域のそれぞれが全て第3光を発光する。一実施形態で、第3光は、可視光領域の光のうちの高いエネルギーを有する光、例えば青色光(及び選択により緑色光)を含む。有機発光層の各画素領域の全てが同一の光を発光するように設計される場合、有機発光層の各画素領域が全て同一又は類似の物質で形成されるか、或いは同一又は類似の物性を示す。従って有機発光層の形成工程の難易度を大幅に下げることができるため、このような表示装置を大型化/大面積化工程にも容易に適用される。但し、本実施形態による有機発光層が必ずしもこれに限定されるものではなく、有機発光層が互いに異なる2以上の光を発光するように設定され得る。
【0258】
有機発光層は各画素領域別に有機発光単位層を含み、各有機発光単位層は発光層以外にも付帯層(例えば正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層など)を更に含む。
【0259】
共通電極は表示装置のカソードとして機能する。共通電極はインジウムスズ酸化物(ITO)又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)のような透明な導電物質で形成される。共通電極は有機発光層上に一体に形成される。
【0260】
平坦化層又はパッシベーション層(図示せず)が共通電極上に形成される。平坦化層は共通電極との電気絶縁性を確保するために(例えば、透明な)絶縁性素材を含む。
【0261】
一実施形態で、表示装置は、下部基板、下部基板の下に配置される偏光板、そして積層構造物と下部基板との間に介される液晶層を更に含み、積層構造物は光発光層が液晶層に対面するように配置される。表示装置は、液晶層と発光層との間に偏光板を更に含む。光源はLED及び選択により導光板を更に含む。
【0262】
一実施形態による表示装置(例えば、液晶ディスプレイ装置)を、図面を参照して説明する。
【0263】
図7は、一実施形態による表示素子(例えば、液晶表示素子)を模式的に示した断面図である。
【0264】
図7を参照すると、本実施形態の表示素子は、液晶パネル200、液晶パネル200の下に配置された偏光板300、及び偏光板300の下に配置されたバックライトユニット(BLU)を含む。
【0265】
液晶パネル200は、下部基板210、積層構造物、積層構造物と下部基板との間に介する液晶層220を含む。積層構造物は、透明基板240及び量子ドットポリマーの複合体のパターンを含む自発光層230を含む。
【0266】
アレイ基板とも呼ばれる下部基板210は透明な絶縁材料基板である。基板に関する内容は上述した通りである。下部基板210の上面には配線板211が提供される。配線板211は、画素領域を定義する多数個のゲート配線(図示せず)、データ配線(図示せず)、ゲートル配線とデータ配線との交差部に隣接して提供される薄膜トランジスター、各画素領域のための画素電極を含むが、これに制限されない。このような配線板の具体的内容は知られており、特に制限されない。
【0267】
配線板211の上には液晶層220が提供される。液晶層220は、その内部に含まれる液晶物質の初期配向のために、液晶層の上下に配向膜221を含む。液晶物質及び配向膜に関する具体的内容(例えば、液晶物質、配向膜材料、液晶層形成方法、液晶層の厚さなど)は知られており、特に制限されない。
【0268】
下部基板の下には下部偏光板300が提供される。偏光板300の材質及び構造は知られており、特に制限されない。偏光板300の下には(例えば、青色光を発する)バックライトユニットが提供される。液晶層220と透明基板240との間に上部光学素子又は偏光板300が提供されるが、これに制限されない。例えば、上部偏光板は液晶層220と光発光層230との間に配置される。偏光板は液晶ディスプレイ素子で使用される任意の偏光子である。偏光板は、200μm以下の薄い厚さを有するTAC(triacetyl cellulose)であるが、これに制限されない。他の実施形態で、上部光学素子は、偏光機能のない屈折率調節コーティングである。
【0269】
バックライトユニットは光源110を含む。光源は青色光又は白色光を放出する。光源は、青色LED、白色LED、白色OLED、又はこれらの組み合わせを含むが、これに制限されない。
【0270】
バックライトユニットは導光板120を更に含む。一実施形態で、バックライトユニットはエッジ型である。例えば、バックライトユニットは、反射板(図示せず)、反射板上に提供されて液晶パネル200に面光源を供給するための導光板(図示せず)、導光板上部に位置する一つ以上の光学シート(図示せず)、例えば拡散板、プリズムシートなどを含むが、これに制限されない。バックライトユニットは導光板を含まなくてもよい。一実施形態で、バックライトユニットは直下型(direct lighting)である。例えば、バックライトユニットは、反射板(図示せず)を有し、反射板の上部に一定の間隔で配置された多数の蛍光ランプを有するか又は多数の発光ダイオードが配置されたLED用駆動基板を備え、その上に拡散板及び選択により一つ以上の光学シートを有する。このようなバックライトユニットに関する詳細内容(例えば、発光ダイオード、蛍光ランプ、導光板、各種光学シート、反射板などの各部品に関する詳細な内容など)は知られており、特に制限されない。
【0271】
透明基板240の底面には、開口部を含み、下部基板上に提供された配線板のゲート線、データ線、薄膜トランジスターなどを遮蔽するブラックマトリックス241が提供される。例えば、ブラックマトリックス241は格子形状を有する。ブラックマトリックス241の開口部に、第1光(例えば赤色光)を放出する第1区域R、第2光(例えば緑色光)を放出する第2区域G、及び例えば青色光を放出/透過させる第3区域Bを含むナノ粒子-ポリマーの複合体パターンを有する自発光層230が提供される。所望する場合、自発光層は、一つ以上の第4区画を更に含む。第4区画は、第1~3区画から放出される光とは異なる色(例えば、青緑色(cyan)、赤紫色(magenta)、及び黄色(yellow))の光を放出する量子ドットを含む。
【0272】
光発光層230で、パターンを形成する区画は下部基板に形成された画素領域に対応して反復される。自発光カラーフィルター層の上には透明共通電極231が提供される。
【0273】
青色光を透過/放出する第3区域Bは光源の発光スペクトルを変更しない透明カラーフィルターである。この場合、バックライトユニットから放出された青色光が偏光板及び液晶層を経て偏光された状態で入射してそのまま放出される。必要な場合、第3区域は、青色光を放出する量子ドットを含む。
【0274】
上述した通り、所望する場合、一実施形態の表示装置又は発光素子は、励起光遮断層又は第1光学フィルター層(以下、第1光学フィルター層という)を更に有する。第1光学フィルター層は、第1区域R及び第2区域Gの底面と基板(例えば、上部基板240)との間に又は基板の上面に配置される。第1光学フィルター層は、青色を表示する画素領域(第3区域)に対応する部分に開口部を有するシートであるため、第1及び第2区域に対応する部分に形成される。即ち、第1光学フィルター層は、
図2a、2b、及び
図3に示したように第3区域に重なる位置を除いた残りの位置に一体に形成されるが、これに制限されない。第1及び第2区域、そして選択により第3区域にそれぞれ重なる位置に2以上の第1光学フィルター層がそれぞれ離隔配置され得る。光源が緑色光放出要素を含む場合、第3区域上には緑色光遮断層が配置される。
【0275】
第1光学フィルター層は、例えば可視光領域のうちの一部の波長領域の光を遮断し、残りの波長領域の光を透過し、例えば青色光(又は緑色光)を遮断し、青色光(又は緑色光)を除いた光を透過する。第1光学フィルター層は、例えば緑色光、赤色光、及び/又はこれらの混色光である黄色光を透過する。第1光学フィルター層は、青色光を透過し、緑色光を遮断し、青色光放出ピクセル上に配置される。
【0276】
第1光学フィルター層は、励起光を実質的に遮断し、所望する波長領域の光を透過する。第1光学フィルター層の所望する波長領域の光に対する透過能は、約70%以上、80%以上、90%以上、更には100%である。
【0277】
赤色光を選択的に透過する第1光学フィルター層は赤色光放出区画に重なる位置に、緑色光を選択的に透過する第1光学フィルター層は緑色光放出区画に重なる位置にそれぞれ配置される。第1光学フィルター層は、青色光及び赤色光を遮断(例えば、吸収)し、所定の範囲(例えば、約500nm以上、約510nm以上、又は約515nm以上、及び約550nm以下、約545nm以下、約540nm以下、約535nm以下、約530nm以下、約525nm以下、又は約520nm以下)の光を選択的に透過する第1領域、及び青色光及び緑色光を遮断(例えば、吸収)し、所定の範囲(例えば、約600nm以上、約610nm以上、又は約615nm以上、及び約650nm以下、約645nm以下、約640nm以下、約635nm以下、約630nm以下、約625nm以下、又は約620nm以下)の光を選択的に透過する第2領域のうちの少なくとも一つを含む。光源が青色及び緑色の混合光を放出する場合、第1光学フィルターは、青色光を選択的に透過し、緑色光を遮断する第3領域を更に含む。
【0278】
第1領域は緑色光放出区画に重なる位置に配置される。第2領域は赤色光放出区画に重なる位置に配置される。第3領域は青色光放出領域に重なる位置に配置される。
【0279】
第1領域、第2領域、及び選択により第3領域は光学的に孤立する。このような第1光学フィルター層は表示素子の色純度の向上に寄与する。
【0280】
表示素子は、光発光層と液晶層との間に(例えば、光発光層と上部偏光子との間に)配置され、第3光(励起光)の少なくとも一部を透過し、第1光及び/又は第2光の少なくとも一部を反射する第2光学フィルター層(例えば、赤色/緑色光又は黄色光リサイクル層)を更に含む。第1光は赤色光であり、第2光は緑色光であり、第3光は青色光である。第2光学フィルター層は、500nm以下の波長領域を有する青色光波長領域の第3光(B)のみを透過し、500nmを超える波長領域の光、即ち緑色光(G)、黄色光、赤色光(R)などが第2光学フィルター層140を通過せずに反射するようにする。反射した緑色光、赤色光は、第1及び第2区域を通過して表示装置10の外部に放出される。
【0281】
第2光学フィルター層又は第1光学フィルター層は比較的に平坦な面を有する一体の層で形成される。
【0282】
第1光学フィルター層は遮断しようとする波長の光を吸収する染料及び/又は顔料を含む高分子薄膜を含む。第2光学フィルター層及び第1光学フィルター層は、低い屈折率を有する単一層を含み、例えば屈折率が1.4以下、1.3以下、又は1.2以下である透明薄膜である。低屈折率を有する第2光学フィルター層又は第1光学フィルター層は、例えば多孔性シリコン酸化物、多孔性有機物、多孔性有機/無機複合体、又はこれらの組み合わせである。
【0283】
第1光学フィルター層又は第2光学フィルター層は屈折率が異なる複数の層を含む。屈折率が異なる2層は交互に積層されて形成される。例えば、高屈折率を有する素材と低屈折率を有する素材とを交互に積層して第1/2光学フィルター層を形成する。
【0284】
以下、具体的な実施例を提示する。但し、下記に記載した実施例は発明を具体的に例示するか又は説明するためのものに過ぎず、これにより発明の範囲が制限されてはならない。
【0285】
[実施例]
【0286】
<分析方法>
【0287】
[1]光発光(Photoluminescence)分析
【0288】
Hitachi F-7000スペクトロフォトメーターを利用して波長450nmの励起光を使用して半導体ナノ粒子及びこれを含む複合体の光発光(photoluminescence:PL)スペクトルを得る。
【0289】
[2]ICP分析
【0290】
Shimadzu ICPS-8100を使用して誘導結合プラズマ原子発光分光分析(ICP-AES)を行う。
【0291】
[3]青色光吸収率、量子効率(QY)、及び光変換率
【0292】
絶対量子効率測定装備(QE-2100、Otsuka)の積分球又は積分半球を使用して波長450nmを有する入射光の光量(B)を測定する。次に、QDポリマーの複合体を積分球又は積分半球に入れ、入射光を照射して複合体から出た第1光の光量(A)及び複合体を通過した入射光の光量(B’)を測定する。
【0293】
測定された値から、下記の式7により入射光吸収率を求める。
青色光吸収率(%)=[(B-B’)/B]×100
量子効率(%)=[A/B]×100
光変換効率(CE、%)=[A/[(B-B’)]×100 ・・・式7
【0294】
<参照例1>:
【0295】
オレイルアミン内に銀アセテートを溶解して0.06M(モル濃度)の銀前駆体含有溶液(以下、銀前駆体という)を準備する。オレイルアミン内に硫黄を分散させて1Mの硫黄前駆体含有溶液(以下、硫黄前駆体という)を準備する。エタノールにインジウムクロリドを溶解して0.2Mのインジウム前駆体含有溶液(以下、インジウム前駆体という)を準備する。
【0296】
100mL反応フラスコでガリウムアセチルアセトネート、オクタデセン(ODE)、及びドデカンチオールを入れて120℃で、真空下で10分間加熱する。フラスコを常温で冷まし、フラスコ内の気体を窒素に置き換えた後、銀前駆体、硫黄前駆体、及びインジウム前駆体を入れてフラスコ温度を反応温度(210℃)に上げて60分以内の時間で反応させる。フラスコ温度を180℃まで下げてトリオクチルホスフィン(TOP)を付加した後、常温で冷ます。得られた混合物にヘキサン及びエタノールを付加して沈澱を促進する。得られた第1半導体ナノ結晶を遠心分離により回収してトルエンに再分散する。
【0297】
使用されたインジウム前駆体、ガリウム前駆体、硫黄前駆体のモル比は1:2.3:4.8である。
【0298】
ガリウムクロリドをトルエンに溶解して4.5Mのガリウム前駆体含有溶液(以下、ガリウム前駆体)を準備する。
【0299】
フラスコにジメチルチオ尿素(DMTU)、オレイルアミン、ドデカンチオールを入れて120℃で10分間真空処理する。N2で反応フラスコの中を置き換えた後、240℃(所定の温度)で加熱した後、上記で製造した第1半導体ナノ結晶(発光波長524nm、半値幅44nm)にガリウム前駆体及び銀前駆体を付加する。次に、反応器を320℃(反応温度)まで加熱して10分(第1時間)程度反応させる。反応液の温度を180℃に作ってトリオクチルホスフィンを付加した後、常温で冷ます。ヘキサン及びエタノールを付加して生成されたナノ粒子を沈殿させて得られた半導体粒子を遠心分離により回収してトルエンに再分散する。製造されたナノ粒子のQYを測定する。(クルード(Crude)状態QY)
【0300】
使用されたガリウム前駆体、銀前駆体、及び硫黄前駆体のモル比は1:0.5:1とする。得られたナノ粒子に対してICP-AES分析を行い、その結果を表1に整理する。
【0301】
<実施例1>:リガンド交換された半導体ナノ粒子の製造及びインク組成物/複合体の製造
【0302】
[1]リガンド交換反応
【0303】
参照例1で得られた半導体ナノ粒子のトルエン分散液に亜鉛オリエートを常温で付加して3時間攪拌する。得られた反応液にエタノールを付加して粒子の沈澱を誘導し、遠心分離により亜鉛塩処理された半導体ナノ粒子を回収する。得られたナノ粒子に対してICP-AES分析を行い、その結果を表1に整理する。
【0304】
第1有機リガンドとして下記化学式R1を有する2-カルボキシエチルアクリレート(2-Carboxyethyl acrylate)(CAS No:24615-84-7、購入先:シグマアルドリッチ社)をトルエンに溶解して第1有機リガンド溶液をそれぞれ準備する。亜鉛塩化物溶液(溶媒:アセトン)を準備する、
【0305】
【0306】
亜鉛塩処理された半導体ナノ粒子をトルエンに分散させて分散液を準備する。分散液に第1リガンド化合物溶液及び亜鉛塩化物溶液を混合し、常温で3時間以上攪拌してリガンド交換反応を行う。
【0307】
次に、反応液にヘキサンを付加して粒子の沈澱を誘導し、遠心分離によりリガンド交換された半導体ナノ粒子を回収して乾燥する。
【0308】
量子ドット(半導体ナノ結晶粒子)1モルに対する第1有機リガンドの含有量は4000モルである。亜鉛塩化物の含有量は有機リガンド含量を基準に5モル%とした。
【0309】
得られたナノ粒子に対してICP-AES分析を行い、その結果を表1に整理する。
【0310】
[2]インク組成物の製造及び複合体の形成
ヘキサンジオールジアクリレート(モノマー)に上記で製造した半導体ナノ粒子、チタン酸化物ナノ粒子、及び開始剤を付加してインク組成物を製造する。
【0311】
組成物内の半導体ナノ粒子含有量、チタン酸化物ナノ粒子含有量、及び開始剤含有量はそれぞれ20重量%、5重量%、及び1重量%であり、残りはモノマーである。
【0312】
得られたインク組成物内で半導体ナノ粒子の量子効率(QY)を測定し、その結果を表2に整理する。
【0313】
製造された組成物を基板上に堆積し、露光させて(露光量12Joule)光重合を行って厚さ7μmのフィルムを得る。製造されたフィルムに対して光変換効率(CE)を測定し、その結果を表2に整理する。
【0314】
得られたフィルムを180℃で30分間熱処理し、熱処理されたフィルムの光変換効率(CE)を測定する。その結果を表2に整理する。
【0315】
<実施例2>
【0316】
第2有機リガンドとして下記の化学式R4の3-メルカプトプロピオン酸メチルエステル(3-Mercaptopropionic Acid Methyl Ester)(CAS Number:2935-90-2、購入先:シグマアルドリッチ社)をトルエンに溶解して第2リガンド溶液を準備する。
【0317】
【0318】
分散液に第1有機リガンド溶液、第2有機リガンド溶液、及び亜鉛塩化物溶液を混合して常温で3時間程度攪拌することを除き、実施例1と同様な方式でリガンド交換された半導体ナノ粒子を製造する。得られたナノ粒子に対してICP-AES分析を行い、その結果を表1に整理する。
【0319】
リガンド交換反応に使用された第1有機リガンドの含有量(モル)及び第2有機リガンドの含有量(モル)比は2:1である。
【0320】
[2]上記で製造されたリガンド交換ナノ粒子を使用することを除き、実施例1と同様な方法でインク組成物及び複合体フィルムを得る。インク組成物内で半導体ナノ粒子のQYを測定し、その結果を表2に整理する。製造された複合体フィルムに対して発光効率を測定し、その結果を表2に整理する。
【0321】
製造された複合体フィルムを180℃で30分間熱処理し、熱処理されたフィルムの発光効率を測定する。その結果を表2に整理する。
【0322】
【0323】
<比較例1>
【0324】
[1]亜鉛塩処理された半導体ナノ粒子の代わりに参照例1の半導体ナノ粒子を使用すること、及び塩化亜鉛溶液を使用しないことを除き、実施例1と同様な方法で実施例1と同様な方式でリガンド交換された半導体ナノ粒子を製造する。
【0325】
[2]上記で製造されたリガンド交換ナノ粒子を使用することを除き、実施例1と同様な方法でインク組成物及び複合体フィルムを得る。インク組成物内で半導体ナノ粒子のQYを測定し、その結果を表2に整理する。製造された複合体フィルムに対して発光効率を測定し、その結果を表2に整理する。
【0326】
製造された複合体フィルムを180℃で30分間熱処理し、熱処理されたフィルムの発光効率を測定する。その結果を表2に整理する。
【0327】
<比較例2>
【0328】
[1]第1有機リガンドとして下記化学式4-1で表される化合物を使用することを除き、実施例1と同様な方法でリガンド交換されたナノ粒子を製造する。
【0329】
【0330】
[2]で製造されたリガンド交換ナノ粒子を使用することを除き、実施例1と同様な方法でインク組成物及び複合体フィルムを得る。インク組成物内で半導体ナノ粒子のQYを測定し、その結果を表2に整理する。製造された複合体フィルムに対して発光効率を測定し、その結果を表2に整理する。
【0331】
製造された複合体フィルムを180℃で30分間熱処理し、熱処理されたフィルムの発光効率を測定する。その結果を表2に整理する。
【0332】
<比較例3>
【0333】
[1]第1有機リガンドを使用しないことを除き、実施例1と同様な方式でリガンド交換されたナノ粒子を製造する。
【0334】
[2]上記で製造されたリガンド交換ナノ粒子を使用することを除き、実施例1と同様な方法でインク組成物及び複合体フィルムを得る。インク組成物内で半導体ナノ粒子のQYを測定し、その結果を表2に整理する。製造された複合体フィルムに対して発光効率を測定し、その結果を表2に整理する。
【0335】
製造された複合体フィルムを180℃で30分間熱処理し、熱処理されたフィルムの発光効率を測定する。その結果を表2に整理する。
【0336】
<比較例4>
【0337】
[1]3-メルカプトプロピオン酸メチルエステル(3-Mercaptopropionic Acid Methyl Ester)の代わりに下記化学式5で表されるアミン化合物を使用することを除き、実施例2と同様な方式でリガンド交換されたナノ粒子を製造する。
【0338】
【0339】
[2]上記で製造されたリガンド交換ナノ粒子を使用することを除き、実施例1と同様な方法でインク組成物及び複合体フィルムを得る。インク組成物内で半導体ナノ粒子のQYを測定し、その結果を表2に整理する。製造された複合体フィルムに対して発光効率を測定し、その結果を表2に整理する。
【0340】
製造された複合体フィルムを180℃で30分間熱処理し、熱処理されたフィルムの発光効率を測定する。その結果を表2に整理する。
【0341】
<比較例5>
【0342】
第1有機リガンドの代わりに下記化学式5で表されるアミン化合物を使用し、亜鉛塩化物溶液を使用しないことを除き、実施例1と同様な方式でリガンド交換されたナノ粒子を製造する。
【0343】
【0344】
[2]上記で製造されたリガンド交換ナノ粒子を使用することを除き、実施例1と同様な方法でインク組成物及び複合体フィルムを得る。インク組成物内で半導体ナノ粒子のQYを測定し、その結果を表2に整理する。製造された複合体フィルムに対して発光効率を測定し、その結果を表2に整理する。
【0345】
製造された複合体フィルムを180℃で30分間熱処理し、熱処理されたフィルムの発光効率を測定する。その結果を表2に整理する。
【0346】
<比較例6>
【0347】
リガンド交換された半導体ナノ粒子の代わりに、参照例1で製造された(リガンド交換されていない)半導体ナノ粒子を使用することを除き、実施例1と同様な方式でインク組成物を製造する。組成物内で半導体粒子が顕著に凝集してナノ粒子ポリマーの複合体を形成する程度の分散性を有するコーティング液(或いはインク)を形成しないことを確認する。
【0348】
【0349】
【0350】
上記表2から、実施例のインク組成物は、比較例に記載した組成物に比べて顕著に向上したQY及び工程安定性を示すことを確認することができる。
<実施例3>
2-カルボキシエチルアクリレートの代わりに下記化学式R3を有する化合物(分子量:188.2g/mol)を第1有機リガンドとして使用することを除き、実施例1と同様な方式でリガンド交換された半導体ナノ粒子を製造した。
【化R3】
上記で製造されたリガンド交換された半導体ナノ粒子を使用することを除き、実施例1と同様な方式でインク組成物及び複合体フィルムを製造した。
<実施例4>
2-カルボキシエチルアクリレートの代わりに下記化学式R2を有する化合物(分子量:232.2g/mol)を第1有機リガンドとして使用することを除き、実施例1と同様な方式でリガンド交換された半導体ナノ粒子を製造した。
【化R2】
上記で製造されたリガンド交換された半導体ナノ粒子を使用することを除き、実施例1と同様な方式でインク組成物及び複合体フィルムを製造した。
【0351】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0352】
100 発光パネル、
110 光源
120 導光板
180 発光素子
181、182 第1、第2電極
183 発光層
183a、183b、183c 第1~第3発光層
184、185 補助層
186 電荷生成層
186a、186b 第1、第2電荷生成層
187 ナノ構造体
187i 多重量子ウエル領域
187n n型領域
187p p型領域
200 色変換パネル
210 下部基板
211 配線板
220 液晶層
221 配向膜
230 自発光層
231 透明共通電極
240 透明基板
241 ブラックマトリックス
300 透光層
400 結合材
1000 表示パネル、電子素子(表示素子)
1000D 表示領域
1000P 非表示領域
PX 画素
PX1、PX2、PX3 サブ画素