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▶ オーベンタス・メディカル・リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073406
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】口腔用呼吸補助装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20240522BHJP
【FI】
A61M16/06 D
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023211129
(22)【出願日】2023-12-14
(62)【分割の表示】P 2020560478の分割
【原出願日】2019-05-02
(31)【優先権主張番号】2018901485
(32)【優先日】2018-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】518032878
【氏名又は名称】オーベンタス・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OVENTUS MEDICAL LIMITED
【住所又は居所原語表記】1 Swann Road, Indooroopilly, Queensland 4068, Australia
(74)【代理人】
【識別番号】100123869
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】ハート.クリストファー.パトリック
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン.ニール
(72)【発明者】
【氏名】スレーター.マイケル.レイ
(72)【発明者】
【氏名】ロー.ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】オーグル. デビッド
(72)【発明者】
【氏名】グエン.ボー.トゥア
(57)【要約】      (修正有)
【課題】口腔用呼吸補助装置、特に、睡眠中に呼吸補助を行う口腔用装置及び口腔用呼吸補助装置を製造する方法を提供する。
【解決手段】口腔用呼吸補助装置は少なくとも部分的に使用者の口腔内に配置されるように形作られた本体を備え、本体は、使用時に、使用者の歯を受け止めるように構成されたバイトと、使用者の口唇間に延びる口腔外の開口部131と、口腔内に設けられ、口腔の後部領域の内部へ及び/又は外部への気流を可能とする口腔内の開口部と、バイトと組み合わせて、口腔外及び口腔内の開口部の間に延びる包囲された気道を画定するように構成された少なくとも1つの気道壁111とを備える。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸補助装置であって、
少なくとも部分的に使用者の口腔内に配置されるように形作られた本体を備え、
前記本体は、
a)使用時に、前記使用者の歯を受け止めるように構成されたバイトと、
b)前記使用者の口唇間に延びる口腔外の開口部と、
c)前記口腔内に設けられ、前記口腔の後部領域の内部へ及び/又は外部への気流を可能とする口腔内の開口部と、
d)前記バイトと組み合わせて、前記口腔外及び口腔内の開口部の間に延びる包囲された気道を画定するように構成された少なくとも1つの気道壁と
を有する呼吸補助装置。
【請求項2】
前記気道が、
a)使用時に、実質的に前記使用者の歯の間と、
b)使用時に、前記使用者の歯の間のみ
のうちの少なくとも1つの位置に配置されるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの気道壁が、気道底壁から前記バイトに延びる内側及び外側の気道側壁を備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
使用者の下顎及び上顎の歯の相対移動に対応するために、前記少なくとも1つの気道壁が、少なくとも部分的に変形可能である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記バイトが、バイト基部から延びる内側及び外側のバイト側壁を備える、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記バイトが、前記使用者の歯のアーチに合うように形作られる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの気道壁が、前記バイトに噛合する開口チャネルを画定し、前記包囲された気道を形成する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの気道壁が、
a)溶着、
b)接着剤、
c)化学的結合、および
d)機械的結合
のうちの少なくとも1つを使用して、前記バイトに連結される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの気道壁及び前記バイトが、付加製造により一体的に形成される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
a)使用時に、前記使用者の上顎の歯を受け止めるように構成された上顎バイトと、
b)使用時に、前記使用者の下顎の歯を受け止めるように構成された下顎バイト
のうちの少なくとも1つを備える、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
a)前記上顎バイトを有する第1の本体と、
b)前記下顎バイトを有する第2の本体
のうちの少なくとも1つを備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記装置が、前記第1及び第2の本体の相対的な位置の調節を可能とする連結部を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記連結部が、前記第1及び第2の本体にそれぞれ設けられた第1及び第2のアーム用取付部の間に延びるアームを備え、前記第1及び第2の本体の相対的な位置が、前記アームの長さに基づいて調節される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
a)i)前記上顎バイトと、
ii)前記口腔外の開口部と、
iii)前記口腔内の開口部と、
iv)前記少なくとも1つの気道と
を有する第1の本体と、
b)前記下顎バイトを有する第2の本体と
を備える、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記口腔外の開口部が、前記本体から前方に突出する管状体により画定される、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記本体が、少なくとも2つのチャネルを備え、各チャネルが、各口腔内の開口部と前記口腔外の開口部を接続している、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記本体が、
a)ナイロン、
b)熱硬化性ポリマー、
c)熱可塑性ポリマー、
d)シリコーン、
e)エラストマー、
f)ポリカーボネイト、
g)アクリロニトリルブタジエンスチレン、
h)ポリビニルシロキサン、
i)ポリウレタン、および
j)エチルビニルアセテート
のうちの少なくとも1つから作られる、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの気道壁及び前記バイトが、異なる材料から形成される、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
使用者のための呼吸補助装置を製造する方法であって、
a)少なくとも1つの前記使用者の歯列弓の形状を示す形状情報を取得すること、および
b)少なくとも部分的に使用者の口腔内に配置されるように形作られた本体であって、
i)使用時に、前記使用者の歯を受け止めるように構成されたバイトと、
ii)前記使用者の口唇間に延びる口腔外の開口部と、
iii)前記口腔内に設けられ、前記口腔の後部領域の内部へ及び/又は外部への気流を可能とする口腔内の開口部と、
iv)前記バイトと組み合わせて、前記口腔外及び口腔内の開口部の間に延びる包囲された気道を画定するように構成された少なくとも1つの気道壁と
を有する本体を製造すること
を含む方法。
【請求項20】
a)前記バイトを製造すること、
b)前記少なくとも1つの気道壁を製造して、開口チャネルを画定すること、および
c)前記少なくとも1つの気道壁を前記バイトに連結して、前記包囲された気道を形成すること
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの気道壁を、
a)溶着、
b)接着剤、
c)化学的結合、および
d)機械的結合
のうちの少なくとも1つによって、前記バイトに連結することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの気道壁及び前記バイトを、付加製造により一体的に形成することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記形状情報を使用して前記バイトを製造することを含む、請求項19乃至22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
付加製造を用いて前記バイトを製造することを含む、請求項19乃至23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
a)ナイロン、
b)熱硬化性ポリマー、
c)熱可塑性ポリマー、
d)シリコーン、
e)エラストマー、
f)ポリカーボネイト、
g)アクリロニトリルブタジエンスチレン、
h)ポリビニルシロキサン、
i)ポリウレタン、および
j)エチルビニルアセテート
のうちの少なくとも1つを使用して前記本体を製造することを含む、請求項19乃至24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つの気道壁を製造することを含み、前記バイトは異なる材料から形成される、請求項19乃至25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
a)前記使用者の上顎の歯に合うように形作られた上顎バイトを有する第1の本体と、
b)前記使用者の下顎の歯に合うように形作られた下顎バイトを有する第2の本体
のうちの少なくとも1つを製造することを含む、請求項19乃至26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
a)歯科印象、
b)前記使用者の歯の一連の写真、
c)前記使用者の口腔の少なくとも一部のスキャン、
d)前記使用者の口腔の少なくとも一部のCTスキャン、
e)前記使用者の歯の3Dスキャン、および
f)コーンビーム画像
のうちの少なくとも1つから前記形状情報を取得することを含む、請求項19乃至27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
STLファイルを含む3D画像を取得するために、スマートフォンで撮影された患者の口の前記一連の写真又は印象及び前記写真が、その後に、ソフトウェアプログラムにロードされる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記形状情報が、
a)前記使用者の前記口腔の少なくとも一部と、
b)前記使用者の歯列弓の少なくとも一部
のうちの少なくとも1つの寸法を含む、請求項19乃至29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
a)バイトの設計図を表すテンプレートデータを取得すること、
b)前記形状情報を使用して前記バイトの設計図を修正すること、
c)前記修正されたバイトの設計図を使用して修正されたテンプレートデータを生成すること、および
d)前記修正されたテンプレートデータを使用して前記本体を製造すること
を含む、請求項19乃至30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記修正されたテンプレートデータが、付加製造機械で使用する印刷ファイルの形式である、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は口腔用呼吸補助装置、特に、睡眠中に呼吸補助を行う口腔用装置及び口腔用呼吸補助装置を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書におけるいかなる先行文献(又はそこから導出される情報)、又はいかなる公知事実への言及は、その先行刊行物(又はそこから導出される情報)又は公知事実が本明細書に関わる研究分野における技術常識の一部を形成するという認識もしくは承認、又はいかなる形の示唆でもなく、そのように解釈されるべきではない。
【0003】
質の悪い呼吸又は呼吸不良は、覚醒している間及び/又は睡眠時のいずれかにおいても、覚醒している間及び睡眠時の両方においても、人々の日々の活動におけるパフォーマンスに影響し得る問題である。これにより、覚醒時には、スポーツなどの活動において又は日常的な作業を行う間でさえ、最適でないパフォーマンスとなり得る。睡眠時には、呼吸疾患がいびき及び/又は睡眠時無呼吸につながり得る。
【0004】
いびきは、人の呼吸経路内の軟組織の振動が原因で生じ、一般的に、睡眠時の呼吸の際の閉塞された空気の動きに起因する。いびきは、詰まった副鼻腔などの様々な身体的原因によって生じる可能性があり、一般的に、睡眠中に上咽喉の筋肉が弛緩した際に発生する。
【0005】
いびきは、上気道の閉塞により引き起こされ、通常の睡眠中の呼吸の反復的休止につながる閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)にも関連し得る。OSAを患っている人は、多くの場合、関連したいびきにより配偶者の睡眠パターンが妨げられると同時に、多くの場合、深刻なレベルの睡眠障害に伴う日中の眠気及び倦怠感に悩まされる。
【0006】
OSAの処置のための現在の療法には、生活習慣の変更、気道を広げる口腔用又は鼻用装置などのメカニカルなデバイス、睡眠中の気道を大きくし、且つ安定させるための外科的処置、持続又は可変気道陽圧(PAP)装置の使用が含まれ得る。
【0007】
しかしながら、外科的処置は大きな負担となる場合もあるため、絶対に必要な場合を除いて、広く利用されていない。PAP装置は良い影響をもたらしているが、この装置は、長時間着用すると不快になる可能性があり、高価で、且つ、多くの場合、騒音が多く、ひいては追加的な睡眠障害につながり得る。結果的に、手術及びPAP処置は、睡眠時無呼吸を処置する際に限定的に適用されており、いびきのための適切な処置であるとは一般的には考えられていない。
【0008】
持続陽圧呼吸(CPAP)装置の使用者の約30%乃至50%が、処置を開始して2年経過すると、非適合な使用者となることが示されている。CPAPシステムは、使用者が一般的に口及び鼻を覆って着用するマスクに気流を供給する。CPAPマスクは、漏れ及び不快感を含む幾つかの欠点があり、多くの場合、使用者は、マスクを着用している間、ある程度の閉所恐怖症を経験する。
【0009】
さらに、CPAPシステムは、気道を維持し、且つ空気副子として機能するのに十分な圧力で空気を供給しなければならないため、一般的に、相対的に高い圧力が必要である。そのうえ、マスクは、吸入中、使用者に全ての空気を供給するため高流量が必要である。このような高圧及び高流量を実現するために、送風機などの相対的に大型、且つ騒音が大きなポンプが従来から使用されている。
【0010】
他の機械的なデバイスに関し、けん引又は副子固定を利用して鼻の気道を広げる鼻用の装置が使用されている。しかしながら、これらは、一般的にあまり成功しておらず、使用者にとって不快となり得る。
【0011】
特許文献1は、近位及び遠位端と、外周部とを有し、使用者の口内に挿入するための可撓性の中空管を備えるいびき防止装置を記載している。中空管は、その近位端に口腔外セグメント、その遠位端に口腔内セグメント、及びそれらの間に延びる中間セグメントを備える。口腔外及び口腔内のセグメントは、それぞれ少なくとも1つの開口部を備える。口腔外のセグメントは、使用者の外側口唇を越えて延びるためのものであり、中間セグメントは、使用者の口の頬咽頭の経路に沿って延びるために十分な長さがあり、口腔内のセグメントは、使用者の口内の臼歯後方のスペースを越えて中咽頭に延び、舌後部と軟口蓋との間で終了するための十分な長さを有している。いびき防止装置は、使用者の中咽頭内に口腔内セグメントを固定するために、口腔内セグメントの管の外周部から延びる止め具も備える。しかしながら、この装置は、追加的な気道を提供する補助ができ、このため、いびき及び無呼吸事象を低減できるが、着用が不快になり得、且つ使用中に口内で移動し得、このことは装置の有効性を低減させて、ひいてはさらなる呼吸障害につながり得る。
【0012】
特許文献2は、睡眠時の呼吸を容易化するために着脱可能に口内へと挿入可能であり、下顎の前方へのポジショニング及び/又は口の奥への加圧空気の供給により、妨げられず、閉塞のない気道を提供する装置を記載している。この装置は、上下歯接触部材と、それらの間に画定された気道とを有し、特に、CPAP機と共に使用するために設計されている。それ故、この装置は、CPAP機が入手可能な限られた状況のみにおいて使用可能であり、睡眠時無呼吸の処置にのみ使用される。
【0013】
特許文献3は、呼吸を補助するための装置であって、装置は、使用者の歯を受け止め、これにより、本体が使用者の口腔内に配置される凹部と、使用者の口唇を越えて延びる第1開口部であって、開口部を通して口腔の外から空気を吸い込むことを可能とする第1開口部と、口腔に設けられ、空気を口腔の後部領域に送ることを可能とする第2開口部と、第1及び第2の開口部を接続し、少なくとも使用者の頬側溝の一部を通って延びるチャネルとを有する本体を備える装置を記載している。
【0014】
特許文献4は、呼吸を補助するための装置を提供し、装置は、使用者の口腔内に配置される本体を備え、本体は、使用者の口唇の間の気流を可能とするための少なくとも1つの第1開口部と、口腔に設けられ、口腔の後部領域の内部へ及び外部への気流を可能とする2つの第2開口部と、2つのチャネルであって、各チャネルがそれぞれの第2開口部を少なくとも1つの第1開口部に接続し、少なくとも部分的に頬側口腔に沿って及び少なくとも部分的に歯の間を通っての少なくとも1つで通過して、少なくとも部分的に鼻道を迂回することで、健康な鼻道及び咽頭のスペースを再現するように作用する気道を、結果的に使用者に提供する2つのチャネルと、使用時に、使用者の舌の一部を受け止めるための空洞を備え、少なくとも部分的に使用者の歯の間に突出するように舌を延びた位置に保持するように構成される舌保持部とを画定する。
【0015】
本明細書における任意の先行技術への言及は、この先行技術が、任意の管轄内の技術常識の一部を形成し、又はこの先行技術が、当業者によって理解され、関連性があると看做され、及び/又は他の先行技術と組み合わされることを合理的に予期でき得ることの肯定でも何らかの形式の示唆でもなく、そのように捉えられるべきでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/194787号
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/150504号
【特許文献3】国際公開第2012/155214号
【特許文献4】国際公開第2017/020079号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
1つの広範な形態において、本発明の態様は、呼吸補助装置を提供することを目的としている。呼吸補助装置は、少なくとも部分的に使用者の口腔内に配置されるように形作られた本体を備え、前記本体は、使用時に、前記使用者の歯を受け止めるように構成されたバイトと、前記使用者の口唇間に延びる口腔外の開口部と、前記口腔内に設けられ、前記口腔の後部領域の内部へ及び/又は外部への気流を可能とする口腔内の開口部と、前記バイトと組み合わせて、前記口腔外及び口腔内の開口部の間に延びる包囲された気道を画定するように構成された少なくとも1つの気道壁と、を有する。
【0018】
一実施形態において、前記気道が、使用時に、実質的に前記使用者の歯の間と、使用時に、前記使用者の歯の間のみ、のうちの少なくとも1つの位置に配置されるように構成される。
【0019】
一実施形態において、前記少なくとも1つの気道壁が、気道底壁から前記バイトに延びる内側及び外側の気道側壁を備える。
【0020】
一実施形態において、使用者の下顎及び上顎の歯の相対移動に対応するために、前記少なくとも1つの気道壁が、少なくとも部分的に変形可能である。
【0021】
一実施形態において、前記バイトが、バイト基部から延びる内側及び外側のバイト側壁を備える。
【0022】
一実施形態において、前記バイトが、前記使用者の歯のアーチに合うように形作られる。
【0023】
一実施形態において、前記少なくとも1つの気道壁が、前記バイトに噛合する開口チャネルを画定し、前記包囲された気道を形成する。
【0024】
一実施形態において、前記少なくとも1つの気道壁が、溶着と、接着剤と、化学的結合と、機械的結合と、のうちの少なくとも1つを使用して、前記バイトに連結される。
【0025】
一実施形態において、前記少なくとも1つの気道壁及び前記バイトが、付加製造により一体的に形成される。
【0026】
一実施形態において、前記装置が、使用時に、前記使用者の上顎の歯を受け止めるように構成された上顎バイトと、使用時に、前記使用者の下顎の歯を受け止めるように構成された下顎バイトと、のうちの少なくとも1つを備える。
【0027】
一実施形態において、前記装置が、前記上顎バイトを有する第1の本体と、前記下顎バイトを有する第2の本体と、のうちの少なくとも1つを備える。
【0028】
一実施形態において、前記装置が、前記第1及び第2の本体の相対的な位置の調節を可能とする連結部を有する。
【0029】
一実施形態において、前記連結部が、前記第1及び第2の本体にそれぞれ設けられた第1及び第2のアーム用取付部の間に延びるアームを備え、前記第1及び第2の本体の相対的な位置が、前記アームの長さに基づいて調節される。
【0030】
一実施形態において、前記装置が、上顎バイトと、前記口腔外の開口部と、前記口腔内の開口部と、前記少なくとも1つの気道と、を有する第1の本体と、前記下顎バイトを有する第2の本体と、を備える。
【0031】
一実施形態において、前記口腔外の開口部が、前記本体から前方に突出する管状体により画定される。
【0032】
一実施形態において、前記本体が、少なくとも2つのチャネルを備え、各チャネルが、各口腔内の開口部と前記口腔外の開口部を接続している。
【0033】
一実施形態において、前記本体が、ナイロンと、熱硬化性ポリマーと、熱可塑性ポリマーと、シリコーンと、エラストマーと、ポリカーボネイトと、アクリロニトリルブタジエンスチレンと、ポリビニルシロキサンと、ポリウレタンと、エチルビニルアセテートと、のうちの少なくとも1つから作られる。
【0034】
一実施形態において、前記少なくとも1つの気道壁及び前記バイトが、異なる材料から形成される。
【0035】
1つの広範な形態において、本発明の一態様は、使用者のための呼吸補助装置を製造する方法を提供することを目的としている。前記方法は、少なくとも1つの前記使用者の歯列弓の形状を示す形状情報を取得することと、少なくとも部分的に使用者の口腔内に配置されるように形作られた本体であって、使用時に、前記使用者の歯を受け止めるように構成されたバイトと、前記使用者の口唇間に延びる口腔外の開口部と、前記口腔内に設けられ、前記口腔の後部領域の内部へ及び/又は外部への気流を可能とする口腔内の開口部と、前記バイトと組み合わせて、前記口腔外及び口腔内の開口部の間に延びる包囲された気道を画定するように構成された少なくとも1つの気道壁と、を有する本体を製造することと、を含む。
【0036】
一実施形態において、前記方法が、前記バイトを製造することと、前記少なくとも1つの気道壁を製造して、開口チャネルを画定することと、前記少なくとも1つの気道壁を前記バイトに連結して、前記包囲された気道を形成することと、を含む。
【0037】
一実施形態において、前記方法が、前記少なくとも1つの気道壁を、溶着と、接着剤と、化学的結合と、機械的結合と、のうちの少なくとも1つによって、前記バイトに連結することを含む。
【0038】
一実施形態において、前記方法が、前記少なくとも1つの気道壁及び前記バイトを、付加製造により一体的に形成することを含む。
【0039】
一実施形態において、前記方法が、前記形状情報を使用して前記バイトを製造することを備える。
【0040】
一実施形態において、前記方法が、付加製造を用いて前記バイトを製造することを含む。
【0041】
一実施形態において、前記方法が、ナイロンと、熱硬化性ポリマーと、熱可塑性ポリマーと、シリコーンと、エラストマーと、ポリカーボネイトと、アクリロニトリルブタジエンスチレンと、ポリビニルシロキサンと、ポリウレタンと、エチルビニルアセテートとのうちの少なくとも1つを使用して前記本体を製造することを含む。
【0042】
一実施形態において、前記方法が、前記少なくとも1つの気道壁を製造することを含み、前記バイトは異なる材料から形成される。
【0043】
一実施形態において、前記方法が、前記使用者の上顎の歯に合うように形作られた上顎バイトを有する第1の本体と、前記使用者の下顎の歯に合うように形作られた下顎バイトを有する第2の本体とのうちの少なくとも1つを製造することを含む。
【0044】
一実施形態において、前記方法が、歯科印象と、前記使用者の歯の一連の写真と、前記使用者の口腔の少なくとも一部のスキャンと、前記使用者の口腔の少なくとも一部のCTスキャンと、前記使用者の歯の3Dスキャンと、コーンビーム画像と、のうちの少なくとも1つから前記形状情報とを取得することを含む。
【0045】
一実施形態において、STLファイルを含む3D画像を取得するために、スマートフォンで撮影された患者の口の前記一連の写真又は印象及び前記写真が、その後に、ソフトウェアプログラムにロードされる。
【0046】
一実施形態において、前記形状情報が、前記使用者の前記口腔の少なくとも一部と、前記使用者の歯列弓の少なくとも一部と、のうちの少なくとも1つの寸法を含む。
【0047】
一実施形態において、前記方法が、バイトの設計図を表すテンプレートデータを取得することと、前記形状情報を使用して前記バイトの設計図を修正することと、前記修正されたバイトの設計図を使用して修正されたテンプレートデータを生成することと、前記修正されたテンプレートデータを使用して前記本体を製造することとを含む。
【0048】
一実施形態において、前記修正されたテンプレートデータが、付加製造機械で使用する印刷ファイルの形式である。
【0049】
本発明の広範な形態及びそれらの各特徴を、組み合わせて、区別せずに及び/又は独立して、使用することができ、別の広範な形態への参照は、限定を意図していないことが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本発明の様々な例及び実施形態は、以降において、添付図面を参照して説明される。
【0051】
図1A】呼吸補助装置の例の概略上面斜視図である。
図1B図1Aの呼吸装置の概略上部背面図である。
図1C図1Aの呼吸装置の概略前面図である。
図1D図1Aの呼吸装置の概略背面図である。
図1E図1Aの呼吸装置の図1DのA-A’線に沿った概略平面断面図である。
図1F図1Aの呼吸装置の概略平面図である。
図1G図1Aの呼吸装置の概略底面図である。
図1H図1Aの呼吸装置の図1FのB-B’線に沿った概略背面断面図である。
図2】代替の呼吸装置の概略前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
呼吸装置の一例は、以下において、図1A乃至1Hを参照して説明する。
【0053】
本例において、呼吸補助装置は、少なくとも部分的に使用者の口腔内に配置されるように形作られた本体を有する口腔用器具を備える。本体は、使用時に、使用者の歯を受け止めるように構成されたバイトを備える。単独のバイトが提供されることがあり得るものの、より一般的には、上下のバイト112、122が提供されて、上顎及び下顎の歯をそれぞれ受け止める。
【0054】
本例において、本体は、上下のバイト112、122の各1つをそれぞれ有する第1上側本体110及び第2下側本体120を備える。以下にさらに詳細に記載されるように、本体は、互いに連結して、単一の本体を形成することができると同時に、上下の本体の相対的な位置の調節を可能にして、下顎の前進を可能とする。しかしながら、これは必須ではなく、単一の一体型の本体が提供され得ることが以下の説明から理解されるであろう。
【0055】
本体はまた、使用時に、使用者の口唇間に延びる口腔外の開口部131と、本体110を通って口腔内に設けられる1以上の口腔内の開口部132へと通じる器具の気道133とを備え、口腔の後部領域の内部へ及び外部への気流を可能とする。これにより、空気が第2開口部132を通って、口の後部領域に案内されるように器具気道を通ることが可能になり、これにより、少なくとも部分的に鼻道を迂回し、健康な鼻道及び咽頭のスペースを再現するように作用する。使用者の口腔の後部に直接的に気流を供給することには、多くの利益がある。特に、これにより、いびき及び無呼吸事象の原因となりうる、鼻腔、軟口蓋、及び舌により生じる閉塞が回避され、ひいては使用者の不快感の原因となりうる気流の乾燥作用の低減が促進される。したがって、例えば、鼻閉塞は装置を通した気流により迂回が可能となり、これにより、部分的な閉塞の場合においては、鼻気道を迂回し又は追加する。さらに、軟パレットの下又はその両側を流れる空気は、ひいては追加的な閉塞の原因となりうる軟口蓋の落ち込みの防止に役立つ。
【0056】
気道133は、少なくとも1つの気道壁111.1、111.2、111.3から構成され、バイト112、122に噛合して設けられた開口チャネルとして構成され、包囲された気道133を形成する。本例において、気道壁111.1、111.2、111.3は、上側バイト112に噛合しているが、これは必須ではなく、気道が下側バイト122に噛合して設けられた構成が使用され得る。
【0057】
従って、上述した構成において、気道が効果的に、バイトと一体的に形成、且つバイトの一部となるように、気道は、気道壁及び使用者の歯を受け止めるように構成されたバイトから形成された開口チャネルの組み合わせにより画定される。バイトの一部を使用して気道チャネルを一体的に形成することにより、別々に包囲されたチャネルの必要性が回避され、ひいては気道及びバイトの製造に必要な材料の量が最小限となる。これにより、気道133の断面積を最大限にして適切な気流を確保することが、使用者を通じて実現できると同時に、ひいては本体の寸法を最小限にすることが可能となって快適さの維持に役立つ。この構成により、例えば、ナイロンのレーザ焼結などの付加製造工程を使用して、ポリマー材料を使用して本体を製造することが可能となり、他の方法では、不必要に大きくなって、それ故に不快な装置となることなしには、実現することが不可能であろう。
【0058】
この構成のさらなる利点は、上側包囲壁の必要性を回避することにより、この構成は内気道の全高を最小限とし、ひいては上顎及び下顎の歯の間に気道をほとんど単独で収容可能となることである。これにより、頬と歯茎との間の頬側溝に沿って通り、ひいてはさらなる不快感を使用者にもたらし得る気道の必要性を回避する。
【0059】
さらに多数の特徴が以下において記載される。
【0060】
一例において、気道壁は、底壁111.3からバイト112に向かって延びる内側及び外側の側壁111.1、111.2を備える。側壁111.1、111.2及び底壁111.3は、別個の分離要素から作られ、溶着接着剤などを使用して接合され得る。しかしながら、より一般的には、気道壁は、内側及び外側の側壁と、底壁とを画定するように形作られた実質的に一連の部材であり、これらの特徴の描写は主に説明を目的としてなされていることを意図している。
【0061】
一例において、少なくとも1つの気道壁、より具体的には、内側及び外側の気道側壁111.1、111.2は変形可能であり、これにより、使用者の下顎及び上顎の歯の相対的な移動に対応する。特に、例えば、顎を食いしばることにより使用者が歯を合わせるように動かす場合、気道側壁111.1、111.2は外向きに曲がることができ、気道の高さを圧縮するが、実質的に気道の断面積を一定に維持できる。これにより、確実に、使用者の歯を食いしばる力を吸収すると同時に気流が維持される。同様に、側壁の屈曲によって下顎及び上顎の歯の相対的な横方向の動きに対応できる。これは、とりわけ歯ぎしりに悩まされている使用者にとって役立ち、口腔用器具を損傷することなく横方向の、且つ食いしばる動きに対応すると同時に、特に、使用者の歯にかかる応力を低減させる。
【0062】
これは、ポリマーなどの適切な材料から気道を製造することにより、例えば、ナイロン材料のレーザ焼結、又は熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、シリコーン、エラストマー、ポリビニルシロキサン、ポリウレタン、エチルビニルアセテート、ポリカーボネイト、アクリロニトリルブタジエンスチレン、又はこれらの材料の組み合わせなどのポリマーの射出成形を使用して製造することにより実現できる。しかしながら、これは必須ではなく、その代わりに、好適な実装例によっては、本体は、チタニウム又は他の材料などの金属で作られてもよい。
【0063】
一例において、バイトは、バイト基部から延びる内側及び外側のバイト側壁を備える。この特定の例において、本体は、バイト基部112.3から上向きに延びる外側及び内側の側壁112.1、112.2を有する第1上顎バイト112と、バイト基部122.3から下向きに延びる外側及び内側の側壁122.1、122.2を有する第2下顎バイトと、を備える。このように、バイトは、使用者の歯を配置できる開口チャネルを効果的に画定し、これにより、口腔用器具が口腔内の適切な位置に保持される。後述するように、バイトは、一般的に、特定の使用者向けにカスタマイズされ、これにより、適切なフィット感が保証され、使用時の快適さが維持される。
【0064】
上述したように、本体は、単一の一体型の本体であり得ると同時に、より一般的には、別々に上下顎に噛合する分離した上下の本体110、120として、本体を製造することができる。これにより、様々な本体の寸法を使用することが可能となるだけでなく、上下の本体の相対的な位置が調節され、これにより、下顎の前進の程度を調節することが可能となる。
【0065】
この点について、下顎の前進は、使用者の気道を開放したままに保持することを補助することができ、ひいてはいびきを低減することができる。例えば、顎関節症(TMD)は上下顎がずれた際に発症する。これは、自然に発症する場合もあり、又は負傷などに起因している場合もあり得る。それでも、上気道の形状の変化及び舌を口腔の後部へ向けて動かすことにより、このような顎のずれは気道閉塞の一因となる傾向があり、ひいてはOSA及びいびきに関連する問題を悪化させ得る。従って、第1及び第2の本体の相対的な位置の調節が可能となることによって、使用者の顎を揃えることを可能とし、これにより、TMDの影響が低減されるため、さらにいびき及びOSAの可能性が低減される。
【0066】
本例において、本体110、120は、第1及び第2の本体の相対的な位置の調節を可能とする連結部を有する。任意の適切な構成が使用され得るが、本例において、これは、各アーム115(図1Aにおいて示され、図1B乃至1Hにおいては省略されている)を介して相互接続された状態で第1及び第2の本体110、120の側部から外側に突出する第1及び第2の取付部114、124を使用することにより実現されている。第1及び第2の本体の相対的な位置は、アームの長さに基づいて調節することが可能で、アームが延長可能又は交換可能であり、様々な長さのアームが提供され、必要に応じて下顎の前進の所望の程度を実現することが可能となる。
【0067】
好適な例において、第1の本体110は、上顎バイト112と、口腔外及び口腔内の開口部131、132と、気道133とを備える一方、第2の本体は、下顎バイト122のみを備える。しかしながら、これは必須ではなく、他の構成が使用され得ることが理解されるであろう。
【0068】
上述した構成において、口腔外の開口部は、本体から前方に突出する管状体により画定される。これにより、管状体が使用者の口唇を越えて延びることが可能となるだけでなく、これを使用して、気道陽圧(PAP)機に接続するためのコネクタへの連結、又は弁、湿度交換器、フィルタなどの収容を可能とする。
【0069】
本体は、一般的に、少なくとも2つのチャネルを備え、各チャネルは、各口腔内の開口部を口腔外の開口部に接続しているが、これは必須ではなく、他の構成が使用され得る。
【0070】
確実に装置を快適に使用できるように、少なくともバイトは、一般的に、少なくとも使用者の歯のアーチに合うように形作られる。本例において、呼吸補助装置を製造する方法は、少なくとも使用者の歯列弓の形状を示す形状情報を取得し、その後に、バイトと、口腔外の開口部と、口腔内の開口部と、気道壁とを備える本体を製造することを含む。
【0071】
特に、好適な実施形態では、例えば、少なくとも使用者の歯列弓の形状を示す形状情報を使用する付加製造工程を経てバイトを形成し、バイトが使用者に合わせてカスタマイズされる。バイトが作成されると、例えば、溶着、接着剤、化学的結合、又は機械的結合などを使用して気道壁に連結され、これにより、包囲された気道が形成される。
【0072】
この工程の一部として、気道壁はカスタマイズすることもできるし、あるいは、バイトとの最良のフィット感をもたらすように選択された、多数の標準テンプレート寸法の1つを使用して製造することもできる。しかしながら、これは必須ではなく、例えば、3D印刷又は他の同様の手法を使用して気道及びバイトが一体的に形成され得ることが理解されるであろう。
【0073】
形状情報は、一般的に、少なくとも使用者の口腔の一部又は使用者の歯列弓の寸法を含み、歯科印象、使用者の歯の一連の写真、使用者の口腔のスキャンされた部分、使用者の口腔の一部のCTスキャン、使用者の歯の3Dスキャン及び/又はコーンビーム画像のいずれかの1つ以上から導かれる。特定の一例において、付加製造によって、後にバイトを形成するために使用され得るSTLファイルを含む3D画像を取得するために、スマートフォンで撮影され、ソフトウェアプログラムにロードされた患者の口の一連の写真又は印象から形状情報は導かれる。一例において、これは、バイトの設計図を表すテンプレートデータを取得し、形状情報を使用してバイトの設計図を修正し、その後に、バイトを製造するために使用される修正されたバイトの設計図を使用して修正されたテンプレートデータを生成することにより実現される。
【0074】
高強度ポリマー、プラスチック、VeroGlaze(MED620)歯科用材料などを含む任意の適切な材料から、本体を作ることができる。これは、付加印刷、射出成形、又は任意の他の適切な技術を使用して実現できる。例えば、本体110は、ナイロン材料のレーザ焼結、又は熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、シリコーン、エラストマー、ポリビニルシロキサン、ポリウレタン、エチルビニルアセテート、ポリカーボネイト、アクリロニトリルブタジエンスチレン、又はこれらの材料の組み合わせなどのポリマーの射出成形を使用して製造することができる。一例では、バイト及び気道壁は異なる材料から製造されていてもよいことが理解されるであろう。例えば、確実に気道の十分な断面積を維持するために、気道壁は、ナイロン又はポリカーボネイト材料などのより硬い材料から製造されていてもよい。対照的に、使用者の歯に接触する際の快適性をより良好にするため、バイトは、より柔らかい材料、例えば、ウレタン又はエチルビニルアセテートなどのエラストマーから製造されてもよい。
【0075】
本体110は、快適さを向上させるだけでなく生体適合性を保証するために、医療グレードポリマー、一例において、シリコーン又はポリウレタンやエポキシ又はパリレンなどの医療グレードエラストマーでコーティングすることができる。一例において、そのコーティングは、様々な形状及び寸法の3次元複合樹脂であり、本体に接合されて使用者の歯に対する本体の正確な位置決めを確実にするアクティブ・コンポジット・ガイダンスを含むことができる。コーティングは浸漬コーティング、蒸気コーティング、又は吹き付けコーティングなどの任意の適切な技術を使用して本体に塗布でき、これにより、チャネルの内面を含む露出された表面の全体が確実にコーティングされる。この工程の一部として、コーティングに先立ってプライマーを本体に塗布することを含むことが可能で、これにより、確実にコーティングが本体に接着される。コーティングの代替策として、又はコーティングに加えて、少なくとも本体の一部を機械的研磨及び電解研磨のうちの少なくとも1つを使用して研磨することができる。
【0076】
一例において、上述してきたように、シリコーンなどの成形可能なポリマーのコーティング層が塗布される前に、バイトがカスタマイズされ、バイトの形状の最終仕上げが可能となる。特に、これは、材料を使用者の歯の形状に成形するため、固化する前に使用者に器具を着用させることにより実現される。例えば、これには、熱硬化性材料、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、シリコーン、エラストマー、ポリビニルシロキサン、ポリウレタン、エチルビニルアセテート、ポリカーボネイト、アクリロニトリルブタジエンスチレン、又はこれらの材料の組み合わせを使用してUV硬化をすることが含まれ得る。
【0077】
さらなる構成の例が図2に示される。
【0078】
本例において、器具は、上述の器具とほぼ同じであり、上側バイト212及び下側バイト222をそれぞれ有する第1上側本体210及び第2下側本体220を備える。しかしながら、本例において、上側バイト212は、切欠き部212.5を備え、これにより上側バイトの材料の量が減少する。本例において、切欠き部は、使用時に使用者の切歯と口唇との間に位置されるであろう領域に設けられ、このため、使用者の口のこの領域に占められていたスペースを減少させることができ、ひいてはさらなる快適さをもたらす。例えば、材料の全使用量を減少させ、且つ/又は使用者の快適さを向上させるために、切欠きは、必要に応じて他の領域に設けられていてもよいことも理解されるであろう。
【0079】
本明細書及び続く請求項を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「備える(comprise)」という言葉、および「含む(comprises)」又は「含み(comprising)」のような変化形は、記載されている完全体(Integer)または完全体群,またはステップ群を包含することを意味するが、他の完全体または完全体群を排除するものでないと理解されるであろう。本明細書中で使用されているように、特に明記しない限り、「約」という言葉は、±20%を意味している。
【0080】
本明細書及び別記の請求項で使用されるように、単数の形態である1つの(a、an及びthe)は、文脈が特に明記しない限り、複数の指示対象(plural referents)を含むものと理解しなければならない。このように、例えば、「支持体(a support)」との言及は、複数の支持体を含む。本明細書及び後続する請求項において、逆の意図が明らかでない限り、以下の意味を有すると定義されるべきいくつかの用語が言及される。
【0081】
上記は、本発明の例示の実施例により与えられることがもちろん理解され、当業者に明らかであるように、それに対するすべてのこのような及びその他の改変および変形は、本明細書で提示されるような本発明の広い範囲および領域内に入ると看做される。
【符号の説明】
【0082】
110 第1上側本体
111 気道壁
111.1 気道壁(側壁)
111.2 気道壁(側壁)
111.3 気道壁(底壁)
112 上側バイト
112.1 外側の側壁
112.2 内側の側壁
112.3 バイト基部
114 第1取付部
115 アーム
120 第2下側本体
122 下側バイト
122.1 外側の側壁
122.2 内側の側壁
122.3 バイト基部
124 第2取付部
131 口腔外の開口部
132 口腔内の開口部
133 気道
210 第1上側本体
212 上側バイト
212.5 切欠き部
220 第2下側本体
222 下側バイト
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸補助装置であって、
少なくとも部分的に使用者の口腔内に配置されるように形作られた本体を備え、
前記本体は、
a)使用時に、前記使用者の歯を受け止めるように構成されたバイトと、
b)前記使用者の口唇間に延びる口腔外の開口部と、
c)前記口腔内に設けられ、前記口腔の後部領域の内部へ及び/又は外部への気流を可能とする口腔内の開口部と、
d)前記バイトと組み合わせて、前記口腔外及び口腔内の開口部の間に延びる包囲された気道を画定するように構成された少なくとも1つの気道壁と
を有する呼吸補助装置。
【請求項2】
前記気道が、
a)使用時に、実質的に前記使用者の歯の間と、
b)使用時に、前記使用者の歯の間のみ
のうちの少なくとも1つの位置に配置されるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの気道壁が、気道底壁から前記バイトに延びる内側及び外側の気道側壁を備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
使用者の下顎及び上顎の歯の相対移動に対応するために、前記少なくとも1つの気道壁が、少なくとも部分的に変形可能である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記バイトが、前記使用者の歯のアーチに合うように形作られる、請求項1乃至のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの気道壁及び前記バイトが、付加製造により一体的に形成される、請求項1乃至のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
a)使用時に、前記使用者の上顎の歯を受け止めるように構成された上顎バイトを含む第1の本体と、
b)使用時に、前記使用者の下顎の歯を受け止めるように構成された下顎バイトを含む第2の本体
のうちの少なくとも1つを備える、請求項1乃至のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が、前記第1及び第2の本体の相対的な位置の調節を可能とする連結部を有前記連結部が前記第1及び第2の本体にそれぞれ設けられた第1及び第2のアーム用取付部の間に延びるアームを備え、前記第1及び第2の本体の相対的な位置が前記アームの長さに基づいて調節される、請求項に記載の装置。
【請求項9】
a)i)前記上顎バイトと、
ii)前記口腔外の開口部と、
iii)前記口腔内の開口部と、
iv)前記少なくとも1つの気道と
を有する第1の本体と、
b)前記下顎バイトを有する第2の本体と
を備える、請求項1乃至のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記本体が、
a)ナイロン、
b)熱硬化性ポリマー、
c)熱可塑性ポリマー、
d)シリコーン、
e)エラストマー、
f)ポリカーボネイト、
g)アクリロニトリルブタジエンスチレン、
h)ポリビニルシロキサン、
i)ポリウレタン、および
j)エチルビニルアセテート
のうちの少なくとも1つから作られる、請求項1乃至のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの気道壁及び前記バイトが、異なる材料から形成される、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
使用者のための呼吸補助装置を製造する方法であって、
a)少なくとも1つの前記使用者の歯列弓の形状を示す形状情報を取得すること、および
b)少なくとも部分的に使用者の口腔内に配置されるように形作られた本体であって、
i)使用時に、前記使用者の歯を受け止めるように構成されたバイトと、
ii)前記使用者の口唇間に延びる口腔外の開口部と、
iii)前記口腔内に設けられ、前記口腔の後部領域の内部へ及び/又は外部への気流を可能とする口腔内の開口部と、
iv)前記バイトと組み合わせて、前記口腔外及び口腔内の開口部の間に延びる包囲された気道を画定するように構成された少なくとも1つの気道壁と
を有する本体を製造すること
を含む方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの気道壁及び前記バイトを、付加製造により一体的に形成することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記形状情報を使用して前記バイトを製造することを含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
a)ナイロン、
b)熱硬化性ポリマー、
c)熱可塑性ポリマー、
d)シリコーン、
e)エラストマー、
f)ポリカーボネイト、
g)アクリロニトリルブタジエンスチレン、
h)ポリビニルシロキサン、
i)ポリウレタン、および
j)エチルビニルアセテート
のうちの少なくとも1つを使用して前記本体を製造することを含む、請求項12乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
a)歯科印象、
b)前記使用者の歯の一連の写真、
c)前記使用者の口腔の少なくとも一部のスキャン、
d)前記使用者の口腔の少なくとも一部のCTスキャン、
e)前記使用者の歯の3Dスキャン、および
f)コーンビーム画像
のうちの少なくとも1つから前記形状情報を取得することを含む、請求項12乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
STLファイルを含む3D画像を取得するために、スマートフォンで撮影された患者の口の前記一連の写真又は印象及び前記写真が、その後に、ソフトウェアプログラムにロードされる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記形状情報が、
a)前記使用者の前記口腔の少なくとも一部と、
b)前記使用者の歯列弓の少なくとも一部
のうちの少なくとも1つの寸法を含む、請求項12乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
a)バイトの設計図を表すテンプレートデータを取得すること、
b)前記形状情報を使用して前記バイトの設計図を修正すること、
c)前記修正されたバイトの設計図を使用して修正されたテンプレートデータを生成すること、および
d)前記修正されたテンプレートデータを使用して前記本体を製造すること
を含む、請求項12乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
なくとも部分的に使用者の口腔内に配置され、前記使用者の上顎の歯を受け止めるように形作られた上側本体
少なくとも部分的に前記使用者の口腔内に配置され、前記使用者の下顎の歯を受け止めるように形作られた下側本体と
記使用者の口唇間に延びるように構成された口腔外の開口部と、
記口腔内に設けられ、前記口腔の後部領域の内部へ及び/又は外部への気流を可能とするように構成された口腔内の開口部と、
前記上側本体又は前記下側本体の頬側(外側)から前記上側本体又は前記下側本体の舌側(内側)にそれぞれ延び、かつ前記使用者のバイトの湾曲に沿って延びる少なくとも1つの気道壁であって、前記口腔外及び口腔内の開口部の間に延びる包囲された気道を画定するように構成された前記少なくとも1つの気道壁と
を有する呼吸補助装置。
【請求項2】
前記気道が、使用時に、実質的に前記使用者の歯の間に位置するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの気道壁が、気道底壁から前記バイトに延びる内側及び外側の気道側壁を備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
使用者の下顎及び上顎の歯の相対移動に対応するために、前記少なくとも1つの気道壁が、少なくとも部分的に変形可能である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記バイトが、前記使用者の歯のアーチに合うように形作られる、請求項1乃至のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの気道壁及び前記バイトが、一体的に形成される、請求項1乃至のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
a)使用時に、前記使用者の上顎の歯を受け止めるように構成された上顎バイトを含む第1の本体と、
b)使用時に、前記使用者の下顎の歯を受け止めるように構成された下顎バイトを含む第2の本体
のうちの少なくとも1つを備える、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が、前記第1及び第2の本体の相対的な位置の調節を可能とする連結部を有し、前記連結部が前記第1及び第2の本体にそれぞれ設けられた第1及び第2のアーム用取付部の間に延びるアームを備え、前記第1及び第2の本体の相対的な位置が前記アームの長さに基づいて調節される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
a)i)前記上顎バイトと、
ii)前記口腔外の開口部と、
iii)前記口腔内の開口部と、
iv)前記少なくとも1つの気道と
を有する第1の本体と、
b)前記下顎バイトを有する第2の本体と
を備える、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記本体が、
a)ナイロン、
b)熱硬化性ポリマー、
c)熱可塑性ポリマー、
d)シリコーン、
e)エラストマー、
f)ポリカーボネイト、
g)アクリロニトリルブタジエンスチレン、
h)ポリビニルシロキサン、
i)ポリウレタン、および
j)エチルビニルアセテート
のうちの少なくとも1つから作られる、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの気道壁及び前記バイトが、異なる材料から形成される、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
使用者のための呼吸補助装置を製造する方法であって、
a)少なくとも1つの前記使用者の歯列弓の形状を示す形状情報を取得すること、および
b)少なくとも部分的に使用者の口腔内に配置され、前記使用者の上顎の歯を受け止めるように形作られた上側本体と、少なくとも部分的に前記使用者の口腔内に配置され、前記使用者の下顎の歯を受け止めるように形作られた下側本体を含む本体であって、
記使用者の口唇間に延びるように構成された口腔外の開口部と、
記口腔内に設けられ、前記口腔の後部領域の内部へ及び/又は外部への気流を可能とするように構成された口腔内の開口部と、
前記上側本体又は前記下側本体の頬側(外側)から前記上側本体又は前記下側本体の舌側(内側)にそれぞれ延び、かつ前記使用者のバイトの湾曲に沿って延びる少なくとも1つの気道壁であって、前記口腔外及び口腔内の開口部の間に延びる包囲された気道を画定するように構成された前記少なくとも1つの気道壁と
を有する本体を製造すること
を含む方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの気道壁及び前記バイトを、付加製造により一体的に形成することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記形状情報を使用して前記バイトを製造することを含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
a)ナイロン、
b)熱硬化性ポリマー、
c)熱可塑性ポリマー、
d)シリコーン、
e)エラストマー、
f)ポリカーボネイト、
g)アクリロニトリルブタジエンスチレン、
h)ポリビニルシロキサン、
i)ポリウレタン、および
j)エチルビニルアセテート
のうちの少なくとも1つを使用して前記本体を製造することを含む、請求項12乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
a)歯科印象、
b)前記使用者の歯の一連の写真、
c)前記使用者の口腔の少なくとも一部のスキャン、
d)前記使用者の口腔の少なくとも一部のCTスキャン、
e)前記使用者の歯の3Dスキャン、および
f)コーンビーム画像
のうちの少なくとも1つから前記形状情報を取得することを含む、請求項12乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
STLファイルを含む3D画像を取得するために、スマートフォンで撮影された患者の口の前記一連の写真又は印象及び前記写真が、その後に、ソフトウェアプログラムにロードされる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記形状情報が、
a)前記使用者の前記口腔の少なくとも一部と、
b)前記使用者の歯列弓の少なくとも一部
のうちの少なくとも1つの寸法を含む、請求項12乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
a)バイトの設計図を表すテンプレートデータを取得すること、
b)前記形状情報を使用して前記バイトの設計図を修正すること、
c)前記修正されたバイトの設計図を使用して修正されたテンプレートデータを生成すること、および
d)前記修正されたテンプレートデータを使用して前記本体を製造すること
を含む、請求項12乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【外国語明細書】