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特開2024-7342回転部品から偏向した放射線を検出するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007342
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】回転部品から偏向した放射線を検出するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/14 20060101AFI20240110BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G01B11/14 Z
G01C3/06 120Q
G01C3/06 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023090714
(22)【出願日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】17/810,073
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】シュライフ、クルト クラ―マー
(72)【発明者】
【氏名】ボール、マイケル アレン
(72)【発明者】
【氏名】エリス、アンドリュー デイビッド
【テーマコード(参考)】
2F065
2F112
【Fターム(参考)】
2F065AA06
2F065AA22
2F065BB05
2F065BB16
2F065CC08
2F065FF12
2F065FF32
2F065GG04
2F065JJ01
2F065LL01
2F065LL04
2F065LL46
2F065MM04
2F065PP22
2F065UU07
2F112AD01
2F112CA12
2F112DA25
2F112GA01
(57)【要約】
【課題】部品表面から偏向した放射線を検出するための装置(141)及び方法(122)を提供する。
【解決手段】装置(141)は、プローブ本体(102)と、プローブ本体(102)に結合したライトパイプ(142)とを含む。ライトパイプ(142)の第1の端部(142a)は部品表面(122)から偏向した放射線を受光する。ライトパイプ(142)の形状は、その第2の端部(142b)での放射線の方向変動を第1の端部(142a)に比して低減させる。集束レンズ(144)は、ライトパイプ(142)の第2の端部(142b)に光学的に結合し、かつ放射線をライトパイプ(142)から検出器(124)へと方向付けるように形作られる。検出器(124)は、集束レンズ(144)に光学的に結合し、かつライトパイプ(142)から集束レンズ(144)を通過する放射線を受光するように配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品表面(122)からの偏向放射線を検出するための装置(141)であって、当該装置(141)が、
プローブ本体(102)と、
プローブ本体(102)に結合したライトパイプ(142)であって、部品表面(122)から偏向した放射線を受光するように配置された第1の端部(142a)と、第1の端部(142a)と反対側の第2の端部(142b)とを有し、ライトパイプ(142)の形状が、第2の端部(142b)での放射線の方向変動を第1の端部(142a)に比して低減する、ライトパイプ(142)と、
ライトパイプ(142)の第2の端部(142b)に光学的に結合し、かつライトパイプ(142)から検出器(124)に放射線を方向付けるように形作られた集束レンズ(144)であって、検出器(124)が、集束レンズ(144)に光学的に結合し、かつライトパイプ(142)から集束レンズ(144)を通過する放射線を受光するように配置されている、集束レンズ(142)と
を備える、装置。
【請求項2】
検出器(124)に結合したコントローラ(126)をさらに備えており、コントローラ(126)が、放射線源(108)からの放射線の伝達と検出器(124)での偏向放射線の検出との間の経過時間に基づいて、プローブ本体(102)と部品表面(122)との間の距離としてのクリアランスを計算する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
集束レンズ(144)が、ライトパイプ(142)の中心線軸と実質的に整列した平凸レンズを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
ライトパイプ(142)の形状が、ライトパイプを通して伝達される放射線の内部全反射を惹起する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
プローブ本体(102)内にパージ流体通路(152)をさらに備えており、パージ流体通路(152)が、パージ流体源をライトパイプ(142)に流体結合する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
検出器(124)に結合し、かつ集束レンズ(144)及びライトパイプ(142)の中心線軸と実質的に整列した光ファイバをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
部品表面(122)が、ターボ機械(50)の動翼上にある、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
プローブ本体(102)が、ターボ機械(50)のケーシング(103)に結合している、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
プローブ本体(102)に結合し、かつライトパイプ(142)から物理的に切り離された複数のプリズム(136)をさらに備えており、複数のプリズム(136)が、放射線源(108)からの放射線を、放射線源(108)の軸に対して軸外の部品表面(122)に方向付けるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
ターボ機械(50)内のクリアランスを測定するための装置(141)であって、当該装置(141)が、
ターボ機械(50)のケーシング(103)上のプローブ(100)であって、プローブ(100)が、
プローブ本体(102)と、
プローブ本体(102)に結合し、かつ放射線をターボ機械(50)内の部品表面(122)に伝達するように構成された放射線源(108)と、
プローブ本体(102)に結合したライトパイプ(142)であって、部品表面(122)から偏向した放射線を受光するように配置された第1の端部(142a)と、第1の端部(142a)と反対側の第2の端部(142b)とを有し、ライトパイプ(142)の形状が、第2の端部(142b)での放射線の方向変動を第1の端部(142a)に比して低減する、ライトパイプ(142)と、
ライトパイプ(142)の第2の端部(142b)に光学的に結合した集束レンズ(144)と
を備えるプローブ(100)と、
集束レンズ(144)からの放射線を受光するように配置された検出器(124)と、
検出器(124)に結合したコントローラ(126)であって、放射線源(108)からの放射線の伝達と検出器(124)での偏向放射線の検出との間の経過時間に基づいて、プローブ(100)と部品表面(122)との間の距離としてのクリアランスを計算する、コントローラ(126)と
を備える装置。
【請求項11】
集束レンズ(144)が、ライトパイプ(142)の中心線軸と略整列した平凸レンズを含んでおり、ライトパイプ(142)が、ライトパイプを通して伝達される放射線の全反射を惹起する形状の均一化ライトパイプ(142)を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
プローブ本体(102)内にパージ流体通路(152)をさらに備えており、パージ流体通路(152)が、パージ流体源を複数のプリズム(136)に流体結合する、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
部品表面(122)が、ターボ機械(50)の動翼上にある、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
部品表面から偏向した放射線を検出するための方法(122)であって、当該方法が、
部品表面(122)から偏向した放射線を、プローブ本体(102)に結合したライトパイプ(142)を通して伝達するステップであって、ライトパイプ(142)の形状が、第2の端部(142b)での放射線の方向変動を第1の端部(142a)に比して低減する、ステップと、
ライトパイプ(142)からの放射線を、ライトパイプ(142)に光学的に結合した集束レンズ(144)を通して検出器(124)に方向付けるステップであって、集束レンズ(144)が、ライトパイプ(142)内の放射線よりも少ない方向変動で放射線を出力するように形作られている、ステップと
を含む方法。
【請求項15】
プローブ本体(102)内の通路からライトパイプ(142)の表面(122)を介してパージ流体を通過させて汚染物質を除去するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、広義には部品の解析に関し、具体的には、静止部品(例えばガスタービンのケーシング)に対する回転部品(例えばガスタービンの動翼)の位置を決定するため回転部品に放射線を伝達するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械の製造及びサービスでは、動翼その他同様の位置にある部品の先端と、その部品が設置された機械の静止ケーシングの内面との間の距離を測定するのが望ましいことがある。かかる部品はケーシングと接触しないようにする必要があるが、ケーシングと部品との間の距離を短くすると、ターボ機械の様々な運転性(効率及び性能など)が向上する可能性がある。この距離の測定は、製品検証、ターボ機械の健全性モニタリング、制御システムのフィードバックの精度及び/又は製品診断にも関連することがある。
【0003】
部品と周囲のケーシングとの間の距離を測定するのに静電容量プローブが使用される場合がある。ただし、一部の静電容量プローブは、特定の寸法で製造すると信頼性に欠けることがある。こうした起こり得る問題は、焼成温度の上昇、特定の振動限度及びユーザによって定義される品質制約によって一段と顕著になりかねない。別の懸念事項は、測定アセンブリの構造的完全性の維持、例えば様々な発電モードでプローブの操作性を維持することである。
【0004】
他のタイプのプローブ、例えば放射線式プローブなどは、こうした懸念の幾つかに対処し得るが、他の技術的課題をもたらす。放射線式プローブの場合、測定すべき1以上の部品の幾何形状は、放射線の送受信に用いられるデバイスと適合しないおそれがある。例えば、ある種の表面は、放射線を偏向させるように配置されていないことがあり及び/又は部品から放射線を遠ざけて放射線を検出できなくなってしまうことがある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様は、一対の放射線源からの放射線を回転部品表面に伝達するためのプローブアセンブリを包含し、当該プローブアセンブリは、静止部品上のプローブ本体と、プローブ本体に結合した一対のセンサアセンブリとを含んでおり、各センサアセンブリは、プローブ本体に結合した複数のプリズムを含んでおり、複数のプリズムの各プリズムは、一対の放射線源のそれぞれの放射線源からの放射線を、一対の放射線源のそれぞれの放射線源の軸に対して軸外の回転部品表面に、それぞれの放射線源からの放射線よりも少ない方向変動で、方向付けるため、別個の角度配向を有する。
【0006】
本開示の別の態様は、上述の態様を包含し、プローブ本体に結合し、かつ一対の放射線源のそれぞれの放射線源とそれぞれの複数のプリズムとの間に光学的に結合した集束レンズをさらに含む。
【0007】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、集束レンズは、一組の軸方向に対向する丸い縁部を含む。
【0008】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、放射線源は光ファイバを含んでおり、集束レンズは光ファイバの出力端に結合されている。
【0009】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、プローブ本体内のパージ流体通路をさらに含んでおり、パージ流体通路はパージ流体源を複数のプリズムに流体結合する。
【0010】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、複数のプリズムはプローブ本体の中心線軸から約20度である経路に沿って、それぞれの放射線源からの放射線を方向付けるように構成されている。
【0011】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、複数のプリズムの各々は直角プリズムである。
【0012】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、回転部品表面はターボ機械の動翼の表面であり、プローブ本体はターボ機械のケーシングに結合していて動翼の半径方向外側に配置される。
【0013】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、2以上のライトパイプをさらに含んでおり、各ライトパイプはプローブ本体に結合し、かつ複数のプリズムの各々から物理的に切り離されており、各ライトパイプは、放射線が回転部品表面から偏向した後に放射線を検出するように配置される。
【0014】
本開示の追加の態様は、ターボ機械内のクリアランスを測定するための装置を包含し、当該装置は、ターボ機械のケーシング上のプローブアセンブリであって、プローブアセンブリが、ケーシングに取り付けられたプローブ本体と、プローブ本体に結合した一対のセンサアセンブリを含んでおり、各センサアセンブリが複数のプリズムを含んでおり、複数のプリズムの各プリズムが、それぞれの放射線源からの放射線を、それぞれの放射線源の軸に対して軸外の回転部品表面に、それぞれの放射線源からの放射線よりも少ない方向変動で、方向付けるため、別個の角度配向を有している、プローブアセンブリと、回転部品表面から偏向した放射線を受光するための検出器と、検出器に結合したコントローラであって、第1の放射線源からの偏向放射線の検出と第2の放射線源からの偏向放射線の検出との間の経過時間に基づいて、プローブアセンブリと回転部品表面との間の距離としてのクリアランスを計算する、コントローラとを含む。
【0015】
本開示の別の態様は、上述の態様を包含し、各センサアセンブリは、プローブ本体に結合し、かつ一対の放射線源のそれぞれの放射線源とそれぞれの複数のプリズムとの間の光学的に結合した集束レンズをさらに含む。
【0016】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、集束レンズは、一組の軸方向に対向する丸い縁部を含んでおり、放射線源は光ファイバを含んでおり、集束レンズは光ファイバの出力端に結合される。
【0017】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、プローブ本体内のパージ流体通路をさらに含んでおり、パージ流体通路はパージ流体源を複数のプリズムに流体結合する。
【0018】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、回転部品表面はターボ機械の動翼の表面である。
【0019】
本開示の追加の態様は、回転部品の表面に放射線を伝達する方法を包含し、当該方法は、一対の放射線源からの放射線を、回転部品から半径方向に離間した静止部品上のプローブ本体内に配置された2以上のセンサアセンブリを通して伝達するステップであって、各センサアセンブリが、プローブ本体に結合した複数のプリズムを含んでおり、複数のプリズムが、一対の放射線源のそれぞれの放射線源からの放射線を、それぞれの放射線源の軸に対して軸外の回転部品表面に、それぞれの放射線源からの放射線よりも少ない方向変動で、方向付けるため、別個の角度配向を有する、ステップと、回転部品の表面からの第1の放射線源からの偏向放射線の検出と回転部品の表面からの第2の放射線源からの偏向放射線の検出との間の経過時間又は回転距離の一方を測定するステップと、コントローラによって、経過時間又は回転距離に基づいて、静止部品と回転部品との間のクリアランス距離を計算するステップとを含む。
【0020】
本開示の別の態様は、上述の態様を包含し、プローブ本体内の通路からパージ流体を複数のプリズムに流してそこから汚染物質を除去することをさらに含む。
【0021】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、2以上のセンサアセンブリの各センサアセンブリは、プローブ本体に結合した集束レンズを複数のプリズムの半径方向外側にさらに含んでおり、一対の放射線源からの放射線を2以上のセンサアセンブリを通して伝達するステップが、放射線を複数のプリズムを通して方向付ける前に、放射線をそれぞれのセンサアセンブリのそれぞれの集束レンズを通して方向付けることをさらに含んでおり、放射線を複数のプリズムを通して方向付けることによって、放射線は、プローブ本体の中心線軸から約20度である経路に沿って方向付けられる。
【0022】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、回転部品はターボ機械の動翼を含んでおり、静止部品はターボ機械のケーシングを含む。
【0023】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、2以上のセンサアセンブリを含むプローブ本体を、回転部品の半径方向外側のターボ機械のケーシング内に取り付けることをさらに含む。
【0024】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、回転部品の表面から偏向した放射線を、プローブ本体に結合した一対のライトパイプに収集することをさらに含んでおり、一対のライトパイプは、2以上のセンサアセンブリから物理的に切り離されている。
【0025】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、一対の放射線源の各放射線源は光ファイバを含んでおり、さらに、各センサアセンブリについて、集束レンズを光ファイバの出力端に結合して、放射線が複数のプリズムを通して方向付けられる前に集束レンズを通して方向付けられるようにすることをさらに含む。
【0026】
本開示の追加の態様は、回転部品から偏向した放射線を検出するための装置を包含し、当該装置は、回転部品の半径方向外側の静止部品上のプローブ本体と、プローブ本体に結合した一対の到着時間センサとを含んでおり、一対の到着時間センサの各々は、プローブ本体に結合し、かつ第1の端部と第2の端部とを有するライトパイプであって、ライトパイプの第1の端部は、回転部品から偏向した放射線を受光し、ライトパイプの形状は、第2の端部での放射線の方向変動を第1の端部に比して低減する、ライトパイプと、それぞれのライトパイプに光学的に結合した検出器であって、ライトパイプから方向変動の低減した放射線を受光するように配置された検出器とを含む。
【0027】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、検出器に結合したコントローラをさらに含んでおり、コントローラは、一対の到達時間センサでの偏向放射線の検出の間の経過時間又は回転距離の一方に基づいてプローブ本体と回転部品との間の距離としてクリアランスを計算する。
【0028】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、一対の到達時間センサの各々は、ライトパイプの第2の端部に光学的に結合した集束レンズをさらに含んでおり、集束レンズは、ライトパイプからの放射線を検出器に方向付ける形状をもつ。
【0029】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、集束レンズは、ライトパイプの中心線軸と実質的に整列した平凸レンズを含む。
【0030】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、ライトパイプの形状及びライトパイプの内面の研磨反射コーティングは、ライトパイプを通して伝達される放射線の全反射を惹起する。
【0031】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、プローブ本体内のパージ流体通路をさらに含んでおり、パージ流体通路は、パージ流体源をそれぞれのライトパイプに流体結合する。
【0032】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、各々の到着時間センサについて、検出器に結合し、かつライトパイプの中心線軸と実質的に整列した光ファイバをさらに含む。
【0033】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、回転部品はターボ機械の動翼を含んでおり、静止部品はターボ機械のケーシングを含む。
【0034】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、さらに、各々の到着時間センサについて、プローブ本体に結合し、かつライトパイプから物理的に切り離された複数のプリズムを含んでおり、複数のプリズムは、それぞれの放射線源からの放射線を、それぞれの放射線源の軸に対して軸外の回転部品に方向付けるように構成されている。
【0035】
本開示の追加の態様は、ターボ機械内のクリアランスを測定するための装置を包含し、当該装置は、ターボ機械の回転部品の半径方向外側のターボ機械のケーシング上に配置されたプローブアセンブリであって、プローブアセンブリが、プローブ本体と、プローブ本体に結合した一対の到着時間センサとを含んでおり、各到着時間センサが、プローブ本体に結合し、かつ第1の端部と第1の端部と反対側の第2の端部とを有するライトパイプであって、ライトパイプの第1の端部は、ターボ機械の回転部品から偏向した放射線を受光し、ライトパイプの形状は、第2の端部での放射線の方向変動を第1の端部に比して低減するライトパイプと、ライトパイプから方向変動の低減した放射線を受光するように配置された検出器とを含む、プローブアセンブリと、検出器に結合したコントローラであって、一対の到着時間センサの一方での偏向放射線の検出と一対の到達時間センサの他方での偏向放射線の検出との間の経過時間に基づいて、プローブアセンブリと回転部品との間の距離としてクリアランスを計算する、コントローラとを含む。
【0036】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、一対の到達時間センサの各々は、ライトパイプの第2の端部に光学的に結合した集束レンズをさらに含んでおり、集束レンズは、ライトパイプからの放射線を検出器に方向付ける形状をもつ。
【0037】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、集束レンズは、ライトパイプの中心線軸と実質的に整列した平凸レンズを含んでおり、ライトパイプは、ライトパイプを通して伝達される放射線の内部全反射を惹起する形状の均一化ライトパイプを含む。
【0038】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、プローブ本体内のパージ流体通路をさらに含んでおり、パージ流体通路はパージ流体源を各々のライトパイプに流体結合する。
【0039】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、回転部品はターボ機械の動翼を含む。
【0040】
本開示の追加の態様は、回転部品から偏向した放射線を検出するための方法を包含し、当該方法は、回転部品の表面から偏向した放射線を一対の到着時間センサを通して検出器に伝達するステップであって、一対の到達時間センサが、回転部品の半径方向外側に静止部品に取り付けられたプローブ本体内に結合しており、各到着時間センサが、プローブ本体に結合したライトパイプであって、ライトパイプが、ライトパイプの第2の端部での放射線の方向変動をライトパイプの第1の端部に比して低減するように構成されている、ステップと、一対の到着時間センサの一方での偏向放射線の検出と一対の到達時間センサの他方での偏向放射線の検出との間の経過時間又は回転距離のいずれかを測定するステップと、コントローラによって、経過時間又は回転距離に基づいて、静止部品と回転部品との間のクリアランス距離を計算するステップとを含む。
【0041】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、各々の到着時間センサについて、ライトパイプからの放射線を、ライトパイプと検出器との間に光学的に結合した集束レンズを通して通過させることをさらに含む。
【0042】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、光ファイバを介して焦点レンズを検出器に光学的に結合することをさらに含む。
【0043】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、プローブ本体内の通路からパージ流体をライトパイプの表面に流してそこから汚染物質を除去することをさらに含む。
【0044】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、ライトパイプの形状及びライトパイプの内面の研磨反射コーティングは、伝達中にライトパイプを通過する放射線の内部全反射を惹起する。
【0045】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、一対の到着時間センサを含むプローブ本体を静止部品内に取り付けることをさらに含んでおり、静止部品はターボ機械のケーシングを含んでおり、回転部品はターボ機械の動翼を含む。
【0046】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、伝達中に、一対の放射線源からの放射線を、プローブ本体に結合した複数のプリズムを通して方向付けることをさらに含んでおり、各プリズムは、別個の角度配向を有し、ライトパイプは、複数のプリズムから物理的に切り離される。
【0047】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、光ファイバを介して焦点レンズを検出器に光学的に結合することをさらに含む。
【0048】
図面は、本発明を実施するための現時点で想定される実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本開示の実施形態に従って、放射線でその位置が測定される回転部品(例えばガスタービン部品)の概略側面図。
図2】本開示の実施形態に係る方法において種々異なる量のクリアランスでの経過時間と回転距離との間の差を示す概略断面図。
図3】本開示の実施形態に係る部品の放射線測定のためのシステム及び装置の概略断面図。
図4】本開示の実施形態に係る放射線を伝達するための集束レンズ及び複数のプリズムの概略正面図。
図5】本開示の実施形態に係る放射線を伝達するための集束レンズ及び複数のプリズムの概略側面図。
図6】本開示の実施形態に係る放射線を伝達するための集束レンズ及び複数のプリズムの概略斜視図。
図7】本開示の実施形態に係る、所定の軸に沿って放射線を伝達させるための集束レンズ及び複数のプリズムの注釈付き概略正面図。
図8】本開示の実施形態に係る、回転ガスタービン部品からの放射線を伝達及び偏向するための装置の注釈付き概略正面図。
図9】本開示の実施形態に係る、回転ガスタービン部品からの偏向放射線を検出するための装置の概略正面図。
図10】本開示の実施形態に係る、部品からの偏向放射線を検出するための装置の拡大概略正面図。
図11】本開示の実施形態に係る、部品からの偏向放射線を検出するための装置の斜視概略正面図。
図12】本開示の実施形態に係るプローブ本体先端部の斜視外観図。
図13】本開示の実施形態に係るプローブ本体先端部の切り欠き斜視図。
【0050】
なお、本開示の図面は必ずしも縮尺通りではない。図面は、本開示の典型的な態様を例示するものにすぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではない。図面において、同様の符号は複数の図面間で同様の構成要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本開示の実施形態は、部品(例えばガスターボ機械の回転部品)の放射線測定のための装置及び方法を提供し、かかる放射線を伝達及び検出する方法(例えば回転部品と回転部品を囲むケーシングのような静止部品との間のクリアランスを決定するための)を含む。
【0052】
装置は、プローブ本体と一対のセンサアセンブリとを含むことができる。各センサアセンブリは、プローブ本体に結合しかつ放射線源に光学的に結合した集束レンズを含む。集束レンズは、放射線源からの放射線よりも方向変動の少ない放射線を出力する形状である。複数のプリズムは、各集束レンズの下流側のプローブ本体に結合され、各プリズムは、集束レンズから、放射線源の軸に対して軸外の部品表面に放射線を方向付けるための別個の角度配向を有する。
【0053】
本開示の追加の実施形態は、部品表面(例えばガスターボ機械の回転部品の表面)から偏向放射線を検出する方法及び装置を提供する。本装置は、一対の到着時間センサ(以下「到着センサ」という。)を含んでおり、その各々は、プローブ本体(例えば放射線を伝達する装置と同じプローブ本体又は全く異なるプローブ本体)に結合したライトパイプを含む。各ライトパイプは、部品表面から偏向した放射線を受光するように配置された第1の端部と、第1の端部と反対側の第2の端部とを有することができる。ライトパイプの形状は、第2の端部での放射線の方向変動を第1の端部に比して低減する。集束レンズは、ライトパイプの第2の端部に光学的に結合し、かつライトパイプから検出器に放射線を方向付けるように成形し得る。放射線は、部品表面から偏向される際に、センサアセンブリから回転部品に、そして到着時間センサに戻る実質的にV字型の経路を辿り得る。各V字型経路の水平成分は、例えば、部品が一方の経路と交差してから後続の経路と交差するように、逆転してもよい。検出器は、各々、ライトパイプから集束レンズを通過する放射線を受光するため、対応する到着時間センサの集束レンズに光学的に結合させてもよい。
【0054】
図1は、様々な実施形態に係る回転部品(例えばガスターボ機械における動翼)の放射線測定のための装置及び方法の概略図を示す。図1には、回転部品(以下、単に「部品」という。)120を測定するプローブアセンブリ(以下、単に「プローブ」という。)100の簡易版を有するターボ機械50が示してある。部品120は、ターボ機械50の動翼(例えばその翼形部)として例示してあるが、想定し得るあらゆるの部品を使用し得る。部品120は、ターボ機械50の圧縮機セクション又はターボ機械50のタービン(すなわち、膨張タービン)セクションに配置し得る。
【0055】
プローブ100は、ターボ機械50の静止部品103の内壁(例えば、回転部品(例えばターボ機械50のシャフトに回転可能に取り付けられた動翼)が動作するように構成されたケーシングの内壁)に取り付けるように形作られたプローブ本体102を含むことができる。プローブ100は、放射線を部品120に伝達するための一対の伝達アセンブリ104と、対応する一対の到着時間センサ106であって各々部品120から偏向した放射線を検出するための一対の到着時間センサ106とを含むことができる。幾つかの具体例では、各伝達アセンブリ104は、到着時間センサ106のものとは異なるプローブ100又はプローブ本体102内に含まれていてもよい。プローブ100の様々な部品については、本明細書の他の箇所でさらに詳しく説明する。本発明に係る様々な方法は、プローブ本体102の静止部品103への結合(例えば機械的締結具、接着剤及び/又は他の機械的結合又は結合技術による結合)を含むことができる。
【0056】
放射線源108は、プローブ100内の各伝達アセンブリ104を通って部品120(例えばターボ機械の動翼)に向かって移動する放射線(例えばレーザビーム及び/又は他のタイプの輻射又は光学放射線)を生成する。部品120の表面122は、各伝達アセンブリ104からの放射線を、対応する位置のプローブ100に戻すことができる。対応する到着時間センサ106は、偏向された放射線を受光し、1以上の到着時間センサ106に光学的に結合した検出器124に方向付けることができる。部品120はスキャン経路(例えば図1に示す経路P(ターボ機械の軸の周りの周方向と一致))に沿って移動し、表面122はプローブ100に対して相対的に移動する。部品120(例えばターボ機械の動翼)は、伝達アセンブリ104からの放射線の複数の経路と(例えば回転によって)順次交差し、表面122は各経路の放射線を偏向させてプローブ100の対応する到着時間センサ106及び検出器124へと戻す。
【0057】
図1及び図2を参照すると、コントローラ126は、検出器124と放射線源108の各対に結合して、部品120による放射線の各偏向間の経過時間(Δt)又は回転距離(Δs)を計算することができる。コントローラ126は、様々な動作方法を実行するためのプロセッサ及びメモリを含んでもよく、様々な具体例では、汎用演算装置、専用演算装置及び/又は他の現在公知の又は将来開発される任意の制御デバイスを含むことができる。コントローラ126は、静止部品103(ケーシング)及び部品120(動翼)が配置されたターボ機械50に結合してもよいし、或いはその外部にあってもよい。図2に例示するように、部品120と静止部品103との間のクリアランス(半径方向距離)が増加する(放射線源108と解析中の部品120との間の距離が増加する)と、到着時間センサの対によって放射線が順次検出される間の経過時間の量が増加し、部品120が経過時間中に移動する回転(周方向)距離の量が増加する。
【0058】
コントローラ126は、各々の対応する検出器124の対について放射線の検出間の経過時間Δt又は回転距離Δsを求めることができる。コントローラ126は、こうして求めた時間差又は回転距離及び/又は他の参照データ(部品120の較正設定など)を用いて、クリアランスCを計算することができる。クリアランスCは、部品120(例えば動翼)の表面122と静止部品103の内側に向いた表面との間の合計cm数のように、距離として表すことができる。本開示の実施形態は、従来の測定システム及び/又は方法論と比較して、部品120の表面122に無事到達し、表面122から偏向した後に検出器124に無事到達する放射線の量を増加させるため、プローブ100の様々な特徴を含むことができる。
【0059】
次に図3は、プローブ100の断面図を示し、各伝達アセンブリ104及び到着時間センサ106内の様々な部品が例示されている。まず伝達アセンブリ104について言及すると、各アセンブリ104は、出力端部132(例えば光媒体130の一端を所定の位置に固定するためのファイバフェルールその他の部品)に放射線を伝達するための光媒体130(例えば光ファイバ、ケーブル及び/又は放射線透過性材料のような、任意の光伝達機構)を含むことができる。幾つかの実施形態では、出力端部132は、光媒体130をプローブ本体102に結合した集束レンズ134と光通信した状態にすることができる。
【0060】
図3及び図4を参照すると、集束レンズ134は、入射放射線を、集束レンズ134の外側に位置する単一の焦点に向けて複数の出力角度で方向付ける形状の任意のレンズの形態をとることができる。一例では、集束レンズ134は、まず入射放射線を複数の進行方向に分離してから、分離した放射線を集束レンズ134の外側の一点に向かう収束方向に方向付けるように形作られた一対の丸い対向面を有する丸レンズ(例えば図4に示す)を含むことができる。集束レンズ134は、様々な形状、例えば2つの対向する丸い縁部の間に棒状体が位置するもの、球形及び/又はその他適用可能な幾何学的形状を有し得る。集束レンズ134で作成された放射線経路の一例を図4に破線を用いて示す。追加の具体例では、集束レンズ134は、集束レンズ134の外側に位置する焦点W(図4)に光を集束するように形作られた他のタイプのレンズ及び/又は光透過構造を含んでいてもよい。集束レンズ134の外側に位置する焦点Wは、本明細書で説明するように、光を所定の方向及び/又は向きに偏向させるための複数のプリズム136上及び/又はその近傍に位置し得る。集束レンズ134及び/又は複数のプリズム136は、例えば、連結部品及び/又はその他の装着材料(例えば締結具、ポッティング材、接着剤)及び/又は他の現在公知の又は将来開発される機械的結合材又は機構を用いて、プローブ本体102内に取り付けることができる。
【0061】
なお、図3図9は集束レンズ134を含む実施形態を示しているが、他の実施形態(図示せず)では、集束レンズ134を省略してもよく、その場合、光媒体130は、複数のプリズム134を通して直接伝達され、一対の放射線源のそれぞれの放射線源からの放射線を、それぞれの放射線源の軸に対して軸外の回転部品表面に、それぞれの放射線源からの放射線よりも少ない方向変動で、方向付ける。
【0062】
次いで図4図6をまとめて参照すると、本開示の実施形態は、部品120(図1)、例えばターボ機械の動翼に放射線を伝達するための装置140を提供する。プローブ本体102は、説明の便宜上、図4図6から省略されているが、出力端部132、集束レンズ134及び/又は複数のプリズム136は、プローブ本体102に(例えば本明細書の他の箇所で説明するように、プローブ本体内に実装することによって)結合してもよい。複数のプリズム136は、例えば、2以上のプリズムを含んでおり、集束レンズ134からの放射線の経路を所定の方向に進むように変化させる。一例では、複数のプリズム136は、各々所定の方向に放射線を反射するように形作られた第1のプリズム136a及び第2のプリズム136bを含むことができる。本開示の実施形態は、複数のプリズム136の各プリズム(例えば第1のプリズム136a及び第2のプリズム136b)について別個の角度配向を選択すること、及び複数のプリズム136をプローブ本体102内にそれらの所望の配向をもつように取り付けることを含むことができる。この場合、プリズム136の取り付けは、プリズム136を様々な連結部品に結合すること及び/又は複数のプリズム136のための内部チャンバをポッティング材で充填することを含むことができる。複数のプリズム136は、シリカ、フッ化カルシウム(CaF)、セレン化亜鉛(ZnSe)及び/又は他の材料などの反射材料を含んでいてもよく、これらは放射線を反射するように構成される。
【0063】
図5の例では、第1のプリズム136aは、焦点Wと一致する反射面を有し、かつY-Z平面内にある直角(例えば三角形)プリズムである。しかし、第2のプリズム136bはY-Z平面から外れた(例えば本願に記載のY軸に対して約20度回転した)配向を有し得る。この構成では、第1のプリズム136aは「横方向」直角プリズムであってもよく、一方、第2のプリズム136bは、「傾斜」直角プリズム(すなわち、配向の所望の変化をもたらすため別のプリズムに対して所定量だけ回転したプリズム)であるとみなすことができる。集束レンズ134から出る放射線の方向をさらに操作するために、様々な配向を有する所望の数のプリズムを使用してもよい。複数のプリズム136を用いる利点は、他の放射線操作構造と比較して、放射線が複数のプリズム136を通過しても集束レンズ134から生成される放射線密度が実質的に影響を受けないままであることである。
【0064】
図7に具体的に示すように、放射線は、出力端132及び集束レンズ134の中心線軸CLに対して軸外に向いた経路Rに沿って進んで、各アセンブリ104内の複数のプリズム136を出射し得る。経路Rが軸外に向いているのは、例えば、プローブ本体102及び/又は静止部品103(図1)内のどこかに位置する放射線検出部品の位置に向かう方向成分を生成させるためである。一例では、経路Rは、中心線軸CLと約20度異なる軸に沿って配向している。なお、経路Rと中心線軸CLとの間の角度差は、複数のプリズム136におけるプリズムの数及び/又はそれらの配向に基づいて、幾つかの部品タイプ及び/又は用途に適合するように変えることができる。
【0065】
図8は、例えば装置140の実施形態を用いて、部品120の表面122に放射線を伝達する方法を示す。放射線源108(図1)は放射線を各アセンブリ104の集束レンズ134に伝達し、そこで放射線源の出力に存在する方向変動よりも少ない方向変動で出力させることができる。複数のプリズム136は、伝達アセンブリ104からの放射線を部品120上の位置D(例えば動翼の最外面の点)に方向付けて到着時間センサ106(例えばプローブ本体102内のどこか)に向けて偏向させることができる。装置140の各放射線源108から伝達された放射線は、例えば表面122から、2以上の位置で偏向され、対応するプローブ本体102又はその一部に向かって戻る。
【0066】
複数のプリズム136とは異なり、部品120の表面122の組成は、図8に複数の破線で示すように、放射線を幾つかの方向に偏向させることがある。それでも、偏向した放射線は、例えば、集束レンズ134での放射線の事前の集束及び複数のプリズム136を通しての集束放射線の再配向によって、対応する到着時間センサ106の位置に向かって方向付けることができる。本開示の追加の実施形態は、例えば図8の例に示すように、様々な向きに偏向されたとしても、部品120から偏向した放射線を検出するための装置141及び方法を提供する。図に示すように、装置141と装置140が1個のプローブ本体102内に含まれるか或いは1個のプローブ本体102に結合している場合であっても、装置141は装置140から物理的に切り離されていてもよい。
【0067】
図8及び図9を共に参照すると、装置141の実施形態は、例えばプローブ100内に2以上のライトパイプ142を有する到着時間センサ106を含んでいてもよい。各ライトパイプ142は、ターボ機械の動翼のような部品120の表面122から偏向した放射線を受光するように配置された第1の端部142aを含むことができる。集束レンズ134、複数のプリズム136又は本明細書に記載の他の放射線伝達部品とは異なり、各ライトパイプ142は、ある場所から別の場所へ放射線を均一化して導く。そこで、ライトパイプ142は、そこを通過する放射線の内部全反射(TIR)を惹起するように形作られた複数の表面を有する所定の形状(例えば図6図11に示すように六角形)を有し得る。TIRは、放射波が、第1の材料(例えばライトパイプ142内の空気その他の放射線透過材料)から別の材料(例えばライトパイプ142の内面)への境界に達すると、第2の媒体内へと屈折せずに、第1の材料に完全に反射される物理現象をいう。この効果を生じさせるために、ライトパイプ142の内面は、光を反射し、静止部品103内の空間などの環境での腐食に耐える研磨反射材料(例えば金属系及び/又は有機系反射材料)でコーティングし得る。ライトパイプ142は、動作に際して、その中を通る放射線を、第1の端部142aと反対側の第2の端部142b(図9)で方向変動が減少するようにする。
【0068】
ライトパイプは、本明細書に記載した他の部品(例えば光媒体132、集束レンズ134、複数のプリズム136など)よりも大きい所定の断面積を有していてもよく、0.075mm以上の断面積を有し得る。ライトパイプ142のサイズは、複数の向きに方向付けられた放射線をライトパイプ142で収集できるようにして、そうした放射線をライトパイプ142の第1の端部142aから第2の端部142bに導く。
【0069】
図10及び図11を参照すると、装置141の各到着時間センサ106は、ライトパイプ142の第2の端部142bに結合した集束レンズ144を適宜含んでいてもよい。集束レンズは、ライトパイプ142の中心線軸Tと略整列した平凸レンズであってもよく、集束レンズはライトパイプ142からの放射線を光媒体146上の点Lに向かって集束させる。どのように具体化するにしても、集束レンズ144は、例えば、光ファイバなどの光媒体146及び/又は放射線を伝達するための現在公知の又は将来開発される任意の装置を通して放射線を検出器124に方向付けるように形作られる。検出器124は、光媒体146を通して集束レンズ144に光学的に結合させることができる。集束レンズ144は、放射線を集束させて光媒体146へと送り、検出器124に届くようにする。本明細書の他の箇所で説明するように、コントローラ126(図1)を検出器124に結合してもよく、部品120の表面122から偏向した放射線を各到着時間センサ106で検出する間の経過時間又は回転距離に基づいてクリアランスC(図1)を計算することができる。
【0070】
なお、図9図11は、集束レンズ144を含む実施形態を示すが、他の実施形態(図示せず)では、集束レンズ144を省略してもよく、その場合、放射線は、ライトパイプ142を介して光媒体146及び/又は検出器124に直接出力される。
【0071】
装置141は、本明細書で説明するように、部品120の表面122から偏向した放射線を検出するための方法を実施するのに用いることができる。本発明に係る方法は、放射線を複数のアセンブリ104を通して部品120に伝達することを含むことができ、放射線を部品表面122から偏向させることができる。各到着時間センサ106は、放射線を収集しその方向変動を低減するためにプローブ本体102内のライトパイプ142を含んでおり、その第2の端部142bを通してライトパイプ142から出射する放射線は、ライトパイプ142の第1の端部142aに入射する放射線よりも方向変動が少ない。本発明に係る方法は、放射線がライトパイプ142を通過する(例えばその内部の表面の材料組成物を通過する)際に内部全反射(TIR)を起こすことをさらに含むことができる。次いで、放射線は、ライトパイプ142から、ライトパイプ142に光学的に結合した対応する集束レンズ144を通して導くことができる。集束レンズ144は、放射線をライトパイプ142から検出器124に(例えば直接及び/又は光媒体146を介して)導くことができる。
【0072】
次いで図12及び図13を参照すると、プローブ100及びプローブ本体102の実施形態は、作動中に内部の部品が汚染又は腐食するのを防ぐための追加の構造的特徴を含んでいてもよい。パージ流体供給源150を、プローブ本体102の各アセンブリ104及び/又は到着時間センサ106内の部品にパージ流体を伝達するための一組のパージ流体通路152に流体結合してもよい。「パージ流体」という用語は、ここでは、陽圧のような現在公知の又は将来開発される伝達メカニズムによってプローブ本体102へと伝達し得る流体(例えば空気などのガス)の供給をいう。プローブ本体102の伝達アセンブリ104又は到着時間センサ106に送られると、パージ流体は、プローブ本体102から汚染物質、腐食及び/又は他の望ましくない材料を除去し得る。パージ流体供給源150は、場合によっては、プローブ本体102の外部であってもよく、例えば静止部品103内及び/又はターボ機械50(図1)内の他の位置に位置する流体回路を介してパージ流体通路152に結合してもよい。プローブ本体102の伝達アセンブリ104又は到着時間センサ106へと送られるパージ流体の追加の機能としては、例えば、パージ流体供給源150内のパージ流体がプローブ本体102よりも温度が低い場合のプローブ本体102部品の冷却を挙げることができる。追加の具体例では、プローブ本体102の伝達アセンブリ104及び到着時間センサ106の幾つかはパージ流体通路152を含んでいてもよいが、プローブ本体102の他の伝達アセンブリ104及び他の到着時間センサは、そのような通路を内部に含んでいなくてもよい。なお、1つのパージ流体通路152又は一組の流体通路を、複数の伝達アセンブリ104及び複数の到着時間センサ106に流体結合してもよい。
【0073】
本開示の実施形態は、様々な技術的及び商業的利点を提供するが、その例については本明細書で説明したる。本開示の実施形態は、プリズム形状及び配置の組合せを使用して、測定のための放射線を送受信するためのプローブ本体の中心線軸から軸外の(すなわち、平行に向いていない)方向に沿って測定のため放射線を部品に出射させることができる。さらに、プローブの到着時間センサ内にライトパイプを含めることで、偏向された放射線を収集し、収集した放射線を検出用の光媒体に集束する前に均一化することができる。レンズを単に到着時間センサの最初の部品として含めることができる従来の構造とは異なり、各到着時間センサのライトパイプは、様々な角度で偏向された放射線を収集して均一化してから、均一化された光を下流の集束レンズで検出器へと方向付ける。この配置により、伝達経路内の様々な部品がプローブの中心線軸に対して軸外に放射線を伝達するように構成されているにもかかわらず、各場所で偏向された放射線が下流の光媒体の中心線軸に沿って集束される。
【0074】
さらに、本明細書で説明した様々な部品は、従来の容量性プローブよりも格段に小さなスケールで製造することができ、直径約11mm以下のプローブに結合又はプローブ内に収容し得る。本開示の実施形態は、かかるプローブで実施すると、約340℃の温度及び約0.125mmの測定分解能で動作し得る。これら及び他のパラメータによって、本開示の方法及び装置は、ターボ機械ケーシングとターボ機械の動翼との間のクリアランスを測定するのに特に適したものとなる。
【0075】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、開示内容を限定するものではない。本明細書において、単数形で記載したものであっても、前後関係から別途明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。本明細書において、「備える」及び/又は「含む」という用語は、記載した特徴、整数、ステップ、操作、構成要素及び/又は部品が存在することを示し、他の1以上の特徴、整数、ステップ、操作、構成要素、部品及び/又はこれらの群の存在又は追加を除外するものではない。「任意」又は「適宜」という用語は、その用語に続いて記載された事象又は状況が起きても起きなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象が起こる場合と起こらない場合とを包含する。
【0076】
本明細書及び特許請求の範囲で用いる近似表現は、数量の修飾語であって、その数量が関係する基本機能に変化をもたらさない許容範囲内で変動し得る数量を表すために適用される。したがって、「約」、「略」及び「実質的に」のような用語で修飾された値はその厳密な数値に限定されない。場合によっては、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。本明細書及び特許請求の範囲において、数値限定の範囲は互いに結合及び/又は交換可能であり、かかる範囲は、前後関係等から別途明らかでない限り、その範囲に含まれるあらゆる部分範囲を特定しかつ包含する。範囲の特定の値に用いられる「約」は、上下限に適用され、その値を測定する機器の精度に依存する場合を除いて、記載された数値の±10%を示すことがある。
【0077】
以下の特許請求の範囲において機能的記載によって特定された構成要素の対応する構造、材料、行為及び均等物は、特許請求の範囲に具体的に記載された他の構成要素と組合せて機能を発揮するあらゆる構造、材料又は行為を包含する。本開示の記載は、例示及び説明を目的としたものであり、網羅的なものでもなければ、開示された形態に限定するものでもない。本開示の技術的範囲及び技術的思想から逸脱せずに、数多くの修正及び変形が当業者には明らかであろう。本開示の実施形態は、本開示の原理及び実用的用途の説明として最も適しかつ当業者が様々な実施形態に関する開示内容及び特定の用途に適した様々な修正について理解できるように、選択して記載したものである。
【符号の説明】
【0078】
50 ターボ機械
100 プローブ
102 プローブ本体
103 ケーシング
104 伝達アセンブリ
106 到着時間センサ
108 放射線源
122 部品表面
124 検出器
126 コントローラ
130 光媒体
132 出力端部
134 集束レンズ
136 プリズム
142 ライトパイプ
144 集束レンズ
146 光媒体
150 パージ流体供給源
152 パージ流体通路
136a 第1のプリズム
136b 第2のプリズム
142a 第1の端部
142b 第2の端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【外国語明細書】