(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073421
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】エクスビボでの食肉の生産
(51)【国際特許分類】
C12N 5/07 20100101AFI20240522BHJP
C12N 5/02 20060101ALI20240522BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240522BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20240522BHJP
【FI】
C12N5/07
C12N5/02
C12N5/10
C12N15/09 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024019731
(22)【出願日】2024-02-13
(62)【分割の表示】P 2019567728の分割
【原出願日】2018-06-07
(31)【優先権主張番号】62/516,575
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/653,332
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519431971
【氏名又は名称】ワイルド タイプ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エルフェンベイン,アリエ
(72)【発明者】
【氏名】コルベック,ジャスティン リー
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA01
4B065BC41
4B065BC46
4B065BC47
4B065CA41
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ヒト食用に培養された魚肉を生産する方法を提供する。
【解決手段】ヒト食用の培養組織を生成する方法であって、該方法は、a)自己再生細胞の集団を得る工程;b)自己再生細胞の集団を培養する工程;c)培養組織を形成するために自己再生細胞の集団において分化を誘導する工程;および、d)ヒト食用に培養組織を処理する工程、を含む、方法である。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト食用の培養組織を生成する方法であって、該方法は、
a)自己再生細胞の集団を得る工程;
b)自己再生細胞の集団を培養する工程;
c)培養組織を形成するために自己再生細胞の集団において分化を誘導する工程;および、
d)ヒト食用に培養組織を処理する工程、を含む、方法。
【請求項2】
自己再生細胞の集団を得る工程は、バイオリアクターにおいて二次元接着性培養物から三次元培養物へと細胞の集団を移行させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
自己再生細胞の集団は、不死化した分化細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
自己再生細胞の集団において分化を誘導する工程は、集団中の細胞の、筋細胞、脂肪細胞、あるいはこれらの組み合わせへの分化転換を誘導する工程を含む、請求項1-3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
培養する工程は、3次元のマイクロスキャフォールド上で自己再生細胞の集団を播種する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
3次元のマイクロスキャフォールドは、細胞の増殖、接着、分化、又はそれらの組み合わせを促進する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
3次元のマイクロスキャフォールドは、細胞の成長、接着、分化、あるいはこれらの組み合わせを促進する少なくとも1つの因子に共役する、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
マイクロスキャフォールドは、ヒドロゲル、キトサン、ポリエチレンテレフタレート、コラーゲン、エラスチン、硫酸ヘパラン、硫酸コンドロイチン、硫酸ケラタン、ヒアルロン酸、ラミニン、フィブロネクチン、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、リグニン、アルギン酸塩、グルコマンナン、ポリカプロラクトン(PCL)、テクスチャード植物性タンパク質(TVP)、テクスチャード大豆タンパク質(TSP)、およびアクリル酸塩の少なくとも1つを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
自己再生細胞の集団は、誘導性分化を経験するように修飾された少なくとも1つの細胞を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの細胞は:
a)少なくとも1つの多能性遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む第1の遺伝子構築物;および、
b)少なくとも1つの多能性遺伝子を不活性化するように構成された調節因子のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む第2の遺伝子構築物、
を組み込むように修飾される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
自己再生細胞の集団は、培養中に少なくとも50の細胞分裂を受ける少なくとも1つの細胞を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
調節因子はレコンビナーゼであり、少なくとも1つの多能性遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)は、レコンビナーゼの発現が少なくとも1つの多能性遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の切除を触媒するように、レコンビナーゼによって認識された組換え配列と隣接している、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
第2の遺伝子構築物は、肝細胞核因子1α(HNF1A)、フォークヘッドボックスA2(FOXA2)、および肝細胞核因子4α(HNF4A)から選択された少なくとも1つの肝細胞分化因子のORFを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
第2の遺伝子構築物は、ミオゲニン(MyoG)、筋原性分化1(MyoD)、筋原性因子6(MRF4)、および筋原性因子5(MYF5)から選択された少なくとも1つの筋原性因子を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
第2の遺伝子構築物は、脂肪酸結合タンパク質4(FABP4)、インスリン反応性ブドウ糖輸送担体4型(GLUT4)、アディポネクチン、C1Qおよびコラーゲンドメイン含有(ADIPOQ)、1-アシルグリセロール-3-リン酸塩O-アシルトランスフェラーゼ2(AGPAT2)、ペリリピン1(PLIN1)、レプチン(LEP)、およびリポプロテインリパーゼ(LPL)から選択された少なくとも1つの脂肪生成因子を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
第2の遺伝子構築物は
a)少なくとも1つの分化遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF);および、
b)
i.少なくとも1つの分化遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF);および、
ii.調節因子のオープンリーディングフレーム(ORF)
の発現を制御する誘導性プロモーター
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
分化を誘導する工程は、少なくとも1つの細胞系統遺伝子のORFおよび調節因子のORFの発現を誘導するために少なくとも1つの細胞を誘導剤に晒す工程を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程d)において自己再生細胞の集団が誘導剤で処置された後、および、ヒト食用に処理される前に、誘導剤を除去する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
分化を誘導する工程は、自己再生細胞の集団内で筋管を生成する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
分化を誘導する工程はさらに、自己再生細胞の集団内で脂肪細胞を生成する工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
自己再生細胞の集団は、工程c)の間に筋細胞と脂肪細胞に分化するように誘導される分化多能性細胞を含む、請求項1-20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
分化多能性細胞は、筋衛星細胞の第1の亜集団および脂肪前駆細胞の第2の亜集団を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
分化を誘導する工程は、自己再生細胞の集団内で肝細胞を生成する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
自己再生細胞の集団は、アヒル、ガチョウ、ニワトリ、および七面鳥から選択された鳥類に由来する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
肝細胞の少なくとも1つ内で脂肪症を誘導する工程をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
自己再生細胞の集団は、導入剤での処置時に脂肪症を増強するために少なくとも1つの遺伝子を発現するように修飾された少なくとも1つの細胞を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの細胞は、ATF4、ZFP423、LPIN1、PPAR、APOC3、APOE、ORL1、PEMT、MTTP、SREBP、STAT3、又はKLF6をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む構築物を用いて安定的に形質転換される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
脂肪症を誘導する工程は、少なくとも栄養剤を含む培地中で肝細胞をインキュベートする工程を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、あるいはこれらの組み合わせを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1つの栄養剤は、パルミチン酸、オレイン酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、又はそれらの組み合わせを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
培養組織は、タコ、ヤリイカ、あるいはコウイカの筋細胞を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項32】
培養組織は魚の筋組織を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項33】
自己再生細胞の集団は、スズキ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、又はマスに由来する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
魚の筋組織は工程d)の間に別に培養された魚の脂肪組織と組み合わされる、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
細胞の集団は無血清培地製剤を使用して培養される、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
無血清培地製剤は、マッシュルーム抽出物または大豆加水分解物を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
請求項1-36のいずれか1つの方法に従って生成された培養組織を含む、ヒト食用の培養食品。
【請求項38】
培養食品は、培養組織が病原体のない環境、毒素のない環境、動物に強制給餌を行わない環境、又はそれらの任意の組み合わせで生産されたことを示すラベルを有するパッケージを含む、請求項37のヒト食用の培養食品。
【請求項39】
培養組織は複数の切片へ処理され、培養食品を形成するためにパッケージ化される、請求項37のヒト食用の培養食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2017年6月7日出願の米国仮特許出願第62/516,575号、および2018年4月5日出願の米国仮特許出願第62/653,332号の利益を主張するものであり、これらは両方とも全体として参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
従来の食肉の生産は大きな環境フットプリントをもたらす資源集約的なプロセスである。飼育された動物は、大量の水、飼料、土地、および他の資源を必要とする農業環境で育てられる。同様に、魚の消費は、乱獲や混獲、漁業による汚染を含む多くの問題に対して脆弱である。
【発明の概要】
【0003】
本明細書にはヒト食用に培養された魚肉を生産する方法が開示される。いくつかのそのような方法は:a)自己再生細胞の集団を得る工程;b)マイクロスキャフォールドを含む培地で自己再生細胞の集団を培養する工程;c)筋細胞および脂肪細胞の少なくとも1つを形成するために細胞の集団で分化を誘導する工程;および、d)細胞の集団を、ヒト食用の魚肉へと処理する工程、を含む方法。様々な態様は、以下の要素の少なくとも1つを組み込む。魚肉はしばしば寿司である。いくつかの例では、魚肉はすり身である。しばしば、魚肉は生食に適している。特定の場合には、魚肉は調理される。魚肉は通常鮭肉である。特定の態様では、魚肉は寿司に使用できる品質等級の鮭肉である。代わりに、魚肉はしばしばマグロ肉である。しばしば、魚肉は寿司に使用できる品質等級のマグロ肉である。場合によっては、(c)での分化を誘導する工程は、細胞の集団に筋細胞と脂肪細胞を形成させる。場合によっては、分化は、異なる細胞型への細胞の分化転換を含む。しばしば、魚肉は、少なくとも50%の高い解糖性および嫌気性の筋線維から構成される。細胞の集団はたびたび、スズキ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、またはマスに由来する。(d)において処理する工程は通常、上記細胞の集団を、筋細胞または脂肪細胞から構成される細胞の第2の集団と組み合わせる工程を含む。様々な態様では、細胞の集団は胚性幹細胞として単離される。しばしば、細胞の集団は多能性を誘導するために修飾されてきた。細胞の集団は、特定の実施形態において、分化多能性成体幹細胞として単離される。培養する工程は典型的には細胞培養中の細胞の集団を成長させ拡大させる工程を含む。分化を誘導する工程はしばしば、分化を刺激する培養条件に細胞の集団を晒す工程を含む。しばしば、分化を誘導する工程は、分化を刺激する少なくとも1つの成長因子に細胞の集団を晒す工程を含む。特定の例では、培養する工程は、2次元表面上で細胞の集団を育てる工程を含む。代わりに、培養する工程は、3次元スキャフォールドで細胞の集団を育てる工程を含む。培養する工程はしばしば、バイオリアクター内においてマイクロスキャフォールド上で細胞の集団を育てる工程を含み、ここで、マイクロスキャフォールドは細胞接着を可能にする。しばしば、細胞の集団は分化後に質感のない組織を形成する。様々な態様において、培養する工程は、少なくとも1つの栄養剤を含む培地製剤において細胞の集団を成長させる工程を含む。少なくとも1つの栄養剤は通常ω-3脂肪酸を含む。少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸をしばしば含む。ある例では、少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む。しばしば、細胞の集団は無血清培地製剤を使用して培養される。多くの例では、細胞の集団はマッシュルームベースの培地製剤を使用して培養される。
【0004】
いくつかの態様では、培養された魚組織を生産するための方法が本明細書で開示され、上記方法は:a)魚類の脂肪前駆細胞の集団および魚類の衛星細胞の集団を培養する工程;b)脂肪細胞を形成するために魚類の脂肪前駆細胞の集団において分化を誘導する工程;c)筋細胞を生成するために魚類の衛星細胞の集団において分化を誘導する工程;d)脂肪細胞および筋細胞を共培養する工程;および、e)脂肪細胞および筋細胞をヒト食用の魚類組織へと処理する工程、を含む。様々な態様は、以下の要素の少なくとも1つを含む。しばしば、魚組織は速筋線維を含む。しばしば、魚組織はサケ組織である。ある例では、魚組織はマグロ組織である。魚組織は時折マス組織である。多くの例では、魚組織はすり身である。魚組織はしばしば寿司である。魚組織は、場合によっては、生のヒト食用に作られる。魚組織はしばしば、ヒト食用に調理される。様々な態様において、脂肪細胞および筋細胞は少なくとも1つの栄養剤を含む培地製剤において共培養される。少なくとも1つの栄養剤は通常ω-3脂肪酸を含む。しばしば、少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む。少なくとも1つの栄養剤は時折、一価不飽和脂肪酸を含む。しばしば、無血清培地製剤は細胞培養のために使用される。ある例では、マッシュルームベースの培地製剤は、細胞培養のために使用される。
【0005】
いくつかの態様では、培養された魚組織を生産するための方法が本明細書で開示され、上記方法は:a)懸濁培養に適した、魚類の脂肪前駆細胞の集団、および魚類の衛星細胞の集団を培養する工程;b)脂肪細胞を形成するために魚類の脂肪前駆細胞の集団において分化を誘導する工程;c)筋細胞を形成するために魚類の衛星細胞の集団において分化を誘導する工程;d)脂肪細胞および筋細胞を共培養する工程;および、e)脂肪細胞および筋細胞をヒト食用の魚類組織へと処理する工程、を含む。
【0006】
いくつかの態様では、共培養された筋細胞および脂肪細胞から生成された魚組織を含むヒト食用組成物が本明細書で開示される。
【0007】
いくつかの態様では、脂肪前駆細胞および衛星細胞から生成された魚組織を含むヒト食用組成物が本明細書で開示される。
【0008】
いくつかの態様では、ヒト食用の培養された魚肉を生産する方法が本明細書で開示され、上記方法は:a)脂肪前駆細胞の集団およびの衛星細胞の集団を得る工程;b)脂肪前駆細胞の集団および衛星細胞の集団を懸濁培養に適応させる工程;c)脂肪前駆細胞の集団および衛星細胞の集団において分化を誘導する工程;d)懸濁培養において集団を共培養する工程;および、e)上記集団をヒト食用の魚肉へと処理する工程、を含む。場合によっては、分化は、異なる細胞型への細胞の分化転換を含む。様々な態様は、以下の要素の少なくとも1つを含む。しばしば、魚肉は寿司である。魚肉はしばしばすり身である。特定の例において、魚肉は生食に適している。しばしば、魚肉は調理される。様々な態様において、魚肉は鮭肉である。魚肉は、特定の例において、寿司に使用できる品質等級の鮭肉である。魚肉はしばしばマグロ肉である。しばしば、魚肉は寿司に使用できる品質等級のマグロ肉である。時折、魚肉はしばしばマス肉である。多くの例において、魚肉は、少なくとも50%の高い解糖性および嫌気性の筋線維から構成される。脂肪前駆細胞の集団は通常、スズキ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、またはマスに由来する。衛星細胞の集団はしばしば、スズキ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、またはマスに由来する。共培養する工程は典型的には細胞培養中の集団を成長させ拡大させる工程を含む。特定の場合には、分化を誘導する工程は、脂肪細胞への分化を刺激する少なくとも1つの成長因子に脂肪前駆細胞の集団を晒す工程を含む。しばしば、分化を誘導する工程は、筋細胞への分化を刺激する少なくとも1つの成長因子に衛星細胞の集団を晒す工程を含む。培養する工程は、しばしばバイオリアクター内で細胞の集団を育てる工程を含む。多くの例では、筋細胞と脂肪細胞は分化の後に質感のない組織を形成する。筋細胞と脂肪細胞はしばしば、少なくとも1つの栄養剤を含む培地製剤中で培養される。少なくとも1つの栄養剤は通常ω-3脂肪酸を含む。多くの例では、少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む。時折、少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む。しばしば、無血清培地製剤は細胞培養のために使用される。ある例では、マッシュルームベースの培地製剤は、細胞培養のために使用される。
【0009】
いくつかの態様では、培養された筋細胞および脂肪細胞から生成された魚のすり身を含むヒト食用に適した魚加工品が本明細書で開示される。
【0010】
いくつかの態様では、培養された衛星細胞および脂肪前駆細胞に由来する魚肉を含むヒト食用に適した合成食品が本明細書で開示される。
【0011】
いくつかの態様では、懸濁培養で育てられた筋細胞と脂肪細胞から生成された魚肉を含むヒト食用に適した魚加工品が本明細書で開示される。
【0012】
いくつかの態様では、ヒト食用の培養された魚肉を生産する方法が本明細書で開示され、上記方法は:a)懸濁培養において成長可能な魚類の脂肪前駆細胞の集団を得る工程;b)懸濁培養において成長可能な魚類の衛星細胞の集団を得る工程;c)脂肪細胞および筋細胞を形成するために魚類の脂肪前駆細胞の集団および魚類の衛星細胞の集団において分化を誘導する工程;d)少なくとも1つの栄養剤を含む懸濁培養において脂肪細胞および筋細胞を共培養する工程;および、d)細胞の集団を、ヒト食用の魚肉へと処理する工程、を含む方法。様々な態様は、以下の要素の少なくとも1つを含む。しばしば、魚肉は寿司である。しばしば、魚肉はされるすり身である。多くの例において、魚肉は生食に適している。魚肉は時折調理される。魚肉はしばしば鮭肉である。特定の例では、魚肉は寿司に使用できる品質等級の鮭肉である。しばしば、魚肉はマグロ肉である。魚肉はしばしば、寿司に使用できる品質等級のマグロ肉である。魚肉は、様々な態様において、少なくとも50%の高い解糖性および嫌気性の筋線維から構成される。典型的には、細胞の集団は、スズキ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、またはマスに由来する。しばしば、(c)の分化を誘導する工程は、分化を刺激する培養条件に脂肪前駆細胞の集団および衛星細胞の集団を晒す工程を含む。(c)において分化を誘導する工程は通常、分化を刺激する少なくとも1つの成長因子に脂肪前駆細胞の集団を露出する工程を含む。特定の例において、(c)の分化を誘導する工程は、分化を刺激する少なくとも1つの成長因子に衛星細胞の集団を晒す工程を含む。脂肪細胞と筋細胞は通常、質感のない組織を形成する。しばしば、少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む。多くの場合、少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む。しばしば、少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む。しばしば、無血清培地製剤は細胞培養のために使用される。ある例では、マッシュルームベースの培地製剤は、細胞培養のために使用される。場合によっては、細胞の集団は、少なくとも1つの細胞型へ分化転換される。場合によっては、細胞の集団は、肝細胞、筋細胞、および脂肪細胞の少なくとも1つへ分化転換される。
【0013】
いくつかの態様では、ヒト食用の培養組織を生産する方法が本明細書で開示され、上記方法は:a)自己再生細胞の集団を得る工程;b)自己再生細胞の集団を培養する工程;c)培養組織を形成するために自己再生細胞の集団において分化を誘導する工程;およびd)ヒト食用の培養組織を処理する工程、を含む。様々な態様は、以下の要素の少なくとも1つを含む。場合によっては、自己再生細胞の集団を得る工程は、バイオリアクターにおいて二次元接着性培養物から三次元培養物へと細胞の集団を移行させる工程を含む。しばしば、自己再生細胞の集団は、不死化した分化細胞を含む。自己再生細胞の集団において分化を誘導する工程はしばしば、集団中の細胞の、筋細胞、脂肪細胞、あるいはこれらの組み合わせへの分化転換を誘導する工程を含む。場合によっては、細胞の集団は、少なくとも1つの細胞型へ分化転換される。場合によっては、細胞の集団は、肝細胞、筋細胞、および脂肪細胞の少なくとも1つへ分化転換される。ある例では、培養は、3次元のマイクロスキャフォールド上で自己再生細胞の集団を播種する工程を含む。場合によっては、3次元のマイクロスキャフォールドは、細胞の増殖、接着、分化、またはそれらの組み合わせを促進する。3次元のマイクロスキャフォールドは、様々な態様において、細胞の成長、接着、分化、あるいはこれらの組み合わせを促進する少なくとも1つの因子に共役する。しばしば、マイクロスキャフォールドは、ヒドロゲル、キトサン、ポリエチレンテレフタレート、コラーゲン、エラスチン、硫酸ヘパラン、硫酸コンドロイチン、硫酸ケラタン、ヒアルロン酸、ラミニン、フィブロネクチン、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、リグニン、アルギン酸塩、グルコマンナン、ポリカプロラクトン(PCL)、テクスチャード植物性タンパク質(TVP)、テクスチャード大豆タンパク質(TSP)、およびアクリル酸塩の少なくとも1つを含む。ある例では、自己再生細胞の集団は、誘導性分化を経験するように修飾された少なくとも1つの細胞を含む。いくつかの例では、少なくとも1つの細胞は、以下を組み込むように修飾される:a)少なくとも1つの多能性遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む第1の遺伝子構築物;および、b)少なくとも1つの多能性遺伝子を不活性化するように構成された調節因子のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む第2の遺伝子構築物。しばしば、自己再生細胞の集団は、培養中に少なくとも50の細胞分裂を受ける少なくとも1つの細胞を含む。場合によっては、調節因子はレコンビナーゼであり、少なくとも1つの多能性遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)は、レコンビナーゼの発現が少なくとも1つの多能性遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の切除を触媒するように、レコンビナーゼによって認識された組換え配列と隣接している。第2の遺伝子構築物は、例によっては、肝細胞核因子1α(HNF1A)、フォークヘッドボックスA2(FOXA2)、および肝細胞核因子4α(HNF4A)から選択された少なくとも1つの肝細胞分化因子のORFを含む。様々な態様では、第2の遺伝子構築物は、ミオゲニン(MyoG)、筋原性分化1(MyoD)、筋原性因子6(MRF4)、および筋原性因子5(MYF5)から選択された少なくとも1つの筋原性因子を含む。第2の遺伝子構築物はしばしば、脂肪酸結合タンパク質4(FABP4)、インスリン反応性ブドウ糖輸送担体4型(GLUT4)、アディポネクチン、C1Qおよびコラーゲンドメイン含有(ADIPOQ)、1-アシルグリセロール-3-リン酸塩O-アシルトランスフェラーゼ2(AGPAT2)、ペリリピン1(PLIN1)、レプチン(LEP)、およびリポプロテインリパーゼ(LPL)から選択された少なくとも1つの脂肪生成因子を含む。しばしば、第2の遺伝子構築物はさらに:a)少なくとも1つの分化遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF);および、b)i)少なくとも1つの分化遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF);および、ii)調節因子のオープンリーディングフレーム(ORF)の発現を制御する誘導性プロモーターを含む。ある例では、分化を誘導する工程は、少なくとも1つの細胞系統遺伝子のORFおよび調節因子のORFの発現を誘導するために少なくとも1つの細胞を誘導剤に晒す工程を含む。方法は典型的には、工程d)において自己再生細胞の集団が誘導剤で処置された後、および、ヒト食用に処理される前に、誘導剤を除去する工程を含む。分化を誘導する工程は、ある場合では、自己再生細胞の集団内で筋管を生成する工程を含む。多くの例では、分化を誘導する工程はさらに、自己再生細胞の集団内で脂肪細胞を生成する工程を含む。しばしば、自己再生細胞の集団は、工程c)の間に筋細胞と脂肪細胞に分化するように誘導される分化多能性細胞を含む。分化多能性細胞はしばしば、筋衛星細胞の第1の亜集団および脂肪前駆細胞の第2の亜集団を含む。いくつかの例では、分化を誘導する工程は、自己再生細胞の集団内で肝細胞を生成する工程を含む。自己再生細胞の集団は、いくつかの態様において、アヒル、ガチョウ、ニワトリ、および七面鳥から選択された鳥類に由来する。上記方法はしばしば肝細胞の少なくとも1つ内で脂肪症を誘導する工程を含む。特定の例において、自己再生細胞の集団は、導入剤での処置時に脂肪症を増強するために少なくとも1つの遺伝子を発現するように修飾された少なくとも1つの細胞を含む。しばしば、少なくとも1つの細胞は、ATF4、ZFP423、LPIN1、PPAR、APOC3、APOE、ORL1、PEMT、MTTP、SREBP、STAT3、またはKLF6をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む構築物を用いて安定的に形質転換される。433.様々な態様では、脂肪症を誘導する工程は、少なくとも栄養剤を含む培地中で肝細胞をインキュベートする工程を含む。少なくとも1つの栄養剤はしばしば多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、あるいはこれらの組み合わせを含む。場合によっては、少なくとも1つの栄養剤は、パルミチン酸、オレイン酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、またはそれらの組み合わせを含む。培養組織は、ある態様では、タコ、ヤリイカ、あるいはコウイカの筋細胞を含む。しばしば、培養組織は魚の筋組織を含む。自己再生細胞の集団は、スズキ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、またはマスに由来し得る。多くの場合では、魚の筋組織は工程d)の間に別に培養された魚の脂肪組織と組み合わされる。いくつかの例では、細胞の集団は無血清培地製剤を使用して培養される。無血清培地製剤は、実施形態によっては、マッシュルーム抽出物または大豆加水分解物を含む。
【0014】
本明細書にはヒト食用の培養された食肉を生産する方法が開示される。いくつかのそのような方法は:a)懸濁培養において成長が可能な自己再生細胞の集団を得る工程;b)懸濁液中で自己再生細胞の集団を培養する工程;c)筋細胞および脂肪細胞の少なくとも1つを形成するために細胞の集団で分化を誘導する工程;および、d)細胞の集団をヒト食用の肉へと処理する工程を含む。様々な態様は、以下の要素の少なくとも1つを組み込む。しばしば、肉は魚肉である。魚肉は通常は寿司である。いくつかの実施形態では、魚肉はすり身である。しばしば、魚肉は生食に適している。特定の場合には、魚肉は調理される。特定の場合には、魚肉は鮭肉である。特定の態様では、魚肉は寿司に使用できる品質等級の鮭肉である。場合によっては、魚肉はマグロ肉である。しばしば、魚肉は寿司に使用できる品質等級のマグロ肉である。しばしば、(c)での分化を誘導する工程は、細胞の集団に筋細胞と脂肪細胞を形成させる。魚肉は通常、少なくとも50%の高い解糖性および嫌気性の筋線維から構成される。細胞の集団は通常、スズキ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、またはマスに由来する。(d)において処理する工程はしばしば、上記細胞の集団を、筋細胞または脂肪細胞から構成される細胞の第2の集団と組み合わせる工程を含む。ある態様では、細胞の集団は胚性幹細胞として単離される。しばしば、細胞の集団は多能性を誘導するために修飾されてきた。細胞のある集団は分化多能性成体幹細胞として単離される。しばしば、自己再生細胞の集団は不死化細胞である。培養する工程は典型的には細胞培養中の細胞の集団を成長させ拡大させる工程を含む。しばしば、分化を誘導する工程は、分化を刺激する培養条件に細胞の集団を晒す工程を含む。場合によっては、分化は、異なる細胞型への細胞の分化転換を含む。しばしば、分化を誘導する工程は、例によっては、分化を刺激する少なくとも1つの成長因子に細胞の集団を晒す工程を含む。培養する工程はしばしば、2次元表面上で細胞の集団を育てる工程を含む。細胞のある集団は分化後に質感のない組織を形成する。ある態様において、培養する工程は、少なくとも1つの栄養剤を含む培地製剤において細胞の集団を成長させる工程を含む。しばしば、少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む。他の場合には、少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む。時折、少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む。しばしば、細胞の集団は無血清培地製剤を使用して培養される。多くの例では、細胞の集団はマッシュルームベースの培地製剤を使用して培養される。
【0015】
ヒト食用の高い脂質蓄積を有する培養細胞を生成する方法が本明細書で開示される。いくつかの方法は:a)細胞の集団を培養する工程;b)細胞の集団内で分化を誘導する工程;c)細胞の集団内で高脂肪蓄積を誘導する工程;および、d)細胞の集団をヒト食用に処理する工程を含む。様々な態様は、以下の要素の少なくとも1つを組み込む。ある例では、分化後の細胞の集団は肝細胞を含む。しばしば、処理する工程は、フォアグラ中の成分として細胞の集団を使用する工程を含む。細胞の集団は、場合によっては、アヒルまたはガチョウに由来する。細胞の集団はしばしば、家禽と家畜の少なくとも1つに由来する。ある例では、高脂肪蓄積を誘導する工程は脂肪症を誘導する工程を含む。いくつかの実施形態において、高い脂質蓄積は、細胞質の脂肪滴の過剰な蓄積を特徴とする。高脂肪蓄積を誘導する工程はしばしば、少なくとも1つの脂質代謝経路を調節する外因性の化合物に細胞の集団を晒す工程を含む。ある場合には、高脂肪蓄積を誘導する工程は、毒素および高脂質濃縮の少なくとも1つに細胞の集団を晒す工程を含む。しばしば、高脂肪蓄積を誘導する工程は、細胞の集団内の脂質保持を増強するために少なくとも1つの脂質代謝経路を調節する工程を含む。いくつかの例では、高脂肪蓄積を誘導する工程は、脂質代謝を調節するために細胞の集団内の少なくとも1つの遺伝子を変更する工程を含む。しばしば、分化後の細胞の集団は、肝臓、心臓、腎臓、胃、腸、肺、横隔膜、食道、胸腺、膵臓、または舌の細胞を含む。細胞の集団をヒト食用に処理する工程は、様々な態様において、上記細胞の集団を、低脂質蓄積を備える細胞と混ぜ合わせる工程を含む。細胞の集団はしばしば、胚性幹細胞として単離される。ある場合には、細胞の集団は多能性を誘導するために修飾されてきた。例によっては、細胞の集団は分化多能性成体幹細胞として単離される。培養する工程は典型的には細胞培養中の細胞の集団を成長させ拡大させる工程を含む。ある態様では、分化を誘導する工程は、分化を刺激する培養条件に細胞の集団を晒す工程を含む。実施形態によっては、分化を誘導する工程は、分化を刺激する少なくとも1つの成長因子に細胞の集団を晒す工程を含む。場合によっては、分化は、異なる細胞型への細胞の分化転換を含む。培養する工程はしばしば、2次元表面上で細胞の集団を育てる工程を含む。多くの場合に、培養する工程は、3次元スキャフォールドで細胞の集団を育てる工程を含む。ある例では、培養する工程は、バイオリアクター内においてマイクロスキャフォールド上で細胞の集団を育てる工程を含み、ここで、マイクロスキャフォールドは細胞接着を可能にする。いくつかの実施形態において、細胞の集団は、生存と増殖に接着基質を必要としない。しばしば、細胞の集団は懸濁培養に適している。細胞の集団はしばしば、分化後に質感のない組織を形成する。細胞の集団は、態様によっては、分化後に非筋組織を形成する。様々な場合には、培養する工程は、少なくとも1つの栄養剤を含む培地製剤において細胞の集団を成長させる工程を含む。態様によっては、少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む。少なくとも1つの栄養剤は頻繁に多価不飽和脂肪酸の少なくとも1つを含む。しばしば、細胞の集団は無血清培地製剤を使用して培養される。多くの例では、細胞の集団はマッシュルームベースの培地製剤を使用して培養される。
【0016】
高脂質含有量を有する質感のない培養組織を生産する方法が本明細書で開示される。いくつかのそのような方法は:a)自己再生可能な分化細胞の集団を得る工程;b)分化細胞の集団を培養する工程;c)細胞が高脂質含有量を蓄積するように、分化細胞の集団に脂肪過多症を誘導するために少なくとも1つの脂質代謝経路を操作する工程;および、d)分化細胞の集団を質感のない組織へと処理する工程を含む。様々な態様は、以下の要素の少なくとも1つを組み込む。場合によっては、自己再生可能な分化細胞の集団を得る工程は、分化細胞を不死化細胞に形質転換する工程を含む。しばしば、自己再生可能な分化細胞の集団を得る工程は、不死化細胞に自然突然変異が生じるまで分化細胞を培養する工程を含む。場合によっては、分化は、異なる細胞型への細胞の分化転換を含む。しばしば、分化細胞の集団は線維芽細胞を含む。いくつかの例では、分化細胞の集団は、筋細胞、脂肪細胞、あるいはこれらの組み合わせへ分化転換される。分化細胞の集団は、態様によっては、サケまたはマスなどの魚に由来する。分化細胞の集団はある例では肝細胞を含む。多くの場合、処理する工程は、フォアグラ中の成分として分化細胞の集団を使用する工程を含む。ある実施形態では、分化細胞の集団はアヒルまたはガチョウに由来する。分化細胞の集団はしばしば、家禽と家畜の少なくとも1つに由来する。典型的には、脂肪症は、細胞質の脂肪滴の過剰な蓄積を特徴とする。ある実施形態では、少なくとも1つの脂質代謝経路を操作する工程は、細胞の集団を外因性化合物に晒す工程を含む。少少なくとも1つの脂質代謝経路を操作する工程は、態様によっては、毒素および高脂質濃度の少なくとも1つに分化細胞の集団を晒す工程を含む。代わりに、あるいは、組み合わせて、少なくとも1つの脂質代謝経路を操作する工程は、脂質代謝を調節するために細胞の集団内の少なくとも1つの遺伝子を改変する工程を含む。多くの場合、分化細胞の集団は、肝臓、心臓、腎臓、胃、腸、肺、横隔膜、食道、胸腺、膵臓、または舌の細胞を含む。しばしば、分化細胞の集団を処理する工程は、細胞の集団を、低脂質蓄積を有する細胞と混合することを含む、ことをとする実施形態に記載の方法。多くの態様では、培養する工程は細胞培養中の細胞の集団を成長させ拡大させる工程を含む。培養する工程はしばしば、2次元表面上で細胞の集団を育てる工程を含む。ある態様では、培養する工程は、3次元スキャフォールドで細胞の集団を育てる工程を含む。場合によっては、培養する工程は、バイオリアクター内においてマイクロスキャフォールド上で細胞の集団を育てる工程を含み、ここで、マイクロスキャフォールドは細胞接着を可能にする。細胞の集団は、ある例では、生存と増殖に接着基質を必要としない。しばしば、細胞の集団は懸濁培養に適している。しばしば、分化細胞の集団は質感のない組織を形成する。場合によっては、細胞の集団は非筋組織を形成する。培養する工程は、多くの態様では、少なくとも1つの栄養剤を含む培地製剤中で細胞の集団を育てる工程を含む。ある例では、少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む。しばしば、少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む。しばしば、少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む。しばしば、細胞の集団は無血清培地製剤を使用して培養される。多くの例では、細胞の集団はマッシュルームベースの培地製剤を使用して培養される。
【0017】
本明細書にはヒト食用の培養された非筋組織を生産する方法が開示される。いくつかのそのような方法は:a)自己再生細胞の集団を得る工程;b)自己再生細胞の集団を培養する工程;c)非筋組織を形成するために細胞の集団において分化を誘導する工程;および、d)ヒト食用に培養非筋組織を処理する工程、を含む。様々な態様は、以下の要素の少なくとも1つを組み込む。場合によっては、分化は、異なる細胞型への細胞の分化転換を含む。
【0018】
態様によっては、ヒト食用の培養組織を生産するための方法が本明細書で開示され、上記方法は:自己再生細胞の集団を得る工程;懸濁培養に自己再生細胞の集団を適応させる工程;自己再生細胞の集団を培養する工程;培養組織を形成するために細胞の集団において分化を誘導する工程;および、培養組織をヒト食用に処理する工程を含む。場合によっては、分化は、異なる細胞型への細胞の分化転換を含む。
【0019】
本明細書にはヒト食用の培養された質感のない筋組織を生産する方法が開示される。いくつかのそのような方法は:a)自己再生細胞の集団を得る工程;b)自己再生細胞の集団を培養する工程;c)質感のない筋組織を形成するために細胞の集団において分化を誘導する工程;および、d)ヒト食用に培養された質感のない筋組織を処理する工程、を含む。様々な態様は、以下の要素の少なくとも1つを組み込む。場合によっては、質感のない筋組織はタコ、ヤリイカ、あるいはコウイカの筋肉である。しばしば、質感のない筋組織は魚の筋組織である。ある例では、魚の筋組織は高い解糖性および嫌気性の筋線維を含む。高い解糖性および嫌気性の筋線維はしばしば、魚の筋組織の最大で80%を構成する。場合によっては、細胞の集団は、スズキ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、またはマスに由来する。様々な態様では、質感のない筋組織は、脂肪組織と組み合わされる。しばしば、筋組織と脂肪組織はすり身製品を作るために組み合わされる。ある場合に、魚筋肉と脂肪組織は寿司に使用できる品質等級である。細胞の集団は、特定の実施形態において、多能性成体幹細胞として単離される。ある態様では、細胞の集団は多能性を誘導するために修飾されてきた。多くの場合、細胞の集団は分化多能性成体幹細胞として単離される。培養する工程は、様々な例において、細胞培養中の細胞の集団を成長させ拡大させる工程を含む。しばしば、分化を誘導する工程は、分化を刺激する培養条件に細胞の集団を晒す工程を含む。場合によっては、分化は、異なる細胞型への細胞の分化転換を含む。しばしば、分化を誘導する工程は、分化を刺激する少なくとも1つの成長因子に細胞の集団を晒す工程を含む。様々な態様において、培養する工程は、2次元表面上で細胞の集団を育てる工程を含む。しばしば、培養する工程は、3次元スキャフォールドで細胞の集団を育てる工程を含む。ある例では、培養する工程は、バイオリアクター内においてマイクロスキャフォールド上で細胞の集団を育てる工程を含み、ここで、マイクロスキャフォールドは細胞接着を可能にする。いくつかのシナリオでは、細胞の集団は、生存と増殖に接着基質を必要としない。しばしば、細胞の集団は懸濁培養に適している。ある実施形態では、細胞の集団は分化後に質感のない組織を形成する。細胞の集団はしばしば、分化後に質感のない筋組織を形成する。ある場合には、培養する工程は、少なくとも1つの栄養剤を含む培地製剤において細胞の集団を成長させる工程を含む。例によっては、少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む。典型的には、少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む。しばしば、少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む。しばしば、細胞の集団は無血清培地製剤を使用して培養される。多くの例では、細胞の集団はマッシュルームベースの培地製剤を使用して培養される。
【0020】
培養された鳥類の肝臓組織を含む、フォアグラを調製する方法が本明細書で開示される。いくつかのそのような方法は:a)自己再生可能な鳥類由来の細胞の集団を得る工程;b)鳥類由来の細胞の集団を肝細胞に分化する工程;および、c)高脂質含有量を有する鳥類の培養肝臓組織を生成するために肝細胞に脂肪症を誘導する工程;および、d)フォアグラとして培養された鳥類の肝臓組織を調製する工程を含む。様々な態様は、以下の要素の少なくとも1つを組み込む。しばしば、細胞はアヒルの細胞である。ある態様では、細胞はガチョウの細胞である。場合によっては、分化は、異なる細胞型への細胞の分化転換を含む。
【0021】
高脂質含有量を有し、かつ、ヒト食用に処理された、組織培養肝細胞を含む、調理用フォアグラ組成物が本明細書で開示される。様々な態様は、以下の要素の少なくとも1つを組み込む。場合によっては、組成物は複数の切片へ処理される。ある例では、各切片はわずか約5オンスの重さしかない。各切片はしばしば個別にパッケージ化される。しばしば、フォアグラ組成物は少なくとも約1.5ポンドの重さであり、丸く引き締まっており、かつ傷がない。様々な態様において、フォアグラ組成物にはAグレード評価を示す包装ラベルがある。ある実施形態では、フォアグラ組成物は約0.75~約1.5ポンドの重さである。いくつかの例では、フォアグラ組成物にはBグレード評価を示す包装ラベルがある。フォアグラ組成物は、場合によっては、約1ポンド未満の重さがあり、わずか3つの傷しかない。場合によっては、フォアグラ組成物にはCグレード評価を示す包装ラベルがある。ある実施形態では、組織培養肝細胞は脂肪質である。多くの例では、組織培養肝細胞は、細胞質の脂肪滴の過剰な蓄積を特徴とする。高い脂質含有量は、ある態様中で少なくとも1つの脂質代謝経路を調節する外因性の化合物への暴露によって得られる。高い脂質含有量は、毒素および高い脂質濃度の少なくとも1つへの暴露によってしばしば得られる。しばしば、高い脂質含有量は、細胞の集団内の脂質保持を増強するために少なくとも1つの脂質代謝経路の調節によって得られる。高い脂質含有量は、組織培養肝細胞中の少なくとも1つの遺伝子の改質によって得られる。しばしば、一層のフォアグラ組成物は、低い脂質蓄積がある細胞を含む。様々な態様では、組織に培養された肝細胞は単離された胚性幹細胞を区別される。組織に培養された肝細胞は、ある症例には、人工多能性幹細胞を区別される。組織に培養された肝細胞はある例では単離された分化多能性成体幹細胞を区別される。組織培養肝細胞は、自己再生可能な細胞の集団における分化によって生成される、ことをとする実施形態に記載の組成物。しばしば、分化をする工程は、分化を刺激する培養条件に細胞の集団を晒す工程を含む。場合によっては、分化は、異なる細胞型への細胞の分化転換を含む。実施形態によっては症例、分化をする工程は、分化を刺激する少なくとも1つの成長因子に細胞の集団を晒す工程を含む。しばしば、組織培養肝細胞は2次元表面で育てられる。組織培養肝細胞は、例によっては、3次元スキャフォールドで育てられる。様々な態様において、組織培養肝細胞は、バイオリアクター内のマイクロスキャフォールド上で育てられ、マイクロスキャフォールドは細胞接着を可能とする。ある実施形態では、組織培養肝細胞は、生存と増殖に接着基質を必要としない。しばしば、組織培養肝細胞は懸濁培養に適している。しばしば、組織培養肝細胞は質感のない組織を形成する。様々な例では、組織培養肝細胞は質感のない筋組織を形成する。組織培養肝細胞は、多くの場合、少なくとも1つの栄養剤を含む培地製剤中で培養される。しばしば、少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む。ある実施形態では、少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む。しばしば、少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む。しばしば、組織培養肝細胞は無血清培地製剤を使用して培養される。多くの例では、組織培養肝細胞はマッシュルームベースの培地製剤を使用して培養される。
【0022】
ヒト食用の質感のない非筋肉食品へと処理される培養臓器細胞を含む組成物が本明細書で開示される。様々な態様は、以下の要素の少なくとも1つを組み込む。場合によっては、培養臓器細胞は肝細胞を含む。ある態様では、培養臓器細胞は鳥類の細胞を含む。しばしば、食品は複数の切片へ処理される。しばしば、各切片はわずか約5オンスの重さしかない。各切片は通常、個別にパッケージ化される。多くの態様では、食品はフォアグラである。フォアグラは通常、少なくとも約1.5ポンドの重さであり、丸く引き締まっており、かつ傷がない。ある例では、フォアグラにはAグレード評価を示す包装ラベルがある。様々な態様において、フォアグラは約0.75~約1.5ポンドの重さである。ある実施形態において、フォアグラにはBグレード評価を示す包装ラベルがある。しばしば、フォアグラは約1ポンド未満の重さであり、わずか3つの傷しかない。様々な例では、フォアグラにはCグレード評価を示す包装ラベルがある。しばしば、組織培養肝細胞は脂肪質である。ある場合には、フォアグラは高い脂質含有量を特徴とする。態様によっては、高い脂質含有量は、少なくとも1つの脂質代謝経路を調節する外因性の化合物への暴露によって得られる。高い脂質含有量は、毒素および高い脂質濃度の少なくとも1つへの暴露によってしばしば得られる。ある場合には、高い脂質含有量は、細胞の集団内の脂質保持を増強するために少なくとも1つの脂質代謝経路の調節によって得られる。しばしば、高脂質含有量は、組織培養肝細胞の少なくとも1つの遺伝子の改質によって得られる。態様によっては、フォアグラ組成物はさらに、低い脂質蓄積がある細胞を含む。ある例では、培養臓器細胞は2次元表面で育てられる。しばしば、培養臓器細胞は3次元スキャフォールドで育てられる。培養臓器細胞はバイオリアクター内のマイクロスキャフォールドで育てられ、ここで、マイクロスキャフォールドは、様々な実施形態において細胞接着を可能にする。培養臓器細胞はしばしば、生存と増殖には接着基質を必要としない。しばしば、組織培養肝細胞は懸濁に適している。様々な態様では、培養臓器細胞は質感のない組織を形成する。しばしば、培養臓器細胞は非筋組織を形成する。様々な場合に、培養臓器細胞は少なくとも1つの栄養剤を含む培地製剤中で培養される。しばしば、少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む。少なくとも1つの栄養剤は、多くの例では、多価不飽和脂肪酸を含む。しばしば、少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む。しばしば、培養臓器細胞は無血清培地製剤を使用して培養される。多くの例では、培養臓器細胞はマッシュルームベースの培地製剤を使用して培養される。
【0023】
培養された脂肪質鳥類の肝臓細胞と調味料を含むヒト食用のフォアグラ組成物が本明細書で開示される。場合によっては、調味料は塩、コショウ、および砂糖の少なくとも1つを含む。
【0024】
高脂質含有量を有する培養肝臓細胞、および低脂質含有量を有する肝細胞を含む、フォアグラ組成物が本明細書で開示される。様々な態様は、以下の要素の少なくとも1つを組み込む。場合によっては、高脂質含有量を有する培養肝臓細胞、および低脂質含有量を有する肝細胞は、一緒に混合される。ある例では、フォアグラ組成物は、ムース、パフェ、およびパテのうち1つを調製するための成分として適切である。典型的には、低脂質含有量を有する肝臓細胞は培養細胞である。いくつかの実施形態において、低脂質含有量を有する肝臓細胞は無培養細胞である。
【0025】
細胞培養で育てられ、かつ、ヒト食用に処理される、鳥類の肝臓細胞を含むヒト食用組成物が本明細書で開示される。
【0026】
包装済みのフォアグラ組成物であって、培養肝臓細胞と、上記フォアグラ組成物が強制給餌により生産されたものではないことを示すラベルを有するパッケージとを含む、包装済みのフォアグラ組成物が本明細書で開示される。
【0027】
包装済みのフォアグラ組成物であって、培養肝臓細胞と、フォアグラが病原体のない環境で製造されたことを示すラベルを有するパッケージとを含む、包装済みのフォアグラ組成物が本明細書で開示される。ある例では、ラベルは、組成物が鳥類の鳥インフルエンザウイルスへ暴露されることなく作られたことを示す。
【0028】
包装済みのヒト食用の組成物であって、食品へと処理された培養細胞と、上記組成物が毒素へ曝露されることなく製造されたことを示すラベルとを含む、包装済みのヒト食用の組成物が本明細書で開示される。ある場合では、毒素は殺虫剤、除草剤、および殺菌剤のうちの1つである。
【0029】
抗生物質を用いることなくヒト食用の培養細胞を生産する方法が本明細書で開示される。いくつかのそのような方法は:a)抗生物質を使用することなく細胞の集団を培養する工程;b)細胞の集団内で分化を誘導する工程;c)細胞の集団内で高脂肪蓄積を誘導する工程;および、d)細胞の集団をヒト食用に処理する工程を含む。場合によっては、分化は、異なる細胞型への細胞の分化転換を含む。
【0030】
病原体に晒すことなくヒト食用の培養細胞を生産する方法が本明細書で開示される。いくつかのそのような方法は:a)病原体を含まない培養環境で細胞の集団を培養する工程;b)細胞の集団内で分化を誘導する工程;c)細胞の集団内で高脂肪蓄積を誘導する工程;および、d)細胞の集団をヒト食用に処理する工程を含む。場合によっては、分化は、異なる細胞型への細胞の分化転換を含む。
【0031】
毒素に晒すことなくヒト食用の培養細胞を生産する方法が本明細書で開示される。いくつかのそのような方法は:a)毒素を含まない培養環境で細胞の集団を培養する工程;b)細胞の集団内で分化を誘導する工程;c)細胞の集団内で高脂肪蓄積を誘導する工程;および、d)細胞の集団をヒト食用に処理する工程を含む。場合によっては、分化は、異なる細胞型への細胞の分化転換を含む。
【0032】
高脂質含有量を有し、かつ、血管系を有していない質感のない培養組織を生産する方法が本明細書で開示される。いくつかのそのような方法は:a)細胞の集団を培養する工程;b)細胞の集団内で分化を誘導する工程;c)細胞が高脂質含有量を蓄積するように、分化細胞の集団に脂肪過多症を誘導するために脂質代謝経路を操作する工程;および、d)分化細胞の集団を血管系のない質感のない組織へと処理する工程を含む。場合によっては、分化は、異なる細胞型への細胞の分化転換を含む。
【0033】
ヒト食用の高い栄養素含有量を有する培養組織を生産する方法が本明細書で開示される。いくつかのそのような方法は:a)少なくとも1つの栄養剤を有する培養培地において細胞の集団を培養する工程;b)細胞が高脂質含有量を蓄積するように、分化細胞の集団に脂肪過多症を誘導するために脂質代謝経路を操作する工程;および、c)ヒト食用に、分化細胞の集団を血管系のない質感のない組織へと処理する工程を含む。様々な態様は、以下の要素の少なくとも1つを組み込む。例によっては、少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む。しばしば、少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む。しばしば、少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む。
【0034】
ヒト食用の培養された臓器組織を生産する方法が本明細書に開示される。いくつかのそのような方法は:a)自己再生可能な細胞の集団を培養する工程;b)臓器組織を生成するために細胞の集団において分化を誘導する工程;および、c)ヒト食用に臓器組織を処理する工程を含む。様々な態様は、以下の要素の少なくとも1つを組み込む。場合によっては、臓器細胞は、肝臓、心臓、腎臓、胃、腸、肺、横隔膜、食道、胸腺、膵臓、または舌の組織である。場合によっては、分化は、異なる細胞型への細胞の分化転換を含む。様々な実施形態において、臓器組織は肝臓組織である。しばしば、処理する工程は、追加の細胞組織に臓器組織を混ぜ合わせる工程を含む。追加の細胞組織は、多くの例では、非脂肪質肝臓細胞を含む。
【0035】
ヒト食用の増強された栄養素含有量を有する培養された魚組織を生産する方法が本明細書で開示される。いくつかのそのような方法は:a)少なくとも1つの栄養剤を有する培養培地において魚類筋細胞の集団を培養する工程;B)筋細胞の集団を拡大させる工程;および、c)ヒト食用に筋細胞の集団を魚類組織へと処理する工程を含む。様々な態様は、以下の要素の少なくとも1つを組み込む。場合によっては、魚組織は速筋線維を含む。ある実施形態では、上記方法はさらに、筋細胞の集団を脂肪細胞の集団と組み合わせる工程を含む。魚筋細胞はしばしば、サケ筋細胞である。魚筋細胞はしばしば、マグロ筋細胞である。場合によっては、魚筋細胞はマス筋細胞である。
【0036】
本明細書に記載された方法のいずれにかかる培養された筋細胞および脂肪細胞から生産された魚組織を含むヒト食用組成物が本明細書で開示される。
【0037】
ヒト食用に適した培養組織を生産するためのバイオリアクターシステムが本明細書で開示され、上記システムは:a)細胞付着のための接着表面を提供する複数のマイクロスキャフォールドを含むリアクターチャンバー;b)バイオリアクター内で栽培される、自己再生細胞の集団;c)自発的に分化することなく自己再生細胞の集団を維持するための成分を含む、少なくとも1つの維持培地を提供する第1のソース;および、d)自己再生細胞の集団を特異的な系統へと分化するための成分を含む、少なくとも1つの分化媒体を提供する第2のソースを含んでおり;ここで、リアクターチャンバーは、細胞の集団を栽培するために第1のソースから維持培地を受け取り、且つ、細胞の集団を分化するために第2のソースから分化培地を受け取り、単一のバッチに生成される細胞の集団は、ヒトによる消費に適しており且つ少なくとも1kgの乾燥乾重量を有する培養組織を含む、ことを特徴とするシステム。様々な態様は、以下の要素の少なくとも1つを組み込む。場合によっては、上記システムはさらに、リアクターチャンバーをモニタリングするための少なくとも1つのセンサを含む。ある実施形態において、少なくとも1つのセンサは、バイオセンサ、化学センサ、または光センサである。しばしば、少なくとも1つのセンサは、pH、温度、酸素、二酸化炭素、グルコース、乳酸塩、アンモニア、ヒポキサンチン、アミノ酸、ドーパミン、および脂質のうち少なくとも1つをモニタリングするように構成される。しばしば、上記システムはさらに、少なくとも1つの追加のリアクターチャンバーを含む。単一のバッチはしばしば、少なくとも5kgの乾燥重量を有する。しばしば、上記バイオリアクターシステムはさらに、複数のマイクロスキャフォールドを含む。代わりに、上記バイオリアクターシステムはさらに、少なくとも1つの3Dスキャフォールドを含む。バイオリアクターシステムは頻繁に、細胞の集団において脂肪過多症または脂質蓄積を誘導するための成分を含む、少なくとも1つの脂肪性媒体を提供する第3のソースを含む。様々な場合に、細胞の集団は少なくとも1つの栄養剤を含む培地中で培養される。しばしば、細胞の集団は無血清培地製剤を使用して培養される。多くの例では、細胞の集団はマッシュルームベースの培地製剤を使用して培養される。
【0038】
いくつかの態様において、ヒト食用の培養された食品であって、前述の方法のいずれか1つの方法に従って生産された組織を含む、ヒト食用の培養された食品が本明細書で開示される。しばしば、培養された食品は、培養組織が病原体のない環境、毒素のない環境、動物に強制給餌を行わない環境、またはそれらの任意の組み合わせで生産されたことを示すラベルを有するパッケージを含む。ある例では、培養組織は複数の切片へ処理され、培養された食品を形成するためにパッケージ化される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明の特徴と利点についてのよりよい理解は、本発明の原則が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な記載と添付の図面を参照することによって得られる:
【
図1】ヒト食用の脂質蓄積を有する培養細胞を生成するプロセスのフローチャートを示す。
【
図2】ヒト食用の筋細胞と脂肪細胞を含む培養された食肉を生産するプロセスのフローチャート示す。
【
図3】食肉を培養する例示的なプロセスの概略を示す。
【
図4A】培養されたフォアグラを生産するために脂肪肝細胞を生成する例示する方法を例証する略図を示す。
【
図4B】ヒト食用の培養された魚組織を生産するための方法を例示する略図を示す。
【
図5B】単離されたマス筋衛星細胞中の遺伝マーカーの発現を示す。
【
図5C】筋衛星細胞を分化させることにより形成された成熟した筋管を示す。
【
図5D】筋衛星細胞からの分化後の筋管のシートを示す。
【
図6A】サケの筋衛星細胞(矢じり)とサケの脂肪前駆細胞(矢)の共培養を示す。
図6Bで示されるように、脂肪前駆細胞は脂肪細胞へ分化可能であり、および筋衛星細胞は筋細胞(矢じり)へ分化可能である。
【
図6B】サケの筋衛星細胞(矢じり)とサケの脂肪前駆細胞(矢)の共培養を示す。
図6Bで示されるように、脂肪前駆細胞は脂肪細胞へ分化可能であり、および筋衛星細胞は筋細胞(矢じり)へ分化可能である。
【
図7A】バイオリアクター内で増殖されるスフェロイドを形成するために誘導されたサケの線維芽細胞を示す。
【
図7B】スフェロイドを2Dの培養条件に戻して、線維芽細胞が周辺に移動してコロニーを形成したことを観察した後のスフェロイドの生存率の確認を示す。
【
図8】バスの筋衛星細胞の成功した細胞培養を示す。
【
図9】スフェロイドを3次元の懸濁培養のために移動させることができるスピナーフラスコと懸滴で増大するアヒル肝細胞から形成されたスフェロイドを示す。
【
図10A】分化に成功した後の培養物中で成長するアヒル肝細胞を示す。
【
図10B】肝細胞分化のマーカーを測定することにより成功した肝細胞分化を確認した。
【
図11A】初代線維芽細胞を培養し、分割細胞のコロニーを採取することにより生成されたアヒルの自己再生細胞を示す。
【
図11B】初代線維芽細胞を培養し、分割細胞のコロニーを採取することにより生成されたマスの自己再生細胞を示す。
【
図12】肝細胞への誘導性分化をもたらすために細胞へ導入することができる遺伝子構築物の例示的な実施形態を示す。
【
図13】細胞を脂肪症にかかりやすくする1つ以上の遺伝子の誘導性の発現を可能にするために細胞へ導入することができる構築物の例示的な実施形態を示す。
【
図14】多能性表現型から分化した表現型への増殖/分化の切り替えを可能にするために細胞へ導入することができるDNA構築物系の例示的な実施形態を示す。
【
図15】誘導可能な「オフスイッチ」を与えるために細胞へ導入することができる例示的な構築物を示す。
【
図16A】リノール酸を用いるインキュベーション後のアヒル肝細胞における成功した脂肪症の誘導を示す。
【
図16B】脂肪肝細胞の割合をリノール酸の濃度と相関させる用量反応曲線を示す。
【
図17】大豆の加水分解物の存在下において徐々に低下する濃度のウシ胎仔血清(FBS)を有する媒体中で培養された場合の肝細胞の個体数を示す。
【
図18】細胞培養培地からウシ胎仔血清を連続的に減少させた後の10%のシイタケ抽出物中で成功裡に育てられたアヒルの線維芽細胞を示す。
【
図19A】追加の無血清培地のない無血清培地で育てられたアヒルの線維芽細胞を示す;
【
図19B】10%のウシ胎仔血清で補足されたDMEM中で育てられた対照培養物を示す。
【
図20】ヒト食用の細胞の培養するためのバイオリアクター系の略図を示す。
【
図21】食肉生産プロセスの一部として使用されているバイオリアクター系の別の略図を示す。
【
図22A】懸滴法(左パネル)を使用して生成された胚様体、および3D培養物で成長させるために胚様体を移す例示的なバイオリアクターを示す。
【
図22B】別の例示的なバイオリアクター(左パネル)、および、3D培養物中で増殖するスフェロイドからの細胞を示す(右パネル)。
【
図23A】成功裡にグルコマンナンマイクロスキャフォールドに付いた筋衛星細胞から成功裏に分化したマスの筋管を示す。
【
図23B】同一の細胞培養状態で育てられた同じ調製物からの未分化筋衛星細胞の陰性対照を示す。
【
図24A】グルコマンナンのマイクロスキャフォールド(矢)上で成功裡に育てられたアヒルの線維芽細胞(矢じり)を示す。
【
図24B】代表的なグルコマンナンのマイクロスキャフォールドを示す。
【
図25】自発性収縮を実証するアヒルの筋組織の映像からキャプチャーした画像を示す。
【
図26】アヒルの脂肪肝臓細胞を使用して作られたアヒルのレバーパテとフォアグラバターを示す。
【
図27A】本明細書に記載された方法に従って作られたサケのパテとアヒル肉のパテの試作品を示す。
【
図27B】本明細書に記載された方法に従って作られたサケのパテとアヒル肉のパテの試作品を示す。
【
図28A】特定の遺伝子を活性化/サイレンシングする目的でCre送達の方法の例示的な実施形態を示す。
【
図28B】Bは食肉生成(例えば、増殖と分化)に関連する活性化された遺伝子セット間の「スイッチ」を誘発するためにCreを使用する別の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書には、細胞農業を使用して食品を生産するためのシステムと方法が開示される。細胞培養された食品は、従来の食糧生産によって引き起こされた負の影響を取り除くか大幅に減らす多くの利点を与える。このような利点は、集中的な家畜生産を利用して、あるいは、あるいは漁業と水産業を介して一般的に作られる食肉生産の領域で特に感じられる。肉を採取される生きた動物や魚を飼育するか捕らえる代わりに、自己再生能力を有する細胞を単離させるか、あるいは作り、細胞培養で成長させる。場合によっては、胚性幹細胞および多能性前駆細胞などの細胞は、自然に自己再生ができる。代わりに、あるいは、組み合わせて、細胞は自己再生する能力を獲得するように操作される。こうした細胞は培養されて、所望の量まで拡張される。しばしば、細胞は、例えば、大規模生産を可能にするバイオリアクターを使用して、スケーラブルやり方で培養される。様々な培地製剤を随意に用いて、細胞集団の拡張中などに自己再生の能力を維持できるようにするか、あるいは、所望の細胞型を生成するために特定の分化経路に細胞を押しやる。例えば、いくつかの例では、培養細胞は筋細胞、脂肪細胞、あるいは臓器細胞に分化するように誘導される。場合によっては、分化は、異なる細胞型への細胞の分化転換を含む。例えば、不死化した線維芽細胞は拡張して、その後、筋細胞、脂肪細胞、肝細胞、および/または、他の所望の細胞型へと分化転換可能である。しばしば、培地製剤は、ウシ胎仔血清または血清代替物を必要としないように従来の培地から修飾され、ヒト食用に試験されないままである。培地製剤は、ウシ胎仔血清などの動物成分の使用を減らすか、必要としなくなるように、植物に由来する低血清あるいは無血清の製剤を含み得る。植物ベースの製剤の例としては、大豆ベース、および、植物加水分解物ベースの培地製剤が挙げられる。培地製剤はしばしば、少なくとも1つのマッシュルームベースの成分を含む。ある場合では、少なくとも1つのマッシュルームに由来する抽出物は、培地製剤中のウシ胎仔血清に取って代わる。いくつかの培地製剤は培養細胞の栄養素含有量を増強するための少なくとも1つの成分を含む。代わりに、共培養システムは、組換え型タンパク質生成を必要としなくなることにより、かつ、培地の再利用を可能にすることにより、効率を増大させる調整培地系を提供するために使用される。代替的な培地製剤に加えて、3次元スキャフォールドおよび組織工学プラットフォームを用いて、多くの場合、大規模な成長を促進する。しばしば、スケーラブルのバイオリアクターは、大量生産に必要とされる必須の成長をもたらす。いくつかの例では、3次元スキャフォールドは、構造的な支持を与えるために、かつ従来の方法を使用して当量の食品に類似する所望の構造および/または組織へと培養細胞の成長を導くために、使用される。代わりに、あるいは、組み合わせて、マイクロスキャフォールドは、バイオリアクター中などの懸濁培養中での接着細胞の成長を可能にする。これらのマイクロスキャフォールドは、幹細胞を増強し、関連する血統への細胞の分化を方向付け、および、最終的な肉製品の風味、食感、および引張弾性を調節するために操作可能である。いくつかの接着細胞は接着表面を必要とすることなく、懸濁培養中で成長するように修飾される。ある食品は、例えば、フォアグラを作るための肝臓細胞などの細胞の均質な集団を使用して製造される。代わりに、いくつかの食品は、筋肉と脂肪細胞の組み合わせなどの細胞の異質な集団を使用して製造される。場合によっては、分化細胞の異質な集団を生成するために、細胞の集団を複数の細胞型へ分化させる。代わりに、独立した細胞集団は別の細胞型へ分化され、その後、組み合わされる。異質な細胞集団を使用するこうした方法は、例えば、筋肉と脂肪細胞の組み合わせから構成される鮭肉などの特定の組織の生産を可能にする。しばしば、培養細胞は所望の細胞または組織表現型を生成するように修飾される。培養された細胞は、自己再生の状態、細胞または組織型への分化、あるいは脂肪症体質などの所望の表現型を与えるように、1つ以上の遺伝子構築物で修飾され得る。培養細胞は、培養物環境への調整を介しても修飾可能である。例えば、肝臓細胞は、細胞質内部での過剰な脂質取り込みと貯蔵によって脂肪症を誘導するように、脂質が豊富な培地中で随意に培養される。多くの場合、脂肪肝臓細胞は採取され、フォアグラあるいはフォアグラ食品として処理される。採取された細胞は典型的に、所望の堅さおよび/または質感をもたらすために処理される。場合によっては、採取された細胞は、特別な味、質感、および、それらが再生しようとする高品質の肉とは判別不能な他の特性を達成するために処理される。
【0041】
本明細書で開示される細胞培養食品を生産するためのシステムおよび方法は、多くの利点を与える。培養された食肉は、生産中に鳥類の鳥インフルエンザあるいは様々なバクテリア菌株などの病原体に晒されない。同様に、本明細書で開示されるシステムおよび方法は、抗生物質を使用しない食肉生産を提供することができる。これには、抗生物質にヒトを不注意に晒さずに、一方で、抗生物質耐性を開発する細菌のリスクの増加も回避するという利点がある。加えて、培養された食品の生産は、飼料用穀物を必要とせず、かつ、糞便性大腸菌細菌、アンモニア、およびリンをしばしば含有する動物性廃棄物の産出を回避する。例えば、家畜向けの飼料用穀物を育てるために莫大な量の土地が割り当てられ、これには、肥料、殺虫剤、および除草剤の広範囲での使用が伴う。対照的に、培養された食品は比較的小さな環境フットプリントで生産可能である。
【0042】
フォアグラなどの質感のない組織、および、サケなどの特定の魚肉は、本明細書に記載された様々なシステムおよび方法を使用して生産される。いくつかの方法は、フォアグラを作るのに役立つ脂肪肝細胞などの高い脂質含有量を誇る培養された質感のない組織の生産を可能にする。そのような方法はしばしば:a)自己再生可能な分化細胞の集団を得る工程;b)分化細胞の集団を培養する工程;c)細胞が高脂質含有量を蓄積するように、分化細胞の集団に脂肪過多症を誘導するために少なくとも1つの脂質代謝経路を操作する工程;および、d)分化細胞の集団を質感のない組織へと処理する工程を含む。場合によっては、自己再生可能な分化細胞は、分化転換(例えば、直接的な細胞再プログラミング)を介して得られる。しばしば、本明細書に記載された方法は、ヒト食用の培養された臓器組織を生産する。そのような方法は:a)自己再生可能な細胞の集団を培養する工程;b)臓器組織を生成するために細胞の集団において分化を誘導する工程;および、c)ヒト食用に臓器組織を処理する工程を含む。
【0043】
図1は、ヒト食用の細胞を培養するプロセスの1つの実施形態を例証する。この例では、自己再生細胞の集団が得られる(101)。本明細書に記載されたように、自己再生細胞はしばしば、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性生殖細胞、不死化分化細胞、あるいは発生期の成体幹細胞である。細胞の集団は培養され(102)、典型的には所望の個体数まで拡張される。次に、分化が集団で誘導される(103)。場合によっては、分化は、異なる細胞型への細胞の分化転換を含む。この例では、集団中の細胞は肝細胞へ分化する。しばしば、脂質蓄積は分化した肝細胞を含む細胞の集団において誘導される(104)最後に、細胞の集団はヒト食用に処理される(105)。例えば、肝細胞はしばしば、フォアグラあるいはフォアグラ食品へ処理される。
【0044】
図2は、ヒト食用の筋組織を培養するプロセスの1つの実施形態を例証する。この例では、自己再生細胞の第1の集団と第2の集団が得られる(201)(204)。細胞の第2の集団が培養され(202)(205)、典型的には所望の個体数まで拡張される。次に、その2つの集団において分化が誘導される(203)(206)。この場合、筋細胞への分化は細胞の第1の集団において誘導される(203)。場合によっては、分化は、異なる細胞型への細胞の分化転換を含む。脂肪細胞への分化は細胞の第2の集団において誘導される(206)。最後に、細胞のその2つの集団はヒト食用に処理される(207)。この場合、第1と第2の集団は組み合わされ、ヒト食用の筋肉および脂肪細胞の両方を含む食肉へと処理される。
【0045】
ヒト食用の培養された食肉を調製するための例示的なプロセスの概観が
図3に示される。初めに、幹細胞の同定、単離、および、特徴付けが行われる。これらの細胞は当初、フィーダー細胞層上などの二次元の培養物中で育てられる。細胞は最終的に、大規模な細胞成長を可能にするバイオリアクター内の懸濁培養へ移される。懸濁培養に移した後、細胞は筋細胞へ分化する。場合によっては、分化は、異なる細胞型(例えば、不死化された線維芽細胞から筋肉および/または脂肪細胞への)への細胞の分化転換を含む。その後、食肉が採取され、最終的に調製および調理される。培養された食品を調製するのに適切な細胞株を得るために様々なアプローチを使用することができる(
図4A-4B)。
【0046】
ある態様において、魚に由来する組織を含む合成食品を生産する方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態において、魚の筋細胞および脂肪細胞は、初期の開発段階中のその内因性の再生能力に基づいて、魚関連の食品の開発に利用される。このプロセスの例証的な実施形態では、マスの脂肪前駆細胞および筋衛星細胞(筋細胞に分化することができる)が単離され、培養され、特徴付けられた。
図5A-5Dで示されるように、マスの筋衛星細胞を単離させ、その後、特徴付けた。差込図は、存在する場合、画像の詳細を拡大し、スケールバーは、別段の定めのない限り、すべての顕微鏡写真で10μmと等しい。魚の筋衛星細胞の実質的に純粋な集団を成功裡に単離させ、
図5Aで示しており、衛星細胞は単離細胞の約80%を占めている。これらの単離細胞のRT-PCR分析は、多能性のマーカーである転写マーカーMstn1aとMyf5の発現を明らかにした(
図5B)。次に、培養条件はこれらの細胞のために最適化された。培地プロトコルを使用して、筋衛星細胞(矢じり)を成熟した分化筋細胞(矢)へ分化させることに成功した(
図5C)。筋衛星細胞から分化したマス筋管の結果として生じるシートが
図5Dで示されている(スケールバーは100μmである)。いくつかの実施形態において、筋衛星細胞は脂肪前駆細胞で共培養可能である。例証的な実施形態では、
図6Aで示されるような筋肉と脂肪の細胞または組織の両方を含む食品を生産するために、サケ筋衛星細胞(矢じり)をサケ脂肪前駆細胞(矢)で共培養した(スケールバーは100μmである)。
図6Bで示されるように、脂肪前駆細胞を脂肪細胞へ分化させ、筋衛星細胞は筋細胞(矢じり)へ分化した(スケールバーは100μmである)。
【0047】
場合によっては、食品を生産するためにサケ線維芽細胞が使用される。サケ線維芽細胞は、バイオリアクター内での増殖のためにスフェロイドを形成するように誘導可能である(
図7A)(スケールバーは100μmである)。こうしたスフェロイドの生存率は、2次元の培養条件にこれらを戻し、コロニーを形成するために線維芽細胞が周辺に移動したことを観察することによって確認される(
図7B)(スケールバーは100μmである)。場合によっては、線維芽細胞が増殖し、その後、筋細胞、脂肪細胞、肝細胞、あるいはこれらの任意の組み合わせなどの所望の細胞型へ分化転換する。
【0048】
本明細書に開示される方法は様々な水生種に適用可能である。例えば、バスの筋衛星細胞の細胞培養も、標準的な細胞培養プロトコルを利用して成功裡に培養されてきた(
図8)。ある実施形態では、水生生物の1つ以上の種類に由来する細胞あるいは組織を含む肉食品が本明細書で開示される。しばしば、水生生物は、ハタ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、マス、ウナギ、アワビ、ヤリイカ、ハマグリ、赤貝、鮎、ホタテガイ、タイ、サヨリ、エビ、ヒラメ、トリガイ、タコ、あるいはカニからなる群から選択される。ある場合では、水生生物は、ハタ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、マス、あるいはヒラメからなる群から選択された魚の一種である。いくつかの例では、水生生物は丸い魚あるいは平らな魚であり得る。丸い魚はバス、ナマズ、アルプスイワナ、タラ、コダラ、ニシン、イワシ、ティラピア、マス、フエダイ、サケ、メカジキ、およびマグロを含むことができる。平らな魚はヒラメ、ウシノシタ、オヒョウ、およびターボットを含み得る。マグロの種類はキハダマグロ、ミナミマグロ、タイセイヨウクロマグロ、ビンチョウマグロ、タイセイヨウマグロ、およびメバチマグロを含む。サケの種類はタイセイヨウサケ、ベニザケ、マスノスケ(キングサーモンとも呼ばれる)、ギンザケ、シロザケ、およびカラフトマスを含む。マスの種類はニジマス、ノドキリマス、ブラウントラウト、レッドマウンテントラウト(red mountain trout)、カワマス、およびレイクトラウトを含む。
【0049】
ある態様において、鳥類に由来する組織を含む合成食品を生産する方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態において、合成食品は、アヒルまたはガチョウに由来する鳥類の肝細胞および/または肝臓組織を含む。いくつかの実施形態において、合成食品は脂肪肝組織を含む。いくつかの実施形態において、これらの方法は、初期の開発段階中にその内因性の再生能力に基づいて鳥関連の食品の開発のために自己再生細胞(例えば、多能性または分化多能性の細胞)を利用する。培養で成長する単離するのに成功したアヒル胚性幹細胞が
図9に示される。
【0050】
細胞株
本明細書で開示されるいくつかのシステムおよび方法は、培養された食品の生産のために自己再生することができる細胞株の生成を含む。1つのアプローチでは、胚性幹細胞が単離される。胚性幹細胞は初期の胎芽から生成された多分化能性幹細胞である。典型的には、胚性幹細胞は、受精後4~5日目に胚盤胞から採取される。胚盤胞は内部細胞塊を有し、これは取り除かれて、培養物中に置かれる。細胞培養状態で生存可能なままであるこうした細胞は、自己再生することができる細胞株を確立するために使用される。例えば、
図4Aは脂肪肝細胞を生成するためのあるアプローチを例証する。いくつかの例では、胚性幹細胞は、アヒルまたはガチョウの胚(401)などの鳥類の胚から得られる。これらのアヒルまたはガチョウの胚性幹細胞は、培養されたフォアグラを生産するために随意に使用された多分化能性幹細胞(411)である。しばしば、鳥類の胚性幹細胞は、Eyal-GiladiおよびKochavのステージ10(EGK-X)鳥類胚において胚盤葉細胞から単離される。例えば、鳥類の胚性幹細胞は、Aubel P., Pain B. Chicken embryonic stem cells: establishment and characterization. Methods Mol. Biol. 2013; 1074:137-150に記載されるようなbFGF、IGF-1、mSCF、IL-6、OSM、LIF、IL-6、およびIL-11などの特定の成長因子を用いて性幹細胞培地(ESA)中の不活性化STOフィーダー細胞上でそれらを培養することにより単離可能である。培養で成長する単離するのに成功したアヒル胚性幹細胞が
図9に示される。これらのアプローチも魚の筋細胞および/または脂肪細胞の生成にも利用することができる(
図4B)。
【0051】
いったん単離されると、胚性幹細胞は通常、未分化の状態で維持される。しばしば、公開されたプロトコルは未分化の状態で胚性幹細胞を維持するために修正される。公開されたプロトコルへの修正は、持続的な細胞増殖および脱分化状態の維持を達成するために、最適化されたマトリックス基板の使用と最適化された培地製剤の使用を含むことができる。場合によっては、鳥類の胚性幹細胞は、Horiuchi et a., Chicken leukemia inhibitory factor maintains chicken embryonic stem cells in the undifferentiated state. J.Biol.Chem. 2004;279: 24514-24520に記載されるようなサイトカインのインターロイキン6ファミリーのメンバーである白血病抑制因子(LIF)を使用して未分化の状態で維持される。代わりに、鳥類の胚性幹細胞は培地中でLIFの使用を必要とすることなく未分化の状態で維持される。ある例では、鳥類の胚性幹細胞は、他のサイトカインあるいはフィーダー細胞を使用することなくLIFを含有している培地製剤中で未分化の状態で維持される。培地製剤はしばしば組み換えLIFを含む。場合によっては、組み換えLIFは精製のためのアフィニティータグを有する融合タンパク質として生成される。典型的には、精製用のアフィニティータグを有する融合タンパク質は、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、FLAGタグ、S-タグ、プロテインC(HPC)の重鎖、ストレプトアビジン結合ペプチド、ストレプトアビジンタグ、ヒスチジンアフィニティータグ、polyhistidineタグ、ポリシステインタグ、ポリアスパラギン酸塩タグ、アルブミン結合タンパク質(ABP)、カルモジュリン結合ペプチド、セルロース結合ドメイン、キチン結合ドメイン、およびコリン結合ドメインから選択された少なくとも1つのアフィニティータグを使用する。いくつかの例では、アフィニティ精製融合タンパク質はアフィニティータグを取り除くために切断あるいは消化される。
【0052】
単離された胚性幹細胞は典型的には所望の細胞型へ分化する。所望の細胞型は通常、食品あるいは食品の一部を構築する完全に分化した細胞である。しばしば、分化細胞は肝臓実質細胞または肝細胞(412)である。
図10Aは分化に成功した後の培養物中で成長するアヒル肝細胞を示す。分化は、RT-PCR(
図10B)を使用して、肝細胞分化のマーカー(ローディング対照としてβアクチンを有する、L-FABP、α胎児タンパク質、およびHNF3b)を測定することにより確認された。
図10Bで示されるように、肝細胞(右レーン)は、対照未分化細胞中の発現の不足と比較して(左レーン)、肝細胞分化マーカーの顕著な発現をもたらす。培養された肝細胞はしばしば、フォアグラを生成するために使用される。いくつかの例では、分化細胞は筋細胞または骨格筋細胞である。分化細胞はしばしば、脂肪と筋組織の両方を有する培養された肉製品の生産のための筋細胞などの他の細胞型と組み合わせて随意に使用される脂肪細胞である。例えば、サケの筋細胞および脂肪細胞はしばしば、ヒト食用の寿司に使用できる品質等級の鮭肉を生産するために使用される。しばしば、分化細胞は、例えば、横紋筋細胞あるいは骨格筋細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、脾臓細胞、胸腺細胞、内皮細胞、血液細胞、気泡細胞、肝臓細胞、腎臓細胞、膵臓細胞、肺細胞、あるいはこれらの任意の組み合わせなどの臓器細胞である。代わりに、所望の細胞型はしばしば、完全分化細胞型を生成するために役に立つ成体幹細胞または前駆細胞などの中間細胞型である。しばしば、分化は、ウェブサイトwww.abcam.com/protocols/hepatocyte-differentiation-protocolに記載されるなどの標準的なプロトコルの最適化によって達成される。例えば、胚性幹細胞と人工多能性幹細胞は両方とも、ROCK阻害剤Y27632を備えたmTESR培地中のMatrigelコーティングしたプレートへと細胞を分割し、胚体内胚葉(DE)培地を用いて処理し、その後、肝臓内胚葉(HE)培地、未成熟肝細胞(IMH)培地、最後に成熟肝細胞(MH)培地を用いて処理することによって、肝細胞へ分化することができる。いくつかの培地製剤は培養細胞の増殖、分化、あるいは他の所望の品質を増強するために修飾される。
【0053】
いくつかの方法は、本明細書に開示される食品を生産するために使用される人工多能性幹細胞(402)の生成をもたらす。しばしば、エピゾームの再プログラミング戦略は、Drozd et al., Generation of human iPSCs from cells of fibroblastic and epithelial origin by means of the oriP/EBNA-1 episomal reprogramming system. Stem Cell Research & Therapy. 2015; 6:122で概説されるエピソーム再プログラミング戦略を用いて、線維芽細胞から人工多能性幹細胞(iPSC)を作製するために採用される。例えば、例によっては、Oct3/4、Sox2、Klf4、L-Myc、C-Myc、Lin28、Nanog、およびLin4などの再プログラミング因子の組み合わせを発言する少なくとも1つのエピソームベクターは、成体の鳥類の線維芽細胞に由来する導入細胞である。しばしば追加される追加因子は、細胞老化などの再プログラミングバリアを克服するためのp53を含む。一例として、(ori-P/EBNA-1)ベースのエピソームベクターは、再プログラミングを可能にしつつ、再プログラミングされた細胞の内部においてエピソーム上でエピソーム的に持続する。エピソーム再プログラミングは、エピゾームのアプローチが古典的なウイルス再プログラミング戦略に起因する再プログラミングベクターの組み込みなくiPSC株を生成することから、「遺伝子フットプリント」の生成を妨げるアプローチをもたらす。最後に、場合によっては、iPSCsの分化は、胚性幹細胞について本明細書のどこから記載されるような最適化された基準プロトコルを使用して達成される。
【0054】
場合によっては、胚性生殖細胞は、自己再生可能な多分化能性幹細胞(403)の源として使用される。例えば、胚性生殖細胞は、肝臓組織生成の目的で成熟した肝細胞などの所望の細胞型へ分化することができる。しばしば、胚性生殖細胞は、Guan et al., Derivation and characteristics of pluripotent embryonic germ cells in duck. Poultry Science. 2010; 89(2): 312-317などに記載されるプロトコルを用いて単離される。例えば、ステージ28のアヒル胚組織が得られ、その後、トリプシンを使用して解離される。解離した細胞は遠心分離によって収集され、その後、幹細胞刺激因子(SCF)、白血病抑制因子(LIF)、および塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF)の存在下において懸濁培養で培養される。胚性生殖細胞は典型的にはコロニーを形成し、これは、その後、フィーダー細胞とともにプレートへ再度播種される。いくつかの例では、単離された胚性生殖細胞は拡大され、本明細書に記載されているような食糧生産のための所望の細胞型へ随意に分化する。
【0055】
場合によっては、分化細胞は中間体多能性細胞型(404)を作製することなく、所望の細胞型へ再プログラミングされる。このプロセスはしばしば、所望の細胞型が非幹細胞から生成される分化転換と呼ばれる。しばしば、この方法は、Simeonov KP and Uppal H, Direct reprogramming of human fibroblasts to hepatocyte-like cells by synthetic modified mRNAs. PLOS ONE. 2014; 9(6): e100134に記載されるように実行される。しばしば、単離された線維芽細胞は、FOXA1、FOXA3、HNF1A、および、HNF4Aの少なくとも1つの因子を発現する間に最適化された肝臓成長培地中で線維芽細胞を培養することによって、肝細胞あるいは肝細胞様細胞へ再プログラミングされる。場合によっては、HNF1Aと、FOXA1、FOXA3、およびHNF4Aの少なくとも2つは線維芽細胞中で発現されることで、肝細胞に変換される。しばしば、再プログラミングのための分化細胞への前述の因子のいずれかの発現あるいは過剰発現は、当該技術分野で知られている遺伝的技術を使用して、外来性DNAまたはRNAを細胞へ導入することにより得られる。代わりに、単離された線維芽細胞は、筋細胞または脂肪細胞へ再プログラミングされる。場合によっては、再プログラミングは、異なる細胞型への線維芽細胞などの単離細胞の分化転換を伴う。例えば、再プログラミングされたサケの筋細胞および脂肪細胞は、サケのグレードの寿司などのヒト食用の鮭肉を生産するのに役立つ。
【0056】
しばしば、所望の細胞型の完全に分化した細胞は、自己再生可能な細胞株を生成するために不死化される。例えば、筋細胞、脂肪細胞、および/または肝細胞は、食糧生産の目的のために不死化可能である。しばしば、形質転換を使用する古典的に定義された不死化戦略は、不定の増殖能力を用いて細胞株を生成するために、分化した成体細胞に適用される(405)。様々な例では、細胞不死化は不死に必要とされる鍵となるタンパク質の人為的な発現によって達成される。いくつかの例において、分化した成体細胞は、SV4040ラージT抗原、hTERT、HPV E6/E7、EBV、MycT58A、RasV12、およびp53の少なくとも1つの発現あるいは過剰発現によって不死化される。場合によっては、鳥類の肝細胞は自己再生可能な成体の鳥類の肝細胞細胞株を生成するために不死化される。そのような細胞株は、フォアグラなどの肝細胞ベースの食品の大規模生産を助ける。しばしば、サケの筋細胞および/または脂肪細胞は、自己再生可能な成体のサケの筋細胞および脂肪細胞細胞株を生成するために不死化される。そのような不死化細胞株は、寿司に使用できる品質等級のサケなどの鮭肉の大規模生産を可能にする。場合によっては、分化細胞株(例えば、線維芽細胞)は不死化され、その後、筋細胞、脂肪細胞、肝細胞あるいはその任意の組み合わせなどの所望の細胞型へ分化転換され、および、魚肉あるいは鳥類の肝臓などの様々な型の食品を生成するために使用可能である。
【0057】
場合によっては、自己再生可能な不死化細胞株は、ある例では、形質転換または直接的な遺伝子修飾なく生成される(406)。このアプローチでは、細胞集団は典型的に採取され、ほとんどの細胞が老化を経験するまで数週間にわたって順次継代され、その間、少数の自然突然変異が発生し、これがする間に、無限の複製能力を有する細胞株の生成を引き起こす。場合によっては、細胞集団は、例えば、胚(分化)肝臓細胞などの胚の分化細胞から得られる。このプロセスは、Lee et al., Establishment of an immortal chicken embryo liver-derived cell line. Poultry Science. 2013; 92(6):1604-12になどに記載される不死化された鳥類の肝細胞を生成するために、鳥類の細胞に適用可能である。この方法は、外因性の遺伝子材料あるいは遺伝子操作を使用することなく不死化細胞株を生成する際のウイルスを統合する必要性をなくす。例えば、
図11Aは、初代線維芽細胞を培養し、および6-8週間後に分割細胞のコロニーを採取することにより生成されたアヒルの自己再生細胞を示す。
図11Bは、初代線維芽細胞を培養し、および、6-8週間後に分割細胞のコロニーを採取することにより生成されたマスの自己再生細胞を示す。その後、自己再生細胞は、形態、増殖速度、および、増殖能力(例えば、形態、増殖速度に変化なく、かつ、ゲノムの不安定性なく達成された継代数)について特徴付けされた。場合によっては、分化細胞株(例えば、線維芽細胞)は不死化され、その後、筋細胞、脂肪細胞、肝細胞あるいはその任意の組み合わせなどの所望の細胞型へ分化転換され、および、魚肉あるいは鳥類の肝臓などの様々な型の食品を生成するために使用可能である。
【0058】
場合によっては、自己再生可能な発生期の成体幹細胞は単離される。例えば、肝臓は、成体の哺乳動物と鳥類の生命体中で再生能力を有するわずかの臓器の1つである。成体の肝臓組織内の幹細胞の存在については、Navarro-Alvarez et al., Hepatic stem cells and liver development. Methods Mol Biol. 2010;640:181-236で再考察されている。これに応じて、いくつかの例では、発生期の肝臓幹細胞は単離され、培養され、培養された食糧生産で使用されるように拡大された(407)。しばしば、魚の脂肪前駆細胞および衛星細胞は単離され、脂肪細胞と筋細胞のそれぞれへの拡張と分化に適した細胞株を形成するように培養される。分化した脂肪細胞および筋細胞は通常、特定の比率でともに共培養されることで、結果として生じる食品中の脂肪細胞と筋細胞の所望の最終組成物が生成される。
【0059】
場合によっては、増強された増殖能力を用いる細胞を生成するために、肝臓細胞が有害化学物質を用いる処置される(408)。例えば、毒性の化合物へのこうした暴露は肝実質内での増殖反応を誘い出すことが示されている。これに応じて、増強された増殖能力を有するこうした肝臓細胞は、様々な例において、培養された食糧の生産で使用されるように培養および拡大される。
【0060】
場合によっては、前述の方法のうちのいずれかを使用して得られた細胞は、成長または生存に接着性の基質を必要としない細胞株を生成するためにさらに修飾される。この方法はしばしば、生存して増殖するためには、結合用の細胞外マトリックスを必要としない肝細胞の生成を含む。懸濁培養中で細胞を成長させることができるという利点は、容易かつ迅速に成長をスケールアップさせる能力を含む。しばしば、懸濁培養は労力が少なく、および/または資源集約的ではない。なぜなら、懸濁培養は、表面積よりもむしろ体積に基づいて細胞を培養し、かつ、トリプシン処理などの分離工程なく細胞の継代を可能にすることができるからである。接着性の基質を必要としない細胞株は、大規模な食糧生産を増強するためにバイオリアクター細胞培養システムとしばしば組み合わされる。ある場合では、幹細胞は懸濁培養に適しており、例えば、肝細胞、筋細胞あるいは脂肪細胞などの分化細胞型への分化前の拡張を可能にする。代わりに、例によっては、幹細胞は肝細胞へ分化し、その後、3次元の懸濁培養へ移した。場合によっては、分化細胞は所望の細胞型へ分化転換される。
【0061】
細胞株の遺伝子修飾
細胞または細胞株上での1つ以上の修飾を実施する方法が本明細書で開示される。場合によっては、修飾は、細胞または細胞株へ核酸または遺伝子構築物を導入することにより実行された遺伝子修飾である。細胞は自己再生、所望の細胞型への分化、特定の細胞表現型(例えば、脂肪症)を得ること、あるいは他の望ましい変化に関する能力を与えるように修飾可能である。場合によっては、細胞は1つ以上のDNA構築物などの外因性の核酸の導入を介して修飾される。細胞への外来性の核酸の導入は、限定されないが、トランスフェクション、形質導入、ウイルスの形質導入、マイクロインジェクション、リポフェクション、ヌクレオフェクション、あるいは形質転換を含む様々な方法を使用して遂行可能である。例えば、特定の細胞型の細胞は所望の細胞型へ分化転換することができる。
【0062】
加えて、利用することができる TALENS(転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ)あるいはCRISPRなどの遺伝子編集システムは、細胞の遺伝子修飾を実施する。例えば、活性型がインバリアントなCas9タンパク質およびプログラム可能なガイドRNA(gRNA)からなることから、CRISPRはカスタマイズすることができる。Cas9-gRNA複合体は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列についてDNAを探索し、その後、Rループが形成される。Cas9、gRNA、および標的DNAを含む巨大分子複合体の形成に際して、Cas9タンパク質は、標的のDNAにおいて2つのニックを生成し、非相同末端結合経路あるいは鋳型指向性相同組換えによって優勢的に修復される平滑二本鎖切断を作製する。
【0063】
遺伝子構築物は、1つ以上の遺伝子用のプロモーターとORFを含むことができる。遺伝子構築物は細胞集団へ導入され得、その後、構築物を取り込んだ安定した細胞株について選択され得る。例えば、所望の遺伝子と、G418に対する耐性を与えるネオ遺伝子とを含むプラスミドは、線形化(例えば、制限エンドヌクレアーゼで一度切断)され、アヒルの肝細胞線維芽細胞細胞株へトランスフェクトされ、その後、G418とともに選択されることで、線形プラスミドベクターをゲノムへと成功裡に取り込んだ線維芽細胞を得ることができる。プロモーターの例は、サイトメガロウイルス(CMV)、ニワトリβアクチン・プロモーター(CAG)に縮合したCMVエンハンサー、ヒト伸長因子1-α(HEF-1α)、テロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)プロモーター、およびシミアンウイルス(シミアンウイルス40)プロモーターを含む。場合によっては、低いまたは非存在の基本転写速度を有するプロモーターは、漏出性の発現を最小限に抑えるか防ぐために使用される。一例として、本明細書に記載された様々な構築物中で使用されるレコンビナーゼの発現は、(例えば、多能性の維持に関与する遺伝子を刺激することによって)細胞に対する不可逆な変化を引き起こすことがあり得る。したがって、いくつかの実施形態では、構築物は、有糸核分裂細胞サイクル当たりせいぜい1つの転写事象を可能にするプロモーターを含む。場合によっては、プロモーターは、有糸核分裂細胞サイクル当たり、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、あるいは50以下(平均で)の転写事象を可能にする。場合によっては、プロモーターは、1つの有糸分裂周期当たり(平均で)1未満の転写事象を可能にする。しばしば、プロモーターは、(例えば、平均が1つの有糸分裂周期当たり半分未満の転写事象である場合)1つの有糸分裂周期当たりいかなる転写事象も可能にしない。
【0064】
遺伝子修飾は、望ましい特性を所有する細胞株の生成を可能にする。例えば、修飾された細胞株は、自己再生および/または増殖の状態で細胞株を維持する遺伝子を発現することがある。自己再生の状態は未分化の状態を維持する間の増殖または分裂の状態であり得る。一例として、自己再生特性を有する人工多能性幹細胞は、Oct3/4、Sox2、Klf4、およびc-Mycの1つ以上を発現することにより、分化した成体細胞から生成可能である。場合によっては、細胞は分化可能であり、かつ、無限の増殖能力を有しうる(例えば、不死化した線維芽細胞)。しばしば、修飾された細胞株は、1つの表現型から別の表現型までのスイッチを引き起こす誘導剤に反応する。スイッチは、自己再生の状態から分化した状態(例えば、筋衛星細胞から筋細胞、あるいは、脂肪前駆細胞から脂肪細胞)までであり得る。本明細書に開示される方法は、誘導性の脂肪生成のための1つ以上の構築物を含むことができる。例えば、上記方法は、未分化の状態で細胞分裂を促す、および/または、脂肪前駆細胞を維持するための1つ以上の多能性遺伝子を含む第1の構築物と、TRE、1つ以上の脂肪生成遺伝子、および多能性遺伝子を不活性化するための調節因子(例えば、Creレコンビナーゼ)を含む第2の構築物とを利用することもある。場合によっては、スイッチは、1つの分化細胞型から別の分化細胞型(例えば、成体線維芽細胞から肝細胞)への変化を含む。しばしば、スイッチは、細胞型の変化を伴わないが、その代わりに、細胞表現型あるいは細胞の特性の変化を含む。一例として、スイッチは、肝細胞を誘導して脂肪症を経験させ、脂肪症になりやすくさせ(例えば、脂肪酸を用いるインキュベーションなどの適切な条件下で脂肪症を経験する可能性が高まる)、あるいは増強された脂肪症(例えば、対照と比較して脂質蓄積が増大する)を引き起こすことができる。脂肪生成に関与する遺伝子の例は、FABP4、GLUT4、ADIPOQ、AGPAT2、PLIN1、LEP、およびLPLを含む。いくつかの例では、構築物は、FABP4、GLUT4、ADIPOQ、AGPAT2、PLIN1、LEP、LPL、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む。構築物は、FABP4、GLUT4、ADIPOQ、AGPAT2、PLIN1、LEP、およびLPLからなる群から選択された遺伝子に関する、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、あるいは7つすべてのORFを含むことができる。
【0065】
いくつかの例では、細胞は細胞分裂を促進する1つ以上の多能性遺伝子を発現(誘導性の発現あるいは構成的に活性な発現)するように修飾される。特定の例において、多能性遺伝子は、少なくとも約50、少なくとも約100、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約250、少なくとも約300、少なくとも約350、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900、あるいは、少なくとも約1000の細胞分裂を促進する。場合によっては、所定の細胞株あるいは細胞の集団に対する細胞分裂の数は、品質管理のためにモニタリングされる。例えば、いくつかの例では、閾値細胞分裂数を超過する細胞株あるいは集団は、培養された食品を生産するためには使用されない。場合によっては、閾値細胞分裂数は、少なくとも約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約2000、約3000、約4000、約5000、約6000、約7000、約8000、約9000、約10000、約20000、約30000、約40000、あるいは約50000以上の細胞分裂である。場合によっては、閾値細胞分裂数は、せいぜい約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約2000、約3000、約4000、約5000、約6000、約7000、約8000、約9000、約10000、約20000、約30000、約40000、あるいは約50000以上の細胞分裂である。
【0066】
本明細書には、誘導剤に反応する構築物を使用して修飾される誘導可能な細胞が開示される。これら修飾細胞は、魚肉、鳥類の肝臓組織、および他の食糧などの培養食物製品を生成するために使用することができる。修飾細胞は、増殖、分化、細胞表現型(例えば脂肪過多症/脂質蓄積)、または他の細胞の特性を制御するために使用することができる。そのような誘導可能なシステムの典型的で非限定的な例は、誘導剤としてテトラサイクリン/ドキシサイクリンを利用する、Tet-on/offシステムである。他の誘導可能なシステムも、本明細書に記載される方法を実行するために企図される。non-Tetの誘導可能なシステムの例は、クーママイシンで誘導性の発現システム、RheoSwitch(登録商標)Mammalianで誘導性の発現システム、エストロゲン受容体で誘導可能なシステム、cumateで誘導可能なシステム、およびCre-Loxレコンビナーゼシステムを含む。場合によっては、本明細書に記載される誘導可能なシステムまたは構築物を安定して組み込んだ細胞株が生成される。代替的に、細胞は、(例えば少なくとも1つの構築物の一時的なトランスフェクションを介して)本明細書に記載される誘導可能なシステムまたは構築物を一時的に発現させるために調節され得る。
【0067】
Tet-onまたはTet-offのシステムは典型的に、テトラサイクリントランス活性化タンパク質を利用する。TetO配列は典型的に、発現がTetシステムを使用して制御されることを求められる任意のORFの上流に位置決めされる。プロモーターおよびTetO配列は、テトラサイクリン反応要素(TRE)を構成することができる。場合によっては、TREはTetO配列から成り、且つ、対象の1つ以上の遺伝子に対してプロモーターおよびORFの上流に配される。Tet-onシステムにおいて、トランス活性化タンパク質は、テトラサイクリン(またはドキシサイクリンなどの誘導体)により結合されないと、TetOオペレーター領域に対して強い結合親和性を持つ。テトラサイクリンがない場合、トランス活性化タンパク質はテトラサイクリン反応要素(TRE)に結合されない。テトラサイクリンは、添加されると、トランス活性化タンパク質に結合し、且つ、下流のORFの発現を誘導するためにトランス活性化タンパク質をTREに結合させる。Tet-offシステムにおいて、トランス活性化タンパク質は、テトラサイクリンにより結合されないときにのみ、TetOオペレーター領域に対して強い結合親和性を持つ。テトラサイクリンがない場合、トランス活性化タンパク質はTetO配列に結合し、下流ORFの発現を促進する。添加されたテトラサイクリンは、TREへの結合の減少または損失をもたらす構造変化を引き起こすトランス活性化タンパク質に結合し、その結果、下流のORFの発現が減少する。
【0068】
図12は、肝細胞への誘導可能な分化を提供するために細胞へと導入され得る遺伝子構築物の典型的な実施形態を示す。構築物は、テトラサイクリン反応要素(TRE)、および肝細胞再プログラム因子HNF1A、FOXA1、およびHNF4Aに対するORFを含む。構築物は、多能性または分化多能性の細胞などの標的細胞へと安定して形質転換され得る。場合によっては、構築物は、(本明細書に記載される技術に従って得られる)不死化された線維芽細胞などの最終分化細胞へと安定して形質転換され得る。ORFの発現は通常、テトラサイクリンがない場合に抑えられる。テトラサイクリンでの処置はORFの発現を誘導し、これにより細胞は肝細胞への分化に向けて推し進められる。故に、この構築物を安定して組み込む細胞株は、テトラサイクリン/ドキシサイクリンでの処置を介して肝細胞への分化を誘導することができる。特定の場合、構築物は、HNF1A、FOXA1、およびHNF4Aの少なくとも1つを含む。時折、構築物は、HNF1A、FOXA1、およびHNF4Aの少なくとも2つを含む。幾つかの例において、構築物はHNF1A、FOXA1、およびHNF4Aを含む。構築物は、HNF1A、FOXA1、HNF4A、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。特定の例において、構築物はHNF1AおよびFOXA1;HNF1AおよびHNF4A;またはFOXA1およびHNF4Aを含む。
【0069】
図13は、細胞を脂肪過多症にさせる1つ以上のタンパク質の誘導性の発現を可能にするために細胞へと導入され得る構築物の典型的な実施形態を示す。構築物は、脂質代謝に関与する1つ以上の遺伝子に対してテトラサイクリン反応要素(TRE)およびORFを含む。構築物は、多能性または分化多能性の細胞などの標的細胞へと安定して形質転換され得る。場合によっては、構築物は線維芽細胞などの最終分化細胞へと安定して形質転換され得る。TREはORFの発現を抑えるが、ORFがテトラサイクリンまたはドキシサイクリンの存在下で転写されることを可能にする。故に、この構築物を安定して組み込む細胞株は、テトラサイクリン/ドキシサイクリンでの処置を介して脂肪過多症を受けまたは脂肪過多症に罹患させることを誘導することができる。場合によっては、構築物はZFP423に対してORFを含む。場合によっては、構築物は、ATF4に(活性化転写因子3)に対してORFを含む(Kim JY et al., Activating transcription factor 3 is a target molecule linking hepatic steatosis to impaired glucose homeostasis. J Hepatol. 2017 Aug;67(2):349-359)。場合によっては、構築物は、SREBP-1cに対してORFを含む(Ferre P et al., Hepatic steatosis: a role for de novo lipogenesis and the transcription factor SREBP-1c. Diabetes Obes Metab. 2010 Oct;12 Suppl 2:83-92)。他の遺伝子は、本明細書に記載される方法および構築システムに使用するために企図されており、LPIN1、PPAR、APOC3、APOE、ORL1、PEMT、MTTP、SREBP、STAT3、KLF6、またはそれらの任意の組み合わせを含む。場合によっては、構築物は、以下からなる群から選択された少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、または少なくとも11の遺伝子を含む:ATF4、ZFP423、LPIN1、PPAR、APOC3、APOE、ORL1、PEMT、MTTP、SREBP、STAT3、およびKLF6。
【0070】
本明細書に記載される方法に利用される典型的な遺伝子は、表1に後述される。脂質代謝に関与する遺伝子の発現は、肝細胞または脂肪細胞などの標的細胞における脂質蓄積および/または脂肪過多症を促進または増強するように誘導されまたは増強され得る。肝細胞再プログラミング因子は、肝細胞への線維芽細胞の分化転換などの肝細胞への細胞型の再プログラムに使用され得る。同様に、筋細胞再プログラミング因子は、筋細胞へと線維芽細胞などの細胞型を再プログラミングするために使用され得る。脂肪細胞再プログラミングは、脂肪細胞へと線維芽細胞などの細胞型を再プログラミングするために使用され得る。同様に、筋細胞分化および脂肪生成に関与する遺伝子はそれぞれ、筋衛星細胞から筋細胞への分化、および脂肪前駆細胞から脂肪細胞への分化を誘導するために使用され得る。最後に、人工多能性幹細胞(iPSC)を生成するために使用可能な様々な遺伝子が列挙される。表1に列挙される遺伝子の何れか1つまたは組み合わせは、本明細書に記載される目的に対して企図される。
【0071】
【0072】
【0073】
図14は、多能性表現型から分化した表現型への増殖/分化の切り換えを可能にするために細胞へ導入することができるDNA構築物システムの例示的な実施形態を示す。このシステムは、多能性因子(例えば、10月4日、Sox2、Klf4、I-Myc)のORFの構成的発現をもたらす多能性カセットを含む、第1の構築物を有する。上記第1の構築物の多能性因子はpLox部位と隣接している。上記システムは、MyoDおよびCreレコンビナーゼのテトラサイクリン誘導性発現をもたらす分化カセットを含む、第2の構築物を有する。テトラサイクリンまたはドキシサイクリンなどの誘導剤の添加は、MyoDおよびCreレコンビナーゼの発現を誘導することができる。MyoD発現は、筋細胞へと細胞を分化させるのに役立つことができる。Creレコンビナーゼ酵素は、pLox部位と隣接する多能性因子の切除を触媒することができる。次に、誘導剤は、MyoDおよびCreレコンビナーゼ発現の誘導を止めるために除去することができる。このシステムの利点は、多能性因子の切除および誘導剤の除去後に、上記システムによって残される小さいフットプリントである。他の遺伝子は、筋形成を誘導するために使用することができ、ミオゲニン(MyoG)、MRF4、およびMyf5を含むことができる。場合によっては、MyoD、MyoG、MRF4、Myf5、あるいはそれらの任意の組み合わせが、筋形成を誘導するために使用される。時々、本明細書に記載される方法および/または構築物システムは、MyoD、MyoG、MRF4、およびMyf5からなる群から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、あるいは4つすべての筋原性因子を利用する。
【0074】
図15は、誘導可能な「オフスイッチ」を与えるために細胞へ導入することができる例示的な構築物を示す。この構築物は、対象の1つ以上遺伝子のORF、ならびにpLox部位と隣接するTREおよびCreレコンビナーゼを含む発現カセットを含む。
図15に示されるような構築物は、ORFの下流に位置するTRE-Cre発現カセットを含む。代替的に、構築物は、ORFの上流に位置するTRE-Cre発現カセットを有することができる。プロモーターは、通常、ORFの上流に位置し、ORFがCreレコンビナーゼとは無関係に発現されるようにTREとは別個のプロモーターである。誘導剤の添加により、この構築物を安定して取り込む細胞株が、pLox部位と隣接する介在配列の切除を触媒するためのCreレコンビナーゼを発現するようにできる。したがって、1つ以上の遺伝子(例えば、分化を促進するもの)、ならびにTREおよびCreレコンビナーゼの発現カセットは除去され、対象の遺伝子のフットプリントなしの切除を結果としてもたらす。そのような構築物は、異なる細胞型へと細胞の分化転換を誘導するために使用することができる。
【0075】
図28Aは、遺伝子発現(例えば、標的ORFを活性化および/または不活性化する)を調節するための合成受容体の1つの実施形態を示す。このシステムは、Morsut et al., Engineering Customized Cell Sensing and Response Behaviors Using Synthetic Notch Receptors. Cell. 2016 Feb 11; 164(4):780-9に記載される「合成Notch受容体」システムの後にモデル化される。このシステムでは、受容体は内因性Notch受容体(タンパク質δなどのリガンドを結合すると、細胞内ドメインの切断によって信号を送る)と同じ細胞外成分を含むように操作される。それに応じて、上記細胞内ドメインは、Creレコンビナーゼなどの酵素と取り替えることができる。リガンドが細胞に添加される場合、操作されたNotch受容体は活性化され、および、細胞内ドメインは切断され、これにより、この場合、細胞質へとCreを放出する。Creは、受動拡散によって核に侵入する(あるいは、タンパク質へと操作される核局在配列を有し、核への侵入を容易にする)。そこで、Creは、本明細書に(例えば、
図12-15)記載されるように、loxP部位の組み換えを誘導する。そのような構築物は、異なる細胞型への細胞の分化転換を誘導するために使用することができる。
【0076】
図28Aに示されるモデルは不可逆的切り換えを表し、それによって、Creは細胞膜から核へと放出されて組み換え事象を誘導する。そのような事象(多能性維持から分化までの切り換えを含む)が本明細書に記載されている。Cre送達は、増殖、接着、分化、移動、および他の細胞特性などの様々な細胞の機能あるいは特性に影響する可能性がある。様々な実施形態において、この切り換えは、増殖状態から分化(筋細胞、脂肪細胞などへの)を誘導する遺伝子の活性化への移行を可能にする。このシステムの重要な利点は、Creを機能させるために遺伝子の活性化を必要としないということであり;代わりに、酵素は、細胞表面でリザーバーとして構成的に発現および局在化される。そのような構築物は、異なる細胞型への細胞の分化転換を誘導するために使用することができる。
【0077】
図28Bは、遺伝子セット(例えば、多能性遺伝子セットを不活性化し、分化遺伝子セットを活性化する)の間で切り換えるためのさらなる戦略を示す。これらの戦略は、誘導性遺伝子発現系(例えば、テトラサイクリン/ドキシサイクリン誘導性系)と組み合わせて部位特異的なレコンビナーゼ(SSR)系を実行することができる。SSR/誘導性の組み合わせは、Zhang et al. Conditional gene manipulation: Cre-ating a new biological era. J Zhejiang Univ-Sci B (Biomed & Biotechnol) 2012 13(7):511-524に記載される。場合によっては、このSSR/誘導性の系が、エクスビボの肉を生成するための多能性と分化の間の切り換えとして使用される。そのような構築物は、異なる細胞型への細胞の分化転換を誘導するために使用することができる。
【0078】
図28Bに示されるように、三角形はlox配列を表す(黒はloxPであり、白はlox5171であるが、他の配列がこの目的に使用されてもよい)。三角形が整列する場合、組換え事象(Cre酵素によって触媒される)は、それらの間の配列の切除/欠失へとつながる。三角形(定義されたDNA配列を表す)が互いに面している場合、組み換え事象は、介在配列の確率的反転(stochastic inversion)(前後にひっくり返す)を引き起こす。この例証の目的のために、増殖が一般的に記載される(および、サイクリンファミリーのメンバー、サイクリン依存性キナーゼ、p27kip、TERT、あるいは他のものなどの細胞周期阻害剤などの遺伝子を包含することができる)。本明細書(例えば、
図12-15)に記載の他の遺伝子組換え機構に記載されるように、増殖は、「多能性」遺伝子(iPSCを生成するための山中因子など)で置換することもできる。同様に、分化は、様々な遺伝子(筋細胞の場合のMyoDなど)を包含することができる。他の遺伝子が同じ方法で使用されてもよく、任意の系統への分化を刺激する。そのような構築物は、異なる細胞型への細胞の分化転換を誘導するために使用することができる。
【0079】
2つの代表的なシナリオが
図28Bに示される。上パネル(1)において、Creが加えられる場合、それは初めに、三角形の黒色の対あるいは白色の対のいずれかで組換えを誘導する。左のシナリオに示されるように、最初の事象が黒色の三角形(loxP)に関与している場合、これは介在DNA配列の反転を誘導し、2つの白色三角形(lox5171)を平行に置く;その後、これは、Cre酵素が介在配列を切除することを可能にする。結果は、増殖遺伝子から分化遺伝子への切り換えである。右のシナリオでは、Creは、最初に白色の三角形(lox5171)に作用する。これは反転を誘導し、その後、黒色の三角形(loxP)を平行に置き、Creが介在配列を切除することを可能にする。再び、結果は、増殖遺伝子の転写から分化遺伝子の転写への切り換えである。そのような構築物は、異なる細胞型への細胞の分化転換を誘導するために使用することができる。
【0080】
下のパネル(2)では、異なるスキームは増殖から分化への切り換えをもたらす。Creが白色の三角形(lox5171)の間の組み換えを最初に誘導する場合、反転事象が生じるようにlox配列が配置される。上記反転事象は、2つの黒色の三角形を平行に置き(loxP)、Creが増殖遺伝子を切除し、かつ分化を活性化することを可能にする。反転は、Creが黒色の三角形の間の組み換えを初めに誘発する右パネルで生じる。そのような構築物は、異なる細胞型への細胞の分化転換を誘導するために使用することができる。
【0081】
他のシステム(1つの遺伝子プログラムを活性化し、その後、遺伝子活性化の第2の工程を必要とする)とは異なり、
図28Bにおいて本明細書に記載されるプロセスは、単一入力(Cre)を使用し、非常に高い効率で、ある遺伝子セットから別の遺伝子セットへの完全な切り換えを誘導するという点で独特である。このアプローチは、特に大規模生産において、プロセスを単純化および/または必要な入力を減少することができる、培養食品を生産する方法の改善をもたらす。大規模に、本明細書に開示されるプロセスは、プロセス単純化における有意な改善および必要な入力の減少を表す。
【0082】
本明細書に記載される誘導性の系は、Tetおよび/またはCreレコンビナーゼベースの系に制限されない。対象の1つ以上の遺伝子を切除するために誘導性レコンビナーゼ発現を利用する系の他の実施形態が企図される。例えば、Flp-FRT系は、FRT(フリッパーゼ認識標的)配列と隣接するDNAを切除するために、Flp(フリッパーゼ)レコンビナーゼを利用する。そのようなシステムは、異なる細胞型への細胞の分化転換を誘導するために使用することができる。
【0083】
自己再生の未分化状態で細胞を維持するための誘導された発現および遺伝子切除の組み合わせは、プロモーターの漏れやすさあるいは基礎発現レベルの技術的問題に直面する可能性がある。例えば、プロモーターの漏れやすさは、レコンビナーゼの一部の発現を結果として生じさせ、その後、誘導剤が添加される前に、多分化能性幹細胞因子を切除する。しかし、本明細書に記載される培養食品生産の目的のためにこのシステムを利用する重要な利点は、漏れやすさを経験するそれらの細胞が自己再生表現型を失い、レコンビナーゼ発現のより厳しい制御を維持する細胞に打ち負かされる可能性が高いということである。したがって、自己再生(例えば、多能性または分化多能性)細胞培養をスケールアップして商業的量の培養食品を産生する際に、集団中の培養細胞のほとんどあるいはすべてが、基礎発現レベルが十分に低い場合には、それらの未分化および自己再生の特性を保持しなければならない。誘導剤の不在下でレコンビナーゼ発現の強力な抑制を有する細胞株を同定するために、修飾された細胞をクローン的に選択することができる。場合によっては、細胞がヒト食用の肉製品を産生するために採取される直前に、分化(および/または他の望ましい特性)を誘導するために誘導剤が添加される。
【0084】
<脂質蓄積あるいは脂肪症を誘導する>
場合によっては、本明細書に開示されるシステム、方法、および組成物は、脂質蓄積あるいは脂肪症の誘導を提供する。しばしば、脂質蓄積あるいは脂肪症は、脂質含有量が増加した細胞培養食品を産生する目的のために、細胞の集団において誘導される。本明細書で使用されるように、脂肪症は、細胞内の脂質の異常な保持を特徴とする病的状態である。過剰な脂質は、細胞質に取って代わる小胞中に蓄積する。大滴性脂肪変性は、小胞が核に取って代わるか、または歪めるのに十分な大きさである場合を説明するが、小滴性脂肪変性はこの表現型を欠いている。例えば、
図4Aは、遺伝子介入および/または外因性化合物(409)の添加による脂肪肝細胞(413)の生成を含むプロセスを例証する。
【0085】
いくつかの態様では、脂質蓄積および/または脂肪症は、遺伝子操作によって細胞の集団において誘導される。例えば、本明細書に開示されるいくつかの方法は、培養された鳥類の肝臓組織を含むフォアグラの調製を提供する。いくつかのそのような方法は:a)自己再生可能な鳥類由来の細胞の集団を得る工程と;b)鳥類由来の細胞の集団を肝細胞へと分化させる工程と;c)高い脂質含有量を有する培養された鳥類の肝臓組織を生成するために、肝細胞中で脂肪症を誘導する工程と;d)フォアグラとして培養された鳥類の肝臓組織を調製する工程と、を含む。ある例では、非肝細胞が脂質蓄積を経験するように誘導される。いくつかの方法は、ヒトによる消費のために高脂質蓄積を有する培養細胞を生成する。そのような方法の1つの例は:a)細胞の集団を培養する工程と;b)細胞の集団内の分化を誘導する工程と;c)細胞の集団内の高脂肪蓄積を誘導する工程と;d)ヒトによる消費のために細胞の集団を処理する工程と、を含む。
【0086】
脂肪症および/または脂質蓄積は、脂質代謝を操作することによって遂行される。例えば、脂肪症を経験した肝細胞の遺伝子プロファイルは、Chiappini et al., Exploration of global gene expression in human liver steatosis by high-density oligonucleotide microarray. Lab Invest. 2006 Feb; 86(2):154-65によってあらかじめ特徴付けられる。脂肪肝細胞において影響を受けた細胞内シグナル伝達経路は、脂質代謝に関与しており、肝細胞の細胞質内での脂肪滴の蓄積に結びつく。場合によっては、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、細胞の集団において脂肪症の信頼できる高い効率の誘導を提供する。脂肪症は、肝臓細胞または肝細胞の集団中でしばしば誘導される。時々、脂肪症は、肝臓脂質代謝に関与する遺伝子のアップレギュレーションあるいはダウンレギュレーションによって誘導される。例えば、場合によっては、Porteiro et al., Hepatic p63 regulates steatosis via IKK beta/ER stress. Nature Communications. 2017 May;8:15111に記載されるように、p63(例えば、N末端のトランス活性化ドメインTAp63の過剰発現)のp53枯渇および/またはアップレギュレーションは、脂質蓄積を誘導する。肝細胞などの細胞の遺伝子修飾は、議論された様々なプロトコル(例えば、脂肪症に関与する遺伝子の誘導性発現)を使用して実行することができる。いくつかの例では、脂肪症および/または脂質蓄積は、脂質代謝経路およびERストレスに関与するER経路の少なくとも1つを操作することによって誘導される。時々、脂肪症あるいは脂質蓄積は、肝蔵細胞または肝細胞において誘導される。あるいは、その他の場合において、脂肪症あるいは脂質蓄積は、例えば、筋細胞または骨格筋細胞などの非肝細胞において誘導される。時々、脂肪症は、サケの筋細胞などの魚の筋細胞において誘導される。ある例では、脂肪症あるいは脂質蓄積は、例えば、腎臓細胞などの非肝細胞臓器細胞において誘導される。時々、脂肪症あるいは脂質蓄積は、分化細胞集団への拡張のための中間細胞株として使用される、多能性細胞集団または成体前駆細胞集団において誘導される。これらのシナリオでは、脂肪症あるいは脂質蓄積は、細胞の集団が分化する前の生成プロセスの初期に誘導される。場合によっては、高脂質蓄積が細胞において誘導される。
【0087】
反対に、ある例では、脂肪症は遺伝子操作を必要とせずに、脂質代謝経路を破壊することによって誘導される。例えば、特定の外因性化合物は、インビトロあるいはエクスビボで成長した肝細胞において脂肪症を誘導することができる。これらの外因性化合物は、アルコール類などの毒素および脂肪酸などの脂質を含む。場合によっては、少なくとも1つの脂質の高濃度を有する培地製剤において細胞を培養することは、脂肪症を誘導する。様々な実施形態では、細胞は、脂肪症を誘導するために脂質が豊富な培地製剤において培養される。脂質が豊富な培地中で培養された細胞は、時々、例えば、鳥類の肝細胞あるいは魚の筋細胞などの分化細胞の集団を含む。ある例では、脂質が豊富な培地中で培養された細胞は、胚性幹細胞あるいは誘導多能性幹細胞などの多分化能性幹細胞である。あるいは、ある例では、脂質が豊富な培地中で培養された細胞は、成体前駆細胞などの分化多能性幹細胞である。時々、細胞は、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、ポリ不飽和脂肪酸、およびトランス脂肪酸から選択される少なくとも1つの脂質型を有する、脂質が豊富な培地において培養される。脂質の例としては、パルミチン酸、オレイン酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、およびエイコサペンタエン酸が挙げられる。場合によっては、上記培地は、誘導するためにリノール酸、オレイン酸、あるいはその組み合わせで補足されて、培地中で培養された細胞の集団において脂質蓄積あるいは脂肪症を誘導する。場合によっては、上記培地は、少なくとも約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約15mM、あるいは約20mMの濃度の脂質で補足される。時々、上記培地は、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約15mM、あるいは約20mM以下の脂質で補足される。様々な実施形態において、上記培地は、少なくとも約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μM、約10μM、約20μM、約30μM、約40μM、約50μM、約60μM、約70μM、約80μM、約90μM、約100μM、約200μM、約300μM、約400μM、約500μM、約600μM、約700μM、約800μM、約900μM、あるいは約1,000μMの濃度の脂質で補足される。ある例において、上記培地は、少なくとも約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μM、約10μM、約20μM、約30μM、約40μM、約50μM、約60μM、約70μM、約80μM、約90μM、約100μM、約200μM、約300μM、約400μM、約500μM、約600μM、約700μM、約800μM、約900μM、あるいは約1,000μM以下の濃度の脂質で補足される。しばしば、細胞培養培地は、約1mM~約20mMあるいは約1μM~約1000μMの脂質濃度を含む。細胞培養培地は、しばしば少なくとも約1μMの脂質濃度を含む。典型的には、細胞培養培地は、最大で約20mMの脂質濃度を含む。
【0088】
場合によっては、上記培地は、IBMX(メチルキサンチン)、ロシグリタゾン(チアゾリジンジオン)、上昇したグルコース濃度、および/またはデキサメタゾンなどのコルチコステロイドなどの少なくとも1つの培地で補足される。上記培地を補足するために使用することができるチアゾリジンジオンのその他の例としては、ピオグリタゾン、ロベグリタゾン(lobeglitazone)、シグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、ネトグリタゾン(netoglitazone)、リボグリタゾン、トログリタゾン、およびバラグリタゾンが挙げられる。ある例では、上記培地は、ピオグリタゾン、ロベグリタゾン、シグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、ネトグリタゾン、リボグリタゾン、トログリタゾン、およびバラグリタゾンからなる群から選択される少なくとも1のチアゾリジンジオンで補足される。一例において、チアゾリジンジオンはロシグリタゾンである。本明細書に記載される培地補足物は、脂質濃度について記載される濃度の全範囲を含む様々な濃度で、培地に添加することができる。例えば、上記培地補足物は、少なくとも約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μM、約10μM、約20μM、約30μM、約40μM、約50μM、約60μM、約70μM、約80μM、約90μM、約100μM、約200μM、約300μM、約400μM、約500μM、約600μM、約700μM、約800μM、約900μM、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約15mM、あるいは約20mMの濃度で培地に添加することができる。場合によっては、上記培地補足物は、少なくとも約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μM、約10μM、約20μM、約30μM、約40μM、約50μM、約60μM、約70μM、約80μM、約90μM、約100μM、約200μM、約300μM、約400μM、約500μM、約600μM、約700μM、約800μM、約900μM、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約15mM、あるいは約20mM以下の濃度で培地に添加することができる。
【0089】
図16Aは、未処理の対照(上パネル)と比較した、2μMのリノール酸(下パネル)でのインキュベーション時における、アヒルの肝細胞中での脂肪症の成功した誘導(細胞内脂質含有小胞の蓄積;矢頭)を示す。
図16Bは、脂肪肝細胞の割合とリノール酸の濃度を相関させる用量反応曲線を示す。同様の結果がオレイン酸で達成された。場合によっては、IBMX(メチルキサンチン)、ロシグリタゾン(チアゾリジンジオン)、上昇したグルコース濃度、あるいは他の脂肪酸、およびデキサメタゾンなどのコルチコステロイドで肝細胞をインキュベートすることによって、プロトコルが増強された。
【0090】
場合によっては、細胞培養培地が、約0.1μM、約0.2μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.7μM、約0.8μM、約0.9μM、約1.0μM、約1.1μM、約1.2μM、約1.3μM、約1.4μM、約1.5μM、約1.6μM、約1.7μM、約1.8μM、約1.9μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μM、約10μM、約15μM、あるいは20μMの脂質濃度(または本明細書に記載される他の培地補足物)含む。場合によっては、細胞培養培地が、最大で約0.1μM、約0.2μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.7μM、約0.8μM、約0.9μM、約1.0μM、約1.1μM、約1.2μM、約1.3μM、約1.4μM、約1.5μM、約1.6μM、1.7μM、約1.8μM、約1.9μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μM、約10μM、約15μM、あるいは約20μMの脂質濃度を含む。場合によっては、細胞培養培地が、約1μM~約2μM、約1μM~約3μM、約1μM~約4μM、約1μM~約5μM、約1μM~約6μM、約1μM~約7μM、約1μM~約8μM、約1μM~約9μM、約1μM~約10μM、約1μM~約15μM、約1μM~約20μM、約2μM~約3μM、約2μM~約4μM、約2μM~約5μM、約2μM~約6μM、約2μM~約7μM、約2μM~約8μM、約2μM~約9μM、約2μM~約10μM、約2μM~約15μM、約2μM~約20μM、約3μM~約4μM、約3μM~約5μM、約3μM~約6μM、約3μM~約7μM、約3μM~約8μM、約3μM~約9μM、約3μM~約10μM、約3μM~約15μM、約3μM~約20μM、約4μM~約5μM、約4μM~約6μM、約4μM~約7μM、約4μM~約8μM、約4μM~約9μM、約4μM~約10μM、約4μM~約15μM、約4μM~約20μM、約5μM~約6μM、約5μM~約7μM、約5μM~約8μM、約5μM~約9μM、約5μM~約10μM、約5μM~約15μM、約5μM~約20μM、約6μM~約7μM、約6μM~約8μM、約6μM~約9μM、約6μM~約10μM、約6μM~約15μM、約6μM~約20μM、約7μM~約8μM、約7μM~約9μM、約7μM~約10μM、約7μM~約15μM、約7μM~約20μM、約8μM~約9μM、約8μM~約10μM、約8μM~約15μM、約8μM~約20μM、約9μM~約10μM、約9μM~約15μM、約9μM~約20μM、約10μM~約15μM、約10μM~約20μM、あるいは約15μM~約20μMの脂質濃度を含む。
【0091】
場合によっては、細胞培養培地が、少なくとも約0.1mM約0.2mM、約0.3mM、約0.4mM、約0.5mM、約0.6mM、約0.7mM、約0.8mM、約0.9mM、約1.0mM、約1.1mM、約1.2mM、約1.3mM、約1.4mM、約1.5mM、約1.6mM、約1.7mM、約1.8mM、約1.9mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約15mM、あるいは約20mMの脂質濃度(または本明細書に記載される他の培地補足物)を含む。場合によっては、細胞培養培地が、最大で約0.1mM、約0.2mM、約0.3mM、約0.4mM、約0.5mM、約0.6mM、約0.7mM、約0.8mM、約0.9mM、約1.0mM、約1.1mM、約1.2mM、約1.3mM、約1.4mM、約1.5mM、約1.6mM、約1.7mM、約1.8mM、約1.9mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約15mM、あるいは約20mMの脂質濃度を含む。場合によっては、細胞培養培地が、約1mM~約2mM、約1mM~約3mM、約1mM~約4mM、約1mM~約5mM、約1mM~約6mM、約1mM~約7mM、約1mM~約8mM、約1mM~約9mM、約1mM~約10mM、約1mM~約15mM、約1mM~約20mM、約2mM~約3mM、約2mM~約4mM、約2mM~約5mM、約2mM~約6mM、約2mM~約7mM、約2mM~約8mM、約2mM~約9mM、約2mM~約10mM、約2mM~約15mM、約2mM~約20mM、約3mM~約4mM、約3mM~約5mM、約3mM~約6mM、約3mM~約7mM、約3mM~約8mM、約3mM~約9mM、約3mM~約10mM、約3mM~約15mM、約3mM~約20mM、約4mM~約5mM、約4mM~約6mM、約4mM~約7mM、約4mM~約8mM、約4mM~約9mM、約4mM~約10mM、約4mM~約15mM、約4mM~約20mM、約5mM~約6mM、約5mM~約7mM、約5mM~約8mM、約5mM~約9mM、約5mM~約10mM、約5mM~約15mM、約5mM~約20mM、約6mM~約7mM、約6mM~約8mM、約6mM~約9mM、約6mM~約10mM、約6mM~約15mM、約6mM~約20mM、約7mM~約8mM、約7mM~約9mM、約7mM~約10mM、約7mM~約15mM、約7mM~約20mM、約8mM~約9mM、約8mM~約10mM、約8mM~約15mM、約8mM~約20mM、約9mM~約10mM、約9mM~約15mM、約9mM~約20mM、約10mM~約15mM、約10mM~約20mM、あるいは約15mM~約20mMの脂質濃度を含む。
【0092】
場合によっては、細胞は、脂肪症を誘発するために、高脂質濃度において一定期間培養される。細胞が高脂質濃度に晒される時間の長さは、細胞型、細胞集団のサイズ、細胞集団の年齢、継代の数、任意の遺伝子修飾あるいは細胞の操作、培地の型と成分、脂質蓄積または脂肪症の所望量、あるいはそれらの任意の組み合わせに応じて変動する。例えば、特定の細胞型は、他の細胞型より低速で培地中の外因性脂質を摂取し、したがって、所望量の脂肪症を誘導するために、脂質が豊富な培地においてより長いインキュベーション時間を必要とする。様々な場合では、細胞は、少なくとも1つの脂質を含む細胞培養培地において一定期間培養される。時々、細胞は、高脂質濃度を有する培地において、少なくとも一定期間培養される。多くの場合では、細胞は、高脂質濃度を有する培地において、約1日~約20日間培養される。細胞は、しばしば、高脂質濃度を有する培地において、少なくとも約1日間培養される。典型的には、細胞は、高脂質濃度を有する培地において、最大で約20日間培養される。
【0093】
ある例では、細胞は、高脂質濃度(または本明細書に記載される他の培地補足物)を有する培地において、約1日~約2日、約1日~約3日、約1日~約4日、約1日~約5日、約1日~約6日、約1日~約7日、約1日~約8日、約1日~約9日、約1日~約10日、約1日~約15日、約1日~約20日、約2日~約3日、約2日~約4日、約2日~約5日、約2日~約6日、約2日~約7日、約2日~約8日、約2日~約9日、約2日~約10日、約2日~約15日、約2日~約20日、約3日~約4日、約3日~約5日、約3日~約6日、約3日~約7日、約3日~約8日、約3日~約9日、約3日~約10日、約3日~約15日、約3日~約20日、約4日~約5日、約4日~約6日、約4日~約7日、約4日~約8日、約4日~約9日、約4日~約10日、約4日~約15日、約4日~約20日、約5日~約6日、約5日~約7日、約5日~約8日、約5日~約9日、約5日~約10日、約5日~約15日、約5日~約20日、約6日~約7日、約6日~約8日、約6日~約9日、約6日~約10日、約6日~約15日、約6日~約20日、約7日~約8日、約7日~約9日、約7日~約10日、約7日~約15日、約7日~約20日、約8日~約9日、約8日~約10日、約8日~約15日、約8日~約20日、約9日~約10日、約9日~約15日、約9日~約20日、約10日~約15日、約10日~約20日、あるいは約15日~約20日間培養される。
【0094】
<培地製剤>
培養食品生産を可能にする少なくとも1つの培地製剤を利用するシステムおよび方法が本明細書で提供される。場合によっては、上記培地製剤は、ウシ胎仔血清などの血清の使用を必要としない。時々、培地製剤は、特定の細胞培養培地において使用される1つ以上の他の補足物を必要としない。細胞培養培地は、通常、血清培地および無血清培地の2つのカテゴリーに分類される。従来の培地製剤は、しばしば、大規模な培養食品生産にとって費用がかかりすぎるウシ胎仔血清および他の補足物を利用する。血清(例えば、ウシ胎仔血清)は、動物から産生されるため、バッチ間で変動する傾向がある。例えば、ウシ胎仔血清(FBS)は、子牛の胎児の血液から抽出され、組成物のバッチ間変動を有する傾向がある。加えて、血清の使用は、ウイルス、ミコプラズマ、プリオン、毒素、および、血清が抽出される動物中に存在する他の好ましくないものによって、汚染の可能性を生み出し得る。最後に、血清は費用がかかりすぎ、かつ家畜を飼育する必要があり、それは、培養食品を提供するというゴールの一部に反している。しかし、無血清培地の使用はこれらの課題を回避する。血清の代替物あるいは補足物が、本明細書に記載される培養食品を生成するための様々な培地製剤で使用される。血清の代替物あるいは補足物は、家畜ではない(例えば、ウシの胎児に由来しない)ソースに由来する。例としては、酵母、より大きな菌類(例えば、マッシュルーム)、細菌、藻類、あるいは昆虫細胞(例えば、バキュロウィルス)系における哺乳動物細胞の過剰発現系および導入遺伝子発現が挙げられる。例示的な実施形態は、Benjaminson et al. In vitro edible muscle protein production system (mpps): Stage 1, fish. Acta Astronautica (2002): 51(12), 879-889に記載されるような、無血清培地製剤のための血清の代替物を生成するためのマッシュルームベース系である。時々、本明細書に記載される上記システム、方法、および組成物は、マッシュルームベースの培地製剤を使用して培養するのに適切な、少なくとも1つの細胞株を生成あるいは取得することを含む。場合によっては、肝細胞株、脂肪前駆細胞株、あるいは衛星細胞株が、マッシュルームベースの無血清培地製剤での培養を可能にするように調整あるいは変更される。
【0095】
場合によっては、培地製剤は天然培地を含む。しばしば、培地製剤は合成培地あるいはその修飾したものを含む。合成培地の例としては、最小必須培地(MEM)、Essential8培地、イーグル基礎培地(BME)、Ham’sF12、Ham’sF-10、フィッシャー培地、CMRL-1066培地、クリック培地、培地199、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、RPMI-1640、L-15培地、マッコイ5A改変培地、ウィリアム培地E、およびイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)が挙げられる。
【0096】
場合によっては、培地製剤は、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性生殖細胞、分化細胞(例えば、肝細胞または筋細胞)、不死化された分化細胞、あるいは発生期の肝臓幹細胞を培養するために変更される。ある例では、WO2008129058A1に記載されるような単離されたアヒル幹細胞株を培養するための培地製剤が、1以上の変更を伴って使用される。例えば、場合によっては、インターロイキン6および幹細胞刺激因子は、培地製剤から随意に除去される。時々、培地製剤はWO2008129058A1から変更される。培地の製剤は、通常、フィーダー細胞を必要とせずに、幹細胞の自己再生能力の増殖および/または維持を可能にする。例えば、Essential8培地は、フィーダー細胞のない環境において、多分化能性幹細胞を維持するための最も重要な成分を提供する。フィーダーなしの培養環境は、多分化能性幹細胞を成長させるために常にフィーダー細胞層を再播種する必要がないため、培養食品の大規模生産を強化する。しばしば、複数の培地製剤が細胞の集団の培養中に使用される。場合によっては、例えば、未分化状態の胚性幹細胞の集団を維持するなどの自己再生能力を維持する培地製剤を用いて、自己再生能力を有する細胞の当初の集団が培養される。次に、時々、分化は自己再生能力を有する細胞の集団において誘導される。例として、胚性幹細胞が肝細胞へと分化するために誘導される。この分化工程は、時々、分化培地製剤を必要とする。例えば、いくつかの例では、特定の分化因子が添加されるか、および/または、自己再生能力の維持に必要な因子が分化培地中で除去される。さらに、細胞の集団における分化が肝細胞の生成に結びつく場合、肝細胞において脂肪症または脂質蓄積を誘導する追加の工程がしばしば存在する。場合によっては、脂肪症は、脂肪培地製剤の使用によって、少なくとも部分的に誘導される。例えば、脂肪培地製剤は、時々、本明細書の他の箇所に記載されるように、少なくとも特定の濃度の脂質濃度を含む。
【0097】
場合によっては、培地製剤が、完成食品の栄養素含有量を高めるための、少なくとも1つの栄養素あるいは栄養剤を含む。栄養素は多量栄養素または微量栄養素である。多量栄養素は大量に必要な栄養素であり、タンパク質、脂肪、および炭水化物を含む。微量栄養素は少量が必要とされ、ビタミン、ミネラル、一部のアミノ酸、および、例えば、フラボノイドなどの特定の化合物を含む。ある例では、少なくとも1つの栄養素が、培養細胞の集団による摂取のために培地製剤に添加される。例として、フォアグラを生成するために使用される脂肪肝細胞は、典型的には、細胞質内に高脂質蓄積を有する。特定の脂質組成(例えば、ω-3脂肪酸)を有する培地製剤での肝細胞の培養は、結果として生じる脂肪肝細胞が、培地の脂質組成を部分的に反映する変更された脂質プロフィールを有するように誘導する。ある方法は、ヒトによる消費のために栄養素含有量を増加させた培養組織の生成を提供する。例えば、いくつかのそのような方法は:a)少なくとも1つの栄養剤を有する培養培地において細胞の集団を培養する工程と;b)細胞が高脂質含有量を蓄積するように、分化細胞の集団において脂肪症を誘導するために脂質代謝経路を操作する工程と;c)ヒトによる消費のために、分化細胞の集団を質感がない組織へと処理する工程と、を含む。他の方法は:a)少なくとも1つの栄養剤を有する培養培地において細胞の集団を培養する工程と;b)細胞が高脂質含有量を蓄積するように、分化細胞の集団において脂肪症を誘導するために脂質代謝経路を操作する工程と;c)ヒトによる消費のために、分化細胞の集団を均質に質感付けた組織へと処理する工程と、を含む。
【0098】
場合によっては、細胞を培養するために必要とされる特定の成長因子、タンパク質、脂質、ホルモン、あるいはその任意の組み合わせを含む培地製剤が生成される。しばしば、哺乳動物細胞過剰発現系は、前述の培地成分のいずれかを生成するために使用される。いくつかの例では、酵母における導入遺伝子発現、特定の菌類、細菌、藻類、あるいは昆虫細胞(バキュロウィルス)系が利用される。ある例では、その後、発現した培地成分は、単離および/または精製される。時々、培地製剤は、培地コンディショニング技術(media conditioning technique)を使用して生成される。あるいは、細胞は共培養モデルを使用して培養されることもある。しかし、様々な場合では、細胞は、共培養せずに、あるいは、酵母(例えば、食物を生成するために培養されている細胞と同じ界、門、および/または種に属さない生物あるいは細胞)などの生体異物細胞と共培養せずに、培養される。例えば、いくつかの鳥類の細胞は、マウスフィーダー細胞などの非酵母菌で共培養される。
【0099】
細胞培養培地からのウシ胎仔血清の成功した減少あるいは除去が実証されている。
図17は、成体アヒル肝細胞に由来する不死化細胞株からの細胞数をプロットするグラフを示す。これらの不死化細胞は、大豆加水分解物(10g/L)の存在下で、徐々に濃度を減少させたウシ胎仔血清(FBS)において培養された。大豆加水分解物の培地の補足は、培養した肝細胞の血清の必要量を92%減少することを可能にした。
【0100】
図18は、細胞培養培地からのウシ胎仔血清を連続的に減少させた後の、10%のシイタケ抽出物において成功裡に成長したアヒルの線維芽細胞を示す。場合によっては、上記培地は、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、あるいは15%のマッシュルーム抽出物で補足される。ある例では、上記培地は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、あるいは15%以下のマッシュルーム抽出物で補足される。マッシュルーム抽出物で補足される培地は、減少した血清中濃度を利用するか、あるいは血清を利用しなくてもよい。場合によっては、補足された培地は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、あるいは10%以下の血清(例えば、FBSなどの動物血清)を有する。そのような血清を減少させた培地製剤あるいは無血清培地製剤は、鳥類の細胞、魚の細胞、ブタの細胞、ウシの細胞、および他の食用の種の細胞などの様々な種に由来した細胞を含む本明細書に記載される細胞のいずれかを成長させるか、または培養するために利用することができる。場合によっては、細胞は家畜化された種(例えば、ウシ、ブタ、ニワトリ、アヒルなど)に由来する。その他の場合において、細胞は、家畜化されていない種(マス、サケ、ロブスター、カニなど)に由来する。分化多能性細胞、多能性細胞、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、筋細胞、脂肪細胞、筋衛星細胞、脂肪前駆細胞、間葉系幹細胞、線維芽細胞、肝細胞、および他の細胞型を含む様々な細胞型が、本明細書に記載される血清が減少した培地製剤または無血清培地製剤において培養され得る。
【0101】
場合によっては、細胞の集団あるいは細胞株は、補足を必要とせずに、血清が減少した培地製剤または無血清培地製剤において成長させるのに適している。
図19Aは、追加の補足のない無血清培地において成長したアヒルの線維芽細胞を示し;
図19Bは、10%のウシ胎仔血清で補足されたDMEMにおいて成長した対照培養を示す。
【0102】
<培養細胞のスケーラブルな生成>
ヒト食用の食品を作るための培養細胞の生成をスケールアップするために、様々な方法が随意に使用される。本明細書に開示されるシステムおよび方法は、培養食物の大規模生産を可能にする(
図4A-4B)。1つの方法は、組織培養皿あるいはそれらの機能的等価物(例えば、細胞培養チャンバ)などの2次元の表面を使用することである。代表例は、接着細胞の接着を増強するための親水性を高めるように処理された、ポリスチレン表面を有する細胞培庫である。時々、細胞培養チャンバは、培養細胞の基質として機能するタンパク質組成物でコーティングされる。細胞培養チャンバは、本明細書に記載されるような培地製剤をしばしば使用する。多くの場合では、2Dの表面のアプローチは、複数の細胞培養チャンバを組み合わせることによりスケールアップされる。時々、複数の細胞培養チャンバは積み重ねられ、並んで配置される。いくつかの実施形態では、細胞培養チャンバは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、あるいは100のチャンバの高さに積み重ねられる。細胞培養チャンバのスタックは、通常、互いに並んで配置される。例えば、ある例では、細胞培養チャンバのスタックは、空間を最大限に利用するために、並んでおよび/または前後に配置される。多くの場合では、上記チャンバは、物理的に結合され(例えば、単一のユニットとして作り上げられ)、かつ液体および気体の流れを可能するチャネルによって接続される一般的な注入口とベントポートを有する。
【0103】
ある実施形態では、細胞を培養するためのバイオリアクターシステムが本明細書で提供される。特定のバイオリアクターシステムは、ヒトによる消費に適している培養組織の生成を促進する。例えば、いくつかのバイオリアクターシステムは:a)細胞付着のための接着表面を提供する複数のマイクロスキャフォールドを含むリアクターチャンバーと;b)バイオリアクター内で培養される、自己再生細胞の集団と;c)自発的な分化なしに自己再生細胞の集団を維持するための成分を含む、少なくとも1つの維持培地を提供する第1のソースと;d)自己再生細胞の集団を特異的な系統へと分化するための成分を含む、少なくとも1つの分化培地を提供する第2のソースと、を含んでおり;ここで、上記リアクターチャンバーは、細胞の集団を培養するために上記第1のソースから維持培地を受け取り、且つ、細胞の集団を分化するために上記第2のソースから分化培地を受け取り、単一のバッチに生成される上記細胞の集団は、ヒトによる消費に適しており且つ少なくとも1kgの乾燥乾重量を有する培養組織を含む。
【0104】
バイオリアクターシステムは、典型的に、大規模細胞培養に対してスケーラブルである。
図20は、細胞を培養するためのリアクターチャンバ(2001)を含むバイオリアクターシステムの1つの実施形態の略図を例証する。しばしば、バイオリアクターシステムは、リアクターチャンバ(2001)の内容物をかき混ぜるための要素(2003)を撹拌することを含む。連続的または周期的なかき混ぜは、懸濁液中の細胞、細胞集塊、および/またはマイクロスキャフォールドを維持するのに役立つ。新鮮な培地は、少なくとも1つの入力ポート(2002)を介してリアクターチャンバーに加えられる。新鮮な培地は、時々、本明細書に開示される維持培地、分化培地、脂肪培地、増殖培地、あるいは他の培地製剤である。枯渇した培地あるいは流出液は、少なくとも1つの出力ポート(2007)を介してリアクターチャンバーから除去される。場合によっては、酸素、二酸化炭素、および/または他のガスは、少なくとも1つの入力ガスポート(2006)を介して導入される。入力ガスポート(2006)は、リアクターチャンバーの内に配置されたエアレーターに任意につながれる。しばしば、バイオリアクターシステムは、リアクターチャンバーをモニタリングするための少なくとも1つのセンサー(2004)を含む。上記少なくとも1つのセンサー(2004)は、通常、制御装置(2008)(例えば、コンピューター)と通信する。多くの場合では、リアクターチャンバーには、複数のマイクロスキャホールド(2005)が播種されている。上記マイクロスキャホールド(2005)は、例えば、肝細胞などのある特定の接着細胞の接着を可能にする。例えば、ヒト食用のための培養魚肉を生産するいくつかの方法は、:a)魚由来の自己再生細胞の集団を得る工程と;b)マイクロスキャフォールドを含む培地で自己再生細胞の集団を培養する工程と;c)筋細胞および脂肪細胞の少なくとも1つを形成するために、細胞の集団において分化を誘導する工程と;d)ヒトによる消費のために上記細胞の集団を魚肉へと処理する工程と、を含む。
【0105】
図21は、バイオリアクターシステムが食肉生産に使用される例示的なプロセスを例証する。この例では、胚細胞、多能性細胞、あるいは分化多能性細胞などの特殊化した細胞は、卵から単離され、バイオリアクター(例えば、懸滴法を使用して、
図22に示されるようなスフェロイド体(spheroid bodies)を形成する)における成長に適している。細胞は、水および植物から作られた栄養素(例えば、大豆加水分解物またはマッシュルーム抽出物などの、動物由来の血清の植物ベースの代替物を用いて)を含む培地を使用して成長する。バイオリアクターの無菌の環境で、細胞を4-6週間成長させる。場合によっては、細胞が分化し、その後、採取および/または食肉製品へと加工される。
【0106】
2Dの細胞培養皿から3Dのバイオリアクターへの細胞の移行は、
図22Aに示される懸滴法などの様々な方法を使用して実行される。上記懸滴法は、懸滴培養液中に細胞を置くこと、ならびに、細胞が直接細胞間接触しており、かつ細胞外マトリックス成分と接触している3Dスフェロイドを形成するまで、生理学的条件下で細胞をインキュベートすることを必要とする。
図22Aに示される例示的な例は、スフェロイド(左パネル)の形成を開始するために、懸滴にアヒルの肝細胞を懸濁することを含む。その後、スフェロイドは、バイオリアクター(
図22A右パネル)中の3D培養物内へと移行される。3D培養物は、培養細胞のより迅速な増殖および/または成長を可能にする。別の例示的なバイオリアクターが
図22B(左パネル)に示される。スフェロイドからの細胞は、3D培養物(
図22B右パネル)中で増殖することができる。懸滴法の例示的な実施形態では、接着細胞培養物をPBSで洗浄し、0.05%のトリプシン1mMのEDTA溶液でインキュベートして、細胞を分離する。その後、トリプシンを培地の添加によって中和して、細胞を室温で5分間DNAseを用いて温浸する。細胞を250Gsで5分間遠心分離機にかけた。次に、上清を廃棄し、細胞を培地中で再撹拌する。懸滴は、組織培養皿の蓋の底上に細胞を有する大量の培地(例えば、10μl)をピペッティングすることにより形成する。複数の懸滴を単一の蓋上で形成することができる。PBSの数ミリリットルは、懸滴の脱水を防ぐために組織培養皿の底に添加することができる。その後、蓋を組織培養皿に置き、その後、スフェロイドが観察されるまで、標準細胞培養条件(例えば、5%のCO2、37℃、95%の湿度)でインキュベートする。
【0107】
時々、バイオリアクターシステムは、少なくとも1つのバイオリアクター、バイオリアクタータンク、あるいはリアクタチャンバ(2001)を含む。例えば、ある例では、バイオリアクターシステムは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、75、80、85、90、95、あるいは100のリアクターチャンバーを含む。場合によっては、バイオリアクターシステムは、約1つのリアクターチャンバ~約1,000のリアクターチャンバーを含む。時々、バイオリアクターシステムは約1つのリアクターチャンバーを含む。バイオリアクターシステムは、通常、最大で約1,000のリアクターチャンバーを含む。
【0108】
いくつかの実施形態において、バイオリアクターシステムは、約1つのリアクタチャンバ~約5つのリアクターチャンバー、約1つのリアクタチャンバ~約10のリアクターチャンバー、約1つのリアクタチャンバ~約20のリアクターチャンバー、約1つのリアクタチャンバ~約50のリアクターチャンバー、約1つのリアクタチャンバ~約100のリアクターチャンバー、約1つのリアクタチャンバ~約200のリアクターチャンバー、約1つのリアクタチャンバ~約300のリアクターチャンバー、約1つのリアクタチャンバ~約400のリアクターチャンバー、約1つのリアクタチャンバ~約500のリアクターチャンバー、約1つのリアクタチャンバ~約1,000のリアクターチャンバー、約5つのリアクタチャンバ~約10のリアクターチャンバー、約5つのリアクタチャンバ~約20のリアクターチャンバー、約5つのリアクタチャンバ~約50のリアクターチャンバー、約5つのリアクタチャンバ~約100のリアクターチャンバー、約5つのリアクタチャンバ~約200のリアクターチャンバー、約5つのリアクタチャンバ~約300のリアクターチャンバー、約5つのリアクタチャンバ~約400のリアクターチャンバー、約5つのリアクタチャンバ~約500のリアクターチャンバー、約5つのリアクタチャンバ~約1,000のリアクターチャンバー、約10のリアクタチャンバ~約20のリアクターチャンバー、約10のリアクタチャンバ~約50のリアクターチャンバー、約10のリアクタチャンバ~約100のリアクターチャンバー、約10のリアクタチャンバ~約200のリアクターチャンバー、約10のリアクタチャンバ~約300のリアクターチャンバー、約10のリアクタチャンバ~約400のリアクターチャンバー、約10のリアクタチャンバ~約500のリアクターチャンバー、約10のリアクタチャンバ~約1,000のリアクターチャンバー、約20のリアクタチャンバ~約50のリアクターチャンバー、約20のリアクタチャンバ~約100のリアクターチャンバー、約20のリアクタチャンバ~約200のリアクターチャンバー、約20のリアクタチャンバ~約300のリアクターチャンバー、約20のリアクタチャンバ~約400のリアクターチャンバー、約20のリアクタチャンバ~約500のリアクターチャンバー、約20のリアクタチャンバ~約1,000のリアクターチャンバー、約50のリアクタチャンバ~約100のリアクターチャンバー、約50のリアクタチャンバ~約200のリアクターチャンバー、約50のリアクタチャンバ~約300のリアクターチャンバー、約50のリアクタチャンバ~約400のリアクターチャンバー、約50のリアクタチャンバ~約500のリアクターチャンバー、約50のリアクタチャンバ~約1,000のリアクターチャンバー、約100のリアクタチャンバ~約200のリアクターチャンバー、約100のリアクタチャンバ~約300のリアクターチャンバー、約100のリアクタチャンバ~約400のリアクターチャンバー、約100のリアクタチャンバ~約500のリアクターチャンバー、約100のリアクタチャンバ~約1,000のリアクターチャンバー、約200のリアクタチャンバ~約300のリアクターチャンバー、約200のリアクタチャンバ~約400のリアクターチャンバー、約200のリアクタチャンバ~約500のリアクターチャンバー、約200のリアクタチャンバ~約1,000のリアクターチャンバー、約300のリアクタチャンバ~約400のリアクターチャンバー、約300のリアクタチャンバ~約500のリアクターチャンバー、約300のリアクタチャンバ~約1,000のリアクターチャンバー、約400のリアクタチャンバ~約500のリアクターチャンバー、約400のリアクタチャンバ~約1,000のリアクターチャンバー、あるいは約500のリアクタチャンバ~約1,000のリアクターチャンバーを含む。
【0109】
場合によっては、少なくとも1つのリアクターチャンバーは、大規模細胞培養に適した内部体積を有する。場合によっては、リアクターチャンバーは、約1L~約100,000Lの内部体積を有する。ほとんどの例では、リアクターチャンバーは、少なくとも約1Lの内部体積を有する。時々、リアクターチャンバーは、最大で、約100,000Lの内部体積を有する。
【0110】
しばしば、リアクターチャンバーは、約1L~約10L、約1L~約50L、約1L~約100L、約1L~約500L、約1L~約1、000L、約1L~約5、000L、約1L~約10、000L、約1L~約50、000L、約1L~約100、000L、約10L~約50L、約10L~約100L、約10L~約500L、約10L~約1、000L、約10L~約5、000L、約10L~約10、000L、約10L~約50、000L、約10L~約100、000L、約50L~約100L、約50L~約500L、約50L~約1、000L、約50L~約5、000L、約50L~約10、000L、約50L~約50、000L、約50L~約100、000L、約100L~約500L、約100L~約1、000L、約100L~約5、000L、約100L~約10、000L、約100L~約50、000L、約100L~約100、000L、約500L~約1、000L、約500L~約5、000L、約500L~約10、000L、約500L~約50、000L、約500L~約100、000L、約1、000L~約5、000L、約1、000L~約10、000L、約1、000L~約50、000L、約1、000L~約100、000L、約5、000L~約10、000L、約5、000L~約50、000L、約5、000L~約100、000L、約10、000L~約50、000L、約10、000L~約100、000L、あるいは約50、000L~約100、000Lの内部体積を有する。
【0111】
場合によっては、食品の生産のための培養細胞の大規模生成に適したバイオリアクターシステムが本明細書に開示される。しばしば、細胞はバッチ方式で培養される。代替的に、または組み合わせて、細胞は連続的に培養される。バッチ培養法および連続培養法の両方において、所望の食品を生産するための適切な栄養素濃度を保証するために、新鮮な栄養素が通常供給される。一例として、流加培養法において、栄養素(例えば、新鮮な培地)がバイオリアクターに供給され、培養細胞は、完成した食品へと加工する準備ができるまで、バイオリアクターに留まる。半回分培養において、基礎培地がバイオリアクターに供給されて原始細胞培養を支援し、その後、枯渇した栄養素を補充するためにさらなる供給培地が供給される。時々、バイオリアクターシステムは、バッチ当たり細胞の少なくとも一定量を生成する。場合によっては、バイオリアクターシステムは、約10億の細胞~約10京の細胞のバッチを生成する。しばしば、バイオリアクターシステムは、少なくとも約10億の細胞のバッチを生成する。バイオリアクターシステムは、通常、最大で約10京の細胞を生成する。
【0112】
時々、バイオリアクターシステムは、約10億の細胞~約100億の細胞、約10億の細胞~約500億の細胞、約10億の細胞~約1000億の細胞、約10億の細胞~約5000億の細胞、約10億の細胞~約1兆の細胞、約10億の細胞~約5兆の細胞、約10億の細胞~約10兆の細胞、約10億の細胞~約100兆の細胞、約10億個の細胞~約1000兆個の細胞、約10億個の細胞~約1京個の細胞、約10億個の細胞~約10京個の細胞、約100億個の細胞~約500億個の細胞、約100億個の細胞~約1000億個の細胞、約100億個の細胞~約5000億個の細胞、約100億個の細胞~約1兆個の細胞、約100億個の細胞~約5兆個の細胞、約100億個の細胞~約10兆個の細胞、約100億個の細胞~約100兆個の細胞、約100億個の細胞~約1000兆個の細胞、約100億個の細胞~約1京個の細胞、約100億個の細胞~約10京個の細胞、約500億個の細胞~約1000億個の細胞、約500億個の細胞~約5000億個の細胞、約500億個の細胞~約1兆個の細胞、約500億個の細胞~約5兆個の細胞、約500億個の細胞~約10兆個の細胞、約500億個の細胞~約100兆個の細胞、約500億個の細胞~約1000兆個の細胞、約500億個の細胞~約1京個の細胞、約500億個の細胞~約10京個の細胞、約1000億個の細胞~約5000億個の細胞、約1000億個の細胞~約1兆個の細胞、約1000億個の細胞~約5兆個の細胞、約1000億個の細胞~約10兆個の細胞、約1000億個の細胞~約100兆個の細胞、約1000億個の細胞~約1000兆個の細胞、約1000億個の細胞~約1京個の細胞、約1000億個の細胞~約10京個の細胞、約5000億個の細胞~約1兆個の細胞、約5000億個の細胞~約5兆個の細胞、約5000億個の細胞~約10兆個の細胞、約5000億個の細胞~約100兆個の細胞、約5000億個の細胞~約1000兆個の細胞、約5000億個の細胞~約1京個の細胞、約5000億個の細胞~約10京個の細胞、約1兆個の細胞~約5兆個の細胞、約1兆個の細胞~約10兆個の細胞、約1兆個の細胞~約100兆個の細胞、約1兆個の細胞~約1000兆個の細胞、約1兆個の細胞~約1京個の細胞、約1兆個の細胞~約10京個の細胞、約5兆個の細胞~約10兆個の細胞、約5兆個の細胞~約100兆個の細胞、約5兆個の細胞~約1000兆個の細胞、約5兆の細胞~約1京の細胞、約5兆の細胞~約10京の細胞、約10兆の細胞~約100兆の細胞、約10兆の細胞~約1000兆の細胞、約10兆の細胞~約1京の細胞、約10兆の細胞~約10京の細胞、約100兆の細胞~約1000兆の細胞、約100兆の細胞~約1京の細胞、約100兆の細胞~約10京の細胞、約1000兆個の細胞~約1京個の細胞、1000兆個の細胞~約10京個の細胞、あるいは約1京個の細胞~約10京個の細胞のバッチを生成する。
【0113】
場合によっては、バイオリアクターシステムは、一定期間に培養細胞のバッチを生成する。例えば、場合によっては、バイオリアクターシステムは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、あるいは30の培養細胞のバッチを生成する。
【0114】
場合によっては、バイオリアクターシステムは、少なくとも一定の質量を有する培養細胞のバッチを生成する。時々、上記質量は、過剰な培地あるいは上清が取り除かれた乾燥重量として測定される。通常、バイオリアクターシステムは、約1kg~約10,000kgの培養細胞のバッチを生成する。特定の例では、バイオリアクターシステムは少なくとも約1kgのバッチを生成する。しばしば、バイオリアクターシステムは、最大で約10,000kgのバッチを生成する。
【0115】
特定の例では、バイオリアクターシステムは、約1kg~約5kg、約1kg~約10kg、約1kg~約20kg、約1kg~約30kg、約1kg~約40kg、約1kg~約50kg、約1kg~約100kg、約1kg~約500kg、約1kg~約1,000kg、約1kg~約5,000kg、約1kg~約10,000kg、約5kg~約10kg、約5kg~約20kg、約5kg~約30kg、約5kg~約40kg、約5kg~約50kg、約5kg~約100kg、約5kg~約500kg、約5kg~約1,000kg、約5kg~約5,000kg、約5kg~約10,000kg、約10kg~約20kg、約10kg~約30kg、約10kg~約40kg、約10kg~約50kg、約10kg~約100kg、約10kg~約500kg、約10kg~約1,000kg、約10kg~約5,000kg、約10kg~約10,000kg、約20kg~約30kg、約20kg~約40kg、約20kg~約50kg、約20kg~約100kg、約20kg~約500kg、約20kg~約1,000kg、約20kg~約5,000kg、約20kg~約10,000kg、約30kg~約40kg、約30kg~約50kg、約30kg~約100kg、約30kg~約500kg、約30kg~約1,000kg、約30kg~約5,000kg、約30kg~約10,000kg、約40kg~約50kg、約40kg~約100kg、約40kg~約500kg、約40kg~約1,000kg、約40kg~約5,000kg、約40kg~約10,000kg、約50kg~約100kg、約50kg~約500kg、約50kg~約1,000kg、約50kg~約5,000kg、約50kg~約10,000kg、約100kg~約500kg、約100kg~約1,000kg、約100kg~約5,000kg、約100kg~約10,000kg、約500kg~約1,000kg、約500kg~約5,000kg、約500kg~約10,000kg、約1,000kg~約5,000kg、約1,000kg~約10,000kg、あるいは約5,000kg~約10,000kgのバッチを生成する。
【0116】
バイオリアクターシステムで成長された細胞は典型的に、懸濁液中で成長される。多くの場合、バイオリアクターシステムには、細胞培養の自動増殖および維持を可能とする構成要素がある。バイオリアクターは、中で培養細胞が成長する少なくとも1つのリアクターチャンバーまたはリアクタータンクを含む。場合によっては、バイオリアクターシステムは、培地を循環させ、新たな培地を導入し、および/または不要な培地を取り除くための少なくとも1つのポンプを有している。多くの場合、バイオリアクターシステムは、例えば増殖培地、維持培地(例えば自己再生能力の維持のためのもの)、分化培地、および脂肪性培地などの様々な型の培地を導入するための複数の培地タンクを含む。時折、バイオリアクターシステムは、酸素供給器、二酸化炭素調整器、およびバイオリアクターシステムの構成要素を調節する中央制御装置のうち少なくとも1つを含む。多くの例において、バイオリアクターは、懸濁液中で培養細胞を維持するための、および/または培地を混合したままにするための撹拌要素を有している。バイオリアクターは通常、リアクターチャンバーの内部の環境をモニタリングするための少なくとも1つのセンサを含む。センサは典型的に、細胞培養に重要なパラメータをモニタリングするためのバイオセンサ、化学センサ、または光センサである。場合によっては、センサは、pH、温度、酸素、二酸化炭素、グルコース、乳酸塩、アンモニア、ヒポキサンチン、アミノ酸、ドーパミン、および脂質のうち少なくとも1つをモニタリングするように構成される。多くの場合、少なくとも1つのセンサは、センサパラメータをモニタリングする制御ユニット(例えばコンピュータシステム)と通信状態にある。特定の例において、制御ユニットは、例えばディスプレイスクリーンなどの上でユーザーにセンサパラメータを提供する。制御ユニットは多くの場合、ユーザーからコマンドを受信するための少なくとも1つの入力源を含む。
【0117】
場合によっては、細胞は、細胞培養フラスコ中の懸濁液において培養されている。細胞培養フラスコは随意に、2D表面細胞培養について記載されるように積み重ねられおよび/または並行して配置される。懸濁液中で培養される細胞は通常、非接着細胞である。しかし、場合によっては、接着細胞は懸濁液中のスキャフォールド上で培養されている。スキャフォールドは、細胞が接着し、成長し、且つ遊走するための構造的支持、および物理的環境を提供する。加えて、スキャフォールドは通常、弾性および抗張力などの機械的特性を付与する。多くの場合、3Dスキャフォールドは、細胞の3D増殖を可能とするように接着細胞を培養するために使用される。スキャフォールドには時折、培養細胞の増殖を誘導するための特異的な形状またはサイズがある。場合によっては、スキャフォールドは1つ以上の異なる材料で構成される。一部のスキャフォールドは固形スキャフォールドであり、他のものは多孔性である。多孔性スキャフォールドは孔への細胞移動または浸潤を可能にする。スキャフォールドは、細胞からの適切な認識を誘導するために生体適合性の材料で構成される。加えて、スキャフォールドは、細胞から生成される所望の組織型に対して適切な機械的特性および分解動態を有する材料で作成される。特定の例において、スキャフォールドは、培養食品におけるスキャフォールドのリモデリングおよび/または排除を可能とするために分解性材料を含む。例えば、場合によっては、培養肝細胞を肝臓の形状へと成形する3Dスキャフォールドは、幹細胞がスキャフォールドの内部空間を満たすように拡大した後、生物分解する。他の例において、スキャフォールドは、培養食品に残る材料を含む。例えば、時折、培養筋細胞に支持をもたらすコラーゲンスキャフォールドの少なくとも一部は、培養食品において質感および持続的な構造的支持を提供し続ける。場合によっては、スキャフォールドは、ヒドロゲル、細胞外マトリックス分子(ECM)またはキトサンなどの生体材料、または生体適合性合成材料(例えばポリエチレンテレフタレート)を含む。ECM分子は典型的に、プロテオグリカン、非プロテオグリカン多糖、またはタンパク質である。スキャフォールディングに使用するための可能なECM分子は、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸、ラミニン、およびフィブロネクチンを含む。時折、植物ベースのスキャフォールドが、3D培養のために使用される。植物ベースのスキャフォールドの非限定的な例は、リンゴ、海草、またはジャックフルーツなどの植物から得られたスキャフォールドを含む。植物ベースのスキャフォールドは多くの場合、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、リグニン、アルギン酸塩、またはそれらの任意の組み合わせなどの少なくとも1つの植物ベースの材料を含む。時折、植物ベースのスキャフォールドは脱細胞化される。場合によっては、スキャフォールドは3D培養に必要とされない。様々な例において、本明細書に記載される方法および組成物に使用されるスキャフォールドは、ヒドロゲル、キトサン、ポリエチレンテレフタレート、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸、ラミニン、フィブロネクチン、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、リグニン、アルギン酸塩、グルコマンナン、ポリカプロラクトン(PCL)、テクスチャード植物タンパク質(TVP)、およびアクリル酸塩のうち少なくとも1つを含む。テクスチャード植物タンパク質の一例は、大豆タンパク質、大豆粉、または大豆濃縮液を高い割合で典型的に含むテクスチャ大豆タンパク質(TSP)である。TVPおよびTSPは、本明細書に記載される肉製品に肉のような質感および堅さをもたらすために使用することができる。場合によっては、TVPまたはTSPを含む肉製品は、(例えば、様々な塩、ハーブ、および/または香辛料を使用して)肉のような味に調味される。
【0118】
場合によっては、細胞は、細胞接着を可能とするマイクロスキャフォールドで培養される。マイクロスキャフォールドは通常、接着細胞が懸濁バイオリアクターシステムにおいて成長するのを可能にするマイクロスキャフォールドである。例えば、マイクロスキャフォールドは、肝細胞などの接着細胞が、マイクロスキャフォールド自体が懸濁液にある間でも接着するための表面を提供する。特定の例において、スキャフォールドおよび/またはマイクロスキャフォールドは、適切な材料(例えばコラーゲン)の3Dプリンティングによってもたらされる。マイクロスキャフォールドには多くの場合、多孔構造がある。時折、マイクロスキャフォールドには固形の非多孔性構造がある。マイクロスキャフォールドは従来のスキャフォールドよりも小さい。スキャフォールドは典型的に、細胞集団に対して肉眼的な構造および/または形状を提供するために使用され、一方でマイクロスキャフォールドは、撹拌により懸濁液にとどまるのに十分な小ささを維持しつつ接着細胞が接着するための種子構造またはコア構造を提供する。マイクロスキャフォールドの使用は、懸濁培養液での接着細胞の培養を可能とする。バイオリアクターシステムの懸濁培養においてマイクロスキャフォールドを使用した細胞の培養は、接着細胞の大規模生産を可能とする。例えば、肝細胞、筋細胞、および脂肪細胞などの接着細胞は、マイクロスキャフォールドを使用したバイオリアクター懸濁培養において大規模で成長が可能である。これにより、フォアグラまたは寿司に使用できる品質等級のサケ肉のような高級食料品目の生産が可能になる。代替的に、魚類の培養細胞は時折、サケ、マグロ、またはマスのすり身などのすり身へと加工される。
【0119】
図23Aは、三次元培養物において筋管へと成功裡に分化されたグルコマンナンマイクロスキャフォールド上で成長される、マスの筋衛星細胞を示す。
図23Bは、未分化の筋衛星細胞の負の調節を示す。
図24Aは、グルコマンナンマイクロスキャフォールド(矢印)上で成功裡に成長されるアヒルの線維芽細胞(矢じり)を示す。
図24Bは代表的なグルコマンナンマイクロスキャフォールドを示す。代わりの材料をマイクロスキャフォールドの生成に使用することができる。マイクロスキャフォールドは、グルコマンナン、アルギン酸塩、キトサン、ポリカプロラクトン(PCL)、マトリックスタンパク質(例えばコラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン)、テクスチャード植物タンパク質(TVP)、テクスチャード大豆タンパク質(TSP)、およびアクリル酸塩の少なくとも1つを含むことができる。場合によっては、ポリカプロラクトン(PCL)が、PCLを織り込んだスキャフォールドまたはPCLフィブリン複合物を生成するために使用される。場合によっては、マイクロスキャフォールドは修飾される。特定の例において、マイクロスキャフォールドは、細胞の接着、増殖、分化、またはそれらの組み合わせに関連する1つ以上の因子に抱合する。一例として、グルコマンナンマイクロスキャフォールドは、筋衛星細胞の増殖および筋管への分化を促進するためにFGF2に抱合する。場合によっては、マイクロスキャフォールドは、マイクロスキャフォールド構造の因子を固定するための化学的架橋または他の反応などの共有結合を介して1つ以上の増殖因子または分化因子に抱合する。
【0120】
代替的に、場合によっては、スキャフォールドまたはマイクロスキャフォールドは、懸濁液中の細胞の培養に必要とされない。時折、細胞は非接着細胞であり、接着ための基質または表面を必要としない。特定の例において、細胞は、接着基質をこれ以上必要としないように修飾されまたは操作されている。例えば、肝細胞は通常、接着細胞であるが、幾つかの例において、肝細胞は、生存および増殖のための接着に細胞外マトリックスをこれ以上必要としないように修飾される。他の接着細胞は、培養肉製品を生産するために時折培養される筋細胞および脂肪細胞を含む。例えば、ヒトによる消費のための培養肉を生産する幾つかの方法は、a)懸濁培養において成長が可能な自己再生細胞の集団を得る工程;b)懸濁液で自己再生細胞の集団を培養する工程;c)筋細胞および脂肪細胞の少なくとも1つを形成するために細胞の集団に分化を誘導する工程;およびd)ヒトによる消費のために細胞の集団を肉へと加工する工程、を含む。
【0121】
本明細書に記載される細胞培養システムは、病原体のない環境での食糧生産のために細胞の培養を可能とする。一般的に、細胞は、ヒトの健康に影響を及ぼす危険な不純物を含まない培養環境で成長される。細胞培養のプレート、フラスコ、およびバイオリアクターは典型的に、危険な病原体(例えばH1N1)、寄生虫、重金属、および毒素(例えば菌体内毒素、殺虫剤など)を含まない細胞培養条件を提供する。場合によっては、本明細書に記載される方法は抗生物質を利用しない。時折、前記方法は、細胞分化および/または細胞表現型の一回の誘導のためのテトラサイクリンなどの誘導剤を使用し、その後、細胞が食品へと加工される前に誘導剤は除去される。
【0122】
組織処理
本明細書には、食品において適切な味、質感、堅さ、または他の所望の品質をもたらすために培養細胞を処理するためのシステムおよび方法が提供される。細胞は典型的に、例えば筋細胞、脂肪細胞、または肝細胞などの分化細胞集団である。
【0123】
様々な場合において、細胞は動物細胞である。時折、細胞は、魚類、動物、または鳥類の細胞である。鳥類の細胞の例は、ガチョウ、アヒル、鶏、コーニッシュ、キジ、七面鳥、ホロホロチョウ、ウズラ、ハト、コジュケイ、エミュー、ダチョウ、去勢鶏、ライチョウ、白鳥、ハト、ヤマシギ、アジアイワシャコ、およびシギに由来する細胞を含む。一例として、
図25は、本明細書に開示される方法に従い作成されたアヒル筋組織の画像を示す。
図25のアヒル筋組織の生成の成功は、自発的に収縮する筋組織の能力によって確認された。
【0124】
本明細書に開示される幾つかの方法は、ヒトによる消費のための質感がない培養筋組織の生産を可能にする。質感がない筋組織は特定の魚類筋組織を含む。質感がない筋組織を生成する特定の方法は、a)自己再生細胞の集団を得る工程;b)自己再生細胞の集団を培養する工程;c)質感がない筋組織を形成するために細胞の集団に分化を誘導する工程;およびd)ヒトによる消費のために質感がない培養筋組織を処理する工程、を含む。加えて、幾つかの方法は、ヒトによる消費のための栄養素含有量が増強されている魚類の培養組織を生成する。例えば、特定の方法は、a)少なくとも1つの栄養剤を有する培養培地において魚類筋細胞の集団を培養する工程;b)筋細胞の集団を拡大させる工程;およびc)ヒトによる消費のために筋細胞の集団を魚類組織へと処理する工程、を含む。本明細書に記載されるシステムおよび方法は多くの場合、培養された筋細胞および脂肪細胞から生成された魚類組織を含む食用組成物の生産を可能にする。
【0125】
場合によっては、魚類の脂肪細胞および/または筋細胞は、例えばサケ肉などの魚肉へと加工される。様々な例において、魚類の脂肪細胞および/または筋細胞は、魚肉製品完成品へと加工される。加工された魚肉製品の他の例は、魚肉ミンチ、魚肉切り身、魚類カツレツ、および魚肉ステーキを含む。魚肉製品のこれら様々な形状およびサイズは、構造的な粘着および/または質感を提供するために、結合剤、充填剤、または増量剤などの様々な追加の成分と共に筋細胞および/または脂肪細胞を処理することにより得られる。幾つかの例において、肉製品は調理される、または保存処理される。肉製品への培養細胞の加工は、スモーク、発酵、塩漬け、マリネ、密猟(poaching)、ベーキング、バーベキュー、キャセロール調理、揚げ焼き、フライ、オーブンフライ(oven frying)、グリル、およびマイクロ波調理のうち少なくとも1つを含み得る。場合によっては、細胞は、冷凍することなく生での消費に適した、寿司に使用できる品質等級の魚肉へと加工される。特定の場合、魚肉は加工中に調理されない。本明細書に開示されるシステムおよび方法に従って生産された寿司に使用できる品質等級の魚肉の例は、サケおよびマグロを含む。本明細書で使用されるように、寿司に使用できる品質等級の肉は、寄生虫および細菌を含むことなく生産される。細胞は通常、病原体、寄生虫、毒素、重金属(例えば水銀)、抗生物質、またはそれらの任意の組み合わせを含まない。本明細書に記載される特定のシステムおよび方法は、不純物への曝露のない培養食品の生産を提供する。幾つかの方法は、抗生物質を使用せずにヒトによる消費のための培養細胞の生産を可能とする。例えば、特定の方法は、a)抗生物質を使用することなく細胞の集団を培養する工程;b)細胞の集団内の分化を誘導する工程;c)細胞の集団内の高脂肪蓄積を誘導する工程;およびd)ヒトによる消費のために細胞の集団を処理する工程、を含む。また本明細書には、病原体への曝露なしにヒトによる消費のための培養細胞を生産する方法が開示される。幾つかのそのような方法は、a)病原体を含まない培養環境で細胞の集団を培養する工程;b)細胞の集団内の分化を誘導する工程;c)細胞の集団内の高脂肪蓄積を誘導する工程;およびd)ヒトによる消費のために細胞の集団を処理する工程、を含む。特定の方法は、毒素への曝露なしに培養食糧の生産を可能にする。例えば、幾つかのそのような方法は、a)毒素を含まない培養環境で細胞の集団を培養する工程;b)細胞の集団内の分化を誘導する工程;c)細胞の集団内の高脂肪蓄積を誘導する工程;およびd)ヒトによる消費のために細胞の集団を処理する工程、を含む。
【0126】
特定の場合、培養肉は、筋細胞および脂肪細胞の混合集団を含む。多くの場合、脂肪前駆細胞および衛星細胞は、例えば小魚などのソースから単離される。ある程度の自己再生性能が備わっていることから、脂肪前駆細胞および衛星細胞は有用である。脂肪前駆細胞および衛星細胞は典型的に、培養され且つ拡大され、その後に分化される。場合によっては、脂肪前駆細胞および衛星細胞は共に培養される。通常、脂肪前駆細胞および衛星細胞は、分化後に、最終の魚肉製品に所望の比率をもたらすために特定の比率で一緒に共培養されるまで、別個に培養される。代替的に、細胞の集団は時折、同じ培養において異なる細胞型へと分化するように誘導される。例えば、このシナリオにおいて、一部の細胞は脂肪細胞へ、他の一部の細胞は筋細胞へと形成される。通常、筋細胞および脂肪細胞は別個に培養され、その後に混合される。時折、筋細胞および脂肪細胞は、等しい割合で均質に混合される。他の場合、筋細胞および脂肪細胞は、不均等な割合で異質的に混合される。共培養または処理のために、筋細胞および脂肪細胞は典型的に、特定の比率または割合で組み合わされる。例えば、場合によっては、筋細胞および脂肪細胞は、少なくとも1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1、または少なくとも100:1の比率でそれぞれ組み合わされる。多くの場合、筋細胞および/または脂肪細胞は魚類細胞である。幾つかの例において、筋細胞および/または脂肪細胞はサケ由来である。時折、筋細胞および/または脂肪細胞は、スズキ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、マス、ウナギ、アワビ、ヤリイカ、ハマグリ、アカガイ、アユ、ホタテガイ、タイ、サヨリ、小エビ、ヒラメ、トリガイ、タコ、またはカニに由来する。マグロの例は、キハダマグロ、ミナミマグロ、コシナガ、ビンナガ、タイセイヨウクロマグロ、およびメバチマグロを含む。特定の場合、筋細胞および脂肪細胞を組み合わせる代わりに、筋細胞は、脂肪細胞を必要とすることなく従来のサケ肉に見出される所望の脂質または脂肪含有量を提供するために脂肪症を受けるように誘導される。
【0127】
本明細書には、特定の比率の速筋細胞および/または繊維と緩徐筋細胞および/または繊維を備えた肉を生産するための、システムおよび方法が提供される。本明細書に開示されるシステムおよび方法に従って生産された肉は通常、特定の比率の即(II型)筋繊維および緩徐(I型)筋繊維を備えた筋細胞または骨格筋細胞を含む。緩徐筋繊維は、酸化経路により活性化される低強度の収縮を示し且つ比較的高い耐久性を実証する一方、速筋線維は、解糖系により活性化される高強度の収縮を伴う。速筋肉は、高解糖系および嫌気性の筋繊維を特徴とする。筋組織中の速筋繊維と緩徐筋繊維との比率は、肉の味、色、質感、および他の調理特性において役割を果たす。例えば、魚肉は、動物肉と比較して高い割合の速筋線維を特徴とし、これには、肉の2つのカテゴリー間での調理の差異にある程度の役割が伴う。時折、サケ筋細胞などの筋細胞は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上の速筋線維(例えば、高解糖系および嫌気性の筋繊維)を含むように培養される。速筋線維のパーセンテージは、顕微鏡ベースの画像化などの様々な検査技術(例えば、速筋線維マーカーに対する組織切片の接触)を使用して組織サンプルを評価することにより特徴づけられ得る。場合によっては、本明細書に記載される方法に従い生産された筋細胞は、少なくとも約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約100μm、約110μm、約120μm、約130μm、約150μm、約200μm、約250μm、約300μm、約350μm、約400μm、約450μm、約500μm、約600μm、約700μm、約800μm、約900μm、約1000μm、約2000μm、約3000μm、約4000μm、約5000μm、約6000μm、約7000μm、約8000μm、約9000μm、約10000μm、またはそれ以上の長さを有する。
【0128】
特定の筋組織は、牛肉、豚肉、または鶏肉などの動物骨格筋の質感を欠く。例えば、魚類筋組織は、質感をつけたまたは質感がない堅さを持つ傾向がある。サケおよびマグロなどの魚類筋組織は多くの場合、繊細で柔らかい味の質感を有し、および/または均質な堅さを有していると説明される。質感がない肉の他の例は、ヤリイカおよびタコの筋組織を含み、これらは、動物骨格筋と比較して別個の質感がない堅さを有している。フォアグラなどの肝臓食品にも質感がない特徴がある。本明細書に記載される特定の方法は、質感がない培養組織の生産を可能にする。幾つかのそのような方法は、a)細胞の集団を培養する工程;b)細胞の集団に分化を誘導する工程;c)細胞が高脂質含有量を蓄積するように、細胞の集団に脂肪症を誘導するために脂質代謝経路を操作する工程;およびd)細胞の集団を質感がない組織へと処理する工程、を含む。
【0129】
本明細書に開示される特定の方法は、ヒトによる消費のための質感がない培養筋組織を生成する。幾つかのそのような方法は、a)自己再生細胞の集団を得る工程;b)自己再生細胞の集団を培養する工程;c)質感がない筋組織を形成するために細胞の集団に分化を誘導する工程;およびd)ヒトによる消費のために培養質感がない筋組織を処理する工程、を含む。場合によっては、細胞は肝細胞である。肝細胞は、食品への加工のために培養後に採取される。時折、肝細胞はフォアグラへと加工される。
【0130】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、高脂質含有量を有し、且つヒトによる消費のために加工される、組織培養肝細胞を含む調理用フォアグラ組成物の生産を可能とする。一部の食品組成物は、ヒトによる摂取のために質感がない非筋肉食品へと加工される、培養臓器細胞を含む。食品は時折、鳥類の培養脂肪性肝細胞および調味料を含む。多くの場合、フォアグラ組成物は、高脂質含有量を有する培養肝細胞、および低脂質含有量を有する肝細胞を含む。細胞培養において成長され、且つヒトによる消費のために処理される鳥類の肝細胞を含む食用組成物が、時折生産される。場合によっては、食品は随意のラベルと共に包装される。一例として、一部の包装済みフォアグラ組成物は、培養された肝細胞と、フォアグラ組成物が強制給餌なしに生産されたことを示すラベルを有するパッケージとを含む。他の包装済みフォアグラ組成物は、培養肝細胞と、フォアグラが病原体のない環境で生産されたことを示すラベルを有するパッケージとを含む。特定の態様において、包装済み食用組成物は、食品に加工された培養細胞と、組成物が毒素への曝露なしに生産されたことを示すラベルとを含む。
図26は、アヒル肝細胞から生産された典型的な食品を示す。左のパネルは、アヒルの脂肪性肝細胞を使用して製造されたアヒル肝臓パテを示す。右のパネルは、アヒルの脂肪性肝細胞を使用して製造されたフォアグラバターを示す。
図27は、本明細書に開示される方法に従って生産された、ヒトによる消費のための典型的な食品を示す。左のパネルは、サケ筋細胞を使用して生産されたサケのパテを示す。右のパネルは、アヒル筋細胞を使用して生産されたアヒル肉のパテを示す。加えて、鶏肉のパテも、鶏筋細胞を使用して開発された。
【0131】
場合によっては、フォアグラは、従来のフォアグラと実質的に同一の質感および/または堅さを有する。多くの場合、フォアグラは、等級A、等級B、または等級Cのフォアグラとしてランク付けされる。フォアグラには、場合によっては傷がない。フォアグラには通常、傷がわずか1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10しかない。時折、肝細胞は単一のフォアグラ組成物として加工される。例えば、単一のフォアグラ組成物は典型的に、肝臓であり、または肝臓形状である。ヒトによる消費のための採取された細胞の処理方法は、遠心分離および圧縮を含む。場合によっては、採取された細胞は、培養中に細胞が取り付けられるスキャフォールドおよび/またはマイクロスキャフォールドから、ある程度の構造的一体性を受ける。時折、採取された細胞は、少なくとも1つの他の成分と組み合わされる。採取された細胞は多くの場合、所望の質感、保湿性保持、生成物接着、またはそれらの任意の組み合わせを有する食品を得るために、少なくとも1つの他の成分と組み合わされる。成分は典型的に、結合剤、充填剤、または増量剤である。充填剤または結合剤は多くの場合、デンプンなどの炭水化物を含む非肉物質である。充填剤および結合剤の例は、ジャガイモデンプン、小麦粉、卵、ゼラチン、カラギーナン、およびタピオカ粉を含む。代替的に、増量剤は高タンパク質含有量を有する傾向がある。増量剤の例は、大豆タンパク質、乳タンパク質、および肉由来のタンパク質を含む。風味、質感、または他の調理特性をもたらす特定の成分が、幾つかの例において添加される。例えば、時折、細胞外マトリックスタンパク質が、構造的な堅さおよび質感を調節するために使用される。ヘムおよびコラーゲンなどの特定のタンパク質は時折、最終的な食品の味および質感に起因するように細胞外マトリックスへと組み込まれる。
【0132】
多くの場合、細胞は、質感修飾特性を持つ少なくとも1つの天然タンパク質を含む、マイクロスキャフォールド上で懸濁培養において成長される。様々な組成物のマイクロスキャフォールドが、最終的な食品に所望の質感および/または堅さをもたらすために使用することができる。時折、大豆タンパク質などのテクスチャード植物タンパク質が使用される。マイクロスキャフォールドは随意に、食品に質感を提供するために少なくとも1つの充填剤または結合剤の材料を含む。時折、マイクロスキャフォールドは、完成した食品にこれ以上マイクロスキャフォールド構造が残らないように生物分解可能な材料で製造される。例えば、細胞の集団は、バイオリアクターにおいてマイクロスキャフォールド上へと播種される。細胞がマイクロスキャフォールドに接着して増殖すると、マイクロスキャフォールドは、現時点で互いに接着している細胞の一群と、それらが分泌した細胞外マトリックス材料だけが残るまで、徐々に生物分解する。従って、マイクロスキャフォールド(およびまた、より大きな3Dスキャフォールド)は、結果として生じる培養食品の構造を誘導するために使用可能であるが、ヒトによる消費のための食品にはとどまらない。代替的に、マイクロスキャフォールドおよび3Dスキャフォールドは、生物分解せずおよび/または消費のための培養食品にとどまらない材料を含む。例えば、本明細書に記載される特定の材料は、特定の構造、質感、味、または他の所望の特性を付与するためにスキャフォールドを生成するべく使用可能である。
【0133】
特定の例において、フォアグラ組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、16、20、24、28、32、36、42、48、52、56、60、または64オンスの重量である。多くの場合、フォアグラ組成物は、約1オンス~約64オンスの重量である。多くの場合、フォアグラ組成物は少なくとも約1オンスの重量である。フォアグラ組成物は通常、最大約64オンスの重量である。
【0134】
幾つかの実施形態において、フォアグラ組成物は、約1オンス~約2オンスである、約1オンス~約4オンス、約1オンス~約8オンス、約1オンス~約12オンス、約1オンス~約16オンス、約1オンス~約20オンス、約1オンス~約24オンス、約1オンス~約30オンス、約1オンス~約36オンス、約1オンス~約48オンス、約1オンス~約64オンス、約2オンス~約4オンス、約2オンス~約8オンス、約2オンス~約12オンス、約2オンス~約16オンス、約2オンス~約20オンス、約2オンス~約24オンス、約2オンス~約30オンス、約2オンス~約36オンス、約2オンス~約48オンス、約2オンス~約64オンス、約4オンス~約8オンス、約4オンス~約12オンス、約4オンス~約16オンス、約4オンス~約20オンス、約4オンス~約24オンス、約4オンス~約30オンス、約4オンス~約36オンス、約4オンス~約48オンス、約4オンス~約64オンス、約8オンス~約12オンス、約8オンス~約16オンス、約8オンス~約20オンス、約8オンス~約24オンス、約8オンス~約30オンス、約8オンス~約36オンス、約8オンス~約48オンス、約8オンス~約64オンス、約12オンス~約16オンス、約12オンス~約20オンス、約12オンス~約24オンス、約12オンス~約30オンス、約12オンス~約36オンス、約12オンス~約48オンス、約12オンス~約64オンス、約16オンス~約20オンス、約16オンス~約24オンス、約16オンス~約30オンス、約16オンス~約36オンス、約16オンス~約48オンス、約16オンス~約64オンス、約20オンス~約24オンス、約20オンス~約30オンス、約20オンス~約36オンス、約20オンス~約48オンス、約20オンス~約64オンス、約24オンス~約30オンス、約24オンス~約36オンス、約24オンス~約48オンス、約24オンス~約64オンス、約30オンス~約36オンス、約30オンス~約48オンス、約30オンス~約64オンス、約36オンス~約48オンス、約36オンス~約64オンス、または約48オンス~約64オンスの重量である。
【0135】
幾つかの例において、培養細胞は、フォアグラ、およびサケ肉、または魚肉に加えて、付加的な食品へと加工される。例えば、細胞は時折、調理目的のために肝臓切片または肝臓全体へと加工される。場合によっては、他の組織は、例えば、焼き鳥または他の鶏臓器製品などの、ヒトによる消費のために生成される。多くの場合、他の臓器は、鳥類および他の種に対して生成される(例えば、シビレ(sweet bread)用の胸腺または膵臓)。場合によっては、脂肪が多いまたは脂肪性の肝細胞が生成され、フォアグラのパテまたは他のテリーヌを作るために健康な肝細胞と混合される。本明細書に記載される幹細胞単離技術は随意に、鶏肉、アヒル肉、または他の動物肉を成長させる目的で使用される。特定の例において、本明細書に記載される技術はまた、他の動物ベースの肉の生産に適用可能である。
【0136】
本明細書に開示されるシステムおよび方法の幾つかは、ヒトによる消費のための培養肝細胞の生成を可能にする。特定の方法は、高脂質含有量を有する、質感がない培養組織の生成を可能にし、該方法は、a)細胞の集団を培養する工程;b)細胞の集団に分化を誘導する工程;c)細胞が高脂質含有量を蓄積するように、細胞の集団に脂肪症を誘導するために脂質代謝経路を操作する工程;およびd)細胞の集団を、高脂質含有量を有する質感がない組織へと処理する工程、を含む。
【0137】
本明細書に記載される方法を使用して生成された特定の培養細胞および/または組織は、食品へと加工される。場合によっては、培養食品は包装および/またはラベル付けされる。培養細胞および/または組織は、培養食品を形成するために複数の切片(例えば、フォアグラまたはサケ肉の切片)へと加工することができる。複数の切片は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、または100の切片であり得る。時折、複数の切片は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、または100以下の切片である。特定の例において、培養食品は、成形部分へと加工される。成形部分は、個々に、または一体的に包装され得る。成形部分は、長方形、正方形、円形、三角形、ドーナツ形、管状、ピラミッド形、または他の形状などの任意数の形状であり得る。正方形部分は扁平形状(例えば薄い切片)を有し得る。例えば、培養食品の部分の厚みは、約5mm、約10mm、約20mm、約30mm、約40mm、約50mm、約60mm、約70mm、約80mm、約90mm、または約100mm以下であり得る。時折、培養食品の部分の厚みは、少なくとも約5mm、約10mm、約20mm、約30mm、約40mm、約50mm、約60mm、約70mm、約80mm、約90mm、または約100mmである。
【0138】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中で示され且つ記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されるものであることは、当業者に明らかであろう。多数の変形、変更、および置き換えは、本発明から逸脱することなく、当業者によって現在想到されるものである。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用されるかもしれないことを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲およびその同等物の範囲内の方法および構造は、それにより包含されることが、意図されている。
【0139】
図面の詳細説明
図1は、自己再生細胞を使用した、ヒトによる消費のための細胞を生産するためのプロセスの一実施形態を例示する。このプロセスにおいて、自己再生細胞の集団が得られ(101)、その後、(例えばマイクロスキャフォールド上で)培養される(102)。分化は細胞集団に誘導され(103)、その後、脂質蓄積の誘導が行われる(104)。最後に、細胞の集団はヒトによる消費のために処理される(105)。
【0140】
図2は、ヒトによる消費のための筋組織を培養するためのプロセスの一実施形態を例示する。この例において、自己再生細胞の第1および第2の集団が得られる(201)(204)。細胞の2つの集団は、所望の集団の大きさへと培養される(202)(205)。次に、筋細胞(203)および脂肪細胞(206)を生成するために、2つの集団に分化が誘導される。最後に、細胞の2つの集団はヒトによる消費のために処理される(207)。
【0141】
図3は、消費のための培養肉を調製するための典型的なプロセスの概要を示す。最初に、幹細胞の同定、単離、および特徴づけが実行される。その後、これら細胞は、フィーダー細胞層などの上での二次元培養において成長される。これら細胞はバイオリアクターにおいて懸濁培養へと移行される。懸濁培養に移行した後、細胞は筋細胞へと分化される。その後、肉が採取され、最終的に調製され、調理される。
【0142】
図4Aは、フォアグラの製造のための典型的な例として鳥類の肝細胞で、ヒトによる消費のための肉製品を成長させるための例示的なアプローチを示す。最初に、原始細胞株を得る。1つのアプローチにおいて、胚性幹細胞は鳥類の胚(401)から単離される。人工多能性幹細胞も生成され、鳥類の皮膚線維芽細胞(402)から分化され得る。胚性生殖細胞も、鳥類の胚(403)から単離され得る。鳥類の皮膚線維芽細胞の肝細胞への直接的な再プログラミングは、選択肢(404)である。別の方法は、ウイルス形質導入などによる成体の鳥類の分化肝細胞(405)の不死化を要する。場合によっては、成体の鳥類の分化肝細胞は、連続的に継代され且つ成長され、および、自発的に形質転換した細胞(例えば、無作為の突然変異により自発的に不死化した細胞)(406)のために選択される。成体の鳥類の肝臓組織における初期の肝臓幹細胞も単離され得る(407)。加えて、培養肝細胞が培養され、毒素または損傷を受けて、増殖可能性を増強することができる(408)。その後、単離された幹細胞(411)は、分化肝細胞(412)へと分化され、脂肪症の誘導にさらされる(413)。脂肪症は、遺伝学的な介入および外因性の処置を含む様々な方法を使用して誘導され得る(409)。最後に、これらのプロセスは、大規模生産を可能とするべく戦略を増やすために評価される(410)。
【0143】
図4Bは、ヒトによる消費のための魚肉生成物を成長させるための例示的なアプローチを示す。最初に、原始細胞株を得る。1つのアプローチにおいて、胚性幹細胞は魚類の胚(421)から単離される。人工多能性幹細胞も生成され、魚類の体細胞(422)から分化され得る。始原生殖細胞も、魚類の体細胞(423)から生成可能である。自己再生する線維芽細胞が、反復継代、および、増殖し続ける細胞コロニーの選択などを介して選択され得る(424)。例えば、成体の魚類の分化線維芽細胞は、連続的に継代され且つ成長され、および、自発的に形質転換した細胞(例えば、無作為の突然変異により自発的に不死化した細胞)のために選択される。別の方法は、筋細胞(425)への線維芽細胞の直接的な再プログラミングを要する。別の方法は、ウイルス形質導入(例えば、TERT、SV40、Large T抗原)などにより様々な方法を使用した、筋衛星細胞または脂肪細胞前駆細胞などの魚類細胞の不死化を要する(426)。多能性細胞(例えば、胚性幹細胞(421)、多能性幹細胞(422)、および始原生殖細胞(423))は、食糧生産プロセス中に所望の量へと成長され得る(433)。その後、多能性細胞は、脂肪前駆細胞(430)および/または筋衛星細胞(429)などの前駆細胞へと分化され得る。場合によっては、細胞は、遺伝学実験技術および/または外因性の処置を使用して、所望の細胞型(例えば筋肉および/または脂肪細胞)への分化を誘導され得る(427)。例えば、脂肪前駆細胞(脂肪細胞前駆体)(430)および筋衛星細胞(429)は、遺伝子編集および/または構築物発現などの遺伝子操作を使用して、それぞれ脂肪細胞(432)および筋細胞(431)への分化を誘導され得る。外因性処置は、分化を誘導するための小分子処置を含み得る。これはまた、分化/成長因子(例えばFGF2)と随意に抱合したマイクロスキャフォールドなどの、細胞外構造および/またはシグナルに細胞を晒すことを含み得る。最後に、これらのプロセスは、大規模生産を可能とするべく戦略を増やすために評価され得る(428)。
図4A-4Bに記載される技術の様々な組み合わせが、培養食品の生産のために使用可能である。典型的な実施形態において、魚類(例えばバスまたはサケ)線維芽細胞などの成体の分化細胞は、自発的な不死化を受けた細胞を同定するために連続的に継代される(424)。これら不死化細胞は、望ましい量へと培養し、その後、分化系統から脂肪細胞および/または筋細胞(または肝細胞)などの所望の系統へと直接分化転換され得る(425)。分化転換は、本明細書に記載される発現構築物などを使用する様々な遺伝子修飾技術(427)を使用して達成することができる。
【0144】
図4A-4Bに明確に示されない別のアプローチは、培養食糧生産のために間葉系幹細胞(MSC)を利用する。間葉系幹細胞は、骨芽細胞、軟骨細胞、筋細胞、および脂肪細胞を含む様々な細胞型へと分化可能な分化多能性間質細胞である。間葉系幹細胞は、骨髄および脂肪組織などの様々なソースに由来し得る。例えば、骨髄からのMSCは、コロニー形成単位の線維芽細胞を形成するために、フローサイトメトリーを使用して、または、細胞培養プレート上で直接播種することにより単離され得る。MSCは、筋細胞、脂肪細胞、肝細胞、またはそれらの任意の組み合わせなどの標的分化細胞型への分化を誘導される前に、培養液において所望の質量に成長され得る。場合によっては、MSCは、肉製品(例えば筋細胞、脂肪細胞、または肝細胞および脂肪細胞の混合物)を形成するために組み合わされる前に、別個の培養物へと分割され、且つ別個に分化される。MSCは、様々な細胞培養方法を使用して培養され、血清を補足した基本培地を使用して成長され得る。場合によっては、MSCは非血清培地を使用して培養される。時折、MSCは、キノコ由来抽出物または大豆水解物などの植物ベースの補足物を補足した非血清培地または低血清培地を使用して培養される。
【0145】
図5A-5Dは、マスから単離された筋衛星細胞の単離および特徴づけを示す。存在する場合、挿入図は画像を詳細に拡大し、スケールバーは全ての顕微鏡写真において10μmに等しい。魚の筋衛星細胞の実質的に純粋な集団は
図5に示され、筋衛星細胞が単離細胞の約80%を占めている。
図5Bは、これら単離筋衛星細胞に発現されるホールマーク(hallmark)遺伝子(Mstn1a,Myf5)の存在を確かにする、RT-PCR結果を示す。
図5Cは、筋衛星細胞の分化により生成された成熟筋細胞を示す。筋衛星細胞から分化されたマスの筋管のシートを
図5Dに示す。
【0146】
図6Aは、サケ筋衛星細胞(矢じり)およびサケ脂肪前駆細胞(矢印)の共培養を示す(スケールバーは500μmである)。
図6Bは、共培養内での成熟筋細胞への筋細胞分化の成功を示す(スケールバーは10μmである)。
【0147】
図7Aは、バイオリアクターにおける伝播のためにスフェロイドを形成するように誘導されたサケ線維芽細胞を示す(スケールバーは500μmである)。
図7Bは、コロニーを形成するために周辺を遊走するスフェロイドからの細胞によって確認される、生存率を評価するために二次元培養条件に戻されたスフェロイドを示す(スケールバーは500μmである)。
【0148】
図8は、本明細書に開示される細胞培養技術に従って成功裡に培養されたバス筋衛星細胞の培養物を示す。
【0149】
図9は、アヒル卵由来の胚性幹細胞コロニーを示す。ESCは、
図9に示されるようにマウスの胚線維芽細胞(MEF)フィーダー細胞の単層上で成長するコロニーを形成した。
【0150】
図10Aは、培養物中のアヒル肝細胞の集団を示す。これらアヒル肝細胞は、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を使用して肝細胞分化のマーカーについて分析された。
図10Bは、肝細胞分化マーカーL-FABP、α胎児タンパク質、およびHNF3bの発現について、未分化細胞の対照を(左側レーン)アヒル肝細胞サンプル(右側レーン)と比較するRT-PCRアッセイの結果を示す。βアクチンは対照として使用された。
【0151】
図11Aは、アヒルから初代線維芽細胞を培養すること、および6-8週間後に分割細胞のコロニーを採取することにより生成された、自己再生細胞を示す。
図11Bは、マスから初代線維芽細胞を培養すること、および6-8週間後に分割細胞のコロニーを採取することにより生成された、自己再生細胞を示す。アヒルおよびマス両方の自己再生細胞コロニーは、形態、増殖速度、および増殖能(形態の変化、増殖の速度、および遺伝子の不安定性なしに達成される継代の数)に対して特徴づけられる。
【0152】
図12は、肝細胞への誘導性分化を提供するために細胞へと導入され得る構築物の典型的な実施形態を示す。構築物は、テトラサイクリン反応要素(TRE)、および肝細胞再プログラミング因子HNF1A、FOXA1、およびHNF4Aに対するORFを含む。構築物は、多能性または分化多能性の細胞などの標的細胞へと安定して形質転換され得る。場合によっては、構築物は線維芽細胞などの最終分化細胞へと安定して形質転換され得る。TREはORFの発現を抑えるが、ORFがテトラサイクリンまたはドキシサイクリンの存在下で転写されることを可能にする。故に、この構築物を安定して組み込む細胞株は、テトラサイクリン/ドキシサイクリンでの処置を介して肝細胞への分化を誘導することができる。
【0153】
図13は、細胞を脂肪症にさせる1つ以上の遺伝子の誘導性発現を可能にするために細胞へと導入され得る構築物の典型的な実施形態を示す。構築物は、ZFP423(ジンクフィンガータンパク質転写因子)および/またはATF4(活性化転写因子4)などの脂質代謝に関与する1つ以上の遺伝子のためのテトラサイクリン反応要素(TRE)およびORFを含む。構築物は、多能性または分化多能性の細胞などの標的細胞へと安定して形質転換され得る。場合によっては、構築物は線維芽細胞などの最終分化細胞へと安定して形質転換され得る。TREはORFの発現を抑えるが、ORFがテトラサイクリンまたはドキシサイクリンの存在下で転写されることを可能にする。故に、この構築物を安定して組み込む細胞株は、テトラサイクリン/ドキシサイクリンでの処置を介して脂肪症を受けまたは脂肪症に罹患させることを誘導することができる。場合によっては、構築物は、ATF4、ZFP423、LPIN1、PPAR、APOC3、APOE、ORL1、PEMT、MTTP、SREBP、STAT3、およびKLF6からなる群から選択された少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、または少なくとも11の遺伝子を含む。
【0154】
図14は、多能性表現型から分化表現型への増殖/分化の切り換えを可能にするために細胞へと導入され得るDNA構築システムの典型的な実施形態を示す。このシステムには、多能性因子(例えば、Oct4、Sox2、Klf4、I-Myc)に対するORFの構成的な発現を提供する多能性カセットを含む第1の構築物がある。第1の構築物の多能性因子はpLox部位に隣接する。前記システムは、MyoDおよびCreレコンビナーゼのテトラサイクリンにより誘導性発現を提供する分化カセットを含む、第2の構築物を有している。テトラサイクリンまたはドキシサイクリンなどの誘導剤の添加は、MyoDおよびCreレコンビナーゼの発現を誘導することができる。MyoD発現は、細胞に筋細胞への分化を受けさせることを補助することができる。Creレコンビナーゼ酵素は、pLox部位に隣接する多能性因子の切除を触媒することができる。その後、誘導剤は、MyoDおよびCreレコンビナーゼ発現の誘導を止めるために取り除かれ得る。このシステムの利点は、多能性因子の切除および誘導剤の除去後に当該システムにより残される低フットプリント(low footprint)である。
【0155】
図15は、誘導性「オフスイッチ」を提供するために細胞へと導入され得る典型的な構築物を示す。この構築物は、pLox部位に隣接する、1つ以上の対象遺伝子、およびTREおよびCreレコンビナーゼを含む発現カセットを含む。誘導剤の添加は、この構築物を安定して組み込む細胞株に、pLox部位に隣接する介在配列の切除の触媒を触媒させるためにCreレコンビナーゼを発現させることができる。故に、1つ以上の遺伝子(例えば、分化を促進する遺伝子)、およびTREおよびCreレコンビナーゼ発現カセットは取り除かれ、結果として対象遺伝子のフットプリントなしの切除がもたらされる。
【0156】
図16Aは、培養されたアヒル肝細胞を示す。上部パネルは、リノール酸で処置されていなアヒル肝細胞の負の対照培養物を示す。上部パネルの拡大は、肝細胞の細胞形態を示す。下部パネルは、2μMのリノール酸で処置されたアヒル肝細胞を示す。下部パネルの拡大は、リノール酸で処置した肝細胞が、脂肪症(脂質含有ベシクルの蓄積-矢じりにより示される)を受けるように成功裡に誘導されたことを示す。
図16Bは、脂肪症を有する肝細胞のパーセンテージに対するリノール酸処置に関する用量応答グラフを示す。グラフに見られるように、リノール酸の濃度(0、0.1、0.25、0.5、1、2μm)の増大は、脂肪症を有する肝細胞のパーセンテージでの対応する増加と相関される。2μMのリノール酸では、脂肪性肝細胞のパーセンテージは85%以上であった。同様の結果が、オレイン酸により、および以下の構成要素:IBMX(メチルキサンチン)、ロシグリタゾン(チアゾリジンジオン)、増加したグルコース濃度、他の脂肪酸種、および/またはデキサメタゾンなどのコルチコステロイドを用いる代替的なプロトコルを使用して達成された。
【0157】
図17は、連続継代後に急速に増殖する肝細胞を選択することにより成体アヒル肝細胞由来の不死化細胞株からの細胞の数をプロットするグラフを示す。これら不死化細胞は、大豆水解物(10g/l)の存在下で、濃度が次第に減少するウシ胎仔血清(FBS)において培養された。肝細胞の数およびFBSのパーセンテージは経時的にグラフ化され、肝細胞は400万未満の細胞および10%の血清で始まり、20日の期間にわたり2%未満の血清(0.8%)において細胞の数がちょうど1000万以上になるまで数は徐々に増大した。大豆水解物の培地補足は、培養細胞の血清要件が92%減少されることを可能にした。
【0158】
図18は、細胞培養培地からのウシ胎仔血清の連続的な減少後に10%のシイタケ抽出物において成功裡に成長されたアヒル線維芽細胞を示す。
【0159】
図19Aは、付加的な補足のない無血清培地において成長されたアヒル線維芽細胞を示し;
図19Bは、10%のウシ胎仔血清を補足したDMEMにおいて成長された対照培養物を示す。
【0160】
図20は、細胞培養のために使用されるバイオリアクターシステムの一実施形態を示す。バイオリアクターシステムは、細胞を培養するためのリアクターチャンバー(2001)、およびリアクターチャンバー(2001)の内容物を撹拌するための撹拌要素(2003)を含む。培地は、少なくとも1つの投入ポート(2002)を介してリアクターチャンバーへと添加される。培地は時折、本明細書に開示される維持培地、分化培地、脂肪性培地、増殖培地、または他の任意の培地製剤である。培地は、少なくとも1つの出力ポート(2007)を介してリアクターチャンバーから取り除かれる。場合によっては、酸素、二酸化炭素、および/または他のガスが、少なくとも1つの投入ガスポート(2006)を通じて導入される。投入ガスポート(2006)は、リアクターチャンバーの内部に位置決めされた通気装置に随意に連結される。多くの場合、バイオリアクターシステムは、リアクターチャンバーをモニタリングするための少なくとも1つのセンサ(2004)を含む。少なくとも1つのセンサ(2004)は通常、制御ユニット(2008)(例えばコンピューター)と通信状態にある。多くの場合、リアクターチャンバーには、複数のマイクロスキャフォールド(2005)が蒔かれる。マイクロスキャフォールド(2005)は、例えば肝細胞などの特定の接着細胞の接着を可能とする。
【0161】
図21は、バイオリアクターシステムが食肉生産のために使用される例示的なプロセスを示す。特定の細胞が卵から単離され、バイオリアクターにおいて成長される。細胞は、(例えば、血清の代わりとして)水と植物から作成された栄養素とを含む培地を使用して成長される。細胞は4-6週間、バイオリアクターの滅菌環境において成長される。最後に、細胞が採取され、および/または肉製品へと加工される。
【0162】
図22Aおよび
図22Bは、スフェロイドが三次元懸濁培養のために転写され得る、懸滴およびスピナーフラスコにおいて成長する、アヒル肝細胞から形成されたスフェロイドを示す。
図22Aに示されるように、細胞は培地の「懸滴」において成長され、スフェロイドへと発達し、その後、スピナーフラスコに移され、三次元懸濁培養において成長されて、細胞生成のスケールアップを可能にする。
【0163】
図23Aは、三次元の筋管を形成するために分化されたグルコマンナンマイクロスキャフォールド(10% w/v)上で成長される魚類の筋衛星細胞を示す。
図23Bは、同一の細胞培養条件で成長さされる同じ調製物からの未分化筋衛星細胞の負の調節を示す。
【0164】
図24Aは、グルコマンナンマイクロスキャフォールド(矢印)上で成功裡に成長されるアヒルの線維芽細胞(矢じり)を示す。
図24Bは代表的なグルコマンナンマイクロスキャフォールドを示す。
【0165】
図25は、筋衛星細胞の分化により作られたアヒル筋組織を示す。この図面は、自発的な筋細胞収縮を実証するムービーからの静止写真を表わす。
【0166】
図26は、本明細書に開示される方法に従って生成された、ヒトによる消費のための追加の典型的な食品を示す。左のパネルは、アヒルの脂肪性肝細胞を使用して製造されたアヒル肝臓パテを示す。右のパネルは、アヒルの脂肪性肝細胞を使用して製造されたフォアグラバターを示す。
【0167】
図27は、本明細書に開示される方法に従って生成された、ヒトによる消費のための典型的な食品を示す。左側のパネルはサケのパテを示す。右側パネルはアヒル肉のパテを示す。加えて、鶏肉のパテも開発された。
【0168】
図28Aは、特定の遺伝子を活性化する/発現抑制する目的のためのCre送達の方法の典型的な実施形態を示す。
図28Bは、肉作成(例えば増殖および分化)に関連する活性化された遺伝子セット間の「切り換え」を誘導するためにCreを使用する様々な方法を示す。
【0169】
特定の定義
別段の定めのない限り、本明細書で使用される全ての技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を持つ。本明細書と添付の請求項で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、他に内容が明確に指示しない限り、複数の指示を含む。「または」への任意の言及は、別段の定めがない限り、「および/または」を包含するように意図される。
【0170】
本明細書で使用されるように、「肝細胞」は、肝臓細胞、肝細胞、および肝細胞様の細胞を指す。肝細胞は動物由来であり、非限定的な例として、アヒル(例えばムラードダック、バルバリーダック)、ガチョウ(例えばグレーランドガチョウ)、鶏、七面鳥、エミュー、コーニッシュ、ウズラ、プリマスロック、およびダチョウを含む様々な鳥類の種に由来し得る。
【0171】
本明細書で使用されるように、「高脂肪蓄積」は、細胞の集団における細胞の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の内部での脂質含有液胞またはベシクルの形成を指す。場合によっては、「高脂肪蓄積」は、細胞の集団における細胞の大部分(例えば半分より多く)の内部での脂質含有液胞またはベシクルの形成を指す。
【0172】
本明細書で使用されるように、「自己再生」または「自己再生する」は、特定の細胞型(例えば未分化状態)を維持する間の細胞分裂または増殖を指す。自己再生細胞の例は、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、および分化多能性幹細胞(例えば筋衛星細胞、肝芽細胞、および他の始原細胞)を含む。場合によっては、自己再生細胞は、(例えば自発的な不死化を介して)不死化された分化細胞を含む。
【0173】
本明細書で使用されるように、「約」は、他に明示されていない限り、特定の量の10%前後の範囲を指す。例えば、約10リットル(L)は9~11Lを指す。
【0174】
用語「約」が数または範囲に対して使用される場合は全て、場合によっては約を意味し、または、「約」を「正確には」と随意に置き換えることが企図される。
【0175】
番号付きの実施形態
以下の実施形態は、本明細書に開示される特徴の組み合わせの非限定的な順列を詳述する。特徴の組み合わせのその他の順列も考慮される。特に、これらの番号を付けた実施形態の各々は、列挙されるような順序とは無関係に、前述または以下の番号を付けた実施形態に依存する、あるいはそれらに関連するものとして考慮される。
1.ヒトによる消費のための、高脂肪蓄積量を有する培養細胞を生産する方法であって、該方法は、細胞の集団を培養する工程;細胞の集団内の分化を誘導する工程;細胞の集団内の高脂肪蓄積を誘導する工程;およびヒトによる消費のために細胞の集団を処理する工程、を含む方法。2.分化後の細胞の集団は肝細胞を含む、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。3.処理する工程は、フォアグラとして細胞の集団を調製する工程を含む、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。4.細胞の集団はアヒルまたはガチョウに由来する、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。5.細胞の集団は家禽および家畜の少なくとも1つに由来する、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。6.高脂肪蓄積を誘導する工程は脂肪症を誘導すること含む、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。7.高脂肪蓄積は細胞質の脂質滴の過剰な蓄積を特徴とする、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。8.高脂肪蓄積を誘導する工程は、少なくとも1つの脂質代謝経路を調節する外因性化合物に細胞の集団を晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。9.高脂肪蓄積を誘導する工程は、毒素および高脂質濃縮の少なくとも1つに細胞の集団を晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。10.高脂肪蓄積を誘導する工程は、細胞の集団内の脂質保持を増強するために少なくとも1つの脂質代謝経路を調節することを含む、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。11.細胞の集団は、導入剤での処置後に肝細胞への分化を誘導するために少なくとも1つの遺伝子を発現するように修飾される、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。12.肝細胞への分化を誘導するための少なくとも1つの遺伝子は、肝細胞核因子1アルファ(HNF1A)、Forkhead Box A2(FOXA2)、および肝細胞核因子4アルファ(HNF4A)の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする実施形態11に記載の方法。13.高脂肪蓄積を誘導する工程は、脂肪症の増強のために少なくとも1つの遺伝子を発現するように構成された修飾細胞株を生成するために細胞の集団を修飾することを含む、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。14.修飾細胞株は、導入剤での処置後に脂肪症の増強のために少なくとも1つの遺伝子を発現するように構成される、ことを特徴とする実施形態13に記載の方法。15.修飾細胞株は、ATF4、ZFP423、LPIN1、PPAR、APOC3、APOE、ORL1、PEMT、MTTP、SREBP、STAT3、またはKLF6をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む構築物で安定して形質転換される、ことを特徴とする実施形態13に記載の方法。16.修飾細胞株は、修飾細胞株がテトラサイクリンまたはその誘導体に晒されるとき、脂肪症の増強のために少なくとも1つの遺伝子の発現を促進する構築物で安定して形質転換される、ことを特徴とする実施形態13に記載の方法。17.高脂肪蓄積を誘導する工程は、脂質代謝を調節するために細胞の集団内の少なくとも1つの細胞における少なくとも1つの遺伝子を改変することを含む、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。18.細胞の集団は、分化後の肝臓、心臓、腎臓、胃、腸、肺、横隔膜、食道、胸腺、膵臓、または舌の細胞を含む、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。19.ヒトによる消費のために細胞の集団を処理する工程は、細胞の集団を、低脂質蓄積を有する細胞と混合することを含む、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。20.細胞の集団は胚性幹細胞として単離される、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。21.細胞の集団は多能性を誘導するように修飾されている、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。22.細胞の集団は分化多能性成体幹細胞として単離される、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。23.培養する工程は、細胞培養において細胞の集団を成長させ且つ拡大させることを含む、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。24.分化を誘導する工程は、分化を刺激する培養条件に細胞の集団を晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。25.分化を誘導する工程は、分化を刺激する少なくとも1つの成長因子に細胞の集団を晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。26.培養する工程は、二次元表面上で細胞の集団を成長させることを含む、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。27.培養する工程は、三次元スキャフォールド上で細胞の集団を成長させることを含む、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。28.培養する工程は、バイオリアクター内のマイクロスキャフォールド上で細胞の集団を成長させることを含み、マイクロスキャフォールドは細胞接着を可能にする、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。29.マイクロスキャフォールドはグルコマンナンまたはアルギン酸塩を含む、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。30.細胞の集団は生存および増殖のために接着基質を必要としない、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。31.細胞の集団は懸濁培養に適している、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。32.細胞の集団は、分化後に質感がない組織を形成する、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。33.細胞の集団は分化後に非筋組織を形成する、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。34.培養する工程は、少なくとも1つの栄養剤を含む培地製剤において細胞の集団を成長させることを含む、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。35.少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態34に記載の方法。36.少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態34に記載の方法。37.少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態34に記載の方法。38.少なくとも1つの栄養剤は、リノール酸、オレイン酸、またはそれらの組み合わせを含む、ことを特徴とする実施形態34に記載の方法。39.細胞の集団は非血清培地製剤を使用して培養される、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。40.細胞の集団はキノコベースの培地製剤を使用して培養される、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。41.細胞の集団は大豆水解物を含む培地製剤を使用して培養される、ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。42.高脂質含有量を有する、質感がない培養組織を生産する方法であって、該方法は、自己再生可能な分化細胞の集団を得る工程;分化細胞の集団を培養する工程;細胞が高脂質含有量を蓄積するように、分化細胞の集団に脂肪症を誘導するために少なくとも1つの脂質代謝経路を操作する工程;および分化細胞の集団を質感がない組織へと処理する工程、を含む方法。43.自己再生可能な分化細胞の集団を得る工程は、分化細胞を不死化細胞に形質転換することを含む、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。44.自己再生可能な分化細胞の集団を得る工程は、不死化細胞に自然突然変異が生じるまで分化細胞を培養することを含む、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。45.分化細胞の集団は肝細胞を含む、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。46.処理する工程は、フォアグラ中の成分として分化細胞の集団を使用することを含む、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。47.分化細胞の集団はアヒルまたはガチョウに由来する、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。48.分化細胞の集団は家禽および家畜の少なくとも1つに由来する、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。49.脂肪症は細胞質の脂質滴の過剰な蓄積を特徴とする、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。50.少なくとも1つの脂質代謝経路を操作する工程は、細胞の集団を外因性化合物に晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。51.少なくとも1つの脂質代謝経路を操作する工程は、毒素および高脂質濃縮の少なくとも1つに分化細胞の集団を晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。52.少なくとも1つの脂質代謝経路を操作する工程は、脂質代謝を調節するために分化細胞の集団内の少なくとも1つの遺伝子を改変することを含む、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。53.少なくとも1つの脂質代謝経路を操作する工程は、脂肪症の増強のために少なくとも1つの遺伝子を発現するように構成された修飾細胞株を生成するために、遺伝子構築物で分化細胞の集団を修飾することを含む、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。54.修飾細胞株は、導入剤での処置後に脂肪症の増強のために少なくとも1つの遺伝子を発現するように構成される、ことを特徴とする実施形態53に記載の方法。55.修飾細胞株は、ATF4、ZFP423、LPIN1、PPAR、APOC3、APOE、ORL1、PEMT、MTTP、SREBP、STAT3、またはKLF6をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む構築物で安定して形質転換される、ことを特徴とする実施形態53に記載の方法。56.修飾細胞株は、修飾細胞株がテトラサイクリンまたはその誘導体に晒されるとき、脂肪症の増強のために少なくとも1つの遺伝子の発現を促進する構築物で安定して形質転換される、ことを特徴とする実施形態53に記載の方法。57.分化細胞の集団は、肝臓、心臓、腎臓、胃、腸、肺、横隔膜、食道、胸腺、膵臓、または舌の細胞を含む、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。58.分化細胞の集団を処理する工程は、細胞の集団を、低脂質蓄積を有する細胞と混合することを含む、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。59.培養する工程は、細胞培養において細胞の集団を成長させ且つ拡大させることを含む、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。60.培養する工程は、二次元表面上で細胞の集団を成長させることを含む、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。61.培養する工程は、三次元スキャフォールド上で細胞の集団を成長させることを含む、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。62.培養する工程は、バイオリアクター内のマイクロスキャフォールド上で細胞の集団を成長させることを含み、マイクロスキャフォールドは細胞接着を可能にする、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。63.マイクロスキャフォールドはグルコマンナンまたはアルギン酸塩を含む、ことを特徴とする実施形態62に記載の方法。64.細胞の集団は生存および増殖のために接着基質を必要としない、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。65.細胞の集団は懸濁培養に適している、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。66.分化細胞の集団は質感がない組織を形成する、ことを特徴とする実施42に記載の方法。67.細胞の集団は非筋組織を形成する、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。68.培養する工程は、少なくとも1つの栄養剤を含む培地製剤において細胞の集団を成長させることを含む、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。69.少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態68に記載の方法。70.少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態68に記載の方法。71.少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態68に記載の方法。72.少なくとも1つの栄養剤は、リノール酸、オレイン酸、またはそれらの組み合わせを含む、ことを特徴とする実施形態68に記載の方法。73.細胞の集団は非血清培地製剤を使用して培養される、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。74.細胞の集団はキノコベースの培地製剤を使用して培養される、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。75.細胞の集団は大豆水解物を含む培地製剤を使用して培養される、ことを特徴とする実施形態42に記載の方法。76.ヒトによる消費のために培養非筋組織を生産する方法であって、該方法は、自己再生細胞の集団を得る工程;自己再生細胞の集団を培養する工程;非筋組織を形成
するために細胞の集団に分化を誘導する工程;およびヒトによる消費のために培養非筋組織を処理する工程、を含む方法。77.ヒトによる消費のために培養組織を生産する方法であって、該方法は、自己再生細胞の集団を得る工程;懸濁培養に自己再生細胞の集団を適応させる工程;自己再生細胞の集団を培養する工程;培養組織を形成するために細胞の集団に分化を誘導する工程;およびヒトによる消費のために培養組織を処理する工程、を含む方法。78.ヒトによる消費のために質感がない培養筋組織を生産する方法であって、該方法は、自己再生細胞の集団を得る工程;自己再生細胞の集団を培養する工程;質感がない筋組織を形成するために細胞の集団に分化を誘導する工程;およびヒトによる消費のために質感がない培養筋組織を処理する工程、を含む方法。79.質感がない筋組織は、タコ、ヤリイカ、またはコウイカ筋肉である、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。80.細胞の集団に分化を誘導する工程は、筋管を生成することを含む、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。81.分化後の細胞の集団は少なくとも50μmの長さである筋管を含む、ことを特徴とする実施形態80に記載の方法。82.質感がない筋組織は魚類の筋組織である、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。83.魚類の筋組織は、高い解糖系および嫌気性の筋繊維を含む、ことを特徴とする実施形態82に記載の方法。84.高い解糖系および嫌気性の筋繊維は、魚類の筋組織の少なくとも80%を占める、ことを特徴とする実施形態83に記載の方法。85.細胞の集団は、スズキ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、またはマスに由来する、ことを特徴とする実施形態82に記載の方法。86.質感がない筋組織は脂肪組織と組み合わされる、ことを特徴とする実施形態82に記載の方法。87.魚類の筋組織および脂肪組織は寿司に使用できる品質等級である、ことを特徴とする実施形態87に記載の方法。88.細胞の集団は胚性幹細胞として単離される、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。89.細胞の集団は多能性を誘導するように修飾されている、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。90.細胞の集団は、筋細胞への細胞の集団の分化を誘導するように構成された少なくとも1つの遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む遺伝子構築物を組み込むために修飾されている、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。91.分化を誘導するように構成された少なくとも1つの遺伝子は、Myogenin(MyoG)、Myogenic Differentiation 1(MyoD)、Myogenic Factor 6(MRF4)、Myogenic Factor 5(MYF5)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、ことを特徴とする実施形態90に記載の方法。92.細胞の集団は、細胞分裂を促進するように構成された少なくとも1つの多能性遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む第1の遺伝子構築物;および少なくとも1つの多能性遺伝子を不活性化するように構成された調節因子のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む第2の遺伝子構築物を組み込むように修飾されている、ことを特徴とする実施形態89に記載の方法。93.少なくとも1つの多能性遺伝子は、少なくとも50の細胞分裂を促進するように構成される、ことを特徴とする実施形態92に記載の方法。94.調節因子はレコンビナーゼであり、少なくとも1つの多能性遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)は、レコンビナーゼの発現が少なくとも1つの多能性遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の切除を触媒するように、レコンビナーゼによって認識された組み換え配列と隣接している、ことを特徴とする実施形態92に記載の方法。95.第2の遺伝子構築物は、細胞株を分化するための少なくとも1つの細胞系統遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)、並びに、少なくとも1つの細胞系統遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)および調節因子のオープンリーディングフレーム(ORF)の発現を制御する誘導性プロモーターを含む、ことを特徴とする実施形態92に記載の方法。96.分化を誘導する工程は、少なくとも1つの細胞系統遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)および調節因子のオープンリーディングフレーム(ORF)の発現を誘導するために細胞の集団を導入剤に晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態95に記載の方法。97.細胞の集団を導入剤に晒した後、および、ヒトによる消費のための質感がない培養筋組織を処理する前に、導入剤を取り除く工程を更に含む、ことを特徴とする実施形態96に記載の方法。98.細胞の集団は分化多能性成体幹細胞として単離される、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。99.培養する工程は、細胞培養において細胞の集団を成長させ且つ拡大させることを含む、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。100.分化を誘導する工程は、分化を刺激する培養条件に細胞の集団を晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。101.分化を誘導する工程は、分化を刺激する少なくとも1つの成長因子に細胞の集団を晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。102.培養する工程は、二次元表面上で細胞の集団を成長させることを含む、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。103.培養する工程は、三次元スキャフォールド上で細胞の集団を成長させることを含む、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。104.培養する工程は、バイオリアクター内のマイクロスキャフォールド上で細胞の集団を成長させることを含み、マイクロスキャフォールドは細胞接着を可能にする、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。105.マイクロスキャフォールドはグルコマンナンまたはアルギン酸塩を含む、ことを特徴とする実施形態104に記載の方法。106.細胞の集団は生存および増殖のために接着基質を必要としない、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。107.細胞の集団は懸濁培養に適している、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。108.細胞の集団は、分化後に質感がない組織を形成する、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。109.細胞の集団は分化後に非筋組織を形成する、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。110.培養する工程は、少なくとも1つの栄養剤を含む培地製剤において細胞の集団を成長させることを含む、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。111.少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態110に記載の方法。112.少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態110に記載の方法。113.少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態に記載の方法。114.少なくとも1つの栄養剤は、リノール酸、オレイン酸、またはそれらの組み合わせを含む、ことを特徴とする実施形態110に記載の方法。115.細胞の集団は非血清培地製剤を使用して培養される、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。116.細胞の集団はキノコベースの培地製剤を使用して培養される、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。117.細胞の集団は大豆水解物を含む培地製剤を使用して培養される、ことを特徴とする実施形態78に記載の方法。118.鳥類の培養肝臓組織を含むフォアグラを調製する方法であって、該方法は、自己再生可能な鳥類由来の細胞の集団を得る工程;鳥類由来の細胞の集団を肝細胞に分化する工程;および高脂質含有量を有する鳥類の培養肝臓組織を生成するために肝細胞に脂肪症を誘導する工程;およびフォアグラとして鳥類の培養肝臓組織を調製する工程、を含む方法。119.鳥類由来の細胞はアヒル細胞である、ことを特徴とする実施形態118に記載の方法。120.鳥類由来の細胞はガチョウ細胞である、ことを特徴とする実施形態118に記載の方法。121.高脂質含有量を有し、且つヒトによる消費のために処理される、組織培養肝細胞を含む、調理用フォアグラ組成物。122.組成物は複数の切片へと処理される、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。123.各切片は約5オンス以下の重量である、ことを特徴とする実施形態122に記載の組成物。124.各切片は個々に包装される、ことを特徴とする実施形態122に記載の組成物。125.フォアグラ組成物は少なくとも約1.5ポンドの重さであり、丸く引き締まっており、且つ傷がない、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。126.フォアグラ組成物は、フォアグラ組成物に対する等級分類Aを示す包装ラベルを有する、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。127.フォアグラ組成物は約0.75~約1.5ポンドの重量である、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。128.フォアグラ組成物は、フォアグラ組成物に対する等級分類Bを示す包装ラベルを有する、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。129.フォアグラ組成物は約1ポンド未満の重量であり、傷が3つ以下である、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。130.フォアグラ組成物は、フォアグラ組成物に対する等級分類Cを示す包装ラベルを有する、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。131.組織培養肝細胞は脂肪性である、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。132.組織培養肝細胞は細胞質の脂質滴の過剰な蓄積を特徴とする、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。133.高脂質含有量は、少なくとも1つの脂質代謝経路を調節する外因性化合物への曝露によって得られる、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。134.高脂質含有量は、毒素および高脂質濃度の少なくとも1つへの曝露によって得られる、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。135.高脂質含有量は、細胞の集団内の脂質保持を増強するための少なくとも1つの脂質代謝経路の調節によって得られる、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。136.高脂質含有量は、組織培養肝細胞の少なくとも1つの遺伝子の改質によって得られる、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。137.フォアグラ組成物は更に低脂質蓄積を有する細胞を含む、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。138.組織培養肝細胞は単離された胚性幹細胞から分化される、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。139.組織培養肝細胞は人工多能性幹細胞から分化される、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。140.組織培養肝細胞は、単離された分化多能性成体幹細胞から分化される、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。141.組織培養肝細胞は、自己再生可能な細胞の集団における分化によって生成される、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。142.分化は、分化を刺激する培養条件に細胞の集団を晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態141に記載の組成物。143.分化は、分化を刺激する少なくとも1つの成長因子に細胞の集団を晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態141に記載の組成物。144.組織培養肝細胞は二次元表面上で成長される、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。145.組織培養肝細胞は三次元スキャフォールド上で成長される、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。146.組織培養肝細胞は、バイオリアクター内のマイクロスキャフォールド上で成長され、マイクロスキャフォールドは細胞接着を可能とする、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。147.組織培養肝細胞は、生存および増殖のために接着基質を必要としない、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。148.組織培養肝細胞は懸濁培養に適している、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。149.組織培養肝細胞は質感がない組織を形成する、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。150.組織培養肝細胞は非筋組
織を形成する、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。151.組織培養肝細胞は、少なくとも1つの栄養剤を含む培地製剤において培養される、ことを特徴とする実施形態121に記載の組成物。152.少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態151に記載の組成物。153.少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態151に記載の組成物。154.少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態151に記載の組成物。155.ヒトによる摂取のために質感がない非筋肉食品へと加工される、培養臓器細胞を含む、組成物。156.培養臓器細胞は肝細胞を含む、ことを特徴とする実施形態155に記載の組成物。157.培養臓器細胞は鳥類の細胞を含む、ことを特徴とする実施形態155に記載の組成物。158.食品は複数の切片へと加工される、ことを特徴とする実施形態155に記載の食品生成物。159.各切片は約5オンス以下の重量である、ことを特徴とする実施形態158に記載の組成物。160.各切片は個々に包装される、ことを特徴とする実施形態158に記載の組成物。161.食品はフォアグラである、ことを特徴とする実施形態155に記載の組成物。162.フォアグラは少なくとも約1.5ポンドの重さであり、丸く引き締まっており、且つ傷がない、ことを特徴とする実施形態161に記載の組成物。163.フォアグラは、等級分類Aを示す包装ラベルを有する、ことを特徴とする実施形態161に記載の組成物。164.フォアグラは約0.75~約1.5ポンドの重量である、ことを特徴とする実施形態161に記載の組成物。165.フォアグラは、等級分類Bを示す包装ラベルを有する、ことを特徴とする実施形態161に記載の組成物。166.フォアグラは約1ポンド未満の重量であり、傷が3つ以下である、ことを特徴とする実施形態161に記載の組成物。167.フォアグラは、等級分類Cを示す包装ラベルを有する、ことを特徴とする実施形態161に記載の組成物。168.組織培養肝細胞は脂肪性である、ことを特徴とする実施形態161に記載の組成物。169.フォアグラは高脂質含有量を特徴とする、ことを特徴とする実施形態161に記載の組成物。170.高脂質含有量は、少なくとも1つの脂質代謝経路を調節する外因性化合物への曝露によって得られる、ことを特徴とする実施形態169に記載の組成物。171.高脂質含有量は、毒素および高脂質濃度の少なくとも1つへの曝露によって得られる、ことを特徴とする実施形態169に記載の組成物。172.高脂質含有量は、細胞の集団内の脂質保持を増強するための少なくとも1つの脂質代謝経路の調節によって得られる、ことを特徴とする実施形態169に記載の組成物。173.高脂質含有量は、組織培養肝細胞の少なくとも1つの遺伝子の改質によって得られる、ことを特徴とする実施形態169に記載の組成物。174.フォアグラ組成物は更に低脂質蓄積を有する細胞を含む、ことを特徴とする実施形態169に記載の組成物。175.培養臓器細胞は二次元表面上で成長される、ことを特徴とする実施形態155に記載の組成物。176.培養臓器細胞は三次元スキャフォールド上で成長される、ことを特徴とする実施形態155に記載の組成物。177.培養臓器細胞は、バイオリアクター内のマイクロスキャフォールド上で成長され、マイクロスキャフォールドは細胞接着を可能とする、ことを特徴とする実施形態155に記載の組成物。178.培養臓器細胞は、生存および増殖のために接着基質を必要としない、ことを特徴とする実施形態155に記載の組成物。179.培養臓器細胞は懸濁培養に適している、ことを特徴とする実施形態155に記載の組成物。180.培養臓器細胞は質感がない組織を形成する、ことを特徴とする実施形態155に記載の組成物。181.培養臓器細胞は非筋組織を形成する、ことを特徴とする実施形態155に記載の組成物。182.培養臓器細胞は、少なくとも1つの栄養剤を含む培地製剤において培養される、ことを特徴とする実施形態155に記載の組成物。183.少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態182に記載の組成物。184.少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態182に記載の組成物。185.少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態182に記載の組成物。186.培養臓器細胞は非血清培地製剤を使用して培養される、ことを特徴とする実施形態182に記載の組成物。187.培養臓器細胞はキノコベースの培地製剤を使用して培養される、ことを特徴とする実施形態182に記載の組成物。188.鳥類の培養脂肪性肝細胞および調味料を含む、食用フォアグラ組成物。189.調味料は塩、コショウ、および砂糖のうち少なくとも1つを含む、ことを特徴とする実施形態188に記載の組成物。190.高脂質含有量を有する培養肝細胞、および低脂質含有量を有する肝細胞を含む、フォアグラ組成物。191.高脂質含有量を有する培養肝細胞、および低脂質含有量を有する肝細胞は、共に混合される、ことを特徴とする実施形態190に記載の組成物。192.フォアグラ組成物は、ムース、パフェ、およびパテのうち1つを調製するための成分として適切である、ことを特徴とする実施形態190に記載の組成物。193.低脂質含有量を有する肝細胞は培養細胞である、ことを特徴とする実施形態190に記載の組成物。194.低脂質含有量を有する肝細胞は非培養細胞である、ことを特徴とする実施形態190に記載の組成物。195.細胞培養において成長させられ、且つヒトによる消費のために処理される、鳥類の肝細胞を含む、食用組成物。196.培養肝細胞と、フォアグラ組成物が強制給餌により生産されていないことを示すラベルを有するパッケージとを含む、包装済みフォアグラ組成物。197.培養肝細胞と、フォアグラが病原体のない環境で生産されたことを示すラベルを有するパッケージとを含む、包装済みフォアグラ組成物。198.ラベルは、組成物が鳥類の鳥インフルエンザウイルスへの感染なしに生成されたことを示す、ことを特徴とする実施形態197に記載の組成物。199.食品に加工された培養細胞と、組成物が毒素への曝露なしに生成されたことを示すラベルとを含む、包装済み食用組成物。200.毒素は、殺虫剤、除草剤、および殺真菌剤のうち1つである、ことを特徴とする実施形態199に記載の組成物。201.抗生物質を使用することなく、ヒトによる消費のための培養細胞を生産する方法であって、該方法は、抗生物質を使用することなく細胞の集団を培養する工程;細胞の集団内の分化を誘導する工程;細胞の集団内の高脂肪蓄積を誘導する工程;およびヒトによる消費のために細胞の集団を処理する工程、を含む方法。202.病原体への曝露なしにヒトによる消費のための培養細胞を生産する方法であって、該方法は、病原体を含まない培養環境で細胞の集団を培養する工程;細胞の集団内の分化を誘導する工程;細胞の集団内の高脂肪蓄積を誘導する工程;およびヒトによる消費のために細胞の集団を処理する工程、を含む方法。203.毒素への曝露なしにヒトによる消費のための培養細胞を生産する方法であって、該方法は、毒素を含まない培養環境で細胞の集団を培養する工程;細胞の集団内の分化を誘導する工程;細胞の集団内の高脂肪蓄積を誘導する工程;およびヒトによる消費のために細胞の集団を処理する工程、を含む方法。204.高脂質含有量を有し、且つ血管系のない、質感がない培養組織を生産する方法であって、該方法は、細胞の集団を培養する工程;細胞の集団に分化を誘導する工程;細胞が高脂質含有量を蓄積するように、分化細胞の集団に脂肪症を誘導するために脂質代謝経路を操作する工程;および分化細胞の集団を血管系のない質感がない組織へと処理する工程、を含む方法。205.ヒトによる消費のための、栄養素含有量が増大した培養組織を生産する方法であって、該方法は、少なくとも1つの栄養剤を有する培養培地において細胞の集団を培養する工程;細胞が高脂質含有量を蓄積するように、分化細胞の集団に脂肪症を誘導するために脂質代謝経路を操作する工程;およびヒトによる消費のために、分化細胞の集団を血管系のない質感がない組織へと処理する工程、を含む方法。206.少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態205に記載の方法。207.少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態205に記載の方法。208.少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態205に記載の方法。209.ヒトによる消費のために、培養臓器組織を生産する方法であって、該方法は、自己再生可能な細胞の集団を培養する工程;臓器組織を生成するために細胞の集団に分化を誘導する工程;およびヒトによる消費のために臓器組織を処理する工程、を含む方法。210.臓器組織は、肝臓、心臓、腎臓、胃、腸、肺、横隔膜、食道、胸腺、膵臓、または舌の組織である、ことを特徴とする実施形態209に記載の方法。211.臓器組織は肝臓組織である、ことを特徴とする実施形態210に記載の方法。212.処理する工程は、臓器組織を追加の細胞組織と混合することを含む、ことを特徴とする実施形態211に記載の方法。213.追加の細胞組織は非脂肪性肝細胞を含む、ことを特徴とする実施形態212に記載の方法。214.ヒトによる消費のための、栄養素含有量が増強した、培養魚類組織を生産する方法であって、該方法は、少なくとも1つの栄養剤を有する培養培地において魚類筋細胞の集団を培養する工程;筋細胞の集団を拡大させる工程;およびヒトによる消費のために筋細胞の集団を魚類組織へと処理する工程、を含む方法。215.魚類組織は速筋線維を含む、ことを特徴とする実施形態214に記載の方法。216.脂肪細胞の集団と筋細胞の集団とを組み合わせる工程を更に含む、実施形態214に記載の方法。217.魚類筋細胞はサケ筋細胞である、ことを特徴とする実施形態214に記載の方法。218.魚類筋細胞はマグロ筋細胞である、ことを特徴とする実施形態214に記載の方法。219.魚類筋細胞はマス筋細胞である、ことを特徴とする実施形態214に記載の方法。220.培養筋細胞および脂肪細胞から生成された魚類組織を含む、食用組成物。221.ヒトによる消費のために、培養魚肉を生産する方法であって、該方法は、自己再生細胞の集団を得る工程;マイクロスキャフォールドを含む培地で自己再生細胞の集団を培養する工程;筋細胞および脂肪細胞の少なくとも1つを形成するために細胞の集団に分化を誘導する工程;およびヒトによる消費のために細胞の集団を魚肉へと加工する工程、を含む方法。222.マイクロスキャフォールドはグルコマンナンまたはアルギン酸塩を含む、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。223.細胞の集団の少なくとも部分集合は、筋細胞への細胞の集団の分化を誘導するように構成された少なくとも1つの遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む遺伝子構築物を組み込むために修飾されている、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。224.分化を誘導するように構成された少なくとも1つの遺伝子は、Myogenin(MyoG)、Myogenic Differentiation 1(MyoD)、Myogenic Factor 6(MRF4)、Myogenic Factor 5(MYF5)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、ことを特徴とする実施形態223に記載の方法。225.細胞の集団の少なくとも部分集合は、脂肪細胞への細胞の集団の分化を誘導するように構成された少なくとも1つの遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む遺伝子構築物を組み込むために修飾されている、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。226.細胞の集団の少なくとも部分集合は、細胞分裂を促進するように構成された少なくとも1つの多能性遺伝子のオ
ープンリーディングフレーム(ORF)を含む第1の遺伝子構築物;および少なくとも1つの多能性遺伝子を不活性化するように構成された調節因子のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む第2の遺伝子構築物を組み込むように修飾されている、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。227.調節因子はレコンビナーゼであり、少なくとも1つの多能性遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)は、レコンビナーゼの発現が少なくとも1つの多能性遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の切除を触媒するように、レコンビナーゼによって認識された組み換え配列と隣接している、ことを特徴とする実施形態226に記載の方法。228.第2の遺伝子構築物は、細胞株を分化するための少なくとも1つの細胞系統遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)、並びに、少なくとも1つの細胞系統遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)および調節因子のオープンリーディングフレーム(ORF)の発現を制御する誘導性プロモーターを含む、ことを特徴とする実施形態226に記載の方法。229.分化を誘導する工程は、少なくとも1つの細胞系統遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)および調節因子のオープンリーディングフレーム(ORF)の発現を誘導するために細胞の集団を導入剤に晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態228に記載の方法。230.細胞の集団を導入剤に晒した後、および、ヒトによる消費のために細胞の集団を魚肉へと加工する前に、導入剤を取り除く工程を更に含む、ことを特徴とする実施形態229に記載の方法。231.魚肉は寿司である、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。232.魚肉はすり身である、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。233.魚肉は生での消費に適している、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。234.魚肉は調理されている、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。235.魚肉はサケ肉である、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。236.魚肉は寿司に使用できる品質等級のサケ肉である、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。237.魚肉はマグロ肉である、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。238.魚肉は寿司に使用できる品質等級のマグロ肉である、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。239.魚肉はマス肉である、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。240.(c)の分化を誘導する工程は、細胞の集団に筋細胞および脂肪細胞を形成させる、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。241.魚肉は少なくとも50%の高解糖系および嫌気性の筋繊維で構成される、ことを特徴とする実施形態240に記載の方法。242.細胞の集団は、スズキ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、またはマスに由来する、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。243.(d)の処理する工程は、細胞の集団を筋細胞または脂肪細胞で構成される細胞の第2集団と組み合わせることを含む、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。244.細胞の集団は胚性幹細胞として単離される、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。245.細胞の集団は多能性を誘導するように修飾されている、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。246.細胞の集団は分化多能性成体幹細胞として単離される、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。247.培養する工程は、細胞培養において細胞の集団を成長させ且つ拡大させることを含む、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。248.分化を誘導する工程は、分化を刺激する培養条件に細胞の集団を晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。249.分化を誘導する工程は、分化を刺激する少なくとも1つの成長因子に細胞の集団を晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。250.培養する工程は、二次元表面上で細胞の集団を成長させることを含む、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。251.培養する工程は、三次元スキャフォールド上で細胞の集団を成長させることを含む、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。252.培養する工程は、バイオリアクター内のマイクロスキャフォールド上で細胞の集団を成長させることを含み、マイクロスキャフォールドは細胞接着を可能にする、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。253.細胞の集団は、分化後に質感がない組織を形成する、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。254.培養する工程は、少なくとも1つの栄養剤を含む培地製剤において細胞の集団を成長させることを含む、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。255.少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態254に記載の方法。256.少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態254に記載の方法。257.少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態254に記載の方法。258.細胞の集団は非血清培地製剤を使用して培養される、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。259.細胞の集団はキノコベースの培地製剤を使用して培養される、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。260.ヒトによる消費のために培養肉を生産する方法であって、該方法は、懸濁培養において成長が可能な自己再生細胞の集団を得る工程;懸濁液において自己再生細胞の集団を培養する工程;筋細胞および脂肪細胞の少なくとも1つを形成するために細胞の集団に分化を誘導する工程;およびヒトによる消費のために細胞の集団を肉へと加工する工程、を含む方法。261.肉は魚肉である、ことを特徴とする実施形態260に記載の方法。262.魚肉は寿司である、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。263.魚肉はすり身である、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。264.魚肉は生での消費に適している、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。265.魚肉は調理されている、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。266.魚肉はサケ肉である、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。267.魚肉は寿司に使用できる品質等級のサケ肉である、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。268.魚肉はマグロ肉である、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。269.自己再生細胞の集団は、キハダマグロ、ミナミマグロ、コシナガ、ビンナガ、タイセイヨウクロマグロおよびメバチマグロから選択されるマグロに由来する、ことを特徴とする実施形態268に記載の方法。270.自己再生細胞の集団はクロマグロに由来する、ことを特徴とする実施形態268に記載の方法。271.魚肉は寿司に使用できる品質等級のマグロ肉である、ことを特徴とする実施形態221に記載の方法。272.細胞の集団に分化を誘導する工程は、細胞の集団に筋細胞および脂肪細胞を形成させる、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。273.魚肉は少なくとも50%の高解糖系および嫌気性の筋繊維で構成される、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。274.細胞の集団は、スズキ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、またはマスに由来する、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。275.ヒトによる消費のために細胞の集団を肉へと加工する工程は、細胞の集団を筋細胞または脂肪細胞で構成される細胞の第2の集団と組み合わされることを含む、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。276.細胞の集団は胚性幹細胞として単離される、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。277.細胞の集団は多能性を誘導するように修飾されている、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。278.細胞の集団は分化多能性成体幹細胞として単離される、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。279.培養する工程は、細胞培養において細胞の集団を成長させ且つ拡大させることを含む、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。280.分化を誘導する工程は、分化を刺激する培養条件に細胞の集団を晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。281.分化を誘導する工程は、分化を刺激する少なくとも1つの成長因子に細胞の集団を晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。282.培養する工程は、二次元表面上で細胞の集団を成長させることを含む、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。283.細胞の集団は、分化後に質感がない組織を形成する、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。284.培養する工程は、少なくとも1つの栄養剤を含む培地製剤において細胞の集団を成長させることを含む、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。285.少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態284に記載の方法。286.少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態284に記載の方法。287.少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態284に記載の方法。288.細胞の集団は非血清培地製剤を使用して培養される、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。289.細胞の集団はキノコベースの培地製剤を使用して培養される、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。290.ヒトによる消費に適した培養組織を生産するためのシステムであって、該システムは、細胞接着のための接着表面を提供する複数のマイクロスキャフォールドを含むリアクターチャンバー;バイオリアクター内で栽培される、自己再生細胞の集団;自発的な分化なしに自己再生細胞の集団を維持するための成分を含む、少なくとも1つの維持培地を提供する第1のソース;および自己再生細胞の集団を特異的な系統へと分化するための成分を含む、少なくとも1つの分化培地を提供する第2のソースを含んでおり;ここで、リアクターチャンバーは、細胞の集団を栽培するために第1のソースから維持培地を受け取り、且つ、細胞の集団を分化するために第2のソースから分化培地を受け取り、単一のバッチに生成される細胞の集団は、ヒトによる消費に適しており且つ少なくとも1kgの乾燥乾重量を有する培養組織を含む、ことを特徴とするシステム。291.リアクターチャンバーをモニタリングするための少なくとも1つのセンサを更に含む、実施形態290に記載のシステム。292.少なくとも1つのセンサは、バイオセンサ、化学センサ、または光センサである、ことを特徴とする実施形態290に記載のシステム。293.少なくとも1つのセンサは、pH、温度、酸素、二酸化炭素、グルコース、乳酸塩、アンモニア、ヒポキサンチン、アミノ酸、ドーパミン、および脂質のうち少なくとも1つをモニタリングするように構成される、ことを特徴とする実施形態290に記載のシステム。294.少なくとも1つの追加のリアクターチャンバーを更に含む、実施形態290に記載のシステム。295.単一のバッチには少なくとも5kgの乾燥重量がある、ことを特徴とする実施形態290に記載のシステム。296.複数のマイクロスキャフォールドを更に含む、実施形態290に記載のシステム。297.複数のマイクロスキャフォールドはグルコマンナンまたはアルギン酸塩を含む、ことを特徴とする実施形態296に記載のシステム。298.少なくとも1つの3Dスキャフォールドを更に含む、実施形態290に記載のシステム。299.細胞の集団に脂肪症または脂質蓄積を誘導するための成分を含む、少なくとも1つの脂肪性培地を提供する第3のソースを更に含む、ことを特徴とする実施形態290に記載のシステム。300.脂肪症または脂質蓄積を誘導するための成分は、リノール酸、オレイン酸、またはそれらの組み合わせを含む、ことを特徴とする実施形態290に記載のシステム。301.細胞の集団は少なくとも1つの栄養剤を含む培地において培養される、ことを特徴とする実施形態290に記載のシステム。
302.少なくとも1つの栄養剤は、キノコ抽出物、大豆水解物、またはそれらの組み合わせを含む、ことを特徴とする実施形態301に記載のシステム。303.魚類の培養組織を生産するための方法であって、該方法は、魚類の脂肪前駆細胞の集団および魚類の衛星細胞の集団を培養する工程;脂肪細胞を形成するために魚類の脂肪前駆細胞の集団に分化を誘導する工程;筋細胞を生成するために魚類の衛星細胞の集団に分化を誘導する工程;脂肪細胞および筋細胞を共培養する工程;およびヒトによる消費のために脂肪細胞および筋細胞を魚類組織へと処理する工程、を含む方法。304.魚類組織は速筋線維を含む、ことを特徴とする実施形態303に記載の方法。305.魚類組織はサケ組織である、ことを特徴とする実施形態303に記載の方法。306.魚類組織はマグロ組織である、ことを特徴とする実施形態303に記載の方法。307.魚類組織はマス組織である、ことを特徴とする実施形態303に記載の方法。308.魚類組織はすり身である、ことを特徴とする実施形態303に記載の方法。309.魚類組織は寿司である、ことを特徴とする実施形態303に記載の方法。310.魚類組織はヒトによる生での消費のために作られる、ことを特徴とする実施形態303に記載の方法。311.魚類組織はヒトによる消費のために調理されている、ことを特徴とする実施形態303に記載の方法。312.脂肪細胞および筋細胞は少なくとも1つの栄養剤を含む培地製剤において共培養される、ことを特徴とする実施形態303に記載の方法。313.少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態312に記載の方法。314.少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態312に記載の方法。315.少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態312に記載の方法。316.非血清培地製剤は細胞培養のために使用される、ことを特徴とする実施形態261に記載の方法。317.キノコベースの培地製剤は細胞培養のために使用される、ことを特徴とする実施形態261方法。318.魚類の培養組織を生産するための方法であって、該方法は、懸濁培養に適した、魚類の脂肪前駆細胞の集団、および魚類の衛星細胞の集団を培養する工程;脂肪細胞を形成するために魚類の脂肪前駆細胞の集団に分化を誘導する工程;筋細胞を形成するために魚類の衛星細胞の集団に分化を誘導する工程;脂肪細胞および筋細胞を共培養する工程;およびヒトによる消費のために脂肪細胞および筋細胞を魚類組織へと処理する工程、を含む方法。319.共培養された筋細胞および脂肪細胞から生成された魚類組織を含む、食用組成物。320.脂肪前駆細胞および衛星細胞から生産された魚類組織を含む、食用組成物。321.ヒトによる消費のために、培養魚肉を生産するための方法であって、該方法は、脂肪前駆細胞の集団およびの衛星細胞の集団を得る工程;脂肪前駆細胞の集団および衛星細胞の集団を懸濁培養に適応させる工程;脂肪前駆細胞の集団および衛星細胞の集団に分化を誘導する工程;懸濁培養において集団を共培養する工程;およびヒトによる消費のために集団を魚肉へと加工する工程、を含む方法。322.魚肉は寿司である、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。323.魚肉はすり身である、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。324.魚肉は生での消費に適している、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。325.魚肉は調理されている、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。326.魚肉はサケ肉である、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。327.魚肉は寿司に使用できる品質等級のサケ肉である、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。328.魚肉はマグロ肉である、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。329.魚肉は寿司に使用できる品質等級のマグロ肉である、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。330.魚肉はマス肉である、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。331.魚肉は少なくとも50%の高解糖系および嫌気性の筋繊維で構成される、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。332.脂肪前駆細胞の集団は、スズキ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、またはマスに由来する、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。333.衛星細胞の集団は、スズキ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、またはマスに由来する、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。334.共培養する工程は、細胞培養において集団を成長させ且つ拡大させることを含む、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。335.分化を誘導する工程は、脂肪細胞への分化を刺激する少なくとも1つの成長因子に脂肪前駆細胞の集団を晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。336.分化を誘導する工程は、筋細胞への分化を刺激する少なくとも1つの成長因子に衛星細胞の集団を晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。337.培養する工程は、バイオリアクター内で細胞の集団を成長させることを含む、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。338.筋細胞および脂肪細胞は、分化後に質感がない組織を形成する、ことを特徴とする実施321に記載の方法。339.筋細胞および脂肪細胞は少なくとも1つの栄養剤を含む培地製剤において培養される、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。340.少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態339に記載の方法。341.少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態339に記載の方法。342.少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態339に記載の方法。343.非血清培地製剤は細胞培養のために使用される、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。344.キノコベースの培地製剤は細胞培養のために使用される、ことを特徴とする実施形態321に記載の方法。345.培養筋細胞および脂肪細胞から生産された魚肉を含む、ヒトによる消費に適した魚加工品。346.培養された衛星細胞および脂肪前駆細胞に由来する魚肉を含む、ヒトによる消費に適した魚加工品。347.懸濁培養において成長される筋細胞および脂肪細胞から生産された魚肉を含む、ヒトによる消費に適した魚加工品。348.ヒトによる消費のために、培養魚肉を生産するための方法であって、該方法は、懸濁培養において成長可能な魚類の脂肪前駆細胞の集団を得る工程;懸濁培養において成長可能な魚類の衛星細胞の集団を得る工程;脂肪細胞および筋細胞を形成するために魚類の脂肪前駆細胞の集団および魚類の衛星細胞の集団に分化を誘導する工程;少なくとも1つの栄養剤を含む懸濁培養において脂肪細胞および筋細胞を共培養する工程;およびヒトによる消費のために細胞の集団を魚肉へと加工する工程、を含む方法。349.魚肉は寿司である、ことを特徴とする実施形態348に記載の方法。350.魚肉はすり身である、ことを特徴とする実施形態348に記載の方法。351.魚肉は生での消費に適している、ことを特徴とする実施形態348に記載の方法。352.魚肉は調理されている、ことを特徴とする実施形態348に記載の方法。353.魚肉はサケ肉である、ことを特徴とする実施形態348に記載の方法。354.魚肉は寿司に使用できる品質等級のサケ肉である、ことを特徴とする実施形態348に記載の方法。355.魚肉はマグロ肉である、ことを特徴とする実施形態348に記載の方法。356.魚肉は寿司に使用できる品質等級のマグロ肉である、ことを特徴とする実施形態348に記載の方法。357.魚肉は少なくとも50%の高解糖系および嫌気性の筋繊維で構成される、ことを特徴とする実施形態348に記載の方法。358.細胞の集団は、スズキ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、またはマスに由来する、ことを特徴とする実施形態348に記載の方法。359.(c)の分化を誘導する工程は、分化を刺激する培養条件に脂肪前駆細胞の集団および衛星細胞の集団を晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態348に記載の方法。360.(c)の分化を誘導する工程は、分化を刺激する少なくとも1つの成長因子に脂肪前駆細胞の集団を晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態348に記載の方法。361.(c)の分化を誘導する工程は、分化を刺激する少なくとも1つの成長因子に衛星細胞の集団を晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態348に記載の方法。362.脂肪細胞および筋細胞は質感がない組織を形成する、ことを特徴とする実施348に記載の方法。363.少なくとも1つの栄養剤はω-3脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態348に記載の方法。364.少なくとも1つの栄養剤は多価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態348に記載の方法。365.少なくとも1つの栄養剤は一価不飽和脂肪酸を含む、ことを特徴とする実施形態348に記載の方法。366.非血清培地製剤は細胞培養のために使用される、ことを特徴とする実施形態348に記載の方法。367.キノコベースの培地製剤は細胞培養のために使用される、ことを特徴とする実施形態348に記載の方法。368.ヒトによる消費のために、培養肝臓組織を生産する方法であって、該方法は、細胞の集団を得る工程;導入剤での処置後に少なくとも1つの肝細胞分化因子を発現するように構成された修飾細胞株を生成するために細胞の集団を修飾する工程;修飾細胞株を培養する工程;および培養肝臓組織を生成するために導入剤で修飾細胞株を処置する工程;およびヒトによる消費のために培養肝臓組織を処理する工程、を含む方法。369.ヒトによる消費のために、脂肪性肝臓組織を生産する方法であって、該方法は、導入剤での処置後に少なくとも1つの脂肪性因子を発現するように修飾される肝細胞株を得る工程;肝細胞株を培養する工程;および脂肪性肝臓組織を生成するために導入剤で肝細胞株を処置する工程;およびヒトによる消費のために脂肪性肝臓組織を食品へと加工する工程、を含む方法。370.食肉生産に適した遺伝子組み換え細胞株であって、該細胞株は、細胞周期進行を促進するための少なくとも1つの多能性遺伝子を含む第1の遺伝子構築物;および、分化を促進するための少なくとも1つの細胞系統遺伝子、少なくとも1つの多能性遺伝子を不活性化するように構成された調節因子、並びに少なくとも1つの細胞系統遺伝子と調節因子の発現を制御する誘導性プロモーターを含む、第2の遺伝子構築物を含む、細胞株。371.ヒトによる消費のために培養組織を生産する方法であって、該方法は、自己再生細胞の集団を得る工程;自己再生細胞の集団を培養する工程;培養組織を形成するために細胞の集団に分化を誘導する工程;およびヒトによる消費のために培養組織を処理する工程、を含む方法。372.自己再生細胞の集団を得る工程は、バイオリアクターにおいて二次元接着性培養物から三次元培養物へと細胞の集団を移行させることを含む、ことを特徴とする実施形態371に記載の方法。373.培養する工程は、三次元マイクロスキャフォールド上で自己再生細胞の集団を播種することを含む、ことを特徴とする実施形態371に記載の方法。374.三次元マイクロスキャフォールドは、細胞の増殖、接着、分化、またはそれらの組み合わせを促進する、ことを特徴とする実施形態3に記載の方法。375.三次元マイクロスキャフォールドは、細胞の増殖、接着、分化、またはそれらの組み合わせを促進する少なくとも1つの因子に抱合される、ことを特徴とする実施形態3に記載の方法。376.マイクロスキャフォールドは、グルコマンナン、アルギン酸塩、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸、ラミニン、フィブロネクチン、またはそれらの組み合わせを含む、ことを特徴とする実施形態375に記載の方法。377.自己再生細胞の集団は、誘導性分化を受ける
ために修飾された少なくとも1つの細胞を含む、ことを特徴とする実施形態371乃至376の何れか1つに記載の方法。378.少なくとも1つの細胞は、少なくとも1つの多能性遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む第1の遺伝子構築物;および少なくとも1つの多能性遺伝子を不活性化するように構成された調節因子のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む第2の遺伝子構築物を組み込むように修飾されている、ことを特徴とする実施形態377に記載の方法。379.自己再生細胞の集団は、培養中に少なくとも50の細胞分裂を受ける少なくとも1つの細胞を含む、ことを特徴とする実施形態378に記載の方法。380.調節因子はレコンビナーゼであり、少なくとも1つの多能性遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)は、レコンビナーゼの発現が少なくとも1つの多能性遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の切除を触媒するように、レコンビナーゼによって認識された組み換え配列と隣接している、ことを特徴とする実施形態378に記載の方法。381.少なくとも1つの多能性遺伝子は、肝細胞核因子1アルファ(HNF1A)、Forkhead Box A2(FOXA2)、および肝細胞核因子4アルファ(HNF4A)のうち少なくとも1つを含む、ことを特徴とする実施形態378に記載の方法。382.少なくとも1つの多能性遺伝子は、Myogenin(MyoG)、Myogenic Differentiation 1(MyoD)、Myogenic Factor 6(MRF4)、Myogenic Factor 5(MYF5)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、ことを特徴とする実施形態378に記載の方法。383.第2の遺伝子構築物は更に、少なくとも1つの分化遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF);および少なくとも1つの分化遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)とおよび調節因子のオープンリーディングフレーム(ORF)の発現を制御する誘導性プロモーターを含む、ことを特徴とする実施形態378に記載の方法。384.分化を誘導する工程は、少なくとも1つの細胞系統遺伝子のORFおよび調節因子のORFの発現を誘導するために少なくとも1つの細胞を誘導剤に晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態383に記載の方法。385.自己再生細胞の集団が導入剤で処置された後、および、ヒトによる消費のために培養組織を処理する前に、誘導剤を除去する工程を更に含む、実施形態384に記載の方法。386.分化を誘導する工程は、自己再生細胞の集団内に筋管を生成することを含む、ことを特徴とする実施形態371に記載の方法。387.分化を誘導する工程は、自己再生細胞の集団内に脂肪細胞を生成することを更に含む、ことを特徴とする実施形態386に方法。388.自己再生細胞の集団は、培養組織を形成するために細胞の集団に分化を誘導する間に、筋細胞へと分化する細胞の第1の部分集合、および脂肪細胞へと分化する細胞の第2の部分集合を含む、ことを特徴とする実施形態371乃至387の何れか1つに記載の方法。389.分化を誘導する工程は、自己再生細胞の集団内に肝細胞を生成することを含む、ことを特徴とする実施形態371に記載の方法。390.自己再生細胞の集団は、アヒル、ガチョウ、鶏、および七面鳥から選択される鳥類の種に由来する、ことを特徴とする実施形態389に記載の方法。391.肝細胞の少なくとも1つの中に脂肪症を誘導する工程を更に含む、実施形態389に記載の方法。392.自己再生細胞の集団は、導入剤での処置後に脂肪症を増強するために少なくとも1つの遺伝子を発現するように修飾された少なくとも1つの細胞を含む、ことを特徴とする実施形態391に記載の方法。393.少なくとも1つの細胞は、ATF4、ZFP423、LPIN1、PPAR、APOC3、APOE、ORL1、PEMT、MTTP、SREBP、STAT3、KLF6、またはそれらの任意の組み合わせをコードする少なくとも1つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含む構築物を使用して、安定して形質転換される、ことを特徴とする実施形態392に記載の方法。394.脂肪症を誘導する工程は、少なくとも栄養剤を含む培養培地において肝細胞をインキュベートすることを含む、こと実施形態389乃至393の何れか1つに記載の方法。395.少なくとも1つの栄養剤は、多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、またはそれらの組み合わせを含む、ことを特徴とする実施形態394に記載の方法。396.少なくとも1つの栄養剤は、パルミチン酸、オレイン酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、またはそれらの組み合わせを含む、ことを特徴とする実施形態394に記載の方法。397.培養組織は、タコ、ヤリイカ、またはコウイカの筋細胞を含む、ことを特徴とする実施形態371乃至376の何れか1つに記載の方法。398.培養組織は魚類の筋組織を含む、ことを特徴とする実施形態371乃至376の何れか1つに記載の方法。399.自己再生細胞の集団は、スズキ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、またはマスに由来する、ことを特徴とする実施形態398に記載の方法。400.魚類の筋組織は、ヒトによる消費のために培養組織を処理する間に、別個に培養された魚類の脂肪組織と組み合わされる、ことを特徴とする実施形態398に記載の方法。401.細胞の集団は非血清培地製剤を使用して培養される、ことを特徴とする実施形態371に記載の方法。402.非血清培地製剤はキノコ抽出物または大豆水解物を含む、ことを特徴とする実施形態401に記載の方法。403.実施形態371乃至402の何れか1つに記載の方法に従い生成された培養組織を含む、ヒトによる消費のための培養食品。404.培養食品は、培養組織が病原体のない環境、毒素のない環境、動物に強制給餌を行わない環境、またはそれらの任意の組み合わせで生産されたことを示すラベルを有するパッケージを含む、ことを特徴とする実施形態403に記載の培養食品。405.培養された組織は、培養食品を形成するために複数の切片へと処理され、且つ包装される、ことを特徴とする実施形態403に記載の培養食品。406.ヒトによる消費のために培養組織を生産する方法であって、該方法は、a)自己再生細胞の集団を得る工程;b)自己再生細胞の集団を培養する工程;c)培養組織を形成するために自己再生細胞の集団に分化を誘導する工程;およびd)ヒトによる消費のために培養組織を処理する工程、を含む方法。407.自己再生細胞の集団を得る工程は、バイオリアクターにおいて二次元接着性培養物から三次元培養物へと細胞の集団を移行させることを含む、ことを特徴とする実施形態406に記載の方法。408.自己再生細胞の集団は不死化にされた分化細胞を含む、ことを特徴とする実施形態406に記載の方法。409.自己再生細胞の集団に分化を誘導する工程は、集団中の細胞の筋細胞、脂肪細胞、またはそれらの組み合わせへの分化転換を誘導することを含む、ことを特徴とする実施形態406乃至408の何れか1つに記載の方法。410.培養する工程は、三次元マイクロスキャフォールド上で自己再生細胞の集団を播種することを含む、ことを特徴とする実施形態406に記載の方法。411.三次元マイクロスキャフォールドは、細胞の増殖、接着、分化、またはそれらの組み合わせを促進する、ことを特徴とする実施形態410に記載の方法。412.三次元マイクロスキャフォールドは、細胞の増殖、接着、分化、またはそれらの組み合わせを促進する少なくとも1つの因子に抱合される、ことを特徴とする実施形態410に記載の方法。413.マイクロスキャフォールドは、ヒドロゲル、キトサン、ポリエチレンテレフタレート、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸、ラミニン、フィブロネクチン、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、リグニン、アルギン酸塩、グルコマンナン、ポリカプロラクトン(PCL)、テクスチャ植物タンパク質(TVP)、テクスチャード大豆タンパク質(TSP)、およびアクリル酸塩のうち少なくとも1つを含む、ことを特徴とする実施形態410乃至412のいずれか1つに記載の方法。414.自己再生細胞の集団は、誘導性分化を受けるために修飾された少なくとも1つの細胞を含む、ことを特徴とする実施形態406乃至413の何れか1つに記載の方法。415.少なくとも1つの細胞は、少なくとも1つの多能性遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む第1の遺伝子構築物;および少なくとも1つの多能性遺伝子を不活性化するように構成された調節因子のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む第2の遺伝子構築物を組み込むように修飾されている、ことを特徴とする実施形態414に記載の方法。416.自己再生細胞の集団は、培養中に少なくとも50の細胞分裂を受ける少なくとも1つの細胞を含む、ことを特徴とする実施形態415に記載の方法。417.調節因子はレコンビナーゼであり、少なくとも1つの多能性遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)は、レコンビナーゼの発現が少なくとも1つの多能性遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の切除を触媒するように、レコンビナーゼによって認識された組み換え配列と隣接している、ことを特徴とする実施形態415に記載の方法。418.第2の遺伝子構築物は、肝細胞核因子1アルファ(HNF1A)、Forkhead Box A2(FOXA2)、および肝細胞核因子4アルファ(HNF4A)から選択される少なくとも1つの肝細胞分化因子のORFを含む、ことを特徴とする実施形態415に記載の方法。419.第2の遺伝子構築物は、Myogenin(MyoG)、Myogenic Differentiation 1(MyoD)、Myogenic Factor 6(MRF4)、およびMyogenic Factor 5(MYF5)から選択される少なくとも1つの筋原性因子を含む、ことを特徴とする実施形態415に記載の方法。420.第2の遺伝子構築物は、脂肪酸結合タンパク質4(FABP4)、インスリン反応性グルコーストランスポーター4型(GLUT4)、アディポネクチン、C1Q、およびコラーゲンドメイン含有(ADIPOQ)、1-アシルグリセロール-3-リン酸塩O-アシルトランスフェラーゼ2(AGPAT2)、ペリリピン1(PLIN1)、レプチン(LEP)、およびリポプロテインリパーゼ(LPL)から選択される少なくとも1つの脂肪生成因子を含む、ことを特徴とする実施形態415に記載の方法。421.第2の遺伝子構築物は更に、a)少なくとも1つの分化遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF);およびb)i)少なくとも1つの分化遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)とii)調節因子のオープンリーディングフレーム(ORF)の発現を制御する誘導性プロモーターを含む、ことを特徴とする実施形態415に記載の方法。422.分化を誘導する工程は、少なくとも1つの細胞系統遺伝子のORFおよび調節因子のORFの発現を誘導するために少なくとも1つの細胞を誘導剤に晒すことを含む、ことを特徴とする実施形態421に記載の方法。423.自己再生細胞の集団が導入剤で処置された後、および、工程d)でヒトによる消費のために処理される前に、誘導剤を除去することを更に含む、実施形態421に記載の方法。424.分化を誘導する工程は、自己再生細胞の集団内に筋管を生成することを含む、ことを特徴とする実施形態406に記載の方法。425.分化を誘導する工程は、自己再生細胞の集団内に脂肪細胞を生成することを更に含む、ことを特徴とする実施形態424に方法。426.自己再生細胞の集団は、工程c)の間に筋細胞および脂肪細胞へと分化することを誘導される分化多能性細胞を含む、ことを特徴とする実施形態406乃至425の何れか1つに記載の方法。427.分化多能性細胞は、筋衛星細胞の第1の部
分母集団および脂肪前駆細胞の第2の部分母集団を含む、ことを特徴とする実施形態426に記載の方法。428.分化を誘導する工程は、自己再生細胞の集団内に肝細胞を生成することを含む、ことを特徴とする実施形態406に記載の方法。429.自己再生細胞の集団は、アヒル、ガチョウ、鶏、および七面鳥から選択される鳥類の種に由来する、ことを特徴とする実施形態428に記載の方法。430.肝細胞の少なくとも1つの中に脂肪症を誘導する工程を更に含む、実施形態429に記載の方法。431.自己再生細胞の集団は、導入剤での処置後に脂肪症を増強するために少なくとも1つの遺伝子を発現するように修飾された少なくとも1つの細胞を含む、ことを特徴とする実施形態430に記載の方法。432.少なくとも1つの細胞は、ATF4、ZFP423、LPIN1、PPAR、APOC3、APOE、ORL1、PEMT、MTTP、SREBP、STAT3、またはKLF6をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む構築物を使用して安定して形質転換される、ことを特徴とする実施形態431に記載の方法。433.脂肪症を誘導する工程は、少なくとも栄養剤を含む培養培地において肝細胞をインキュベートすることを含む、こと実施形態430乃至432の何れか1つに記載の方法。434.少なくとも1つの栄養剤は、多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、またはそれらの組み合わせを含む、ことを特徴とする実施形態433に記載の方法。435.少なくとも1つの栄養剤は、パルミチン酸、オレイン酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、またはそれらの組み合わせを含む、ことを特徴とする実施形態433または434に記載の方法。436.培養組織は、タコ、ヤリイカ、またはコウイカの筋細胞を含む、ことを特徴とする実施形態406乃至427の何れか1つに記載の方法。437.培養組織は魚類の筋組織を含む、ことを特徴とする実施形態406乃至427の何れか1つに記載の方法。438.自己再生細胞の集団は、スズキ、マグロ、サバ、ニシクロカジキ、メカジキ、ブリ、サケ、またはマスに由来する、ことを特徴とする実施形態406乃至427の何れか1つに記載の方法。439.魚類の筋組織は工程d)の間に別個に培養された魚類の脂肪組織と組み合わせられる、ことを特徴とする実施形態437に記載の方法。440.細胞の集団は非血清培地製剤を使用して培養される、ことを特徴とする実施形態406乃至439の何れか1つに記載の方法。441.非血清培地製剤はキノコ抽出物または大豆水解物を含む、ことを特徴とする実施形態406乃至440の何れか1つに記載の方法。442.実施形態406乃至441の何れか1つに記載の方法に従い生成された培養組織を含む、ヒトによる消費のための培養食品。443.培養食品は、培養組織が病原体のない環境、毒素のない環境、動物に強制給餌を行わない環境、またはそれらの任意の組み合わせで生産されたことを示すラベルを有するパッケージを含む、ことを特徴とする実施形態442に記載の培養食品。444.培養された組織は、培養食品を形成するために複数の切片へと処理され、且つ包装される、ことを特徴とする実施形態442または443に記載の培養食品。
【実施例0176】
以下の例示的な実施例は、本明細書に記載されるシステム、方法、および組成物の実施形態を表すものであり、いかなる方法でも限定されるものではない。
【0177】
実施例1-胚性幹細胞を使用して生産された培養魚肉
【0178】
胚性幹細胞をサケの胚から単離する。最初に、最適化された培地基質および培地製剤を使用して胚性幹細胞を培養し、持続的な細胞増殖および脱分化状態の維持を達成した。培地製剤は合成無血清培地を利用する。細胞を病原体のない細胞培養系で培養する。次に、胚性幹細胞を筋衛星細胞および脂肪前駆細胞へと分化するために誘導する。筋衛星細胞および脂肪前駆細胞を培養し、望ましい質量の細胞へと拡大する。次に、筋衛星細胞および脂肪前駆細胞を筋細胞および脂肪細胞へと分化し、その後に採取し、遠心分離および圧縮によって処理して、魚肉の質感および堅さを生成する。
【0179】
実施例2-人工多能性幹細胞を使用して生産された培養魚肉
【0180】
魚類の線維芽細胞をサケから単離する。エピソーム再プログラミング戦略を利用して、古典的なウイルス再プログラミング技術を使用することなく単離された魚類の線維芽細胞から人工多能性幹細胞を作成する。最初に、最適化された培地基質および培地製剤を使用して人工多能性幹細胞を培養し、持続的な細胞増殖および脱分化状態の維持を達成した。培地製剤は合成無血清培地を利用する。細胞を病原体のない細胞培養系で培養する。次に、iPS細胞を細胞の望ましい質量へと拡大し、その後、筋細胞および脂肪細胞への分化を誘導した。最後に、筋細胞および脂肪細胞を採取し、遠心分離および圧縮によって処理して、魚肉の質感および堅さを生成する。
【0181】
実施例3-直接細胞再プログラミングを使用して生産された培養魚肉
【0182】
魚類の線維芽細胞をサケから単離する。連続的な自己再生(例えば、不死化)のための能力を持つ細胞株が選択されるまで、線維芽細胞を連続的に継代する。不死化された線維芽細胞を培養液において望ましい質量に成長させ、その後、分化転換させた。選択遺伝子の過剰発現を使用する再プログラミング戦略を利用して、中間体多能性細胞型を作成することなく筋細胞および脂肪細胞へと線維芽細胞を直接再プログラミングする。従って、分化転換により、不死化線維芽細胞が、幹細胞の使用を必用とすることなく望ましい細胞型へと変換されることが可能となる。
【0183】
実施例4-合成食品を培養するためのマイクロスキャフォールディングシステム
【0184】
接着肝細胞の取り付けと成長を可能にして懸濁液中で成長可能な小細胞構造を生成するマイクロスキャフォールドを含有するバイオリアクターを使用する、実施例1-6に記載される技術の何れかを使用して、細胞を培養する。マイクロスキャフォールドは、培養肝細胞構造が最終的にこれ以上スキャフォールディング材料を残さないように経時的に生物分解する生体適合性材料で構成される。肝細胞構造を続いて処理し、フォアグラを生産する。
【0185】
実施例5-合成食品を培養するための3Dスキャフォールディングシステム
【0186】
接着肝細胞の成長を誘導して従来の鳥類の肝臓のサイズおよび形状に近い細胞構造を生成する3Dスキャフォールドを使用する、実施例1-6に記載される技術の何れかを使用して、細胞を培養する。3Dスキャフォールドは、完成したフォアグラ製品がこれ以上スキャフォールディング材料を残さないように経時的に生物分解するアルギン酸塩などの生体適合性材料で構成される。その結果、肝細胞は遠心分離および処理を必要とすることなく従来の鳥類の肝臓近くにまで成長し、これにより所望の質感および堅さを持つフォアグラを生成する。
【0187】
実施例6-従来技術を使用して生産したフォアグラ
【0188】
ガチョウの雛を育て、生命の最初の4週間を摂食と成長に費やす。その後、雛をケージに移し、更に4週間かけて高タンパクで高デンプンの食餌を給餌した。約8~10週間で、胃管栄養により雛を強制的に給餌し、ここで、日常的に栄養管を使用して2~4ポンドの穀物および脂肪を鳥の喉に無理やり飲み込ませる。過剰な食物消費により、鳥の肝臓は、肝臓が通常の10倍以上に拡大する脂肪症を受ける。このプロセス中に、密集し且つ不健康な条件で様々な病原体に鳥を晒す。最後に、ガチョウを屠殺し、肝臓を採取してフォアグラとして販売する。
【0189】
実施例7-胚性幹細胞を使用して生産した、寿司に使用できる品質等級のサケ
【0190】
胚性幹細胞をサケの胚から単離する。最初に、最適化された培地基質および培地製剤を使用して胚性幹細胞を培養し、持続的な細胞増殖および脱分化状態の維持を達成した。培地製剤は合成無血清培地を利用する。毒素、または、多くの場合魚肉に見つかる水銀などの重金属への曝露なしに、病原体のない細胞培養系において細胞を培養する。次に、胚性幹細胞の別個の集団に、それぞれ筋細胞および脂肪細胞への分化を誘導する。この場合、筋細胞を分化すると、所望の比率で約80%の速筋繊維と約20%の緩徐筋繊維がもたらされる。筋細胞および脂肪細胞を培養し、望ましい質量の細胞へと拡大する。その後、筋細胞および脂肪細胞を採取し、遠心分離および圧縮により処理して、従来の寿司に使用できる品質等級のサケ、あるいは代替的にすり身状のサケの質感および堅さを生成する。
【0191】
実施例8-寿司に使用できる品質等級のサケ
【0192】
脂肪前駆細胞および衛星細胞をサケの小魚から単離し、続いて、細胞培養液において別個の細胞株として特徴づけ且つ培養する。最適化した培地製剤を使用して各細胞株を培養して、細胞株を懸濁培養液に適応させる。その後、脂肪細胞および筋細胞の分化を、脂肪前駆細胞および衛星細胞の株においてそれぞれ誘導させる。次に、細胞株を最適な比率で共培養して、筋細胞と脂肪細胞との所望の最終比率をもたらす。培地製剤は、ウシ胎仔血清を置き換えるキノコ由来抽出物を含む合成無血清培地を利用する。毒素、または、多くの場合魚肉に見つかる水銀などの重金属への曝露なしに、病原体のない細胞培養系において細胞を培養する。培養培地にオレイン酸などの高濃度の遊離脂肪酸を補足し、それにより脂肪細胞の取り込みを誘導して、過剰量の細胞外脂肪酸を蓄えさせる。その後、共培養した筋細胞および脂肪細胞を採取し、遠心分離および圧縮によって処理して、サケのすり身の質感および堅さを生成する。
【0193】
実施例9-サケ幹細胞(脂肪前駆細胞、および筋衛星細胞)の単離および培養
【0194】
魚類の筋細胞および脂肪細胞を、初期の発達段階中の内因的な再生能に基づいた魚関連の食糧の開発のために対象とした。筋細胞、脂肪細胞、肝細胞、線維芽細胞、および未分化の分化多能性細胞系統を含む、エクスビボの関連するサケ組織の培養を特徴づけ且つ最適化する。最初に、マスの脂肪前駆細胞および筋衛星細胞(筋細胞へと分化可能)を単離し、培養し、特徴づける。マスの筋衛星細胞を単離し、その後、
図5A-5Dに示されるように特徴づけた。存在する場合、挿入図は画像を詳細に拡大し、スケールバーは全ての顕微鏡写真において10μmに等しい。魚の筋衛星細胞の実質的に純粋な集団を成功裡に単離して
図5に示し、そこでは筋衛星細胞が単離細胞の約80%を占めている。次に、これら細胞を関連転写のマーカーで特徴づけた。
図5Bは、これら単離細胞に発現されるホールマーク(hallmark)遺伝子(Mstn1a,Myf5)の存在を確かにする、RT-PCR結果を示す。次に、培養条件をこれらの細胞株に対して最適化した。培養培地プロトコルを使用して、筋衛星細胞の成熟筋細胞への分化が成功した(
図5C)。筋衛星細胞から分化された筋管のシートを
図5Dに示す。脂肪前駆細胞も脂肪細胞へと分化された。
【0195】
加えて、サケ筋衛星細胞(矢じり)を、
図6Aに示されるような筋肉および脂肪細胞または組織の両方を含む食品を生産するためにサケ脂肪前駆細胞(矢印)と共培養した(スケールバーは100μmである)。
図6Bに示されるように、脂肪前駆細胞は脂肪細胞へと分化され、筋衛星細胞は筋細胞(矢じり)へと分化された(スケールバーは10μmである)。
【0196】
実施例10-エピソーム再プログラミングを使用する人工多能性幹細胞のデノボ作成
【0197】
多能性幹細胞を、細胞系統への関与の欠如に基づき且つ誘導性分化に関して高い多様性を備えている、培養食糧の開発のために対象とする。例えば、筋細胞、脂肪細胞、線維芽細胞、および他の組織構成要素を、多能性幹細胞の単一のプールから作成することができる。
【0198】
人工多能性幹細胞(iPSC)を、エピソーム(非統合)再プログラミングを使用して生成する。iPSCは、マウスの胚線維芽細胞(MEF)フィーダー細胞の単層上で成長するコロニーを形成する。その後、これら細胞を、多能性マーカー、増殖能、および分化の効率に対して特徴づける。更に、培養条件を、コスト、大規模合成、およびゲノム/表現型の安定性の維持に関して、生成された細胞株に対して最適化する。
【0199】
実施例11-懸濁培養への幹細胞適応
【0200】
幹細胞ベースの食肉生産は、代替的な細胞農業方法を上回る複数の利点を有するアプローチを表わす。最初に、多能性幹細胞の使用は、前者の複製の可能性が不明確であることから、従来の筋衛星培養より好ましく;この特性は、生産プロセス中に動物から筋生検を繰り返し獲得する必要性をなくす。次に、多能性幹細胞は通常、細胞周期遺伝子ネットワークまたは他の関連突然変異において摂動を包含していないことから、特徴づけされた不死化細胞株よりも好ましい。最後に、細胞株の遺伝学的および表現型の特徴は培養物中で経時的に変化するが、確立された分化プロトコルを伴う多能性幹細胞の使用は、最終生産物の再現性を確かなものにする。しかし、幹細胞ベースの食肉生産の1つの障害は、幹細胞が通常、フィーダー細胞株上の二次元培養において成長されるということである。食肉生産のために三次元懸濁培養に幹細胞を成功裡に適応させることで、細胞培養のための資源コストが劇的に減少することになる。
【0201】
細胞の二次元懸濁培養(例えば細胞培養皿)から三次元懸濁培養への移行を実行し、最適化して、培養食糧生産をスケールアップする方法を検証する。三次元懸濁培養は、より効率的な成長培地の利用と共に大量の生体物質を大幅に成長させる機会を提示することから、食糧生産のためのスケーリングの第1段階を表わす。
【0202】
懸濁培養における人工多能性幹細胞(iPSC)の成長を、胚様体(EB)の作成によって促進し、胚様体は、プレート上で取り付け表面の代わりに互いに接着する幹細胞の集まりである。大半の哺乳動物細胞のように、胚性幹細胞は細胞外接着点からのシグナルを必要とし、それらを成長のEBモードに順応させるプロセスは多くの場合、結果として高い割合の細胞死亡率および実験変動性をもたらす。プロトコルを洗練させて、懸濁培養における成長に幹細胞を確実に順応させ、且つ、多能性の増殖および維持に最適な培養条件を確立する。1つのそのような方法は「懸滴」技術であり、これにより、細胞は培地の小滴内で成長し、結果として、後に三次元培養条件に順応されるスフェロイドの自発的形成をもたらす。
【0203】
細胞を72時間「懸滴」として培地で成長させ、胚様体を形成する。その後、胚様体をスピナーフラスコに移し、三次元懸濁培養において成長させて、細胞生成のスケールアップを可能にする。
【0204】
次に、せん断応力/層流の異なる条件下で増殖動態を評価する。
【0205】
最後に、人工多能性幹細胞を三次元細胞培養で分化する。
【0206】
実施例12-懸濁培養への不死化細胞株の適応
【0207】
成体のアヒル肝細胞由来の不死化細胞株を、培養肝細胞を連続的に継代し且つ最高速度で増殖したコロニーを選択することによって生成した。その後、不死化細胞株は72時間にわたり「懸滴」として培地において成長し(
図22A)、その後、スフェロイドの形成が明らかになった。
図22Aおよび22Bに示されるように、その後、スフェロイドをスピナーフラスコに移し、三次元懸濁培養において成長させて、細胞生成のスケールアップを可能とした。
【0208】
次に、せん断応力/層流の異なる条件下で増殖動態を評価する。
【0209】
最後に、不死化アヒル肝細胞を三次元細胞培養で分化する。
【0210】
実施例13-マイクロスキャフォールド技術を使用する細胞懸濁培養および分化への細胞適応
【0211】
分化多能性幹細胞(例えば筋衛星細胞または脂肪前駆細胞)の場合、三次元懸濁培養への移行を、マイクロスキャフォールド(マイクロキャリアとしても知られる)の開発によって促進させた。これらの分子は、取り付けの中心を提示し、三次元剪断力の状況下で生存を促進し、増殖および分化の両方を刺激する。
【0212】
新規なマイクロスキャフォールドを開発することで、三次元細胞培養の根本的な問題を解消して、栄養素および他の保護因子が、成長する組織の奥深くにある細胞が細胞培養培地と直接接触しないときにこれら細胞にアクセス可能であることを確かなものにした。マイクロスキャフォールドは、インテグリン、および細胞外環境に見出される他の細胞外感知膜貫通タンパク質を会合させることにより細胞の増殖能を増強するという付加価値をもたらした。最後に、これらマイクロスキャフォールドを操作して、生成物の味および質感を決定する味覚特性および構造的特性に寄与させる。
【0213】
グルコマンナン(コンニャク由来の水溶性多糖類)を、低価格で、豊富で、中性の味を呈し(neutral-tasting)、且つ部分的に可溶性の多糖に対する最初のスクリーニング後に同定した。グルコマンナンは、比較的中性の味特性を有しており、一方で使用される濃度は、最終生産物の伸長可能な弾性に影響を及ぼすために使用され得る。次に、マイクロスキャフォールドを、グルコマンナンを使用して生成し、様々な製剤で試験して、分化されたアヒルおよび魚の細胞増殖を促進させた。
図23Aは、グルコマンナンマイクロスキャフォールド(10% w/v)上で成長した魚類の筋衛星細胞を示す。これら筋衛星細胞は、マイクロスキャフォールド上で筋細胞へと分化する能力について評価された。単離および平板培養の5日後、筋衛星細胞は筋細胞へと分化し、標準の二次元条件(例えば、グルコマンナンマイクロスキャフォールドを含まないプラスチック培養皿)によりも容易に三次元筋管を形成することができた。二次元培養と三次元培養は共に細胞増殖の改善を実証し、三次元筋管形成の増強は筋衛星細胞の場合に観察された。
図23Bは、分化前に同一の細胞培養条件で成長される同じ調製物からの筋衛星細胞の負の調節を示す。
【0214】
次に、食肉生産のために使用されるグルコマンナンベースのゲルを、耐熱性および伸長可能な弾性に対して特徴づける。
図24Aは、グルコマンナンマイクロスキャフォールド(矢印)上で成長されるアヒルの線維芽細胞(矢じり)を示す。
図24Bは代表的なグルコマンナンマイクロスキャフォールドを示す。故に、アヒル線維芽細胞はグルコマンナンマイクロスキャフォールドに成功裡に取り付き且つ成長しることができ、このことは、(例えば線維芽細胞の肝細胞への分化後に)例えば肝臓などのより大きな3D構造を生成する可能性を実証している。
【0215】
実施例14-細胞培養培地の最適化
【0216】
細胞培養培地(例えば分化細胞培地)を、細胞の生存率および増殖能を支持し続ける血清中濃度の減少に対して最適化した。
図17は、大豆水解物(10g/l)の存在下で、濃度が次第に減少するウシ胎仔血清(FBS)において培養された不死化肝細胞の数を示す。肝細胞の数およびFBSのパーセンテージを経時的にグラフ化し、幹細胞は増大し続けているが、血清中濃度は20日までに10%から0.8%へと徐々に低下する。大豆水解物の培地補足は、培養細胞の血清要件が92%減少されることを可能にした。
【0217】
細胞培養培地を、血清への動物質を含まない代替物の供給を介して改善且つ最適化して、生産から動物由来の構成成分を減少および/または排除する。アヒル線維芽細胞は、細胞培養培地からのウシ胎仔血清の連続的な減少の後に10%のシイタケ抽出物において成功裡に成長した(
図18)。無血清基礎8培地で成長したアヒル線維芽細胞(
図19A)を、10%のウシ胎仔血清を補足したDMEMで成長した対照培養物(
図19B)と比較した。
【0218】
実施例15-サケ肉製品
【0219】
以下の構成要素を使用して、サケ肉製品の原型に対して1グラムの細胞量を作成した:50mlのウシ胎仔血清(FBS)、500mlのダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、ピルビン酸塩および非必須アミノ酸などの追加の補足物、ピペットおよび培養皿、および約4時間の労働時間。三次元培養物への移行の成功は、毎日の細胞培養培地および細胞培養皿の変更の必要の排除、およびピペット使用の減少を介して労働時間を半分に削減し、その結果、細胞量を成長させるのに必要とされる資源が比較的減少した。このことは、1ポンドごとの価格においておよそ50%の減額に相当した。加えて、実施例17に記載されるような植物ベースの培地(例えば、大豆および/または綿の実の水解物の補足物)の移行は更に、1ポンドごとの資源コストおよび価格を20%削減した。
【0220】
実施例16-マイクロスキャフォールド(マイクロキャリア)の最適化
【0221】
細胞増殖の促進、表現型の維持、および風味と根本的な調理特性の保存に関してより広範な試験を行うために寒天、アルギン酸塩、および長鎖中性電荷多糖誘導体などの様々な自然発生の基質を使用して、マイクロスキャフォールドを生成する。例えば、グルコマンナンおよび他の糖類は、化学反応(例えば、定めたpHでの加熱および冷却)により溶解し、あるいは重合され得る。他のマイクロスキャフォールドを、溶液に溶解させるまたは重合させることにより生成し、その後、小片へと分解することができる。マイクロスキャフォールドは一般的に、不規則に形成され、且つ、(多孔性でありおよび細胞が中で成長するのを可能にするマクロスキャフォールドとは対照的に)少数の細胞に対する取り付けの点として役立つ。
【0222】
細胞接着の構成要素として機能することに加えて、細胞外マトリックスタンパク質(例えばラミニン、ビトロネクチン、その他)は更に、幹細胞の分化を阻害する。従って、組み換え細胞外マトリックスタンパク質を含むマイクロスキャフォールド構造が開発される。そのようなマイクロスキャフォールドハイブリッド(多糖+マトリックスタンパク質)は、細胞接着および増殖を促進する二重の目的を果たすことができ、一方で自発的且つ早熟の分化を自発的に阻害することができる。予備的研究は、これら操作されたマイクロスキャフォールドが、細胞増殖および遺伝子型安定性の維持に関して有意な利益を提示することを示している。これらマイクロスキャフォールドは、結果として生じる食品の採取前にこれら材料を抽出する必要性なくす。細胞伝播中に生体吸収(bioresorbtion)を可能にする材料を使用して生成することができる。
【0223】
マイクロスキャフォールドを更に操作して、マイクロスキャフォールド機能の増強のためにタンパク質成長因子、プロテオグリカン、および脂質を組み込む。これらハイブリッド粒子/マイクロスキャフォールドは、所望の細胞表現型の増殖の増強および維持の拡大に向けて細胞内シグナル伝達を調節することができる。様々な発現系を、最適収量および費用-効果に関して試験する。
【0224】
従って、多糖/タンパク質成長因子/細胞外マトリックスタンパク質で構成されるハイブリッドマイクロスキャフォールドが生成され、特徴づけられる。加えて、封入された脂質を、三次元細胞培養物内に組み込む。これらマイクロスキャフォールドの幾つかは、細胞外マトリックス構成要素、タンパク質成長因子、および封入された脂肪酸と共に上記されるような中性電荷の長鎖の多糖を使用する。これらの設計最適化に特異的な測定基準は、培養中の細胞の増殖能および速度、ゲノムの安定性(特に、テロメラーゼ発現/細胞老化に適用される場合)、分化の効率、および形態の堅さを含む。
【0225】
最後に、マイクロスキャフォールドを最適化して味および質感を洗練させる。従来の肉と同様に、最終生産物の構造的/感触的な特性の多くは、細胞外構成要素の組成および物理化学に起因し得る。繊維質および結合組織、接着性タンパク質、およびこれら全ての構成要素の基礎的な構造的配置は、弾性、破砕特徴、耐熱性、および味などの特性を決定することができる。本明細書に記載される方法を使用して生成された培養組織は、これら特徴および構成成分の1つ以上を組み込んで、それらの従来の相当物と構造的に識別不可能な肉をもたらすことができる。更に、質量分析法による従来のおよびエクスビボの肉の化学的なプロファイリングを行い、その生成物の組成および味を更に洗練させる。追加の開発を以下に従って行う:
【0226】
i.多糖および細胞外マトリックスタンパク質からなるマイクロスキャフォールドハイブリッドの特徴づけ
【0227】
多糖/タンパク質の固定化のための化学合成方法を洗練させる。
【0228】
三次元培養におけるタンパク質の生物活性および安定性を特徴づける。
【0229】
ii.マイクロスキャフォールド増殖:すなわち、増殖能、増殖の速度、形態の測定基準、および分化の効率に関する機能的な細胞のアッセイの確立
【0230】
多糖/タンパク質成長因子/細胞外マトリックスタンパク質のハイブリッドマイクロスキャフォールドを合成する。
【0231】
記載された中性電荷多糖バックボーン上へと組み換え型タンパク質成長因子を効率的に固定する。
【0232】
関連する細胞内シグナル伝達経路、増殖能および速度、細胞形態学、および遺伝子プロファイルの分析(トランスクリプトーム分析)を含む、これらハイブリッドマイクロスキャフォールド上で増殖の細胞応答を定量する。
【0233】
iii.三次元細胞培養内に封入された脂質の組み込み
【0234】
封入された脂質微粒子の効率的生成(脂質種は、不飽和脂肪酸、ポリ不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、ω-3脂肪酸などを含み得る)。
【0235】
結果として生じる細胞応答の定量化により、記載された多糖/タンパク質のハイブリッドマイクロスキャフォールドへと取り込む(関連する細胞内シグナル伝達、増殖能および速度、細胞形態学、およびトランスクリプトーム分析を含む、機能的アッセイ)。
【0236】
iv.味/質感の洗練
【0237】
魚の細胞株に対して最小の生存可能な生成物を開発するために最終生産調製物を洗練させる。
【0238】
魚の脂肪細胞に対して脂質酸化を制御するためのプロトコルを最適化する。
【0239】
味、質感、および外観に対する上流製品開発決定(upstream product development decision)の各々の影響を分離するように制御された味試験を進行させる。
【0240】
各最終生産物に対する増殖培地製剤、スキャフォールド選択、および脂質添加を最適化する。
【0241】
実施例17-低コストで動物成分を含まない培養培地の特徴づけおよび最適化
【0242】
ウシ胎仔血清(FBS)は、細胞農業の生産コストに最初に最も大きく寄与したものである。しかし、FBSは、その構成要素に関して十分に定められておらず、ロット間で堅さはなく、採取のために動物ソースに依存するものである。従って、本明細書には、1)動物血清を含まず、2)完全に画定され、3)大規模生産のための費用対効果が高く、および4)食糧生産に適切な、新規の種特異的および細胞特異的な培地製剤が記載される。
【0243】
幹細胞のための培地
【0244】
幹細胞増殖を促進し且つ幹細胞の分化を阻害する、無血清製剤が生成される。そのような定義された培地製剤は、魚類の幹細胞に対して最適化され、且つ、植物由来補足物などの動物室を含まない構成成分を使用することができる。これら製剤を様々な成長因子に関して最適化することで、幹細胞増殖を促進し且つ培養物中での自発的な分化を阻害する。
【0245】
1つのアプローチは、画定された培地製剤の組織内再構成である。このアプローチの一例は、公開されたEssential 8(商標)培地の製剤であり、このために、8つの基本成分(組み換えタンパク質を含む)が別個に供給され、大規模幹細胞増殖を支持することができる。これらの8つの構成成分のうち、4つの片(組み換えトランスフェリン、TGF-β、インスリン、およびFGF2)は、組み換え型タンパク質発現および精製に関連するコストのため、他のもの(基本培地、アスコルビン酸、セレン、および炭酸水素ナトリウム)よりも圧倒的に重い。幹細胞培養のための既存の培地における追加の必要な構成成分は、これら培養系のコストに加えて、同様に発現され且つ精製されねばならない細胞外マトリックスタンパク質(ラミニンなど)である。
【0246】
培養肉製品の生産のための様々なアプローチは、調整培地システム(以下に詳述)の組織内培地再構成(以下に詳述)および開発と共に、構成成分の組み換え発現を含むことができる。
【0247】
組み換え型タンパク質発現
【0248】
組み換え型タンパク質を発現し、精製し、その後、細胞成長および増殖を支援且つ促進する能力に対して評価される培地製剤へと組み込む。発現系は藻類、細菌、酵母菌、昆虫、および哺乳動物の細胞培養物を含む。個々のタンパク質の発現および精製は最初に高いコストで実行されるが、このプロセスにより、細胞培養におけるタンパク質濃度の滴定に関する精密さのより高度なレベルが可能となる。そのような精密さは、必要な細胞培養構成成分を画定するプロセスを補助する。ペプチドおよびタンパク質のスクリーンを進行させて、各樹立細胞株における細胞培養構成成分の最適化を補助する。
【0249】
調整培地
【0250】
細胞株が他の細胞の生存および増殖を促進する成長因子を分泌する能力は、中心原理の基礎的な調整培地または共培養系である。特定の細胞株を、肉の大規模生産に必要な特定の成長因子を有する培地を調整する能力に対して評価する。特に、肝細胞増殖因子(HGF)、繊維芽細胞成長因子-2(FGF2)および白血病抑制因子(LIF)などの因子を過剰発現する細胞株は、これらタンパク質の組み換え形態の発現および精製にわたりコスト効率を改善することができる。
【0251】
様々な開発経路が、培養肉製品の作成に向かって並行して追求される。ミンチ状のサケの場合、前駆細胞(筋衛星細胞および脂肪前駆細胞)が、サケ食肉生産のための最適な方法を確立するために、一体的に且つ別個に、筋細胞および脂肪細胞へと高分化される。加えて、安定した細胞培養の促進、および最終製品の感触的な品質の画定における線維芽細胞の役割を評価する研究を行う。
【0252】
低コストで動物成分を含まない培養培地製剤の特徴づけおよび最適化
【0253】
様々なアプローチを洗練且つ最適化して、生産効率を増大しコストを削減することができる。
【0254】
植物ベースの培地の最適化。FBSは、大豆水解物またはキノコ抽出物などの植物由来抽出物を補足した植物ベースの培養培地へと細胞株を徐々に移行させることにより、細胞培養増殖培地から減少され、または排除される(
図17-19を参照)。加えて、特注の製剤、または工業規模の供給業者を通じて利用可能な既製の製品を介して、ピルビン酸塩および非必須アミノ酸などの補足物に対して低コストの植物ベースの代替物を同定するための研究を行う。
【0255】
専用の低コストの培地製剤。植物ベースの培地製剤を更に洗練して、より低コストの製剤へと移ることにより予備混合DMEMの要件を減らす。
【0256】
専用の低コストの培地を更に最適化する。動物質を含まない組み換え型タンパク質(例えばアルブミン、トランスフェリン、インスリン)の高コストのソースから工業量へと移り、植物由来タンパク質成分を価格設定することにより、植物ベースの培地製剤を洗練させる。加えて、ワークフローおよびプロセスオートメーションを改善し続け、必要労働量を減らす。
【0257】
培地構成成分の最終的な最適化。小規模スピニングリールフラスコおよび機械ロッカーシステムから、培地の再使用、より大規模の組織培養、および労働コストの優位な減少を可能にする工業等級のバイオリアクターへと移す。
【0258】
低コストの幹細胞増殖培地の開発のためのアプローチは、以下を含む:
【0259】
幹細胞および分化細胞両方の増殖を支援する成長因子の発現のための調整培地系を作成する。
【0260】
細胞培養構成成分のために組み換え型タンパク質発現を最適化する。
【0261】
ペプチド/タンパク質スクリーンを実施して、細胞増殖速度を改善し、幹細胞の脱分化状態を維持して、終末分化の効率を増大させる。
【0262】
必要な労力を削減するためにワークフローおよびプロセスオートメーションを改善し続ける。
【0263】
実施例18-バイオリアクターを使用する中規模生産への移行
【0264】
バイオリアクターを、三次元培養物の効率的な成長に対して適応させる。このプロセスを、3つの副次的な目的:i)効率的な組織成長のために小規模バイオリアクターを洗練、ii)2軒のレストランに最小の生存可能な生成物を提供するべく中規模バイオリアクターを入手および適応、並びにiii)大規模食肉生産のための経済モデルの下で大規模バイオリアクターの開発を満たすことにより達成する。
【0265】
i.現行の小規模バイオリアクターを洗練
【0266】
効率的なバイオリアクター設計は、(緩衝液などの構成成分の再循環により)培養培地中の廃棄物を最小化し、および、1つの培養培地から別の培養培地(例えば幹細胞増殖培地VS筋細胞分化培地)への途切れのない移行を提供することができる。予備的研究は、長期の細胞スフェロイド増殖を最適化するために、小規模の三次元培養における層流と剪断流を最適化することを要する。これら初期の試験は、(マイクロスキャフォールドの有無に関わらず)魚の異なる分化細胞株中の成長速度を評価する。
【0267】
ii.中規模バイオリアクターの入手および適応
【0268】
約100リットルのバイオリアクター容積を使用して、週に約2ポンドの細胞量を生成する。この容積は5つの20Lロッカーバイオリアクターを介して供給され、これは、4-6数週間の細胞成長時間に基づいて1数週間当たり安定した量で所望の細胞量を供給することができる。代替的に、この容積は、20の5Lバイオリアクターを介して供給される。場合によっては、バイオリアクター(または、細胞の培養、増殖、および/または分化のための使用される他の容器)の容積は、5リットル以下である。
【0269】
市販のバイオリアクターは医薬用途のために構成され、各組織採取のために高価な使い捨て袋の使用を必要とする。これらバイオリアクターをダウンスケーリングして、培養組織生成における長期的な資源効率の増大を可能とするべく不必要な特徴を取り除く。
【0270】
iii.大規模食肉生産のためのモデルを開発
【0271】
大規模バイオリアクター(例えば、使い捨て袋およびステンレス鋼設計)を、大規模エクスビボ食肉生産に対する適切性について評価する。
【0272】
バイオリアクターを使用する中規模生産への移行は、後述の方法に従って達成することができる。
【0273】
a.現行の小規模バイオリアクターを洗練する。
【0274】
最適な培地変化の頻度を評価する。
【0275】
培地の再使用/リサイクルの機会を評価する。
【0276】
採取の時点で最適な密度を同定する。
【0277】
細胞成長(スフェロイドVS個々の細胞)を追跡するための方法を同定する。
【0278】
b.中規模バイオリアクターを入手し適応させる。
【0279】
生成されるキログラム当たりの最適な培地容積を決定する(1:50の比率の仮定を検証)。
【0280】
各細胞株に対して培地変更レジメンを最適化する。
【0281】
様々な細胞培養および温度に最適な流体力学(せん断応力、インペラ式(impeller type)、速度)を評価する。
【0282】
バイオリアクターシステム内の細胞成長の調整培地モデルを統合する。
【0283】
実施例19-培養食品の最適化および洗練
【0284】
生成物の質感、味、および栄養上の組成を洗練させるための更なる作業を実行する。生産効率の増加を、成長培地製剤の継続的な最適化、流体をリサイクルする培地の設計、滅菌した生産廃棄物(例えば、使い捨て可能なプラスチック)の最小化、および生産パイプラインにおける自動化の組み込みによって達成する。
【0285】
実施例20-胚性幹細胞を使用して生産された培養フォアグラ
【0286】
胚性幹細胞を、Eyal-GiladiおよびKochav Stage 10 (EGK-X)の鳥類の胚から単離する。最初に、最適化された培地基質および培地製剤を使用して胚性幹細胞を培養し、持続的な細胞増殖および脱分化状態の維持を達成した。培地製剤は合成無血清培地を利用する。細胞を病原体のない細胞培養系で培養する。次に、胚性幹細胞に肝細胞への分化を誘導する。肝細胞を培養し、望ましい質量の細胞へと拡大する。培養培地にオレイン酸などの高濃度の遊離脂肪酸を補足し、それにより、過剰量の細胞外脂肪酸を取り込み且つ蓄えさせることにより肝細胞に対し脂肪症を誘導する。その後、脂肪性肝細胞を採取し、遠心分離および圧縮により処理して、従来のフォアグラの質感および堅さを生成する。このフォアグラ生成物は、骨格筋の肉の質感を欠いている。更に、フォアグラは実質的に、筋細胞、内皮細胞、および脂肪細胞を含む骨格筋の肉とは異なる肝細胞のみで構成される。完成したフォアグラは堅く、淡色であり、従来のフォアグラに多くの場合見られる静脈または傷の何れかを欠いている。従って、フォアグラは、等級Aの品質を示し、且つ強制的に給餌することなく作られたことを示すラベルと共に販売用に包装される。
【0287】
実施例21-人工多能性幹細胞を使用して生産された培養フォアグラ
【0288】
鳥類の皮膚線維芽細胞をガチョウから単離する。エピソーム再プログラミング戦略を利用して、古典的なウイルス再プログラミング技術を使用することなく単離された皮膚線維芽細胞から人工多能性幹細胞を作成する。最初に、最適化された培地基質および培地製剤を使用して人工多能性幹細胞を培養し、持続的な細胞増殖および脱分化状態の維持を達成した。培地製剤は合成無血清培地を利用する。細胞を病原体のない細胞培養系で培養する。次に、iPS細胞に肝細胞への分化を誘導し、望ましい量の細胞に拡大させる。培養培地にオレイン酸などの高濃度の遊離脂肪酸を補足し、それにより、過剰量の細胞外脂肪酸を取り込み且つ蓄えさせることにより肝細胞に対し脂肪症を誘導する。その後、脂肪性肝細胞を採取し、遠心分離および圧縮により処理して、従来のフォアグラの質感および堅さを生成する。
【0289】
実施例22-直接細胞再プログラミングを使用して生産された培養フォアグラ
【0290】
鳥類の皮膚線維芽細胞をアヒルから単離する。転写因子の過剰発現を使用する再プログラミング戦略を利用して、中間体多能性細胞型を作成することなく肝細胞へと皮膚線維芽細胞を直接再プログラミングする。肝細胞を望ましい量の細胞へと拡大し、および、オレイン酸などの高濃度の遊離脂肪酸を補足した培地中で成長させて、これにより、過剰量の細胞外脂肪酸を取り込み且つ蓄えさせることにより肝細胞に対し脂肪症を誘導する。その後、脂肪性肝細胞を採取し、遠心分離および圧縮により処理して、従来のフォアグラの質感および堅さを生成する。
【0291】
実施例23-不死化成熟肝細胞を使用して生産された培養フォアグラ
【0292】
鳥類の成熟肝細胞をアヒル肝臓から単離する。結果として不死化をもたらす自然突然変異が生じるまで肝細胞を連続的に継代させることにより、SVラージT抗原での形質転換または自発的な肝細胞不死化などの古典的技術を使用して、肝細胞を不死化させる。不死化肝細胞を望ましい量の細胞へと拡大し、および、オレイン酸などの高濃度の遊離脂肪酸を補足した培地中で成長させて、これにより、過剰量の細胞外脂肪酸を取り込み且つ蓄えさせることにより肝細胞に対し脂肪症を誘導する。その後、脂肪性肝細胞を採取し、遠心分離および圧縮により処理して、従来のフォアグラの質感および堅さを生成する。
【0293】
実施例24-新生肝幹細胞を使用して生産された培養フォアグラ
【0294】
肝幹細胞または始原細胞をアヒル肝臓から単離する。最初に、最適化された培地基質および培地製剤を使用して肝幹細胞を培養し、持続的な細胞増殖および多能性状態の維持を達成した。培地製剤は合成無血清培地を利用する。細胞を病原体のない細胞培養系で培養する。次に、肝幹細胞に成熟肝細胞への分化を誘導し、望ましい量の細胞に拡大させる。培養培地にオレイン酸などの高濃度の遊離脂肪酸を補足し、それにより、過剰量の細胞外脂肪酸を取り込み且つ蓄えさせることにより肝細胞に対し脂肪症を誘導する。その後、脂肪性肝細胞を採取し、遠心分離および圧縮により処理して、従来のフォアグラの質感および堅さを生成する。
【0295】
実施例25-フォアグラを生産するために脂肪症を誘導するための培養肝細胞の遺伝学的調節
【0296】
脂質が豊富な培養培地中の肝細胞を培養する工程を脂質代謝に起因する代謝経路を遺伝学的に操作する工程と置き換えることを除いて、実施例1-5に記載される手順の何れかを使用して、肝細胞を得た。この場合、遺伝子操作は結果として、肝細胞の細胞質内の脂質滴の蓄積をもたらし、それにより脂肪症をもたらす。
【0297】
本明細書に記載されるコア技術は、同様の環境上、倫理上、および栄養上の利益の目標に基づいて、マス、マグロ、他の魚介類製品、および鳥類の肉などの様々な肉の生産に適用される。