(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073425
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】フローサイトメトリーを撮像するための装置、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 15/14 20240101AFI20240522BHJP
G01N 15/149 20240101ALI20240522BHJP
G01N 15/1434 20240101ALI20240522BHJP
G01N 15/1429 20240101ALI20240522BHJP
G01N 15/1409 20240101ALI20240522BHJP
G01N 15/1433 20240101ALI20240522BHJP
【FI】
G01N15/14 G
G01N15/149
G01N15/1434 100
G01N15/1429 300
G01N15/1429 200
G01N15/1409 100
G01N15/1433
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024019963
(22)【出願日】2024-02-14
(62)【分割の表示】P 2022191046の分割
【原出願日】2018-03-30
(31)【優先権主張番号】62/479,734
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502221282
【氏名又は名称】ライフ テクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】カドゥチャク グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ワード マイケル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本開示は、比較的高い事象率でフローサイトメトリーを通して粒子分析を実行するため、かつ粒子の高解像度画像を収集するための、装置、システム、および方法を提供する。
【解決手段】方法は、流路の中で粒子を連通させるステップと、前記流路の中の第1位置における前記粒子の第1データを収集するステップと、前記流路の中の第2位置における前記粒子の第2データを収集するステップと、を含み、前記粒子は前記第1位置において第1速度を有し、前記粒子は前記第2位置において第2速度を有し、前記第1速度は前記第2速度と異なる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路の中で粒子を連通させるステップと、
前記流路の中の第1位置における前記粒子の第1データを収集するステップと、
前記流路の中の第2位置における前記粒子の第2データを収集するステップと、
前記粒子が前記第2位置を通り過ぎた後に、前記粒子を選別するステップと、
を含み、
前記粒子は前記第1位置において第1速度を有し、
前記粒子は前記第2位置において第2速度を有し、
前記第1速度は前記第2速度と異なる、
方法。
【請求項2】
前記第1速度は前記第2速度より遅い、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1データを収集するステップ及び前記第2データを収集するステップのうちの一方は、画像を収集するステップである、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記第1データ及び前記第2データのうちの一方は従来型フローデータである、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記従来型フローデータは散乱光又は蛍光のうちの少なくとも一方を含む、
請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記第1データは画像を含む、
請求項3記載の方法。
【請求項7】
前記流路の中で前記粒子を再配置するように外部の場を適用するステップをさらに含む、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項8】
前記粒子の前記第2データを選択的に収集する、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項9】
前記粒子を選別するステップをさらに含む、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項10】
選別された前記粒子を画像化するステップをさらに含む、
請求項9記載の方法。
【請求項11】
未選別の前記粒子の画像を保存することなく、選別された前記粒子の画像を保存するステップをさらに含む、
請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記画像を収集するステップ及び前記粒子を選別するステップは選択的に実行される、
請求項3記載の方法。
【請求項13】
流路であって、前記流路は、その内部の第1位置を画定するとともに、その内部の第2位置を画定し、前記流路は、(a)前記第2位置における断面積と異なる、前記第1位置における断面積を画定するか、又は、(b)前記第1位置と前記第2位置との間に位置する入口を画定し、前記入口は、前記流路へ流体を導入するように、若しくは、前記流路から流体を引き出すように構成されている、流路と、
前記第1位置において粒子から信号を収集するように構成された第1検出器と、
前記第2位置において粒子から信号を収集するように構成された第2検出器と、
前記粒子が前記第2位置を通り過ぎた後に、前記粒子を選別するように構成されている選別モジュールと、
を備える、システム。
【請求項14】
前記第1検出器は撮像装置である、
請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記第1検出器は従来型フローサイトメトリーデータを収集する、
請求項13又は14記載のシステム。
【請求項16】
前記入口を介して前記流路にシース液が導入される、
請求項13又は14記載のシステム。
【請求項17】
選別された前記粒子の画像を収集するように構成された撮像装置をさらに備える、
請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記システムは、
(i)所定の特性を呈する粒子のみを選別するか、
(ii)所定の特性を呈する粒子のみを画像化するか、又は
(i)及び(ii)の両方を行う、
請求項16記載のシステム。
【請求項19】
前記システムは、未選別の前記粒子の画像を保存することなく、選別された前記粒子の画像を保存するように構成されている、
請求項18記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体流中の細胞および他の粒子のための撮像装置、システム、および方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
フローサイトメトリーは、細胞または粒子に、高度に合焦されたレーザービームを通過させ、そこで、統合された蛍光と散乱光とが検出器のバンクによって収集される、高速の粒子分析である。これは、粒子が、システムを通過中、複数のレーザー/検出バンクを通過する、高度に並行した方式で行われるのが一般的である。結果として得られるデータは、表面タンパク質、内部マーカー、粒子形状の大まかな推定などの特性の有無を判定するために使用される。典型的なサイトメーターでは、この分析は毎秒数100~数100,000個の細胞の割合で行われる。
【0003】
できるだけ多くの細胞に関連付けられた光を収集することが望まれるが、動作中は、コインシデンスと呼ばれる状態を回避する必要がある。1つを超える細胞/粒子がレーザービーム中に同時に含まれている場合、コインシデンスが発生する。コインシデンスの割合は、粒子がレーザー中で費やす時間(調査時間)に直接比例する。原則として、調査時間が短いほど、コインシデンスの可能性は低くなる。このため、コインシデンス事象を最小限に抑えるために、通常、非常に低いデューティサイクル(<10%)と数マイクロ秒ほどの短い調査時間とが採用される。
【0004】
しかしながら、マイクロ秒ほどの調査時間は、検出に十分な光子を収集することにおいて困難をもたらす。この問題を克服するために、高出力レーザー、光電子増倍検出器(光電子増倍管(PMT)やアバランシェフォトダイオード(APD)など)、および高速電子機器の組み合わせが採用される。これは、何十年もの間、フローサイトメトリー設計の標準である。これらの非常に短い調査時間は、伝統的フローサイトメトリーのアプローチで行われているように、信号が細胞全体によって生成された統合応答である場合、一般に許容される。しかしながら、このような短い時間は、細胞膜、核、細胞質、および/または細胞小器官の可視化を可能にする様式で細胞を撮像するなど、より高い空間解像度データが必要な場合、問題となる。
【0005】
高分析速度に要求される短い調査時間のため、フローサイトメトリーにおける高解像度撮像は制限されている。細胞全体から統合信号を収集するのとは対照的に、カメラなどの撮像検出器は、ピクセルごとに、ピクセル上の細胞上のはるかに小さな位置からの光を検出する必要がある。単一細胞の高解像度画像を高速で収集することは、各ピクセルで生成される光子数が、統合された光子数よりもはるかに少ないため、困難である。このため、フローサイトメーターで行われる撮像は、一般に、光子数を増やすためにはるかに長い調査時間で行われる。しかしながら、調査時間が長くなると事象率が大幅に低下するため、フローサイトメトリーの撮像は、主に特定分野の用途で利用される。したがって、比較的遅い調査時間と比較的速い調査時間との両方で情報を収集するように動作することができる、フローサイトメトリーを撮像するための装置、システム、および方法が、当技術分野で長年切望されている。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、本開示は、
入口を有し、かつ流体が通って連通するための流路を画定する、フローチャネルと、
第1の照明源および第1の検出モジュールを備える第1の光学系であって、第1の検出モジュールは、第1の照明源によるフローチャネルの第1の領域の照明に関係する信号を受信するように配置され、第1の領域は、フローチャネルの入口から第1の距離に位置する、第1の光学系と、
第2の照明源および第2の検出モジュールを備える第2の光学系であって、第2の検出モジュールは、第2の照明源によるフローチャネルの第2の領域の照明に関係する信号を受信するように配置され、第2の領域は、フローチャネルの入口から第2の距離に位置し、第2の距離は第1の距離よりも大きい、第2の光学系と
を備えるシステムであって、
(a)フローチャネルの第1の領域は第1の断面積を画定し、フローチャネルの第2の領域は第2の断面積を画定し、第1および第2の断面積は、面積、形状、もしくは面積および形状の両方の点で互いに異なるか、または
(b)(i)システムは、フローチャネルの入口とフローチャネルの第1の領域との間でフローチャネルに進入する導管を備えるか、(ii)システムは、フローチャネルの第1の領域と第2の領域との間でフローチャネルに進入する導管を備えるか、もしくは(i)および(ii)の両方であり、
(c)システムは、流路内の粒子の速度を変調するように構成された流量変調器を備えるか、または
(d)システムは、場モジュールをさらに備え、場モジュールは、フローチャネル内の流れ中にあり場に対する感度の高い少なくとも一部の粒子をフローチャネル内の流れ中の粒子速度の速度流線S0からフローチャネル内の流れ中の粒子速度の速度流線S1まで移動させるようにフローチャネルのある領域において場を増減するように構成され、フローチャネルの第1の領域と第2の領域との間で、システム動作中のS0における粒子速度はS1における粒子速度と異なるか、あるいは
(a)、(b)、(c)、または(d)の任意の組み合わせである、
システム
を提供する。
【0007】
別の態様では、本開示は、粒子集団をフローチャネルに流すことと、第1の光学系を用いて、フローチャネルの第1の領域で粒子集団の少なくとも一部を照明し、照明に関係する第1の信号を収集することと、第2の光学系を用いて、フローチャネルの第2の領域で粒子集団の少なくとも一部を照明し、照明に関係する第2の信号を収集することと、を含む方法であって、フローチャネルの第1の領域における粒子速度は、フローチャネルの第2の領域における粒子速度とは異なり、第1の信号は、第2の信号とは異なる、方法を提供する。
【0008】
さらに、フローチャネルを通じて、フローチャネルの第1の領域からフローチャネルの第2の領域に向かう方向で、粒子集団を連通させることと、第1の光学系を用いて、フローチャネルの第1の領域で粒子集団の少なくとも一部を照明し、照明に関係する第1の信号を収集することと、第2の光学系を用いて、フローチャネルの第2の領域で粒子集団の少なくとも一部を照明し、照明に関係する第2の信号を収集することと、粒子のサブセットにおいて、フローチャネルの第1の領域と第2の領域との間で場を増減させることと、を含む方法であって、場は、フローチャネル内の粒子速度の速度流線S0からフローチャネル内の粒子速度の速度流線S1へと粒子のサブセットを移動させるように増減され、S0における粒子速度はS1における粒子速度とは異なる、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
要約および以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むとさらに理解される。技術を説明する目的で、図面には本発明の例示的実施形態および好ましい実施形態が示されている。しかしながら、本開示は、開示された特定の方法、構成、およびデバイスに限定されない。さらに、図面は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、図面の様々な部分の文字ラベルは単なる例示であり、開示された技術を限定するものではない。図面において:
【
図1】異なる速度で異なる調査ゾーンを通過する粒子の図を提供する。
【
図2】異なる断面を有するフローセルが、異なる調査位置の間で粒子の速度をどのように変化させるかを示す。
【
図3A】調査ゾーン間にシース液を注入または除去することで、調査ゾーン間で粒子に速度差を生み出すように動作するフローセルを提供する。
【
図3B】調査ゾーン間に流量変調器を使用することで、調査ゾーン間で粒子に速度差を生み出すように動作するフローセルを提供する。
【
図3C】調査ゾーン間に場モジュールを使用することで、調査ゾーン間で粒子に速度差を生み出すように動作するフローセルを提供する。
【
図4】粒子の流れの方向に沿って画像を収集するように構成されたフローセルを提供する。
【
図5】粒子の流路に沿って画像を収集するように構成されたフローセルを提供し、ここでは、粒子の速度は、フローチャネルの寸法を大きくすることで低下され、出力ポートを適切にサイジングして粒子の軌跡を調整することによりさらに低下される。
【
図6】従来型フローサイトメトリーデータ(高さ、面積、および幅)ならびにまた、いくつかの粒子それぞれの画像データの収集を示す。
【
図7】選別前に、粒子の従来型フローサイトメトリーデータを収集し、かつ画像を獲得するフローサイトメーターを示す。
【
図8】選別後に、粒子/細胞の画像または他のデータを獲得するフローサイトメーターを示し、ここでは、選別後領域は、選別された粒子/細胞の下流操作のためのトラップおよびまたは他の手段をさらに組み込み得る。
【
図9】同じ画像内で明視野および蛍光データの両方を収集するなど、合成画像を獲得するように構成されたシステムを示す。
【
図10】結像光学系によって作り出された収束波形を示し、また、ここでは、ダイクロイックが、複数のカメラを使用しながら収差のない画像を作り出す様式で、光の通過または反射を選択的に可能にする。
【
図11】水晶板を挿入することにより、画像検出器の1つまでの焦点距離を延長する実施形態の図を提供する。
【
図12】撮像システムを通過する軌道がわずかに異なる粒子に対して、複数の対物平面が結像光学系によって使用される実施形態を提供し、被写界深度が浅い撮像システムについては、このような配置により、高度に正確な粒子位置決めの要件を低減することができ、かつ従来型フロー光学系の被写界深度を増大することができ、有用な高開口数(NA)光学設計の範囲を拡大できる。
【
図13】照明光学系で使用される複数の焦点面がより大きな焦点深度にわたってより均一な照明を産生し、それによって画質を向上させ、レーザー斑点を低減し、対物位置決めに対する感度を低下させる実施形態を提供する。
【
図14】光学系内の照明および撮像の光軸が角度αだけオフセットされ、強化されたコントラストを提供する結果として得られる画像内に、影領域を作り出す実施形態を提供する。
【
図15】4m/sで移動する赤血球を撮影した画像を提供する(露光時間は1マイクロ秒である)-示されているように、画像はぼやけており、細胞境界を識別することは困難である。
【
図16】
図15と同じ設定で、4倍遅い速度の1m/sで撮影された赤血球の画像を提供する-示されているように、動きのぼやけが減少し、細胞の外側境界が容易に区別可能である。
【
図17】約1m/sで移動するビーズの画像を提供する(ビーズは合焦にある)。
【
図18】約8m/sで移動するビーズの画像を提供する(ビーズはぼやけている)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
例示的実施形態の詳細な説明
別途規定されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。矛盾が生じる場合には、定義を含む、本文書が優先されるものとする。好ましい方法および材料は以下に記載されるが、本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料は、実践または試験で使用することができる。本明細書中で言及されたすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。本明細書で開示される材料、方法、および例は、例示のみであり、限定することを意図していない。
【0011】
単数形「ある」、「1つの」、および「その」は、文脈上明確に別様に指示されない限り、複数形照応を含む。明細書および特許請求の範囲で使用される場合、用語「含む」は、「からなる」および「本質的にからなる」実施形態を含み得る。本明細書で使用される用語「備える」、「含む」、「有する」、「有する」、「できる」、「包含する」、およびこれらの変形は、指定された成分/ステップの存在を必要とし、他の成分/ステップの存在を許容する、制約のない暫定的な語句、用語、または語を意図する。しかしながら、そのような説明は、列挙された成分/ステップ「からなる」および「本質的にからなる」として、組成物またはプロセスを説明するものと解釈されるべきであり、これは、結果として生じる可能性のある混入物を伴う、指定された成分/ステップのみの存在を可能にし、かつ他の成分/ステップを排除するものである。本明細書で使用される専門用語は、特定の態様のみを説明するためのものであり、限定するようには意図されていないことが理解される。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、用語「含む」は、「からなる」および「本質的にからなる」実施形態を含むことができる。別途規定されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書および以下の特許請求の範囲では、本明細書で規定される多数の用語を参照する。
【0012】
本出願の明細書および特許請求の範囲における数値は、平均値を反映している。さらに、反対の指示がない限り、数値は、同じ有効数字桁数に減らしたときに同じである数値と、値を決定するための、本出願に記載されているタイプの従来型測定技術の実験誤差よりも少ない値だけ、記述された値とは異なる数値とを含むと理解されるべきである。
【0013】
本明細書に開示されるすべての範囲は、列挙された端点を含み、かつ独立して組み合わせることができる(例えば、「2グラム(g)~10グラム」の範囲は、端点、2グラムおよび10グラムとすべての中間値とを含む)。本明細書に開示されている範囲の端点および任意の値は、正確な範囲または値に限定されず、それらの範囲および/または値を近似する値を含めるのに十分に曖昧である。
【0014】
本明細書で使用される場合、近似用語は、関係する基本機能に変化をもたらすことなく変わり得る任意の定量的表現を修飾するために適用され得る。したがって、「約」や「実質的に」などの用語によって修飾された値は、特定された明確な値に限定されない場合がある。少なくともいくつかの例では、近似用語は、値を測定するための機器の精度に対応し得る。修飾語「約」も、2つの端点の絶対値によって規定される範囲を開示していると見なされるべきである。例えば、表現「約2~約4」もまた「2~4」の範囲を開示する。用語「約」は、示された数の+または-10%を指し得る。例えば、「約10%」は9%~11%の範囲を示し得、「約1」は0.9~1.1を意味し得る。「約」の他の意味は、四捨五入など、文脈から明らかであり得、例えば「約1」は0.5~1.4も意味し得る。
【0015】
用語
本明細書で使用される場合、「照明」とは、粒子、細胞、または他の対象分析物に適用し得る放射線(可視または非可視)を指す。用語「照明」は、蛍光染料または他の部分の励起を含み、明視野、暗視野、位相コントラスト照明などの文脈における放射線の適用も含むことを理解されたい。同様に、「照明源」は、照明を実行するデバイス、または照明の実行を可能にするデバイスまたはシステムの1つ以上のコンポーネントである。レーザー、ランプ、発光ダイオードなどは、照明源の非限定的な例と見なされる。
【0016】
本明細書で使用される場合、「検出」は、反射されているかどうか、波長シフトされているかどうか、または反射されていないかどうかに関わらず、発射光(蛍光を含む)またはサンプルと相互作用した光を含む、光の集まりを指す。一例として、可視画像を収集するカメラは「検出」を実行する。同様に、「検出器」は、検出を実行するデバイス、または検出の実行を可能にするデバイスまたはシステムの1つ以上のコンポーネントである。光電子増倍管(PMT)、シリコン光電子増倍管(SiPM)、光子カウンタ、アバランシェフォトダイオード(APD)などは、検出器の非限定的な例と見なされる。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「画像検出器」は、粒子の画像の作成を可能にする任意のタイプの検出器または検出方法を指す。ピクセル構成検出器、スリット走査光学系、周波数多重化撮像、タイムストレッチ法などは、粒子の画像を生成できる「画像検出器」と見なされる。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「従来型フローサイトメトリーデータ」と交換可能に使用される用語「伝統的フローサイトメトリーデータ」は、光とフローストリーム中の粒子との相互作用から生じる光から収集されたデータ、例えばパルス高、面積、および幅を指す。このような伝統的フローサイトメトリーデータは、伝統的フローサイトメーターが歴史的に撮像機能を有さなかったので、歴史的に撮像データを含まなかった。本明細書で使用される場合、用語「伝統的フローサイトメーター」および「従来型フローサイトメーター」は交換可能に使用される。
【0019】
本明細書で説明するように、粒子の高解像度画像を作成しながら、高事象率および低コインシデンス率で伝統的フローサイトメトリーデータを収集できる機器を有することが望ましい。フローサイトメトリーを撮像する複数の例がある。これらの過去のアプローチのほとんどは、従来型フローサイトメーター設計において画像検出器を使用していた。しかしながら、従来型フローサイトメーターの設計および利用可能な撮像技術の不足により、フロー中の粒子を撮像する試みは、低い画像獲得率および分析率という結果となった。現在、フローサイトメトリーを撮像するためのより高いデータ率に対処するいくつかの技法がある。1つの技法は、時間遅延統合(TDI)アレイを使用する。TDIアレイは、動いている対象物の複数の露光を蓄積し、それによって調査時間を長くする。この技法では、検出器が粒子の通過を追跡できるように、粒子の速度を正確に把握する必要がある。この技法を使用する現在のシステムは、1秒あたりわずか数千個の粒子という最高事象率を有する。さらに、従来型フローサイトメトリーデータ(統合信号)は、画像内の細胞を見つけて、計算された細胞境界内で統合することにより処理される。この処理は、メモリを集中的に使用し、時間がかかるため、データの表示および分析は、データ収集後に実行されることが強要される。
【0020】
第2の技法は、周波数多重化を使用する方法である。この方法では、照明光は周波数多重化されて、小さなピクセルの大きなアレイになる。粒子とこのビームアレイとの相互作用によって産生される時間ドメインシグネチャは、PMTによって収集される。次いで、周波数ドメインで信号を処理し、ピクセル位置を特定のスペクトル値に割り当てることにより、画像が構築される。このシステムは、周波数多重顕微鏡と非常によく似た様式で動作する。
【0021】
周波数多重化撮像は、従来型フローサイトメトリーデータ(統合信号)が取得するのがより簡単であるため、フローサイトメーターにおけるカメラベースのシステムに比べて利点がある。画像を分析するのとは対照的に、統合データは、時間ドメイン信号を統合することによって取得される。ただし、画像内の動いている細胞からぼやけを低減するには、粒子速度を制限して高解像度の画像を取得する必要がある。この方法を使用した従来型フローサイトメトリーデータの処理は迅速に行うことができるが、速度を下げる必要性は、従来型フローサイトメーターよりもデータ率が下がる結果となる。
【0022】
周波数多重化撮像と同様に、光のパルスを空間的に引き伸ばすための同様の方法が開発されている。照明は、ビーム全体に広がる周波数スペクトルを有する光パルスを含む。細胞と相互作用した後、収集された光は、周波数の関数として光のパルスを時間的に拡張する分散要素を通過する。一旦時間ドメインシグナチャが獲得されると、特定の時間に収集された光量にピクセルを割り当てることにより、画像が再構築される。
【0023】
理論的には、これらの撮像技法に伴うより低いデータ率は、サンプルをより高濃度およびより低速度で動かすことにより、高めることができる。これは、高められた空間分解能を使用して画像内の個々の細胞を相互により適切に区別し、それによって、処理負荷およびデータ待ち時間の増大を犠牲にして、画像処理によってコインシデンス事象の数を減らすことができるため、可能である。
【0024】
しかしながら、実際には、サンプル濃度の増加は常に実用的または望ましいとは限らない。従来型フローサイトメーターのデータ率を達成するためにより高いサンプル濃度を必要とすることは、典型的な作業条件を超えて濃縮されたサンプルを作り出すために、サンプル調製方法を変更することを要求する。また、高濃度は、特に付着性サンプルの場合、より多くの細胞が互いに付着することももたらす。
【0025】
低速で分析された、より高濃度のサンプルの問題を悪化させているのは、撮像システムに関連する浅い被写界深度である。高倍率の光学系には限られた被写界深度が要求されるため、高品質の高解像度画像を得るには、画像平面内の粒子を厳密に配置する必要がある。通常、この正確な位置決めは、シース液のサンプル液に対する高い比を利用することで達成される。したがって、浅い被写界深度に対応するように粒子を正確に配置するには、事象率をさらに制限する比較的低い体積サンプル入力レートが必要である。
【0026】
高速で安価な電子機器と組み合わされた、電子増倍型電荷結合素子(EMCCD)、強化電荷結合素子(ICCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイスなどの高速で高感度の撮像検出器の出現により、照明された調査ゾーンを通過する細胞の画像は、従来型フローサイトメーターのそれに近い比較的高速で処理することができる。本発明は、また粒子の高解像度画像を取得しながら、従来型フローサイトメーターの高事象率で統合粒子データを収集できるハイブリッドフローサイトメーターを作成および使用するための装置、システム、および方法を説明する。様々な異なる実施形態を以下に説明する。
【0027】
複数の速度ゾーン
異なる粒子速度を各ゾーンに関連付けることにより、システム内に別個の粒子調査ゾーンを作り出すことにより、ハイブリッド撮像フローサイトメーターのスループットとデータ品質とを向上させることが可能である。
図1は、別個の粒子調査ゾーンを作り出す1つの方法を提供する。
図1に示すように、システム100は、第1の照明源102(この場合、照明源)を、第1の照明源102と検出器104との間の位置にある第1の位置180aで粒子を照明するように配置させて含むことができる。第1の位置180aでは、粒子は速度V
1を経験する。
【0028】
次いで、粒子は第2の位置180bに移行するが、この第2の位置は、第2の照明源106と、ここではカメラとして描かれている画像検出器110との間に配置される。第2の位置180bでは、粒子は速度V2を経験するが、速度V2は速度V1よりも小さい。より高速のゾーン(V1)により、従来型フローサイトメーターの短い調査時間と低コインシデンス率とが可能になる。より低速のゾーン(V2)により、統合光子数を増加させ、かつ撮像デバイスのぼやけを減少させる、より長い調査時間が可能になる。撮像方法の利点に加えて、結果として得られる画像を処理して、第1の位置180aに関連付けられるコインシデンス事象を決定することができる。
【0029】
粒子経路に沿って異なる速度ゾーンを作り出す1つの方法は、フローチャネルの断面を変化させることである。
図2は、フローチャネル220の断面積が2つの領域間で変化するシステム200を示す。第1の領域290aは、第1の照明源202と検出器204との間に位置する。第2の領域290bは、第2の照明源206と画像検出器210との間に位置する。粒子が、第1の領域290a内の第1の位置280aから第2の領域290b内の第2の位置280bに移行すると、粒子は、第1の領域290aと比較して増加された、第2の領域290b内のフローチャネル220の断面積のために、速度の減少(第1の位置280aにおけるV
1、およびそれより低速の、第2の位置280bにおけるV
2)を経験する。
【0030】
粒子の速度は流れの断面積に比例してスケーリングできるため、正方形断面の流れの寸法が2倍変化すると(例えば、100μm×100μm断面が200μm×200μm断面に変化する)、粒子速度は4倍変化し得る。この例では、総光子数が4倍に増加し、画像検出器の信号対ノイズレベルを大幅に増大する。さらに、速度の低下により、画像内のぼやけが減り、粒子の動きに対して平行な次元でのより高い解像度が可能になる。
【0031】
調査時間が長くなる一方で、フローセルの寸法を大きくすると、粒子の位置のばらつきも大きくなる。これにより、焦点深度を拡張する必要性が高まり、画質を低下させる可能性がある。これは、他の方向のフローセルの寸法の拡大と比較して、対物平面に垂直な方向に比較的少ない量でフローセルの寸法を拡大することにより軽減できる。あるいは、粒子を画像平面内により良く集束させるために音響集束などの場集束技術を使用するなど、他の軽減アプローチを採用することができる。
【0032】
調査ゾーン間で粒子速度を変化させる別の方法では、調査ゾーン間の流れ特性を変更する。2つの調査ゾーン間の体積流量を増減すると、速度差を生じさせることができる。そのようなシステムの例を
図3Aに示す。
【0033】
図3Aに示すように、システム300はフローチャネル320を含み、その中で粒子は、(第1の照明源302と画像検出器306との間に配置された)第1の領域390a内の第1の位置380aから(第2の照明源304と検出器308との間に配置された)第2の領域390b内の第2の位置380bに移行する。第1の領域390aと第2の領域390bとの間に、フローチャネル320はサイドチャネル340およびサイドチャネル342を含み得、これらのサイドチャネルは、第1の位置380aと第2の位置380bとの間で流速を増減させるように、追加の流体(例えば、シース液)の導入および/または引き出しを可能にする導管として機能する。
図3Aに示すように、サイドチャネル340およびサイドチャネル342を介した追加流体のシース液の導入は、先の第1の位置380aにおけるより低速度V
1と比較して、第2の位置380bにおいてより高速度V
2を有する粒子を提供する。
【0034】
別の実施形態では、サイドチャネル340およびサイドチャネル342は、流体を導入するのではなく、フローチャネル320から流体を引き出す。そのような実施形態では、第1の位置380aと第2の位置380bとの間のフローチャネル320からの流体の除去は、V1がV2よりも大きくなるように粒子の速度を低下させる効果を有する。これらの代替実施形態では、少なくとも画像検出器306および検出器308の位置を交換する(すなわち、画像検出器306が第2の位置380bで粒子の画像を取得するようにする)ことが望ましい場合がある。これは、そのような実施形態において、所与のより低速度V2が収集され得る光子の増加した数から、画像検出器306に利益を提供するであろう。そのような実施形態では、それぞれの能力および所望の出力に応じて、第1の照明源302および第2の照明源304の位置を交換することも望ましい場合がある。
【0035】
さらに、流体をフローチャネル320に導入および/またはフローチャネル320から引き出すためにサイドチャネルが使用される実施形態のために、特定の実施形態は、1対の調査ゾーン間にただ1つのサイドチャネルまたは導管を利用してもよい(例えば、サイドチャネル340のみを有し、サイドチャネル342はないシステム300)。そのような実施形態では、1つのサイドチャネルを採用する効果は、粒子をフローチャネル320の1つの側壁のより近くに動かすことである。当技術分野で知られているように、フローチャネル内の流体および粒子の速度は、チャネルの中心で最高であり、流体および粒子がチャネルの壁に近づくにつれて減少する。そのような単一のサイドチャネルの実施形態の使用は、例えば、画像検出器の対象となるフローチャネルの領域に近づくにつれて粒子の速度を遅くするのを支援することができ、したがって、チャネルの壁の近くで粒子速度が低下する結果としてより多くの光子を収集することが可能となる。
【0036】
調査ゾーン間で粒子の速度を変化させる別の方法では、調査ゾーン間に流量変調器を使用する。そのようなシステムの例を
図3Bに示す。
【0037】
図3Bに示すように、システム300はフローチャネル320を含み、その中で粒子は、(第1の照明源302と画像検出器306との間に配置された)第1の領域390a内の第1の位置380aから(第2の照明源304と検出器308との間に配置された)第2の領域390b内の第2の位置380bへ移行する。第1の領域390aと第2の領域390bとの間に、システム300は、流量変調器350および流量変調器352を含むことができ、これらの流量変調器は、第1の位置380aと第2の位置380bとの間の流速の増減を可能にする。流量変調器は、例えば、ポンプ、バルブなどを備えてもよい。
図3Bに示すように、フローチャネル320内に追加の流体を送り込むための流量変調器350および流量変調器352の使用は、先の第1の位置380aにおけるより低速度V
1と比較して、第2の位置380bにおいてより高速度V
2を有する粒子を提供する。
【0038】
図3Bの代替実施形態では、流量変調器350および/または流量変調器352は、開いたときにフローチャネル320から流体を除去する働きをするバルブを備えてもよい。そのような実施形態は、先の第1の位置380aにおけるより高速度V
1よりも第2の位置380bにおいて粒子により低速度V
2を提供する。そのような実施形態は、粒子がより低速度を有するフローチャネル320の領域に画像検出器306を配置することが望まれる場合、画像検出器306および検出器308の位置を交換してもよい。
図3Aの特定の代替実施形態と同様に、単一の流量変調器のみが使用される
図3Bの代替実施形態がある。例えば、流量変調器350は、開かれたときにフローチャネル320から流体を除去するためのバルブとして使用することができ、対応する流量変調器352はない。この例では、粒子はやはりフローチャネル320の側壁に近づき、その速度をさらに低下させる。
【0039】
調査ゾーン間で粒子の速度を変化させる別の方法では、調査ゾーン間で場モジュールを使用する。そのようなシステムの例を
図3Cに示す。
【0040】
図3Cに示すように、システム300はフローチャネル320を含み、その中で粒子は、(第1の照明源302と画像検出器306との間に配置された)第1の領域390a内の第1の位置380aから(第2の照明源304と検出器308との間に配置された)第2の領域390b内の第2の位置380bへ移行する。第1の領域390aと第2の領域390bとの間に、システム300は場モジュール360を含み得、この場モジュールは、場によって影響を受ける粒子をフローチャネル320内の流れの異なる速度流線中に再配置するために、フローチャネル320のある領域における場を増減するように構成されている。(
図3Cにはただ1つの場モジュールが示されているが、開示された技術は、両方の単一場モジュールの使用と複数の場モジュールの使用とを想定していることを理解されたい。一例として、本開示に従うシステムは、磁場モジュールおよびさらに音響場モジュールを含むことができる。)
図3Cに示すように、粒子は、第1の位置380aにおいては速度流線370内にあり、場モジュール360によって速度流線375内に移動された後、第2の位置380bにあるときには、速度流線375内に移動する。この粒子の再配置は、第2の位置380bにおける粒子の速度V
2が第1の位置380aにおける粒子の速度V
1よりも小さいという効果を有する。場モジュール360は、磁場、電場、音響場、またはこれらの任意の組み合わせを生成し得る。異なる場の組み合わせが採用される場合、システム300は、場モジュール360に加えて1つ以上のさらなる場モジュールを採用してもよい。したがって、1つ以上の場モジュールを使用して、所与の粒子がフローチャンバ内の異なる領域で異なる速度を経験するようにすることができる。
【0041】
様々な実施形態の上記説明から分かるように、寸法変化から生じるより遅い流れと同様に、より遅い体積速度からのより遅い流れは、サンプル粒子のより広い位置分布をもたらす。このより遅い流れは、1次元において別の次元よりも多くの流れを加減することにより、2次元で同様に制御でき、また、場ベースの集束から同様に恩恵を受けることができる。加減された流れを別様に制御する手段が提供されている場合、より良い画像の焦点を達成するために、この方法を使用して粒子の位置を調整することもできる。体積速度を変化させる方法の利点は、特定の用途に望ましいように、各速度ゾーンを個々に調整または目盛り合わせできることである。例えば、単一のオリフィスから流体を注入または除去し、それによって粒子をより低速のフローストリームに再配置すると、粒子の速度を低下させる結果となり得る。流体の注入/除去は、手動または自動で行うことができる。流体の注入/除去は、一定でもよいし、または時間とともに変化させてもよい。
【0042】
本開示に従うシステムは、フローセルの寸法変化を体積流量の増減と組み合わせることを含み得ることを理解されたい。両方法を組み合わせることにより、フロー領域を、所望の粒子速度、粒子分布、フローチャネルの物理的寸法、および(照明源および検出器を含む)システム全体の構成に対して、最大限の柔軟性で設計できる。
【0043】
粒子が速度ゾーンを経験する順序を選択することにより、特定の利点を達成できる。例えば、より高速をより低速に先行させることの利点は、より高速のゾーンで生成されたメモリ集約度の低いデータ(例えば、細胞全体からの統合信号)をより容易に使用して、統合された信号データに基づく画像獲得を選択的にトリガできることである。画像獲得デバイスを選択的にトリガするだけで、特にまれな事象の場合、収集および取り扱われるデータの量が削減される。この特性を活用して、例えば、より少ない細胞数でより高解像度の、より満足した画像が可能となる。この特性は、非常に高い反復率で使用すると電子が枯渇する可能性のあるマルチチャネルプレートまたはストリークチューブを使用する画像強調装置や、データをダウンロードまたは処理するための待ち時間を必要とする画像検出器など、低デューティサイクルから恩恵を受ける画像技術とともに使用できる。開示された技術は、まれな事象、例えば0.01%以下の頻度で発生する事象を含む用途に適していることを理解されたい。開示された技術は、0.01%以下、例えば0.01%~0.001%、またはさらに0.01%~0.00001%の頻度の事象の検出に使用され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、本開示に従うシステムは、粒子をより低速のセクションに、続いて高速のセクションにさらし得る。そのような実施形態は、(例えば、画像解像度を向上させるように)より低速のセクションで粒子を撮像し、次いで、それに続く選別および/または従来型フロー分析のために粒子速度を上げることが所望される状況で有用であり得る。
図1を参照すると、そのような実施形態は、V
2がV
1より大きく、画像検出器(例えば、カメラまたは他の撮像装置)がV
1上流位置に存在し、検出器が下流のV
2位置に存在するものである。
【0045】
開示された技術の実施形態は、2つを超える速度ゾーンを含み得ることを理解されたい。例えば、多くの様々な検出器システムによって細胞を調査する場合、いくつかの連続的な速度変化が有利となり得る。一例として、システムは、従来型フローデータ、低解像度画像データ、および高解像度画像データの順次生成を含み得る。別の例として、システムは、撮像用の低速ゾーン、従来型フロー用の比較的高速のゾーン、および選別時のより良い分離のためになおも比較的高速のゾーンを含み得る。本開示に従うシステムは、例えば、3つ、4つ、またはさらにそれ以上の速度ゾーンを有し得る。
【0046】
他の様々な実施形態は、検出器およびもしくは照明源の向きの変化、ならびにまたは流れ方向の変化を含み得る。例えば、
図4は、チャネル420内の流れの軸に沿って画像を獲得するように構成された対物レンズを備えた画像検出器408を含むシステム400を示す。
【0047】
示されるように、粒子は、(照明源402と検出器404との間に配置された)第1の領域490a内の第1の位置480aから第2の領域490b内の第2の位置480bに移行し、そこで、粒子は、照明源406からおよび/または照明源460からの照明にさらされ得る。
図4に示すように、照明源460は、落射照明を提供するように構成されている。図に示すように、粒子は、第1の領域490aにおいて速度V
1を経験し、速度V
1は、粒子が第2の領域490bにおいて経験する速度V
2よりも大きくてもよい。第2の領域490内の粒子の照明は、任意選択で、画像検出器408の対物レンズから分離することができ、かつ/または画像検出器408の対物レンズ自体を使用することができる。
【0048】
図5は、システム500を提供し、システムは、第2の領域590b内の流れが第1の領域590a内よりも遅い、
図4の代替構成を有する。
図5に示すように、粒子は、フローチャネル520内を第1の位置580aから第2の位置580bへ移行し得、ここで、粒子は、第2の位置580bにおいて、第1の位置580aにおける速度V
1よりも小さい速度V
2を有する。示されるように、第1の位置580aにおいて、粒子は照明源502と検出器504との間に配置される。第2の位置580bにおいて、粒子は、照明源550および/または照明源555から照明を受けることができ、対応する画像データが画像検出器560によって収集される。
図5に示すように、照明源555はエピ構成にある。照明は、任意選択で、画像検出器560の対物レンズから分離することができ、かつ/または画像検出器560の対物レンズ自体を使用することができる。前述のような形状の変更は、検出器または照明要素の物理的収容、および照明構成によって産生される迷光を制御するために望ましい場合がある。
【0049】
さらに、照明軸が粒子の動きに垂直またはほぼ垂直であり、かつ画像収集軸が粒子の動きに対してほぼ平行である構成では、粒子が被写界深度によって画定される領域全体を流れるため、被写界深度は、流れの方向に垂直な平面内の粒子位置にもはや関連付けられなくなるので、厳しい被写界深度要件を大幅に削減できる。そのような実施形態では、(横方向位置の制御とは対照的に)適切な時間の選択が、所望の平面内で画像を獲得するために必要なすべてである。
【0050】
上記実施形態は、フロー撮像への適用を有するが、この技術は、標準の高速フローデータを従来の方法では検出することが困難な低光レベル現象と組み合わせる有用性を有することを理解されたい。例えば、単一細胞の化学発光および生物発光は、従来の流速では検出が困難である。そのような代替実施形態では、
図4の画像検出器408または
図5の画像検出器560などの撮像要素は存在しなくてもよく、それは、撮像機能のない検出器はまた、より遅い流速における低パワー信号から収集される光子数の増加の恩恵を受けるので、代替実施形態はまた撮像機能のない検出器を採用してもよいからである。
【0051】
コインシデンスゲーティング
伝統的フローサイトメーターでは、データは、検出領域内の細胞全体からの散乱光/蛍光を統合することにより形成される。事象がコインシデンスかどうかを判定するために、通常、パルス高、パルス幅、またはパルス面積を含み得るいくつかの異なるパラメータに対してデータがプロットされる。次いで、このデータを使用して、起こり得るコインシデンスを判定する。この方法は、コインシデンス事象を判定するための近似として機能し得る。
【0052】
しかしながら、コインシデンスが重要な実験では、コインシデンスを判定するための改善された方法が必要である。従来型フローサイトメーターに画像生成デバイスまたはシステムを追加すると、コインシデンス検出を大幅に改善することが可能である。画像は、検出領域内の1つを超える細胞の存在を判定するための空間情報を含む。
【0053】
図6は、従来型フローデータおよび画像データが粒子から収集される例示的な構成を有するシステム600を提供する。示されるように、粒子は、第1の位置620aから第2の位置620bに、そして第3の位置620cへ移行することができ、第1の位置は第1の照明源630および第1の検出器660の対象であり、第2の位置は第2の照明源632および第2の検出器662の対象であり、そして第3の位置は照明源620および画像検出器650の対象である。説明したように、従来型フローデータは、検出器によって収集される光のパルスから収集されるいくつかのパラメータからなる。これらのパラメータには、パルス高(H)、パルス面積(A)、およびパルス幅(W)が含まれ得る。この構成は、調査ゾーン間で速度の変化があるかどうかに関係なく、有益である。
【0054】
粒子の画像を追加すると、ユーザはこれらのデータをいくつかの異なる方法で利用して、特定の細胞または粒子からのデータが、別の細胞が存在したときに収集されたかどうかを判定できる。例えば、画像を見ることにより、データ品質のゼロ次判定を提供する所与の事象のコインシデンスを評価することが可能である。より複雑な様式では、画像を処理して、データセット全体における任意のデータポイントについて、コインシデンス事象が存在するかどうかを判定することができる。この場合、ユーザは特定のルールセットに従って画像データを処理し、データセット内でどの事象がコインシデンス条件で収集されたかを判定することができる。次いで、ユーザは、コインシデンス事象に関連付けられたデータを破棄して、データ記憶スペースを節約し、または追加の分析を行うことができる。
【0055】
コインシデンスは常に不利なわけではないことに留意されたい。接触している2つの細胞が、対象の細胞間相互作用を呈し得る場合がある。従来型フローサイトメーターでは空間データが限られているため、このような相互作用の検出は困難である。従来型フローサイトメーターに撮像機能を追加すると、ユーザは、画像を見、または処理することでこの状態を判定することができる。この情報は、次いで、収集された従来型フローサイトメトリーデータ内の特定の事象に関連付けることができる。
【0056】
画像に基づく選別
フローサイトメトリーの選別では、伝統的フローサイトメトリーデータ(統合信号)を個々の細胞から収集して、細胞選別の意思決定を行う。ユーザが、選別されたものの対応画像を有することは有利である。
図7に示すように、従来型フローサイトメトリー検出器を踏まえて撮像機能を追加することにより、画像を、選別された粒子に関連付けることができる。画像には、細胞の形態、核のサイズ/形状、コインシデンス相互作用など、従来型フローサイトメトリーデータには存在しない情報が含まれる。
【0057】
例示的な
図7のシステム700によって示されるように、粒子は、第1の位置720aから第2の位置720bへ、そして第3の位置720cへ移行することができ、第1の位置は第1の照明源714および第1の検出器770の対象であり、第2の位置は第2の照明源712および第2の検出器モジュール772の対象であり、第3の位置は第3の照明源710および画像検出器774の対象である。説明したように、フローデータには、検出器によって収集される光パルスから収集されるいくつかのパラメータが含まれ得る。これらのパラメータには、パルス高(H)、パルス面積(A)、およびパルス幅(W)が含まれ得る。この構成は、調査ゾーン間で速度変化があるかどうかに関係なく、有益である。
【0058】
図7のシステムは、選別モジュール790をさらに含むことができ、この選別モジュールは、1つ以上の特定のマーカー、細胞機能、物理的特徴などの存在、不在、またはレベルを表すデータの存在、不在、またはレベルに基づいて、粒子を選別するように作用し得る。いくつかの例示的な選別モジュールには、機械的選別器、例えばキャッチチューブ選別器、バルブ選別器などが含まれる。液滴選別器およびバブル選別器も適しており、電気、音響、および磁気に基づく場選別器などの場に基づく選別器も同様である。場の強さは一定でよいが、ユーザのニーズに従って時間とともに調整または変更されてもよい。
【0059】
従来型フローサイトメトリーデータを使用して選別意思決定を実行し、画像を獲得するシステムは、フローサイトメトリーのユーザにとって有利である。いくつかの実施形態では、そのようなシステム内で、選別された粒子の画像のみが保存されるようにカメラをトリガするための選別トリガを使用し得る。このような方法では、ユーザは、ゲートを描いて、それらのゲートの範囲内に入る特性を有する任意の粒子を選択することができる。選択したゲートの範囲外のデータをユーザが希望する場合、ネガティブも可能である。データをリアルタイムで分析して、選別および撮像の意思決定を判定する。選別および撮像用に選択的にゲーティングすることにより、データ記憶スペースの要件を大幅に削減できる。さらに、データを分析するための処理負荷も大幅に削減される。
【0060】
画像または他の分析があとに続く選別
選別処理自体は、選別動作により粒子または細胞が、例えば(i)異なるフローチャネル、(ii)異なるチャンバ、または(iii)異なる速度を有する流れの異なる部分に移動するならば、分析領域を切り替えるためのツールとして使用できる。この技法は、その細胞のために速度が大幅に低下するか、またはさらに停止し得る希少な細胞に特に有利である。物理的なまたは場に基づく細胞トラップを利用して、撮像/分析領域内でまたはそのような領域の後のいずれかで、細胞を収集することもできる。
【0061】
図8のシステム800によって示されるように、粒子は、第1の位置820a(そこでは、粒子は第1の照明源834からの照明および第1の検出器840の対象である)から第2の位置820bに移行し、そこで、粒子は第2の照明源832および第2の検出器842の対象となる。次いで、選別モジュール830が、特定の原則に基づいて粒子を選別するように作用し得、選別された粒子(例えば、位置820eに示される粒子)は(例えば、同じフローチャネルに継続する)1つの方向にルーティングされ、選別されなかった粒子または適用可能な選別基準を満たさなかった粒子(例えば、位置820dの粒子)は、別の方向にルーティングされる(例えば、別のフローチャネルにルーティングされる)。画像検出器850(例えば、カメラ)は、選別された粒子の画像を収集し得る。
【0062】
もちろん、システムは複数の選別器を含むように構成され得、複数の選別器は、異なる粒子特性に基づいて粒子を選別するように作用し得る。例えば、システムは、サイズに基づいて粒子を選別するように作用する第1の選別器と、粒子の電荷に基づいて粒子を選別する第2の選別器を含み得る。システムはまた、ある選別段階の前または後に粒子画像の収集を可能にするために、1つ以上の撮像装置を含んでもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、チャネルは、「胴」領域から複数の「分岐」領域に分割され得る。流速は、分岐領域よりも胴領域で遅くなり得るが、これは必須ではない。そのような実施形態は、粒子選別がある(例えば、細胞がフローデータによって選別され、次いで、潜在的な対象の細胞が撮像され、対象でない細胞が別の分岐に向けられる)用途に適し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の分岐領域は、サンプルの多重分析を可能にするために、それ自体の照明源および/または検出器を含み得る。
【0064】
別様に制限される可能性のある撮像技術を使用して、より満足な情報を収集できる。本明細書に開示される実施形態を使用することから非常に利益を得ることができるそのような撮像技術の例には、時間分解イメージング、3D共焦点イメージング、および3Dホログラフィックイメージングが含まれる。そのようなデバイスでは、緩衝液を交換すること/他の試薬を加えることにより、収集された細胞を下流でさらに操作して、他の分析のためにそれらを準備することができる。
【0065】
オーバーラップ、合成画像、およびカラー画像
従来型フローサイトメーターを動作させるフローサイトメトリー技師は、細胞に対していくつかの異なるアッセイを同時に実行することがある。例えば、研究者は、細胞におけるCD4、CD8、およびCD45の発現に興味があるかもしれない。これには、関連付けられた各ラベルからの寄与を識別するために、いくつかの検出チャネルが必要とされる。同様に、細胞を撮像する場合、細胞上のどこで相互作用が発生するかを示すいくつかの異なるラベルを実行する機能を有することは興味深い。
【0066】
伝統的に、空間識別は、異なる波長でいくつかの画像を作成することで達成されてきた。例えば、撮像アレイ上に、またはさらに単一のピクセル構成検出器上に、複数の別個の画像を作成する方法がある。同様に、波長多重化法を利用したフローサイトメトリー撮像法が提案されており、フィルタをかけた光は別々のPMTに収集され、後で画像を作成するために処理される。
【0067】
同じ画像からいくつかの情報(例えば、散乱や蛍光)を収集し、それによって、システムの複雑さ、コスト、および必要な記憶スペースを低減することは有利となり得る。1つの方法では、異なる情報を含むいくつかの信号を同じ画像内で同時に収集して、合成画像を作成することができる。例えば、画像コントラストを作り出すために使用できる、細胞の空間的に特定の領域を染色する多くの染料(例えば、核染色)がある。適切なフィルタを使用することにより、異なる細胞構造間でコントラストを作り出すことができる。
【0068】
図9は、例示的なシステム900を提供する。示されるように、粒子は、(第1の照明源940および第1の検出器970の対象である)第1の位置920aから(第2の照明源942および第2の検出器972の対象である)第2の位置920bへ、第3の位置920c(ここで、粒子は、第3の照明源944および画像検出器960(例えば、
図9に示されたようなカメラ)の対象となり得る)へ移行し得る。1つ以上のフィルタ950(例えば、レーザ減衰、バンドパス)が、画像検出器960によって受け取られる光を調整するように配置され得る。
【0069】
一例として、ユーザは、核を適切な染料で染色し、明視野または暗視野の画像を収集し得る。適切なフィルタを用いて、核に追加のコントラストを与えることができる。この状況におけるフィルタには、散乱信号を減らすレーザー減衰フィルタと、核染色を他の蛍光信号から単離するバンドパスフィルタとが含まれる。コントラストをさらに高めるために、結像軸に対して平行ではない照明ビームで目標物を照明し、それによってまた、画像センサに到達する照明源からの光量を減少させてもよい。
【0070】
細胞のサイズ、形態、および粒度などの測定値も、細胞内の核のサイズおよび位置と同様に、合成画像から決定することができる。非常に明るい染料、例えば特定の抗体に結合できるポリマー染料の出現により、抗体ベースの染料結合体を使用して画像内にコントラストを作り出し得る。
【0071】
上記の例および開示された技術の様々な実施形態では、合成画像内に特定のコントラストを作り出すことができる様々な染料および染色剤がある。染色剤は、区画、構造、および細胞境界を明るくするために含むことができる。これらの場合、適切なフィルタを使用して、単一の画像内にいくつかの染色剤を含めてもよい。さらに、吸収性染料を使用して特定の空間的エンティティを単離しかつそのコントラストを高めることにより、より高いコントラストを作り出すことができる。
【0072】
同様の方法で、カラー染料を使用して複合情報を収集できる。例えば、トリパンブルーは生体/死滅体用染料として使用できる。上記のようにカラーカメラまたは適切なフィルタセットを使用すると、明領域または暗領域の画像上に青色染色を重ねることができる。
【0073】
レーザーなどの単色光源を使用すると、励起に使用される波長における特定の染料の吸収に基づいて、染料の吸収コントラストが作り出される。1つを超える励起源の吸光度情報は、フィルタを用いるか、または励起源を空間的または時間的に分離して交互に、決定できる。また、多くの蛍光染料は、吸光を通して空間コントラストを追加できる強い吸光係数を有することに留意されたい。さらに、標的化学的部分、例えばクリック化学を使用する技術が開発され、これらの化学反応部位を組み込むようにされた所望の構造の、特別に設計されたカラー染色を可能としている。
【0074】
細胞内の構造および体積を標識するための無数の染料および染色剤は大きく、合成画像またはカラー画像から有用な情報を取得するために使用できる多くの組み合わせがある。画像には、明視野、暗視野、蛍光、もしくはカラー画像、またはこれらの任意の組み合わせを含めることができる。
【0075】
非点収差矯正
フローサイトメトリーにおける一般的な撮像方法では、レンズを使用して対象物から受け取った光をコリメートする。次いで、このコリメートされた光は、一連のダイクロイックフィルタおよびバンドパスフィルタを通過してから検出器上に結像される。光分散/調整フィルタ要素を通過するために光をコリメートする必要なしに、対象物を直接撮像することは有利である。傾斜したダイクロイックミラーに集束光または収束光を通過させると、傾斜した配置の結果として伝播経路に非対称性が生じるため、これは問題である。これにより、非点収差などの収差が生じる。
【0076】
図10は、傾斜したダイクロイックミラーを使用するのとは対照的に、ダイクロイックコーティングを有する固体素子を使用して光を2方向に分割するように構成されたシステム1000を提供する。システム1000について図に示すように、位置1020の粒子は照明源1030の対象である。結像光学系1070と、伝播経路に非対称性を導入しないダイクロイックミラー1040(例えば、
図10に示された立方体などの固体素子内のダイクロイックコーティング)とは、次いで画像検出器1050および画像検出器1060によって収集された光を処理するように構成される。収差をほとんどまたはまったく導入しない直方体構成など、ダイクロイックミラー1040について他の固体要素構成も可能である。さらに、
図10に示すように、結像光学系1070は、収束素子(例えば、収束レンズ)を含む。このような構成では、収束する波形は、伝播経路おいて空間的な非対称性を被らない。このようにして、ほぼ収差のない画像が、両方の伝播方向において産生される。さらに、このような配置を用いると、2つを超える画像検出器を別々の位置で使用できる配列を作り出すことができ、異なる波長で収差のない高品質の画像を作成することがさらに容易になる。
【0077】
同様の様式では、固体ダイクロイック素子および/または透明素子を使用して、収束ビームの焦点距離を変更できる。異なる光伝播速度の材料を光路に挿入することにより、焦点距離をその経路に沿って変更できる。
【0078】
図11は、単一の集束レンズを採用して収束波形を作り出しながら、システム内の1つの画像検出器に関連付けられた焦点距離を変更するように構成されたシステム1100を提供する。
図11に示すように、システム1100は、結像光学系1120および画像検出器1150に光学的に接続されたダイクロイックミラー1140(例えば、図示のようなダイクロイックキューブ)を含み得る。
図10に関して前述したように、ダイクロイックミラー1140は立方体として描かれているが、直方体構成などの他の構成を有することができる。さらなる画像検出器1170は、ダイクロイックミラー1140に光学的に接続され、焦点距離を増大させるために、挿入物1160(例えば、水晶板挿入物)がダイクロイックミラー1140と画像検出器1170との間に存在する。特定の理論に縛られるものではないが、水晶などの固体材料挿入物を伝播経路に挿入することにより、ビームの焦点距離が柔軟性を向上させ、画像検出器までの光路長を等しくできない構成を可能にする。
【0079】
被写界深度の拡大
被写界深度は、フローサイトメトリーの撮像において対処するのが最も難しい効果の1つである。大きな倍率が必要なため、被写界深度は通常非常に小さい。被写界深度の値が小さいため、粒子を対物平面内に高度に正確に配置する必要がある。流動システムでは、粒子は次いでミクロン範囲の許容誤差で調整され、センサによって、流れるすべての粒子の画像が合焦にあることを保証する必要があるため、これは課題である。
【0080】
この問題に対処する1つの方法は、複数の対物平面を有するシステムを作り出すことである。これは、画像獲得中に対物平面を移動させることによりなされ得る。対物平面を移動させることにより、掃引中のある時点で画像が合焦となる。対物平面の移動は、撮像システムの特性を迅速に変更することによって達成できる。これは、光学系内のある要素を移動させるか、または光学素子の1つを迅速に操作して、対物平面の位置を効果的に変更することによってなされ得る。
図12は、複数の画像平面を用いた撮像の例を示す。
【0081】
図12に示すように、動作中、システム1200は、フローチャネル1210に進入する粒子1202、1204、および1206を含み得る。異なる対物平面(例えば、第1の対物平面1212および第2の対物平面1214)も示されている。結像光学系1220は、複数の対物平面で掃引して画像を収集するように動作し得、その画像は、次いで、画像検出器1240によって収集される。画像平面は、結像光学系を迅速に動かすことなどの機械的手段によって、またはシステムの焦点距離を迅速に変更できる光学コンポーネント(例えば、可変焦点レンズ)を使用することにより動かすことができる。あるいは、レンズアレイを使用して、複数の平面を同時に収集できる。さらに、
図12は第1の対物平面1212および第2の対物平面1214を示しているが、代替実施形態は、特定のシステムの構成、所望の性能能力、およびシステム1200の他の態様との互換性(例えば、結像光学系1220の能力)に基づいて、2つを超える対物平面(例えば、3つ、4つ、5つなど)を有してもよい。システム1200は、本明細書に開示された他の実施形態に従う、1つ以上の照明源など、明示的に示されていない他の態様をさらに含み得る。
【0082】
この同じ方法を、従来型フローサイトメトリー光学系においても使用して被写界深度を拡大し、それによって、粒子配置許容範囲を広げ、かつ通常は浅い被写界深度を有する高倍率、高開口数(NA)の対物レンズの使用を可能にすることができる。
【0083】
照明のための拡大被写界深度
同様に、光源の合焦胴線を迅速に掃引することにより、照明光の焦点を拡大することができる。この技法は、より均一な照明を作り出し、ビームのコヒーレンスを変更する可能性があり、斑点などの望ましくない効果を低減する。この技法は撮像に有用であり、かつ、定量的な蛍光および散乱データの精度を高めるために均一な照明が望ましい場合、従来型フローサイトメトリーにも適用できる。そのような技法の例を
図13に示す。
【0084】
図13に示すように、動作中、システム1300は、異なる対物平面(例えば、第1の焦点面1312および第2の焦点面1314)でフローチャネル1310に進入する粒子1302、1304、および1306を含み得る。照明光学系1320は、照明源1340によって供給される照明で、複数の焦点面で掃引しデータを収集するように動作し得る。焦点面は、結像光学系を迅速に動かすことなどの機械的手段によって、またはシステムの焦点距離を迅速に変更できる光学コンポーネント(例えば、可変焦点レンズ)を使用することにより、動かし得る。さらに、
図13は第1の焦点面1312および第2の焦点面1314を示しているが、代替実施形態は、特定のシステムの構成、所望の性能能力、およびシステム1300の他の態様との互換性(例えば、照明光学系1320の能力)に基づいて、2つを超える焦点面(例えば、3つ、4つ、5つなど)を有してもよい。システム1300は、本明細書に開示される他の実施形態に従って、1つ以上の検出器(1つ以上の画像検出器を含む)など、明示的に示されていない他の態様をさらに含み得る。
【0085】
この同じ方法を、従来型フローサイトメトリー光学系において使用して被写界深度を拡大し、それによって、粒子配置許容範囲を広げ、かつ通常は浅い被写界深度を有する高倍率で高NAの対物レンズの使用を可能にすることができる。
【0086】
非通常の照明
ほとんどの画像システムでは、照明光はシステムの光軸に対して平行である。特に、画像が周囲の媒体に対して多分のコントラストを提供しない場合、より高いコントラストが必要な用途がある。そのような場合、顕微鏡は、結像軸に対して平行な光を排除するために、サンプルを円錐形の光で照明するなどの構造化照明を使用し得る。これは、照明に軸対称の円錐光を使用することでなされ得る。
【0087】
図14に示すように、動作中、システム1400は粒子1430を含み得る。システム1400は、粒子1430を照明するように構成された照明源1410と、粒子1430の照明から生じる信号を収集するように構成された画像検出器1420とを備える。粒子1430を、撮像システムの光軸と平行ではなく(斜め入射)かつその軸の周りで軸対称ではない光で照明することにより、画像内に影領域を作り出し、それに応じて、画像において細胞/粒子の特徴部に対してコントラストを高めることが可能である。
【0088】
影領域は、細胞構造などの画像内の特徴部に隣接する領域における照明の量を制限することにより、より高いコントラストを生み出すことができる。さらに、軸外照明は、画像検出器に到達する照明光の量も減らし、画像コントラストをさらに高める。影の深さは、2つの軸間のオフセット角度によって制御できる。
【0089】
図14は、照明軸1440が結像軸1450から角度αだけオフセットされている構成を示す。さらに、フローセル中に存在する反響照明が、従来型フローサイトメトリーデータを収集するように設計された調査ゾーンなど、存在する可能性のある他の調査ゾーンから離れるよう案内されるように、照明を誘導することができる。
【0090】
上述のように、
図10~14は、本開示に従う様々な光学コンポーネント構成を示す。
図10~14に示されているコンポーネント構成のいずれも、
図1~9に示されたフローシステム構成のいずれかと共に使用され得ることを理解されたい。
【0091】
例示的な画像
以下の結果は単なる例示であり、本明細書の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
【0092】
本明細書の他所で説明されているように、通常、従来型流量データを収集するためには、比較的高い粒子速度が使用される。そのようなアプローチの1つの特徴は、粒子が調査ゾーンで費やす時間が短いほど、2つの粒子が同時に調査される可能性が低くなり、したがって、誤った結果をもたらすことである。しかしながら、粒子を撮像するためには、粒子の動きを最小限に抑えるために、より低速が有利である。これを、
図15および
図16によって示す。
【0093】
図15は、1マイクロ秒の露出時間で、4m/sで移動する赤血球の撮影された画像を提供する。示されているように、画像は比較的ぼやけており、細胞境界を識別することは困難である。
【0094】
比較すると、
図16は、
図15と同じ設定で撮影された赤血球の画像を提供するが、細胞は、
図15に示した細胞の速度よりも4倍遅い(すなわち、1m/s)速度で移動している。
図16に示すように、
図15の細胞と比較して、動きのぼやけが低減され、細胞の外部境界はより容易に区別可能である。
【0095】
図17および
図18は、(それぞれ)1m/sおよび8m/sの速度で移動するビーズの画像を提供する。示されているように、1m/sで移動するビーズの画像は合焦にあり、容易に識別可能である。対照的に、8m/sで移動するビーズはぼやけている。この試験の基本パラメータは、(i)ビーズ直径:15ミクロン、(ii)速度1または8m/s、(iii)シャッタ時間:1マイクロ秒、(iv)レンズ倍率:50×、(v)構成:明視野;(vi)照明:LED、(viii)画像内の流れは左から右である。
【0096】
図17および
図18では、約1m/sの速度で、ビーズは、シャッタサイクル中に約1ミクロン移動した。8m/sでは、ビーズはシャッタ中に約8ミクロン移動する。ビーズは直径が約15ミクロンであったため、ビーズは、シャッタサイクル中にその直径の半分よりわずかに大きく移動する。本開示に従うシステムは、粒子が、シャッタサイクル中にその直径の4倍未満、またはシャッタサイクル中にその直径の2倍未満、シャッタサイクル中にその直径の約1倍未満、またはさらにシャッタサイクル中の直径の約0.75未満、移動するように構成され得る。
【0097】
例示的な態様
以下の態様は例示にすぎず、本明細書または添付の特許請求の範囲の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
【0098】
態様1.
入口を有し、かつ流体が通って連通するための流路を画定する、フローチャネルと、
第1の照明源および第1の検出モジュールを備える第1の光学系であって、第1の検出モジュールは、第1の照明源によるフローチャネルの第1の領域の照明に関係する信号を受信するように配置され、第1の領域は、フローチャネルの入口から第1の距離に位置する、第1の光学系と、
第2の照明源および第2の検出モジュールを備える第2の光学系であって、第2の検出モジュールは、第2の照明源によるフローチャネルの第2の領域の照明に関係する信号を受信するように配置され、第2の領域は、フローチャネルの入口から第2の距離に位置し、第2の距離は第1の距離よりも大きい、第2の光学系と
を備えるシステムであって、
(a)フローチャネルの第1の領域は第1の断面積を画定し、フローチャネルの第2の領域は第2の断面積を画定し、第1および第2の断面積は、面積、形状、もしくは面積および形状の両方の点で互いに異なるか、または
(b)(i)システムは、フローチャネルの入口とフローチャネルの第1の領域との間でフローチャネルに進入する導管を備えるか、(ii)システムは、フローチャネルの第1の領域と第2の領域との間でフローチャネルに進入する導管を備えるか、もしくは(i)および(ii)の両方であり、
(c)システムは、流路内の粒子の速度を変調するように構成された流量変調器を備えるか、または
(d)システムは、場モジュールをさらに備え、場モジュールは、フローチャネル内の流れ中にあり場に対する感度の高い少なくとも一部の粒子をフローチャネル内の流れ中の粒子速度の速度流線S0からフローチャネル内の流れ中の粒子速度の速度流線S1まで移動させるようにフローチャネルのある領域において場を増減するように構成され、フローチャネルの第1の領域と第2の領域との間で、システム動作中のS0における粒子速度はS1における粒子速度と異なるか、あるいは
(a)、(b)、(c)、または(d)の任意の組み合わせである、
システム。
【0099】
フローチャネルは円形断面を有し得るが、楕円形、多角形、または不規則な断面でもよい。長方形または正方形の断面が特に適していると見なされるが、要求はされない。チャネルは、約50マイクロメートル~約10,000マイクロメートルの範囲の断面寸法(例えば、直径)を有し得る。
【0100】
適切な第1の照明および検出モジュールは、本明細書の他所に記載されている。
【0101】
システムの第1の領域は、第1の照明源と第1の検出モジュールとの間に配置されたフローチャネルの領域、例えば、粒子が第1の照明源により照明され得、かつその照明(または蛍光などのそれに関係する信号)が第1の検出モジュールによって検出され得る、フローチャネルのセクションであり得る。
【0102】
同様に、システムの第2の領域は、第2の照明源と第2の検出モジュールとの間に配置されるフローチャネルの領域、例えば、粒子が第2の照明源によって照明され得、かつその照明(または蛍光などのそれに関係する信号)が第2の検出モジュールによって検出され得る、フローチャネルのセクションであり得る。
【0103】
第1の領域および第2の領域は、フローチャネルの入口から、フローチャネルに沿って測定して、異なる距離に適切に配置される。第1の領域と第2の領域との間の分離は、例えば、約100マイクロメートル~約10mmであってもよいが、これは要件ではない。
【0104】
いくつかの実施形態では、第2の領域は、第1の領域に対して下流として説明され得る。いくつかの実施形態では、第1の領域は、第2の領域に対して下流として説明され得る。本明細書の他所で説明されるように、フローチャネルは、胴部から2つ以上のフロー分岐に分岐し得る。あるいは、フローチャネルは、2つ以上の分岐から胴部に収束し得る。胴部における流量は、分岐部における流量とは異なり得る。
【0105】
態様2.第1および第2の断面積は、互いに面積が異なり、第1の断面積と第2の断面積との比は、1:1を除く、約100:1~約1:100である、態様1に記載のシステム。いくつかの非限定的な例として、第1の断面積と第2の断面積との比は、約100:1~約1:100、または約98:1~約1:98、または約90:1~約1:90、または約80:1~約1:80、または約70:1~約1:70、または約60:1~約1:60、または約50:1~約1:50、または約40:1~約1:40、または約30:1~約1:30、または約20:1~約1:20、または約10:1~約1:10、または約8:1~約1:8、または約6:1~約1:6、または約5:1~約1:5、または約4:1~約1:4、または約3:1~約1:3、または約2:1~約1:2、または約1.8:1~約1:1.8、または約1.5:1~約1:1.5、または約1.3:1~約1:1.3、または約1.1:1~約1:1.1であり得る。
【0106】
このようにして、システムは、動作中に、第1の領域と第2の領域とで異なる粒子速度を生じさせる。一実施形態では、粒子は、速度v1で第1の領域を通過し、次いで、速度v2で第2の領域を通過し得、ここで、第1の領域のフローチャネルの断面積は、第2の領域のフローチャネルの断面積よりも大きいので、v2<v1である。より高速度とは、例えば、より低速度の1.0001倍~約1000倍、またはより低速度の1.001倍~約100倍、またはより低速度の1.01倍~約10倍、またはより低速度の約1.01倍~約5であり得る。
【0107】
態様3.フローチャネルは主軸を画定する、態様1~2のいずれか1つに記載のシステム。これは、例えば、円筒形フローチャネルにおいて、主軸が円筒形チャネルの中心軸である場合であり得る。
【0108】
態様4.第1および第2の照明源のうちの少なくとも一方は、フローチャネルの主軸に対して本質的に平行な照明を提供するように構成されている、態様3に記載のシステム。いくつかの実施形態では、第1および第2の照明源のうちの少なくとも一方は、フローチャネルの主軸に本質的に垂直な照明を提供するように構成される。もちろん、照明は、フローチャネルの主軸に対して平行と垂直との間の角度であってもよい。ほんの数例として、照明は、フローチャネルの主軸に対して、約1度~約89度、またはフローチャネルの主軸に対して約3度~約86度、またはフローチャネルの主軸に対して約7度~約81度、またはフローチャネルの主軸に対して約11度~約77度、またはフローチャネルの主軸に対して約17度~約70度、またはフローチャネルの主軸に対して約23度~約65度、またはフローチャネルの主軸に対して約30度~約58度、またはフローチャネルの主軸に対して約37度~約50度、またはフローチャネルの主軸に対して約40度~約44度であり得る。
【0109】
態様5.流路は、少なくとも部分的に非線形である、態様1~4のいずれか1つに記載のシステム。そのような流路は、例えば、湾曲していても、屈曲していても、またはさらに角を含んでいてもよい。(1つのそのような実施形態を
図5に示し、この図は、フローチャネル520に非線形の屈曲流路を提供する。)流路は、90度未満、80度未満、70度未満、60度未満、50度未満、40度未満、30度未満、20度未満、または10度未満の屈曲またはよじれを含み得る。
【0110】
流路は、単一のチャネルから複数のチャネルに分岐してもよく、また、複数のチャネルからより少ないチャネル、またはさらに単一のチャネルに収束してもよい。
【0111】
態様6.フローチャネルと流体連通する粒子セパレータをさらに備える、態様1~5のいずれか1つに記載のシステム。
【0112】
態様7.セパレータは、粒子サイズ、粒子形状、粒子質量、1つ以上の粒子に関連付けられた信号、またはこれらの任意の組み合わせに基づいて粒子を迂回させるように構成されている、態様6に記載のシステム。適切なこのようなセパレータは、当業者に知られている。いくつかの例示的なセパレータには、例えば、単一細胞選別、蛍光活性化細胞選別、磁気細胞選別、浮力活性化細胞選別などが含まれる。
【0113】
態様8.セパレータは、1つ以上の粒子に関連付けられた信号に基づいてフローチャネル内の粒子を迂回させるように構成されている、態様7に記載のシステム。一例として、セパレータは、特定の波長または波長範囲で少なくとも特定の強度の蛍光を示す粒子を迂回させるように構成され得る。
【0114】
態様9.システムは、分離された粒子の1つ以上の画像を収集するように構成されている、態様6~8のいずれか1つに記載のシステム。例えば、システムは、代替のフローチャネルまたはフローストリームに迂回される粒子を撮像するように構成されたデバイス(例えば、カメラ、CCD)を有し得る。
【0115】
態様10.第1または第2の検出モジュールのうちの少なくとも一方は、複数の検出器を備える、態様1~9のいずれか1つに記載のシステム。
【0116】
態様11.少なくとも1つの検出モジュールと光通信状態である光反射器、光スプリッタ、または両方をさらに備える、態様1~10のいずれか1つに記載のシステム。
【0117】
図11は、例示的なそのようなシステムを提供する。
図11に示すように、例示的なシステムは、画像検出器1150および画像検出器1170と光通信状態である(反射および分割特性を有する)ダイクロイックミラー1140を含み得る。
【0118】
態様12.第1または第2の光学系のうちの一方または両方は、フローチャネル内の2つ以上の平面で撮像を行うように構成されている、態様1~11のいずれか1つに記載のシステム。
【0119】
態様13.第1または第2の光学系のうちの一方または両方は、2つ以上の焦点面で画像を収集するように構成されている、態様12に記載のシステム。
【0120】
態様14.第1または第2の光学系のうちの一方または両方は、2つ以上の平面に照明を合焦させるように構成されている、態様12~13のいずれか1つに記載のシステム。
【0121】
態様15.第1の光学系は、第1の照明源からの照明軸が第1の検出モジュールから、ある角度でオフセットされるように構成されるか、第2の光学系は、第2の照明源からの照明軸が第2の検出モジュールから、ある角度でオフセットされるように構成されるか、または両方である、態様1~12のいずれか1つに記載のシステム。オフセット角は、例えば、約1~約90度、例えば、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、またはさらに約90度であってもよい。
【0122】
態様16.第1の照明源、第2の照明源、または両方は、レーザー、ランプ、発光ダイオード(LED)などを備える、態様1~15のいずれか1つに記載のシステム。
【0123】
態様17.第1の検出モジュール、第2の検出モジュール、または両方は、光電子増倍管(PMT)、アバランシェフォトダイオード(APD)、カメラ、シリコン光電子増倍管(SiPM)などを備える、態様1~16のいずれか1つに記載のシステム。
【0124】
態様18.システムは、第1の光学系によって収集される信号に、(a)第2の光学系の動作、(b)存在する場合はセパレータの動作、または(a)および(b)の両方が関係するように構成されている、態様1~17のいずれか1つに記載のシステム。
【0125】
態様19.場モジュールは、磁場、電場、音響場、またはこれらの任意の組み合わせの供給源を備える、態様1~18のいずれか1つに記載のシステム。
【0126】
態様20.
粒子集団をフローチャネルに流すことと、
第1の光学系を用いて、フローチャネルの第1の領域で、粒子集団の少なくとも一部を照明し、照明に関係する第1の信号またはその欠如を収集することと、
第2の光学系を用いて、フローチャネルの第2の領域で、粒子集団の少なくとも一部を照明し、照明に関係する第2の信号またはその欠如を収集することと
を含む方法であって、
フローチャネルの第1の領域における粒子速度は、フローチャネルの第2の領域における粒子速度とは異なり、
第1の信号は、第2の信号とは異なる、
方法。
【0127】
いくつかの実施形態では、第1および第2の信号は、強度、波長、または両方において異なる。一例として、1つの信号は染料の励起に関係する蛍光信号であり、別の信号は可視光下で集められた通話の視覚画像であり得る。別の例として、1つの信号は第1の染料の励起に関係する蛍光信号であり得、別の信号は第2の異なる染料の励起に関係する蛍光信号であり得る。
【0128】
さらに別の例では、第1の検出器は、第1の照明器からの照明を受ける領域に位置する第1の染料の蛍光に関係する信号を収集し得る。第2の検出器は、第2の照明器からの照明を受ける領域に位置する第2の染料の蛍光に関係する光子の不在を検出し得、この光子の不在は信号と見なされ得る。
【0129】
態様21.フローチャネルの第1の領域の断面積は、フローチャネルの第2の領域の断面積とは、面積、形状、または両方の点で異なる、態様20に記載の方法。
【0130】
態様22.フローチャネルの第1の領域と第2の領域との間の位置で、流体を導入することまたはフローチャネルから除去することをさらに含む、態様20~21のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
流体は、第2の領域の流体の体積流量と第1の領域の体積流量との比が、例えば、1.0001:1~約5:1、10:1、20:1、またはさらに約40:1であり得る。流体は、第2の領域の流体の体積流量と第1の領域の体積流量との比が、例えば1:1.0001~約1:5、1:10、1:20、またはさらに約1:40であり得る。
【0132】
第1および第2の領域での粒子の調査時間は変化し得、約0.1マイクロ秒から、例えば1ミリ秒またはさらに数十ミリ秒であり得る。一例として、粒子から蛍光信号を収集するためのレーザー調査は、1マイクロ秒~数十マイクロ秒の範囲の調査時間を有し得る。粒子の標準画像を収集するための可視光調査は、1ミリ秒~数十ミリ秒の範囲の調査時間を有し得る。第1の領域における粒子調査時間と第2の領域における粒子調査時間との比は、例えば、約1:100,000~約100,000:1(例えば、10,000:1~1:10,000)の範囲で、かつすべての中間値であり得る。
【0133】
態様23.フローチャネルは主軸を画定する、態様20~22のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
態様24.フローチャネルの第1の領域で粒子集団の少なくとも一部を照明すること、フローチャネルの第2の領域で粒子集団の少なくとも一部を照明すること、または両方は、主軸に対して本質的に平行な照明によって行われる、態様23に記載の方法。
【0135】
態様25.フローチャネルは、少なくとも部分的に非線形の流路を画定する、態様20~24のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
側面26.第1の信号、第2の信号、または両方に基づいて粒子集団の少なくとも一部を分離することをさらに含む、態様20~25のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
態様27.1つ以上の分離された粒子の画像を収集することをさらに含む、態様20~26のいずれか1つに記載の方法。これは、分離基準を満たした、または分離基準を満たさなかった粒子の1つ以上の画像を収集することを含み得ることを理解されたい。
【0138】
態様28.照明反射器、照明スプリッタ、または両方を用いて、第1の光学系からの照明を方向付けることをさらに含む、態様20~27のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
態様29.照明反射器、照明スプリッタ、または両方を用いて、第2の光学系からの照明を方向付けることをさらに含む、態様20~28のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
態様30.フローチャネル内の2つ以上の平面で信号を収集するように第1の光学系、第2の光学系、または両方を動作させることをさらに含む、態様20~29のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
態様31.フローチャネル内の2つ以上の平面に照明を合焦させるように第1の光学系、第2の光学系、または両方を動作させることをさらに含む、態様20~30のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
態様32.第1の光学系の照明源からの照明軸は、第1の光学系の検出モジュールから、ある角度でオフセットされるか、第2の光学系の照明源からの照明は、第2の光学系の検出モジュールから、ある角度でオフセットされるか、または両方である、態様20~31のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
態様33.第1の信号、第2の信号、または両方は、蛍光信号、蛍光画像、発光画像、位相コントラスト画像、ホログラフィック画像、明視野画像、暗視野画像、散乱信号、またはこれらの任意の組み合わせである、態様20~32のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
態様34.第2の光学系の動作は、第1の光学系によって収集された第1の信号に関係する、態様20~33のいずれか1つに記載の方法。一例として、第2の光学系は、特定の閾値信号(例えば、所定レベルの蛍光)が第1の光学系によって収集されない限り、照明または検出するように動作しなくてもよい。このようにして、第2の光学系は、第1の光学系によって収集される1つ以上の基準を満たした細胞または他の粒子に関する情報のみを収集するように動作し得る。
【0145】
態様35.第1の信号、第2の信号、または両方を、粒子集団のうちの少なくとも1つの1つ以上の特性に相関させることをさらに含む、態様20~34のいずれか1つに記載の方法。一例として、本明細書の他所で説明するように、特定の染料の存在を細胞の生/死の状態に相関させてもよい。また、例えば、信号(例えば、蛍光)の強度を細胞内のマーカーまたは他の染料のレベルに相関させてもよい。
【0146】
態様36.粒子集団は、第1の領域では第1の流体流量で、かつ第2の領域では第2の流体流量で流れ、第1の流体流量と第2の流体流量との比は、1:1を除く、約40:1~約1:40である、態様20~35のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
(第1または第2の領域における)例示的な粒子速度は、例えば、センチメートル/秒~数十メートル/秒の範囲、例えば、約0.1m/s~約10m/s、約0.5~約5m/s、約1~約2..5m/s、またはさらに約1.5m/sであり得る。
【0148】
また、特定の理論に縛られるものではないが、開示されたシステムは、例えば、約10μl/分(マイクロリットル/分)~毎分約1000μlの体積流量で動作し得る。約10~約1000μl/分、または約50~約700μl/分、または約100~約500μl/分、または約200~約400μl/分の流量はすべて適切と考えられる。
【0149】
本開示に従うシステムは、例えば、約10~約100,000細胞/秒の速度で動作し得る。約10~約100,000細胞/秒、または約50~約50,000細胞/秒、または約100~約10,000細胞/秒、またはさらに約500~約5,000細胞/秒の速度はすべて適切と考えられる。
【0150】
また、本開示に従うシステムは、約10~約100,000事象/秒の速度で動作し得ることも理解されるべきである。約10~約100,000事象/秒、または約50~約50,000事象/秒、または約100~約10,000事象/秒、またはさらに約500~約5,000事象/秒の速度はすべて適切と考えられる。選別および/またはゲーティングの適用により、システムは、サンプル中の特定の細胞/粒子を除外し、非除外細胞/粒子のみを分析して、サンプルのサブ集団のみにシステム資源を利用するように構成できる。ほんの一例として、システムが1秒あたり50,000事象で動作できる場合、システムは500,000細胞の母集団を分析するのに10秒を要する。しかしながら、システムがサンプル中の細胞の50%を除外するように構成されている場合、システムはわずか5秒で250.000個の対象の細胞を分析できる。
【0151】
態様37.
フローチャネルを通じて、フローチャネルの第1の領域からフローチャネルの第2の領域に向かう方向で、粒子集団を連通させることと、
第1の光学系を用いて、フローチャネルの第1の領域で粒子集団の少なくとも一部を照明し、照明に関係する第1の信号を収集することと、
第2の光学系を用いて、フローチャネルの第2の領域で粒子集団の少なくとも一部を照明し、照明に関係する第2の信号を収集することと、
粒子のサブセットにおいて、フローチャネルの第1の領域と第2の領域との間で場を増減させることと
を含む方法であって、
場は、フローチャネル内の粒子速度の速度流線S0からフローチャネル内の粒子速度の速度流線S1へと粒子のサブセットを移動させるように増減され、S0における粒子速度はS1における粒子速度とは異なる、
方法。
【0152】
特定の理論に縛られるものではないが、これは、フローチャネルの中心にある第1の速度流線からフローチャネルの壁にある第2の速度流線へ(電界の影響を受ける)粒子を移動させるように実行され得るが、ここで、標準ポアズイユの法則によれば、フローチャネルの中心の流れに比べて、壁での流れは比較的遅い。このようにして、粒子は、フローチャネルの壁の近くに移動すると、第1の領域を通過するときの速度よりも遅い速度で第2の領域を通過し得る。
【0153】
態様38.場は、磁場、電場、音響場、重力場、誘電場、またはこれらの任意の組み合わせの場を含む、態様37に記載の方法。
【0154】
態様39.粒子のサブセットを場に対する感度の高いエンティティに結合することをさらに含む、態様37~38のいずれか1つに記載の方法。例示的なエンティティには、例えば、磁性粒子、異なる誘電特性を有する粒子、異なる密度を有する粒子、および異なる圧縮率を有する粒子が含まれる。
【0155】
態様40.エンティティは、磁性粒子を含む、態様39に記載の方法。
【0156】
態様41.エンティティは誘電体粒子を含む、態様39に記載の方法。
【0157】
態様42.粒子の集団を態様1~19のいずれか1つに従うシステムを通して流すことを含む方法。
【0158】
態様43.態様1~19のいずれか1つに従ってシステムを動作させることを含む方法。
【外国語明細書】