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特開2024-73508運動関連の神経疾患を治療する、および/または診断するための発光装置
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  • 特開-運動関連の神経疾患を治療する、および/または診断するための発光装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073508
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】運動関連の神経疾患を治療する、および/または診断するための発光装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20240522BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
A61B10/00 Y
A61B10/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024034923
(22)【出願日】2024-03-07
(62)【分割の表示】P 2022076149の分割
【原出願日】2012-05-31
(31)【優先権主張番号】61/491,864
(32)【優先日】2011-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513304079
【氏名又は名称】フォトファーミクス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】サヴェージ,ケント・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】アダムス,ダニエル・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリス,グレゴリー・リン
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA02
4C082PE02
4C082PE10
4C082PG05
4C082PG16
4C082PJ03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】少なくとも1つの運動関連の神経疾患に対処する、および/または診断するように調整された光を放出する装置を提供する。
【解決手段】運動関連の神経疾患を患っている患者に光治療を施すための発光装置10であって、運動関連の神経疾患を治療する波長にて強度ピークを有する可視光の少なくとも1つの第1の帯域幅を環境より高い強度で放出する一方、可視光の少なくとも1つの第2の帯域幅を環境より低い強度で放出するための少なくとも1つの光源30を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動関連の神経疾患を患っている患者に光治療を施すための装置において、
運動関連の神経疾患を治療する波長にて強度ピークを有する可視光の少なくとも1つの第1の帯域幅を環境より高い強度で放出する一方、可視光の少なくとも1つの第2の帯域幅を環境より低い強度で放出するための少なくとも1つの光源を含む、装置。
【請求項2】
前記可視光の少なくとも1つの第2の波長の前記環境より低い強度は、少なくとも1つの前記運動関連の神経疾患の少なくとも1つの症状を悪化させる程ではない、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の帯域幅は、可視光の複数の帯域幅を含み、
各第1の帯域幅は、運動関連の神経疾患を治療する波長にて強度ピークを有する、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記可視光の少なくとも1つの第1の波長は、可視光の青色~緑色の波長および可視光の緑色波長の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1の波長は、ピークを460nm~570nmの範囲中に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記可視光の少なくとも1つの第2の波長は、可視光のアンバー色波長、可視光のオレンジ色波長および可視光の赤色波長の少なくとも1つを含む、請求項1、4または5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第2の波長は、ピークを575nm~750nmの範囲中に含む、請求項1、4または5のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの光源は、
前記可視光の少なくとも1つの第1の波長および前記可視光の少なくとも1つの第2の波長を発生する少なくとも1つの多色光の源と、
前記多色光の源が発生する前記可視光の少なくとも1つの第2の波長が、前記少なくとも1つの光源によって放出されないように防止するための少なくとも1つのフィルタとを含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記多色光の源は、白色光の源を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの光源は、少なくとも1つの緑色光の光源をさらに含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
また、前記少なくとも1つの光源は、少なくとも1つの運動関連の神経疾患の少なくとも1つの症状を悪化させるのに十分な環境より高い強度で、可視光の少なくとも別のピークを含む可視光を放出する一方、前記運動関連の神経疾患を治療する可視光の前記少なくとも1つのピークの光を前記環境より低い強度で放出する、またはまったく放出しないように構成される、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項12】
前記運動関連の神経疾患を治療する前記可視光の少なくとも1つのピークの光の前記環境より低い強度、またはその光がまったく存在しないことは、前記運動関連の神経疾患を治療する程ではない、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記光源に、前記少なくとも1つのピークを含む可視光および前記少なくとも別のピークを含む可視光の1つだけを選択的に放出させるためのコントロール要素をさらに含む、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つの運動関連の神経疾患を診断するための装置であって、
少なくとも1つの運動関連の神経疾患の症状を悪化させる波長を有する少なくとも1つのピークを含む可視光を、前記少なくとも1つの運動関連の神経疾患の症状を増進させることになる強度で放出するように構成され、かつ、
前記少なくとも1つの運動関連の神経疾患を治療するための波長を有する少なくとも別のピークを含む可視光の、前記少なくとも1つの運動関連の神経疾患を治療することになる強度での放出を軽減させる、または防止するように構成される少なくとも1つの光源を含む、装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つのピークは、波長が570nmより長く、前記少なくとも別のピークは、波長が570nm以下である、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
「LIGHT-EMITTING APPARATUSES FOR TREATING AND/OR DIAGNOSING MOTOR-RELATED NEUROLOGICAL CONDITIONS」と題する、2011年5月31出願のより早期に出願された米国仮特許出願第61/491,864号に基づき、優先権を主張するものであり、その全体の開示は、本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、一般に、光を放出する装置に関する。詳細には、本発明は、運動関連の神経疾患を診断するように、および/またはそれに対して治療効果を有するように調整された光を放出する装置に関する。本発明の光治療装置は、患者の眼に光を導くように構成することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の発光装置は、光源と、光源を動作させるための電気構成要素と、光源および電気構成要素を搭載するためのハウジングとを含む。さらに、発光装置は、電気構成要素の1つまたは複数と協働しユーザが光源の動作を制御できるようにするコントロールを含むことができる。コントロールは、光源に対する基本的な制御、すなわち光源をオン/オフする能力をユーザに与えることができる。さらに、コントロールは、より複雑な機能を実施する能力をユーザに与えることができ、これらの複雑な機能は、これらに限定されないが光源が放出する光の強度を調節する能力、光源が放出する光のスペクトル(複数可)を調整する能力を含めて光源が放出する光の色(複数可)を調節する能力、および光源が動作する期間を制御する能力の1つまたは複数を含む。
【0004】
いくつかの実施形態では、本発明の発光装置のコントロールは、事前にプログラムされるマイクロコントローラ、1つまたは複数のマイクロプロセッサなど、1つまたは複数の処理要素を含むことができる。本発明の発光装置の処理要素は、発光装置のエレクトロニクスと通信し、光源と間接的に通信する。それによって、処理要素は、光源の動作を制御することができる。本発明の発光装置のコントロールが処理要素を含む実施形態では、また、発光装置は、付随する入力要素および出力要素を含むことができ、いくつかの実施形態では、通信要素を含むことができる。
【0005】
一態様では、本発明は、運動関連の神経疾患に対処するように調整された光を放出するように構成される発光装置を含む。様々な実施形態では、かかる発光装置は、運動関連の神経疾患、運動関連の神経疾患の症状を治療することになる、および/または運動関連の神経疾患の一因となる恐れがある網膜細胞の修復および/または運動関連の神経疾患に関与している可能性があるニューロンの修復を促進することになる所定の波長において少なくとも1つの強度ピークを有する可視光を放出することができる。
【0006】
運動関連の神経疾患またはそれらの症状を治療する波長の実施例は、必ずしもこれらに限定されないが光の青色~緑色の波長および光の緑色波長を含み、それらは、また、簡単化のために、それぞれ本明細書で「青色~緑色の光」および「緑色光」と称する。本発明の範囲を限定せずに、「緑色光」は、光の狭帯域幅(すなわち、可視緑色光の単一波長の光または可視緑色光の波長の狭い範囲の光)を指し、さらにまた、強度ピークが緑色光の1つまたは複数の波長に在る、より広いスペクトル光(たとえば、白色光、他の多色光(すなわち、光のマルチ・カラー)の混合など)を指す。また、「青色~緑色の光」は、光
の狭帯域幅、および強度ピークが青色~緑色の光の1つまたは複数の波長に在る多色光を含む。
【0007】
濃い赤色光および近赤外光(たとえば、650nm~900nmなど)の波長は、ミトコンドリアの修復を活性化することができ、したがって、ミトコンドリアがその一部である網膜細胞および/またはニューロンを含む、細胞の修復を活性化することができる。また、光は、光を使用して眼の網膜細胞および/または黒質のニューロンの修復を活性化することによって、多くの運動関連の神経疾患の症例に対処することができる。
【0008】
発光装置は、可視光(たとえば、青色~緑色の光および/または緑色光、濃い赤色光および/または近赤外放射など)を、1つまたは複数の運動関連の神経疾患またはそれらの症状を治療するレベル(たとえば、強度、光子密度、放射照度など)で放出するように構成することができる。様々な実施形態では、光の1つまたは複数の治癒する力がある波長は、標準的な屋内環境の照明下でそのような波長の対応する、本明細書では「環境レベル」と称するレベルを超えるレベルで、投与することができる。いくつかの実施形態では、光の1つまたは複数の治癒する力がある波長は、標準的な屋内照明下で光のこれらの波長の平均レベルを超えるレベルで投与することができる。これらの平均レベルは、本明細書では「平均環境レベル」と称する。
【0009】
1つまたは複数の運動関連の神経疾患について治療を施すように構成される発光装置は、1つまたは複数の運動関連の神経疾患の症状を和らげる(たとえば、増進させる、悪化させるなど)光の1つまたは複数の波長を、環境より低い強度で放出するように構成することができる。症状を悪化させる波長は、可視赤色波長を含み、また、光の可視のオレンジ色およびアンバー色の波長の1つまたは複数を含むと見なすことができるはずである。いくつかの実施形態では、そのような発光装置は、治癒力のある光を放出することができ、さらに、光の症状を悪化させる波長を、環境より低い強度で放出することができる。他の実施形態では、そのような発光装置は、光の1つまたは複数の症状を悪化させる波長をまったく放出することなく、または実質的に放出することなく、治癒力のある光を放出することができる。
【0010】
発光装置が、光の1つまたは複数の治癒力のある波長を、環境より高いレベルで放出するように構成されるいくつかの実施形態では、発光装置は、光の1つまたは複数の症状を悪化させる波長を、環境レベルで、またはそれより低いレベルで放出することができる。他の実施形態では、発光装置は、治癒力のある光の1つまたは複数の波長を、環境より高いレベルで放出することができ、さらにまた、光の少なくとも1つの症状を増進させる波長の光を実質的に放出しない、または光の少なくとも1つの症状を増進させる波長の光をまったく放出しないことができる。したがって、光源は、少なくとも1つの運動関連の神経疾患に対処する光の1つまたは複数の波長と、少なくとも1つの運動関連の神経疾患の症状を明らかにしない、または悪化させない光とだけからなる光、またはそれらからなる光さえ放出するように構成することができる。
【0011】
別の態様では、本発明の発光装置は、運動関連の神経疾患の早期診断を容易にするように構成することができる。そのような装置の様々な実施形態では、環境より高いレベルで、アンバー色、オレンジ色および/または赤色の光が放出される。光の1つまたは複数の症状を悪化させる波長は、運動関連の神経疾患を表している恐れがあるいくつかの症状(早期の症状を含む)を現す患者に、環境より高いレベルで投与することができるが、しかし、それは、運動関連の神経疾患の確かな診断を提示するものでない。症状を悪化させる環境より高いレベルの光の1つまたは複数の波長をそのような患者に投与すると、患者の症状がより顕著にすることができ、または患者に、これまで現れていない症状を一時的に現させることができ、それによって、運動関連の神経疾患をより早期に診断することがで
きる。環境より高いレベルの光の1つまたは複数の症状を悪化させる波長が病気にかかり易い患者に施されると、1つまたは複数の運動関連の神経疾患は、少なくとも1つの運動関連の神経疾患の症状を現す可能性があり、それによって、そうでなければ症状がない患者の運動関連の神経疾患を診断することができる。
【0012】
診断する目的で、たとえば、患者が病気にかかり易い、または少なくとも1つの運動関連の神経疾患を患っていると考えられる場合、その患者に少なくとも1つの運動関連の神経疾患の症状を現させる1つまたは複数の波長を放出するように、発光装置が構成される実施形態では、診断装置の光源は、症状を増進させる波長を打ち消さない光の波長とともに、光の1つまたは複数の症状を増進させる波長だけからなる光、またはそれらからなる光さえ放出するように構成することができる。そのような診断装置は、少なくとも1つの運動関連の神経疾患を癒す力がある光の波長をまったく放出してはいけない、少なくとも1つの運動関連の神経疾患を癒す力がある光の波長を実質的に放出してはいけない、あるいは、少なくとも1つの運動関連の神経疾患を癒す力がある光のいずれかの波長の環境より低い量でさえ、実質的に放出してはいけない。
【0013】
本発明の様々な態様の、さらにまた本発明の他の態様の他の特徴および利点は、次の記述、添付図面および添付の請求項を検討すると、当業者に明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】少なくとも1つの運動関連の神経疾患を患っている患者に治療効果をもたらす少なくとも1つの波長の光を供給するように、発光装置が構成される、本発明による発光装置の実施形態を表す図である。
図2A】異なる色または帯域幅の発光要素が異なって構成される光源を例示する図である。
図2B】異なる色または帯域幅の発光要素が異なって構成される光源を例示する図である。
図2C】異なる色または帯域幅の発光要素が異なって構成される光源を例示する図である。
図3】多色光を放出する光源を含む発光装置の実施形態を描く図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の教示を組み込んだ発光装置10の概略図を提示する。大まかに言えば、本発明の発光装置10は、光源30と、光源30に付随する1つまたは複数のコントロールとを含む。光源30は、1つまたは複数の発光要素32を含むことができ、そのそれぞれが、当技術分野で知られている、いずれもの適切なタイプの発光デバイス(たとえば、発光ダイオード(LED)、蛍光ランプ、冷陰極蛍光ランプ(CCFL:cold cathode
fluorescent lamp)など)を含むことができる。集団で、光源30の発光要素32は、
1つまたは複数の所望の波長の光を放出するように構成することができ、それぞれの波長が、環境より高い強度または光子密度である。
【0016】
様々な実施形態では、発光装置10の光源30は、1つまたは複数の運動関連の神経疾患に対処するように調整された光の1つまたは複数の波長を、環境より高いレベルまたは強度、光子密度または放射照度で放出するように構成される。いくつかの実施形態では、光源30によって放出される光は、運動関連の神経疾患の1つまたは複数の第1期の症状に対処するように調整することができる。また、光源30によって放出される光は、運動関連の神経疾患の1つまたは複数の第2期の症状(たとえば、不安、鬱病、不眠症、過眠症など)に対処するように調整することができる。さらに、光源30によって放出される光は、運動関連の神経疾患の1つまたは複数の第1期の、または第2期の症状を悪化させることができる光の波長を除外する、または少なくとも環境より低い量で含むように調整
することができる。
【0017】
参考として、光の様々な波長のレベルは、本開示のために、そのレベルが、標準の屋内照明中に存在する光の同じ波長の同じレベルを超えるとき、「環境より高い」と見なす。逆に、本開示のために、光の様々な波長のレベルは、そのレベルが、標準の屋内照明中に存在する光の同じ波長の同じレベルより低いとき、「環境より低い」と見なす。標準の屋内照明は、一般に、いわゆる「白色光」であり、より正確には、強度が50ルクス~500ルクスである「多色光」として言及される。用語「環境(ambient)」は、光の1つま
たは複数の波長のレベルの文脈で使用するとき、1つの環境強度(たとえば、50ルクス、500ルクスおよび50ルクス~500ルクスの間の強度など)で特定のタイプの多色光中に存在する光の様々な波長のレベル、2つ以上の環境強度で1つまたは複数のタイプの多色光中に存在する光の様々な波長の平均レベル、あるいは1つまたは複数の源からの多色光の環境強度の範囲の上側端部と下側端部とにおける1つまたは複数の波長の上側および下側レベルを指すことができる。
【0018】
約50ルクスで、標準屋内照明(白熱灯および/または蛍光灯)は、3.70×1013photons/cm/sの全体的な光子密度および13.2μW/cm(または1.32×10-5W/cm)の全体的な放射照度を有する。約50ルクスの標準屋内照明のスペクトルの青色~緑色(たとえば、460nm~570nmなど)の部分は、1.35×1013photons/cm/sの光子密度および5.1μW/cmの放射照度を有する。これらの値、さらにまた約50ルクスの強度を有する標準屋内照明中の青色~緑色のより狭い波長範囲の光子密度および放射照度は、次に表中に含まれている。
【0019】
【表1】
【0020】
約50ルクスの標準屋内照明のスペクトルのアンバー色~赤色(たとえば、570nm~640nmなど)の部分は、約24ルクスの強度、2.04×1013photons/cm/sの光子密度および6.7μW/cmの放射照度を有する。約50ルクスである標準屋内照明中のアンバー色~赤色の光の放射照度は、約50ルクスである標準屋内照明の青色~緑色の「有効」スペクトルの放射照度を超える。
【0021】
約500ルクスでは、標準屋内照明の全体的な放射照度は、3.69×1014photons/cm/sであり、標準屋内照明の全体的な放射照度は、133.5μW/cmである。約500ルクスでは、標準屋内照明のスペクトルの青色~緑色の部分は、1.53×1014photons/cm/sの光子密度および58.4μW/cmの放射照度を有する。これらの値、さらにまた約500ルクスの強度を有する標準屋内照明中の青色~緑色のより狭い波長範囲の光子密度および放射照度は、次に表中に含まれる。
【0022】
【表2】
【0023】
約500ルクスの標準屋内照明のスペクトルのアンバー色~赤色に部分は、約225ルクスの強度、1.85×1014photons/cm/sの光子密度および60.4μW/cmの放射照度を有する。約500ルクスでの標準屋内照明中のアンバー色~赤色の光の放射照度は、約500ルクスでの標準屋内照明の青色~緑色の「有効」スペクトルの放射照度を超える。
【0024】
前述事項に基づき、「環境」が、約50ルクスの多色光中の光の1つまたは複数の帯域幅のレベルと、約500ルクスの多色光中の光の同じ帯域幅(複数可)のレベルとの平均を含むとき、表1および2で述べた帯域幅の環境レベルは、表3で識別される標準屋内照明に関する環境値を含むことができる。
【0025】
【表3】
【0026】
標準屋内照明の環境のスペクトルのアンバー色~赤色の部分は、約125ルクスの強度、1.03×1014photons/cm/sの光子密度および33.6μW/cmの放射照度を有する。平均強度の標準屋内照明中でのアンバー色~赤色の光の放射照度は、平均強度での標準屋内照明の青色~緑色の「有効」スペクトルの放射照度を超える。
【0027】
平均の観点から「環境」を定義することに対する代替として、「環境」光は、強度、光子密度および/または放射照度、またはエネルギーの所定の範囲内の多色光を、そのような範囲内の多色光の様々な帯域幅内の所定のレベルの光とともに、含むことができる。光
の様々な波長のレベルは、そのレベルが、所定の環境範囲中の光の同じ波長の同じレベルを超えるとき、「環境より高い」と見なすことができる。逆に、光の様々な波長のレベルは、そのレベルが、その所定の環境範囲中に存在する光の同じ波長の同じレベルより低いとき、「環境より低い」と見なすことができる。本開示のために、「環境」レベルの下側端部は、約50ルクスの多色光中に存在する各波長範囲の所定のレベルを含むことができ、一方、「環境」レベルの上側端部は、約500ルクスの多色光中に存在する様々な波長範囲の所定のレベルを含む。環境のこの定義によれば、環境より低いレベルは、約50ルクスより低いレベルを含むことになるはずであり、一方、環境より高いレベルは、約500ルクスより高いレベルを含むことになるはずである。
【0028】
基準点として、白熱灯の屋内照明は、約50ルクス~約500ルクスの全体的な環境強度を有し、いくらかの緑色光とともに、光のアンバー色および赤色の波長から主として構成される。緑色光は、白熱灯の屋内照明から出力されるスペクトルのわずかな部分だけを作り上げる。したがって、白熱灯の屋内照明中に存在する緑色の波長の強度は、200ルクスより著しく低い。蛍光灯の屋内照明は、水銀の特徴的な性質を有し、3つの強度ピークを備える;つまり、第1のピークは、藍色~濃い青色の範囲(435nm~436nm)中に存在し、第2のピークは、緑色~黄色の範囲(540nm~560nm)中に存在し、そして第3のピークは、580nm~640nmの赤色波長に存在する。白熱灯の屋内照明と同様に、蛍光灯の屋内照明の強度は、単に約50ルクス~約500ルクスである。そのような光の濃い青色および緑色~黄色のピークは、もちろん、蛍光灯の屋内照明から出力される光の全体的な強度ほど強くない。
【0029】
青色波長(たとえば、最小波長が460nmなど)から青色~緑色の波長(たとえば、最小波長が490nmなど)から緑色波長(たとえば、最大波長が570nmなど)の範囲内の光は、環境より高いレベルで患者の眼に投与されたとき(すなわち、眼に関して)、運動関連の神経疾患、ならびにそれらの第1期の、および第2期の症状の両方を含む、症状に対して陽性の、または有益な効果を有する。たとえば、「METHODS FOR
PREVENTING AND TREATING MOTOR-RELATED NEUROLOGICAL CONDITIONS」と題する、2011年5月31日出願の米国仮特許出願第61/491,860号(「860出願」と称する)を参照されたい、そしてその全体の開示は、本明細書に援用する。波長の青色~緑色から緑色の範囲内のいずれかの場所に中心を置く環境より高い強度ピークを含む光の投与は、運動関連の神経疾患を患っている患者のためになるはずであると考えられる。
【0030】
環境より高いレベルで光のこれら波長のいずれかを眼に関して投与することは、患者の身体中のドーパミン作動性の応答を活性化することができ、それによって、いくつかの症例で、1つまたは複数のモノアミン(たとえば、メラトニン、セロトニン、ドーパミン、派生物および/または前述事項の類似物など)のレベルまたは活性を変化させることができ、患者の脳中の化学物質のバランスを修復することができ(たとえば、患者によるメラトニン生成を適度にさせる(たとえば、減少させるなど)、患者によるドーパミンおよび/またはセロトニンの生成を適度にさせる(たとえば、増加させるなど)など)、修復および/または適度にさせることの程度が、患者に投与される光の波長(複数可)および/またはレベル(複数可)によって決まる。本発明の教示を組み込んだ装置を用いる光治療は、ドーパミン作動性の応答を活性化し、それによって、患者の脳中の1つまたは複数のモノアミン(たとえば、メラトニン、セロトニン、ドーパミンなど)のレベルに関しバランスを修復させる、またはもたらすことができる。簡単化のために、用語「メラトニン」、「セロトニン」および「ドーパミン」は、本明細書で使用する際、それぞれ、メラトニンおよびメラトニンの類似物または派生物、セロトニンおよびセロトニンの類似物、およびドーパミンおよびドーパミンの類似物または派生物を含む。患者の身体内に在る1つまたは複数のモノアミンの量またはレベルは、運動関連の神経疾患に対処するように調節す
ることができる。患者の身体中のモノアミンのレベルの調節は、必ずしもこれらに限定されないが一日の特定の時間に(たとえば、夕方近くに、夕方になど)メラトニンまたはセロトニンのレベルを調節するステップまたはバランスさせるステップを含む。
【0031】
アンバー色波長(たとえば、570nmより長い波長など)~赤色波長(たとえば、650nm、750nmなどの最大波長)の範囲内の光は、環境より高いレベルで患者に眼に関して投与されたとき、患者が患っている可能性があるいずれかの運動関連の神経疾患、あるいはいずれかのそのような運動関連の神経疾患の症状の少なくとも1つを悪化させることができる。たとえば、「860出願」を参照されたい。具体的には、光のアンバー色、オレンジ色および赤色の波長にさらすことによって、運動関連の神経疾患にかかり易い患者および/または1つまたは複数の運動関連の神経疾患を患っているが、まだはっきりとその症状を現していない患者に、運動関連の神経疾患の1つまたは複数の症状を現すようにさせることができる。さらに、患者の眼が、環境より高いレベルで、光のアンバー色~赤色の波長(たとえば、波長が570nmより長く650nmまでの光、波長が570nmより長く750nmまでの光など)に晒されたとき、患者の体によるドーパミン作動性の活動を一時的に抑制することができる(たとえば、患者によるメラトニン生成を高めることができる、患者によるドーパミン生成を抑制することができる、など)。
【0032】
可視光および赤外放射を含む、650nmより長い電磁放射の波長は、ミトコンドリアの修復を推進する、または活性化することができる。眼では、ミトコンドリアの修復を推進する、または活性化することによって、損傷した網膜細胞の修復を促進することができ、その損傷は、運動関連の神経疾患に少なくとも部分的に関与する可能性があり、したがって、運動関連の神経疾患の少なくとも部分的な回避および/または逆転に少なくとも部分的に関与する可能性がある。黒質中では、ミトコンドリアの修復の推進または活性化によって、運動関連の神経疾患に関与する損傷したニューロンの修復を、したがって運動関連の神経疾患の少なくとも部分的な逆転を促進することができる。
【0033】
本明細書に先に示したように、本発明による発光装置10の光源30は、1つまたは複数の事前に定めた比較的狭い周波数帯幅または波長範囲の光を放出するように構成される。光源30は、運動関連の神経疾患またはそのような疾患の少なくとも1つまたは複数の第1期の、および/または第2期の症状に対処するように構成することができる。そのような実施形態では、光源30は、環境より高いレベルで、陽性の方法で運動関連の神経疾患またはその症状のいずれかに対処する光(たとえば、強度ピークが、460nmから570nmに至るまでの範囲中に、490nmから570nmに至るまでの範囲中に、520nmから570nmに至るまでの範囲中に中心を置く、光の少なくとも1つの帯域幅など)を放出するように構成することができる。また、光源30のそのような実施形態は、環境レベルで、または環境より低いレベルで、運動関連の神経疾患またはその症状の1つまたは複数を悪化させることができる光(たとえば、強度ピークが、570nm~650nmに、570nm~750nmに中心を置く光の帯域幅など)を放出するように構成することができる。
【0034】
本発明の発光装置10は、ドーパミン作動性の応答を活性化させるように構成することができ、それによって、患者の身体中の1つまたは複数のモノアミンのレベルを適度にさせることができる(たとえば、患者によるメラトニン、セロトニンおよび/またはドーパミンの生成に影響を及ぼすことによってなど)。そのような発光装置10の光源30は、患者のモノアミンのレベルを所望のように変化させる光を放出するように構成することができる。
【0035】
光源30は、1つまたは複数の運動関連の神経疾患またはそれらの症状に対して治療効果を有する光を放出するように構成することができる。あるモノアミンのレベルの低下は
、これらモノアミンの生成を減少させるようにする患者の身体の活性化によって、またはいずれもの他の方法で生じる可能性がある。同様に、他のモノアミンのレベルの上昇は、これらモノアミンの生成を増加させるようにする患者の身体の活性化によって生じる可能性がある。たとえば、光のある波長は、ドーパミン、セロトニンなどを活性化させることができ、一方メラトニンの生成を抑制する、または減少させることができる。本発明の範囲を限定することなく、所望の治療効果は、強度ピークが、青色~緑色の光(たとえば、460nmから570nmに至るまで)、青色~緑色から緑色の光(たとえば、490nmから570nmに至るまで)または緑色光(たとえば、520nmから570nmに至るまで)の範囲中に中心を置く光の少なくとも1つの帯域幅に、環境より高いレベルで、眼に関して患者をさらすことによって達成することができる。患者のドーパミン作動性の応答のさらなる活性化は、患者の身体によるドーパミン作動性の活性を抑制することができる光(たとえば、570nmから750nmに至るまでの範囲内の光など)を、環境レベルで、または環境より低いレベルで放出するように構成される光源30を用いて達成することができる。非限定の実施例として、光源30によって放出される光は、ドーパミン作動性の応答を活性化することができ、それによって、患者の身体中の1つまたは複数のモノアミンのレベルを変化させる、またはその比率をバランスさせることができる(たとえば、メラトニンのレベルの低下、ドーパミンおよび/またはセロトニンのレベルの上昇など)。
【0036】
いくつかの実施形態では、そのような光源30は、たとえば、患者の身体内のメラトニンのレベルを高める、またはドーパミンまたはセロトニンのレベルを低下させることによってなどで、患者の身体中のモノアミンのレベルを変化させることによって所望の治療効果を悪化させることができる光のいずれかの波長を、環境より高いレベルで放出しないように構成することができる。
【0037】
別の態様では、発光装置10は、患者が被る1つまたは複数の運動関連の神経疾患またはそれらの症状を悪化させるように構成される光源30を含むことができる。限定することなく、光源30は、患者によるドーパミン作動性の応答を一時的に抑制するように構成することができる(たとえば、患者の身体内のメラトニン作動性の活性を高める、患者の身体内のドーパミンのレベルを低下させる、ドーパミン作動性の活性を低下させるなど)。1つまたは複数の運動関連の神経疾患は、ピークが、570nmから750nmに至るまでの範囲中に中心を置く光の少なくとも1つの帯域幅に、患者を眼に関してさらすことによって悪化させることができる。また、この効果は、光の少なくとも1つの帯域幅が570nm~750nmの範囲中でピークに達する光を、その光が460nm~570nmの範囲から隔離される、またはそれより高い光の比を生成するとき、環境レベルで、または環境より低いレベルで用いて達成することができる。いくつかの実施形態では、そのような光源30は、運動関連の神経疾患またはそれらの症状のいずれかを治癒することができる光を、環境より高いレベルで放出しないように構成することができる。他の実施形態では、そのような光源30は、570nm~750nmの光の比が460nm~570nmの光の比より大きい場合、光を放出するように構成することができる。これらの概念のいずれも、患者によるメラトニン生成を活性化し、したがって患者の身体中のメラトニン作動性の応答を高めることに役立つことができる。
【0038】
また別の実施例では、光源30は、患者の身体内の1つまたは複数のモノアミンのレベルを高めることができる(一方、患者の身体中の1つまたは複数の他のモノアミンのレベルを恐らく低下させる)光に、あるいは、患者の身体内の1つまたは複数のモノアミンのレベルを低下させることができる(一方、患者の身体中の1つまたは複数の他のモノアミンのレベルを恐らく高める、またはバランスさせる)光に選択的に患者をさらすことによって、患者の身体内の1つまたは複数のモノアミンのレベルを適度にさせるように構成することができる。
【0039】
発光装置10は、1つまたは複数の運動関連の神経疾患を早期に検出できるようにする光源30を含むことができる。上記に述べたように、光のアンバー色~赤色の波長(たとえば、570nm~650nm、570nm~750nmなど)に患者の眼をさらすことによって、運動関連の神経疾患にかかり易い、または運動関連の神経疾患を患っているが、その症状をまだはっきりと現していない患者に、その疾患の症状を現すようにさせることができる。環境より高いレベルでそのような光を放出することによって、光源30は、そのような患者中の運動関連の神経疾患の1つまたは複数の症状を出て来るようにさせることができる。したがって、本発明の発光装置10は、患者がかかり易い運動関連の神経疾患、または患者が、既に患っている、そうでなければ、はっきりと症状を現していない運動関連の神経疾患を早期に診断することができる光源30を含むことができる。
【0040】
本発明の教示を組み込んでいる発光装置10の光源30は、ミトコンドリアの修復を活性化することができる光の1つまたは複数の波長を放出するように構成することができる。網膜の修復を活性化することによって、本発明の発光装置10によって放出される光の1つまたは複数の波長は、損傷した網膜細胞および/または損傷したニューロンを修復することができると現在考えられている。損傷した網膜細胞の修復は、運動関連の神経疾患を少なくとも部分的に防止する、および/または逆転させることができると現在考えられている。また、黒質のニューロンなど、損傷したニューロンの修復は、運動関連の神経疾患を少なくとも部分的に逆転させることができると現在考えられている。いくつかの実施形態では、そのような光源30は、波長が750nmより長い光を放出するように構成することができ、その光は、濃い赤色の(可視)光およびいくらかの赤外放射(たとえば、赤外放射の波長が、約900nm以下など)を含むことができる。
【0041】
本発明の発光装置10は、単一の結果(たとえば、前述の機能の1つなど)をもたらすことになる光だけを放出する光源30を含むことができる。あるいは、光源30は、ユーザが複数の機能(たとえば、上記で述べた機能のいずれかの組み合わせなど)から所望の機能を選択できるようにする光を選択的に用いて構成することができる。
【0042】
発光装置10が、単一の結果をもたらすように構成される実施形態では、光源30は、所望の結果を達成することができる光の1つまたは複数の波長を、環境より高いレベルで放出するように構成することができる。光のこれらの波長は、本明細書では「望ましい波長」と称する。さらに、光源30は、所望の結果を打ち消す恐れがある光のいずれかの波長を、環境より高いレベルで放出しないように構成することができ(すなわち、光源30は、そのような波長を環境レベルで、またはそのような波長を環境より低いレベルで放出してもよい)、光のその波長は、本明細書では「望ましくない波長」と称する。いくつかの実施形態では、光源30によって環境より高いレベルで放出することができる光の波長だけが、望ましい波長である。他の実施形態では、光源30は、光の望ましい波長だけを放出するように構成することができる。
【0043】
光源30の発光特性は、光源30の発光要素(複数可)32によって明確に定めることができる。光の1つまたは複数の比較的狭い帯域幅を放出する発光要素32の様々な実施形態は、本発明の教示を組み込んだ発光装置の光源30中に使用することができる。本発明の範囲を限定せずに、発光要素32は、発光ダイオード(LED)を含むことができる。LEDは、様々な望ましい波長を含む、光の所定の狭い帯域幅を放出するように構成することができる。また、LEDは、光の望ましくない波長を放出しないように、光の望ましくない波長を環境より低いレベルで放出するように、または光の望ましくない波長を、そのような波長の環境レベルを超えないレベルで放出するように構成することができる。
【0044】
あるいは、発光要素(複数可)32は、光の望ましい波長を、1つまたは複数の他の波
長の光とともに放出することができる。そのような発光要素32は、本技術分野では「多色光源(polychromatic light source)」と称する。発光要素(複数可)32によって放出される光の他の波長は、望ましくない波長を含むことができる、またはそれら波長は、光の無害の、および/または他の有用な波長から構成することができる。発光要素(複数可)32が、望ましくないほど高いレベルで、1つまたは複数の望ましくない波長の光を発生する(たとえば、そのような波長のいずれかの放出、そのような波長の環境レベル、そのような波長の環境より高いレベルなど)実施形態では、光源30は、発光装置10からの1つまたは複数の望ましくない波長の放出を減衰させるために、1つまたは複数のフィルタ34を含むことができる。本技術分野で知られているように、フィルタ34は、それらが減衰させる光の波長に基づき、選択することができる。
【0045】
本発明の教示を組み込んだ発光装置10のいくつかの実施形態は、複数の機能(たとえば、上記で述べた機能のいずれかの組み合わせなど)を果たすために使用されるように構成される。そのような発光装置10の光源30は、ユーザが複数の機能から所望の機能を選択できるように構成することができる。
【0046】
非限定の実施例として、発光装置10は、図2Aに示すように、発光要素32の2つ以上のセット33a、33bなどを備える光源30を含むことができる。各セット33a、33bなどは、あらゆる他のセット33a、33bなどの発光要素32a、32bなど(集合的に「発光要素32」と称する)と異なる機能を果たす発光要素32a、32bなどを含むことができる。例示する実施形態では、発光要素32は、光源30の放射面31の上にアレイで配置することができ、異なるセット33a、33bなどからの発光要素32a、32bなどが、それぞれ、散在する、または互いに混じり合っている。あるいは、図2Bに例示するように、発光要素32は、交互に並ぶ行または列で配置することができ、各行または列が、単一タイプの発光要素32a、32bなどからなる、または主としてそれらからなる。別の代替実施形態として、各異なるタイプの発光要素32a、32bなどは、図2Cに描くように、一緒にまとめることができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、発光要素32aの1つのセット33aは、運動関連の神経疾患またはそのような疾患の1つまたは複数の症状に対処するように構成することができる。発光要素32bの別のセット33bは、運動関連の神経疾患の診断を容易にするように構成することができる。発光要素32cの別の任意選択のセット33cは、運動関連の神経疾患を引き起こす可能性がある網膜細胞および/またはニューロンに対する細胞損傷(たとえば、ミトコンドリアの損傷など)を修復するように構成することができる。
【0048】
別の実施例として、発光装置10は、患者の身体中の1つまたは複数のモノアミンのレベルを適度にさせるように構成することができる。そのような発光装置10は、光源30を含むことができ、光源30は、患者の身体によるドーパミン作動性の応答を活性化することによってなどで(たとえば、メラトニンのレベルまたはメラトニン作動性の活性を低下させる(たとえば、患者の身体を活性化して、メラトニンの生成を抑制する、または遅らせる、および/またはセロトニンの生成を高めることによってなど);ドーパミンのレベルを上昇させる(たとえば、患者の身体を活性化して、ドーパミンの生成を高めることによってなど)など)、運動関連の神経疾患またはその症状を治療することができる光を放出する発光要素32aの1つのセット33aと、運動関連の神経疾患またはその症状を悪化させることができる(たとえば、メラトニンのレベルまたはメラトニン作動性の活性を高めさせる、またはセロトニン作動性の活性を減少させるなど(たとえば、患者の身体を活性化して、より多くメラトニンを生成する、および/またはセロトニンを減少させることによってなど);ドーパミンのレベルを低下させる(たとえば、患者の身体を活性化して、ドーパミン生成を停止させる、または減速させることによってなど)など)発光要素32bの別のセット33bとを備える。
【0049】
発光装置10は、離散的な時間において異なる機能を果たすことができる(たとえば、運動関連の神経疾患を診断する/運動関連の神経疾患またはその症状に対処する;あるモノアミンのレベルを高める、または低下させるなど)。あるいは、発光装置10による2つ以上の機能を実施する少なくともその部分は、同時に実行することができる(たとえば、運動関連の神経疾患に対処する/細胞の修復を推進するなど)。
【0050】
異なる機能が、そのような光源30によって実施されることになる仕方は、本技術分野で知られているタイプのマイクロコントローラなど、処理要素36を用いて制御することができる。光源30の処理要素36は、明確に定められた機能のセットを果たすように、事前にプログラムすることができる。いくつかの実施形態では、明確に定められた機能のパラメータ(たとえば、動作の持続期間;強度、光子密度および/または放射照度など)は、処理要素36のプログラミングによって定めることができる。他の実施形態では、処理要素36は、1つまたは複数のパラメータ(たとえば、動作の持続期間;強度、光子密度および/または放射照度;放出される光の波長(複数可)など)を用いてプログラムすることができ、そのパラメータは、光が光源30によって放出される仕方、したがって発光装置10によって果たされることになる機能を制御する。いくつかの実施形態では、処理要素36および光源30は、本発明の発光装置10が、いくつかの異なる要因に基づき、異なるスペクトルを放出できるように構成することができる。非限定の実施例として、発光装置10の処理要素36および光源30は、発光装置10に、一日の異なる時間において光の異なる波長の光を異なる強度で放出させるように構成することができる。そのような発光装置10の具体的な実施形態は、一日の異なる時間における自然光の影響を打ち消すように構成することができる(たとえば、時刻が午後から夕方に進むにつれて、強度を次第により大きくして青色~緑色の、および/または緑色の光を発生し放出するように;時刻が午後から夕方に進むにつれて、強度を徐々により小さくしてアンバー色、オレンジ色および赤色の光を発生し放出するようになど)。別の実施例として、発光装置10の処理要素36および光源30は、発光装置10に、患者が被っている特定の症状(複数可)および/または各症状の重症度に基づき、異なるスペクトルを放出させるように構成することができる。
【0051】
ここで図3を参照すると、多色光を発生する光源30を含む発光装置10の実施形態が、描かれている。いくつかの実施形態では、多色光は、1つまたは複数の発光要素32によって放出される、いわゆる「白色」光を含むことができる。他の実施形態では、複数の異なるように構成される発光要素32によって同時に放出される複数の異なる色の光は、混合されて多色光を形成することができる。とにかく、光源30によって放出される多色光は、複数の所望の機能を果たすことになる様々な波長および/または帯域幅を含む。
【0052】
当業者が理解するように、多色光の具体的な特性(たとえば、多色光中に含まれる光の波長、光のある色の相対的な強度ピークが中心を置いている波長など)は、その多色光の源(複数可)(たとえば、発光要素32など)によって決まる。様々な源からの多色光のこれらの具体的な特性は、多色光の「識別特性(signature)」と称することがある。
【0053】
発光装置10の光源30によって放出される多色光の識別特性は、発光装置10が果たすことが可能である1つまたは複数の機能を少なくとも部分的に定めることができる。ある実施例として、青色の、青色~緑色の、および/または緑色の光のピークを有する多色光(すなわち、この実施例で望ましい波長)を放出する光源30を含む発光装置10は、運動関連の神経疾患に対処するのに、運動関連の神経疾患またはその症状に対処するのに、あるいは患者によるドーパミン作動性の応答を活性化するのに有用になることができ、それによって、患者の身体内の1つまたは複数のモノアミンのレベルを変化させることができる。これは、具体的には、1つまたは複数の望ましい波長のピークの大きさが、望ま
しい波長(複数可)(たとえば、青色の、青色~緑色の、および/または緑色の光)の有効性を打ち消す恐れがある光のいずれもの望ましくない波長または色(たとえば、アンバー色、オレンジ色または赤色の光)のピークの大きさを超える場合、および、光の望ましい波長を環境より高いレベルで提供し、さらにまた光の望ましくない波長を環境レベルで、または環境より低いレベルで提供するように、望ましい、および望ましくない波長のピークの相対的な大きさによって多色光を供給できるようになる場合は特に、当てはまる。いくつかの実施形態では、本発明の発光装置10の光源30は、フィルタリングされていない多色光を放出するように構成することができる。
【0054】
また、多色光を放出する発光要素32を備える光源30によって果たされることになる1つまたは複数の機能は、光源30によって放出される光の波長(複数可)および/または帯域幅(複数可)を制御することによって明確に定められる。したがって、本発明の発光装置10の光源30は、1つまたは複数のフィルタ34を含むことができ、フィルタ34は、所望の機能(複数可)を妨げることができる光のいずれかの波長(複数可)を少なくとも部分的に遮断する、または減衰させ、さらにまた、光のある望ましい波長を治療レベルで透過させることを可能にし、それによって光源30からの光のそのような望ましい波長の光は透過する。異なるフィルタ34を使用すると、発光装置10が異なる機能を果たすことがすることができる。
【0055】
図1を再度参照すると、本発明の発光装置10は、光源30に加えて、ハウジング20を含むことができる。ハウジング20は、光源30を搭載する。さらに、ハウジング20は、これらに限定されないが光源30を動作させるためのコントロールおよび電源50を含む、発光装置10の1つまたは複数の他の構成要素を搭載することができる。また、本発明の発光装置10は、この発光装置に所望の機能をもたらすことができる様々な他の特徴(たとえば、光透過レンズ、放出される光を拡散させるための特徴、放出される光を合焦させるための特徴、ハウジング20を方向付けるための特徴など)のいずれも含むことができる。
【0056】
本発明の教示を組み込んだ発光装置10のハウジング20は、いずれもの適切な構成を取ることができる。発光装置10が、調節されている疾患(たとえば、研究施設中で、診療所でなど)に発光をもたらすように構成される、あるいは実質的に同じ場所で繰り返して使用されるように意図されている実施形態では、ハウジング20は、比較的大きくすることができる(たとえば、比較的大きい光源30を収容するためになど)。そのような発光装置10は、そのサイズによって、可搬性に欠ける場合がある。したがって、そのような発光装置10の電源50は、発光装置10が、本技術分野で知られているように、AC電力の下で動作できるようにする構成要素を含むことができる。
【0057】
他の実施形態では、より可搬性がある発光装置10が、望ましい場合がある。発光装置10のハウジング20は、少なくとも部分的に可搬性を発光装置10に付与するように構成することができ、そしていくつかの実施形態では、ユーザの手でハウジングが保持されたとき、発光装置10がその所望の機能(複数可)を果たすことができるようにする。様々な実施形態では、そのようなハウジング20は、容易に可搬型とすることができ、輸送および/または保管の間、最小限のスペースを占め、発光装置10が、様々な設定で、または様々な状況下で使用できるように構成することができる。可搬型の発光装置10は、小さなハウジング20を含むことに加えて、それに対応して小さな、軽量でさえある光源30を含むことができる。いくつかの実施形態では、可搬型の発光装置10の電源50は、1つまたは複数のバッテリを含むことができ、発光装置10に可搬性をさらに付与することができる。本発明による発光装置10の可搬型の実施形態は、表面(たとえば、テーブルの天板、患者の膝など)上に位置付けるように、光治療を受けている患者が着用するように(たとえば、上から(たとえば、バイザー、帽子などのように)、下からおよび/
または患者の眼の周辺のまわりで(たとえば、眼鏡などのように)患者の眼に光を導くように頭部に装着可能な、など)構成することができ、あるいはいずれもの他の適切な構成を取ることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、発光装置10は、処理要素(たとえば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなど)および光を生じる光源30を含むことができる。
【0059】
使用の際、本発明の発光装置10は、患者の眼に向けて光を導くように構成することができ、したがって眼の光治療を施すことができる。いくつかの実施形態では、患者の眼は、眼の光治療を施している間、閉じていることができる。他の実施形態では、患者は、眼の光治療を施しているとき、眼を開いていることができる。さらなる実施形態では、所望の眼の光治療は、患者の眼が開かれていようが、閉じられていようが、どちらにもかかわらず施すことができる。
【0060】
前述の記述が多くの具体的な事項を含んでいるが、これらは、本発明の、または添付の請求項のいずれもの範囲を限定するものとして解釈すべきでなく、1つまたは複数の添付の請求項の範囲内に含むことができる、いくつかの具体的な実施形態に関する情報を単に提供するものとして解釈すべきである。また、1つまたは複数の添付の請求項の範囲内に含まれる本発明の他の実施形態を考え出すことができる。したがって、各請求項の範囲は、その中で詳述される言葉、およびそれによって列挙される要素に法的に同等なものによってだけで限定される。本明細書に開示するように、請求項の趣旨および範囲内に含まれる、すべての組み合わせ、追加、削除および修正の実施形態は、それによって包含されることになる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動関連の神経疾患を患っている患者に光治療を施すための装置において、
患者の眼に投与するのに適切な光を放出するための手段を含み、前記光は、570nmを超えて750nmまでの範囲中にピークを全く有することなく、460nm~570nmの範囲中に複数のピークを含む、装置。
【請求項2】
運動関連の神経疾患を患っている患者に光治療を施すための装置において、
患者の眼に投与するのに適切な光を放出するための手段を含み、前記光は、570nmを超えて750nmまでの範囲中にピークを有することなく、460nm~570nmの範囲中の波長にてピークを含む、装置。
【請求項3】
前記460nm~570nmの範囲中の波長における前記ピークは、前記460nm~570nmの範囲中に光の複数のピークを有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
光を放出するための前記手段は、光の青色~緑色の波長にてピークを有するように構成された、請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
光を放出するための前記手段は、
前記光の少なくとも1つの帯域幅の光を発生する少なくとも1つの多色光の光源と、
前記多色光の光源が発生する光を570nm~750nmの範囲で減衰させるための少なくとも1つのフィルタとを含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記多色光の光源は、白色光の源を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光源は、少なくとも1つの緑色光の光源を含む、請求項1乃至4のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
運動関連の神経疾患を患っている患者に光治療を施すための装置において、
患者の眼に投与するのに適切な光を発生させて放出するための手段であって、前記光は、460nm~570nmの範囲中に少なくとも1つのピークを含む少なくとも1つの帯域幅を含み、前記少なくとも1つのピークは、前記装置から放出された570nmを超えて750nmまでの範囲中の各ピークの強度を超える強度を有する、手段を含む、装置。
【請求項9】
光を発生させて放出するための前記手段は、少なくとも1つの多色光の光源を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの多色光の光源が発生する光を前記570nm~750nmの範囲で減衰させるための少なくとも1つのフィルタをさらに含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの多色光の光源は、白色光の源を含む、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
運動関連の神経疾患を患っている患者に光治療を施すための装置において、
患者の眼に投与するのに適切な光を放出する少なくとも1つの光源であって、前記光は、460nm~570nmの範囲中の波長でピークを含み、570nmを超えて750nmまでの範囲中にピークを有しない、光源を含む、装置。