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特開2024-73524モータ制御集積回路に集積されたワイヤレス通信
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  • 特開-モータ制御集積回路に集積されたワイヤレス通信 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073524
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】モータ制御集積回路に集積されたワイヤレス通信
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/08 20060101AFI20240522BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240522BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20240522BHJP
【FI】
H02P27/08
H02M7/48 F
H04W4/38
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024037518
(22)【出願日】2024-03-11
(62)【分割の表示】P 2019185725の分割
【原出願日】2019-10-09
(31)【優先権主張番号】16/156,331
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516153409
【氏名又は名称】インフィニオン テクノロジーズ オーストリア アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Infineon Technologies Austria AG
【住所又は居所原語表記】Siemensstr. 2, A-9500 Villach, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】高橋 敏男
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ウー
【テーマコード(参考)】
5H505
5H770
5K067
【Fターム(参考)】
5H505BB01
5H505CC01
5H505DD03
5H505EE41
5H505EE49
5H505GG02
5H505HA09
5H505HA10
5H505HB02
5H505JJ03
5H505KK06
5H505LL01
5H505LL22
5H505LL24
5H505LL44
5H505LL55
5H505MM02
5H505MM03
5H505MM06
5H770BA05
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA41
5H770EA01
5H770EA19
5H770GA01
5H770HA02W
5H770JA10X
5K067BB27
5K067BB28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】モータコントローラを提供する。
【解決手段】モータコントローラは、モータ制御のための電力変換装置と連携するように構成されているパッケージと、パッケージ内に集積されており、アップリンクワイヤレス通信データを受信し、アップリンクワイヤレス通信データを処理するように構成されており、ダウンリンクワイヤレス通信データを伝送するように構成されているワイヤレス通信集積回路(IC)と、パッケージ内に集積されており、多相モータ制御のためのパルス幅変調(PWM)制御信号の生成を含むモータ制御機能を実行するように構成されているモータコントローラICと、ワイヤレス通信ICおよびモータコントローラICに結合されており、ワイヤレス通信ICとモータコントローラICとの間でのアップリンク情報およびダウンリンク情報の情報交換のための複数の相互通信ワイヤを有する相互通信インタフェースと、を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータコントローラにおいて、
モータ制御のための電力変換装置と連携するように構成されているパッケージと、
前記パッケージ内に集積されており、アップリンクワイヤレス通信データを受信し、前記アップリンクワイヤレス通信データを処理するように構成されており、ダウンリンクワイヤレス通信データを伝送するように構成されているワイヤレス通信集積回路(IC)と、
前記パッケージ内に集積されており、多相モータ制御のためのパルス幅変調(PWM)制御信号の生成を含むモータ制御機能を実行するように構成されているモータコントローラICと、
前記ワイヤレス通信ICおよび前記モータコントローラICに結合されており、前記ワイヤレス通信ICと前記モータコントローラICとの間でのアップリンク情報およびダウンリンク情報の情報交換のための複数の相互通信ワイヤを有する相互通信インタフェースと、
を備えているモータコントローラ。
【請求項2】
前記ワイヤレス通信ICは、前記アップリンクワイヤレス通信データを処理し、処理した前記アップリンクワイヤレス通信データに基づいてモータ制御機能命令を生成し、前記モータ制御機能命令を前記アップリンク情報として、前記複数の相互通信ワイヤのうちの少なくとも1つを介して前記モータコントローラICに伝送するように構成されている、
請求項1記載のモータコントローラ。
【請求項3】
前記アップリンクワイヤレス通信データは、モータ速度設定点命令、モータ始動命令、モータ停止命令およびモータトルク制限値更新命令のうちの少なくとも1つを含む、
請求項2記載のモータコントローラ。
【請求項4】
前記モータコントローラICは、前記モータ制御機能命令を受信し、前記モータ制御機能命令に基づいて、前記モータ制御機能を調整するように構成されている、
請求項2記載のモータコントローラ。
【請求項5】
前記モータコントローラICは、フィードバック情報を生成し、前記フィードバック情報を前記ダウンリンク情報として、前記複数の相互通信ワイヤのうちの少なくとも1つを介して、前記ワイヤレス通信ICに伝送するように構成されている、
請求項1記載のモータコントローラ。
【請求項6】
前記ワイヤレス通信ICは、前記フィードバック情報を受信し、前記フィードバック情報に基づいて、前記ダウンリンクワイヤレス通信データを生成し、前記ダウンリンクワイヤレス通信データを前記パッケージから伝送するように構成されている、
請求項5記載のモータコントローラ。
【請求項7】
前記フィードバック情報は、モータ速度フィードバック情報、電力計測情報、モータ駆動装置故障状態情報、電力変換装置温度情報、電力変換装置過電流情報、電力変換装置過電圧情報およびモータ温度情報のうちの少なくとも1つを含む、
請求項5記載のモータコントローラ。
【請求項8】
前記モータコントローラICが、前記モータ制御機能をリアルタイムで継続的に実行するように構成されていることによって、PWM制御信号は、前記アップリンクワイヤレス通信データによって惹起されるPWM周期の中断が生じることなく、PWM周期毎に生成される、
請求項1記載のモータコントローラ。
【請求項9】
前記モータ制御機能は、
モータ位相電流を測定することと、
測定された前記モータ位相電流を少なくとも1つのモータ制御アルゴリズムに適用することによって、PWM制御信号を生成することと、
を含む、
請求項1記載のモータコントローラ。
【請求項10】
前記複数の相互通信ワイヤは、前記ワイヤレス通信ICと前記モータコントローラICとの間のシリアル通信専用の相互通信ワイヤの第1のサブセットを含み、
前記複数の相互通信ワイヤは、さらに、前記ワイヤレス通信ICと前記モータコントローラICとの間のリアルタイムイベント通信専用の相互通信ワイヤの第2のサブセットを含む、
請求項1記載のモータコントローラ。
【請求項11】
前記シリアル通信は、前記ワイヤレス通信ICと前記モータコントローラICとの間で、定期的で周期的に交換される、
請求項10記載のモータコントローラ。
【請求項12】
前記ワイヤレス通信ICは、前記相互通信ワイヤの第1のサブセットのうちの少なくとも1つの第1の相互通信ワイヤを介して、モータ制御機能命令を前記モータコントローラICに周期的に伝送するように構成されており、
前記モータコントローラICは、前記相互通信ワイヤの第1のサブセットのうちの少なくとも1つの第2の相互通信ワイヤを介して、フィードバック情報を前記ワイヤレス通信ICに周期的に伝送するように構成されている、
請求項10記載のモータコントローラ。
【請求項13】
前記モータコントローラICは、故障イベントに応答して、前記相互通信ワイヤの第2のサブセットのうちの少なくとも1つの第1の相互通信ワイヤを介して、モータ制御故障情報を前記ワイヤレス通信ICに伝送するように構成されており、
前記ワイヤレス通信ICは、前記モータ制御故障情報に応答して、前記相互通信ワイヤの第2のサブセットのうちの少なくとも1つの第2の相互通信ワイヤを介して、少なくとも1つのモータ制御機能命令を伝送するように構成されている、
請求項10記載のモータコントローラ。
【請求項14】
前記ワイヤレス通信ICは、前記モータ制御故障情報を受信し、前記モータ制御故障情報に基づいて、前記ダウンリンクワイヤレス通信データを生成し、前記ダウンリンクワイヤレス通信データを前記パッケージから伝送するように構成されている、
請求項13記載のモータコントローラ。
【請求項15】
前記シリアル通信は、RS-232Cシリアル通信である、
請求項10記載のモータコントローラ。
【請求項16】
前記第1のサブセットにおける相互通信ワイヤの数は、前記第2のサブセットにおける相互通信ワイヤの数よりも少ない、
請求項10記載のモータコントローラ。
【請求項17】
前記リアルタイムイベント通信は、前記モータ制御ICをトリガして、前記モータ制御機能の動作を変更する、
請求項10記載のモータコントローラ。
【請求項18】
前記ワイヤレス通信ICは、前記モータコントローラICのプロセッサベース周波数よりも高いプロセッサベース周波数を有している、
請求項1記載のモータコントローラ。
【請求項19】
前記モータコントローラICは、力率改善回路機能をさらに実行する、
請求項1記載のモータコントローラ。
【請求項20】
モータコントローラとのワイヤレス通信のための方法において、前記方法は、
ワイヤレス通信集積回路(IC)によってアップリンクワイヤレス通信データを受信および処理するステップと、
前記ワイヤレス通信ICによってダウンリンクワイヤレス通信データを伝送するステップと、
モータ制御機能を実行するステップであって、前記モータ制御機能は、前記ワイヤレス通信ICと同じパッケージに集積されているモータコントローラICによる多相モータ制御のためのパルス幅変調(PWM)制御信号の生成を含むステップと、
前記ワイヤレス通信ICおよび前記モータコントローラICに結合されている相互通信インタフェースを介して、前記ワイヤレス通信ICと前記モータコントローラICとの間で、アップリンク情報およびダウンリンク情報としての情報を交換するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、ワイヤレス通信機能が集積されたモータ制御機能に関し、より詳細には、ワイヤレス通信が集積されたモータ制御集積回路およびモータ制御集積回路の動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ駆動の用途においては、他のデバイスとの通信が要求されることが多い。慣例的に、この通信の方式は、ネットワークコンフィギュレーションまたはポイント・ツー・ポイントコンフィギュレーションによる他のデバイスとの有線ベースの通信である。RS-232C、シリアルリアルタイム通信システム(Sercos)、およびコントローラエリアネットワーク(CAN)バスは、これまでのところ、産業界において採用されている典型的な例である。
【0003】
そのような通信インタフェースを介する情報は、単純な始動/停止命令から、速度同期および/またはトルク命令を適合させるための命令を含む動的な動作調整にまで及ぶ。しかしながら、新たにインターネット・オブ・シングス(IoT)が出現したことによって、モータコントローラとの情報交換は、情報量に関して劇的に増加すると見込まれ、また様々な情報交換方法およびプロトコルタイプに拡張されると考えられる。
【0004】
この傾向は、特に、主要な家電が無線インタフェース(例えば、WiFi(登録商標)またはBluetooth(登録商標))を採用し始めている家電産業では加速している。
【0005】
スマートフォンおよびタブレットなどのスマート通信デバイスの普及によって、新たな需要が生み出されており、またスマートホームランドスケープにおける、スマート家電を含めたあらゆる「スマート」デバイスとの接続を確立することも試みられている。例えば、そのような接続は、スマートデバイスの遠隔による制御および監視を実現することができる。それらのタイプの通信を使用した情報交換も、より洗練されてきている。
【0006】
その結果、モータ制御は、家電および産業オートメーションにおける重要な部分を成し、またより効率的な運用、電気的なランニングコストを最小限にすることによる最適化された動作、遠隔からアクセスすることでのより良い利便性、また動作中のモータ制御機器を「スマート」に運用するためのより高度な診断を実現するという新たな難問に直面している。このことは、マンマシンインタフェースだけに限定されることではなく、マシンマシンインタフェースにも該当する。例えば、居住室の空調装置は、慣例的に、メインコンプレッサおよび熱交換機能が設けられている室外ユニットと室内ユニットとの間で、RS-232Cベースの有線通信を必要としている。しかしながら、より高い通信需要およびワイヤハーネス設置費用に基づいて、室外ユニットと室内ユニットとの間の通信を無線に切り替えることが所望されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態は、モータコントローラを提供し、このモータコントローラは、モータ制御のための電力変換装置と連携するように構成されているパッケージと、パッケージ内に集積されており、アップリンクワイヤレス通信データを受信し、アップリンクワイヤレス通信データを処理するように構成されており、かつダウンリンクワイヤレス通信データを伝送するように構成されているワイヤレス通信集積回路(IC)と、パッケージ内に集積されており、かつ多相モータ制御のためのパルス幅変調(PWM)制御信号の生成を含むモータ制御機能を実行するように構成されているモータコントローラICと、ワイヤレス通信ICおよびモータコントローラICに結合されており、ワイヤレス通信ICとモータコントローラICとの間でのアップリンク情報およびダウンリンク情報の情報交換のための複数の相互通信ワイヤを有する相互通信インタフェースと、を備えている。
【0008】
実施形態は、モータコントローラとのワイヤレス通信のための方法を提供する。この方法は、ワイヤレス通信ICによってアップリンクワイヤレス通信データを受信および処理することと、ワイヤレス通信ICによってダウンリンクワイヤレス通信データを伝送することと、ワイヤレス通信ICと同じパッケージに集積されているモータコントローラICによる多相モータ制御のためのパルス幅変調(PWM)制御信号の生成を含む、モータ制御機能を実行することと、ワイヤレス通信ICおよびモータコントローラICに結合されている相互通信インタフェースを介して、ワイヤレス通信ICとモータコントローラICとの間で、アップリンク情報およびダウンリンク情報としての情報を交換することと、を含む。
【0009】
以下では、添付の図面を参照しながら、実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】1つまたは複数の実施形態による、パワー半導体デバイスのモータ制御ループを示す概略的なブロック図である。
図1B】1つまたは複数の実施形態による、シングルシャント電流検出を利用する電力変換装置を示す概略図である。
図2A】1つまたは複数の実施形態による、ワイヤレス通信を実現するモータ制御集積回路機能を有するICパッケージの概略的なブロック図である。
図2B】1つまたは複数の実施形態による、ICパッケージの平面図である。
図3】1つまたは複数の実施形態による、ICパッケージを使用する例示的な適用構成の概略的なブロック図を示す。
図4】1つまたは複数の実施形態による、ワイヤレス通信機能およびモータ制御機能がモノリシックに集積されているICパッケージの概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、例示的実施形態をより細部まで説明するために詳細を記載する。しかしながら、当業者であれば、それらの特定な詳細がなくとも、それらの実施形態を実践できることは明らかであろう。別の例では、実施形態が分かりにくくなることを回避するために、公知の構造およびデバイスが、詳細に示されているのではなく、ブロック図の形態または概略図で示されている。さらに、別個に明示されていない限りは、本明細書に記載する種々の実施形態の特徴を相互に組み合わせることができる。
【0012】
さらに、等価または同様の機能を有する等価または同様の1つまたは複数の構成要素は、下記では、等価または同様の参照符号を用いて表されている。図中、同一の構成要素または機能的に等価の構成要素には、同一の参照符号が付されているので、同一の参照符号が付された構成要素についての繰り返しの説明は省略する。したがって、同一または同様の参照符号が付されているそれらの構成要素について行った説明は、相互に置き換えて読むことができる。
【0013】
これに関して、方向を表す用語、例えば「上部」、「下部」、「下」、「前」、「奥」、「後ろ」、「前方」、「後方」、「下方」、「上方」などは、説明する図面の向きに関して使用されていると考えられる。実施形態の各部分を、種々異なる向きで位置決めすることができるので、方向を表す用語は、図示を目的として使用されているのであって、いずれの限定も意図していない。特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、他の実施形態を使用することができ、また構造的または論理的な変更を成すことができると解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で理解されるべきではない。
【0014】
ある構成要素が別の構成要素に「接続されている」または「結合されている」と表されている場合、その構成要素は、別の構成要素に直接的に接続または結合されている場合もあるし、介在する構成要素が存在している場合もあると解されるであろう。それとは反対に、ある構成要素が別の構成要素に「直接的に接続されている」または「直接的に結合されている」と表されている場合、介在する構成要素は存在しない。構成要素間の関係を表すために使用される他の語句(例えば、「~の間に」と「~の間に直接的に」、「~に隣接して」と「~に直接的に隣接して」など)も同様に解されるべきである。
【0015】
本明細書に記載した、または図面に図示した実施形態において、例えば特定の種類の信号を伝送するために、または特定の種類の情報を伝送するために、接続または結合の一般的な目的が実質的に維持される限り、直接的で電気的なあらゆる接続または結合、すなわち付加的な構成要素が介在しないあらゆる接続または結合は、間接的な接続または結合、すなわち1つまたは複数の付加的な構成要素が介在する接続または結合によっても実現することができ、またその逆も成り立つ。種々の実施形態に由来する特徴を、別の実施形態に由来する特徴と組み合わせることができる。例えば、それらの実施形態のうちの1つに関して説明する変形形態または修正形態を、それに反する記載がない限りは、別の実施形態に適用することができる。
【0016】
本明細書において「実質的に」という用語は、本明細書に記載する実施形態の態様から逸脱することなく、産業上は許容可能であると考えられる僅かな製造公差(例えば、5%以内)を考慮するために使用される。
【0017】
センサは、測定された物理量を電気信号、例えば電流信号または電圧信号に変換するコンポーネントを表すと考えられる。物理量は、例えば、シングルシャント抵抗システムにおけるシャント抵抗における電流または電圧であると考えられる。
【0018】
信号処理回路および/または信号調整回路は、1つまたは複数のコンポーネントから1つまたは複数の信号を受信し、その信号についての調整または処理を実行することができる。本明細書において使用されているように、信号調整とは、信号が更なる処理のための後続のステージの要求に合致するように信号を操作することを表す。信号調整は、(例えば、アナログ・ディジタル変換器を介する)アナログからディジタルへの変換、増幅、フィルタリング、変換、バイアス、範囲整合、分離、および調整後の処理に適した信号の形成に要求される他の任意の処理を含むことができる。
【0019】
したがって、信号処理回路は、1つまたは複数のセンサ素子からのアナログ信号をディジタル信号に変換するアナログ・ディジタル変換器(ADC)を含むことができる。信号処理回路は、ディジタル信号に対して何らかの処理を実行するディジタルシグナルプロセッサ(DSP)も含むことができる。
【0020】
自動車用途、民生用途および工業用途における今日のデバイスの多くの機能、例えば電気的なエネルギの変換および電気モータまたは電気機械の駆動は、パワー半導体デバイスを基礎としている。例えば、少数の例を挙げるならば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)およびダイオードが、限定を意図するものではないが、電源および電力変換器におけるスイッチを含む種々の用途に使用されている。
【0021】
パワー半導体デバイスは、通常の場合、デバイスの2つの負荷端子構造間の負荷電流経路に沿って負荷電流を流すように構成された半導体本体を含む。さらに、ゲート電極と称されることもある、制御電極によって、負荷電流経路を制御することができる。例えば、相応の制御信号、例えばドライバユニットからの相応の制御信号の受信に基づいて、制御電極は、パワー半導体デバイスを導通状態および阻止状態のうちの一方に設定することができる。
【0022】
パワートランジスタは、負荷電流を流すために使用することができるパワー半導体デバイスである。パワートランジスタをオン状態およびオフ状態に切り替えるためにターンオンプロセスおよびターンオフプロセスが存在する。ターンオンプロセス中は、ゲートドライバ集積回路(IC)が、ゲートを充電するためにパワートランジスタのゲートにゲート電流を供給するために(すなわちソースとして)使用される。反対に、ターンオフプロセス中は、ゲートドライバICが、ゲートを放電させるためにパワートランジスタのゲートからゲート電流を引き出すために(すなわちシンクとして)使用される。
【0023】
トランジスタには、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)および金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)(例えば、SiMOSFETまたはSiCMOSFET)が含まれると考えられる。下記の実施形態においては、IGBTを一例として使用することができるが、IGBTの代わりにMOSFETを使用できること、また反対にMOSFETの代わりにIGBTを使用できることは明らかである。このコンテキストにおいて、IGBTの代わりにMOSFETが使用される場合、本明細書において説明する複数の例のうちの任意の例では、MOSFETのドレインは、IGBTのコレクタに代わるものと考えられ、MOSFETのソースは、IGBTのエミッタに代わるものと考えられ、またMOSFETのドレインソース間電圧VDSは、IGBTのコレクタエミッタ間電圧VCEに代わるものと考えられる。したがって、任意のIGBTモジュールをMOSFETモジュールの代わりに使用することができ、また反対に任意のMOSFETモジュールをIGBTモジュールの代わりに使用することができる。
【0024】
本明細書において説明する特定の実施形態は、電力変換器または電源において使用することができるパワー半導体デバイスに関するが、それらの実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、ある実施形態では、パワー半導体デバイスは、負荷に供給される負荷電流、および/または電源から供給される電流を流すように構成することができる。例えば、半導体デバイスは、1つまたは複数のアクティブなパワー半導体セル、例えばモノリシックに集積されたダイオードセル、および/またはモノリシックに集積されたトランジスタセルを含むことができる。そのようなダイオードセルおよび/またはそのようなトランジスタセルを、パワー半導体モジュールに集積させることができる。
【0025】
ハーフブリッジを形成するために適切に接続されている複数のトランジスタを含むパワー半導体デバイスは、一般的に、パワーエレクトロニクスの分野において使用されている。例えば、ハーフブリッジは、電気モータまたはスイッチング電源を駆動させるために使用することができる。
【0026】
例えば、多相インバータは、多相負荷(例えば、三相モータ)への供給によって多相電力を提供するように構成されている。例えば、三相電力は、位相が相互に120電気角ずれている3つの対称的な正弦波を含む。対称的な三相電力電源システムにおいては、3つの導体それぞれに、共通の基準について同一の周波数および電圧振幅を有するが、しかしながら1/3周期の位相差を有する交流電流(AC)が流れる。位相差に起因して、いずれかの導体における電圧は、他の導体のうちの1つの周期の1/3周期後および残りの導体の1/3周期前において最大値に達する。この位相遅延によって、平衡線形負荷に対する一定の電力伝送が実現される。またこれによって、電気モータ内に回転磁場を生じさせることもできる。
【0027】
平衡線形負荷への給電が行われる三相系においては、3つの導体の瞬時電流の和は0である。換言すれば、各導体における電流の振幅は、他の2つの導体における電流の和に等しい。ただし、振幅の符号は逆である。いずれかの位相導体における電流の戻り経路は、他の2つの位相導体である。瞬時電流によって、電流空間ベクトルが得られる。
【0028】
三相インバータは、3つのインバータレグを含み、このインバータレグは、3つの位相の各々に対して1つ設けられており、また各インバータレグは、直流電流(DC)電圧源に相互に並列に接続されている。各インバータレグは、例えばDC/AC変換のためのハーフブリッジ構成で配置されたトランジスタのペアを含む。換言すれば、各インバータレグは、直列に接続されており、かつ位相負荷の駆動のために相互に相補的にスイッチオンおよびスイッチオフされる、2つの相補型トランジスタ(すなわち、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタ)を含む。しかしながら、多相インバータは、三相に限定されるものではなく、各位相に1つのインバータレグが設けられるのであれば、二相であってもよいし、四相以上であってもよい。
【0029】
図1Aは、1つまたは複数の実施形態による、パワー半導体デバイスのモータ制御ループ10を示す概略的なブロック図である。特に、モータ制御ループ10は、電力変換装置1および変換装置制御ユニット2を含んでいる。変換装置制御ユニット2を、モータコントローラまたはモータ制御ICと称することもできる。
【0030】
さらにモータ制御ループ10は、3つの位相U、VおよびWを有する三相モータMに結合されている。電力変換装置1は、モータMを駆動させるための三相電流の供給によって三相電力を提供するように構成された三相電流発生器である。さらに、電力変換装置1および変換装置制御ユニット2を同一の回路基板または別個の回路基板に配置できることは明らかである。
【0031】
振幅および位相両方の偏差は、モータMにおける電力およびトルクの損失をもたらす可能性がある。したがって、モータ制御ループ10は、モータMに供給される電流の振幅および位相をリアルタイムで監視および制御して、フィードバック制御ループに基づいて適切な電流平衡が維持されることを保証するように構成されている。
【0032】
電力変換装置1は、相補対を成して配置されている6個のトランジスタモジュール3u、3u、3v、3v、3wおよび3w(これらを合わせてトランジスタモジュール3と称する)から成るスイッチングアレイを含んでいる。各相補対は、三相モータMに位相電流を供給する1つのインバータレグを構成する。したがって、各インバータレグは、上部(ハイサイド)トランジスタモジュール3および下部(ローサイド)トランジスタモジュール3を含んでいる。各トランジスタモジュールは、1つのトランジスタを含むことができ、またダイオード(図示せず)も含むことができる。したがって、各インバータレグは、上部トランジスタおよび下部トランジスタを含んでいる。負荷電流経路U、VおよびWは、相補型トランジスタ間に設けられている各インバータレグの出力端(すなわち、各ハーフブリッジの出力端)から延びており、また負荷、例えばモータMに結合されるように構成されている。電力変換装置1は、DC電源4(例えば、バッテリ)および変換装置制御ユニット2に結合されている。
【0033】
この例では、変換装置制御ユニット2が、スイッチングアレイを制御するためのドライバ回路(例えば、ゲートドライバIC)および変換装置制御回路(例えば、モータコントローラIC)を含んでいる。しかしながら、他の例においては、ゲートドライバICを、電力変換装置1に集積することができ(例えば、図3におけるゲートドライバICを参照されたい)、したがってモータコントローラICとは別個のダイに集積することができる。
【0034】
モータコントローラICは、モータ制御ループ10のモータ制御機能をリアルタイムで実行する。モータ制御機能は、永久磁石モータまたは誘導モータのいずれかの制御を含むことができ、またロータ位置のセンシングを必要としないセンサレス制御として、またはホールセンサおよび/またはエンコーダデバイスを用いるセンサベースの制御として、または(例えば、低速のロータ速度で使用される)センサベースの制御および(例えば、高速のロータ速度で使用される)センサレス制御の両方を組み合わせた制御として構成することができる。
【0035】
例えば、変換装置制御ユニット2は、各トランジスタモジュール3のトランジスタを制御するためのドライバ信号を生成するためのモータコントローラICとして、マイクロコントローラユニット(MCU)5を含むことができる。したがって、MCU5は、ゲート電極と称されることもある、トランジスタ3の制御電極を制御することによって、負荷電流経路U、VおよびWを制御することができる。例えば、MCU5からの制御信号の受信に基づいて、ゲートドライバICは、対応するトランジスタを導通状態(すなわち、オン状態)または阻止状態(すなわち、オフ状態)のいずれかに設定することができる。
【0036】
ゲートドライバICは、変換装置制御ユニットから(例えば、MCU5から)の制御信号を受信し、その受信した制御信号に従い、各トランジスタ3をターンオンまたはターンオフするように構成することができる。例えば、各トランジスタ3のターンオンプロセス中は、ゲートを充電するために各トランジスタ3のゲートにゲート電流を供給するために(すなわちソースとして)、ゲートドライバICを使用することができる。反対に、ターンオフプロセス中は、ゲートを放電させるためにトランジスタ3のゲートからゲート電流を引き出すために(すなわちシンクとして)、ゲートドライバICを使用することができる。
【0037】
変換装置制御ユニット2またはMCU5自体は、各トランジスタの状態、また最終的には各負荷電流経路U、VおよびWに供給される各位相電流の状態を制御するためのPWMスキームを実現するために使用される、パルス幅変調(PWM)コントローラ、ADC、DSP、および/またはクロックソース(すなわち、タイマまたはカウンタ)を含むことができる。
【0038】
特に、MCU5は、多相負荷、例えば多相モータに対する各位相電流出力についての電流制御をリアルタイムで提供するために、モータ制御アルゴリズム、例えばフィールド指向制御(FOC)アルゴリズムを使用することができる。さらに、FOC制御に速度制御ループを追加することによって、モータ速度を制御することができる。したがって、FOCを内部制御ループとみなすことができ、また速度制御ループを外部制御ループとみなすことができる。場合によっては、速度制御ループ外の第3の制御ループ(例えば、位置制御ループ)を使用して、モータ位置を制御することができる。
【0039】
例えば、FOC中に、モータ位相電流が測定されることで、正確なロータ位置をリアルタイムで求めることができる。モータ位相電流を求めるために、MCU5は、シングルシャント電流検出を使用するアルゴリズム(例えば、空間ベクトルパルス幅変調(SVPWM)とも称される空間ベクトル変調(SVM))を使用することができる。
【0040】
さらに、電力変換装置1のスイッチ3(すなわち、トランジスタ)が制御されることで、同一のインバータレグ内のいずれのスイッチもターンオンされることがなくなるか、またはDC供給が行われなくなる。この要求は、モータ制御アルゴリズムに従った、インバータレグ内のスイッチ3の相補的な動作によって満たすことができる。
【0041】
図1Bは、1つまたは複数の実施形態による、シングルシャント電流検出を利用する電力変換装置1を示す概略図である。特に、電力変換装置1は、この電力変換装置1の負のDCリンクに配置されたシャント抵抗Rsを含んでいる。トランジスタ3u、3u、3v、3v、3w、3wは、スイッチとして表されており、またモータMは、その位相毎の巻線を用いて示されている。図1AにおけるMCU5は、シャント抵抗Rsから得られる電流のサンプルを受信して、三相電流をリアルタイムで再構成するためにアルゴリズム(すなわち、ソフトウェア)を使用することができる。
【0042】
例えば、SVPWMは、3つのモータ位相電流の検出を必要とする、ベクトル制御ベースのアルゴリズムである。シングルシャント抵抗Rsを使用することによって、DCリンク電流パルスが正確な時間間隔でサンプリングされる。シャント抵抗Rsにおける電圧降下は、変換装置制御ユニット2内のオペアンプによって増幅させることができ、また例えば1.65V昇圧される。結果として生じた電圧は、変換装置制御ユニット2内のADCによって変換される。スイッチの実際の組み合わせに基づいて、モータMの三相電流が、SVPWMアルゴリズムを使用して再構成される。ADCは、PWM周期のアクティブベクトル中にDCリンク電流を測定することができる。各セクタにおいて、2つの位相電流を測定することができる。3つの巻線電流の和は0であるので、第3の位相電流の計算も可能である。
【0043】
SVPWM自体は、PWMをリアルタイムで制御するためのアルゴリズムである。これは、AC波形を生成するために使用され、また複数のクラスDアンプ(例えば、トランジスタ)を使用して、DCソースから可変速度で三相AC給電式モータを駆動させるために使用することができる。本明細書における実施例を三相モータのコンテキストで説明するが、それらの実施例は三相モータに限定されるものではなく、任意の多相負荷スキームに適用することができる。
【0044】
上述したように、WiFi(登録商標)およびBluetooth(登録商標)などのワイヤレス通信を使用して、モータコントローラと情報を交換する需要が高まっている。この需要を満たすために、モータ制御機能をワイヤレス通信機能と集積することができ、より詳細には、モータ制御ICを、単一のICパッケージにおいて、ワイヤレス通信ICと集積することができる。
【0045】
一般的に、アンテナを備えた無線ICは、ワイヤレス通信のために使用することができ、また特に、ワイヤレス通信データを伝送および受信するために使用することができる。通信データを受信/伝送するタイミングおよびそのデータ量は、ユーザおよびユースケースに依存すると考えられ、また予測不可能であると考えられる。したがって、通信データを効率的に、また要求に応じてハンドリングおよび処理するために十分な処理能力が確保されるべきである。
【0046】
モーションコントローラICは、一般的には、無線ICと直接的に通信する能力を備えておらず、またワイヤレス通信データ処理をハンドリングする計算能力も備えていない。例えば、無線ICからのローデータの受信に基づいて、その受信したローデータについては、データのハンドリングおよび処理が必要とされる。一般的に通信データは、通信データを分析して、それに応答して適切なアクションが実行されるように、ある程度即時的な応答および/または処理を必要とする。通信データの処理は、中央処理装置(CPU)に顕著な負荷を掛ける可能性があり、そのような負荷下では、モーションコントローラICは、モータ制御機能を中断することなくハンドリングを実行することはできない。モータ制御機能が中断されることによって、PWM周期にスキップが生じる可能性があり、また最終的にはモータが損傷する恐れがある。
【0047】
上述したように、モーションコントローラICは、フィードバック制御ループに基づいて、リアルタイムでモータ制御を行うように構成されている。リアルタイム処理は、モータが運転している限り継続的に実行され、またPWM制御信号は、リアルタイム処理に基づいて周期的に(すなわち、PWM周期毎に)更新される。例えば、各PWM周期において、モーションコントローラICは、モータの電流および電圧を測定し、測定された電流および/または電圧に基づいて(1つまたは複数の)モータ制御アルゴリズムを計算し、またゲートドライバICに出力されて、最終的にスイッチ3に適用される瞬時PWM制御信号を生成し、スイッチ3のデューティサイクルを制御する役割を担う。したがって、所定量の処理能力を要求するモータ制御機能を実行するために、モータコントローラICには継続的な処理負荷が掛かる。
【0048】
モータコントローラICは、モータ制御計算(すなわち、(1つまたは複数の)モータ制御アルゴリズムに基づいた計算)を完了し、中断なく、PWM周期毎に(例えば、約15~45μsの時間間隔で)PWM制御信号を出力することを必要とする。中断が生じた場合、モータコントローラICがPWM周期を超過する恐れがある。モータ制御計算のためにこのPWM周期を超過すると、モータが損傷する恐れがある。
【0049】
モータコントローラICが、ワイヤレス通信データ処理のハンドリングの役割も担うのであれば、無線ICからの通信データの受信について、この処理負荷が増大すると考えられる。処理負荷のこの増大は、モータコントローラICが1PWM周期の間にモータ制御計算を完了し終えないというリスクをもたらす恐れがある。つまり、1PWM周期では間に合わないほどに、リアルタイムモータ制御機能が著しく中断される恐れがある。最終的には、通信データの性質と、それが要求する処理負荷とに起因して、非常に顕著なサージが生じやすくなる恐れがある。したがって、モータ制御機能が、そのような処理負荷サージ、すなわちワイヤレス通信データの処理に起因する処理負荷サージから保護されるように、測定が行われるべきである。
【0050】
したがって、ワイヤレス通信ICを、モーションコントローラICと無線ICとの間の通信インタフェースとして使用することができる。ワイヤレス通信ICは、通信データ処理をハンドリングするには十分な処理能力を有しつつ、モータ制御機能に関してモータコントローラICとの情報交換も行うように構成することができる。
【0051】
例えば、ワイヤレス通信ICは、通信データを処理し、モータコントローラICに対する始動/停止命令を提供することができる。ワイヤレス通信ICは、速度同期および/またはトルクコマンドを適合させるための命令を含む動的な動作調整に関する命令をモータコントローラICに提供することもできる。ワイヤレス通信ICは、モータ機能を含む、器具の1つまたは複数の動作を調節する「スマート」ホームシステムとのインタフェースとして使用することができる。したがって、ワイヤレス通信ICは、スマートホームシステムから通信データ、例えばターンオン命令およびターンオフ命令、またはスタンバイ命令または低電力命令を受信することができる。モータ設定を、通信データにおいて受信することもできる。
【0052】
空調ユニットの1つの例としては、スマートサーモスタットが、測定された周囲温度およびプログラミングされた温度設定に基づいて、通信データを無線ICに送信することができる。通信データは、プログラミングされた所望の温度を維持することに基づいて、始動/停止命令を供給することができる。ワイヤレス通信ICは、この通信データを処理し、指示されたアクションを開始するために、モータコントローラICに対する始動/停止命令を提供することができる。
【0053】
モータがオンまたはオフであるべき時間を定義するターンオン期間およびターンオフ期間、またはモータ速度およびその速度でモータが運転する時間の両方を定義する速度設定期間を含めた設定を、通信データに含めることもできる。それらの設定をワイヤレス通信ICに記憶することができ、またワイヤレス通信ICによって無線ICから受信した通信データを介して、周期的に更新することができる。ワイヤレス通信ICは、続いて、ワイヤレス通信ICに記憶されて監視されているそれらの設定に基づいて、モータコントローラICに対するターンオン命令およびターンオフ命令または速度調整命令を送出することができる。例えば、ワイヤレス通信ICは、時間または期間をトラッキングし、記憶されている設定に基づいて、設定された時間になった際、または設定期間の経過時に、モータコントローラICに対して適切な命令を開始することができる。
【0054】
さらに、モータコントローラICは、ワイヤレス通信ICにモータ状態および制御情報を中継することができ、ワイヤレス通信ICは、続いて、この情報を処理して、適切な通信データを、外部デバイス(例えばユーザデバイス)へのワイヤレス伝送のために、無線ICに伝送することができる。例えば、モータコントローラICは、熱的な過負荷状態の緊急レポートを提供することができるか、または電流基準を即座にシャットダウンもしくは低減する必要性を通信することができる。
【0055】
ワイヤレス通信ICは、モータコントローラICのプロセッサベース周波数よりも高いプロセッサベース周波数(すなわち、CPUコアクロック速度)を有するコアプロセッサを備えるように構成されている。1つの例においては、ワイヤレス通信ICが、150MHzのプロセッサベース周波数を有することができ、またモータコントローラICが、48MHzのプロセッサベース周波数を有することができる。しかしながら、プロセッサベース周波数はそれらの値に限定されるものではなく、意図する用途に応じて変更することができる。
【0056】
さらに、ワイヤレス通信ICおよびモータコントローラICを異なるリソグラフィプロセスによって作製することができ、その場合、ワイヤレス通信ICは、モータコントローラICよりも小さいテクノロジノードで製造される。例えば、モータコントローラICは、55ナノメートル(55nm)リソグラフィプロセスによって作製することができ、またワイヤレス通信ICは、40nmリソグラフィプロセスによって作製することができる。しかしながら、各ICのテクノロジノードはそれらに限定されるものではなく、意図する用途に応じて変更することができる。
【0057】
したがって、2つのICを、用途に応じてコスト効率よく最適化することができる。
【0058】
図2Aは、1つまたは複数の実施形態による、ワイヤレス通信を実現するモータ制御集積回路機能を有するICパッケージ20の概略的なブロック図である。同様に、図2Bは、1つまたは複数の実施形態による、ICパッケージ20の平面図である。
【0059】
特に、ICパッケージ20は、128ピンのLQFP(Low Profile Quad Flat Package)である。しかしながら、パッケージの種類は、このピンの数およびパッケージタイプに限定されるものではない。したがって、ICパッケージ20は、他の任意のタイプのパッケージ、例えばQFN(Quad Flat Nolead)パッケージであってもよく、また異なる数のピンオプションを用いて使用することができる。
【0060】
ICパッケージ20は、2つのメイン機能を有している。第1のメイン機能は、ワイヤレス通信データ処理21aであり、第2のメイン機能は、モータ制御機能22aである。モータ制御機能22aは、永久磁石モータまたは誘導モータのいずれかの制御を含むことができ、またロータ位置のセンシングを必要としないセンサレス制御として、またはホールセンサおよび/またはエンコーダデバイスを用いるセンサベースの制御として構成することができる。したがって、モータ制御機能22aは、ゲートドライバICおよび/またはモータを制御するために使用される任意の制御機能を含むことができ、またそのタスクを達成するための複数の機能の実行を含むことができる。
【0061】
ワイヤレス通信データ処理21aは、httpウェブサーバ管理の実行、クラウドサービスハンドリング、および対応するモータ制御機能との連携を含む。例えば、ICパッケージ20を、自身のピンのうちの1つまたは複数を介して、無線IC(図示せず)に結合することができ、この無線ICはさらにアンテナ(図示せず)に結合されている。アンテナは、ワイヤレス通信データを受信および送信するように構成されており、また無線ICは、アンテナとICパッケージ20との間のインタフェースとして構成されている。したがって、ワイヤレス通信データ処理21aは、無線ICに結合されているアップリンクチャネルおよびダウンリンクチャネルを介してワイヤレス通信データを送信および受信し、アップリンクワイヤレス通信データおよびダウンリンクワイヤレス通信データを処理し、またモータ制御機能と連携するように構成することができる。ここで、アップリンクワイヤレス通信データは、無線ICから受信したデータ(すなわち、パッケージ20に対する入力)であり、またダウンリンクワイヤレス通信データは、無線ICに送信されるデータ(すなわち、パッケージ20からの出力)である。
【0062】
モータ制御機能22aは、モータ電流の検出によるモータ速度制御ならびにトルク制御の実行、フィードバック制御ループに基づくPWM制御信号の生成、および力率改善回路(PFC)制御信号を生成するための、オプションとしてのPFC機能の実行を含む。PFC制御は、ファームウェアによってモータ制御機能22aに組み込むことができる。換言すれば、モータ制御機能22aは、MCU5を参照して上記において説明したようなモータ制御に関する類似の機能を実行する。しかしながら、ここでは、ゲートドライバICは、MCU5の外部(すなわち、ICパッケージ20の外部)に設けられており、電力変換装置1に集積させてもよい(図3におけるゲートドライバIC7を参照されたい)。
【0063】
さらに、2つのメイン機能21aおよび22aは、相互通信インタフェース23を介して相互に通信するように構成されている。2つのメイン機能間の相互通信は、リアルタイムでの高速イベントハンドリング情報交換のための、RS-232Cシリアル通信および付加的な複数のワイヤによって実現することができる。
【0064】
例えば、速度設定点命令、始動命令、停止命令、および/または動的トルク制限値更新命令を、無線ICから受信したワイヤレス通信データに基づいて通信データ処理21aによって生成し、モータ制御機能を修正するために、通信データ処理21aによってモータ制御機能22aに送信することができる。
【0065】
速度設定点命令は、モータ制御機能22aに従い、モータ速度を設定かつ/または調整するために使用することができる。この命令は、目下のモータ速度を加速または減速させるために使用することができる。始動命令は、モータ制御機能22aに従いモータを始動させるために使用することができ、また停止命令は、モータ制御機能22aに従いモータを停止またはシャットダウンするために使用することができる。動的トルク制限値更新命令は、モータ制御機能22aに従い、モータのトルクを調整するために使用することができる。
【0066】
反対に、モータ速度フィードバック情報、電力計測情報、モータ駆動装置故障状態、電力変換装置温度、および/またはモータ温度を、モータ制御機能22aによって測定または生成し、通信データ処理21aに送信することができる。上記の情報のうちの1つまたは複数を受信すると、通信データ処理21aは、情報を処理して、無線ICに伝送するためのワイヤレス通信データを準備することができる。換言すれば、通信データ処理21aは、モータ制御機能22aから受信した情報を含む通信メッセージ(例えばデータパケット)を生成することができる。
【0067】
したがって、図2Aは、2つの機能、すなわちモータ制御機能およびワイヤレス通信データ処理を、2つの集積回路によって単一のパッケージに集積したものを示す。
【0068】
図2Bに示したように、それらの2つのメイン機能21aおよび22aは、物理的に2つの集積回路、すなわちワイヤレス通信IC21bおよびモータコントローラIC22bそれぞれによって実現されている。ワイヤレス通信IC21bおよびモータコントローラIC22bは、電力VDCを受け取り、また周辺機器(例えば、ゲートドライバIC、無線IC、PFC ICなど)と通信するために、ボンディングワイヤを介して、パッケージ20のピンに結合されている。さらに、ワイヤレス通信IC21bおよびモータコントローラIC22bは、相互通信インタフェース23によって一緒に接続されており、この相互通信インタフェース23は、この例では、6つのボンディングワイヤ(すなわち相互接続ワイヤ)を含んでいる。ここで、ワイヤレス通信IC21bとモータコントローラIC22bとの間の相互通信は、リアルタイムでの高速イベントハンドリング情報交換のための、RS-232Cシリアル通信と付加的な複数のワイヤによって実現することができる。
【0069】
例えば、速度設定点命令、始動命令、停止命令、および/または動的トルク制限値更新命令を、無線ICから受信したワイヤレス通信データに基づいてワイヤレス通信IC21bによって生成し、モータコントローラIC22bによって実現されるモータ制御機能を修正するために、ワイヤレス通信IC21bによってモータコントローラIC22bに送信することができる。それらの命令は、周期的に更新される形で、シリアル通信インタフェースを介して送信することができるか、またはイベントハンドリングのためのリアルタイムイベント通信インタフェースを介して送信することができる。換言すれば、周期的な更新は、スケジューリングされた通信であると考えられ、それに対しリアルタイムイベント通信は、周期的な更新を含めた他のタイプの通信よりも優先される、スケジューリングされていない通信であると考えられる。
【0070】
速度設定点命令は、モータコントローラIC22bによって実現されるモータ制御機能に従い、モータ速度を設定かつ/または調整するために使用することができる。この命令は、目下のモータ速度を加速または減速させるために使用することができる。始動命令は、モータコントローラIC22bによって実現されるモータ制御機能に従いモータを始動させるために使用することができ、また停止命令は、モータコントローラIC22bによって実現されるモータ制御機能に従いモータを停止またはシャットダウンするために使用することができる。動的トルク制限値更新命令は、モータコントローラIC22bによって実現されるモータ制御機能に従い、モータのトルクを調整するために使用することができる。
【0071】
反対に、モータ速度フィードバック情報、電力計測情報、モータ駆動装置故障状態、電力変換装置温度、および/またはモータ温度を、モータコントローラIC22bによって測定または生成し、ワイヤレス通信IC21bに送信することができる。モータ速度フィードバック情報、電力計測情報、電力変換装置温度、および/またはモータ温度を含む周期的な更新を、シリアル通信インタフェースを介して送信することができる。
【0072】
電力変換装置1における過剰温度、過電流、および/または過電圧、またはモータにおける過剰温度を含むモータ制御故障情報などのイベント情報、ならびにそれに対応するモータ制御機能命令を、リアルタイムイベント通信インタフェースを介して送信することができる。
【0073】
モータコントローラIC22bからの1つまたは複数のタイプの情報を受信すると、ワイヤレス通信IC21bは、情報を処理して、無線ICに伝送するためのワイヤレス通信データを準備することができる。換言すれば、ワイヤレス通信IC21bは、モータコントローラIC22bから受信した情報を含む通信メッセージ(例えばデータパケット)を生成することができる。
【0074】
ICパッケージ20のピンの一部を、ワイヤレス通信IC21bおよびモータコントローラIC22bに結合することができる。例えば、ピンPWMWH、PWMWL、PWMVH、PWMVL、PWMUHおよびPWMULは、電力変換装置(例えば、図1Aに示したような電力変換装置1)における各位相電流を制御するために使用することができ、またさらに電力変換装置のゲートドライバICに結合させることができる。ここで、ピンPWMWHおよびPWMWLは、W位相電流のハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを制御するためのPWM制御信号を出力するために使用され、ピンPWMVHおよびPWMVLは、V位相電流のハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを制御するためのPWM制御信号を出力するために使用され、またピンPWMUHおよびPWMULは、U位相電流のハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを制御するためのPWM制御信号を出力するために使用される。
【0075】
さらに、ピンIsenseおよびVsenseを、モータコントローラIC22bに結合させることができ、またモータ電流またはモータ電圧それぞれを受け取るために使用することができ、これによってモータコントローラIC22bは、フィードバック制御のためにモータ電流またはモータ電圧を測定することができる。付加的なピンをモータコントローラIC22bに結合させ、PFC制御機能専用のものにすることができる。付加的なピンは、ワイヤレス通信IC21bを無線ICに連携させるために使用することもできる。さらに、VDDおよびVSSなどの電力パッドを、それぞれ、ワイヤレス通信IC21bおよびモータコントローラIC22bで共有することができる。
【0076】
上記において説明したように、ワイヤレス通信IC21bは、WiFi(登録商標)/Bluetooth(登録商標)通信データ処理を実行し、それに対しモータコントローラIC22bは、モータ制御機能を実行する。相互通信インタフェース23の6つの相互接続ワイヤのうちの2つは、2つのIC間のシリアル通信(例えば、RS-232C通信)専用のものである。シリアル通信は、2つのIC間の周期的な報告を含むことができる。例えば、モータコントローラIC22bは、モータ電力計測情報として、モータに供給されるまたはモータによって消費される電力量をトラッキングすることができ、またモータ電力計測情報は、シリアル通信インタフェースを介して、モータコントローラIC22bからワイヤレス通信IC21bに周期的に送信することができる。他の周期的なモータ状態更新に関する通信も、シリアル通信インタフェースを介して、モータコントローラIC22bから送信することができる。
【0077】
反対に、ワイヤレス通信IC21bは、モータを駆動させるために供給される電力を調整するために、シリアル通信インタフェースを介して、電力調整命令を周期的な更新として、モータコントローラIC22bに送信することができる。例えば、電力調整命令を送信し、モータ電力制御に関する電流レベルを低減させるか、または電流レベルを増大させることができる。他のモータ機能更新に関する通信も、シリアル通信インタフェースを介して、ワイヤレス通信IC21bから送信することができる。
【0078】
相互通信インタフェース23の残りの4つのワイヤは、IC間のリアルタイムイベント通信専用のものである。リアルタイムイベント通信は、モータ制御故障情報または熱的な過負荷状態の緊急レポートなどの至急の通信を含むことができるか、または電流基準を即座にシャットダウンもしくは低減する必要性を通信することができる。例えば、モータ制御故障情報は、電力変換装置1における過剰温度、過電流、および/または過電圧を、リアルタイムイベント通信インタフェースを介してシグナリングすることができる。モータ制御故障情報は、モータにおける過剰温度を示すためにも使用することができる。この故障情報を、周期的な更新として送信するのではなく、リアルタイムで(すなわち、モータコントローラIC22bによる故障イベントの検出に基づいて)送信することができるので、適切な時間に(例えば、即座に、または必要に応じて)適切なアクションを実行することができる。
【0079】
モータ制御故障情報の受信に応答して、ワイヤレス通信IC21bは、リアルタイムイベント通信によって1つまたは複数の命令でもって応答して、特定のアクション(例えば、停止命令、速度設定点命令による目下のモータ速度の減速、トルク制限値更新命令によるトルクの低減など)の実行をモータコントローラIC22bに指示することができる。ワイヤレス通信IC21bは、イベントハンドリングのために外部デバイスからの命令を探索することもでき、また外部デバイスからの(すなわち無線ICを介する)それらの命令の受信およびそれらの処理に基づき、命令をモータコントローラIC22bに中継することができる。
【0080】
リアルタイムイベント通信は、モータ制御機能の動作を変更するために、例えば、モータを停止させるためにモータ制御IC22bをトリガする。したがって、それらの4つのワイヤは、RS-232Cによって提供される定期的で周期的な通信を補完するように、シリアル通信ワイヤによって提供される情報交換を補完する。
【0081】
ワイヤレス通信IC21bおよびモータコントローラIC22bを含むICパッケージ20は、電力変換装置1およびアンテナ9を備えた無線IC8と連携するために使用することができる。例えば、図3は、1つまたは複数の実施形態による、ICパッケージ20を使用する例示的な適用構成300の概略的なブロック図を示す。特に、この適用構成300は、広範な機器モータ制御スキームにおいて使用することができるワイヤレス通信機能を用いる三相モータ制御を示す。ICパッケージ20は、種々のピンを介して無線IC8に結合されている。さらに、ICパッケージ20の6つのピン(すなわち、PWMWH、PWMWL、PWMVH、PWMVL、PWMUHおよびPWMUL)は、モータ機能を制御するために電力変換装置1に集積されているゲートドライバIC7に結合されている。最後に、ICパッケージ20のIsenseピンは、モータコントローラIC22bによるモータフィードバック制御に使用されるモータ電流を受け取る(検出する)ためにシャント抵抗Rsに結合されている。
【0082】
この配置構成でもって、モータコントローラIC22bと連携するワイヤレス通信も許可したまま、モータコントローラIC22bによって実現されるモータ制御機能のリアルタイム処理を保護することができる。
【0083】
また、無線IC8をICパッケージ20内に集積でき、パッケージ内のボンディングワイヤを介してワイヤレス通信IC21bに結合できることは明らかである。この場合、ICパッケージ20は、パッケージ外に設けられているアンテナ9に結合させるためのアンテナピンとしての、少なくとも1つの専用ピンを有することができる。
【0084】
上述の実施形態によれば、ワイヤレス通信IC21bおよびモータコントローラIC22bは、それらの各処理負荷(すなわち、ワイヤレス通信データ処理負荷対モータ制御処理負荷)を並列にハンドリングするために、独立して動作するように構成されている。2つのダイは、1つのパッケージ20に集積されている。
【0085】
図4は、1つまたは複数の実施形態による、ワイヤレス通信機能およびモータ制御機能がモノリシックに集積されているICパッケージの概略的なブロック図である。2つの機能、すなわちモータ制御およびWiFi(登録商標)/Bluetooth(登録商標)通信データ処理は、1つのモノリシック集積回路40によって集積されて、1つのパッケージ20にパッケージングされている。したがって、集積が次のレベルに達することで、ワイヤレス通信IC21bおよびモータコントローラIC22bをモノリシックに集積することができ、これによって、1つの物理的な集積回路40が形成され、その一方で、モータ制御機能ならびにWiFi(登録商標)/Bluetooth(登録商標)通信データ処理の両方が実行される。
【0086】
種々の実施形態を説明したが、当業者であれば、本開示の範囲内でより多くの実施形態および実現形態が可能であることが分かる。したがって、添付の特許請求の範囲およびその等価物を考慮したものを除き、本発明は限定されるべきではない。上記において説明したコンポーネントおよび構造(アセンブリ、デバイス、回路、システムなど)によって実行される種々の機能に関して、それらのコンポーネントを説明するために用いた用語(「手段」についての参照も含む)は、本願において図示した本発明の例示的な実現形態における機能を実行する上述の構造に構造的に等価でないとしても、別段の記載がない限りは、上述のコンポーネントの特定の機能(すなわち機能的に等価である機能)を実行する任意のコンポーネントまたは構造に対応することが意図されている。
【0087】
さらに、添付の特許請求の範囲は、これによって、詳細な説明に組み込まれ、各請求項はそれ自体を別個の例示的実施形態として主張することができる。各請求項がそれ自体を別個の例示的実施形態として主張できるのに対し、従属請求項がそれらの請求項において1つまたは複数のその他の請求項との特定の組み合わせを表すことができるにもかかわらず、その他の例示的実施形態は従属請求項と別の各従属請求項または独立請求項の内容との組み合わせも含むことができることを言及しておく。特定の組み合わせは意図していないことが明記されていない限り、そのような組み合わせは本明細書において提案されている。さらに、ある請求項が直接的に別の任意の独立請求項に従属していない場合であっても、その独立請求項に対するその請求項の特徴も含まれることが意図されている。
【0088】
本明細書に開示された方法または請求項において開示された方法は、それらの方法の各動作をそれぞれ実行するための手段を有しているデバイスによって実現できることをさらに言及しておく。
【0089】
さらに、本明細書または特許請求の範囲に開示されている多数の動作または機能の開示は特定の順序にあるべきと解釈されるべきではないと解される。したがって、複数の動作または機能の開示は、そのような動作または機能が技術的な理由から交換できない場合を除き、それらは特定の順序に限定されるべきではない。さらに、いくつかの実施形態においては、単一の動作は複数の副動作を含むことができるか、またはそのような単一の動作を複数の副動作に分割することができる。明示的に除外されていない限りは、そのような副動作を含めることができ、またそのような副動作はこの単一の動作の開示の一部であってもよい。
【0090】
特定の実現形態の要求に応じて、本明細書において提供される実施形態をハードウェアまたはソフトウェアで実現することができる。この実現形態は、プログラミング可能なコンピュータシステムと協働し、または協働することができ、それによって各方法を実行する、電子的に可読な制御信号が記憶されている、ディジタル記憶媒体、例えば、フロッピディスク、DVD、ブルーレイ、CD、RAM、ROM、PROM、EPROM、EEPROMまたはフラッシュメモリを使用して達成することができる。したがって、ディジタル記憶媒体はコンピュータ可読であると考えられる。
【0091】
命令を、1つまたは複数のプロセッサ、例えば1つまたは複数の中央処理ユニット(CPU)、ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他の等価の集積論理回路または離散論理回路によって実行することができる。したがって、本明細書において使用されているような「プロセッサ」という用語は、前述の構造のうちの任意の構造、または本明細書において説明した技術の実現に適した他の任意の構造を表すことができる。さらに、いくつかの態様においては、本明細書において説明した機能を、専用のハードウェアモジュールおよび/またはソフトウェアモジュール内に設けることができる。また、上述の技術を1つまたは複数の回路または論理素子において完全に実現することができる。
【0092】
したがって、本開示において説明した技術を、少なくとも部分的に、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせとして実現することができる。例えば、説明した技術の種々の態様を、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、DSP、ASIC、または他の任意の等価の集積回路もしくは離散論理回路、ならびにそのようなコンポーネントの任意の組み合わせを含む、1つまたは複数のプロセッサ内で実現することができる。
【0093】
ハードウェアを含む制御ユニットは、本開示において説明した技術のうちの1つまたは複数を実行することもできる。そのようなハードウェア、ソフトウェア、およびファームウェアを、本開示において説明した種々の技術をサポートするために、同一のデバイス内または別個のデバイス内で実現することができる。ソフトウェアを、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶することができるので、そのような非一時的なコンピュータ可読媒体には、プログラムコードまたはプログラムアルゴリズムが記憶されており、これが実行されると、コンピュータプログラムは方法のステップを実施する。
【0094】
種々の例示的実施形態を開示したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書において開示した構想の利点のいくつかを達成する種々の変更および修正を行えることは当業者には明らかである。同じ機能を実行する他のコンポーネントに適切に置換してもよいことは当業者には明らかである。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、また構造的または論理的な変更を行うことができると解されるべきである。たとえ明示的に言及されていないとしても、特定の図面を参照して説明した特徴を、他の図面の特徴と組み合わせることができることに留意されたい。発明の一般的な概念に対するそのような修正は、添付の請求項およびそれの法的な等価物によってカバーされることが意図されている。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータコントローラにおいて、
モータ制御のための電力変換装置と連携するように構成されているパッケージと、
前記パッケージ内に集積されており、アップリンクワイヤレス通信データを受信し、前記アップリンクワイヤレス通信データを処理するように構成されており、ダウンリンクワイヤレス通信データを伝送するように構成されているワイヤレス通信集積回路(IC)と、
前記パッケージ内に集積されており、多相モータ制御のためのパルス幅変調(PWM)制御信号の生成を含むモータ制御機能を実行するように構成されているモータコントローラICと、
前記ワイヤレス通信ICおよび前記モータコントローラICに結合されており、前記ワイヤレス通信ICと前記モータコントローラICとの間でのアップリンク情報およびダウンリンク情報の情報交換のための複数の相互通信ワイヤを有する相互通信インタフェースと、
を備えているモータコントローラ。
【外国語明細書】