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特開2024-73525代謝性疾患の処置において使用するためのマイクロRNAインヒビター
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073525
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】代謝性疾患の処置において使用するためのマイクロRNAインヒビター
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20240522BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240522BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240522BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240522BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240522BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240522BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240522BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240522BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240522BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240522BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20240522BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240522BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20240522BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240522BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240522BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240522BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20240522BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240522BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240522BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20240522BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20240522BHJP
   A61K 31/7115 20060101ALI20240522BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
C12N15/113 Z
A61K35/76 ZNA
A61P3/00
A61P35/00
A61P1/16
A61P3/06
A61P3/10
A61P3/04
A61P9/10 101
A61P9/00
A61K31/7105
A61K47/04
A61K9/12
A61K47/34
A61K47/44
A61K45/00
A61K31/713
A61K31/7088
A61K48/00
A61K31/712
A61K31/7125
A61K31/7115
C12N15/864 100Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024037853
(22)【出願日】2024-03-12
(62)【分割の表示】P 2020569736の分割
【原出願日】2019-09-10
(31)【優先権主張番号】LU100927
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(71)【出願人】
【識別番号】509160867
【氏名又は名称】ヘルムホルツ・ツェントルム・ミュンヘン・ドイチェス・フォーシュンクスツェントルム・フュア・ゲズントハイト・ウント・ウンベルト・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツィヒ シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ロサーノ マニュエル ギル
(72)【発明者】
【氏名】シャフマイヤー トビアス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076AA95
4C076DD29
4C076EE23
4C076EE24
4C076EE51
4C076FF16
4C076FF31
4C084AA13
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA451
4C084ZA452
4C084ZA701
4C084ZA702
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC211
4C084ZC212
4C084ZC331
4C084ZC332
4C084ZC351
4C084ZC352
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA45
4C086ZA70
4C086ZA75
4C086ZB26
4C086ZC21
4C086ZC33
4C086ZC35
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA13
4C087ZA36
4C087ZA45
4C087ZA70
4C087ZA75
4C087ZB26
4C087ZC21
4C087ZC33
4C087ZC35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】代謝性疾患、代謝障害に関連する疾患、および/またはがんを処置または予防するのに使用するための組成物を提供する。
【解決手段】miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターおよびmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビター;ならびに/または、miR-379またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビターおよびmiR-541またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビター;ならびに/または、miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターとmiR-541またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビターとの組み合わせ、あるいはmiR-379またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビターとmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターとの組み合わせを含む、組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターおよびmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビター;ならびに/または
(b)miR-379またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビターおよびmiR-541またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビター;ならびに/または
(c)miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターとmiR-541またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビターとの組み合わせ、あるいはmiR-379またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビターとmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターとの組み合わせ
を含む、組成物。
【請求項2】
少なくとも1つのmiR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターが、miR-379またはその一部もしくは断片に相補的であるかまたはそれにハイブリダイズするヌクレオチド配列を含み、かつ少なくとも1つのmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターが、miR-541またはその一部もしくは断片に相補的であるかまたはそれにハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
miR-379の一部が、6個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を有し;かつ
miR-541の一部が、8個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を有する、
請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1つのインヒビターが、少なくとも10個のヌクレオチドを含む核酸配列を含む、請求項1~3のいずれか一項記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1つのインヒビターが、タフデコイ(Tough Decoy)(TuD)、デコイ、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチmiR、ブロックmiR、リボザイム、外部ガイド配列(EGS)、オリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA(siRNA)、スモールテンポラルRNA(small temporal RNA)(stRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、低分子RNA誘導型遺伝子活性化(small RNA-induced gene activation)(RNAa)、低分子活性化RNA(small activating RNA)(saRNA)、ロックド核酸(LNA)、アンタゴmir、およびペプチド核酸(PNA)からなる群より選択される、請求項1~4のいずれか一項記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1つのインヒビターがタフデコイRNA(TuD)である、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1つのインヒビターが、
N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、ホスホロチオエートDNA(PS)、2'-0-メチルRNA(OMe)、2’-0-メトキシ-エチルRNA(MOE)、ペプチド核酸(PNA)、N3'-P5'-ホスホロアミダート(NP)、2’-フルオロ-アラビノ核酸(FANA)、モルホリノホスホロアミダート(MF)、シクロヘキセン核酸(CeNA)、およびトリサイクルDNA(tc-DNA)
を含む核酸類似体からなる群より選択される核酸配列の化学修飾を含む、請求項1~6のいずれか一項記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1つのインヒビターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レンチウイルスベクター、ポリエチレンイミン(PEI)、カチオン性リポソーム、シリカナノ粒子、PEG化PLGA、および中性脂質からなる群より選択される送達媒体に含まれる、請求項1~7のいずれか一項記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1つのインヒビターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)に含まれる、請求項1~8のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターが、5個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 3のヌクレオチド配列を含み;かつ/または
miR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターが、5個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 4のヌクレオチド配列を含む、
請求項1~9のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
同一分子上にmiR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターおよびmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターを含む、組成物であって、該分子が、miR-379またはその一部もしくは断片に相補的であるかまたはそれにハイブリダイズするヌクレオチド配列、およびmiR-541またはその一部もしくは断片に相補的であるかまたはそれにハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む、請求項1~10のいずれか一項記載の組成物。
【請求項12】
前記インヒビターが、10個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 5のヌクレオチド配列を含む、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
薬学的組成物である、請求項1~12のいずれか一項記載の組成物。
【請求項14】
代謝性疾患、代謝障害に関連する疾患、および/またはがんの処置または予防に使用するための、請求項1~13のいずれか一項記載の組成物。
【請求項15】
代謝性疾患または代謝障害に関連する疾患が、グルココルチコイドホルモン誘発代謝機能不全、肥満、糖尿病、糖尿肥満(diabesity)、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、高血糖、(全身性)脂質代謝異常、クッシング症候群、グルココルチコイド(GC)処置または過剰なGCに付随するまたはそれによって引き起こされる有害作用または副作用、アテローム動脈硬化症、心疾患、脳卒中、(がん性)悪液質、成長不全、脂肪肝、NASH、および肝線維症からなる群より選択される、請求項14記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターおよびmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビター、ならびに/または、miR-379またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビターおよびmiR-541またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビター、ならびに/または、miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターとmiR-541またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビターとの組み合わせ、あるいはmiR-379またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビターとmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターとの組み合わせを含む、組成物に関する。本発明はさらに、代謝性疾患、代謝障害に関連する疾患、および/またはがんを処置または予防するのに使用するためのそのような組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
代謝機能不全および代謝性疾患は多くの場合、不均衡なレベルのグルココルチコイドホルモンを伴い、かつ、例えば、空腹、がん性悪液質、老化、クッシング症候群、GC療法、肥満、インスリン抵抗性、1型および2型糖尿病、高血糖、脂質代謝異常、ならびにHCC(肝細胞がん)等の状態を伴う。例えば、メタボリックシンドローム(全てがインスリン抵抗性の原発性疾患に起因するか、またはそれを伴う、一連の代謝障害)は、腹部肥満、トリグリセリドレベルの上昇、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールレベルの減少、高血圧、および空腹時血中ブドウ糖不良(インスリン感受性の低下および糖尿病発症リスクの増大の尺度)を含む、代謝危険因子の一群によって特徴づけられる。そのような状態および疾患に罹患している患者は、冠動脈心疾患および他のアテローム硬化性状態、例えば、脳卒中および末梢血管疾患および2型糖尿病などのリスクが増加している。
【0003】
視床下部-下垂体-副腎系(HPA)の内分泌軸は、外傷、運動、または栄養枯渇などの多様な状況で身体恒常性を維持するための重要な生理的ストレス回路である。代謝調節において、GCシグナル伝達は、インスリン作用に対する主要な逆調節系(counter-regulatory system)として機能し、異常に上昇したGC活性は、肥満、インスリン抵抗性、高血糖、および全身性脂質代謝異常を含む、メタボリックシンドロームの主要な構成要素と密接に関連する。実際、GCレベルは、インスリン抵抗性の患者において上昇していることが認められており、核内受容体転写因子ファミリーのメンバーであるグルココルチコイド受容体(GR)を通じて媒介される、高血糖および脂肪肝表現型に強く関連する。同様に、肥満は、局所でのGC作用の増強によって特徴づけられ、内因性または外因性のGC欠乏または過多のいずれかの状態、例えば、アジソン病、クッシング症候群、またはGC療法はそれぞれ、メタボリックシンドロームの側面を密接に模倣する全身エネルギー代謝の重篤な摂動によって特徴づけられる。
【0004】
低分子非コードRNA(マイクロRNA、本明細書においてmiRNAまたはmiRとも呼ばれる)のあるクラスは、代謝調節の重大な意味をもつ層として出現している。マイクロRNA(miRNA、miR)は、哺乳動物を含むさまざまな生物に存在する低分子(例えば、18~24ヌクレオチド)非コードRNAのクラスであり、進化において保存される。miRNAは、約70ヌクレオチドのヘアピン状の前駆体からプロセシングされ、RNAse III酵素による連続した切断を通じて一次転写物から生じる。多くのマイクロRNAは、pre-mRNAのイントロン内または非コードRNA遺伝子内に存在する、遺伝子間領域においてコードされ得る。多くのmiRNAはまた、クラスターを形成し、ポリシストロンとして転写される傾向を有し、多くの場合、類似する時空間的発現パターンを有する。miRは、発生時期、分化、アポトーシス、細胞増殖、器官発生、および代謝を含むさまざまな生物学的プロセスにおいて役割を有することが認められている。実際、個々のmiRNAは、膵β細胞インスリン分泌、脂肪組織脂質貯蔵、ならびに肝臓のコレステロールおよび脂質処理を含む、エネルギー恒常性の多様な局面を制御することが認められている。また、miR-379などの一部のmiRNAは、グルココルチコイド(GC)シグナル伝達に関与することが特定されている(WO 2015/063081(特許文献1))。例えば、miR-379活性の阻害は、循環トリグリセリド(TG)レベルの低下を示した(de Guia et al., EMBO J (2015), 34(3): 344-360(非特許文献1))。しかしながら、代謝機能不全および代謝疾患は依然として、まだ十分に処置可能ではなく、1型および2型糖尿病を含むそのような疾患の適切な治療法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO 2015/063081
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】de Guia et al., EMBO J (2015), 34(3): 344-360
【発明の概要】
【0007】
本発明は、本明細書に記載されかつ特許請求の範囲に定義されるような解決法を提供することによって、これらの必要性および目的に対応する。
【0008】
動物試験において以前に示されたように、miR-379活性の阻害は、循環トリグリセリド(TG)レベルの低下をもたらす(de Guia et al., EMBO J (2015), 34(3): 344-360)。本発明の文脈においてさらに認められるように、別のmiRNA、すなわち、miRNA-541(miR-541)が、肥満の患者において過剰発現することを見出し、miR-541とインスリン感受性との相関性を特定した(表1を参照)。しかしながら、miR-541の阻害またはノックダウンは、実質的な代謝表現型をもたらさなかった(データは示さず)。さらに、驚くべきことに本発明の文脈において認められかつ本明細書において示されているように、miR-379およびmiR-541両方の同時阻害は、TGレベルおよびグルコースレベルを低下させることによって、グルコースおよび脂質代謝の両方を改善する。この驚くべき知見は、miR-379およびmiR-541の両方を阻害する本発明をもたらし、これらに限定されないが、グルココルチコイドホルモン誘発代謝機能不全、肥満、糖尿病(1型および2型を含む)、糖尿肥満(diabesity)、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、高血糖、(全身性)脂質代謝異常、クッシング症候群、グルココルチコイド(GC)処置または過剰なGCに付随するもしくはそれによって引き起こされる有害作用もしくは副作用、アテローム動脈硬化症、心疾患、脳卒中、(がん性)悪液質、および成長不全、脂肪肝、NASH、および肝線維症、特に、1型および2型糖尿病を含む、グルコースおよび脂質代謝に関連する障害および疾患の処置を可能にし、これらの処置には1型および2型糖尿病の個別化医療が含まれる。
【0009】
したがって、本発明は、
(a)miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターおよびmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビター、ならびに/または
(b)miR-379またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビターおよびmiR-541またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビター、ならびに/または
(c)miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターとmiR-541またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビターとの組み合わせ、あるいはmiR-379またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビターとmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターとの組み合わせ
を含む、組成物に関する。
【0010】
本明細書で用いられる場合、「標的部位」という用語は、細胞のmRNA内の部位であり、該部位は、そのようなmRNAの翻訳を抑制もしくは阻害するか、そのようなmRNAの切断を可能にするか、またはそのようなmRNAを不安定化し分解を促進させる(当業者にmRNAの「サイレンシング」としても知られる)ためにmiRNAによって通常標的とされる。したがって、「標的部位のインヒビター」という用語は、本発明の文脈において、上記で定義されるような「標的部位」のインヒビターを意味する。よって、本発明の文脈において記載されかつ提供される組成物は、miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターおよびmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビター、ならびに/または該miRの各々の標的部位のインヒビターを含んでもよく、よって、miRが標的部位にドッキングして、各々のmRNAをサイレンシングするのを妨げる。当業者によって容易に理解されるように、miR-379またはその一部もしくは断片の標的部位のそのようなインヒビター、またはmiR-541またはその一部もしくは断片の標的部位のそのようなインヒビターは、各々のmRNAの適切な翻訳に干渉せず、かつ該mRNAを切断または不安定化しないか、または少なくとも、各々のmiR-379またはその一部もしくは断片またはmiR-541またはその一部もしくは断片自体と比較して低い程度である。
【0011】
さらに、本明細書で用いられる場合、「マイクロRNA」、「miRNA」、または「miR」という用語は互換的に用いられ、かつ典型的には18~26核酸塩基の長さの非コードRNAを含み、酵素ダイサー(Dicer)によるpre-miRNAの切断の産物であってもよい。成熟miRNAの例は、miRBase(http://microma.sanger.ac.uk/)などの当技術分野において公知のmiRNAデータベースにおいて認められる。
【0012】
さらに、本明細書で用いられる場合、miR-379またはmiR-541(もしくは各々の標的部位)またはその一部もしくは断片を「阻害する」またはそれら「の阻害」という用語はそれぞれ、miR-379またはその一部もしくは断片または miR-541またはその一部もしくは断片とその各々の標的部位との間の結合またはドッキングがそれぞれ、例えば、各々のmiRまたはその標的部位に直接的に結合するか、またはmiR-379またはmiR-541の切断または分解を補助もしくは誘導するか、またはmiR-379またはその一部もしくは断片またはmiR-541またはその一部もしくは断片の機能および/または発現を他の方法で損なうこといずれかによって、阻害または抑制されることを含む。例えば、インヒビターは核酸分子であってもよく、またはそれを含んでもよい。本発明の一局面において、miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターおよび/またはmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターは、各々のmiRに対するアンチセンス分子として機能し得る。
【0013】
本発明の文脈において、本明細書において記載されかつ提供される組成物によって含まれるようなmiR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターおよびmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターは、同一分子内にあってもよく、または異なる分子上にあってもよい。例えば、本発明の組成物は、miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターとして機能する配列とmiR-541またはその一部もしくは断片の阻害として機能する配列との両方を含む核酸分子を含んでもよく、または一方がmiR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターとして機能する配列を含み、かつもう一方がmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターとして機能する配列を含む、2種類の異なる核酸分子を含んでもよい。本発明の一態様において、組成物は、同一分子上にmiR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターおよびmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターを含み、ここで、該分子は、miR-379またはその一部もしくは断片に相補的であるかまたはそれに本明細書に記載されるように(例えば、ストリンジェントな条件下で)ハイブリダイズするヌクレオチド配列と、miR-541またはその一部もしくは断片に相補的であるかまたはそれに本明細書に記載されるように(例えば、ストリンジェントな条件下で)ハイブリダイズするヌクレオチド配列との両方を含む。
【0014】
概して、本明細書で用いられる場合、「ポリヌクレオチド」、「核酸」、または「核酸分子」という用語は、同意語として解釈されるべきである。概して、核酸分子は、特に、DNA分子、RNA分子、オリゴヌクレオチドチオフォスフェート、置換リボオリゴヌクレオチド、またはPNA分子を含んでもよい。さらに、「核酸分子」という用語は、DNAもしくはRNAもしくはそれらのハイブリッドまたは当技術分野において公知のそれらの任意の修飾を指してもよい(例えば、修飾の例としてUS 5525711、US 471 1955、US 5792608、またはEP 302175を参照)。ポリヌクレオチド配列は、一本鎖または二本鎖、直鎖状または環状、天然または合成であってもよく、サイズは限定されない。例えば、ポリヌクレオチド配列は、ゲノムDNA、cDNA、ミトコンドリアDNA、mRNA、アンチセンス RNA、リボソームRNA(ribozymal RNA)、もしくはそのようなRNAをコードするDNA、またはキメロプラスト(chimeroplast)であってもよい(Gamper, Nucleic Acids Research, 2000, 28, 4332-4339)。前記ポリヌクレオチド配列は、ベクター、プラスミドの形態、またはウイルスDNAもしくはRNAの形態をとってもよい。上記に記載される核酸分子に相補的である核酸分子、および本明細書において記載される核酸分子にハイブリダイズできる核酸分子もまた、本明細書において記載される。本明細書において記載される核酸分子はまた、本発明の文脈において核酸分子の断片であってもよい。特に、そのような断片は機能断片である。そのような機能断片の例は、プライマーとして機能することができる核酸分子である。
【0015】
本明細書で用いられる場合、核酸分子は、天然に生じるヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、および人工ヌクレオチドを含む、さまざまな種類のヌクレオチドを含んでもよい。本明細書で用いられるヌクレオチドは概して、ヌクレオシド、天然に生じるヌクレオシド、修飾ヌクレオシド、および人工ヌクレオシドを含む。当技術分野において公知である天然に生じるヌクレオシドは、プリン塩基またはピリミジン塩基を含む。天然に生じるヌクレオシドの例は、(デオキシ)アデノシン、(デオキシ)グアノシン、(デオキシ)ウリジン、チミジン、および(デオキシ)シチジンを含む。本明細書に記載されるヌクレオチドの一部としてのヌクレオシド(したがって、核酸)は概して、任意のプリンまたはピリミジンヌクレオシドを含む構造、およびその誘導体または類似体を包含する。すなわち、本発明の文脈において用いられる「プリンヌクレオシド」または「ピリミジンヌクレオシド」は概して、それぞれ本明細書に記載されるようなプリンまたはピリミジンの任意の種類ならびにその誘導体または類似体、ならびに糖、例えばペントース等を含む。本発明の一態様において、プリンヌクレオシドは、(デオキシ)アデノシン、イノシン、および(デオキシ)グアノシン、ならびにそれらの誘導体または類似体からなる群より選択されてもよい。誘導体は、例えば、デアザプリン、アジドプリン、アルキルプリン、チオプリン、ブロモプリン、O-アルキルプリン、およびイソプリン、例えば、7-デアザプリンなどのデアザプリンからなる群より選択されるプリンを有するヌクレオシドであってもよい。すなわち、本発明の一局面において、プリンヌクレオシドは、デアザプリン、アジドプリン、アルキルプリン、チオプリン、ブロモプリン、O-アルキルプリン、およびイソプリン、例えば、7-デアザプリンなどのデアザプリンからなる群より選択されるプリンを有するヌクレオシドであってもよい。本発明の別の局面において、プリンヌクレオシドは、1-メチル-(デオキシ)アデノシン、2-メチル-(デオキシ)アデノシン、N6-メチル-(デオキシ)アデノシン、N6,N6-ジメチル-(デオキシ)アデノシン、7-デアザ-(デオキシ)アデノシン、7-デアザ-8-アザ(デオキシ)アデノシン、7-デアザ-7-ブロモ(デオキシ)アデノシン、7-デアザ-7-ヨード(デオキシ)アデノシン、8-アジド(デオキシ)アデノシン、8-ブロモ(デオキシ)アデノシン、8-ヨード(デオキシ)アデノシン、8-ブロモ-2'-デオキシ(デオキシ)アデノシン、2’-O-メチルアデノシン、イノシン、1-メチルイノシン、2’-O-メチルイノシン、1-メチル(デオキシ)グアノシン、7-メチル(デオキシ)グアノシン、N2-メチル(デオキシ)グアノシン、N2,N2-ジメチル-グアノシン、イソグアノシン、7-デアザ(デオキシ)グアノシン、7-デアザ-8-アザ(デオキシ)グアノシン、7-デアザ-7-ブロモ(デオキシ)グアノシン、7-デアザ-7-ヨード(デオキシ)グアノシン、6-チオ(デオキシ)グアノシン、O6-メチル(デオキシ)グアノシン、8-アジド(デオキシ)グアノシン、8-ブロモ(デオキシ)グアノシン、8-ヨード(デオキシ)グアノシン、2’-O-メチルグアノシン、8-アジドイノシン、7-アザイノシン、8-ブロモイノシン、8-ヨードイノシン、1-メチルイノシン、および4-メチルイノシンからなる群より選択されてもよい。本発明のさらなる局面において、プリンヌクレオシドは、ケウオシン、アルカエオシン、ウイオシン、およびN6-トレオニルカルバモイルアデノシンからなる群より選択されてもよい。本発明の一局面において、ピリミジンヌクレオシドは、(デオキシ)シチジン、(デオキシ)チミジン、(デオキシ)リボチミジン、(デオキシ)ウリジン、およびそれらの誘導体からなる群より選択されてもよい。誘導体は、例えば、アルキルピリミジン、チオピリミジン、ブロモピリミジン、O-アルキルピリミジン、イソピリミジン、アセチルピリミジン、ヒドロピリミジン、およびシュードピリミジン(pseudopyrimidine)からなる群より選択されるピリミジンを有するヌクレオシドであってもよい。すなわち、本発明の一局面において、ピリミジンヌクレオシドは、アルキルピリミジン、チオピリミジン、ブロモピリミジン、O-アルキルピリミジン、イソピリミジン、アセチルピリミジン、ヒドロピリミジン、およびシュードピリミジンからなる群より選択されるピリミジンを有するヌクレオシドであってもよい。本発明の別の局面において、ピリミジンヌクレオシドは、3-メチル-(デオキシ)シチジン、N4-メチル(デオキシ)シチジン、N4,N4-ジメチル(デオキシ)シチジン、イソ(デオキシ)シチジン、シュード(デオキシ)シチジン、シュードイソ(デオキシ)シチジン、2-チオ(デオキシ)シチジン、N4-アセチル(デオキシ)シチジン、3-メチル(デオキシ)ウリジン、シュード(デオキシ)ウリジン、1-メチル-シュード(デオキシ)ウリジン、5,6-ジヒドロ(デオキシ)ウリジン、2-チオ(デオキシ)ウリジン、4-チオ(デオキシ)ウリジン、5-ブロモデオキシ(デオキシ)ウリジン、2’-デオキシウリジン、4-チオ(デオキシ)チミジン、5,6-ジヒドロ(デオキシ)チミジン、O4-メチルチミジン、ジフルオルトルエン、および他の核酸塩基代替物からなる群より選択されてもよい。上述のように、本明細書において記載されかつ提供されるヌクレオシドは概して、本明細書において記載されるプリンもしくはピリミジンまたはその誘導体または類似体、ならびに糖部分、例えばペントース等を含む。概して、本明細書において記載されるプリンもしくはピリミジンヌクレオシドまたはその誘導体もしくは類似体の一部としてのペントースは、特に、リボース、デオキシリボース、アラビノース、またはメチルリボース(2-O-メチルリボース)、例えば、リボースまたはデオキシリボースであってもよい。すなわち、ヌクレオシドは、例えば、(リボシル)ヌクレオシド、デスオキシ(リボシル)ヌクレオシド、アラビノシルヌクレオシド、または(メチルリボシル)ヌクレオシド、例えば、(リボシル)ヌクレオシドまたはデオキシ(リボシル)ヌクレオシドであってもよい。
【0016】
本明細書で用いられる場合、分子用語の接頭辞としての「デスオキシ」および「デオキシ」という用語は、同意語として用いられ、例えば、リボースなどの所定のペントースにおける、酸素原子およびヒドロキシル基の非存在を示す。
【0017】
本発明の一局面において、miR-379および/またはmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターはそれぞれ、各々のmiRに対するアンチセンス分子として機能し得る。本発明の一態様において、miR-379またはその一部もしくは断片の少なくとも1つの(または全ての)インヒビターは、miR-379またはその一部もしくは断片に相補的であるかまたはそれに(例えば、ストリンジェントな条件下で)ハイブリダイズするヌクレオチド配列を含み、miR-541またはその一部もしくは断片の少なくとも1つの(または全ての)インヒビターは、miR-541またはその一部もしくは断片に相補的であるかまたはそれに(例えば、ストリンジェントな条件下で)ハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。この文脈において、miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターおよびmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターが異なる分子上に位置することが可能であり、またはそれらは単一の分子上に位置してもよい、すなわち、1つの分子が、miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターと、miR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターとの両方を含む。本発明の一態様において、miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターおよびmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターは、単一分子上に位置する。
【0018】
miRまたはその一部もしくは断片を含むインヒビターおよび核酸分子/DNA配列の文脈において本明細書で用いられる「ハイブリダイゼーション」または「ハイブリダイズする」という用語は、ストリンジェントな条件、低ストリンジェントな条件、または非ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションに関係し得る。一態様において、条件は好ましくはストリンジェントである。前記ハイブリダイゼーション条件は、例えば、Sambrook, Russell "Molecular Cloning, A Laboratory Manual", Cold Spring Harbor Laboratory, N. Y. (2001 ); Current Protocols in Molecular Biology, Update May 9, 2012, Print ISSN: 1934-3639, Online ISSN: 1934-3647; Ausubel, "Current Protocols in Molecular Biology", Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N. Y. (1989)、またはHiggins and Hames (Eds.), "Nucleic acid hybridization, a practical approach", IRL Press Oxford, Washington DC, (1985)において記載される、従来のプロトコールにしたがって確立され得る。条件の設定は、十分に当業者の技能の範囲内であり、当技術分野において記載されるプロトコールにしたがって決定することができる。したがって、特異的にハイブリダイズする配列のみの検出は通常、ストリンジェントなハイブリダイゼーションおよび洗浄条件、例えば、0.1×SSC、0.1%SDSで65℃(本明細書で用いられる「ストリンジェントな条件」)を必要とする。相同なまたは厳密には相補的ではない配列の検出のための非ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、6×SSC、1%SDSで65℃(本明細書で用いられる「非ストリンジェントな条件」)で設定されてもよい。周知のように、プローブの長さおよび決定されるべき核酸の組成は、ハイブリダイゼーション条件のさらなるパラメーターを構成する。上記条件の変化が、ハイブリダイゼーション試験におけるバックグラウンドを抑制するために用いられる代替のブロッキング試薬の包含および/または置換によってなされてもよい。典型的なブロッキング試薬には、Denhardt's試薬、BLOTTO、ヘパリン、変性サケ精子DNA、および市販の専売製剤が含まれる。特定のブロッキング試薬の包含は、互換性の問題のために、上記に記載されるハイブリダイゼーション条件の変更を必要とする可能性がある。本明細書に記載される発明によれば、相同なまたは厳密には相補的ではない配列の検出のための低ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、例えば、6×SSC、0.5%SDSで65℃(本明細書で用いられる「低ストリンジェントな条件」)で設定されてもよい。周知のように、プローブの長さおよび決定されるべき核酸の組成は、ハイブリダイゼーション条件のさらなるパラメーターを構成する。
【0019】
ハイブリダイズする核酸分子はまた、上記に記載の分子の断片も含む。そのような断片は、本明細書に記載されるようなインヒビターとして機能する核酸分子またはその機能断片であってもよい。さらに、上述の核酸分子のいずれかとハイブリダイズする核酸分子は、これらの分子の相補的断片、誘導体、およびバリアントも含む。加えて、ハイブリダイゼーション複合体は、相補的なG塩基とC塩基との間および相補的なA塩基とT塩基(または当業者に公知のようにRNAではU)との間の水素結合の形成を原因とする2つの核酸配列間の複合体を指し;これらの水素結合は、塩基のスタッキング相互作用によってさらに安定化され得る。水素結合は逆平行構造をとってもよい。ハイブリダイゼーション複合体は、溶液中で(例えば、CotまたはRot分析)、または溶液中に存在する1つの核酸配列と固体支持体(例えば、細胞が固定されている、膜、フィルター、チップ、ピン、またはガラススライド等)上に固定化された別の核酸配列との間で形成されてもよい。「相補的な」または「相補性」という用語は、許容可能な塩および温度条件下での塩基対形成によるポリヌクレオチドの天然結合を指す。例えば、配列「A-G-U」は、相補的な配列「U-C-A」に結合する。2つの一本鎖分子間の相補性は、核酸の一部のみが結合している「部分的」であってもよく、または一本鎖分子間に完全相補性が存在するときの完全であってもよい。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率および強度に対して重大な作用を有する。これは、核酸鎖間の結合に依存する増幅反応で特に重要である。「ハイブリダイズする配列」という用語は好ましくは、本明細書において記載されかつ提供されるようなインヒビターとして機能する本明細書に記載の核酸配列と、少なくとも45%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、より好ましくは少なくとも99.5%、および最も好ましくは100%同一性の配列同一性を呈する配列を指す。
【0020】
本明細書で用いられる場合、所与のマイクロRNA(miRNA)の「一部」または「断片」は、マイクロRNAの任意の部分であってもよく、各々のマイクロRNAまたはその前駆体の少なくとも10個、11 個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、または22個の連続したヌクレオチドを含むかまたはそれらからなるマイクロRNAまたはその前駆体(例えば、pri-マイクロRNAまたはpre-マイクロRNA)の一部を特に含んでもよい。一態様において、所与のマイクロRNAの一部または断片は、マイクロRNA(例えば、pri-マイクロRNAまたはpre-マイクロRNA)の(核内および/または細胞質内)プロセシング後に細胞で見られる一部または断片、例えば、各々のmiRの5pアーム(5p鎖とも呼ばれる)または3pアーム(3p鎖とも呼ばれる)である。本発明の一態様において、マイクロRNAの一部または断片は、マイクロRNAまたはその前駆体の5pアームである。例えば、本発明によれば、miR-379の一部または断片は、特にmiR-379-5pであってもよく、および/またはmiR-541の一部または断片は、特にmiR-541-5pであってもよい。本発明の一態様において、マイクロRNAの一部または断片は、マイクロRNAまたはその前駆体の3pアームである。例えば、本発明によれば、miR-379の一部または断片は、特にmiR-379-3pであってもよく、および/またはmiR-541の一部または断片は、特にmiR-541-3pであってもよい。
【0021】
この文脈において、当業者によって容易に理解されるように、本発明によれば、本明細書に定義される所与のマイクロRNAの一部または断片の阻害は、本明細書に定義されるように全マイクロRNAのその機能も阻害することから、所与のマイクロRNAの一部または断片のインヒビターは、マイクロRNA自体またはその前駆体のインヒビターでもある。
【0022】
したがって、本明細書で用いられる場合、マイクロRNA(例えば、miR-379またはmiR-541)またはその前駆体のインヒビターはまた、そのようなインヒビターが、マイクロRNAの一部または断片に結合するか、またはそれらに相補的であるか、またはそれらに(例えば、ストリンジェントな条件下で)ハイブリダイズする場合に、そのようなマイクロRNA(例えば、miR-379またはmiR-541)の一部または断片のインヒビターをそれぞれ含んでもよい。同様に、本発明によれば、そのようなマイクロRNA(例えば、miR-379またはmiR-541)の一部または断片のインヒビターはまた、そのような各々のマイクロRNA(例えば、miR-379またはmiR-541)またはその前駆体のインヒビターも含む。
【0023】
本発明の一態様において、miR-379の一部または断片はmiR-379-5pであり、6、5、4、3、2、または1個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 1によるヌクレオチド配列を有する。例えば、SEQ ID NO: 1と比較して置換されるヌクレオチドは、本明細書において記載される各々のインヒビターのハイブリダイゼーションを可能にする、任意の他のヌクレオチドであってもよい。本発明の一態様において、該置換は、SEQ ID NO: 1の3’端の最後の6、5、4、3、2、または1ヌクレオチド内および/またはSEQ ID NO: 1の5’端の最初のヌクレオチドに位置してもよい。本発明の特定の態様において、miR-379の一部または断片はmiR-379-5pであり、SEQ ID NO: 1によるヌクレオチド配列を有する。
【0024】
本発明のさらなる態様において、miR-541の一部または断片はmiR-541-5pであり、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 2によるヌクレオチド配列を有する。例えば、SEQ ID NO: 2に対して置換されるヌクレオチドは、本明細書において記載される各々のインヒビターのハイブリダイゼーションを可能にする、任意の他のヌクレオチドであってもよい。本発明の一態様において、該置換は、SEQ ID NO: 2の3’端の最後の8、7、6、5、4、3、2、または1ヌクレオチド内および/またはSEQ ID NO: 2の5’端の最初のヌクレオチドに位置してもよい。本発明の特定の態様において、miR-541の一部または断片はmiR-541-5pであり、SEQ ID NO: 2によるヌクレオチド配列を有する。
【0025】
本発明の組成物の一態様において、miR-379の一部は、6個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 1によるヌクレオチド配列を有し、miR-541の一部は、8個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 2によるヌクレオチド配列を有する。
【0026】
本発明によって記載されかつ提供される組成物によって含まれるインヒビターはそれぞれ、任意のインヒビターであってもよく、好ましくは、各々のmiRまたはその標的部位に直接的に結合するか、またはmiR-379(またはその一部もしくは断片)またはmiR-541(またはその一部もしくは断片)の切断または分解を補助もしくは誘導することによって、またはmiR-379(またはその一部もしくは断片)またはmiR-541(またはその一部もしくは断片)の機能および/または発現を他の方法で損なうこといずれかによって、miR-379(またはその一部もしくは断片)または miR-541(またはその一部もしくは断片)とその各々の標的部位との間の結合またはドッキングを阻害または抑制することができる。例えば、インヒビターは核酸分子であってもよく、またはそれを含んでもよい。
【0027】
本発明の一態様において、少なくとも1つのインヒビターは、少なくとも10、11 、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個のヌクレオチド、例えば、少なくとも15または16個のヌクレオチドを含む核酸配列を含む。本発明のさらなる態様において、インヒビターは、250、200、150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、50、45、40、35、30、または25ヌクレオチドの長さを超えない。
【0028】
本発明の文脈において、miR-379(またはその一部もしくは断片)および/またはmiR-541(またはその一部もしくは断片)のインヒビターは、本明細書において記載される各々のmiRまたはその一部もしくはその断片を直接標的としてもよい。miRを阻害できる一般的な阻害分子は当技術分野において公知である。本発明の一態様において、miR-379(またはその一部もしくは断片)および/またはmiR-541(またはその一部もしくは断片)に対するインヒビターは、(例えば、各々のmiRの標的部位の少なくとも一部にハイブリダイズすることによって)本明細書において記載される各々のmiRの機能を阻害または抑制することができる、タフデコイ(Tough Decoy)(TuD)(例えば、タフデコイRNA)、デコイ(Decoy)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(アンチセンスRNAまたはDNA、キメラアンチセンス分子)、アンチmiR(anti-miR)、 ブロックmiR(block-miR)、リボザイム、外部ガイド配列(external guide sequence)(EGS)、オリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA(siRNA)、スモールテンポラルRNA(small temporal RNA)(stRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、低分子RNA誘導型遺伝子活性化(small RNA-induced gene activation)(RNAa)、低分子活性化RNA(small activating RNA)(saRNA)、ロックド核酸(LNA)、アンタゴmir、ならびにペプチド核酸(PNA)および他のオリゴマー核酸分子からなる群より選択されてもよい。本発明の特定の態様において、少なくとも1つのインヒビターはタフデコイRNA(TuD)である。タフデコイは当技術分野において一般に知られており、かつ例えば、SignaGen(登録商標)Laboratories(USA)から入手可能である。本発明の文脈において、本発明の組成物は、例えば、同一のTuD分子上にmiR-379(またはその一部もしくは断片)を阻害する配列とmiR-541(またはその一部もしくは断片)を阻害する別の配列との両方を含むTuDを含んでもよく、または本発明の組成物は、一方がmiR-379(またはその一部もしくは断片)を阻害する配列を含み、かつもう一方がmiR-541(またはその一部もしくは断片)を阻害する配列を含む、2種類の異なるTuDを含んでもよい。例えば、本発明の組成物は、同一のTuD分子上にmiR-379(またはその一部もしくは断片)を阻害する配列とmiR-541(またはその一部もしくは断片)を阻害する別の配列との両方を含むTuDを含む。本発明の特定の態様において、前記組成物は、SEQ ID NO: 5に対して10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 5のヌクレオチド配列を含む。本発明のさらなる特定の態様において、前記インヒビターは、SEQ ID NO: 5のヌクレオチド配列を含む核酸分子である。
【0029】
さらに、本明細書において記載されかつ提供される組成物によって含まれるインヒビターはまた、例えば、安定性を改善するまたはその必要がある対象への適切な投与を可能にするために、化学修飾を含んでもよい。本発明の一態様において、少なくとも1つのインヒビターは、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、ホスホロチオエートDNA(PS)、2'-O-メチルRNA(OMe)、2’-O-メトキシ-エチルRNA(MOE)、ペプチド核酸(PNA)、N3'-P5'-ホスホロアミダート(NP)、2’-フルオロ-アラビノ核酸(FANA)、モルホリノホスホロアミダート(MF)、シクロヘキセン核酸(CeNA)、and トリサイクルDNA(tricycleDNA)(tc-DNA)を含む核酸類似体からなる群より選択される核酸配列の化学修飾を含む。
【0030】
本発明の別の態様において、インヒビターはまた、適切な媒体または担体によって含まれてもよい。よって、本発明は、本明細書において記載されかつ提供されるインヒビターを含む組成物を含む媒体および担体にも関する。例えば、本発明の文脈において、少なくとも1つのインヒビターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レンチウイルスベクター、ポリエチレンイミン(PEI)、カチオン性リポソーム(例えば、脂質ナノ粒子)、シリカナノ粒子、PEG化PLGA、および中性脂質からなる群より選択される送達媒体によって含まれてもよい。本発明の媒体は、そのような組成物による処置を必要とする対象において目的とする標的部位での本発明の組成物の取り込みを確実にする目的を果たし得る。本発明の文脈において、本明細書において記載されるインヒビターのためのさらなる例示的送達媒体には、脂質(例えば、カチオン性脂質)含有媒体(例えば、リポソーム)、ウイルス含有媒体(例えば、ベクター)、ポリマー含有媒体(例えば、生分解性ポリマーまたはデンドリマー)、およびペプチド含有媒体(例えば、浸透ペプチド)、エキソソーム、ならびに細菌由来のインタクトなミニ細胞が挙げられる。本発明の特定の態様において、送達媒体には、2つ以上の化合物が含まれる。例えば、それには、1つまたは複数の脂質成分、1つもしくは複数のペプチド、1つもしくは複数のポリマー、1つもしくは複数のウイルスベクター、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。特定の態様は、リポソームなどの会合複合体である送達媒体に関係する。リポソームには概して、複数の成分、例えば、カチオン性脂質(例えば、アミノ脂質)、標的化成分、融合性脂質、PEG化脂質の1つまたは複数が含まれる。いくつかの態様において、PEG-脂質は標的化PEG-脂質であってもよい。例えば、リポソームは、核酸およびアミン-脂質およびPEG化脂質を含むことができる。本発明のいくつかの態様において、PEG-脂質は標的化PEG-脂質である。さらなる態様において、調製物には、コレステロールなどの構造成分も含まれる。本発明の文脈において、ウイルス送達媒体が最も好ましい。ウイルスベクターは、例えば、レンチウイルスなどのレトロウイルス、またはアデノウイルス、好ましくは、アデノ随伴ウイルス(例えば、AAV)であってもよい。したがって、本発明は、本明細書において記載されるようなmiR-379(またはその一部もしくは断片)およびmiR-541(またはその一部もしくは断片)のインヒビターを含むウイルスベクター、ならびに/または本明細書において記載されるようなmiR-379(またはその一部もしくは断片)のインヒビターを含むウイルスベクターおよび本明細書において記載されるようなmiR-541(またはその一部もしくは断片)のインヒビターを含むウイルスベクターを含む組成物も提供する。インヒビターが核酸分子である場合、それらの配列は、例えば、構築物またはカセットの一部である遺伝子の非翻訳領域に挿入され、次いで、ベクターによって送達され得る。形質導入されると、宿主細胞は、本発明の配列を発現し、したがって本発明の任意のmiRをサイレンシングまたは発現し得る。ベクターは、ウイルスカプシドであってもよく、本構築物以外の任意のウイルスポリヌクレオチドまたは他のポリヌクレオチドを含んでいなくてもよい。
【0031】
既に述べたように、本明細書において記載されかつ提供される組成物のインヒビターは、核酸分子であってもよい。例えば、miR-379(またはその一部もしくは断片)の少なくとも1つの(または全ての)インヒビターは、miR-379(またはその一部もしくは断片)に相補的であるかまたはそれに(例えば、ストリンジェントな条件下で)ハイブリダイズするヌクレオチド配列を含み、かつmiR-541(またはその一部もしくは断片)の少なくとも1つの(または全ての)インヒビターは、miR-541(またはその一部もしくは断片)に相補的であるかまたはそれに(例えば、ストリンジェントな条件下で)ハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。本発明の一態様において、miR-379のインヒビターは、5、4、3、2、または1個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 3のヌクレオチド配列を含む。また、さらなる態様において、SEQ ID NO: 3に対して、30、25、20、15、10、6、または5個以下のヌクレオチドが付加される。例えば、SEQ ID NO: 3に対して付加または置換されたヌクレオチドは、本明細書において記載されるようなmiR-379に対するインヒビターのハイブリダイゼーションを可能にする、任意の他のヌクレオチドであってもよい。一態様において、ヌクレオチドがSEQ ID NO: 3に付加される場合、そのような付加されたヌクレオチドは、SEQ ID NO: 1による核酸配列へのハイブリダイゼーションをさらに増加させるように付加される。例えば、最大で5、4、3、2、または1個のヌクレオチド、例えば、5’-CCUTC-3’またはその任意のサブセットのヌクレオチドが、SEQ ID NO: 3の5’端に付加される。本発明の特定の態様において、miR-379のインヒビターは、SEQ ID NO: 3の配列を有する核酸分子である。
【0032】
本発明のさらなる態様において、miR-541のインヒビターは、5、4、3、2、または1個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 4のヌクレオチド配列を含む。また、さらなる態様において、SEQ ID NO: 4に対して、30、25、20、15、10、9、または8個以下のヌクレオチドが付加される。例えば、SEQ ID NO: 4に対して付加または置換されたヌクレオチドは、本明細書において記載されるようなmiR-541に対するインヒビターのハイブリダイゼーションを可能にする、任意の他のヌクレオチドであってもよい。一態様において、ヌクレオチドがSEQ ID NO: 4に付加される場合、そのような付加されたヌクレオチドは、SEQ ID NO: 2による核酸配列へのハイブリダイゼーションをさらに増加させるように付加される。例えば、最大で8、7、6、5、4、3、2、または1個のヌクレオチド、例えば、5’-TGUGUGTC-3’またはその任意のサブセットのヌクレオチドが、SEQ ID NO: 4の5’端に付加される。本発明の特定の態様において、miR-541のインヒビターは、SEQ ID NO: 4の配列を有する核酸分子である。
【0033】
本発明の組成物のさらなる態様において、miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターは、5個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 3のヌクレオチド配列を含むか、および/またはmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターは、5個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 4のヌクレオチド配列を含む。
【0034】
本発明はまた、本明細書において記載されかつ提供される組成物および/またはそのような組成物を含む媒体もしくは担体を含む薬学的組成物にも関する。
【0035】
本発明はまた、脂質(例えば、トリグリセリド)および糖(例えば、グルコース)代謝に関連するならびに/またはがんに関連する代謝機能不全、代謝性疾患、または代謝障害を処置または予防するのに使用するための、本明細書において記載されかつ提供される組成物、媒体もしくは担体、および/または薬学的組成物にも関する。本発明の一態様において、そのような代謝機能不全、代謝性疾患、または代謝障害は、グルココルチコイドホルモン誘発代謝機能不全、肥満、糖尿病(1型および2型)、糖尿肥満(diabesity)、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、高血糖、(全身性)脂質代謝異常、クッシング症候群、グルココルチコイド(GC)処置または過剰なGCに付随するまたはそれによって引き起こされる有害作用または副作用、アテローム動脈硬化症、心疾患、脳卒中、(がん性)悪液質、成長不全、脂肪肝、NASH、および肝線維症を含んでもよい。本発明の文脈において、本明細書において記載されかつ提供される組成物、媒体もしくは担体、および/または薬学的組成物はまた、(個別化)1型および/または2型糖尿病療法での使用のためであってもよい。本発明のさらなる態様において、本明細書において記載されるように処置されるそのようながんは、肝細胞がんHCC、ならびに膵臓がん、結腸がん、子宮内膜がん、乳がん、食道がん、および胃がんを含む、代謝機能不全、例えば肥満と関連することが示されている腫瘍を含んでもよい。
【0036】
本発明を特徴づける態様が、本明細書において記載され、図面において示され、実施例において例示され、かつ特許請求の範囲に反映される。
【0037】
本明細書で用いられる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」には、文脈において別段の明確な指示のない限り、複数形への言及も含まれることを留意しなければならない。よって、例えば、「1つの(a)試薬」への言及には、そのようなさまざまな試薬の1つまたは複数が含まれ、「その(the)方法」への言及には、本明細書に記載される方法で改変または置換することができる当業者に公知である同等の工程および方法への言及が含まれる。
【0038】
別段の指示がない限り、一連の構成要素に先行する「少なくとも」という用語は、一連の構成要素中の全ての構成要素に言及するとして理解されるべきである。当業者は、本明細書に記載される発明の特定の態様との多くの等価物を認識しているか、または日常的な実験方法だけを用いてそれを確かめることができる。そのような等価物は、本発明によって包含されることが意図される。
【0039】
「および/または」という用語には、本明細書において用いられる場合、「および」、「または」、および「該用語によって連結される構成要素の全てまたは任意の他の組み合わせ」の意味が含まれる。
【0040】
本明細書において用いられる「約」または「およそ」という用語は、所与の値または範囲の20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内、および最も好ましくは3%以内を意味する。
【0041】
本明細書および添付の特許請求の範囲の全体にわたって、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「含む(comprise)」という語、ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などの変化形は、記載される整数または工程または整数もしくは工程の集合の包含を意味するが、任意の他の整数または工程または整数もしくは工程の集合の排除を意味しないことが理解される。本明細書において用いられる場合、「含む(comprising)」という用語は、「含有する(containing)」もしくは「含む(inclusing)」または時として本明細書において用いられる場合「有する(having)」という用語で置換することができる。
【0042】
本明細書において用いられる場合、「からなる」は、発明の構成要素中に特定されていない任意の構成要素、工程、または成分を排除する。本明細書において用いられる場合、「本質的にからなる」は、該請求項の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を与えない材料または工程を排除しない。
【0043】
特段に記述されていない限り、本明細書における各場合において、「含む」、「本質的にからなる」、および「からなる」という用語のいずれかは、他の2つの用語のいずれかと交換されてもよい。例えば、所与の特徴、化合物、または範囲が各々の上位語(broader term)「に含まれる」として示される場合、そのような上位語もまた、そのような特徴、化合物、または範囲からなってもよい。
【0044】
本発明は、本明細書において記載される特定の方法論、プロトコール、および試薬等に限定されず、したがって、変更することができることが理解されるべきである。本明細書において用いられる専門用語は、特定の態様を説明することのみを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図せず、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0045】
本明細書の文章全体にわたって引用される全ての刊行物および特許(全ての特許、特許出願、科学出版物、製造者の仕様書、指示書等を含む)は、上記または下記にかかわらず、参照によりその全体は本明細書に組み入れられる。本明細書におけるいかなるものも、本発明が、先行発明であるとの理由でそのような開示に先行する権利を有さないという承認として解釈されるべきではない。参照により組み入れられる物質が本明細書と矛盾するか、またはそれと一致しない範囲では、本明細書は、任意のそのような物質に優先する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】マウスにおけるTuDインヒビターのrAAV媒介性送達によるmiR-541およびmiR-379活性の肝臓特異的な阻害のための実験プロトコール。
図2】陰性対照(AAV-NC、黒色バー)と比較しての、miR-541およびmiR-379活性の肝臓特異的阻害を有する動物(AAV-TuD、白色バー)で観察されたHOMA-IR(インスリン抵抗性の代替測定)の低減。
図3】陰性対照(AAV-NC、黒色バー)と比較しての、miR-541およびmiR-379活性の肝臓特異的阻害を有する動物(AAV-TuD、白色バー)におけるトリグリセリドの循環レベルの低下。
図4A】陰性対照(AAV-NC、■)と比較しての、miR-541およびmiR-379活性の肝臓特異的阻害を有するマウス(AAV-TuD、○)における腹腔内グルコース負荷(2 g/kg)後のグルコースクリアランスの改善。グルコースプロファイル(A)。
図4B】陰性対照(AAV-NC、黒色バー)と比較しての、miR-541およびmiR-379活性の肝臓特異的阻害を有するマウス(AAV-TuD、白色バー)における腹腔内グルコース負荷(2 g/kg)後のグルコースクリアランスの改善。および曲線下面積(B)。
図5A】陰性対照(AAV-NC、パネルの上部分の■および下部分の黒色バー)と比較しての、miR-541およびmiR-379の組み合わせ肝臓特異的阻害(図4に示すものと同じプロファイル)を有する野生型マウス(AAV-TuD、パネルの上段のグラフの○および下段のグラフの白色バー)における治療の4週目に実施した腹腔内グルコース負荷(ipGTT、2 gグルコース/kg)後の耐糖能の改善。経時的グルコースプロファイルをパネルの上段のグラフに示し、対応する曲線下面積を下段のグラフに示す。グルコースクリアランスの相乗的な改善が、miR-541およびmiR-379活性の組み合わせ阻害に応答して観察された。
図5B】陰性対照(AAV-NC、パネルの上部分の■および下部分の黒色バー)と比較しての、miR-379活性の肝臓特異的阻害(図5B)を有する野生型マウス(AAV-TuD、パネルの上段のグラフの○および下段のグラフの白色バー)における治療の4週目に実施した腹腔内グルコース負荷(ipGTT、2 gグルコース/kg)後の耐糖能の改善。経時的グルコースプロファイルをパネルの上段のグラフに示し、対応する曲線下面積を下段のグラフに示す。グルコースクリアランスの相乗的な改善が、miR-541およびmiR-379活性の組み合わせ阻害に応答して観察された。
図5C】陰性対照(AAV-NC、パネルの上部分の■および下部分の黒色バー)と比較しての、miR-541活性の肝臓特異的阻害(図5C)を有する野生型マウス(AAV-TuD、パネルの上段のグラフの○および下段のグラフの白色バー)における治療の4週目に実施した腹腔内グルコース負荷(ipGTT、2 gグルコース/kg)後の耐糖能の改善。経時的グルコースプロファイルをパネルの上段のグラフに示し、対応する曲線下面積を下段のグラフに示す。グルコースクリアランスの相乗的な改善が、miR-541およびmiR-379活性の組み合わせ阻害に応答して観察された。
図6A】陰性対照(AAV-NC、■)と比較しての、miR-541およびmiR-379の組み合わせ肝臓特異的阻害(図6A)を有する野生型マウス(AAV-TuD、○)に対する治療3週目に腹腔内投与された外因性インスリンボーラス投与(0.7 IUインスリン/kg)に応答しての血中グルコースレベル。miR-541およびmiR-379活性の両方の肝臓特異的阻害を保有する動物においてのみ、陰性対照動物と比較して、グルコースレベルの有意な低下が、試験した全ての時点で認められた。
図6B】陰性対照(AAV-NC、■)と比較してのmiR-379の肝臓特異的阻害(図6B)を有する野生型マウス(AAV-TuD、○)に対する治療3週目に腹腔内投与された外因性インスリンボーラス投与(0.7 IUインスリン/kg)に応答しての血中グルコースレベル。miR-541およびmiR-379活性の両方の肝臓特異的阻害を保有する動物においてのみ、陰性対照動物と比較して、グルコースレベルの有意な低下が、試験した全ての時点で認められた。
図6C】陰性対照(AAV-NC、■)と比較しての、miR-541活性の肝臓特異的阻害(図6C)を有する野生型マウス(AAV-TuD、○)に対する治療3週目に腹腔内投与された外因性インスリンボーラス投与(0.7 IUインスリン/kg)に応答しての血中グルコースレベル。miR-541およびmiR-379活性の両方の肝臓特異的阻害を保有する動物においてのみ、陰性対照動物と比較して、グルコースレベルの有意な低下が、試験した全ての時点で認められた。
図7A】陰性対照(AAV-NC、黒色バー)と比較しての、miR-541およびmiR-379の組み合わせ肝臓特異的阻害(図7A)を有する野生型マウス(AAV-TuD、白色バー)における処置の2、3および4週後の血漿トリグリセリドレベル(5~6時間空腹)。循環トリグリセリドのロバストな低下作用が、miR-541およびmiR-379活性の組み合わせ肝臓特異的阻害に応答して観察された。
図7B】陰性対照(AAV-NC、黒色バー)と比較しての、miR-379の肝臓特異的阻害(図7B)を有する野生型マウス(AAV-TuD、白色バー)における処置の2、3および4週後の血漿トリグリセリドレベル(5~6時間空腹)。循環トリグリセリドのロバストな低下作用が、miR-541およびmiR-379活性の組み合わせ肝臓特異的阻害に応答して観察された。
図7C】陰性対照(AAV-NC、黒色バー)と比較しての、miR-541活性の肝臓特異的阻害(図7C)を有する野生型マウス(AAV-TuD、白色バー)における処置の2、3および4週後の血漿トリグリセリドレベル(5~6時間空腹)。循環トリグリセリドのロバストな低下作用が、miR-541およびmiR-379活性の組み合わせ肝臓特異的阻害に応答して観察された。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下の配列が本明細書において提供される:
SEQ ID NO: 1
RNA ホモ・サピエンス(H. sapiens)
miR-379-5p
太字:インヒビターSEQ ID NO: 3に相補的な配列
SEQ ID NO: 2
RNA ホモ・サピエンス
miR-541-5p
太字:インヒビターSEQ ID NO: 4に相補的な配列
SEQ ID NO: 3
DNA人工
miR-379のインヒビター
SEQ ID NO: 4
DNA人工
miR-541のインヒビター
SEQ ID NO: 5
RNA人工
TuDに含まれるmiR-379およびmiR-541に対する阻害配列
【0048】
本発明は以下の実施例によってさらに例示されるが、本実施例または本実施例の任意の特定の態様に限定されない。
【実施例0049】
Dlk1-Dio3遺伝子座に属するさまざまなマイクロRNAの発現のレベルを、糖尿病治療中ではない健常ボランティア(n=10)および肥満対象(n=37)からの肝臓生検においてTaqManマイクロRNAアッセイを用いる半定量的リアルタイムPCRによって決定した。試験したマイクロRNA(miR-127、miR-337、miR-379、miR-382、miR-134、miR-541、miR-409)の一貫した上方制御が、肥満対象からの肝臓試料において観察された。その発現の最も高い増加を示す2つのマイクロRNAはmiR-379およびmiR-541であった。これらの転写物の発現のレベルとさまざまな代謝指標との間の有意な相関性が、表1においてmiR-541で示されるように、検出された。
【0050】
代謝に対する肝臓のmiR-541およびmiR-379活性の阻害の影響を、肝臓特異的LP1プロモーターの制御下のタフデコイ(TuD)インヒビターのrAAV送達によりインビボで試験した。AAVによって送達される構築物の作製を、Rose AJ et al. Cell Metab 2011, 14(1): 123-30にしたがって行った。簡単に説明すると、rAAVベクターによって送達される構築物内にこれらのインヒビターをクローニングするために、元のベクターの陰性対照配列を、BglllおよびSall制限酵素を用いてタフデコイ配列に置換した。これらのインヒビターのタイプは、その標的マイクロRNAの活性をインビトロで強力に阻害することが以前に実証された(未発表の観察)。本発明の発明者らの3つの別個の試験において、C57BL/6Jマウス(1群当たり12匹)に、陰性対照配列またはmiR-541およびmiR-379両方に対するタフデコイインヒビター(試験1、SEQ ID NO: 5による配列)、陰性対照配列またはmiR-379に対するタフデコイインヒビター(試験2)、および陰性対照配列またはmiR-541に対するタフデコイインヒビター(試験3)を発現するAAV(1匹のマウス当たり5×1011のウイルスゲノム)を投与した。体重ならびに食餌および水分の摂取を定期的にモニターし、ipGTT(2 gグルコース/kg)をウイルス投与の2週および4週後に行い、ITT(0.7 IU/kg)を試験開始の3週後に実施し、両方の場合において、試験の6時間前に動物を絶食させた後に、14:00~15:00 hに開始した(実験プロトコールの略図を図1に図示する)。加えて、食後血液試料を2.5および4.5週目に23:00 hに収集した。実験をウイルスベクターの投与の5週後に終了し、半数の動物(1群当たりn=6マウス)を5~6時間の絶食後14:00 hに殺し、残りの半数を摂食後の状態で23:00 hに殺した。試験1では、陰性対照配列を受けた動物とmiR-541およびmiR-379活性の組み合わせ肝臓特異的阻害(AAV-TuD)を保有する動物との間で、体重、食餌または水分の摂取について差は検出されなかった。空腹時グルコースは、試験の2週目から最後までAAV-TuD群で有意に低下し、空腹時インスリン濃度は、3週目から有意に低減し、恒常性モデル評価(HOMA-IR)指標によって推定されるように、空腹時血漿インスリン(FPI)濃度および空腹時血漿グルコース(FPG)濃度から計算される[FPI(mU/l)×FPG(mmol/l)/ 22.5]、肝臓インスリン抵抗性は、2週目から終了までAAV-TuD群で有意に低下していることが認められた(図2)。加えて、血漿トリグリセリドレベルもまた、動物の給餌状態とは関係なく、この群において有意に低減した(図3および7A)。グルコースクリアランスもまた、AAV-TuD群において有意に優れていた(4週目で60%改善、p<0.001 ; 図4A、4Bおよび5A)。グルコースクリアランスの有意な改善が試験した残りの2つのタフデコイインヒビターを受けた動物でも観察されたが、作用はあまり顕著なものではなく(それぞれmiR-379、図5B、およびmiR-541活性、図5Cに対する単一のタフデコイに応答して14%および36%の改善)、両方のマイクロRNAの同時阻害に応答する相乗効果が示唆された。また、両方のマイクロRNAの組み合わせ阻害はまた、インスリンの外因性ボーラス投与に応答してグルコース低下作用の顕著な増強も誘発し、陰性対照と比較してグルコースレベルの有意な(p<0.001)低下が2時間にわたって持続した(図6A)。ここでも、この作用は、2つのマイクロRNAのいずれかの単一阻害と一致しなかった(図6Bおよび6C)。血中グルコースレベルを、グルコース測定器(Accu-Check)によって決定した。トリグリセリドレベルを酵素アッセイ(Sigma-Aldrich)によって測定し、インスリンレベルをELISA(Alpco)によって定量化した。腹腔内グルコース負荷(2 g/kg)に応答してのグルコースプロファイルの曲線下面積を、グルコースクリアランスの改善の計算のために用いた。
【0051】
(表1)糖尿病治療中ではない健常ボランティアおよび肥満対象におけるmiR-541の発現の肝臓レベルとさまざまな代謝パラメーターとの相関性を示す
【0052】
本発明は、以下の事項によりさらに特徴付けられる。
1. (a)miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターおよびmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビター;ならびに/または
(b)miR-379またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビターおよびmiR-541またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビター;ならびに/または
(c)miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターとmiR-541またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビターとの組み合わせ、あるいはmiR-379またはその一部もしくは断片の標的部位のインヒビターとmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターとの組み合わせ
を含む、組成物。
2. 少なくとも1つのmiR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターが、miR-379またはその一部もしくは断片に相補的であるかまたはそれにハイブリダイズするヌクレオチド配列を含み、かつ少なくとも1つのmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターが、miR-541またはその一部もしくは断片に相補的であるかまたはそれにハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む、アイテム1の組成物。
3. miR-379の一部が、6個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 1に示されるヌクレオチド配列を有し;かつ
miR-541の一部が、8個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 2に示されるヌクレオチド配列を有する、
アイテム1または2の組成物。
4. 少なくとも1つのインヒビターが、少なくとも10個のヌクレオチドを含む核酸配列を含む、アイテム1~3のいずれか一つの組成物。
5. 少なくとも1つのインヒビターが、タフデコイ(Tough Decoy)(TuD)、デコイ、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチmiR、ブロックmiR、リボザイム、外部ガイド配列(EGS)、オリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA(siRNA)、スモールテンポラルRNA(small temporal RNA)(stRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、低分子RNA誘導型遺伝子活性化(small RNA-induced gene activation)(RNAa)、低分子活性化RNA(small activating RNA)(saRNA)、ロックド核酸(LNA)、アンタゴmir、およびペプチド核酸(PNA)からなる群より選択される、アイテム1~4のいずれか一つの組成物。
6. 少なくとも1つのインヒビターがタフデコイRNA(TuD)である、アイテム5の組成物。
7. 少なくとも1つのインヒビターが、
N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、ホスホロチオエートDNA(PS)、2'-0-メチルRNA(OMe)、2’-0-メトキシ-エチルRNA(MOE)、ペプチド核酸(PNA)、N3'-P5'-ホスホロアミダート(NP)、2’-フルオロ-アラビノ核酸(FANA)、モルホリノホスホロアミダート(MF)、シクロヘキセン核酸(CeNA)、およびトリサイクルDNA(tc-DNA)
を含む核酸類似体からなる群より選択される核酸配列の化学修飾を含む、アイテム1~6のいずれか一つの組成物。
8. 少なくとも1つのインヒビターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レンチウイルスベクター、ポリエチレンイミン(PEI)、カチオン性リポソーム、シリカナノ粒子、PEG化PLGA、および中性脂質からなる群より選択される送達媒体に含まれる、アイテム1~7のいずれか一つの組成物。
9. 少なくとも1つのインヒビターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)に含まれる、アイテム1~8のいずれか一つの組成物。
10. miR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターが、5個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 3のヌクレオチド配列を含み;かつ/または
miR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターが、5個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 4のヌクレオチド配列を含む、
アイテム1~9のいずれか一つの組成物。
11. 同一分子上にmiR-379またはその一部もしくは断片のインヒビターおよびmiR-541またはその一部もしくは断片のインヒビターを含む、組成物であって、該分子が、miR-379またはその一部もしくは断片に相補的であるかまたはそれにハイブリダイズするヌクレオチド配列、およびmiR-541またはその一部もしくは断片に相補的であるかまたはそれにハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む、アイテム1~10のいずれか一つの組成物。
12. 前記インヒビターが、10個以下のヌクレオチドが置換された、SEQ ID NO: 5のヌクレオチド配列を含む、アイテム11の組成物。
13. 薬学的組成物である、アイテム1~12のいずれか一つの組成物。
14. 代謝性疾患、代謝障害に関連する疾患、および/またはがんの処置または予防に使用するための、アイテム1~13のいずれか一つの組成物。
15. 代謝性疾患または代謝障害に関連する疾患が、グルココルチコイドホルモン誘発代謝機能不全、肥満、糖尿病、糖尿肥満(diabesity)、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、高血糖、(全身性)脂質代謝異常、クッシング症候群、グルココルチコイド(GC)処置または過剰なGCに付随するまたはそれによって引き起こされる有害作用または副作用、アテローム動脈硬化症、心疾患、脳卒中、(がん性)悪液質、成長不全、脂肪肝、NASH、および肝線維症からなる群より選択される、アイテム14の組成物。
【0053】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> Helmholtz Zentrum Muenchen Deutsches Forschungszentrum fuer
Gesundheit und Umwelt (GmbH)
<120> microRNA inhibitors for use in treating metabolic diseases
<150> LU100927
<151> 2018-09-11
<160> 5
<170> PatentIn version 3.5

<210> 1
<211> 21
<212> RNA
<213> Homo sapiens
<400> 1
ugguagacua uggaacguag g 21

<210> 2
<211> 25
<212> RNA
<213> Homo sapiens
<400> 2
aagggauucu gauguugguc acacu 25

<210> 3
<211> 15
<212> DNA
<213> artificial sequence
<220>
<223> inhibitor of miR-379
<400> 3
gttccatagt ctacc 15

<210> 4
<211> 16
<212> DNA
<213> artificial sequence
<220>
<223> inhibitor of miR-541
<400> 4
caacatcaga atccct 16

<210> 5
<211> 122
<212> RNA
<213> artificial sequence
<220>
<223> inhibitory sequence to miR-379 and miR-541 comprises by tough
decoys
<400> 5
gacggcgcua ggaucaucaa cagugugacc aacaucaucu agaaucccuu caaguauucu 60
ggucacagaa uacaacccua cguuccaauc uuagucuacc acaagaugau ccuagcgccg 120
uc 122
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
【配列表】
2024073525000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された発明。