(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073527
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】多次元延伸可能積層体
(51)【国際特許分類】
B32B 5/04 20060101AFI20240522BHJP
B32B 37/16 20060101ALI20240522BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
B32B5/04
B32B37/16
A61F13/15 354
A61F13/15 357
A61F13/15 210
A61F13/15 220
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024037944
(22)【出願日】2024-03-12
(62)【分割の表示】P 2020573241の分割
【原出願日】2019-06-10
(31)【優先権主張番号】62/691,738
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512008428
【氏名又は名称】ベリー グローバル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】ムスレット・イヤード
【テーマコード(参考)】
3B200
4F100
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA12
3B200BB03
3B200CA02
3B200CA11
3B200DA01
3B200DD01
3B200DD02
3B200DD04
3B200DD07
3B200EA08
3B200EA11
4F100AK03A
4F100AK03J
4F100AK07A
4F100AK12A
4F100AK12J
4F100AL02A
4F100AL09A
4F100BA02
4F100DG15B
4F100EJ371
4F100EJ373
4F100EJ37A
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の方向に回復可能に延伸可能であり、吸収性物品の外側カバーに適した積層体を製造する方法を提供する。
【解決手段】積層体を製造する方法において、オレフィン系ブロックコポリマー、スチレン系ブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせを含むエラストマーフィルムを縦方向に延伸させる工程と、前記エラストマーフィルムを前記縦方向に延伸させている間に、横方向に主に延伸可能であるスパンレース不織布基材に前記エラストマーフィルムを積層する工程と、を含む方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体を製造する方法において、
a.オレフィン系ブロックコポリマー、スチレン系ブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせを含むエラストマーフィルムを縦方向に延伸させる工程と、
b.前記エラストマーフィルムを前記縦方向に延伸させている間に、横方向に主に延伸可能であるスパンレース不織布基材に前記エラストマーフィルムを積層する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記エラストマーフィルムが予備活性化される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エラストマーフィルムが予備活性化されない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記エラストマーフィルムが、超音波積層、接着積層、押出接合、またはそれらの組み合わせによって前記スパンレース不織布基材に積層される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エラストマーフィルムが、前記縦方向に50%~500%だけ延伸される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記積層体が、噛み合いによって前記横方向に延伸される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記積層体を吸収性物品に組み込む工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願〕
本出願は、2018年6月29日出願の米国仮特許出願第62/691,738号の優先権の利益を主張する。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は、複数の方向に回復可能に延伸可能であり、吸収性物品での使用に適した積層体に関する。
【0003】
〔発明の背景〕
吸収性物品の外側カバーは、典型的には、フィルムおよび不織布を含む積層体を含む。吸収性物品は、身体の動き(例えば、座る、立つ、歩く)に応答して着用者の身体に十分に適合しないことがある。この適合性の問題は、1種類の吸収性物品が、典型的には、様々な体形および背格好の多くの着用者にフィットしなければならないという事実によってさらに悪化する。
【0004】
したがって、低力の多次元延伸および回復を示し、よって適合した別々のフィット感を提供する、外側カバーに対する必要性が存在する。
【0005】
〔発明の概要〕
本発明は、エラストマーフィルムおよび適切な不織布を含むエラストマー積層体を提供することによって、上記の必要性を満たす。フィルムは縦方向に主に延伸可能である。したがって、フィルムは、積層体の他の方向への延伸性および回復性を制限することが予想される。しかしながら、驚くべきことに、横方向に延伸可能である適当な不織布に積層されると、得られる積層体は、実質的に全ての方向に回復可能に延伸可能である。したがって、積層体は、別々のフィット感および適合性が望まれる吸収性物品での使用に特に適している。
【0006】
本発明はさらに、フィルムが縦方向に延伸されながら不織布に接合される、エラストマー積層体を製造する方法を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】多次元または多軸延伸を示す積層体の一例を示す。
【
図3】本発明の積層体(スパンレース不織布)ならびに比較積層体(スパンボンド(「SB」)およびスパンボンド-メルトブローン-スパンボンド(「SMS」)不織布)の、N/cm単位の5%歪みでの縦方向(MD)負荷(y軸)の関数として、N/cm単位の5%歪みでの横方向(CD)負荷(x軸)を示すグラフである。
【
図4】本発明の積層体(スパンレース不織布)ならびに比較積層体(SBおよびSMS不織布)の、ピーク歪みでのMD伸びのパーセンテージ(y軸)の関数として、ピーク歪みでのCD伸びのパーセンテージ(x軸)を示す。
【
図5】本発明の積層体(スパンレース不織布)ならびに比較積層体(SBおよびSMS不織布)の、1000gでのミリメートル単位のMD伸長(y軸)の関数として、1000gでのミリメートル単位のCD伸長(x軸)を比較する。
【
図6】本発明の積層体(スパンレース不織布)ならびに比較積層体(SBおよびSMS不織布)の、1000gでのミリメートル単位のMD伸長(y軸)の関数として、加えられた延伸のパーセンテージ(x軸)を示す。
【
図7】本発明の積層体(スパンレース不織布)ならびに比較積層体(SBおよびSMS不織布)の、1000g負荷でのCD/MD伸長比(ER)を示す。
【
図8】本発明の積層体(スパンレース不織布)ならびに比較積層体(SBおよびSMS不織布)の、ピーク歪みでのピーク時CD/MD伸び比(EAPR)を示す。
【0008】
〔発明の詳細な説明〕
「二軸延伸可能」またはその変形は、積層体が、
図1に示すように、x-y平面内の2つの方向において、例えばMDおよびCDにおいて、その元の長さの少なくとも2倍まで回復可能に延伸可能であることを意味する。
【0009】
「多次元的に延伸可能」、「多軸延伸可能」またはその変形は、積層体が、例えば
図2に示すように、x-y平面内の少なくとも3つの方向において、その元の長さの少なくとも2倍まで回復可能に延伸可能であることを意味する。
【0010】
「均一に多次元的に延伸可能」は、積層体が、任意の方向にその元の長さの少なくとも2倍に延伸された後、回復可能に延伸可能であることを意味する。
【0011】
「回復可能に延伸可能」、「回復可能」またはその変形は、積層体をその元の長さの少なくとも2倍(200%)に延伸したとき、積層体が、加えられた延伸力の方向に測定して、元の長さの約1.2倍以下に戻ることを意味する。
【0012】
「主に延伸可能」またはその変形は、フィルムまたは不織基板が、特定の一方向(例えば、CDまたはMD)において、他の方向よりも実質的に大きな延伸度を有することを意味する。
【0013】
「Gsm」は、平方メートル当たりのグラム数を意味し、フィルムまたは積層体製品の厚さまたは単位質量を定量化する業界標準用語である坪量の尺度である。
【0014】
「予備活性化」、「活性化」、またはそれらの変形は、エラストマーフィルムまたは材料が、例えば、フィルムを延伸して弛緩させることによって、積層前により容易に延伸可能にされるプロセスを意味する。フィルムは、CDおよび/またはMDにおいて予備活性化され得る。
【0015】
本発明のフィルムはエラストマーフィルムであり、その例は、全体が参照により本明細書に含まれる、2018年2月21日出願の米国特許出願第15/901,240号に開示されている。
【0016】
フィルムは、多層または単層フィルムであってよく、1つ以上のスチレン系ブロックコポリマー(SBC)および/またはオレフィン系ブロックコポリマー(OBC)を含んでいてもよい。適切なSBCには、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-イソプレン-ブチレン-スチレン(SIBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン(SEP)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)、またはスチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEEPS)ブロックコポリマーエラストマー、ならびに上記のいずれかのコポリマーおよび混合物が含まれるが、これらに限定されない。任意のSBCを使用することができるが、本発明のフィルム中の特に有用なSBCは、SBS、SISおよびSIBSを含むがこれらに限定されない非水素化SBCである。本発明での使用に適したSBCの非限定的な例は、ルイジアナ州プラケマインのDexco Polymersから入手可能なもの、例えば、VECTOR 4111Aおよび7620を含む。
【0017】
1つ以上の層での使用に適したオレフィン系ブロックコポリマー(OBC)には、商品名INFUSEで販売されているもののようなポリプロピレン系(「プロピレンに富む」とも呼ばれる)オレフィン系ブロックコポリマーが含まれ、その非限定的な例としては、ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyにより販売されているINFUSE 9507、9100、9507、9107および5230、ならびにテキサス州ヒューストンのExxonMobil Chemical Companyから入手可能な商品名VISTAMAXXおよびIMPACT、例えばVISTAMAXX 6102が含まれる。
【0018】
フィルムまたは個々の層中のSBCおよび/またはOBCの総量は、少なくとも約50%、約50%~約100%、約60%~約99%、約50%~約95%、約55%~約95%、約60%~約95%、約65%~約95%、約70%~約95%、約75%~約95%、約80%~約95%、約70%~約90%、または代替的に約80%~約90%であり得る。
【0019】
外層(A層、またはスキン層)の各々はさらに、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、約1%~約90%、約1%~約85%、約1%~約80%、または約1%~約75%の量のポリプロピレンを含むことができる。一実施形態では、ポリプロピレンは、少なくとも20%の量で存在し、別の実施形態では、約20%~約85%の量で存在する。
【0020】
フィルムは、経済的かつ吸収性物品での使用に適した坪量を有する。フィルムは、製造中は典型的には縦方向である、一方向に主に延伸可能である。フィルムは、100gsm以下、75gsm以下、または50gsm以下の坪量を有することができ、あるいは、約5gsm~約100gsm、約15gsm~約75gsm、約20gsm~約50gsmの坪量を有することができ、上記範囲は全て、中間値を含み、組み合わせ可能である。一実施形態では、フィルムは50gsm以下の坪量を有する。
【0021】
本発明は、本明細書に記載のフィルムを含む積層体をさらに含む。積層体は、フィルムの一方または両方の表面に取り付けられた基板を含み、複数のフィルムおよび複数の基板を含む積層体を含み得る。
【0022】
基材は、スパンボンド(SB)、メルトブローン(MB)、またはそれらの任意の組み合わせ(例えば、スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド、すなわち「SMS」)、ならびにスパンレース、スピンレース、エアレイド、カードおよび/または二成分不織布を含むがこれらに制限されない、複数の方向に回復可能に延伸可能な積層体をもたらす、任意の織布または不織布(NW)材料であってよい。特に好適な不織布としては、サウスカロライナ州ベスーンのSuominenから入手可能なもののようなスパンレース不織布が挙げられる。一実施形態では、基板は、積層体の製造中は典型的には横方向である、一方向に主に延伸可能である。基板は、約100gsm以下、あるいは約50gsm以下、あるいは約25gsm以下、あるいは約1gsm~約100gsm、約25gsm~約75gsm、あるいは約25gsm~約50gsmの坪量を有することができ、前述した範囲は全て、中間値を含み、組み合わせ可能である。基板は、さらに、<4N/cmのピーク負荷および/または>100%のピーク時歪み(strain at peak)を有することができる。
【0023】
一実施形態では、本発明の積層体は、撚り合わせたエラストマー材料を実質的に含まない。
【0024】
一実施形態では、本発明の積層体は接着剤を実質的に含まない。
【0025】
一実施形態では、積層されると、フィルムの主な延伸方向は不織布の主な延伸方向に対して垂直である。得られる積層体は、二軸延伸可能かつ/または多次元的に延伸可能である。
【0026】
製造方法
本発明のフィルムを製造するのに適した装置の一例は、Fameccanica Data SpAから入手可能な米国特許第9,498,491号(Sabloneら)に記載されている。そこに一般的に記載されている方法はまた、本明細書で主張する積層体の独特な特性に寄与する本明細書に記載の相違点を除いて、本発明の積層体を製造するのに適している。
【0027】
本発明のフィルムは、同時押出されてもよく、本明細書に記載されるフィルムをもたらすであろう任意の他の方法によって、キャスト成形、ブロー成形、または形成されてもよい。一実施形態では、フィルムは、例えば、縦方向(MD)、横方向(CD)、またはその両方に延伸することによって、積層前に予備活性化される。
【0028】
積層前に、フィルムを一方向に延伸してもよい。フィルムが延伸する方向に垂直な方向に延伸可能な不織布基材を、フィルムが延伸する間にフィルムに積層してもよい。不織布は、延伸するかまたは延伸しない状態で積層してもよい。
【0029】
基材は、接着積層、超音波接合、押出接合、または当業者に知られている他の手段などの種々の手段によってフィルムに積層されてもよい。一実施形態では、積層体は超音波接合され、得られた積層体は超音波溶接部または接合部を含む。
【0030】
フィルムおよび/または積層体は、CDおよび/またはMDの噛み合いを用いて横方向に延伸され得る。噛み合いの深さは、約0.254mm(約0.01インチ)から約6.35mm(約0.250インチ)まで変化することができ、特定の実施形態では、3.048mm(0.120インチ)、3.556mm(0.140インチ)、4.064mm(0.160インチ)、または4.572mm(0.180インチ)とすることができる。あるいは、フィルムおよび/または積層体は、例えば、2018年2月15日に公開された、Lenserらの米国特許出願公開第2018/0042778号に記載されているように、発散ディスク(diverging discs)によって延伸されてもよい。一実施形態では、発散ディスクをアンビルよりも遅い速度で動かして、超音波積層中にフィルムに同時MD延伸を提供することができる。
【0031】
本発明のフィルムおよび/または積層体は、種々の目的に有用であり、その非限定的な例としては、吸収性製品を含む個人衛生製品などの物品での使用が挙げられる。吸収性製品の非限定的な例としては、おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁用パッドおよびパンツ、水着、生理用ナプキン、パンティライナー、ならびに/または身体の特定の領域における発汗などの流体から衣類を保護するための吸収性パッドもしくは通気性シールドが挙げられる。積層体は、例えば、バックシート、ファスナー、ウエストバンド、カフスおよび/または耳状部として使用することができる。一実施形態では、積層体は、おむつまたは成人用失禁用製品などの吸収性物品に組み込まれる。
【0032】
実施例
積層体は、Fameccanica社のFMD-M2-00013積層システムまたは他の適切な製造ライン上でMDにフィルムを延伸し、フィルムが延伸される間にNWを超音波接合することによって作製した。3種類のNW;17gsmのSMS、25gsmのSB(どちらもインディアナ州エバンズビルのBerry Globalから入手可能)、および25gsmのスパンレース(Suominen)が使用される。
【0033】
ABA層構造を有する3層フィルムを用いる。フィルムは、OBC系弾性フィルムである。スキン層「A」は、PE/PPブレンドおよび1~10%のアンチブロックマスターバッチおよび加工助剤で作られる。コア層「B」は、INFUSE 9100、INFUSE 9507、INFUSE 9107および/またはDOW ELITE 5230の混合物を含むプロピレン系OBCブレンドで作られる。コアは全体の厚さの約85%~90%で、残りはスキンである。特に明記しない限り、フィルムの坪量は、35gsm~45gsmである。
【0034】
上記のフィルムは、予備活性化されなかった。CDにおいてフィルムを予備活性化すると、CDにおいてより高い延伸比を有する積層体が得られ、多次元的延伸がより対称的になる(データは不図示)。
【0035】
また、SBSを含むコアを有し、同じスキンまたはA層を有する比較フィルムを作製した(データは不図示)。しかし、SBSフィルムは破断前に元の長さの2倍を超えて延伸されることができず、「ポップアウト(pop-outs)」として知られる高い頻度の熱破損を示し、フィルムが溶融して裂け、フィルム被覆のない積層体中の領域が生じる。ポップアウトのサイズは、通常、5mm2を超えていた。フィルム/NWの各組み合わせにおいて、フィルムは、積層の間、MDにおいて300%、400%、500%、および550%で機械的に延伸された。機械的延伸は、第1のニップロールよりも速くアンビルロールを動かすことによって行われた。結果として得られる積層体のMD延伸は、3つの異なる方法で測定することができる:
1.最終積層体を手で延伸させた際の延伸量(推定延伸率)は以下のとおりである:10mmの間隔で2つのマークが積層体に記される。積層体は、最大延伸、すなわち、サンプルが損傷を受けずに延伸されることができなくなる点に達するまで、手で延伸される。延伸距離を測定して10で除算し、その結果に100を乗算して延伸率を得る。
2.積層体に1000gの張力がかかっている場合の総伸長(単位:mm)。
3.引張試験におけるピーク歪みでの伸び(%)。
【0036】
相対的な方向の延伸性は、次のように定義される。
1)伸長比(ER)(%)=(CD-伸長@1000g/MD-伸長@1000g)×100。
2)ピーク時伸び比(EAPR)(%)=(ピーク時CD伸び/ピーク時MD伸び)×100。
【0037】
表1は、積層中の機械による種々の印加歪みでの最終製品の測定された延伸性をまとめており、加えられた延伸は、アンビルロールの速度とニップロールの速度との比から導かれる。分かりやすくするため、50%の延伸は、フィルムが積層中に元の長さの半分だけ延伸されることを意味する。
【0038】
【0039】
表2にFMD-M2-00013で作製したサンプルの特性をまとめる。フィルムを縦方向(MD)に延伸し、その後、延伸しながら超音波接合した。したがって、表2に示すように、最終的な積層体はMD延伸可能である。CD延伸可能スパンレースNWを用いた場合、最終的な弾性積層体は全方向(CDおよびMDを含む)に延伸可能である。
【0040】
5%歪みでのCD負荷は、製品がCDに延伸可能であるならば、フィルムとNWの両方がCDに容易に変形するので、非常に低い値を持つべきである。一方、フィルムもしくはNWまたはその両方がCDに容易に延伸されない場合、5%歪みでのCD負荷は高く、積層体はMDにのみ延伸可能である。本発明では、超音波接合による積層前にのみ、フィルムをMDに延伸させた。表2の第2列のデータは、スパンレースNWで作製したサンプル(サンプル8~11)の5%歪みでのCD負荷がSBまたはSM不織布で作製したサンプル(サンプル1~7)の5%歪みでのCD負荷よりはるかに低い値を有することを示している。サンプル1~7はMD方向にのみ延伸可能である。全てのサンプルは、接合および積層前にMDにフィルムを延伸して作製した。したがって、全てのサンプルは5%MD歪みで近い低負荷値を示した。換言すれば、5%でのMD負荷は、NWが波形であるためにのみフィルムによって変化しているように見え、フィルムがMDに少なくとも100%延伸されるまで、MDに有意な力を及ぼさない。
【0041】
【0042】
図3は、様々なサンプルのCD負荷およびMD負荷を示す。スパンレースNWで作製したサンプルは両方向で低い5%負荷値を有する。
【0043】
図4は、ピーク時伸びマップを示す。スパンレースNWで作製したサンプルは両方向で高いピーク値を有する。
【0044】
図5は、スパンレースで作製された積層体が、MDおよびCDにおいて高いピーク時伸びを有することを示す。しかしながら、他のサンプルは、CDに延伸可能ではないためCDにおいて低い値を有し、MDに延伸させられるのでMDにおいて高い値を有する。
【0045】
図6は、適用される延伸が増加するにつれて積層体のMD伸長が増加することを示す。SMS NWで作製したサンプルとSB NWで作製したサンプルとの間に有意差はなかった。しかしながら、スパンレースで作製したサンプルはより高い伸長を有するように思われる。
【0046】
図7および
図8は、スパンレース(CD延伸可能なNW)で作製したサンプルが、SMS NWまたはSB NWで作製したサンプルよりもはるかに高い値を有することを示している。すなわち、両方向に延伸可能な積層体は、高いERおよびEAPRを有する。
【0047】
発明の詳細な説明に引用されている全ての文献は、関連部分において、参照により本明細書に組み込まれ、いかなる文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であることを認めるものと解釈してはならない。この文書における用語の意味または定義が、参照により組み込まれる文書における同じ用語の意味または定義と矛盾する範囲で、本文書においてその用語に割り当てられた意味または定義が優先するものとする。全ての範囲は包括的であり、組み合わせ可能である。ある値が明示的に列挙されていない限り、列挙された範囲に含まれる場合、それはオプションとして暗示されることが理解される。
【0048】
本発明の特定の実施形態について例示し説明したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の他の変更および修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような変更および修正の全てを、特許請求の範囲に含めることが意図される。
【0049】
〔実施の態様〕
(1) 積層体において、
オレフィン系ブロックコポリマー、スチレン系ブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせを含み、第1の方向に主に延伸可能である、少なくとも1つのエラストマーフィルムと、
前記第1の方向に垂直な第2の方向に主に延伸可能である少なくとも1つのスパンレース不織布基材と、
を含み、
前記積層体が多次元的に延伸可能である、積層体。
(2) 前記積層体が、均一に多次元的に延伸可能である、実施態様1に記載の積層体。
(3) MD伸長に対するCD伸長の比が30%以上である、実施態様1に記載の積層体。
(4) 前記フィルムの坪量が50gsm以下である、実施態様1に記載の積層体。
(5) 前記不織布の坪量が50gsm以下である、実施態様1に記載の積層体。
【0050】
(6) 前記積層体が超音波溶接部を含む、実施態様1に記載の積層体。
(7) 前記積層体が実質的に接着剤を含まない、実施態様6に記載の積層体。
(8) 積層体において、
オレフィン系ブロックコポリマー、スチレン系ブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせを含み、第1の方向に主に延伸可能である、少なくとも1つのエラストマーフィルムと、
前記第1の方向に垂直な第2の方向に主に延伸可能である少なくとも1つのスパンレース不織布基材と、
を含み、
前記積層体が前記第1の方向および前記第2の方向の両方に延伸可能である、積層体。
(9) MD伸長に対するCD伸長の比が30%以上である、実施態様8に記載の積層体。
(10) 前記フィルムの坪量が50gsm以下である、実施態様8に記載の積層体。
【0051】
(11) 前記不織布の坪量が50gsm以下である、実施態様8に記載の積層体。
(12) 前記積層体が超音波溶接部を含む、実施態様8に記載の積層体。
(13) 前記積層体が実質的に接着剤を含まない、実施態様12に記載の積層体。
(14) 積層体を製造する方法において、
a.オレフィン系ブロックコポリマー、スチレン系ブロックコポリマーまたはそれらの組み合わせを含むエラストマーフィルムを縦方向に延伸する工程と、
b.前記フィルムを前記縦方向に延伸させている間に、横方向に主に延伸可能なスパンレース不織布基材に前記フィルムを積層する工程と、
を含む、方法。
(15) 前記フィルムが予備活性化される、実施態様14に記載の方法。
【0052】
(16) 前記フィルムが予備活性化されない、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記フィルムが、超音波積層、接着積層、押出接合、またはそれらの組み合わせによって、前記不織布に積層される、実施態様14に記載の方法。
(18) 前記フィルムが、前記縦方向に50%~500%だけ延伸される、実施態様14に記載の方法。
(19) 前記積層体が、噛み合いによって前記横方向に延伸される、実施態様14に記載の方法。
(20) 前記積層体を吸収性物品に組み込む工程をさらに含む、実施態様14に記載の方法。
【0053】
(21) 積層体において、
オレフィン系ブロックコポリマー、スチレン系ブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせを含み、第1の方向に主に延伸可能である、少なくとも1つのエラストマーフィルムと、
前記第1の方向に垂直な第2の方向に主に延伸可能である少なくとも1つのスパンレース不織布基材と、
を含み、
前記積層体が多次元的に延伸可能である、積層体。
(22) 前記積層体が、均一に多次元的に延伸可能である、実施態様21に記載の積層体。
(23) 前記積層体のMD伸長に対する前記積層体のCD伸長の比が30%以上である、実施態様21に記載の積層体。
(24) 前記フィルムの坪量が50gsm以下であり、前記不織布の坪量が50gsm以下である、実施態様21に記載の積層体。
(25) 前記積層体が超音波溶接部を含む、実施態様21に記載の積層体。
【0054】
(26) 積層体において、
オレフィン系ブロックコポリマー、スチレン系ブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせを含み、第1の方向に主に延伸可能である、少なくとも1つのエラストマーフィルムと、
前記第1の方向に垂直な第2の方向に主に延伸可能である少なくとも1つのスパンレース不織布基材と、
を含み、
前記積層体が、横方向および縦方向の両方に延伸可能であり、かつ、縦方向伸長に対する横方向伸長の比が30%以上である、積層体。
(27) 前記フィルムの坪量が50gsm以下であり、前記不織布の坪量が50gsm以下である、実施態様26に記載の積層体。
(28) 前記積層体が超音波溶接部を含む、実施態様27に記載の積層体。
(29) 積層体を製造する方法において、
a.オレフィン系ブロックコポリマー、スチレン系ブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせを含むエラストマーフィルムを縦方向に延伸させる工程と、
b.前記フィルムを前記縦方向に延伸させている間に、横方向に主に延伸可能であるスパンレース不織布基材に前記フィルムを積層する工程と、
を含む、方法。
(30) 前記フィルムが予備活性化される、実施態様29に記載の方法。
【0055】
(31) 前記フィルムが予備活性化されない、実施態様29に記載の方法。
(32) 前記フィルムが、超音波積層、接着積層、押出接合、またはそれらの組み合わせによって前記不織布に積層される、実施態様29に記載の方法。
(33) 前記フィルムが、前記縦方向に50%~500%だけ延伸される、実施態様29に記載の方法。
(34) 前記積層体が、噛み合いによって前記横方向に延伸される、実施態様29に記載の方法。
(35) 前記積層体を吸収性物品に組み込む工程をさらに含む、実施態様29に記載の方法。
【外国語明細書】