IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-換気システム 図1
  • 特開-換気システム 図2
  • 特開-換気システム 図3
  • 特開-換気システム 図4
  • 特開-換気システム 図5
  • 特開-換気システム 図6
  • 特開-換気システム 図7
  • 特開-換気システム 図8
  • 特開-換気システム 図9
  • 特開-換気システム 図10
  • 特開-換気システム 図11
  • 特開-換気システム 図12
  • 特開-換気システム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007354
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】換気システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/08 20060101AFI20240110BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20240110BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20240110BHJP
   F24F 13/26 20060101ALI20240110BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240110BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
F24F13/08 C
F24F13/02 D
F24F7/007 B
F24F13/26
F25D11/00 101C
F25D17/08 318Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095727
(22)【出願日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2022107192
(32)【優先日】2022-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】水澤 竜也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 洋平
(72)【発明者】
【氏名】宮越 智也
【テーマコード(参考)】
3L045
3L056
3L080
3L081
【Fターム(参考)】
3L045AA04
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045KA01
3L045PA04
3L045PA05
3L056BD02
3L080AA05
3L080AA06
3L080AC01
3L081AA02
(57)【要約】
【課題】換気システムの構造が複雑化することを抑制しながら、冷却装置の冷却負荷を軽減することが可能な換気システムを提供する。
【解決手段】この換気システム100は、室外から室内に外気を供給する給気ファン21と、給気ファン21により供給された外気を室内に導く導風部22と、冷却装置の上方に配置され、導風部22によって導かれた外気を天井に沿って天井付近に略水平に流すための第1給気口部23と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方から下方に流れるエアカーテンが形成されている冷却装置が配置された室内を換気する換気システムであって、
室外から室内に外気を供給する給気ファンと、
前記給気ファンにより供給された外気を室内に導く導風部と、
前記冷却装置の上方に配置され、前記導風部によって導かれた外気を天井に沿って天井付近に略水平に流すための第1給気口部とを備える、換気システム。
【請求項2】
前記第1給気口部により形成される気流の回転方向が、エアカーテンにより形成される気流の回転方向とは反対方向になるように外気を天井付近にほぼ水平に流すように構成されている、請求項1に記載の換気システム。
【請求項3】
前記第1給気口部は、前記冷却装置の上方に配置され、外気を前記冷却装置から離れる方向に向かうとともに、天井に沿った略水平の気流に調整するように構成されている、請求項1に記載の換気システム。
【請求項4】
前記第1給気口部は、天井に沿った略水平の気流に調整する、ダクトまたは仕切り板を含む、請求項3に記載の換気システム。
【請求項5】
前記冷却装置は、複数設けられ、
前記導風部は、複数の前記冷却装置に各々外気を分配し、天井に沿って天井付近に略水平に流すための分配部を含む、請求項1に記載の換気システム。
【請求項6】
室外において少なくとも外気の温度を測定する室外センサと、
室内において少なくとも温度を測定する室内センサと、
前記室内センサの測定に基づいて取得した、室内における温度または単位量当たりのエンタルピーを含む室内測定値が、前記室外センサの測定に基づいて取得した、室外における温度または単位量当たりのエンタルピーを含む室外測定値よりも大きい場合に、前記第1給気口部から給気される外気の量を減少させる制御を行うように構成されている制御部と、をさらに備える、請求項1に記載の換気システム。
【請求項7】
前記冷却装置から離れた位置に配置される第2給気口部を含み、
前記室内センサの測定に基づいて取得した、室外における温度または単位量当たりのエンタルピーを含む室内測定値が、前記室外センサの測定に基づいて取得した、室外における温度または単位量当たりのエンタルピーを含む室外測定値よりも大きい場合に、前記第1給気口部から給気される外気の量を減少させるとともに、前記第2給気口部から給気される外気の量を増加させる制御を行うように構成されている、請求項6に記載の換気システム。
【請求項8】
前記第1給気口部と前記第2給気口部との各々に外気を導く流路において、前記第1給気口部と前記第2給気口部との各々に供給される外気の流量を調整する流量調整部を含み、
前記制御部は、前記室内測定値が前記室外測定値よりも大きい場合に、前記流量調整部により外気の流量を調整することによって、前記第1給気口部から給気される外気の量を小さくするとともに、前記第2給気口部から外気を室内に送風させるように構成されている、請求項7に記載の換気システム。
【請求項9】
前記室内センサは、水平方向において前記冷却装置のエアカーテンが影響しない位置に配置され、かつ、上下方向において天井と床との間に配置される、請求項6に記載の換気システム。
【請求項10】
室内から空気を排気する排気装置をさらに備え、
前記制御部は、室内を、正圧、負圧または、外部と圧力が同じ均圧に保つように、給気量の制御または前記排気装置の排気量の制御のうち少なくとも一方を行う、請求項6に記載の換気システム。
【請求項11】
前記冷却装置は、店舗の室内に設置されているショーケースを含み、
前記第1給気口部は、前記ショーケースの上方に配置され、前記導風部によって導かれた外気を天井に沿って天井付近に略水平に流すように構成されている、請求項1に記載の換気システム。
【請求項12】
前記冷却装置は、冷却装置本体と、前記冷却装置本体の上面から突出するように前記冷却装置本体の上面の一部に配置され、電力変換装置または電子部品の少なくとも1つが収納される部品収納部とを含み、
前記導風部内に配置され、前記部品収納部の上面を覆う整流板と、
前記整流板に設けられるか、または、複数の前記整流板の間に設けられ、前記整流板の上面側と、底面側とを連通するための連通部と、を備える、請求項1に記載の換気システム。
【請求項13】
前記導風部は、前記部品収納部の上面側に配置される上面部と、前記部品収納部の正面側に配置される正面部と、前記部品収納部の背面側に配置される背面部とを含むとともに、前記部品収納部を三方から取り囲むように構成され、
前記冷却装置の上面は、前記導風部の底面を構成し、
前記整流板は、前記導風部の内部に配置され、前記導風部を前記部品収納部が配置されている下部と、前記下部よりも上方の上部とに前記導風部を分割するように構成され、
前記連通部は、前記上部と前記下部とを連通するように構成されている、請求項12に記載の換気システム。
【請求項14】
前記整流板は、前記冷却装置の上面に配置するための脚部を含む、請求項12に記載の換気システム。
【請求項15】
前記脚部の上下方向の長さは、前記部品収納部の上下方向の長さよりも大きい、請求項14に記載の換気システム。
【請求項16】
前記冷却装置は、複数並んで配置されるとともに、複数の前記冷却装置の各々の上面には前記部品収納部が配置され、
複数の前記部品収納部は、前記複数の冷却装置が並ぶ方向に沿って互いに間隔を隔てて配置され、
前記整流板は、前記複数の部品収納部の上面を各々覆うように、前記複数の冷却装置が並ぶ方向に沿って互いに間隔を隔てて複数配置され、
前記連通部は、前記複数の整流板の隙間により形成される、請求項12に記載の換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、換気システムに関し、冷却装置が配置された室内を換気する換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却装置が配置された店舗などの室内を換気する換気システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、オープン型ショーケース(冷却装置)が配置される店舗内(室内)を換気する店内換気システムが開示されている。特許文献1の店内換気システムは、給気口と換気扇とを備え、給気口において給気する量を調整するとともに、換気扇により排気する量を調整することにより店内の換気を行っている。
【0004】
上記特許文献1には、開示されていないが、外気温が高い夏などに換気する場合、外部から高温の空気が店内に流入し、店内の上方に高温多湿の空気が溜まる。また、オープン型ショーケースは、上から下に流れるエアカーテンが形成されている。
【0005】
ここで、エアカーテンの上から下に流れる気流に、店内の上方に溜まっている高温の空気が巻き込まれて、オープン型ショーケース内に流れ込む場合がある。これにより、オープン型ショーケース内の温度が上昇し、冷却負荷が高くなるという問題点がある。
【0006】
そこで、換気システムの冷却負荷を低減することが考えられている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2では、全熱交換素子を用いて、店舗内の温度の低い空気と温度の高い外部の空気とを熱交換し、店舗内に供給する外部の空気を冷却する。これにより、店舗の上方に温度の高い空気が溜まることを抑制することができるため、エアカーテンに店舗の上方の空気が巻き込まれても、ショーケース内の温度が上昇することが抑制される。その結果、換気システムの冷却負荷を低減することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭59-13837号公報
【特許文献2】特開2020-200990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献2のように全熱交換素子を用いる場合、給気用のダクトと排気用のダクトとに加えて、全熱交換素子と、全熱交換素子用のダクトとを別途設ける必要があり、換気システムの構造が複雑化するという問題点がある。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、換気システムの構造が複雑化することを抑制しながら、冷却装置の冷却負荷を軽減することが可能な換気システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による換気システムは、上方から下方に流れるエアカーテンが形成されている冷却装置が配置された室内を換気する換気システムであって、室外から室内に外気を供給する給気ファンと、給気ファンにより供給された外気を室内に導く導風部と、冷却装置の上方に配置され、導風部によって導かれた外気を天井に沿って天井付近に略水平に流すための第1給気口部とを備える。
【0011】
上記一の局面による換気システムでは、上記のように、冷却装置の上方に配置され、導風部によって導かれた外気を天井に沿って天井付近に略水平に流すための第1給気口部を含む。これにより、第1給気口部により、外気が天井に沿って天井付近を流れるため、外気がエアカーテンに巻き込まれにくくすることができる。これにより、冷却装置内の温度が上昇することを抑制することができる。また、第1給気口部により外気がエアカーテンに巻き込まれにくくすることができるため、外部の空気を冷却するための全熱交換器を設ける必要がないとともに、全熱交換器専用のダクトを設ける必要がない。これらの結果、換気システムの構造が複雑化することを抑制しながら、冷却装置の冷却負荷を軽減することができる。
【0012】
上記一の局面による換気システムにおいて、好ましくは、第1給気口部により形成される気流の回転方向が、エアカーテンにより形成される気流の回転方向とは反対方向になるように外気を天井付近にほぼ水平に流すように構成されている。このように構成すれば、第1給気口部により形成される気流の回転方向とエアカーテンにより形成される気流の回転方向とが逆であるため、第1給気口部により形成される温度の高い外気と天井付近の高温の空気とからなる気流と、エアカーテンにより形成される気流とが混ざりにくくすることができる。
【0013】
上記一の局面による換気システムにおいて、好ましくは、第1給気口部は、冷却装置の上方に配置され、外気を冷却装置から離れる方向に向かうとともに、天井に沿った略水平の気流に調整するように構成されている。このように構成すれば、外気を冷却装置から離れる方向に向かう気流に調整することにより、天井付近の高温の空気が外気の気流に巻き込まれて冷却装置から離れる方向に向かうため、天井付近の高温の空気と温度の高い外気とが、冷却装置の近傍を流れてエアカーテンにより発生する気流に巻き込まれることを抑制することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、第1給気口部は、天井に沿った略水平の気流に調整する、ダクトまたは仕切り板を含む。このように構成すれば、ダクトまたは仕切り板により、第1給気口部から発生する気流の流れる方向を冷却装置から離れる方向に容易に調整することができる。
【0015】
上記一の局面による換気システムにおいて、好ましくは、冷却装置は、複数設けられ、導風部は、複数の冷却装置に各々外気を分配し、天井に沿って天井付近に略水平に流すための分配部を含む。このように構成すれば、複数の冷却装置を設けた場合でも、分配部により分配された外気が、天井に沿って天井付近を略水平に流れるため、複数の冷却装置内の温度が上昇することを抑制することができる。
【0016】
上記一の局面による換気システムにおいて、好ましくは、少なくとも外気の温度を測定する室外センサと、室内において少なくとも温度を測定する室内センサと、室内センサの測定に基づいて取得した、室内における温度または単位量当たりのエンタルピーを含む室内測定値が、室外センサの測定に基づいて取得した、室外における温度または単位量当たりのエンタルピーを含む室外測定値よりも大きい場合に、第1給気口部から給気される外気の量を減少させる制御を行うように構成されている制御部と、をさらに備える。ここで、室内センサの測定に基づいて取得した室内測定値が、室外センサの測定に基づいて取得した室外測定値よりも大きい場合は、外気温が室内の気温よりも低いといえる。この場合に、第1給気口部から外気が流入すると、温度が低いため下方に流れ、エアカーテンに外気が巻き込まれて冷却装置内の温度または室内の温度を変化させて冷却負荷が大きくなる場合がある。そのため、制御部が、第1給気口部から給気される外気の量を減少させる制御を行うように構成されていることにより、外気温が室内の気温よりも低い場合にエアカーテンに外気が巻き込まれて冷却装置内の温度または室内の温度が変化することを抑制することができる。なお、上記制御により給気量が減少した場合でも、排気量を十分確保する構成とすることで、法定換気量を満足することができる。
【0017】
この場合、好ましくは、冷却装置から離れた位置に配置される第2給気口部を含み、室内センサの測定に基づいて取得した、室外における温度または単位量当たりのエンタルピーを含む室内測定値が、室外センサの測定に基づいて取得した、室外における温度または単位量当たりのエンタルピーを含む室外測定値よりも大きい場合に、第1給気口部から給気される外気の量を減少させるとともに、第2給気口部から給気される外気の量を増加させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第1給気口から給気される外気の量を減少させたとしても第2給気口から給気される外気の量を増やすことにより、給気量を一定に保つことができるため、換気量を確保することができる。
【0018】
上記冷却装置から離れた位置に配置される第2給気口部を含む場合において、第1給気口部と第2給気口部との各々に外気を導く流路において、第1給気口部と第2給気口部との各々に供給される外気の流量を調整する流量調整部を含み、制御部は、室内測定値が室外測定値よりも大きい場合に、流量調整部により外気の流量を調整することによって、第1給気口部から給気される外気の量を小さくするとともに、第2給気口部から外気を室内に送風させるように構成されている。このように構成すれば、流量調整部を調整することにより容易に第1給気口部および第2給気口部から各々給気される外気の量を容易に調整することができる。なお、給気される外気の量を小さくするとは、給気される外気の量を減少させて給気される外気の量を小さくすることと、給気を止めて給気される外気の量をゼロにすることとを含む。
【0019】
上記換気システムが、制御部を備える場合において、好ましくは、室内センサは、水平方向において冷却装置のエアカーテンが影響しない位置に配置され、かつ、上下方向において天井と床との間に配置される。このように構成すれば、天井付近の比較的温度の高い領域と、床付近の比較的温度の低い領域とを避けて室内の温度を測定することができる。また、エアカーテンの影響を受けて室内センサの測定値が低くなることを抑制することができる。
【0020】
上記換気システムが、制御部を備える場合において、好ましくは、室内から空気を排気する排気装置をさらに備え、制御部は、室内を、正圧、負圧または外部と圧力が同じ均圧に保つように、給気量の制御または排気装置の排気量の制御のうち少なくとも一方を行う。このように構成すれば、室内が正圧の場合は、室内から外部に空気が流れるため、外部の温度の高い空気が室内に流入することを抑制することができる。また、室内が負圧の場合は、外部から室内に空気が流れるため、室内の温度の低い空気が外部に流出することを抑制することができる。また、室内が均圧の場合は、室内と外部との間において空気の流れが発生しにくいため、温度の高い空気が室内に入りにくく、室内の冷やされた空気が外部に流出しにくくなる。これにより、室内の温度を一定に保ちやすくなるため、冷却負荷が大きくなることを抑制することができる。
【0021】
この発明の一の局面の換気システムは、店舗の室内に設置されているショーケースを含み、第1給気口部は、ショーケースの上方に配置され、導風部によって導かれた外気を天井に沿って天井付近に略水平に流すように構成されている。このように構成すれば、第1給気口部により、外気が天井に沿って天井付近を流れるため、エアカーテンに外気が巻き込まれにくくすることができる。これにより、ショーケース内の温度が上昇することを抑制することができる。
【0022】
この発明の一の局面の換気システムにおいて、好ましくは、冷却装置は、冷却装置本体と、冷却装置本体の上面から突出するように冷却装置本体の上面の一部に配置され、電力変換装置または電子部品の少なくとも1つが収納される部品収納部とを含み、導風部内に配置され、部品収納部の上面を覆う整流板と、整流板に設けられるか、または、複数の整流板の間に設けられ、整流板の上面側と、底面側とを連通するための連通部と、を備える。このように構成すれば、部品収納部の上面が整流板によって覆われることにより、給気ファンにより供給された外気が部品収納部に接触することに起因して、外気の流れが妨げられることを抑制することができる。これにより、外気の流れのむらが大きくなることを抑制することができる。また、連通部を備えることにより、整流板の底面側に外気が流れるため、整流板によって上面が覆われた部品収納部を外気により冷却することができる。
【0023】
この場合、好ましくは、導風部は、部品収納部の上面側に配置される上面部と、部品収納部の正面側に配置される正面部と、部品収納部の背面側に配置される背面部とを含むとともに、部品収納部を三方から取り囲むように構成され、冷却装置の上面は、導風部の底面を構成し、整流板は、導風部の内部に配置され、導風部を部品収納部が配置されている下部と、下部よりも上方の上部とに導風部を分割するように構成され、連通部は、上部と下部とを連通するように構成されている。このように構成すれば、導風部内に供給された外気を正面部と背面部と上面部とに沿って流すことができるため、外気の流れる方向を整流板の延びる方向に調整することができる。また、整流板により上部と下部とを分割することにより、上部では、部品収納部による影響を受けずに外気を整流板に沿って流すことができるとともに、下部では部品収納部を外気により冷却することができる。
【0024】
この発明の一の局面の換気システムにおいて、好ましくは、整流板は、冷却装置の上面に配置するための脚部を含む。このように構成すれば、脚部により整流板を冷却装置の上面の任意の位置に配置することができるため、導風部に予め整流板が設けられている場合と比べて、整流板を設ける位置と、連通部を設ける位置とを容易に調整することできる。
【0025】
この場合、好ましくは、脚部の上下方向の長さは、部品収納部の上下方向の長さよりも大きい。このように構成すれば、整流板と、部品収納部の上面との間に外気の流れる空間(隙間)が形成されるため、外気を流しやすくすることができるとともに温度が高くなりやすい部品収納部の上面側を冷やすことができるため、部品収納部を外気により冷却する効率を向上させることができる。
【0026】
この発明の一の局面の換気システムにおいて、好ましくは、冷却装置は、複数並んで配置されるとともに、複数の冷却装置の各々の上面には部品収納部が配置され、複数の部品収納部は、複数の冷却装置が並ぶ方向に沿って互いに間隔を隔てて配置され、整流板は、複数の部品収納部の上面を各々覆うように、複数の冷却装置が並ぶ方向に沿って互いに間隔を隔てて複数配置され、連通部は、複数の整流板の隙間により形成される。このように構成すれば、部品収納部が複数配置されている場合に、複数の部品収納部の位置に合わせて、整流板を配置することができる。また、複数の整流板の間隔を隔てることにより、連通部が形成されるため、整流板の間隔を調整することにより、部品収納部側に流す外気の量を容易に調整することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、上記のように、換気システムの構造が複雑化することを抑制しながら、冷却装置の冷却負荷を軽減することが可能な換気システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】換気システムを配置した店舗の模式図である。
図2】店舗内の空気の流れを説明するための図である。
図3】冷凍サイクルのブロック図である。
図4】分配部によって分配された空気の流れ図である。
図5】第1給気口部による気流の回転方向と、エアカーテンによる気流の回転方向とを示す図である。
図6】比較例の換気システムと実施例の換気システムとによる店舗内の温度分布のシミュレーション図である。
図7】第2実施形態によるショーケースを示す正面図である。
図8】第2実施形態による導風部の構成を示す図である。
図9】第2実施形態による整流板と連通部とを示す図である。
図10】第2実施形態による実施例および比較例の風速のばらつきを示すグラフである。
図11】第2実施形態による変形例による整流板と連通部との一例を示す図である。
図12】第2実施形態による変形例による整流板と連通部との他の例を示す図である。
図13】第2実施形態による変形例による整流板の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
[第1実施形態]
(換気システムの全体構成)
図1図5を参照して、本発明の実施形態による換気システム100の全体構成について説明する。
【0031】
図1に示すように、換気システム100は、ショーケース1が配置された店舗50の内部を換気するために用いられる。換気システム100は、給気ファン21と、導風部22と、第1給気口部23と、第2給気口部24と、流量調整部25と、排気装置3と、室外センサ4と、室内センサ5と、制御部6とを含む。なお、店舗50の内部は、特許請求の範囲に記載した「室内」の一例である。また、ショーケース1は、特許請求の範囲に記載した「冷却装置」の一例である。
【0032】
店舗50の内部には、ショーケース1と、扉付きショーケース11と、商品棚12とが配置される。図2の例では、ショーケース1が入口扉51から離れた位置に配置されている。店舗50は、ショーケース1が配置される店舗50であれば特に限定されないが、たとえば、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、またはドラッグストアである。なお、本明細書において、店舗50の天井52と床とを結ぶ上下方向をZ方向とし、天井側をZ1側とし、床側をZ2側とする。なお、図1は、換気システム100の配置を模式的に示している。
【0033】
図2に示すように、ショーケース1には、商品を配置する複数の棚1aが配置されている。ショーケース1は、複数の棚1aに配置された商品を冷却するように構成されている。なお、図2は、説明のために、給気ファン21をショーケース1の上方に配置している。
【0034】
図2および図3に示すように、ショーケース1には、冷凍サイクル60が設けられている。冷凍サイクル60は、圧縮機61と、凝縮器62と、膨張部63と、蒸発器64とから構成される。
【0035】
圧縮機61は、冷媒を圧縮する。具体的には、低圧の冷媒蒸気が、高圧の気相冷媒に圧縮される。圧縮機61において圧縮された冷媒は、凝縮器62に供給される。
【0036】
凝縮器62は、冷媒を凝縮する。具体的には、高圧の冷媒蒸気が、高圧の液相冷媒に凝縮される。凝縮器62において凝縮された冷媒は、膨張部63に供給される。
【0037】
膨張部63は、冷媒を膨張させる。具体的には、高圧の液相冷媒が、膨張されて低圧低温の気液二相の冷媒に変化する。膨張部63は、たとえば、膨張弁である。膨張部63で膨張された冷媒は、蒸発器64に供給される。
【0038】
蒸発器64は、冷媒を蒸発させる。具体的には、低温低圧の冷媒が、低圧の気相冷媒に変化する。このとき、空気の熱を奪って冷媒が蒸発するため、空気は冷却される。気相冷媒は、圧縮機61に戻る。蒸発器64により冷却された空気によって、ショーケース1内の商品が冷却される。
【0039】
図2に示すように、ショーケース1は、商品を取り出すまたは商品を収容するために、一方側が開口している。ショーケース1の開口部分には、エアカーテンを形成するための吹き出し口1bと吸込み口1cとが配置されている。吹き出し口1bと吸込み口1cはZ方向に対向して配置される。図2では、エアカーテンを破線の矢印で表している。エアカーテンは、上方から下方に冷却された空気が流れる。吹き出し口1bから、ショーケース1内を冷却する空気の一部が上方(Z1側)から下方(Z2側)に向かって吹出され、吸込み口1cに吸い込まれる。ショーケース1は、店舗50の内部に複数配置される。
【0040】
図1に示すように、扉付きショーケース11は、ショーケース1と異なり、扉が開口部分に取り付けられている。扉付きショーケース11は、エアカーテンは形成されていない。
【0041】
商品棚12は、ショーケース1および扉付きショーケース11以外の商品を収容可能な部材である。商品棚12は、たとえば、商品を常温で保存する収納棚である。
【0042】
図2に示すように、給気ファン21は、たとえば、店舗50の天井52と屋根53との間に配置される。給気ファン21は、駆動することにより、外気を室内に供給する。給気ファン21は、たとえば、ファンボックスを含む。
【0043】
導風部22は、給気ファン21により供給された外気を室内に導く。具体的には、導風部22は、第1給気口部23および第2給気口部24を介して外気を室内に導く。導風部22は、たとえば、配管、ダクトなどを含む。
【0044】
図4に示すように、導風部22は、複数のショーケース1に各々外気を分配し、天井52に沿って天井52付近に略水平に流すための分配部22aを含む。分配部22aで分配された外気は、第1給気口部23から天井52に沿って天井52付近を略水平に流れる。
【0045】
図2に示すように、第1給気口部23は、ショーケース1の上方に配置される。第1給気口部23は、導風部22によって導かれた外気を天井52に沿って天井52付近に略水平に流す。第1給気口部23は、外気をショーケース1から離れる方向(Y1方向)に向かうとともに、天井52に沿った略水平の気流に調整する。ショーケース1から離れる方向とは、ショーケース1の開口している面から離れる方向である。第1給気口部23は、天井52に沿った略水平の気流に調整する仕切り板23aを含む。具体的には、仕切り板23aをショーケース1の上方に配置することにより、第1給気口部23の開口部分が天井付近の一部に狭められる。また、第1給気口部23の狭められた開口部には、整流器23bが取り付けられる。整流器23bにより、水平方向の気流に整えられる。第1給気口部23は、複数のショーケース1ごとに各々配置されていてもよく、複数のショーケース1に対して1つ配置されていてもよい。
【0046】
図1に示すように、第2給気口部24は、ショーケース1から離れた位置に配置される。第2給気口部24は、たとえば、ショーケース1が配置されない店舗50の入口扉51側に配置される。
【0047】
図1に示すように、流量調整部25は、給気ファン21の下流側の導風部22に配置される。流量調整部25は、第1給気口部23と第2給気口部24との各々に外気を導く流路において、第1給気口部23と第2給気口部24との各々に供給される外気の流量を調整する。流量調整部25は、たとえば、ダンパである。
【0048】
排気装置3は、室内から空気を排気する。排気装置3は、排気用ファン31と、排気用導風部32と、排気口33とを備えている。排気装置3は、1つ配置されてもよく複数配置されてもよい。
【0049】
図2に示すように、排気用ファン31は、天井52と屋根53との間に配置される。排気用ファン31により、店舗50の内部の空気が排気口33を介して吸引され、排気用導風部32を介して室外に排気される。
【0050】
室外センサ4は、外気の温度を測定するためのセンサである。室外センサ4は、店舗50の外に配置されてもよく、店舗50の内部の給気ファン21近傍の導風部22に配置されてもよい。室外センサ4は、たとえば、温度センサまたは温度と湿度とを測定できるセンサである。
【0051】
室内センサ5は、室内において少なくとも店舗50の内部の温度を測定する。室内センサ5は、たとえば、温度センサまたは温度と湿度とを測定できるセンサである。室内センサ5は、店舗50の内部に配置される。室内センサ5は、たとえば、水平方向においてショーケース1のエアカーテンが影響しない位置に配置され、かつ、上下方向(Z方向)において天井52と床との間に配置される。ショーケース1のエアカーテンが影響しない位置とは、エアカーテンの風が当たらない位置である。天井52と床との間とは、好ましくは、天井52付近と床付近とを除いた中央領域である。
【0052】
制御部6は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部6は、室内センサ5の測定に基づいて室内における温度または単位量当たりのエンタルピーを含む室内測定値を取得する。また、制御部6は、室外センサ4の測定に基づいて室外における温度または単位量当たりのエンタルピーを含む室外測定値を取得する。制御部6は、室内測定値が、室外測定値よりも大きい場合に、第1給気口部23から給気する給気量を減少させる制御を行うように構成されている。また、給気量を減少させるとは、給気量を小さくすることと、給気を停止して給気量をゼロにすることとを含む。
【0053】
制御部6は、室内測定値が、室外測定値よりも大きい場合に、第2給気口部24からの給気量を増加させる制御を行うように構成されている。第2給気口部24の給気量の増加は、減少前または停止前の第1給気口部23の供給量に相当する分である。制御部6は、室内測定値が室外測定値よりも大きい場合に、流量調整部25により外気の流量を調整することによって、第1給気口部23からの風量を小さくするとともに、第2給気口部24から外気を室内に送風させるように構成されている。
【0054】
制御部6は、室内を正圧、負圧または均圧に保つように、給気量の制御または排気装置3の排気量の制御のうち少なくとも一方を行う。正圧とは、店舗50の内部の圧力が外部の圧力よりも大きい場合である。この場合、制御部6は、給気量が排気量を上回るように、給気量を大きくする制御または排気装置3の排気量を小さくする制御のうち少なくとも一方を行う。
【0055】
均圧とは、店舗50の内部の圧力と外部の圧力とが同じ場合である。この場合、制御部6は、給気量が排気量と同じになるように、給気量の制御または排気装置3の排気量の制御のうち少なくとも一方を行う。
【0056】
負圧とは、店舗50の内部の圧力が外部の圧力よりも小さい場合である。この場合、制御部6は、給気量が排気量を下回るように、給気量を小さくする制御または排気装置3の排気量を大きくする制御のうち少なくとも一方を行う。
【0057】
図2に基づいて、換気システム100の換気時の空気の流れを説明する。給気ファン21により室内に取り込まれた空気は導風部22内を通過する。そして、制御部6が流量調整部25を調整することにより、第1給気口部23と、第2給気口部24とに送られる送風量が調整される。第1給気口部23から流れる空気は、仕切り板23aにより天井52付近を流れる天井52に略平行な流れとなる。
【0058】
図5に示すように、第1給気口部23により形成される気流の回転方向は、エアカーテンにより形成される気流の回転方向とは反対方向になる。具体的には、第1給気口部23により形成される気流は、天井52付近をほぼ水平に流れる。これにより、天井52付近で発生する気流は、ショーケース1に近づく方向に流れた後、下方から上方に流れ、その後、ショーケース1から離れる方向に水平に流れる。一方で、エアカーテンにより形成される流れは、ショーケース1に近づく方向に流れた後、上方から下方に流れ、その後、ショーケース1から離れる方向に流れる。
【0059】
図1に示すように、第2給気口部24に送られた外気は、店舗50の内部を循環する。第2給気口部24から店舗内に送られた空気の一部は、エアカーテンによる気流に巻き込まれて店舗50の内部を循環する。
【0060】
そして、排気用ファン31が駆動することにより、店舗内の空気が排気口33を介して外部に排出される。
【0061】
図6は、比較例の店舗50と、実施形態にかかる店舗50の温度分布のシミュレーション図である。外気は、32℃、湿度70%とする。また、室内の空調の吹出し温度は20℃、ショーケース1の設定温度は4℃とする。
【0062】
実施例では、ショーケース1よりも上方において温度の高い(平均温度27℃)の空気が第1給気口部23により発生した気流により混ざっていることが分かる。また、ショーケース1付近では、天井付近の温度の高い空気がショーケース1の気流に引き込まれていないため、温度の上昇が抑制される。実施例では、ショーケース1の付近では、平均温度25℃の温度層が平均温度26℃の温度層よりも大きく形成された。一方で、比較例では、天井付近の温度の高い空気が引き込まれるため、ショーケース1付近の温度が上昇する。比較例では、ショーケース1の付近では、平均温度26℃の温度層が平均温度25℃の温度層よりも大きく形成された。また、ショーケース1内の温度は、ハッチングで示す通り設定温度内であったが、比較例よりも実施例の方が低かった。
【0063】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0064】
第1実施形態では、ショーケース1の上方に配置され、導風部22によって導かれた外気を天井52に沿って天井52付近に略水平に流すための第1給気口部23を含む。これにより、第1給気口部23により、外気が天井52に沿って天井52付近を流れるため、外気がエアカーテンに巻き込まれにくくすることができる。これにより、ショーケース1内の温度が上昇することを抑制することができる。また、第1給気口部23により外気がエアカーテンに巻き込まれにくくすることができるため、外部の空気を冷却するための全熱交換器を設ける必要がないとともに、全熱交換器専用のダクトを設ける必要がない。これらの結果、換気システム100の構造が複雑化することを抑制しながら、ショーケース1の冷却負荷を軽減することができる。
【0065】
また、第1実施形態では、上記のように、第1給気口部23により形成される気流の回転方向が、エアカーテンにより形成される気流の回転方向とは反対方向になるように外気を天井52付近にほぼ水平に流すように構成されている。これにより、第1給気口部23により形成される気流の回転方向とエアカーテンにより形成される気流の回転方向とが逆であるため、第1給気口部23により形成される温度の高い外気と天井52付近の高温の空気とからなる気流と、エアカーテンにより形成される気流とが混ざりにくくすることを抑制することができる。
【0066】
また、第1実施形態では、上記のように、第1給気口部23は、ショーケース1の上方に配置され、外気をショーケース1から離れる方向に向かうとともに、天井52に沿った略水平の気流に調整するように構成されている。これにより、外気をショーケース1から離れる方向に向かう気流に調整することにより、天井52付近の高温の空気が、外気の気流に巻き込まれてショーケース1から離れる方向に向かうため、天井52付近の高温の空気と温度の高い外気とが、ショーケース1の近傍を流れてエアカーテンにより発生する気流に巻き込まれることを抑制することができる。
【0067】
また、第1実施形態では、上記のように、第1給気口部23は、天井52に沿った略水平の気流に調整する、ダクトまたは仕切り板23aを含む。これにより、ダクトまたは仕切り板23aにより、第1給気口部23から発生する気流の流れる方向をショーケース1から離れる方向に容易に調整することができる。
【0068】
また、第1実施形態では、上記のように、ショーケース1は、複数設けられ、導風部22は、複数のショーケース1に各々外気を分配し、天井52に沿って天井52付近に略水平に流すための分配部22aを含む。これにより、複数のショーケース1を設けた場合でも、分配部22aにより分配された外気が、天井52に沿って天井52付近を略水平に流れるため、複数のショーケース1内の温度が上昇することを抑制することができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、少なくとも外気の温度を測定する室外センサ4と、室内において少なくとも温度を測定する室内センサ5と、室内センサ5の測定に基づいて取得した、室内における温度または単位量当たりのエンタルピーを含む室内測定値が、室外センサ4の測定に基づいて取得した、室外における温度または単位量当たりのエンタルピーを含む室外測定値よりも大きい場合に、第1給気口部23から給気される外気の量を減少させる制御を行うように構成されている制御部6と、をさらに備える。ここで、室内センサ5の測定に基づいて取得した室内測定値が、室外センサ4の測定に基づいて取得した室外測定値よりも大きい場合は、外気温が室内の気温よりも低いといえる。この場合に、第1給気口部23から外気が流入すると、温度が低いため下方に流れ、エアカーテンに外気が巻き込まれてショーケース1内の温度または店舗50の内部の温度を変化させて冷却負荷が大きくなる場合がある。そのため、制御部6が、第1給気口部23から給気される外気の量を減少させる制御を行うように構成されていることにより、外気温が店舗50の内部の気温よりも低い場合にエアカーテンに外気が巻き込まれてショーケース1内の温度または店舗50の内部の温度が変化することを抑制することができる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、ショーケース1から離れた位置に配置される第2給気口部24を含み、室内センサ5の測定に基づいて取得した、室外における温度または単位量当たりのエンタルピーを含む室内測定値が、室外センサ4の測定に基づいて取得した、室外における温度または単位量当たりのエンタルピーを含む室外測定値よりも大きい場合に、第1給気口部23から給気される外気の量を減少させるとともに、第2給気口部24から給気される外気の量を増加させる制御を行うように構成されている。これにより、第1給気口部23から給気される外気の量を減少させたとしても第2給気口部24から給気される外気の量を増やすことにより、給気量を一定に保つことができるため、換気量を確保することができる。
【0071】
また、第1実施形態では、上記のように、第1給気口部23と第2給気口部24との各々に外気を導く流路において、第1給気口部23と第2給気口部24との各々に供給される外気の流量を調整する流量調整部25を含み、制御部6は、室内測定値が室外測定値よりも大きい場合に、流量調整部25により外気の流量を調整することによって、第1給気口部23から給気される外気の量を小さくするとともに、第2給気口部24から外気を室内に送風させるように構成されている。これにより、流量調整部25を調整することにより容易に第1給気口部23および第2給気口部24から各々給気される外気の量を容易に調整することができる。
【0072】
また、第1実施形態では、上記のように、室内センサ5は、水平方向においてショーケース1のエアカーテンが影響しない位置に配置され、かつ、上下方向において天井52と床との間に配置される。これにより、天井52付近の比較的温度の高い領域と、床付近の比較的温度の低い領域とを避けて室内の温度を測定することができる。また、エアカーテンの影響を受けて室内センサ5の測定値が低くなることを抑制することができる。
【0073】
また、第1実施形態では、上記のように、室内から空気を排気する排気装置3をさらに備え、制御部6は、室内を、正圧、負圧または外部と圧力が同じ均圧に保つように、給気量の制御または排気装置3の排気量の制御のうち少なくとも一方を行う。これにより、店舗50の内部が正圧の場合は、店舗50の内部から外部に空気が流れるため、外部の温度の高い空気が店舗50の内部に流入することを抑制することができる。また、店舗50の内部が負圧の場合は、外部から店舗50の内部に空気が流れるため、店舗50の内部の温度の低い空気が外部に流出することを抑制することができる。また、店舗50の内部が均圧の場合は、店舗50の内部と外部との間において空気の流れが発生しにくいため、温度の高い空気が店舗50の内部に入りにくく、店舗50の内部の冷やされた空気が外部に流出しにくくなる。これにより、店舗50の内部の温度を一定に保ちやすくなるため、冷却負荷が大きくなることを抑制することができる。
【0074】
また、第1実施形態では、上記のように、店舗50の室内に設置されているショーケース1を含み、第1給気口部23は、ショーケース1の上方に配置され、導風部22によって導かれた外気を天井52に沿って天井52付近に略水平に流すように構成されている。これにより、第1給気口部23により、外気が天井52に沿って天井52付近を流れるため、エアカーテンに外気が巻き込まれにくくすることができる。これにより、ショーケース1内の温度が上昇することを抑制することができる。
【0075】
[第2実施形態]
次に、図1および、図7図10を参照して、本発明の第2実施形態による換気システム200の構成について説明する。第2実施形態の換気システム200では、ショーケース1は、ショーケース本体1dと、部品収納部1eを含む。また、第2実施形態の換気システム200では、整流板26と、連通部27とを含むことにより、部品収納部1eの影響を受けることなく外気を水平方向に流す。なお、第1実施形態と同じ構成は、第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
【0076】
図7に示すように、ショーケース1は、ショーケース本体1dと、部品収納部1eとを含む。ショーケース本体1dは、棚1aと、吹き出し口1bと、吸込み口1cとを含む。ショーケース1は、X方向に複数並んで配置される。複数のショーケース1の各々の上面1fには部品収納部1eが配置される。X方向は、ショーケース1の左右方向であり、開口部が設けられる正面側と背面側とを結ぶY方向および上下方向であるZ方向に直交する方向である。なお、ショーケース本体1dは、特許請求の範囲に記載した「冷却装置本体」の一例である。
【0077】
図8に示すように、部品収納部1eは、ショーケース本体1dの上面1fから突出するようにショーケース本体1dの上面1fの一部に配置される。部品収納部1eは、電力変換装置または電子部品の少なくとも1つが収納される。部品収納部1eは、箱状の部材であり、内部に配置される電力変換装置または電子部品の少なくとも1つを保護するとともに、放熱体の役割も果たす。電力変換装置は、たとえば、ショーケース1内に風を送るファンのインバータである。ショーケース1の上面1fは、導風部22の底面を構成する。複数の部品収納部1eは、複数のショーケース1が並ぶ方向(X方向)に沿って互いに間隔を隔てて配置される。
【0078】
導風部22は、部品収納部1eの上面1f側に配置される上面部22bと、部品収納部1eの正面側(Y1側)に配置される正面部22cと、部品収納部1eの背面側に配置される背面部22dとを含む。導風部22は、部品収納部1eを三方(Z1側、Y1側およびY2側)から取り囲む。また、導風部22は、X1側の端部およびX2側の端部に側面部22eが設けられている。導風部22は、複数のショーケース1の上面1fに上面部22bと、正面部22cと、背面部22dと一対の側面部22eとからなる底面側が開口した箱状部材を取り付けるか、または、上面部22bと、正面部22cと、背面部22dと一対の側面部22eとを各々構成する板状部材を組み立てることにより形成される。導風部22の上面部22bには、開口部が設けられている。開口部には給気ファン21が設けられている。なお、第2実施形態では、上方に給気ファン21を配置しているが、第1実施形態のように背面側に給気ファンが設けられていてもよい。
【0079】
図7に示すように、整流板26は、導風部22の内部に配置され、部品収納部1eの上面1fを覆う。整流板26は、導風部22を部品収納部1eが配置されている下部と、下部よりも上方の上部とに導風部22を分割する。整流板26よりもZ2側が下部となり、整流板26よりもZ1側が上部である。整流板26は、第1給気口部23が外気を天井に沿った略水平の気流に流す方向であるショーケース1から離れる方向(Y1方向)およびZ方向と直交する方向であるX方向に沿って、給気ファン21から給気された外気を略水平に流す。
【0080】
図7および図8に示すように、整流板26は、X方向およびY方向に沿って延びる板状の部材である。また、整流板26は、導風部22の正面部22cと、背面部22dと、側面部22eとに接触してもよく、わずかに隙間が空いていてもよい。整流板26は、X方向およびY方向において略水平に配置される。整流板26は、部品収納部1eの側面側(X1側およびX2側)に所定の大きさの空間が形成されていれば、材質は特に限定されず、たとえば、軽量性のある断熱部材で形成してもよい。所定の大きさは、たとえば、1cm以上である。また、整流板26の側面に所定の大きさの空間が形成するのが難しい場合、整流板26と、部品収納部1eの上面との間に隙間を設けるのが好ましい。この場合、隙間の大きさは、1cm以上であればより好ましい。さらに、整流板26と、部品収納部1eの上面との間に隙間を設けるのが難しい場合は、連通部27を設けるだけでもよい。
【0081】
図8に示すように、整流板26は、ショーケース1の上面1fに配置するための脚部26aを含む。脚部26aは、上部から下部に流れてきた外気を部品収納部1eに吹き付けることができるように、Y方向およびX方向において間隔を隔てて複数配置される。脚部26aの上下方向(Z方向)の長さは、部品収納部1eの上下方向の長さ以上である。部品収納部1eの上面1f側は、温められた空気が上昇するため温度が最も高くなりやすい。そのため、部品収納部1eの上面1fに外気を吹き付ける観点から脚部26aの上下方向(Z方向)の長さは、部品収納部1eの上下方向の長さより大きいほうが好ましい。なお、図7では、脚部26aは省略している。
【0082】
連通部27は、整流板の上面側(Z1側)と、底面側(Z2側)とを連通する。いいかえると、連通部27は、整流板26により分割された、導風部22の上部と下部とを連通するように構成されている。
【0083】
図7および図9に示すように、整流板26は、複数の部品収納部1eの上面1fを各々覆うように、複数のショーケース1が並ぶ方向(X方向)に沿って互いに間隔を隔てて複数配置される。また、連通部27は、複数の整流板26の隙間により形成される。
【0084】
図7に示すように、給気ファン21から供給された外気は、導風部22の上部において整流板26に沿って、X方向に流れる。そして、図8に示すように、ショーケース1から離れる方向(Y1方向)に向かって、第1給気口部23から店舗50の天井52に沿って流れる。また、給気ファン21から供給された外気は、連通部27を介して導風部22の下部に移動し、導風部22の下部において部品収納部1eに吹き付けられ、部品収納部1eの熱を奪い冷却する。そして、部品収納部1e熱を奪った外気は、連通部27を介して上部に流れ、上部を流れる外気とともに店舗50の天井52に沿って流れる。なお、外気の温度が高い場合でも、部品収納部1eの熱を奪うことができることを本願発明者は見出している。
【0085】
図10は、整流板26有りの実施例と、整流板26無しの比較例とにおいて、風速のばらつきの評価を示す。風速のばらつきは、標準偏差σの3倍で定義した。図10に示すように、実施例では、比較例と比較して、風速ばらつき3σが3分の1程度まで減少することが分かった。つまり、実施例では、比較例と異なり、部品収納部1eに起因する気流の乱れが発生し、ばらつきが生じることを抑制することができることが分かった。また、実施例を夏期の3か月において連続運転したところ、部品収納部1eの故障が発生しなかった。このことから、部品収納部1eを冷却する能力も十分高いことが分かった。
【0086】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0087】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記のように、ショーケース1の上方に配置され、導風部22によって導かれた外気を天井52に沿って天井52付近に略水平に流すための第1給気口部23を含む。これにより、第1給気口部23により、外気が天井52に沿って天井52付近を流れるため、外気がエアカーテンに巻き込まれにくくすることができる。これにより、ショーケース1内の温度が上昇することを抑制することができる。また、第1給気口部23により外気がエアカーテンに巻き込まれにくくすることができるため、外部の空気を冷却するための全熱交換器を設ける必要がないとともに、全熱交換器専用のダクトを設ける必要がない。これらの結果、換気システム200の構造が複雑化することを抑制しながら、ショーケース1の冷却負荷を軽減することができる。
【0088】
第2実施形態では、上記のように、ショーケース1は、ショーケース本体1dと、ショーケース本体1dの上面1fから突出するようにショーケース本体1dの上面1fの一部に配置され、電力変換装置または電子部品の少なくとも1つが収納される部品収納部1eとを含み、導風部22内に配置され、部品収納部1eの上面1fを覆う整流板26と、整流板26に設けられるか、または、複数の整流板26の間に設けられ、整流板26の上面側と、底面側とを連通するための連通部27と、を備える。これにより、部品収納部1eの上面1fが整流板26によって覆われることにより、給気ファン21により供給された外気が部品収納部1eに接触することに起因して、外気の流れが妨げられることを抑制することができる。これにより、外気の流れのむらが大きくなることを抑制することができる。また、連通部27を備えることにより、整流板26の底面側に外気が流れるため、整流板26によって上面1fが覆われた部品収納部1eを外気により冷却することができる。
【0089】
第2実施形態では、上記のように、導風部22は、部品収納部1eの上面1f側に配置される上面部22bと、部品収納部1eの正面側に配置される正面部22cと、部品収納部1eの背面側に配置される背面部22dとを含むとともに、部品収納部1eを三方から取り囲むように構成され、ショーケース1の上面1fは、導風部22の底面を構成し、整流板26は、導風部22の内部に配置され、導風部22を部品収納部1eが配置されている下部と、下部よりも上方の上部とに導風部22を分割するように構成され、連通部27は、上部と下部とを連通するように構成されている。これにより、導風部22内に供給された外気を正面部22cと背面部22dと上面部22bとに沿って流すことができるため、外気の流れる方向を整流板26の延びる方向に調整することができる。また、整流板26により上部と下部とを分割することにより、上部では、部品収納部1eによる影響を受けずに外気を整流板26に沿って流すことができるとともに、下部では部品収納部1eを外気により冷却することができる。
【0090】
第2実施形態では、上記のように、整流板26は、ショーケース1の上面1fに配置するための脚部26aを含む。これにより、脚部26aにより整流板26をショーケース1の上面1fの任意の位置に配置することができるため、導風部22に予め整流板26が設けられている場合と比べて、整流板26を設ける位置と、連通部27を設ける位置とを容易に調整することできる。
【0091】
第2実施形態では、上記のように、脚部26aの上下方向の長さは、部品収納部1eの上下方向の長さよりも大きい。これにより、整流板26と、部品収納部1eの上面1fとの間に外気の流れる空間(隙間)が形成されるため、外気を流しやすくすることができるとともに温度が高くなりやすい部品収納部1eの上面1f側を冷やすことができるため、部品収納部1eを外気により冷却する効率を向上させることができる。
【0092】
第2実施形態では、上記のように、ショーケース1は、複数並んで配置されるとともに、複数のショーケース1の各々の上面1fには部品収納部1eが配置され、複数の部品収納部1eは、複数のショーケース1が並ぶ方向に沿って互いに間隔を隔てて配置され、整流板26は、複数の部品収納部1eの上面1fを各々覆うように、複数のショーケース1が並ぶ方向に沿って互いに間隔を隔てて複数配置され、連通部27は、複数の整流板26の隙間により形成される。これにより、部品収納部1eが複数配置されている場合に、複数の部品収納部1eの位置に合わせて、整流板26を配置することができる。また、複数の整流板26の間隔を隔てることにより、連通部27が形成されるため、整流板26の間隔を調整することにより、部品収納部1e側に流す外気の量を容易に調整することができる。
【0093】
また、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0094】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0095】
たとえば、第1実施形態および第2実施形態では、換気システム100(200)は、店舗50を換気するために用いられる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、換気システムは、オフィスまたは病院を含む施設を換気するために用いられてもよい。
【0096】
また、第1実施形態および第2実施形態では、ショーケース1は冷凍サイクルにより冷却される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ショーケースは、冷凍サイクル以外の方法で冷却されてもよく、たとえば、ベルチェ式を用いてもよい。
【0097】
また、第1実施形態および第2実施形態では、第1給気口部23は、天井52に沿った略水平の気流に調整する仕切り板23aを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1給気口部は、天井に沿った略水平の気流に調整するダクトを含んでいてもよい。この場合、ダクトは、天井付近に空気を流すように配置される。
【0098】
また、第1実施形態および第2実施形態では、第1給気口部23に整流器23bが配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、整流器は配置されていなくてもよい。
【0099】
また、第1実施形態および第2実施形態では、ショーケース1が複数配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ショーケース1は1つだけ配置されていてもよい。
【0100】
また、第1実施形態および第2実施形態では、給気ファン21が1つだけ配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、給気ファン21は、複数設けられていてもよい。
【0101】
また、第2実施形態では、整流板26が複数配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、整流板26は1枚だけ配置されてもよい。この場合、図11に示すように、連通部27は、スリットであってもよく、図12に示すように、連通部27は、複数の丸孔であってもよい。
【0102】
また、第2実施形態では、整流板26が脚部26aを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、整流板は、脚部を含まなくてもよい。この場合、整流板は、部品収納部の上面に直接載置されてもよい。
【0103】
また、第2実施形態では、整流板26が略水平に配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図13に示すように、整流板は、傾斜するように配置されていてもよい。たとえば、給気ファン21が、X方向およびY方向において導風部22の中心から偏心している場合に、整流板は傾斜するように配置される。図13に示すように、X1側に偏心している場合、X1側からX2側に向かって傾斜するように整流板26は配置される。このように配置することにより、外気が整流板に沿って流れる量を異ならせることができるため、圧力損失が小さくなり風量の増加が予測されるX1側に流れる外気の量を小さくし、圧力損失が大きくなると予測されるX2側に流れる空気の量を増加させることができる。
【符号の説明】
【0104】
1 ショーケース(冷却装置)
1d ショーケース本体(冷却装置本体)
1e 部品収納部
3 排気装置
4 室外センサ
5 室内センサ
6 制御部
21 給気ファン
22 導風部
22a 分配部
23 第1給気口部
23a 仕切り板
24 第2給気口部
25 流量調整部
26 整流板
27 連通部
50 店舗
52 天井
100、200 換気システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13