IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスピーティーエス テクノロジーズ リミティドの特許一覧

特開2024-7355SiC半導体におけるトレンチプロファイル角度の制御
<>
  • 特開-SiC半導体におけるトレンチプロファイル角度の制御 図1
  • 特開-SiC半導体におけるトレンチプロファイル角度の制御 図2
  • 特開-SiC半導体におけるトレンチプロファイル角度の制御 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007355
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】SiC半導体におけるトレンチプロファイル角度の制御
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095842
(22)【出願日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】2209674.7
(32)【優先日】2022-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】512221197
【氏名又は名称】エスピーティーエス テクノロジーズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アシュラフ フーマ
(72)【発明者】
【氏名】リドル ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】クルート アレックス
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA09
5F004BB13
5F004BB18
5F004CA02
5F004CA03
5F004CA04
5F004CA06
5F004DA00
5F004DA04
5F004DA13
5F004DA18
5F004DA23
5F004DA26
5F004DB19
5F004EA06
5F004EB04
(57)【要約】
【課題】炭化ケイ素半導体をプラズマエッチングして、確立されたSiF/Oエッチングプロセスと比較してエッチング速度を低下させることなくフィーチャ内のテーパの微調整を可能にするフィーチャを形成する改善された方法を提供する。
【解決手段】方法は、チャンバ内の基板支持体上にマスクが形成された基板を提供するステップであって、前記マスクは開口部を有し、前記基板は炭化ケイ素から形成されるステップと、プラズマエッチングステップを実行して、前記開口部を通して前記基板を異方性エッチングしてフィーチャを生成するステップとを備える。プラズマエッチングステップは、少なくとも1つのフッ素含有成分および塩素ガスを含むエッチャントガス混合物からプラズマを生成することを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化ケイ素半導体基板をプラズマエッチングしてフィーチャを形成する方法であって、
チャンバ内の基板支持体上にマスクが形成された基板を提供するステップであって、前記マスクは開口部を有し、前記基板は炭化ケイ素から形成されるステップと、
プラズマエッチングステップを実行して、前記開口部を通して前記基板を異方性エッチングしてフィーチャを生成するステップと、
を備え、
前記プラズマエッチングステップは、少なくとも1つのフッ素含有成分および塩素ガスを含むエッチャントガス混合物からプラズマを生成することを含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのフッ素含有成分は、SF、SiF又はこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのフッ素含有成分は、SFおよびSiFの両方を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記エッチャントガス混合物は、SiClをさらに含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記エッチャントガス混合物は、酸素含有成分をさらに含むことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記酸素含有成分は、Oガスであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのフッ素含有成分、前記塩素ガス、および存在する場合には前記SiClおよび前記酸素含有成分の各々の流量は、最大で100sccmであることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記SFの流量は30sccm~60sccmであり、および/または前記SiFの流量は20sccm~98sccmであることを特徴とする請求項2に従属する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記SiClの流量は、5sccm~95sccmであることを特徴とする請求項4に従属する請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記酸素含有成分の流量は、5sccm~95sccmであることを特徴とする請求項5に従属する請求項7~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記酸素含有成分の流量は、50sccm~80sccmであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記エッチャントガス混合物は、不活性ガス成分をさらに含むことを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記不活性ガス成分は、アルゴンであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記不活性ガス成分の流量は、500sccm以下であることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記不活性ガス成分の流量は、300sccm以上であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記プラズマエッチングステップは、プラズマに800W~2500Wの電力を供給するプラズマ源を用いて行うことを特徴とする請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
700W~1400Wの電力が、前記プラズマエッチングステップ中に前記基板支持体に印加されることを特徴とする請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記基板支持体は、10°C~30°Cの温度に維持されることを特徴とする請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記基板支持体は、約20°Cの温度に維持されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記チャンバ内の圧力は、2mTorr(0.267Pa)~20mTorr(2.67Pa)であることを特徴とする請求項1~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記チャンバを55°Cの温度に冷却することを特徴とする請求項1~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
請求項1~21のいずれかに記載の方法を用いて前記基板をプラズマエッチングしてフィーチャを形成するプラズマエッチング装置であって、
チャンバと、
基板支持体は、その上に基板を支持するために前記チャンバ内に配置される基板支持体と、
ある流量でガスまたはガス混合物をチャンバに導入するための少なくとも1つのガス入口と、
前記チャンバ内でプラズマを維持するためのプラズマ生成手段と、
前記基板支持体に電気バイアス電力を供給するための電源と、
少なくとも1つのフッ素含有成分および塩素ガスを含むエッチャントガス混合物からプラズマを生成するようにプラズマエッチング装置を動作させるように構成されたコントローラと、
を備えるプラズマエッチング装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つのガス入口は、前記少なくとも1つのフッ素含有成分を前記チャンバ内に導入するための第1のガス入口と、前記塩素ガスを前記チャンバ内に導入するための第2のガス入口とを備え、前記コントローラは、前記チャンバ内に前記少なくとも1つのフッ素含有成分および前記塩素ガスを含むエッチャントガス混合物を形成し、前記エッチャントガス混合物からプラズマを生成するように構成されることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記少なくとも1つのガス入口は、SiFを前記チャンバ内に導入するための第3のガス入口と、SiClを前記チャンバ内に導入するための第4のガス入口とを備え、前記コントローラは、前記チャンバ内に前記SiF、前記塩素ガスおよび前記SiClを含み得る少なくとも1つのフッ素含有成分を含むエッチャントガス混合物を形成し、前記エッチャントガス混合物からプラズマを生成するように構成されることを特徴とする請求項22または請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つのガス入口は、酸素含有成分を前記チャンバ内に導入するための第5のガス入口と、不活性ガス成分を前記チャンバ内に導入するための第6のガス入口とを備え、前記コントローラは、前記チャンバ内に前記少なくとも1つのフッ素含有成分、前記塩素ガス、前記酸素含有成分、及び前記不活性ガス成分を含むエッチャントガス混合物を形成するように構成され、前記エッチャントガス混合物からプラズマを生成するように構成されることを特徴とする請求項22~24のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化ケイ素半導体基板をプラズマエッチングする方法に関する。本発明はまた、プラズマエッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素(SiC)は、約2.2MV/cmの非常に高い降伏電圧をサポートすることができる広帯域ギャップ(4H-SiCでは3.28eV)半導体であり、これは、純粋なシリコンの熱伝導率の2倍を超える純粋なシリコンの降伏電圧の約7倍。SiCは、確立されたSi IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)技術を上回る熱的および周波数的利益により、電気自動車、インバータ、ならびにエネルギー貯蔵および伝送のためのバッテリ充電器などの高出力、高周波用途において広く使用されている。
【0003】
SiCデバイス、MOSFET、ショットキーダイオード、またはMEMSベースの構造を製造するために、比較的不活性なSiC材料は、マスクを用いてパターニングされる必要があり、典型的には、異方性プラズマエッチングプロセスを使用してエッチングされる。マスクは、金属、例えばNi、ITOなどの金属ベース、または誘電体SiOもしくはSiNのいずれかとすることができる。米国特許出願公開第2016/016385号に開示されるように、SiC表面のトレンチをエッチングするとき、しばしば、水平に対して85~90°の範囲の明確なテーパを生成する必要がある。図1Bに示されるように、「正の」テーパ(90°未満)は、PE-CVD、CVDまたはPVD堆積ステップなどの後続のプロセスにおいて、トレンチのコーティングおよび充填をあまり要求しないものにするだけでなく、フィーチャをSiCマトリックス中の結晶面に整列させることによって、デバイスの電気的性能にも影響を及ぼし得る。
【0004】
ドライエッチングされた炭化ケイ素トレンチは、幅1~10μm、深さ1~10μmとすることができ、プラズマエッチング後に平坦または丸みを帯びたベースを有することができる。ポストエッチングは、高温Hアニーリングプロセスの使用を通じてベースを丸めることが可能である。
【0005】
従来、ヘキサフッ化硫黄(SF)は、SiCを高いエッチング速度でプラズマエッチングするために使用される主ガスであり、600nm/分と1000nm/分の間のエッチング速度が達成可能である。典型的には、SFは、HeまたはArおよびOと組み合わされる。SiCの強力な結合を破壊するのに必要とされる高出力および低圧と、トレンチベースコーナーにおける二次トレンチの形成である「マイクロトレンチ形成」との両方により、エッチングされたトレンチの側壁プロファイルは、図1Aに示すように「リエントラント」プロファイル(すなわち、90°より大きい側壁テーパである)を有することができる。これは、従来のフッ素ベースのエッチング化学物質の使用のためのプロセスウィンドウを制約する。
【0006】
フッ素系エッチング化学の欠点を克服するために、以前の試みがなされてきた。例えば、F.A.Khan et al.,Journal of The Electrochemical Society, 149 (7) G420-G423(2002)による「Clベースのプラズマ中の炭化ケイ素の低損傷エッチング」は、SFとBClまたはHClとのエッチング混合物を使用してSiC基板中のビアをエッチングすることを試みた。しかしながら、これらのエッチング混合物で達成可能なエッチング速度は、標準的なSFエッチング化学よりも低かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/016385号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】F.A.Khan et al.,Journal of The Electrochemical Society, 149 (7) G420-G423(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、当技術分野では、炭化ケイ素半導体をプラズマエッチングして、確立されたSiF/Oエッチングプロセスと比較してエッチング速度を低下させることなくフィーチャ内のテーパの微調整を可能にするフィーチャを形成する改善された方法を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、その実施形態の少なくともいくつかにおいて、上記の問題、要望およびニーズに対処しようとするものである。
【0011】
本発明の第1の実施形態によれば、炭化ケイ素半導体基板をプラズマエッチングしてフィーチャを形成する方法は、チャンバ内の基板支持体上にマスクが形成された基板を提供するステップであって、マスクは開口部を有し、基板は炭化ケイ素から形成されるステップと、プラズマエッチングステップを実行して、開口部を通して基板を異方性エッチングしてフィーチャを生成するステップとを含み、プラズマエッチングステップは、少なくとも1つのフッ素含有成分および塩素ガスを含むエッチャントガス混合物からプラズマを生成することを含む。
【0012】
本発明者らは、エッチャントガス混合物中の少なくとも1つのフッ素含有成分および塩素ガスの組み合わせが、エッチング速度および選択性などの他のエッチング特性を犠牲にすることなく、フィーチャのテーパの微調整を可能にすることを見出した。
【0013】
少なくとも1つのフッ素含有成分は、SF、SiFまたはそれらの組み合わせを含むことができる。エッチャントガス混合物はSiClをさらに含むことができる。
【0014】
エッチャントガス混合物は、酸素含有成分をさらに含むことができる。酸素含有成分は、O、HO、NOおよび/またはOを含むことができる。酸素含有成分はOガスとすることができる。
【0015】
少なくとも1つのフッ素含有成分、塩素ガス、および存在する場合にはSiClおよび酸素含有成分の各々の流量は、最大で100sccmであり得る。SFが存在する場合、流量は30sccm~60sccmであり得る。SiFが存在する場合、流量は20sccm~98sccmであり得る。SiClが存在する場合、流量は5sccm~95sccmであり得る。存在する場合、酸素含有成分の流量は、5sccm~95sccm、任意選択で50sccm~80sccmであり得る。
【0016】
エッチャントガス混合物は、不活性ガス成分をさらに含むことができる。不活性ガス成分は、ヘリウム(He)またはアルゴン(Ar)であり得る。不活性ガス成分はアルゴンからなることができる。存在する場合、不活性ガス成分の流量は、最大で500sccmであり得る。存在する場合、不活性ガス成分の流量は、少なくとも300sccmであり得る。
【0017】
エッチャントガス混合物は、少なくとも1つのフッ素含有成分、塩素ガス、SiCl、酸素含有成分および不活性ガス成分からなることができる。エッチングガス混合物は、SF、SiF、塩素ガス、SiCl、O、およびArからなることができる。
【0018】
プラズマエッチングステップは、フッ素含有成分を変更するために、フッ素含有成分流量および塩素含有成分流量を変更するステップを含むことができる:塩素含有成分比により、フィーチャのプロファイル角度が変化する。プラズマエッチングステップは、フッ素含有成分を変更するために、SF流量およびCl流量を設定し、SiF流量およびSiCl流量を変更するステップを含むことができる:塩素含有成分比により、フィーチャのプロファイル角度が変化する。フッ素含有成分:塩素含有成分比は、プラズマエッチングステップの持続時間中、一定に保つことができる。あるいは、フッ素含有成分:塩素含有成分比は、プラズマエッチングステップの持続時間中に変更することができる。
【0019】
プラズマエッチングステップは、プラズマに800W~2500Wの電力を供給するプラズマ源を用いて行うことができる。プラズマ源は、2200Wの電力をプラズマに供給することができる。700W~1400Wの電力を、プラズマエッチングステップ中に基板支持体に印加することができる。プラズマエッチングステップ中に基板支持体に印加される電力は、約1300Wとすることができる。二次エッチングプロセス中に基板に印加される電力は、RFバイアス電力とすることができる。
【0020】
基板支持体は、10°C~30°Cの温度に維持することができる。基板支持体は、約20°Cの温度に維持することができる。チャンバを55°Cの温度に冷却することができる。チャンバは水冷によって冷却することができる。
【0021】
チャンバ内の圧力は、2mTorr(0.267Pa)~20mTorr(2.67Pa)とすることができる。チャンバ内の圧力は、約10mTorr(1.33Pa)とすることができる。
【0022】
マスクは、無機誘電体マスクなどのハードマスクであり得る。マスクは、SiOまたはSiNなどのシリコン含有成分を含むことができる。マスクはSiOを含むことができる。
【0023】
プラズマエッチングステップで生成されるプラズマは、誘導結合プラズマとすることができる。プラズマエッチングステップは、誘導結合プラズマ(ICP)エッチング装置を用いて実行することができる。
【0024】
基板は、キャリアウェハ上に堆積されたエピタキシャル炭化ケイ素の少なくとも1つの層とすることができる。キャリアウェハは、炭化ケイ素で形成することができる。
【0025】
本発明の第2の実施形態によれば、本発明の第1の実施形態による方法を使用して基板をプラズマエッチングしてフィーチャを形成するためのプラズマエッチング装置は、チャンバと、その上に基板を支持するためにチャンバ内に配置される基板支持体と、ある流量でガスまたはガス混合物をチャンバに導入するための少なくとも1つのガス入口と、チャンバ内でプラズマを維持するためのプラズマ生成手段と、基板支持体に電気バイアス電力を供給するための電源と、少なくとも1つのフッ素含有成分および塩素ガスを含むエッチャントガス混合物からプラズマを生成するようにプラズマエッチング装置を動作させるように構成されたコントローラを備える。
【0026】
少なくとも1つのガス入口は、少なくとも1つのフッ素含有成分をチャンバに導入するための第1のガス入口と、塩素ガスをチャンバに導入するための第2のガス入口とを備えることができ、コントローラは、チャンバ内で少なくとも1つのフッ素含有成分および塩素ガスを含むエッチャントガス混合物を形成し、エッチャントガス混合物からプラズマを生成するように構成することができる。
【0027】
少なくとも1つのガス入口は、SiFをチャンバ内に導入するための第3のガス入口と、SiClをチャンバ内に導入するための第4のガス入口とを備えることができ、コントローラは、チャンバ内にSiF、塩素ガスおよびSiClを含むことができる少なくとも1つのフッ素含有成分を含むエッチャントガス混合物を形成し、エッチャントガス混合物からプラズマを生成するように構成することができる。
【0028】
少なくとも1つのガス入口は、チャンバ内に酸素含有成分を導入するための第5のガス入口と、チャンバ内に不活性ガス成分を導入するための第6のガス入口とを備えることができ、コントローラは、チャンバ内に少なくとも1つのフッ素含有成分、塩素ガス、酸素含有成分及び不活性ガス成分を含むエッチャントガス混合物を形成し、エッチャントガス混合物からプラズマを生成するように構成することができる。
【0029】
第1のガス入口~第6のガス入口の各々は、他のガス入口のうちの少なくとも1つと同じとすることができる。
【0030】
本明細書において「備える(comprising)」または「含む(including)」および同様の用語に言及するときはいつでも、本発明はまた、「からなる(consisting)」および「本質的にからなる(consisting essentially)」などのより限定的な用語を含むと理解される。
【0031】
以上、本発明を説明したが、本発明は、上記または以下の説明、図面または特許請求の範囲に記載の特徴の任意の発明的組み合わせにまで及ぶ。例えば、本発明の第1の実施形態に関連して開示された任意の特徴は、本発明の第2の実施形態の任意の特徴と組み合わせることができ、逆もまた同様である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】a)リエントラントテーパーおよびb)ポジティブテーパーを有する特徴の断面概略図である。
図2】本発明の第1の実施形態による方法を実施するのに適した本発明の第2の実施形態によるプラズマエッチング装置である。
図3】本発明の第1の実施形態による方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図2は、本発明の第1の実施形態による方法を実施するのに適した本発明の第2の実施形態によるプラズマエッチング装置20の概略図を示す。基板のプラズマエッチングは、適切なプラズマエッチング装置を使用して実行される。プラズマエッチング装置は、誘導結合プラズマ(ICP)装置とすることができる。しかしながら、エッチングは、ヘリコン、RIEまたはマイクロ波型装置などの他のプラズマエッチングシステムを使用して実行することもできる。そのようなプラズマエッチング装置内でプラズマを生成する動作は、当技術分野において周知であり、本発明の理解のために必要な場合を除き、ここでは説明しない。
【0034】
本発明の方法を実施するのに適したプラズマエッチングツールは、SPTS Technologies Limited(Newport,UK)から入手可能なOmega(商標)Synapse(商標)ICPエッチングシステムである。プラズマエッチング装置20は、典型的には、基板を支持するためのチャンバ23内に配置された、ウェハ支持体としても知られる基板支持体(またはプラテン)22を備える。バイアス電力は、インピーダンス整合ネットワーク(図示せず)および電極252を介してRF電源250によって基板に供給することができる。RF電源の動作のための典型的なRF周波数は、約380kHz~13.56MHzであり得る。プロセスガスは、1つ以上のガス入口25、26を介してチャンバ23に導入することができる。一実施形態では、少なくとも6つのガス入口26が存在し得る。しかし、図示の実施形態では、2つのガス入口25、26が設けられ、プラズマが生成されるガスは、2つのガス入口25、26を通ってチャンバ23に導入される。誘導コイルなどのプラズマ生成手段28は、当技術分野で知られているように、チャンバ23内でプラズマを生成し、維持するために使用することができる(例えば、RF電源およびインピーダンス整合ネットワークを使用する)。図示の実施形態では、プラズマ生成手段は、ハウジング29内に収容されたRF誘導コイル28である。ガスは、ポンピングポート27を介してチャンバ23から除去することができる。また、本明細書に記載のプロセスシーケンスを実行するように装置を制御するように構成されたコントローラ(図示せず)も提供される。
【0035】
本発明の第1の実施形態による例示的な方法を、図1および図3と組み合わせて説明する。例示的な方法では、炭化ケイ素(SiC)半導体基板30をエッチングしてフィーチャを形成する。例示的な方法では、フィーチャはトレンチであり、基板30は、150mmの炭化ケイ素キャリアウェハ上に堆積された層の形態のエピタキシャル炭化ケイ素である。例示的な方法では、エピタキシャル炭化ケイ素の層は約1μmの厚さである。しかしながら、本発明の第1の実施形態の方法において、他のフィーチャ(特徴)を形成することができる。他のウェハサイズ、例えば75mm~200mm、エピタキシャル炭化ケイ素および異なるキャリアウェハの他の厚さも、本発明の第1の実施形態の方法において使用することができる。以下に述べるパラメータは、150mmのSiCウェハ上のエピタキシャルSiCの1μmの厚さの層のエッチングに使用されるパラメータであるが、当技術分野で公知の方法でウェハのサイズに応じて変更することができる。基板30は、二酸化ケイ素(SiO)層または他の適切なマスク層などのパターン形成されたマスク層32を含む。マスク層32は、典型的には、エピタキシャル炭化ケイ素層よりもプラズマエッチング条件に対して耐性がある。
【0036】
第1のステップ101であって、エッチングされる基板30は、エッチングされる面を上向きにして、プラズマエッチング装置20内の基板支持体22上に位置決めされる。プラズマエッチングの前に基板30を準備するために、例えばマスク層32の開放領域から不要な材料を除去するために、プリエッチングを任意に実行することができる。
【0037】
第2のステップ102では、プラズマエッチングステップを実行してSiC基板30を選択的にエッチングし、トレンチ構造を形成する。数字34bは、図1Bに図示されるようなフィーチャを表す。プラズマエッチングステップは、マスク層32によって覆われていない基板30の領域において基板30を異方性エッチングする。プラズマエッチングステップ中に、プラテン22にバイアス電力が印加される。例えば、プラテンに印加されるバイアス電力は、約700W~約1400Wの範囲、任意選択で約1300Wとすることができる。これは、(トレンチの側壁38bよりもむしろ)トレンチ34bの基部36bが優先的にエッチングされるように、プラズマ中の種(例えば、イオン)に指向性を付与するのに役立つ。
【0038】
プラズマを生成するために使用されるエッチングガス混合物は、SF、Cl、SiF、SiCl、OおよびArガスからなる。SF、Cl、SiF、SiCl、Oの流量はそれぞれ100sccm以下である。SF流量は30sccm~60sccmとすることができ、SiF流量は20sccm~98sccmとすることができ、SiCl流量は5sccm~95sccmとすることができ、O流量は5sccm~95sccmとすることができ、任意に50sccm~80sccmとすることができる。Ar流量は、300sccm~500sccmとすることができる。
【0039】
本発明者らは、F:Cl流量比を制御することにより、結果として得られるトレンチプロファイル角度は、エッチング速度および選択性などの所望のエッチング特性を維持しながら変更することができることを見出した。エッチング速度を維持しながら、結果として生じるトレンチプロファイル角度を変更する最も効果的な手段の1つは、SFおよびClの流量を設定値に維持し、全体的なF:Cl比を変更する手段としてSiFおよびSiClの流量を変更することによるものである。最小SFおよびCl流量を維持することによって、プラズマエッチングステップのエッチング速度および選択性が維持されるが、SiFおよびSiCl流量を変更することで、結果として生じるトレンチプロファイル角度を微調整することができる。例えば、SiCl流量を低下させ、SiF流量を上昇させることで、プロファイル角度を増大させる(90°に向かって増大させる)ことができ、一方、SiCl流量を上昇させ、SiF流量を低下させることで、プロファイル角度を減少させる(90°から減少させる)ことができる。
【0040】
F:Clの比は、プラズマエッチングステップを通して一定に保つことができる。あるいはであって、F:Cl比は、プラズマエッチングステップ中に変更することができる。F:Cl比を変化させることにより、得られるトレンチのテーパを動的に変化させることができ、エッチングが進行するにつれてテーパが変化する。トレンチ角度のこの変化は、「電界バンチング」を低減することができ、電界はトレンチ内の特定の位置、例えばトレンチの角に集中しやすい。
【0041】
プラズマエッチングステップの間であって、チャンバ圧力は、約2mTorr(0.267Pa)~約20mTorr(2.67Pa)の範囲、好ましくは約10mTorr(1.33Pa)とすることができる。プラズマエッチングステップ中に、基板に印加されるバイアス電力はRFバイアス電力であり得る。RFバイアス電力のRF周波数は、約2MHz~約13.56MHzであり得る。典型的には、プラテン22の温度設定点は、約10°C~約30°C、好ましくは約20°Cであるが、チャンバ壁は、水を使用して約55°Cの温度に冷却される。約20°Cのプラテン温度および約55°Cのチャンバ壁温度が、エッチャントガス混合物中の塩素の存在のために使用される。
【0042】
プラズマエッチングステップは、トレンチ34bの形成をもたらす。トレンチ34bは、マスク32が形成される基板30の表面とほぼ平行な基部36bを含む。トレンチ34bは、マスク32が形成される基板30の表面に隣接する開口部40bをさらに含む。
【0043】
トレンチ34bは、ベース36bとトレンチ34bの開口部40bとの間に側壁38bをさらに備える。好ましくは、側壁38bは、異方性エッチングの方向に垂直な平面に対して約87°~約90°のテーパを有する。
【0044】
プラズマエッチングステップの持続時間は、当技術分野で知られている方法で、基板30の厚さおよびトレンチ34bの所望の寸法に依存する。
【0045】
結果として生じる基板30bは、図1Bに示されるように、開口部40bおよび実質的に平坦な基部36bを有する、完全に形成されたフィーチャ34bを備える。側壁38bは、所望のテーパ角に形成することができる。
【0046】
トレンチ34bは、いくつかの後処理ステップを受けることができ、例えば、マスク除去、平滑化または研磨は、最終的なフィーチャを提供する。
【実施例0047】
第1の実施形態の方法のプラズマエッチングステップのためのプロセスパラメータの例示的なセットを表1に示す。例示的なプロセスは、Omega(商標)Synapse(商標)エッチング装置において、20°Cの温度で、ソースおよびバイアスRF電源(使用される場合)を用いて、13.56MHzで動作させて行った。
【表1】
【0048】
上記パラメータで生成されたプラズマによりエッチングされたトレンチのプロファイル角は88.5°であった。表1の例示的なプロセスで使用した他のすべてのパラメータを一定に保ちながら、SiCl流量を0sccmに下げ、SiF流量を98sccmに上げる(すなわち、F:Cl比を上げる)と、プロファイル角度は88.5°から88.9°に変化した。逆に、流れを90sccmのSiClおよび20sccmのSiFに変更する(すなわち、F:Cl比を下げる)と、プロファイル角度は88.5°から87.6°に変化した。例えばエッチング速度および選択性を含む他のほとんどのエッチング特性は、これらのプロセス調整によって著しく変化しない。
【0049】
上記の例示的なプロセスパラメータを用いて形成された構造は、トレンチとしての使用に許容可能な均一で滑らかなベースおよび側壁を有していた。
【0050】
2つの異なる化学レジームを使用してエッチングされたフラットベースのトレンチ、フッ素化化学および塩素化化学の組み合わせを調査した。結果を表2に要約する。
【表2】
【0051】
フッ素化化学の例は、中程度のエッチング速度のみを有する高度に垂直なプロファイル角度を示し、デバイス製造業者の要求の低い終点に向かって均一性および選択性を有する。他方、妥当な比率のガスが使用されると仮定すると、組み合わされたフッ素化および塩素化化学反応は、標準として望ましいプロファイル角度をもたらし、したがって、他のプロセス特性を最適化する機会を提供する。表に示されるように、フッ素化および塩素化エッチング化学物質の組み合わせは、優れた均一性とともに、2つの化学物質の最高のエッチング速度および選択性を提供する。
【0052】
本発明の第1の実施形態の方法は、選択性およびエッチング速度などの他のエッチング特性を犠牲にしない微調整されたプロファイル角度を有する柔軟かつ単純なプロセスで炭化ケイ素半導体に形成される滑らかで均一なフィーチャを提供することができる。
【符号の説明】
【0053】
20 プラズマエッチング装置、22 基板支持体(プラテン)、23 チャンバ、25,26 ガス入口、27 ポンピングポート、28 RF誘導コイル。
図1
図2
図3