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特開2024-73558C-METキナーゼ阻害剤としての化合物の結晶及びその調製方法及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073558
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】C-METキナーゼ阻害剤としての化合物の結晶及びその調製方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 215/22 20060101AFI20240522BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20240522BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240522BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240522BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
C07D215/22 CSP
A61K31/47
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P11/00
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039584
(22)【出願日】2024-03-14
(62)【分割の表示】P 2020568585の分割
【原出願日】2019-03-01
(31)【優先権主張番号】201810174767.4
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】317010093
【氏名又は名称】チア タイ チオギン ファーマスーチカル グループ コーポレイテッド,リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】517197473
【氏名又は名称】アドベンチェン ラボラトリー ナンジン エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ゴン,フェン
(72)【発明者】
【氏名】フアン,ティコン
(72)【発明者】
【氏名】ザン,ハイシャン
(72)【発明者】
【氏名】ズァン,シボ
(72)【発明者】
【氏名】ザオ,ルイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,フェイ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA03
4C086AA10
4C086BC28
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA23
4C086MA28
4C086MA31
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA58
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZB26
4C086ZC02
4C086ZC20
4C086ZC41
(57)【要約】      (修正有)
【課題】薬物動態、バイオアベイラビリティ、吸湿性、安定性、溶解性、純度、調製の容易性などの少なくとも1つの局面において優れた特性を有する、c-Metキナーゼによって媒介される疾患を治療するための化合物の結晶を提供する。
【解決手段】式Iの結晶形Aを有する化合物であって、CuKα放射線による、前記結晶形AのX線粉末回折パターンにおいて、回折ピークは、13.38度、15.71度、16.47度、20.15度、20.86度、及び21.43度の2θ角度で存在する、結晶形Aを有する化合物を提供する。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの結晶形Aを有する化合物であって、
【化1】
CuKα放射線による、前記結晶形AのX線粉末回折パターンにおいて、回折ピークは、13.38度、15.71度、16.47度、20.15度、20.86度、及び21.43度の2θ角度で存在する、結晶形Aを有する化合物。
【請求項2】
式Iの結晶形Aを有する化合物であって、
【化2】
CuKα放射線による、前記結晶形AのX線粉末回折パターンにおいて、回折ピークは、9.25度、10.45度、13.38度、14.03度、15.71度、16.47度、17.20度、17.85度、18.16度、18.48度、19.80度、20.15度、20.86度、21.43度、22.53度、23.43度、及び24.87度の2θ角度で存在する、請求項1に記載の結晶形Aを有する化合物。
【請求項3】
式Iの結晶形Aを有する化合物であって、
【化3】
CuKα放射線による、前記結晶形AのX線粉末回折パターンにおいて、回折ピークは、9.25度、10.45度、12.48度、13.38度、14.03度、15.71度、16.47度、17.20度、17.85度、18.16度、18.48度、18.85度、19.80度、20.15度、20.86度、21.43度、21.79度、22.53度、23.43度、24.87度、25.47度、及び29.07度の2θ角度で存在する、請求項1に記載の結晶形Aを有する化合物。
【請求項4】
式Iの結晶形Aを有する化合物であって、
【化4】
CuKα放射線による、前記結晶形AのX線粉末回折パターンにおいて、回折ピークは、9.25度、9.64度、10.45度、11.27度、12.48度、13.38度、14.03度、15.71度、16.47度、17.20度、17.85度、18.16度、18.48度、18.85度、19.80度、20.15度、20.86度、21.43度、21.79度、22.53度、23.43度、24.25度、24.87度、25.47度、26.54度、26.76度、27.78度、29.07度、30.51度、31.99度、33.01度、34.65度、35.10度、及び36.00度の2θ角度で存在する、請求項1に記載の結晶形Aを有する化合物。
【請求項5】
式Iの結晶形Bを有する化合物であって、
【化5】
CuKα放射線による、前記結晶形BのX線粉末回折パターンにおいて、回折ピークは、7.44度、8.93度、10.44度、及び17.84度の2θ角度で存在する、結晶形Bを有する化合物。
【請求項6】
式Iの結晶形Bを有する化合物であって、
【化6】
CuKα放射線による、前記結晶形BのX線粉末回折パターンにおいて、回折ピークは、7.44度、8.93度、10.26度、10.44度、10.70度、11.17度、12.65度、12.96度、14.35度、15.49度、16.34度、17.84度、18.28度、18.73度、20.96度、21.88度、22.42度、23.03度、24.17度、25.27度、及び26.16度の2θ角度で存在する、請求項5に記載の結晶形Bを有する化合物。
【請求項7】
式Iの結晶形Bを有する化合物であって、
【化7】
CuKα放射線による、前記結晶形BのX線粉末回折パターンにおいて、回折ピークは、7.44度、8.93度、9.48度、10.26度、10.44度、10.70度、11.17度、11.85度、12.65度、12.96度、13.57度、14.35度、15.49度、15.75度、16.34度、17.84度、18.28度、18.73度、19.43度、20.02度、20.65度、20.96度、21.88度、22.42度、23.03度、24.17度、25.27度、25.99度、26.16度、及び29.24度の2θ角度で存在する、請求項5に記載の結晶形Bを有する化合物。
【請求項8】
治療有効量の式Iの結晶形Aを有する化合物を含む医薬組成物であって、
【化8】
前記式Iの化合物の前記結晶形Bは、請求項1から4に記載の式Iの化合物の結晶形Aである、医薬組成物の有効成分。
【請求項9】
治療有効量の式Iの化合物の結晶形Bを含む医薬組成物であって、
【化9】
前記式Iの化合物の前記結晶形Bは、請求項5から7に記載の式Iの化合物の結晶形Bである、医薬組成物の有効成分。
【請求項10】
c-Metキナーゼによって媒介される疾患を治療するための医薬品の製造における、請求項1から4のいずれか一項に記載の式Iの化合物の結晶形Aの使用。
【請求項11】
c-Metキナーゼによって媒介される疾患を治療するための医薬品の製造における、請求項5から7のいずれか一項に記載の式Iの化合物の結晶形Bの使用。
【請求項12】
c-Metキナーゼによって媒介される疾患が癌である、請求項10または11に記載の使用。
【請求項13】
c-Metキナーゼによって媒介される疾患が肺癌である、請求項10または11に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2018年3月2日に中国国家知的財産局に提出された中国特許出願第201810174767.4号の優先権及び利益を主張する。本出願の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、医薬品化学の分野に該当し、c-Metキナーゼ阻害剤としての化合物の結晶に関連し、特に、N-(4-((7-((1-(シクロペンチルアミノ)シクロプロピル)メトキシ)-6-メトキシ-キノリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-N-(4-フルオロフェニル)シクロプロパン-1,1-ジカルボキサミドの結晶及びその調製方法、その結晶性組成物、及びその医薬組成物、ならびに成長因子受容体(例えばc-Met)タンパク質チロシンキナーゼ活性の阻害に関連する疾患を治療するための結晶の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
キナーゼc-Metは、Met、Ron、及びSeaを含むヘテロ二量体受容体チロシンキナーゼ(RTK)のサブファミリーの典型的なメンバーである。c-Metの抗血管新生活性及び抗増殖活性は魅力的な標的となる。c-Metの内因性リガンドは肝細胞成長因子(HGF)であり、in vitroでコロニー形成を妨害する能力のため、散乱因子(SF)としても知られている。HGFは、自己リン酸化を介して受容体の活性化を誘導し、正常細胞及び新生物細胞における受容体依存性シグナル伝達の増加をもたらすことが知られている派生サイトカインである(Sonnenberg et al.,J.Cell Biol.,123:223-235,1993;Matsumato et al.,Crit.Rev.Oncog.,3:27-54,1992;Stoker et al.,Nature,327:239-242,1987)。抗HGF抗体またはHGFアンタゴニストも、腫瘍転移の阻害を示している。
【0004】
国際公開第2012/034055号では、c-Metキナーゼ阻害剤としてのN-(4-((7-((1-(シクロペンチルアミノ)シクロプロピル)メトキシ)-6-メトキシ-キノリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-N-(4-フルオロフェニル)シクロプロパン-1,1-ジカルボキサミド(以下、式Iの化合物と称する)及びその調製方法を開示している。
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2012/034055号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
薬物は、薬物動態、バイオアベイラビリティ、吸湿性、安定性、溶解性、純度、調製の容易性などの面で優れた特性を有し、製造、保管、及び配合などにおいて薬物のニーズを満たすことが一般的に期待されている。現在、改善された特性を有する式Iの化合物を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本出願は、式Iの化合物の結晶形Aを提供し、
【化2】
そのCu Kα放射線による、結晶形AのX線粉末回折パターンにおいて、回折ピークは、約13.38度、15.71度、16.47度、20.15度、20.86度、及び21.43度の2θ角度で存在する。
【0008】
別の態様では、本出願は、式Iの化合物の結晶形Bを提供し、そのCu Kα放射線による、結晶形BのX線粉末回折パターンにおいて、回折ピークは、約7.44度、8.93度、10.44度、及び17.84度の2θ角度で存在する。
【0009】
別の態様では、本出願は、式Iの化合物の結晶形Cを提供し、そのCu Kα放射線による、結晶形CのX線粉末回折パターンにおいて、回折ピークは、約7.38度、10.33度、及び17.84度の2θ角度で存在する。
【0010】
別の態様では、本出願は、式Iの化合物の結晶形Dを提供し、そのCu Kα放射線による、結晶形DのX線粉末回折パターンにおいて、回折ピークは、約7.44度、13.38度、16.43度、20.14度、20.88度、及び21.45度の2θ角度で存在する。
【0011】
別の態様では、本出願は、式Iの化合物の結晶形Eを提供し、そのCu Kα放射線による、結晶形EのX線粉末回折パターンにおいて、回折ピークは、約4.51度、6.64度、及び10.66度の2θ角度で存在する。
【0012】
さらに別の態様では、本出願は、式Iの化合物の結晶を含む結晶性組成物を提供し、式Iの化合物の結晶は、結晶性組成物の50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、または最も好ましくは95重量%以上を占め、式Iの化合物の結晶は、式Iの化合物の結晶形A、式Iの化合物の結晶形B、式Iの化合物の結晶形C、式Iの化合物の結晶形D、または式Iの化合物の結晶形E、またはこれらの混合物である。
【0013】
さらに別の態様では、本出願は、治療有効量の式Iの化合物の結晶または上記の結晶性組成物を含む医薬組成物を提供し、式Iの化合物の結晶は、式Iの化合物の結晶形A、式Iの化合物の結晶形B、式Iの化合物の結晶形C、式Iの化合物の結晶形D、または式Iの化合物の結晶形E、またはこれらの混合物である。
【0014】
さらに別の態様では、本出願は、c-Metキナーゼによって媒介される疾患を治療及び/または予防するための医薬品の製造における、式Iの化合物の結晶または上記の結晶性組成物または上記の医薬組成物の使用を提供し、式Iの化合物の結晶は、式Iの化合物の結晶形A、式Iの化合物の結晶形B、式Iの化合物の結晶形C、式Iの化合物の結晶形D、または式Iの化合物の結晶形E、またはこれらの混合物である。
【0015】
別の態様では、本出願は、c-Metキナーゼによって媒介される疾患を治療及び/または予防するための医薬品の製造における、式Iの化合物の結晶または上記の結晶性組成物または上記の医薬組成物の使用を提供し、式Iの化合物の結晶は、式Iの化合物の結晶形A、式Iの化合物の結晶形B、式Iの化合物の結晶形C、式Iの化合物の結晶形D、または式Iの化合物の結晶形E、またはこれらの混合物である。
【0016】
さらに別の態様では、本出願は、c-Metキナーゼによって媒介される疾患を予防及び/または治療するための、式Iの化合物の結晶または上記の結晶性組成物または上記の医薬組成物を提供し、式Iの化合物の結晶は、式Iの化合物の結晶形A、式Iの化合物の結晶形B、式Iの化合物の結晶形C、式Iの化合物の結晶形D、または式Iの化合物の結晶形E、またはこれらの混合物である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1で調製した式Iの化合物の結晶形AのXRPDパターンを示す図である。
図2】実施例1で調製した式Iの化合物の結晶形AのDSCパターンを示す図である。
図3】実施例1で調製した式Iの化合物の結晶形Aの熱重量分析(TGA)パターンを示す図である。
図4】実施例2で調製した式Iの化合物の結晶形BのXRPDパターンを示す図である。
図5】実施例2で調製した式Iの化合物の結晶形BのDSCパターンを示す図である。
図6】実施例2で調製した式Iの化合物の結晶形Bの熱重量分析(TGA)パターンを示す図である。
図7】実施例3で調製した式Iの化合物の結晶形CのXRPDパターンを示す図である。
図8】実施例3で調製した式Iの化合物の結晶形CのDSCパターンを示す図である。
図9】実施例3で調製した式Iの化合物の結晶形Cの熱重量分析(TGA)パターンを示す図である。
図10】実施例4で調製した式Iの化合物の結晶形DのXRPDパターンを示す図である。
図11】実施例4で調製した式Iの化合物の結晶形DのDSCパターンを示す図である。
図12】実施例4で調製した式Iの化合物の結晶形Dの熱重量分析(TGA)パターンを示す図である。
図13】実施例5で調製した式Iの化合物の結晶形EのXRPDパターンを示す図である。
図14】実施例5で調製した式Iの化合物の結晶形EのDSCパターンを示す図である。
図15】実施例5で調製した式Iの化合物の結晶形Eの熱重量分析(TGA)パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本出願は、N-(4-((7-((1-(シクロペンチルアミノ)シクロプロピル)メトキシ)-6-メトキシ-キノリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-N-(4-フルオロフェニル)シクロプロパン-1,1-ジカルボキサミドの結晶(以下、式Iの化合物の結晶と称する)を提供し、これらは、薬物動態、バイオアベイラビリティ、吸湿性、安定性、溶解性、純度、調製の容易性などのうちの少なくとも1つにおいて優れた特性を有する。
【0019】
本出願の特定の実施形態によれば、本明細書で提供される式Iの化合物の結晶としては、N-(4-((7-((1-(シクロペンチルアミノ)シクロプロピル)メトキシ)-6-メトキシ-キノリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-N-(4-フルオロフェニル)シクロプロパン-1,1-ジカルボキサミドの結晶A(以下、式Iの化合物の結晶形Aと称する)、N-(4-((7-((1-(シクロペンチルアミノ)シクロプロピル)メトキシ)-6-メトキシ-キノリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-N-(4-フルオロフェニル)シクロプロパン-1,1-ジカルボキサミドの結晶B(以下、式Iの化合物の結晶形Bと称する)、N-(4-((7-((1-(シクロペンチルアミノ)シクロプロピル)メトキシ)-6-メトキシ-キノリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-N-(4-フルオロフェニル)シクロプロパン-1,1-ジカルボキサミドの結晶C(以下、式Iの化合物の結晶形Cと称する)、N-(4-((7-((1-(シクロペンチルアミノ)シクロプロピル)メトキシ)-6-メトキシ-キノリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-N-(4-フルオロフェニル)シクロプロパン-1,1-ジカルボキサミドの結晶D(以下、式Iの化合物の結晶形Dと称する)、N-(4-((7-((1-(シクロペンチルアミノ)シクロプロピル)メトキシ)-6-メトキシ-キノリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-N-(4-フルオロフェニル)シクロプロパン-1,1-ジカルボキサミドの結晶形E(以下、式Iの化合物の結晶形Eと称する)が挙げられる。
【0020】
一態様では、本開示は、式Iの化合物の結晶形Aを提供し、そのCuKα放射線によるX線粉末回折(XRPD)パターンにおいて、回折ピークは、13.38度、15.71度、16.47度、20.15度、20.86度、及び21.43度の2θ角度で存在し、好ましくは、回折ピークは、約9.25度、10.45度、13.38度、14.03度、15.71度、16.47度、17.20度、17.85度、18、.16度、18.48度、19.80度、20.15度、20.86度、21.43度、22.53度、23.43度、及び24.87度で存在し、より好ましくは,回折ピークは、約9.25度、10.45度、12.48度、13.38度、14.03度、15.71度、16.47度、17.20度、17.85度、18.16度、18.48度、18.85度、19.80度、20.15度、20.86度、21.43度、21.79度、22.53度、23.43度、24.87度、25.47度、及び29.07度で存在し、もっとも好ましくは、回折ピークは、約9.25度、9.64度、10.45度、11.27度、12.48度、13.38度、14.03度、15.71度、16.47度、17.20度、17.85度、18.16度、18.48度、18.85度、19.80度、20.15度、20.86度、21.43度、21.79度、22.53度、23.43度、24.25度、24.87度、25.47度、26.54度、26.76度、27.78度、29.07度、30.51度、31.99度、33.01度、34.65度、35.10度、及び36.00度で存在する。
【0021】
さらに、本出願におけるCuKα放射線による式Iの化合物の結晶形Aの粉末X線回折パターンにおいて、回折ピークのピーク位置及び相対強度を以下の表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
特定の実施形態において、本出願における式Iの化合物の結晶形AのXRPDパターンは、図1に示されている。
【0024】
これらに制限されないが、本出願における式Iの化合物の結晶形Aの示差走査熱量測定(DSC)では、約177.50℃に吸熱ピークを有し、具体的には、式Iの化合物の結晶形Aの示差走査熱量測定(DSC)パターンは、図2に示す。
【0025】
これらに限定されないが、本出願における式Iの化合物の結晶形Aの熱重量分析(TGA)パターンは、図3に示す。
【0026】
別の態様では、本出願は、CuKα放射線によるX線粉末回折パターンにおいて、式Iの化合物の結晶形Bを提供し、回折ピークは、約7.44度、8.93度、10.44度、及び17.84度の2θ角度で存在し、好ましくは、回折ピークは、約7.44度、8.93度、10.26度、10.44度、10.70度、11.17度、12.65度、12.96度、14.35度、15.49度、16.34度、17.84度、18.28度、18.73度、20.96度、21.88度、22.42度、23.03度、24.17度、25.27度、及び26.16度の2θ角度で存在し、及びもっとも好ましくは、回折ピークは、約7.44度、8.93度、9.48度、10.26度、10.44度、10.70度、11.17度、11.85度、12.65度、12.96度、13.57度、14.35度、15.49度、15.75度、16.34度、17.84度、18.28度、18.73度、19.43度、20.02度、20.65度、20.96度、21.88度、22.42度、23.03度、24.17度、25.27度、25.99度、26.16度、及び29.24度の2θ角度で存在する。
【0027】
さらに、本出願におけるCuKα放射線による式Iの化合物の結晶形Bの粉末X線回折パターンにおいて、回折ピークのピーク位置及び相対強度を以下の表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
特定の実施形態において、本出願における式Iの化合物の結晶形BのXRPDパターンは、図4に示されている。
【0030】
これらに制限されないが、本出願における式Iの化合物の結晶形Aの示差走査熱量測定(DSC)では、約125.70℃及び174.07℃に吸熱ピークを有し、具体的には、式Iの化合物の結晶形Bの示差走査熱量測定(DSC)パターンは、図5に示す。
【0031】
これらに限定されないが、本出願における式Iの化合物の結晶形Bの熱重量分析(TGA)パターンは、図6に示す。
【0032】
別の態様では、本出願は、CuKα放射線によるX線粉末回折パターンにおいて、式Iの化合物の結晶形Cを提供し、回折ピークは、7.38度、10.33度、及び17.84度の2θ角度で存在し、好ましくは、回折ピークは、7.38度、8.80度、10.33度、11.15度、15.30度、17.84度、18.18度、19.76度、21.03度、及び21.86度の2θ角度で存在し、及びもっとも好ましくは、回折ピークは、7.38度、8.80度、10.33度、11.15度、11.71度、12.33度、12.58度、12.88度、13.50度、14.28度、15.30度、16.04度、16.33度、16.55度、17.84度、18.18度、18.43度、19.76度、21.03度、21.86度、22.83度、25.34度、及び25.86度の2θ角度で存在する。
【0033】
さらに、本出願におけるCuKα放射線による式Iの化合物の結晶形Cの粉末X線回折パターンにおいて、回折ピークのピーク位置及び相対強度を以下の表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】
特定の実施形態において、本出願における式Iの化合物の結晶形CのXRPDパターンは、図7に示されている。
【0036】
本出願のいくつかの実施形態では、式Iの化合物の結晶形Cにおいて、式Iの化合物は、式Iの化合物のジオキサン溶媒和物形態で存在する。具体的には、式Iの化合物のジオキサン溶媒和物において、式Iの化合物対ジオキサンのモル比は、1~10:1、好ましくは2~8:1、より好ましくは2~3:1、最も好ましくは約2.33:1である。
【0037】
これらに制限されないが、本出願における式Iの化合物の結晶形Cの示差走査熱量測定(DSC)では、約174.16℃に吸熱ピークを有し、具体的には、式Iの化合物の結晶形Cの示差走査熱量測定(DSC)パターンは、図8に示す。
【0038】
これらに限定されないが、本出願における式Iの化合物の結晶形Cの熱重量分析(TGA)パターンは、図9に示す。
【0039】
さらに別の態様では、本出願は、CuKα放射線によるX線粉末回折パターンにおいて、式Iの化合物の結晶形Dを提供し、回折ピークは、7.44度、13.38度、16.43度、20.14度、20.88度、及び21.45度の2θ角度で存在し、好ましくは、回折ピークは、7.07度、7.44度、8.92度、9.23度、10.46度、13.38度、14.06度、15.76度、16.43度、17.21度、17.84度、18.17度、18.47度、19.82度、20.14度、20.88度、21.45度、21.82度、22.49度、23.44度、24.87度、25.44度、及び29.09度で存在し、もっとも好ましくは、回折ピークは、7.07度、7.44度、8.05度、8.92度、9.23度、9.64度、10.46度、11.24度、12.63度、13.38度、14.06度、15.76度、16.43度、17.21度、17.84度、18.17度、18.47度、18.77度、19.82度、20.14度、20.88度、21.45度、21.82度、22.49度、23.44度、24.26度、24.87度、25.44度、26.06度、26.48度、26.80度、29.09度、33.00度、34.64度、及び36.02度の2θ角度で存在する。
【0040】
さらに、本出願におけるCuKα放射線による式Iの化合物の結晶形Dの粉末X線回折パターンにおいて、回折ピークのピーク位置及び相対強度を以下の表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】
特定の実施形態において、本出願における式Iの化合物の結晶形DのXRPDパターンは、図10に示されている。
【0043】
これらに制限されないが、本出願における式Iの化合物の結晶形Dの示差走査熱量測定(DSC)では、約176.14℃に吸熱ピークを有し、具体的には、式Iの化合物の結晶形Dの示差走査熱量測定(DSC)パターンは、図11に示す。
【0044】
これらに限定されないが、本出願における式Iの化合物の結晶形Dの熱重量分析(TGA)パターンは、図12に示す。
【0045】
さらに別の態様では、本出願は、CuKα放射線によるX線粉末回折パターンにおいて、式Iの化合物の結晶形Dを提供し、回折ピークは、4.51度、6.64度、及び10.66度の2θ角度で存在し、好ましくは、回折ピークは、4.51度、6.64度、9.03度、9.64度、10.66度、16.69度、及び17.12度の2θ角度で存在し、より好ましくは、回折ピークは、4.51度、6.64度、9.03度、9.64度、10.66度、13.26度、13.59度、15.20度、15.85度、16.69度、17.12度、19.33度、20.49度、22.12度、及び22.50度で存在し、もっとも好ましくは、回折ピークは、4.51度、6.64度、9.03度、9.64度、10.66度、13.26度、13.59度、14.40度、15.20度、15.85度、16.69度、17.12度、17.36度、18.10度、19.33度、20.49度、21.38度、22.12度、及び22.50度の2θ角度で存在する。
【0046】
さらに、本出願におけるCuKα放射線による式Iの化合物の結晶形Eの粉末X線回折パターンにおいて、回折ピークのピーク位置及び相対強度を以下の表5に示す。
【0047】
【表5】
【0048】
特定の実施形態において、本出願における式Iの化合物の結晶形EのXRPDパターンは、図13に示されている。
【0049】
これらに制限されないが、本出願における式Iの化合物の結晶形Eの示差走査熱量測定(DSC)では、約136.34℃に吸熱ピークを有し、具体的には、式Iの化合物の結晶形Eの示差走査熱量測定(DSC)パターンは、図14に示す。
【0050】
これらに限定されないが、本出願における式Iの化合物の結晶形Eの熱重量分析(TGA)パターンは、図15に示す。
【0051】
本出願において、X線粉末回折分光法のための機器モデルは、Bruker D2 X線回折計である。条件及び方法:30kv 10mA、スリット:0.6/3/Ni/8、2θ:4-40、時間[秒]:0.1、ステップ:0.02
【0052】
本出願において、DSC分光分析のための機器モデルは、METTLER TOLEDO DSC1である。条件及び方法:温度は30~300℃の範囲で10℃/分上昇させる。
【0053】
本出願において、TGA分光分析のための機器モデルは、PerKinElmerPyris 1熱重量分析器である。条件及び方法:温度は25~700℃の範囲で20℃/分上昇させる。
【0054】
任意の所与の結晶形について、回折ピークの相対強度は、結晶学の分野において周知である結晶形などの要因によって引き起こされる優先配向のために変化し得る。優先配向の影響がある場合、ピーク強度は変化するが、結晶の回折ピーク位置が変わることはできない。さらに、任意の所与の結晶形について、結晶学の分野において周知であるが、ピークの位置にわずかな誤差があり得る。例えば、試料分析、試料移動、機器校正などの間の温度変化により、ピーク位置がずれ得、2θ値の測定誤差が約±0.2度になることもある。したがって、各結晶構造を決定する際に、この誤差を考慮に入れるべきであることは、当業者にはよく知られている。
【0055】
DSCは、結晶構造の変化または結晶融解によって熱を吸収または放出するときの結晶の転移温度を測定するものである。同じ化合物の同じ結晶形の場合、連続分析では、熱転移温度及び融点誤差は、通常約5℃以内、通常は約3℃以内である。化合物が所与のDSCピークまたは融点を有すると言う場合、これはDSCピークまたは融点±5℃を意味する。DSCは、様々な結晶形を識別するための補助的な方法となる。転移温度特性が異なることによって、異なる結晶形を識別することができる。混合物の場合、DSCのピークまたは融点がより広い範囲で変化し得ることに留意すべきである。さらに、物質の融解中に付随する分解が原因で、融解温度は、温度の上昇速度に関係する。
【0056】
別の態様では、本出願は、式Iの化合物の結晶形Aを調製するための方法を提供し、本方法は、
(1)式Iの化合物と溶媒Aとを混合して、式Iの化合物の溶液を得るステップと、
(2)固体を沈殿させるステップと、を含み、
ステップ(1)での溶媒Aは、トルエン、ブタノン、アセトニトリル、アセトニトリルと水または酢酸エチルとの混合溶媒から選択され、好ましくはトルエンである。
【0057】
本出願のいくつかの実施形態では、溶媒Aは、アセトニトリルと水との混合溶媒から選択され、混合溶媒中のアセトニトリルの体積分率は、65%~95%である。
【0058】
本出願のいくつかの実施形態では、溶媒Aの体積は、式Iの化合物1gを基準にして、1~50mL、好ましくは2~15mLである。
【0059】
本出願のいくつかの実施形態では、溶媒Aの体積は、式Iの化合物1gを基準にして、5mLである。
【0060】
本出願のいくつかの実施形態では、ステップ(1)は、混合後、0℃から溶媒系の沸点までの範囲の温度で実施され、好ましくは、ステップ(1)は、混合後、溶媒系の沸点温度で実施される。
【0061】
本出願のいくつかの実施形態では、固体は、ステップ(2)において、静置、振とう、または撹拌の状態下で沈殿され、好ましくは、ステップ(2)は、撹拌下で実施される。ステップ(2)は、室温で実施され得る。
【0062】
本出願のいくつかの実施形態では、結晶形Aを調製するための方法は、ステップ(2)で沈殿した固体を分離するステップ、例えば、濾過によって分離するステップをさらに含む。本出願のいくつかの実施形態では、本方法は、分離された固体を乾燥するステップさらに含み、乾燥温度は、60℃であり得る。
【0063】
別の態様では、本出願は、式Iの化合物の結晶形Bを調製するための方法を提供し、本方法は、
(1)式Iの化合物と溶媒Bとを混合して、式Iの化合物の溶液を得るステップと、
(2)固体を沈殿させるステップと、を含み、
ステップ(1)での溶媒Bは、メタノール、エタノール、アセトン、メタノールと水との混合溶媒、エタノールと水との混合溶媒、アセトンと水との混合溶媒、またはエタノールとブタノンとの混合溶媒から選択され、好ましくはエタノールであり;メタノールと水との混合溶媒中のメタノールの体積分率は95%であり;エタノールと水との混合溶媒中のエタノールの体積分率は65%~95%であり;アセトンと水との混合溶媒中のアセトンの体積分率は、65%~95%であり;エタノールとブタノンとの混合溶媒中のブタノンの体積分率は、30%以下である。
【0064】
本出願のいくつかの実施形態では、溶媒Bの体積は、式Iの化合物1gを基準にして、1~50mL、好ましくは5~20mLである。
【0065】
本出願のいくつかの特定の実施形態では、溶媒Bの体積は、式Iの化合物1gを基準にして、8.75mLである。
【0066】
本出願のいくつかの実施形態では、ステップ(1)は、混合後、0℃から溶媒系の沸点までの範囲の温度で実施され、好ましくは、ステップ(1)は、混合後、溶媒系の沸点温度で実施される。
【0067】
本出願のいくつかの実施形態では、固体は、ステップ(2)において、静置、振とう、または撹拌の状態下で沈殿され、好ましくは、ステップ(2)は、撹拌下で実施される。ステップ(2)は、室温で実施され得る。
【0068】
本出願のいくつかの実施形態では、結晶形Bを調製するための方法は、ステップ(2)で沈殿した固体を分離するステップ、例えば、濾過によって分離するステップをさらに含む。本出願のいくつかの実施形態では、本方法は、分離された固体を乾燥するステップさらに含み、乾燥温度は、60℃であり得、乾燥は減圧下で行われ得る。
【0069】
さらに別の態様では、本出願は、式Iの化合物の結晶形Cを調製するための方法を提供し、本方法は、
(1)式Iの化合物と溶媒Cとを混合して、式Iの化合物の溶液を得るステップと、
(2)固体を沈殿させるステップと、を含み、
ステップ(1)での溶媒Cは、ジオキサンである。
【0070】
本出願のいくつかの実施形態では、溶媒Cの体積は、式Iの化合物1gを基準にして、1~100mL、好ましくは5~20mLである。
【0071】
本出願のいくつかの特定の実施形態では、溶媒Cの体積は、式Iの化合物1gを基準にして、75.mLである。
【0072】
本出願のいくつかの実施形態では、ステップ(1)は、混合後、0℃から溶媒系の沸点までの範囲の温度で実施され、好ましくは、ステップ(1)は、混合後、溶媒系の沸点温度で実施される。
【0073】
本出願のいくつかの実施形態では、固体は、ステップ(2)において、静置、振とう、または撹拌の状態下で沈殿され、好ましくは、ステップ(2)は、撹拌下で実施される。ステップ(2)は、室温で実施され得る。
【0074】
本出願のいくつかの実施形態では、結晶形Cを調製するための方法は、ステップ(2)で沈殿した固体を分離するステップ、例えば、濾過によって分離するステップをさらに含む。本出願のいくつかの実施形態では、本方法は、分離された固体を乾燥するステップさらに含み、乾燥温度は、60℃であり得る。
【0075】
さらに別の態様では、本出願は、式Iの化合物の結晶形Dを調製するための方法を提供し、本方法は、
(1)式Iの化合物と溶媒Dとを混合して、式Iの化合物の溶液を得るステップと、
(2)固体を沈殿させるステップと、を含み、
ステップ(1)での溶媒Dは、エタノールと水との混合溶媒であり、エタノールと水との混合溶媒中のエタノールの体積分率は55%である。
【0076】
本出願のいくつかの実施形態では、溶媒Dの体積は、式Iの化合物1gを基準にして、1~50mL、好ましくは5~20mLである。
【0077】
本出願のいくつかの特定の実施形態では、溶媒Dの体積は、式Iの化合物1gを基準にして、10mLである。
【0078】
本出願のいくつかの実施形態では、ステップ(1)は、混合後、0℃から溶媒系の沸点までの範囲の温度で実施され、好ましくは、ステップ(1)は、混合後、溶媒系の沸点温度で実施される。
【0079】
本出願のいくつかの実施形態では、固体は、ステップ(2)において、静置、振とう、または撹拌の状態下で沈殿され、好ましくは、ステップ(2)は、撹拌下で実施される。ステップ(2)は、室温で実施され得る。
【0080】
本出願のいくつかの実施形態では、結晶形Dを調製するための方法は、ステップ(2)で沈殿した固体を分離するステップ、例えば、濾過によって分離するステップをさらに含む。本出願のいくつかの実施形態では、本方法は、分離された固体を乾燥するステップさらに含み、乾燥温度は、45℃であり得、乾燥は減圧下で行われ得る。
【0081】
さらに別の態様では、本出願は、式Iの化合物の結晶形Eを調製するための方法を提供し、本方法は、
(1)式Iの化合物と溶媒Eとを混合して、式Iの化合物の溶液を得るステップと、
(2)固体を沈殿させるステップと、を含み、
ステップ(1)での溶媒Eは、メタノールと水との混合溶媒であり、メタノールと水との混合溶媒中のメタノールの体積分率は75~85%である。
【0082】
本出願のいくつかの実施形態では、溶媒Eの体積は、式Iの化合物1gを基準にして、1~50mL、好ましくは5~20mLである。
【0083】
本出願のいくつかの特定の実施形態では、溶媒Eの体積は、式Iの化合物1gを基準にして、10mLである。
【0084】
本出願のいくつかの実施形態では、ステップ(1)は、混合後、0℃から溶媒系の沸点までの範囲の温度で実施され、好ましくは、ステップ(1)は、混合後、溶媒系の沸点温度で実施される。
【0085】
本出願のいくつかの実施形態では、固体は、ステップ(2)において、静置、振とう、または撹拌の状態下で沈殿され、好ましくは、ステップ(2)は、撹拌下で実施される。ステップ(2)は、室温で実施され得る。
【0086】
本出願のいくつかの実施形態では、結晶形Eを調製するための方法は、ステップ(2)で沈殿した固体を分離するステップ、例えば、濾過によって分離するステップをさらに含む。本出願のいくつかの実施形態では、本方法は、分離された固体を乾燥させるステップをさらに含む。
【0087】
さらに別の態様では、本出願は、式Iの化合物の結晶を含む結晶性組成物を提供し、式Iの化合物の結晶は、結晶性組成物の50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、または最も好ましくは95重量%以上を占め、式Iの化合物の結晶は、式Iの化合物の結晶形A、式Iの化合物の結晶形B、式Iの化合物の結晶形C、式Iの化合物の結晶形D、または式Iの化合物の結晶形E、またはこれらの混合物である。
【0088】
さらに別の態様では、本出願は、本明細書に記載の治療有効量の式Iの化合物の結晶または上記の結晶性組成物を含む医薬組成物を提供し、式Iの化合物の結晶は、式Iの化合物の結晶形A、式Iの化合物の結晶形B、式Iの化合物の結晶形C、式Iの化合物の結晶形D、または式Iの化合物の結晶形E、またはこれらの混合物である。本出願の医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤を含む場合も含まない場合もある。さらに、本出願の医薬組成物は、1つ以上の他の治療薬をさらに含み得る。
【0089】
「薬学的に許容される賦形剤」は、有効成分と一緒に投与され、有効成分の投与を容易にする不活性物質を指し、これらに限定されないが、ヒトまたは動物(例えば、家畜)で使用するためにthe State Food and Drug Administrationによって認可されている、あらゆる許容される流動促進剤、甘味料、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、調味料、界面活性剤、潤滑剤、分散剤、崩壊剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶剤または乳化剤が挙げられる。こうした賦形剤の非限定的な例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖及び様々なタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0090】
本出願の医薬組成物は、錠剤、ピル、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、乳濁液、懸濁液、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル、ミクロスフェア、エアロゾルなどの固体、半固体、液体または気体の配合物に配合できる。
【0091】
本出願の医薬組成物を投与するための典型的な経路としては、これらに限定されないが、経口、直腸、経粘膜、経腸、または局所、経皮、吸入、非経口、舌下、膣内、鼻腔内、眼内、腹腔内、筋肉内、皮下及び静脈内投与が挙げられる。好ましい投与経路は経口投与である。
【0092】
さらに別の態様では、本出願は、c-Metキナーゼによって媒介される疾患を治療及び/または予防するための医薬品の製造における、式Iの化合物の結晶または上記の結晶性組成物または上記の医薬組成物の使用を提供し、式Iの化合物の結晶は、式Iの化合物の結晶形A、式Iの化合物の結晶形B、式Iの化合物の結晶形C、式Iの化合物の結晶形D、または式Iの化合物の結晶形E、またはこれらの混合物である。
【0093】
さらに別の態様では、本出願は、c-Metキナーゼによって媒介される疾患を治療及び/または予防する場合の、式Iの化合物の結晶または上記の結晶性組成物または上記の医薬組成物の使用を提供し、式Iの化合物の結晶は、式Iの化合物の結晶形A、式Iの化合物の結晶形B、式Iの化合物の結晶形C、式Iの化合物の結晶形D、または式Iの化合物の結晶形E、またはこれらの混合物である。
【0094】
さらに別の態様では、本出願は、c-Metキナーゼによって媒介される疾患を治療するための方法を提供し、本方法は、こうした治療を必要とする哺乳動物、好ましくはヒトに、治療有効量の式Iの化合物の結晶、または上記の結晶性組成物、または上記の医薬組成物を投与することを含み、式Iの化合物の結晶は、式Iの化合物の結晶形A、式Iの化合物の結晶形B、式Iの化合物の結晶形C、式Iの化合物の結晶形D、または式Iの化合物の結晶形E、またはこれらの混合物である。
【0095】
薬物または薬理学的活性剤の場合、「治療有効量」という用語は、非毒性であり、所望の効果を達成できる十分な量の薬物または医薬品を指す。有効量の決定は、レシピエントの年齢及び全身状態、ならびに特定の活性物質に応じて、ヒトによって異なる。症例における適切な有効量は、ルーチン実験に基づいて当業者によって決定され得る。
【0096】
さらに別の態様では、本出願は、c-Metキナーゼによって媒介される疾患を予防または治療するための、式Iの化合物の結晶または上記の結晶性組成物または上記の医薬組成物を提供し、式Iの化合物の結晶は、式Iの化合物の結晶形A、式Iの化合物の結晶形B、式Iの化合物の結晶形C、式Iの化合物の結晶形D、または式Iの化合物の結晶形E、またはこれらの混合物である。
【0097】
本出願のいくつかの実施形態では、c-Metキナーゼによって媒介される上記の疾患は、肺癌などの癌である。
【0098】
本出願の技術的解決策は、図面及び実施例と組み合わせて以下に詳細に記載するが、本出願の保護範囲は、これらに限定されないが、これらを含まれる。式Iの化合物は、国際公開第2012034055号に開示されている方法を参照することによって調製される。
【実施例0099】
式Iの化合物の結晶形Aの調製
式Iの化合物20gをトルエン(100mL)に溶解し、還流し、溶解して清澄化した後、濾過し、濾液を室温で撹拌して結晶化し、濾過し、大気圧下、60℃で風乾し、結晶形Aを得た。CuKα放射線を使用したX線粉末回折パターンを図1に示し、示差走査熱量測定(DSC)パターンを図2に示し、熱重量分析(TGA)パターンを図3に示す。
【実施例0100】
式Iの化合物の結晶形Bの調製
式Iの化合物20gをエタノール(175mL)に溶解し、還流し、溶解して清澄化した後、濾過し、濾液を室温で撹拌して結晶化し、濾過し、減圧下、60℃で乾燥させ、結晶形Bを得た。CuKα放射線を使用したX線粉末回折パターンを図4に示し、示差走査熱量測定(DSC)パターンを図5に示し、熱重量分析(TGA)パターンを図6に示す。
【実施例0101】
式Iの化合物の結晶形Cの調製
式Iの化合物20gをジオキサン(150mL)に溶解し、還流し、溶解して清澄化した後、濾過し、濾液を室温で撹拌して結晶化し、濾過し、大気圧下、60℃で風乾し、結晶形Cを得た。CuKα放射線を使用したX線粉末回折パターンを図7に示し、示差走査熱量測定(DSC)パターンを図8に示し、熱重量分析(TGA)パターンを図9に示す。
【実施例0102】
式Iの化合物の結晶形Dの調製
式Iの化合物20gを55%エタノール水溶液(200mL)に溶解し、溶解して清澄化するまで還流後、濾過し、濾液を室温で撹拌して結晶化し、濾過し、減圧下、45℃で乾燥させ、結晶形Dを得た。CuKα放射線を使用したX線粉末回折パターンを図10に示し、示差走査熱量測定(DSC)パターンを図11に示し、熱重量分析(TGA)パターンを図12に示す。
【実施例0103】
式Iの化合物の結晶形Eの調製
式Iの化合物20gを85%メタノール水溶液(200mL)に溶解し、還流し、溶解して、清澄化した後、濾過し、濾液を室温で撹拌して結晶化し、濾過し、室温で10日間静置し、結晶形Eを得た。CuKα放射線を使用したX線粉末回折パターンを図13に示し、示差走査熱量測定(DSC)パターンを図14に示し、熱重量分析(TGA)パターンを図15に示す。
【実施例0104】
吸湿性試験
式Iの化合物の結晶形A、結晶形B、結晶形D及び結晶形Eを取り、それぞれ、Chinese Pharmacopoeia 2015第4版、一般第9103章の「Guidelines for Drug Moisture Test」に従って試験を実施し、吸湿性によるサンプルの重量増加を計算した。図6にその結果を示す。
【0105】
【表6】
【実施例0106】
固有溶解速度の決定
式Iの化合物の結晶形A、結晶形B、結晶形D及び結晶形Eは、それぞれ約80mgであり、高圧下(錠剤コア直径4mm、圧力150kg、維持時間2分、3回繰り返し)で直接圧縮して、錠剤とした。媒体として0.01mol/L塩酸溶液700mLを使用し、原薬の固有溶解速度を測定した。図7にその結果を示す。
【0107】
【表7】
【実施例0108】
ラットにおける薬物動態試験
1.1試験目的
SDラットに式Iの化合物の結晶形A、結晶形B、結晶形D及び結晶形Eを強制給餌した後、in vivoでの式Iの化合物の相対的バイオアベイラビリティを評価した。
【0109】
1.2試験材料
SDラット:Shanghai Cipur Bikai Laboratory Animal Co.,Ltd.から購入した。
試験サンプル:No.9強制経口投与カプセルに別々に充填された式Iの化合物の結晶形A、結晶形B、結晶形D及び結晶形E
【0110】
1.3試験方法
a)群投与
SDラット(体重180~200g)を3~5日の順応後、無作為に4つの群に分け(ラット4匹/群)、式Iの化合物の結晶形A、結晶形B、結晶形D及び結晶形Eを、それぞれ、20mg/kgの用量で胃内投与によって投与した。ラットは投与前に12時間絶食させ、投与4時間後に餌を与えた。実験の前後及び実験中、飲料水は自由であった。
【0111】
b)サンプリング
投与後、収集時点は、0.167時間(10分)、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、及び24時間であった。眼窩静脈叢から約0.3mLの血液を採取し、EDTA-K2が含まれている遠心分離管に入れた。4℃で保存した。4℃、4000rpm、1時間以内に10分間の条件で遠心分離し、-20℃で保存して試験を行う。
【0112】
試験対象の血漿サンプル50μLをピペットで取り、内部標準を含むアセトニトリル溶液300μLを加え、振とうして5分間混合し、13000rpmで10分間遠心分離し、上清30μLを取り、50%アセトニトリル水溶液150μLを加え、LC/MS/MS分析及び測定を行うために、1μLをピペットで注入した。
【0113】
a)検出方法
内部標準(IS)としてジアゼパムを用いた液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)を利用し、タンパク質沈殿法を使用して血漿から分析対象物及び内部標準を抽出し、逆相クロマトグラフィーカラムを使用して、化合物と内部標準とを分離した。分析対象物は、タンデム四重極質量分析計のエレクトロスプレーイオン化(ESI)モードによって定量化した。
【0114】
【表8】
【0115】
【表9】
【0116】
【表10】
【0117】
1.4試験結果
【表11】
図1
図2
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図15