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特開2024-73584鉄皮石斛抽出物の調製方法、鉄皮石斛抽出物誘導体の調製方法及びその適用
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  • 特開-鉄皮石斛抽出物の調製方法、鉄皮石斛抽出物誘導体の調製方法及びその適用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073584
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】鉄皮石斛抽出物の調製方法、鉄皮石斛抽出物誘導体の調製方法及びその適用
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/8984 20060101AFI20240522BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240522BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240522BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20240522BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240522BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20240522BHJP
【FI】
A61K36/8984
A61P37/02
A61P17/00
A61K8/9794
A61Q19/00
A23L33/105
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041539
(22)【出願日】2024-03-15
(62)【分割の表示】P 2022523441の分割
【原出願日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】202110247117.X
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】510029841
【氏名又は名称】中国科学院昆明▲植▼物研究所
【氏名又は名称原語表記】KUNMING INSTITUTE OF BOTANY,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】132# Lanhei Road,Kunming,Yunnan 650201 China
(71)【出願人】
【識別番号】522158605
【氏名又は名称】北京植物医生生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】胡江苗
(72)【発明者】
【氏名】楊柳
(72)【発明者】
【氏名】王雨華
(72)【発明者】
【氏名】賀鋭
(72)【発明者】
【氏名】解勇
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4B018MD61
4B018ME10
4B018ME14
4B018MF01
4C083AA111
4C083AA112
4C083CC02
4C083EE11
4C083FF01
4C088AB89
4C088BA08
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZB07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】鉄皮石斛抽出物の調製方法、鉄皮石斛抽出物誘導体の調製方法及びその適用を提供する。
【解決手段】1)鉄皮石斛の茎を乾燥させた後、粉砕、ふるいにかけて鉄皮石斛粉末を得るステップと、2)鉄皮石斛の粉末と水を混合した後、少なくとも1回の沸騰水浴を行い、鉄皮石斛の水抽出物を得るステップと、3)鉄皮石斛の水抽出物に対して遠心分離した後、真空濃縮するステップと、4)鉄皮石斛の濃縮水抽出物にエタノールを加え、沈殿させ、遠心分離し、上澄液を廃棄し、得られた沈殿物に水を加えて再構成するステップと、5)再構成液に対して脱蛋白した後、凍結乾燥するステップと、鉄皮石斛粗抽出物を水に溶解した後、そのなかにセルラーゼを加えて反応させた後、不活性化して遠心分離し、沈殿物を廃棄して鉄皮石斛抽出物の水溶液を得るステップと、6)精製して、鉄皮石斛抽出物を得るステップを含むことを特徴とする鉄皮石斛抽出物の調製方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄皮石斛抽出物の調製方法であって、
1)鉄皮石斛粉末の調製:鉄皮石斛の茎を乾燥させた後、粉砕にして、ふるいにかけて鉄皮石斛粉末を得るステップと、
2)鉄皮石斛の水抽出物の調製:前記鉄皮石斛の粉末と水を混合した後、少なくとも1回の沸騰水浴を行い、次に水抽出物を合わせて鉄皮石斛の水抽出物を得るステップと、
3)鉄皮石斛の濃縮水抽出物の調製:前記鉄皮石斛の水抽出物に対して遠心分離した後、真空濃縮して、鉄皮石斛の濃縮水抽出物を得るステップと、
4)再構成液の調製:前記鉄皮石斛の濃縮水抽出物にエタノールを加え、沈殿させ、遠心分離し、上澄液を廃棄し、得られた沈殿物に水を加えて再構成し、再構成液を得るステップと、
5)鉄皮石斛抽出物の水溶液の調製:前記再構成液に対して脱蛋白した後、凍結乾燥して鉄皮石斛粗抽出物を得るステップと、前記鉄皮石斛粗抽出物を水に溶解した後、そのなかにセルラーゼを加えて反応させた後、不活性化にして遠心分離し、沈殿物を廃棄して鉄皮石斛抽出物の水溶液を得るステップと、
6)鉄皮石斛抽出物の調製:鉄皮石斛抽出物の水溶液対して精製して、下記図2Aに示されるプロトン核磁気共鳴スペクトルと、下記図2Bに示される炭素13核磁気共鳴スペクトルを有する鉄皮石斛抽出物を得るステップを含むことを特徴とする鉄皮石斛抽出物の調製方法。
【化1】

【化2】
【請求項2】
ステップ1)で、前記乾燥処理する温度は50~60℃であり、前記乾燥処理した後の鉄皮石斛の茎の水分質量含有量は6%未満であり、前記ふるいにかけるメッシュの数量は20~40メッシュであり、
ステップ2)で、前記鉄皮石斛粉末と水を1:(50~80)g/mLの質量体積比で混合し、沸騰水浴を2~3回行い、毎回の沸騰水浴の時間は1~2h間であり、
ステップ3)は、前記遠心分離の条件は、3000~4000rpm/min、8~12min、室温であり、前記真空濃度の条件は、回転蒸発法を使用し、エタノールの回収温度は<50℃であり、圧力は0.7Pa~0.9Paであり、前記鉄皮石斛の濃縮水抽出物の物質と液体の質量体積比は1:(5~10)g/mLであり、或は
ステップ4)では、前記鉄皮石斛の濃縮水抽出物にエタノールを添加して沈殿させることは、具体的に、前記鉄皮石斛の濃縮水性抽出物に体積濃度が95%であるエタノールを、混合物のアルコール濃度が体積百分率で70~80%となるように添加し、一晩沈殿させることであり、
前記遠心分離の条件は、3500~4500rpm、18~22min、室温であり、前記再構成する時に沈殿物と水との重量体積比は1:(4~6)g/mLであり、
ステップ5)で、前記再構成液に対する脱蛋白する方法は、Savage法によって前記再構成液に対して脱蛋白し、
前記凍結乾燥温度は45℃であり、
前記鉄皮石斛粗抽出物に水を加えて溶解することは、前記鉄皮石斛粗抽出物に水を加えて4.5~5.5mg/mLになるまで溶解することであり、
前記セルラーゼの添加量は、前記鉄皮石斛粗抽出物の重量の2%~4%であり、
前記セルラーゼを添加した後、反応する反応温度は55~65℃であり、反応時間は2h~4hであり、
前記不活性化にする方法は、25~35min煮沸することによる不活性化処理であり、
前記遠心条件は3500~4500rpm、15~25min、室温であり、
前記鉄皮石斛抽出物の水溶液中の前記鉄皮石斛抽出物の含有量は80%を超え、
ステップ6)で、前記精製はG75ゲルカラムを使用して行われ、前記鉄皮石斛抽出物の純度は99.86%であることを特徴とする請求項1に記載の鉄皮石斛抽出物の調製方法。
【請求項3】
鉄皮石斛抽出物誘導体の調製方法であって、以下のステップを含む:
1)請求項1又は2に記載の鉄皮石斛抽出物の調製方法により、鉄皮石斛抽出物を取得し、
2)脂肪酸を脂肪アルコールに還元し、
3)前記脂肪アルコールと前記鉄皮石斛抽出物を、アルコールと前記鉄皮石斛抽出物のモル比は1:(8~10)であり、混合した後、触媒として臭化セチルアンモニウムにより触媒反応させ、反応温度は110~115℃であり、反応時間は2.5~3.5hであり、収率は78~82%である、反応プロセスで反応させ、前記鉄皮石斛抽出物誘導体を得ることを特徴とする鉄皮石斛抽出物誘導体の調製方法。
【請求項4】
ステップ2)で、前記脂肪酸を脂肪アルコールに還元するための反応プロセスは、9~11mmolの脂肪酸、18~22mmolのNaBH、38~42mmolのAlCl、25~29mlのTHF、2~4mlのMeOHを混合して反応させ、反応温度は95~105℃であり、反応時間は7.5~8.5hであり、収率は88~92%であることを特徴とする請求項3に記載の鉄皮石斛抽出物誘導体の調製方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の鉄皮石斛抽出物の調製方法で取得される鉄皮石斛抽出物、或は請求項3又は4に記載の鉄皮石斛抽出物誘導体の調製方法で取得される鉄皮石斛抽出物誘導体を含む抗老化或は免疫調節製品。
【請求項6】
前記抗老化或は免疫調節製品が、医薬品、食品、製剤又は化粧品である、請求項5に記載の抗老化或は免疫調節製品。
【請求項7】
前記化粧品が、フェイスクリーム、乳剤、化粧水、又はリペアクリームである、請求項6に記載の抗老化或は免疫調節製品。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の鉄皮石斛抽出物の調製方法で取得される鉄皮石斛抽出物、或は請求項3又は4に記載の鉄皮石斛抽出物誘導体の調製方法で取得される鉄皮石斛抽出物誘導体を含む、TNF-αの分泌増加剤。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の鉄皮石斛抽出物の調製方法で取得される鉄皮石斛抽出物、或は請求項3又は4に記載の鉄皮石斛抽出物誘導体の調製方法で取得される鉄皮石斛抽出物誘導体を含む、IL-6の分泌増加剤。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の鉄皮石斛抽出物の調製方法で取得される鉄皮石斛抽出物、或は請求項3又は4に記載の鉄皮石斛抽出物誘導体の調製方法で取得される鉄皮石斛抽出物誘導体を含む、コラゲナーゼ阻害剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年3月05日に中国特許庁に出願された出願番号が202110247117.×、発明名称が「鉄皮石斛オリゴ糖、鉄皮石斛オリゴ糖誘導体及びその調製方法並びに適用」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が本出願に引用によって組み込まれている。
【0002】
本発明は、天然薬化学の技術分野に関し、特に鉄皮石斛抽出物の調製方法、鉄皮石斛抽出物誘導体の調製方法及びその適用に関する。
【背景技術】
【0003】
鉄皮石斛(デンドロビウムオフィシナーレKimura Et Migo、Dendrobium officinale Kimura et Migo)はラン科(Orchidaceae)セッコク属(Dendrobium)の多年草で、各種版の薬局方に記載されており、津液を生じて胃を養い、陰を養って熱を取り除き、肺を潤して腎を益し、目を明るくし、腰を強くする等の効果があると記載されている。現代の薬理学の研究により、鉄皮石斛には抗酸化作用、血糖降下作用、免疫調節作用、抗炎症作用等の活性があることが明らかにされている。古代の文献では鉄皮石斛の茎は、肌の潤沢や糖尿症に使用できると記録されている。研究によると、鉄皮石斛には、主に多糖(polysaccharide)、スチルベン(stilbene)、フラボノイド、フラボン、リグニン等の化学成分が含まれている。
【0004】
老化は人間の成長と発育の必然的な結果であり、老化をいかに遅らせるかは、スキンケア製品分野やバイオメディカル・ヘルスの分野では究極の命題とされてきた。老化は大きく2つのカテゴリーに分けられる:生理的老化と病理的老化である。生理的老化とは、成熟期を経て起こる生理的退化過程のことであり、病理的老化とは、さまざまな外来要因(さまざまな病気を含む)によって引き起こされる老化の変化のことである。両者を区別するのは実際には困難である。そして、鉄皮石斛に抗老化効果があることが古文書に記録されていることから、鉄皮石斛に含まれる天然で環境に優しく、安全で効率的な抗老化物質が人々の注目を集める研究の焦点となっている。
【0005】
現在、多くの国内外の研究者が鉄皮石斛のさまざまな部分に対して化学成分を抽出・分離する研究を行い、多くの研究者は、主に低分子フェノール成分や分子量が10万を超える多糖類成分を得る。一部の研究者は、鉄皮石斛からビベンジル類成分を中心に20個化合物を分離し、活性スクリーニングにより鉄皮石斛の低分子フェノール類成分が抗酸化、抗炎症、抗腫瘍等の作用を有することを発現した。また、一部の研究者は、鉄皮石斛から2つの多糖類を抽出して分離し、その分子量はそれぞれ7.4×10Daと5.4×10Daである。一部の研究者は、水抽出とアルコール沈殿及び硫酸加水分解の方法を利用して鉄皮石斛から多糖類が得られ、活動スクリーニングにより、鉄皮石斛多糖類成分がマウスの末梢白血球の数に影響を与え、これは免疫調節作用があることを説明する。一部の研究者は、超音波抽出により鉄皮石斛多糖類が得られ、活性スクリーニングによりショウジョウバエのSOD、MDA、CATに効果があることを発現し、これは抗酸化作用があることを説明する。一部の研究者は、鉄皮石斛多糖類には4つの主要なホモ多糖があり、分子量は6800~1.78×10Daであることを明らかにした。前の研究作業は、低分子フェノール成分や多糖類成分の薬理活性に集中されているが、オリゴ糖に関する研究はほとんど報告されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これを考慮して、本発明は、鉄皮石斛抽出物の調製方法、鉄皮石斛抽出物誘導体の調製方法及びその適用を提供するものであり、鉄皮石斛抽出物は、抗老化効果や免疫調節効果を有し、抗老化効果や免疫調節効果を有する皮膚化粧品、健康食品、医薬品への適用が明らかにされた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記の目的を達成するために、本発明は、主に以下の技術案を提供する:
本発明は、鉄皮石斛抽出物の調製方法を提供する。
【0008】
前記鉄皮石斛抽出物は、図2Aに示されるプロトン核磁気共鳴スペクトルと、図2Bに示される炭素13核磁気共鳴スペクトルを有する。
【0009】
上記の鉄皮石斛抽出物の調製方法は、以下のステップを含む:
1)鉄皮石斛粉末の調製:鉄皮石斛の茎を乾燥させた後、粉砕にして、ふるいにかけて鉄皮石斛粉末を得るステップと、
2)鉄皮石斛の水抽出物の調製:前記鉄皮石斛の粉末と水を混合した後、少なくとも1回の沸騰水浴を行い、次に水抽出物を合わせて鉄皮石斛の水抽出物を得るステップと、
3)鉄皮石斛の濃縮水抽出物の調製:前記鉄皮石斛の水抽出物に対して遠心分離した後、真空濃縮して、鉄皮石斛の濃縮水抽出物を得るステップと、
4)再構成液の調製:前記鉄皮石斛の濃縮水抽出物にエタノールを加え、沈殿させ、遠心分離し、上澄液を廃棄し、得られた沈殿物に水を加えて再構成し、再構成液を得るステップと、
5)鉄皮石斛抽出物の水溶液の調製:前記再構成液に対して脱蛋白した後、凍結乾燥して鉄皮石斛粗抽出物を得るステップと、前記鉄皮石斛粗抽出物を水に溶解した後、そのなかにセルラーゼを加えて反応させた後、不活性化にして遠心分離し、沈殿物を廃棄して鉄皮石斛抽出物の水溶液を得るステップと、
6)鉄皮石斛抽出物の調製:鉄皮石斛抽出物の水溶液対して精製して、図2Aに示されるプロトン核磁気共鳴スペクトルと、図2Bに示される炭素13核磁気共鳴スペクトルを有する鉄皮石斛抽出物を得るステップ。
【0010】
好ましくは、上記の鉄皮石斛抽出物の調製方法は、
ステップ1)で、前記乾燥処理する温度は50~60℃であり、前記乾燥処理した後の鉄皮石斛の茎の水分質量含有量は6%未満であり、前記ふるいにかけるメッシュの数量は20~40メッシュであり、
ステップ2)で、前記鉄皮石斛粉末と水を1:(50~80)g/mLの質量体積比で混合し、沸騰水浴を2~3回行い、毎回の沸騰水浴の時間は1~2h間であり、
ステップ3)は、前記遠心分離の条件は、3000~4000rpm/min、8~12min、室温であり、前記真空濃度の条件は、回転蒸発法を使用し、エタノールの回収温度は<50℃であり、圧力は0.7Pa~0.9Paであり、前記鉄皮石斛の濃縮水抽出物の物質と液体の質量体積比は1:(5~10)g/mLであり、或は
ステップ4)では、前記鉄皮石斛の濃縮水抽出物にエタノールを添加して沈殿させることは、具体的に、前記鉄皮石斛の濃縮水性抽出物に体積濃度が95%であるエタノールを、混合物のアルコール濃度が体積百分率で70~80%となるように添加し、一晩沈殿させることであり、
前記遠心分離の条件は、3500~4500rpm、18~22min、室温であり、前記再構成する時に沈殿物と水との重量体積比は1:(4~6)g/mLであり、
ステップ5)で、前記再構成液に対する脱蛋白する方法は、Savage法によって前記再構成液に対して脱蛋白し、
前記凍結乾燥温度は45℃であり、
前記鉄皮石斛粗抽出物に水を加えて溶解することは、前記鉄皮石斛粗抽出物に水を加えて4.5~5.5mg/mLになるまで溶解することであり、
前記セルラーゼの添加量は、前記鉄皮石斛粗抽出物の重量の2%~4%であり、
前記セルラーゼを添加した後、反応する反応温度は55~65℃であり、反応時間は2h~4hであり、
前記不活性化にする方法は、25~35min煮沸することによる不活性化処理であり、
前記遠心条件は3500~4500rpm、15~25min、室温であり、
前記鉄皮石斛抽出物の水溶液中の前記鉄皮石斛抽出物の含有量は80%を超え、
ステップ6)で、前記精製はG75ゲルカラムを使用して行われ、前記鉄皮石斛抽出物の純度は99.86%である。
【0011】
本発明は、鉄皮石斛抽出物誘導体の調製方法を提供し、前記鉄皮石斛抽出物誘導体は、脂肪アルコールと前記鉄皮石斛抽出物を、反応させることで生成される。
【0012】
上記の鉄皮石斛抽出物誘導体の調製方法は、以下のステップを含む:
1)請求項1又は2に記載の鉄皮石斛抽出物の調製方法により、鉄皮石斛抽出物を取得し、
2)脂肪酸を脂肪アルコールに還元し、
3)前記脂肪アルコールと前記鉄皮石斛抽出物を、アルコールと前記鉄皮石斛抽出物のモル比は1:(8~10)であり、混合した後、触媒として臭化セチルアンモニウムにより触媒反応させ、反応温度は110~115℃であり、反応時間は2.5~3.5hであり、収率は78~82%である、反応プロセスで反応させ、前記鉄皮石斛抽出物誘導体を得る。
【0013】
好ましくは、上記の鉄皮石斛抽出物誘導体の調製方法は、
ステップ2)で、前記脂肪酸を脂肪アルコールに還元するための反応プロセスは、9~11mmolの脂肪酸、18~22mmolのNaBH、38~42mmolのAlCl、25~29mlのTHF、2~4mlのMeOHを混合して反応させ、反応温度は95~105℃であり、反応時間は7.5~8.5hであり、収率は88~92%である。
【0014】
本発明は、抗老化或は免疫調節製品の調製における上記の鉄皮石斛抽出物或は鉄皮石斛抽出物誘導体の適用を提供した。
【0015】
好ましくは、前記製品には、医薬品、食品、製剤及び化粧品が含まれる。
【0016】
好ましくは、前記化粧品の種類には、フェイスクリーム、乳剤、化粧水或はリペアクリームが含まれる。
【0017】
本発明は、TNF-αの分泌増加剤における上記の鉄皮石斛抽出物或は鉄皮石斛抽出物誘導体の適用を提供した。
【0018】
本発明は、IL-6の分泌増加剤における上記の鉄皮石斛抽出物或は鉄皮石斛抽出物誘導体の適用を提供した。
【0019】
本発明は、コラゲナーゼ阻害剤における上記の鉄皮石斛抽出物或は鉄皮石斛抽出物誘導体の適用を提供した。
【発明の効果】
【0020】
従来技術と比較して、本発明の鉄皮石斛抽出物の調製方法、鉄皮石斛抽出物誘導体の調製方法及びその適用は、少なくとも以下の有益な効果を有する:
一方で、本発明は、鉄皮石斛から純度99%以上で調製された鉄皮石斛抽出物を初めて解明し、構造に対して解釈した。
【0021】
さらに、本発明は、鉄皮石斛抽出物の抗老化活性に対して体系的な研究を初めて実施し、この研究により、鉄皮石斛抽出物は、コラゲナーゼ等をよく阻害し、強力な抗老化効果を有し、TNF-α及びIL-6に対しても一定的な活性があり、優れた免疫調節効果があることが分かった。
【0022】
もう一方では、本発明に関する鉄皮石斛抽出物の調製方法及び活性適用の方向は、鉄皮石斛に関する方向への応用に科学的な根拠を提供する。
【0023】
また、一方では、本発明によって調製された鉄皮石斛抽出物は、中間体として鉄皮石斛シリーズ製品の開発(例えば、医薬品、食品、日用品の開発などの分野において適用する)に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図3は、本発明の鉄皮石斛抽出物の構造と純度の同定HPLC-ELSD、NMR、及びMSスペクトルであり、
図1】は鉄皮石斛抽出物の純度の同定HPLC-ELSDスペクトルであり、
図2】は鉄皮石斛抽出物のH、13C-NMRスペクトルであり、その中で、図2AH-NMRスペクトルであり、図2B13C-NMRスペクトルであり、 図3~6は、鉄皮石斛抽出物の抗老化活性試験結果図であり、
図3】はDPPHフリーラジカル除去率で鉄皮石斛抽出物の抗酸化率を決定する図であり(鉄皮石斛抽出物濃度は4%、8%、11%、15%、20%)、その中で、縦軸はDPPHフリーラジカル除去率が代表する抗酸化率であり、1から5までの横軸は、それぞれが鉄皮石斛抽出物濃度4%、8%、11%、15%、20%であり、
図4】はエラスターゼ活性に対する鉄皮石斛抽出物の阻害率であり(鉄皮石斛抽出物濃度は4%、8%、11%、15%、20%)、その中で、縦軸はエラスターゼ阻害率%であり、1から5までの横軸は、それぞれが鉄皮石斛抽出物濃度4%、8%、11%、15%、20%であり、
図5】はコラゲナーゼ活性に対する鉄皮石斛抽出物の阻害率であり(鉄皮石斛抽出物濃度は0.4%、0.8%、1%、2%、4%)、その中で、縦軸はコラゲナーゼ阻害率%、1から5までの横軸は、それぞれが鉄皮石斛抽出物濃度0.4%、0.8%、1%、2%、4%であり、
図6】は、ヒアルロン酸の分泌に対する鉄皮石斛抽出物の促進活性であり(鉄皮石斛抽出物濃度は4%、8%、11%、15%、20%)、その中で、縦軸はヒアルロン酸の分泌量(ng/mL)であり、1から5までの横軸は、それぞれが鉄皮石斛抽出物濃度4%、8%、11%、15%、20%であり、
図7】は、RAW264.7細胞の免疫調節活性に対する鉄皮石斛抽出物の影響であり(鉄皮石斛抽出物濃度は3.125μg/mL、6.25μg/mL、12.5μg/mL、50μg/mL、100μg/mL、200μg/mL)、その中で、図7のAは、TNF-α分泌量に対する鉄皮石斛抽出物の影響であり、縦軸はTNF-α分泌量pg/mLであり、1から5までの横軸はブランク、リポ多糖LPS、鉄皮石斛抽出物の最終反応濃度12.5μg/mL、6.25μg/mL、3.125μg/mLであり、図7のBは、IL-6分泌量に対する鉄皮石斛抽出物の影響であり、縦軸はIL-6分泌量pg/mLであり、1から5までの横軸は、それぞれがブランク、リポ多糖LPS、鉄皮石斛抽出物の最終反応濃度200μg/mL、100μg/mL、50μg/mLである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、意図した発明目的を達成するための技術的手段及びその効果をさらに詳しく説明するために、図面及び好ましい実施例と併せて、本発明出願に基づく具体的な実施形態、構造、特徴及びその効果について詳細に説明する。以下の説明において、異なる「一実施例」或は「実施例」は、必ずしも同じ実施例を指すとは限らない。さらに、1つ或は複数の実施例における特定の特徴、構造、または特性は、任意の適切な形態で組み合わせることができる。
【0026】
本発明における「スキンケア製品」という用語は、スキンケア化粧水、スキンケア乳液、スキンケアマスク、スキンケアクリームなどを指し、本発明の実施例におけるスキンケア製品は、化粧品を指すこともある。
【0027】
本発明は、鉄皮石斛抽出物の抽出方法を提供し、以下のステップを含む:
1)鉄皮石斛粉末の調製:鉄皮石斛の茎を乾燥させた後、粉砕して、ふるいにかけて鉄皮石斛の粉末がえられ、
好ましくは、乾燥処理の温度は50~60℃であり、前記乾燥処理後の鉄皮石斛の茎の水分質量含有量は6%未満であり、前記ふるいにかけるメッシュの数量は20~40メッシュであり、
2)鉄皮石斛の水抽出物の調製:前記鉄皮石斛の粉末と水を混合した後、少なくとも1回の沸騰水浴を行い、次に水抽出物を合わせて鉄皮石斛の水抽出物が得られ、
好ましくは、前記鉄皮石斛粉末と水を1:(50~80)g/mLの質量体積比~で混合し、沸騰水浴を2~3回行い、毎回の沸騰水浴の時間は1~2h間であり、
3)鉄皮石斛の濃縮水抽出物の調製:前記鉄皮石斛の水抽出物を遠心分離した後、それに対して真空濃縮して、鉄皮石斛の濃縮水抽出物が得られ、
好ましくは、遠心分離の条件は、3000~4000rpm/min、8~12min、室温であり、真空濃縮の条件は、回転蒸発法を使用し、エタノールの回収温度は<50℃であり、圧力は0.7Pa~0.9Paであり、鉄皮石斛の濃縮水抽出物の物質と液体の質量体積比は1:(5~10)g/mLであり、
4)再構成液の調製:前記鉄皮石斛の濃縮水抽出物にエタノールを加え、沈殿させ、遠心分離し、上澄液を廃棄し、得られた沈殿物に水を加えて再構成し、再構成液が得られ、
好ましくは、前記鉄皮石斛の濃縮水抽出物に体積濃度が95%であるエタノールを、混合物のアルコール濃度が体積百分率で70~80%となるように添加し、一晩沈殿させ、遠心分離の条件は、3500~4500rpm、18~22min、室温であり、前記沈殿物と水の重量体積比は1:(4~6)g/mLであり、水を加えて再構成させ、
5)鉄皮石斛抽出物水溶液の調製:前記再構成液に対して除タンパクした後、凍結乾燥して鉄皮石斛粗抽出物が得られ、前記鉄皮石斛粗抽出物を水に溶解した後、これにセルラーゼを加えて反応させ、不活性化させて遠心分離し、沈殿物を廃棄して、鉄皮石斛抽出物水溶液が得られ、
好ましくは、Savage法によって前記再構成液に対して除タンパクし、凍結乾燥温度は45℃であり、前記鉄皮石斛粗抽出物に水を加えて4.5~5.5mg/mLになるまで溶解し、セルラーゼの添加量は、前記鉄皮石斛粗抽出物の重量の2%~4%であり、セルラーゼを添加した後、反応する反応温度は55~65℃であり、反応時間は2h~4hであり、沸騰するによって25~35min間不活性化処理し、遠心条件は3500~4500rpm、15~25min、室温であり、前記鉄皮石斛抽出物水溶液中の鉄皮石斛抽出物含有量は80%を超え、
6)鉄皮石斛抽出物の調製:鉄皮石斛抽出物水溶液に対して精製して、図2Aに示されるプロトン核磁気共鳴スペクトルと、図2Bに示される炭素13核磁気共鳴スペクトルを有する鉄皮石斛抽出物が得られ、
好ましくは、精製はG75ゲルカラムを使用して行われ、鉄皮石斛抽出物の純度は99.86%である。
【0028】
本発明は、抗老化或は免疫調節製品の調製における前記鉄皮石斛抽出物の適用を提供する。
【0029】
好ましくは、前記製品には、医薬品、食品、調剤及び化粧品が含まれ、好ましくは、前記化粧品の種類には、クリーム、乳剤、化粧水或はリペアクリームが含まれる。
【0030】
本発明は、上記の鉄皮石斛抽出物誘導体の調製方法を提供し、以下のステップを含む:
1)脂肪酸を脂肪アルコールに還元し、
好ましくは、反応プロセスは、10mmolの脂肪酸、20mmolのNaBH、40mmolのAlCl、27mLのTHF、3mLのMeOHを反応させ、反応温度は100℃であり、反応時間は8hであり、収率は90%であり、
2)還元によって得られた脂肪アルコールと鉄皮石斛抽出物を利用して化反応を行い、反応プロセスは、アルコールと糖のモル比は1:(8~10)であり、触媒は臭化セチルアンモニウムであり、反応温度は110~115℃であり、反応時間は3hであり、収率は80%である。
【0031】
本発明は、抗老化或は免疫調節製品の調製における前記鉄皮石斛抽出物誘導体の適用を提供した。
【0032】
好ましくは、前記製品には、医薬品、食品、調剤及び化粧品が含まれ、好ましくは、前記化粧品の種類には、フェイスクリーム、乳剤、化粧水或はリペアクリームが含まれる。
【0033】
本発明は前記鉄皮石斛から鉄皮石斛抽出物を分離及び精製する方法を提供し、鉄皮石斛多糖類は分子量(≧100,000)が大きく、皮膚細胞により吸収されにくいため、主に皮膚外に作用して保湿の役割を果たし、多糖類の酵素性分解により生成される鉄皮石斛抽出物は分子量が小さく、皮膚細胞により吸収されやすいので、抗老化の役割を果たし、両者の分子量の違いによって、区別的に適用することができる。
【0034】
他方では、本発明は、鉄皮石斛抽出物がHacat及びRAW264.7細胞の生存率及び生存時間を増加させられることをまた見出した。鉄皮石斛抽出物が良好な抗老化活性及び免疫調節活性を有する可能性があることを考慮して、いくつ老化の主なターゲットタンパク質(エラスターゼ、コラゲナーゼ、ヒアルロン酸)に対して活性検証を行い、その結果、鉄皮石斛抽出物はコラゲナーゼに対して強力な阻害作用を発揮し、コラーゲンの分解代謝を効果的に緩和し、皮膚の若々しい状態を維持でき、また、エラスターゼに対して一定的な阻害効果があり、同時に、一定的なヒアルロン酸の分泌を促進する活性もあることが分かった。鉄皮石斛抽出物は、TNF-α及びIL-6に対しても一定的な活性を示し、優れた免疫調節作用を示している。
【0035】
本発明は、抗老化或は免疫調節製品を提供し、前記抗老化或は免疫調節製品が、フェイスクリーム或は乳剤である。
【0036】
前記抗老化或は免疫調節製品がフェイスクリームである場合、質量百分率で前記フェイスクリームには、鉄皮石斛抽出物が豊富な鉄皮石斛原液0.4~0.6%、ステアリン酸7.5~8.5%、C16アルコール1.5~2.5%、自己乳化モノグリセリド1.5~2.5%、水素化ラノリン1.5~2.5%、液体パラフィン11~13%、グリセロール6~8%、乳化剤1~2%、防腐剤0.1~0.3%、香料0.1~0.3%、余量の水が含まれ、
質量百分率で前記乳剤には、鉄皮石斛抽出物が豊富な鉄皮石斛原液0.4~0.6%、ステアリン酸1.3~1.5%、セタノール0.08~0.12%、2-エチルアルコールセチルステアレート1.7~1.9%、ミリスチン酸イソプロピル0.1~0.3%、2-ヘキシル-1-デカノール0.9~1.1%、液体パラフィン7~8%、グリセロール2.5~3.5%、プロピレングリコール7~9%、トリエタノールアミン0.08~0.12%、カルボキシビニルポリマー0.3~0.4%、アラセル(Arlacel)165 1.5~2.5%、防腐剤0.1~0.3%、香料0.1~0.3%、余量の水が含まれる。
【0037】
本発明は、抗老化或は免疫調節製品を提供し、前記抗老化或は免疫調節製品が、化粧水である。本発明において、質量百分率で前記化粧水には、鉄皮石斛抽出物が豊富な鉄皮石斛原液1~10%、ポリアクリル酸ナトリウム0.3~0.4%、グリセロール3.5~4.5%、1,3-ブタンジオール2~3%、ビタミンB5 0.4~0.6%、アルブチン0.4~0.6%、EDTA-Na 0.04~0.06%、余量の脱イオン水が含まれる。
【0038】
本発明において、前記化粧水の調製方法は、ポリアクリル酸ナトリウムを水に溶かし、充分に膨潤するまで攪拌し、剰余成分を加えて攪拌を続け、次に、鉄皮石斛抽出物が豊富な鉄皮石斛原液を加えて攪拌した後、脱イオン水を加えて定積して、化粧水を得る。
【0039】
本発明は、抗老化或は免疫調節製品を提供し、前記抗老化或は免疫調節製品がリペアクリームである。本発明において、質量百分率で前記リペアクリームには、グリセロール5~7%、カルボマー1.4~1.6%、トリエタノールアミン1.4~1.6%、プロピレングリコール5.5~6.5%、エチル-p-ヒドロキシ安息香酸塩0.15~0.25%、鉄皮石斛抽出物が豊富な鉄皮石斛原液9~11%、精油0.4~0.6%、余量の脱イオン水が含まれる。
【0040】
本発明において、前記リペアクリームの調製方法は、カルボマーを取って適量の脱イオン水に入れ、均一に撹拌し、停止状態で一晩放置して十分に膨潤させた後、グリセロールを加え、トリエタノールアミンでpH値を調整し、ゲルマトリックスの粘度を上げて、カルボマーゲルが得られ、
鉄皮石斛抽出物が豊富な鉄皮石斛原液、プロピレングリコールと脱イオン水を混ぜた後、カルボマーゲル、精油、エチル-p-ヒドロキシ安息香酸塩を加え、均一で繊細になるまで撹拌し、十分な量の蒸留水を加え、均一に研磨して、リペアクリームを得る。
【0041】
以下、具体的な実施例によって本発明について詳細に説明する:
実施例1:
本実施例は、主に鉄皮石斛の茎から鉄皮石斛抽出物を分離及び精製し、更に構造を同定することである:
鉄皮石斛の新鮮な茎を切り取り、55℃の送風乾燥炉に入れて乾燥させ、水分を測定し、水分が6%以下になったら、粉砕して20~40メッシュの篩にかける。50gの鉄皮石斛粉末に2500mLの超純水を加え、沸騰水浴を2回、毎回2hずつ行い、水抽出物を合わせる。その後遠心分離して、鉄皮石斛水抽出物が得られ、遠心分離条件は:3000~4000rpm、10min、室温25℃である。鉄皮石斛の水抽出物に対して500mLまで真空濃縮させて鉄皮石斛の濃縮水抽出物を得る。鉄皮石斛の濃縮水抽出物に適量の95%エタノールを混合溶液のアルコール濃度が70~80%になるまで加え、一晩沈殿させてから遠心分離し、遠心分離条件は4000rpm、20min、室温25℃であり、上澄液を廃棄して沈殿物を得る。沈殿物の重量1:5(m:v)(g/mL)に従って、水を加えて再構成し、再構成液を得る。Savage法によって再構成液を除タンパクした後、凍結乾燥して鉄皮石斛粗抽出物が得られ、200mgの鉄皮石斛粗抽出物を取り、水で5mg/mLに溶解し、鉄皮石斛多糖類の重量の2%~4%に従ってセルラーゼを添加し、均一に混合し、60℃で2h~4h間反応させ、30min間煮沸して不活性化させ、遠心分離し、遠心分離条件は:4000rpm、20min、室温25℃であり、沈殿物を廃棄する。鉄皮石斛抽出物水溶液を得る(鉄皮石斛抽出物水中の鉄皮石斛抽出物の含有量は80%を超える)。適量の鉄皮石斛抽出物水溶液を取り、G75ゲルカラムを通させて、150mgの精製された鉄皮石斛抽出物(純度99.86%、分子量約1000)を得る。
【0042】
鉄皮石斛抽出物の純度を高速液体クロマトグラフィーで同定し、その結果を図1に示し、鉄皮石斛抽出物の構造をプロトン核磁気共鳴分析と炭素13核磁気共鳴分析で同定し、結果を図2に示した。
【0043】
実施例2:
DPPHフリーラジカル除去実験
1試薬:
DPPH、水溶性ビタミンE(トロロックス、Trolo×)(トロロックスは無水エタノールに溶解され、濃度は10mMであり、-20℃で保存する)、純水。
【0044】
2実験方法:
被測定薬物をDPPH(最終濃度は100M)と混合して反応させ、重複して3つのウェルを設定し、同時に薬物を含まないブランクコントロールウェルとトロロックス陽性コントロールウェルを設定し、30℃で1h後、マイクロプレートリーダーでOD値を測定し、検出波長は515nmであり、抗酸化率を算出した。
【0045】
抗酸化率(%)=(1-実験ウェルのOD515nm/ブランクウェルのOD515nm)×100%。
【0046】
3実験結果:
表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
4結論:
表1のデータに基づいて、より明確に対比できる図3を作成し、図3及び表1から、この実験では、鉄皮石斛抽出物のDPPHフリーラジカル除去能を評価したことが分かった。結果は、15%~20%の濃度で、鉄皮石斛抽出物が一定的な抗酸化率(>20%)を持っていることを示した。
【0049】
実施例3:
エラスターゼ阻害率実験
1試薬:
サンプル、陽性対照カテキン、トリス(Tris)、HCl、ブタ膵臓エラスターゼ、N-スクシニル-アラニン-アラニン-アラニン-p-ニトロアニリン、DMSO。
【0050】
2実験方法:
(1)溶液の調製
サンプル溶液の調製:1mg/mLのサンプル溶液を調製し(純水或は緩衝液で調製し、水或は緩衝液に溶解しない場合は、まずサンプルをDMSOで溶解し、次に水或は緩衝液を加えるが、DMSOの含有量は、原則として5%以下とする)。
【0051】
陽性対照溶液の調製:1mg/mLカテキン、
緩衝液を調製する:Tris-HCl緩衝液0.1M、PH=8.0、
基質溶液を秤量及び調製する:N-スクシニル-アラニン-アラニン-アラニン-p-ニトロアニリン(AAAPVN)溶液(2mM)、
調製:28.5μlのブタ膵臓エラスターゼ溶液(0.171U/mL)を取って10mLのTris-HCl緩衝液に溶解した。
【0052】
(2)96ウェルプレートに50μLサンプル+50μLブタ膵臓エラスターゼ+100μL反応基質の溶液を添加した。
【0053】
(3)室温で5min間維持した後、420nmで吸光度値を測定した。
【0054】
エラスターゼ阻害率(%)=(1-サンプルOD420nm/実験ウェルOD420nm)×100%。
【0055】
3実験結果:
表2に示す通りである。
【0056】
【表2】
【0057】
4結論:
表2のデータに基づいて、より明確に対比できる図4を作成し、図4及び表2から、本実験は、鉄皮石斛抽出物のエラスターゼ阻害率に対して評価したことが分かれる。結果は、20%の濃度で、鉄皮石斛抽出物が一定的なエラスターゼ阻害活性を持っている(>10%)ことを示した。
【0058】
実施例4:
コラゲナーゼ阻害率についての実験
1.試薬:
プロテアーゼ緩衝液、プロテアーゼ、プロテアーゼマトリックス、阻害剤(1,10-フェナントロリン、1,10-Phenanthroline )。すべての試薬は-20℃で保存される。
【0059】
2.実験方法:
(1)溶液の調製:
コラゲナーゼ反応混合物は表3に示す通りである。
【0060】
【表3】
【0061】
(2)組成物は次のように設計される:
(a)バックグラウンドブランクウェル:100μl/ウェルのプロテアーゼ緩衝液。
【0062】
(b)サンプルウェル:100μl、お互いに異なる濃度に配合できる。
【0063】
(c)陽性対照ウェル:10μlプロテアーゼ+90μlプロテアーゼ緩衝液。
【0064】
(d)阻害剤対照ウェル:10μlのプロテアーゼ+2μlの阻害剤+88μlのプロテアーゼ緩衝液は表4に示す通りである。
【0065】
【表4】
【0066】
(3)上記のグループ別に試薬を添加した後、各ウェルに100μlのコラゲナーゼ反応混合物を添加し、遮光して培養した後、345nmでOD値を測定した。
【0067】
培養時間は、被測サンプルの活性によって決められ、低活性サンプルは1~3h間培養できる。
【0068】
コラゲナーゼの阻害率(%)=(ODバックグラウンドウェル-ODサンプルウェル)/(ODバックグラウンドウェル-OD陽性対照ウェル)。
【0069】
3実験結果:
表5に示す通りである。
【0070】
【表5】
【0071】
4結論:
表5のデータに基づいて、より明確に対比できる図5を作成し、図5及び表5から、本実験では、鉄皮石斛抽出物のコラゲナーゼ阻害率に対して評価したことが分かる。結果は、鉄皮石斛抽出物が0.4%~4%の濃度で強いコラゲナーゼ阻害活性(>50%)を持っていることを示した。
【0072】
実施例5:
ヒアルロン酸分泌促進についての実験
1試薬と細胞:
ヒト不死化皮質細胞(Hacat細胞)、ヒトヒアルロン酸Elisaキット、蒸留水。
【0073】
2実験方法:
96ウェルプレートで、ウェルごとに100mLの細胞懸濁液を接種し、懸濁液の濃度は4×10個/mLである。24h間培養した後、PBSで1~2回洗浄した後、お互いに異なる濃度の被測薬物を含有する無血清培地を添加し、24h培養を続ける。薬物を含まないブランク対照とTGF-β陽性対照を設定し、1%PMSFを含むリパ(ripa)溶解物を使用して細胞に対して溶解し、遠心分離後に上澄液を取り、コラーゲンELISAキットによって提供される方法でヒアルロン酸の分泌を検出し、マイクロプレートリーダーでOD値を測定し、検出波長は450nmである。OD値を標準曲線の回帰式に代入して、ヒアルロン酸分泌の増加率を計算して得る。
【0074】
3実験結果:
表6に示す通りである。
【0075】
【表6】
【0076】
4結論:
表6のデータに基づいて、より明確に対比できる図6を作成し、図6及び表6から、本実験は、鉄皮石斛抽出物のヒアルロン酸分泌を促進する能力に対して評価することが分かれる。結果は、8%~20%の濃度で、鉄皮石斛抽出物が一定的なヒアルロン酸分泌促進活性(>0.3ng/mL)を有することを示した。
【0077】
実施例6:
鉄皮石斛抽出物の免疫調節活性についての評価
1実験用細胞と試薬:
RAW264.7細胞、TNF-α、IL-6キット、蒸留水。
【0078】
2実験方法:
対数成長されたRAW264.7細胞を取り、細胞数量に対してカウントした後、12ウェルプレートに接種した。それをインキュベーターに置き一晩経て、細胞上澄液を廃棄し、無菌操作下で異なる濃度の鉄皮石斛抽出物、リポ多糖、及び基本培地1640を与え、24h間介入する後に上澄液を収集し、使用するために-20℃で保存した。ELISAキットの説明書によってTNF-αとIL-6の分泌量の変化を検出した。OD値はマイクロプレートリーダーで測定し、検出波長は450nmである。OD値を標準曲線の回帰式に代入して、TNF-α及びIL-6分泌の増加率を計算して得る。
【0079】
3実験結果:
表7に示す通りである。
【0080】
【表7】
【0081】
4結論:
表7のデータに基づいて、より明確に対比できる図7を作成し、図7及び表7から、本実験は、鉄皮石斛抽出物のRAW264.7細胞の免疫調節活性効果を評価することが分かれる。結果は、3.125μg/mLの濃度で、RAW264.7大食細胞によるTNF-αの分泌が極めて顕著に増加し、陽性対照LPSに相当することを示し、50μg/mLの濃度で、RAW264.7大食細胞によるIL-6の分泌が極めて顕著に増加し、陽性対照LPSに相当することを示す。
【0082】
実施例7:鉄皮石斛抽出物誘導体の調製
1実験試薬:
鉄皮石斛抽出物、脂肪酸、NaBH、MeOH、金属塩、AlCl、THF、触媒等。
【0083】
2実験方法と結果:
1)C6脂肪酸を脂肪アルコールに還元する:脂肪酸10mmol、NaBH20mmol、AlCl40mmol、THF27mL、MeOH3mL、反応温度:100℃、反応時間:8h、収率:90%である。
【0084】
2)反応プロセス:還元によって得られた脂肪アルコールと鉄皮石斛抽出物を利用して付加反応を行い、アルコールと糖のモル比は1:8~10であり、触媒は臭化セチルアンモニウムであり、反応温度は110~115℃であり、反応時間は3hであり、収率は80%である。
【0085】
3結論:
反応は、鉄皮石斛抽出物誘導体が調製できることを表明する。
【0086】
実施例8:
本実施例は、抗老化或は免疫調節フェイスクリームを提供し、その中で、質量百分率で、フェイスクリームには、鉄皮石斛抽出物が豊富な鉄皮石斛原液0.4~0.6%、ステアリン酸7.5~8.5%、C16アルコール1.5~2.5%、自己乳化モノグリセリド1.5~2.5%、水素化ラノリン1.5~2.5%、液体パラフィン11~13%、グリセリン6~8%、乳化剤1~2%、防腐剤0.1~0.3%、香料0.1~0.3%、余量の水が含まれる。上記組成のフェイスクリームは、化粧品の一般的な製造方法によって製造される。
【0087】
実施例9:
本実施例は、抗老化或は免疫調節乳剤を提供し、その中で、質量百分率で、乳液には、鉄皮石斛抽出物が豊富な鉄皮石斛原液0.4~0.6%、ステアリン酸1.3~1.5%、セタノール0.08~0.12%、2-エチルアルコールセチルステアレート1.7~1.9%、ミリスチン酸イソプロピル0.1~0.3%、2-ヘキシル-1-デカノール0.9~1.1%、液体パラフィン7~8%、グリセロール2.5~3.5%、プロピレングリコール7~9%、トリエタノールアミン0.08~0.12%、カルボキシビニルポリマー0.3~0.4%、アラセル(Arlacel)165 1.5~2.5%、防腐剤0.1~0.3%、香料0.1~0.3%、余量の水が含まれる。上記組成の乳剤は、化粧品の一般的な製造方法によって製造される。
【0088】
実施例10:
本実施例は、抗老化或は免疫調節化粧水を提供し、その中で、質量百分率で、化粧水には、鉄皮石斛抽出物が豊富な鉄皮石斛原液1~10%、ポリアクリル酸ナトリウム0.3~0.4%、グリセロール3.5~4.5%、1,3-ブタンジオール2~3%、ビタミンB5 0.4~0.6%、アルブチン0.4~0.6%、EDTA-Na 0.04~0.06%、余量の脱イオン水が含まれる。化粧水の調製方法は、ポリアクリル酸ナトリウムを水に溶かし、十分に膨潤するまで攪拌し、残りの成分を加えて攪拌を続け、次に、鉄皮石斛抽出物が豊富な鉄皮石斛原液を加えて攪拌した後、脱イオン水を加えて定積して、化粧水を得る。
【0089】
好ましい技術案は:0.35gのポリアクリル酸ナトリウムを70mLの水に溶解し、攪拌し、充分に膨潤させることである。組成中の剰余成分を撹拌しながらゆっくり加え、次に、本発明の実施例1で調製された鉄皮石斛抽出物が豊富な鉄皮石斛原液を10%添加し、均一に混合するように攪拌する。脱イオン水を100mLまで加えて包装すればよい。
【0090】
実施例11:
本実施例は、抗老化或は免疫調節リペアクリームを提供し、その中で、質量百分率で、リペアクリームには、グリセロール5~7%、カルボマー1.4~1.6%、トリエタノールアミン1.4~1.6%、プロピレングリコール5.5~6.5%、エチル-p-ヒドロキシ安息香酸塩0.15~0.25%、鉄皮石斛抽出物が豊富な鉄皮石斛原液9~11%及び精油0.4~0.6%、余量の脱イオン水が含まれ、
リペアクリームの調製方法は、カルボマーを適量の脱イオン水に入れ、均一に撹拌し、停止状態で一晩放置して十分に膨潤させた後、グリセロールを加え、トリエタノールアミンでpH値を調整し、ゲルマトリックスの粘度を上げる。別に組成量の鉄皮石斛抽出物が豊富な鉄皮石斛原液、プロピレングリコール及び脱イオン水を取り、均一に混合し、次に、カルボマーゲルを加え、組成量の精油とエチル-p-ヒドロキシ安息香酸塩を加え、均一で繊細になるまで攪拌し、蒸留水を十分な量まで加え、均一に研磨して、リペアクリームを得る。
【0091】
好ましい技術案は:グリセロール6g、カルボマー1.5g、トリエタノールアミン1.5g、プロピレングリコール6g、エチル-p-ヒドロキシ安息香酸塩0.2g、本発明の実施例1によって得られた鉄皮石斛抽出物が豊富な鉄皮石斛原液10%及び適量の脱イオン水を総重量が100gになるまで加える。調製方法:カルボマーを適量の脱イオン水に入れ、均一に攪拌し、停止状態で一晩放置して十分に膨潤させた後、グリセロールを加え、トリエチルアミンでpH値を調整し、ゲルマトリックスの粘度を上げる。別に組成量のタンシノン抽出物、プロピレングリコール及び脱イオン水を取り、均一に混合する。次に、カルボマーゲルを加え、0.5%の精油、エチル-p-ヒドロキシ安息香酸塩を加え、均一で繊細になるまで攪拌し、蒸留水を十分な量まで加え、均一に研磨すればよい。
【0092】
以上のように、本発明の好ましい実施例にすぎず、いかなる形態においても本発明を限定することを意図するものではない。本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に対して行われる任意の単純な修正、同等の変更及び修正は、依然として本発明の技術案の範囲内に入れる。

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7