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特開2024-736163D印刷による薬剤オブジェクトの生産システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073616
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】3D印刷による薬剤オブジェクトの生産システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/06 20060101AFI20240522BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240522BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240522BHJP
   A61K 9/44 20060101ALI20240522BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240522BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
A61J3/06 F
A61J3/06 Q
B33Y30/00
B33Y10/00
A61K9/44
A61K9/48
A61K9/16
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024043614
(22)【出願日】2024-03-19
(62)【分割の表示】P 2023065765の分割
【原出願日】2018-05-07
(31)【優先権主張番号】20170100219
(32)【優先日】2017-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
2.Linux
3.HDMI
4.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】519400140
【氏名又は名称】ファーマプリント エル・エル・シー
【氏名又は名称原語表記】Pharmaprint LLC
【住所又は居所原語表記】Sihleggstrasse 23, 8832 Wollerau, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アキレフス フレイデリコス
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティノス テオドソポウロス
(72)【発明者】
【氏名】アーネ-パトリク ハインツェ
【テーマコード(参考)】
4C047
4C076
【Fターム(参考)】
4C047LL09
4C047LL11
4C047LL20
4C076AA31
4C076AA46
4C076AA59
4C076BB01
4C076FF53
4C076FF70
(57)【要約】      (修正有)
【課題】3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルなどの薬剤オブジェクト生産するためのシステムに関する。
【解決手段】本システムは、1以上の方向に移動可能な機械システムと、機械システムによって移動可能なノズルを有する少なくとも1つの印刷ヘッドと、印刷ヘッドによって適用された調合された混合物を受け取るための印刷ベースを搭載するベースシステムとを有する3D印刷機を備える。本システムは、カートリッジ)を保持するための少なくとも1つのキャリア35を備えている。印刷は、ベース上の形作られた印刷位置で行われ得る。
【選択図】図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルなどの薬剤オブジェクトを生産するためのシステムであって、
1以上の方向に移動可能な機械システム(3)と、
前記機械システム(3)によって移動可能な、ノズル(37)を有する少なくとも1つの印刷ヘッド(5)と、
前記印刷ヘッド(5)によって供給された調合された混合物(27)を受け取るための印刷ベース(6)を搭載するベースシステム(4)と、を有する3D印刷機(2)を備え、
前記システムは、カートリッジ(28)を保持するための少なくとも1つのキャリア(35)を備える、3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルなどの薬剤オブジェクトを生産するためのシステム。
【請求項2】
前記システムは、前記キャリア(35)と前記印刷ヘッド(5)との間に流体接続を確立するための供給ライン(30)を備える、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記システムは、前記少なくとも1つのキャリア(35)、好ましくは複数のキャリア(35)を有するマガジンユニット(63)を備え、特に、前記マガジンユニット(63)は、前記キャリア(35)が動作を実行し得るように移動可能である、請求項1または2記載のシステム。
【請求項4】
前記マガジンユニット(63)は、アクチュエータ(64)、特にサーボモータ、空圧駆動装置、液圧駆動装置、チェーン駆動装置または磁気駆動装置を備える、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記システムは、カートリッジ(28)を排出させるために、好ましくは前記キャリア(35)に取り付けられた少なくとも1つの可動押圧ロッドを備える、請求項1から4までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、好ましくは前記キャリア(35)に接続された、カートリッジ(28)を開放するための開封装置、特に針またはキャップリムーバ、および/または、好ましくは前記キャリア(35)に接続された、カートリッジ(28)を閉じるための閉鎖装置を備える、請求項1から5までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、カートリッジ(28)上の識別マークを識別するために、好ましくは前記キャリア(35)に接続された読取りユニット(66)を備える、請求項1から6までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項8】
前記印刷ヘッド(5)が温度制御されており、特に前記印刷ヘッド(5)が、くぼみ、フィンまたは温度調節媒体を案内するためのチャネルを有する印刷ヘッド本体(38)を備える、請求項1から7までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項9】
前記印刷ヘッド(5)は、特に供給ライン(30)に接続可能なカートリッジから流体物質を受け入れるための開口を有する印刷ヘッド本体(38、42)を備える、請求項1から8までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項10】
前記印刷ヘッド(5)は、前記印刷ヘッド本体(38、42)に配置された攪拌および/または排出ツール(47)、特にウォームスクリュを備える、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記攪拌ツール(47)が少なくとも部分的に折畳み可能であり、特に前記攪拌ツール(47)が折畳み可能なヘッド(48)を備える、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記システムは、前記印刷ヘッド(5)に連結されたエネルギエミッタ(45)、特に光重合ヘッドランプまたはIRエミッタまたは液体窒素噴霧ノズルまたは圧縮空気ノズルまたは蒸気ノズルを備える、請求項1から11までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項13】
前記印刷ヘッド(5)が複数のノズル(37)を備える、請求項1から12までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項14】
前記システムは、前記印刷ヘッドおよび/またはカートリッジをクリーニングするためのクリーニングユニット(67)を備え、特に、クリーニング液リザーバ(24)および/またはクリーニング液フィルタシステム(25)に接続可能な洗浄タンク(22)および/または洗浄ポート(23)を備える、請求項1から13までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項15】
前記システムは、前記印刷ベース(6)の温度を調整するための温度制御システム(68)を備える、請求項1から14までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項16】
前記ベースシステム(4)は、温度調節媒体を案内するための空気ダクト(53)および/またはチャネル(54)を含む、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記システムは、前記薬剤オブジェクトを成形するための形作られた印刷位置(49)、特に凹状のくぼみを備える印刷ベース(6)を備える、請求項1から16までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項18】
前記システムは、特に、形作られた印刷位置(49)を有する側の反対側に配置された熱伝導体を備える印刷ベース(6)を備える、請求項1から17までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項19】
前記システムは、コーティング、特にセラミックグレーズコーティングを有する印刷ベース(6)を含む、請求項1から18までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項20】
前記ベースシステムは、特に、前記印刷ベース(6)の形作られた印刷位置(49)に接続可能な可動の取出しピン(56)またはガスノズルを備えるオブジェクトリムーバを有している、請求項1から19までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項21】
前記ベースシステム(4)は、印刷ベース(6)を受け入れるためのベースホルダ(57)を備える、請求項1から20までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項22】
前記システムは、
- 真空ポンプ(20)を有する真空システム、
- 空調システム、
- 空気フィルタ(13)、
- 換気ダクト(12)、
- 空気乾燥システム(17)および
- 活性炭フィルタ(19)のうちの少なくとも1つを有し制御された雰囲気を確立するための、特にドア(8)を有するチャンバ(7)を備える、請求項1から21までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項23】
特に請求項1から22までのいずれか1項記載のシステムを用いて、3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルなどの薬剤オブジェクトを生産する方法であって、
- 少なくとも1つの薬剤物質を少なくとも1つのカートリッジに供給するステップと、
- キャリア内に前記カートリッジを配置するステップと、
- 薬剤物質が印刷ヘッドノズルを通って印刷ヘッドから流出することができるように、カートリッジと印刷ヘッドとの間に流体接続を確立するステップと、
- 3D印刷プログラムに従って印刷ヘッドノズルを移動させるステップと、
- 薬剤物質を印刷ベースに分配するステップと、を含む、3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルなどの薬剤オブジェクトを生産する方法。
【請求項24】
前記カートリッジは前記印刷ヘッドに移送され、該印刷ヘッドとともに移動する、請求項23記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つの薬剤物質の所定量が前記カートリッジから前記印刷ヘッドに投与され、該物質が前記印刷ヘッド内で攪拌され、特に複数の薬剤物質が混合される、請求項23記載の方法。
【請求項26】
それぞれが異なる薬剤物質を収容する複数のカートリッジがマガジンに配置され、該マガジンは印刷ヘッドに対して、選択されたカートリッジが前記印刷ヘッドに流体接続される位置まで移動させられ、それぞれの薬剤物質の所定量が印刷ヘッドに投与され、それによって、薬剤処方に従って薬剤混合物を調合する、請求項25記載の方法。
【請求項27】
形作られた印刷位置を有する印刷ベース(6)が印刷ベースシステム(4)に適用される、請求項23から26までのいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記印刷ヘッド(5)が印刷後にクリーニングされる、請求項23から27までのいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つのカートリッジに少なくとも1つの物質を供給するステップを含み、該物質は、脂肪塊、澱粉、小麦粉、ゼラチン、甘味料、天然フレーバ、人工フレーバおよび着色料の少なくとも1つを含む、請求項23から28までのいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
前記薬剤物質は、解熱剤、鎮痛剤、抗マラリア薬、抗生物質、消毒剤、気分安定剤、ホルモン補充剤、経口避妊薬、刺激剤、精神安定剤およびスタチンのうちの少なくとも1つを含む、請求項23から29までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3D印刷により薬剤オブジェクト(薬剤製品)を生産するためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
本発明は、特に、3D印刷された物品を作製するために層を適用、蓄積または作製することにより3Dオブジェクトを製造する技術に関し、特に、複数の錠剤、顆粒、カプセル、坐剤、インプラントおよびその他の薬剤アイテムの製造用に特別に変更されたシステムに関する。
【0003】
3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルを生産するための本発明に開示されたシステムは、先行技術には開示されていない。これまで、3D印刷は、薬剤学および医薬的なまたは非医薬的な錠剤、顆粒またはカプセルの生産の分野で広く適用されていない。
【0004】
先行技術としては国際公開第2017/034951号のみが知られており、そこには薬剤錠剤の生産のための3D印刷装置およびシステムが開示されている。その発明によれば、粉末状の混合物が移動ベルト上に適用され、混合物を統合して次の層を受け入れる準備をする結合液を噴霧する前に、錠剤の最初の層が作製される。このプロセスは何度も繰り返されて、固体であるが水によって経口的に分散可能な特に多孔性の錠剤が作製される。
【0005】
その特定の発明の主な欠点は、その一部が錠剤の調合に使用されない混合物を絶えず適用することにより行われる錠剤の製造方法であり、原料の無駄を招くことである。さらに、装置が、カプセルやコンパクトな顆粒などの他のタイプの製造を阻害する粉末ブレンドを使用して多孔性の錠剤だけを生産でき、流体原料を使用した印刷物品の可能性を提供できないことは制限要因であり、印刷プロセスは、多孔性の錠剤が形成されるまで繰返しステップで材料の層を連続的に適用することによって実行される。
【0006】
ほとんどの薬は、腸管吸収のために消化管を介してまたは口の粘膜もしくは直腸の粘膜からの血流への入込みを介して投与される。医薬の摂取は痛みがなく簡単であるため、複数の利点がある。薬の溶解は豊富な消化分泌物によって促進され、その一方で消化管にわたるpHの変化は事実上すべての薬の吸収に適した環境を提供する。さらに、消化器粘膜の高い活動性、広い表面、豊富な血液供給により吸収が大幅に促進される。吸収速度は、錠剤剤形、例えば、分解容易性、ケーシングの溶解性および/またはカプセルに収容される顆粒のサイズに応じて変化し得る。最後に、消化器系による吸収が比較的遅いため、エラーが発生した場合の早期介入が可能になる。
【0007】
消化管を介して投与される薬の生産には多くの利点があるが、顆粒、錠剤、カプセルおよび関連する医薬的または非医薬的剤形の生産は、これまで複雑で特に費用のかかるプロセスであった。新薬の研究開発、生産ユニット、医薬品の製造に使用される特殊な機械および材料のコストおよび増大した人件費は、薬の価格の大幅な上昇の原因になっている。
【0008】
さらなる欠点は、緊急事態に備えて医薬品の量を維持するためのコストが高いことである。特に遠隔でアクセスできない場所では、潜在的な緊急事態が大量の薬の保管につながり、それらはしばしば有効期限まで使用されないままになっている。
【0009】
したがって、本発明の目的は、3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルなどの薬剤オブジェクトの生産システムを提案することにより、従来技術の上述の欠点および欠陥を有利に克服することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、個々のユーザの選択で個々の印刷物を生産するために、3D印刷によって、錠剤、顆粒およびカプセルなどの薬剤オブジェクトを生産するための提案されたシステムを提供することである。
【0011】
この問題は、1以上の方向に移動可能な機械システムを有する3D印刷機を備える3D印刷により、錠剤、顆粒およびカプセルなどの薬剤オブジェクトを生産するシステムによって解決される。
【0012】
本発明の文脈において、薬剤オブジェクトは、哺乳動物の身体に投与または配置される、丸薬、錠剤、顆粒およびカプセル、坐剤、インプラントおよび他の薬剤アイテムを含むものとする。
【0013】
本システムは、ノズルを有し、機械システムによって移動可能な少なくとも1つの印刷ヘッドをさらに備える。本システムは、1つの印刷ヘッドを備えることが好ましい。
【0014】
本システムは、印刷ヘッドによって適用される、調合された混合物を受け取るためのベースを搭載するベースシステムをさらに備える。
【0015】
印刷ヘッドは、印刷ベースの上に物質の繰返し層を分配して、所定の形状のオブジェクトを形成することにより、本システムの製品を印刷するアクションを実行する。
【0016】
印刷ヘッドは、少なくとも1つの印刷ノズルを備える。ノズルは、印刷ベース上への材料の流れを可能にする印刷ヘッドの一部である。それらは、粉末、顆粒、液体、ゲル、クリーム、ペーストなどのさまざまな流体物質の特性に応じて、物質の流れを制御するバルブを有する場合と有さない場合とがある。
【0017】
本システムは、少なくとも1つのカートリッジを保持するための少なくとも1つのキャリアをさらに備え、カートリッジは印刷可能な物質を収容する。カートリッジは除去されてもよくかつ/または交換されてもよい。
【0018】
カートリッジはそれぞれ、抗生物質、スタチン、刺激剤、消毒剤、解熱剤、化学療法剤、抗炎症剤、抗真菌薬、ホルモン療法物質、利尿薬、避妊薬、向精神薬(抗うつ薬、抗精神病薬など)などのファミリ(しかしこれに限定されない)を含む1種類以上のさまざまな作用物質(API)を収容する。
【0019】
カートリッジには、バインダ、コーティング、付着防止剤、着色剤、フレーバ、樹脂、流動促進剤、潤滑剤、吸着剤、賦形剤、甘味料、溶媒、不活性粉末、生分解性ポリマ、ワックス、防腐剤、崩壊剤などの、しかしこれらに限定されない1つ以上のさまざまな添加剤が収容されていてよい。
【0020】
カートリッジには、漢方薬などの、しかしこれに限定されない東洋医学で使用される1つ以上のさまざまな物質が収容されていてよい。
【0021】
カートリッジには、チンキ剤などの、しかしこれに限定されないホメオパシ医学で使用される1つ以上のさまざまな物質が収容されていてよい。
【0022】
カートリッジには、幹細胞などの、しかしこれに限定されないバイオエンジニアリング医学で使用される1つ以上のさまざまな物質が収容されていてよい。
【0023】
カートリッジには、前述の物質ファミリのいずれかから適切な混合アナロジで作製されたさまざまな複合物質の1つ以上が収容されていてよい。
【0024】
カートリッジには、まだ開発中または研究中の可能性があり、まだ開示されていないさまざまな物質が収容されていてよい。
【0025】
本発明の利点は、3D印刷によって錠剤、カプセルおよび顆粒などの薬剤オブジェクトを生産するシステムであって、対応する作用物質と、3D印刷で使用される対応する塑性または結合性の物質とを有するカートリッジを使用することができるシステムを提供することである。
【0026】
カートリッジが空の場合または別の物質が必要な場合、カートリッジをキャリアから取り外して、新しいカートリッジを挿入してもよい。
【0027】
本発明を有用にするための本発明のさらなる利点は、錠剤、カプセルおよび顆粒などの薬剤オブジェクトを異なるサイズでかつ任意で追加機能を備えて、シンプルな構成でより複雑な3D印刷要件を網羅するシステムを提供することである。
【0028】
さらに、本システムは、複数の薬物を順次または一度に同時に印刷するために、それぞれが異なる物質を含むカートリッジ用の複数のキャリアを備えてもよい。
【0029】
キャリアは、特定のクラスの薬剤オブジェクトを印刷するための印刷可能な物質の特定のセットを有する複数のカートリッジを保持してもよい。異なるクラスの薬剤オブジェクトを印刷する場合、複数のカートリッジ全体を交換してもよい。
【0030】
有利な実施形態では、システムは複数の印刷ヘッドを有する。
【0031】
機械システムは、印刷ヘッドで終わりかつ1方向、2方向または3方向に移動することができる機械アームを備えてもよく、これにより一度に必要な物品をヘッドを介して正確に印刷することができる。
【0032】
ロボットアームは、機械アームの一例であり、通常はプログラム可能で、人間の腕と同様の機能を有する。アームは機構を合わせたものであっても、より複雑なロボットの一部であってもよい。このようなマニピュレータのリンクは、回転運動(関節ロボットなど)または並進(線形)変位を可能にする関節によって接続される。マニピュレータのリンクは、運動学的連鎖を形成すると見なすことができる。マニピュレータの運動学的連鎖の終端はエンドエフェクタと呼ばれ、人間の手に類似する。
【0033】
本システムの要求に合わせて、次のタイプのロボットアームを使用してもよい。
【0034】
- デカルトロボット/ガントリロボット:ピックアンドプレース作業、シーラントの塗布、組立作業、工作機械取扱いおよびアーク溶接に使用される。それは、アームに3つの直動関節を有し、その軸がデカルト座標コーディネータと一致するロボットである。
【0035】
- 円筒形ロボット:組立作業、工作機械での取扱い、スポット溶接およびダイカスト機械での取扱いに使用される。それは、軸が円筒座標系を形成するロボットである。
- 球状ロボット/極ロボット:工作機械取扱い、スポット溶接、ダイカスト、ばり取り機械、ガス溶接およびアーク溶接に使用される。それは、軸が極座標系を形成するロボットである。
【0036】
- スカラロボット:ピックアンドプレース作業、シーラントの塗布、組立作業および工作機械取扱いに使用さる。このロボットは、2つの平行な回転関節を備えて平面内での伸展性を提供する。
【0037】
- 多関節ロボット:組立作業、ダイカスト、ばり取り機械、ガス溶接、アーク溶接および噴霧塗装に使用される。それは、アームに少なくとも3つの回転関節を有するロボットである。
【0038】
- パラレルロボット:1つの用途は、コックピットフライトシミュレータを取り扱う可動プラットフォームである。それは、アームに協働する直動関節または回転関節を有するロボットである。
【0039】
- 擬人化ロボット:それは、例えば独立した指と親指を有するように、人間の手に似た形状である。
【0040】
機械システムは、3D印刷機で一般的に使用される機械構造である、ブリッジとも呼ばれる足場を備えてもよい。足場は、地面に垂直および平行な構造から構成される。足場は印刷ヘッドを搭載し、該印刷ヘッドを上/下方向および/またはx方向および/またはy方向に移動させるか、あるいは印刷ベースが必要なすべての動作を行う場合には静止したままである。
【0041】
本システムは、キャリアと印刷ヘッドとの間に流体接続を確立するための供給ラインを備えてもよい。印刷物質は、供給ラインを介してキャリア内のカートリッジから印刷ヘッドまで流れてもよい。印刷ラインは、機械システムによって印刷ヘッドが印刷位置に移動している間、キャリアが定位置にとどまるように柔軟であってもよい。
【0042】
あるいは、キャリア内のカートリッジと印刷ヘッドとの間に直接の流体接続を確立するために、キャリアおよび印刷ヘッドを互いに近づけてもよい。
【0043】
好ましくは、システムは、少なくとも1つのキャリア、好ましくは複数のキャリアを有するマガジンユニットを備える。
【0044】
特に、キャリアが動きを実行し得るように、マガジンユニットの少なくとも一部は移動可能である。
【0045】
例えば、マガジンユニットの移動により、複数のキャリアのうちの1つに保持されているカートリッジは、カートリッジと印刷ヘッドとの間の流体接続が確立され得る引渡し位置に輸送され得る。マガジンユニットの別の動きの後、別のカートリッジを引渡し位置に移動させて、複数の物質を印刷ヘッドに連続的に充填するようにしてもよい。
【0046】
マガジンユニットは、マガジンユニットの少なくとも一部の動きを可能にするため、特に1つのキャリアまたは複数のキャリアの動きを可能にするため、特にサーボモータ、空気圧駆動装置、流体圧駆動装置、チェーン駆動装置または磁気駆動装置であるアクチュエータを備えていてもよい。
【0047】
単一のカートリッジを動かすために、すべてのキャリアを動かさなければならないように、複数のキャリアをカルーセル上に配置してもよい。あるいは、複数のキャリアがガイドレール上に一列に配置されてもよく、引渡し位置にもたらされるようにシフトされてもよい。
【0048】
本システムの好ましい実施形態では、カートリッジを排出するために、好ましくはキャリアに取り付けられた少なくとも1つの可動押圧ロッドを備えている。したがって、本システムに使用されるカートリッジは、カートリッジを排出するための機械装置を必要としない。可動押圧ロッドおよび該押圧ロッドを動かすためのアクチュエータは、選択された処方に従って測定された量の物質を正確かつ再現可能に投与する。
【0049】
本システムは、カートリッジを開くための、好ましくはキャリアに接続された開封装置をさらに備えていてもよい。例えば、キャリアは、カートリッジに打ち込むための針、キャップリムーバまたはカートリッジのバルブを開くためのピンを備えていてもよい。
【0050】
本システムは、印刷に必要とされていない間に少なくとも一時的にカートリッジを閉じるための、好ましくはキャリアに接続された閉鎖装置をさらに備えていてもよい。
【0051】
本システムは、カートリッジ上の識別マークを識別するための、好ましくはキャリアに接続された読取りユニットを備えていてもよい。したがって、本システムは、カートリッジに収容される物質の種類、使用期限、目標量またはその他の、カートリッジに関連するデータを認識してもよい。
【0052】
読取りユニットは、統計や補充の自動注文などの物流サポートを可能にする。物流は、量および重量の削減ならびにエネルギ消費のニーズに役立つ。
【0053】
本システムの好ましい実施形態では、本システムは温度制御装置を有するキャリアを備える。キャリアは、カートリッジの加熱および/または冷却を提供してもよい。
【0054】
本システムの好ましい実施形態では、本システムは温度制御装置を有する印刷ヘッドを備える。印刷ヘッドは加熱可能および/または冷却可能であってもよい。
【0055】
特に、印刷ヘッドは、くぼみ、フィン、または温度調節媒体、例えば冷却空気のような温度調節流体もしくは温度調節ガスを案内するためのチャネルを有する印刷ヘッド本体を備える。代替的に、印刷ヘッドは、電気的に加熱され得る熱伝導体を備えていてもよい。
【0056】
高温が必要とされる場合、印刷ヘッドを断熱マントルで覆ってもよい。
【0057】
好ましい実施形態では、印刷ヘッドは、印刷物質のための容積を提供する印刷ヘッド本体を備えている。印刷ヘッド本体は、特に供給ラインに接続可能なカートリッジから流体物質を受け取るための開口を備えていてもよい。
【0058】
有利には、印刷ヘッドは、印刷ヘッド本体に配置された攪拌および/または排出ツール、特にウォームスクリュを備えている。
【0059】
撹拌および/または排出ツールは、印刷ヘッド本体内で可動、例えば回転可能であってもよい。
【0060】
混合ツールは、複数のカートリッジから印刷ヘッドに供給される複数の物質の混合を提供する。
【0061】
排出ツールは、印刷中に印刷ヘッドを通じた一定量の物質の排出を提供してもよい。排出ツールは、印刷ヘッド本体内で移動可能な押圧ツールであってもよい。印刷ヘッドは、混合および押圧に適したツールを備えていてもよい。
【0062】
好ましくは、本システムは、攪拌および/または押圧ツールを動かすためのアクチュエータを備えている。
【0063】
代替的に、印刷ヘッドは、印刷ヘッド本体の容積が減少したときに物質が印刷ヘッドノズルから押し出されるように、印刷ヘッド本体のサイズを減じるための排出ツール、例えば圧搾ツールまたは折畳みツールを備えてもよい。
【0064】
好ましくは、本システムは、排出ツールを動かすためのアクチュエータを備えている。
【0065】
印刷ヘッドは、二重体、すなわち、a)外側の円筒形またはその他の形状の硬質体で、好ましくはリサイクル可能な材料で作られたもの、およびb)弾性/柔軟/圧縮可能な材料で作られた内容器を備えていてよい。その上部にはプラグが設けられ、下部には両方の部材に接続されるとともに印刷ノズルが取り付けられ、場合によってはバルブが取り付けられるキャップが設けられていてよい。
【0066】
本発明のさらなる利点は、3D印刷によって、錠剤、顆粒およびカプセルなどの薬剤オブジェクトを生産するシステムであって、適切な量の物質を一度に印刷ヘッドから押し出して薬を印刷するためにパンチヘッドを備える押圧ツールを有するシステムを提供することである。
【0067】
好ましい実施形態では、印刷ヘッドは、混合および押圧に適したツールを備える。この目的のために、撹拌ツールは少なくとも部分的に折畳み可能であってもよく、特に撹拌ツールは折畳み可能なヘッドを備える。
【0068】
折畳みヘッドを有する攪拌ツールは、ケブラ、炭素繊維またはエポキシ樹脂で製作されていてよい。
【0069】
折畳みヘッドは、滴下を防ぐために印刷ヘッドノズルで真空効果を提供してもよい。
【0070】
有利には、印刷ヘッドは、バルブ、例えばチェックバルブ、シャッタバルブ、ボールバルブまたはピンバルブを有するノズルを備える。
【0071】
印刷ヘッドは、圧縮空気、蒸気、水、溶剤、薬剤インク、消化性着色インクなどのための噴霧ノズルおよび供給ラインを備えていてよい。
【0072】
蒸気は非常に乾燥した物質への結合を提供し、非常に迅速な生産速度と非常に多孔性の完成品を可能にする。蒸気は薬物動態を加速する可能性がある。
【0073】
同じことは、蒸気と接着剤との組合せ、薬剤結合剤/溶媒と水との組合せでも行われてもよい。
【0074】
加圧空気は、生産中のアイテムを乾燥するのに役立ち得るか、蒸気と同じ方法で使用されるが、熱および/または水によって影響を受ける可能性のある物質から作られた丸薬などとの使用に役立ち得る。
【0075】
異なる投与量をマークするために、着色インクが使用されてもよい。
【0076】
本発明の有益な実施形態では、本システムは、3D印刷の前に混合物を攪拌するためのウォームスクリュが装備されたサーマル印刷ヘッドを備える。
【0077】
本発明のさらに別の利点は、撹拌に加えて、混合物から空気を抽出し、必要に応じてよりコンパクトな錠剤、顆粒またはカプセルを作製する折畳み印刷ヘッドの提示である。
【0078】
有利には、本システムは、印刷ヘッドに連結されたエネルギエミッタを備える。エネルギエミッタは機械システム上に配置されてよくかつ印刷ヘッドと一緒に移動させられてもよくまたはエネルギエミッタは印刷ヘッドに直接取り付けられてもよい。エネルギエミッタは、印刷ヘッドノズルを出た後の一定量の物質の乾燥または固定を提供する。
【0079】
特に、エネルギエミッタは、光重合ヘッドランプ、IRエミッタ、レーザ、マイクロ波エミッタ、液体窒素噴霧ノズル、圧縮空気ノズルまたは蒸気ノズルである。
【0080】
印刷ヘッドは、複数のノズルを備えていてもよい。したがって、複数の薬剤オブジェクトが並行して印刷されてもよい。
【0081】
本発明の有利な実施形態では、本システムは、印刷ヘッドおよび/またはカートリッジをクリーニングするためのクリーニングユニットを備える。クリーニングユニットは、洗浄タンクおよび/または洗浄ポートを備えていてもよい。洗浄ポートは、クリーニング液リザーバおよび/またはクリーニング液フィルタシステムに接続可能であってもよい。
【0082】
使用後、印刷ヘッドは、異なる処方の次回使用の際に印刷ヘッドが汚染されないように、好ましくは攪拌および/または押圧ツールと一緒に、クリーニングしてもよい。
【0083】
クリーニングユニットは、3D印刷システムに準備されている特別な場所であってもよい。クリーニングユニットは、印刷ヘッドを取り込むのに必要なドアを有する囲まれたエリアを備えていてもよい。
【0084】
これらのドアまたは開口は、このエリア内の他のすべての機構とともに、開-閉-ロックが制御されかつ監視されるために、必要なすべての自動化を有することが好ましい。
【0085】
ドアまたは開口は、(使用中の)真空や環境制御などの本システムの重要な機能が、使用中でかつここに保管されている液体の蒸発によってまたは蒸気の使用によって損なわれないように、囲まれたエリアをシステム領域の残りの部分から隔離するために必要なシーリングを備えていることが好ましい。使用直後の印刷ヘッドは、ここに移動され機械システムである。
【0086】
クリーニングユニットは、印刷ヘッドを乾燥するための加熱空気供給源、蒸気、圧縮空気、水および/または溶剤噴霧液を分配するためのノズル、蒸気および余分な液体を除去するための真空吸引器、ブラシ、非常に細いノズルをクリーニングするための針、バルブ、ブリーザバルブ、溶剤および/または水を収容し、その中に印刷ヘッドが浸漬されてクリーニングされ得るタンク、超音波エミッタおよび/または専用のクリーニングレーザエミッタを備えることが好ましい。
【0087】
タンクは、循環器、フィルタ例えば活性炭フィルタ、マイクロフィルタ、HEPA H13フィルタなどの専用医療フィルタ、および必要なチューブを備えていてよい液体循環システムを備えていてよい。
【0088】
本発明の好ましい実施形態では、本システムは、印刷ベースの温度を調整するための温度制御システムを備える。印刷ベースシステムは、例えば冷却空気のような温度調節流体または温度調節ガスなどの温度調節媒体を案内するための空気ダクトまたはチャネルを備えていてもよい。
【0089】
印刷ベースの温度は、-5℃~40℃の範囲で調整されてよい。好ましくは、印刷ベースは、蒸発を補助するとともに印刷されたオブジェクトの乾燥を促進するために加熱される。
【0090】
有利には、本システムは、薬剤オブジェクトを成形するための形作られた印刷位置、特に凸状のくぼみを備える印刷ベースを備える。物質は、薬剤オブジェクトの形状に影響を与える、受容的な形作られた印刷位置上に印刷されてもよい。該オブジェクトの底側は、例えば、平坦な平面ではなく凸状の形状を有していてもよい。
【0091】
形作られた印刷位置は、薬剤オブジェクトの大部分としての形状、例えば従来の手法で作られた丸薬が有する形状を有する薬剤オブジェクト、例えば丸薬の作製を可能にする。それらは、対称のレンズ形状を有していてもよい。
【0092】
また、小児用に、例えばハート形、菱形、テディベアなど、生産されたアイテムの即時の視覚認識を支援するために、より複雑な形が作製されてもよい。
【0093】
底側はまた、グミベア、サンタクロース、イースタバニーまたはその他の典型的な食品形態の裏側の形状を有していてもよく、薬剤オブジェクトは、そのような典型的な食品形態の形状で印刷されてもよい。
【0094】
印刷ベースは、ピルブリスタを受け入れるように適合されたくぼみを有してもよい。通常、ピルブリスタは、適切なプラスチックの真空成形シートによって作製される。薬剤オブジェクトは、配置されたブリスタ内に印刷することができる。したがって、時間が節約され得るとともに、3D印刷機の無菌環境以外のものとの接触が回避される。
【0095】
印刷が完了した後、閉鎖装置は、密封膜またはフィルムを適用して、ブリスタを密封してもよい。
【0096】
さらなる作業は、機械システムに接続されているレーザなどのラベリング装置による、密封されたブリスタのラベリングであってもよい。
【0097】
本システムは、特に、形作られた印刷位置を有する側の反対側に配置された熱伝導体を備える印刷ベースを備えていてもよい。したがって、例えば印刷された物質を乾燥させるために、印刷ベースは直接加熱されてもよい。
【0098】
本システムは、印刷ベースの温度を監視するための温度センサを備えていてもよい。温度センサは、接触センサまたは非接触センサ、例えばIRまたはレーザセンサであってもよい。
【0099】
本システムは、温度センサ、サーモスタットおよび/またはサーマルスイッチを備える温度制御ユニットを備えていてもよい。
【0100】
印刷ベースは、金属および/または金属合金、例えばアルクラッド(高強度アルミニウム合金コア材料に冶金学的に結合された表面層を有する高純度アルミニウムから形成された耐腐食性アルミニウムシート)、ステンレス鋼、例えば310~310S、高温用途に使用される高度に合金化されたオーステナイト系ステンレス鋼で製作されていてよい。高いクロムおよびニッケル含有量は、鋼に優れた耐酸化性と高温での高強度を付与し、またはタイプ316は食品および手術などでの用途に優れる(モリブデンの合金添加は、塩化物腐食などに対する耐性の増加により特定の形態の腐食を防止する)。
【0101】
印刷ベースは、プラスチックおよび/または複合材料で製作されていてもよい。印刷ベースは、ホウケイ酸ガラス、7740ガラスなどの強化ガラスで製作されていてもよい。印刷ベースは、ガラスセラミックなどのセラミックを備えていてもよい。ガラスセラミックは、ガラスの製造上の利点と、セラミックの特殊な特性とを有する。それらは、無気孔率、高強度、靭性、低熱膨張、高温安定性、機械加工性、高い化学的耐久性、生体適合性、隔離機能などの特性を維持しつつ、700度までのろう付け温度に耐えることができる。製造において、ガラスセラミックは、セラミックの強度とガラスの気密封止特性とを組み合わせたものとして評価される。
【0102】
好ましくは、印刷ベースは、コーティング、特にセラミックグレーズコーティングを有する。印刷された薬剤オブジェクトは、印刷ベースから分離され得て、印刷ベースには貼りつかない。
【0103】
多くのタイプのコーティング、例えば、セラミックグレーズ、不浸透性層または焼成によりセラミック体に融着したガラス質物質のコーティング、シリカナノコーティング、抗菌性および抗真菌性である銀ナノコーティング、二酸化チタン(TiO)、滅菌されかつ防汚特性を有するナノ粒子が用いられてよい。
【0104】
ベースシステムは、オブジェクトリムーバをも備えていてもよい。オブジェクトリムーバは、印刷された薬剤オブジェクトが印刷ベースを滑り落ちて収集場所、例えばビンに入るように、印刷ベースを傾ける傾斜機構によって形成されてもよい。
【0105】
オブジェクトリムーバは、印刷ベースの形作られた印刷位置に接続可能な移動可能な取出しピンまたはガスノズルによって形成されてもよい。印刷された各オブジェクトは、印刷場所の穴から突き出る取出しピンの圧力によってまたは印刷場所の穴から吹き出す圧力によって、印刷場所から排出されてもよい。
【0106】
本発明の好ましい実施形態では、ベースシステムは、印刷ベースを受け入れるためのベースホルダを備える。印刷ベースは取り外されかつ/または交換されてもよい。
【0107】
同じシステム内で、異なる形作られた印刷位置を持つ印刷ベースが使用されてもよい。印刷されたオブジェクトを載せた印刷ベースはシステムから取り外され、新しい印刷ベースと交換されてもよい。
【0108】
さらに有益な実施形態では、3D印刷のための本システムは、印刷ベースを1以上の方向に動かすことができる機械ベースシステムを備える。
【0109】
印刷ベースは、例えば、印刷レベルに持ち上げられてもよく、印刷後に下げられてもよい。印刷ベースはまた、印刷ヘッドの1次元または2次元の動きだけでも完全な3D印刷を達成できるように、印刷ヘッドを動かすための機械システムの動作を完全なものとするよう動かされてもよい。
【0110】
錠剤、顆粒およびカプセルの3D印刷に有利なシステムは、印刷された物品の温度と湿度を正確に制御するための空気ダクトを有する形作られた印刷位置をもつ熱制御ベースを有する。
【0111】
本発明の好ましい実施形態では、本システムは、制御された雰囲気を確立するための、特にドアを有するチャンバを備える。本システムには、ベントフィルタ、換気ダクト、空気フィルタ、活性炭フィルタ、空調システム、空気乾燥システム、真空ポンプを有する真空システム、ヘッドクリーニングリザーバなどの個々のユニットが装備されている。
【0112】
本発明の利点は、提示されたシステムが自律的にまたはコンピュータと連携して動作して、顆粒、錠剤およびカプセルを3D印刷するための命令を受信できることである。
【0113】
本システムは、機能するために、1つのコンピュータまたは一連のコンピュータによって制御されることが好ましい。このコンピュータは、Windows、Linux、IOsなどのオペレーションシステムで実行されており、タスクの実行に必要なすべてのソフトウェアは提供されている。
【0114】
コンピュータは、本システムのすべての操作および動作を制御することが好ましい。すべてのサブシステム、デバイスおよびメカニズムは、コントローラによって制御されかつ機能するように構成されてよい。コントローラは、測定されたプロセス変数から入力信号を受信し、この値を所定の制御ポイント値と比較し、そして最終的な制御要素が必要とする適切な量の出力信号を決定して、制御ループ、PLC、EPROMなどにおいて修正動作を提供する、比較デバイスである。
【0115】
多くの場合、各デバイスをコンピュータに接続する同一ケーブルがこのデバイスの電力供給源になる(例えばUSB)。コンピュータには、スクリーン(タッチ、容量性、LCDなど)、入力手段(タッチスクリーン、キーボード、多機能ボタンなど)、音声および/または視覚的アラートシステム、オン/オフボタンおよび対話システムの他の手段などの、本システムのユーザとのインターフェースに必要なすべてのサブシステムが装備されていてよい。
【0116】
コンピュータには、その機能を実現するために必要なソフトウェアが装備されていてもよい。
【0117】
コンピュータは、好ましくは、機構のすべてのサブシステムで自動診断を実行するとともに、本システムのいずれかの部分の保全または修復の必要性あるいは切迫した故障をユーザに通知する機能を備えている。これにより、保守コストが削減され、本システムの可用性が向上する。
【0118】
コンピュータは、好ましくは、必要に応じて、移動機構の較正を管理する。
【0119】
コンピュータは、好ましくは、利用可能な混合物および製品を作製するのに適した方法ならびに各製品の形態(丸薬、顆粒、錠剤、座薬など)を選択するのに必要なデータベースを保持する。
【0120】
コンピュータは、好ましくは、使用統計のデータベースを保持し、特定の物質または物質の混合物を収容するカートリッジが少なくなっていることをユーザに通知するかまたは必要なカートリッジをオンラインで直接注文して物流オペレーションを合理化するようにしてもよい。
【0121】
本システムの操作に必要なデータベースは、コンピュータのメモリおよび/またはオンライン位置(インターネットデータストレージ、リモートサーバ、クラウドなど)に保存されていてよい。データベースは、新しい製品が利用可能になる(およびプログラムが更新される)と更新されるか、誤動作が発生した場合はそこから復元することができる。これを達成するために、コンピュータには、ケーブルまたはワイヤレステクノロジによってウェブに接続されたモデム(モデム、ルータなど)が設けられていてよい。コンピュータのプログラムやデータベースなどのバックアップは、フラッシュメモリスティック、外部ハードドライブ、オンラインデータストレージなどによって提供することができる。
【0122】
コンピュータは、他のデバイス(外部コンピュータ、マウス、キーボード、ウェブカメラ、ポータブルハードドライブ、マイク、プリンタ、スキャナおよびスピーカなどのコンピュータアクセサリ、タブレット、スマートフォン、スクリーンなどとケーブル(USB、DVI、HDMIなど)またはワイヤレステクノロジによって対話してもよい。
【0123】
小型システム(卓上サイズまたは携帯用)の場合、コンピュータは本システムの外部(独立)である可能性がある。
【0124】
すべての電子制御サブシステム(コントローラ、レギュレータなど)は、必要なドライバおよび使用するコンピュータにインストールするプログラム(またはアプリ)を備えたインターフェイスデバイス(システムからコンピュータ)を使用して、(ケーブルによって)直接的にまたは(bluetooth、WIFI、IRなどを使用して)間接的に通信してよい。
【0125】
電源は、電力入力(ケーブルおよび/またはワイヤレス充電器)、電力変換器(例えば220v/12v)、バッテリまたはバッテリパック、UPS(無停電電力供給装置、無停電電源装置、UPSまたはバッテリ/フライホイールバックアップは、入力電源または主電源に障害が発生した場合に負荷に緊急電力を供給する電気機器である)、補助もしくは非常用電源システムまたはスタンバイジェネレータ、および電力出力(USBなど)を備えるモジュールによって本システムのすべてのサブシステムに提供されてよい。
【0126】
上記問題は、特に上記のシステムを使用して、3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルなどの薬剤オブジェクトを生産する方法によっても解決される。
【0127】
この方法は以下のステップを含む。
【0128】
少なくとも1つの薬剤物質が少なくとも1つのカートリッジに提供される。カートリッジはキャリア内に配置される。薬剤物質が印刷ヘッドノズルを通って印刷ヘッドから離れるように、カートリッジと印刷ヘッドとの間に流体接続が確立される。印刷ヘッドノズルは、3D印刷プログラムに従って移動し、薬剤物質が印刷ベースに分配される。
【0129】
カートリッジは印刷ヘッドに移送されてよく、印刷ヘッドと一緒に移動させられてよい。
【0130】
好ましくは、少なくとも1つの薬剤物質の或る量がカートリッジから印刷ヘッドに投与され、該物質が印刷ヘッド内で攪拌され、特に複数の薬剤物質が混合される。
【0131】
特定の処方に従って構成および混合された薬剤流体が印刷されてよい。
【0132】
それぞれが異なる薬剤物質を収容する複数のカートリッジをマガジンに配置し、該マガジンを印刷ヘッドに対して、選択したカートリッジが印刷ヘッドに流体接続される位置まで移動させてもよい。それぞれの薬剤物質の或る量を印刷ヘッドに投入し、それにより薬剤処方に従って薬剤混合物を調合してもよい。
【0133】
有利な実施形態では、本システムは、独立して移動し、それぞれが物質を印刷ベースに分配する複数の印刷ヘッドを備えている。内部構造内で薬剤オブジェクトを印刷できるように、第1の印刷ヘッドにシェルまたはカバー物質を充填し、別の印刷ヘッドに第1の内容物質を充填し、さらに別の印刷ヘッドにさらに別の内容物質を含めるようにしてもよい。
【0134】
本発明による方法は、病院、養護施設、クルーズ船、海軍艦船、難民キャンプなどにおいて、同様の組成の、定期的に個別に設計される薬剤オブジェクトを提供しなければならない状況に適している。
【0135】
マトリックス物質の保管は、特定の医薬品の実装ごとに在庫を保管する場合よりも簡単である。
【0136】
エコロジー面での利益およびコスト削減を伴うパッケージの削減が達成される。
【0137】
形作られた印刷位置を有する印刷ベースは、印刷前に印刷ベースシステムに適用されてもよい。薬剤物質は、形作られた印刷位置に分配されてよい。
【0138】
印刷後、印刷ヘッドはクリーニングされてよい。
【0139】
好ましくは、本方法は、少なくとも1つのカートリッジに少なくとも1つの物質を供給するステップを含み、該物質は、脂肪塊、澱粉、小麦粉、ゼラチン、甘味料、天然フレーバ、人工フレーバおよび着色料の少なくとも1つを含む。
【0140】
これらの食品物質は、印刷されたオブジェクトが消化可能であることかつ美味しいことを保証する。
【0141】
カートリッジには、乳化用の剤、安定化剤、増粘剤、バインダ、甘味剤、糖衣添加剤、固化防止剤、乳化剤、酸味料、酸性度調節剤、消泡剤、発泡剤、酸化防止剤、膨張性薬剤、食品着色料、色保持剤、フレーバ、風味増強剤、艶出し剤、保湿剤、防腐剤、安定剤、甘味料など、賦形剤として使用可能な他の食品物質が収容されていてよい。
【0142】
追加的な物質は、薬剤物質および食品物質を含む複合材料が所定の処方に従って印刷ヘッド内で混合されるように、別個のカートリッジに供給されてもよい。
【0143】
本方法の好ましい実施形態では、少なくとも1つのカートリッジに供給される薬剤物質は、解熱剤、鎮痛剤、抗マラリア薬、抗生物質、消毒剤、精神薬、気分安定剤、ホルモン補充剤、経口避妊薬、刺激剤、精神安定剤およびスタチンのうちの少なくとも1つを含む。
【0144】
解熱剤、例えばアセトアミノフェンは、発熱、熱病またはパイレクシス(pyresis)を軽減する。鎮痛剤または痛み止め、例えばアセトアミノフェン、非ステロイド系抗炎症薬またはオピオイドは、痛みを軽減する。抗マラリア薬、例えばクロロキンやヒドロキシクロロキンは、マラリアを治療する。抗生物質は細菌の増殖を抑制する。消毒剤は、火傷、切り傷および傷口付近の細菌の増殖を防ぐ。気分安定剤は、例えば、リチウムおよびバルプロミドである。ホルモン補充剤は、例えば、エストロゲンまたはプロゲステロンである。経口避妊薬は、例えば、エノビッド、「二相性」ピルおよび「三相性」ピルである。刺激剤は、例えば、メチルフェニデートおよびアンフェタミンである。クロルプロマジンは、鎮痛剤の例である。クロルジアゼポキシド、ジアゼパムおよびアルプラゾラムは、ベンゾジアゼピン類の鎮静剤および催眠薬の例である。スタチンは、例えば、ロバスタチン、プラバスタチンおよびシンバスタチンである。
【0145】
本発明のシステムおよび本発明の方法は、小児用のパラセタモール製剤の剤形に適用され得る。6~8歳の子供は250mg、8~10歳の子供は375mg、10~12歳の子供は500mg、12~15歳の子供は750mgを4~6時間ごとに摂取する必要がある。
【0146】
一例では、カカオバター、カカオパウダ、砂糖およびミルクまたはチョコレートの塊と、生産される所望の薬物に適した量のパラセタモール、例えば250mgのパラセタモールとが印刷ヘッドに分配され、混合され、融合される。印刷ヘッドは、加熱されて成分を溶かす温度に達する。
【0147】
これまでチョコレートや味に訴える他の物質を使用しない主な要因は、それらがおやつとして誤認され、過剰消費による中毒につながる可能性があるという事実によるものであった。
【0148】
正確に投与可能な3D印刷機を用いてこのような薬剤オブジェクトを生産することによって、またそのような錠剤の形状を区別しやすくすることができ、加えて、非常に少量を生産できるという事実によっても、この危険性は事実上排除される。
【0149】
一方、チョコレートなどの物質は、薬物を通常嫌う人にとってそれらを受け入れやすくすることができる。
【0150】
このような錠剤の生産は、3D印刷システム機能の一機能例として使用される。
【0151】
最初のステップは、所望する製品、例えば、小児用の250mgパラセタモールチョコレート錠剤を指定する入力をシステムに与えることである。
【0152】
本システムは、必要な材料(物質)を収容するカートリッジを選択し、続いて保護キャップを取り外した後、充填位置に配置された印刷ヘッドを充填する。その後、カートリッジのノズルはクリーニング装置によってクリーニングされ、それらのキャップが再配置される。混合機構が薬剤物質と賦形剤との融合を開始している間、印刷ヘッドは30~35℃の温度で加熱されて賦形剤の融解を促進する。
印刷ヘッドは印刷ベースの上に配置され、専用のソフトウェアのコマンドに従って印刷手順を開始する。印刷ベースは、一方、印刷中にオブジェクトを冷却し、20℃の温度での急速な固化を補助する。同時に、本システムの空気フローおよび温度制御装置は、構築中の錠剤の冷却を補助する。
【0153】
手順は、印刷ベースが生産されたアイテムを包装のために引き渡すことで終了し、印刷ヘッドおよびベースは、システムの次のタスクへの準備のために徹底的にクリーニングされかつ殺菌される。錠剤の所望の味およびテクスチャを得るために、例えば、ココアバター、ココアパウダ、砂糖、ミルク、ホワイトチョコレート、キャラメル、ストロベリーフレーバ、ブラックチョコレートおよび他のフレーバなど、さらなる賦形剤が使用されてもよい。
【0154】
本発明の、これらおよび他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明で明らかになるであろう。
【0155】
本発明は、例示的で非限定的な方法で示されている添付図面を参照することにより、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0156】
図1】錠剤、顆粒およびカプセルの3D印刷生産システムの例示的な基本的な実施形態の斜視図である。
図2】ドアが開いた状態の、3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルを生産するためのシステムの基本的な実施形態の斜視図である。
図3】コンピュータに接続され、システムの2重の印刷ヘッドも示されている生産システムの例示的な実施形態の斜視図である。
図4】3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルを生産するためのシステムの別の例示的な実施形態の斜視図である。
図5】供給がどのように行われるかも示されている、3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルを生産するシステムの背面斜視図である。
図6】3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセル生産システムの実施形態をその個々の構成要素とともに示す断面図である。
図7】ドアが開いた状態の、3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセル生産システムのさらに別の実施形態の斜視図である。
図8】本システムの上記の例示的な実施形態の断面斜視図である。
図9】本システムの、その個々の構成要素が示されている断面正面図である。
図10図7のシステムの断面背面図である。
図11】さらなる詳細を視認可能にするために上記システムを異なる角度で示す断面背面図である。
図12】さらに別の実施形態における、図7のシステムの背面図である。
図13】2重の印刷ヘッドおよび可動機械ベースが装備された3D印刷システム機械の例示的な実施形態を示す図である。
図14】印刷のために混合物を連続的に配給することが可能な、例示的なシステムの3D印刷機の代替実施形態を示す図である。
図15】1以上の方向に移動可能なアームと、1以上の方向に移動可能な印刷ヘッドおよびベースとを有する3D印刷機の別の代替実施形態を示す図である。
図16】例示されたシステムの3D印刷機の代替実施形態を示す図である。
図17】本発明のシステムを介する錠剤、顆粒およびカプセルの3D印刷に使用できるロボットアームを示す図である。
図18】本発明のシステムで3D印刷機として使用できる代替ラックを示す図である。
図19】顆粒、錠剤およびカプセルの3D印刷のために本発明により使用されるカートリッジの部分的な縦断面図である。
図20】各事案に適合可能な混合物を収容するカートリッジの縦断面図である。
図21】異なる先端タイプを有するカートリッジの代替実施形態を示す図である。
図22】本システムにおいて、混合物を推進するためのパンチとともに使用可能な長く形成されたカートリッジキャリアを示す図である。
図23】回転可能なカートリッジキャリアの変形例を示す図である。
図24】カートリッジおよび印刷ヘッドの配置を視認可能な、3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルを生産するためのシステムの代替実施形態を示す断面図である。
図25】支持ベースおよび附属キャリアを有するサーマル印刷ヘッドを示す図である。
図26】冷却ファンを有するサーマルヘッドの背面図である。
図27】ヘッドキャリア上に供給装置および光重合ヘッドランプを有するサーマルヘッドを示す図である。
図28】(a)および(b)は、熱損失に寄与するくぼみが明示されているサーマルヘッドおよびその断面を示す図である。
図29】(a)および(b)は、物品を印刷するための、形作られた印刷位置を有するまたは単純なタイプのサーマル印刷ベースを示す図である。
図30】空気循環用の空気ダクトを有するベースの断面図である。
図31】本発明の生産システムで使用可能な折畳み可能なウォームスクリュを示す図である。
図32】作用物質の入口および空気の出口をそれぞれ有するウォームスクリュの斜視図である。
図33図32の折畳み可能なウォームスクリュのベースの断面図である。
図34】完全に折り畳まれたときの折畳み可能なウォームスクリュを示す図である。
図35】本発明の錠剤、顆粒およびカプセルの3D印刷生産システムで使用可能なウォームスクリュ付きのマルチ印刷ヘッドの断面図である。
図36】形作られた印刷位置を有する印刷ベースを示す図である。
図37】ベースシステムの一例を示す図である。
図38】ベースシステムの別の例を示す図である。
図39】(a)受動位置および(b)取出し位置にある取出しピンを有する印刷ベースを示す図である。
図40】圧縮可能なカートリッジの実施形態であり、(a)は第1の位置、(b)は第2の位置、(c)は第3の位置を示す図である。
図41】マガジンユニット内に配置されたカートリッジキャリアを示す図である。
【0157】
ここで添付の図面を参照して、3D印刷によって錠剤、顆粒およびカプセルを生産するためのシステムの例示的な実施形態を、その動作を理解可能にするために説明する。
【0158】
本システムの基本構造は、図1に示されており、ユーザが必要なデータを入力することができかつシステム動作中に表示された表示を監視できる、キーまたはタッチボタンを有するディスプレイ1を備えている。本システムはまた、1以上の方向に移動可能な機械アームをもつ機械システム3と、固定または1以上の方向に機械的に移動可能とすることができるベースシステム4と、ソフトウェアから受け取った指示に応じて、印刷ベース6上に錠剤、顆粒およびカプセルを3D印刷するために混合物を分配する印刷ヘッド5と、を有する3D印刷機2を備える。3D印刷機2は、ドア8(図2)によって閉じられ印刷中に制御された環境を作り出すチャンバ7内に配置される。
【0159】
本発明の3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルを生産するためのシステムは、電力ケーブル9(図3)をさらに備えるとともにコンピュータ10に接続することができる。この接続は有線でも無線でもよい。しかしながら、本システム自体は、その動作のために外部のコンピュータ10への接続が必要とされないように、ベース11上に内蔵型コンピュータユニットを有してもよい。
【0160】
本発明の代替実施形態では、3D印刷によって錠剤、顆粒およびカプセルを生産する本システムは、ディスプレイ1、電力ケーブル9(図5)および印刷チャンバ7を同様に含み、この印刷チャンバ7内に3D印刷機2が設けられている図4の形態であってもよい。
【0161】
しかしながら、本システムは、印刷チャンバ7内の空気の適切な循環に寄与する1つ以上の換気ダクト12をさらに有する。本システムには、必要に応じてその洗浄または交換のために取り外し可能な、循環空気を浄化するための空気フィルタ13(図6)も装備されている。システム全体のコンピュータユニット14および供給ユニット15によって、システムを完全に自律させることができる。
【0162】
本発明のさらに別の代替実施形態では、3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルを生産するための本システムは、より複雑な用途での使用を可能にする追加の機能要素を有していてもよい。
【0163】
本システムは、ディスプレイ1(図7)およびドア8を有し、さらに、本システムの連続稼働を可能とするため、電圧安定器15(図10)および無停電電源16(図9)をもつ電源ユニットを有する。
【0164】
印刷チャンバ7内および本システム全体内の適切な雰囲気条件を制御および維持するために、空調および空気乾燥システム17が設けられており、その一方で換気ダクト12は、必要に応じて周囲の空気を流入させる。空調および空気乾燥システム17は、1つ以上の空気供給および戻しダクト18によって印刷チャンバ7に接続され、一般にシステムの内部に接続され、作動時に、適切な環境の造成を支援する。
【0165】
本システムは、循環空気から二酸化炭素やその他の有害物質を吸収するための活性炭フィルタ19(図8)を有し、その一方で真空ポンプ20および負圧容器21は、要件に応じて、真空または適切な圧力条件を作り出すのに寄与する。
【0166】
本システムは、洗浄タンクポート23(図12)を通して内部で印刷ヘッド5が洗浄およびクリーニングされる洗浄タンク22を含むクリーニングユニット67を有していてもよい。この場合、クリーニングユニット67は、印刷ヘッド5のクリーニング液用のリザーバ24と、印刷ヘッド5のクリーニング後にヘッドクリーニング液にごみが残らないことを確実にするヘッドクリーニング液用のフィルタシステム25とを有する。
【0167】
クリーニング液は、以下の例から選択することができる。
【0168】
- 貴金属、ステンレス鋼、非鉄金属、クロムメッキ金属、ガラス、プラスチック、半貴石、石英、セラミックとともに使用可能であり、ラッピングペースト、酸化膜およびアニーリングカラーを除去するための有機酸、界面活性剤化合物、腐食抑制剤であり、例えばヒドロキシ酢酸。
【0169】
- 金属表面を腐食させることなく非鉄金属から酸化膜を除去するためのかつ/または水あかを除去するための酸、可溶化剤、湿潤剤であり、例えばリン酸。
【0170】
- 合成樹脂、アモルファス樹脂の混合物、磨き材および研磨材を除去するためのアルカリ、錯化剤、金属イオン封鎖剤、可溶化剤、界面活性化合物、界面活性剤であり、例えばKOHベースまたはNaOHベースの洗剤残留物、特に殺菌および殺ウイルス活性を有するもの。
【0171】
- アルミニウムおよびその他の軟質金属を洗浄するためのpHが6~9の中性pHクリーナであり、例えば、NpH滅菌剤または中性洗剤。
【0172】
クリーニング液は、好ましくは、リン酸塩でありかつ塩素を含まない。
【0173】
3D印刷後、印刷ヘッドは、好ましくは、クリーニングユニットに入る直前に加熱された、事前ろ過された乾燥空気を通過する。空気は適切なフィルタに通して再度ろ過してよく、例えば、欧州ではHEPA H13フィルタが必要である。洗剤は、超音波もしくは噴霧技術と一緒にまたは泡洗剤として使用することができる。
【0174】
本システムは、前述したように、コマンドを処理および実行するために、対応する計算ユニット14(図11)を有することもある。
【0175】
すべてのシステムは、前述のように、ベースシステム4上に印刷するための1つ以上の印刷ヘッド5で終わる機械システム3を有する、3D印刷機2(図13)を有する。ベースシステム4は、固定されているかまたは軸自由度26に応じて1以上の方向に移動可能であってもよい。同様に、本発明の代替実施形態では、機械システム3は、例えば上下(図15)の1方向、例えば上下および左右(図16)の2方向に移動可能であってもよく、またはより多くの自由度を持つ別の形態(図17)を有してもよい。
【0176】
例えば、3D印刷機2(図18)は、2次元で移動するベース6をもつベースシステム4と、同様に2次元で移動可能な機械システム3とを有する。錠剤、顆粒およびカプセルの3D印刷には、作製する最終製品に応じて、作用物質および塑性(結合)特性の物質の1つ以上の混合物が必要とされる。
【0177】
作用物質のみ、塑性物または結合剤のみまたはそれらの組み合わせであってもよい混合物27(図19)は、カートリッジ28内で液体形態となって印刷ヘッド5に供給されるかまたは供給ライン30、例えば分配チューブによって印刷ヘッド5に接続された容器29(図14)を介して印刷ヘッド5に絶えず提供されてもよい。
【0178】
印刷ヘッド5に接続される容器29の数は、1つより多くてもよい。さらに代替的に、カートリッジ28は、ヘッド5に恒久的に取り付けられ、空になった後に単独で交換されてもよい。別の代替実施形態では、混合物27はフィラメントの形態を有してもよい。
【0179】
使用される混合物の粘度は製造される製品に応じて異なるため、カートリッジ28は異なる端部断面を有する。したがって、カートリッジ28は、端部31に広い断面を有していてもよいし(図20)、狭い断面(図21)を有してもよい。カートリッジ28の下側を閉じるためにキャップ32を使用してもよく、他の適切なクロージャの使用は除外されない。カートリッジ28の上側は、印刷ヘッド5に混合物27を供給するため、パンチ34(図22)により付勢されることで下方に移動可能な蓋33を有する。蓋33には、パンチ34がその正確な位置および関連するカートリッジ情報28を判別できるようにするために無線周波数識別システムなどの適切なデバイスを装備してもよい。
【0180】
カートリッジには、流出や乾燥などを避けるために、ノズルにバルブが設けられていてもよい。バルブは、さまざまな通路を開放、閉鎖または部分的に塞ぐことにより、流体(気体、液体、流動化した固体、またはスラリ)の流れを調整、指向または制御する装置である。バルブは技術的には取付物であるが、通常は別のカテゴリとして説明される。バルブが開いている場合、流体は高圧から低圧の方向に流れる。
【0181】
最も単純で非常に旧式のバルブは、後退して一方向の流体(ガスまたは液体)の流れを妨げるが、反対方向の流れによって押し開かれる単純な揺動自在なフラップである。これは、一方向の流れを阻止または「チェック」するため、チェックバルブと呼ばれる。最新の制御バルブは、圧力または下流の流れを調整しかつ精巧な自動化システム上で動作する。これらのバルブは、プラグ上のシャフトによって加圧されたときにカートリッジから材料が出ることを可能にするために、穴または切り込み(真っ直ぐ、十字形など)を有するばね付勢された弾性体(シリコンまたは同様の弾性特性を持つ他の材料で作られている)であってもよい。この場合、カートリッジのノズルの保護キャップに小さな針を取り付けることができる。あるいは、バルブの切り込みの場合、それらの形状、例えば十字形の形状に適した少なくとも1つのブレードを使用してもよい。
【0182】
バルブは、例えば、カートリッジに含まれる材料が粉末、顆粒集塊などの乾燥(固体)タイプの場合に流れを制御するドーザ(服用量)タイプの装置や液体用のオン/オフバルブ(シャッタバルブ、ボールバルブ、ピンバルブなど)など異なるタイプのものでもよい。バルブは、カートリッジのノズルに圧入するか、接着することができる。固体材料の場合、バルブ機構がカートリッジの下部それ自体を形成してもよい。
【0183】
すべてのシステムは、同じまたは異なる混合物27を有しかつ同じまたは異なる端部31を有する2つ以上のカートリッジ28を備えていてもよい。
【0184】
カートリッジ28は、キャリア35内に配置され、該キャリア35は、縦長に形成されてもよいし回転可能であってもよい(図23)。キャリア35は、サーボモータまたは他の適切な装置によって機械的に駆動され、パンチ34が適量の混合物27を印刷ヘッドに押し込んでプロセスを開始するように、適切なカートリッジ28を装填位置に導く。キャリア35は、3D印刷機2(図24)内に配置されてよくかつプロセスを開始するためにベースシステム4の上方に導かれるかまたはアーム36(図17)がカートリッジ28を一度に受け取る位置に堅固に配置されていてもよい。キャリア35のサイズおよびこれが運ぶことができるカートリッジ28の数は、本システムの利用可能なスペースによってのみ制限される。
【0185】
カートリッジのサイズまたは形状はいずれも、生産方法に応じて変更してもよい。それらは、例えば工場での大量生産向けではより大型に、薬局や病院向けでは中型に、卓上または携帯使用向けではより小型にしてもよい。
【0186】
前述のカートリッジは、含まれる物質と一切相互作用を起こさないかまたは物質を汚染しない材料を使用して製造することが好ましい(例:水性またはアルコール溶媒と接触した金属の酸化)。
【0187】
そのような材料には、ステンレス鋼、アルミニウム合金などの幅広い種類の金属が含まれ、いずれの場合もコーティングのような膜を形成する技術を使用して、混合物27に含まれる物質を、該含まれる物質に潜在的に害を及ぼすおそれのある金属から隔離することができるので、理論的にはどんな金属も使用することができる。そのような技術の例として、電気めっき、噴霧または浸漬塗装、セラミックコーティングまたは適切なプラスチック膜の内部押出しも挙げることができる。
【0188】
そのような材料には幅広い種類のプラスチック材料が含まれ、この場合、反応(例:アルコール溶媒と一部の種類のポリエチレンプラスチック)によるまたは揮発性ガスおよび/またはプラスチック自体(例:一部のポリエチレン、ポリウレタンおよびポリエステル材料)に含まれる油性物質の放出による汚染の回避に注意する必要がある。
【0189】
いずれの場合でも、エポキシ、一部のナイロン、ポリエチレンおよびさらに多くの数の複合材料(例:ガラス微小球を有する射出成形によって作製されたナイロンまたはセラミック微小球と組み合わせたエポキシ)など、非常に多様なプラスチック材料を使用することができる。
【0190】
プラスチックの場合、含まれる物質の保護をさらに強化するためにまたは作業に適した保護材料の内層を形成することにより不適切な材料の使用を可能とするために、前述の技術が使用されてもよい(例えばPETまたはPETGとABSとの二重押出。このような技術は、プラスチック製で使い捨ての水およびソーダボトルでよく使用される)。より硬いまたは押し出し不可能なプラスチックは、一時的に導電性にすることができるので、めっきを施すことができ、またはそれらは適切な材料を使用して保護層を形成するために、単に噴霧されまたは浸漬されてもよい。いずれの場合でも、ガラスおよびセラミックを使用してもよい。
【0191】
好ましくは、カートリッジの本体内には、キャリア上または貯蔵容器上の読取りユニット66(図41を参照)とのインターフェースを提供する様々な識別手段(RIFDまたは他のチップ、バーコードまたはその他)が組み込まれている。この情報により、本システムは含まれる成分を認識して、正しい量を選択したり、各製品の品質保持期間、各カートリッジ内の残量、使用頻度などを認識したりすることができる。この情報は、生産を最適化するためのかつ場合によって交換用補充品を時間内に注文することによりサプライチェーンを自動化するための統計として使用できる。
【0192】
印刷ヘッド5は、必要な量の混合物27を供給して、対応する顆粒、錠剤またはカプセルを生産することを目的とした装置である。印刷ヘッド5には、そこから混合物27が供給されるノズル37(図26)と、エンベロープ(管体)39を有し例えばシリンダとして形成された印刷ヘッド本体38とが設けられている。印刷ヘッド5は、支持体40(図28(a))をさらに有し、該印刷ヘッド5は支持体40を介してヘッドキャリア41(図24)またはアーム36のいずれかに保持される。
【0193】
混合物27の温度制御を改善するために、印刷ヘッドはサーマルヘッド(図25)であってもよい。この目的のために、それは、熱損失に寄与するくぼみ43をもつ加熱体42を有し、加えて温度制御をさらに改善する冷却ファン44(図26)をその背部に備えることができる。
【0194】
さらに別の代替実施形態では、印刷ヘッド5には、この例ではアーム46に支持された光重合ヘッドランプ(図27)であるエネルギエミッタ45を設けてもよい。このエネルギエミッタ45は、それを必要とする混合物27に対して使用される。
【0195】
別の代替実施形態では、印刷ヘッド5は、印刷された物品を直接冷却するための液体窒素噴霧ノズルを有してもよい。
【0196】
本発明の代替実施形態では、印刷ヘッド5には、サーボモータによって連続的または断続的に回転させられ印刷ヘッド5内で混合物を振り動かす攪拌および/または排出ツール47、この例ではウォームスクリュ(図22)が設けられていてもよい。このようにして、混合物27は使用する用途に応じて必要な粘度を保持することになる。
【0197】
本発明のさらに別の代替実施形態では、ウォームスクリュ47は、混合物27を攪拌することに加えて空気を除去することにより混合物27を適切に圧縮する折畳み可能なヘッド48(図31)を有してもよい。これを行うために、ウォームスクリュ47は、ヘッド48の上部に穴51(図32)と穴50とを有し、該穴51からは一般に溶媒、作用薬剤物質または混合物が導入され、穴50からは空気が圧縮により排出される。これらの穴は、それらの使用が必要でない場合、プラグ(栓体)52(図33)で閉じることができる。折畳み可能なヘッド48は、パラアラミド合成繊維または形状記憶金属などの、ステンレス鋼、熱可塑性材料および複合材料で製作することができる(図34)。
【0198】
印刷ヘッド5のさらに代替実施形態では、これは、折畳み可能なヘッド48を有するまたは有しない、加熱体42を有するまたは有しないウォームスクリュ47と、2つ以上のノズル37(図35)との両方を有してもよく、これにより3D印刷はより高速で行われる。
【0199】
錠剤、顆粒、カプセルの3D印刷は、ベースシステム4上にあるベース6(図29(b))上で上記のように実行される。
【0200】
印刷ベース6は、温度制御されてもよく、混合物27を供給することにより錠剤、顆粒またはカプセルを形成するために、形作られた印刷位置49(図29(a)および図36)を有してもよい。
【0201】
3D印刷が完了すると、物品はベース6から除去され、該ベースは後のプロセス実行のためにベースシステム4上に再配置される。ベース6は、生産された物品中の水分含量の蒸発を低減するために、ベース6上での自然または強制空気流を可能にする空気ダクト50(図30)をさらに有してもよい。
【0202】
図37は、加熱可能なベースシステム4の例を示している。印刷ベースシステム4は、温度調節媒体を案内するための空気ダクト53およびチャネル54を有する温度制御システム68と、ファン55とを備えている。
【0203】
印刷ベース6は、印刷ベースホルダ57によって取外し可能に保持されており、押込みおよび引出しが可能である。
【0204】
図38は、印刷ベース6の横方向にファン55が配置されているベースシステム4のさらなる例を示している。
【0205】
図39は、取出しピン56を備えるベースシステム4を示している。図39(a)では、取出しピン56は受入れ位置にあり、形作られた印刷位置49の穴58を閉じている。取出しピン56は、垂直方向に移動されてよいプレート59上に配置されている。プレートが上方に移動すると、取出しピン56は取出し位置(図39(b))に位置する。取出しピン56は、穴58の外に伸び出て、印刷された物品(明示されない)を形作られた印刷位置49から突き出してもよい。
【0206】
図40は、それぞれ(a)第1の位置、(b)第2の位置および(c)第3の位置にある圧縮可能なカートリッジ28の実施形態を示している。
【0207】
カートリッジ28は、二重体、すなわち、外側円筒形硬質体60と、圧縮可能な材料から作られた内容器61とを備えてもよい。その上部には、下方に押されてカートリッジ28の下端31から印刷物質(明示されない)を排出させるためのプラグ62が設けられてもよい。
【0208】
カートリッジ28は、該カートリッジが機械システム上に配置されかつ印刷ノズル(図示せず)が下端31に取り付けられている場合、印刷ヘッドとして使用されてもよい。
【0209】
図41は、マガジンユニット63に配置されたカートリッジキャリア35を示している。各キャリア35はカートリッジ28を受け入れてもよい。マガジンユニット63は、カートリッジ28を移動させるための回転アクチュエータ64およびベルト65を備えている。各キャリア35は、カートリッジ28を識別して読み取るための読取りユニット66を備える。
【0210】
材料を印刷ヘッド(図には示されていない)に充填するためにカートリッジ28が必要な場合、上部キャップ69は上部キャップリムーバ70によって除去される。上部キャップリムーバ70の近くに配置されているキャリア35は、明確にするためにカートリッジなしで示されている。下部キャップ71もまた、下部キャップリムーバ72によって除去される。カートリッジはそれから、キャリア35がカートリッジ28とともに傾斜される分配箇所73に移動させられる。カートリッジ28は、規定量の材料をカートリッジ28から印刷ヘッドに押し込む押圧ロッドアクチュエータ74と接触させられる。
【0211】
分配後、カートリッジ28は、洗浄カップアクチュエータ76によって持ち上げられてもよい洗浄カップ75内でクリーニングされてもよい。
【0212】
ここで、本発明の説明は、例示的な実施形態を参照してなされたが、それに限定されないことに留意されたい。製造および組み立てに使用される形状、寸法、形態、材料およびコンポーネントについての変更または修正は、それらが新しい進歩性ではなくかつすでに知られているものの技術開発に寄与しない場合、本発明の範囲および目的内であると考えられる。
【0213】
本発明の態様
I.3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システムであって、ディスプレイ(1)と、内蔵コンピュータユニット(14)を有するベース(11)と、電力ケーブル(9)と、ドア(8)を有するチャンバ(7)内の3D印刷機(2)と、を備え、該3D印刷機(2)は、1以上の方向に移動可能な機械アームのシステム(3)と、ベース(6)を搭載し1以上の方向に移動可能なベースシステム(4)と、機械アームシステム(3)上の印刷ヘッド(5)とを有し、該印刷ヘッド(5)は、ノズル(37)と、エンベロープ(39)を有するヘッドシリンダ(38)とを有する、生産システムにおいて、印刷ヘッド(5)は、錠剤、顆粒およびカプセルを3D印刷するために、調合された混合物(27)をベース(6)上に配分することを特徴とする、3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システム。
【0214】
II.3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システムであって、チャンバ(7)内の空気を循環および浄化するための換気ダクト(12)および空気フィルタ(13)を有することを特徴とする、態様Iに係る3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システム。
【0215】
III.3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システムであって、電圧安定器および無停電電源(16)をもつ電源ユニット(15)を有することを特徴とする、態様Iに係る3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システム。
【0216】
IV.3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システムであって、空気供給および戻しダクト(18)を介して印刷チャンバ(7)に接続された空調および空気乾燥システム(17)を有することを特徴とする、態様Iに係る3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システム。
【0217】
V.3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システムであって、二酸化炭素を吸収するための活性炭フィルタ(19)を有することを特徴とする、態様Iに係る3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システム。
【0218】
VI.3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システムであって、真空を作り出すための真空ポンプ(20)および負圧容器(21)を有することを特徴とする、態様Iに係る3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システム。
【0219】
VII.3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システムであって、印刷ヘッド(5)をクリーニングするため、洗浄タンク(22)、クリーニング液リザーバ(24)に接続された洗浄ポート(23)およびクリーニング液フィルタシステム(25)を有することを特徴とする、態様Iに係る3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システム。
【0220】
VIII.3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システムであって、混合物(27)がカートリッジ(28)を介して印刷ヘッド(5)に供給されることを特徴とする、態様Iに係る3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システム。
【0221】
IX.3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システムであって、カートリッジ(28)がキャリア(35)上に配置されることを特徴とする、態様Iに係る3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システム。
【0222】
X.3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システムであって、混合物(27)が容器(29)から分配チューブ(30)を介して印刷ヘッド(5)に供給されることを特徴とする、態様Iに係る3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システム。
【0223】
XI.3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システムであって、混合物(27)がフィラメント形態であることを特徴とする、態様Iに係る3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システム。
【0224】
XII.3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システムで使用するためのカートリッジであって、その中に印刷する混合物(27)が含まれ、キャップ(32)を有する端部(31)と、その上部の取外し可能な蓋(33)とを有する、態様Iに係るカートリッジ。
【0225】
XIII.3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システムで使用するための印刷ヘッドであって、混合物(27)の温度を制御するために、くぼみ(43)をもつ加熱体(42)および冷却ファン(44)を有することを特徴とする、態様Iに係る印刷ヘッド。
【0226】
XIV.3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システムで使用するための印刷ヘッドであって、アーム(46)に光重合ヘッドランプ(45)を備えることを特徴とする、態様Iに係る印刷ヘッド。
【0227】
XV.3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システムで使用するための印刷ヘッドであって、液体窒素噴霧ノズルを有することを特徴とする、態様Iに係る印刷ヘッド。
【0228】
XVI.3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システムで使用するための印刷ヘッドであって、混合物(27)を攪拌するために、サーボモータによって作動するウォームスクリュ(47)を搭載することを特徴とする、態様Iに係る印刷ヘッド。
【0229】
XVII.3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システムで使用するための印刷ヘッドであって、ウォームスクリュ(47)は、混合物(27)を圧縮するための折畳み可能なヘッド(48)を有し、該折畳み可能なヘッド(48)には、それぞれ溶媒の装入および空気の排出のための穴(49、50)が設けられていることを特徴とする、態様IおよびXVに係る印刷ヘッド。
【0230】
VXIII.3D印刷による錠剤、顆粒およびカプセルの生産システムで使用するための印刷ヘッドであって、1つ以上のノズル(37)を有することを特徴とする、態様Iに係る印刷ヘッド。
【0231】
VIX.3D印刷システムで使用するための印刷ベースであって、錠剤、顆粒およびカプセルを成形するための形作られた印刷位置(49)を有することを特徴とする、態様Iに係る印刷ベース。
【0232】
XX.3D印刷システムで使用するための印刷ベースであって、該ベース(6)上の物理的または強制的な空気流のための空気ダクト(50)を有することを特徴とする、態様Iに係る印刷ベース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
【手続補正書】
【提出日】2024-03-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルの薬剤オブジェクトを生産するためのシステムであって、
1以上の方向に移動可能な機械システム(3)と、
前記機械システム(3)によって移動可能な、ノズル(37)を有する少なくとも1つの印刷ヘッド(5)と、
前記印刷ヘッド(5)によって供給された調合された混合物(27)を受け取るための印刷ベース(6)を搭載するベースシステム(4)と、を有する3D印刷機(2)を備え、
前記システムは、印刷可能な物質を収容するカートリッジ(28)を保持するための少なくとも1つのキャリア(35)を備え、前記物質は、ゲルおよび/またはペーストである、
3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルの薬剤オブジェクトを生産するためのシステム。
【請求項2】
前記ノズル(37)は、前記物質の特性に応じて、前記物質の流れを制御するバルブを備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記バルブが、チェックバルブまたはオン/オフバルブである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
供給ラインを介した前記カートリッジ(28)と前記印刷ヘッド(5)との間の流体接続、または、前記カートリッジ(28)と前記印刷ヘッド(5)との間の直接の流体接続が確立されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項5】
前記カートリッジ(28)は、前記物質の粘度に応じて、異なる断面の端部(31)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項6】
前記カートリッジ(28)は、前記端部(31)において広い断面または狭い断面を有する、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルの薬剤オブジェクトを生産する方法であって、
(i)1以上の方向に移動可能な機械システム(3)と、前記機械システム(3)によって移動可能な、ノズル(37)を有する少なくとも1つの印刷ヘッド(5)と、前記印刷ヘッド(5)によって供給された調合された混合物(27)を受け取るための印刷ベース(6)を搭載するベースシステム(4)と、を有する3D印刷機(2)を備えるシステムであって、前記システムは、カートリッジ(28)を保持するための少なくとも1つのキャリア(35)を備える、システムを提供するステップと、
(ii)前記カートリッジ(28)を印刷可能な物質で充填するステップであって、前記物質は、ゲルおよび/またはペーストである、ステップと、
(iii)前記薬剤オブジェクトを3D印刷するステップと、
を含む、3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルの薬剤オブジェクトを生産する方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルの薬剤オブジェクトを生産するためのシステムであって、
1以上の方向に移動可能な機械システム(3)と、
前記機械システム(3)によって移動可能な、ノズル(37)を有する少なくとも1つの印刷ヘッド(5)と、
前記印刷ヘッド(5)によって供給された調合された混合物(27)を受け取るための印刷ベース(6)を搭載するベースシステム(4)と、を有する3D印刷機(2)を備え、
前記システムは、印刷可能な物質を収容するカートリッジ(28)を保持するための少なくとも1つのキャリア(35)を備え、前記物質は、ゲルおよび/またはペーストである、
3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルの薬剤オブジェクトを生産するためのシステム。
【請求項2】
前記ノズル(37)は、前記物質の特性に応じて、前記物質の流れを制御するバルブを備えている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記バルブが、チェックバルブまたはオン/オフバルブである、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
供給ラインを介した前記カートリッジ(28)と前記印刷ヘッド(5)との間の流体接続、または、前記カートリッジ(28)と前記印刷ヘッド(5)との間の直接の流体接続が確立されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項5】
前記カートリッジ(28)は、前記物質の粘度に応じて、異なる断面の端部(31)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項6】
前記カートリッジ(28)は、前記端部(31)において広い断面または狭い断面を有する、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記印刷ベース(6)は、前記薬剤オブジェクトを成形するための1つ以上の形作られた印刷位置(49)を含む、請求項1から6までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項8】
前記形作られた印刷位置(49)は、凸状のくぼみである、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記形作られた印刷位置(49)はブリスタを受け入れるように適合されており、これにより、前記薬剤オブジェクトは、前記ブリスタ内に直接印刷することができる、請求項7記載のシステム。
【請求項10】
密封膜またはフィルムを適用して、前記印刷が完了した後に前記ブリスタを密封するための閉鎖装置を備えている、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記密封が完了した後に、密封された前記ブリスタをラベリングするためのラベリング装置を備えている、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルの薬剤オブジェクトを生産する方法であって、
(i)1以上の方向に移動可能な機械システム(3)と、前記機械システム(3)によって移動可能な、ノズル(37)を有する少なくとも1つの印刷ヘッド(5)と、前記印刷ヘッド(5)によって供給された調合された混合物(27)を受け取るための印刷ベース(6)を搭載するベースシステム(4)と、を有する3D印刷機(2)を備えるシステムであって、前記システムは、カートリッジ(28)を保持するための少なくとも1つのキャリア(35)を備える、システムを提供するステップと、
(ii)前記カートリッジ(28)を印刷可能な物質で充填するステップであって、前記物質は、ゲルおよび/またはペーストである、ステップと、
(iii)前記薬剤オブジェクトを3D印刷するステップと、
を含む、3D印刷により錠剤、顆粒およびカプセルの薬剤オブジェクトを生産する方法。
【請求項13】
前記印刷ベース(6)は、ブリスタを受け入れるように適合された1つ以上の形作られた印刷位置(49)を含み、これにより、ステップ(iii)において、前記薬剤オブジェクトが、前記ブリスタ内に直接印刷できる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記システムは、密封膜またはフィルムを適用するための閉鎖装置をさらに備えており、これにより、ステップ(iii)の後に、前記ブリスタを密封するステップがさらに続く、請求項13記載の方法。
【請求項15】
密封された前記ブリスタをラベリングするためのラベリング装置をさらに備えており、これにより、前記ブリスタを密封するステップの後に、密封された前記ブリスタをラベリングするステップがさらに続く、請求項14記載の方法。
【外国語明細書】