(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073626
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】ネガ型感光性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/033 20060101AFI20240522BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20240522BHJP
G02B 1/04 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
G03F7/033
G03F7/027 502
G02B1/04
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024043870
(22)【出願日】2024-03-19
(62)【分割の表示】P 2020540172の分割
【原出願日】2019-07-30
(31)【優先権主張番号】P 2018162055
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 朋哉
(72)【発明者】
【氏名】安達 勲
【テーマコード(参考)】
2H225
【Fターム(参考)】
2H225AC34
2H225AC35
2H225AC63
2H225AD02
2H225AD06
2H225AM13P
2H225AM23P
2H225AM32P
2H225AN38P
2H225AN39P
2H225BA01P
2H225BA32P
2H225CA19
2H225CB06
2H225CC01
2H225CC13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】新規なネガ型感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)下記のアルカリ可溶性ポリマー、(B)アクリロイルオキシ基等の重合性基を1分子中に2つ以上有する少なくとも2種の架橋性化合物であり(A)成分100質量%に対し80質量%乃至90質量%、(C)光重合開始剤であり(B)成分の総量100質量%に対し3質量%乃至20質量%、及び溶剤を含有するマイクロレンズ形成用ネガ型感光性樹脂組成物。
(A):カルボキシル基を有するモノマー等のアルカリ可溶性基を有するモノマーと、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、N-置換マレイミド化合物、アクリロニトリル化合物、アクリルアミド化合物、メタクリルアミド化合物、スチレン化合物及びビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む前記モノマーとは異なるモノマーとの、三元共重合体である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分、該(A)成分100質量%に対し80質量%乃至90質量%の下記(B)成分、該(B)成分の総量100質量%に対し3質量%乃至20質量%の下記(C)成分、及び溶剤を含有するマイクロレンズ形成用ネガ型感光性樹脂組成物。
(A):カルボキシル基を有するモノマー、フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマー、酸無水物基を有するモノマー、及びマレイミド基を有するモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むアルカリ可溶性基を有するモノマーと、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、N-置換マレイミド化合物、アクリロニトリル化合物、アクリルアミド化合物、メタクリルアミド化合物、スチレン化合物及びビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む前記モノマーとは異なるモノマーとの、三元共重合体である、アルカリ可溶性ポリマー
(B):アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アリル基及びビニル基からなる群から選ばれる重合性基を1分子中に2つ以上有する少なくとも2種の架橋性化合物
(C):少なくとも1種の光重合開始剤
【請求項2】
前記アルカリ可溶性基を有するモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、及びマレイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載のマイクロレンズ形成用ネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記少なくとも2種の架橋性化合物は、前記重合性基を1分子中に2つ有する架橋性化合物、及び前記重合性基を1分子中に3つ以上有する架橋性化合物を含み、
前記重合性基を1分子中に3つ以上有する架橋性化合物は前記重合性基の数が異なる2種以上の架橋性化合物の組み合わせである、請求項1又は請求項2に記載のマイクロレンズ形成用ネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のマイクロレンズ形成用ネガ型感光性樹脂組成物から得られるマイクロレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ可溶性ポリマー、少なくとも2種の架橋性化合物、少なくとも1種の光重合開始剤、及び溶剤を含有するネガ型感光性樹脂組成物に関するものである。特に、マイクロレンズ形成用のネガ型感光性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、CCD/CMOSイメージセンサ等の電子デバイスには集光効率を向上させるためにマイクロレンズが設けられている。CCD/CMOSイメージセンサ用マイクロレンズの作製方法の1つとして、エッチバック法が知られている(特許文献1及び特許文献2)。すなわち、カラーフィルター上に形成したマイクロレンズ用樹脂層上にレジストパターンを形成し、熱処理によってこのレジストパターンをリフローしてレンズパターンを形成する。このレジストパターンをリフローして形成したレンズパターンをエッチングマスクとして、下層のマイクロレンズ用樹脂層をエッチバックし、レンズパターン形状をマイクロレンズ用樹脂層に転写することによってマイクロレンズを作製する。このようなマイクロレンズには、耐薬品性、高透明性などの諸特性が求められる。
【0003】
また、CCD/CMOSイメージセンサ、液晶ディスプレイ、及び有機ELディスプレイなどの電子デバイス素子上の任意の箇所のみに膜をパターン形成する場合、フォトリソグラフィー性が求められる。このような感光性材料には、低露光量でパターンを形成できること(感度特性)、及びアルカリ現像後の残渣の発生を抑制できることが求められる。
【0004】
ところで、マレイミド系共重合体を含有するマイクロレンズ形成用感光性樹脂組成物(特許文献3)、トリアジン骨格を含有するポジ型レジスト組成物(特許文献4)が提案されている。しかし、これら特許文献は、上記諸特性、特に耐溶剤性を満たすために、100℃を超える、例えば140℃乃至260℃の高温加熱を要するものであり、100℃以下の低温加熱で前記特性を満たすものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1-10666号公報
【特許文献2】特開平6-112459号公報
【特許文献3】特許第5867735号公報
【特許文献4】特許第5673963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明では、前記の事情に基づいてなされたものであり、その解決しようとする課題は、100℃のベーク温度で得られる膜が、高透明性、耐溶剤性、感度特性、及び未露光部の残渣を著しく改善することができる、ネガ型感光性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記の課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記(A)成分、該(A)成分100質量%に対し80質量%乃至90質量%の下記(B)成分、該(B)成分の総量100質量%に対し3質量%乃至20質量%の下記(C)成分、及び溶剤を含有するネガ型感光性樹脂組成物である。
(A):アルカリ可溶性ポリマー
(B):アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アリル基及びビニル基からな
る群から選ばれる重合性基を1分子中に2つ以上有する少なくとも2種の架橋性化合物
(C):少なくとも1種の光重合開始剤
【0008】
前記少なくとも2種の架橋性化合物は、例えば、前記重合性基としてアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を1分子中に2つ有する架橋性化合物、及び前記重合性基としてアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を1分子中に3つ以上有する架橋性化合物を含む。
【0009】
前記アルカリ可溶性ポリマーは、例えば、記式(1a)、式(1b)、式(1c)、式(1d)及び式(1e)からなる群から選ばれる構造単位を有する。
【化1】
(式中、R
1は水素原子又はメチル基を表し、Aは-O-基又は-NH-基を表し、Xは単結合、炭素原子数1乃至3のアルキレン基、又は炭素原子数1乃至3のアルキレンオキシ基を含む二価の連結基を表し、Z
1はヒドロキシフェニル基又はカルボキシフェニル基を表し、Z
2はヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基又はカルボキシル基を表し、Z
3は水素原子、ヒドロキシフェニル基又はカルボキシフェニル基を表す。)
前記二価の連結基は、例えば、前記炭素原子数1乃至3のアルキレンオキシ基、又は該炭素原子数1乃至3のアルキレンオキシ基が2つ以上結合した基を表す。
【0010】
前記アルカリ可溶性ポリマーは、例えば、前記構造単位とは異なる下記式(2a)、式(2b)及び式(2c)からなる群から選ばれる構造単位をさらに有する共重合体である。
【化2】
(式中、R
1は水素原子又はメチル基を表し、Aは-O-基又は-NH-基を表し、Xは単結合、炭素原子数1乃至3のアルキレン基、又は炭素原子数1乃至3のアルキレンオキシ基を含む二価の連結基を表し、Z
4は炭素原子数1乃至3の直鎖状の有機基、又は炭素原子数3乃至14の分岐鎖状もしくは環状の有機基を表す。)
【0011】
前記二価の連結基は、例えば、前記炭素原子数1乃至3のアルキレンオキシ基、又は該炭素原子数1乃至3のアルキレンオキシ基が2つ以上結合した基を表す。前記有機基は、窒素原子、酸素原子等のヘテロ原子を少なくとも1つ有してもよく、2つの炭素原子の間又は炭素原子とヘテロ原子との間に二重結合又は三重結合を有してもよい。前記環状の有機基としては、例えば、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、橋架け環炭化水素基、複素環基が挙げられる。
【0012】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、例えばマイクロレンズ形成用である。
すなわち本願明細書には、下記[1]~[4]の発明の態様も包含されている。
[1]下記(A)成分、該(A)成分100質量%に対し80質量%乃至90質量%の下記(B)成分、該(B)成分の総量100質量%に対し3質量%乃至20質量%の下記(C)成分、及び溶剤を含有するマイクロレンズ形成用ネガ型感光性樹脂組成物。
(A):カルボキシル基を有するモノマー、フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマー、酸無水物基を有するモノマー、及びマレイミド基を有するモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むアルカリ可溶性基を有するモノマーと、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、N-置換マレイミド化合物、アクリロニトリル化合物、アクリルアミド化合物、メタクリルアミド化合物、スチレン化合物及びビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む前記モノマーとは異なるモノマーとの、三元共重合体である、アルカリ可溶性ポリマー
(B):アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アリル基及びビニル基からなる群から選ばれる重合性基を1分子中に2つ以上有する少なくとも2種の架橋性化合物
(C):少なくとも1種の光重合開始剤
[2]前記アルカリ可溶性基を有するモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、及びマレイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]に記載のマイクロレンズ形成用ネガ型感光性樹脂組成物。
[3]前記少なくとも2種の架橋性化合物は、前記重合性基を1分子中に2つ有する架橋性化合物、及び前記重合性基を1分子中に3つ以上有する架橋性化合物を含み、
前記重合性基を1分子中に3つ以上有する架橋性化合物は前記重合性基の数が異なる2種以上の架橋性化合物の組み合わせである、[1]又は[2]に記載のマイクロレンズ形成用ネガ型感光性樹脂組成物。
[4][1]乃至[3]のいずれか一に記載のマイクロレンズ形成用ネガ型感光性樹脂組
成物から得られるマイクロレンズ。
【0013】
本発明はまた、前記ネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、プリベークして樹脂膜を形成する工程、マスクを通して前記樹脂膜を露光する工程、前記露光後の樹脂膜をアルカリ性現像液を用いて現像する工程、及び前記現像後の樹脂膜の全面を露光する工程を有する、マイクロレンズの作製方法である。
【0014】
前記現像後の樹脂膜の全面を露光する工程の後又は該工程の前に、該樹脂膜をポストベークする工程をさらに有してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性ポリマー、少なくとも2種の架橋性化合物、及び少なくとも1種の光重合開始剤の添加量を最適化することにより、該組成物を用いて100℃のベーク温度で得られる膜は、高透明であり、かつ高感度で、未露光部の残渣は少なく、溶剤耐性にも優れたものとすることができる。したがって、本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、マイクロレンズを形成する材料として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、(A)成分、該(A)成分100質量%に対し80質量%乃至90質量%の(B)成分、該(B)成分の総量100質量%に対し3質量%乃至20質量%の(C)成分、及び溶剤を含有するネガ型感光性樹脂組成物である。以下、本発明の各成分の詳細を説明する。本発明のネガ型感光性樹脂組成物から溶剤を除いた固形分は、通常、1質量%乃至50質量%である。本明細書において、溶剤を除く本発明のネガ型感光性樹脂組成物の成分を、固形分と定義する。
【0017】
<(A)成分>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物における(A)成分はアルカリ可溶性ポリマーである。該ポリマーは、アルカリ可溶性基を有するモノマー及び任意でその他モノマーを含む原料モノマーの重合体である。(A)成分のアルカリ可溶性ポリマーは、アルカリ可溶性基を有すればよく、該ポリマーを構成する高分子の主鎖の骨格及び側鎖の種類などについて特に限定されない。前記アルカリ可溶性ポリマーの重量平均分子量は例えば、1000乃至50000であり、好ましくは3000乃至40000である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準試料としてポリスチレンを用いて得られる値である。
【0018】
前記アルカリ可溶性基を有するモノマーとしては、例えば、カルボキシル基を有するモノマー、フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマー、酸無水物基を有するモノマー、マレイミド基を有するモノマーが挙げられる。
【0019】
前記カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、モノ-(2-(アクリロイルオキシ)エチル)フタレート、モノ-(2-(メタクリロイルオキシ)エチル)フタレート、N-(カルボキシフェニル)マレイミド、N-(カルボキシフェニル)メタクリルアミド、N-(カルボキシフェニル)アクリルアミド、4-ビニル安息香酸が挙げられる。
【0020】
前記フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、ヒドロキシスチレン、N-(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N-(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N-(ヒドロキシフェニル)マレイミドが挙げられる。
【0021】
前記酸無水物基を有するモノマーとしては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸が
挙げられる。
【0022】
前記マレイミド基を有するモノマーとしては、例えば、前述のN-(カルボキシフェニル)マレイミド及びN-(ヒドロキシフェニル)マレイミド、マレイミドが挙げられる。
【0023】
前記アルカリ可溶性基を有するモノマーの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、及びマレイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むモノマーの重合体であることが好ましい。
【0024】
また、(A)成分のアルカリ可溶性ポリマーは、前記アルカリ可溶性基を有するモノマーとその他モノマーとの共重合体であってもよい。該共重合体は、2種のモノマーから得られるコポリマーに限定されず、3種のモノマーから得られるターポリマー(三元共重合体)であってもよい。前記その他モノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、N-置換マレイミド化合物、アクリロニトリル化合物、アクリルアミド化合物、メタクリルアミド化合物、スチレン化合物及びビニル化合物が挙げられる。以下、前記その他モノマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
前記アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、2-メチル-2-アダマンチルアクリレート、2-プロピル-2-アダマンチルアクリレート、8-メチル-8-トリシクロデシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、カプロラクトン2-(アクリロイルオキシ)エチルエステル、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、5-アクリロイルオキシ-6-ヒドロキシノルボルネン-2-カルボキシリック-6-ラクトン、アクリロイルオキシエチルイソシアネート、8-エチル-8-トリシクロデシルアクリレート、グリシジルアクリレートが挙げられる。
【0026】
前記メタクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、3-メトキシブチルメタクリレート、2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート、γ-ブチロラクトンメタクリレート、2-プロピル-2-アダマンチルメタクリレート、8-メチル-8-トリシクロデシルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、カプロラクトン2-(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート、5-メタクリロイルオキシ-6-ヒドロキシノルボルネン-2-カルボキシリック-6-ラクトン、メタクリロイルオキシエチル
イソシアネート、8-エチル-8-トリシクロデシルメタクリレート、グリシジルメタクリレートが挙げられる。
【0027】
前記ビニル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルビフェニル、ビニルカルバゾール、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、プロピルビニルエーテルが挙げられる。
【0028】
前記スチレン化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレンが挙げられる。
【0029】
前記N-置換マレイミド化合物としては、例えば、N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドが挙げられる。
【0030】
前記アクリロニトリル化合物としては、例えば、アクリロニトリルが挙げられる。
【0031】
なお、アルカリ可溶性基を有するモノマーとその他モノマーとの仕込み比としては、アルカリ可溶性基を有するモノマー/その他モノマー=5乃至50質量%/50乃至95質量%とすることが好ましい。その他モノマーに対するアルカリ可溶性基を有するモノマーの仕込み比が少なすぎる場合、未露光部が現像液に溶解せず残膜や残渣の原因となりやすい。またその他モノマーに対するアルカリ可溶性基を有するモノマーの仕込み比が多すぎる場合、露光部の硬化性が不足しパターンが形成できない可能性がある。
【0032】
(A)成分のアルカリ可溶性ポリマーを得る方法は特に限定されないが、一般的には、上述したアルカリ可溶性基を有するモノマーを含む原料モノマーを、重合溶剤中、通常50℃乃至110℃の温度で重合反応させることにより得られる。
【0033】
前記方法により得られるアルカリ可溶性ポリマーは、前記式(1a)、式(1b)、式(1c)、式(1d)及び式(1e)からなる群から選ばれる構造単位を有する。該アルカリ可溶性ポリマーは、前記構造単位とは異なる前記式(2a)、式(2b)及び式(2c)からなる群から選ばれる構造単位をさらに有することができる。
【0034】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物における(A)成分の含有量は、該組成物の固形分中の含有量に基づいて通常、48質量%乃至55質量%である。
【0035】
<(B)成分>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物における(B)成分は、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アリル基及びビニル基からなる群から選ばれる重合性基を1分子中に2つ以上有する少なくとも2種の架橋性化合物である。(B)成分として、該重合性基を1分子中に2つ有する架橋性化合物と、該重合性基を1分子中に3つ以上有する架橋性化合物との組み合わせが好ましい。該重合性基は、架橋性化合物の分子末端に存在する。
【0036】
(B)成分の架橋性化合物は、本発明のネガ型感光性樹脂組成物の他の成分との相溶性が良好で、且つ現像性に影響を与えないという観点から、重量平均分子量が200乃至1,000の化合物が好ましい。
【0037】
前記架橋性化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-S-トリアジン、1,3,5-トリメタクリロイルヘキサヒドロ-S-トリアジン、トリス(ヒドロキシエチルアクリロイル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシエチルメタクリロイル)イソシアヌレート、トリアクリロイルホルマール、トリメタクリロイルホルマール、1,6-ヘキサンジオールアクリレート、1,6-ヘキサンジオールメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エタンジオールジアクリレート、エタンジオールジメタクリレート、2-ヒドロキシプロパンジオールジアクリレート、2-ヒドロキシプロパンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、イソプロピレングリコールジアクリレート、イソプロピレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、N,N’-ビス(アクリロイル)システイン、N,N’-ビス(メタクリロイル)システイン、チオジグリコールジアクリレート、チオジグリコールジメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、ビスフェノールFジメタクリレート、ビスフェノールSジアクリレート、ビスフェノールSジメタクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジメタクリレート、ジアリルエーテルビスフェノールA、o,o’-ジアリルビスフェノールA、マレイン酸ジアリル、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0038】
前記架橋性化合物は、市販品として容易に入手が可能であり、例えば、KAYARAD(登録商標)T-1420、同DPHA、同DPHA-2C、同D-310、同D-330、同DPCA-20、同DPCA-30、同DPCA-60、同DPCA-120、同DN-0075、同DN-2475、同R-526、同NPGDA、同PEG400DA、同MANDA、同R-167、同HX-220、同HX620、同R-551、同R-712、同R-604、同R-684、同GPO-303、同TMPTA、同THE-330、同TPA-320、同TPA-330、同PET-30、同RP-1040(以上、日本化薬(株)製);アロニックス(登録商標)M-210、同M-208、同M-211B、同M-215、同M-220、同M-225、同M-270、同M-240、同M-6100、同M-6250、同M-6500、同M-6200、同M-309、同M-310、同M-321、同M-350、同M-360、同M-313、同M-315、同M-306、同M-303、同M-452、同M-408、同M-403、同M-400、同M-402、同M-405、同M-406、同M-450、同M-460、同M-510、同M-520、同M-1100、同M-1200、同M-6100、同M-6200、同M-6250、同M-6500、同M-7100、同M8030、同M8060、同M8100、同M8530、同M-8560、同M9050(以上、東亞合成(株)製);ビスコート295、同300、同360、同GPT、同3PA、同400、同260、同312、同335HP、同700(以上、大阪有機化学工業(株)製);A-200、A-400、A-600、A-1000、AB1206PE、ABE-300、A-BPE-10、A-BPE-20、A-BPE-30、A-BPE-4、A-BPEF、A-BPP-3、A-DCP、A-DOD-N、A-HD-N、A-NOD-N、APG-100、APG-200、APG-400、APG-700、A-PTMG-65、A-9300、A-9300-1CL、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、A-TMPT、AD-TMP、ATM-35E、A-TMMT、A-9550、A-DPH、TMPT、9PG、701A、1206PE、NPG、NOD-N、HD-N、DOD-N、DCP、BPE-1300
N、BPE-900、BPE-200、BPE-100、BPE-80N、23G、14G、9G、4G、3G、2G、1G(以上、新中村化学工業(株)製);ライトエステルEG、同2EG、同3EG、同4EG、同9EG、同14EG、同1.4BG、同NP、同1.6HX、同1.9ND、同G-101P、同G-201P、同DCP-M、同BP-2EMK、同BP-4EM、同BP-6EM、同TMP、ライトアクリレート3EG-A、同4EG-A、同9EG-A、同14EG-A、同PTMGA-250、同NP-A、同MPD-A、同1.6HX-A、同1.9ND-A、同MOD-A、同DCP-A、同BP-4PA、同BA-134、同BP-10EA、同HPP-A、同G-201P、同TMP-A、同TMP-3EO-A、同TMP-6EO-3A、同PE-3A、同PE-4A、同DPE-6A、エポキシエステル40EM、同70PA、同200PA、同80MFA、同3002M、同3002A、同3000MK、同3000A、同EX-0205、AH-600、AT-600、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、UF-8001G、DAUA-167(共栄社化学(株)製);EBECRYL(登録商標)TPGDA、同145、同150、同PEG400DA、同11、同HPNDA、同PETIA、同PETRA、同TMPTA、同TMPEOTA、同OTA480、同DPHA、同180、同40、同140、同204、同205、同210、同215、同220、同6202、同230、同244、同245、同264、同265、同270、同280/15IB、同284、同285、同294/25HD、同1259、同KRM8200、同4820、同4858、同5129、同8210、同8301、同8307、同8402、同8405、同8411、同8804、同8807、同9260、同9270、同KRM7735、同KRM8296、同KRM8452、同8311、同8701、同9227EA、同80、同436、同438、同446、同450、同505、同524、同525、同770、同800、同810、同811、同812、同1830、同846、同851、同852、同853、同1870、同884、同885、同600、同605、同645、同648、同860、同1606、同3500、同3608、同3700、同3701、同3702、同3703、同3708、同6040(ダイセル・オルネクス(株)製);SR212、SR213、SR230、SR238F、SR259、SR268、SR272、SR306H、SR344、SR349、SR508、CD560、CD561、CD564、SR601、SR602、SR610、SR833S、SR9003、CD9043、SR9045、SR9209、SR205、SR206、SR209、SR210、SR214、SR231、SR239、SR248、SR252、SR297、SR348、SR480、CD540、CD541、CD542、SR603、SR644、SR9036、SR351S、SR368、SR415、SR444、SR454、SR492、SR499、CD501、SR502、SR9020、CD9021、SR9035、SR350、SR295、SR355、SR399、SR494、SR9041(Sartomer社製)を挙げることができる。
【0039】
(B)成分の架橋性化合物は2種以上を組み合わせて用いる。2種以上の組み合わせとして、重合性基を1分子中に2つ有する架橋性化合物及び重合性基を1分子中に3つ以上有する架橋性化合物が好ましい。該重合性基を1分子中に3つ以上有する架橋性化合物としては、重合性基の数が異なる2種以上の架橋性化合物の組み合わせであってもよい。また、該重合性基として、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。
【0040】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量%に対し80質量%乃至90質量%である。
【0041】
<(C)成分>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物における(C)成分は、少なくとも1種の光重合開始剤である。(C)成分の光重合開始剤は、光硬化時に使用する光源に吸収をもつものであれ
ば、特に限定されるものではない。
【0042】
前記光重合開始剤としては、例えば、tert-ブチルペルオキシ-iso-ブチレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルジオキシ)ヘキサン、1,4-ビス[α-(tert-ブチルジオキシ)-iso-プロポキシ]ベンゼン、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルジオキシ)ヘキセンヒドロペルオキシド、α-(iso-プロピルフェニル)-iso-プロピルヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、1,1-ビス(tert-ブチルジオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルジオキシ)バレレート、シクロヘキサノンペルオキシド、2,2’,5,5’-テトラ(tert-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(tert-アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’-ビス(tert-ブチルペルオキシカルボニル)-4,4’-ジカルボキシベンゾフェノン、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ-tert-ブチルジペルオキシイソフタレート等の有機過酸化物;9,10-アントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-クロロアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチル、ベンゾインエチルエーテル、α-メチルベンゾイン、α-フェニルベンゾイン等のベンゾイン誘導体;2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-[4-{4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)ベンジル}-フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン等のアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合物;2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン等のオキシムエステル系化合物が挙げられる。
【0043】
前記光重合開始剤は、市販品として入手が可能であり、例えば、OMNIRAD(登録商標)651、同184、同500、同2959、同127、同754、同907、同369、同379、同379EG、同819、同819DW、同1700、同1870、同784、同1173、同MBF、同4265、同TPO(以上、IGM Resins社製)[旧IRGACURE(登録商標)651、同184、同500、同2959、同127、同754、同907、同369、同379、同379EG、同819、同819DW、同1700、同1870、同784、同1173、同MBF、同4265、同TPO(以上、BASFジャパン(株)製)]、IRGACURE(登録商標)1800、同OXE01、同OXE02(以上、BASFジャパン(株)製)、KAYACURE(登録商標)DETX、同MBP、同DMBI、同EPA、同OA(以上、日本化薬(株)製)、VICURE-10、同55(以上、STAUFFER Co.LTD製)、ESACURE(登録商標)KIP150、同TZT、同1001、同KTO46、同KB1、同KL200、同KS300、同EB3、トリアジン-PMS、トリアジンA、トリアジンB(以上、DKSHジャパン(株)製)、アデカオプトマーN-1717、同N-1414
、同N-1606((株)ADEKA製)が挙げられる。
【0044】
(C)成分の光重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0045】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物における(C)成分の含有量は、(B)成分の総量100質量%に対して3質量%乃至20質量%である。
【0046】
<溶剤>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は溶剤を含む。該溶剤としては、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を溶解するものであれば特に限定されない。
【0047】
前記溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトンを挙げることができる。
【0048】
前記溶剤の中でも、塗膜のレベリング性の向上の観点より、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2-ヘプタノン、乳酸エチル、乳酸ブチル及びシクロヘキサノンが好ましい。
【0049】
前記溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
<界面活性剤>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、塗布性を向上させる目的で、界面活性剤を含有することもできる。該界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF352(以上、三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック(登録商標)F-171、同F-173、同R-30、同R-40、同R-40-LM(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431(以上、スリーエムジャパン(株)製)、アサヒガード(登録商標)AG710、サーフロン(登録商標)S-382、同SC
101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(AGC(株)製)、FTX-206D、FTX-212D、FTX-218、FTX-220D、FTX-230D、FTX-240D、FTX-212P、FTX-220P、FTX-228P、FTX-240G等フタージェントシリーズ((株)ネオス製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)を挙げることができる。
【0051】
前記界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、前記界面活性剤が使用される場合、本発明のネガ型感光性樹脂組成物におけるその含有量は、該組成物の固形分中の含有量に基づいて、3質量%以下、例えば0.0001質量%乃至3質量%であり、好ましくは0.001質量%乃至1質量%であり、より好ましくは0.01質量%乃至0.5質量%である。
【0052】
<その他添加剤>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、硬化助剤、紫外線吸収剤、増感剤、可塑剤、酸化防止剤、密着助剤、又は多価フェノール、多価カルボン酸等の溶解促進剤をその他添加剤として含むことができる。
【0053】
<組成物の調製方法>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物の調製方法は、特に限定されないが、例えば、(A)成分のアルカリ可溶性ポリマーを前記溶剤に溶解し、得られた溶液に、(B)成分の架橋性化合物及び(C)成分の光重合開始剤を所定の割合で混合し、均一な溶液とする方法が挙げられる。さらに、この調製方法の適当な段階において、必要に応じて、前記その他添加剤を更に添加して混合する方法が挙げられる。
【0054】
<ネガ型感光性樹脂組成物の使用>
基板[例えば、酸化珪素膜で被覆されたシリコン等の半導体基板、窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜で被覆されたシリコン等の半導体基板、窒化珪素基板、石英基板、ガラス基板(無アルカリガラス、低アルカリガラス、結晶化ガラスを含む)、酸化インジウムスズ(ITO)膜が形成されたガラス基板]上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明のネガ型感光性樹脂組成物を塗布し、その後、ホットプレート等の加熱手段を用いてプリベークすることにより、塗膜を形成する。
【0055】
前記プリベーク条件としては、ベーク温度80℃乃至150℃、ベーク時間0.3分乃至60分間の中から適宜選択され、好ましくは、ベーク温度80℃乃至100℃、ベーク時間0.5分乃至5分間である。
【0056】
また、本発明のネガ型感光性樹脂組成物から形成される膜の膜厚としては、例えば0.005μm乃至20μmであり、好ましくは0.01μm乃至15μmである。
【0057】
次に、得られた前記膜上に、所定のパターンを形成するためのマスク(レチクル)を通して露光を行う。露光には、例えば、g線、i線、KrFエキシマレーザーを使用することができる。露光後、必要に応じて露光後加熱(Post Exposure Bake)が行なわれる。露光後加熱の条件としては、加熱温度80℃乃至100℃、加熱時間0.3分乃至60分の中から適宜選択される。そして、アルカリ性現像液で現像する。
【0058】
前記アルカリ性現像液としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリン等の水酸化四級アンモニウムの水溶液、エタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミン等のアミン水溶液、等のアルカリ性水溶液を挙げることができる。
さらに、これらの現像液に界面活性剤を加えることもできる。
【0059】
現像の条件としては、現像温度5℃乃至50℃、現像時間10秒乃至300秒から適宜選択される。本発明のネガ型感光性樹脂組成物から形成される膜は、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、室温で容易に現像を行うことができる。現像後、リンス液として例えば超純水を用いて、適宜リンスを行う。
【0060】
その後、例えば、g線、i線又はKrFエキシマレーザーを用い、現像後の膜を全面露光する。さらに、全面露光の前又は後に、現像後の膜に対しホットプレート等の加熱手段を用いてポストベークを行ってもよい。ポストベーク条件として例えば、ベーク温度80℃乃至100℃、ベーク時間0.5分乃至60分間の中から適宜選択される。
【実施例0061】
以下、合成例及び実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0062】
[重量平均分子量の測定]
装置:日本分光(株)製GPCシステム
カラム:Shodex〔登録商標〕GPC KF-804L及びGPC KF-803Lカラムオーブン:40℃
流量:1ml/分
溶離液:テトラヒドロフラン
標準資料:ポリスチレン
【0063】
[合成例1]
メタクリル酸60g、メタクリル酸メチル240g、及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリル7.6gをプロピレングリコールモノメチルエーテル132gに溶解させた後、この溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテル440gを70℃に保持したフラスコ中に3時間かけて滴下した。滴下終了後、18時間反応させることにより、下記式(1b-1)で表される構造単位及び下記式(2a-1)で表される構造単位を有するアルカリ可溶性ポリマー(共重合体)の溶液(固形分濃度35質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは35,000(ポリスチレン換算)であった。
【化3】
【0064】
[合成例2]
メタクリル酸61g、メタクリル酸メチル122g、スチレン122g、及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリル7.6gをプロピレングリコールモノメチルエーテル134gに溶解させた後、この溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテル446gを70℃に保持したフラスコ中に3時間かけて滴下した。滴下終了後、18時間反応させることにより、下記式(1b-1)で表される構造単位、下記式(2a-1)で表される構造単位及び下記式(2b-1)で表される構造単位を有するアルカリ可溶性ポリマー(三元共重合体)の溶液(固形分濃度35質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは35,000(ポリスチレン換算)であった。
【化4】
【0065】
[実施例1]
合成例1で得られた(A)成分であるアルカリ可溶性ポリマーの溶液(固形分濃度35質
量%)19.7g、(B)成分である架橋性化合物としてPET-30(日本化薬(株)製)3.4g及びABE-300(新中村化学工業(株)製)2.1g、(C)成分である光重合開始剤としてIRGACURE(登録商標)OXE01(BASFジャパン(株)製)0.21g及びOMNIRAD(登録商標)184(IGM Resins社製)[旧IRGACURE(登録商標)184(BASFジャパン(株)製)]0.62g、並びに界面活性剤としてDFX-18(ネオス(株)製)0.0040gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル5.6g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18.4gに溶解させ溶液とした。その後、孔径1μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0066】
[実施例2]
合成例1で得られた(A)成分であるアルカリ可溶性ポリマーの溶液(固形分濃度35質量%)19.6g、(B)成分である架橋性化合物としてPET-30(日本化薬(株)製)4.1g及びABE-300(新中村化学工業(株)製)2.1g、(C)成分である光重合開始剤としてIRGACURE(登録商標)OXE01(BASFジャパン(株)製)0.21g、並びに界面活性剤としてDFX-18(ネオス(株)製)0.0040gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル5.6g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18.4gに溶解させ溶液とした。その後、孔径1μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0067】
[実施例3]
合成例1で得られた(A)成分であるアルカリ可溶性ポリマーの溶液(固形分濃度35質量%)18.8g、(B)成分である架橋性化合物としてPET-30(日本化薬(株)製)3.9g及びABE-300(新中村化学工業(株)製)2.0g、(C)成分である光重合開始剤としてIRGACURE(登録商標)OXE01(BASFジャパン(株)製)0.20g及びOMNIRAD(登録商標)184(IGM Resins社製)[旧IRGACURE(登録商標)184(BASFジャパン(株)製)]0.59g、並びに界面活性剤としてDFX-18(ネオス(株)製)0.0040gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.2g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18.4gに溶解させ溶液とした。その後、孔径1μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0068】
[実施例4]
合成例2で得られた(A)成分であるアルカリ可溶性ポリマーの溶液(固形分濃度35質量%)23.7g、(B)成分である架橋性化合物としてPET-30(日本化薬(株)製)5.0g及びABE-300(新中村化学工業(株)製)2.5g、(C)成分である光重合開始剤としてIRGACURE(登録商標)OXE01(BASFジャパン(株)製)0.25g及びOMNIRAD(登録商標)184(IGM Resins社製)[旧IRGACURE(登録商標)184(BASFジャパン(株)製)]0.75g、並びに界面活性剤としてDFX-18(ネオス(株)製)0.0050gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル1.2g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート16.6gに溶解させ溶液とした。その後、孔径1μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0069】
[比較例1]
合成例1で得られた(A)成分であるアルカリ可溶性ポリマーの溶液(固形分濃度35質量%)20.8g、(B)成分である架橋性化合物としてPET-30(日本化薬(株)製)2.9g及びABE-300(新中村化学工業(株)製)2.2g、(C)成分である光重合開始剤としてIRGACURE(登録商標)OXE01(BASFジャパン(株)製)0.22g及びOMNIRAD(登録商標)184(IGM Resins社製)
[旧IRGACURE(登録商標)184(BASFジャパン(株)製)]0.65g、並びに界面活性剤としてDFX-18(ネオス(株)製)0.0040gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル4.9g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18.4gに溶解させ溶液とした。その後、孔径1μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してネガ型感光性樹脂組成物を調製した。本比較例のネガ型感光性樹脂組成物は、(B)成分の含有量が本発明の範囲外である。
【0070】
[比較例2]
合成例1で得られた(A)成分であるアルカリ可溶性ポリマーの溶液(固形分濃度35質量%)15.6g、(B)成分である架橋性化合物としてPET-30(日本化薬(株)製)3.3g及びABE-300(新中村化学工業(株)製)3.3g、(C)成分である光重合開始剤としてIRGACURE(登録商標)OXE01(BASFジャパン(株)製)1.3g、並びに界面活性剤としてDFX-18(ネオス(株)製)0.0040gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル8.3g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18.5gに溶解させ溶液とした。その後、孔径1μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してネガ型感光性樹脂組成物を調製した。本比較例のネガ型感光性樹脂組成物は、(B)成分の含有量が本発明の範囲外である。
【0071】
[比較例3]
合成例1で得られた(A)成分であるアルカリ可溶性ポリマーの溶液(固形分濃度35質量%)24.5g、(B)成分である架橋性化合物としてPET-30(日本化薬(株)製)4.3g、(C)成分である光重合開始剤としてIRGACURE(登録商標)OXE01(BASFジャパン(株)製)0.13g、及び界面活性剤としてDFX-18(ネオス(株)製)0.0039gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル2.6g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18.5gに溶解させ溶液とした。その後、孔径1μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してネガ型感光性樹脂組成物を調製した。本比較例のネガ型感光性樹脂組成物は、(B)成分の含有量が本発明の範囲外であり、且つ該(B)成分は重合性基を1分子中に2つ有する架橋性化合物を含まない。
【0072】
[比較例4]
合成例1で得られた(A)成分であるアルカリ可溶性ポリマーの溶液(固形分濃度35質量%)23.2g、(B)成分である架橋性化合物としてPET-30(日本化薬(株)製)4.1g、(C)成分である光重合開始剤としてIRGACURE(登録商標)OXE01(BASFジャパン(株)製)0.8g、及び界面活性剤としてDFX-18(ネオス(株)製)0.0039gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.4g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18.5gに溶解させ溶液とした。その後、孔径1μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してネガ型感光性樹脂組成物を調製した。本比較例のネガ型感光性樹脂組成物は、(B)成分の含有量が本発明の範囲外であり、且つ該(B)成分は重合性基を1分子中に2つ有する架橋性化合物を含まない。
【0073】
[比較例5]
合成例1で得られた(A)成分であるアルカリ可溶性ポリマーの溶液(固形分濃度35質量%)19.5g、(B)成分である架橋性化合物としてPET-30(日本化薬(株)製)4.1g及びABE-300(新中村化学工業(株)製)2.0g、(C)成分である光重合開始剤としてIRGACURE(登録商標)OXE01(BASFジャパン(株)製)0.061g、並びに界面活性剤としてDFX-18(ネオス(株)製)0.0039gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル5.9g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18.5gに溶解させ溶液とした。その後、孔径1μmの
ポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してネガ型感光性樹脂組成物を調製した。本比較例のネガ型感光性樹脂組成物は、(C)成分の含有量が本発明の範囲外である。
【0074】
[比較例6]
合成例1で得られた(A)成分であるアルカリ可溶性ポリマーの溶液(固形分濃度35質量%)17.1g、(B)成分である架橋性化合物としてPET-30(日本化薬(株)製)3.6g及びABE-300(新中村化学工業(株)製)1.8g、(C)成分である光重合開始剤としてIRGACURE(登録商標)OXE01(BASFジャパン(株)製)1.6g、並びに界面活性剤としてDFX-18(ネオス(株)製)0.0039gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル7.4g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18.5gに溶解させ溶液とした。その後、孔径1μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してネガ型感光性樹脂組成物を調製した。本比較例のネガ型感光性樹脂組成物は、(C)成分の含有量が本発明の範囲外である。
【0075】
[比較例7]
合成例2で得られた(A)成分であるアルカリ可溶性ポリマーの溶液(固形分濃度35質量%)24.9g、(B)成分である架橋性化合物としてPET-30(日本化薬(株)製)5.3g、(C)成分である光重合開始剤としてIRGACURE(登録商標)OXE01(BASFジャパン(株)製)0.26g及びOMNIRAD(登録商標)184(IGM Resins社製)[旧IRGACURE(登録商標)184(BASFジャパン(株)製)]0.78g、並びに界面活性剤としてDFX-18(ネオス(株)製)0.0045gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル1.3g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート17.5gに溶解させ溶液とした。その後、孔径1μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過してネガ型感光性樹脂組成物を調製した。本比較例のネガ型感光性樹脂組成物は、(B)成分の含有量が本発明の範囲外であり、且つ該(B)成分は重合性基を1分子中に2つ有する架橋性化合物を含まない。
【0076】
[透過率測定]
実施例1乃至実施例4及び比較例1乃至比較例7で調製したネガ型感光性樹脂組成物をそれぞれ、石英基板上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において100℃で90秒間プリベークすることにより、表1に示す膜厚の樹脂膜を形成した。次いで、紫外線照射装置PLA-501(F)(キヤノン(株)製)により、365nmにおける照射量が1000mJ/cm2の紫外線を前記樹脂膜の全面に照射した。その後、前記樹脂膜をホットプレート上において100℃で5分間ポストベークした。さらに、バッチ式UV照射装置(高圧水銀灯2kW×1灯)(アイグラフィックス(株)製)により、365nmにおける露光量が1000mJ/cm2の紫外線を前記樹脂膜の全面に照射することで、前記石英基板上に硬化膜を形成した。前記プリベーク及びポストベークはいずれも、大気中で実施した。これらの硬化膜に対し、紫外線可視分光光度計UV-2550((株)島津製作所製)を用いて、波長400nm乃至800nmの範囲で2nmずつ波長を変化させて透過率を測定した。波長400nm乃至800nmの範囲で測定された最低透過率の値を表2に示す。その数値が100%に近いほど、透明な膜が得られたことを示している。
【0077】
[耐溶剤性試験]
実施例1乃至実施例4及び比較例1乃至比較例7で調製したネガ型感光性樹脂組成物をそれぞれ、シリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において100℃で90秒間プリベークすることにより、表1に示す膜厚の樹脂膜を形成した。次いで、紫外線照射装置PLA-501(F)(キヤノン(株)製)により、365nmにおける照射量が1000mJ/cm2の紫外線を前記樹脂膜の全面に照射した。その後、前記樹脂膜を、アルカリ性現像液として表1に示す濃度の水酸化テトラメチルアンモニ
ウム(TMAH)水溶液を用い60秒間現像し、超純水で20秒間リンスし、乾燥した。その結果、比較例3及び比較例5で調製したネガ型感光性樹脂組成物から形成された樹脂膜は、前記シリコンウエハー上から除去された。さらに、残りの樹脂膜を、ホットプレート上において100℃で5分間ポストベークした。最後に、バッチ式UV照射装置(高圧水銀灯2kW×1灯)(アイグラフィックス(株)製)により、365nmにおける露光量が1000mJ/cm2の紫外線を前記樹脂膜の全面に照射することで、前記シリコンウエハー上に硬化膜を形成した。前記プリベーク及びポストベークはいずれも、大気中で実施した。これらの硬化膜に対して、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、及び2.38質量%濃度の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液それぞれに、23℃の温度条件下、2分間浸漬する試験を行った。浸漬前後において前記硬化膜の膜厚変化を測定した。浸漬試験に使用した上記溶剤のうち1つでも、浸漬前の該硬化膜の膜厚に対して10%以上の膜厚増減があった場合は“×”、10%未満5%以上の膜厚増減があった場合は“△”、全ての溶剤について膜厚増減が5%未満であった場合は“○”、測定不能の場合は“-”として、耐溶剤性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0078】
[残膜率、感度及び残渣評価]
実施例1乃至実施例4及び比較例1乃至比較例7で調製したネガ型感光性樹脂組成物をそれぞれ、シリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において100℃で90秒間プリベークすることにより、表1に示す膜厚の樹脂膜を形成した。前記プリベークは、大気中で実施した。光干渉式膜厚測定装置ラムダエースVM-2110(SCREENセミコンダクターソリューションズ(株)製)を用いて、これらの樹脂膜の膜厚を測定した。次いで、i線ステッパーNSR-2205i12D(NA=0.63)((株)ニコン製)により、バイナリーマスクを介して前記樹脂膜を露光した。その後、前記樹脂膜を、アルカリ性現像液として表1に示す濃度の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液を用い60秒間現像し、超純水で20秒間リンスし、乾燥した。その結果、実施例1乃至実施例4、比較例1、比較例2、比較例4、比較例6及び比較例7で調製したネガ型感光性樹脂組成物から形成された樹脂膜から、7mm×7mmの矩形パターンが前記シリコンウエハー上に形成された。一方、比較例3及び比較例5で調製したネガ型感光性樹脂組成物から形成された樹脂膜から、前記矩形パターンは形成されなかった。前記シリコンウエハー上の形成物に対して、前記樹脂膜の膜厚測定と同様の方法にて膜厚を測定した。プリベーク直後の樹脂膜の膜厚と比較して、残膜率(%)を評価した。その結果を表2に示す。残膜率は式(現像後膜厚/プリベーク後膜厚)×100から計算され、その数値が100%に近いほど、前記樹脂膜の露光部が現像液に溶けにくいことを示しているため好ましい。
【0079】
さらに、残膜率が最大となる最低露光量を評価した。その結果を表2に示す。露光量が800mJ/cm2以上でも残膜率が最大とならない場合、又は7mm×7mmの矩形パターンが形成されない場合は、測定不能とし“-”と表記する。最低露光量が小さいほど、前記樹脂膜は高感度であることを示している。
【0080】
さらに、光干渉式膜厚測定装置ラムダエースVM-2110((株)SCREENセミコンダクターソリューションズ製)を用いて、前記樹脂膜の未露光部の膜厚を測定した。前記膜厚が薄いほど、残渣が少ないことを示している。該膜厚が10nm以上であった場合は“×”、10nm未満5nm以上であった場合は“△”、5nm未満であった場合は“○”として、残渣を評価した。評価結果を表2に示す。
【0081】