(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073631
(43)【公開日】2024-05-29
(54)【発明の名称】基板を接合する装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240522BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/68 N
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024044179
(22)【出願日】2024-03-19
(62)【分割の表示】P 2022126879の分割
【原出願日】2017-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】508333169
【氏名又は名称】エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク ツィナー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヴァーゲンライトナー
(72)【発明者】
【氏名】ユアゲン マークス ズュース
(72)【発明者】
【氏名】トーマス プラッハ
(72)【発明者】
【氏名】ユアゲン マリンガー
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA60
5F131CA18
5F131CA33
5F131CA36
5F131CA42
5F131EA07
5F131EA22
5F131EA23
5F131EA24
5F131EB02
5F131EB04
5F131EB05
5F131EB52
5F131EB54
5F131EB63
5F131EB78
5F131FA17
5F131FA32
5F131FA33
5F131FA35
5F131FA37
5F131KA12
5F131KA72
5F131KB12
5F131KB32
5F131KB56
(57)【要約】 (修正有)
【課題】接合精度を高める2つの基板を接合する装置および方法を提供する。
【解決手段】接合機(13)による方法は、第1の基板(4o)を第2の基板(4u)に、これら基板(4o,4u)の互いに向き合う接触面(4k)で接合する方法であって、第1の基板(4o)を第1の保持装置(1o)に保持し、第2の基板(4u)を第2の保持装置(1u)に保持し、第2の基板(4u)と第2の保持装置(1u)との間にはプレート(17u)が配置されており、第2の基板(4u)をプレート(17u)と共に、接合前かつ/または接合中に、第2の保持装置(1u)に対して変形させる。
【選択図】
図2d
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板(4o)を第2の基板(4u)に、前記基板(4o,4u)の互いに向き合う接触面(4k)で接合する方法であって、前記第1の基板(4o)を第1の保持装置(1o)に保持し、前記第2の基板(4u)を第2の保持装置(1u)に保持し、前記第2の基板(4u)と前記第2の保持装置(1u)との間にはプレート(17u)が配置されている、方法において、
前記第2の基板(4u)を前記プレート(17u)と共に、接合前かつ/または接合中に、前記第2の保持装置(1u)に対して変形させることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第1の基板(4o)と前記第1の保持装置(1o)との間にプレート(17o)が配置されており、前記第1の基板(4o)を前記プレート(17o)と共に、接合前かつ/または接合中に、前記第1の保持装置(1o)に対して変形させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記変形を、前記接触面(4k)の接触前に、前記接触面(4k)に対して鏡像対称的かつ/または同心的であるように調節し、かつ/または制御する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記変形のうちの少なくとも1つを、特に流体圧負荷により、前記プレート(17u,17o)を負荷する湾曲手段(5,5’)によって調節かつ/または制御する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記プレート(17u,17o)のうちの少なくとも1つを、特にリング状に、好適には円環状に、前記保持装置(1u,1o)の周囲に配置された、特に専ら前記プレート(17o,17u)の周縁の領域に配置された第1の固定手段(2)により位置固定する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記基板(4u,4o)のうちの少なくとも1つを、前記プレート(17u,17o)の、特に前記保持装置の前記第1の固定手段(2)に接続された、好適には同様の形式の第2の固定手段(2’)によって、位置固定する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記基板(4o,4u)のうちの少なくとも1つの、および/または前記プレート(17o,17u)のうちの少なくとも1つの前記変形を、湾曲測定手段、特にセンサ(3)、好適には距離センサによって検出する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
第1の基板(4o)を第2の基板(4u)に、前記基板(4o,4u)の互いに向かい合う接触面(4k)で接合する装置であって、
前記第1の基板(4o)を保持する第1の保持装置(1o)および第2の基板(4u)を保持する第2の保持装置(1u)と、
前記第2の基板(4u)と前記第2の保持装置(1u)との間に配置されたかつ/または配置可能なプレート(17u)と、
を備えている、装置において、
前記プレート(17u)を前記第2の基板(4u)と共に、前記第2の保持装置(1u)に対して変形させるための湾曲変更手段が、接合中に制御可能であることを特徴とする、装置。
【請求項9】
前記第1の基板(4o)と前記第1の保持装置(1o)との間にプレート(17o)が配置されており、前記第1の基板(4o)は前記プレート(17o)と共に、接合前かつ/または接合中に、前記第1の保持装置(1o)に対して変形可能であるように形成されている、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記第1の保持装置(1o)および/または前記第2の保持装置(1u)は、前記変形を調節かつ/または制御するために、特に機械的な湾曲手段および/または流体圧負荷手段を有している、請求項8または9記載の装置。
【請求項11】
前記第1の保持装置(1o)および/または前記第2の保持装置(1u)は、前記プレート(17o,17u)を位置固定するために、特にリング状に配置された第1の固定手段(2)を有している、請求項9または10記載の装置。
【請求項12】
前記プレートのうちの少なくとも1つが、特に前記保持装置(1o,1u)の前記第1の固定手段(2)に接続される、好適には同様の第2の固定手段(2’)を、前記基板(4u,4o)の位置固定のために有している、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記プレート(17o,17u)のうちの少なくとも1つは、0.01GPa~1100GPaの、好適には、0.1GPa~800GPaの、さらに好適には1GPa~600GPaの、さらに好適には10GPa~500GPaの、最も好適には100GPa~450GPaの、弾性率を有している、請求項8から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記変形は、湾曲測定手段、特にセンサ、好適には距離センサによって検出可能である、請求項9から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
第1の固定手段(2)によって、装置の保持装置(1u,1o)に第1のプレート面(20)で固定され、かつ第2の固定手段(2’)によって、前記第1のプレート面(20)に対して対向配置された第2のプレート面(21)で第1のまたは第2の基板(4o,4u)に固定されるプレートであって、前記プレートは少なくとも1つの固定エレメント接続部(6’,6’’)を、前記第2の固定手段(2’)と前記保持装置(1o,1u)との特に流体技術的な接続のために有している、プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1記載の第1の基板を第2の基板に接合する方法、ならびに請求項8記載の対応する装置に関する。さらに本発明は、請求項15記載のプレートに関する。
【0002】
数年来、半導体工業では、いわゆる接合プロセスにより基板を互いに接合させている。接続前に、基板を互いにできるだけ正確に位置合わせしなければならず、この場合、その間に発生するナノメートル範囲のずれが影響を与える。この場合、基板の位置合わせは、主としてアライメントマークを介して行われる。アライメントマークの他に、接合プロセス中、同様に互いに位置合わせしなければならないさらに別の、特に機能的なエレメントが基板には存在しており、以下ではこのエレメントを構造体とも呼ぶ。個々の機能的なエレメント間のこのような位置合わせ精度は、基板表面全体に求められる。したがって、例えば、位置合わせ精度が基板の中心では極めて良好であるが、縁部に向かって低下する場合には十分であるとは云えない。
【0003】
保持装置(英語:chusks)は、様々な構成で存在する。保持装置に関して重要であるのは特に、基板上の構造体を、基板面全体にわたって正確に位置合わせし、接触させることができるように、基板を保持/位置固定するための、平坦な保持面もしくは支持面である。
【0004】
従来技術では、局所的な歪みを少なくとも部分的に減じることができる装置が既に存在している。その技術は、国際公開第2012/083978号による能動的な制御エレメントの使用による局所的な歪みの除去である。
【0005】
さらに従来技術においては、「ランアウト」誤差を修正するための第1の解決手段も存在している。米国特許出願公開第20120077329号明細書には、下側の基板を位置固定しないことにより、2つの基板の機能的なユニット間の所望の位置合わせ精度を、接合中および接合後に達成する方法が記載されている。これにより、下側の基板は境界条件に支配されることなく、接合工程中、自由に上側の基板に接合され得る。
【0006】
位置合わせプロセス(英語:alignment)は、基板の接合時に重要である。2つの基板を接続する際に最も大きな技術的問題点の1つは、個々の基板間の機能的なユニットの位置合わせ精度である。基板をアライメント装置によって極めて正確に互いに位置合わせすることができるが、接合工程中にも基板が歪む恐れがある。接合工程中に生じる歪みにより、機能的なユニットは必ずしも全ての位置で正確に互いに位置合わせされているわけではない。基板の所定の点における位置合わせ精度は、歪み、スケーリング誤差、レンズの欠陥(拡大もしくは縮小誤差)等の結果であり得る。 半導体産業では、この種の問題に関する全てのテーマ範囲は、「オーバーレイ」という概念に包括される。オーバーレイは、様々な製造ステップからなる構造体のオーバーラップ精度を意味する。
【0007】
とりわけ、少なくとも1つの基板の歪みにより接合工程中に生じるオーバーレイ誤差は「ランアウト」誤差と呼ばれる。少なくとも1つの基板の歪みにより、第1の基板の機能的なユニットも、第2の基板の機能的なユニットに関して歪む。このような歪みは、2つの構造化された基板の接合時の問題であるだけではなく、1つの構造化された基板を、ほぼ構造化されていない1つの基板に接合する場合にも大きな問題となり得る。特に、接合後に、構造化された基板に対して極めて正確な位置合わせを要するさらなるプロセスステップを実施すべき場合に大きな問題となり得る。
【0008】
生じる「ランアウト」誤差は、多くの場合、接触点を中心として半径方向対称的に顕著になり、したがって接触点から周縁に向かって増大する。多くの場合、「ランアウト」誤差は、線形に増大するように強化されている。しかしながら、特別な条件下では「ランアウト」誤差は、非線形に増大することもある。
【0009】
本発明の課題は、接合精度を高める2つの基板を接合する装置および方法を提供することである。
【0010】
この課題は、並立する、複数の独立請求項の特徴により解決される。本発明の好適な別の構成は従属請求項に記載されている。明細書、請求の範囲、および/または図面に記載された少なくとも2つの特徴から成る全ての組み合わせも本発明の範囲内にある。記載された数値範囲においては、上記範囲内にある値も、限界値として開示されたものとみなされ、任意の組み合わせで特許請求することができる。
【0011】
本発明の根底を成す思想は、基板のうちの少なくとも1つと、対応する保持装置との間にプレートを配置し、基板をこのプレートと共に、接合前かつ/または接合中に、保持装置に対して湾曲させる、というものである。したがって特に、プレートおよび基板を保持する保持装置の、好適には平坦な保持面は変形されない。特に、保持装置は、プレートの変形/湾曲のために働き、プレートの湾曲により、プレート上に位置固定された基板も湾曲される。
【0012】
本発明は特に、2つの基板の接合を改善するための方法および装置を説明している。特に、この改善とは「ランアウト」誤差の最小化を意味する。この場合、特に本発明の根底を成す思想は、一方では保持装置によって位置固定することができ、それ自体は、基板を位置固定することができるプレートを、基板と保持装置との間に配置する、というものである。プレート、好適にはセラミックプレートは、特に、位置固定を局所的に駆動制御することができる保持装置によって位置固定される。位置固定部(特に、固定手段/固定エレメントから成る)は、特に複数の区分にグループ分けされている。好適には、保持装置の中央には、特に部分的にのみ位置固定されたプレートを曲げるための装置が位置している。曲げるための装置は、湾曲エレメントと呼ばれる。湾曲エレメントは特に、プレートと保持装置との間に、プレートを、したがってプレート上に位置固定された基板を湾曲させる過圧を発生させるために、流体、好適にはガスを流出させることができるノズルである。プレートを、好適には周縁部で、保持装置によって真空を介して位置固定させることにより、プレートの湾曲が生じる。プレートは、基板を接合工程中に保持し、好適には位置固定し、これによりプレートと基板とから成るシステムが形成される。このシステムおよび/またはプレートは、基板単独よりも高い曲げ抵抗を有している。このシステムの高められた曲げ抵抗は、「ランアウト」誤差の最小化に有利に作用する。曲げ抵抗は、曲げ抵抗モーメントによって特徴付けられる。
【0013】
本発明の核心は特に、両基板のうちの少なくとも1つと保持装置との間に、湾曲することができるプレートを配置することにある。湾曲機構によって、特に圧縮空気によって、プレートは、特に基板またはプレートの中心でまたは中心から、湾曲される。両基板の曲げは、所定の間隔を置いて行われるので、基板の全面的な接触を可能にするために、この間隔(英語:gap)は接合ウェーブの進行につれて好適には減じられる。湾曲させるための湾曲機構の湾曲エレメントは特に、位置固定部の内側に、好適には中心に配置されている。
【0014】
この場合、特に、(基板の下に配置された)プレートは完全に保持装置から離すことができる。このためには、保持装置の位置固定、特に真空による保持は停止され、湾曲機構、特に圧縮空気は作動されたままである。したがって、圧縮空気が使用される限り、下側のプレートは、この状態で、エアクッション上で浮動していて、基板との全面的な接触が可能である。プレートによって基板が位置固定されるので、その厚さは増大し、曲げ剛性は高まる。この場合、特にその柔軟性も減じられるので、接合結果は著しく改善される。
【0015】
プレートが完全に保持装置から解放されると、プレートによる、もしくはプレートへの基板の位置固定は、特に真空は、好適には、特に伸縮可能もしくは延伸可能な固定エレメント接続部を介して維持される。これにより、プレートへの基板の位置固定は、保持装置におけるプレートの制御および位置固定とは関係なく維持することができる。
【0016】
したがって、本発明の主要な利点は、特に、様々な誤差、特に「ランアウト」誤差および残存誤差(英語:residuals)を殆ど完全になくすことができることにある。
【0017】
特に歪みに起因する「ランアウト」誤差の他、さらに、並進誤差、回転誤差、および残存誤差もある。並進誤差は特に、基板平面上で構造体が互いに望ましくない並進移動を行うことによるものであり、回転誤差は特に望ましくない回転を行うことによるものである。残存誤差とは、「ランアウト」誤差、および/または並進誤差、および/または回転誤差とは言えないその他全ての誤差を意味する。全ての誤差の総計を、以下ではオーバーレイと記載する。
【0018】
並進誤差および/または回転誤差は主に、接合プロセス開始前に両基板が互いに正確に位置合わせされていないことによる。したがって、基板の位置合わせは好適には、相応のアライメント装置(英語:aligner)によっておこなわれる。例としてのアライメント装置は、特に引用される刊行物、米国特許第6214692号明細書、国際公開第2014202106号、国際公開第2015082020号に記載されている。位置合わせは、好適には、アライメントマークに基づき、かつ/または基板上に存在する機能的なユニットに基づき行われる。位置合わせ精度は特に、500nmよりも良好であり、好適には300nmよりも良好であり、さらに好適には150nmよりも良好であり、さらに好適には100nmよりも良好であり、最も好適には20nmよりも良好である。
【0019】
2つの構造体間の「ランアウト」誤差は特に、500nm未満、好適には300nm未満、さらに好適には150nm未満、さらに好適には100nm未満、最も好適には20nm未満である。
【0020】
残存誤差は特に、100nm未満、好適には50nm未満、さらに好適には30nm未満、さらに好適には20nm未満、最も好適には10nm未満である。
【0021】
本発明による装置および方法により、オーバーレイを、500nm未満、好適には300nm未満、さらに好適には150nm未満、さらに好適には100nm未満、最も好適には50nm未満に減じることができる。
【0022】
本発明による装置は、閉制御ループによって最適な接合工程を実施することができる。
【0023】
様々な厚さを有する様々なプレートにより、柔軟性を、特に曲げ剛性の調節に関して所望のように調節することができる。特に、簡単に迅速かつ効果的、ひいては安価に交換することができるこのような形式の複数のプレートを設けることができる。したがって、様々な基板を使用する場合には特に、各時点で、各基板に対して適合させることができる。
【0024】
好ましくはないが、本発明によれば、複数のプレートを互いに積み重ねることも考えられる。
【0025】
換言すると、本発明の根底を成す思想は、両基板のうちの少なくとも1つを、好適には両方の基板を、接触面の位置合わせのために、特に接合前かつ/または接合中に、好適には溶融接合の際に変形させるというものであり、かつ、両基板のうちの少なくとも1つと保持装置との間にプレートを配置し、プレート自体が保持装置に位置固定されている状態で、このプレート上に基板が位置固定されるというものである。
【0026】
変形とは、特に、基板の出発状態、特に初期ジオメトリから逸れた状態を意味する。
【0027】
したがって、本発明は、接合される2つの基板の間の「ランアウト」誤差を、特に熱力学的かつ/または機械的な補償機構によって、接合の際に減じる、または完全になくすための方法および装置に関する。さらに、本発明は、本発明による装置および本発明による方法を用いて製造される、相応する物品に関する。
【0028】
本発明によれば、基板の接触面の接触後に接合が、特に上側のプレートおよび/または下側のプレートの解放により開始される。しかしながら、本発明により少なくとも1つのプレートを使用することにより、従来技術とは異なり、プレートによって基板が剛性化されることにより、基板とプレートとから成るシステムの曲げ抵抗が上昇するので、極めて正確に制御可能な解放も可能である。したがって本発明によれば、本明細書の以下の過程では、上側の基板および/または上に位置固定された基板を備えた上側のプレートの自然発生的な脱落を省くことができる、目標通りに制御された接合工程に基づく接合するための方法も説明される。
【0029】
保持装置
本明細書の以下の過程では、まず、プレートと基板とを備えた保持装置に関する本発明の実施形態を説明する。本発明によれば、後に、このような形式の保持装置を2つ有している1つの装置も開示される。この場合、本発明によるプレートは、両保持装置の一方でのみ、または両方の保持装置で使用されてよい。1つのプレートのみが使用される場合、このプレートは、上側の、しかしながら好適には下側の保持装置に位置していてよい。本発明による好適な実施形態は、本発明による2つのプレートを、それぞれ、1つの基板とこれに対応する保持装置との間で使用することにある。
【0030】
基板
第1の基板および/または第2の基板は、有利には半径方向対称である。基板は任意のいかなる直径をも有することができるが、基板直径は特に1インチ、2インチ、3インチ、4インチ、5インチ、6インチ、8インチ、12インチ、18インチであり、または18インチよりも大きい。第1の基板および/または第2の基板の厚さは、1μm~2000μm、有利には10μm~1500μm、より有利には100μm~1000μmである。特別な実施形態では、基板が、方形の形状または少なくとも円形の形状とは異なる形状を有していてもよい。基板とは、以下の過程では特にウェハであると理解される。
【0031】
好適には基板はほぼ同じ直径D1およびD2を有していて、これらの直径の互いのずれは特に5mm未満、好適には3mm未満、さらに好適には1mm未満である。
【0032】
プレート
別の、特に独立的な態様は、プレートの構成、および基板と保持装置との間でのプレートの使用にある。特にプレートは、基板とは反対側の面で、保持装置の湾曲手段もしくは湾曲変更手段の上に配置されている。したがって、基板は直接変形されるのではなく、基板の変形は、湾曲変更手段によるプレートの変形により間接的に行われる。
【0033】
プレートは好適には保持装置に位置固定されている/位置固定可能である。
【0034】
プレートは特に、殆ど、もしくは完全にセラミックから、好適には工業用セラミックから製造される。プレートはコーティングされていてよい。
【0035】
プレートは、特にこのプレート上に位置固定された/位置固定可能な基板と同じ直径を有している。
【0036】
本発明の好適な実施形態によれば、プレートは、プレート上に位置固定される基板より大きな半径を有している。プレートが基板よりも大きな直径を有していることにより、好適にはプレートを、特に専ら、基板を越えて張り出す領域で、保持装置に位置固定することができる。
【0037】
特に、プレートの半径は、固定すべき基板の半径の少なくとも1.01倍、好適には1.1倍超、さらに好適には1.2倍超、さらに好適には1.3倍超、最も好適には1.4倍超に相当する。特に好適な本発明によるプレートの実施形態は、固定すべき基板の直径よりも10%~20%大きな直径を有している。固定すべき基板の半径よりもかなり大きな半径を有するプレートによって、本発明によればとりわけ、基板において一定の湾曲を調節することができ、これにより基板はプレート上で完全な中空球状のシェルを形成する。保持装置におけるプレートの、特に専ら周縁領域で作用する位置固定を用いることにより、プレートは、基板の湾曲がこのような理想的な一定の湾曲からそれるほど著しく周縁で湾曲される場合がある。
【0038】
薄い基板は、僅かな厚さゆえに、極めて小さい曲げ抵抗を有する。僅かな曲げ抵抗により、柔軟性が極めて高くなり、これにより接合工程の目標通りの制御は困難になる。このことは、中央において、エラー、特に気泡(英語:voids)が接合結果に対して不利な影響を与え得るという欠点を有する。プレートにより基板を付加的に支持することにより、プレートが、このプレート上に位置固定される基板を接合工程において支持するので、基板の曲げ抵抗が僅かであることは問題とはならない。本発明による、特に独立した態様は、プレートと基板とから成るシステムを形成し、このシステムが(プレートを有さない)個々の基板よりも高い曲げ抵抗を有していることにある。
【0039】
プレートは特に縁部に段部を有していてよい。段部は特に、保持装置の方向で除去されているので、周縁部で、プレートと保持装置との間には空所が生じる。この空所により、縁部領域においてプレートの最適な変形が可能であり、ひいては変形が支援される。
【0040】
本発明による特別な実施形態では、本発明によるプレートは、複数のピエゾ素子上に支持されていてよく、位置固定されていてよい。このような手段によって、プレートを局所的に変形させることができる。
【0041】
プレート材料
プレートはとりわけ、材料パラメータによって、例えば純度、固有剛性、平坦性、および変形可能性によって特徴付けられる。プレートは、保持装置と、保持装置上に位置固定された/位置固定可能な基板との間に位置する。プレートは、一方では、望ましくない外的影響によって変形されないように、かつこのプレートの上に位置する基板に十分な支持力を提供することができるように十分厚く形成され、他方では、目標通りに作用する力(圧縮空気、真空、機械的、ニューマチック的、または電気的なアクチュエータ)によって湾曲されるように十分薄く形成される。プレートは、凸状かつ/または凹状の形状にすることができる。
【0042】
特にプレートは、500℃を越える、好適には750℃を越える、さらに好適には1000℃を越える耐熱性を有している。
【0043】
プレートはコーティングされてよい。プレートおよび/またはコーティングは特に、少なくとも部分的に、好適には殆どの部分が、以下の材料のうちの1種以上から成っている。
・金属、特に
○Cu、AG、Au、Al、Fe、Ni、Co、Pt、W、Cr、Pb、Ti、Ta、Zn、Sn、
・半導体、特に
○Ge、Si、αスズ、フラーレン、B、Se、Te、
・化合物半導体、特に
○GaAs、GaN、InP、InxGal-xN、InSb、InAs、GaSb、AlN、InN、GaP、BeTe、ZnO、CuInGaSe2、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、Hg(l-x)Cd(x)Te、BeSe、HgS、AlxGal-xAs、GaS、GaSe、GaTe、InS、InSe、InTe、CuInSe2、CuInS2、CuInGaS2、SiC、SiGe、
・特に上記材料のいずれか1つの酸化物
・合金、特に鋼、好適には、
○特殊鋼
○工具鋼
○熱間加工鋼
○高速度鋼
・プラスチック、特に
○熱可塑性プラスチック、好適には、
□ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)
□ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
□ポリイミド
□ポリアミドイミド
○熱硬化性プラスチック
○エラストマー
・セラミック、特に
○酸化アルミニウム Al2O3、
○ジルコニア ZrO2、
○炭化ケイ素、特に、
□反応結合シリコンフィルタード炭化ケイ素 SiSiC、
□炭化ケイ素 SiC
□窒化ケイ素 Si3N4
□酸窒化結合炭化ケイ素 NSiC
□焼結炭化ケイ素 SSiC
・ガラス
【0044】
好適な実施形態では、プレートはセラミックプレートである。好適にはプレートは、特別な酸化セラミック、特に酸化アルミニウム Al2O3から製造された。
【0045】
特別な実施形態では、プレートは、高強度かつ弾性変形可能なダイアフラムから成る。特に、弾性的なダイアフラムは、フィルム材料から成っていてよい。
【0046】
プレート曲率半径
接合時の、特に接合開始時の第1のおよび/または第2のプレートの曲率半径は、特に0.01mよりも大きく、好適には0.1mよりも大きく、さらに好適には1mよりも大きく、さらに好適には10mよりも大きく、さらに好適には100mよりも大きく、最も好適には1000mよりも大きい。
【0047】
好適な実施形態では、第1の/下側のプレートの曲率半径は、第2の/上側のプレートの曲率半径と同じ大きさである。これにより、接合のためにジオメトリに関して対称的な出発状態となる。
【0048】
好適な実施形態では、プレートの曲率半径は調節可能である。プレートの制御された湾曲により本発明によれば、これにより、特に接合フロント部における両基板の曲率半径の互いのずれが5%未満であり、さらに好適には曲率半径が互いに等しいならば有利である。
【0049】
プレート厚さ
変形可能なプレートの厚さは特に、0.1~10mmであり、好適には0.25~8mmであり、さらに好適には0.5~6mmであり、最も好適には1~5mmである。
【0050】
プレート弾性率
弾性率(ヤング率)は、線形弾性挙動における固体の変形の際の膨張と応力の関係を表す材料特性値である。プレートの弾性率は、0.01GPa~1100GPaであり、好適には、0.1GPa~800GPaであり、さらに好適には1GPa~600GPaであり、さらに好適には10GPa~500GPaであり、最も好適には100GPa~450GPaである。
【0051】
プレートは特に、基板よりも高い弾性率を有している。
【0052】
プレートは、基板に関して問題のない取り扱い性を保証し、かつ最適な支持特性を提供するために十分な固有剛性を有している。
【0053】
プレート粗さ
プレートの粗さは、平均粗さ、二次元粗さ、または平均粗さ深さとして記載される。平均粗さ、二次元粗さ、および平均粗さ深さについて算出された値は、一般に、同じ測定距離もしくは測定面積について異なるが、同じオーダーの範囲内にある。したがって、粗さのための以下の数値範囲は、平均粗さ、または二次元粗さ、または平均粗さ深さに関する値として理解される。この場合、粗さは、100μm未満、好適には10μm未満、さらに好適には1μm未満、さらに好適には100nm未満、最も好適には10nm未満である。
【0054】
保持装置/湾曲エレメント
特に独立した、または上記のものと組み合わせ可能な本発明による別の思想は、湾曲手段および/または湾曲変更手段としての変形エレメントの使用にある。
【0055】
プレートおよび/または基板は湾曲される。曲率とは、曲率が規定されるべき接触点での円(2次元)もしくは球体(3次元)の曲率半径の逆数であると理解される。したがって、プレートおよび/または基板の曲率は、特に位置に依存する場合がある。しかしながら好適には、曲率は、基板の中央を中心とする1つの円の全ての点について一定である。
【0056】
曲率の代わりに、好適には曲げについて述べられる。曲げとは、本明細書全体において、対象物の上昇した表面の中心から、位置固定されたこの対象物の表面に対する距離であると理解される。したがって具体的には、曲げとは、保持装置の方向に向いているプレートの表面と、保持装置の表面との間の中心における距離を意味する。曲げは特に、1mm未満、好適には500μm未満、さらに好適には100μm未満、さらに好適には50μm未満、最も好適には10μm未満に調節される。
【0057】
出発状態では、場合によっては設けられている接触面から突出する構造体(マイクロチップ、機能部品)や、曲げおよび/または厚さ変動のような基板許容誤差を除くと、基板は、特に接触面で平坦である。基板は出発状態で最大でも極めて僅かな曲げを有している。300mmのウェハの場合、50μm未満の曲げが好適である。
【0058】
本発明による第1の実施形態によれば、湾曲エレメントはガス流出開口である。ガス流出開口は特に1つのノズル(または複数のノズル)であってよい。プレートを、特に過圧をもたらすガス流によって湾曲させることができる。プレートを、特に周縁部全体で、保持装置に真空を介して位置固定させるので、プレートの湾曲/曲げが生じる。
【0059】
本発明による第2の実施形態によれば、湾曲エレメントはピエゾ装置、特にピエゾコラムである。
【0060】
本発明による第3の実施形態によれば、湾曲エレメントは、並進移動可能な剛性の物体、特にピン(英語:pin)である。ピンは特に、液圧式エレメントかつ/またはニューマチック式エレメントかつ/またはピエゾ素子によって調節可能である。ピン内にノズルが位置していて、これにより組み合わせられた湾曲エレメントが得られることも考えられる。
【0061】
本発明による第4の実施形態によれば、湾曲エレメントは1つ以上の電極である。電極によって基板を湾曲させることができるように、帯電材料が基板に配置される(技術的観点から好ましくない)、または影響を与えることができる電荷が基板に設けられる。
【0062】
本発明による第5の実施形態によれば、湾曲エレメントは1つ以上の電気コイルである。基板をコイルによって湾曲させることができるように、基板は、磁性材料を有している、または誘導可能な磁界が基板に形成される。
【0063】
湾曲エレメントは特に、保持装置に、好適には中央に組み込まれる。湾曲エレメントは特に、開ループ制御可能および/または閉ループ制御可能である。
【0064】
特に、プレートまたは基板を様々な個所で変形させることができる複数の湾曲エレメントを設けることもできるが、これは好ましくはない。
【0065】
接合の際の、特に永久接合、好適には溶融接合の際の本発明による特徴的な過程は、両基板ができるだけ中央で、点状に接触することである。選択的に、両基板の接触は中央で行われなくてもよい。基板の非中央的な可能な接触点と中心との間の間隔は特に、100mm未満であり、好適には10mm未満であり、さらに好適には1mm未満であり、さらに好適には0.1mm未満であり、最も好適には0.01mm未満である。
【0066】
好適には、接触とは、中央での接触を意味する。中央とは、好適には、必要に応じて非対称性を補償された、基本となる仮想物体の幾何学形状的な中心点を意味する。すなわち、切欠(英語:notch)を有する工業的に汎用されているウェハにおいて、中央は、切欠を有しない仮想ウェハを取り囲む円の円中心点である。平らに面取りされた面(英語:flat)を有する工業的に汎用されているウェハでは、中央は、フラット部分を有していない仮想ウェハを取り囲む円の円中心点である。同様の考えは、任意に成形された基板にも適用される。明示性が求められるならば/明示的に説明されるならば、または上記の定義を置き換えるならば、代替的には、中央とは、基板の重心点を意味する。
【0067】
本発明によれば、プレートのうちの一方だけが、かつ/または基板のうちの一方だけが、好適には下側のプレートおよび/または下側の基板が変形されてよい。この場合、他方の基板は、好適には上側の基板は、上側のプレートによって、変形される基板に特に重力に基づき自動的に接触する。好適には、上側の基板は、特に専ら重力によって生じる下側の基板の方向への湾曲を有している。
【0068】
プレートおよび/または保持装置-湾曲測定手段
本発明の好適な構成によれば、プレートおよび/または保持装置は、湾曲を測定するための湾曲測定手段を有している。
【0069】
プレートおよび/または保持装置は、選択的または付加的に、固定された基板とプレートとの間の、かつ/またはプレートと保持装置との間の物理的かつ/または化学的特性を測定することができるセンサを有していてよい。これらのセンサは好適には、
・温度センサおよび/または
・圧力センサおよび/または
・距離センサ、である。
【0070】
異なる形式の複数のセンサが組み込まれることも考えられる。特に好適な実施形態では、距離測定および圧力測定のためのセンサは特に、プレートおよび/または保持装置に対称的に均一に分布されて組み込まれている。これにより、離散的ではあるが、表面を網羅する距離測定および圧力測定が可能である。湾曲エレメントが、通路を介してもたらされる流体、特にガス、またはガス混合物である場合、圧力測定は特に有利である。
【0071】
湾曲測定手段およびセンサのデータは特に、閉ループ制御/開ループ制御のために使用される。
【0072】
プレートおよび/または保持装置-加熱エレメント
本発明によるさらなる実施形態では、プレートおよび/または保持装置は、基板および/またはプレートが、特に所定の区分で、温度調節され得るように形成される。温度調節により、特に、基板および/またはプレートの目標通りの付加的な変形が可能となる。基板とプレートの、もしくはプレートと保持装置との熱膨張係数が異なっているならば、基板は特にプレートの熱膨張に追従し、もしくはプレートは特に保持装置の熱膨張に追従する。好適には、基板および/またはプレートは、プレートに、もしくは保持装置に位置固定される前に、加熱および/または冷却手段によって予め温度調節され、もしくは所望の温度にもたらされる。
【0073】
保持装置および/またはプレートは、-100℃~500℃の、好適には-50℃~450℃の、さらに好適には-25℃~400℃の、最も好適には0℃~350℃の温度範囲で温度調節され得る。
【0074】
プレートおよび/または保持装置-位置固定部および固定エレメント
本発明によれば、プレート固定部が設けられており、これにより基板はプレートに位置固定される、または位置固定可能である。さらに、保持装置固定部が設けられており、これにより基板は、特にプレートを介して、保持装置に位置固定される、または位置固定可能である。両固定部は、本質的に同じであり、種類が同じであるので、一度のみ説明する。上記固定部の構造、グループ化、区域分けも、本発明によるプレートおよび保持装置に関して同じであってよい。しかしながら、異なるように構成されていることも考えられる。
【0075】
プレートへの基板の位置固定もしくは保持装置へのプレートの位置固定は、好適には、基板の外側領域で行われ、好適には、特に基板を越えて張り出すプレートの領域で行われる。
【0076】
基板もしくはプレートに、中央に向かって固定部内でできる限りのフレキシブル性および延伸自由度を与えるために、基板もしくはプレートが、側縁部の領域において、できるだけ離れて外側に位置する円セグメントでのみ固定されることが有利である。
【0077】
1つの位置固定部は好適には複数の固定エレメントから成る。固定エレメントは特に区域ごとにグループ化されてよい。区域ごとの固定エレメントのグループ化により、形状的、光学的、好適には機能的な課題も満たされる。機能的な課題とは例えば、1つの区域の全ての固定エレメントを同時に切り換えることができることを意味する。1つの区域の全ての固定エレメントを個々に切り換えることができることも考えられる。したがって、複数の固定エレメントを同時に、基板もしくはプレートの位置固定もしくは解放を行うために、区域の内側で駆動制御することができ、または個別に駆動制御することもできるが、その区域内で、基板もしくはプレートの極めて固有の変形特性が生じる。
【0078】
区域は特に次のようなジオメトリであってよい。
・片面
・円のセグメント、
・特に三角形、四角形、または六角形としての、タイル張りのような区域。
【0079】
特に、区域間に、固定エレメントを有さない面が存在していてもよい。このような区域間の間隔は特に、50mm未満、好適には25mm未満、さらに好適には20mm未満、さらに好適には10mm未満、最も好適には5mm未満である。区域が円セグメントとして形成されている場合、このような間隔は、外側の円セグメントの内側の円環と、内側の円セグメントの外側の円環との間の距離である。
【0080】
1つの区域における固定エレメントの数は任意である。特に、1つの区域には少なくとも1つの固定エレメントが、好適には少なくとも2つの固定エレメントが、好適には10以上の、さらに好適には50以上の、さらに好適には100以上の、さらに好適には200以上の、最も好適には500以上の固定エレメントが存在している。
【0081】
本発明の好適な実施形態によれば、第1の保持装置および/または第2の保持装置は、プレートを保持するための第1の保持装置および/または第2の保持装置の保持面の周縁に特にリング状に、好適には円環状に、特に専らプレート/基板の側縁の領域に配置された固定手段を有している。
【0082】
固定手段は、特に均一に保持面に分配された、好適には同心的に配置された、複数の区域に分割された、特に個別に制御可能な固定エレメントとして形成されている。好適には、固定手段は、特に保持面の縁部領域に専ら配置されている。縁部領域は、特に、保持面の半径の半分まで、好適には半径の1/4まで延在している。
【0083】
1つの区域において固定エレメントが半径方向対称に配置されている場合、所定の横断面当たりにおける固定エレメントの数も考慮することができる。横断面における固定エレメントの数はこの場合、20未満、好適には10未満、さらに好適には5未満、さらに好適には3未満、最も好適には1である。
【0084】
固定のために負圧を供給可能な固定エレメントは、基板の解放のために正圧を負荷することもできる。
【0085】
本発明による第1の実施形態では、固定エレメントは、特に穿孔、または火花浸食により形成される単純な穴から成る。特別な実施形態では、固定エレメントはリング状に、特に円環状に、特にフライス加工により形成されたスリットである。別の構成では、固定エレメントには真空リップが設けられていてよい。固定エレメントが真空エレメントとして設けられている場合、この固定エレメントは、1bar未満の、好適には0.1mbar未満の、さらに好適には0.01mbar未満の、さらに好適には0.001mbar未満の、最も好適には0.0001mbar未満の圧力を発生させることができる。
【0086】
本発明による第2の実施形態では、固定エレメント、静電気固定として使用される導電性プレートから成っている。導電性プレートは単極に、好適には双極に接続することができる。双極回路の場合、2つのプレートは相反する電位に置かれる。したがって、本発明による保持装置は、プレートの数に依存した、高解像度の静電固定特性を有する静電気保持装置として、特に区域内で機能する。
【0087】
単位面積あたりの固定エレメント数が増えるほど、基板のための保持装置の固定特性の制御は良好になる。
【0088】
好適には、第1の保持面および/または第2の保持面は、特に、第1の保持面の第1の保持平面、および第2の保持面の第2の保持平面を形成する隆起部から成っている。
【0089】
2つの別の実施形態によれば、隆起部を備えた保持装置および/またはプレート、特に突起保持装置もしくは突起プレートが記載される。このような保持装置もしくはプレートは、特に対称的に配置された複数の支持体(英語:pillars)を有する保持装置もしくはプレートを意味する。これらの支持体は特に突起として形成される。突起は任意の形状を有していてよい。特に突起は以下の形状で設けられている。
・ピラミッド、特に三角錐または四角錐、
・円筒、特に平坦なまたは丸み付けされた頭部を備えた円筒、
・直方体、
・円錐、
・球シェル。
【0090】
球シェル突起、円錐突起、および円筒突起は製造に手間がかかるのに対して、ピラミッド状または直方体状の突起はエッチング加工および/またはフライス加工により比較的簡単に製造することができ、したがって本発明によれば好適である。
【0091】
上記の突起保持装置もしくは突起プレートは、その周縁領域で、縁部エレメントを介して閉鎖されていてよいので、突起間の空間領域は凹部として解釈されてよい。しかしながら、突起は、全ての突起がその上に位置する突起平面に関して、唯1つの隆起部を成していてもよい。
【0092】
本発明の第3の好適な実施形態では、保持装置はウェブを備えた突起保持装置として、かつ/またはプレートはウェブを備えた突起プレートとして構成される。この場合、個々の区域はウェブによって中断される。各区域の内側には、突起間の空間の排気を行う少なくとも1つの管路が終端している。特に個別に駆動制御可能な複数の通路を使用することにより、場所に依存した異なる強度の空間の排気が可能である。
【0093】
さらに好適な第4の実施形態では、保持装置および/またはプレートは、完全な突起保持装置もしくは突起プレートとして、すなわちウェブを備えずに構成されている。
【0094】
隆起部、特に突起の幅もしくは直径は特に、5mm未満、好適には1mm未満、さらに好適には500μm未満、最も好適には200μm未満である。
【0095】
隆起部、特に突起の高さは特に、2mm未満、好適には1mm未満、さらに好適には500μm未満、最も好適には200μm未満である。
【0096】
特に隆起部の幅もしくは直径と、隆起部の高さとの間の比は、0.01よりも大きく、好適には1よりも大きく、さらに好適には2よりも大きく、さらに好適には10よりも大きく、最も好適には20よりも大きい。
【0097】
上述した全ての本発明の実施形態は、互いに任意に組み合わされてもよい。したがって、第1の区域は静電的に機能する固定エレメントから成っていて、第2の区域が真空固定を有していることも考えられる。
【0098】
本発明による保持装置および/またはプレートは特に穴を、本明細書のこれ以降では、測定穴とも記載される穴を有していてよく、この穴により、位置固定された基板表面を、保持装置およびプレートの背面から観察することができる。これにより、この領域で位置固定された基板表面の測定が可能である。測定穴を、カバーによって閉鎖することもできる。特に好適な実施形態では、測定穴はカバーにより全自動的に開閉可能である。
【0099】
本発明による保持装置は、選択的または付加的に、位置固定された基板と保持装置との間の物理的かつ/または化学的特性を測定することができるセンサを有していてよい。これらのセンサは好適には、
・温度センサおよび/または
・圧力センサおよび/または
・距離センサ、である。
【0100】
特に好適な距離センサは、湾曲測定手段として使用可能である。この場合、基板と保持装置との間の距離により、もしくはプレートと保持装置との間の距離により、特に支持個所間の、基板もしくはプレートの湾曲が求められ、補間され、かつ/または計算される。
【0101】
本発明によれば好適には、変形の、特に湾曲および/または湾曲変更の良好な閉ループ制御または開ループ制御を可能にするために、特に保持面に沿って分配された距離センサが使用される。
【0102】
特に好適な実施形態では、複数のセンサはとりわけ、接合工程前に、かつ/または接合工程中に1つの平面に関する基板もしくはプレートの距離を測定するために、距離センサとして形成されている。この平面とは好適には、保持面、および/または特に隆起部により形成された平面の保持面である。
【0103】
複数のセンサが異なる平面に位置していることも考えられる。好適にはセンサは特に専ら、好適には接触面に対して横方向の距離の変化を測定するので、1つのおよび/または複数の平面に対する関係は重要ではない。この場合、基板もしくはプレートの、特に場所的に異なる相対的な距離変化だけを検出すればよい。
【0104】
距離の測定はとりわけ、プロセス制御に役立つ。基板もしくはプレートの正確な湾曲状態を知ることにより、基板もしくはプレートの最適な、特に段階的な解放のために、本発明による固定エレメントの駆動制御/調節が特に効率的に行われる。
【0105】
異なる形式の複数のセンサが組み込まれることも考えられる。特に好適な実施形態では、距離測定および圧力測定のためのセンサは、保持装置および/またはプレートに特に対称的かつ均一に分布されて組み込まれている。これにより、離散的ではあるが、表面を網羅する距離測定および圧力測定が可能である。変形エレメントが、管路を介してもたらされる流体、特にガス、またはガス混合物である場合、圧力測定は特に有利である。
【0106】
一方または両方の保持装置が湾曲測定手段なしで、かつ/またはセンサなしで形成されているならば、湾曲および/または湾曲変更の調節および/または制御は、経験により求められたパラメータに基づき行われてよい。
【0107】
正確な、特に中央の点状の接触を保証するために、保持装置内では、特に半径方向対称的な位置固定が使用される。
【0108】
曲げ工程中のプレートの固定エレメントの数は、好適には、プレートが保持装置から解放されることなく100μmのプレートの曲げを達成することができるように選択される。負圧を発生させるために、特に真空軌道の他に、さらに別の真空エレメントが使用される。別の真空エレメントは、とりわけ、シールエレメント、特にシールリング、および真空リップである。
【0109】
保持装置上における基板もしくはプレートの位置固定は、好適には基板もしくはプレートの面全体にわたって可能である。基板もしくはプレートの曲げは、好適な実施形態では、保持装置の中央で圧縮空気を介して行われる。
【0110】
保持装置は特に、圧縮空気を供給するための、もしくはアクチュエータおよび真空軌道のための孔を縁部領域に有している。この場合、保持面を中断する少なくとも1つの負圧通路が、保持輪郭の外側のリング区分に設けられている。必要に応じて保持装置の保持面積を減じることができ、これにより基板もしくはプレートと保持装置との間の接触面積はより小さくなる。保持装置および基板もしくはプレートの位置固定のさらなる可能性は、特に、
・クランプによる機械的位置固定、および/または
・静電気的位置固定、および/または
・磁気的位置固定、および/または
・ゲルパック位置固定、である。
【0111】
半径方向対称的な固定部は、例えば、真空軌道、設けられた真空穴、円形の真空リップ、またはプレートを固定することができるそれらに匹敵する真空エレメントである。静電気的な保持装置の使用も考えられる。
【0112】
プレートおよび/または保持装置-突起構造
1つの実施形態によれば、保持装置および/またはプレートには突起構造が設けられている。突起は、特に均等かつ連続的に分配された、基板および/またはプレートのための支持個所の僅かな数を成す。これにより、基板および/またはプレートの汚染の可能性は回避され、同時に安定性は維持される。相応の突起保持装置は、この点に関して引用される国際公開第2015113641号に記載されている。
【0113】
接合機
本明細書の次の過程では、本発明による接合機について言及するが、この接合機は、本発明による2つの保持装置から成り、この保持装置のうちの少なくとも一方は本発明によるプレートを有している。
【0114】
好適には、鉛直の方向および位置において、両基板は、特に全面的に、それぞれ対応するプレートによって支持される。同時に、基板は特に、接合開始点(接合の開始時の基板間の第1の接触点)に対して対称的に、それぞれ1つの変形手段によって、接合開始点に向かって湾曲されるので、接合開始点において凸状の表面が接触することができる。特に、接合ウェーブを伴う自動的な接合工程は、好適には、基板および/またはプレートのうちの少なくとも一方を保持装置から解放することによって開始される。
【0115】
特に接合機全体の本発明による実施形態は、好適には規定された、特に制御可能な雰囲気内で、好適には常圧で作動する。本発明による装置は好適には不活性ガスのもと作動させることができる。好適には存在するガス雰囲気は、接触工程を緩衝することができ、したがって、接触面が早期にもしくは複数の個所で同時に接触するのを阻止する。このような措置により歪みが防止される。接触中の接合を制御するために、接合機における圧力を制御することが考えられる。
【0116】
方法-接合
本発明によれば、プレートの曲げを、ひいてはプレートに位置固定された基板の曲げを接合過程において正確に制御することができる。
【0117】
特に独立的な本発明の態様は、両基板に、または基板のうち少なくとも一方に、特に基板の接触面の中心Mに対して同心的に、半径方向外側に向かって延在する予荷重を、接触前にかけることにより、できるだけ調整され、同時にほぼ自動的な接触を行わせることにある。このような予荷重は、基板がその上に位置固定されているプレートを曲げることにより保証される。これにより、接触の開始のみが影響を受け、基板の1つの区分の、特に中心Mの接触後、基板はなおプレートに位置固定されたまま解放され、したがって自動的にプレートによって支持されて、予荷重により制御されて、対向する基板に接合される。予荷重は、変形手段による、プレートの制御可能な変形により、したがって間接的に基板の制御可能な変形により達成され、この場合、変形手段は特に、接合面とは反対側に作用する。
【0118】
解放および圧力付与のプロセスは、全面的に、または局所的に、または所定の経路に沿って行われてよい。相応に、湾曲エレメントもしくは固定エレメントは切り換えられるもしくは制御される。
【0119】
両基板の曲げは、特に所定の距離で行われ、この距離は、接合ウェーブの進行時に、減じられる。特に基板の全面的な接触のために、プレートは保持装置から完全に解放される。この場合、基板は、プレートに位置固定されたままである。このために、保持装置の固定エレメントは停止状態に維持され、湾曲エレメントは作動される、もしくは作動されたままである。特に、ノズルから流出する流体を使用する場合には、下側のプレートは、エアクッションの上にあるかのように浮動し、基板の全面的な接触を可能にする。流体圧は、制御手段によって調整されて、適合され、これによりプロセスは最適に進行する。
【0120】
特にプレートの変位によって、基板の相互のx-yアライメントが変化するのを阻止するために、プレートを付加的に制限エレメントによって位置合わせされたx-y位置に保持することができる。制限エレメントは、プレートの外側に位置していてよく、プレートの並進および/または回転運動を阻止することができ、かつ/または制限エレメントは、プレートの並進および/または回転を阻止するために、プレートの孔を貫通して案内される。本発明によるプレートは極めて僅かな曲げを有していればよいので、プレートの摩擦のない曲げを保証し、かつ大きな変位および/または回転をほぼ阻止するためには、プレートの孔と制限エレメントとの間に数マイクロメートルの遊びがあれば十分である。
【0121】
制限エレメント(または代替的には別個の/付加的な捕捉エレメント)の特に独立的な本発明による別の態様は、保持装置の位置固定から完全に解放されたプレートの機械的な捕捉である。上側の保持装置の全ての固定部がオフにされた場合は、このような制限エレメントがなければ上側のプレートは上側の保持装置から落下する。制限エレメントは、落下を阻止し、上側のプレートの位置を保持する。これにより、保持装置からのプレートの完全な解放または連結解除が可能である。制限エレメントは特にz方向で制限される。
【0122】
制限エレメントの数は特に、1~100であり、好適には1~50であり、さらに好適には1~25であり、より好適には1~10であり、最も好適にはちょうど3つの制限エレメントが設けられている。制限エレメントは例えば以下のエレメントであってよい:
・ねじ、および/または
・ピン、および/または
・アンカーボルト、および/または
・金属薄板、および/または
・特別に製作された成形エレメント。
【0123】
両基板の接合開始点での接触が行われた後、上側のプレートは保持装置から完全に解放され、上側の基板は、プレートにまだ位置固定された状態で、一方では重力により、他方では、接合ウェーブに沿って基板間で作用する接合力により、下方に落下する。
【0124】
上側の基板は、半径方向で中心から、もしくは接合開始点から、側縁に向かって、下側の基板に接合される。こうして、特に中心から側縁に向かって延びる半径方向対称的な接合ウェーブが本発明により形成される。接合工程の間、両基板は、両基板の間に存在するガス、特に空気を、接合ウェーブの前方に押し出し、これによってガス封入物の無い接合境界面を生ぜしめる。プレートによって支持される上側の基板は、落下の際に、実際には一種のエアクッション上に位置する。
【0125】
プレートによって支持されている第1の/上側の基板は、接合開始点における接合の開始後、付加的な位置固定はなされないので、接合開始点における位置固定およびプレートにおける位置固定を除いて、自由に動くことができ、歪む可能性もある。プレートは、基板と共に、接合時の「ランアウト」誤差を最小限にするために十分柔軟であると同時に、基板の柔軟性が高過ぎることによる接合誤差を回避するために、基板を十分に支持するように選択される。
【0126】
接合過程の終了後、接合された基板積層体は、上側および下側のプレートによって保護され、したがってアンロードする、もしくはさらに搬送することができる。選択的に、例えば、接合工程の終了後、第2の/上側の基板がプレートから解放される。接合された基板積層体は、アンロード工程まで少なくとも下側のプレート上に位置固定されたままである。下側のプレートは、必要時には同様に再び真空によって保持装置に位置固定される。
【0127】
保持装置は、好適な実施形態によれば、プレートの全面的な位置固定を保証するために、第2の真空区域を有している。保持装置のこの第2の真空区域は、例えば、十字型、直線状、または円形に形成することができる。したがって保持装置は特に、縁部領域に、好適には外側の円環面に真空軌道を備えた第1の真空区域と、内部領域に、好適には内側の円環面における第2の真空区域と、を有する。
【0128】
中央における点状の接触により、接合ウェーブは、本発明による接合の際に、好適には、中央から側縁まで半径方向対称的に延び、この工程の際に、リング状の(同心的な)エアクッションを前方に押す。特にほぼ円環状の接合ウェーブの接合フロントに沿って、気泡の封入を発生させ得ないほど大きな接合力が生じている。上側の/第2の基板はしたがって、接合工程中一種のエアクッションの上に位置している。
【0129】
有利には、可変の全てのパラメータは、接合ウェーブが、存在する初期条件および周辺条件に関してできるだけ最適の速度で伝播するように選択される。とりわけ存在する雰囲気、特に常圧においては、接合ウェーブのできるだけ緩慢な速度が有利である。接合ウェーブの広がりの速度は特に、200cm/sよりも遅く、より有利には100cm/sよりも遅く、より有利には50cm/sよりも遅く、極めて有利には10cm/sよりも遅く、最も有利には1cm/sよりも遅いように調節される。特に接合ウェーブの速度は0.1cm/sよりも速い。特に接合ウェーブの速度は、接合フロントに沿って一定である。
【0130】
上述した本発明による全ての実施形態は、特別な変化実施形態において、真空、特に低真空または高真空において実施することができる。真空環境では、接合ウェーブの速度が自動的により速くなる。なぜなら、接合線に沿って結合する基板が、ガスによる抵抗を克服しなくて済むからである。
【0131】
本発明のその他の利点、特徴、詳細は、以下の好適な実施例の説明および図面により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【
図1】本発明による第1の実施形態を圧力および曲げ経過に関する図表と共に示す図である。
【
図2a】本発明による装置の第1の実施形態を本発明による方法の第1のプロセスステップで示す図である。
【
図2b】第1の実施形態を第2のプロセスステップで示す図である。
【
図2c】第1の実施形態を第3のプロセスステップで示す図である。
【
図2d】第1の実施形態を第4のプロセスステップで示す図である。
【
図2e】第1の実施形態を第5のプロセスステップで示す図である。
【
図3】本発明による装置の第2の実施形態を示す図である。
【
図4a】本発明による装置の第3の実施形態を第1のプロセスステップで示す図である。
【
図4b】第3の実施形態を第2のプロセスステップで示す図である。
【0133】
図面では、同じ構成部分または同じ機能を有する構成部分には同じ符号が付与されている。
【0134】
図1には、本発明の1つのプロセスステップにおける本発明による接合機13が示されており、見易さのために、この接合機13のうち下側の保持装置1uと、この下側の保持装置1uに対向して配置された上側の保持装置1oのみが示されている。接合機13のその他の通常の構成部分は図示されていない。
【0135】
下側の保持装置1u上には、下側のプレート17uが第1のプレート面20で、下側の保持装置1uの、リング状に延在する第1の固定エレメント2によって位置固定されている。固定エレメント2は、特に流体技術的に負荷可能な、好適には圧力によって負荷可能な、保持装置1uを貫通する通路である。
【0136】
下側のプレート17uは、第1のプレート面20に対向するプレート面21に第2の固定エレメント2’を有しており、この第2の固定エレメントは下側の保持装置1uによって好適には直接駆動制御することができ、かつ/または第1の固定エレメント2に接続されている。同様に、上側の保持装置1oは上側のプレート17oを有しており、この上側のプレートは、上側の保持装置1oの、リング状に延在する第1の固定エレメント2によって位置固定可能である。
【0137】
図示した全ての実施形態では、プレート17u,17oの第2の固定エレメント2’は、固定エレメント接続部6’を介して保持装置1o,1uに接続される。固定エレメント2,2’が真空固定装置であるならば、固定エレメント接続部6’は好適には、特にプレート17u,17oを貫通する通路として形成されている。下側の保持装置1uの通路が排気されている状態では、特に自動的に、下側のプレート17uの固定エレメント接続部6’も排気される。同じことは上側のプレート17oおよび上側の保持装置1oにも当てはまる。
【0138】
固定エレメント2がプレート17u,17oを位置固定する間に、リング状に延在する固定エレメント2の内側では湾曲エレメント5が湾曲を形成するので、プレート17u,17oは湾曲状態で存在する。
【0139】
第1の(上側の)基板4oは、固定エレメント2’によって上側のプレート17oに位置固定される。第2の(下側の)基板4uは、固定エレメント2’によって下側のプレート17uに位置固定される。
【0140】
図1における接合機13の上側および下側の第1の図表は、基板4u,4oおよび/またはプレート17u,17oの実際湾曲14u,14oならびに基板4u,4oおよび/またはプレート17u,17oの目標湾曲15u,15oをx位置の関数として示している。第1の図表のほか、
図1には第2の図表が示されており、この第2の図表は、管路として形成された固定エレメント接続部6’を介して減圧され、基板4u,4oをプレート17u,17oに位置固定する圧力p
1’を示している。図面には、特に円環状の溝として形成された1つだけの固定エレメント2’が各保持装置17u,17oに存在している。最後に、第3の図表は、基板4u,4oの周縁部にかけられる圧力p
1を示している。
【0141】
図面には2種類の制限エレメントが示されている。下側の保持装置1uには、本発明によるプレート17uの単純な並進移動を制限する第1の制限エレメント19’が位置している。例えば、1つのプロセスステップで、全ての固定エレメント2がオフにされて、下側のプレート17uが、特に湾曲エレメント5から流出する流体により生じるエアクッション上で自由に浮動することが考えられる。
【0142】
上側の保持装置1oには、プレート17oの落下を、特にプレート17o上に位置固定された基板4oを伴う落下を阻止するように成形されている第2の制限エレメント19が位置している。
【0143】
図3による上側の保持装置1oの好適な実施形態では、特に伸縮可能な固定エレメント接続部6’’(
図1には図示せず)によって、保持装置1uの第1の固定エレメント2(圧力p
1を付加される通路)とは独立した第2の固定エレメント2’の駆動制御が行われる。第2の固定エレメント2’には、圧力管路を介して圧力p
1’を負荷することができる。
【0144】
以下の一連の図面には、本発明によるプロセスフローが、上述した第1の実施形態による複数のプロセスステップにつき詳しく示されている。圧力および湾曲の経過に関する図表の図示は、見易さのため省く。図表が省かれるので、目標および実際湾曲15u,15o,14u,14oはさらなる図面には記載されない。湾曲の概略的な経過は
図1からわかる。
【0145】
図2aは、第1の/上側の基板4oと第2の/下側の基板4uの、対向して配置された接触面4kを接触させ、接合する本発明による接合機13を示している。接合機13は、下側の保持装置1uと上側の保持装置1oとから成る。保持装置1u,1oは特に、第1の/上側の基板4oおよび/または第1の/上側のプレート17oと、第2の/下側の基板4uおよび/または第2の/下側のプレート17uを保持するように形成することができ、この場合、下側の保持装置1uは、上側の保持装置1oとは異なるように構成されていて、または装備されていてよい。
【0146】
上側の保持装置1oは、好適には測定穴12を有しており、この測定穴を介して、特に基板ホルダ1oの背面から、プレート17oおよび/または基板4oの測定を行うことができる。基板4oが測定される場合、特にプレート17oも相応の測定穴12’を有している。選択的に測定穴12,12’にセンサが配置されていてもよい。測定穴12,12’は特に、湾曲変更手段と固定手段との間に配置されている。選択的に、または付加的に下側の基板ホルダ1uおよび/または下側のプレート17uが相応の測定穴12,12’を有していてもよい。測定穴は保持装置1を貫通していて、特に保持面1sに対して垂直に延在している。好適には測定穴12は、互いに180°または120°の間隔を置いて上面に分配配置されている。
【0147】
保持装置1u,1oは、複数の固定エレメント2とセンサ3,3’とを備えた保持面1sを有している。固定エレメント2は、流体管路として形成された通路を介して排気され、プレート17u,17oを位置固定する。距離センサは、湾曲変更手段5に直接、固定手段のところまで分配配置されている。したがって距離センサは、保持面1sの部分面にわたって延在している。
【0148】
固定手段の領域には、圧力センサとして構成されたセンサ3’が配置されていて、このセンサによって、センサ3のx位置に沿って、プレート17u,17oと保持装置1u,1oとの間で圧力p1が測定される。
【0149】
上側の基板4oは特に、重力に基づき存在している実際湾曲14oを有しており、下側の基板4uは平坦に載置されているので、本発明の場合には実際湾曲14uを有していない(実際にはごく僅かに有している)。しかしながら、重力によって生じる実際湾曲14oは無視できるほど小さいとも考えられる。
【0150】
図2bには、別のプロセスステップにおける接合機13が示されている。両基板4u,4oは、両基板ホルダ1u,1oの相対運動により互いに近付けられる。その他の点は、
図2aの状態と変更されていない。
【0151】
図2cには、別のプロセスステップにおける接合機13が示されている。図示した例では、圧力p
2のガスが貫流するガス流出開口である、湾曲エレメント5の使用により、両プレート17u,17oは、ひいては基板4u,4oは目標湾曲にもたらされ、この場合、好適には圧力の調節が距離センサによって行われる。閉ループ制御/開ループ制御のためには、固定エレメント2の圧力も使用することができ、これにより固定エレメントは、湾曲手段5,5’または湾曲変更手段5,5’の役割も引き受けることができ、したがって本発明においては固定エレメントも湾曲手段に数えられる。圧力値は特に連続的にかつ/または常に、好適には区域ごとに別個に、閉ループ制御可能/開ループ制御可能である。
【0152】
図2dには、別のプロセスステップにおける接合機13が示されている。両基板4u,4oは、基板4u,4oの接近により、半径方向外側に広がる接合ウェーブを形成している。この場合、基板4u,4oの湾曲は連続的に変化する(湾曲変更手段)。この場合、下側のおよび/または上側のプレート17u,17oもしくは下側のおよび/または上側の基板4u,4oの湾曲変更は距離センサによって継続的に監視され、必要な場合には、湾曲エレメント5および/または固定エレメント2により、その都度所望の、もしくは設定される目標湾曲が達成されるように修正される(湾曲変更手段)。重要なパラメータは、接合ウェーブの点における上側のプレート17oもしくは上側の基板4oの曲率半径R1と、下側のプレート17uもしくは下側の基板4uの曲率半径R2である。
【0153】
周方向に延びる内側の4つの固定エレメント2の列の圧力は、上側の保持装置1oおよび下側の保持装置1uにおいて同時にp0に減圧される。これにより基板4u,4oまたはプレート17u,17oは、特に内側から外側へと連続的に、保持面1sへの位置固定を失い、これにより湾曲エレメント5からの圧力p2はさらに広がることができる。
【0154】
制御により、基板の湾曲および湾曲変更を考慮することにより、ランアウト誤差は最小になる。特に、従来技術とは異なり、プレート・基板のシステムが、比較的高い曲げ抵抗を有していて、これにより基板がより安定して対向する基板に接合されるので、「ランアウト」誤差はさらに減じられる。
【0155】
図2eには、別のプロセスステップにおける接合機13が示されている。両基板4u,4oは、上側の保持装置1oの固定エレメント2の最も外側の列の圧力をp
0に減圧することにより、制御されて互いに接合される。特に上側のプレート17oは上側の保持装置1oに残されている。上側のプレート17oが、上側の基板4o上にとどまることも考えられる。この場合は、制限エレメント19を設けてはならない。
【0156】
別の図面に、本発明による保持装置の別の実施形態が示される。
【0157】
図3には、保持装置1uとプレート17uの本発明による改善された好適な実施形態が示されており、この実施形態では、特にベローズまたはリップとして構成された固定エレメント接続部6’’を介して行われる位置固定は保持装置1uからプレート17uへと移行される。固定エレメント接続部6’’は特に、プレート17uに対する基板4uの位置固定を中断することなく、膨張可能である。静電固定の場合、固定エレメント接続部6’’は例えば、保持装置1uとプレート17uとの間の電位を維持するワイヤであってよい。図示した真空固定の場合、固定エレメント接続部6’’は、伸縮可能な、特にできるだけ真空密なベローズである。固定エレメント接続部6’’が特に中央に支持されている場合は、可能な湾曲エレメント5は固定エレメント接続部6’’の側方に位置する。
【0158】
図4aには、保持装置1uと同様に構成されている保持装置1u’が、本発明による第1のプロセスステップで示されている。相違点のある特徴は、保持装置1u’上に、特にリング状に配置されたシールリング18である。シールリング18上にはプレート17が支持される。
【0159】
この実施形態では、湾曲エレメント5’として、保持装置1u’の中央にピンが配置されている。ピンは、保持装置1u’を中央で貫通していて、保持装置に対して相対的にz方向で移動可能である。最初の時点では、プレート17uは基板4uと共に、既に上昇された湾曲エレメント5’の先端上に支持される。同時にプレートはさらに、変形されていないシールリング18上に位置する。プレート17uは実質的にまだ湾曲されていない。
【0160】
図4bには、保持装置1u’が第2のプロセスステップで示されている。真空経路(通路、固定エレメント2、固定エレメント接続部6’,6’’、固定エレメント2’)に沿って真空を発生させることにより、プレート17uは縁部で下方に吸引される。これにより、容易に変形可能な弾性的なシールリング18が変形させられて、プレートを保持装置1uに対してシールする。本発明による接合プロセスでは、基板4uを基板4o(図示せず)に接触させた後、真空経路は再び溢流し、これにより改善され、最適化された基板4uの接合工程が可能となる。
【0161】
図3a,3bの実施形態は、
図1~
図2eによる実施形態に対して運動学的に反転したものとみなすことができる。特に、この実施形態は、プレート17uが特に周縁部に作用する真空を発生させることにより、周縁部でも下方に向かって吸引されることを特徴とし、他方で前述した実施形態では、湾曲エレメント5による力の付与により、プレート17uが、湾曲エレメント5の領域で、湾曲エレメント5を通って流入する流体の分布によって変形される様子を説明した。
【符号の説明】
【0162】
1o 上側の保持装置
1u,1u’ 下側の保持装置
1s 保持面
2,2’ 固定エレメント
3 センサ
4o 第1の/上側の基板
4u 第2の/下側の基板
4a 基板保持面
4k 接触面
5,5’ 湾曲エレメント
6’,6’’ 固定エレメント接続部
12 測定穴
13 接合機
14u,14o 実際湾曲
15u,15o 目標湾曲
16u,16o 圧力経過
17o 上側のプレート
17u 下側のプレート
18 シールリング
19,19’ 制限エレメント
20 第1のプレート面
21 第2のプレート面
p1,p1’ 圧力
【手続補正書】
【提出日】2024-03-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板を第2の基板に、前記第1の基板および前記第2の基板の互いに向き合う接触面で接合する方法であって、前記第1の基板を第1の保持装置に保持し、前記第2の基板を第2の保持装置に保持し、前記第2の保持装置は、前記第2の基板と前記第2の保持装置の表面との間に配置されている下側のプレートを有する、方法において、
前記第2の基板を前記下側のプレートと共に、前記接合前または前記接合中あるいは前記接合前かつ前記接合中に、前記第2の保持装置に対して変形させ、前記第2の基板を前記下側のプレートの変形により変形させ、前記下側のプレートの厚さは、0.1mm~10mmであり、
複数の距離センサを、湾曲測定手段として使用し、前記基板または前記プレートの曲率は、前記基板と前記保持装置との間の距離から、または、前記プレートと前記保持装置との間の距離から決定され、
複数の前記距離センサは、湾曲または湾曲変更を含む前記変形の良好な閉ループ制御または開ループ制御を可能にするために、保持面に沿って分布されている、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第1の基板と前記第1の保持装置との間に第1のプレートが配置されており、前記第1の基板を前記第1のプレートと共に、前記接合前または前記接合中あるいは前記接合前かつ前記接合中に、前記第1の保持装置に対して変形させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記変形を、前記第1の基板および前記第2の基板の前記接触面の接触前に、前記第1の基板および前記第2の基板の前記接触面に対して、鏡像対称的または同心的あるいは鏡像対称的かつ同心的であるように、設定または制御あるいは設定かつ制御する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
流体圧負荷による前記第2の基板の変形を、前記下側のプレートを負荷する湾曲要素によって設定または制御あるいは設定かつ制御する、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記第1のプレートを、前記第1の保持装置の周囲に円環状に配置された第1の固定手段により位置固定する、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記第1の基板および前記第2の基板のうちの少なくとも1つを、前記第1の保持装置の前記第1の固定手段または前記第2の保持装置に接続された、前記第1のプレートおよび前記下側のプレートの第2の固定手段によって位置固定する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記第2の基板および前記下側のプレートの前記変形を、距離センサを含むセンサを含んでいる湾曲測定手段によって検出する、請求項1、2、5または6記載の方法。
【請求項8】
前記下側のプレートの曲率半径は、調節可能である、請求項1、2、5または6記載の方法。
【請求項9】
前記第1の基板を、当該第1の基板の領域にリング状に配置された第1の固定手段によって固定する、請求項2記載の方法。
【請求項10】
前記第1の基板および前記第2の基板のうちの少なくとも1つを、前記第1の保持装置の前記第1の固定手段または前記第2の保持装置に接続された、前記第1のプレートおよび前記下側のプレートの同一のタイプの第2の固定手段によって位置固定する、請求項5記載の方法。
【請求項11】
前記距離センサを、湾曲測定手段として使用し、複数の支持箇所間の曲率が、補間または計算される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
第1の基板を第2の基板に、前記第1の基板および前記第2の基板の互いに向かい合う接触面で接合する装置であって、
前記第1の基板を保持する第1の保持装置および前記第2の基板を保持する第2の保持装置を有しており、前記第2の保持装置は、下側のプレートを備え、
前記下側のプレートは、前記第2の基板と前記第2の保持装置の表面との間に配置されている、装置において、
前記下側のプレートを前記第2の基板と共に、前記第2の保持装置に対して変形させるための湾曲変更手段を備え、前記湾曲変更手段が、前記接合中に制御可能であり、前記第2の基板は、前記下側のプレートの変形により変形させられ、前記下側のプレートの厚さは、0.1mm~10mmであり、
複数の距離センサは、湾曲測定手段として使用され、前記基板または前記プレートの曲率は、前記基板と前記保持装置との間の距離から、または、前記プレートと前記保持装置との間の距離から決定され、
複数の前記距離センサは、湾曲または湾曲変更を含む前記変形の良好な閉ループ制御または開ループ制御を可能にするために、保持面に沿って分布されている、ことを特徴とする、装置。
【請求項13】
前記第1の基板と前記第1の保持装置との間に第1のプレートが配置されており、前記第1の基板は前記第1のプレートと共に、前記接合前または前記接合中あるいは前記接合前かつ前記接合中に、前記第1の保持装置に対して変形可能であるように形成されている、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記第1の保持装置および前記第2の保持装置のうちの少なくとも1つは、前記第1の基板の変形および/または前記第2の基板の変形を、設定または制御あるいは設定かつ制御するために、機械的な湾曲要素および流体圧負荷手段のうちの少なくとも1つを有している、請求項12または13記載の装置。
【請求項15】
前記第1の保持装置は、前記第1のプレートを位置固定するための第1の固定手段を有し、前記第1の固定手段は、前記第1の保持装置の周囲に円環状に配置されている、請求項13記載の装置。
【請求項16】
前記第1のプレートおよび前記下側のプレートのうちの少なくとも1つは、前記第1の保持装置の前記第1の固定手段および/または前記第2の保持装置に接続された、第2の固定手段を有する、請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記下側のプレートは、0.01GPa~1100GPaの間のヤング率を有している、請求項12または13記載の装置。
【請求項18】
前記第1の基板の前記変形および/または前記第2の基板の前記変形が、距離センサを含むセンサを含んでいる湾曲測定手段によって検出される、請求項13記載の装置。
【請求項19】
前記下側のプレートの曲率半径は調節可能である、請求項13または18記載の装置。
【請求項20】
前記第1の基板および前記下側のプレートのうちの少なくとも1つは、前記第1の基板および/または前記第2の基板を固定するための前記第1の保持装置の前記第1の固定手段および/または前記第2の保持装置に接続された、第2の固定手段を有している、請求項15記載の装置。
【請求項21】
前記距離センサは、湾曲測定手段として使用され、複数の支持箇所間の曲率が、補間または計算される、請求項12記載の装置。
【請求項22】
第1の基板を第2の基板に、前記第1の基板および前記第2の基板の互いに向き合う接触面で接合するために用いられるプレートであって、前記第1の基板は第1の保持装置に保持され、前記第2の基板は第2の保持装置に保持され、前記プレートは、前記第2の保持装置に設けられており、前記第2の基板と前記第2の保持装置の表面との間に配置されている、プレートにおいて、
前記第2の基板は、前記プレートと共に、前記接合前または前記接合中あるいは前記接合前かつ前記接合中に、前記第2の保持装置に対して変形させられ、前記第2の基板は前記プレートの変形により変形させられ、前記プレートの厚さは、0.1mm~10mmである、プレート。
【外国語明細書】