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特開2024-73672排出された現像剤用のチャンバを備えた現像装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073672
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】排出された現像剤用のチャンバを備えた現像装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
G03G15/08 310
G03G15/08 390Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157629
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】岩田 尚也
(72)【発明者】
【氏名】村松 智
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 皓一
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AB02
2H077AB15
2H077AB18
2H077AC01
2H077AC02
2H077AC16
2H077BA01
2H077BA08
2H077CA05
2H077CA19
2H077EA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】装置が大型になるのを抑制することができ、構造が複雑になるのを抑制することができ、感光体ドラムから排出された廃トナーを回収する廃トナー回収容器の寿命が短くなるのを抑制することができる現像装置。
【解決手段】現像装置1は、供給領域から放出領域に現像剤を搬送するために回転可能な現像ローラ31と、前記現像剤を前記現像ローラ31に供給するための第一チャンバAであって、前記放出領域が前記第一チャンバAと前記現像ローラ31との間に位置する、前記第一チャンバAと、排出された現像剤を収容する第二チャンバBと、前記現像ローラ31と前記第二チャンバBとの間に位置するガイド36であって、前記放出領域において前記現像ローラによって放出された前記現像剤を前記第一チャンバA又は前記第二チャンバBに向って選択的に方向づけるように動作可能なガイド36と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給領域から放出領域に現像剤を搬送するために回転可能な現像ローラと、
前記現像剤を前記現像ローラに供給するための第一チャンバであって、前記放出領域が前記第一チャンバと前記現像ローラとの間に位置する、前記第一チャンバと、
排出された現像剤を収容する第二チャンバと、
前記現像ローラと前記第二チャンバとの間に位置するガイドであって、前記放出領域において前記現像ローラによって放出された前記現像剤を前記第一チャンバ又は前記第二チャンバに向って選択的に方向づけるように動作可能なガイドと、を備える、
現像装置。
【請求項2】
前記第一チャンバ及び前記第二チャンバを収容するハウジングを備え、
前記第二チャンバは、前記第一チャンバを少なくとも部分的に取り囲むように延在する、
請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第一チャンバを収容する現像室であって、前記現像ローラの下方に延びて前記現像剤を搬送及び攪拌する供給搬送路を形成する前記現像室と、
前記現像室と前記第二チャンバとの間に延びるハウジング壁であって、前記現像ローラと対向するように前記供給搬送路よりも上方に位置した排出口を形成する前記ハウジング壁と、を備える、
請求項1の現像装置。
【請求項4】
前記現像ローラは、長手方向に延び、前記現像剤を搬送するためのマグネットを含む搬送部と、前記搬送部の両端から延びる長手方向端部と、を有し、
前記排出口は、前記搬送部とオーバーラップするとともに前記長手方向端部の少なくとも一部とオーバーラップするように、前記長手方向に延びている、
請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記現像ローラの前記長手方向端部は、第一端部及び第二端部を含み、
前記現像室は、前記供給搬送路と、前記現像ローラの前記第一端部に隣接する開口を介して前記供給搬送路に前記現像剤を供給する混合搬送路と、を含む現像剤搬送路を有し、
前記現像室の前記排出口は、前記長手方向において、前記現像ローラの前記第一端部の少なくとも一部とオーバーラップしている、
請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記ガイドは、前記現像ローラから放出された前記現像剤を前記第一チャンバに向かわせる第一位置と、前記現像ローラから放出された前記現像剤を前記第二チャンバに向かわせる第二位置と、の間で揺動するように、前記現像ローラの長手方向と平行に延びる回転軸を中心に回転可能である、
請求項3に記載の現像装置。
【請求項7】
前記ハウジング壁と前記ガイドとに形成されて、前記ガイドを前記第一位置と前記第二位置とに選択的に設定するクリックストップカップリングを備える、
請求項6に記載の現像装置。
【請求項8】
前記ガイドは、前記現像ローラから放出された前記現像剤を前記第一チャンバに導く第一位置と、前記現像ローラと前記排出口との間に延びて前記現像ローラから放出された前記現像剤を前記排出口を介して前記第二チャンバに導く第二位置と、の間で移動可能である、
請求項3に記載の現像装置。
【請求項9】
前記ガイドは、
本体と、
前記本体から延びて、前記ガイドが前記第二位置に設定されたときに前記現像ローラに接触する接触部と、を含み、
前記接触部は、前記本体よりも柔軟である、
請求項8に記載の現像装置。
【請求項10】
前記現像ローラは、前記供給領域において前記供給搬送路から前記現像剤を引き付けるピックアップ極と、前記放出領域において前記現像剤を放出するリリース極と、を有し、
前記第二位置にある前記ガイドが前記現像ローラに最も近接する最近接位置は、前記現像ローラの回転方向において、前記リリース極の角度位置から前記ピックアップ極の角度位置までの角度範囲内に位置している、
請求項8に記載の現像装置。
【請求項11】
前記現像室は、前記供給搬送路と、前記供給搬送路に前記現像剤を供給する混合搬送路と、を含む現像剤搬送路を有し、
前記現像剤搬送路を少なくとも部分的に取り囲むように延在する第三チャンバであって、前記ハウジング壁が前記第二チャンバと前記第三チャンバとの間に延びる、前記第三チャンバを備え、
前記排出口は、前記現像ローラと対向するように前記供給搬送路よりも上方に位置した第一排出口であり、
前記ハウジング壁は、前記第二チャンバと前記第三チャンバとの間においてシャッタにより開閉可能な第二排出口を形成する、
請求項3に記載の現像装置。
【請求項12】
潜像を形成するための表面を有する感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの前記潜像にトナー像を形成するための現像装置と、を備え、
前記現像装置は、
供給領域から放出領域に現像剤を搬送するために回転可能な現像ローラと、
前記現像剤を前記現像ローラに供給するための第一チャンバであって、前記放出領域が前記第一チャンバと前記現像ローラとの間に位置する、前記第一チャンバと、
排出された前記現像剤を収容する第二チャンバと、
前記現像ローラと前記第二チャンバとの間に位置するガイドであって、前記放出領域において前記現像ローラによって放出された前記現像剤を前記第一チャンバ又は前記第二チャンバに向って選択的に方向づけるように動作可能なガイドと、を備える、
画像形成装置。
【請求項13】
前記現像装置に連結され、前記第二チャンバに振動運動を付与する駆動源を備える、
請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記現像装置は、作動位置と後退位置との間を移動可能であり、
前記現像ローラは、前記後退位置において、前記作動位置よりも前記感光体ドラムから離間している、
請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記現像装置を前記作動位置と前記後退位置との間で回転可能に支持する軸と、
前記現像装置を前記作動位置に固定する第一位置と、前記軸を中心として前記現像装置を前記作動位置と前記後退位置との間で移動させる第二位置と、に操作可能な切替装置と、
前記現像装置に連結され、前記切替装置が前記第二位置にあるときに前記軸を中心として前記現像装置に振動運動を付与する駆動源と、を備える、
請求項14に記載の画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
トナー及びキャリアを含む現像剤を用いて、感光体ドラムの表面に形成された静電潜像を現像する現像装置を備えた画像形成装置が知られている。このような画像形成装置では、印刷動作に伴い、トナーは現像で消費されるが、キャリアは現像で消費されずに現像室に残るため劣化していく。このため、現像装置に排出口を形成し、排出口から溢れ出した現像剤を現像装置の外部に設けられた回収容器に回収するトリクル排出方式の現像装置が知られている。トリクル排出方式は、トリクル現像方式、又はADR(Auto Developer Refill)等とも称される。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1図1は、例の画像形成装置の一部を示す模式断面図であり、例の現像装置における現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。
図2図2は、例の画像形成装置の一部を示す模式断面図であり、例の現像装置における現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。
図3図3は、図1及び図2に示す現像装置の、現像ローラの長手方向と平行な方向における模式断面図である。
図4図4は、例の画像形成装置の、供給タンク区画の近傍を示す模式図である。
図5図5は、現像ローラと排出口との位置関係の例を説明するための模式断面図である。
図6図6は、現像ローラと排出口との位置関係の例を説明するための模式図である。
図7図7は、現像ローラと排出口との位置関係の例を説明するための模式図である。
図8図8は、現像ローラの回転速度と現像剤の排出レートとの関係の例を示すグラフである。
図9図9は、制御部による現像剤補給処理の例を示すフローチャートである。
図10図10は、他の例の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。
図11図11は、他の例の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。
図12図12は、他の例のガイドを示す模式断面図である。
図13図13は、他の例の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。
図14図14は、他の例の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。
図15図15は、他の例の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。
図16図16は、他の例の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。
図17図17は、他の例の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。
図18図18は、他の例の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。
図19図19は、他の例の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。
図20図20は、他の例の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。
図21図21は、例の画像形成装置の一部を示す模式断面図であり、他の例の現像装置における現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。
図22図22は、例の画像形成装置の一部を示す模式断面図であり、他の例の現像装置における現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。
図23図23は、駆動源の制御例を示すタイムチャートである。
図24図24は、駆動源の他の制御例を示すタイムチャートである。
図25図25は、現像室から排出室に現像剤を排出した状態を示す模式断面図である。
図26図26は、現像室から排出室に現像剤を排出した状態を示す模式断面図である。
図27図27は、現像室から排出室に現像剤を排出して振動付与処理を行った状態を示す模式断面図である。
図28図28は、他の例の画像形成装置の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。
図29図29は、他の例の画像形成装置の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
トリクル排出方式の現像装置では、現像装置の外部に、現像室と連通する回収容器を設ける必要がある。このため、全体として装置が大型になるとともに、構造が複雑になるという問題がある。この回収容器として、感光体ドラムから排出された廃トナーを回収する廃トナー回収容器を兼用することも考えられるが、この場合、廃トナー回収容器の寿命が短くなるという問題がある。また、トリクル排出方式の現像装置では、印刷動作に伴い、常に少量の現像剤が排出口から排出される。このため、現像室に収容されているキャリアの劣化速度を低下することができる。しかしながら、現像室に収容されているキャリアの性能を大幅に向上することができず、現像剤の排出量及び排出タイミングを調整することもできないという問題がある。
【0004】
そこで、例の現像装置は、供給領域から放出領域に現像剤を搬送するために回転可能な現像ローラと、前記現像剤を前記現像ローラに供給するための第一チャンバであって、前記放出領域が前記第一チャンバと前記現像ローラとの間に位置する、前記第一チャンバと、排出された現像剤を収容する第二チャンバと、前記現像ローラと前記第二チャンバとの間に位置するガイドであって、前記放出領域において前記現像ローラによって放出された前記現像剤を前記第一チャンバ又は前記第二チャンバに向って選択的に方向づけるように動作可能なガイドと、を備える。
【0005】
また、例の画像形成装置は、潜像を形成するための表面を有する感光体ドラムと、前記感光体ドラムの前記潜像にトナー像を形成するための現像装置と、を備え、前記現像装置は、供給領域から放出領域に現像剤を搬送するために回転可能な現像ローラと、前記現像剤を前記現像ローラに供給するための第一チャンバであって、前記放出領域が前記第一チャンバと前記現像ローラとの間に位置する、前記第一チャンバと、排出された前記現像剤を収容する第二チャンバと、前記現像ローラと前記第二チャンバとの間に位置するガイドであって、前記放出領域において前記現像ローラによって放出された前記現像剤を前記第一チャンバ又は前記第二チャンバに向って選択的に方向づけるように動作可能なガイドと、を備える。
【0006】
このように、例の現像装置及び例の画像形成装置では、排出された現像剤を第二チャンバに収容することができる。これにより、全体として装置が大型になるのを抑制することができ、構造が複雑になるのを抑制することができ、感光体ドラムから排出された廃トナーを回収する廃トナー回収容器の寿命が短くなるのを抑制することができる。また、例の現像装置及び例の画像形成装置では、放出領域において現像ローラによって放出された現像剤を第一チャンバ又は第二チャンバに向って選択的に方向づけるように動作可能なガイドを備える。このため、ガイドの選択的な動作により、第二チャンバに排出される現像剤の排出量及び排出タイミングを調整することができる。しかも、大量の現像剤を第二チャンバに排出して、大量の新しい現像剤を供給することで、キャリアの性能を大幅に向上(回復)することができる。
【0007】
以下、図面を参照して、例の画像形成装置について説明する。なお、図面に基づいて説明するにあたり、同一の要素又は同一の機能を有する類似する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0008】
図1及び図2は、例の画像形成装置の一部を示す模式断面図であり、例の現像装置における現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。図1及び図2に示すように、例の画像形成装置1は、潜像を形成するための表面を有する感光体ドラム20と、感光体ドラム20の潜像を現像してトナー像を形成する現像装置30と、画像形成装置1における様々な制御を行う制御部70と、を備える。
【0009】
現像装置30は、回転可能な現像ローラ31と、ハウジング32と、第一攪拌搬送部材33と、第二攪拌搬送部材34と、現像剤規制部35と、ガイド36と、を備えている。
【0010】
図3は、図1及び図2に示す現像装置の、現像ローラの長手方向と平行な方向における模式断面図である。図1図3に示すように、現像ローラ31は、長手方向D1に延びて、トナー及びキャリアを含む現像剤を搬送する。現像ローラ31は、感光体ドラム20との間に間隙が形成されるように感光体ドラム20と対向して配置されて、ハウジング32に収容された現像剤を表面に担持して回転する。つまり、現像ローラ31は、回転方向D2に回転することで現像剤を搬送する。現像ローラ31は、現像装置30に連結された駆動源90により回転駆動される。駆動源90は、例えば、モータであり、ベルト、歯車等の動力伝達部材を介して現像ローラ31を回転駆動する。
【0011】
現像ローラ31は、例えば、円柱状に形成されている。現像ローラ31は、長手方向D1に延びる回転軸31Aを有している。現像ローラ31は、現像ローラ31の回転軸31Aと感光体ドラム20の回転軸20Aとが平行となり、かつ、現像ローラ31と感光体ドラム20との間隔が長手方向D1において同じとなるように、配置されている。現像ローラ31は、第一攪拌搬送部材33及び第二攪拌搬送部材34により攪拌された現像剤を表面に担持する。現像ローラ31は、担持している現像剤を現像領域DAに搬送することで、感光体ドラム20の静電潜像を現像する。現像領域DAは、現像ローラ31と感光体ドラム20との間に位置する領域であって、現像ローラ31と感光体ドラム20とが対向している領域である。現像領域DAには、現像ローラ31と感光体ドラム20とが最も接近しているニップ位置が含まれる。
【0012】
現像ローラ31は、現像ローラ31の表層を形成する現像スリーブ311と、現像スリーブ311の内部に配置されたマグネット312と、を備える。現像スリーブ311は、非磁性の金属からなる筒状部材である。現像スリーブ311は、回転軸31Aを中心として回転可能である。マグネット312は、例えば、ハウジング32に固定された回転軸31A上のシャフトに固定されており、複数の磁極を有している。現像スリーブ311は、例えば、このシャフトに対して回転可能に支持されており、モータ等の駆動源(不図示)により回転駆動される。現像剤は、マグネット312の磁気力により、現像スリーブ311の表面に担持される。現像ローラ31は、現像スリーブ311が回転することで、現像剤を現像スリーブ311の回転方向に搬送する。なお、現像ローラ31が回転するとは、現像スリーブ311が回転することをいい、現像ローラ31の回転方向D2は、現像スリーブ311の回転方向をいう。
【0013】
マグネット312は、現像ローラ31の長手方向D1における中央部に配置されており、現像ローラ31の長手方向D1における両端部に配置されていない。このため、現像ローラ31は、マグネット312を含む搬送部313と、マグネット312を含まない第一端部314a及び第二端部314bと、を有する。搬送部313は、現像ローラ31の長手方向D1における中央部に位置して、長手方向D1に延びている。第一端部314a及び第二端部314bは、現像ローラ31の長手方向D1における両端部(長手方向端部)に位置して、長手方向D1に延びている。
【0014】
また、マグネット312は、現像剤を引き付けるピックアップ極315と、現像スリーブ311の表面に担持している現像剤を放出するリリース極316と、を有する。リリース極316は、現像ローラ31の回転方向D2における現像領域DAとピックアップ極315との間に位置している。ピックアップ極315は、現像ローラ31の回転方向D2におけるリリース極316と現像領域DAとの間に位置している。このため、現像室Cに収容されている現像剤は、ピックアップ極315により現像スリーブ311の表面に担持され、現像領域DAにおいて感光体ドラム20の静電潜像を現像し、リリース極316により現像スリーブ311の表面から現像室Cに放出される。
【0015】
ハウジング32は、現像装置30の容器である。ハウジング32は、内部に、現像室C及び第二チャンバBを形成する。現像室Cは、現像剤を収容するとともに、収容している現像剤により感光体ドラム20の静電潜像を現像するための部屋である。現像室Cには、トナー及びキャリアを含む現像剤が収容されている。また、現像室Cには、現像ローラ31、第一攪拌搬送部材33、及び第二攪拌搬送部材34が収容されている。ハウジング32は、現像ローラ31が感光体ドラム20と対向する位置に開口321を有しており、現像室C内のトナーは、この開口321から感光体ドラム20に供給される。
【0016】
現像室Cは、現像剤が現像ローラ31に供給される供給領域Dと、現像ローラ31から現像剤が放出される放出領域Eと、を形成する。供給領域Dは、ピックアップ極315により現像剤を現像スリーブ311の表面に担持させる領域でもある。放出領域Eは、リリース極316により現像剤を現像スリーブ311の表面から放出させる領域でもある。また、現像室Cは、現像剤搬送路38と、第一チャンバAと、を形成する。現像剤搬送路38は、第一攪拌搬送部材33及び第二攪拌搬送部材34を収容して、現像剤を攪拌及び搬送するための領域である。第一チャンバAは、放出領域Eと供給領域D及び現像剤搬送路38との間の領域である。
【0017】
第二チャンバBは、現像室Cから排出された現像剤を回収するための部屋である。第二チャンバBは、現像室Cを少なくとも部分的に囲むように延在している。また、第二チャンバBは、第一チャンバAを少なくとも部分的に囲むように延在している。ハウジング32の一部であるハウジング壁32aは、現像室Cと第二チャンバBとの間に延びている。現像室Cと第二チャンバBとは、ハウジング32内において、ハウジング壁32aを隔てて隣接して位置している。ハウジング壁32aには、現像室Cから第二チャンバBに現像剤を排出するための排出口32bが形成されている。つまり、現像室Cは、現像剤を排出するための排出口32bを有しており、ハウジング壁32aにより隔てられた現像室Cと第二チャンバBとは、排出口32bを介して連通可能となっている。排出口32bは、現像ローラ31と対向するように現像剤搬送路38よりも上方に位置している。また、排出口32bは、現像ローラ31に対する感光体ドラム20とは反対側に位置している。
【0018】
第一攪拌搬送部材33及び第二攪拌搬送部材34は、現像剤を構成する磁性体のキャリアと非磁性体のトナーとを攪拌して、キャリアとトナーとを摩擦帯電させる。また、第一攪拌搬送部材33及び第二攪拌搬送部材34は、現像剤を攪拌しながら搬送する。第一攪拌搬送部材33及び第二攪拌搬送部材34は、現像ローラ31の下方に配置された現像剤搬送路38に配置されている。現像剤搬送路38は、供給搬送路381と、混合搬送路382と、第一開口383と、第二開口384と、トナー補給口385と、を有する。
【0019】
供給搬送路381は、現像ローラ31に現像剤を供給するための現像剤搬送路である。供給搬送路381は、第一攪拌搬送部材33を収容している。供給搬送路381は、現像ローラ31の下方に配置されて、長手方向D1に延びている。供給搬送路381は、現像ローラ31側に開放されている。混合搬送路382は、第一開口383を介して供給搬送路381に現像剤を供給するための現像剤搬送路である。混合搬送路382は、第二攪拌搬送部材34を収容している。混合搬送路382は、供給搬送路381の下方に配置されて、長手方向D1に延びている。第一開口383は、供給搬送路381及び混合搬送路382の長手方向D1における一方側の端部を互いに結合(fluidly coupled)している。第二開口384は、供給搬送路381及び混合搬送路382の長手方向D1における他方側の端部を互いに結合(fluidly coupled)している。つまり、供給搬送路381と混合搬送路382とは、第一開口383及び第二開口384を通じて互いに連通されている。
【0020】
図4は、例の画像形成装置の、供給タンク区画の近傍を示す模式図である。図1図4に示すように、トナー補給口385は、トナータンク80から供給されたトナーを現像剤搬送路38に供給するために現像剤搬送路38に形成された開口である。トナータンク80は、画像形成装置1の供給タンク区画81に着脱可能に装着される。供給タンク区画81は、トナータンク80の他に、現像装置30に現像剤を供給するための現像剤タンク82も着脱可能に装着することが可能となっている。トナー補給口385は、例えば、混合搬送路382の、長手方向D1における第二開口384に対する第一開口383とは反対側の端部に形成されている。トナー補給口385は、トナータンク80を着脱可能に装着する供給タンク区画81と連通されている。そして、供給タンク区画81に装着されたトナータンク80に収容されたトナーが、トナー補給口385から混合搬送路382に供給される。
【0021】
図1図3に示すように、第一攪拌搬送部材33は、現像剤を攪拌するとともに現像剤を現像ローラ31に供給するためのサプライオーガである。第一攪拌搬送部材33は、回転軸331と、回転軸331から螺旋状に突出する螺旋羽根332と、を備えている。第一攪拌搬送部材33は、供給搬送路381の現像剤を第一開口383側から第二開口384側に搬送する。第一攪拌搬送部材33では、駆動装置(不図示)によって回転軸331が回転駆動されると、回転軸331周りを回転する螺旋羽根332により、現像剤が第一開口383側から第二開口384側に搬送される。そして、現像剤は、供給搬送路381から現像ローラ31に供給されるとともに、第二開口384を通じて供給搬送路381から混合搬送路382に供給される。
【0022】
第二攪拌搬送部材34は、現像剤を攪拌するとともに供給搬送路381と混合搬送路382との間で現像剤を循環させるためのアドミックスオーガである。第二攪拌搬送部材34は、回転軸341と、回転軸341から螺旋状に突出する螺旋羽根342と、を備えている。第二攪拌搬送部材34は、混合搬送路382の現像剤を第二開口384側から第一開口383側に搬送する。混合搬送路382における現像剤の搬送方向において、第一開口383は第二開口384の下流側に配置されている。第二攪拌搬送部材34では、駆動装置(不図示)によって回転軸341が回転駆動されると、回転軸341周りを回転する螺旋羽根342により、現像剤が第二開口384側から第一開口383側に搬送される。そして、現像剤は、第一開口383を通じて混合搬送路382から供給搬送路381に供給される。
【0023】
図1及び図2に示すように、現像剤規制部35は、現像ローラ31により運ばれる現像剤の厚さを制限する。つまり、現像剤規制部35は、現像ローラ31に担持される現像剤の担持量を規制する。現像剤規制部35は、現像ローラ31の回転方向D2における現像領域DAの上流側、かつ、現像領域DAの近傍に配置されている。現像剤規制部35は、現像ローラ31との間に所定の間隙を形成する。このため、現像剤規制部35は、現像ローラ31が回転することで、現像ローラ31の周面上に担持された現像剤の層厚を制限し、当該層厚を均一な厚さの層に均す。現像剤規制部35と現像ローラ31との間隔を調整することで、現像領域DAに搬送される現像ローラ31による現像剤の搬送量を調整することができる。
【0024】
ガイド36は、現像ローラ31と第二チャンバBとの間に位置している。ガイド36は、放出領域Eにおいて現像ローラ31によって放出された現像剤を第一チャンバA又は第二チャンバBに向って選択的に方向づけるように動作可能である。また、ガイド36は、現像室Cの排出口32bを覆う(閉じる)とともに、現像剤を第二チャンバB内に選択的に排出するために排出口32bを開放するように動作可能である。つまり、ガイド36は、現像室Cの排出口32bを覆う閉位置(図1参照)と、排出口32bを開放する開位置(図2参照)と、に選択的に移動可能である。
【0025】
ガイド36は、閉位置では、現像ローラ31から放出された現像剤を第一チャンバA及び現像剤搬送路38に導くために、放出領域Eと第一チャンバA及び現像剤搬送路38との間の空間が大きく開くように排出口32bを塞いでいる。つまり、ガイド36は、現像ローラ31から放出された現像剤を第一チャンバA及び現像剤搬送路38に導くために、排出口32bを塞ぐ閉位置に移動可能である。このため、ガイド36の閉位置では、ガイド36は、放出領域Eにおいて現像ローラ31によって放出された現像剤を第一チャンバAに向って選択的に方向づけることが可能となっている。ガイド36の閉位置は、現像ローラ31から放出された現像剤を第一チャンバAに向かわせる第一位置でもある。ガイド36が閉位置にある場合、現像室Cと第二チャンバBとは分離されて、現像室Cと第二チャンバBとの間での現像剤の移動が不能となっている。
【0026】
ガイド36は、開位置では、現像ローラ31から放出された現像剤を排出口32b及び第二チャンバBに導くために、現像ローラ31と排出口32bとの間に延びている。つまり、ガイド36は、現像ローラ31から放出された現像剤を排出口32b及び第二チャンバBに導くために、現像ローラ31と排出口32bとの間に延びる開位置に移動可能である。このため、ガイド36の開位置では、ガイド36は、放出領域Eにおいて現像ローラ31によって放出された現像剤を第二チャンバBに向って選択的に方向づけることが可能となっている。ガイド36の開位置は、現像ローラ31から放出された現像剤を第二チャンバBに向かわせる第二位置でもある。ガイド36が開位置にある場合、現像室Cと第二チャンバBとは排出口32bにおいて連通されて、現像室Cと第二チャンバBとの間での現像剤の移動が可能となっている。
【0027】
ガイド36は、円弧状の断面形状を有している。ガイド36の円弧状の断面形状は、長手方向D1と直交する断面により得られる。そして、ガイド36は、開位置と閉位置との間で回転するように、長手方向D1と平行な回転軸線36Aを中心として回転可能となっている。回転軸線36Aは、例えば、ガイド36の円弧中心に位置する。
【0028】
図5は、現像ローラと排出口との位置関係の例を説明するための模式断面図である。図5に示すように、開位置にあるガイド36が現像ローラ31に最も近接する位置を、最近接位置36Bという。最近接位置36Bは、開位置にあるガイド36の現像ローラ31側の先端であってもよい。この場合、現像ローラ31から放出された現像剤をガイド36によって排出口32bに導きやすくなる観点から、最近接位置36Bは、現像ローラ31の回転方向D2において、リリース極316の角度位置AP1からピックアップ極315の角度位置AP2までの角度範囲θ1内に位置していてもよい。リリース極316の角度位置AP1は、長手方向D1と直交する断面において、リリース極316を通るように現像ローラ31の回転軸31Aから延びる直線(平面)上の位置である。ピックアップ極315の角度位置AP2は、長手方向D1と直交する断面において、ピックアップ極315を通るように現像ローラ31の回転軸31Aから延びる直線(平面)上の位置である。角度範囲θ1は、現像ローラ31の回転軸31Aを中心とした回転方向D2における角度範囲である。
【0029】
図6は、現像ローラと排出口との位置関係の例を説明するための模式図である。図6に示すように、現像ローラ31では、マグネット312を含む搬送部313において現像剤が搬送されるため、現像ローラ31から放出された現像剤は、搬送部313から長手方向D1に広がって行きやすい。そこで、現像ローラ31から放出された現像剤が排出口32bから第二チャンバBに排出されやすくなる観点から、排出口32bは、搬送部313とオーバーラップするとともに、第一端部314a及び第二端部314bのそれぞれの少なくとも一部とオーバーラップするように、長手方向D1に延びていても良い。排出口32bと搬送部313とがオーバーラップするとは、例えば、排出口32bと搬送部313とが長手方向D1における同じ位置に位置していること、又は、排出口32bと搬送部313とが長手方向D1と直交する同じ平面上に位置していることをいう。同様に、排出口32bと第一端部314a及び第二端部314bのそれぞれの少なくとも一部とがオーバーラップするとは、例えば、排出口32bと第一端部314a及び第二端部314bのそれぞれの少なくとも一部とが長手方向D1における同じ位置に位置していること、又は、排出口32bと第一端部314a及び第二端部314bのそれぞれの少なくとも一部とが長手方向D1と直交する同じ平面上に位置していることをいう。
【0030】
図7は、現像ローラと排出口との位置関係の例を説明するための模式図である。図7に示すように、現像剤搬送路38内の現像剤は、混合搬送路382から第一開口383を介して供給搬送路381に供給される。このため、現像室Cから第二チャンバBに現像剤を排出する際に、現像剤搬送路38では、現像剤が第一開口383の近傍に最も残りやすくなる。そこで、第一開口383の近傍に残った現像剤を、現像ローラ31から排出口32bに適切に導く観点から、排出口32bは、長手方向D1において、現像ローラ31の第一端部314aの少なくとも一部とオーバーラップしていてもよい。排出口32bと第一端部314aの少なくとも一部とがオーバーラップしているとは、例えば、排出口32bと第一端部314aの少なくとも一部とが長手方向D1における同じ位置に位置していること、又は、排出口32bと第一端部314aの少なくとも一部とが長手方向D1と直交する同じ平面上に位置していることをいう。
【0031】
図1及び図2に示すように、制御部70は、CPU(Central ProcessingUnit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有する電子制御ユニットである。制御部70では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、各種の制御を実行する。制御部70は、複数の電子制御ユニットにより構成されていてもよく、単一の電子制御ユニットにより構成されていてもよい。制御部70は、記憶装置71に記憶された画像形成情報に基づいて画像形成装置1を作動させる。画像形成情報は、例えば、テーブルとして記憶装置71に記憶されている。画像形成情報には、例えば、現像剤の帯電性能、各種センサの補正値、画像形成条件の補正値等が含まれる。また、制御部70は、画像形成装置1の処理として、印刷処理の他に、現像剤排出処理、現像剤補給処理等の処理を行う。現像剤排出処理は、現像室C内の現像剤を第二チャンバBに排出するための処理である。現像剤補給処理は、現像室Cに現像剤を補給するための処理である。
【0032】
制御部70は、現像剤排出処理を行う場合を除き、ガイド36を閉位置として、現像室Cの排出口32bを閉じておく。現像剤排出処理は、印刷処理を行わない期間の任意のタイミングに行う。制御部70は、現像剤排出処理として、ガイド36を開位置に移動させて、現像室Cの排出口32bを開く。また、制御部70は、現像剤排出処理として、現像剤が現像ローラ31から放出されて排出口32bから第二チャンバBに排出されるように、現像ローラ31を回転方向D2に回転させる。図8は、現像ローラの回転速度と現像剤の排出レートとの関係の例を示すグラフである。図8において、横軸は、現像ローラ31の回転方向D2における回転速度を示しており、縦軸は、現像ローラ31から放出されて排出口32bから第二チャンバBに排出される現像剤の排出レートを示している。図8に示すように、現像ローラ31の回転速度が高くなるほど、現像剤の現像室Cから第二チャンバBへの排出量が増加する。なお、現像剤の現像室Cから第二チャンバBへの排出量は、現像ローラ31が担持する現像剤の担持量によっても変わる。また、現像室Cにおける現像剤の残量が低下して、現像ローラ31が担持する現像剤の担持量が低下すると、現像剤の現像室Cから第二チャンバBへの排出量も低下する。このため、制御部70は、現像剤排出処理における現像ローラ31の回転速度を、印刷処理における現像ローラ31の回転速度と同等としてもよいが、印刷処理における現像ローラ31の回転速度よりも高くしてもよい。
【0033】
制御部70は、現像剤補給処理として、供給タンク区画81に装着された現像剤タンク82から現像室Cの混合搬送路382に現像剤を補給する。また、制御部70は、現像剤補給処理として、記憶装置71に記憶された画像形成情報の再設定を行う。
【0034】
図9は、制御部による現像剤補給処理の例を示すフローチャートである。図9に示すように、制御部70は、現像剤補給処理を開始すると、まず、供給タンク区画81に現像剤タンク82が装着されたか否かを判定する(ステップS1)。なお、供給タンク区画81への現像剤タンク82の装着は、例えば、供給タンク区画81に装着されていたトナータンク80を取り外し、これにより空になった供給タンク区画81に現像剤タンク82を装着することにより行う。供給タンク区画81に現像剤タンク82が装着されていないと判定すると(ステップS1:NO)、制御部70は、現像剤タンク82の装着を促す通知を行う。現像剤タンク82の装着を促す通知の形態としては、例えば、画像形成装置1のディスプレイ等に画像メッセージを表示する形態、画像形成装置1のスピーカー等から音声メッセージを出力する形態等がある。供給タンク区画81に現像剤タンク82が装着されたと判定すると(ステップS1:YES)、制御部70は、現像剤の補給動作を開始する(ステップS3)。現像剤の補給動作では、例えば、供給タンク区画81に装着された現像剤タンク82に収容された現像剤がトナー補給口385から混合搬送路382に供給されるように、供給タンク区画81に装着された現像剤タンクの補給動作(駆動)を開始する。そして、制御部70は、記憶装置71に記憶された画像形成情報の再設定を行う(ステップS4)。画像形成情報の再設定では、例えば、ステップS3で補給した現像剤に合わせて、現像剤の帯電性能、各種センサの補正値、画像形成条件の補正値等を変更する。
【0035】
ここで、トリクル排出方式の現像装置では、現像装置の外部に、現像室と連通する回収容器を設ける必要がある。このため、全体として装置が大型になるとともに、構造が複雑になるという問題がある。この回収容器として、感光体ドラムから排出された廃トナーを回収する廃トナー回収容器を兼用することも考えられるが、この場合、廃トナー回収容器の寿命が短くなるという問題がある。また、トリクル排出方式の現像装置では、印刷動作に伴い、常に少量の現像剤が現像装置に補給されると共に、少量の現像剤がトリクル排出口から排出される。このため、現像室に収容されているキャリアの劣化速度を低下することができる。しかしながら、現像室に収容されているキャリアの性能を大幅に向上することができない。また現像剤の排出量及び排出タイミングを調整することもできないという問題がある。
【0036】
これに対し、画像形成装置1及び現像装置30は、排出された現像剤を第二チャンバに収容することができる。これにより、全体として装置が大型になるのを抑制することができ、構造が複雑になるのを抑制することができ、感光体ドラムから排出された廃トナーを回収する廃トナー回収容器の寿命が短くなるのを抑制することができる。また、画像形成装置1及び現像装置30は、放出領域Eにおいて現像ローラ31によって放出された現像剤を第一チャンバA又は第二チャンバBに向って選択的に方向づけるように動作可能なガイド36を備える。このため、ガイド36の選択的な動作により、第二チャンバBに排出される現像剤の排出量及び排出タイミングを調整することができる。しかも、大量の現像剤を第二チャンバBに排出して、大量の新しい現像剤を供給することで、キャリアの性能を大幅に向上(回復)することができる。
【0037】
図10及び図11は、他の例の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。図10は、ガイドが閉位置にある場合を示しており、図11は、ガイドが開位置にある場合を示している。図10及び図11に示す現像装置230は、クリックストップカップリング39を備えている。クリックストップカップリング39は、現像室Cのハウジング壁32aとガイド36とに形成されて、ガイド36を開位置と閉位置とに選択的に設定する継手である。クリックストップカップリング39は、例えば、現像室Cのハウジング壁32a又はガイド36の何れか一方に形成された凹部39aと、現像室Cのハウジング壁32a又はガイド36の何れか他方に形成された凸部39bと、により構成される。凹部39a及び凸部39bは、ガイド36が開位置(現像ローラ31から放出された現像剤を第二チャンバBに向かわせる第二位置)にあるときに互いに嵌め合わされる位置と、ガイド36が閉位置(現像ローラ31から放出された現像剤を第一チャンバAに向かわせる第一位置)にあるときに互いに嵌め合わされる位置と、のそれぞれに形成されている。そして、凹部39aと凸部39bとが互いに嵌め合わされることで、ガイド36が開位置と閉位置とに選択的に設定される。このように、クリックストップカップリング39を備えることで、ガイド36を、開位置又は閉位置に適切に保持することができる。
【0038】
図12は、他の例のガイドを示す模式断面図である。図12に示すガイド336は、本体336aと、本体336aから延びる接触部336bと、を有する。本体336aは、例えば、図1及び図2に示す現像装置30のガイド36と同様のものである。接触部336bは、ガイド336が開位置(現像ローラ31から放出された現像剤を第二チャンバBに向かわせる第二位置)にあるときに現像ローラ31に接触するように本体336aから延びている。また、接触部336bは、本体336aよりも柔軟である。このように、ガイド336が、開位置にあるときに現像ローラ31に接触するように本体336aから延びる接触部336bを有することで、現像ローラ31から放出された現像剤を効率的に排出口32b及び第二チャンバBに案内することができる。しかも、接触部336bが本体336aよりも柔軟であることで、接触部336bが現像ローラ31に接触することに伴う現像ローラ31の劣化を抑制することができる。
【0039】
図13は、他の例の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。図13に示す現像装置430は、開位置にあるガイド436が現像ローラ31に最も近接する最近接位置436Bが、現像ローラ31の回転方向D2において、リリース極316の角度位置AP1から現像ローラ31の回転軸31Aを通る水平位置Hまでの角度範囲θ2内に位置している。現像ローラ31の回転軸31Aを通る水平位置Hは、現像ローラ31の回転軸31Aから水平方向に延びる直線(平面)上の位置である。角度範囲θ2は、現像ローラ31の回転軸31Aを中心とした回転方向D2における角度範囲である。このように、最近接位置436Bが、回転方向D2における角度位置AP1から水平位置Hまでの角度範囲θ2内に位置していることで、より上方において、現像ローラ31から放出された現像剤をガイド436によって排出口32b及び第二チャンバBに導くことができる。このため、現像剤の第二チャンバBへの排出効率を向上することができる。この場合、ガイド436が直線状の断面形状を有していることで、最近接位置436Bをより高い位置に配置しやすくなる。ガイド436が直線状の断面形状を有している場合、ガイド436は、例えば、開閉扉のように移動することで、容易に開位置(現像ローラ31から放出された現像剤を第二チャンバBに向かわせる第二位置)と閉位置(現像ローラ31から放出された現像剤を第一チャンバAに向かわせる第一位置)とに位置することができる。
【0040】
図14は、他の例の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。図14に示す現像装置530は、現像剤搬送路を形成するハウジング壁に排出口が設けられている。現像装置530は、回転可能な現像ローラ31と、ハウジング532と、第一攪拌搬送部材33と、第二攪拌搬送部材34と、現像剤規制部35と、シャッタ536と、を備えている。
【0041】
ハウジング532は、基本的に図1及び図2に示すハウジング32と同様であるが、現像室Cから第二チャンバBに現像剤を排出するための排出口532bの位置が、図1及び図2に示すハウジング32と異なっている。ハウジング532の現像室Cと第二チャンバBとを隔てるハウジング壁532aには、現像室Cから第二チャンバBに現像剤を排出するためにシャッタ536により開閉可能な排出口532bと、シャッタ536がスライド可能に挿入される隙間532cと、が形成されている。排出口532bは、現像剤搬送路38の上方ではなく、現像剤搬送路38又は現像剤搬送路38の下方に位置している。そして、排出口532bは、現像剤搬送路38の混合搬送路382を形成するハウジング壁532aに形成されている。
【0042】
シャッタ536は、現像剤を第二チャンバB内に選択的に排出するために排出口532bを開閉する。つまり、シャッタ536は、排出口532bを覆う閉位置と、排出口532bを開放する開位置と、に選択的に移動可能である。シャッタ536は、例えば、シート状又は曲板状に形成されて、開位置と閉位置とに選択的に動作するように、ハウジング壁532a内に形成された隙間532cでスライド可能となっている。
【0043】
制御部70(図1及び図2参照)は、現像剤排出処理を行う場合を除き、シャッタ536を閉位置として、排出口532bを閉じておく。制御部70は、現像剤排出処理として、シャッタ536を開位置に移動させて排出口532bを開くとともに、現像剤搬送路38の現像剤が排出口532bから第二チャンバBに排出されるように第一攪拌搬送部材33及び第二攪拌搬送部材34を回転させる。
【0044】
このように、現像装置530では、排出口532bが混合搬送路382を形成するハウジング壁32aに形成されているため、シャッタ536を開位置とすることで、現像室C内の現像剤を第二チャンバBに排出することができる。これにより、現像剤搬送路38に溜まっている現像剤を第二チャンバBに排出することができる。また、現像室Cに貯留されている現像剤量が少なくても、容易且つ効率的に、現像室C内の現像剤を第二チャンバBに排出することができる。
【0045】
図15は、他の例の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。図15に示す現像装置630には、複数の排出口及びガイドが設けられている。現像装置630は、回転可能な現像ローラ31と、ハウジング632と、第一攪拌搬送部材33と、第二攪拌搬送部材34と、現像剤規制部35と、ガイド636Aと、シャッタ636Bと、を備えている。
【0046】
ハウジング632は、基本的に図1及び図2に示すハウジング32と同様である。ハウジング632の現像室Cと第二チャンバBとを隔てるハウジング壁632aには、現像室Cから第二チャンバBに現像剤を排出するための第一排出口632bと、現像室Cから第二チャンバBに現像剤を排出するためにシャッタ636Bにより開閉可能な第二排出口632cと、シャッタ636Bがスライド可能に挿入される隙間632dと、が形成されている。現像室Cと第二チャンバBとは、第一排出口632b及び第二排出口632cを介して連通可能となっている。
【0047】
第一排出口632bは、図1及び図2に示す現像装置30の排出口32bと同様に、現像ローラ31と対向するように現像剤搬送路38よりも上方に位置している。第二排出口632cは、現像剤搬送路38に位置して、現像剤搬送路38の混合搬送路382を形成するハウジング壁632aに形成されている。
【0048】
ガイド636Aは、放出領域Eにおいて現像ローラ31によって放出された現像剤を第一チャンバA又は第二チャンバBに向って選択的に方向づけるように動作可能である。ガイド636Aは、第一排出口632bを覆うとともに、現像剤を第二チャンバB内に選択的に排出するために第一排出口632bを開放するように動作可能である。つまり、ガイド636Aは、第一排出口632bを覆う閉位置(現像ローラ31から放出された現像剤を第一チャンバAに向かわせる第一位置)と、第一排出口632bを開放する開位置(現像ローラ31から放出された現像剤を第二チャンバBに向かわせる第二位置)と、に選択的に移動可能である。ガイド636Aは、例えば、図1及び図2に示す現像装置30のガイド36と同様に、弧状の断面形状を有して、開位置と閉位置との間で揺動するように回転可能となっている。
【0049】
シャッタ636Bは、現像剤を第二チャンバB内に選択的に排出するために第二排出口632cを開閉する。つまり、シャッタ636Bは、第二排出口632cを覆う閉位置と、第二排出口632cを開放する開位置と、に選択的に移動可能である。シャッタ636Bは、例えば、図14に示す現像装置530のシャッタ536と同様に、シート状又は曲板状に形成されて、開位置と閉位置とに選択的に動作するように、ハウジング壁632a内に形成された隙間632dでスライド可能となっている。
【0050】
制御部70(図1及び図2参照)は、現像剤排出処理を行う場合を除き、ガイド636A及びシャッタ636Bを閉位置として、第一排出口632b及び第二排出口632cを閉じておく。制御部70は、現像剤排出処理として、ガイド636Aを開位置に移動させて第一排出口632bを開くともに、現像剤が現像ローラ31から放出されて第一排出口632bから第二チャンバBに排出されるように現像ローラ31を回転させる。また、制御部70は、現像剤排出処理として、シャッタ636Bを開位置に移動させて第二排出口632cを開き、現像剤搬送路38の現像剤が第二排出口632cから第二チャンバBに排出されるように第一攪拌搬送部材33及び第二攪拌搬送部材34を回転させる。
【0051】
このように、現像装置630では、現像ローラ31から放出された現像剤を第一排出口632bから第二チャンバBに排出することができるとともに、現像剤搬送路38内の現像剤を第二排出口632cから第二チャンバBに排出することができる。このため、より迅速かつ効率的に現像室Cから第二チャンバBに現像剤を排出することができる。
【0052】
この場合、制御部70は、現像剤排出処理として、例えば、まず、シャッタ636Bを開位置に移動させて第二排出口632cを開くシャッタ開処理を行い、その後、ガイド636Aを開位置に移動させて第一排出口632bを開くガイド開処理を行ってもよい。第二排出口632cは第一排出口632bよりも下方に位置しているため、第二排出口632cよりも先に第一排出口632bを開くと、第一排出口632bから第二チャンバBに排出された現像剤で第二排出口632cが覆われてしまい、第二排出口632cから第二チャンバBに現像剤を排出できなくなる可能性がある。そこで、まずシャッタ開処理を行い、その後にガイド開処理を行うことで、適切に現像室Cの現像剤を第二チャンバBに排出することができる。
【0053】
図16は、他の例の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。図16に示す現像装置730は、基本的に図15に示す現像装置630と同様であり、排出室が複数に分割されている点で図15に示す現像装置630と相違する。現像装置730は、回転可能な現像ローラ31と、ハウジング732と、第一攪拌搬送部材33と、第二攪拌搬送部材34と、現像剤規制部35と、ガイド736Aと、シャッタ736Bと、を備えている。
【0054】
ハウジング732には、第二チャンバB1と第二チャンバB2(第三チャンバ)とに分割された第二チャンバBが形成されている。第二チャンバB1及び第二チャンバB2のそれぞれは、現像室Cから排出された現像剤を回収するための部屋である。第二チャンバB1及び第二チャンバB2は、現像室Cを少なくとも部分的に囲むように延在している。また、第二チャンバB1は、第一チャンバAを少なくとも部分的に囲むように延在しており、第二チャンバB2は、現像剤搬送路38を少なくとも部分的に囲むように延在している。ハウジング732の一部であるハウジング壁32aは、現像室Cと第二チャンバBとの間に延びているとともに、第二チャンバB1と第二チャンバB2との間に延びている。現像室Cと第二チャンバB1及び第二チャンバB2とは、ハウジング732内において、ハウジング壁732aを隔てて隣接して位置している。また、第二チャンバB1と第二チャンバB2とは、ハウジング壁732bを隔てて上下方向に隣接して位置している。つまり、第二チャンバB1と第二チャンバB2とは、上下方向に互いに分離されている。そして、第二チャンバB2は、第二チャンバB1の下方に配置されている。ハウジング壁732aには、現像室Cから第二チャンバB1に現像剤を排出するためにシャッタ736Bにより開閉可能な第一排出口732cと、現像室Cから第二チャンバB2に現像剤を排出するための第二排出口732dと、シャッタ736Bがスライド可能に挿入される隙間732eと、が形成されている。現像室Cと第二チャンバB1とは、第一排出口732cを介して連通可能となっており、現像室Cと第二チャンバB2とは、第二排出口732dを介して連通可能となっている。
【0055】
第一排出口732cは、現像ローラ31と対向するように現像剤搬送路38よりも上方に位置している。第二排出口732dは、現像剤搬送路38に位置して、現像剤搬送路38の混合搬送路382を形成するハウジング壁732aに形成されている。
【0056】
ガイド736Aは、放出領域Eにおいて現像ローラ31によって放出された現像剤を第一チャンバA又は第二チャンバB1に向って選択的に方向づけるように動作可能である。ガイド736Aは、第一排出口732cを覆うとともに、現像剤を第二チャンバB1内に選択的に排出するために第一排出口732cを開放するように動作可能である。つまり、ガイド736Aは、第一排出口732cを覆う閉位置(現像ローラ31から放出された現像剤を第一チャンバAに向かわせる第一位置)と、第一排出口732cを開放する開位置(現像ローラ31から放出された現像剤を第二チャンバB1に向かわせる第二位置)と、に選択的に移動可能である。ガイド736Aは、例えば、図1及び図2に示す現像装置30のガイド36と同様に、弧状の断面形状を有して、開位置と閉位置との間で揺動するように回転可能となっている。
【0057】
シャッタ736Bは、現像剤を第二チャンバB2内に選択的に排出するために第二排出口732dを開閉する。つまり、シャッタ736Bは、第二排出口732dを覆う閉位置と、第二排出口732dを開放する開位置と、に選択的に移動可能である。シャッタ736Bは、例えば、図14に示す現像装置530のシャッタ536と同様に、シート状又は曲板状に形成されて、開位置と閉位置とに選択的に動作するように、ハウジング壁732a内に形成された隙間732eでスライド可能となっている。
【0058】
制御部70(図1及び図2参照)は、現像剤排出処理を行う場合を除き、ガイド736A及びシャッタ736Bを閉位置として、第一排出口732c及び第二排出口732dを閉じておく。制御部70は、現像剤排出処理として、ガイド736Aを開位置に移動させて第一排出口732cを開くともに、現像剤が現像ローラ31から放出されて第一排出口732cから第二チャンバB1に排出されるように現像ローラ31を回転させる。また、制御部70は、現像剤排出処理として、シャッタ736Bを開位置に移動させて第二排出口732dを開き、現像剤搬送路38の現像剤が第二排出口732dから第二チャンバB2に排出されるように第一攪拌搬送部材33及び第二攪拌搬送部材34を回転させる。
【0059】
このように、現像装置730では、現像ローラ31から放出された現像剤を第一排出口732cから第二チャンバB1に排出することができるとともに、現像剤搬送路38内の現像剤を第二排出口732dから第二チャンバB2に排出することができる。このため、より迅速かつ効率的に現像室Cから現像剤を排出することができる。
【0060】
また、第二チャンバBを構成する第二チャンバB1と第二チャンバB2とが互いに分離されているため、第二チャンバB1と第二チャンバB2との間での現像剤の行き来を防止することができる。このため、例えば、第一排出口732cから第二チャンバB1に排出された現像剤が第二チャンバB2に入るのを防止することができる。これにより、例えば、第一排出口732cから第二チャンバB1に排出された現像剤で第二排出口732dが覆われて、第二排出口732dから第二チャンバB2に現像剤を排出できなくなることを防止することができる。
【0061】
この場合、制御部70(図1及び図2参照)は、現像剤排出処理として、例えば、まず、ガイド736Aを開位置に移動させて第一排出口732cを開くガイド開処理を行い、その後、シャッタ736Bを開位置に移動させて第二排出口732dを開くシャッタ開処理を行ってもよい。現像剤排出処理の初期段階では、現像室Cに多くの現像剤が貯留されているため、現像ローラ31から十分な量の現像剤を放出することができるが、現像室Cの現像剤の残量が少なくなると、現像ローラ31から十分な量の現像剤を放出することができなくなる。一方、現像室Cに多くの現像剤が貯留されている段階で、第二排出口732dを開くと、現像剤搬送路38から第二チャンバB2に一気に現像剤が排出されて、早期に第二排出口732dが塞がる可能性がある。そこで、まず、ガイド開処理を行い、その後、シャッタ開処理を行うことで、効率的に現像室Cの現像剤を第二チャンバB1及び第二チャンバB2に排出することができる。
【0062】
図17及び図18は、他の例の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。図17は、ガイドが閉位置にある場合を示しており、図18は、ガイドが開位置にある場合を示している。図17及び図18に示す現像装置830は、基本的に図16に示す現像装置730と同様であり、ガイドが一体的になっている点で図16に示す現像装置730と相違する。現像装置830は、回転可能な現像ローラ31と、ハウジング832と、第一攪拌搬送部材33と、第二攪拌搬送部材34と、現像剤規制部35と、ガイド836と、を備えている。
【0063】
ハウジング832には、図16に示す現像装置730と同様の第二チャンバB1と第二チャンバB2とに分割された第二チャンバBが形成されている。ハウジング832の一部であるハウジング壁832aは、現像室Cと第二チャンバBとの間に延びているとともに、第二チャンバB1と第二チャンバB2との間に延びている。現像室Cと第二チャンバB1及び第二チャンバB2とは、ハウジング832内において、ハウジング壁832aを隔てて隣接して位置している。また、第二チャンバB1と第二チャンバB2とは、ハウジング壁832bを隔てて上下方向に隣接して位置している。ハウジング壁832aには、現像室Cから第二チャンバB1に現像剤を排出するための第一排出口832cと、現像室Cから第二チャンバB2に現像剤を排出するための第二排出口832dと、ガイド836がスライド可能に挿入される隙間832eと、が形成されている。現像室Cと第二チャンバB1とは、第一排出口832cを介して連通可能となっており、現像室Cと第二チャンバB2とは、第二排出口832dを介して連通可能となっている。
【0064】
第一排出口832cは、現像ローラ31と対向するように現像剤搬送路38よりも上方に位置している。第二排出口832dは、現像剤搬送路38に位置して、現像剤搬送路38の混合搬送路382を形成するハウジング壁832aに形成されている。隙間832eは、ハウジング壁832aの厚み方向における中央部に形成されている。そして、隙間832eは、ハウジング壁832aに沿って、第一排出口832c及び第二排出口832dを通るとともに、第一排出口832cよりも第二排出口832dとは反対側の位置から第二排出口832dよりも第一排出口832cとは反対側の位置まで延びている。
【0065】
ガイド836Aは、放出領域Eにおいて現像ローラ31によって放出された現像剤を第一チャンバA又は第二チャンバB1に向って選択的に方向づけるように動作可能である。ガイド836は、第一排出口832c及び第二排出口832dを覆うとともに、現像剤を第二チャンバB1及び第二チャンバB2内に選択的に排出するために第一排出口832c及び第二排出口832dを開放するように動作可能である。つまり、ガイド836は、第一排出口832c及び第二排出口832dを覆う閉位置(現像ローラ31から放出された現像剤を第一チャンバAに向かわせる第一位置)と、第一排出口832c及び第二排出口832dを開放する開位置(現像ローラ31から放出された現像剤を第二チャンバB1に向かわせる第二位置)と、に選択的に移動可能である。ガイド836は、例えば、シート状に形成されて、開位置と閉位置とに選択的に動作するように、ハウジング壁832a内に形成された隙間832eでスライド可能となっている。
【0066】
ガイド836には、第一排出口832cを選択的に開放するための第一貫通穴836aと、第二排出口832dを選択的に開放するための第二貫通穴836bと、が形成されている。第一貫通穴836a及び第二貫通穴836bは、例えば、第一貫通穴836aが第一排出口832cを開放した際に第二貫通穴836bが第二排出口832dを開放する位置に形成されている。
【0067】
ガイド836は、第一貫通穴836aが第一排出口832cを開放した際に、第一排出口832cから現像ローラ31側に傾倒する案内プレート836cを有する。ガイド836が閉位置にある場合、案内プレート836cは、第一貫通穴836aと重ね合わされるように隙間832eに挿入された状態となっている。そして、ガイド836が開位置にある場合、案内プレート836cは、第一排出口832cから現像ローラ31側に傾倒して、現像ローラ31から放出された現像剤を第一排出口832c及び第二チャンバB1に導くために、現像ローラ31と第一排出口832cとの間に延びた状態となる。
【0068】
制御部70(図1及び図2参照)は、現像剤排出処理を行う場合を除き、ガイド836を閉位置として、現像室Cの第一排出口832c及び第二排出口832dを閉じておく。制御部70は、現像剤排出処理として、ガイド836を開位置に移動させて、第一排出口832c及び第二排出口832dを開く。ガイド836の開位置への移動は、ガイド836を第二排出口832d側から第一排出口832c側にスライドさせることにより行う。これにより、案内プレート836cは、第一排出口832cから現像ローラ31側に傾倒して、現像ローラ31から放出された現像剤を第一排出口832c及び第二チャンバB1に導くことが可能な状態となる。また、制御部70は、現像剤排出処理として、現像剤が現像ローラ31から放出されて第一排出口832cから第二チャンバB1に排出されるように現像ローラ31を回転方向D2に回転させるとともに、現像剤搬送路38の現像剤が第二排出口832dから第二チャンバB2に排出されるように第一攪拌搬送部材33及び第二攪拌搬送部材34を回転させる。
【0069】
このように、現像装置830では、ガイド836を移動させることで第一排出口832c及び第二排出口832dを一体的に開閉することができるため、制御を簡易化することができる。
【0070】
また、ガイド836が案内プレート836cを有するため、ガイド836を開位置に移動した際に、現像ローラ31から放出された現像剤を第一排出口832c及び第二チャンバB1に導くことができる。これにより、現像ローラ31から放出された現像剤を第二チャンバB1に排出させやすくなる。
【0071】
また、第二チャンバBを構成する第二チャンバB1と第二チャンバB2とが互いに分離されているため、第二チャンバB1と第二チャンバB2との間での現像剤の行き来を防止することができる。このため、例えば、第一排出口832cから第二チャンバB1に排出された現像剤が第二チャンバB2に入るのを防止することができる。これにより、例えば、第一排出口832cから第二チャンバB1に排出された現像剤で第二排出口832dが覆われて、第二排出口832dから第二チャンバB2に現像剤を排出できなくなることを防止することができる。
【0072】
図19及び図20は、他の例の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。図19は、ガイドが閉位置にある場合を示しており、図20は、ガイドが開位置にある場合を示している。図19及び図20に示す現像装置930は、基本的に図17及び図18に示す現像装置830と同様であり、現像剤搬送路の供給搬送路を形成するハウジング壁にも排出口が形成されている点で図17及び図18に示す現像装置830と相違する。現像装置930は、回転可能な現像ローラ31と、ハウジング932と、第一攪拌搬送部材33と、第二攪拌搬送部材34と、現像剤規制部35と、ガイド936と、を備えている。
【0073】
ハウジング932には、第二チャンバB1、第二チャンバB2、及び第二チャンバB3に分割された第二チャンバBが形成されている。第二チャンバB1、第二チャンバB2、及び第二チャンバB3のそれぞれは、現像室Cから排出された現像剤を回収するための部屋である。第二チャンバB1、第二チャンバB2、及び第二チャンバB3は、現像室Cを少なくとも部分的に囲むように形成されている。また、第二チャンバB1は、第一チャンバAを少なくとも部分的に囲むように延在しており、第二チャンバB2は、現像剤搬送路38を少なくとも部分的に囲むように延在しており、第二チャンバB3は、現像剤搬送路38を少なくとも部分的に囲むように延在している。ハウジング932の一部であるハウジング壁932aは、現像室Cと第二チャンバBとの間に延びている。また、ハウジング壁932aは、第二チャンバB1と第二チャンバB2との間と、第二チャンバB2と第二チャンバB3との間と、に延びている。現像室Cと、第二チャンバB1、第二チャンバB2、及び第二チャンバB3とは、ハウジング932内において、ハウジング壁932aを隔てて隣接して位置している。また、第二チャンバB1と第二チャンバB2とは、ハウジング壁932bを隔てて上下方向に隣接して位置しており、第二チャンバB2と第二チャンバB3とは、ハウジング壁932cを隔てて上下方向に隣接して位置している。つまり、第二チャンバB1と第二チャンバB2とは、上下方向に互いに分離されており、第二チャンバB2と第二チャンバB3とは、上下方向に互いに分離されている。そして、第二チャンバB2は、第二チャンバB1及び第二チャンバB3の下方に配置されており、第二チャンバB1と第二チャンバB3とは、現像剤搬送路38に対して互いに反対側に配置されている。ハウジング壁932aには、現像室Cから第二チャンバB1に現像剤を排出するための第一排出口932dと、現像室Cから第二チャンバB2に現像剤を排出するための第二排出口932eと、現像室Cから第二チャンバB3に現像剤を排出するための第三排出口932fと、ガイド936がスライド可能に挿入される隙間932gと、が形成されている。現像室Cと第二チャンバB1とは、第一排出口932dを介して連通可能となっており、現像室Cと第二チャンバB2とは、第二排出口932eを介して連通可能となっており、現像室Cと第二チャンバB3とは、第三排出口932fを介して連通可能となっている。
【0074】
第一排出口932dは、現像ローラ31と対向するように現像剤搬送路38よりも上方に位置している。また、第一排出口932dは、現像ローラ31に対する感光体ドラム20とは反対側に位置している。第二排出口932eは、現像剤搬送路38に位置して、現像剤搬送路38の混合搬送路382を形成するハウジング壁932aに形成されている。第三排出口932fは、現像剤搬送路38に位置して、現像剤搬送路38の供給搬送路381を形成するハウジング壁932aに形成されている。また、第三排出口932fは、現像ローラ31に対する感光体ドラム20側に位置している。隙間932gは、ハウジング壁932aの厚み方向における中央部に形成されている。そして、隙間932gは、ハウジング壁932aに沿って、第一排出口932d、第二排出口932e、及び第三排出口932fを通るとともに、第一排出口932dよりも第二排出口932eとは反対側の位置から第三排出口932fよりも第二排出口932eとは反対側の位置まで延びている。
【0075】
ガイド936は、放出領域Eにおいて現像ローラ31によって放出された現像剤を第一チャンバA又は第二チャンバB1に向って選択的に方向づけるように動作可能である。ガイド936は、第一排出口932d、第二排出口932e、及び第三排出口932fを覆う。また、ガイド936は、現像剤を第二チャンバB1、第二チャンバB2、及び第二チャンバB3に選択的に排出するために第一排出口932d、第二排出口932e、及び第三排出口932fを開放するように動作可能である。つまり、ガイド936は、第一排出口932d、第二排出口932e、及び第三排出口932fを覆う閉位置(現像ローラ31から放出された現像剤を第一チャンバAに向かわせる第一位置)と、第一排出口932d、第二排出口932e、及び第三排出口932fを開放する開位置(現像ローラ31から放出された現像剤を第二チャンバB1に向かわせる第二位置)と、に選択的に移動可能である。ガイド936は、例えば、シート状に形成されて、開位置と閉位置とに選択的に動作するように、ハウジング壁932a内に形成された隙間932gでスライド可能となっている。
【0076】
ガイド936には、第一排出口932dを選択的に開放するための第一貫通穴936aと、第二排出口932eを選択的に開放するための第二貫通穴936bと、第三排出口932fを選択的に開放するための第三貫通穴936cと、が形成されている。第一貫通穴936a、第二貫通穴936b、及び第三貫通穴936cは、例えば、第一貫通穴936aが第一排出口932dを開放した際に第二貫通穴936bが第二排出口932eを開放するとともに第三貫通穴936cが第三排出口932fを開放する位置に形成されている。
【0077】
ガイド936は、第一貫通穴936aが第一排出口932dを開放した際に、第一排出口932dから現像ローラ31側に傾倒する案内プレート936dを有する。ガイド936が閉位置にある場合、案内プレート936dは、第一貫通穴936aと重ね合わされるように隙間932gに挿入された状態となっている。そして、ガイド936が開位置にある場合、案内プレート936dは、第一排出口932dから現像ローラ31側に傾倒して、現像ローラ31から放出された現像剤を第一排出口932dに導くために、現像ローラ31と第一排出口932dとの間に延びた状態となる。
【0078】
制御部70(図1及び図2参照)は、現像剤排出処理を行う場合を除き、ガイド936を閉位置として、現像室Cの第一排出口932d、第二排出口932e、及び第三排出口932fを閉じておく。制御部70は、現像剤排出処理として、ガイド936を開位置に移動させて、第一排出口932d、第二排出口932e、及び第三排出口932fを開く。ガイド936の開位置への移動は、ガイド936を第三排出口932f側から第一排出口932d側にスライドさせることにより行う。これにより、案内プレート936dは、第一排出口932dから現像ローラ31側に傾倒して、現像ローラ31から放出された現像剤を第一排出口932d及び第二チャンバB1に導くことが可能な状態となる。また、制御部70は、現像剤排出処理として、現像剤が現像ローラ31から放出されて第一排出口932dから第二チャンバB1に排出されるように、現像ローラ31を回転方向D2に回転させる。また、制御部70は、現像剤排出処理として、混合搬送路382の現像剤が第二排出口932eから第二チャンバB2に排出されるとともに、供給搬送路381の現像剤が第三排出口932fから第二チャンバB3に排出されるように、第一攪拌搬送部材33及び第二攪拌搬送部材34を回転させる。
【0079】
このように、現像装置930では、現像ローラ31から放出された現像剤が排出される第二チャンバB1、混合搬送路382の現像剤が排出される第二チャンバB2、及び供給搬送路381の現像剤が排出される第二チャンバB3を備えるため、現像室Cの現像剤を効率的に排出することができる。
【0080】
また、第二チャンバBを構成する第二チャンバB1、第二チャンバB2、及び第二チャンバB3が互いに分離されているため、第二チャンバB1、第二チャンバB2、及び第二チャンバB3の間での現像剤の行き来を防止することができる。このため、例えば、第一排出口932dから第二チャンバB1に排出された現像剤が第二チャンバB2に入るのを防止することができるとともに、第三排出口932fから第二チャンバB3に排出された現像剤が第二チャンバB2に入るのを防止することができる。これにより、第一排出口932dから第二チャンバB1に排出された現像剤及び第三排出口932fから第二チャンバB3に排出された現像剤で第二排出口932eが覆われて、第二排出口932eから第二チャンバB2に現像剤を排出できなくなることを防止することができる。
【0081】
また、ガイド936を移動させることで第一排出口932d、第二排出口932e、及び第三排出口932fを一体的に開閉することができるため、制御を簡易化することができる。
【0082】
また、ガイド936が案内プレート936dを有するため、ガイド936を開位置に移動した際に、現像ローラ31から放出された現像剤を第一排出口932d及び第二チャンバB1に導くことができる。これにより、現像ローラ31から放出された現像剤を第二チャンバB1に排出させやすくなる。
【0083】
図21及び図22は、例の画像形成装置の一部を示す模式断面図であり、他の例の現像装置における現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。図21及び図22に示す画像形成装置1001は、図1及び図2に示す現像装置30に対応する現像装置1030を備える。現像装置1030は、回転可能な現像ローラ31と、ハウジング32と、第一攪拌搬送部材33と、第二攪拌搬送部材34と、現像剤規制部35と、ガイド36と、移動機構37と、を備えている。
【0084】
移動機構37は、現像ローラ31が感光体ドラム20から離間するように現像装置1030を移動可能とする。つまり、移動機構37は、現像装置1030を、作動位置と後退位置との間で移動可能とする。作動位置は、図21に示すように、感光体ドラム20の表面21の潜像を現像するための位置である。後退位置は、図22に示すように、作動位置よりも、現像ローラ31が感光体ドラム20から離間した位置である。移動機構37は、現像装置1030を作動位置と後退位置との間で回転可能に支持する軸371と、現像装置1030を第一位置と第二位置とに操作可能な切替装置372と、を備える。現像装置1030の第一位置は、現像装置1030を作動位置に固定する位置である。現像装置1030の第二位置は、軸371を中心として現像装置1030を作動位置と後退位置との間で移動させる位置である。つまり、第二位置は、軸371を中心として現像装置1030が作動位置と後退位置との間で自由に移動できる位置である。なお、現像装置1030の作動位置から後退位置に向かう回転方向を回転方向D3といい、現像装置1030の後退位置から作動位置に向かう回転方向を回転方向D4という。
【0085】
軸371は、長手方向D1に延びている。軸371は、現像装置1030が作動位置と後退位置との間で移動可能となるように、長手方向D1と直交する断面における、現像ローラ31の回転軸31Aと感光体ドラム20の回転軸20Aとを結ぶ線上以外の位置に配置されている。また、軸371は、現像装置1030が自重により作動位置から後退位置に回転する位置に配置されている。例えば、軸371は、水平方向における現像室Cの排出口32bとは反対側、又は水平方向における現像室Cの感光体ドラム20側に配置されている。
【0086】
切替装置372は、例えば、現像装置1030のハウジング32に当接されるアーム373と、アーム373を移動させるレバー374と、を備える。
【0087】
アーム373は、長手方向D1に延びて回転可能な軸部373aと、軸部373aから長手方向D1と直交する方向に延びてハウジング32に当接されるアーム部373bと、を有する。アーム部373bは、現像装置1030の作動位置から後退位置に向かう回転方向D3におけるハウジング32の前方に位置して、現像装置1030の作動位置から後退位置に向かう回転を規制するようにハウジング32に当接される。例えば、アーム373は、長手方向D1と直交する断面における、水平方向における軸371よりも感光体ドラム20とは反対側に位置する、ハウジング32の底面に当接される。
【0088】
レバー374は、回転操作されることで、現像装置1030が第一位置と第二位置との間で切り替わるようにアーム373を移動させる。レバー374は、アーム373のアーム部373bに当接されて現像装置1030が第一位置と第二位置との間で切り替わるようにアーム373を移動させるカム部374aと、カム部374aを回転させるためにカム部374aから延びるレバー部374bと、を有する。カム部374aは、現像装置1030を第一位置に位置させる第一極374cと、現像装置1030を第二位置に位置させる第二極374dと、を有する。第一極374c及び第二極374dは、カム部374aのカム面(外周面)に位置する。カム部374aの第一極374cがアーム部373bに当接することで、アーム部373bは、現像装置1030を第一位置に位置させる。カム部374aの第二極374dがアーム部373bに当接することで、アーム部373bは、現像装置1030を第二位置に位置させる。レバー374は、例えば、操作者が手動でレバー部374bを回転操作することにより回転する。
【0089】
ここで、現像室Cには、現像剤の他に不純物が入っていることがある。このような不純物は、現像剤と一緒に現像ローラ31に担持されて搬送される。印刷処理を行う場合は、現像室C内に現像剤が十分残っているため、不純物が現像剤に埋まった状態となって感光体ドラム20の表面21に衝突しにくい状態となっている。一方、ガイド36を開位置にするとともに現像ローラ31を回転させて現像室C内の現像剤を第二チャンバBに排出する現像剤排出処理を行う場合は、現像室C内の現像剤の残量が少なくなるため、不純物が感光体ドラム20の表面21に衝突しやすい状態となっている。
【0090】
しかしながら、現像装置1030は、移動機構37により作動位置と後退位置との間で移動可能となっている。このため、印刷処理を行う場合は、現像装置1030を作動位置に位置させることで、感光体ドラム20の表面21の潜像を適切に現像することができる。一方、現像剤排出処理を行う場合は、現像装置1030を後退位置に位置させることで、現像室C内の現像剤の残量が少なくなっても、不純物が感光体ドラム20の表面21に衝突しにくい状態となる。これにより、感光体ドラム20の劣化を抑制することができる。
【0091】
画像形成装置1001では、現像ローラ31を回転駆動する駆動源90は、第二チャンバBを含む現像装置1030に振動運動を付与する駆動源としても機能する。例えば、駆動源90は、現像装置1030が第二位置に位置しているときに現像ローラ31の回転駆動のONとOFFとを繰り返すことで、現像装置1030に振動運動を付与することができる。また、駆動源90は、現像装置1030が第二位置に位置しているときに現像ローラ31の正転駆動と逆転駆動とを繰り返すことで、現像装置1030に振動運動を付与することができる。現像ローラ31の正転は、回転方向D2の回転であり、現像ローラ31の逆転は、回転方向D2とは反対方向の回転であり、現像装置1030の振動運動は、現像装置1030が回転方向D3と回転方向D4とに交互に揺れる運動である。
【0092】
制御部70は、画像形成装置1の処理として、印刷処理、現像剤排出処理、及び現像剤補給処理の他に、振動付与処理を行う。振動付与処理は、駆動源90の駆動制御により現像装置1030に振動運動を付与するための処理である。例えば、制御部70は、振動付与処理として、図23に示すように、駆動源90による現像ローラ31の回転駆動のONとOFFとを繰り返す。図23は、駆動源の制御例を示すタイムチャートである。また、制御部70は、振動付与処理として、図24に示すように、駆動源90による現像ローラ31の正転駆動と逆転駆動とを繰り返す。図24は、駆動源の他の制御例を示すタイムチャートである。ここで、現像ローラ31を逆転させると、現像ローラ31に担持されている現像剤の一部が、現像剤規制部35を通過できずに、現像剤規制部35の近傍に滞留したり現像装置1030外に排出されたりする可能性がある。このため、制御部70は、振動付与処理として、駆動源90による現像ローラ31の正転駆動と逆転駆動とを繰り返す場合、逆転駆動する時間は、正転駆動する時間より短くしてもよい。この場合、逆転駆動する時間は、正転駆動する時間の半分以下の時間としてもよい。
【0093】
制御部70は、現像装置1030が第二位置に位置しているときに、振動付与処理を行う。例えば、制御部70は、現像装置1030が第二位置に位置している状態で現像剤排出処理を行うとき、又は、印刷処理と現像剤排出処理との間の現像装置1030が第二位置に位置しているときに、振動付与処理を行う。
【0094】
図25及び図26は、現像室から排出室に現像剤を排出した状態を示す模式断面図である。現像剤は微小粉体であるため、その流動性は高くない。このため、図25に示すように、現像室Cから第二チャンバBに排出された現像剤は、第二チャンバBにおいて詰まりやすい。また、図26に示すように、現像剤搬送路38では、供給搬送路381と第一攪拌搬送部材33との間に隙間が形成されているとともに、混合搬送路382と第二攪拌搬送部材34との間に隙間が形成されているため、現像剤を第二チャンバBに排出する際にこれらの隙間に現像剤が残ってしまいやすい。しかも、微小粉体である現像剤は、ある程度の空気を含むため、密度が低くなって嵩が大きくなる。その結果、第二チャンバBの容積に比べて第二チャンバBに回収される現像剤の量が少なくなりやすい。
【0095】
しかしながら、画像形成装置1001では、現像装置1030が第二位置に位置しているときに振動付与処理を行うことで、図27に示すように、第二チャンバBに回収された現像剤が第二チャンバBの奥まで進行しやすくなる。図27は、現像室から排出室に現像剤を排出して振動付与処理を行った状態を示す模式断面図である。また、供給搬送路381と第一攪拌搬送部材33との間の隙間及び混合搬送路382と第二攪拌搬送部材34との間の隙間にある現像剤も第二チャンバBに排出されやすくなる。しかも、現像剤から空気が押し出されることで、第二チャンバBに回収された現像剤の密度が高くなる。これにより、第二チャンバBに回収することができる現像剤の量が多くなるため、現像剤の回収効率を上げることができる。また、同量の現像剤を回収する場合、振動付与処理を行わない場合に比べて、第二チャンバBを小型化することができる。
【0096】
図28及び図29は、他の例の画像形成装置の現像装置の、現像ローラの長手方向と直交する方向における模式断面図である。図28は、ガイドが閉位置にある場合を示しており、図29は、ガイドが開位置にある場合を示している。図28及び図29に示す画像形成装置1101の現像装置1130は、ハウジングを直接的に振動させることにより、排出室を含む現像装置に振動運動を付与する。現像装置1130は、回転可能な現像ローラ31と、ハウジング32と、第一攪拌搬送部材33と、第二攪拌搬送部材34と、現像剤規制部35と、ガイド36と、移動機構1137と、を備えている。
【0097】
移動機構1137は、現像ローラ31が感光体ドラム20から離間するように現像装置1130を移動可能とする。つまり、移動機構1137は、現像装置1130を、作動位置と後退位置との間で移動可能とする。作動位置は、図28に示すように、感光体ドラム20の表面21の潜像を現像するための位置である。後退位置は、図29に示すように、作動位置よりも、現像ローラ31が感光体ドラム20から離間した位置である。移動機構1137は、現像装置1130を作動位置と後退位置との間で回転可能に支持する軸11371と、現像装置1130を第一位置と第二位置とに操作可能な切替装置11372と、を備える。第一位置は、現像装置1130を作動位置に固定する位置である。第二位置は、軸11371を中心として現像装置1130を作動位置と後退位置との間で移動させる位置である。つまり、第二位置は、軸11371を中心として現像装置1130が作動位置と後退位置との間で自由に移動できる位置である。
【0098】
軸11371は、長手方向D1に延びている。軸11371は、現像装置1130が作動位置と後退位置との間で移動可能となるように、長手方向D1と直交する断面における、現像ローラ31の回転軸31Aと感光体ドラム20の回転軸20Aとを結ぶ直線(平面)上以外の位置に配置されている。また、軸11371は、現像装置1130が自重により作動位置から後退位置に回転する位置に配置されている。例えば、軸11371は、水平方向における現像室Cの排出口32bとは反対側、又は水平方向における現像室Cの感光体ドラム20側に配置されている。
【0099】
切替装置11372は、例えば、現像装置1130のハウジング32に当接されるアーム11373と、アーム11373を移動させるレバー11374と、ハウジング32を直接的に振動させるための振動付与カム11375と、を備える。
【0100】
アーム11373は、長手方向D1に延びて回転可能な軸部11373aと、軸部11373aから長手方向D1と直交する方向に延びてハウジング32に当接されるアーム部11373bと、を有する。アーム部11373bは、現像装置1130の作動位置から後退位置に向かう回転方向D3におけるハウジング32の前方に位置して、現像装置1130の作動位置から後退位置に向かう回転を規制するようにハウジング32に当接される。例えば、アーム11373は、長手方向D1と直交する断面における、水平方向における軸11371よりも感光体ドラム20とは反対側に位置する、ハウジング32の底面に当接される。
【0101】
レバー11374は、回転操作されることで、現像装置1130が第一位置と第二位置との間で切り替わるようにアーム11373を移動させる。レバー11374は、アーム11373のアーム部11373bに当接されて現像装置1130が第一位置と第二位置との間で切り替わるようにアーム11373を移動させるカム部11374aと、カム部11374aを回転させるためにカム部11374aから延びるレバー部11374bと、を有する。カム部11374aは、現像装置1130を第一位置に位置させる第一極11374cを有する。第一極11374cは、カム部11374aのカム面(外周面)に位置する。カム部11374aの第一極11374cがアーム部11373bに当接することで、アーム部11373bは、現像装置1130を第一位置に位置させる。カム部11374aの第一極11374cがアーム部11373bから離れることで、アーム部11373bは、現像装置1130を第二位置に位置させる。レバー11374は、例えば、操作者が手動でレバー部11374bを回転操作することにより回転する。
【0102】
振動付与カム11375は、駆動源90により回転駆動される。振動付与カム11375は、現像装置1130の作動位置から後退位置に向かう回転方向D3における、アーム部11373bのハウジング32とは反対側に配置されている。そして、振動付与カム11375は、カム部11374aの第一極11374cがアーム部11373bに当接して現像装置1130が第一位置に位置している際に、アーム部11373bから離間される位置に配置されている。また、振動付与カム11375は、カム部11374aの第一極11374cがアーム部11373bから離れて現像装置1130が第二位置に位置している際に、アーム部11373bに当接される位置に配置されている。カム部11374aは、カム部11374aの第一極11374cがアーム部11373bから離れて振動付与カム11375がアーム部11373bに当接された際に、アーム部11373bから離間する位置に配置されている。このため、現像装置1130が第一位置に位置している場合は、駆動源90が現像ローラ31を回転駆動することにより振動付与カム11375が回転しても、振動付与カム11375はハウジング32を振動させない。つまり、振動付与カム11375は現像装置1130に振動運動を付与しない。一方、現像装置1130が第二位置に位置している場合は、駆動源90が現像ローラ31を回転駆動することにより振動付与カム11375が回転することで、振動付与カム11375はハウジング32を振動させる。つまり、振動付与カム11375は現像装置1130に振動運動を付与する。なお、現像装置1130が第二位置に位置している場合は、カム部11374aがアーム部11373bから離間しているため、振動付与カム11375は、カム部11374aに阻害されることなく、ハウジング32を振動させることができる。
【0103】
制御部70は、振動付与処理として、駆動源90により現像ローラ31を回転駆動することで振動付与カム11375を回転させる。駆動源90による現像ローラ31の回転駆動としては、例えば、現像ローラ31の回転駆動のONとOFFとを繰り返してもよく、現像ローラ31の正転駆動と逆転駆動とを繰り返してもよく、単に現像ローラ31を回転方向D2に回転駆動させるだけであってもよい。また、制御部70は、現像装置1130が第二位置に位置しているときに、振動付与処理を行う。例えば、制御部70は、現像装置1130が第二位置に位置している状態で現像剤排出処理を行うとき、又は、印刷処理と現像剤排出処理との間の現像装置1130が第二位置に位置しているときに、振動付与処理を行う。
【0104】
このように、画像形成装置1101では、振動付与カム11375の回転により現像装置1130に直接的に振動運動を付与することができる。これにより、第二チャンバBに回収することができる現像剤の量が更に多くなるため、現像剤の回収効率を更に上げることができる。また、同量の現像剤を回収する場合、振動付与処理を行わない場合に比べて、第二チャンバBを更に小型化することができる。
【0105】
本明細書に記載の全ての側面、利点及び特徴が、必ずしも、いずれかひとつの特定の例及び実施形態により達成される又は含まれるわけではないことは理解されたい。実際、本明細書において様々な例を記載し示したが、他の例もその配置及び詳細について修正することができることは明らかであるべきだ。ここに請求される保護主題の精神及び範囲に包含される全ての修正及び変形を請求する。
【0106】
例えば、上記の各図に示された画像形成装置又は現像装置の一部の構成を、他の各図に示された画像形成装置又は現像装置に適用してもよい。例えば、図21及び図22に示す画像形成装置1001の移動機構37及び振動付与処理、又は図28及び図29に示す画像形成装置1101の移動機構1137及び振動付与処理を、他の図に示す画像形成装置に適用してもよい。
【0107】
また、例えば、ガイド及びシャッタの動作は、アクチュエータ等を使用した制御部等の駆動制御により行ってもよいし、手動により行ってもよい。

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