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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073677
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】安全管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20240523BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184502
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128277
【弁理士】
【氏名又は名称】專徳院 博
(72)【発明者】
【氏名】弘中 健一
(72)【発明者】
【氏名】清時 浩二
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086AA53
5C086CA02
5C086FA02
5C086FA06
5C086FA11
5C087AA02
5C087AA11
5C087AA37
5C087AA51
5C087BB20
5C087BB74
5C087DD03
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
(57)【要約】
【課題】複数人の作業者が同じ場所で作業を行う場合であっても各作業者に適切に警報を発し、作業者を危険から守る安全管理システムを提供する。
【解決手段】複数の作業者端末11a、11b、11c、11d、作業責任者端末51、管理者端末61及び管理サーバー71が互いにデータを送受信可能に接続され、前記作業者端末11a、11b、11c、11dが発する警報が前記管理サーバー71を介して他の端末に自動送信される、作業者201a、201b、201c、201dを危険から守る安全管理システム1であり、作業者端末11a、11b、11c、11dは、危険を検知する危険検知手段と、警報を発する警報手段とを備え、前記警報が作業者端末固有の警報である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業者端末、作業責任者端末、管理者端末及び管理サーバーが互いにデータを送受信可能に接続され、前記作業者端末が発する警報が前記管理サーバーを介して他の端末に自動送信される、作業者を危険から守る安全管理システムであり、
前記作業者端末は、危険を検知する危険検知手段と、警報を発する警報手段とを備え、
前記警報が作業者端末固有の警報であることを特徴とする安全管理システム。
【請求項2】
前記危険検知手段が、高圧配電設備との距離を検知する検知手段、生体情報を検知する検知手段、作業者の加速度又は姿勢を検知する検知手段のいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の安全管理システム。
【請求項3】
前記警報に、前記作業者端末を使用する作業者の姓又は氏名を発する音声出力が含まれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の安全管理システム。
【請求項4】
前記警報に、危険の内容を発する音声出力が含まれ、
前記危険の内容に感電、脱水症・熱中症、危険行為のいずれか1種以上が含まれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の安全管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者を危険から守る安全管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現場作業を安全に行うためには作業者の危険な行動・行為を防ぎ、また体調の悪い作業者には作業をさせないことが重要である。例えば、高圧配電設備を停電させることなく作業を行う間接活線作業は感電の危険があるため作業者は、活線に近接するとそれを検出し警報を発する装置を装着し作業を行う。また共同作業者が作業を補助しつつ作業者が感電しないように監視し、さらに現場の作業責任者、管理者が作業を安全に行えるように指示を与える。
【0003】
間接活線作業の感電防止装置としては、作業者が活線に近接するとそれを検出し警報を発するともに位置検出信号を発するような装置もある。このような装置を使用すれば作業者が充電部に近接し危険になったことを作業者本人のみならず共同作業者、作業責任者等に知らせることができる。(例えば特許文献1,2参照)。
【0004】
作業員の体調についても作業者の体調を検知し警報を発し、さらに作業者の体調不良を作業責任者、管理者に連絡する体調管理システムがある(例えば特許文献3参照)。特許文献3に記載の体調管理システムは、生体情報を取得するセンサーを備え作業者の異常を検知する装置と、管理サーバーと、管理者端末及び作業責任者端末とがネットワークを介して接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭64-17195号公報
【特許文献2】特開平5-211708号公報
【特許文献3】特開2019-208926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3に記載された体調管理システムは、作業者本人のみならず作業責任者、管理者にも直ちに作業者の体調不良情報が送信され、さらに作業責任者及び管理者から作業者に指示を送ることができるので作業者の体調悪化を適切に防ぐことができる。このシステムを間接活線作業に適用することで作業者の感電を適切に防ぐことが期待できる。
【0007】
以上のように特許文献3に記載された体調管理システムは有用なシステムであるが、複数の作業者が共同で作業を行う場合、警報が発せられても誰に対して警報が発せられているか直ちには分からないという課題がある。特に同時に複数の警報が発せられると作業者が混乱してしまう。これまでに特許文献3に記載の体調管理システム以外にも同様のシステムが提案されているが、複数の作業者が共同で作業を行う場合の警報の識別、混同に関する指摘はなく、当然それに対する解決手段も提案されていない。
【0008】
本発明の目的は、複数人の作業者が同じ場所で作業を行う場合であっても各作業者に適切に警報を発し、作業者を危険から守る安全管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の作業者端末、作業責任者端末、管理者端末及び管理サーバーが互いにデータを送受信可能に接続され、前記作業者端末が発する警報が前記管理サーバーを介して他の端末に自動送信される、作業者を危険から守る安全管理システムであり、前記作業者端末は、危険を検知する危険検知手段と、警報を発する警報手段とを備え、前記警報が作業者端末固有の警報であることを特徴とする安全管理システムである。
【0010】
本発明に係る安全管理システムにおいて、前記危険検知手段が、高圧配電設備との距離を検知する検知手段、生体情報を検知する検知手段、作業者の加速度又は姿勢を検知する検知手段のいずれか1種以上であることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る安全管理システムは、前記警報に、前記作業者端末を使用する作業者の姓又は氏名を発する音声出力が含まれることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る安全管理システムは、前記警報に、危険の内容を発する音声出力が含まれ、前記危険の内容に感電、脱水症・熱中症、危険行為のいずれか1種以上が含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数人の作業者が同じ場所で作業を行う場合であっても各作業者に適切に警報を発し、作業者を危険から守る安全管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態の安全管理システム1の構成を示す模式図である。
図2】本発明の第1実施形態の安全管理システム1で使用する作業者端末11の構成を説明するための図及び機能構成図である。
図3】本発明の第1実施形態の安全システム1で使用する管理サーバー71の機能構成図及びデータベースの一例である。
図4】本発明の第1実施形態の安全管理システム1の処理の流れを示すフローチャートである。
図5】本発明の第2実施形態の安全管理システムで使用する作業者端末12の構成を説明するための図及び作業者端末12の機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態の安全管理システム1の構成を示す模式図である。図2(A)は、安全管理システム1で使用する作業者端末11の構成を説明するための図、図2(B)は、作業者端末11の機能構成図である。図3(A)は、安全管理システム1で使用する管理サーバー71の機能構成図、図3(B)、(C)は、管理サーバー71が備える社員データベース76、警報音・光データベース77の一例である。以下の説明において、名称が同じで符号が異なる複数の要素を総称する場合には、共通する数字部分のみを使用して総称する。
【0016】
本発明の第1実施形態の安全管理システム1は、作業責任者211及び複数の作業者201(201a、201b、201c、201d)が同じ場所で装柱作業を行うとき、作業者201を感電の危険から守るためのシステムである。本実施形態において、作業責任者211は1名、装柱作業を行う作業者201は4名であり、作業責任者211も現場にいる。
【0017】
安全管理システム1は、作業者201が使用する作業者端末11(11a、11b、11c、11d)と、作業責任者211が使用する作業責任者端末51と、管理者221が使用する管理者端末61と、データを処理する管理サーバー71と、を含み、これらがネットワーク101を介して接続される。なお、管理者221は、現場から離れた場所にいる。
【0018】
本実施形態に示す作業者端末11は、タッチパネル式の本体15、本体15に取付けられたバンド16を有し、各作業者201が腕に装着して使用する。作業者端末11は、本体15の上面にディスプレイ18を備え、本体15内に各種処理を行うCPU(図示省略)、メモリ(図示省略)を備える。さらに本体15内には、距離センサー20、スピーカー22、マイク23、バイブレータ24、位置検知のためのGPS25が格納されている。
【0019】
作業者端末11は、機能的には、危険を検知する危険検知手段28と、音声データを含むデータ等の入力を行う入力手段31と、結果等を表示する出力手段33と、データ等を記憶する記憶手段34と、危険検知手段28が取得するデータに基づき感電の危険の有無を判定する判定手段35と、判定手段35が異常の判定をするとそれに基づき作業者201に警報を発する警報手段37と、音声データを含むデータの送受信を行う通信手段43と、位置情報を取得する位置情報取得手段45と、各手段の動作を制御する制御手段47を備える。
【0020】
本実施形態において危険検知手段28は、距離検知手段29である。距離検知手段29は、距離センサー20を含み、距離センサー20が配電線301との距離を検知する。作業者端末11は、作業者201が腕に装着しているため作業者201と配電線301との距離を検知することができる。
【0021】
入力手段31は、タッチパネルからのデータ入力の他に、マイク23と接続し音声データを入力可能に構成される。出力手段33は、ディスプレイ18及びスピーカー22と接続し、データ及び音声データを出力する。判定手段35は、距離センサー20が取得する配電線301までの距離と、予め設定された閾値(限界距離)とを比較し感電の危険の有無を判定する。
【0022】
警報手段37は、音声発生手段39、発光手段40、振動発生手段41を含み構成される。音声発生手段39は、管理サーバー71から取得した作業者201の姓又は氏名を含む警報を発する。一例を示せば「〇〇さん、感電の危険あり」、「〇〇××さん、感電注意」である。また発光手段40は、管理サーバー71から取得した、作業者201に紐付けられた光をディスプレイ18上で発光させる。さらに振動発生手段41は、内蔵するバイブレータ24を動作させ、感電の危険性を報知する。
【0023】
通信手段43は、音声データを含むデータを送受信可能に構成され、制御手段47の指令に基づき異常判定結果を管理サーバー71に送信する。具体的には判定手段35が異常であるとの判定をすると、通信手段43は、位置情報取得手段45から現在位置を取得し、作業者端末11の識別番号と異常判定結果と位置情報とを紐付けして管理サーバー71に送信する。また通信手段43は、管理サーバー71から音声データ等を受信する。
【0024】
位置情報取得手段45は、GPS25を含み、GPS25を介して作業者端末11の位置情報を取得する。
【0025】
制御手段47は、記憶手段34に格納されたプログラムに基づき各手段の動作を制御する。
【0026】
作業責任者端末51は、携帯端末であり、ネットワーク101を介して管理サーバー71、作業者端末11、管理者端末61と音声データを含むデータを送受信可能に接続する。作業責任者端末51の構成は、作業者端末11と基本的に同じである。
【0027】
管理者端末61は、パソコンであり、ネットワーク101を介して管理サーバー71、作業者端末11、作業責任者端末51と音声データを含むデータを送受信可能に接続する。管理者端末71の機能は、作業者端末11と基本的に同じである。但し、管理者端末61は、バイブレータを備えていない。本実施形態では、パソコンを管理者端末61とするが、管理者端末61は、携帯端末であってもよい。
【0028】
管理サーバー71は、作業者201が使用する作業者端末11、作業責任者211が使用する作業責任者端末51、管理者221が使用する管理者端末61とネットワーク101を介し異常判定結果、音声データなどのデータを受送信可能に接続する。
【0029】
管理サーバー71は、機能的にはデータ等の入力を行う入力手段72と、結果等を表示する出力手段73と、音声データを含むデータの送受信を行う通信手段74と、データ等を記憶する記憶手段75と、各手段の動作を制御する制御手段78とを備える(図3(A)参照)。
【0030】
記憶手段75は、各種処理を行うためのプログラム・データを格納し、また社員データベース76及び警報音・光に関するデータベース77を備える。さらに事前に入力された作業計画書を格納する。作業計画書には、作業日時、作業場所、作業内容、作業責任者211、作業者201及び管理者221の氏名及び識別番号が記載されている。
【0031】
図3(B)は、社員データベース76の一例であり、社員の氏名、社員番号、端末識別番号、所属を含む。図示を省略したが社員データベース76には、所属先を識別する識別番号、所属長(管理者)の氏名及び識別番号が合せて格納されている。このため社員の識別番号を特定することで管理者221の氏名、識別番号、管理者端末71の識別番号を特定することができる。管理者221、作業責任者211も社員であるから、当然これらの者のデータも社員データベース76に記録されている。
【0032】
図3(C)は、警報音・光に関するデータベース77の一例であり、複数種の警報音・警報光が番号と紐付けられ格納されている。
【0033】
制御手段78は、記憶手段75に格納されたプログラムに基づき各手段の動作を制御する。例えば、制御手段78は、作業者端末11から異常判定結果を受信すると、通信手段74を介して直ちに作業責任者端末51及び管理者端末61に転送する。また作業責任者端末51又は管理者端末61から作業者端末11に対する音声データ等を受信すると直ちに作業者端末11に転送する。
【0034】
次に本発明の第1実施形態の安全管理システム1の使用方法を説明する。図4は、本発明の第1実施形態の安全管理システム1の処理の流れを示すフローチャートである。ステップS1からステップS15までの判断の組合せや順序は一例であり、変更してもよい。
【0035】
作業者201は、作業に先立ち作業者端末11のセットアップを行う。具体的には、各作業者201は、作業者端末11を起動し、社員番号を入力する。各作業者端末11は、入力された社員番号を管理サーバー71に送信する(ステップS1)。
【0036】
管理サーバー71は、作業者端末11から社員番号を受信すると、社員データベース76から社員の姓及び名前、端末識別番号を読み出し、さらに警報音・光データベース77から警報音及び発光色を読み出し、作業者端末11に送信する(ステップS2)。管理サーバー71は、警報音及び発光色については、番号の小さいものから順番に選択し、既に選択された番号の警報音及び発光色は選択しない。
【0037】
具体的に説明すれば、管理サーバー71は、最初に作業者端末11aから識別番号を受信すると、警報音・光データベース77から番号1の警報音及び発光色を返信する。管理サーバー71は、続いて作業者端末11dから識別番号を受信すると、既に番号1の警報音及び発光色は選択済みゆえ、次に番号の小さい番号2の警報音及び発光色を返信する。これにより異なる作業者端末11に同じ警報音及び発光色が返信されることはなく、また異なる作業者端末11から同じ警報音及び発光色が発せられることもない。
【0038】
作業者端末11は、社員の姓及び名前、端末識別番号、警報音・光に関するデータを受信すると記憶手段34に格納する(ステップS3)。これにより作業者端末11のセットアップが完了する。
【0039】
以下、主に作業者201aが装着する作業者端末11aを用いて安全管理システム1の処理、動作を説明する。ここでは作業者201aの氏名が〇〇××であり、装着する作業者端末11aの警報音としてピーピーが、発光色として青が選択されたものとする。
【0040】
作業が開始されると、作業者端末11aは、配電線301との距離を検知し(ステップS4)、配電線301との距離が予め定める閾値以下か否か判定する(ステップS5)。作業者端末11aは、作業者端末11aが閾値以下であると判断すると、直ちに警報を発する(ステップS6)。警報として「〇〇××さん、感電の危険」の音声に引続き「ピーピー」という警報音が発せられる。同時にディスプレイ18を青に発光させ、さらにバイブレータ24が動作する。
【0041】
これにより作業者201aは、自分が感電の危険にあることを知ることができる。同時に作業者201aの近くにいる作業者201bも作業者201aが感電の危険にあることを知ることができるので、作業者201aが感電の危険から回避することをサポートすることができる。
【0042】
また作業者端末11aは、配電線301との距離が予め定める閾値以下であると判断すると、直ちに作業者端末11aの位置情報を取得し(ステップS7)、作業者201aが感電の危険距離にいること(異常判定結果)及び位置情報を作業者端末11aの識別番号と紐付け、管理サーバー71に送信する(ステップS8)。
【0043】
管理サーバー71は、作業者端末11aから異常判定結果等を受信すると、社員データベース76及び作業計画表から作業責任者211及び管理者221、さらには作業責任者端末51及び管理者端末61を選出し、これら端末に感電の危険のある作業者201aの氏名及び作業者端末11aに送信したものと同じ警報音・光を送信する(ステップS9)。
【0044】
作業責任者端末51及び管理者端末61は、管理サーバー71からデータを受信すると、直ちに警報を発する(ステップS10,S11)。作業責任者端末51及び管理者端末61が発する警報は、作業者端末11aと同じである。これにより作業責任者211及び管理者221は、作業者201aが感電の危険にあることを直ちに知ることができる。なお、管理者端末61は、バイブレータを備えないので振動による警報はない。
【0045】
当該警報を受け、作業責任者211及び管理者221は、作業者201aに感電の危険があることを知ることができるので、作業責任者211は、作業責任者端末51を通じて作業者201aの安全確認、作業方法の指示、誤った行動の是正指示を行うことができる。また管理者221は、管理者端末61を通じて作業者201aの安全確認、危険ポイント・安全上の指示を行うことができる(ステップS12)。管理サーバー71は、作業責任者端末51又は管理者端末61からこれら音声データを受信すると(ステップS13)、当該音声データを直ちに該当する作業者端末11aに送信する(ステップS14)。
【0046】
作業者端末11aは、管理サーバー71から音声データを受信すると直ちにこれを発する(ステップS15)。これにより作業者201aは、作業責任者211及び/又は管理者221からの安全確認、指示を得ることができる。
【0047】
以上のように作業者201aは、自身が装着する作業者端末11aからの警報、さらには作業責任者211及び/又は管理者221からの安全確認、指示により感電の危険を回避することができる。上記安全管理システム1の処理、動作の説明において、作業者201が作業者201aであるとして説明したが、作業者201が他の作業者201b、201c、201dであっても同じである。
【0048】
さらに複数の作業者201が同時に作業を行い、複数の作業者端末11が同時に、あるいは時間をずらして危険を検知した場合も、各作業者端末11と管理サーバー71、作業責任者端末51及び管理者端末61との関係、動作、処理は先の説明と同じある。
【0049】
複数の作業者201が同時に作業を行う場合、1台の作業者端末11が警報を発してもどの作業者端末11が警報を発しているのか分かり難い。複数の作業者端末11が同時に、あるいは僅かに時間をずらして警報を発した場合はなおさらである。これに対して本実施形態の安全管理システム1は、作業者端末11が警報として作業者の姓又は氏名を発するのでどの作業者201が感電の危険があるか直ちに分かる。
【0050】
作業責任者端末51及び管理者端末61への警報にも作業者201の姓又は氏名が含まれるのでどの作業者201が感電の危険があるか直ちに分かる。また姓又は氏名を聞き逃しても作業者201ごとに警報音・光が異なるので何名の作業者201が感電の危険があるか直ちに分かる。また作業責任者端末51及び管理者端末61から作業者端末11へ安全確認・指示が行えるので作業者201の感電の危険を効果的に防ぐことができる。
【0051】
図5(A)(B)は、本発明の第2実施形態の安全管理システムで使用する作業者端末12の構成を説明するための図、図5(C)は、作業者端末12の機能構成図である。図1から図4に示す第1実施形態の安全管理システム1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
本発明の第2実施形態の安全管理システムは、作業責任者211と複数の作業者201(201a、201b、201c、201d)が同じ場所で装柱作業を行うとき、作業者201を感電の危険から守り、また作業者201の体調不良を防ぐためのシステムである。本実施形態において、作業責任者211は1名、装柱作業を行う作業者201は4名であり、作業責任者211も現場にいる。
【0053】
第2実施形態の安全管理システムの構成は、作業者201が使用する作業者端末12を除き、第1実施形態の安全管理システム1と同一である。管理者221が現場から離れた場所にいる点も第1実施形態の安全管理システム1と同じである。以下、第1実施形態の安全管理システム1との相違点である作業者端末12を中心に説明する。第2実施形態の安全管理システムでは、作業者201の体調不良が脱水症であるとものとして説明する。
【0054】
作業者端末12は、第1実施形態の作業者端末11と比較して生体インピーダンスを取得するバイタルセンサー21が追加されている。バイタルセンサー21は、作業者端末12を腕に装着したとき皮膚に接するように本体15の裏面に取付けられている(図5(B)参照)。
【0055】
作業者端末12の危険検知手段28は、距離検知手段29と生体情報検知手段30とを含み、距離検知手段29は、距離センサー20を含み配電線301との距離を検知し、生体情報検知手段30は、バイタルセンサー21を含み作業者201の生体インピーダンスを検知する。
【0056】
作業者端末12の判定手段35は、距離センサー20が取得する配電線301までの距離と、予め設定された閾値とを比較し感電の危険の有無を判定する。さらにバイタルセンサー21が取得する生体インピーダンスと脱水症との関係に基づき脱水症の危険の有無を判定する。
【0057】
作業者端末12の警報手段37は、作業者端末11の警報手段37と基本的に同じ構成からなるが、判定手段35が脱水症の危険ありと判断すると、音声発生手段39は、「〇〇さん、脱水症の危険あり」、「〇〇××さん、脱水症注意」などの警報を発する。判定手段35が感電の危険及び脱水症の危険ありと判断すると、音声発生手段39は、「〇〇さん、感電の危険あり、脱水症の危険あり」、「〇〇××さん、感電・脱水症注意」などの警報を発する。
【0058】
第2実施形態の安全管理システムは、作業者端末12が2つのセンサーを備え、2つの危険を検知しそれぞれに対応した警報を発するが、これら異常判定結果は、管理サーバー71を介して作業責任者端末51及び管理者端末61に送信され、さらに作業責任者端末51及び管理者端末61からの安全確認・指示が作業者端末12に送信されるなど、第2実施形態の安全管理システムの使用方法、動作、処理は、第1実施形態の安全管理システム1と基本的に同じである。また第2実施形態の安全管理システムの作用・効果も第1実施形態の安全管理システム1と基本的に同じである。
【0059】
本発明の第3実施形態の安全管理システムとして、作業者201の危険行為を防ぐシテムを説明する。本発明の第3実施形態の安全管理システムの構成は、本発明の第1実施形態の安全管理システム1の構成と基本的に同一であり、相違点は作業者端末11の危険検知手段28にある。
【0060】
本発明の第1実施形態の安全管理システム1は、作業者端末11が距離センサー20を備え、作業者201と配電線301との距離を検知し、感電の危険を報知するが、本発明の第3実施形態の安全管理システムは、作業者端末11が加速度センサーを備え、作業者201の作業時の動作を検知し、当該動作が通常の動作と比較して大きく異なるときに警報を発する。例えば音声発生手段39は、「〇〇さん、危険動作」、「〇〇××さん、作業中止」などの警報を発する。
【0061】
作業者201が間接活線工具等を使用して配電工事を行う場合に、強引に作業を進めようとすると作業者201の動きが大きくなり易い。また無理な姿勢で作業を行う場合も同様である。このような作業者201の動きは、感電などにつながり易い。第3実施形態の安全管理システムでは、作業者端末11に設けた加速度センサーを介して作業者201の動きを検知し、感電の危険を防ぐ。
【0062】
以上、第1~第3実施形態の安全管理システムを用いて本発明に係る安全管理システムを説明したが、本発明に係る安全管理システムは上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変更して使用することができる。
【0063】
上記実施形態では、腕時計タイプの作業者端末11、12を示したが、作業者端末の形態はこれに限定されるものではない。装着したとき作業し易い作業者端末が好ましい。また作業者端末11、12をヘッドセットと接続可能に構成してもよい。
【0064】
また作業者端末11、12が備える機能を2つの機器に分担させてもよい。例えばバイタルセンサーを備えるスマートデバイスと、スマートデバイスとデータを送受信可能に接続する携帯電話とで作業者端末を構成し、管理サーバーとのデータの送受信、警報の発出を携帯電話に担当させてもよい。距離センサー、GPSは、スマートデバイス又は携帯電話のいずれかに設ける。
【0065】
第1実施形態では安全管理システムを装柱作業に使用する例を示したが、本発明に係る安全管理システムは、装柱作業以外の感電の危険のある作業、例えば高圧配電設備、充電した電線路の作業などに幅広く使用することができる。
【0066】
第2実施形態の安全管理システムでは、生体データとして生体インピーダンスを取得する例を示したが、生体データはこれに限定されるものではない。取得する生体データは、作業者の安全につながるものであればよく、生体インピーダンス以外の生体データとして体内水分量、体温、脈拍、血圧、心拍数、発汗量が挙げられる。生体データを取得するバイタルセンサーは、生体データの取得に適したものを使用すればよい。
【0067】
第3実施形態の安全管理システムでは、加速度センサーを用いて作業者201の作業時の動作を検知し、感電の危険を防ぐ例を示したが、無理な姿勢での作業も感電の危険につながる。よってセンサーを用いて作業者の作業時の姿勢を検知し、感電の危険を防ぐようにしてもよい。
【0068】
作業者端末11は、危険検知手段28の検知する数が1つ、作業者端末12は、危険検知手段28の検知する数が2つであるが、危険検知手段28の検知する数は3つ以上でああってもよい。
【0069】
図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更及び修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
【符号の説明】
【0070】
1 安全管理システム
11、11a、11b、11c、11d、12 作業者端末
20 距離センサー
21 バイタルセンサー
22 スピーカー
23 マイク
24 バイブレータ
25 GPS
28 危険検知手段
29 距離検知手段
30 生体情報検知手段
37 警報手段
39 音声発生手段
40 発光手段
41 振動発生手段
43 通信手段
45 位置情報取得手段
51 作業責任者端末
61 管理者端末
71 管理サーバー
101 ネットワーク
201、201a、201b、201c、201d 作業者
211 作業責任者
221 管理者
301 配電線
図1
図2
図3
図4
図5