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特開2024-73679小型飛砂風向計測装置及びそれを用いた飛砂風向計測システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073679
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】小型飛砂風向計測装置及びそれを用いた飛砂風向計測システム
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/02 20060101AFI20240523BHJP
   G01W 1/00 20060101ALI20240523BHJP
   G01N 15/02 20240101ALI20240523BHJP
【FI】
G01W1/02 A
G01W1/00 Z
G01N15/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184512
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
(74)【代理人】
【識別番号】100167645
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 一弘
(72)【発明者】
【氏名】劉 佳啓
(72)【発明者】
【氏名】木村 玲二
(72)【発明者】
【氏名】村松 隆司
(72)【発明者】
【氏名】笠田 洋文
(57)【要約】
【課題】 メンテナンスが容易で消費電力が少ない簡易小型可搬式飛砂風向計測装置及び飛砂風向計測システムを提供する。
【解決手段】 飛砂風向計測装置100は、一端に飛砂粒子数を計測する飛砂計測センサを内設した飛砂計測部10を配設し、他端に風向を検知する垂直翼11を配設した飛砂風向検出部12と、飛砂風向検出部12を直交して係止して筐体14に回転可能に配設された回転軸13と、回転軸13に沿って回動可能に配置され、前記回転軸の回転量から風向を計測するポテンショメータ21からなる風向計測部20と、回転軸の回転を制止して飛砂風向検出部12の稼働を制止する飛砂風向検出部制止手段30を備える。システム制御装置200は、風速計測部51が計測した風速値に基づき飛砂風速計測部12の計測制止を判断する。また、飛砂風向計測装置100には、スリップリングからなる回転接続子40を介して電力供給と信号授受を行う。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に飛砂粒子数を計測する飛砂計測センサを内設した飛砂計測部を配設し、他端に風向を検知する垂直翼を配設した飛砂風向検出部と、
前記飛砂風向検出部を直交して係止して筐体に回転可能に配設された回転軸と、
前記回転軸に沿って回動可能に配置され、前記回転軸の回転量から風向を計測するポテンショメータからなる風向計測部と、
前記回転軸の回転を制止して飛砂風向検出部の稼働を制止する飛砂風向検出部制止手段と、
前記飛砂風向検出部、前記風向計測部及び前記飛砂風向検出部制止手段へ電力及び信号を伝達するスリップリングからなる回転接続子と、
を備える飛砂風向計測装置。
【請求項2】
前記飛砂量計測センサがコーン型共振子を採用した圧電振動子であることを特徴とする請求項1に記載する飛砂風向計測装置。
【請求項3】
飛砂風向計測装置と、前記飛砂風向計測装置を制御するシステム制御装置を備える飛砂風向計測システムであって、
前記飛砂風向計測装置は、一端に飛砂粒子数を計測する飛砂計測センサを内設した飛砂計測部を配設し、他端に風向を検知する垂直翼を配設した飛砂風向検出部と、
前記飛砂風向検出部を直交して係止して筐体に回転可能に配設された回転軸と、
前記回転軸に沿って回動可能に配置され、前記回転軸の回転量から風向を計測するポテンショメータからなる風向計測部と、
前記回転軸の回転を制止して飛砂風向検出部の稼働を制止する飛砂風向検出部制止手段と、
前記飛砂風向検出部、前記風向計測部及び前記飛砂風向検出部制止手段へ電力及び信号を伝達するスリップリングからなる回転接続子を備え、
前記システム制御装置は、風速計測部と、前記風速計測部が計測した風速値に基づき、前記飛砂風向計測装置の飛砂風速計測部の計測制止を判断する風速判別部と、
前記飛砂風向計測装置の計測データを記憶するデータ記憶部と、
を備えることを特徴とする飛砂風向計測システム。
【請求項4】
一端に飛砂粒子数を計測する飛砂計測センサを内設した飛砂計測部を配設し、他端に風向を検知する垂直翼を配設した飛砂風向検出部と、
前記飛砂風向検出部を直交して係止して筐体に回転可能に配設された回転軸と、
前記回転軸に同心的配設され、前記回転軸の回転量から風向を計測するポテンショメータからなる風向計測部と、
前記飛砂風向検出部及び前記風向計測部へ電力及び信号を伝達する前記回転軸を内包する中空型スリップリングからなる回転接続子と、
を備える飛砂風向計測装置。
【請求項5】
前記飛砂量計測センサがコーン型共振子を採用した圧電振動子であることを特徴とする請求項4に記載する飛砂風向計測装置。
【請求項6】
飛砂風向計測装置と、前記飛砂風向計測装置を制御するシステム制御装置を備える飛砂風向計測システムであって、
前記飛砂風向計測装置は、一端に飛砂粒子数を計測する飛砂計測センサを内設した飛砂計測部を配設し、他端に風向を検知する垂直翼を配設した飛砂風向検出部と、
前記飛砂風向検出部を直交して係止して筐体に回転可能に配設された回転軸と、
前記回転軸に同心的配設され、前記回転軸の回転量から風向を計測するポテンショメータからなる風向計測部と、
前記飛砂風向検出部及び前記風向計測部へ電力及び信号を伝達する前記回転軸を内包する中空型スリップリングからなる回転接続子と、
前記システム制御装置は、前記飛砂風向計測装置の計測データを記憶するデータ記憶部、
を備えることを特徴とする飛砂風向計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、海岸砂地における飛砂発生量を計測する飛砂量計測装置、特に、飛砂量を全方位で計測できる小型で軽量な可搬式小型飛砂風向計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥地や海岸の風食により生じる飛砂は、乾燥地における砂漠化や、海岸に隣接する農地の土壌侵食及び道路への堆砂の原因になるなど、世界中で深刻な問題となっている。有効な飛砂の制御方法を開発するためには、地表面における飛砂の運動特性を詳細に計測することが重要である。
野外観測で飛砂量計測手段は、トラップ型の補砂器を用いて飛砂量を計測するものであり(特許文献1)、個々の捕砂効率が異なり、一定量の捕砂に時間を要し、時間積算の飛砂量しか得られない等の理由から詳細な物理的現象の解明が妨げられるという問題がある。
【0003】
一方、飛砂量計測には、種々のデジタル計測機器が開発され(特許文献2)、風速変化に伴う飛砂状況の変化について経時的で詳細なデータの取得が可能となっている。しかしながら、特定の方向の飛砂量しか計測できない、機材が高価であるため多点計測が実現できない、風洞実験と野外観測を併用できない等の問題がある。このため、鉛直方向の飛砂量を多点測定でき、飛砂量計測と風向変位計測が同時に可能な飛砂量計測装置が提案されている(特許文献3)。しかしながら、飛砂量計測装置を構成する部材が多く製造コストが高く、また野外での電力供給は、太陽光発電装置に限定されるため、消費電力が大きい装置では長期の計測を維持できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-308621号公報
【特許文献2】特開平7-84066号公報
【特許文献3】特開2022-081325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、上記課題に鑑み、野外での機器のメンテナンスが容易で、機器の消費電力が少なく、簡易かつ小型で可搬でき、風向による飛砂量変化を計測可能な飛砂量計測装置及び飛砂風向計測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の課題は、以下の態様により解決できる。具体的には、
【0007】
(態様1) 一端に飛砂粒子数を計測する飛砂計測センサを内設した飛砂計測部を配設し、他端に風向を検知する垂直翼を配設した飛砂風向検出部と、前記飛砂風向検出部を直交して係止して筐体に回転可能に配設された回転軸と、前記回転軸に沿って回動可能に配置され、前記回転軸の回転量から風向を計測するポテンショメータからなる風向計測部と、前記回転軸の回転を制止して飛砂風向検出部の稼働を制止する飛砂風向検出部制止手段と、前記飛砂風向検出部、前記風向計測部及び前記飛砂風向検出部制止手段へ電力及び信号を伝達するスリップリングからなる回転接続子と、を備える飛砂風向計測装置である。
飛砂計測部と風向を検知する垂直翼を配設した飛砂風向検出部と、飛砂風向検出部を直交して係止した回転軸に沿って風向変位を計測するポテンショメータを回動可能に配置することで、飛砂量と風向変位データを同時に計測できるからである。
飛砂風向検出部の稼働を制止する飛砂風向検出部制止手段を設けることで、飛砂風向計測が不要な場合に飛砂風向検出部の稼働を停止することができ、飛砂風向計測装置の消費電力や可動部の消耗を抑えることができるからである。
飛砂量計測装置にスリップリングからなる回転接続子を介して電源に接続され電力供給できるからである。
【0008】
(態様2) 前記飛砂量計測センサがコーン型共振子を採用した圧電振動子であることを特徴とする態様1に記載する飛砂風向計測装置である。
超音波センサに採用されている高精度のコーン型共振子を採用した圧電振動子を飛砂量計測センサとすることで、飛砂量を高精度で計測できるからである。
【0009】
(態様3) 飛砂風向計測装置と、前記飛砂風向計測装置を制御するシステム制御装置を備える飛砂風向計測システムであって、前記飛砂風向計測装置は、一端に飛砂粒子数を計測する飛砂計測センサを内設した飛砂計測部を配設し、他端に風向を検知する垂直翼を配設した飛砂風向検出部と、前記飛砂風向検出部を直交して係止して筐体に回転可能に配設された回転軸と、前記回転軸に沿って回動可能に配置され、前記回転軸の回転量から風向を計測するポテンショメータからなる風向計測部と、前記回転軸の回転を制止して飛砂風向検出部の稼働を制止する飛砂風向検出部制止手段と、前記飛砂風向検出部、前記風向計測部及び前記飛砂風向検出部制止手段へ電力及び信号を伝達するスリップリングからなる回転接続子を備え、前記システム制御装置は、風速計測部と、前記風速計測部が計測した風速値に基づき、前記飛砂風向計測装置の飛砂風速計測部の計測制止を判断する風速判別部と、前記飛砂風向計測装置の計測データを記憶するデータ記憶部と、を備えることを特徴とする飛砂風向計測システムである。
飛砂風向計測装置に備えられた飛砂風向検出部の稼働を制止する飛砂風向検出部制止手段をシステム制御装置に備えられた計測した風速値に基づき飛砂風速計測部の計測制止を判断する風速判別部で制御することで、風速値が臨界値以下の飛砂風向計測が不要な場合に飛砂風向検出部の稼働を停止することができ、飛砂風向計測装置の消費電力や可動部の消耗を抑えることができるからである。
【0010】
(態様4) 一端に飛砂粒子数を計測する飛砂計測センサを内設した飛砂計測部を配設し、他端に風向を検知する垂直翼を配設した飛砂風向検出部と、前記飛砂風向検出部を直交して係止して筐体に回転可能に配設された回転軸と、前記回転軸に同心的配設され、前記回転軸の回転量から風向を計測するポテンショメータからなる風向計測部と、前記飛砂風向検出部及び前記風向計測部へ電力及び信号を伝達する前記回転軸を内包する中空型スリップリングからなる回転接続子と、を備える飛砂風向計測装置である。
回転軸に同心的にポテンショメータからなる風向計測部と回転軸を内包する中空型スリップリングからなる回転接続子を配設することで、筐体のサイズをコンパクトにできるからである。
【0011】
(態様5) 前記飛砂量計測センサがコーン型共振子を採用した圧電振動子であることを特徴とする態様4に記載する飛砂風向計測装置である。
超音波センサに採用されている高精度のコーン型共振子を採用した圧電振動子を飛砂量計測センサとすることで、飛砂量を高精度で計測できるからである。
【0012】
(態様6) 飛砂風向計測装置と、前記飛砂風向計測装置を制御するシステム制御装置を備える飛砂風向計測システムであって、前記飛砂風向計測装置は、一端に飛砂粒子数を計測する飛砂計測センサを内設した飛砂計測部を配設し、他端に風向を検知する垂直翼を配設した飛砂風向検出部と、前記飛砂風向検出部を直交して係止して筐体に回転可能に配設された回転軸と、前記回転軸に同心的配設され、前記回転軸の回転量から風向を計測するポテンショメータからなる風向計測部と、前記飛砂風向検出部及び前記風向計測部へ電力及び信号を伝達する前記回転軸を内包する中空型スリップリングからなる回転接続子と、前記システム制御装置は、前記飛砂風向計測装置の計測データを記憶するデータ記憶部、を備えることを特徴とする飛砂風向計測システムである。
飛砂風向計測装置とシステム制御装置を分離することで、飛砂風向計測装置をコンパクトにできるからである。
【発明の効果】
【0013】
本願発明の飛砂量計測装置は、高精度のコーン型共振子を採用した圧電振動子を飛砂量計測センサとした飛砂検出部と風受け部を同一平面上に配置することで風向に対応した飛砂量分布を高精度で計測することができ、風向による飛砂量変化が計測可能となる。飛砂計測部と風向を検知する垂直翼を配設した飛砂風向検出部と、飛砂風向検出部を直交して係止した回転軸に沿って風向変位を計測するポテンショメータを回動可能に配置することで、飛砂量と風向変位データを同時に計測できる。飛砂風向検出部の稼働を制止する飛砂風向検出部制止手段を設けることで、飛砂風向計測が不要な場合に飛砂風向検出部の稼働を停止することができ、飛砂風向計測装置の消費電力を抑えることができる。飛砂量計測装置にスリップリングからなる回転接続子を介して電源に接続され電力供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本願発明の小型飛砂風向計測装置の外観図である。
図2】本願発明の小型飛砂風向計測装置の飛砂計測部の構造図である。
図3】本願発明の飛砂計測センサに採用する圧電振動子の構造図である。
図4】本願発明の小型飛砂風向計測装置の構造を示す側面図である。
図5】本願発明の小型飛砂風向計測装置の風向計測部の構造を示す斜視図である。
図6】本願発明の小型飛砂風向計測装置の風向計測部と飛砂風向検出部制止手段の配置を示す斜視図である。
図7】本願発明の小型飛砂風向計測装置の飛砂風向検出部制止手段の構造を示す側面図である。
図8】本願発明の飛砂風向計測システムのブロック図である。
図9】本願発明の簡易小型飛砂風向計測装置の外観図である。
図10】本願発明の簡易小型飛砂風向計測装置の構造を示す側面図である。
図11】本願発明の簡易小型飛砂風向計測装置の風向計測部の構造を示す斜視図である。
図12】本願発明の簡易小型飛砂風向計測システムのブロック図である。
図13】本願発明の小型飛砂風向計測装置の設置態様の説明図である。
図14】本願発明の簡易小型飛砂風向計測装置の設置態様の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願発明の飛砂風向計測装置及び飛砂風向計測システムについて、その実施態様を図面で説明する。
なお、本願発明の飛砂風向計測装置及び飛砂風向計測システムには、飛砂風向計測装置の稼働を制御するシステムを設けた小型飛砂風向計測装置(以下、「小型飛砂風向計測装置100」という。)と、飛砂風向計測装置の稼働を制御するシステムがない小型飛砂風向計測装置(以下、「簡易小型飛砂風向計測装置500」という。)がある。
【0016】
1.小型飛砂風向計測装置
(1-1)小型飛砂風向計測装置の構成
図1は、本願発明の小型飛砂風向計測装置の外観図であり、それぞれ、(a)斜視図、(b)平面図、(c)正面図、(d)側面図である。小型飛砂風向計測装置100は、一端に飛砂粒子数を計測する飛砂計測センサを設けた飛砂計測部10と他端に風向を検知する垂直翼11を配設した飛砂風向検出部12が筐体14に回転可能に配設された回転軸13に直交して係止されている。筐体14には、小型飛砂風向計測装置100を設置するため筐体保持部15と、外部と電力及び信号を送受するための接続端子16が設けられている。
電源としては、後述する制御システムを設置するため、消費電力が少なく、乾電池だけで長期間観測が可能である。また、超長期間使用する場合、太陽パネルに繋げると、安定した電力を供給することができる。
【0017】
(1-2)飛砂風向検出部
本願発明の飛砂風向検出部12は、飛砂計測センサ2を内設した飛砂計測部10と風向を検知する垂直翼11で構成されている。
図2は、飛砂計測部10の構造図であり、それぞれ、(a)外観斜視図、(b)断面斜視図、(c)分解斜視図である。飛砂計測センサ2は、センサ固定具3を介して差込み式センサ保持具4に一体的に固定され、センサ保護筒1と複数のOリング7を周設したセンサ収容筒5に内設されている。飛砂計測センサ2をセンサ固定具3とセンサ保持具4とで一体化した形態とすることで、センサ保護筒1をセンサ収容筒5から取り外して飛砂計測センサ2を簡単に交換できるため、野外での飛砂計測センサ2のメンテナンスが容易となる。
垂直翼11は、風向を検知する役割を担うと同時に、飛砂風向検出部12の回転バランス及び速度を制御する役割も担う。
【0018】
(1-3)飛砂計測部
飛砂計測部10は、Oリング7を周設したセンサ収容筒5の端部にフォンプラグ6を設けている。複数のOリング7を周設したセンサ収容筒5は、耐候性がある二重Oリング構造であるため防水性に優れ、雨や雪が飛砂計測センサ2へ与える影響を軽減する効果がある。
本願発明では、飛砂計測センサ2には高精度の超音波センサに使用されているコーン型共振子111を飛砂衝突部に採用した圧電振動子を採用している。図3は、本願発明の飛砂計測センサ2に採用するコーン型共振子111を飛砂衝突部に採用した圧電振動子の構造図である。圧電振動子は、ステンレス等の金属管の一端に飛砂粒子の衝突により振動する円錐形状のコーン型共振子111とコーン型共振子111の振動を検出して電気的な衝動信号を出力する金属板112と圧電セラミックス113からなる振動検出センサ115で構成されている。電気的な衝撃信号は出力リード114から接続端子16に接続された防水コネクタ及びケーブル(図示せず)を介してシステム制御装置200の信号増幅器57へ出力され、データ記憶部54に記憶される。
【0019】
(1-4)風向計測部
図4は、本願発明の小型飛砂風向計測装置100の構造を示す側面図である。図5は、風向計測部20の構造を示す斜視図である。風向計測部20は、回転軸13と、回転軸13の回転量を風向変位量として計測するポテンショメータ21及び回転軸13の回転をポテンショメータ21に伝達する巻掛け伝動機構22で構成される。
風向計測部20が計測した風向変位量は、接続端子16に接続された防水コネクタ及びケーブル(図示せず)を介してデータ記憶部54へ出力され記憶される。
本願発明の小型飛砂風向計測装置100は、スリップリング40を介して電力が供給される。
ポテンショメータ21とスリップリング40との連動機構が設けられたことにより飛砂量計測と風向変位計測を同時に可能としている。
【0020】
(1-5)飛砂風向検出部制止手段
図6は、風向計測部20と飛砂風向検出部制止手段30の配置を示す斜視図である。図7は、飛砂風向検出部制止手段30の構造を示す側面図である。飛砂風向検出部制止手段30は、飛砂風向検出部12を直交して係止する回転軸13に係止された回転板31、回転板31を制止する回転板制止パッド32及び回転板制止パッド32を起動する減速モータ33で構成される。
システム制御装置200に設けた風速判定部52から制止信号を受信した減速モータ33は、回転板制止パッド(32a,32b)を起動して回転板31を制止する。これにより、飛砂風向検出部12を含む小型飛砂風向計測装置100の稼働が停止して、小型飛砂風向計測装置100の消費電力と機器の消耗を抑えることで、長期現場観測を実現できる。
【0021】
(1-6)飛砂風向計測システム
図8は、本願発明の飛砂風向計測システム300のブロック図である。本願発明の飛砂風向計測システム300は、前述した小型飛砂風向計測装置100とそれを制御するシステム制御装置200で構成される。
【0022】
(1-7)システム制御装置
システム制御装置200は、風速を計測する風速計測部51、風速値に基づいて小型飛砂風向計測装置100の稼働を制御する風速判定部53、飛砂風速計測部10の飛砂計測センサ115からの電気的な衝動信号を増幅して、データロガー56に送信する信号増幅器57、信号増幅器57及び風向計測部20からの信号をデータとして保存するデータロガー56及びメモリ55からなるデータ記憶部54、システム全体を制御するプログラム制御されたCPU(Central Processing Unit)50で構成される。
【0023】
(1-8)風速判定部
風速判定部51は、風速計測部50に設けた風速計51が計測する風速が臨界風速以下であるには、飛砂風向検出部制止手段30へ制止信号を送信する。
【0024】
(1-9)データ記憶部
データ記憶部54は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備え、信号増幅器57からの飛砂量計測データ及び風向計測部20らの風向データを保存する。
【0025】
2.簡易小型飛砂風向計測装置
(2-1)簡易小型飛砂風向計測装置の構成
図9は、本願発明の簡易小型飛砂風向計測装置500の外観図であり、それぞれ、(a)斜視図、(b)平面図、(c)正面図、(d)側面図である。簡易小型飛砂風向計測装置500は、一端に飛砂粒子数を計測する飛砂計測センサを設けた飛砂計測部10と他端に風向を検知する垂直翼11を配設した飛砂風向検出部12が筐体14に回転可能に配設された回転軸13に直交して係止されている。小型飛砂風向計測装置100と異なり、筐体14の底部に簡易小型飛砂風向計測装置500を設置するための筐体保持孔(図示せず)が設けられている。外部と電力及び信号を送受するための接続端子16が設けられている。
電源としては、後述する制御システムを設置するため、消費電力が少なく、乾電池だけで長期間観測が可能である。また、超長期間使用する場合、太陽パネルに繋げると、安定した電力を供給することができる。
【0026】
(2―1)飛砂風向検出部
本願発明の簡易小型飛砂風向計測装置500の飛砂風向検出部12は、小型飛砂風向計測装置100を同じである。
【0027】
(2-2)飛砂計測部
本願発明の簡易小型飛砂風向計測装置500の飛砂計測部10は、小型飛砂風向計測装置100を同じである。
【0028】
(2-3)風向計測部
図10は、本願発明の簡易小型飛砂風向計測装置500の構造を示す側面図である。図11は、風向計測部20の構造を示す斜視図である。風向計測部20は、中空型スリップリング40中に回転軸13を接続した形態で、回転軸13の回転量を風向変位量として計測するポテンショメータ21を中空型スリップリング40の下に配設する形態で構成される。この形態とすることで、小型飛砂風向計測装置100に比べてコンパクトになる。
【0029】
(2-4)飛砂風向計測システム
図12は、本願発明の簡易小型飛砂風向計測システムのブロック図である。本願発明の簡易小型飛砂風向計測システム400は、簡易小型飛砂風向計測装置500と計測データを記憶するデータ記憶装置600で構成される。
データ記憶装置600は、飛砂風速計測部10の飛砂計測センサ115からの電気的な衝動信号を増幅して、データロガー56に送信する信号増幅器57、信号増幅器57及び風向計測部20からの信号をデータとして保存するデータロガー56及びメモリ55からなるデータ記憶部54で構成される。
【0030】
3.飛砂風向計測装置の設置
図13は、本願発明の小型飛砂風向計測装置100の設置態様の説明図である。筐体14の下部を観測地(砂地)埋設した設置態様とすることができる。図14(a)は、簡易小型飛砂風向計測装置500を架台60に係止した態様であり、(b)は、架台60に倒置して係止した態様である。架台60に倒置して係止する場合には、垂直翼11を逆にして配設し、砂除けカバー61を設けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本願発明により、飛砂量と風向を同時計測可能な小型飛砂量計測装置を提供できる。
【符号の説明】
【0032】
100 小型飛砂風向計測装置, 500 簡易小型飛砂風向計測装置
300 ,400 飛砂風向計測システム
200 システム制御装置, 600 データ記憶装置
1 センサ保護筒
2 飛砂計測センサ
3 センサ固定具
4 センサ保持具
5 センサ収容筒
6 フォンプラグ
7 Oリング
10 飛砂計測部
11 垂直翼
12 飛砂風向検出部
13 回転軸
14 筐体
15 筐体保持部
16 接続端子
17 支持柱
18 筐体の上蓋
20 風向計測部
21 ポテンショメータ
22 巻掛け伝動機構
30 飛砂風向検出部制止手段
31 回転板
32 回転板制止パッド
33 減速モータ
40 スリップリング
50 CPU
51 風速計測部
52 風速計
53 風速判定部
54 データ記憶部
55 メモリ
56 データロガー
57 信号増幅器
58 電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図14