(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073686
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】焼却炉のストーカ構造
(51)【国際特許分類】
F23H 7/12 20060101AFI20240523BHJP
F23H 17/08 20060101ALI20240523BHJP
F23G 5/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
F23H7/12
F23H17/08
F23G5/00 109
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184523
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】595011238
【氏名又は名称】クボタ環境エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100117972
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 眞一
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 充彦
(72)【発明者】
【氏名】吉原 健一
【テーマコード(参考)】
3K261
【Fターム(参考)】
3K261BA03
3K261BA06
3K261BA11
(57)【要約】
【課題】シンプルな構造で安価に稼働火格子の振れを抑制可能な焼却炉のストーカ構造を提供する。
【解決手段】焼却炉のストーカ構造であって、固定火格子支持部材Afに支持され、固定火格子支持部材Afの軸心方向に沿うように対向配置された一対のガイドローラ11,11と、可動フレームFmに支持され、一対のガイドローラ11,11の間に延在するように配されたガイド部材15と、を含み、可動フレームFmの往復駆動の際に可動フレームFmの幅方向の振れを抑制する振れ止め機構10を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定フレームの幅方向に沿って横架された固定火格子支持部材に支持される固定火格子と、可動フレームの幅方向に沿って横架された可動火格子支持部材に支持される可動火格子と、を被焼却物の搬送方向に交互に配するとともに、前記固定フレームに対して前記可動フレームを往復駆動することにより前記固定火格子と前記可動火格子を相対移動させる駆動機構を備えた焼却炉のストーカ構造であって、
前記固定火格子支持部材に支持され、前記固定火格子支持部材の軸心方向に沿うように対向配置された一対のガイドローラと、前記可動フレームに支持され、前記一対のガイドローラの間に延在するように配されたガイド部材とを含む、前記可動フレームの往復駆動の際に前記可動フレームの幅方向の振れを抑制する振れ止め機構を備えている焼却炉のストーカ構造。
【請求項2】
前記ガイドローラは、前記固定火格子支持部材から垂設された一対のガイド板の内側に遊転可能に配置されている請求項1記載の焼却炉のストーカ構造。
【請求項3】
前記一対のガイド板の間隙に灰の降下を阻止するカバー部材を備えている請求項2記載の焼却炉のストーカ構造。
【請求項4】
固定フレームの幅方向に沿って横架された固定火格子支持部材に支持される固定火格子と、可動フレームの幅方向に沿って横架された可動火格子支持部材に支持される可動火格子と、を被焼却物の搬送方向に交互に配するとともに、前記固定フレームに対して前記可動フレームを往復駆動することにより前記固定火格子と前記可動火格子を相対移動させる駆動機構を備えた焼却炉のストーカ構造であって、
前記可動フレームに支持され、前記可動火格子支持部材の軸心方向に沿うように対向配置された一対のガイドローラと、前記固定火格子支持部材に支持され、前記一対のガイドローラの間に延在するように配されたガイド部材と、を含む、前記可動フレームの往復駆動の際に前記可動フレームの幅方向の振れを抑制する振れ止め機構を備えている焼却炉のストーカ構造。
【請求項5】
前記振れ止め機構は、前記可動フレームの前記搬送方向に沿う上流部と下流部に備えている請求項1または4記載の焼却炉のストーカ構造。
【請求項6】
前記固定フレームの下方に燃焼用空気を供給する風箱が設置され、前記駆動機構が前記風箱の外部に設置されている請求項1または4記載の焼却炉のストーカ構造。
【請求項7】
ごみホッパに投入され給じん装置によって炉室に押込み投入された被焼却物を、搬送しながら焼却処理するストーカ機構を備えた焼却炉であって、
前記ストーカ機構が燃焼請求項1から4の何れかに記載の焼却炉のストーカ構造により構成されている焼却炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却炉のストーカ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、従来、固定フレームの幅方向に沿って横架された固定火格子支持部材に支持される固定火格子と、可動フレームの幅方向に沿って横架された可動火格子支持部材に支持される可動火格子と、を被焼却物の搬送方向に交互に配するとともに、固定フレームに対して可動フレームを往復駆動することにより固定火格子と可動火格子を相対移動させる駆動機構を備えた焼却炉のストーカ構造が提案されている。
【0003】
当該焼却炉のストーカ構造では、熱膨張などの影響に関わらず可動フレームの往復駆動が円滑に行えるように、固定フレームと可動フレームとの間にはある程度のクリアランスが設けられている。そして、炉幅方向に配列された火格子間に隙間が形成されることが無いように、幅方向の中央部に向けてバネで押圧された側壁が炉幅方向の左右に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなストーカ構造を採用する焼却炉では、被焼却物の搬送方向に往復駆動される可動フレームが、斜行して炉幅方向に振れると、火格子間または火格子と側壁との間に形成される隙間に灰などが詰まって、円滑な動きが妨げられるという問題があった。
【0006】
そのため、例えば、風箱を支持する左右のフレーム間に梁を設けて、当該梁の両端部に立設した支持部と可動フレームの左右両端部に延出するように設置した被支持部とを遊転可能なコロを介して結合し、コロの両端部に設けたフランジにより支持部に対して被支持部が炉幅方向へ振れるのを抑制する大掛かりでコストの嵩む振れ止め機構を設ける必要があった。
【0007】
本発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、シンプルな構造で安価に可動火格子の振れを抑制可能な焼却炉のストーカ構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明による焼却炉のストーカ構造の第一の特徴構成は、固定フレームの幅方向に沿って横架された固定火格子支持部材に支持される固定火格子と、可動フレームの幅方向に沿って横架された可動火格子支持部材に支持される可動火格子と、を被焼却物の搬送方向に交互に配するとともに、前記固定フレームに対して前記可動フレームを往復駆動することにより前記固定火格子と前記可動火格子を相対移動させる駆動機構を備えた焼却炉のストーカ構造であって、前記固定火格子支持部材に支持され、前記固定火格子支持部材の軸心方向に沿うように対向配置された一対のガイドローラと、前記可動フレームに支持され、前記一対のガイドローラの間に延在するように配されたガイド部材と、を含む、前記可動フレームの往復駆動の際に前記可動フレームの幅方向の振れを抑制する振れ止め機構を備えている点にある。
【0009】
駆動機構によって可動フレームが往復駆動される際に、可動フレームに支持されたガイド部材が、固定火格子支持部材に支持された一対のガイドローラに挟まれた状態で往復することで、炉幅方向への振れが一対のガイドローラにより阻止される。このような振れ止め機構は、シンプルな構造で安価に構成できる。
【0010】
同第二の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記ガイドローラは、前記固定火格子支持部材から垂設された一対のガイド板の内側に遊転可能に配置されている点にある。
【0011】
シンプルな構造でガイドローラを支持できるようになる。
【0012】
同第三の特徴構成は、上述した第二の特徴構成に加えて、前記一対のガイド板の間隙に灰の降下を阻止するカバー部材を備えている点にある。
【0013】
固定火格子支持部材により支持される固定火格子の隙間から降下する灰などがカバー部材で受け止められる結果、ガイドローラの汚れが防止されるので、頻繁なメンテナンスが不要となり、長期に亘って安定的に動作可能になる。
【0014】
同第四の特徴構成は、固定フレームの幅方向に沿って横架された固定火格子支持部材に支持される固定火格子と、可動フレームの幅方向に沿って横架された可動火格子支持部材に支持される可動火格子と、を被焼却物の搬送方向に交互に配するとともに、前記固定フレームに対して前記可動フレームを往復駆動することにより前記固定火格子と前記可動火格子を相対移動させる駆動機構を備えた焼却炉のストーカ構造であって、前記可動フレームに支持され、前記可動火格子支持部材の軸心方向に沿うように対向配置された一対のガイドローラと、前記固定火格子支持部材に支持され、前記一対のガイドローラの間に延在するように配されたガイド部材と、を含む、前記可動フレームの往復駆動の際に前記可動フレームの幅方向の振れを抑制する振れ止め機構を備えている点にある。
【0015】
駆動機構によって可動フレームが往復駆動される際に、可動フレームに支持された一対のガイドローラに、固定火格子支持部材に支持されたガイド部材が挟まれた状態で往復することで、炉幅方向への振れが一対のガイドローラにより阻止される。このような振れ止め機構は、シンプルな構造で安価に構成できる。
【0016】
同第五の特徴構成は、上述した第一または第四の特徴構成に加えて、前記振れ止め機構は、前記可動フレームの前記搬送方向に沿う上流部と下流部に備えている点にある。
【0017】
可動フレームの搬送方向に沿う上流部と下流部、つまり、搬送方向に沿って距離を隔てて複数の振れ止め機構を設けることで、効果的な振れ止めが可能になる。
【0018】
同第六の特徴構成は、上述した第一または第四の特徴構成に加えて、前記固定フレームの下方に燃焼用空気を供給する風箱が設置され、前記駆動機構が前記風箱の外部に設置されている点にある。
【0019】
可動火格子または固定火格子の隙間から灰や未燃ごみが風箱内に降下する場合でも、駆動機構が風箱の外部に設置されているので、頻繁なメンテナンスが不要となり、長期に亘って安定的に動作可能になる。
【0020】
本発明による焼却炉の特徴構成は、ごみホッパに投入され給じん装置によって炉室に押込み投入された被焼却物を、搬送しながら焼却処理するストーカ機構を備えた焼却炉であって、前記ストーカ機構が燃焼請求項1から4の何れかに記載の焼却炉のストーカ構造により構成されている点にある。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した通り、本発明によれば、シンプルな構造で安価に稼働火格子の振れを抑制可能な焼却炉のストーカ構造を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】固定フレームと可動フレームを備えたストーカ構造の平面視の概略の説明図
【
図2】(a)はストーカ構造の要部正面図、(b)は(a)のB-B断面図、(c)は(b)のC-C断面図
【
図3】(a)は振れ止め機構の平面図、(b)は振れ止め機構の正面図、(c)は(b)のD-D断面図
【
図4】(a)は振れ止め機構の要部断面図、(b)は(a)のE-E断面図
【
図6】(a)から(d)は、可動火格子によるごみ搬送動作の説明図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明による焼却炉のストーカ構造を図面に基づいて説明する。
図5には、本発明のストーカ構造を採用したストーカ機構が組み込まれた焼却炉1が例示されている。
【0024】
当該焼却炉1は、ごみ収集車による収集され、ごみピットに集積された家庭ごみなどを被焼却物として焼却する都市ごみ焼却炉である。ごみピットに集積されたごみがごみクレーン2によりごみホッパ3に投入される。
【0025】
ごみホッパ3の底部に備えた油圧駆動式の給じん装置4によりごみが炉室5に押込み投入される。炉室5は、主燃焼室5Aと、主燃焼室5Aで生じた燃焼排ガスをその上方空間で完全燃焼させる二次燃焼室5Bを備え、二次燃焼室5Bの壁部に廃熱ボイラの複数の水管が埋め込まれている。二次燃焼室5Bの上方の炉出口7から煙道に流出した燃焼排ガスは、煙道に沿って配された減温塔、集塵機などの排ガス処理設備で浄化された後に煙突から排気される。炉室5を負圧に維持するべく、煙道には誘引送風機が設けられている。
【0026】
主燃焼室5Aには、固定火格子と可動火格子がごみの搬送方向に沿って交互に配置されたストーカ機構Sが設けられている。ストーカ機構Sは上流側から下流側に向けて乾燥帯S1、燃焼帯S2、後燃焼帯S3の三領域に区分けされ、其々に備えた油圧機構(油圧シリンダ)h1,h2,h3によって可動火格子が固定火格子に対して前後方向に往復駆動されることにより、ごみが撹拌されながら下流側に搬送される。
【0027】
ストーカ機構Sの下方に上流側から下流側に向けて順に四つの風箱W1,W2,W3,W4が設けられ、押込み送風機から一次焼用空気が供給される。ストーカ機構Sのうち風箱W1に対応する上流領域が乾燥帯S1、風箱W2,W3に対応する中流領域が燃焼帯S2、風箱W4に対応する下流領域が後燃焼帯S3となる。
【0028】
主燃焼室5Aから二次燃焼室5Bの入口部にかけて、炉室5の前壁及び後壁にくびれ部が形成され、当該くびれ部に二次燃焼用のガス供給機構6が設けられている。ガス供給機構6から供給されるガスにより二次燃焼室5Bに流入する燃焼排ガスが撹拌及び整流されて二次燃焼室5Bで完全燃焼される。
【0029】
ガス供給機構6から供給されるガスは二次燃焼用の空気であってもよいし、主燃焼室5Aから引抜かれた排ガス、集塵機より下流の煙道から分岐された再循環排ガス、或いはそれ以外の排ガス流路から分岐された排ガスであってもよいし、空気と各排ガスの混合ガスであってもよい。
【0030】
図6(a)に示すように、各火格子Rの基端部Rbが柱状の支軸Am,Afに受け止められ、先端部Rhが下流側に配置された火格子Rの上面で受け止められる。火格子Rの下方に配した風箱から供給される一次燃焼空気が空洞部Rcに導かれ、一部が先端側に形成された開口から、また一部が隣接する火格子との隙間を介して上部のごみに供給される。なお、水冷式の火格子Rであれば、その内部に冷却媒体の通路が形成され、空冷式の火格子Rであれば、その底面に放熱用のフィンが形成される。
【0031】
図6(b)に示すように、複数の可動火格子Rmが図外の可動フレームに支持された可動火格子支持部材である支軸Amに沿って炉幅方向に並設され、複数の固定火格子Rfが図外の固定フレームに支持された固定火格子支持部材である支軸Afに沿って炉幅方向に並設されている。
【0032】
ストーカ機構Sを構成する固定火格子Rfと可動火格子Rmがごみの搬送方向に交互に配置され、可動フレームが油圧機構(油圧シリンダ)h1,h2,h3(
図5参照)により往復駆動されることにより可動火格子Rmが前進位置と後進位置との間で往復移動する。
【0033】
可動火格子Rmが
図6(c)に示す前進位置と
図6(d)に示す後進位置との間で固定火格子Rfの上面を摺動しつつ往復移動することにより、各火格子Rの上面のごみが上流側の火格子Rの先端部Rhで押し出されるようにして攪拌されつつ搬送される。
図6(b)は可動火格子Rmが中間位置に位置した状態である。
【0034】
以下にストーカ構造について詳述する。
図1には、ストーカ構造を示す平面視の概略図が例示されている。平面視矩形の固定フレームFfの内側に同じく平面視矩形の可動フレームFmが配置されている。固定フレームFfには、ごみの搬送方向に沿って一定の間隔で円柱状の固定火格子支持部材Afが横架され、それぞれ端部側が支持部材Mで固定フレームFfに固定支持されている。可動フレームFmには、ごみの搬送方向に沿って一定の間隔で円柱状の可動火格子支持部材Amが横架され、それぞれ端部側が支持部材Mで固定支持されている。固定火格子支持部材Afと可動火格子支持部材Amは、ごみの搬送方向に沿って交互に配されている。
【0035】
固定火格子支持部材Afには、その軸心に沿って複数の固定火格子Rfが配列され、可動火格子支持部材Amには、その軸心に沿って複数の可動火格子Rmが配列され、下流側の火格子の背面に上流側の火格子の先端が乗り上げるように配列されている。
図1には示していないが、固定フレームFfに対して可動フレームFmを往復駆動する油圧シリンダを含む駆動機構が、固定フレームFfの幅方向両側部に設けられている。
【0036】
搬送方向に沿って上流側に位置する固定火格子支持部材Afと、その近傍の可動フレームFmとの間、及び、搬送方向に沿って下流側に位置する固定火格子支持部材Afと、その近傍の可動フレームFmとの間には、可動フレームFmの往復駆動の際に可動フレームFmの幅方向の振れを抑制する振れ止め機構10を備えている。
【0037】
図2(a),(b)には、可動フレームFmを往復駆動する駆動機構20が示されている。駆動機構20は、可動フレームFmを前後方向に往復駆動する油圧機構20Aと、油圧機構20Aにより駆動される可動フレームFmを支持する支持機構20Bとを備えている。
【0038】
固定火格子Rfと可動火格子Rmの相対移動により火格子間または火格子と側壁SWとの間に隙間が形成され、ごみや灰が降下したり詰まったりすることが無いように、炉幅方向に配列された固定火格子Rf及び可動火格子Rmの両端が、押圧機構SPで押圧された側壁SWにより押圧されている。
【0039】
可動フレームFmの前後方向、つまりごみの搬送方向に沿う2か所から、其々下方に一対のブラケット23が延出形成され、各ブラケット23に其々支軸22が固定されている。二本の支軸22の両端部に支持機構20Bが設けられ、一本の支軸22の両端部に油圧機構20Aが設けられている。
【0040】
油圧機構20Aは、焼却炉1のベースフレームFに設置された一対の油圧シリンダ21を備え、各油圧シリンダ21のピストンが一本の支軸22の其々の端部に固定されている。ピストンが往動駆動されることにより、支軸22を介して可動フレームFmが前方斜め上方に往動され、ピストンが復動駆動されることにより、可動フレームFmが後方斜め下方に復動される。
【0041】
支持機構20Bは、焼却炉1のベースフレームFに設置された傾斜案内板24と、支軸22の両端部に固定されたコロ25を備えている。油圧シリンダ21の往復駆動に伴って、傾斜案内板24の上面を転動するコロ25により支軸22を介して可動フレームFmが滑らかに往復駆動される。
【0042】
図2(c)、
図3(a)~(c)、
図4(a),(b)には、振れ止め機構10が示されている。
振れ止め機構10は、固定火格子支持部材Afに支持され、固定火格子支持部材Afの軸心方向に沿うように対向配置された一対のガイドローラ11と、可動フレームFmに支持され、一対のガイドローラ11の間に延在するように配された平板状のガイド部材15と、を含み、可動フレームFmが往復駆動される際に可動フレームFmの幅方向の振れを抑制する機構である。
【0043】
ガイドローラ11は、固定火格子支持部材Afの軸心方向中央部から垂設された一対のガイド板12の内側に遊転可能に配置されている。一端が固定火格子支持部材Afに溶着された一対のガイド板12の対向面の其々からガイドローラ11を保持する一対の保持板13が延出形成されている。一対の保持板13の間にガイドローラ11が配置され、保持板13とガイドローラ11の間にピンPが抜け止め状態に嵌入固定されている。
【0044】
ガイド部材15は、ガイドローラ11が設けられた固定火格子支持部材Afの近傍に位置する可動フレームFmの幅方向中央部に、取付部材16を介してボルト固定されている。
【0045】
水平面に対する傾斜案内板24の傾斜角度θ(
図2(a)参照。)、及びガイド部材15の傾斜角度θと、垂直面に対するガイドローラ11の傾斜角度φ(
図3(c)参照。)が等しい値に設定されている。
駆動機構20により往復駆動される可動フレームFmに取付けたガイド部材15が、固定火格子支持部材Afに取付けた一対のガイドローラ11で挟みつけられることにより、幅方向への振れが阻止される結果、円滑な往復駆動が実現でき、また、炉幅方向に配列された固定火格子Rf及び可動火格子Rmに、ごみや灰が降下したり詰まったりする隙間が形成されることが極力回避される。
【0046】
更に、
図3(c)に示すように、仮に固定火格子支持部材Afに向けて灰などが降下する場合でも、一対のガイド板12の間隙に灰などの降下を阻止するカバー部材30を備えてあり、ガイドローラ11が灰などの降下物で汚染されることが無いように構成されている。その結果、頻繁なメンテナンスが不要となり、長期に亘って安定的に動作可能になる。
【0047】
可動フレームの搬送方向に沿う上流部と下流部、つまり、搬送方向に沿って距離を隔てて二つ以上の振れ止め機構10を設けることで、効果的な振れ止めが可能になる。上述した例では、振れ止め機構10が幅方向中央部、つまり固定火格子支持部材Afの長手方向中央部に設置される態様を説明したが、振れ止め機構10の設置位置は、幅方向中央部に限らず、中央部から左右何れかの側部に偏った位置に設けてもよい。但し、二つ以上の振れ止め機構10の全ての設置位置を同一の偏り位置にする必要がある。
【0048】
上述したように、駆動機構20は、固定フレームFfの下方に設置された燃焼用空気を供給する風箱Wの外部に設置されていることが好ましく、仮に火格子から降下する灰や未燃物があったとしても、駆動機構20が汚染されることが無く、
頻繁なメンテナンスが不要となり、長期に亘って安定的に動作可能になる。
【0049】
上述した実施形態では、固定火格子支持部材Afに一対のガイドローラ11を取り付け、前記一対のガイドローラ11の間に延在するように配されたガイド部材を可動フレームに取付けることにより振れ止め機構10を構成した例を説明したが、可動フレームFmに支持され、可動火格子支持部材Amの軸心方向に沿うように対向配置された一対のガイドローラと、固定火格子支持部材Afに支持され、一対のガイドローラの間に延在するように配されたガイド部材とを備えることにより、可動フレームFmの往復駆動の際に可動フレームFmの幅方向の振れを抑制する振れ止め機構10を構成してもよい。
この場合でも、ガイド板12のガイドローラ11の上方位置に、可動フレームFmの往復運動範囲に亘ってカバー部材を設ければ、ガイドローラが灰などの降下物で汚染されることを阻止することができることは言うまでもない。
【0050】
上述した実施形態は、本発明の一例を説明するものであり該記載により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、本発明の作用効果を奏する範囲において各部の具体的な構造、材料、サイズ、設置態様などを適宜変更設計できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
1:焼却炉
10:振れ止め機構
11:ガイドローラ
12:ガイド板
13:保持板
15:ガイド部材
16:取付部材
20:駆動機構
20A:油圧機構
20B:支持機構
30:カバー部材
Af:固定火格子支持部材
Am:可動火格子支持部材
Ff:固定フレーム
Fm:可動フレーム
Rf:固定火格子
Rm:可動火格子
S:ストーカ機構
SW:側壁