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  • 特開-海洋生物の餌料生成装置 図1
  • 特開-海洋生物の餌料生成装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073689
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】海洋生物の餌料生成装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/80 20170101AFI20240523BHJP
   A01K 63/04 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
A01K61/80
A01K63/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184526
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000197746
【氏名又は名称】株式会社石垣
(72)【発明者】
【氏名】末次 康隆
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA22
2B104CF11
2B104ED01
2B104ED35
(57)【要約】
【課題】処理済下水が放流された下水放流域からくみ上げた海水をろ過処理し、ろ過処理後に得られるプランクトン及び処理液を貝類及び海藻類に給餌する餌料生成装置を提供する。
【解決手段】
水処理施設で処理された処理済下水が放流された海域の海水を海洋生物の育成に利用する海洋生物の餌料生成システムにおいて、下水放流域内の海水を取水してろ過装置2に供給する搬送部3と、海水を懸濁物質と処理液に分離するろ過装置2と、処理液を海藻類養殖域内の海藻類に給餌する給餌部4Aと、ろ過装置2に接続した洗浄流体供給管5から供給された洗浄流体によって剥離した懸濁物質を洗浄排液とともに貝類養殖域内の貝類に給餌する給餌部4Bと、を備えたことで、1つの装置で複数の海洋生物の餌料を同時に生成できる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理施設で処理された処理済下水が放流された海域の海水を海洋生物の育成に利用する海洋生物の餌料生成システムにおいて、
下水放流域内の海水を取水してろ過装置(2)に供給する搬送部(3)と、
海水を懸濁物質と処理液に分離するろ過装置(2)と、
処理液を海藻類養殖域内の海藻類に給餌する給餌部(4A)と、
ろ過装置(2)に接続した洗浄流体供給管(5)から供給された洗浄流体によって剥離した懸濁物質を洗浄排液とともに貝類養殖域内の貝類に給餌する給餌部(4B)と、を備えた
ことを特徴とする海洋生物の餌料生成装置。
【請求項2】
前記給餌部(4B)は、ろ材層(9)の逆洗浄によって剥離した懸濁物質を洗浄排液とともに貝類養殖域に供給する構成とした
ことを特徴とする請求項1に記載の海洋生物の餌料生成装置。
【請求項3】
前記ろ過装置(2)は、上方に接続した海水供給管(6)の下方に泡沫分離装置(10)を設置し、供給された海水を泡沫分離して得られた泡沫を給餌部(4B)から貝類養殖域に供給する構成とした
ことを特徴とする請求項2に記載の海洋生物の餌料生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ろ過装置を用いて貝類や海藻類等の海洋生物の餌料を生成する海洋生物の餌料生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貝類や海藻類等の海洋生物が生息する海域において、窒素やリン等の栄養塩類の不足により貧栄養化が生じている。貧栄養化によってプランクトンが減少し、プランクトンを餌とする牡蠣が十分に成長しないといった問題や、栄養塩類を吸収して成長する海苔の色落ちが発生する等の問題が生じており、養殖業に支障をきたしている。
【0003】
特許文献1には、濾材・育成培地層と空隙層で互層構造をなす濾過装置を餌料濃縮装置として用いる技術が開示されており、濾材・育成培地層に付着したプランクトンをアサリやシジミ等の2枚貝の餌料とすることが記されている。
【0004】
特許文献2には、施肥材から窒素成分やリン成分を水中に溶出し、得られた溶出水から懸濁物質をろ過した後、ろ過後の溶出水をスジアオノリやホンダワラ類等の海藻へ供給する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-171353号公報
【特許文献2】特許第6316579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、海苔は栄養塩類を吸収して成長するため、栄養塩類を餌とする植物プランクトンを捕食する牡蠣と生育上密接な関係にあるといえる。そこで、栄養塩類及びプランクトンを同時に生成できる装置を用いて、生成した餌料を海苔及び牡蠣それぞれに給餌できる餌料生成システムの開発が望まれていた。
【0007】
特許文献1には、海水を濃縮し、濾材・育成培地層に付着したプランクトンを餌料として用いる技術が開示されているが、使用する濾過装置の内部は、濾材層と空隙層を交互に配置した複雑な構造となっているうえ、没水状態で使用するため、装置の点検に手間を要する。また、装置内部で水産生物を育成するため、装置が大型化する問題がある。さらに、貧栄養化が深刻な海域において、濾過装置の能力のみでプランクトンの濃縮濃度を高めることには限界がある。
【0008】
特許文献2には、施肥材から溶出された窒素成分、リン成分を含む溶出水を海藻に供給し、海水中の栄養成分の濃度を適量に保持する技術が開示されているが、溶出水を生成するために施肥材を別途用意する必要があり、コストがかかる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、水処理施設の最終沈殿池で発生する窒素やリン等の栄養塩類を含む処理済下水が放流された下水放流域からくみ上げた海水をろ過装置に供給し、ろ過処理後に得られたプランクトン及び栄養塩類を含む処理液を牡蠣及び海苔それぞれに給餌することを特徴とする海洋生物の餌料生成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
水処理施設で処理された処理済下水が放流された海域の海水を海洋生物の育成に利用する海洋生物の餌料生成システムにおいて、下水放流域内の海水を取水してろ過装置に供給する搬送部と、海水を懸濁物質と処理液に分離するろ過装置と、処理液を海藻類養殖域内の海藻類に給餌する給餌部と、ろ過装置に接続した洗浄流体供給管から供給された洗浄流体によって剥離した懸濁物質を洗浄排液とともに貝類養殖域内の貝類に給餌する給餌部と、を備えたことで、1つのろ過装置で海藻類及び貝類の餌料を同時に生成できる。
【0011】
前記給餌部は、ろ材層の逆洗浄によって剥離した懸濁物質を洗浄排液とともに貝類養殖域に供給する構成としたことで、ろ材層から剥離した懸濁物質を効率よく貝類養殖域に給餌できる。
【0012】
前記ろ過装置は、上方に接続した海水供給管の下方に泡沫分離装置を設置し、供給された海水を泡沫分離して得られた泡沫を給餌部から貝類養殖域に供給する構成としたことで、安定泡沫に含まれる懸濁物質を貝類養殖域に給餌できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の餌料生成装置は、水処理施設から排出される処理済下水が放流された下水放流域からくみ上げた海水をろ過処理して海藻類及び貝類の餌料を生成する装置であり、1つの装置で複数の海洋生物の餌料を生成できる。生成された餌料はろ過装置内部ではなく、養殖域に給餌されるため、装置が大型化しない。そしてろ過装置は、内部にろ材を充填したシンプルな構成であるためメンテナンス作業が容易であるとともに、任意の海域に設置するだけでよいため、既存の漁場に容易に適用可能である。また、被処理液は、栄養塩類を含有する処理済下水が放流された海域の海水を使用するため、別途施肥材等を用意する必要がなく、貧栄養化状態の海域においても、所望量のプランクトンおよび所望の栄養塩類濃度の処理液を得られる。さらに、ろ過工程中に泡沫分離を行う構成としてあり、懸濁物質によるろ材の閉塞を抑制し、長時間にわたってろ過を継続できるため、継続的に餌料の生成を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る餌料生成装置の概略構成図である。
図2】同じく、下向流式のろ過装置である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明に係る餌料生成装置の概略構成図であり、図2は本発明に係る下向流式のろ過装置である。
図1に示すように、本実施形態に係る餌料生成装置1は、水処理施設で処理された処理済下水が放流された下水放流域内の被処理液(海水)を取水してろ過装置2に供給する搬送部3と、海水を懸濁物質と処理液に分離するろ過装置2と、処理液を海藻類養殖域内の海藻類に給餌する給餌部4Aと、ろ過装置2に接続した洗浄流体供給管5から供給された洗浄流体によって剥離した懸濁物質を洗浄排液とともに貝類養殖域内の貝類に給餌する給餌部4Bと、を備える。各構成要素について、以下に詳述する。
【0016】
搬送部3は、下水放流域内に設置した海水ポンプ(図示しない)と、一端を海水ポンプに接続し、他端をろ過装置2に接続した海水供給管6からなり、下水放流域内の海水をくみ上げてろ過装置2に供給する構成としている。
【0017】
下水放流域に放流される処理済下水は、し尿、下水、食品生産加工排水等の栄養塩類(窒素やリン等)を含む排水を一次処理して固形物を取り除いた後、生物処理した処理液である。具体的には、下水処理場に流入する被処理液を最初沈殿池にて沈降分離し、分離した上澄み液を酸素が供給された反応槽にて生物処理した後、さらに、最終沈殿池にて沈降分離して得られた上澄み液である。上澄み液は消毒した後、処理済下水として使用してもよい。
【0018】
水処理施設から排出される上澄み液は、一般的に海域等に放流されるが、前述した処理方法によって、被処理液中に含まれる栄養塩類を完全に除去することはできない。このことから、処理済下水が放流された下水放流域は、他の海域と比較して相対的に栄養塩類濃度が高くなっているといえる。加えて、栄養塩類濃度が高い下水放流域は、栄養塩類を餌料とする植物プランクトン(以下、プランクトンと称する)も増殖するため、プランクトン濃度も高くなっている。
【0019】
本実施形態では、栄養塩類濃度及びプランクトン濃度の高い下水放流域内より海水をくみ上げ、くみ上げた海水をろ過装置2に供給する構成としている。なお、本実施形態における下水放流域は、外部からの水の流出入の少ない閉鎖性水域であり、栄養塩類が滞留しやすい海域である。
【0020】
ろ過装置2は、図2に示す通り、ろ過槽7の上方に海水供給管6を接続した下向流式ろ過装置であり、ろ過槽7上方から供給した海水を下方から排出する形態としている。ろ過槽7の内部には、槽の底部から所定の高さに配設したろ材流出防止スクリーン8を配設しており、スクリーンの上側には所定の厚みを有するろ材層9を形成している。
【0021】
ろ材層9は、不定形の粒状繊維ろ材を充填して形成しており、ろ材層9の上方から供給された海水中に含まれる懸濁物質を捕捉する。海水中の懸濁物質にはプランクトンが含まれているため、海水をろ過処理することにより、ろ過槽7内でプランクトンを得ることができる。海水中の懸濁物質には、生物の死骸や糞に由来する有機物等も含まれているが、本実施形態では海洋生物(二枚貝)の餌料となるプランクトンを得ることを目的としている。
【0022】
なお、ろ材は繊維ろ材に特定されず、樹脂製ろ材、砂等、その他のろ材を使用してもよい。径や形状等に関しても用途に応じて適宜選択する。また、条件に応じてろ過装置2をいかだ等に載置し、浮体式としてもよい。
【0023】
ろ過槽7の下方には、洗浄流体供給管5を接続してあり、ろ材洗浄時にろ過槽7の下方から洗浄流体を供給できる構成としている。本実施形態では、洗浄流体供給管5として洗浄液供給管を用いており、ろ過槽7下方から海水(洗浄液)を供給してろ材を洗浄する形態としているが、必要に応じて、圧縮空気や撹拌羽根等を併用してろ材を撹拌洗浄してもよい。また、洗浄流体は海水に限定されない。
【0024】
さらにろ過装置2は、ろ過槽7上方に泡沫分離装置10を内設している。泡沫分離装置10は、ろ過槽7上方に接続された海水供給管6の下方に配置してあり、海水供給管6から供給された海水を泡沫分離する構成としている。
【0025】
泡沫分離装置10は、一端を図示しないブロアやコンプレッサー等の空気供給源に接続した散気管で構成してあり、空気供給源を駆動することで、散気管上部に形成された多数の噴出孔12から海水に向かって微細気泡が噴出される。海水に微細気泡を供給することで海水中の懸濁物質が浮上分離され、水面に安定泡沫を形成する。
【0026】
安定泡沫は、後段で詳述する給餌部4Bから貝類養殖域に向かって供給されるが、この安定泡沫にはプランクトンが含まれているため、泡沫分離を行うことでプランクトンの回収率を高めることができる。なお、泡沫分離装置10は、微細気泡を発生するものであればよく、散気管式に限定されない。
【0027】
給餌部4Aは、一端をろ過槽7の下方に接続し、他端を海藻類養殖域に接続した配管であり、ろ過処理後に排出される海水(処理液)を海藻類養殖域に供給する構成としている。海藻類養殖域に供給される処理液は、栄養塩類濃度が相対的に高くなっている下水放流域よりくみ上げた海水をろ過処理したものであるため、栄養塩類濃度が高い。
【0028】
海藻類養殖域内で養殖している海苔は栄養塩類を吸収して成長するため、栄養塩類濃度が高い処理液を供給することで、海苔の成長を促進する。そのため、色落ちのない良質な海苔を得ることができる。
【0029】
一方、給餌部4Bは、一端をろ過槽7の上方に接続し、他端を貝類養殖域に接続した配管であり、安定泡沫に含まれるプランクトンと、ろ材層9の洗浄時に剥離したプランクトンを洗浄排液とともに貝類養殖域に供給できる構成としている。貝類養殖域に供給される洗浄排液は、プランクトン濃度が相対的に高くなっている下水放流域よりくみ上げた海水をろ過処理したものであるため、プランクトン濃度が高い。
【0030】
貝類養殖域内で養殖している牡蠣はプランクトンを捕捉して成長するため、このプランクトン濃度が高い洗浄排液を供給することで、牡蠣の成長を促進する。
【実施例0031】
以下、図1図2に基づき、本実施形態における餌料生成方法を詳述する。
<放流工程>
放流工程では、水処理施設の最終沈殿池で重力沈殿した後に得られる処理済下水(上澄み液)を任意の海水(下水放流域)に放流する。
【0032】
<搬送工程>
搬送工程では、下水放流域内の海水をくみ上げる。下水放流域内に設置した海水ポンプを駆動して海水をくみ上げ、海水供給管6を介して海水をろ過装置2に供給する。このとき、海水供給管6に介装する弁V1及び給餌部4Aに介装する弁V2は開放している。
【0033】
<ろ過処理工程>
ろ過処理工程では、くみ上げた海水をろ過装置2に供給してろ過処理を行う。海水供給管6からろ過槽7内に海水を供給し、泡沫分離装置10の噴出孔12からろ過槽7上方に向けて微細気泡を供給しつつ、ろ過槽7内に充填されたろ材層9にて懸濁物質を捕捉する。このとき、給餌部4Bに介装する弁V3は開放している。
【0034】
噴出された多数の微細気泡は、上方から供給された海水に混在する懸濁物質や、水圧等の影響を受けてろ材層9から自然に剥離した懸濁物質を吸着し、水面に向かって浮上する。そして、次々と浮上してくる懸濁物質を吸着した気泡が水面に集まって、水面に安定泡沫を形成する。
【0035】
水面に形成された安定泡沫は、ろ過槽7上方に接続された給餌部4Bから貝類養殖域に供給されるが、安定泡沫には貝類の餌料となるプランクトンが含まれていることから、ろ過工程中に泡沫分離を行うことで、餌料を効率よく貝類へ給餌できるといえる。
【0036】
泡沫分離は、ろ過処理工程中に継続的に行うが、圧縮空気の供給を開始するタイミングは、適宜決定する。また、給餌部4Bから貝類養殖域への安定泡沫の供給方法は、例えば、ろ過処理工程中に、ろ過槽7内の水位を常時一定にしてオーバーフローさせながら排出させる等、排出方法は適宜選択する。条件に応じて、泡沫分離装置10を省略して通常のろ過処理工程のみ実施してもよい。
【0037】
ろ過処理工程中、ろ材層9を通過する海水中に含まれるプランクトンがろ材層9に徐々に堆積する。一方、ろ材層9を通過した海水は処理液として給餌部4Aから海藻類養殖域に供給される。給餌部4Aから海藻類養殖域に供給される処理液は、泡沫分離装置10より噴出される微細気泡を含んでおり、この処理液を海藻類養殖域に供給することで、海苔の成長を促進する。
【0038】
なお、本実施形態では、下向流式ろ過装置を用いて餌料を生成するが、上向流式ろ過装置を用いてもよい。その際には、ろ過槽7下方から被処理液(海水)を供給し、ろ過槽7上方から排出される処理液を海藻類養殖域に供給するとともに、上方から供給された洗浄液(海水)によってろ材から剥離したプランクトンをろ過槽7下方から貝類養殖域に供給する。
【0039】
<ろ材洗浄工程>
ろ材洗浄工程では、ろ過槽7内に充填されたろ材層9を洗浄する。ろ材層9の下流側から洗浄液を供給してろ材層9を通水させた後、上流側より排出させる。この逆洗浄によってろ材層9で捕捉されたプランクトンが剥離する。剥離したプランクトンは、ろ材層9上流から排出される洗浄排液(ろ材層9通過後の海水)とともに、給餌部4Bを介して貝類養殖域へ供給される。
【0040】
ろ材洗浄工程は、例えば、ろ過処理時にろ材層9で捕捉された懸濁物質による目詰まりによりろ過圧力が上昇した場合、または、累積稼働時間が所定時間や所定時刻に達した場合、または、処理液が所定の基準に達しなくなった場合に行う。ろ材洗浄時には、弁V1及び弁V2を閉とし、洗浄液供給管17に介装した弁V4を開放する。
【0041】
洗浄は、海水を用いて行うため、圧縮空気供給ラインを洗浄流体供給管5の下方に追加した場合には、撹拌洗浄時と同時に洗浄流体供給管5から供給された海水の泡沫分離が行われる。撹拌洗浄によってプランクトンをろ材から剥離しつつ、プランクトンを含む安定泡沫を給餌部4Bから貝類養殖域へ供給できるため、餌料を効率よく生成できる。
【0042】
本実施形態では、海苔及び牡蠣を列挙したが、栄養塩類及びプランクトンを餌料とするその他の海洋生物に適用可能である。
【0043】
本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、栄養塩類を含む処理済下水が放流された下水放流域からくみ上げた海水をろ過処理して、海藻類及び貝類の餌料となる栄養塩類及びプランクトンを得る餌料生成装置であり、1つのろ過装置で2種類以上の海洋生物の餌料を同時に生成できるため、栄養塩類やプランクトンを餌料とするあらゆる海洋生物の養殖業に有効な技術となる。また、既存のろ過装置を用いて実施できるため、既存の漁場に容易に適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
2 ろ過装置
3 搬送部
4A、4B 給餌部
5 洗浄流体供給管
6 海水供給管
9 ろ材層
10 泡沫分離装置
図1
図2