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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073694
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】エルボ型管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/30 20060101AFI20240523BHJP
   F16L 43/00 20060101ALI20240523BHJP
   F16K 15/03 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
F16L37/30
F16L43/00
F16K15/03 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184532
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑山 健太
(72)【発明者】
【氏名】宮村 雅之
【テーマコード(参考)】
3H019
3H058
3J106
【Fターム(参考)】
3H019EA20
3H058AA07
3H058BB22
3H058CA32
3H058CB02
3H058CC08
3H058EE18
3J106BC12
3J106GA03
3J106GA14
3J106GA23
3J106GB02
3J106GB03
(57)【要約】
【課題】弁の開閉動作を伴う継手部材の連結および脱抜を狭い環境において実現可能な管継手を提供する。
【解決手段】エルボ型管継手(10)は、他の継手(900)が接続され得る筒状の第1管接続部(21)と、第1管接続部の第1中心軸(C1)と交差する第2中心軸(C2)を有する筒状の第2管接続部(22)と、第1管接続部と第2管接続部とにそれぞれ接続され、第1管接続部の第1内孔(h1)と第2管接続部の第2内孔(h2)とにそれぞれ連通する弁収容空間(h3)を有する中空の弁収容部(23)と、弁収容部に収容されているフラップ弁装置(100)であって、回動することにより、第1内孔と第2内孔とが連通する開弁状態と、第1内孔と第2内孔とが遮断された閉弁状態とを切り替えるフラップ弁装置と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エルボ型管継手であって、
他の継手が接続され得る筒状の第1管接続部と、
前記第1管接続部の第1中心軸と交差する第2中心軸を有する筒状の第2管接続部と、
前記第1管接続部と前記第2管接続部とにそれぞれ接続され、前記第1管接続部の第1内孔と前記第2管接続部の第2内孔とにそれぞれ連通する弁収容空間を有する中空の弁収容部と、
前記弁収容部に収容されているフラップ弁装置であって、回動することにより、前記第1内孔と前記第2内孔とが連通する開弁状態と、前記第1内孔と前記第2内孔とが遮断された閉弁状態とを切り替えるフラップ弁装置と、
を備える、エルボ型管継手。
【請求項2】
請求項1に記載のエルボ型管継手において、
前記フラップ弁装置は、
開口が形成された底部を有し、前記第1中心軸と平行な中心軸を有する有底筒状の弁座部材であって、前記底部が前記弁収容空間と接するように配置された弁座部材と、
前記第1中心軸と前記第2中心軸とのいずれにも直交する回転軸を中心に回動可能に構成された弁体であって、前記開口を封止することにより前記閉弁状態を実現し、前記開口を開放させることにより前記開弁状態を実現する弁体と、
前記弁体が前記開口を封止するように付勢する弾性部材と、
を有する、エルボ型管継手。
【請求項3】
請求項2に記載のエルボ型管継手において、
前記弁体は、前記閉弁状態において前記第1内孔と連通する前記弁座部材の内側空間に露出する押圧部であって、前記第1内孔に挿入されて前記第1管接続部に接続された前記他の継手によって前記第1中心軸と平行な方向に押圧される押圧部を有し、
前記押圧部は、前記弁体のうち、前記第2中心軸と平行な方向において前記回転軸に近い側に設けられている、エルボ型管継手。
【請求項4】
請求項3に記載のエルボ型管継手において、
前記開口は、前記開口の第3中心軸が、前記第1中心軸と平行であり且つ前記第1中心軸と比べて前記第2中心軸と平行な方向に沿って前記回転軸から遠い側に位置するように、前記底部に形成されている、エルボ型管継手。
【請求項5】
請求項3に記載のエルボ型管継手において、
前記弁体は、
前記閉弁状態において前記内側空間に露出する露出面と、前記露出面に連なり、前記閉弁状態において前記開口をシールするシール部と、を有する本体部と、
前記露出面から突出し、先端において前記押圧部と連なる棒状の突出部と、
をさらに有する、エルボ型管継手。
【請求項6】
請求項5に記載のエルボ型管継手において、
前記突出部は、前記開弁状態において、前記第1中心軸と平行に配置される、エルボ型管継手。
【請求項7】
請求項3から請求項6までのいずれか一項に記載のエルボ型管継手において、
前記押圧部のうち、前記他の継手と接する接触面は、インボリュート曲線の集合である曲面により構成されている、エルボ型管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エルボ型管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの管同士を接続する管継手として、「プラグおよびソケット」や「雄型管継手部材および雌型管継手部材」などと呼ばれる2つの管継手部材がそれぞれ内部に弁構造を有し、これらの継手部材同士が連結する際に、各弁構造が閉止状態から解放状態に移行する管継手が種々提案されている。例えば、特許文献1の管継手は、いわゆるプランジャー弁と呼ばれる弁構造を有し、プラグとソケットとの連結時に、ソケット内の部材がプラグ内の筒状の外側弁部材を軸方向に押し戻し、これにより、プラグ内において外側弁装置と、外側弁装置内に配置された内側弁部材(プランジャー)との間の密封係合が解除される。また、ソケット内においては、連結時に、弁部材がプラグ内の内側弁部材により軸方向に押し戻され、弁部材とその周りの部材との密封係合が解除される。特許文献2の管継手も、同様に、プランジャー弁と呼ばれる弁構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-29933号公報
【特許文献2】特開2019-138380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1、2のようなプランジャー弁を有する管継手では、内部に収容されている弁部材(弁体)が軸方向にストロークすることにより開弁状態と閉弁状態とが切り替わるので、所定のストローク長を確保するために軸方向に長い構造を採用せざるを得ない。このため、例えば、車両のエンジンルーム等の狭小空間であって所定のストローク長さを確保できないような環境においては、使用できないという問題があった。このため、弁の開閉動作を伴う継手部材の連結および脱抜を、狭い環境において実現可能な管継手が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、エルボ型管継手が提供される。このエルボ型管継手は、他の継手が接続され得る筒状の第1管接続部と、前記第1管接続部の第1中心軸と交差する第2中心軸を有する筒状の第2管接続部と、前記第1管接続部と前記第2管接続部とにそれぞれ接続され、前記第1管接続部の第1内孔と前記第2管接続部の第2内孔とにそれぞれ連通する弁収容空間を有する中空の弁収容部と、前記弁収容部に収容されているフラップ弁装置であって、回動することにより、前記第1内孔と前記第2内孔とが連通する開弁状態と、前記第1内孔と前記第2内孔とが遮断された閉弁状態とを切り替えるフラップ弁装置と、を備える。
この形態のエルボ型管継手によれば、互いに交差する中心軸(第1中心軸および第2中心軸)を有する第1管接続部および第2管接続部と、弁収容部と、弁収容部に収容され、回動することにより開弁状態と閉弁状態とを切り替えるフラップ弁装置とを備えるので、第1中心軸に沿った方向および第2中心軸方向に沿った方向において狭い空間しか確保できない状況においても、弁(フラップ弁装置)の開閉動作を実現できる。このため、弁の開閉動作を伴う継手部材(エルボ型管継手および他の継手)の連結および脱抜を、狭い環境において実現できる。加えて、開弁状態では、弁収容空間において第1内孔と第2内孔とをプランジャー弁と比べて短い距離で連通させることができるので、流路抵抗(圧力損失)を低減できる。
(2)上記形態のエルボ型管継手において、前記フラップ弁装置は、開口が形成された底部を有し、前記第1中心軸と平行な中心軸を有する有底筒状の弁座部材であって、前記底部が前記弁収容空間と接するように配置された弁座部材と、前記第1中心軸と前記第2中心軸とのいずれにも直交する回転軸を中心に回動可能に構成された弁体であって、前記開口を封止することにより前記閉弁状態を実現し、前記開口を開放させることにより前記開弁状態を実現する弁体と、前記弁体が前記開口を封止するように付勢する弾性部材と、を有してもよい。
この形態のエルボ型管継手によれば、フラップ弁装置は、開口が形成された底部を有する有底筒状の弁座部材と、弁体と、弾性部材とを有するので、エルボ型管継手に他の継手が接続されていない状態においては、弾性部材により弁体が開口を封止するように付勢して閉弁状態を実現でき、他方、エルボ型管継手に他の継手が接続されている状態においては、弁体が回動して開口を開放し、開弁状態を実現できる。
(3)上記形態のエルボ型管継手において、前記弁体は、前記閉弁状態において前記第1内孔と連通する前記弁座部材の内側空間に露出する押圧部であって、前記第1内孔に挿入されて前記第1管接続部に接続された前記他の継手によって前記第1中心軸と平行な方向に押圧される押圧部を有し、前記押圧部は、前記弁体のうち、前記第2中心軸と平行な方向において前記回転軸に近い側に設けられていてもよい。
この形態のエルボ型管継手によれば、押圧部は、弁体のうち、第2中心軸と平行な方向において弁体が回動する際の回転軸に近い側に設けられているので、回転軸から遠い側に設けられている構成と比べて、第1中心軸に沿って同じ長さ分だけ他の継手により押圧部が押された場合に、より大きな角度で弁体を回動させることができる。これにより、弁収容空間における流路断面積をより大きくして、圧力損失をより低減できる。
(4)上記形態のエルボ型管継手において、前記開口は、前記開口の第3中心軸が、前記第1中心軸と平行であり且つ前記第1中心軸と比べて前記第2中心軸と平行な方向に沿って前記回転軸から遠い側に位置するように、前記底部に形成されていてもよい。
この形態のエルボ型管継手によれば、開口は、開口の第3中心軸が、第1中心軸と平行であり且つ第1中心軸と比べて第2中心軸と平行な方向に沿って回転軸から遠い側に位置するように、弁座部材の底部に形成されているので、第1管接続部に他の継手が接続される際に、他の継手の中心軸が第1中心軸と一致するように接続され、且つ他の継手の中心軸上の部位で押圧部を押す構成においては、弁体のうち第2中心軸に沿った方向において回転軸に近い側に設けられた押圧部をより高い確度で押すことができる。
(5)上記形態のエルボ型管継手において、前前記弁体は、前記閉弁状態において前記内側空間に露出する露出面と、前記露出面に連なり、前記閉弁状態において前記開口をシールするシール部と、を有する本体部と、前記露出面から突出し、先端において前記押圧部と連なる棒状の突出部と、をさらに有してもよい。
この形態のエルボ型管継手によれば、弁体は、露出面から突出し、先端において押圧部と連なる棒状の突出部を有するので、第1管接続部に他の継手が接続される際に、弁体のうち、押圧部とは異なる部位が押されることを抑制できる。
(6)上記形態のエルボ型管継手において、前記突出部は、前記開弁状態において、前記第1中心軸と平行に配置されてもよい。
この形態のエルボ型管継手によれば、突出部は、開弁状態において、第1中心軸と平行に配置されているので、第1中心軸方向に見たときの突出部の面積を小さくできる。このため、第1内孔から弁収容空間に流入する際の流体の圧力損失を低減できる。
(7)上記形態のエルボ型管継手において、前記押圧部のうち、前記他の継手と接する接触面は、インボリュート曲線の集合である曲面により構成されていてもよい。
この形態のエルボ型管継手によれば、押圧部のうち、他の継手と接する接触面は、インボリュート曲線の集合である曲面で構成されているので、他の継手において押圧部と接触する接触面がインボリュート曲線の集合である曲面や球面の一部である曲面である構成においては、他の継手と押圧部との接触位置が過剰に変位することを抑制でき、また、接触部分を点または線で構成できるので、他の継手の接続時に安定して押圧力を弁体に伝えることができる。このため、弁体の回動を滑らかに行うことができると共に、小さな力で弁体を回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態としてのエルボ型管継手の外観構成を示す斜視図である。
図2】本開示の一実施形態としてのエルボ型管継手の外観構成を示す斜視図である。
図3】本開示の一実施形態としてのエルボ型管継手の外観構成を示す斜視図である。
図4】エルボ型管継手の断面を示す断面図である。
図5】フラップ弁装置の詳細構成を示す斜視図である。
図6】フラップ弁装置の詳細構成を示す斜視図である。
図7】第1管接続部の第1中心軸と、開口の第3中心軸との位置関係を示す説明図である。
図8】弁体の詳細構成を示す斜視図である。
図9】弁体の詳細構成を示す斜視図である。
図10】エルボ型管継手の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.実施形態:
A1.全体装置構成:
図1図3は、本開示の一実施形態としてのエルボ型管継手10の外観構成を示す斜視図である。エルボ型管継手10は、狭小空間において2つの管同士を接続するために用いられる。具体的には、2つの管同士が互いの中心軸が一致しない状態(すなわち、所定の角度で交差した状態)でこれら2つの管同士を接続するために用いられる。本実施形態では、上述の「所定の角度」は90度である。なお、90度に限らず、0度を除く任意の角度であってもよい。本実施形態において、「2つの管」は、車両に搭載され、複数の電池がケース内に収容された電池パックにおいて電池モジュールの温度を調整するための冷却媒体、例えば純水、LLC(Long Life Coolant)、空気、油を流通させるための管が該当する。なお、本実施形態において、エルボ型管継手10に接続する2つの管のうち、一方の管は、管状の継手であり、エルボ型管継手10と接続する際に、エルボ型管継手10が有する後述のフラップ弁装置100の一部を押圧する。図1および図2では、2つの管のうちの一方の管に相当する他の継手900(以下、単に「継手900」と呼ぶ)が破線で表されている。継手900は、電池パックのケース内に設けられ、電池パックのケース表面に取り付けられたエルボ型管継手10と接続する。なお、図1図3では、継手900は、図示の便宜上省略されている。なお、エルボ型管継手10は、上述した電池パックにおける温度調整用の媒体を流通させる管に限らず、任意の場所において用いられて任意の種類の媒体を流通させるための管(および継手)同士を接続するために用いられてもよい。
【0009】
図1図3では、互いに直交する3つの軸(X、YおよびZ軸)が表されている。本実施形態において、「X軸方向」とは、+X方向と-X方向の総称である。同様に、「Y軸方向」とは+Y方向と-Y方向の総称であり、「Z軸方向」とは+Z方向と-Z方向の総称である。なお、図4図10におけるX、YおよびZ軸は、図1図3におけるX、YおよびZ軸と同じである。
【0010】
図1図3に示すように、エルボ型管継手10は、第1管接続部21と、第2管接続部22と、弁収容部23と、リテーナ30と、フラップ弁装置100とを備える。第1管接続部21と第2管接続部22と弁収容部23とは、一体形成されている。
【0011】
第1管接続部21は、筒状の外観形状を有し、継手900と接続され得る。第1管接続部21の内孔h1(以下、「第1内孔h1」と呼ぶ)、および第1管接続部21の中心軸C1(以下、「第1中心軸C1」と呼ぶ)は、Z軸と平行である。第1管接続部21の+Z方向には、弁収容部23が連なる。第1管接続部21の-Z方向には、継手900が接続され得る。本実施形態において継手900は、内部に弁装置を有する管継手であって、エルボ型管継手10と接続する側とは反対側の端部において図示しない管と接続する。図3に示すように、第1管接続部21の第1内孔h1には、係合部材101およびシール部材102が取り付けられている。
【0012】
第2管接続部22は、筒状の外観形状を有し、図示しない管と接続され得る。第2管接続部22の内孔h2(以下、「第2内孔h2」と呼ぶ)、および第2管接続部22の中心軸C2(以下、「第2中心軸C2」と呼ぶ)は、Y軸と平行である。第2管接続部22の-Y方向には、弁収容部23が連なる。第2管接続部22の+Y方向には、図示しない管が接続され得る。この第2管接続部22に接続され得る管は、内部に弁装置を有する継手であってもよいし、単に内孔が設けられた単純な管であってもよい。
【0013】
弁収容部23は、第1管接続部21と第2管接続部22とにそれぞれ連なり、第1内孔h1と第2内孔h2とにそれぞれ連通する弁収容空間h3を有する中空の構造を有する。
【0014】
図4は、エルボ型管継手10の断面を示す断面図である。図4では、図1のIV-IV断面線での断面を示している。弁収容空間h3には、フラップ弁装置100が収容されている。フラップ弁装置100の-Z方向の端部は、シール部材102に接している。シール部材102の-Z方向には係合部材101が接している。すなわち、シール部材102は、フラップ弁装置100と係合部材101とでZ軸方向に挟まれており、フラップ弁装置100と係合部材101との間を封止している。図4では、図1図3とは異なり、継手900が第1管接続部21に接続されていない状態のエルボ型管継手10を表している。この状態では、フラップ弁装置100は、第1内孔h1と第2内孔h2とが遮断された閉弁状態となっている。フラップ弁装置100の詳細構成については、後述する。継手900は、内孔901に環状のシール部910と、フラップ弁920とを備えている。フラップ弁920は、フラップ弁装置100と同様に回動することにより、シール部910の開口を封止する閉弁状態と、シール部910の開口を開放する開弁状態とを切り替える。フラップ弁920は、閉弁状態において継手900の中心軸と平行に突出する突当部921を備えている。突当部921の機能については、後述する。
【0015】
図1図3に示すように、リテーナ30は、略U字状の平面視形状を有する。リテーナ30は、第1管接続部21に継手900が接続する際に、第1管接続部21を挟み込むように取り付けられて継手900の先端部と係合する。リテーナ30の両腕部分の先端には、図3および図4に図示する一対の係合部31が形成されており、かかる一対の係合部31が第1管接続部21の側面に形成された開口から第1内孔h1に挿入され、継手900の先端に形成された図示しない係合部と係合する。これにより、エルボ型管継手10からの継手900の抜け止めが完成する。
【0016】
A2.フラップ弁装置100の詳細構成:
図5および図6は、フラップ弁装置100の詳細構成を示す斜視図である。図5では、フラップ弁装置100に加えて、係合部材101およびシール部材102が表されている。係合部材101は環状の外観形状を有する。図5に示すように、係合部材101の外周面には、係合溝103が形成されており、係合部材101は、かかる係合溝103によって弁収容部23の-Z方向端部および第1管接続部21の+Z方向端部に係合している。
【0017】
フラップ弁装置100は、弁座部材110と、弁体150と、弾性部材130とを備える。弁座部材110は、開口112が形成された底部111を有し、有底筒状の外観形状を有する。図3図5および図6に示す閉弁状態では、開口112は、弁体150により封止されている。底部111は、図4に示すように外側面(+Z方向の面)において弁収容空間h3に露出し、図3に示すように内側面(-Z方向の面)において第1内孔h1に露出する。
【0018】
図7は、第1管接続部21の第1中心軸C1と、開口112の第3中心軸C3との位置関係を示す説明図である。図7では、第1管接続部21と弁座部材110の断面を模式的に表しており、第2管接続部22、弁収容部23およびリテーナ30等は省略されている。また、図7では、弁体150の回動する際の回転軸の位置の軌跡T1を太い矢印によって表している。弁体150は、X軸方向と平行な回転軸を中心として回転する。また、弁体150は、継手900との接続状態に応じてZ軸方向に移動する。このため、弁体150の回転軸は、Z軸方向と平行な軌跡T1を描くように移動する。ここで、図7に示すように、開口112は、開口112の中心軸C3(以下、「第3中心軸C3」と呼ぶ)が第1管接続部21の中心軸C1と平行であり、且つ、第1中心軸C1と比べてY軸方向と平行な方向(第2中心軸C2と平行な方向)に沿って、弁体150の回転軸(軌跡T1)から遠い位置に位置するように、弁座部材110の底部111に形成されている。このような第1中心軸C1と第3中心軸C3とのY軸方向における位置ずれの理由については、後述する。「開口112の中心軸C3」とは、開口112の中心を通り、開口112を平面と捉えた場合の法線と一致する軸を意味する。
【0019】
図4図6に示すように、弁座部材110は、底部111には、上述の開口112に加えて、弾性部材支持部113および一対の軸受部114を備えている。底部111、弾性部材支持部113および軸受部114は、一体形成されている。
【0020】
弾性部材支持部113は、底部111の+Z方向の面のうち、-Y方向端部に形成されている。弾性部材支持部113は、底部111から+Z方向に突出した矩形柱状の外観形状を有する。弾性部材支持部113は、弾性部材130を支持する。本実施形態において、弾性部材130は、屈曲した板バネにより構成されている。弾性部材支持部113は、かかる板バネの一方の端部132を固定する。これにより、弾性部材支持部113は、弾性部材130の一方の端部132を固定端として機能させる。
【0021】
一対の軸受部114は、底部111の+Z方向の面のうち、-Y方向の端部において、弾性部材支持部113をX軸方向に挟んで形成されている。軸受部114は、弁体150の一対の軸部153を回動可能に支持している。ただし、本実施形態では、通常状態では、軸受部114と軸部153とは接しておらず、軸部153は、軸受部114よりも+Z方向に位置していて軸受部114に接していない。したがって、通常状態においては、軸受部114は、弁体150の回動時に軸部153が過剰に位置ずれすることを規制する程度の機能を果たすに過ぎない。ただし、弁体150が備えるシール部159の設計公差や組み付け誤差などに起因して軸部153の位置が予定位置よりも-Z方向に位置する異常状態となっても、通常状態における軸部153と軸受部114との間のギャップがあるために、軸受部114は、軸部153を回動可能に支持することができる。
【0022】
図8および図9は、弁体150の詳細構成を示す斜視図である。弁体150は、継手900との接続時に図7に示す軌跡T1で移動する回転軸であって、第1中心軸C1と第2中心軸C2とのいずれにも直交する回転軸を中心に回動可能に構成されている。弁体150は、底部111の開口112を封止することにより閉弁状態を実現し、開口112を開放させることにより開弁状態を実現する。
【0023】
弁体150は、上述した一対の軸部153の他、本体部155と、一対の弾性部材ガイド部151と、一対の支持腕部152と、突出部157と、押圧部158と、シール部159とを備えている。なお、図8および図9では、シール部159は、省略されている。上述の図5および図6では、シール部159が示されている。
【0024】
本体部155は、一方の端面(以下、「露出面156」と呼ぶ)が円錐状に形成された薄い円柱状の外観形状を有する。露出面156は、開弁状態において、第1管接続部21から流入して第1内孔h1を+Z方向に向かう冷却媒体が弁収容空間h3内において衝突する面となる。露出面156が円錐状であることにより、露出面156に衝突した冷却媒体を、第2内孔h2方向に向かわせるように方向付けできる。図4に示すように、閉弁状態において、本体部155の中心軸方向(厚さ方向)は、Z軸と平行となる。図4に示すように、閉弁状態において、露出面156は、弁座部材110の内側空間SP1に露出する。
【0025】
図8に示すように、一対の弾性部材ガイド部151は、露出面156とは反対側の面、すなわち、本体部155における+Z方向の端面である面S1において、互いにX軸方向に所定の距離だけ離れて設けられている。一対の弾性部材ガイド部151は、略四角柱状の外観形状を有し、面S1から+Z方向に突出している。図5および図6に示すように、面S1において、一対の弾性部材ガイド部151に挟まれた領域SP2には、弾性部材130の折返部133が配置されている。領域SP2のX軸方向の長さは、折返部133のX軸方向の長さよりも長い。
【0026】
ここで、弾性部材130の構成について説明する。上述のように、弾性部材130は屈曲した板バネにより構成されており、-Y方向の端部132は、弾性部材支持部113により固定されている。弾性部材130は、上述の端部132の他、端部132に連なる中間部131と、中間部131に連なり、端部132とは反対側の端に位置する折返部133とを備える。上述のとおり端部132は固定端であるのに対し、中間部131および折返部133は、解放されている。すなわち、中間部131および折返部133は、弁体150または弁座部材110に固定されておらず、加えられる応力により変形および移動可能である。弾性部材支持部113の+Z方向の端部は、端部132の+Z方向の端部とほぼ一致する。弾性部材支持部113および端部132の+Z方向の端部は、面S1よりも+Z方向に位置する。したがって、端部132と折返部133とに連なる中間部131は、図5および図6に示すように、+Y方向に向かうにつれて-Z方向に位置するように斜めに配置されている。図5および図6に示すように、中間部131には開口が設けられており軽量化や付勢力の低減化が図られている。図4図6に示すように、折返部133は、弁座部材110(底部111)の面S1と接した部分を境として中間部131とは反対の斜面を形成するように屈曲している。解放されている折返部133は、開弁状態と閉弁状態とが切り替わる際に、面S1と接する位置が変化するように、面S1上を滑るように移動する。そして、一対の弾性部材ガイド部151は、かかる移動時において折返部133がX軸方向に過剰に変位して領域SP2から外れてしまうことを規制する。
【0027】
図8および図9に示すように、一対の支持腕部152は、略三角形の平面視形状を有する薄板状の外観形状を有する。一対の支持腕部152は、互いにX軸方向に所定の距離だけ離れて設けられている。一対の支持腕部152の+Y方向の端部は、底部111に連なるように設けられており、-Y方向の端部は、底部111とは離れて配置されている。一対の支持腕部152において底部111とは離れている側の端部には、上述の一対の軸部153が設けられている。したがって、図5および図6に示すように、組付けられた状態において、一対の支持腕部152は、軸部153が軸受部114により支持されることにより、弁体150を片持ち支持する。
【0028】
図8および図9に示すように、突出部157は、棒状の外観形状を有し、露出面156から突出し、自身の先端において押圧部158と連なる。押圧部158は、湾曲した板状の外観形状を有する。押圧部158において突出部157の先端と連なる面とは厚さ方向において反対側となる面S2(以下、「接触面S2」と呼ぶ)は、継手900が接続される際に継手900(突当部921)と接触する。
【0029】
接触面S2は、インボリュート曲線の集合である曲面で構成されている。換言すると、接触面S2は、その断面がインボリュート曲線である曲面であるといえる。インボリュート曲線とは、その法線が常に一つの定円に接するような平面曲面である。断面形状がインボリュート曲線である曲面によって接触面S2が構成されている理由については、後述する。
【0030】
A3.継手部材同士の連結および脱抜動作:
図10は、エルボ型管継手10の断面を示す断面図である。図10では、図4と同様に、図1のIV-IV断面線での断面を示している。図10では、継手900が第1管接続部21に接続された状態、つまり、閉弁状態のエルボ型管継手10を表している。
【0031】
図4に示す開弁状態から、継手900が+Z方向に移動して第1内孔h1に挿入され、図10に示すように、継手900の先端が弁座部材110の底部111に突き当たると、継手900の挿入は止められ、作業員は、リテーナ30を第1管接続部21に取り付け、エルボ型管継手10と継手900との接続は完了する。
【0032】
継手900の挿入途中において、継手900が備えるフラップ弁920のうち、突当部921は、弁体150の押圧部158における接触面S2に接触する。その後、継手900の挿入が進むと、それに伴い、突当部921は、押圧部158を+Z方向に押圧する。ここで、本実施形態では、継手900の突当部921の先端面も接触面S2と同様にインボリュート曲線である。このため、突当部921が押圧部158を押圧するにしたがって、突当部921と押圧部158との接触部分は、突当部921およびシール部159においてそれぞれ変位する。すなわち、接触面S2において、突当部921と接触する部分が接触面S2の長手方向に沿って曲線状に変位する。これにより、弁体150は、軸部153を中心として回動することとなる。このとき、突当部921による押圧によって、弁体150は全体として+Z方向に押されて変位する。したがって、図10に示すように、開口112は解放され、開口112を介して、第1内孔h1、第2内孔h2および弁収容空間h3は、互いに連通する。
【0033】
このとき、継手900においても、フラップ弁920が回動してシール部910の開口が解放され、継手900の内孔と、第1内孔h1とが連通することとなる。このとき、第1内孔h1と、弁収容空間h3と、内孔h2とを結ぶ冷却媒体の流路として、開口112において弁体150よりも+Y方向に生じた空隙を通る流路が形成される。かかる流路は、第1内孔h1と第2内孔h2とを最短で結ぶ流路である。このため、圧力損失を抑えることができる。なお、図10に示すように、弁体150は、図4に示す閉弁状態と比べて回動するとともに+Z方向に移動している。これにより、第1内孔h1と、弁収容空間h3と、内孔h2とを結ぶ冷却媒体の流路として、開口112において弁体150よりも-Y方向に生じた空隙を通る流路も形成される。この流路は、弁体150と弾性部材支持部113との間を通り、さらに、弾性部材130の横を回り込み或いは弾性部材130の開口を通って第2内孔h2へと向かう流路である。ここで、図4および図10に示すように、弁収容部23において、+Z方向端部且つ-Y方向端部の内壁231は、-Z方向且つ+Y方向を略法線方向とする斜面として形成されている。言い換えると、弁収容部23の内壁は、面取りされているように形成されている。これにより、図10に示す開弁状態において、上述した弾性部材130側を通る流路をコンパクトにすることができ、かかる流路を短くして圧力損失を低減できる。
【0034】
図4および図10に示すように、押圧部158は、+Z方向に見て、弁体150のうち、第2中心軸C2およびY軸と平行な方向において、回転軸(軌跡T1)に近い側に設けられている。「第2中心軸C2およびY軸と平行な方向において回転軸に近い側」とは、弁体150をY軸方向と平行な方向に2つに分けた場合における、より回転軸に近い側、という意味である。このように、押圧部158が+Z方向に見て弁体150における回転軸に近い側に設けられていることにより、弁体150は、回転軸に近い側において継手900から+Z方向に押されることとなる。このため、押圧部158が回転軸から遠い側に設けられている構成に比べて、第1中心軸C1に沿って同じ長さ分だけ継手900(突当部921)によって+Z方向に押された場合に、より大きな角度で弁体150を回転させることができる。これにより、弁収容空間h3内において弁体150の近傍における冷却媒体の流路断面積をより大きくして、圧力損失をより低減できる。
【0035】
そして、上述の押圧部158が第2中心軸C2およびY軸と平行な方向において回転軸に近い側に設けられるようにするために、本実施形態では、突出部157および押圧部158の設置態様が調整されている。具体的には、図4に示すように、突出部157は、閉弁状態において、弁体150(露出面156)の中心から-Y方向且つ-Z方向に延びるように形成されている。このため、突出部157の先端に設けられた押圧部158(接触面S2)は、+Z方向に見て、第2中心軸C2およびY軸と平行な方向において回転軸に近い側に位置することとなる。
【0036】
また、弁体150が回転軸に近い側において継手900から+Z方向に押されるようにするために、図7を用いて説明した「第1内孔h1の第1中心軸C1と開口112の第3中心軸C3とのY軸方向の位置ずれ」が形成されている。具体的には、開口112は、開口112の第3中心軸C3が第2中心軸C2およびY軸と平行な方向に沿って、回転軸から遠い位置に位置するように、弁座部材110の底部111に形成されている。このため、開口112を封止する弁体150は、その中心軸が閉弁状態において第1中心軸C1と比べてY軸方向に沿って回転軸(軌跡T1)から遠い位置に位置することとなる。他方、継手900は、その中心軸が第1内孔h1の第1中心軸C1と一致するように第1内孔h1に挿入される。このため、閉弁状態において、押圧部158は、弁体150が回転軸に近い側において継手900から+Z方向に押されることとなる。
【0037】
弁体150の押圧部158の接触面S2がインボリュート曲線の集合である曲面であるため、突当部921と接触して+Z方向に押された際に、接触部分が曲面に沿って移動し、弁体150の回動が実現できる。また、このときの接触部分の位置が、X軸方向およびY軸方向において過剰に変位することを抑制でき、弁体150の回動を滑らかに行わせることができる。なお、本実施形態では、継手900の突当部921において接触面S2と接触する面もインボリュート曲線の集合である曲面であり、かかる曲面の長手方向と接触面S2の長手方向とがZ軸方向に見ていずれもY軸方向で一致しているので、押圧部158と突当部921の接触部分は、線状となる。このため、面で接触する構成に比べて大きな圧力を弁体150に加えることができる。また、図10に示すように、開弁状態において、突出部157は、第1中心軸C1と平行に配置される。換言すると、突出部157は、その中心軸が第1内孔h1の第1中心軸C1と平行となるように配置される。このため、Z軸方向に見た突出部157の面積を小さくできる。これにより、+Z方向に第1内孔h1を流れて弁収容空間h3内に流入した冷却媒体の圧力損失を低減できる。
【0038】
以上説明した実施形態のエルボ型管継手10によれば、互いに交差する中心軸(第1中心軸C1および第2中心軸C2)を有する第1管接続部21および第2管接続部22と、弁収容部23と、弁収容部23に収容され、回動することにより開弁状態と閉弁状態とを切り替えるフラップ弁装置100とを備えるので、第1中心軸C1に沿った方向および第2中心軸方向C2に沿った方向において狭い空間しか確保できない状況においても、弁(フラップ弁装置100)の開閉動作を実現できる。このため、弁の開閉動作を伴う継手部材(エルボ型管継手10および継手900)の連結および脱抜を、狭い環境において実現できる。加えて、開弁状態では、弁収容空間h3において第1内孔h1と第2内孔h2とをプランジャー弁と比べて短い距離で連通させることができるので、流路抵抗(圧力損失)を低減できる。
【0039】
また、フラップ弁装置100は、開口112が形成された底部111を有する有底筒状の弁座部材110と、弁体150と、弾性部材130とを有するので、エルボ型管継手10に継手900が接続されていない状態においては、弾性部材130により弁体150が開口112を封止するように付勢して閉弁状態を実現でき、他方、エルボ型管継手10に継手900が接続されている状態においては、弁体150が回動して開口112を開放し、開弁状態を実現できる。
【0040】
また、押圧部158は、弁体150のうち、第2中心軸C2と平行な方向において弁体150が回動する際の回転軸に近い側に設けられているので、回転軸から遠い側に設けられている構成と比べて、第1中心軸C1に沿って同じ長さ分だけ継手900により押圧部158が押された場合に、より大きな角度で弁体150を回動させることができる。これにより、弁収容空間h3における流路断面積をより大きくして、圧力損失をより低減できる。
【0041】
また、開口112は、開口112の第3中心軸C3が、第1中心軸C1と平行であり且つ第1中心軸C1と比べて第2中心軸C2と平行な方向に沿って回転軸から遠い側に位置するように、弁座部材110の底部111に形成されているので、第1管接続部21に継手900が接続される際に、継手900の中心軸が第1中心軸C1と一致するように接続され、且つ継手900の中心軸上の部位(突当部921)で押圧部158を押す構成においては、弁体150のうち第2中心軸C2に沿った方向において回転軸に近い側に設けられた押圧部158をより高い確度で押すことができる。
【0042】
また、弁体150は、露出面156から突出し、先端において押圧部158と連なる棒状の突出部157を有するので、第1管接続部21に継手900が接続される際に、弁体150のうち、押圧部158とは異なる部位が押されることを抑制できる。
【0043】
また、突出部157は、開弁状態において、第1中心軸C1と平行に配置されているので、第1中心軸C1方向に見たときの突出部157の面積を小さくできる。このため、第1内孔h1から弁収容空間h3に流入する際の流体の圧力損失を低減できる。
【0044】
また、押圧部158のうち、継手900と接する接触面S2は、インボリュート曲線の集合である曲面で構成されているので、継手900と押圧部158との接触位置が過剰に変位することを抑制でき、また、接触部分を線で構成できるので、継手900の接続時に安定して押圧力を弁体150に伝えることができる。このため、弁体150の回動を滑らかに行うことができると共に、小さな力で弁体150を回動させることができる。
【0045】
B.他の実施形態:
(B1)上記実施形態では、第1管接続部21と、第2管接続部22と、弁収容部23とは一体形成されていたが、これらのうちの少なくとも一部は、互いに別体となるように構成されていてもよい。
【0046】
(B2)上記実施形態において、弾性部材130は、板バネにより構成されていたが、板バネに限らず、コイルバネやエラストマで形成された円柱状の部材など、弁体150を付勢可能な任意の種類の弾性を有する部材により構成されてもよい。
【0047】
(B3)上記実施形態において、弁座部材110を省略してもよい。具体的には、例えば、弁収容部23を、内部に弁収容空間h3を横断する板状の区画壁を設ける構造とし、かかる区画壁に開口を設け、かかる開口を弁体150が封止または解放する構成としてもよい。かかる構成においても、実施形態のエルボ型管継手10と同様な効果を奏する。
【0048】
(B4)上記実施形態において、接触面S2と、突当部921における先端面とのうちの少なくとも一方は、インボリュート曲線の集合である曲面に代えて、球面の一部である曲面であってもよい。また、接触面S2と、突当部921における先端面とのうちの少なくとも一方は、平面であってもよい。かかる構成においても、突当部921は、押圧部158を+Z方向に押圧でき、また、押圧部158は継手900から力を受けることができる。また、第1中心軸C1に接続される管は、継手900に代えて、例えば、先端部分に+Z方向に突出する棒状の突出部を備える管であってもよい。かかる構成においては、管が第1中心軸C1に接続される際に、管が有する突出部が押圧部158を+Z方向に押圧し、開弁させることができる。
【0049】
(B5)上記実施形態のエルボ型管継手10は、あくまでも一例であり、様々に変形可能である。例えば、押圧部158は、弁体150のうち、第2中心軸C2(Y軸)と平行な方向において、回転軸から遠い側や、中央位置に設けられていてもよい。また、弁体150において、突出部157を省略してもよい。かかる構成においては、例えば、露出面156をインボリュート曲線の集合である曲面で構成し、露出面156を継手900により押圧される構成としてもよい。かかる構成では、露出面156と押圧部158および接触面S2とは一致する。また、押圧部158は、開弁状態において、第1中心軸C1と平行ではなく交差する構成としてもよい。また、突出部157は、開弁状態において、第1中心軸C1と交差する構成であってもよい。
【0050】
本開示は、上記各実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
10…エルボ型管継手、21…第1管接続部、22…第2管接続部、23…弁収容部、30…リテーナ、31…係合部、100…フラップ弁装置、101…係合部材、102…シール部材、103…係合溝、110…弁座部材、111…底部、112…開口、113…弾性部材支持部、114…軸受部、130…弾性部材、131…中間部、132…端部、133…折返部、150…弁体、151…弾性部材ガイド部、152…支持腕部、153…軸部、155…本体部、156…露出面、157…突出部、158…押圧部、159…シール部、211…係合部、231…内壁、900…継手、901…内孔、910…シール部、920…フラップ弁、921…突当部、C1…第1中心軸、C2…第2中心軸、C3…第3中心軸、S1…面、S2…接触面、SP1…内側空間、SP2…領域、T1…軌跡、h1…第1内孔、h2…第2内孔、h3…弁収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10