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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073701
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/30 20060101AFI20240523BHJP
   F16L 43/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
F16L37/30
F16L43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184541
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑山 健太
(72)【発明者】
【氏名】宮村 雅之
【テーマコード(参考)】
3H019
3J106
【Fターム(参考)】
3H019EA20
3J106BC12
3J106GA03
3J106GA14
3J106GA23
3J106GA30
3J106GB02
3J106GB03
(57)【要約】
【課題】弁の開閉動作を伴う継手部材の連結および脱抜を狭い環境において実現可能な管継手を提供する。
【解決手段】管継手(500)は、エルボ型管継手(10)とストレート型管継手(310)とを備える。エルボ型管継手は、第1管接続部(21)と、第2管接続部(22)と、弁収容空間を有する中空の弁収容部(23)と、弁収容部に収容され回動することにより第1開弁状態と第1閉弁状態とを切り替える第1フラップ弁装置(100)と、を有する。ストレート型管継手は、継手本体(310)と、継手本体内部に設けられ第2開口が形成された弁座部(311)と、継手本体に収容され回動することにより第2閉弁状態と第2開弁状態とを切り替える第2フラップ弁装置(400)を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに挿抜可能に連結されるエルボ型管継手とストレート型管継手とを備える管継手であって、
前記エルボ型管継手は、
前記ストレート型管継手が接続される筒状の第1管接続部と、
前記第1管接続部の第1中心軸と交差する第2中心軸を有する筒状の第2管接続部と、
前記第1管接続部と前記第2管接続部とにそれぞれ接続され、前記第1管接続部の第1内孔と前記第2管接続部の第2内孔とにそれぞれ連通する弁収容空間を有する中空の弁収容部と、
前記弁収容部に収容されている第1フラップ弁装置であって、回動することにより、前記第1内孔と前記第2内孔とが連通する第1開弁状態と、前記第1内孔と前記第2内孔とが遮断された第1閉弁状態とを切り替える第1フラップ弁装置と、を有し、
前記ストレート型管継手は、
前記エルボ型管継手が接続される一端と、他の配管が接続され得る他端と、を有する筒状の継手本体であって、前記第1中心軸と同一の中心軸を有する継手本体と、
前記継手本体内部に設けられ、前記継手本体内部において前記一端と前記他端とを連通させるための第2開口が形成された弁座部と、
前記継手本体に収容されている第2フラップ弁装置であって、回動することにより、前記第2開口を封止する第2閉弁状態と、前記第2開口を開放する第2開弁状態と、を切り替える第2フラップ弁装置と、を有する、
管継手。
【請求項2】
請求項1に記載の管継手において、
前記第1フラップ弁装置は、
第1開口が形成された底部を有し、前記第1中心軸と平行な中心軸を有する有底筒状の弁座部材であって、前記底部が前記弁収容空間と接するように配置された弁座部材と、
前記第1中心軸と前記第2中心軸とのいずれにも直交する第1回転軸を中心に回動可能に構成された第1弁体であって、前記第1開口を封止することにより前記第1閉弁状態を実現し、前記第1開口を開放させることにより前記第1開弁状態を実現する第1弁体と、
前記第1弁体が前記第1開口を封止するように付勢する第1弾性部材と、を有し、
前記第2フラップ弁装置は、
前記継手本体の内壁に沿って配置され、前記第1回転軸と平行な第2回転軸が取り付けられた固定部材と、
前記第2回転軸を中心に回動可能に構成された第2弁体であって、前記第2開口を封止することにより前記第2閉弁状態を実現し、前記第2開口を開放することにより前記第2開弁状態を実現する第2弁体と、
前記固定部材に取り付けられる第2弾性部材であって、前記第2開口を封止するように付勢する第2弾性部材と、を有する、
管継手。
【請求項3】
請求項2に記載の管継手において、
前記第2開口は、前記継手本体の第1中心軸に対して、前記第2開口の第4中心軸が、30度~60度傾くように、前記弁座部に形成されている、
管継手。
【請求項4】
請求項3に記載の管継手において、
前記第2開口は、前記第2開口の前記第4中心軸方向に見て楕円状の外観形状を有するように、前記弁座部に形成され、
前記第2弁体は、前記第2閉弁状態において前記第2開口を封止する第2本体部であって、前記第2閉弁状態において前記第4中心軸方向に見て楕円状の外観形状の第2本体部を有する、
管継手。
【請求項5】
請求項4に記載の管継手において、
前記第1弁体は、前記第1閉弁状態において前記第1内孔と連通する前記弁座部材の内側空間に露出する第1押圧部を有し、
前記第1押圧部は、前記第1弁体のうち、前記第2中心軸と平行な方向において前記第1回転軸に近い側に設けられており、
前記第2弁体は、前記第2閉弁状態において前記継手本体の前記一端側に突出する第2押圧部を有し、
前記第2押圧部は、前記第2弁体のうち、前記第2本体部の長軸に沿った方向において前記第2回転軸に近い側に設けられており、
前記第1押圧部と前記第2押圧部とは、前記エルボ型管継手と前記ストレート型管継手とが連結されると、前記第1中心軸と平行な方向に互いに押し合い、前記第1フラップ弁装置は前記第1開弁状態となり、前記第2フラップ弁装置は前記第2開弁状態となる、
管継手。
【請求項6】
請求項5に記載の管継手において、
前記第1開口は、前記第1開口の第3中心軸が、前記第1中心軸と平行であり、且つ前記第1中心軸と比べて前記第2中心軸と平行な方向に沿って前記第1回転軸から遠い側に位置するように、前記底部に形成され、
前記第2開口は、前記第4中心軸方向に見て、前記第2開口の中心が、前記第2開口と前記第1中心軸との交点に比べて前記長軸に沿った方向において、前記第2回転軸から遠い側に位置するように、前記弁座部に形成されている、
管継手。
【請求項7】
請求項6に記載の管継手において、
前記第1弁体は、
前記第1閉弁状態において前記内側空間に露出する第1露出面と、前記第1露出面に連なり、前記第1閉弁状態において前記第1開口をシールする第1シール部と、を有する第1本体部と、
前記第1露出面から突出し、先端において前記第1押圧部と連なる棒状の第1突出部と、
をさらに有し、
前記第2本体部は、前記第2閉弁状態において前記一端側に露出する第2露出面と、前記第2露出面に連なり、前記第2閉弁状態において前記第2開口をシールする第2シール部と、をさらに有し、
前記第2弁体は、前記第2露出面から突出し、先端において前記第2押圧部と連なる棒状の第2突出部をさらに有する、
管継手。
【請求項8】
請求項7に記載の管継手において、
前記第1突出部は、前記第1開弁状態において、前記第1中心軸と平行に配置され、
前記第2突出部は、前記第2閉弁状態において、前記第1中心軸と平行に配置される、
管継手。
【請求項9】
請求項5から請求項8までのいずれか一項に記載の管継手において、
前記第1押圧部および前記第2押圧部のうちで、互いに接触する接触面は、いずれもインボリュート曲線の集合である曲面により構成されている、管継手。
【請求項10】
請求項9に記載の管継手において、
前記第1押圧部および前記第2押圧部は、前記第1中心軸上で互いに接触する、管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの管同士を接続する管継手として、「プラグおよびソケット」や「雄型管継手部材および雌型管継手部材」などと呼ばれる2つの管継手部材がそれぞれ内部に弁構造を有し、これらの継手部材同士が連結する際に、各弁構造が閉止状態から解放状態に移行する管継手が種々提案されている。例えば、特許文献1の管継手は、いわゆるプランジャー弁と呼ばれる弁構造を有し、プラグとソケットとの連結時に、ソケット内の部材がプラグ内の筒状の外側弁部材を軸方向に押し戻し、これにより、プラグ内において外側弁装置と、外側弁装置内に配置された内側弁部材(プランジャー)との間の密封係合が解除される。また、ソケット内においては、連結時に、弁部材がプラグ内の内側弁部材により軸方向に押し戻され、弁部材とその周りの部材との密封係合が解除される。特許文献2の管継手も、同様に、プランジャー弁と呼ばれる弁構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-29933号公報
【特許文献2】特開2019-138380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1、2のようなプランジャー弁を有する管継手では、内部に収容されている弁部材(弁体)が軸方向にストロークすることにより開弁状態と閉弁状態とが切り替わるので、所定のストローク長を確保するために軸方向に長い構造を採用せざるを得ない。このため、例えば、車両のエンジンルーム等の狭小空間であって所定のストローク長さを確保できないような環境においては、使用できないという問題があった。このため、弁の開閉動作を伴う継手部材の連結および脱抜を、狭い環境において実現可能な管継手が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、互いに挿抜可能に連結されるエルボ型管継手とストレート型管継手とを備える管継手が提供される。前記エルボ型管継手は、前記ストレート型管継手が接続される筒状の第1管接続部と、前記第1管接続部の第1中心軸と交差する第2中心軸を有する筒状の第2管接続部と、前記第1管接続部と前記第2管接続部とにそれぞれ接続され、前記第1管接続部の第1内孔と前記第2管接続部の第2内孔とにそれぞれ連通する弁収容空間を有する中空の弁収容部と、前記弁収容部に収容されている第1フラップ弁装置であって、回動することにより、前記第1内孔と前記第2内孔とが連通する第1開弁状態と、前記第1内孔と前記第2内孔とが遮断された第1閉弁状態とを切り替える第1フラップ弁装置と、を有し、前記ストレート型管継手は、前記エルボ型管継手が接続される一端と、他の配管が接続され得る他端と、を有する筒状の継手本体であって、前記第1中心軸と同一の中心軸を有する継手本体と、前記継手本体内部に設けられ、前記継手本体内部において前記一端と前記他端とを連通させるための第2開口が形成された弁座部と、前記継手本体に収容されている第2フラップ弁装置であって、回動することにより、前記第2開口を封止する第2閉弁状態と、前記第2開口を開放する第2開弁状態と、を切り替える第2フラップ弁装置と、を有する。
この形態の管継手によれば、エルボ型管継手は、互いに交差する中心軸(第1中心軸および第2中心軸)を有する第1管接続部および第2管接続部と、弁収容部と、弁収容部に収容され、回動することにより第1開弁状態と第2閉弁状態とを切り替える第1フラップ弁装置とを備え、ストレート型管継手は、継手本体内部に回動することにより第2開弁状態と第2閉弁状態とを切り替える第2フラップ弁装置を備えるので、第1中心軸および第2中心軸に沿った方向において狭い空間しか確保できない状況においても、第1フラップ弁装置および第2フラップ弁装置の開閉動作を実現できる。このため、エルボ型管継手およびストレート型管継手の連結および脱抜を、狭い環境において実現できる。加えて、第1フラップ弁装置および第2フラップ弁装置により弁の開閉を実現するので、プランジャー弁と比較して、流路抵抗(圧力損失)を低減できる。また、第1フラップ弁装置および第2フラップ弁装置により弁の開閉を実現するので、軸方向に伸びる構成を要するプランジャー弁と比較して、構成をよりコンパクトにできる。
(2)上記形態の管継手において、前記第1フラップ弁装置は、第1開口が形成された底部を有し、前記第1中心軸と平行な中心軸を有する有底筒状の弁座部材であって、前記底部が前記弁収容空間と接するように配置された弁座部材と、前記第1中心軸と前記第2中心軸とのいずれにも直交する第1回転軸を中心に回動可能に構成された第1弁体であって、前記第1開口を封止することにより前記第1閉弁状態を実現し、前記第1開口を開放させることにより前記第1開弁状態を実現する第1弁体と、前記第1弁体が前記第1開口を封止するように付勢する第1弾性部材と、を有し、前記第2フラップ弁装置は、前記継手本体の内壁に沿って配置され、前記第1回転軸と平行な第2回転軸が取り付けられた固定部材と、前記第2回転軸を中心に回動可能に構成された第2弁体であって、前記第2開口を封止することにより前記第2閉弁状態を実現し、前記第2開口を開放することにより前記第2開弁状態を実現する第2弁体と、前記固定部材に取り付けられる第2弾性部材であって、前記第2開口を封止するように付勢する第2弾性部材と、を有してもよい。
この形態の管継手によれば、第1フラップ弁装置は、第1開口が形成された底部を有する有底筒状の弁座部材と、第1弁体と、第1弾性部材とを有し、第2フラップ弁装置は、第2弁体と、第2弾性部材とを有するので、エルボ型管継手とストレート型管継手とが接続されていない状態においては、第1弾性部材により第1弁体が第1開口を封止するように付勢して第1閉弁状態を実現し、第2弾性部材により第2弁体が第2開口を封止するように付勢して第2閉弁状態を実現できる。他方、エルボ型管継手とストレート型管継手とが接続された状態においては、第1弁体は回動により第1開口を開放して第1開弁状態を実現し、第2弁体は回動により第2開口を開放して第2開弁状態を実現できる。
(3)上記形態の管継手において、前記第2開口は、前記継手本体の第1中心軸に対して、前記第2開口の第4中心軸が、30度~60度傾くように、前記弁座部に形成されていてもよい。
この形態の管継手によれば、第2開口は、継手本体の第1中心軸に対して、第2開口の第4中心軸が、30度~60度傾くように、弁座部に形成されているので、第4中心軸が第1中心軸と平行である場合と比較して、第2弁体が第1中心軸に沿って同じ長さ分だけ押された場合に、継手本体内部の流路断面積をより大きくでき、圧力損失をより低減できる。また、傾きの角度が30度~60度なので、傾きの角度が比較的小さい構成と比較して、第2開弁状態における継手本体内部の流路断面積を大きくできる。他方、傾きの角度が比較的大きい構成と比較して、第2閉弁状態から第2開弁状態に移行させるために要する力を低減できる。また、傾きの角度が比較的大きい構成と比較して、第2開弁状態および第2閉弁状態のいずれにおいても、第2弾性部材に加えられる負荷が小さいので、第2弾性部材の破損を抑制できる。
(4)上記形態の管継手において、前記第2開口は、前記第2開口の前記第4中心軸方向に見て楕円状の外観形状を有するように、前記弁座部に形成され、前記第2弁体は、前記第2閉弁状態において前記第2開口を封止する第2本体部であって、前記第2閉弁状態前記第4中心軸方向に見て楕円状の外観形状の第2本体部を有していてもよい。
この形態の管継手によれば、第2開口は、第2開口の第4中心軸方向に見て、楕円状の外観形状を有するように、弁座部に形成されているので、真円状である場合と比較して、第1中心軸に対して傾いた第4中心軸を有する第2開口において開口面積をより大きくできる。これにより、圧力損失をより低減できる。また、第2弁体は、第2閉弁状態において第4中心軸方向に見て楕円状の外観形状の第2本体部を有するので、第2開口を確実に封止できる。
(5)上記形態の管継手において、前記第1弁体は、前記第1閉弁状態において前記第1内孔と連通する前記弁座部材の内側空間に露出する第1押圧部を有し、前記第1押圧部は、前記第1弁体のうち、前記第2中心軸と平行な方向において前記第1回転軸に近い側に設けられており、前記第2弁体は、前記第2閉弁状態において前記継手本体の前記一端側に突出する第2押圧部を有し、前記第2押圧部は、前記第2弁体のうち、前記第2本体部の長軸に沿った方向において前記第2回転軸に近い側に設けられており、前記第1押圧部と前記第2押圧部とは、前記エルボ型管継手と前記ストレート型管継手とが連結されると、前記第1中心軸と平行な方向に互いに押し合い、前記第1フラップ弁装置は前記第1開弁状態となり、前記第2フラップ弁装置は前記第2開弁状態となってもよい。
この形態の管継手によれば、第1押圧部は、第1弁体のうち、第2中心軸と平行な方向において第1回転軸に近い側に設けられているので、第1回転軸から遠い側に設けられている構成と比べて、第1中心軸に沿って同じ長さ分だけストレート型管継手(第2押圧部)により第1押圧部が押された場合に、より大きな角度で第1弁体を回動させることができる。これにより、弁収容空間における流路断面積をより大きくして、圧力損失をより低減できる。加えて、第2押圧部は、第4中心軸方向に見て、第2弁体のうち、楕円状の第2本体部の長軸に沿った方向において、第2回転軸に近い側に設けられているので、第2押圧部が第2回転軸から遠い側に設けられている構成と比較して、第1中心軸に沿って同じ長さ分だけエルボ型管継手(第1押圧部)により第2押圧部が押された場合に、より大きな角度で第2弁体を回動させることができる。これにより継手本体内部における流路断面積をより大きくして、圧力損失をより低減できる。また、第1押圧部と第2押圧部とは、エルボ型管継手とストレート型管継手とが連結されると、第1中心軸と平行な方向に互いに押し合い、第1フラップ弁装置は第1開弁状態となり、第2フラップ弁装置は第2開弁状態となるので、エルボ型管継手およびストレート型管継手を連結することで、互いの内部を連通させることができる。
(6)上記形態の管継手において、前記第1開口は、前記第1開口の第3中心軸が、前記第1中心軸と平行であり、且つ前記第1中心軸と比べて前記第2中心軸と平行な方向に沿って前記第1回転軸から遠い側に位置するように、前記底部に形成され、前記第2開口は、前記第4中心軸方向に見て、前記第2開口の中心が、前記第2開口と前記第1中心軸との交点に比べて前記長軸に沿った方向において、前記第2回転軸から遠い側に位置するように、前記弁座部に形成されていてもよい。
この形態の管継手によれば、第1開口は、第1開口の第3中心軸が、第1中心軸と平行であり、且つ第1中心軸と比べて第2中心軸と平行な方向に沿って第1回転軸から遠い側に位置するように、前記底部に形成されているので、第1管接続部にストレート型管継手が接続される際に、ストレート型管継手の中心軸が第1中心軸C1と一致するように接続され、且つストレート型管継手の中心軸上の部位(第2押圧部)で第1押圧部を押す構成においては、第1弁体のうち第2中心軸に沿った方向において第1回転軸に近い側に設けられた第1押圧部をより高い確度で押すことができる。加えて、第2開口は、第4中心軸方向に見て、第2開口の中心が、第2開口と第1中心軸との交点に比べて長軸に沿った方向において、第2回転軸から遠い側に位置するように、弁座部に形成されているので、継手本体にエルボ型管継手が接続される際に、エルボ型管継手の中心軸が第1中心軸と一致するように接続され、且つエルボ型管継手の中心軸上の部位(第1押圧部)で第2押圧部を押す構成においては、第2弁体のうち長軸に沿った方向において第2回転軸に近い側に設けられた第2押圧部をより高い確度で押すことができる。
(7)上記形態の管継手において前記第1弁体は、前記第1閉弁状態において前記内側空間に露出する第1露出面と、前記第1露出面に連なり、前記第1閉弁状態において前記第1開口をシールする第1シール部と、を有する第1本体部と、前記第1露出面から突出し、先端において前記第1押圧部と連なる棒状の第1突出部と、をさらに有し、前記第2本体部は、前記第2閉弁状態において前記一端側に露出する第2露出面と、前記第2露出面に連なり、前記第2閉弁状態において前記第2開口をシールする第2シール部と、をさらに有し、前記第2弁体は、前記第2露出面から突出し、先端において前記第2押圧部と連なる棒状の第2突出部をさらに有してもよい。
この形態の管継手によれば、第1弁体は、第1露出面から突出し、先端において第1押圧部と連なる棒状の第1突出部を有するので、第1管接続部にエルボ型管継手が接続される際に、第1弁体のうち、第1押圧部とは異なる部位が押されることを抑制できる。加えて、第2弁体は、第2露出面から突出し、先端において第2押圧部と連なる棒状の第2突出部を有するので、継手本体にストレート型管継手が接続される際に、第2弁体のうち、第2押圧部と異なる部位が押されることを抑制できる。
(8)上記形態の管継手において、前記第1突出部は、前記第1開弁状態において、前記第1中心軸と平行に配置され、前記第2突出部は、前記第2閉弁状態において、前記第1中心軸と平行に配置されてもよい。
この形態の管継手によれば、第1突出部は、第1開弁状態において、第1中心軸と平行に配置されているので、第1中心軸方向に見たときの第1突出部の面積を小さくできる。このため、第1内孔から弁収容空間に流入する際の流体の圧力損失を低減できる。加えて、第2突出部は、第2閉弁状態において、第1中心軸と平行に配置されているので、エルボ型管継手が接続される際に、第2押圧部に加えられた力が確実に第2本体部に伝えられる。これにより、第2閉弁状態の解除を小さな力で円滑に行うことができる。
(9)上記形態の管継手において、前記第1押圧部および前記第2押圧部のうちで、互いに接触する接触面は、いずれもインボリュート曲線の集合である曲面により構成されていてもよい。
この形態の管継手によれば、第1押圧部および第2押圧部のうちで、互いに接触する接触面は、いずれもインボリュート曲線の集合である曲面により構成されているので、第1押圧部と第2押圧部との接触位置が過剰に変位することを抑制でき、また、接触部分を点または線で構成できるので、エルボ型管継手およびストレート型管継手の接続時に安定して押圧力を第1弁体および第2弁体に伝えることができる。このため、第1弁体および第2弁体の回動を滑らかに行うことができると共に、小さな力で第1弁体および第2弁体を回動させることができる。
(10)上記形態の管継手において、前記第1押圧部および前記第2押圧部は、前記第1中心軸上で互いに接触してもよい。
この形態の管継手によれば、第1押圧部および第2押圧部は、第1中心軸上で互いに接触するので、ストレート型管継手が第1中心軸に沿った方向にエルボ型管継手に挿入される際に、第1中心軸上の接触部分に力が加えられるので、第1中心軸上以外で第1押圧部と第2押圧部とが接触する構成と比較して、第1弁体および第2弁体の開度を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態としての管継手の外観構成を示す斜視図である。
図2】本開示の一実施形態としての管継手の外観構成を示す斜視図である。
図3】エルボ型管継手の外観構成を示す斜視図である。
図4】エルボ型管継手の外観構成を示す斜視図である。
図5】エルボ型管継手の外観構成を示す斜視図である。
図6】管継手の断面を示す断面図である。
図7】第1フラップ弁装置の詳細構成を示す斜視図である。
図8】第1フラップ弁装置の詳細構成を示す斜視図である。
図9】第1管接続部の第1中心軸と、第1開口の第3中心軸との位置関係を示す説明図である。
図10】第1弁体の詳細構成を示す斜視図である。
図11】第1弁体の詳細構成を示す斜視図である。
図12】ストレート型管継手の外観構成を示す斜視図である。
図13】ストレート型管継手の外観構成を示す斜視図である。
図14】ストレート型管継手の外観構成を示す斜視図である。
図15】継手本体の外観構成を示す斜視図である。
図16】継手本体の外観構成を示す斜視図である。
図17】第2フラップ弁装置の詳細構成を示す斜視図である。
図18】第2フラップ弁装置の詳細構成を示す斜視図である。
図19】第2弁体の詳細構成を示す斜視図である。
図20】第2弁体の詳細構成を示す斜視図である。
図21】第4中心軸が第1中心軸に対して傾いている効果を説明するための説明図である。
図22】管継手の断面を示す断面図である。
図23】管継手の断面を示す断面図である。
図24】管継手の断面を示す断面図である。
図25】管継手の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.実施形態:
A1.管継手500の構成:
図1および図2は、本開示の一実施形態としての管継手500の外観構成を示す斜視図である。管継手500は、狭小空間において2つの管同士を接続するために用いられる。具体的には、2つの管同士が互いの中心軸が一致しない状態(すなわち、所定の角度で交差した状態)でこれら2つの管同士を接続するために用いられる。なお、所定の角度は、0度を除く任意の角度であってよい。本実施形態において、「2つの管」は、車両に搭載され、複数の電池が電池ケース内に収容された電池パックにおいて電池モジュールの温度を調整するための冷却媒体、例えば純粋、LLC(Long Life Coolant)、空気、油を流通させるための管が該当する。なお、図1および図2では、管継手500に接続する2つの管のうち、一方の配管323は図示されているが、他方の管については省略されている。配管323は、電池パックのケース内に設けられ、管継手500により電池パックのケース外の配管と接続する。管継手500は、電池パックのケースに配置される。なお、管継手500は、上述した電池パックにおける温度調整用の冷却媒体を流通させる管に限らず、任意の場所において用いられて任意の種類の媒体を流通させるための管同士を接続するために用いられてもよい。
【0009】
図1および図2に示すように、管継手500は、エルボ型管継手10と、ストレート型管継手310とを備える。
【0010】
A2.エルボ型管継手10の構成:
図3図5は、エルボ型管継手10の外観構成を示す斜視図である。エルボ型管継手10は、第1管接続部21と、第2管接続部22と、弁収容部23と、リテーナ30と、第1フラップ弁装置100とを備える。第1管接続部21と第2管接続部22と弁収容部23とは、一体形成されている。
【0011】
第1管接続部21は、筒状の外観形状を有し、ストレート型管継手310と接続され得る。第1管接続部21の内孔h1(以下、「第1内孔h1」と呼ぶ)、および第1管接続部21の中心軸C1(以下、「第1中心軸C1」と呼ぶ)は、Z軸と平行である。第1管接続部21の+Z方向には、弁収容部23が連なる。第1管接続部21の-Z方向には、ストレート型管継手310が接続される。図5に示すように、第1管接続部21の第1内孔h1には、係合部材101および第1シール部材102が取り付けられている。
【0012】
第2管接続部22は、筒状の外観形状を有し、図示しない管と接続され得る。第2管接続部22の内孔h2(以下、「第2内孔h2」と呼ぶ)、および第2管接続部22の中心軸C2(以下、「第2中心軸C2」と呼ぶ)は、Y軸と平行である。第2管接続部22の-Y方向には、弁収容部23が連なる。第2管接続部22の+Y方向には、図示しない管が接続され得る。この第2管接続部22に接続され得る管は、内部に弁装置を有する継手であってもよいし、単に内孔が設けられた単純な管であってもよい。
【0013】
弁収容部23は、第1管接続部21と第2管接続部22とにそれぞれ連なり、第1内孔h1と第2内孔h2とにそれぞれ連通する弁収容空間h3を有する中空の構造を有する。
【0014】
図6は、管継手500の断面を示す断面図である。図6では、図1のVI-VI断面線での断面を示している。弁収容空間h3には、第1フラップ弁装置100が収容されている。第1フラップ弁装置100の-Z方向の端部は、第1シール部材102に接している。第1シール部材102の-Z方向には係合部材101が接している。すなわち、第1シール部材102は、第1フラップ弁装置100と係合部材101とでZ軸方向に挟まれており、第1フラップ弁装置100と係合部材101との間を封止している。図6は、図1および図2とは異なり、エルボ型管継手10とストレート型管継手310とが接続されていない状態の管継手500を示している。この状態では、第1フラップ弁装置100は、第1内孔h1と第2内孔h2とが遮断された第1閉弁状態となっている。第1フラップ弁装置100の詳細構成については、後述する。
【0015】
図1図5に示すように、リテーナ30は、略U字状の平面視形状を有する。リテーナ30は、第1管接続部21にストレート型管継手310が接続する際に、第1管接続部21を挟み込むように取り付けられてストレート型管継手310の+Z方向の先端部と係合する。リテーナ30の両腕部分の先端には、図5および図6に図示する一対の係合部31が形成されており、かかる一対の係合部31が第1管接続部21の側面に形成された開口から第1内孔h1に挿入され、ストレート型管継手310の+Z方向先端に形成された図示しない係合部と係合する。これにより、エルボ型管継手10からのストレート型管継手310の抜け止めが完成する。
【0016】
A3.第1フラップ弁装置100の詳細構成:
図7および図8は、第1フラップ弁装置100の詳細構成を示す斜視図である。図7では、第1フラップ弁装置100に加えて、係合部材101および第1シール部材102が表されている。係合部材101は環状の外観形状を有する。図7に示すように、係合部材101の外周面には、係合溝103が形成されており、係合部材101は、かかる係合溝103によって弁収容部23の-Z方向端部および第1管接続部21の+Z方向端部に係合している。
【0017】
第1フラップ弁装置100は、弁座部材110と、第1弁体150と、第1弾性部材130とを備える。弁座部材110は、第1開口112が形成された底部111を有し、有底筒状の外観形状を有する。図5図7および図8に示す第1閉弁状態では、第1開口112は、第1弁体150により封止されている。底部111は、図6に示すように外側面(+Z方向の面)において弁収容空間h3に露出し、図5に示すように内側面(-Z方向の面)において第1内孔h1に露出する。
【0018】
図9は、第1管接続部21の第1中心軸C1と、第1開口112の第3中心軸C3との位置関係を示す説明図である。図9では、第1管接続部21と弁座部材110の断面を模式的に表しており、第2管接続部22、弁収容部23およびリテーナ30等は省略されている。また、図9では、第1弁体150の回動する際の回転軸の位置の軌跡T1を太い矢印によって表している。第1弁体150は、X軸方向と平行な回転軸を中心として回転する。また、第1弁体150は、ストレート型管継手310との接続状態に応じてZ軸方向に移動する。このため、第1弁体150の回転軸は、Z軸方向と平行な軌跡T1を描くように移動する。ここで、図9に示すように、第1開口112は、第1開口112の中心軸C3(以下、「第3中心軸C3」と呼ぶ)が第1管接続部21の第1中心軸C1と平行であり、且つ、第1中心軸C1と比べてY軸方向と平行な方向(第2中心軸C2と平行な方向)に沿って、第1弁体150の回転軸(軌跡T1)から遠い位置に位置するように、弁座部材110の底部111に形成されている。このような第1中心軸C1と第3中心軸C3とのY軸方向における位置ずれの理由については、後述する。「第1開口112の中心軸C3」とは、第1開口112の中心を通り、第1開口112を平面と捉えた場合の法線と一致する軸を意味する。
【0019】
図6図8に示すように、弁座部材110は、上述の第1開口112に加えて、第1弾性部材支持部113および一対の第1軸受部114を備えている。底部111、第1弾性部材支持部113および第1軸受部114は、一体形成されている。
【0020】
第1弾性部材支持部113は、底部111の+Z方向の面のうち、-Y方向端部に形成されている。第1弾性部材支持部113は、底部111から+Z方向に突出した矩形柱状の外観形状を有する。第1弾性部材支持部113は、第1弾性部材130を支持する。本実施形態において、第1弾性部材130は、屈曲した板バネにより構成されている。第1弾性部材支持部113は、かかる板バネの一方の端部132を固定する。これにより、第1弾性部材支持部113は、第1弾性部材130の一方の端部132を固定端として機能させる。
【0021】
一対の第1軸受部114は、底部111の+Z方向の面のうち、-Y方向の端部において、第1弾性部材支持部113をX軸方向に挟んで形成されている。第1軸受部114は、第1弁体150の一対の第1軸部153を回動可能に支持している。ただし、本実施形態では、通常状態では、第1軸受部114と第1軸部153とは接しておらず、第1軸部153は、第1軸受部114よりも+Z方向に位置していて第1軸受部114に接していない。したがって、通常状態においては、第1軸受部114は、第1弁体150の回動時に第1軸部153が過剰に位置ずれすることを規制する程度の機能を果たすに過ぎない。ただし、第1弁体150が備える第1シール部159の設計公差や組み付け誤差などに起因して第1軸部153の位置が予定位置よりも-Z方向に位置する異常状態となっても、通常状態における第1軸部153と第1軸受部114との間のギャップがあるために、第1軸受部114は、第1軸部153を回動可能に支持することができる。
【0022】
図10および図11は、第1弁体150の詳細構成を示す斜視図である。第1弁体150は、ストレート型管継手310との接続時に図9に示す軌跡T1で移動する第1回転軸であって、第1中心軸C1と第2中心軸C2とのいずれにも直交する第1回転軸を中心に回動可能に構成されている。第1弁体150は、底部111の第1開口112を封止することにより第1閉弁状態を実現し、第1開口112を開放させることにより第1開弁状態を実現する。
【0023】
第1弁体150は、上述した一対の第1軸部153の他、第1本体部155と、一対の第1弾性部材ガイド部151と、一対の支持腕部152と、第1突出部157と、第1押圧部158と、第1シール部159とを備えている。なお、図10および図11では、第1シール部159は、省略されている。上述の図7および図8では、第1シール部159が示されている。
【0024】
第1本体部155は、一方の端面(以下、「第1露出面156」と呼ぶ)が円錐状に形成された薄い円柱状の外観形状を有する。第1露出面156は、第1開弁状態において、第1管接続部21から流入して第1内孔h1を+Z方向に向かう冷却媒体が弁収容空間h3内において衝突する面となる。第1露出面156が円錐状であることにより、第1露出面156に衝突した冷却媒体を、第2内孔h2方向に向かわせるように方向付けできる。図6に示すように、第1閉弁状態において、第1本体部155の中心軸方向(厚さ方向)は、Z軸と平行となる。図6に示すように、第1閉弁状態において、第1露出面156は、弁座部材110の内側空間SP1に露出する。
【0025】
図8に示すように、一対の第1弾性部材ガイド部151は、第1露出面156とは反対側の面、すなわち、第1本体部155における+Z方向の端面である面S1において、互いにX軸方向に所定の距離だけ離れて設けられている。一対の第1弾性部材ガイド部151は、略四角柱状の外観形状を有し、面S1から+Z方向に突出している。図7および図8に示すように、面S1において、一対の第1弾性部材ガイド部151に挟まれた領域SP2には、第1弾性部材130の第1折返部133が配置されている。領域SP2のX軸方向の長さは、第1折返部133のX軸方向の長さよりも長い。
【0026】
ここで、第1弾性部材130の構成について説明する。上述のように、第1弾性部材130は屈曲した板バネにより構成されており、-Y方向の端部132は、第1弾性部材支持部113により固定されている。第1弾性部材130は、上述の端部132の他、端部132に連なる第1中間部131と、第1中間部131に連なり、端部132とは反対側の端に位置する第1折返部133とを備える。上述のとおり端部132は固定端であるのに対し、第1中間部131および第1折返部133は、解放されている。すなわち、第1中間部131および第1折返部133は、第1弁体150または弁座部材110に固定されておらず、加えられる応力により変形および移動可能である。第1弾性部材支持部113の+Z方向の端部は、端部132の+Z方向の端部とほぼ一致する。第1弾性部材支持部113および端部132の+Z方向の端部は、面S1よりも+Z方向に位置する。したがって、端部132と第1折返部133とに連なる第1中間部131は、図7および図8に示すように、+Y方向に向かうにつれて-Z方向に位置するように斜めに配置されている。図7および図8に示すように、第1中間部131には開口が設けられており軽量化や付勢力の低減化が図られている。図6図8に示すように、第1折返部133は、弁座部材110(底部111)の面S1と接した部分を境として第1中間部131とは反対の斜面を形成するように屈曲している。解放されている第1折返部133は、第1開弁状態と第1閉弁状態とが切り替わる際に、面S1と接する位置が変化するように、面S1上を滑るように移動する。そして、一対の第1弾性部材ガイド部151は、かかる移動時において第1折返部133がX軸方向に過剰に変位して領域SP2から外れてしまうことを規制する。
【0027】
図10および図11に示すように、一対の支持腕部152は、略三角形の平面視形状を有する薄板状の外観形状を有する。一対の支持腕部152は、互いにX軸方向に所定の距離だけ離れて設けられている。一対の支持腕部152の+Y方向の端部は、底部111に連なるように設けられており、-Y方向の端部は、底部111とは離れて配置されている。一対の支持腕部152において底部111とは離れている側の端部には、上述の一対の第1軸部153が設けられている。したがって、図7および図8に示すように、組付けられた状態において、一対の支持腕部152は、第1軸部153が第1軸受部114により支持されることにより、第1弁体150を片持ち支持する。
【0028】
図10および図11に示すように、第1突出部157は、棒状の外観形状を有し、第1露出面156から突出し、自身の先端において第1押圧部158と連なる。第1押圧部158は、湾曲した板状の外観形状を有する。第1押圧部158において第1突出部157の先端と連なる面とは厚さ方向において反対側となる面S2(以下、「接触面S2」と呼ぶ)は、ストレート型管継手310と接続される際に、ストレート型管継手310の第2押圧部458(接触面S4)と接触する。
【0029】
接触面S2は、インボリュート曲線の集合である曲面で構成されている。換言すると、接触面S2は、その断面がインボリュート曲線である曲面であるといえる。インボリュート曲線とは、その法線が常に一つの定円に接するような平面曲面である。断面形状がインボリュート曲線である曲面によって接触面S2が構成されている理由については、後述する。
【0030】
A4.ストレート型管継手310の構成:
図12図14は、ストレート型管継手310の外観構成を示す斜視図である。ストレート型管継手310は、継手本体321と、フランジ322とを備える。図15および図16は、継手本体321の外観構成を示す斜視図である。継手本体321は、Z軸と平行な第1中心軸C1を有する筒状の外観形状である。ストレート型管継手310は、+Z方向の一端と-Z方向の他端とに開口を有する。図14および図16に示すように、継手本体321は、その内側に第2開口312が形成された弁座部311を有する。なお、図12図16は、後述する第2フラップ弁装置400の第2弁体450により第2開口312が封止された状態(第2閉弁状態)を示している。図15に示すように、継手本体321は、周方向に沿った溝であるフランジ取付部324を有する。図12図14に示すように、フランジ取付部324にはフランジ322が取り付けられている。フランジ322は、複数の係合部325を有する。係合部325は、ストレート型管継手310とエルボ型管継手10とが接続する際に、エルボ型管継手10と係合する。図15に示すように、継手本体321の-Z方向の周上には、複数の爪部326および第2シール部材302が設けられている。複数の爪部326は、配管323が接続する際に、配管323と係合する。第2シール部材302は、配管323と継手本体321との間に挟まれ、管と継手本体321との間を封止する。
【0031】
図6に示すように、継手本体321の内部には、第2フラップ弁装置400が収容されている。第2フラップ弁装置400は、ストレート型管継手310とエルボ型管継手10とが接続されていない状態においては、第2開口312を封止している。第2フラップ弁装置400の詳細構成については、後述する。第2フラップ弁装置400と継手本体321の間には、第2シール部459が挟まれている。第2シール部459は、第2フラップ弁装置400と継手本体321との間を封止している。第2開口312は、継手本体321のZ軸方向の両端を連通させる開口である。また、第2開口312は、-Y方向に向かうにつれて-Z方向に位置するように傾いた開口である。換言すると、第2開口312の第4中心軸C4は、継手本体321の第1中心軸C1に対して傾いている。具体的には、第4中心軸C4は、第1中心軸C1に対して45度傾いている。なお、傾きの角度は、45度に限らず30度~60度の任意の角度であってよい。第4中心軸C4が第1中心軸C1に対して傾いている理由は、後述する。また、第2開口312は、第4中心軸C4の方向に見て、第2開口312の中心P1が、第2開口312と第1中心軸C1との交点P2に比べて長軸に沿った方向において、第2弁体450の第2回転軸から遠い側に位置するように、弁座部311に形成されている。中心P1と交点P2とのずれについては、後述する。
【0032】
A5.第2フラップ弁装置400の詳細構成:
図17および図18は、第2フラップ弁装置400の詳細構成を示す斜視図である。第2フラップ弁装置400は、固定部材410と、第2弁体450と、第2弾性部材430とを備える。
【0033】
固定部材410は、X軸方向とZ軸方向とに延びる矩形板状の部材である。図18に示すように固定部材410のX軸方向の両端には、係合溝411が形成されている。図16に示すように、固定部材410は、かかる係合溝411と継手本体321の内壁に沿って設けられた溝とが係合することで、継手本体321内部に配置される。図17および図18に示すように、固定部材410は、第2弾性部材固定部412を備えている。第2弾性部材固定部412は、固定部材410の-Y方向の面に設けられており、第2弾性部材430を固定する。本実施形態において、第2弾性部材430は、屈曲した板バネにより構成されている。第2弾性部材固定部412は、かかる板バネの一端を固定する。これにより、第2弾性部材固定部412は、第2弾性部材430の一方の端部を固定端として機能させる。
【0034】
固定部材410は、係合溝411、第2弾性部材固定部412に加えて、一対の第2軸受部414を備える。一対の第2軸受部414は、固定部材410の+Z方向の端部において、X軸方向の両端に形成されている。第2軸受部414は、第2弁体450の一対の第2軸部453を回動可能に支持している。本実施形態において、第2軸受部414には、第2軸部453が+Z方向かつ-Y方向に移動できる隙間、すなわち遊びが設けられている。遊びは、第2軸部453が第2開口312の第4中心軸C4と平行な方向に移動可能に設けられている。遊びに沿った第2弁体450の移動については、後述する。
【0035】
図19および図20は、第2弁体450の詳細構成を示す斜視図である。第2弁体450は、エルボ型管継手10との接続時において、X軸方向に平行な第2回転軸を中心に回動可能に構成されている。第2弁体450は、弁座部311の第2開口312を封止することにより第2閉弁状態を実現し、第2開口312を開放させることにより第2開弁状態を実現する。
【0036】
第2弁体450は、上述した一対の第2軸部453の他、第2本体部455と、一対の第2弾性部材ガイド部451と、第2突出部457と、第2押圧部458と、支持部452とを備えている。
【0037】
第2本体部455は、薄い円柱状の外観形状を有する。第2本体部455は、第2閉弁状態において第2開口312と同一の第4中心軸C4を有する。第2本体部455は、第4中心軸C4方向に見て、第2開口312を封止する楕円状の外観形状を有する。上述のように、第4中心軸C4は、第1中心軸C1に対して傾いている。図21は、第4中心軸C4が第1中心軸C1に対して傾いている効果を説明するための説明図である。図21の左側には、本実施形態の継手本体321および第2本体部455が模式的に表されている。図21の左側に示されている破線は、第2閉弁状態の第2本体部455の位置を示す。また、図21の左側に示されている実線は、第2本体部455の-Y方向かつ+Z方向の端部が+Z方向から第1中心軸C1に平行な方向に距離d1押され、第2開弁状態となった第2本体部455の位置を示す。図21の右側には、比較例として、配管600と弁650が模式的に表されている。配管600は、中心軸C10を有する直線状の管である。配管600内には、中心軸C10と平行な中心軸C20を有する開口620が設けられている。弁650は、中心軸C10と平行な中心軸C20を有し、X軸方向に平行な回転軸により回動可能に構成されている。弁650は、回動することで開口620を封止する閉弁状態と、開口620を開放する開弁状態とに切り替わる。図21の右側に示されている破線は、閉弁状態の弁650の位置を示す。また、図21の右側に示されている実線は、弁650の-Y方向かつ+Z方向の端部が、+Z方向から中心軸C10および中心軸C20に平行な方向に距離d1押されることで開弁状態となった弁650の位置を示す。図21から明らかなように、第2本体部455と弁650とをそれぞれ同じ距離d1押した場合、本実施形態のように第1中心軸C1に対して第4中心軸C4が傾いていることで、第1中心軸C1方向に見て、第2開弁状態の第2本体部455近傍の流路断面積を、比較例と比べてより大きくすることができる。これにより、継手本体321内部を流れる冷却媒体の圧力損失をより低減できる。このため、本実施形態では、第4中心軸C4は、第1中心軸C1に対して傾いている。
【0038】
また、傾きの角度は30度~60度であることが好ましい。角度が小さい(例えば30度未満)場合、第2開弁状態における流路断面積が小さくなる。他方、角度が大きい(例えば60度超)場合、他の継手と接続する際に+Z方向から伝えられる力が、X軸方向またはY軸方向に逃げてしまうため、第2本体部455を押すために必要な力が増大する。また、第2閉弁状態および第2開弁状態のいずれにおいても、角度が小さい場合と比較して、第2弾性部材430に加えられる力が大きくなるので、第2弾性部材430が破損する虞がある。このため、傾きの角度は30度~60度であることが好ましい。
【0039】
図20に示すように、一対の第2弾性部材ガイド部451は、第2本体部455における-Z方向の端面である面S3において、互いにX軸方向に所定の距離だけ離れて設けられている。第2弾性部材ガイド部451は、略四角柱状の外観形状を有し、面S3から-Z方向に突出している。図16および図18に示すように、面S3において、一対の第2弾性部材ガイド部451に挟まれた領域SP3には、第2弾性部材430の第2折返部433が配置されている。領域SP3のX軸方向の長さは、第2折返部433のX軸方向の長さより長い。
【0040】
ここで、第2弾性部材430の構成について説明する。上述のように、第2弾性部材430は屈曲した板バネにより構成されており、+Y方向の端部は、第2弾性部材固定部412により固定されている。第2弾性部材430は、上述の端部の他、端部に連なる第2中間部431と、第2中間部431に連なり端部とは反対側の端に位置する第2折返部433とを備える。上述のとおり端部は固定端であるのに対し、第2中間部431および第2折返部433は、解放されている。すなわち、第2中間部431および第2折返部433は、第2弁体450に固定されておらず、加えられる応力により変形および移動可能である。図6に示すように、第2中間部431は、-Y方向に向かうにつれて-Z方向に位置するように斜めに配置されている。図16および図18に示すように、第2中間部431には開口が設けられており、軽量化や付勢力の低減化が図られている。図16および図18に示すように、第2折返部433は、第2本体部455の面S3と接した部分を境として第2中間部431とは反対の斜面を形成するように屈曲している。解放されている第2折返部433は、第2開弁状態と第2閉弁状態とが切り替わる際に、面S3と接する位置が変化するように、面S3上を滑るように移動する。一対の第2弾性部材ガイド部451は、かかる移動時において第2折返部433がX軸方向に過剰に変位して領域SP3から外れてしまうことを規制する。
【0041】
図19および図20に示すように、支持部452は、第2軸部453と第2本体部455との間に設けられており、第2軸部453のX軸方向中央付近と第2本体部455とを連結する。
【0042】
図17図20に示すように、第2突出部457は、棒状の外観形状を有する。第2突出部457は、第2本体部455の+Z方向の面である第2露出面456から突出し、自身の先端において第2押圧部458と連なる。第2押圧部458は、湾曲した板状の外観形状を有する。第2押圧部458において、第2突出部457の先端と連なる面とは厚さ方向において反対側となる面S4(以下「接触面S4」と呼ぶ)は、ストレート型管継手310とエルボ型管継手10とが接続する際に、エルボ型管継手10の第1押圧部158(接触面S2)と接触する。
【0043】
接触面S4は、インボリュート曲線の集合である曲面で構成されている。換言すると、接触面S4は、その断面がインボリュート曲線である曲面であるといえる。インボリュート曲線とは、その法線が常に一つの定円に接するような平面曲面である。断面形状がインボリュート曲線である曲面によって接触面S4が構成されている理由については、後述する。
【0044】
A6.エルボ型管継手10とストレート型管継手310との連結および脱抜動作:
図22図25は、管継手500の断面を示す断面図である。図22図25では、図6と同様に、図1のVI-VI断面線での断面を示している。図22図25は、エルボ型管継手10とストレート型管継手310が接続され、第1フラップ弁装置100および第2フラップ弁装置400が開弁する様子を時系列順に示している。本実施形態では、第2フラップ弁装置400が第2開弁状態となった後に、第1フラップ弁装置100が第1開弁状態となるように、第1弾性部材130および第2弾性部材430が構成されている。
【0045】
図22に示すように、エルボ型管継手10に対してストレート型管継手310が+Z方向に移動すると、継手本体321が、第1管接続部21の内孔h1に挿入される。このとき、第1管接続部21の中心軸と、継手本体321の中心軸とが一致するように継手本体321は挿入される。継手本体321の挿入により、第1押圧部158における接触面S2と、第2押圧部458における接触面S4とが接触する。このとき、接触部分Aは、第1中心軸C1上にある。
【0046】
図23に示すように、図22の状態から更に継手本体321の挿入が進むと、第1押圧部158は、第2押圧部458を-Z方向に押圧する。ここで、本実施形態では、接触面S2および接触面S4は、インボリュート曲線の集合である曲面で構成されている。このため、第1押圧部158が第2押圧部458を押圧するにしたがって、第1押圧部158および第2押圧部458の接触部分Aは、接触面S4において接触面S4の長手方向に沿って曲線状に変位する。これにより、第2弁体450は、第2軸部453を中心として図23に示す矢印方向に回動することとなる。かかる回動により、第2弁体450は全体として-Z方向に押されて変位し、第2開弁状態となる。したがって、図23に示すように第2開口312は開放され、第2開口312を介して、第1管接続部21の内孔h1と、継手本体321の+Z方向および-Z方向の開口とは、互いに連通する。図22図25の第2フラップ弁装置400近傍に示す矢印は、第2弁体450の回動する際の第2回転軸の位置の軌跡T2を示す。上述したように第2軸受部414には、第2軸部453が第2開口312の第4中心軸C4と平行な方向に移動可能に遊びが設けられている。このため、第2弁体450は、X軸方向に平行な第2回転軸を中心として回転し、第2弁体450の第2回転軸は、+Y方向かつ-Z方向に遊びに沿って移動する。これにより、第2弁体450の第2回転軸は、第4中心軸C4と平行な軌跡T2を描くように移動する。
【0047】
図24に示すように、図23の状態から更に継手本体321の挿入が進むと、第2押圧部458は、第1押圧部158を+Z方向に押圧する。上述の通り、接触面S2および接触面S4は、インボリュート曲線の集合である曲面で構成されている。このため、第1押圧部158および第2押圧部458の接触部分Aは、接触面S2において接触面S2の長手方向に沿って曲線状に変位する。これにより、第1弁体150は、第1軸部153を中心として図24の第1フラップ弁装置100近傍に示す矢印方向に回動することとなる。かかる回動により、第1弁体150は全体として+Z方向に押されて変位する。したがって、図24に示すように第1開口112は開放され、第1開口112を介して、第1内孔h1、第2内孔h2および弁収容空間h3は、互いに連通する。
【0048】
図25に示すように、図24の状態から更に継手本体321の挿入が進むと、第2押圧部458が第1押圧部158を+Z方向に更に押圧することで、第1開口112の開度が更に大きくなる。継手本体321の+Z方向の先端が底部111に突き当たると、継手本体321の挿入は止められ、作業員は、リテーナ30を第1管接続部21に取り付け、エルボ型管継手10とストレート型管継手310との接続は完了する。
【0049】
図24および25に示すように、第1内孔h1と、弁収容空間h3と、内孔h2とを結ぶ冷却媒体の流路として、第1開口112において第1弁体150よりも+Y方向に生じた空隙を通る流路が形成される。かかる流路は、第1内孔h1と第2内孔h2とを最短で結ぶ流路である。このため、圧力損失を抑えることができる。なお、図25に示すように、第1弁体150は、図22に示す第1閉弁状態と比べて回動するとともに+Z方向に移動している。これにより、第1内孔h1と、弁収容空間h3と、内孔h2とを結ぶ冷却媒体の流路として、第1開口112において第1弁体150よりも-Y方向に生じた空隙を通る流路も形成される。この流路は、第1弁体150と第1弾性部材支持部113との間を通り、さらに、第1弾性部材130の横を回り込み或いは第1弾性部材130の開口を通って第2内孔h2へと向かう流路である。ここで、図22図25に示すように、弁収容部23において、+Z方向端部且つ-Y方向端部の内壁231は、-Z方向且つ+Y方向を略法線方向とする斜面として形成されている。言い換えると、弁収容部23の内壁は、面取りされているように形成されている。これにより、図25に示す第1開弁状態において、上述した第1弾性部材130側を通る流路をコンパクトにすることができ、かかる流路を短くして圧力損失を低減できる。
【0050】
図6図22図25に示すように、第1押圧部158は、+Z方向に見て、第1弁体150のうち、第2中心軸C2およびY軸と平行な方向において、第1回転軸(軌跡T1)に近い側に設けられている。「第2中心軸C2およびY軸と平行な方向において第1回転軸に近い側」とは、第1弁体150をY軸方向と平行な方向に2つに分けた場合における、より第1回転軸に近い側、という意味である。このように、第1押圧部158が+Z方向に見て第1弁体150における第1回転軸に近い側に設けられていることにより、第1弁体150は、第1回転軸に近い側においてストレート型管継手310(第2押圧部458)から+Z方向に押されることとなる。このため、第1押圧部158が第1回転軸から遠い側に設けられている構成に比べて、第1中心軸C1に沿って同じ長さ分だけストレート型管継手310(第2押圧部458)によって+Z方向に押された場合に、より大きな角度で第1弁体150を回転させることができる。これにより、弁収容空間h3内において第1弁体150の近傍における冷却媒体の流路断面積をより大きくして、圧力損失をより低減できる。
【0051】
そして、上述の第1押圧部158が第2中心軸C2およびY軸と平行な方向において第1回転軸に近い側に設けられるようにするために、本実施形態では、第1突出部157および第1押圧部158の設置態様が調整されている。具体的には、図6に示すように、第1突出部157は、第1閉弁状態において、第1弁体150(第1露出面156)の中心から-Y方向且つ-Z方向に延びるように形成されている。このため、第1突出部157の先端に設けられた第1押圧部158(接触面S2)は、+Z方向に見て、第2中心軸C2およびY軸と平行な方向において回転軸に近い側に位置することとなる。
【0052】
また、第1弁体150が第1回転軸に近い側においてストレート型管継手310(第2押圧部458)から+Z方向に押されるようにするために、図9を用いて説明した「第1内孔h1の第1中心軸C1と第1開口112の第3中心軸C3とのY軸方向の位置ずれ」が形成されている。具体的には、第1開口112は、第1開口112の第3中心軸C3が第2中心軸C2およびY軸と平行な方向に沿って、第1回転軸から遠い位置に位置するように、弁座部材110の底部111に形成されている。このため、第1開口112を封止する第1弁体150は、その中心軸が第1閉弁状態において第1中心軸C1と比べてY軸方向に沿って第1回転軸(軌跡T1)から遠い位置に位置することとなる。他方、ストレート型管継手310は、その中心軸が第1内孔h1の第1中心軸C1と一致するように第1内孔h1に挿入される。このため、第1閉弁状態において、第1押圧部158は、第1弁体150が第1回転軸に近い側においてストレート型管継手310(第2押圧部458)から+Z方向に押されることとなる。
【0053】
図25に示すように、第1開弁状態において、第1突出部157は、第1中心軸C1と平行に配置される。換言すると、第1突出部157は、その中心軸が第1内孔h1の第1中心軸C1と平行となるように配置される。このため、Z軸方向に見た第1突出部157の面積を小さくできる。これにより、+Z方向に第1内孔h1を流れて弁収容空間h3内に流入した冷却媒体の圧力損失を低減できる。
【0054】
図6および図25に示すように、第2押圧部458は、第4中心軸C4方向に見て、第2弁体450のうち、楕円状の第2本体部455の長軸に沿った方向において、第2回転軸(軌跡T2)に近い側に設けられている。「第2本体部455の長軸に沿った方向において、第2回転軸に近い側」とは、第2弁体450を第2本体部455の長軸に沿った方向に2つに分けた場合における、より第2回転軸に近い側、という意味である。このように、第2押圧部458が第4中心軸C4方向に見て、第2弁体450における第2回転軸に近い側に設けられていることにより、第2弁体450は、第2回転軸に近い側においてエルボ型管継手10(第1押圧部158)から-Z方向に押されることとなる。このため、第2押圧部458が第2回転軸から遠い側に設けられている構成に比べて、第1中心軸C1に沿って同じ長さ分だけエルボ型管継手10(第1押圧部158)によって-Z方向に押された場合に、より大きな角度で第2弁体450を回転させることができる。これにより、第2弁体450の近傍における冷却媒体の流路断面積をより大きくして、圧力損失をより低減できる。
【0055】
また、図6および図22に示すように第2突出部457は、第2閉弁状態において継手本体321の第1中心軸C1と平行に設けられている。このため、第1中心軸C1と平行な方向に沿って継手本体321とエルボ型管継手10とが接続される際に、第2押圧部458に加えられる力が、確実に第2本体部455に伝わるので、第2閉弁状態の解除を円滑に行うことができる。
【0056】
また、図6に示すように、第2弁体450が第2回転軸に近い側においてエルボ型管継手10(第1押圧部158)から-Z方向に押されるようにするために、第4中心軸C4の方向に見て、第2開口312の中心P1が、第2開口312と第1中心軸C1との交点P2に比べて、楕円状の第2開口312の長軸に沿った方向において、第2回転軸(軌跡T2)から遠い側に位置するように、弁座部311に形成されている。また、第2開口312を封止する第2本体部455の中心も、第2閉弁状態において、第4中心軸C4方向に見て、第2開口312と第1中心軸C1との交点P2に比べて、楕円状の第2本体部455の長軸に沿った方向において、第2回転軸(軌跡T2)から遠い側に位置する。他方、エルボ型管継手10は、その中心軸が継手本体321の第1中心軸C1と一致するように接続される。このため、第2閉弁状態において、第2押圧部458は、第2弁体450のうちの第2回転軸に近い側において、エルボ型管継手10(第2押圧部458)から-Z方向に押されることとなる。
【0057】
接触面S2および接触面S4は、いずれもインボリュート曲線の集合である曲面であるため、第1押圧部158と第2押圧部458とが接触し、互いに押圧しあうときに、接触部分Aが曲面に沿って移動し、第1弁体150および第2弁体450の回動が実現できる。また、このときの接触部分Aの位置が、X軸方向およびY軸方向において過剰に変位することを抑制でき、第1弁体150および第2弁体450の回動を滑らかに行わせることができる。また、接触面S2および接触面S4の長手方向が、Z軸方向に見ていずれもY軸方向で一致しているので、接触部分Aは、点または線状となる。このため、面で接触する構成に比べて大きな圧力を第1弁体150および第2弁体450に加えることができる。
【0058】
また、接触面S2および接触面S4はインボリュート曲線の集合である曲面で構成され、且つ接触面S2および接触面S4は第1中心軸C1上で接触するように構成されている。すなわち、接触部分Aが点である場合、接触部分Aは第1中心軸C1上に在り、接触部分Aが線である場合、接触部分Aは第1中心軸C1と交差する。かかる構成により、ストレート型管継手310が第1中心軸C1に沿った方向にエルボ型管継手10に挿入される際に、第1中心軸C1上の接触部分Aに力が加えられるので、第1中心軸C1上以外に接触部分Aが在る構成と比較して、第1弁体150および第2弁体450の開度を安定させることができる。
【0059】
以上説明した実施形態の管継手500によれば、エルボ型管継手10は、互いに交差する中心軸(第1中心軸C1および第2中心軸C2)を有する第1管接続部21および第2管接続部22と、弁収容部23と、弁収容部23に収容され、回動することにより第1開弁状態と第2閉弁状態とを切り替える第1フラップ弁装置100とを備え、ストレート型管継手310は、継手本体321内部に回動することにより第2開弁状態と第2閉弁状態とを切り替える第2フラップ弁装置400を備えるので、第1中心軸C1および第2中心軸C2に沿った方向において狭い空間しか確保できない状況においても、第1フラップ弁装置100および第2フラップ弁装置400の開閉動作を実現できる。このため、エルボ型管継手10およびストレート型管継手310の連結および脱抜を、狭い環境において実現できる。加えて、第1フラップ弁装置100および第2フラップ弁装置400により弁の開閉を実現するので、プランジャー弁と比較して、流路抵抗(圧力損失)を低減できる。また、第1フラップ弁装置100および第2フラップ弁装置400により弁の開閉を実現するので、軸方向に伸びる構成を要するプランジャー弁と比較して、構成をよりコンパクトにできる。
【0060】
また、第1フラップ弁装置100は、第1開口112が形成された底部111を有する有底筒状の弁座部材110と、第1弁体150と、第1弾性部材130とを有し、第2フラップ弁装置400は、第2弁体450と、第2弾性部材430とを有するので、エルボ型管継手10とストレート型管継手310とが接続されていない状態においては、第1弾性部材130により第1弁体150が第1開口112を封止するように付勢して第1閉弁状態を実現し、第2弾性部材430により第2弁体450が第2開口312を封止するように付勢して第2閉弁状態を実現できる。他方、エルボ型管継手10とストレート型管継手310とが接続された状態においては、第1弁体150は回動により第1開口112を開放して第1開弁状態を実現し、第2弁体450は回動により第2開口312を開放して第2開弁状態を実現できる。
【0061】
第2開口312は、第2開口312の第4中心軸C4が、第1中心軸C1に対して、30度~60度傾くように弁座部311に形成されているので、第2開口312の第4中心軸C4が第1中心軸C1と平行である場合と比較して、第2弁体450が第1中心軸C1に沿って同じ長さ分だけ押された場合に、継手本体321内部の流路断面積をより大きくでき、圧力損失をより低減できる。また、傾きの角度が30度~60度なので、傾きの角度が比較的小さい構成と比較して、第2開弁状態における継手本体321内部の流路断面積を大きくできる。他方、傾きの角度が比較的大きい構成と比較して、第2閉弁状態から第2開弁状態に移行させるために要する力を低減できる。また、傾きの角度が比較的大きい構成と比較して、第2開弁状態および第2閉弁状態のいずれにおいても、第2弾性部材430に加えられる負荷が小さいので、第2弾性部材430の破損を抑制できる。
【0062】
また、第2開口312は、第4中心軸C4方向に見て楕円状の外観形状を有するように、弁座部311に形成されているので、真円状である場合と比較して、第1中心軸C1に対して傾いた第4中心軸C4を有する第2開口312において開口面積をより大きくできる。これにより、圧力損失をより低減できる。また、第2弁体450は、第2閉弁状態において、第4中心軸C4方向に見て楕円状の外観形状の第2本体部455を有するので、第2開口312を確実に封止できる。
【0063】
また、第1押圧部158は、第1弁体150のうち、第2中心軸C2と平行な方向において第1回転軸に近い側に設けられているので、第1回転軸から遠い側に設けられている構成と比べて、第1中心軸C1に沿って同じ長さ分だけストレート型管継手310(第2押圧部458)により第1押圧部158が押された場合に、より大きな角度で第1弁体150を回動させることができる。これにより、弁収容空間h3における流路断面積をより大きくして、圧力損失をより低減できる。加えて、第2押圧部458は、第4中心軸C4方向に見て、第2弁体450のうち、楕円状の第2本体部455の長軸に沿った方向において、第2回転軸に近い側に設けられているので、第2押圧部458が第2回転軸から遠い側に設けられている構成と比較して、第1中心軸C1に沿って同じ長さ分だけエルボ型管継手10(第1押圧部158)により第2押圧部458が押された場合に、より大きな角度で第2弁体450を回動させることができる。これにより継手本体321内部における流路断面積をより大きくして、圧力損失をより低減できる。また、第1押圧部158と第2押圧部458とは、エルボ型管継手10とストレート型管継手310とが連結されると、第1中心軸C1と平行な方向に互いに押し合い、第1フラップ弁装置100は第1開弁状態となり、第2フラップ弁装置400は第2開弁状態となるので、エルボ型管継手10およびストレート型管継手310を連結することで、互いの内部を連通させることができる。
【0064】
また、第1開口112は、第1開口112の第3中心軸C3が、第1中心軸C1と平行であり、且つ第1中心軸C1と比べて第2中心軸C2と平行な方向に沿って第1回転軸から遠い側に位置するように、前記底部111に形成されているので、第1管接続部21にストレート型管継手310が接続される際に、ストレート型管継手310の中心軸が第1中心軸C1と一致するように接続され、且つストレート型管継手310の中心軸上の部位(第2押圧部458)で第1押圧部158を押す構成においては、第1弁体150のうち第2中心軸C2に沿った方向において第1回転軸に近い側に設けられた第1押圧部158をより高い確度で押すことができる。加えて、第2開口312は、第4中心軸C4方向に見て、第2開口312の中心P1が、第2開口312と第1中心軸C1との交点P2に比べて長軸に沿った方向において、第2回転軸から遠い側に位置するように、弁座部311に形成されているので、継手本体321にエルボ型管継手10が接続される際に、エルボ型管継手10の中心軸が第1中心軸C1と一致するように接続され、且つエルボ型管継手10の中心軸上の部位(第1押圧部158)で第2押圧部458を押す構成においては、第2弁体450のうち長軸に沿った方向において第2回転軸に近い側に設けられた第2押圧部458をより高い確度で押すことができる。
【0065】
また、第1弁体150は、第1露出面156から突出し、先端において第1押圧部158と連なる棒状の第1突出部157を有するので、第1管接続部21にエルボ型管継手10が接続される際に、第1弁体150のうち、第1押圧部158とは異なる部位が押されることを抑制できる。加えて、第2弁体450は、第2露出面456から突出し、先端において第2押圧部458と連なる棒状の第2突出部457を有するので、継手本体321にストレート型管継手310が接続される際に、第2弁体450のうち、第2押圧部458と異なる部位が押されることを抑制できる。
【0066】
また、第1突出部157は、第1開弁状態において、第1中心軸C1と平行に配置されているので、第1中心軸C1方向に見たときの第1突出部157の面積を小さくできる。このため、第1内孔h1から弁収容空間h3に流入する際の流体の圧力損失を低減できる。加えて、第2突出部457は、第2閉弁状態において、第1中心軸C1と平行に配置されているので、エルボ型管継手10が接続される際に、第2押圧部458に加えられた力が確実に第2本体部455に伝えられる。これにより、第2閉弁状態の解除を小さな力で円滑に行うことができる。
【0067】
また、第1押圧部158および第2押圧部458のうちで、互いに接触する接触面S2,S4は、いずれもインボリュート曲線の集合である曲面により構成されているので、第1押圧部158と第2押圧部458との接触位置が過剰に変位することを抑制でき、また、接触部分Aを点または線で構成できるので、エルボ型管継手10およびストレート型管継手310の接続時に安定して押圧力を第1弁体150および第2弁体450に伝えることができる。このため、第1弁体150および第2弁体450の回動を滑らかに行うことができると共に、小さな力で第1弁体150および第2弁体450を回動させることができる。
【0068】
また、第1押圧部158および第2押圧部458は、第1中心軸C1上で互いに接触するので、ストレート型管継手310が第1中心軸C1に沿った方向にエルボ型管継手10に挿入される際に、第1中心軸C1上の接触部分Aに力が加えられるので、第1中心軸C1上以外で第1押圧部158と第2押圧部458とが接触する構成と比較して、第1弁体150および第2弁体450の開度を安定させることができる。
【0069】
B.他の実施形態:
(B1)上記実施形態では、第1管接続部21と、第2管接続部22と、弁収容部23とは一体形成されていたが、これらのうちの少なくとも一部は、互いに別体となるように構成されていてもよい。
【0070】
(B2)上記実施形態において、第1弾性部材130および第2弾性部材430は、板バネにより構成されていたが、板バネに限らず、コイルバネやエラストマで形成された円柱状の部材など、第1弁体150および第2弁体450を付勢可能な任意の種類の弾性を有する部材により構成されてもよい。
【0071】
(B3)上記実施形態において、弁座部材110を省略してもよい。具体的には、例えば、弁収容部23を、内部に弁収容空間h3を横断する板状の区画壁を設ける構造とし、かかる区画壁に開口を設け、かかる開口を第1弁体150が封止または解放する構成としてもよい。かかる構成においても、実施形態の管継手500と同様な効果を奏する。
【0072】
(B4)上記実施形態において、接触面S2と接触面S4とのうちの少なくとも一方は、インボリュート曲線の集合である曲面に代えて、球面の一部である曲面であってもよい。また、接触面S2と接触面S4とのうちの少なくとも一方は、平面であってもよい。かかる構成においても、第2押圧部458は、第1押圧部158を+Z方向に押圧でき、また、第1押圧部158は第2押圧部458から力を受けることができる。
【0073】
(B5)上記実施形態のエルボ型管継手10は、あくまでも一例であり、様々に変形可能である。例えば、第1押圧部158は、第1弁体150のうち、第2中心軸C2(Y軸)と平行な方向において、回転軸から遠い側や、中央位置に設けられていてもよい。また、第1弁体150において、第1突出部157を省略してもよい。かかる構成においては、例えば、第1露出面156をインボリュート曲線の集合である曲面で構成し、第1露出面156をストレート型管継手310により押圧される構成としてもよい。かかる構成では、第1露出面156と第1押圧部158および接触面S2とは一致する。また、第1押圧部158は、第1開弁状態において、第1中心軸C1と平行ではなく交差する構成としてもよい。また、第1突出部157は、第1開弁状態において、第1中心軸C1と交差する構成であってもよい。
【0074】
(B6)上記実施形態のストレート型管継手310は、あくまでも一例であり、様々に変形可能である。例えば、第2押圧部458は、第2弁体450のうち、第2中心軸C2(Y軸)と平行な方向において、回転軸から遠い側や、中央位置に設けられていてもよい。また、第2弁体450において、第2突出部457を省略してもよい。かかる構成においては、例えば、第2露出面456をインボリュート曲線の集合である曲面で構成し、第2露出面456をエルボ型管継手10により押圧される構成としてもよい。かかる構成では、第2露出面456と第2押圧部458および接触面S4とは一致する。また、第2押圧部458は、第2閉弁状態において、第1中心軸C1と平行ではなく交差する構成としてもよい。また、第2突出部457は、第2開弁状態において、第1中心軸C1と交差する構成であってもよい。
【0075】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
10…エルボ型管継手、21…第1管接続部、22…第2管接続部、23…弁収容部、30…リテーナ、31…係合部、100…第1フラップ弁装置、101…係合部材、102…第1シール部材、103…係合溝、110…弁座部材、111…底部、112…第1開口、113…第1弾性部材支持部、114…第1軸受部、130…第1弾性部材、131…第1中間部、132…端部、133…第1折返部、150…第1弁体、151…第1弾性部材ガイド部、152…支持腕部、153…第1軸部、153…軸部、155…第1本体部、156…第1露出面、157…第1突出部、158…第1押圧部、159…第1シール部、231…内壁、302…第2シール部材、310…ストレート型管継手、311…弁座部、312…第2開口、321…継手本体、322…フランジ、323…配管、324…フランジ取付部、325…係合部、326…爪部、400…第2フラップ弁装置、410…固定部材、411…係合溝、412…第2弾性部材固定部、414…第2軸受部、430…第2弾性部材、431…第2中間部、433…第2折返部、450…第2弁体、451…第2弾性部材ガイド部、452…支持部、453…第2軸部、455…第2本体部、456…第2露出面、457…第2突出部、458…第2押圧部、459…第2シール部、500…管継手、600…配管、620…開口、650…弁、800…継手、C1…第1中心軸、C10…中心軸、C2…第2中心軸、C20…中心軸、C3…第3中心軸、C4…第4中心軸、P…中心、S1…面、S2…接触面、S3…面、S4…接触面、SP1…内側空間、SP2…領域、SP3…領域、A…接触部分、T1…軌跡、T2…軌跡、h1…第1内孔、h2…第2内孔、h3…弁収容空間
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