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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073703
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】ミキシングバルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/68 20060101AFI20240523BHJP
   F16K 11/04 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
F16K31/68 D
F16K11/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184548
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】杉江 悠一
(72)【発明者】
【氏名】岸本 理心
【テーマコード(参考)】
3H057
3H067
【Fターム(参考)】
3H057AA05
3H057BB04
3H057CC12
3H057DD03
3H057EE03
3H057FA01
3H057FA11
3H057FA22
3H057FB00
3H057FC05
3H057HH03
3H057HH14
3H067AA01
3H067CC02
3H067DD05
3H067DD12
3H067DD35
3H067EA01
3H067EA21
3H067EC01
3H067FF02
3H067GG13
(57)【要約】
【課題】閉弁時における弁体のシール性を向上させる。
【解決手段】ミキシングバルブ10は、第1流体が流入する第1流入路21、第1流体の温度と異なる温度の第2流体が流入する第2流入路22、第1流体と第2流体とを混合する混合流路25、及び、混合流路25の流体を流出させる流出路26を有するケーシング2と、第2流入路22と混合流路25との接続部分に配置された弁座部材6と、弁座部材6に離着座する弁体7とを備える。弁座部材6は、第2流入路22と混合流路25とを連通させる弁孔61と、弁孔61を囲むシート面62とを有する。弁体7は、シート面62と交差する方向に移動してシート面62に離着座することによって弁孔61を開閉する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体が流入する第1流入路、前記第1流体の温度と異なる温度の第2流体が流入する第2流入路、前記第1流体と前記第2流体とを混合する混合流路、及び、前記混合流路の流体を流出させる流出路を有するケーシングと、
前記第2流入路と前記混合流路との接続部分に配置された弁座部材と、
前記弁座部材に離着座する弁体とを備え、
前記弁座部材は、前記第2流入路と前記混合流路とを連通させる弁孔と、前記弁孔を囲むシート面とを有し、
前記弁体は、前記シート面と交差する方向に移動して前記シート面に離着座することによって前記弁孔を開閉するミキシングバルブ。
【請求項2】
請求項1に記載のミキシングバルブにおいて、
前記第2流入路は、前記弁孔と連通すると共に前記シート面が配置された弁室を含み、
前記弁体は、前記シート面に対向するように前記弁室に配置され、
前記弁体は、前記シート面とは反対の方を向いて前記第2流体の圧力を受ける受圧面を有するミキシングバルブ。
【請求項3】
請求項2に記載のミキシングバルブにおいて、
前記ケーシングは、前記シート面に対向して前記弁室を区画する対向面をさらに有し、
前記弁体は、前記受圧面が前記対向面と対向するように前記弁室に配置され、
前記第2流入路は、前記第2流体を前記弁室へ供給する複数の供給路をさらに含み、
前記複数の供給路の下流端は、前記対向面においてそれぞれ分離して開口したミキシングバルブ。
【請求項4】
請求項1に記載のミキシングバルブにおいて、
前記弁体を前記シート面に着座する方へ付勢する弾性体をさらに備えたミキシングバルブ。
【請求項5】
請求項1に記載のミキシングバルブにおいて、
前記第1流入路及び前記流出路のそれぞれは、前記混合流路に直接連通するミキシングバルブ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載のミキシングバルブにおいて、
前記混合流路を流通する流体の温度に応じて前記弁体を移動させて、前記弁体を前記シート面に離着座させるアクチュエータをさらに備え、
前記弁体は、前記第2流入路から前記弁孔を介して前記混合流路へ突出し、前記アクチュエータに連結されるシャフトをさらに有するミキシングバルブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、ミキシングバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、温水に冷水を混合させて温水の温度を調節するミキシングバルブが開示されている。ミキシングバルブは、ケーシングと、ケーシングに収容された弁体と、弁体を移動させる駆動部とを備えている。ケーシングには、直線状に延びる冷温水の混合流路、混合流路の上流端に連通する温水流入口、及び混合流路の途中に連通する冷水流入口が設けられている。弁体は、混合流路に設けられている。弁体は、混合流路と略同軸の円筒状に形成されている。弁体の内部空間は、温水流入口に連通している。弁体は、弁体の内部空間と冷水流入口とを連通させる貫通孔を有している。
【0003】
温水流入口から混合流路に流入した温水は、弁体の内部空間を通過してケーシングの外部へ流出する。駆動部は、混合流路の水の温度に応じて、弁体を混合流路の流路方向に移動させる。弁体の外周面が混合流路を区画するケーシングの内周面に対して摺動することによって、弁体は混合流路の流路方向に移動する。
【0004】
弁体が混合流路の下流側へ移動すると、弁体の貫通孔がケーシングによって閉塞される。これにより、冷水流入口から混合流路への冷水の流入が遮断され、混合流路には、温水流入口から流入した温水が流入する。
【0005】
一方、弁体が混合流路の上流側へ移動すると、冷水流入口と弁体の内部空間とが貫通孔を介して連通する。これにより、冷水流入口の冷水は、貫通孔を介して弁体の内部空間へ流入し、弁体の内部空間を流れる温水と混合される。冷水と温水とが混合されることによって生成された混合水は、ケーシングの外部へ流出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6748337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述したミキシングバルブでは、閉弁時において、弁体とケーシングの内周面との間を密閉させることが難しく、冷水側圧力によっては冷水流入口を閉塞する弁体のシール性を高く維持することが困難な場合がある。
【0008】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、閉弁時における弁体のシール性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここに開示されたミキシングバルブは、第1流体が流入する第1流入路、前記第1流体の温度と異なる温度の第2流体が流入する第2流入路、前記第1流体と前記第2流体とを混合する混合流路、及び、前記混合流路の流体を流出させる流出路を有するケーシングと、前記第2流入路と前記混合流路との接続部分に配置された弁座部材と、前記弁座部材に離着座する弁体とを備え、前記弁座部材は、前記第2流入路と前記混合流路とを連通させる弁孔と、前記弁孔を囲むシート面とを有し、前記弁体は、前記シート面と交差する方向に移動して前記シート面に離着座することによって前記弁孔を開閉する。
【発明の効果】
【0010】
前記ミキシングバルブは、閉弁時における弁体のシール性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、ミキシングバルブの正面図である。
図2図2は、図1のII-II線断面図である。
図3図3は、開弁時のミキシングバルブを示した図2に対応する断面図である。
図4図4は、図2の部分拡大断面図である。
図5図5は、第1蓋の対向面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、ミキシングバルブ10の正面図である。図2は、図1のII-II線断面図である。図3は、開弁時のミキシングバルブ10を示した図2に対応する断面図である。ミキシングバルブ10は、第1流体と、第1流体の温度と異なる温度の第2流体とを混合して所望の温度の流体を生成する。この例では、第1流体及び第2流体のそれぞれは、水である。第2流体の温度は、第1流体の温度よりも低い。
【0013】
ミキシングバルブ10は、例えば、蒸気加熱式の温水生成装置に配置される。蒸気加熱式の温水生成装置は、例えば、低温の水を蒸気によって加熱して高温の水とし、この高温の水に低温の水を混合させて所定温度の温水を生成する。
【0014】
ミキシングバルブ10は、ケーシング2と、ケーシング2内に配置された弁座部材6と、ケーシング2内に移動可能に配置され、弁座部材6に離着座する弁体7とを備えている。ミキシングバルブ10は、弁体7を移動させるアクチュエータ8をさらに備えている。ケーシング2は、第1流体が流入する第1流入路21と、第2流体が流入する第2流入路22と、第1流入路21と第2流入路22とが合流すると共に第1流体と第2流体とを混合する混合流路25と、混合流路25の流体を流出させる流出路26とを有している。弁座部材6は、第2流入路22と混合流路25との接続部分に配置されている。すなわち、第2流入路22の下流端と混合流路25の上流端とは、弁座部材6を介して接続されている。弁座部材6は、第2流入路22と混合流路25とを連通させる弁孔61を有している。弁体7は、第2流入路22の下流端において、弁座部材6に離着座することによって、弁孔61を開閉する。弁体7は、弁孔61の開度を変化させることができる。これにより、第2流入路22から混合流路25へ流入する第2流体の流入量が調整される。流入量の調整には、流入量がゼロになること、即ち弁体7が閉弁することも含まれる。
【0015】
以下、ミキシングバルブ10の各要素について詳述する。ケーシング2は、本体3、並びに本体3に取り付けられた第1蓋4及び第2蓋5を有している。本体3は、所定の軸心Xの方向に延びた筒状、詳しくは円筒状に形成されている。以下、軸心Xが延びる方向を「第1方向」と称する。本体3は、第1方向の一端である第1端3aと、第1端3aとは反対の端である第2端3bとを含んでいる。
【0016】
第1蓋4は、本体3の第1端3aの開口を閉塞するように第1端3aに取り付けられている。第2蓋5は、本体3の第2端3bの開口を閉塞するように第2端3bに取り付けられている。本体3、第1蓋4及び第2蓋5のそれぞれは、例えば、ステンレス等の金属から形成される。
【0017】
ケーシング2は、第1流入路21の流入口となる第1流入ポート32と、第2流入路22の流入口となる第2流入ポート41と、流出路26の流出口となる流出ポート33とを有している。第1流入ポート32及び流出ポート33のそれぞれは、本体3に配置されている。第1流入ポート32及び流出ポート33のそれぞれは、第1方向における本体3の中間部、即ち本体3のうち第1端3a及び第2端3b以外の部分に配置されている。流出ポート33は、第1方向において、第1流入ポート32と第2端3bとの間に位置している。第2流入ポート41は、第1蓋4に配置されている。
【0018】
本体3には、本体3の内部空間を第1端3aの方の空間と第2端3bの方の空間とに区画するように弁座部材6が配置されている。混合流路25は、弁座部材6に対して第2端3b側に配置されている。第2流入路22は、弁座部材6に対して第1端3a側に配置されている。
【0019】
混合流路25は、本体3の内部空間のうち弁座部材6と第2蓋5との間の空間である。混合流路25は、本体3と弁座部材6と第2蓋5とによって区画されている。混合流路25は、第1方向に延びている。
【0020】
第1流入路21は、第1流入ポート32の内部空間である。すなわち、第1流入路21は、第1流入ポート32によって区画されている。第1流入路21は、軸心Xと交差する方向、詳しくは、軸心Xと略直交する方向に延びている。以下、第1流入路21が延びる方向を「第2方向」と称する。
【0021】
第1流入路21の上流端となる流入口は、第1流入ポート32に開口している。第1流入路21には、第1流入ポート32に接続された管から第1流体が流入する。第1流入路21の下流端は、混合流路25に開口している。すなわち、第1流入路21と混合流路25とは、直接連通している。第1流入路21の下流端は、第1方向において、本体3の第2端3bと弁座部材6との間に配置されている。第1流体が第1流入路21から混合流路25へ流入する方向は、軸心Xと交差する方向、詳しくは、第2方向である。
【0022】
流出路26は、流出ポート33の内部空間である。すなわち、流出路26は、流出ポート33によって区画されている。流出路26の上流端は、混合流路25に開口している。すなわち、流出路26と混合流路25とは、直接連通している。流出路26の上流端は、第1方向において、第1流入路21の下流端と本体3の第2端3bとの間に配置されている。流出路26は、軸心Xと交差する方向、詳しくは、軸心X及び第2方向のそれぞれと略直交する方向に延びている。以下、流出路26が延びる方向を単に「第3方向」と称する。流出路26の下流端である流出口は、流出ポート33に開口している。混合流路25の流体が流出路26へ流出する方向は、軸心Xと交差する方向、詳しくは第3方向である。流出路26の流体は、流出ポート33に接続された管へ流出する。
【0023】
図4は、図2の部分拡大断面図である。弁座部材6は、軸心Xと略直交する方向に拡がった平板状に形成されている。弁座部材6は、例えば、ステンレス等の金属から形成される。この例では、弁座部材6は、本体3と一体化している。
【0024】
弁孔61は、弁座部材6を第1方向に貫通している。弁孔61の軸心は、軸心Xと略同軸である。弁孔61は、第2流入路22及び混合流路25のそれぞれに開口している。
【0025】
第2流入路22は、第1方向と概ね一致する方向に延びている。第2流入路22の第2流体が弁孔61に流入する方向は、第1方向と略一致する方向である。具体的には、第2流入路22は、弁体7が配置される弁室23と、第2流体を弁室23へ供給する供給路24とを含んでいる。
【0026】
弁室23は、弁座部材6と第1蓋4との間の空間である。詳しくは、弁座部材6は、弁体7が離着座するシート面62を有している。シート面62は、本体3の第1端3aの方、即ち混合流路25とは反対の方へ臨んでいる。シート面62は、弁孔61を囲む環状に形成されている。詳しくは、シート面62は、円環状に形成されている。シート面62は、軸心Xと交差する平面、詳しくは、軸心Xと略直交する平面である。第1蓋4は、シート面62に対向する対向面42を含んでいる。対向面42は、シート面62と略平行な平面である。シート面62と対向面42とは、第1方向において間隔をあけて配置されている。弁室23は、シート面62と対向面42との間の空間である。換言すれば、シート面62及び対向面42のそれぞれは、弁室23に配置されている。弁室23は、シート面62と対向面42と本体3の内周面とによって区画されている。
【0027】
供給路24は、第1蓋4によって区画されている。供給路24は、第1供給路24aと、第1供給路24aから分岐した複数の第2供給路24bとを含んでいる。複数の第2供給路24bは、複数の供給路の一例である。この例では、供給路24は、3つの第2供給路24bを含んでいる。
【0028】
第1供給路24aは、第1蓋4のうち対向面42とは反対の面に開口する孔である。すなわち、第1供給路24aの上流端である流入口は、第2流入ポート41に開口している。第1供給路24aは、第1方向に延びている。第1供給路24aには、第2流入ポート41に接続された管から第2流体が流入する。
【0029】
第2供給路24bは、第1方向において第1供給路24aと弁室23との間に配置されている。第2供給路24bは、軸心Xの周囲に、軸心Xの周方向に間隔をあけて配置されている。第2供給路24bの上流端は、第1供給路24aに開口している。第2供給路24bは、第2供給路24bの上流端から第2供給路24bの下流側へいくほど軸心Xから離れるように、軸心Xに対して傾斜する方向に延びている。第2供給路24bの下流端は、弁室23に連通している。
【0030】
図5は、第1蓋4の対向面42の説明図である。図5に示すように、複数の第2供給路24bの下流端は、対向面42において1つにまとまらずにそれぞれ分離して開口している。複数の第2供給路24bの下流端は、軸心Xを中心とする周方向に間隔をあけて配置されている。具体的には、複数の第2供給路24bの下流端は、軸心Xを中心とする同心円上に略等間隔で配置されている。
【0031】
弁体7は、弁座部材6のシート面62に対向するように弁室23に配置されている。弁体7は、シート面62に離着座することによって弁孔61を開閉する。弁体7は、シート面62と交差する方向に移動してシート面62に離着座する。詳しくは、弁体7は、シート面62と略直交する方向、すなわち、第1方向と略一致する方向に移動してシート面62に離着座する。弁体7は、シート面62とは反対の方を向いて第2流体の圧力を受ける受圧面75を有している。
【0032】
弁体7は、ベース71と、ベース71に取り付けられたガスケット72と、ベース71に配置されてベース71の移動をガイドするガイド73とを含んでいる。ベース71は、軸心Xと略直交する方向に拡がった平板状に形成されている。ベース71の厚み方向の一方の面が受圧面75である。受圧面75は、軸心Xと略直交する平面である。受圧面75は、複数の第2供給路24bから弁室23に供給された第2流体の圧力を受ける。
【0033】
ガスケット72は、ベース71のうち弁座部材6のシート面62に対向する面、即ち、受圧面75とは反対の面に取り付けられている。ガスケット72は、軸心Xを囲む環状、詳しくは円環状に形成されている。ガスケット72は、ベース71よりも弾性率が小さい材料から形成されている。例えば、ガスケット72は、フッ素度樹脂等の合成樹脂から形成される。
【0034】
ガイド73は、第1方向に延びた棒状に形成されている。ガイド73は、ベース71からシート面62とは反対の方へ延びている。この例では、ガイド73は、ベース71と一体化している。ガイド73の軸心は、軸心Xと略同軸である。一方、第1蓋4には、対向面42に開口するガイド孔43が配置されている。ガイド孔43は、第1方向に延びている。ガイド孔43の軸心は、軸心Xと略同軸である。
【0035】
ガイド73は、第1方向に移動可能にガイド孔43に嵌め込まれている。ガイド73は、ガイド孔43に沿って第1方向に摺動する。これにより、弁体7は、第1方向に移動するようにガイドされる。
【0036】
ミキシングバルブ10は、弁体7をシート面62に着座する方へ付勢する第1バネ91をさらに備えている。第1バネ91は、弾性体の一例である。第1バネ91は、コイルバネである。第1バネ91は、ガイド73の周囲に配置されている。第1バネ91は、第1方向に圧縮された状態で、弁体7の受圧面75と第1蓋4の対向面42との間に配置されている。
【0037】
弁体7は、第1バネ91の付勢力と受圧面75が受ける第2流体の圧力とによってシート面62に押し付けられてシート面62に着座する。具体的には、ベース71は、ガスケット72を介してシート面62に押し付けられる。これにより、ベース71とシート面62との間が密閉され、弁孔61が弁体7によって閉塞される。すなわち、弁体7が閉弁する。
【0038】
弁体7は、第1バネ91の付勢力と受圧面75が受ける第2流体の圧力とに抗して、シート面62から離れる方へアクチュエータ8によって移動させられることによって、シート面62から離座する。具体的には、ガスケット72がシート面62から離れて、ベース71とシート面62との間に第2流体が流通する隙間が形成される。これにより、弁孔61が開放される。すなわち、弁体7が開弁する。
【0039】
弁体7は、アクチュエータ8に連結されるシャフト74をさらに有している。この例では、シャフト74は、ベース71と一体化している。シャフト74は、ベース71から第1方向に沿ってガイド73とは反対の方へ延びている。シャフト74の軸心は、軸心Xと略同軸である。シャフト74は、中実である。本開示において「中実」とは、内部に空隙が無いことを意味する。
【0040】
シャフト74は、第2流入路22から弁孔61を介して混合流路25へ突出している。シャフト74は、混合流路25に配置された鍔74aを含んでいる。鍔74aは、シャフト74からシャフト74の径方向の外側へ突出している。鍔74aは、シャフト74の軸方向においてシャフト74の中間部に配置されている。
【0041】
アクチュエータ8は、混合流路25を流通する流体の温度に応じて弁体7を移動させて、弁体7をシート面62に離着座させる。この例のアクチュエータ8は、混合流路25の流体の温度に応じて伸縮するサーモエレメントである。アクチュエータ8は、図2に示すように、混合流路25に配置されている。アクチュエータ8は、ケース81と、ケース81内に充填されて温度変化に応じて膨張収縮するワックスと、ケース81に相対移動可能に配置されて膨張収縮するワックスによってケース81に対して進退するロッド83と、ケース81を保持するホルダ84と、ホルダ84に固定されたジョイント86とを有している。
【0042】
ケース81は、第1方向において弁座部材6と第2蓋5との間に配置されている。ケース81内のワックスの温度は、混合流路25の流体の温度に応じて変化する。
【0043】
ロッド83は、ケース81から第2蓋5の方へ突出している。ロッド83は、ワックスの膨張収縮に応じてケース81に対して第1方向に進退する。ワックスが膨張すれば、ロッド83は、第2蓋5の方へ進出する。ワックスが収縮すれば、ロッド83は、ケース81の方へ後退する。
【0044】
ホルダ84は、第1方向に延びる筒状に形成されている。ホルダ84の軸心は、軸心Xと略同軸である。ホルダ84の内側には、ケース81が嵌め込まれている。ホルダ84は、ホルダ84の径方向に貫通する開口84aを有している。ケース81は、開口84aを介して混合流路25に露出している。混合流路25の流体は、開口84aを介してケース81と接触する。そのため、ケース81内のワックスの温度は、混合流路25の流体の温度に応じて変化しやすい。
【0045】
ジョイント86は、第1方向に延びている。ジョイント86の軸心は、軸心Xと略同軸である。ジョイント86は、ホルダ84から弁座部材6の方へ突出している。
【0046】
ジョイント86は、弁座部材6の方の端面である先端面87と、先端面87に開口する嵌込孔88とを含んでいる。嵌込孔88は、第1方向に延びている。嵌込孔88の軸心は、軸心Xと略同軸である。嵌込孔88には、シャフト74のうち第2蓋5の方の端部である先端部が、第1方向に移動可能に嵌め込まれている。シャフト74は、嵌込孔88に沿って第1方向に摺動する。これにより、弁体7は、ジョイント86によって第1方向に移動するようにガイドされる。先端面87は、シャフト74の鍔74aに対向している。
【0047】
アクチュエータ8のホルダ84は、本体3によって第1方向に移動可能に支持されている。ホルダ84が第1方向に移動すると、ケース81及びジョイント86も、ホルダ84と一体的に第1方向に移動する。
【0048】
ミキシングバルブ10は、ホルダ84を第1方向における第2蓋5の方へ付勢する第2バネ92と、ロッド83を受けるロッド受け95と、ロッド83をロッド受け95を介して弁座部材6の方へ付勢する第3バネ93とをさらに備えている。第2バネ92、ロッド受け95及び第3バネ93のそれぞれは、混合流路25に配置されている。
【0049】
詳しくは、第2バネ92は、コイルバネである。第2バネ92は、ホルダ84の周囲に配置されている。具体的には、本体3の内周面には、第2バネ92のうち弁座部材6の方の端が接触する段差が配置されている。ホルダ84の外周面には、第2バネ92のうち第2蓋5の方の端が接触する鍔が突出している。第2バネ92は、第1方向に圧縮された状態で、本体3の段差とホルダ84の鍔との間に配置されている。第2バネ92は、ホルダ84の鍔を第1方向における第2蓋5の方へ付勢している。これにより、アクチュエータ8のケース81は、第2バネ92によってホルダ84を介して第2蓋5の方へ付勢されている。
【0050】
ロッド受け95は、第1方向に延びる筒状に形成されている。詳しくは、ロッド受け95は、弁座部材6の方に開口し、且つ、弁座部材6とは反対の方の端部が閉塞された有底の筒状に形成されている。ロッド受け95は、鍔を含んでいる。鍔は、ロッド受け95からロッド受け95の径方向の外側へ突出している。
【0051】
ロッド受け95は、第2蓋5に配置されている。具体的には、第2蓋5は、弁座部材6の方へ開口した収容孔51を有している。収容孔51は、第1方向に延びる有底の孔である。ロッド受け95は、収容孔51に第1方向に移動可能に収容されている。ロッド受け95には、ロッド83が挿入されている。
【0052】
第3バネ93は、コイルバネである。第3バネ93の弾性率は、第2バネ92の弾性率よりも大きい。第3バネ93は、第2蓋5の収容孔51に収容されている。第3バネ93は、第1方向に圧縮された状態で、ロッド受け95の鍔と第2蓋5の底との間に配置されている。第3バネ93は、ロッド受け95を第1方向において弁座部材6の方へ付勢している。アクチュエータ8のケース81は、第3バネ93によってロッド83及びロッド受け95を介して弁座部材6の方へ付勢されている。
【0053】
つまり、アクチュエータ8のケース81は、第2バネ92による第2蓋5の方への付勢力と、第3バネ93による弁座部材6の方への付勢力とを受ける。ケース81は、第2バネ92の付勢力と第3バネ93の付勢力とが釣り合う位置に配置される。
【0054】
続いて、アクチュエータ8の動作について説明する。アクチュエータ8のワックスの温度が比較的低いとき、ワックスは収縮している。そのため、図2に示すように、ケース81からのロッド83の突出量は小さい。このとき、ケース81は、弁座部材6から第2蓋5の方へ比較的離れている。また、ジョイント86の先端面87は、シャフト74の鍔74aよりも第2蓋5の方へ離間している。
【0055】
アクチュエータ8のワックスの温度が高くなると、ワックスは膨張し、ロッド83は、ケース81から進出する。このとき、ロッド83は、第3バネ93の付勢力に抗してロッド受け95を第2蓋5の方へ押圧する。同時に、ホルダ84は、ロッド83がロッド受け95を押圧する際の反力によって、第2バネ92を弁座部材6の方へ押圧する。そのため、第2バネ92及び第3バネ93のそれぞれは、図3に示すように収縮する。第2バネ92の弾性率は、第3バネ93の弾性率よりも小さいため、第2バネ92の収縮量は、第3バネ93の収縮量よりも大きくなる。そのため、ケース81は、第1方向において弁座部材6の方へ移動する。ケース81は、ケース81からのロッド83の進出量が大きくなるほど、弁座部材6の方へ移動する。ケース81が弁座部材6の方へ移動することによって、ジョイント86も弁座部材6の方へ移動する。ジョイント86は、先端面87がシャフト74の鍔74aに接触する位置よりもさらに弁座部材6の方へ移動し得る。
【0056】
アクチュエータ8のワックスの温度が低くなると、ワックスは収縮し、ロッド83は、ケース81の方へ後退する。このとき、第2バネ92の伸長量は、第3バネ93の伸長量よりも大きくなり、ケース81は、図2に示すように、第2蓋5の方へ移動する。ケース81は、ロッド83の後退量が大きくなるほど、第2蓋5の方へ移動する。ケース81が第2蓋5の方へ移動することによって、ジョイント86も第2蓋5の方へ移動する。ジョイント86は、先端面87がシャフト74の鍔74aから第2蓋5の方へ離間する位置まで移動し得る。
【0057】
続いて、ミキシングバルブ10の動作について説明する。弁体7の閉弁時には、第1流入路21に流入した第1流体と、第2流入路22に流入した第2流体とのうち、第1流体のみが混合流路25に流入する。混合流路25に流入した第1流体は、流出路26を介してケーシング2の外部へそのまま流出する。流出路26から流出する流体の温度は、第1流入路21に流入した第1流体の温度と略同じである。
【0058】
弁体7の閉弁時において、第1流体の温度が比較的低温であるとき、図2及び図4に示すように、ジョイント86の先端面87は、シャフト74の鍔74aよりも第2蓋5の方へ離間している。また、弁体7は、第1バネ91の付勢力と、受圧面75が受ける第2流体の圧力とによってシート面62に着座し、弁孔61を閉塞している。
【0059】
弁体7の閉弁時において混合流路25を流通する第1流体の温度が高くなると、アクチュエータ8のワックスの温度が高くなり、ジョイント86は弁座部材6の方へ移動する。ジョイント86が弁座部材6の方へ移動すると、やがてジョイント86の先端面87はシャフト74の鍔74aに接触する。ジョイント86は、先端面87が鍔74aに接触した後も、ロッド83の進出と共に弁座部材6の方へ移動する。ジョイント86が弁座部材6の方へさらに移動すると、ジョイント86は、鍔74aを押圧してシャフト74を第1バネ91の付勢力及び第2流体の圧力に抗して弁座部材6の方へ移動させる。これにより、弁体7はシート面62から離座し、弁孔61が開放される。すなわち、この例では、弁体7の閉弁時において混合流路25の流体の温度が上昇しても、ジョイント86の先端面87が鍔74aに接触するまでは、弁体7は開弁しない。弁体7は、混合流路25の流体の温度が所定の温度を超えることを条件として開弁する。
【0060】
弁体7が開弁すると、第2流体が第2流入路22から弁孔61を介して混合流路25へ流入する。具体的には、第2流入ポート41に供給された第2流体は、第1供給路24aから複数の第2供給路24bを介して弁室23に供給され、弁室23から弁孔61を介して混合流路25へ流入する。混合流路25に流入した第2流体は、第1流入路21から混合流路25に流入した第1流体と混合流路25において混合される。これにより、第1流体と第2流体とが混合された混合流体が生成される。第2流体の温度は第1流体の温度よりも低いため、混合流路25において生成された混合流体の温度は、第1流体の温度よりも低くなる。混合流体は、流出ポート33から流出する。
【0061】
開弁時における弁体7のリフト量、即ち、ベース71がシート面62から離れる量は、アクチュエータ8によって、混合流路25を流通する混合流体の温度に応じ調整される。具体的には、開弁時の弁体7は、第1バネ91の弾性力及び弁体7の受圧面75が受ける第2流体の圧力によって弁体7をシート面62に着座する方へ押圧する力と、第2バネ92の弾性力によってホルダ84を第2蓋5の方へ付勢する力と、第3バネ93の弾性力によって弁体7をシート面62から離座する方へ押圧する力とが釣り合う位置に配置される。
【0062】
詳しくは、混合流体の温度が低下すると、ケース81からのロッド83の進出量が減少し、第1バネ91及び第2バネ92のそれぞれは、第3バネ93よりも大きく伸長する。弁体7はシート面62の方へ移動し、弁体7のリフト量は減少する。すなわち、弁孔61の開度は減少し、第2流入路22から混合流路25へ流入する第2流体の流入量が減少する。逆に、混合流体の温度が上昇すると、弁体7のリフト量は増大し、第2流入路22から混合流路25へ流入する第2流体の流入量が増大する。このように混合流体の温度に応じて混合流路25へ流入する第2流体の流入量が自動的に調整されることにより、混合流路25において所望の温度の混合流体が生成される。
【0063】
弁体7の開弁時において混合流路25を流通する混合流体の温度が所定の温度よりも低くなると、弁体7はシート面62に着座して弁孔61を閉塞する。これにより、第2流入路22から混合流路25への第2流体の流入が遮断される。
【0064】
以上説明したミキシングバルブ10は、弁体7がシート面62に離着座する際の移動方向が、シート面62と交差する方向である。そのため、閉弁時における弁体7のシール性を向上できる。例えば、特許文献1に示されたミキシングバルブように、弁体がケーシングの内周面であるシート面に対して摺動することによって弁体の開閉が切り替えられる場合、閉弁時の弁体とシート面との間には、弁体をシート面に対してスムーズに摺動させるためのクリアランスを設ける必要がある。そのため、弁体の閉弁時においては、弁体をシート面に密着させることが難しい。しかし、本開示では、弁体7の移動方向がシート面62と交差する方向であるため、閉弁時の弁体7をシート面62に密着させ、弁体7とシート面62との間を適切に密閉することができる。したがって、閉弁時において第2流入路22の水が弁体7とシート面62との間から弁孔61の方へ漏れ出すことを防止できる。
【0065】
加えて、弁体7の受圧面75には、第2流入路22の第2流体の圧力がシート面62へ向かう方向に作用する。そのため、受圧面75が受ける第2流体の圧力によって、閉弁時における弁体7をシート面62へ押し付けて密着させることができる。したがって、弁体7のシール性を一層向上できる。
【0066】
さらに、複数の第2供給路24bの下流端は、ケーシング2のうち受圧面75に対向する対向面42において分離して開口する。そのため、第2流体の圧力を受圧面75に分散して作用させることができる。したがって、第2流体によって弁体7をシート面62の方へ押圧する力を均一化して弁体7とシート面62との間を適切に密閉することができる。
【0067】
加えて、弁体7は、第1バネ91によってシート面62に着座する方へ付勢される。そのため、閉弁時における弁体7をシート面62へ大きな力で押圧することができ、弁体7のシール性を一層向上できる。
【0068】
また、第1流入路21及び流出路26のそれぞれは、混合流路25に直接連通するため、ミキシングバルブ10を流通する流体の流量を増加させることができる。すなわち、特許文献1に開示されたミキシングバルブのように、第1流体及び第2流体のそれぞれが混合流路に配置された筒状の弁体の内部空間を通過する場合、弁体には、温水流入口と弁体の内部空間とを連通させる貫通孔と、混合流路の流出口と弁体の内部空間とを連通させる貫通孔との2つの貫通孔を設ける必要がある。この場合、2つの貫通孔のそれぞれは、流路断面積の小さい流路となる。そのため、温水流入口から混合流路へ流入する温水の流入量と、混合流路から流出口へ流出する流体の流出量とが減少する。しかし、本開示の第1流入路21及び流出路26のそれぞれは、流路断面積を小さくする流路を介さずに混合流路25に直接連通するため、第1流入路21から混合流路25へ流入する第1流体の流入量と、混合流路25から流出路26へ流出する第2流体の流出量とを増加させることができる。したがって、ミキシングバルブ10を流通する流体の流量を増加させることができる。
【0069】
しかも、弁体7は、弁室23から弁孔61を介して混合流路25に突出し、アクチュエータ8に連結されるシャフト74を有する。すなわち、弁体7のうちアクチュエータ8と連結される連結部分は、特許文献1の弁体のような筒状の部材と比較して外径が小さい中実のシャフト74である。そのため、弁孔61においてシャフト74の周囲を流通する流体の流路断面積と、混合流路25においてシャフト74の周囲を流通する流体の流路断面積とを大きくすることができる。したがって、ミキシングバルブ10を流通する流体の流量を一層増加させることができる。
【0070】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0071】
例えば、本開示の技術は、第2流入路22に供給される第2流体が、第1流入路21に供給される第1流体よりも高温の流体である場合にも適用可能である。この場合、アクチュエータ8としては、例えば、混合流路25の流体が低温であるときに弁体7をシート面62から離座する方向に移動させるものが用いられる。また、第1流体及び第2流体のそれぞれは、水以外の流体であってもよい。
【0072】
ケーシング2、本体3、第1蓋4、第2蓋5及び弁座部材6のそれぞれの形状、大きさ及び材質等は、限定されない。また、第1流入路21、第2流入路22、混合流路25及び弁孔61のそれぞれの形状及び大きさ等も限定されない。第2流入路22が有する第2供給路24bの数は、限定されず、2つ若しくは4つ以上、又は1つであってもよい。
【0073】
アクチュエータ8は、例えば、サーモエレメント以外の非電動式アクチュエータであってもよい。サーモエレメント以外の非電動式アクチュエータとしては、例えば、バイメタルや形状記憶合金を用いて、混合流路25を流通する流体の温度に応じて弁体7を移動させるものが挙げられる。また、アクチュエータ8は、電動式アクチュエータであってもよい。電動式アクチュエータとしては、例えば、サーミスタ又は熱電対等を用いて混合流路25を流通する流体の温度を電気的に検知し、この検知結果に基づいてモータを駆動することにより弁体7を移動させるものが挙げられる。また、アクチュエータ8は、弁体7を開弁方向及び閉弁方向の両方向に押圧して移動させるものであってもよい。また、弁体7は、ハンドル等を用いて手動で移動させてもよく、この場合、アクチュエータ8は省略可能である。
【0074】
第1バネ91、第2バネ92及び第3バネ93のそれぞれは、コイルバネ以外のバネであってもよい。コイルバネ以外のバネは、例えば、板バネ、皿バネ又は渦巻きバネ等である。また、第1バネ91、第2バネ92及び第3バネ93のそれぞれに代えて、ゴム、プラスチック、金属、その他の弾性を有する材料で形成される弾性体を用いてもよい。また、第1バネ91、第2バネ92及び第3バネ93のそれぞれは、用いられるアクチュエータ8等に応じて省略可能である。
【0075】
弁体7の形状、大きさ及び材質等は、限定されない。弁体7は、第2流入路22の方から弁孔61を開閉するものに限定されず、混合流路25の方から弁孔61を開閉するものであってもよい。すなわち、シート面62が混合流路25に臨み、弁体7は、このシート面62に対向するように混合流路25に配置されてもよい。
【0076】
本開示の技術をまとめると、以下のようになる。
【0077】
[1] ミキシングバルブ10は、第1流体が流入する第1流入路21、前記第1流体の温度と異なる温度の第2流体が流入する第2流入路22、前記第1流体と前記第2流体とを混合する混合流路25、及び、前記混合流路25の流体を流出させる流出路26を有するケーシング2と、前記第2流入路22と前記混合流路25との接続部分に配置された弁座部材6と、前記弁座部材6に離着座する弁体7とを備え、前記弁座部材6は、前記第2流入路22と前記混合流路25とを連通させる弁孔61と、前記弁孔61を囲むシート面62とを有し、前記弁体7は、前記シート面62と交差する方向に移動して前記シート面62に離着座することによって前記弁孔61を開閉する。
【0078】
この構成によれば、弁体7の移動方向が、シート面62と交差する方向であるため、閉弁時の弁体7とシート面62との間に、弁体7をシート面62に対してスムーズに摺動させるためのクリアランスを設ける必要がない。そのため、閉弁時の弁体7をシート面62に密接させ、弁体7とシート面62との間を適切に密閉することができる。したがって、閉弁時において第2流入路22の水が弁体7とシート面62との間から弁孔61の方へ漏れ出すことを防止でき、弁体7のシール性を向上できる。
【0079】
[2] [1]に記載のミキシングバルブ10において、前記第2流入路22は、前記弁孔61と連通すると共に前記シート面62が配置された弁室23を含み、前記弁体7は、前記シート面62に対向するように前記弁室23に配置され、前記弁体7は、前記シート面62とは反対の方を向いて前記第2流体の圧力を受ける受圧面75を有する。
【0080】
この構成によれば、受圧面75には第2流体の圧力がシート面62へ向かう方向に作用する。そのため、受圧面75が受ける第2流体の圧力によって、閉弁時における弁体7をシート面62へ押し付けて密着させることができる。したがって、弁体7のシール性を一層向上できる。
【0081】
[3] [1]又は[2]に記載のミキシングバルブ10において、前記ケーシング2は、前記シート面62に対向して前記弁室23を区画する対向面42をさらに有し、前記弁体7は、前記受圧面75が前記対向面42と対向するように前記弁室23に配置され、前記第2流入路22は、前記第2流体を前記弁室23へ供給する複数の第2供給路24b(供給路)をさらに含み、前記複数の第2供給路24bの下流端は、前記対向面42においてそれぞれ分離して開口する。
【0082】
この構成によれば、第2流体の圧力を受圧面75に分散して作用させることができる。したがって、第2流体によって弁体7をシート面62の方へ押圧する力を均一化して弁体7とシート面62との間を適切に密閉することができる。
【0083】
[4] [1]乃至[3]のいずれか1つに記載のミキシングバルブ10において、前記弁体7を前記シート面62に着座する方へ付勢する第1バネ91(弾性体)をさらに備える。
【0084】
この構成によれば、閉弁時における弁体7をシート面62へ一層押し付けることができ、弁体7のシール性を一層向上できる。
【0085】
[5] [1]乃至[4]のいずれか1つに記載のミキシングバルブ10において、前記第1流入路21及び前記流出路26のそれぞれは、前記混合流路25に直接連通する。
【0086】
この構成によれば、第1流入路21及び流出路26のそれぞれと混合流路25との間には、特許文献1の弁体が有する貫通孔のような流路断面積の小さい流路が存在しない。そのため、第1流入路21から混合流路25へ流入する第1流体の流入量と、混合流路25から流出路26へ流出する第2流体の流出量とを増加させることができる。したがって、ミキシングバルブ10を流通する流体の流量を増加させることができる。
【0087】
[6] [1]乃至[5]のいずれか1つに記載のミキシングバルブ10において、前記混合流路25を流通する流体の温度に応じて前記弁体7を移動させて、前記弁体7を前記シート面62に離着座させるアクチュエータ8をさらに備え、前記弁体7は、前記第2流入路22から前記弁孔61を介して前記混合流路25へ突出し、前記アクチュエータ8に連結されるシャフト74をさらに有する。
【0088】
この構成によれば、弁体7のうちアクチュエータ8と連結される連結部分を、筒のような中空形状を有するものと比較して、外径が小さいシャフト74とすることができる。そのため、弁孔61においてシャフト74の周囲を流通する流体の流路断面積と、混合流路25においてシャフト74の周囲を流通する流体の流路断面積とを大きくすることができる。したがって、ミキシングバルブ10を流通する流体の流量を増加させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本開示の技術は、異なる温度の液体を混合させるミキシングバルブについて有用である。
【符号の説明】
【0090】
10 ミキシングバルブ
2 ケーシング
21 第1流入路
22 第2流入路
23 弁室
24b 供給路(第2供給路)
25 混合流路
26 流出路
42 対向面
6 弁座部材
61 弁孔
62 シート面
7 弁体
74 シャフト
75 受圧面
8 アクチュエータ

図1
図2
図3
図4
図5