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特開2024-73711発泡耐火シート積層体及び発泡耐火シート積層体の被覆方法
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  • 特開-発泡耐火シート積層体及び発泡耐火シート積層体の被覆方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073711
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】発泡耐火シート積層体及び発泡耐火シート積層体の被覆方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/18 20060101AFI20240523BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240523BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
B32B5/18
B32B27/00 B
E04B1/94 V
E04B1/94 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184562
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000159032
【氏名又は名称】菊水化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】関 正明
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 泰士
(72)【発明者】
【氏名】山内 秀樹
【テーマコード(参考)】
2E001
4F100
【Fターム(参考)】
2E001DE04
2E001EA06
2E001FA01
2E001FA02
2E001GA24
2E001GA25
2E001GA27
2E001GA28
2E001GA29
2E001GA82
2E001HA31
2E001HD11
2E001JA21
2E001JD01
2E001JD02
2E001JD08
4F100AA21
4F100AG00
4F100AK01A
4F100AK41
4F100AK68
4F100AR00B
4F100AR00D
4F100AR00E
4F100AT00C
4F100AT00E
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA07
4F100CA08
4F100CA23
4F100CB05B
4F100CB05D
4F100DG01
4F100DG10E
4F100DG15
4F100DJ01
4F100DJ01A
4F100GB07
4F100JJ02
4F100JJ07
4F100JJ07A
4F100JL11
4F100JL11B
4F100JL11D
4F100JL11E
4F100JL14E
(57)【要約】
【課題】貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的で、発泡耐火シートの寸法変化も少ない、発泡耐火シート積層体を提供する。
【解決手段】合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートの裏面に基材層が積層されているこのことにより、腰のある折れ曲がり難い発泡耐火シートを得ることができ、作業雰囲気温度に左右されることがないため、貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものとなり、発泡耐火シートの寸法変化も少ないものとなる。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートの裏面に基材層が積層されている発泡耐火シート積層体。
【請求項2】
合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートの裏面に粘着層と基材層が積層されている発泡耐火シート積層体。
【請求項3】
合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートの裏面に第一の粘着層と基材層と第二の粘着層、及び離型紙が積層されている発泡耐火シート積層体。
【請求項4】
合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートの裏面に第一の粘着層と第一の基材層と第二の粘着層と第二の基材層が積層されている発泡耐火シート積層体。
【請求項5】
合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートの裏面に第一の粘着層と第一の基材層と第二の粘着層と第二の基材層と第三の粘着層、及び離型紙が積層されている発泡耐火シート積層体。
【請求項6】
合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートの裏面に第一の粘着層と第一の基材層と第二の粘着層と第二の基材層と第三の粘着層と第三の基材層が積層されている発泡耐火シート積層体。
【請求項7】
合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートの裏面に第一の粘着層と第一の基材層と第二の粘着層と第二の基材層と第三の粘着層と第三の基材層と第四の粘着層、及び離型紙が積層されている発泡耐火シート積層体。
【請求項8】
躯体表面である被覆対象物に対して、合成樹脂を主成分とした発泡耐火シート積層体の裏面の外側から粘着層を保護している離型紙と、粘着層と、基材層が積層している発泡耐火シート積層体の離型紙を剥がしながら発泡耐火シート積層体を貼り付ける発泡耐火シート積層体の被覆方法。
【請求項9】
躯体表面の最外部に基材層を積層した被覆対象物に対して、合成樹脂を主成分とした発泡耐火シート積層体の裏面の外側から粘着層を保護している離型紙と、粘着層と、基材層が積層している発泡耐火シート積層体の離型紙を剥がしながら発泡耐火シート積層体を貼り付ける発泡耐火シート積層体の被覆方法。
【請求項10】
躯体表面の最外部に粘着部を積層した被覆対象物に対して、合成樹脂を主成分とした発泡耐火シート積層体の裏面側の最外部に基材層が積層している発泡耐火シート積層体を貼り付ける発泡耐火シート積層体の被覆方法。
【請求項11】
躯体表面の最外部に粘着部を積層した被覆対象物に対して、発泡耐火シート積層体の裏面の外側から粘着層を保護している離型紙と、粘着層と、基材層が積層している発泡耐火シート積層体の離型紙を剥がしながら発泡耐火シート積層体を貼り付ける発泡耐火シート積層体の被覆方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鉄骨造の柱、梁に使用される鋼材を火災から保護するための耐火被覆構造の中でも、火災にさらされたときに発泡して、断熱層を形成する発泡型の耐火被覆構造で、その耐火被覆構造の表面に仕上げを行うための発泡耐火シート積層体及び発泡耐火シート積層体の被覆方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来では、火災時の熱から構造物に使われている鋼構造の温度上昇を遅延させることを目的として様々な耐火被覆材が使用されてきた。
例えば、ロックウールなどの無機繊維によって空気の断熱層を形成させるものや軽量セメントモルタルなどの被覆材が含有する結晶水及び水分によって吸熱するものやその両方の効果を持つものなどがある。
【0003】
しかし、これらの被覆材はいずれも15~30mm程度以上の被覆が必要であり、作業工程上や美観上好ましくないことや施工時に粉塵が発生するなどの問題がある。
このため、火災など高温時に塗膜を発泡させ、気相含有断熱層を形成する発泡耐火塗料やそれをシート状にした発泡耐火シートが多く提案され、その被覆構造やその方法なども提案されている。この発泡耐火シートを使った積層体の形成方法には、特許文献1に記載したようなものがある。
【0004】
これは、基材面に対し、接着材層及び熱発泡性被覆材が積層された積層構造体の形成方法であって、前記基材面上に第1接着材層を設ける工程、前記第1接着材層と、前記熱発泡性被覆材の裏面に設けられた第2接着材層とを圧着する工程を有し、前記第1接着材層は、水酸基含有合成樹脂を含む(I)液とポリイソシアネート化合物を含む(II)液を、NCO/OH当量比10/100~120/100で含む接着材(M)より形成されるものであり、前記第2接着材層は、水酸基含有合成樹脂を含む接着材(N)より形成されるものであり、前記接着材(M)により形成される接着材層の硬化前に、前記第1接着材層と前記第2接着材層とを圧着するものである。
【0005】
これによれば、安定した接着力を有する積層構造体を効率良く得ること、そして当該積層構造体により優れた耐熱保護性を発揮させることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-049948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1にあるような方法では、シート自体に腰がない場合があり、それにより、貼付けの際に曲がったり、折れたりすることがあり、貼り難いことがある。
また、合成樹脂を主成分とする発泡耐火シートは、雰囲気温度により柔らかさが変化するため、雰囲気温度が高温の場合には、より発泡耐火シートが柔らかくなり、腰が無く、曲がり易いものとなる。
【0008】
特に、粘着加工を施してある発泡耐火シートや被覆物に粘着加工を施している場合などでは、シートの腰がないことで、シートが曲がったりし、所定の位置に貼り付けることが難しいことがある。
また、一度貼り付いたものを剥がす場合、きれいに剥がすことも難しく、又粘着力も落ちることもあり、再接着が困難な場合もある。
【0009】
本開示は、発泡耐火シートに基材層を積層させることにより、腰のある折れ曲がり難い発泡耐火シートを得ることができ、作業雰囲気温度に左右されることがないため、貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものとなり、発泡耐火シートの寸法変化も少ない、発泡耐火シート積層体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1.合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートの裏面に基材層が積層されているものである。
このことにより、腰のある折れ曲がり難い発泡耐火シートを得ることができ、作業雰囲気温度に左右されることがないため、貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものとなり、発泡耐火シートの寸法変化も少ないものとなる。
【0011】
2.合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートの裏面に粘着層と基材層が積層されているものである。
このことにより、腰のある折れ曲がり難い発泡耐火シートを容易に得ることができ、作業雰囲気温度に左右されることがないため、貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものとなり、発泡耐火シートの寸法変化も少ないものとなる。
【0012】
3.合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートの裏面に第一の粘着層と基材層と第二の粘着層、及び離型紙が積層されているものである。
このことにより、腰のある発泡耐火シートを容易に得ることができ、作業雰囲気温度に左右されることなく、粘着層を利用するため、貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものとなり、発泡耐火シートの寸法変化も少ないものとなる。
【0013】
4.合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートの裏面に第一の粘着層と第一の基材層と第二の粘着層と第二の基材層が積層されているものである。
基材層を二重にすることで、より腰のある折れ曲がり難い発泡耐火シートを容易に得ることができ、作業雰囲気温度に左右されることがないため、貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものとなり、発泡耐火シートの寸法変化も少なく、強度も向上したものとなる。
【0014】
5.合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートの裏面に第一の粘着層と第一の基材層と第二の粘着層と第二の基材層と第三の粘着層、及び離型紙が積層されているものである。
基材層を二重にすることで、より腰のある折れ曲がり難い発泡耐火シートを容易に得ることができ、作業雰囲気温度に左右されることなく、粘着層を利用するため、貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものとなり、発泡耐火シートの寸法変化も少なく、強度も向上したものとなる。
【0015】
6.合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートの裏面に第一の粘着層と第一の基材層と第二の粘着層と第二の基材層と第三の粘着層と第三の基材層が積層されているものである。
基材層を三重にすることで、より腰のある折れ曲がり難い発泡耐火シートを容易に得ることができ、作業雰囲気温度に左右されることがないため、貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものとなり、発泡耐火シートの寸法変化も少なく、より強度も向上したものとなる。
【0016】
7.合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートの裏面に第一の粘着層と第一の基材層と第二の粘着層と第二の基材層と第三の粘着層と第三の基材層と第四の粘着層、及び離型紙が積層されているものである。
このことにより、より腰のある折れ曲がり難い発泡耐火シートを容易に得ることができ、作業雰囲気温度に左右されることなく、粘着層を利用するため、貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものとなり、発泡耐火シートの寸法変化も少なく、より強度も向上したものとなる。
【0017】
8.躯体表面である被覆対象物に対して、合成樹脂を主成分とした発泡耐火シート積層体の裏面の外側から粘着層を保護している離型紙と、粘着層と、基材層が積層している発泡耐火シート積層体の離型紙を剥がしながら発泡耐火シート積層体を貼り付けることである。
このことにより、寸法変化が少なく腰があって折れ曲がり難く、作業雰囲気温度に左右されることが少ない発泡耐火シート積層体の粘着層を利用して、貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものとなる。
【0018】
9.躯体表面の最外部に基材層を積層した被覆対象物に対して、合成樹脂を主成分とした発泡耐火シート積層体の裏面の外側から粘着層を保護している離型紙と、粘着層と、基材層が積層している発泡耐火シート積層体の離型紙を剥がしながら発泡耐火シート積層体を貼り付けることである。
このことにより、寸法変化が少なく腰があって折れ曲がり難く、作業雰囲気温度に左右されることが少ない発泡耐火シート積層体の粘着層を利用して、貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものとなる。又、貼付けられた発泡耐火シート積層体の寸法変化も少ないものとなる。
【0019】
10.躯体表面の最外部に粘着部を積層した被覆対象物に対して、合成樹脂を主成分とした発泡耐火シート積層体の裏面側の最外部に基材層が積層している発泡耐火シート積層体を貼り付けることである。
このことにより、寸法変化が少なく腰があって折れ曲がり難く、作業雰囲気温度に左右されることが少ない発泡耐火シート積層体を躯体側の粘着層を利用することで、貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものとなる。又、貼付けられた発泡耐火シート積層体の寸法変化も少ないものとなる。
【0020】
11.躯体表面の最外部に粘着部を積層した被覆対象物に対して、発泡耐火シート積層体の裏面の外側から粘着層を保護している離型紙と、粘着層と、基材層が積層している発泡耐火シート積層体の離型紙を剥がしながら発泡耐火シート積層体を貼り付けることである。
このことにより、寸法変化が少なく腰があって折れ曲がり難く、作業雰囲気温度に左右されることが少ない発泡耐火シート積層体の粘着層と躯体側の粘着層を利用することで、貼付けが行い易く、より強固な貼付けが可能で、被覆作業がより効率的なものとなる。又、貼付けられた発泡耐火シート積層体の寸法変化も少ないものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態一に記載した発泡耐火シートを示す。
図2】実施形態二に記載した発泡耐火シートを示す。
図3】実施形態三に記載した発泡耐火シートを示す。
図4】実施形態四に記載した発泡耐火シートを示す。
図5】実施形態五に記載した発泡耐火シートを示す。
図6】実施形態六に記載した発泡耐火シートを示す。
図7】実施形態七に記載した発泡耐火シートを示す。
図8】躯体表面の最外部に基材層を積層した被覆対象物を示す。
図9】躯体表面の最外部に粘着部を積層した被覆対象物を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の実施形態を説明する。
本開示は、合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートの裏面に基材層が積層されているものである。
【0023】
この発泡耐火シートは、建築物の鋼材などに用いられる耐火被覆材の一つで、火災などで温度上昇が起き、高温になった場合に発泡し、発泡した層が断熱層となり鋼材の温度上昇を抑えることができるものである。
その発泡耐火シートは、合成樹脂を主成分とし、ポリリン酸アンモニウムやメラミンなどの発泡剤,多価アルコールなどの炭化剤,酸化チタン,無機繊維,着色顔料や難燃剤などを主な成分とし、必要に応じ各種添加剤などを加えたもので構成されたものが多い。
【0024】
その発泡耐火シートは、上記成分を混錬し、流動性のある状態からシート状にしたもので、後述される基材層や粘着層を積層することで、発泡耐火シート積層体を得ることができる。
その他にも黒鉛酸性硫酸塩などの膨張性黒鉛や炭酸カルシウム,クレー,珪砂,水酸化アルミニウム,アルミナ,シリカなどの充填材や体質顔料,ハロゲン系,リン系,三酸化アンチモン系などの難燃剤などの成分を加えることもある。
【0025】
この充填材を加えることで、炭化断熱層の強度や耐熱性などを向上させることができるものであり、好ましく含有させるものである。
合成樹脂とは、発泡耐火層の主要成分であり、酸化チタンや難燃性発泡剤など各成分を結合させ層を成型するためのもので、発泡層の形状維持や強度にかかわる重要な要素である。
【0026】
この合成樹脂は、熱可塑性樹脂のものが用いられ、アクリル樹脂,アルキッド樹脂,塩化ビニル樹脂,酢酸ビニル樹脂,シリコーン樹脂,ポリエステル樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂は単独にて用いても良く、あるいは共重合したものでも良く、さらにそれらを混合して用いることもできる。
【0027】
これら合成樹脂の分解開始温度は250℃以下であって、300℃までに全固形分の50重量%以上90重量%以下が分解するものが好ましい。
分解開始温度が250℃以上のもの及び300℃までに全固形分の50重量%以下しか分解しないものは、発泡剤のポリリン酸アンモニウム,メラミン、炭化剤の多価アルコールの脱水縮合を妨げ、十分な発泡層が形成できない。
【0028】
この合成樹脂のガラス転移温度(以下、Tg)は、-20℃~20℃の範囲であることが好ましい。この範囲内であれば、発泡耐火シート積層体により被覆された鉄骨などの被覆物の動きに追従し易く、割れなどの少ないものとなる。
また、発泡耐火シート積層体に十分な可撓性を与え、高温時の発泡性を阻害しないものである。また、Tgが-10~10℃の範囲であれば、可撓性と寸法安定性のバランスが取れたものとなり、その耐火性能は十分なものとなる。
【0029】
この発泡耐火シートに含有する合成樹脂は15.0~60.0重量%の範囲で含有することが好ましい。この範囲内であれば、発泡耐火層を形成させた後に塗装を行い易く、その仕上がりを良好なものとすることができる。
発泡剤は、加熱することによって、アンモニアガスなどの不燃性ガスを発生して発泡し、炭化する合成樹脂や炭化剤を発泡させ断熱層を形成し、それと同時に発泡の際の吸熱反応によって鋼材などの温度を引き下げるものである。
【0030】
この発泡剤には、ポリリン酸アンモニウムやリン酸アンモニウムなどのリン酸塩,リン,その他のリン化合物などの難燃性であるリン酸系の発泡剤やメラミンやアミドや尿素などの含窒素発泡剤があり、リン酸塩の発泡剤と併用して用いることができる。
炭化剤は、加熱することによって、合成樹脂の炭化とともに脱水炭化することで、断熱性により優れた厚みのある炭化断熱層を形成する。又、リン酸塩系の発泡剤と脱水、縮合反応を起こし、分解ガスにより発泡した発泡耐火層が炭化層になり、その炭化層によって、更に断熱効果を得るものである。
【0031】
炭化剤には、多価アルコールのペンタエリスリトール,ジペンタエリスリトール,トリペンタエリスリトール,ポリペンタエリスリトールなどがあり、多価アルコール以外には、メラミンなどを挙げることができ、多価アルコールと併用して用いることができる。
リン酸塩の発泡剤とペンタエリスリトールなどの多価アルコールの炭化剤は、250~300℃で脱水、縮合反応を生じる。
【0032】
メラミンは300~400℃の間で分解して、分解ガスにより発泡し、断熱層を形成し、その発泡断熱層が炭化層となるため、メラミンを併用した場合には2段階で断熱層を形成することができ、より断熱効果を得ることができる。
さらに、酸化チタンを含ませることにより、その酸化チタンの触媒効果によって発泡層の結合が促進され、形状維持性の高い発泡断熱層が安定して形成され、その強度も十分なものになる。この発泡層は、触媒効果のある酸化チタンの周りで促進される傾向があるためである。
【0033】
この酸化チタンの他に、顔料の一つである着色顔料を含ませることも可能であり、発泡耐火シートを構成している各成分が均一に分散しているかを目視で容易に確認することができる。
各成分を混合する際に均一になっていないと発泡耐火シート積層体の性能にバラツキがあることがある。そのため、発泡層の発泡状態にバラツキが出てしまい、発泡層に割れなどが生じることや、均一な発泡層を形成することができなくなり、十分な耐火性能を得ることができないことがある。
【0034】
着色顔料としては、有機顔料及び無機顔料の何れを用いても良く、その添加量は、発泡耐火シート積層体の発泡などの耐火性を損なわない範囲内で行うことになる。
この着色顔料には、複合酸化物系顔料,カーボンブラック,酸化鉄系顔料,鉛丹,朱,群青,酸化クロム、クロムイエロー,カドミウムイエロー,ジンククロメート,カドミウムレッド,アゾ系顔料,ジケトピロロピロール系顔料,ペリレン系顔料,ペリノン系顔料,キナクリドン系顔料などがある。
【0035】
他にもイソインドリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料,イソインドリン系顔料,金属キレートアゾ系顔料,インダンスロン系顔料,ジオキサジン系顔料,スレン系顔料,インジゴ系顔料,紺青なども挙げることができる。
難燃剤は、火災時に脱水冷却、不燃性ガス発生、バインダー炭化促進などの効果を得るもので、樹脂成分の燃焼を防止,抑制するものである。
【0036】
さらに、この発泡耐火シートには、ロックウール,スラグウール,ガラス繊維,セラミックファイバーなどの無機繊維を含ませることがある。
無機繊維を添加することにより、発泡耐火シート積層体のひび割れが発生し難く、発泡耐火シート積層体が加熱された場合に発泡して形成される断熱層も、ひび割れが発生し難く、断熱層が剥落し難いものとなる。
【0037】
無機繊維を添加しない発泡耐火シート積層体は、施工部位の違いや加熱されたときの温度の違い、微妙な厚みの違いによって発泡のばらつきが生じ易く、この発泡のバラツキが断熱層のひび割れや剥落の原因になる場合がある。
この発泡耐火シート積層体は、製造されてから被覆物に貼付けるまでの間に、積まれることがある。その場合にシート同士が引っ付き、ブロッキングすることがある。
【0038】
そのため、この発泡耐火シート積層体に必要に応じブロッキング防止剤を添加することがある。このブロッキング防止剤は、一般的な合成樹脂製シートに使用されるものであれば特に限定されるものではない。
このブロッキング防止剤には、シリカ,アルミナ,水酸化アルミニウム,硫酸バリウム,タルク,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,リン酸カルシウム,カオリン,酸化チタン,フッ化カルシウム,ゼオライト,硫化モリブデン等の無機微粒子などがある。
【0039】
また、ポリスチレン,ポリエーテル,ポリアクリル,ポリアミド,エポキシ樹脂,ポリフェニレンスルフィド,熱可塑性エラストマー等の有機微粒子がある。
さらに、不飽和脂肪酸アマイド,飽和脂肪酸アマイド,ポリエチレンワックス,ステアリン酸,ステアリルアルコール,ステアリルステアレート,ステアリン酸モノグリセリド等の滑剤なども挙げられる。
【0040】
これらの中でも発泡耐火シート積層体と施工対象との密着を考慮すると無機微粒子や有機微粒子などの粒子形状のものが好ましい。
上記成分により構成される発泡耐火シートは、これらの成分により構成され、後述される基材層や粘着層を積層することで、発泡耐火シート積層体を得ることができる。
【0041】
この発泡耐火シートは、上記記載の成分を均一に混練した混練物を、シート化して発泡耐火シートを製造する場合が多い。混練は、常温で行っても加熱して行っても良く、混練する方法としては、ニーダーやバンバリーミキサー、ミキシングロールなどの混練機などの公知の方法が使用できる。
混練された混合物をそのまま又はペレット状にしたものを押し出し成型機によりシート状にすることや混合物を複数のロールの間に挟んで成型する方法,熱ローラーにより圧延する方法などがあり、特に制限されるものではない。
【0042】
混練物のシート化の方法は、特に限定はされないが、プレス成型や圧延ローラーを用いることで均一な膜厚のシートを効率よく成型することができ、シート化することで、施工後の膜厚の管理も、従来から使用されている発泡耐火塗料の塗装に比べ簡単に行うことができる。
さらに、不要となった発泡耐火シートの切れ端などを集めて、再度加熱成形することや新規で発泡耐火シートを成型する際に、混ぜるなど再利用することも可能である。
【0043】
発泡耐火シートの厚みは、1~3mmであることが好ましい。この範囲であれば、可撓性があり、耐火性能が十分で、施工時の作業性が良いものとなる。
発泡耐火シートの厚みが1mm以下の場合は、耐火性能が劣る。3mm以上の場合には、十分な可撓性が得られず、施工時の作業性も悪くなる。
【0044】
この発泡耐火シートの比重は、1.2~1.8の範囲であることが好ましく、この範囲内であれば、可撓性があり、その耐火性能は十分なものとなる。
比重を1.2より小さくするためには、比重が大きい酸化チタンの含有比率を小さくする必要があり、その場合、発泡耐火シートの発泡が不十分で、形状のしっかりとした断熱層を形成することができない。
【0045】
比重を1.8より大きくするためには、比重が小さい合成樹脂の含有比率を小さくする必要があり、その場合、合成樹脂が酸化チタンや難燃性発泡剤などの各成分を覆うことができず結合が弱くなるため成型し難い。
より好ましくは、比重が1.3~1.6の範囲である。この範囲内であれば、可撓性があり、その耐火性能は十分なものとなる。
【0046】
この発泡耐火シートは、可撓性があるものが好ましく、可撓性がないと、発泡耐火シートを貼り付ける際に作業性が悪く、曲面に貼り付けると割れてしまうことがある。
この可撓性としては、角形鋼材の角に沿って発泡耐火シートを曲げ、その時にシートの表面にクラックや割れなどの発生がない程度のものである。
【0047】
基材層は、合成樹脂を主成分とする発泡耐火シートの補強のために必要なものであり、基材層により、腰のある折れ曲がり難いものとなり、作業雰囲気温度に左右されることなく貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものとなり、その積層体の寸法変化も少ないものとなる。
この基材は、レーヨン,ポリエステル繊維,ポリプロピレン繊維,ポリエチレン繊維,ビニロン繊維,アクリル繊維,ナイロン繊維などの合成樹脂繊維からなる不織布や織布、ガラス繊維などの無機物からなるガラス不織布,ガラスクロスが用いられる。
【0048】
また、セラミックペーパー,合成紙,メッシュ,クロスなどもあり、比較的薄いものから選択される。
これらの中でも柔軟性などの点から、ガラス繊維や合成樹脂繊維からなる不織布を用いるのが好ましく、これらを積層して、基材層として用いることも行われている。
【0049】
この不織布は、繊維を合成樹脂その他の接着剤で接合したり、熱によって接合したり、刺のある針で刺し絡めたり、高圧細水流で繊維を絡めたり、又は編むような操作を加えたりして布状にしたものなどがある。
他にも原料樹脂チップを押出機に入れて加熱溶融し、細孔から押出して繊維を形成させながらシートにするものや、湿式不織布のように数ミリメートル程度の長さの繊維を水に懸濁し、金網で抄くことによりシートを作成し、接着剤又は熱を用いて接合したものもある。
【0050】
これら不織布は、織布に比べ方向による強度の違いが少なく、強度に異方性のない安定した強度を持ち、型くずれが少なく、糸のほつれが無く、寸法安定性が良いものである。厚みに斑が少ないため、より薄く仕上げを行うことができる。
また、プラスチックフィルムなどと異なり、引張り強度があり、伸び難いものである。更に網状のものを含む織布の場合と異なり、穴を空けた場合に、その穴からの糸のほつれがない。
【0051】
この不織布の中でもポリエステル繊維やガラス繊維により形成された不織布を用いることが好ましい。これらの不織布は、他の繊維のものに比べ、水分に対する影響が少なく、寸法安定性に優れたものである。
また、ガラス繊維を用いた場合では、繊維が燃え難いため好ましく用いられる。
【0052】
この基材層に用いられる不織布は、複数種を用いることがある。これは、基材層が2以上に積層された場合であり、その不織布の特性をそれぞれ生かしたものとなる。
例えば、ポリエステル繊維不織布とガラス繊維不織布,ポリエステル繊維不織布とガラス繊維不織布とポリエステル繊維不織布,ガラス繊維不織布とポリエステル繊維不織布とガラス繊維不織布などの組み合わせがあり、それぞれの不織布の層間には、粘着剤などにより貼付けられることになる。
【0053】
このような場合では、発泡耐火シート積層体の裏面側に、粘着層と、基材層であるポリエステル繊維不織布と粘着層とガラス繊維不織布と、粘着層と、及び離型紙が積層された場合などである。
また、発泡耐火シートの裏面側に、粘着層と、基材層であるポリエステル繊維不織布と粘着層とガラス繊維不織布と粘着層とポリエステル繊維不織布と、粘着層と、及び離型紙が積層されることもある。
【0054】
この基材の目付量は、10~550g/mの範囲が好ましい。10g/mより軽い場合では、強度が小さく、被覆物の動きにより亀裂を起こし、仕上げ層にひび割れを起こすことがある。
一方、550g/mより重い場合では、繊維の量が多くなり、被覆物や粘着層に負荷をかけることがある。
【0055】
好ましくは、20~100g/mの範囲であり、この範囲であれば、貼付けなどの作業性の良好なものを得ることができる。
基材の厚みは、0.1~1.0mmの範囲が好ましい。0.1より薄い場合では、十分な強度が得られないことがある。1.0mmより厚い場合では、可撓性が少なくなり、貼りづらくなることがある。
【0056】
粘着層は、発泡耐火シート積層体と被覆対象物との密着や発泡耐火シートと基材層との密着や基材層と基材層との密着を行うものであり、タックが残る状態が良く、0℃程度で、粘着層を指で触った時に、その層に指紋が付く程度以上あれば良い。
この粘着層は、発泡耐火シートが被覆されている状態の雰囲気温度が通常の状態であったとき、その発泡耐火シートが脱落しないものであれば良く、発泡前の200℃程度の高温時であっても脱落しないものであることが好ましい。
【0057】
これは、発泡耐火シートが発泡を開始すれば、その発泡圧により脱落しづらい状態となるためである。
この粘着層を形成する粘着剤は、特に制限されるものではないが、合成ゴム系,酢酸ビニル系,ポリマーセメント系,アクリルゴム系,変性シリコーン系など各種の粘着剤やこれらを加工しテープ状にしたものが使用できる。
【0058】
これらの形態としては、溶媒に有機溶剤を用いた溶剤型のものや、水を用いた水系型の合成樹脂エマルションを使用したもの、それらを用いない無溶剤型のものがあるが、水系型や無溶剤型のものが好ましく使用される。
より好ましくは合成樹脂エマルションを主成分としたもので、扱いが容易であり、十分な接着力を得ることができ、粘着層の粘着力も十分なものとなる。
【0059】
さらに、合成樹脂エマルションを主成分としたものは、粘着剤が乾燥硬化した後のタックの調整が、合成樹脂エマルションの樹脂の柔らかさや可塑剤などの高沸点溶剤を添加することで容易にでき、タックの持続性についても、高沸点溶剤の沸点などにより調整することが可能である。
この粘着層と基材層を積層した粘着テープや、基材層の表裏面に粘着層を積層した両面テープを用いることも可能で、これらを用いることで、発泡耐火シート積層体を容易に得ることができる。
【0060】
これらのなかでも粘着層と基材と粘着層が積層された、両面テープが好ましく、上記記載の粘着層及び基材と同様なもので構成され、場合により、粘着層が離型紙により保護されているものがある。
この離型紙は、粘着層を密着させるまでの間、粘着層を保護するためのもので、特に制限されるものではなく、一般的に市販されているものが使われる。
【0061】
これらには、シリコン、ワックス、弗素樹脂等の離型剤を紙やフィルムに加工したものやポリプロピレン,ポリエチレンなどの合成樹脂フィルムがある。
上記記載のような発泡耐火シート、基材層及び粘着層を積層することにより発泡耐火シート積層体を得ることができ、その積層方法は、特に制限されるものではなく、一般的に行われている積層方法で良い。
【0062】
本開示は、前記発泡耐火シートに基材層を積層したもので、更に粘着層も積層した発泡耐火シート積層体であり、それぞれの実施形態を図面に示し、詳細に説明する。
まず、図1に示した第一の実施形態の発泡耐火シート積層体11は、合成樹脂を主成分とした発泡耐火シート12の裏面に基材層13が積層されているものである。
【0063】
これは、発泡耐火シート12の製造時にシートの主成分である合成樹脂を利用して基材層13を密着させることで、発泡耐火シート12と基材層13を積層し、腰のある折れ曲がり難い発泡耐火シート積層体11を得ることができる。
この発泡耐火シート積層体11では、作業雰囲気温度に左右されることなく貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものであり、発泡耐火シート12の寸法変化も少ないものとなる。
【0064】
この基材層13には、ポリエステル繊維やガラス繊維の不織布がより好ましく、それぞれの利点である耐水性や難燃性が良好なものとなり、寸法安定性の優れたものとなる。
図2に示した第二の実施形態の発泡耐火シート積層体11は、合成樹脂を主成分とした発泡耐火シート12の裏面に粘着層14と基材層13が積層されているものである。
【0065】
これは、発泡耐火シートの裏面に粘着剤により粘着層14を形成し、その粘着層に基材層13を密着させることにより得ることができる。又、発泡耐火シート12裏面側に粘着層14を基材層13が積層している粘着テープなどを用いることにより、容易にその積層体を得ることができる。
発泡耐火シート12を作製した後に、粘着テープを貼ることで積層体を得ることが可能となり、この粘着テープを使うことにより容易に第二の実施形態の発泡耐火シート積層体11を得ることができるものである。
【0066】
図3に示した第三の実施形態の発泡耐火シート積層体11は、合成樹脂を主成分とした発泡耐火シート12の裏面に(第一の)粘着層14と基材層13と第二の粘着層15、及び離型紙16が積層されているものである。
この(第一の)粘着層14と第二の粘着層15は、その種類が同じものであっても良く、異なるものであっても良い。また、その厚みも同様で同じあっても異なるものであっても良い。
【0067】
これにより、第一及び第二の実施形態の発泡耐火シート積層体11に加え、第二の粘着層15を利用して、貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものとなる。
また、第三の実施形態の発泡耐火シート積層体11は、発泡耐火シート12を作製した後に、前記記載の両面テープを貼ることで得ることが可能となり、この両面テープを使うことで容易に第三の実施形態の発泡耐火シート積層体11を得ることができるものである。
【0068】
図4に示した第四の実施形態の発泡耐火シート積層体11は、合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートの裏面に(第一の)粘着層14と(第一の)基材層13と第二の粘着層15と第二の基材層17が積層されているものである。
これにより、第一~第三の実施形態に記載のいずれかの発泡耐火シート積層体11に加え、(第一の)基材層13と第二の基材層17で基材層を二重にすることで、より腰のある折れ曲がり難いものとなり、強度も向上したものとなる。
【0069】
また、第四の実施形態の発泡耐火シート積層体11は、発泡耐火シート12を作製した後に、前記記載の両面テープを貼り、更に基材層を積層することで得ることが可能となり、この両面テープを使うことで、容易に第四の実施形態の発泡耐火シート積層体11を得ることができるものである。
つまり、第三の実施形態の発泡耐火シート積層体11の離型紙16を剥がし、その後に第二の基材層17を積層させることである。
【0070】
この(第一の)粘着層14と第二の粘着層15は、その種類が同じものであっても良く、異なるものであっても良い。また、その厚みも同様で同じあっても異なるものであっても良い。
この(第一の)基材層13と第二の基材層17は、同じものであっても良く、異なるものであっても良いが、好ましくは、(第一の)基材層13と第二の基材層17が異なる種類を用いることである。
【0071】
これは、上記記載したように、その不織布の特性をそれぞれ生かしたものとなるからであり、ポリエステル繊維不織布とガラス繊維不織布との組み合わせが好ましいものである。
これらの(第一の)基材層13と第二の基材層17には、ポリエステル繊維やガラス繊維の不織布を複合することがより好ましく、それぞれの利点である耐水性や難燃性が良好で、寸法安定性が優れ、強度もより向上し、発砲耐火シート積層体11に腰があるものとなり、施工が行い易いものとなる。
【0072】
図5に示した第五の実施形態の発泡耐火シート積層体11は、合成樹脂を主成分とした発泡耐火シート12の裏面に(第一の)粘着層14と(第一の)基材層13と第二の粘着層15と第二の基材層17と第三の粘着層18、及び離型紙16が積層されているものである。
これにより、第一~第四の実施形態に記載のいずれかの発泡耐火シート積層体11に加え、基材層13,17を二重にすることになる。
【0073】
それにより、より腰のある折れ曲がり難いもので、雰囲気温度に左右され難く、第三の粘着層18により貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的で、寸法変化も少なく、強度も向上したものとなる。
前記同様に、この(第一の)粘着層14,第二の粘着層15及び第三の粘着層18は、その種類が同じものであっても良く、異なるものであっても良く、その厚みも同様で同じあっても異なるものであっても良い。
【0074】
また、(第一の)基材層13と第二の基材層17は、同じものであっても良く、異なるものであっても良いが、好ましくは、(第一の)基材層13と第二の基材層17が異なる種類を用いることである。
これらもまた、(第一の)基材層13と第二の基材層17には、ポリエステル繊維やガラス繊維の不織布を複合することがより好ましく、それぞれの利点である耐水性や難燃性が良好なものとなり、寸法安定性の優れたものとなる。
【0075】
図6に示した第六の実施形態の発泡耐火シート積層体11は、合成樹脂を主成分とした発泡耐火シート12の裏面に(第一の)粘着層14と(第一の)基材層13と第二の粘着層15と第二の基材層17と第三の粘着層18と第三の基材層19が積層されているものである。
つまり、第五の実施形態の発泡耐火シート積層体の離型紙16を剥がし、その後に第三の基材層19を積層させることである。
【0076】
これにより、第一~第五の実施形態に記載のいずれかの発泡耐火シート積層体11に加え、基材層を三重にすることで、もっと折れ曲がり難く、雰囲気温度に左右され難く、被覆作業がより効率的なもので、寸法変化もより少なく、強度もより向上したものとなる。
これもまた、前記同様に、(第一の)粘着層14,第二の粘着層15及び第三の粘着層18は、その種類が同じものであっても良く、異なるものであっても良く、その厚みも同様で同じあっても異なるものであっても良い。
【0077】
(第一の)基材層13,第二の基材層17及び第三の基材層19は、同じものであっても良く、異なるものであっても良いが、好ましくは、二種類以上の素材の異なったものを用いることである。
図7に示した第七の実施形態の発泡耐火シート積層体11は、合成樹脂を主成分とした発泡耐火シート12の裏面に(第一の)粘着層14と(第一の)基材層13と第二の粘着層15と第二の基材層17と第三の粘着層18と第三の基材層19と第四の粘着層20及び離型紙16が積層されているものである。
【0078】
これは、第四の実施形態の発泡耐火シート積層体11を作製した後に、両面テープを貼ることで容易に得ることが可能となるものである。
これにより、第一~第六の実施形態に記載のいずれかの発泡耐火シート積層体11に加え、基材層を三重にすることで、もっと折れ曲がり難く、雰囲気温度に左右され難く、被覆作業がより効率的なもので、寸法変化もより少なく、強度もより向上したものとなる。
【0079】
また、発泡耐火シート積層体11の粘着層20を利用して、貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものとなる。
これもまた、前記同様に、(第一の)粘着層14,第二の粘着層15及び第三の粘着層18は、同種のものであっても、異なるものであっても良く、その厚みも同じあっても異なるものであっても良い。
【0080】
(第一の)基材層13,第二の基材層17及び第三の基材層19は、同じものであっても良く、異なるものであっても良いが、好ましくは、二種類以上の素材のものを用いることである。
上記記載の第一から第七の実施形態に記載された発泡耐火シート積層体11は、躯体表面である被覆対象物に対して貼付け被覆を行うものである。
【0081】
この被覆対象物には、多くの場合、建築構造物の柱、梁、床、壁等を構成する材料であり、金属で形成されているH鋼、鉄骨丸柱、鉄骨角柱などの部材に形成されるものである。
また、これらの金属部材の表面は、錆止め剤や防錆塗料など防錆処理が施されていても良く、好ましく行われている。
【0082】
他にも、耐火性を必要とされる部位であれば、モルタル、コンクリート、ケイ酸カルシウム板、石膏ボード、炭酸カルシウム発泡板、不燃火山性ガラス質複層板、繊維強化セメント板、軽量セメント板などにも用いることができ、その表面を下地調整などが施されていても良い。
これらの被覆対象物に対して、上記記載の実施形態一から実施形態七の発泡耐火シート積層体を貼り付けることになる。
【0083】
躯体表面である被覆対象物に対して、実施形態三,五及び七に記載の発泡耐火シート積層体11は、合成樹脂を主成分とした発泡耐火シート積層体の裏面の離型紙16を剥がしながら発泡耐火シート積層体11を被覆対象物に貼り付けることができる。
この場合、寸法変化が少なく腰があって折れ曲がり難く、作業雰囲気温度に左右されることが少ない発泡耐火シート積層体の粘着層を利用するため、貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものとなる。
【0084】
発泡耐火シート積層体11の裏面の外側に粘着層が積層されていない、上記記載の実施形態一,二,四,六のものでは、接着剤などを用いて、貼り付けることができる。
しかし、この場合では、接着剤を貼付け前に、被覆対象物や発泡耐火シート積層体に塗布する必要がある。
【0085】
この場合、寸法変化が少なく腰があって折れ曲がり難く、作業雰囲気温度に左右されることが少ない発泡耐火シート積層体11であっても、その貼付け作業の手間が現場で発生し、被覆作業が効率的ではないことになる。
また、接着剤などの塗布ムラにより、安定して貼付けが行うことができないこともある。
【0086】
図8に示した躯体表面の最外部に基材層21を積層した被覆対象物に対しても前記同様で、実施形態三,五及び七に記載の発泡耐火シート積層体11を貼り付けることになる。
これは、合成樹脂を主成分とした発泡耐火シート積層体11の裏面の外側の離型紙16を剥がしながら発泡耐火シート積層体を貼り付けることである。
【0087】
この場合も同様に、寸法変化が少なく腰があって折れ曲がり難く、作業雰囲気温度に左右されることが少ない発泡耐火シート積層体の粘着層を利用して、貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものである。又、貼付けられた発泡耐火シート積層体の寸法変化も少ないものとなる。
また、これも上記同様で、実施形態一,二,四,六のものでは、接着剤などを用いて、貼り付けることが可能であるが、発泡耐火シート積層体11の貼付け作業の手間が現場で発生し、被覆作業が効率的でなく、接着剤や粘着剤の塗布ムラも発生することもある。
【0088】
図9に示した躯体表面の最外部に粘着層22を積層した被覆対象物に対して、実施形態一,二,四,六に記載の発泡耐火シート積層体11を貼り付けるものである。
この実施形態一,二,四,六に記載の発泡耐火シート積層体11は、その発泡耐火シート積層体11の裏面側の最外部に基材層が積層しているものである。
【0089】
この寸法変化が少なく腰があって折れ曲がり難く、作業雰囲気温度に左右されることが少ない発泡耐火シート積層体11を躯体側の粘着層22を利用することで、貼付けが行い易く、被覆作業がより効率的なものとなる。
さらに、この図9に示した躯体表面の最外部に粘着層22を積層した被覆対象物に対して、実施形態三,五及び七に記載の発泡耐火シート積層体11の裏面の外側の離型紙16を剥がしながら発泡耐火シート積層体11を貼り付けることもできる。
【0090】
発泡耐火シート積層体11の粘着層と躯体側の粘着層22を利用することで、貼付けが行い易く、より強固な貼付けが可能で、被覆作業がより効率的なものとなる。
このように被覆対象物に対して、1又は2以上の粘着層及び1又は2以上の基材層を積層することで、発泡耐火シート積層体の耐火性能を向上させることが可能となる。
【0091】
これは、発泡耐火シートに熱が加わり、そのシートの表面側の発泡が始まり、発泡層を形成する。それとほぼ同時に粘着層や基材層の積層物がある裏面側の発泡も起き易くなり、被覆対象物へ発泡圧が加わり易く、発泡層の脱落が起こり難くなるためである。
また、基材層が不織布や織布の場合では、その基材層にある空隙に発泡層が食い込むようになり、より発泡層の脱落が少ないものとなる。
【0092】
この粘着層と基材層からなる積層物は、複数層あるものが好ましく、2以上の粘着層及び/又は2以上の基材層を積層する積層物である発泡耐火シート積層体により、より脱落の少ない発泡層を形成することで、耐火性能を向上させることができる。
これらには、上記実施形態三,四,五,六,七に記載されたものが該当し、具体的には、被覆対象物に対して、実施形態三に記載した発泡耐火シート積層体11の場合であれば、粘着層が2層で、基材層が1層になり、複数層の積層物が発泡耐火シートの裏面にあることになる。
【0093】
また、実施形態四に記載した発泡耐火シート積層体11では、粘着層が2層、基材層が2層の積層物があり、実施形態五に記載した発泡耐火シート積層体11では、粘着層が3層、基材層が2層の積層物がある。
実施形態六の場合では、粘着層が3層、基材層が3層の積層物があり、実施形態七の場合であれば、粘着層が4層、基材層が3層の積層物が発泡耐火シートの裏面にあることになり、好ましい状態のものとなる。
【0094】
さらに、図8に示した躯体表面の最外部に基材層21を積層した被覆対象物に対して、実施形態二に記載の発泡耐火シート積層体11であってもその積層構造としては、粘着層が1層となり、基材層が2層となる。
躯体表面の最外部に基材層21と発泡耐火シート積層体11の基材層13との間には、接着剤による接着層も加わることにもなる。
【0095】
図9に示した躯体表面の最外部に粘着層22を積層した被覆対象物に対して、実施形態二に記載の発泡耐火シート積層体11を貼付けた場合では、粘着層が2層となり、基材層が1層となる。
このように被覆対象物に積層した基材層や粘着層を利用して積層物を構成することも可能であり、行われることもある。
【0096】
次に、上記発泡耐火シートを用いた被覆などの施工方法について説明する。
この施工を行う前に、被覆物に対して、脱脂や錆び止めなど適切な前処理を行うことが好ましい。この前処理を行った後に、それを被覆対象物として、その表面に発泡耐火シート積層体11を貼り付ける。又、図8及び図9に示したように基材層21や粘着層22が表面になるように処理を行う。
【0097】
この発泡耐火シート積層体11を貼付けた後に、その表面に塗料や壁紙などの表装材など仕上げ材により仕上げを行うことも可能で、行われることが多い。その表面に仕上げを行うことで、発泡耐火シート積層体11を保護することができるものである。
この貼り付けを行う場合には、発泡耐火シート積層体11を適切な大きさに切断されたものを使用する。この大きさとしては、被覆物の被覆箇所の大きさや作業者が適切な作業を行うことができる大きさであれば良く、600×900mm以下の矩形なものが使い易い。
【0098】
また、被覆箇所によっては、その箇所の採寸を行い、シートを切断して、被覆箇所に適した大きさにし、貼付ける。
この発泡耐火シート積層体11を被覆対象物に連続して、貼付ける場合では、隣り合うシートに突き付けた状態で、貼付け、被覆することが多い。
【0099】
発泡耐火シート積層体11により被覆を行った後に、突き付けた部分の処理を行うことが好ましい。
この突き付けた部分であるシートの継ぎ目の処理は、仕上げ材を積層する場合に、発泡耐火シート積層体11の継ぎ目部分がわかり難くすることができる。さらに、継ぎ目部分の強度を向上させることもできる。
【0100】
この継ぎ目部分の処理方法としては、パテ材などの充填材をシート継ぎ目の隙間に埋めることが行われる。好ましくは、この充填剤の成分が発泡耐火シートと同じ成分により構成される発泡耐火型の充填材を用いることで、熱の入り易いシートの突き付け部も同様な耐火性能を得るものとなる。
また、突き付け部の表面にメッシュテープを貼り、その後に充填材により処理を行うこともあり、突き付け部の強度を向上させることができる。このメッシュテープは、特に制限されるものではなく、一般的なものを用いることができる。
【0101】
この幅は、突き付け部が十分に覆われるものであれば良く、10~50mm程度のものが用いられ、目開きが1~5mm程度のものが好ましく使われる。又その素材は、ガラス繊維が用いられることが多い。
硬化した充填材の表面をサンドペーパーや鑢などで平滑に研磨することもあり、発泡耐火シート積層体11の継ぎ目をわかり難くし、仕上げを行うことが好ましく行われる。
【0102】
これに用いられる仕上げ用の仕上げ材は、壁紙などのシート状の表装材や塗料により塗装し、塗膜を形成させることなどがある。このように施工することで、容易に耐火被覆構造を得ることができ、その仕上がりも良好なものとすることができる。
以下、前記実施形態をさらに詳細に説明する。
被覆対象物としては、建築構造物の鉄骨柱であり、そのサイズは、1辺が300mm角で、長さが3mの角形鋼材に被覆を行った。
【0103】
被覆を行う前の前処理に脱脂を行い、エポキシ系の2液タイプの防錆塗料を塗装用ローラーを用いて塗装を行った。
これに用いられる発泡耐火シート12は、合成樹脂,リン酸アンモニウムを発泡剤とし、ペンタエリスリトールを炭化剤としたものであった。他に、酸化チタンと無機繊維としてガラス繊維を加え、各種添加剤を少量添加したものであった。
【0104】
その配合は、
合成樹脂 29.0重量%
リン酸アンモニウム 46.0重量%
ペンタエリスリトール 11.0重量%
酸化チタン 11.0重量%
ガラス繊維 2.0重量%
添加剤 1.0重量%
合計 100.0重量%
【0105】
この合成樹脂は、エチレン酢酸ビニル系樹脂で、分解開始温度は250℃以下で、300℃までに全固形分の50重量%以上90重量%以下が分解するもので、そのTgが-5℃であった。
この発泡耐火シート12は、上記記載の成分をニーダーにより均一に混練した混練物をペレット状にし、そのペレット状のものを熱ローラーにより圧延し、厚みが2mmのシートとしたものであった。また、その比重は、1.5であった。
【0106】
この発泡耐火シートは、可撓性があり、角形鋼材の角に沿って発泡耐火シートを曲げ、その時にシートの表面にクラックや割れなどの発生がないものであった。
この発泡耐火シートを使って、JIS A1304の標準加熱曲線に従って60分加熱試験を行い、K熱電対によって鋼材の裏面温度を測定した。評価は、発泡層に割れがなく、鋼材温度が550℃以下で、耐火性能があると判断できるものであった。
【0107】
この発泡耐火シートを300×600mmに裁断し、裏面に粘着層と基材と粘着層が積層している両面テープを貼付けた。この両面テープは、菊水化学工業株式会社製のMAタックを用いた。
この両面テープを貼り付けた後に、離型紙を剥がし、ガラス不織布を貼り、更に、両面テープを貼り合わせ、図7に示した発泡耐火シート積層体11を得た。このガラス不織布の目付量は、50g/mであった。
【0108】
この粘着層は、粘着層を0℃程度にした場合でも指で触った時に、その粘着層に指紋が付き、剥がれづらい程度のものであった。この基材には、ポリエステル繊維の不織布が使用されていた。また、その片側の粘着層には、離型紙により粘着層が保護されていた。
この発泡耐火シート積層体11を20枚用意し上記記載の被覆物に貼付けを行った。
【0109】
この貼付けは、粘着層を保護している離型紙を剥がしながら被覆箇所に貼付けた。この発泡耐火シート積層体11を被覆箇所に隣り合うシートに突き付けた状態で、貼付け、被覆物に対して、発泡耐火シート積層体11により被覆を行った。
また、今回の被覆では、鉄骨柱の大きさが用意した300×600mmの発泡耐火シート20枚で収まることになった。被覆箇所により任意のサイズに切断加工する必要があり、ハサミやカッターナイフなどにより容易に行うことができるものであった。
【0110】
発泡耐火シートの突き付けた部分の処理を行った。この処理では、エマルションパテを充填し、それが硬化した後に#180のサンドペーパーを用いて平滑に仕上げた。
さらに、突き付け部の表面にメッシュテープを貼り、そのメッシュテープを覆うようにエマルションパテを充填し、それが硬化した後に#180のサンドペーパーを用いて平滑に仕上げた。
【0111】
このメッシュテープは、幅が10~50mmで、そのメッシュの目開きは5mmピッチで、その素材は、ガラス繊維であった。
このように発泡耐火シート積層体11により被覆物の被覆を行い、塗料による塗装を行った。この塗装には、アクリル系のエマルションペイントを用いた。この塗料を塗装ローラーにより塗装を行い、仕上げを行った。
【0112】
このような耐火被覆方法により、仕上げ用の耐火被覆構造を比較的容易に得ることができ、その発泡耐火層の修正も容易である耐火被覆構造であり、その耐火被覆面は、仕上げを行う場合に良好なものであり、その仕上がりも良好なものであった。
また、前記発泡耐火層の表面に仕上げ層が積層されたものであることにより、耐火被覆構造を保護することができた。
【0113】
さらに、もう一つの方法として、被覆物に対して、粘着層と基材と粘着層が積層されている両面テープを貼り付けた後に、発泡耐火シート積層体11を貼り付け、その表面に仕上げ材を施工することである。
つまり、図9に示した被覆対象物に上記実施形態に記載した発泡耐火シート積層体11を貼り付けるものである。
【0114】
具体的には、図1に示した実施形態一の発泡耐火シート積層体11により行う。
この方法であっても、前記同様で、容易に耐火被覆構造を得ることができ、発泡耐火シート積層体11の貼付け後の修正も比較的容易で、その仕上がりも良好なものとすることができる。
【0115】
被覆対象物の前処理を行った後に、その表面に、粘着層と基材と粘着層が積層されている粘着シートを貼り付ける。この粘着シートは、上記記載のような両面テープを用いることが行われる。
この粘着シートに積層されている離型紙が被覆物の表面になるように貼付け、その後、発泡耐火シート積層体11を貼る時に、離型紙を剥がしながら貼ることになる。これにより、発泡耐火シート積層体11を貼る直前まで、粘着層を保護することができ、十分な貼付けを行うことができる。
【0116】
この粘着シートは、ロール状のものを使うことが多く、その幅は、特に制限されるものではないが、300mm以下のものを用いることが多い。
その後、発泡耐火シート積層体11を貼り付ける。この場合でも上記同様で、発泡耐火シート積層体11を適切な大きさに切断されたものを使用し、被覆箇所によっては、その箇所の採寸を行い、シートを切断して、被覆箇所に適した大きさにし、貼付ける。
【0117】
この発泡耐火シート積層体11を被覆箇所に隣り合うシートに突き付けた状態で、貼付け、被覆物に対して、発泡耐火シート積層体11により被覆する。
発泡耐火シート積層体11により被覆を行った後に、突き付けた部分の処理を上記同様に行うことができる。その後に、壁紙などのシート状の表装材や塗料により塗装し、塗膜を形成させることなどがある。
【0118】
このように施工することで、容易に耐火被覆構造を得ることができ、その仕上がりも良好なものとすることができる。
上記実施形態によれば、さらに以下の効果を得ることができる。
【0119】
被覆対象物の表面から接着層、基材層及び合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートが積層された耐火被覆構造であることにより、発泡耐火シートに熱が加わり、そのシートの表面側の発泡が始まり、発泡層を形成する。それとほぼ同時に基材層などがある裏面側の発泡も起き易くなり、被覆対象物へ発泡圧が加わり易く、発泡層の脱落が起こり難くいものとなる。
【0120】
被覆対象物の表面から粘着層と基材層が積層及び合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートが積層された耐火被覆構造であることにより、発泡耐火シートに熱が加わり、そのシートの表面側の発泡が始まり、発泡層を形成する。それとほぼ同時に基材層などがある裏面側の発泡も起き易くなり、被覆対象物へ発泡圧が加わり易く、発泡層の脱落が起こり難くいものとなる。それにより耐火性能を向上させることが可能となる。
【0121】
被覆対象物の表面から第二の粘着層、基材層、第一の粘着層及び合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートが積層された耐火被覆構造であることにより、発泡耐火シートに熱が加わり、そのシートの表面側の発泡が始まり、発泡層を形成する。それとほぼ同時に基材層などがある裏面側の発泡も起き易くなり、被覆対象物へ発泡圧が加わり易く、発泡層の脱落が起こり難くいものとなる。それにより耐火性能を向上させることが可能となる。
【0122】
被覆対象物の表面から第三の粘着層、第二の基材層、第二の粘着層、第一の基材層、第一の粘着層及び合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートが積層された耐火被覆構造であることにより、発泡耐火シートに熱が加わり、そのシートの表面側の発泡が始まり、発泡層を形成する。それとほぼ同時に基材層などがある裏面側の発泡も起き易くなり、被覆対象物へ発泡圧が加わり易く、発泡層の脱落が起こり難くいものとなる。それにより耐火性能を向上させることが可能となる。
【0123】
被覆対象物の表面から接着層、第三の基材層、第三の粘着層、第二の基材層、第二の粘着層、第一の基材層、第一の粘着層及び合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートが積層された耐火被覆構造であることにより、発泡耐火シートに熱が加わり、そのシートの表面側の発泡が始まり、発泡層を形成する。それとほぼ同時に基材層などがある裏面側の発泡も起き易くなり、被覆対象物へ発泡圧が加わり易く、発泡層の脱落が起こり難くいものとなる。それにより耐火性能を向上させることが可能となる。
【0124】
被覆対象物の表面から第四の粘着層、第三の基材層、第三の粘着層、第二の基材層、第二の粘着層、第一の基材層、第一の粘着層及び合成樹脂を主成分とした発泡耐火シートが積層された耐火被覆構造であることにより、発泡耐火シートに熱が加わり、そのシートの表面側の発泡が始まり、発泡層を形成する。それとほぼ同時に基材層などがある裏面側の発泡も起き易くなり、被覆対象物へ発泡圧が加わり易く、発泡層の脱落が起こり難くいものとなる。それにより耐火性能を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0125】
11・・・発泡耐火シート積層体
12・・・発泡耐火シート
13・・・(第一の)基材層
14・・・(第一の)粘着層
15・・・第二の粘着層
16・・・離型紙
17・・・第二の基材層
18・・・第三の粘着層
19・・・第三の基材層
20・・・第四の粘着層
21・・・被覆対象物の基材層
22・・・被覆対象物の粘着層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9