(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073714
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】オーブン
(51)【国際特許分類】
F24C 15/06 20060101AFI20240523BHJP
F24C 15/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
F24C15/06 A
F24C15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184565
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】谷 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匠
(57)【要約】
【課題】サイドフィラーの位置ずれを防止して美感を向上できるオーブンを提供する。
【解決手段】上枠部17の左右両端部の下面部には、係止突起61,62が設けられる。係止突起61,62の上端部には幅狭部が形成される。幅狭部は左右方向の幅がその他の部分よりも小さい。サイドフィラー21の内板部の上端部には内側差込片32が設けられる。外板部25の上端部には外側差込片33が設けられる。内側差込片32は幅狭部の左側に前方から差し込まれ、外側差込片33は幅狭部の左側に前方から差し込まれる。係止突起61の下端部には係止部64が設けられ、その前面には当接部641が設けられる。当接部641は前板部23の後面と当接する。サイドフィラー21が上枠部17に位置決めされた状態で、内板部を矩形枠部50の右側部51の右面にネジ止めする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キッチンカウンタの内部に組み込まれるビルトイン式のオーブンにおいて、
前側に開口部を有する焼成庫を備えるオーブン本体と、
前記焼成庫の前側において開閉可能に設けられ、閉状態で前記開口部を閉塞するオーブン扉と、
左右方向に延設され、左右両端部が前記オーブン扉よりも左右両側に張り出すように前記オーブン本体の前側の上部に固定され、前記オーブン扉の上側に位置する上枠部と、
前記上枠部の下側で且つ前記オーブン本体の左右両側に夫々固定される左右一対のサイドフィラーと
を備え、
前記上枠部の前記左右両端部の下面部には、下方に突出する係止突起が設けられ、
前記係止突起の上端部には、左右方向の幅がその他の部分の左右方向の幅よりも小さく形成された幅狭部が形成され、
前記サイドフィラーは、
上下方向に延設され、面方向が正面を向く前板部と、
前記前板部の前記オーブン本体側の第1側端部から後方に延び、前記オーブン本体との取付部が形成される内板部と、
前記前板部の前記オーブン本体側とは反対側の第2側端部から後方に延びる外板部と
を備え、
前記内板部の上端部には、前記サイドフィラーの内側に向けて突出して形成され、前記幅狭部の左側又は右側に差し込まれる内側差込片が設けられ、
前記外板部の上端部には、前記サイドフィラーの内側に向けて突出して形成され、前記幅狭部の右側又は左側に差し込まれる外側差込片が設けられ、
前記係止突起における前記幅狭部よりも下側の前面には、前記サイドフィラーの前記前板部の後面と当接する当接部が設けられたこと
を特徴とするオーブン。
【請求項2】
前記幅狭部の前側には、後方に向けて窪んだ溝部が設けられ、
前記前板部の上端部には、後方に向けて突出して形成される前側差込片が設けられ、
前記前側差込片は前記溝部に対して前方から差し込まれていること
を特徴とする請求項1に記載のオーブン。
【請求項3】
前記サイドフィラーは、前記前板部の上下方向の中間部を左右方向に切断した仮想平面に対して鏡面対称になっていること
を特徴とする請求項1又は2に記載のオーブン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーブンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キッチンカウンタにおいて、ガスコンロの下側に組み込まれるガスオーブンの左右両端部には、キッチンカウンタとの隙間を埋めるサイドフィラーが取り付けられるのが一般的である(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のサイドフィラーはその他の部品から位置ずれし易いので、オーブンとしての美観を損なう場合があった。
【0005】
本発明の目的は、サイドフィラーの位置ずれを防止して美感を向上できるオーブンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のオーブンは、キッチンカウンタの内部に組み込まれるビルトイン式のオーブンにおいて、前側に開口部を有する焼成庫を備えるオーブン本体と、前記焼成庫の前側において開閉可能に設けられ、閉状態で前記開口部を閉塞するオーブン扉と、左右方向に延設され、左右両端部が前記オーブン扉よりも左右両側に張り出すように前記オーブン本体の前側の上部に固定され、前記オーブン扉の上側に位置する上枠部と、前記上枠部の下側で且つ前記オーブン本体の左右両側に夫々固定される左右一対のサイドフィラーとを備え、前記上枠部の前記左右両端部の下面部には、下方に突出する係止突起が設けられ、前記係止突起の上端部には、左右方向の幅がその他の部分の左右方向の幅よりも小さく形成された幅狭部が形成され、前記サイドフィラーは、上下方向に延設され、面方向が正面を向く前板部と、前記前板部の前記オーブン本体側の第1側端部から後方に延び、前記オーブン本体との取付部が形成される内板部と、前記前板部の前記オーブン本体側とは反対側の第2側端部から後方に延びる外板部とを備え、前記内板部の上端部には、前記サイドフィラーの内側に向けて突出して形成され、前記幅狭部の左側又は右側に差し込まれる内側差込片が設けられ、前記外板部の上端部には、前記サイドフィラーの内側に向けて突出して形成され、前記幅狭部の右側又は左側に差し込まれる外側差込片が設けられ、前記係止突起における前記幅狭部よりも下側の前面には、前記サイドフィラーの前記前板部の後面と当接する当接部が設けられたことを特徴とする。
【0007】
請求項2のオーブンの前記幅狭部の前側には、後方に向けて窪んだ溝部が設けられ、前記前板部の上端部には、後方に向けて突出して形成される前側差込片が設けられ、前記前側差込片は前記溝部に対して前方から差し込まれていてもよい。
【0008】
請求項3のオーブンの前記サイドフィラーは、前記前板部の上下方向の中間部を左右方向に切断した仮想平面に対して鏡面対称になっていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
請求項1のオーブンによれば、内板部の上端部に形成される内側差込片と、外板部の上端部に形成される外側差込片を被差込部左右両側に差し込むことで、サイドフィラーの脱落を防止しつつ、そのサイドフィラーの左右方向及び上下方向への位置ずれを防止できる。また、係止突起の幅狭部よりも下側の前面に設けられた当接部に対して、サイドフィラーの前板部の後面が当接するまでサイドフィラーを後方に押し込むと、それ以上の押し込みが規制されるので、サイドフィラーの上枠部に対する前後方向の位置決めを行うことができる。そして、位置決めされた状態のサイドフィラーの内板部に設けられた取付部をオーブン本体の側面に取り付けることで、上枠に対してサイドフィラーが位置ずれするのを防止できる。これにより、オーブン全体としての美観を良好に担保できる。
【0010】
請求項2のオーブンによれば、溝部に対して前側差込片が前方から差し込まれているので、前側差込片は溝部の内側に位置決めされる。これにより、サイドフィラーの位置ずれと脱落をより効果的に防止できる。
【0011】
請求項3のオーブンによれば、サイドフィラーを鏡面対称とすることで、オーブンの左右夫々のサイドフィラーの形状を同一にできる。これにより、サイドフィラーの製造コスト及び管理コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】キッチンカウンタ1に組み込まれたガスオーブン10の正面図である。
【
図2】ガスオーブン10(オーブン扉15:閉)の斜視図である。
【
図3】ガスオーブン10(オーブン扉15:開)の斜視図である。
【
図5】サイドフィラー21,22を取り外した状態のガスオーブン10の斜視図である。
【
図6】サイドフィラーを取り外した状態のガスオーブン10の正面図である。
【
図7】サイドフィラー21の右斜め前方から見た斜視図である。
【
図8】サイドフィラー21の左斜め前方から見た斜視図である。
【
図9】上枠部17の係止突起61,62に対して、サイドフィラー21,22を係止させる前の状態を示す斜視図である。
【
図10】
図2に示すW領域の部分を係止突起61の右側で破断した状態を右斜め後方から見た断面斜視図である。
【
図11】
図2に示すW領域の部分を係止突起61の中央で破断した状態を右斜め後方から見た断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に記載される装置構成などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。本実施形態では、図中に示す前後、左右、上下の向きを使用して説明する。
【0014】
図1に示すように、キッチンカウンタ1のカウンタトップ2の上面には開口(図示略)が設けられ、その開口にビルトインコンロ5が上方から落とし込まれて設置される。キッチンカウンタ1の正面のカウンタパネル4には縦長矩形状の開口部3が設けられる。その開口部3の内側上部にはビルトインコンロ5の正面が露出する。ビルトインコンロ5の下方にはガスオーブン10が設置され、その正面が開口部3の内側下部において露出する。
【0015】
図2~
図6を参照し、ガスオーブン10の構造について説明する。ガスオーブン10は、オーブン本体11、オーブン扉15、排気筒16、上枠部17、左右一対のサイドフィラー21,22等を備える。オーブン本体11は外箱13と焼成庫14を備える。外箱13は略直方体状の金属製の箱である。外箱13の前面の上側寄りには、大きな矩形状の開口(図示略)が設けられる。焼成庫14は外箱13の内側で且つ上側寄りに設けられる。焼成庫14の前面には矩形状の開口部14Aが設けられる。焼成庫14の内側には被調理物が収容される。外箱13の前面には、矩形枠部50が固定される。矩形枠部50は、上側部(図示略)、下側部(図示略)、右側部51(
図5,
図6参照)、左側部52(
図6参照)を備え、その中央には矩形状の開口50Aが形成される。開口50Aは、焼成庫14の開口部14Aと前後方向に連通する。
【0016】
オーブン扉15は正面視略矩形状に形成され、矩形枠部50の下部の前側において下端側を軸として縦開きに開閉可能に設けられる(
図3参照)。オーブン扉15の前面上部には、横方向に延びる取手15Aが設けられる。オーブン扉15は閉状態で矩形枠部50を介して焼成庫14の開口部14Aを閉塞する。外箱13の内側において、焼成庫14の下側には、ガスバーナを備える燃焼装置(図示略)が設けられる。燃焼装置によって加熱された高温空気はファン(図示略)により焼成庫14内に流入する。これにより、焼成庫14の庫内温度が上昇して被調理物の加熱調理が行われる。
【0017】
排気筒16は焼成庫14の後部から上方に延び、ビルトインコンロ5の排気部(図示略)の下部と連結する。排気筒16は焼成庫14内と連通し、焼成庫14内から流出する高温空気をビルトインコンロ5の排気部内に流入させる。これにより、焼成庫14内から流出する高温空気は、ビルトインコンロ5の排気部を介して外部に排出される。
【0018】
上枠部17は左右方向に延びる略角柱状に形成され、外箱13の前面上部に固定された取付金具(図示略)にネジ止めされる。ガスオーブン10を正面から見たとき、上枠部17はオーブン扉15の上側に配置され、上枠部17の左右両端部はオーブン扉15よりも左右両側に張り出している。上枠部17の前面は、オーブン扉15の前面と前後方向において略同一位置に配置される。上枠部17の前面には操作パネル17Aが設けられる。操作パネル17Aには各種ボタン、表示部、LED等が設けられる。上枠部17の下面部の右側には係止突起61が下方に突出して設けられる。上枠部17の下面部の左側には係止突起62が下方に突出して設けられる。
【0019】
係止突起61は幅狭部63と係止部64を備える。幅狭部63は係止突起61の上端部に設けられ、係止部64は幅狭部63の下側に設けられる。幅狭部63は左右方向の幅が係止部64の左右方向の幅に比べて狭くなった部分である。幅狭部63の前側には、側面視前方に開口する略U字状の前側溝71が形成される。よって、幅狭部63の前面は、上枠部17の前面よりも後方に位置する。係止部64は底面視前後方向に長い略矩形状に形成される。係止部64の左右両端部は、幅狭部63の左右両端部よりも左右両側に突出する。係止部64の前端部には、当接部641が設けられる。当接部641は幅狭部63の前面よりも前方に突出して形成され、上枠部17の前面に対して後述のサイドフィラー21の前板部23の厚み分だけ後方に位置する。幅狭部63の左側には、正面視左方に開口する略U字状の内側溝72が形成され、幅狭部63の右側には、正面視右方に開口する略U字状の外側溝73が形成される。なお、左側の係止突起62は係止突起61と左右対称形状なので説明を省略する。
【0020】
サイドフィラー21,22は、上枠部17の左右両側に張り出した左右両端部の夫々の下方で且つオーブン扉15の右側と左側に夫々配置され、矩形枠部50の右側部51の右面と左側部52の左面とに夫々ネジ止めされる。サイドフィラー21,22は正面視上下方向に細長い略矩形状に形成される。ガスオーブン10を正面から見たとき、サイドフィラー21は、オーブン扉15の右端部と外箱13の右側壁131との間を閉塞する。サイドフィラー22は、オーブン扉15の左端部と外箱13の左側壁132との間を閉塞する。
【0021】
図7,
図8を参照し、サイドフィラー21,22の構造について説明する。なお後述するが、サイドフィラー21,22は共通部品なので、本実施形態では右側のサイドフィラー21の構造について説明する。サイドフィラー21は正面視上下方向に細長い略矩形状で且つ平面視後方に向けて開口する略コの字状の金属製部材である。サイドフィラー21は例えば金属板を折り曲げて形成される。サイドフィラー21は前板部23、内板部24、外板部25を備える。
【0022】
前板部23は正面視上下方向に細長い略矩形状に形成され、面方向が正面を向いている。前板部23の左右方向の幅は、例えばオーブン扉15の右端部と外箱13の右側壁131との間の隙間の左右方向の長さに合わせるとよい。
【0023】
内板部24は前板部23の左端部から後方に延び、左側面視上下方向に長い略矩形状に形成される。内板部24と前板部23との接続部分は略円弧状に屈曲する。内板部24は、サイドフィラー21のうち矩形枠部50側(焼成庫14側)に配置される。内板部24の後端部と上端部とが交差する角部には、L字状に切断されたL字部241が設けられる。内板部24の後端部と下端部とが交差する角部には、L字状に切断されたL字部242が設けられる。内板部24の後端部近傍の上下方向中央側には、上下一対の固定穴38,39が左右方向に貫通して設けられる。
【0024】
外板部25は前板部23の右端部から後方に延び、右側面視上下方向に長い略矩形状に形成される。外板部25と前板部23との接続部分も略円弧状に屈曲する。外板部25は、サイドフィラー21のうち矩形枠部50側(焼成庫14側)とは反対側に配置される。外板部25の前後方向の幅は、内板部24の前後方向の幅と略同一である。外板部25の後端部には、2つのU字溝244,245が上下方向に離間して設けられる。上側のU字溝244は、外板部25の上下方向の中間部よりもやや上側であって、内板部24の固定穴38と相対する位置に設けられる。下側のU字溝245は、外板部25の上下方向の中間部よりもやや下側であって、内板部24の固定穴39と相対する位置に設けられる。U字溝244,245は、外板部25の後端部から前方に向かって側面視略U字状に窪んで形成される。内板部24と外板部25は、前板部23を介して互いに略平行、若しくは開口する側が若干広くなっていてもよい。
【0025】
そして、外板部25の後端側のうちU字溝244よりも上側の部分には第1矩形部251が形成され、U字溝244と245の間の部分には第2矩形部252が形成され、U字溝245よりも下側の部分には第3矩形部253が形成される。第1矩形部251、第2矩形部252、第3矩形部253は側面視縦長の略矩形状である。さらに、第1矩形部251の後端部には、内板部24側にやや傾斜して突出する第1傾斜部25Aが設けられ、第2矩形部252の後端部には、内板部24側にやや傾斜して突出する第2傾斜部25Bが設けられ、第3矩形部253の後端部には、内板部24側にやや傾斜して突出する第3傾斜部25Cが設けられる。
【0026】
さらに、第1傾斜部25Aの後端部には後方に突出する第1差込片26が設けられる。第1差込片26は右側面視上下方向に細長い略矩形状に形成される。第2傾斜部25Bの後端部には後方に突出する第2差込片27が設けられる。第2差込片27は右側面視略矩形状に形成される。第3傾斜部25Cの後端部には後方に突出する第3差込片28が設けられる。第3差込片28は右側面視上下方向に細長い略矩形状に形成される。
【0027】
サイドフィラー21の上端部において、前板部23の上端部には前側差込片31が設けられ、サイドフィラー21の内側に向けて後方に突出して形成される。前側差込片31は後方に向けて略三角形状に形成される。内板部24の上端部には内側差込片32が設けられ、サイドフィラー21の内側に向けて右方に突出して形成される。内側差込片32は平面視前後方向に細長い略矩形状に形成される。外板部25の上端部には外側差込片33が設けられ、サイドフィラー22の内側に向けて左方に突出して形成される。外側差込片33は平面視前後方向に細長い略矩形状に形成され、内側差込片32と所定の隙間を介して対向する。所定の隙間は、係止突起61の幅狭部63が前後方向に挿入可能な幅であればよい。
【0028】
他方、サイドフィラー21の下端部において、前板部23の下端部には前側差込片35が設けられ、サイドフィラー21の内側に向けて後方に突出して形成される。内板部24の下端部には内側差込片36が設けられ、サイドフィラー21の内側に向けて右方に突出して形成される。外板部25の下端部には外側差込片37が設けられ、サイドフィラー22の内側に向けて左方に突出して形成される。これら前側差込片35、内側差込片36、外側差込片37は、サイドフィラー21の上端部に設けられた前側差込片31、内側差込片32、外側差込片33と同一形状である。
【0029】
図7,
図8に示すサイドフィラー21の姿勢は第1の取付姿勢である。第1の取付姿勢では、サイドフィラー21は上下方向に起立した状態で、前板部23が前側、内板部24が左側、外板部25が右側に夫々配置され、前側差込片31、内側差込片32、外側差込片33がサイドフィラー21の上端側に配置される。この第1の取付姿勢で、サイドフィラー21はオーブン本体11の右側に取り付けられる。
【0030】
上記形状のサイドフィラー21は仮想平面Pにおいて鏡面対称である。仮想平面Pはサイドフィラー21の上下方向の中間部を左右方向に切断する平面である。これにより、第1の取付姿勢のサイドフィラー21を上下左右反転させることによって、左側のサイドフィラー22(
図5,
図9参照)として使用できる。このときのサイドフィラー22の姿勢は第2の取付姿勢となる。第2の取付姿勢では、サイドフィラー22は上下方向に起立した状態で、前板部23が前側、内板部24が右側、外板部25が左側に夫々配置され、前側差込片35、内側差込片36、外側差込片37がサイドフィラー22の上端側に配置される。この第2の取付姿勢で、サイドフィラー22はオーブン本体11の左側に取り付けられる。このようにして、サイドフィラー21,22は共通部品として使用できるので、左右のサイドフィラーを異なる形状とした場合と比較して、サイドフィラー21,22の製造コスト及び管理コストを低減できる。
【0031】
次に、ガスオーブン10へのサイドフィラー21,22の取付方法について説明する。
図5,
図9に示すように、作業者は、右側のサイドフィラー21を第1の取付姿勢に保持した状態で、サイドフィラー21の上端部を、上枠部17の下面部の右側に設けられた係止突起61に前方から位置を合わせ、その姿勢でサイドフィラー21をオーブン本体11側に移動させる(
図9中に示す二点鎖線の矢印A1参照)。このとき、サイドフィラー21の第1差込片26、第2差込片27、第3差込片28を、外箱13の右側壁131の内側に差し入れる。
【0032】
そして、サイドフィラー21の内側差込片32を係止突起61の左側の内側溝72に対して前方から差し込むと共に、外側差込片33を係止突起61の右側の外側溝73に対して前方から差し込む。内側差込片32と外側差込片33は、係止部64の上面に係止すると共に該上面に沿って略水平且つ後方に摺動してガイドされる。そして、内側差込片32と外側差込片33は、係止部64の上面に係止した状態となる。これにより、サイドフィラー21の上下方向の位置が決まると共に脱落を防止できる。そして、内側差込片32と外側差込片33の間に係止突起61の幅狭部63が挟まれた状態なので、サイドフィラー21の左右方向の位置も規制される。これにより、ガスオーブン10は、サイドフィラー21の抜け落ちを防止しつつ、そのサイドフィラー21の左右方向及び上下方向における位置ずれを防止できる。
【0033】
そして、作業者は、サイドフィラー21の前板部23の後面に対して、係止部64の当接部641が当接するまで、サイドフィラー21を後方に押し込む。このとき、係止突起61の前側溝71に対して前側差込片31が前方から差し込まれる。これにより、前側差込片31も係止部64の上面に対して上方から係止した状態となるので、サイドフィラー21の上下方向の位置決めと脱落をより効果的に防止できる。
【0034】
そして、前板部23の後面に当接部641が当接すると、それ以上のサイドフィラー21の押し込みが規制される。このとき、前板部23の前面の位置は、上枠部17の前面の位置と、オーブン扉15の前面の位置とに対して略同一となる。これにより、ガスオーブン10を右方から見たときの美観が向上する。このようにして、ガスオーブン10は、サイドフィラー21の上枠部17に対する前後方向の位置決めを自動的に行うことができる。
【0035】
サイドフィラー21が係止突起61によって位置決めされた状態では、内板部24の左面が矩形枠部50の右側部51の右面と接触する。そして、内板部24の後端部に設けられた固定穴38,39(
図8,
図9参照)が、矩形枠部50の右側部51に設けられた固定穴55,56(
図5参照)に相対して配置される。この状態で、サイドフィラー21を右方から見ると、外板部25のU字溝244,245の夫々の内側を介して、内板部24の固定穴38,39の夫々の位置を確認できる。よって、作業者は、U字溝244,245を介して内板部24の固定穴38,39にネジ91,92を挿入し(
図4参照)、右側部51に設けられた固定穴55,56に夫々締結する。これにより、内板部24が矩形枠部50の右側部51の右面に固定される。
【0036】
そして、外板部25側において、第1差込片26、第2差込片27、第3差込片28は、外箱13の右側壁131の内側に差し込まれ、右側壁131の内面に係止した状態となっている。これにより、内板部24と外板部25が互いに接近する方向に押し狭められるので、金属板の曲げ剛性によりサイドフィラー21は、矩形枠部50の右側部51と、外箱13の右側壁131との間に適切に位置決めされた状態で、オーブン本体11の右側面に固定される。このようにして、サイドフィラー21の取付けが完了する。
【0037】
なお、詳述しないが、左側のサイドフィラー22の取り付け方法は、サイドフィラー21と同様である。作業者は、左側のサイドフィラー22を第2の取付姿勢に保持した状態で、サイドフィラー22の上端部を、上枠部17の下面部の左側に設けられた係止突起62に前方から位置を合わせ、その姿勢でサイドフィラー22をオーブン本体11側に移動させる(
図9中に示す二点鎖線の矢印A2参照)。そして、上枠部17の下面部の左側に設けられた係止突起62に対して、サイドフィラー22の上端側に設けられた前側差込片35、内側差込片36、外側差込片37を差し込み、内板部24を矩形枠部50の左側部52(
図6参照)の左面にネジ止め固定すればよい。これにより、ガスオーブン10は、上枠部17に対してサイドフィラー21,22の位置ずれを防止できるので、ガスオーブン10全体としての美観を良好に担保できる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態のガスオーブン10は、キッチンカウンタ1の内部で且つビルトインコンロ5の下側に組み込まれるビルトイン式のガスオーブンである。ガスオーブン10は、オーブン本体11、オーブン扉15、上枠部17、左右一対のサイドフィラー21,22を備える。オーブン本体11は、前側に開口部14Aを有する焼成庫14を備える。オーブン扉15は、焼成庫14の前側において開閉可能に設けられ、閉状態で開口部14Aを閉塞する。上枠部17は、左右方向に延設され、左右両端部がオーブン扉15よりも左右両側に張り出すようにオーブン本体11の前側の上部に固定され、オーブン扉15の上側に配置される。サイドフィラー21,22は、上枠部17の下側で且つオーブン本体11の左右両側に夫々固定される。上枠部17の左右両端部の下面部には、下方に突出する係止突起61,62が設けられる。係止突起61(62)の上端部には、幅狭部63が形成される。幅狭部63は左右方向の幅がその他の部分の左右方向の幅よりも小さく形成される。
【0039】
サイドフィラー21(22)は、前板部23、内板部24,外板部25を備える。前板部23は上下方向に延設され、面方向が正面を向く。内板部24は前板部23のオーブン本体11側である左端部から後方に延び、その後端側には固定穴38,39が設けられる。外板部25は、前板部23のオーブン本体11側とは反対側の右端部から後方に延びる。内板部24の上端部には、内側差込片32が設けられる。外板部25の上端部には、外側差込片33が設けられる。内側差込片32及び外側差込片33は、サイドフィラー21の内側に向けて互いに対向する方向に突出して形成される。右側のサイドフィラー21において、内側差込片32は幅狭部63の左側の内側溝72に前方から差し込まれる。外側差込片33は幅狭部63の左側の外側溝73に前方から差し込まれる。係止突起61の下端部には係止部64が設けられる。係止部64は幅狭部63よりも左右方向の幅が広く、その前面には当接部641が設けられる。当接部641は、サイドフィラー21の前板部23の後面と当接する。
【0040】
このような構成を備えることにより、ガスオーブン10は、サイドフィラー21(22)の脱落を防止しつつ、そのサイドフィラー21の左右方向及び上下方向への位置ずれを防止できる。また、係止突起61の係止部64の前端部に設けられた当接部641に対して、サイドフィラー21の前板部23の後面が当接するまでサイドフィラー21を後方に押し込む。すると、それ以上の押し込みが規制されるので、サイドフィラー21の上枠部17に対する前後方向の位置決めを行うことができる。そして、位置決めされた状態のサイドフィラー21の内板部24に設けられた固定穴38,39を、オーブン本体11の矩形枠部50の右側部51の右面に固定する。これにより、ガスオーブン10は上枠部17に対してサイドフィラー21が位置ずれするのを防止できるので、ガスオーブン10全体としての美観を良好に担保できる。
【0041】
係止突起61の幅狭部63の前側には、前側溝71が設けられる。前側溝71は後方に向けて窪んでいる。サイドフィラー21(22)の前板部23の上端部には、後方に向けて突出して形成される前側差込片31が設けられる。前側差込片31は、前側溝71に対して前方から挿入して配置されている。これにより、サイドフィラー21(22)の上枠部17からの脱落をより効果的に防止できる。
【0042】
上記説明において、サイドフィラー21の前板部23の左端部は、本発明の「第1側端部」の一例である。前板部23の右端部は、本発明の「第2側端部」の一例である。内板部24に設けられる固定穴38,39は本発明の「取付部」の一例である。前側溝71は本発明の「溝部」の一例である。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。ガスオーブン10のオーブン扉15は、下端側を軸として縦開きに開閉可能なものであるが、開閉方式はこれ以外でもよく、例えば上端側を軸として縦開きに開閉可能なものでもよく、右端側又は左端側を軸として横開きに開閉可能なものであってもよい。
【0044】
サイドフィラー21,22は仮想平面Pにおいて鏡面対称になっているが、鏡面対称でなくてもよい。サイドフィラー21,22は共通部品でなくてもよい。
【0045】
上記実施形態の係止突起61は、幅狭部63の前側に前側溝71を備え、その下側である係止部64の前面を当接部641としているが、例えば前側溝71を省略し、係止突起61の前面の一部又は全部を当接部としてもよい。
【0046】
サイドフィラー21の内板部24の後端部側に上下一対の固定穴38,39を設けているが、固定穴の個数、位置については自由に変更可能である。また、固定穴38,39は本発明の「取付部」の一例であるが、内板部24を矩形枠部50の右側部51に取り付ける構造であれば固定穴に限らず、例えば右側部51に設けた被係止部に係止する爪部やクリップ形状のようなものでもよい。
【0047】
サイドフィラー21の外板部25に設けられた第1傾斜部25A、第2傾斜部25B、第3傾斜部25Cは省略してもよい。
【0048】
上記実施形態のガスオーブン10は、キッチンカウンタ1においてビルトインコンロ5の下側に設置されるものであるが、キッチンカウンタ1における位置は自由に変更可能であり、ビルトインコンロ5の下側に設置されていなくてもよい。またガスオーブン10は本発明の「オーブン」の一例であるが、電気オーブンであってもよい。またレンジの機能を併せ持っていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 キッチンカウンタ
10 ガスオーブン
11 オーブン本体
14 焼成庫
14A 開口部
15 オーブン扉
17 上枠部
21,22 サイドフィラー
23 前板部
24 内板部
25 外板部
31 前側差込片
32 内側差込片
33 外側差込片
38,39 固定穴
61,62 係止突起
63 幅狭部
71 前側溝
72 内側溝
73 外側溝
641 当接部
P 仮想平面