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特開2024-73744シャンプーボウル用フード、シャンプーボウル及び理美容装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073744
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】シャンプーボウル用フード、シャンプーボウル及び理美容装置
(51)【国際特許分類】
   A47C 1/06 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
A47C1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184610
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】中川 隼一
(72)【発明者】
【氏名】高田 知明
【テーマコード(参考)】
3B099
【Fターム(参考)】
3B099EA04
3B099EA05
(57)【要約】
【課題】施術中のプライベート空間を実現することができるシャンプーボウル用フード、シャンプーボウル及び理美容装置を提供する。
【解決手段】シャンプーボウル用フード18のフード本体19は、シャンプーボウル10の両側部12の外面から上方に向かって立ち上がった一対の側面部20と、この両側面部20の上端から伸びて半円形状となってシャンプーボウル10の上方を覆う正面部21とを有し、両側面部20に取り付けられた移動機構部24によって、シャンプーボウル10に対して前後にスライドする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施術者の頭部が置かれるシャンプーボウルに備えられるシャンプーボウル用フードであって、
前記シャンプーボウルの両側部に取り付けられて上方に向かって立ち上がり、被施術者の頭部の側方を覆う一対の側面部と、
前記側面部の上端から伸びて前記シャンプーボウルの上方を覆う正面部と、から構成されたフード本体を有し、
前記フード本体の一部又は全部が、半透明である、
ことを特徴とするシャンプーボウル用フード。
【請求項2】
被施術者の顔面の正面を覆う第一位置と、前記第一位置よりも後方である第二位置とに前記フード本体を移動させるための移動機構部が、前記側面部に連結された、
ことを特徴とする請求項1に記載されたシャンプーボウル用フード。
【請求項3】
前記移動機構部が、前記両側部に取り付けられたレール部と、前記側面部に取り付けられて前記レール部に沿ってスライドするスライド部と、を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載されたシャンプーボウル用フード。
【請求項4】
前記移動機構部が、前記両側部に取り付けられた回転軸部と、前記回転軸部に取り付けられて前記フード本体を回転させる軸支持部と、を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載されたシャンプーボウル用フード。
【請求項5】
前記側面部が、半透明である、
ことを特徴とする請求項2に記載されたシャンプーボウル用フード。
【請求項6】
前記フード本体の内側に向けられた照明器具を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載されたシャンプーボウル用フード。
【請求項7】
前記照明器具が、前記正面部の内側に取り付けられ、前記フード本体の内面を照射する、
ことを特徴とする請求項6に記載されたシャンプーボウル用フード。
【請求項8】
前記正面部の後部に遮光部を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載されたシャンプーボウル用フード。
【請求項9】
スピーカーを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載されたシャンプーボウル用フード。
【請求項10】
請求項2に記載されたシャンプーボウル用フードを有する、
ことを特徴とするシャンプーボウル。
【請求項11】
後方に向けて倒れる背もたれ部を有する施術台と、
前記施術台の後方に配置された前記シャンプーボウルと、
請求項2に記載されたシャンプーボウル用フードと、を有する、
ことを特徴とする理美容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプーボウル用フード、シャンプーボウル及び理美容装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアサロン等の理美容施設には、シャンプーやスカルプマッサージ等の施術に用いられる装置として、例えば、下記特許文献1に記載されたシャンプー用理美容椅子(以下、「文献公知1発明」と記す。)がある。文献公知1発明は、被施術者が座る椅子と、この椅子の後方に設置されたシャンプー台とを有している。椅子の背もたれ部が倒れると、被施術者の頭部が、シャンプー台のボウルに置かれるため、施術者は、ボウルの内側で被施術者の頭部を施術する。
【0003】
近年、プライベート空間を提供するべく、個室や半個室がある理美容施設もあるが、個室を用意するには、広い店内と多額の設備投資を要するため、同じ部屋に複数台の装置が並んでいるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-240076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、例えば、被施術者の頭部に湯水を掛け続けたり、頭部を湯水に浸し続けたりする施術(以下、「頭浸浴」と記す。)は、比較的長時間に及ぶため、個室ではない先のようなレイアウトの場合、施術の様子が周囲に晒され続ける。
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みて提案されたものである。本発明は、施術中のプライベート空間を実現することができるシャンプーボウル用フード、シャンプーボウル及び理美容装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るシャンプーボウル用フードは、被施術者の頭部が置かれるシャンプーボウルに備えられるシャンプーボウル用フードであって、前記シャンプーボウルの両側部に取り付けられて上方に向かって立ち上がり、被施術者の頭部の側方を覆う一対の側面部と、前記側面部の上端から伸びて前記シャンプーボウルの上方を覆う正面部と、から構成されたフード本体を有し、前記フード本体の一部又は全部が、半透明である、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るシャンプーボウル用フードは、被施術者の顔面の正面を覆う第一位置と、前記第一位置よりも後方である第二位置とに前記フード本体を移動させるための移動機構部が、前記側面部に連結された、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るシャンプーボウル用フードは、前記移動機構部が、前記両側部に取り付けられたレール部と、前記側面部に取り付けられて前記レール部に沿ってスライドするスライド部と、を有する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るシャンプーボウル用フードは、前記移動機構部が、前記両側部に取り付けられた回転軸部と、前記回転軸部に取り付けられて前記フード本体を回転させる軸支持部と、を有する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るシャンプーボウル用フードは、前記側面部が、半透明である、ことを特徴とする。
【0012】
本発明に係るシャンプーボウル用フードは、前記フード本体の内側に向けられた照明器具を有する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係るシャンプーボウル用フードは、前記照明器具が、前記正面部の内側に取り付けられ、前記フード本体の内面を照射する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明に係るシャンプーボウル用フードは、前記正面部の後部に遮光部を有する、ことを特徴とする。
【0015】
本発明に係るシャンプーボウル用フードは、スピーカーを有する、ことを特徴とする。
【0016】
本発明に係るシャンプーボウルは、上記したシャンプーボウル用フードを有する、ことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る理美容装置は、後方に向けて倒れる背もたれ部を有する施術台と、前記施術台の後方に配置された前記シャンプーボウルと、上記したシャンプーボウル用フードと、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るシャンプーボウル用フードは、被施術者の頭部が置かれるシャンプーボウルに備えられるものであって、シャンプーボウルの両側部に取り付けられて上方に向かって立ち上がり、被施術者の頭部の側方を覆う一対の側面部と、側面部の上端から伸びてシャンプーボウルの上方を覆う正面部と、から構成されたフード本体を有している。すなわち、被施術者の頭部がシャンプーボウルに置かれた状態では、フード本体によって頭部の正面及び側方が覆われるため、施術中のプライベート空間が実現する。また、フード本体の一部又は全部が、半透明であることから、フード本体の内側が外部から視認されづらいため、プライベート空間として適切であるうえ、フード本体の内側からでも外側の明るさが確認できるため、閉所を嫌う被施術者に対してもプライベート空間を実現することができる。
【0019】
本発明に係るシャンプーボウル用フードは、被施術者の顔面の正面を覆う第一位置と、第一位置よりも後方である第二位置とにフード本体を移動させるための移動機構部が、側面部に連結されている。移動機構部が稼働することで、フード本体が第二位置に移動すれば、正面部が被施術者の顔面の正面から外れるため、例えば、施術台の背もたれ部が後方に向けて倒れる際、及び、背もたれ部が起きる際に、フード本体と被施術者とが干渉しない。また、フード本体が第一位置に移動すれば、フード本体によって被施術者の頭部の正面及び側方が覆われるため、施術中のプライベート空間が実現する。
【0020】
本発明に係るシャンプーボウル用フードは、移動機構部が、両側部に取り付けられたレール部と、側面部に取り付けられてレール部に沿ってスライドするスライド部とを有している。スライド部がスライドしてフード本体が第二位置に移動すれば、例えば、施術台の背もたれ部が後方に向けて倒れる際、及び、背もたれ部が起きる際に、フード本体と被施術者とが干渉しないし、また、フード本体が第一位置に移動すれば、施術中のプライベート空間が実現する。
【0021】
本発明に係るシャンプーボウル用フードは、移動機構部が、両側部に取り付けられた回転軸部と、回転軸部に取り付けられてフード本体を回転させる軸支持部とを有している。回転軸部を回転軸として、軸支持部を中心にフード本体が回転して第二位置に移動すれば、例えば、施術台の背もたれ部が後方に向けて倒れる際、及び、背もたれ部が起きる際に、フード本体と被施術者とが干渉しないし、また、フード本体が第一位置に移動すれば、施術中のプライベート空間が実現する。
【0022】
本発明に係るシャンプーボウル用フードは、側面部が、半透明である。したがって、少なくとも、被施術者の頭部の側方において、フード本体の内側からでも外側の明るさが確認できるため、閉所を嫌う被施術者に対してもプライベート空間を実現することができる。
【0023】
本発明に係るシャンプーボウル用フードは、フード本体の内側に向けられた照明器具を有する。照明器具が光を放つことで、フード本体の内側の空間が光によって演出され、被施術者にとって快適なプライベート空間が実現する。また、フード本体の内側で被施術者の頭部や頭髪を施術している施術者の手元が照らされるため、施術し易い環境が実現する。
【0024】
本発明に係るシャンプーボウル用フードは、照明器具が、正面部の内側に取り付けられ、フード本体の内面を照射するものである。すなわち、被施術者が直接照射されるのではなく、フード本体の内面が照射されるため、間接照明となってフード本体の内側が落ち着いた明るさとなる。したがって、被施術者にとって快適なプライベート空間が実現する。また、間接照明であれば、被施術者1が眩しさを感じることもない。
【0025】
本発明に係るシャンプーボウル用フードは、正面部の後部に遮光部を有している。施術者は、フード本体の後方で施術をするところ、正面部の後部遮光部があることから、照明器具が放った光が遮光部によって遮られるため、施術者が眩しさを感じることがない。
【0026】
本発明に係るシャンプーボウル用フードは、スピーカーを有している。したがって、被施術者にとって快適なプライベート空間が実現する。
【0027】
本発明に係るシャンプーボウルは、上記したシャンプーボウル用フードを有している。したがって、上記したシャンプーボウル用フードと同じ効果を奏する。
【0028】
本発明に係る理美容装置は、後方に向けて倒れる背もたれ部を有する施術台と、施術台の後方に配置されたシャンプーボウルと、上記したシャンプーボウル用フードとを有している。したがって、上記したシャンプーボウル用フードと同じ効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明の実施形態に係る理美容装置の第一態様の側面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る理美容装置の第二態様の側面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウルの第一態様の斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウルの第一態様の前面図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウルの第一態様の側面図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウルの第一態様の上面図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウルの第二態様の斜視図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウルの第二態様の側面図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウルの第二態様の上面図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用フードの斜視図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用フードの前面図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用フードの上面図である。
図13図13は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用フードの下面図である。
図14図14は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用フードの側面図である。
図15図15は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウルの使用例の斜視図である。
図16図16は、本発明の他の実施形態に係るシャンプーボウル用フードが取り付けられたシャンプーボウルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用フード及び理美容装置の説明である。図1及び図2には、理美容装置3が示されている。図3ないし9には、シャンプーボウル用フード18を有するシャンプーボウル10が示されている。以下の説明では、図1ないし3に示されているとおり、施術台4の背もたれ部8が倒れる向きを後方(Back)、背もたれ部8が起きる向きを前方(Front)、シャンプーボウル10の底部11と対向する向きを上方(Up)、その反対側を下方(Down)、シャンプーボウル10の横幅方向を左右側方(Left Side、Right Side)とする。
【0031】
図1及び2に示されているとおり、理美容装置3は、被施術者1が利用する施術台4と、この施術台4の後方に配置されて被施術者1の頭部が置かれるシャンプーボウル10と、このシャンプーボウル10に取り付けられたシャンプーボウル用フード18とを有している。シャンプーボウル用フード18は、フード本体19と移動機構部24とを有し、フード本体19が、移動機構部24を介して移動することで、シャンプーボウル10に対して前後にスライドする。以下、フード本体19がシャンプーボウル10において前寄りに配置された状態を第一態様(図1及び図3ないし6)とし、フード本体19がシャンプーボウル10において後寄りに配置された状態を第二態様(図2及び図7ないし9)とする。
【0032】
施術台4は、被施術者1が横たわるシート部5と、このシート部5を下から支持した昇降部9とを有している。シート部5は、被施術者1が座る座部6と、この座部6の前方に連結されて被施術者1の脚が載せられる脚置き部7と、座部6の後方に連結されて被施術者1の上半身が載せられる背もたれ部8とを有している。シート部5は、座部6の左右側方に配置されて被施術者1の腕が載せられる肘置き部(図示省略)を有している場合もある。施術台4は、昇降部9が稼働して上下に伸縮することで、シート部5が昇降し、また、背もたれ部8が倒れ又は起きることでシート部5の角度が変化する。背もたれ部8が倒れると、シート部5は、水平又はほぼ水平となる。施術台4の姿勢は、施術者(図示省略。)に操作されることで、任意に変化するし、また、予め決定された姿勢に、自動的に変化する。
【0033】
図1ないし9に示されているとおり、シャンプーボウル10は、被施術者1が、シート部5に仰向けに横たわった状態で頭部を置き、施術を受けるためのものである。施術は、例えば、シャンプー、スカルプマッサージ、カラー、パーマ、アイメイク等が含まれる。シャンプーボウル10は、台座部17の上に設置されている。シャンプーボウル10は、底部11と側部12とから構成されたほぼ半球状のボウルである。底部11の中央近傍には、排水口13が形成され、側部12の内側には、給湯水の止水栓14や、給湯水が放出されるシャワーヘッド15等が設置されている。側部12における前側は、陥没し、側部12における他の部位よりも低く形成され、首載置具16が取り付けられている。首載置具16には、被施術者1の首が置かれる。
【0034】
シャンプーボウル用フード18は、上方に向けて凸弧状に湾曲したアーチ状の部材であり、シャンプーボウル10の上方を覆っている。フード本体19は、第一態様では第一位置に配置され、第二態様では第二位置に配置される。第一位置は、シャンプーボウル10の上方でフード本体19が被施術者1の顔面の正面を覆うことができる位置である(図1及び図3ないし6)。一方で、第二位置は、フード本体19が、被施術者1の顔面の正面から後方にずれており、背もたれ部8が起きる際に被施術者1の頭部と干渉しない位置である(図2及び図7ないし9)。
【0035】
ここで、シャンプーボウル用フード18を図面に基づいて詳説する。図10ないし14には、シャンプーボウル用フード18の外観が示されている。
【0036】
図10ないし14に示されているとおり、シャンプーボウル用フード18は、上方に向けて凸弧状に湾曲したアーチ状のフード本体19と、このフード本体19の中央に取り付けられた照明器具29及びスピーカー31と、フード本体19の両端に取り付けられた一対の移動機構部24とを有している。フード本体19は、アーチ状に湾曲した一対のワイヤーフレーム22間に板材23が取り付けられたものである。ワイヤーフレーム22は、例えば金属製であり、一方で、板材23は、例えばアクリルやプラスチック等の合成樹脂製である。板材23は、透明又は半透明である。フード本体19の左右両側の部位は、側面部20であり、側面部20同士の間に渡る部位は、正面部21である。側面部20には、移動機構部24が取り付けられ、正面部21には、照明器具29及びスピーカー31が取り付けられている。正面部21の内面には、光拡散面部(図示省略)を有している。光拡散面部は、例えば、導光印刷によって施された導光インク等によるドットパターンである。
【0037】
なお、図示では、側面部20及び正面部21が区画されているが、当該範囲は一実施形態である。側面部20は、被施術者1の頭部の側方を覆うことができる程度の範囲であり、正面部21は、顔面の正面を覆うことができる程度の範囲であって、側面部20及び正面部21の範囲は、図示をもって定量的に定められるものではなく、任意である。
【0038】
移動機構部24は、側面部20の下端部に固定されたスライド部25と、このスライド部25に連結されたレール部26とを有している。レール部26は、下方かつ互いに近づく方向に向けて伸びた取付片部28を有している。照明器具29は、正面部21の内側に取り付けられ、例えば、LED等の光源部27がフード本体19の内面に向けられている。なお、照明器具29の電源は、乾電池、バッテリー等からの通電である。
【0039】
図3ないし6に示されているとおり、移動機構部24の取付片部28が、シャンプーボウル10の両側部12の外面に固定されることで、レール部26が両側部12の外面に取り付けられると、一対の側面部20は、両側部12の外面から上方に向かって立ち上がり、正面部21は、両側面部20の上端から伸びて半円形状となってシャンプーボウル10の上方を覆う。第一位置において、移動機構部24が稼働することで、フード本体19が水平又はほぼ水平にスライドすると、図7ないし9に示されているとおり、フード本体19は第二位置に移動する。
【0040】
次に、本実施形態の効果を説明する。
【0041】
上記したとおり、フード本体19は、シャンプーボウル10の両側部12の外面から上方に向かって立ち上がった一対の側面部20と、この両側面部20の上端から伸びて半円形状となってシャンプーボウル10の上方を覆う正面部21とを有し、両側面部20に移動機構部24が取り付けられている。移動機構部24は、側面部20の下端部に固定されたスライド部25と、このスライド部25に連結されたレール部26とを有している。フード本体19は、移動機構部24を介して移動することで、シャンプーボウル10に対して前後にスライドする。スライドする際のフード本体19の姿勢は、水平又はほぼ水平である。この構成により、図1及び2に示されているとおり、施術台4の背もたれ部8が起き、又は、倒れる際に、施術者によって押され、移動機構部24が稼働してフード本体19が移動することで、フード本体19が第二位置(図2)に移動すれば、フード本体19の正面部21が被施術者1の顔面の正面から外れるため、フード本体19と被施術者1とが干渉しない。また、フード本体19が第一位置(図1)に移動すれば、正面部21及び側面部20によって被施術者1の頭部の正面及び側方が覆われるため、施術中のプライベート空間が実現する。
【0042】
特に、フード本体19の板材23が、半透明であれば、フード本体19の内側が外部から視認されづらいため、プライベート空間として適切であるうえ、フード本体19の内側からでも外側の明るさが確認できるため、閉所を嫌う被施術者1に対してもプライベート空間を実現することができる。
【0043】
第二位置におけるフード本体19は、施術者の顔面と被施術者1の顔面との間にあり、フード本体19のワイヤーフレーム22が、施術者の視線2の先にあるため、施術者の視線2が被施術者1の視線と合うことがない(図1)。したがって、被施術者1は施術者の視線2を気にする必要がないため、タオル等で顔面を覆われることもなく、被施術者1にとって快適なプライベート空間が実現する。一方で、施術者は、視線2をワイヤーフレーム22から僅かにずらせば被施術者1が見えるため、被施術者1の様子を適宜確認することも容易である。
【0044】
フード本体19は、正面部21の内側に照明器具29が取り付けられているため、照明器具29が光を放つことで、フード本体19の内側の空間が光によって演出され、被施術者1にとって快適なプライベート空間が実現する。また、フード本体19の内側で被施術者1の頭部や頭髪を施術している施術者の手元が照らされるため、施術し易い環境が実現する。
【0045】
特に、照明器具29の光源部27は、フード本体19の内面に向けられ、被施術者1が直接照射されるのではなく、フード本体19の内面が照射されるため、間接照明となってフード本体19の内側が落ち着いた明るさとなる。したがって、被施術者1にとって快適なプライベート空間が実現する。また、間接照明であれば、被施術者1が眩しさを感じることもない。
【0046】
更に、フード本体19の内面は、光拡散面部として、導光インク等によるドットパターンを有しているため、光の反射量や反射光の明るさを部分的に設定することができる。光は、正面部21から両側面部20に向かってフード本体19の内面に沿って進むため、被施術者1が眩しさを感じることがない。
【0047】
フード本体19には、スピーカー31が取り付けられている。スピーカーから出力される音は、フード本体19の内側で、左右にバランスよく反響し、被施術者1にとって快適なプライベート空間が実現する。
【0048】
本発明の実施形態では、シャンプーボウル10に、頭浸浴に用いられるスカルプマッサージ用装置32及び頭浸浴装置33が取り付けられている(図15)。スカルプマッサージ用装置32には、シャワーヘッド15が接続されているため、吐水部34から放出された湯水は、頭浸浴装置33に溜まっていき、被施術者1の後頭部が湯水に適度に浸る。吐水部34から放出された湯水は、頭皮や頭髪の生え際に当たり、頭髪を伝って頭頂部側に流れる。頭浸浴により、被施術者1は、リラックスすることができる。
【0049】
なお、本発明の他の実施形態では、フード本体19の正面部21の後部に遮光部30が取り付けられている(図16)。施術者は、フード本体19の後方で施術をするところ、遮光部30があることから、照明器具29が放った光が遮光部30によって遮られるため、施術者が眩しさを感じることがない。
【0050】
他の実施形態では、フード本体が、シャンプーボウルの両側部に取り付けられて上方に向かって立ち上がった一対の側面部から構成され、正面部を有しておらず、また、移動機構部も有していない。すなわち、シャンプーボウル用フードの側面部は、上方に向かって立ち上がっているが、シャンプーボウルの底面部の上方の空間には至っていない。背もたれ部が後方に向けて倒れる際、被施術者の頭部は、両側面部の間を通過してシャンプーボウルに置かれ、反対に、背もたれ部が起きる際も、被施術者の頭部は、両側面部の間を通過してシャンプーボウルから離れる。したがって、シャンプーボウル用フードと被施術者とが干渉しない。また、被施術者の頭部がシャンプーボウルに置かれた状態では、側面部によって頭部の側方が覆われるため、施術中のプライベート空間が実現する。
【0051】
他の実施形態は、シャンプーボウル用フードを有するシャンプーボウルである。
他の実施形態では、フード本体の全部が半透明である。
他の実施形態では、フード本体の側面部が半透明であり、正面部が非透明である。
他の実施形態では、正面部及び側面部の内面に光拡散面部を有している。
他の実施形態は、光拡散面部を有していない。
他の実施形態は、照明器具が直接被施術者を照らす。
他の実施形態は、照明器具が側面部に取り付けられている。
他の実施形態では、照明器具がフード本体の外側に取り付けられ、フード本体の外側から内側に向けて光が照射される。
他の実施形態では、照明器具の電源は、コンセント等である。
他の実施形態は、照明器具を有していない。
他の実施形態では、移動機構部が、両側部に取り付けられた回転軸部と、回転軸部に取り付けられてフード本体を回転させる軸支持部とを有している。すなわち、フード本体部は、回転軸部を回転軸として、軸支持部を中心に、シャンプーボウルに対して前後に回転する。この構成によっても、背もたれ部が後方に向けて倒れる際、及び、背もたれ部が起きる際に、フード本体と被施術者とが干渉しないし、また、フード本体が第一位置に移動すれば、施術中のプライベート空間が実現する。
他の実施形態では、移動機構部は、例えば三段式以上のスライドレールである。
他の実施形態では、移動機構部は、四節リンク機構である。
他の実施形態では、フード本体が電動によって自動的にスライドする。
他の実施形態は、スピーカーを有していない。
他の実施形態では、ミスト発生器が備えられ、フード本体の内側で噴霧されたミストに光が反射することで幻想的なプライベート空間が実現する。
【0052】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 被施術者
2 施術者の視線
3 理美容装置
4 施術台
5 シート部
6 座部
7 脚置き部
8 背もたれ部
9 昇降部
10 シャンプーボウル
11 底部
12 側部
13 排水口
14 止水栓
15 シャワーヘッド
16 首載置具
17 台座部
18 シャンプーボウル用フード
19 フード本体
20 側面部
21 正面部
22 ワイヤーフレーム
23 板材
24 移動機構部
25 スライド部
26 レール部
27 光源部
28 取付片部
29 照明器具
30 遮光部
31 スピーカー
32 スカルプマッサージ用装置
33 頭浸浴装置
34 吐水部
図1
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図3
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