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特開2024-73754預り金返金システム、管理サーバ、及び、預り金返金方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073754
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】預り金返金システム、管理サーバ、及び、預り金返金方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240523BHJP
   G06Q 10/083 20240101ALI20240523BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20240523BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20240523BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240523BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/083
G16Y40/10
G16Y40/30
G16Y20/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184629
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】518172978
【氏名又は名称】メビウスパッケージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(72)【発明者】
【氏名】北田 信介
(72)【発明者】
【氏名】有吉 健司
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 陽太郎
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】預り金の運用に際し、預り金の返金の手間を低減させることができる預り金返金システムを提供することを目的とする。
【解決手段】預り金返金システムは、商品提供者に設けられる第1端末と、容器回収者に設けられる第2端末と、管理サーバと、を備えており、第1端末は、容器に付されている情報記憶担体から個体識別情報を取得し、出荷容器識別情報として、出荷先のユーザを特定する情報である出荷先ユーザ情報とともに管理サーバに送信し、第2端末は、回収された容器に付されている情報記憶担体から個体識別情報を取得し、回収容器識別情報として管理サーバに送信し、管理サーバは、受信した出荷容器識別情報、回収容器識別情報、及び、出荷先ユーザ情報を、容器追跡情報として記録し、容器追跡情報に基づいて、ユーザに返金する預り金を算出する。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が充填された容器を商品として少なくとも1のユーザに出荷する商品提供者に設けられる第1端末と、
ユーザから使用済みの前記容器を回収する容器回収者に設けられる第2端末と、
前記容器が回収された場合にユーザに返金する預り金を算出する管理サーバと、
を備えており、
前記容器には、当該容器に対応付けられている個体識別情報を含んだ情報記憶担体が付されており、
前記第1端末は、前記容器に付されている前記情報記憶担体から前記個体識別情報を取得し、取得した前記個体識別情報を、出荷容器識別情報として、出荷先のユーザを特定する情報である出荷先ユーザ情報とともに前記管理サーバに送信し、
前記第2端末は、回収された前記容器に付されている前記情報記憶担体から前記個体識別情報を取得し、取得した前記個体識別情報を、回収容器識別情報として、前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、受信した前記出荷容器識別情報、前記回収容器識別情報、及び、前記出荷先ユーザ情報を、容器追跡情報として記録し、当該容器追跡情報に基づいて、ユーザに返金する預り金を算出する、預り金返金システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、前記出荷先ユーザ情報に基づいて抽出された前記出荷容器識別情報のカウント値と、前記出荷先ユーザ情報に基づいて抽出された前記回収容器識別情報のカウント値との比率である前記容器の返却率を算出し、
前記返却率に基づいて前記ユーザに返金する前記預り金を算出する、
請求項1に記載の預り金返金システム。
【請求項3】
前記第2端末は、前記回収された容器が検査によって良品であることが確認されたことを示す検査情報を前記回収容器識別情報に付加して前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、前記出荷容器識別情報のカウント値と前記検査情報が付加された前記回収容器識別情報のカウント値に基づいて算出される良品率を、前記返却率に含める、
請求項2に記載の預り金返金システム。
【請求項4】
前記良品率は、前記容器回収者が実施する前記容器の回収の工程、及び、前記回収された容器に対する洗浄の工程、の少なくともいずれかの工程の後に算出される、
請求項3に記載の預り金返金システム。
【請求項5】
前記容器回収者は、回収した前記容器を洗浄し、洗浄後の前記容器を前記商品提供者に納入し、
前記商品提供者は、前記容器回収者から納入された前記容器に内容物を充填して商品として出荷する、請求項1に記載の預り金返金システム。
【請求項6】
内容物が充填された容器を商品として少なくとも1のユーザに出荷する商品提供者に設けられる第1端末から、各容器に割り振られている個体識別情報である出荷容器識別情報、及び、当該容器の出荷先のユーザを特定する情報である出荷先ユーザ情報を受信し、
ユーザから使用済みの前記容器を回収する容器回収者に設けられる第2端末から、回収された容器の個体識別情報である回収容器識別情報を受信し、
受信した前記出荷容器識別情報、前記回収容器識別情報、及び、前記出荷先ユーザ情報を、容器追跡情報として記録し、当該容器追跡情報に基づいて、ユーザに返金する預り金を算出する、管理サーバ。
【請求項7】
内容物が充填された容器を商品として少なくとも1のユーザに出荷する商品提供者に設けられる第1端末から、各容器に割り振られている個体識別情報である出荷容器識別情報、及び、当該容器の出荷先のユーザを特定する情報である出荷先ユーザ情報を受信し、
ユーザから使用済みの前記容器を回収する容器回収者に設けられる第2端末から、回収された容器の個体識別情報である回収容器識別情報を受信し、
受信した前記出荷容器識別情報、前記回収容器識別情報、及び、前記出荷先ユーザ情報を、容器追跡情報として記録し、当該容器追跡情報に基づいて、ユーザに返金する預り金を算出する、預り金返金方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、預り金返金システム、管理サーバ、及び、預り金返金方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使用済み容器の再利用を促進させるため、商品を販売する際に預り金として一定の金額をユーザから受け取り、容器が回収されると、預り金を返金する運用が行われている。(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-72038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器の再利用に関連する企業として、内容物メーカ、容器洗浄会社、容器管理会社等が存在する。内容物メーカは、容器に内容物を充填してユーザに提供する。容器洗浄会社は、ユーザから使用済みの容器を回収し、洗浄及び検査を行い、処理後の容器を内容物メーカに納入する。容器管理会社は、容器の預り金について返金している。
【0005】
預り金をユーザに返金する際、容器をリサイクルしたユーザに正しく返金する必要がある。このため、容器管理会社は、ユーザとの接点を有し、ユーザ情報を把握している内容物メーカを介して、預り金を返金する必要がある。すなわち、容器管理会社と内容物メーカとの間、及び、内容物メーカとユーザとの間の2段階のステップによって、預り金の受け渡しを行う必要がある。従って、預り金の返金に際しては、特に、仲介者である内容物メーカの手間が大きくなる。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、預り金の返金の手間を低減させることができる預り金返金システム、管理サーバ、及び、預り金返金方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る預り金返金システムは、
内容物が充填された容器を商品として少なくとも1のユーザに出荷する商品提供者に設けられる第1端末と、
ユーザから使用済みの前記容器を回収する容器回収者に設けられる第2端末と、
前記容器が回収された場合にユーザに返金する預り金を算出する管理サーバと、
を備えており、
前記容器には、当該容器に対応付けられている個体識別情報を含んだ情報記憶担体が付されており、
前記第1端末は、前記容器に付されている前記情報記憶担体から前記個体識別情報を取得し、取得した前記個体識別情報を、出荷容器識別情報として、出荷先のユーザを特定する情報である出荷先ユーザ情報とともに前記管理サーバに送信し、
前記第2端末は、回収された前記容器に付されている前記情報記憶担体から前記個体識別情報を取得し、取得した前記個体識別情報を、回収容器識別情報として、前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、受信した前記出荷容器識別情報、前記回収容器識別情報、及び、前記出荷先ユーザ情報を、容器追跡情報として記録し、当該容器追跡情報に基づいて、ユーザに返金する預り金を算出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、預り金の返金の手間を低減させることができる。
【0009】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態における関連企業、容器の動き、及び、金銭の動きの一例を示すブロック図である。
図2】従来の預り金の運用を本実施形態に適用させた場合の金銭の動きの一例を示す図である。
図3図1に示す内容物メーカが容器管理会社に支払う金額の内訳の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る預り金返金システムの一例を示す概略ブロック図である。
図5】本発明の実施形態に係る容器に対する処理の一例を示す図である。
図6図4に示す預り金返金システムにおけるモノの動き、金銭の動き、及び、情報の動きを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態における関連企業、容器の動き、及び、金銭の動きの一例を示すブロック図である。
【0013】
本発明の実施形態における関連企業として、容器管理会社10、商品提供者としての内容物メーカ20、容器回収者としての容器洗浄会社30、容器製造メーカ40、及び、少なくとも1のユーザ50が存在する。なお、容器製造メーカ40、又は、容器洗浄会社30が容器管理会社10の機能を担ってもよい。
【0014】
本実施形態において、容器管理会社10は、容器500の再利用に関する業務を遂行するための管理会社である。容器管理会社10は、例えば、回収された容器500の数に応じて預り金を算出し、ユーザ50に返金する。
【0015】
容器洗浄会社30は、使用済みの容器500を再利用するための企業である。容器洗浄会社30は、ユーザ50から使用済みの容器500を回収し、洗浄、検査等を行う。そして、容器洗浄会社30は、検査結果が良判定である容器500を、内容物メーカ20に納入する。
【0016】
また、容器管理会社10は、未回収により不足した容器500を補充するため、容器製造メーカ40によって製造された新規の容器500を仕入れて、内容物メーカ20に納入する。
【0017】
内容物メーカ20は、容器500に内容物を充填し、商品600としてユーザ50に提供する企業であり、例えば、食器用の洗剤を製造するメーカである。内容物メーカ20は、容器洗浄会社30から納品された容器500に、内容物である洗剤を充填し、商品600を製造する。そして、内容物メーカ20は、製造した商品600をユーザ50に納入する。なお、内容物メーカ20とユーザ50との間に卸業者、通販業者等の中間業者が介在してもよい。
【0018】
ユーザ50は、商品600を使用する者であり、例えば、食品製造会社である。ユーザ50は、内容物メーカ20から商品600を仕入れ、食品工場内において、調理用器具を洗うために商品600を用いる。また、ユーザ50は、使用済みの容器500を容器洗浄会社30に回収してもらう。
【0019】
容器洗浄会社30は、上記のとおり、ユーザ50から使用済みの容器500を回収し、当該容器500を洗浄し、検査する。そして、容器洗浄会社30は、検査後の容器500を内容物メーカ20に納入する。
【0020】
ユーザ50は、内容物メーカ20に対して商品代を支払う。内容物メーカ20は、容器管理会社10に対して容器500に関する支払いを行う。容器管理会社10は、容器洗浄会社30に対して、容器500の回収費用及び洗浄費用を支払う。また、容器管理会社10は、容器製造メーカ40に対して、新規容器の製造費用を支払う。
【0021】
図2は、従来の預り金の運用を本実施形態に適用させた場合の金銭の動きの一例を示す図である。また、図3は、図1に示す内容物メーカ20が容器管理会社10に支払う金額の内訳の一例を示す図である。
【0022】
ユーザ50は、商品600を仕入れる際、内容物メーカ20に対し、商品代とともに仕入れ数に応じた預り金を渡す。また、内容物メーカ20は、容器管理会社10に対して、容器500の仕入れ数に応じた容器使用料とともに、ユーザ50からの預り金を渡す。
【0023】
内容物メーカ20が容器管理会社10に支払う金額には、このように容器使用料と預り金とに分類することができる。
【0024】
容器使用料には、図3に示すように、容器償却費、回収費、洗浄費、運営費、及び、利益が含まれており、容器製造メーカ40及び容器洗浄会社30に支払われる金銭が含まれている。
【0025】
容器洗浄会社30は、容器使用料に含まれている金銭の一部を、回収費用や洗浄費用として容器管理会社10から受けることにより、容器再利用の事業及び顧客獲得活動を継続して行う。
【0026】
容器製造メーカ40は、容器使用料に含まれている金銭の一部を、容器製造費用として容器管理会社10から受けることにより、容器500の製造事業及び顧客獲得活動を継続して行う。
【0027】
容器使用料は、このように、容器洗浄会社30及び容器製造メーカ40の活動費用となる。一方、預り金は、容器500の返却が確認された後に、容器500の返却数に応じてユーザ50に返金される。但し、期限が過ぎた場合、預り金は、代替となる新容器の補償にあてられる。
【0028】
預り金は、従来、図2に示すように、内容物メーカ20が仲介することによりユーザ50に返金される。すなわち、容器管理会社10から内容物メーカ20への返金ステップと、内容物メーカ20からユーザ50への返金ステップとの2段階の返金ステップが発生する。このため、特に、仲介者である内容物メーカ20にとっては、預り金の返金処理を行うに際し、相応の作業負荷がかかり、手間となっている。
【0029】
図4は、本発明の実施形態に係る預り金返金システムの一例を示す概略ブロック図である。
【0030】
預り金返金システム1は、管理サーバ100、第1端末としてのメーカ端末200、及び、第2端末としての洗浄会社端末300を備えている。また、管理サーバ100、メーカ端末200、及び、洗浄会社端末300は、広域通信網400を介して相互に通信可能となっている。
【0031】
管理サーバ100は、容器管理会社10に設けられ、容器管理会社10によって管理されている。
【0032】
管理サーバ100には、容器管理データベース110、演算処理部120、及び、通信制御部130が備えられている。
【0033】
容器管理データベース110は、後述する各種のデータを記録して蓄積するRDBMS(Relational Database Management System)である。
【0034】
演算処理部120は、各種の演算処理を行う主要部である。演算処理部120は、例えば、メーカ端末200及び洗浄会社端末300から送信されるデータを、容器管理データベース110に記録させる。また、演算処理部120は、例えば、容器管理データベース110に記録されている各種のデータを用いて、預り金に係る処理を行う。
【0035】
演算処理部120は、預り金に係る処理の一つとして、ユーザ50に返金する預り金を算出する預り金算出処理を行う。また、演算処理部120は、預り金に係る処理の一つとして、ユーザ50に預り金を返金するための返金処理を行う。この返金処理には、金融機関のシステムと連携した送金処理、電子決済処理等がある。なお、例えばユーザ50ごとの預り金のリストを作成して印刷するまでを、返金処理とし、実際の返金は、返金担当者が確認をしながら行ってもよい。
【0036】
通信制御部130は、広域通信網400を介したデータの送受信を制御する。
【0037】
管理サーバ100には、演算処理装置、主記憶装置、補助記憶装置、入力装置、映像出力装置、通信機器等のハードウェアが備えられている。容器管理データベース110、演算処理部120、及び、通信制御部130は、これらハードウェアと、管理サーバ100に導入されているソフトウェアとが協働することにより実現される。
【0038】
メーカ端末200は、内容物メーカ20に設けられ、管理されている端末である。メーカ端末200には、個体識別情報取得部210、演算処理部220、及び、通信制御部230が備えられている。
【0039】
個体識別情報取得部210は、二次元バーコードリーダを含んでおり、二次元バーコードから情報を取得する。演算処理部220は、個体識別情報取得部210及び通信制御部230を制御しつつ、演算処理を行う主要部である。通信制御部230は、広域通信網400を介したデータの送受信を制御する。
【0040】
メーカ端末200には、演算処理装置、主記憶装置、補助記憶装置、入力装置、映像出力装置、通信機器、上記の二次元バーコードリーダ等のハードウェアが備えられている。また、メーカ端末200は、二次元バーコードリーダの代用としてカメラを備えていてもよい。個体識別情報取得部210、演算処理部220及び通信制御部230は、これらハードウェアと、メーカ端末200に導入されているソフトウェアとが協働することにより実現される。
【0041】
洗浄会社端末300は、容器洗浄会社30に設けられ、管理されている端末である。洗浄会社端末300も、メーカ端末200と同じ構成となっており、個体識別情報取得部310、演算処理部320、及び、通信制御部330を備えている。また、洗浄会社端末300のハードウェア構成も、メーカ端末200と同じである。
【0042】
図5は、本発明の実施形態に係る容器500に対する処理の一例を示す図である。
【0043】
容器製造メーカ40において、新規に容器500が製造される。新規に製造される容器500には、情報記憶担体501が付される。ここで、情報記憶担体501は、容器500を識別するための個体識別情報を含む二次元バーコードである。
【0044】
製造された新規の容器500は、容器洗浄会社30に納入される。そして、洗浄会社端末300によって、各容器500に付されている情報記憶担体501から個体識別情報が取得される。
【0045】
また、容器洗浄会社30においては、ユーザ50から回収された容器500が搬送される。そして、洗浄会社端末300によって、各容器500に付されている情報記憶担体501から個体識別情報が取得される。
【0046】
また、ユーザ50から回収された容器500は、これまで充填されていた内容物、使用回数等に応じて、仕分けられる。ここで、規定の使用回数に達した容器500は、役目を終えたものとして、この段階で再利用のラインから外される。
【0047】
ユーザ50から回収された各容器500は、タックラベル502が貼り付けられたままである。このため、これを剥がすための作業が行われる。なお、タックラベル502ではなくストレッチラベル、シュリンクラベル等を用いてもよい。
【0048】
その後、ユーザ50から回収された各容器500は、仕分けられた組ごとに洗浄される。ここで、各容器500は、仕分けられた組ごとに洗浄内容が異なるように、具体的には、充填されていた内容物、使用回数等に応じて水量及び洗浄用薬剤が異なるように洗浄される。
【0049】
洗浄後の各容器500は、乾燥処理が施された後、外観及び内部の検査が行われ、破損の目立つ容器500は、この段階で再利用のラインから外される。
【0050】
検査後の各容器500は、新規の容器500とともに梱包され、内容物メーカ20に納入される。
【0051】
内容物メーカ20に仕入れられた各容器500は、それぞれ各種の内容物が充填される。また、容器500には、内容物の種類に応じたタックラベル502が貼り付けられる。なお、タックラベル502ではなくストレッチラベル、シュリンクラベル等を用いてもよい。
【0052】
そして、メーカ端末200によって、各容器500に付されている情報記憶担体501から個体識別情報が取得される。また、メーカ端末200によって、出荷先ユーザ情報が取得される。ここで、出荷先ユーザ情報は、容器500の出荷先となるユーザ50を特定する情報である。
【0053】
メーカ端末200は、作業者もしくはオペレータからの入力を受け付けることにより、出荷先ユーザ情報を取得してもよい。または、メーカ端末200は、他の納品管理システム、出荷管理システム等によって管理されている情報の中から、出荷先ユーザ情報を取得してもよい。
【0054】
内容物が充填された容器500は、商品600として、ユーザ50に納入される。
【0055】
ユーザ50に納入された商品600は、トレーサビリティの観点から、容器500の所在を特定するために個体識別情報が取得される。なお、本実施形態においては、ユーザ50による個体識別情報の取得は、必要に応じて行われる付帯処理である。
【0056】
ユーザ50によって使用された後の容器500は、容器洗浄会社30によって回収される。
【0057】
その後、容器洗浄会社30においては、上記と同様に、回収された各容器500の個体識別情報が洗浄会社端末300によって取得される。そして、タックラベル502が剥がされ、洗浄及び検査の後、内容物メーカ20に納入される。
【0058】
このように、容器500は、規定の使用回数に達するまで、繰り返し再利用される。一方、未回収の容器500がある場合、容器製造メーカ40から新規の容器500が補充される。
【0059】
図6は、図4に示す預り金返金システム1における容器500や商品等のモノの動き、金銭の動き、及び、情報の動きを例示する図である。
【0060】
まず、ステップS101において、新規に製造された容器500には、個体識別情報が割り振られ、当該個体識別情報を含んだ情報記憶担体501が付される。そして、新規に製造された容器500は、容器洗浄会社30に納入される。なお、新規に製造された容器500は、内容物メーカ20に納入されてもよい。その場合、以下の洗浄会社端末300が実施するステップは、省略される。
【0061】
容器洗浄会社30の洗浄会社端末300は、ステップS102において、納入された新規の容器500に付されている情報記憶担体501から、個体識別情報を取得する。そして、洗浄会社端末300は、ステップS103において、取得した個体識別情報を、初期値として容器管理会社10の管理サーバ100に送信する。管理サーバ100は、受信した個体識別情報を容器管理データベース110に登録する。
【0062】
その後、容器洗浄会社30から内容物メーカ20に容器500が納入されると、容器500に内容物が充填される。そして、メーカ端末200は、ステップS104において、容器500の情報記憶担体501から、個体識別情報を取得する。
【0063】
また、メーカ端末200は、ステップS105において、出荷先ユーザ情報を取得する。
【0064】
メーカ端末200は、ステップS106において、容器500の個体識別情報、及び、出荷先ユーザ情報を対応付けて、容器管理会社10の管理サーバ100に送信する。なお、ここで送信される個体識別情報を「出荷容器識別情報」と称する。
【0065】
管理サーバ100は、出荷容器識別情報、及び出荷先ユーザ情報を受信すると、これらを対応付けて容器管理データベース110に登録する。
【0066】
その後、容器500は、商品600としてユーザ50に納入される。そして、ユーザ50によって使用された後の使用済みの容器500は、容器洗浄会社30によって回収される。
【0067】
洗浄会社端末300は、ステップS107において、回収された容器500に付されている情報記憶担体501から、個体識別情報を取得する。そして、洗浄会社端末300は、ステップS108において、取得した個体識別情報を管理サーバ100に送信する。ここで送信される個体識別情報を「回収容器識別情報」と称する。
【0068】
なお、洗浄会社端末300は、回収容器識別情報に、特定の返却情報を付した上で、管理サーバ100に送信する。これにより、管理サーバ100は、ステップS103により初期値として送信される個体識別情報と、回収後の個体識別情報である回収容器識別情報とを区別して処理することができる。特定の返却情報については、後に説明をする。
【0069】
管理サーバ100は、メーカ端末200から受信した出荷容器識別情報、出荷先ユーザ情報、及び、洗浄会社端末300から受信した回収容器識別情報を、容器管理データベース110に随時登録する。この登録される情報を「容器追跡情報」と称する。
【0070】
また、管理サーバ100は、容器追跡情報内の出荷容器識別情報、出荷先ユーザ情報、及び、回収容器識別情報から、ユーザ50ごとの回収容器数及びユーザ50ごとの返却率を算出する。
【0071】
ここで、ユーザ50ごとの回収容器数及びユーザ50ごとの返却率を算出する方法について説明する。管理サーバ100は、出荷先ユーザ情報を用いて対象ユーザを絞り込んだ上で、出荷容器識別情報を抽出し、抽出した件数をカウントする。また、管理サーバ100は、容器追跡情報内に登録されている回収容器識別情報の中から、抽出された出荷容器識別情報と等しい個体識別情報となっている回収容器識別情報を抽出する。そして、管理サーバ100は、抽出された回収容器識別情報の件数をカウントする。このカウント値がユーザ50ごとの回収容器数である。最後に、管理サーバ100は、回収容器識別情報のカウント値と出荷容器識別情報のカウント値との比率を算出することにより、ユーザ50ごとの返却率を算出する。なお、返却率として、出荷容器識別情報のカウント値と、返却された容器500の洗浄後の検査によって良品であるとされた容器500の数との比率、即ち良品率を含めてもよい。この場合、洗浄会社端末300は、洗浄後の検査によって良品であることが確認されたことを示す検査情報を特定の返却情報として回収容器識別情報に付加して、管理サーバ100に送信してもよい。従って、返却された容器500の洗浄後の検査によって良品であるとされた容器500の数は、検査情報が付加された回収容器識別情報のカウント値である。また、検査は、洗浄後のみならず、容器500の回収後に実施してもよく、更には、容器500の回収から内容物メーカ20へ容器500が納入されるまでの間に実施されてもよい。従って、良品率も容器500の洗浄後、容器500の回収後、又は、容器500の回収から内容物メーカ20へ容器500が納入されるまでの間に算出される。
【0072】
一方、管理サーバ100は、ステップS109において、各ユーザ50の回収容器数を集計し、ユーザ50ごとの預り金を算出する。ここでは、時間単位、日単位、週単位、月単位等、設定されている単位期間内における回収容器数が集計されてもよい。なお、この場合、日付情報及び時刻情報も合わせて対応付けて登録される仕組みとし、この日付情報及び時刻情報に基づいて、単位期間に回収された容器500の数が集計される。
【0073】
また、管理サーバ100は、集計した回収容器数に、1つの容器500あたりの単価を積算することにより、当該ユーザ50に返却する預り金を算出する。なお、返却する預り金は、容器500の返却率に基づいて算出されてもよい。
【0074】
管理サーバ100は、ステップS110において、ユーザ50ごとの預り金の返金処理を行う。
【0075】
本実施形態の預り金返金システム1において、メーカ端末200は、内容物メーカ20に設けられ、洗浄会社端末300は、容器洗浄会社30に設けられている。また、容器500には、当該容器500に対応付けられている個体識別情報を含んだ情報記憶担体501が付されている。
【0076】
メーカ端末200は、容器500に付されている情報記憶担体501から個体識別情報を取得し、取得した個体識別情報を、出荷容器識別情報として、出荷先ユーザ情報とともに管理サーバ100に送信する。洗浄会社端末300は、回収された容器500に付されている情報記憶担体501から個体識別情報を取得し、取得した個体識別情報を、回収容器識別情報として、管理サーバ100に送信する。
【0077】
管理サーバ100は、受信した出荷容器識別情報、回収容器識別情報、及び、出荷先ユーザ情報を、容器追跡情報として記録する。管理サーバ100は、当該容器追跡情報に基づいて、ユーザ50に返金する預り金を算出し、当該ユーザ50に預り金を返金するための処理を行う。
【0078】
このため、預り金の運用に際し、内容物メーカ20を介することなく、ユーザ50に預り金を返金することができ、預り金の返金の手間を低減させることができる。
【0079】
管理サーバ100は、出荷先ユーザ情報に基づいて抽出された出荷容器識別情報のカウント値と、出荷先ユーザ情報に基づいて抽出された回収容器識別情報のカウント値との比率である容器500の返却率を算出し、返却率に基づいてユーザ50に返金する前記預り金を算出する。これにより、返却する預り金を返却された容器500の個数によらない返却率に基づいて管理することができ、返却される預り金をより直感的に把握することができる。
【0080】
第2端末としての洗浄会社端末300は、回収された容器500が検査によって良品であることが確認されたことを示す検査情報を回収容器識別情報に付加して管理サーバ100に送信し、管理サーバ100は、出荷容器識別情報のカウント値と検査情報が付加された回収容器識別情報のカウント値に基づいて算出される良品率を、返却率に含める。これにより、良品とされる容器500が回収された場合のみ、預り金を返却することになり、回収された容器500の状態をより正確に反映した預り金の返却をすることができる。
【0081】
良品率は、容器回収者としての容器洗浄会社30が実施する容器500の回収の工程、及び、回収された容器500に対する洗浄の工程、の少なくともいずれかの工程の後に算出される。即ち、容器洗浄会社30の好適なタイミングで検査を実施することができ、検査後に検査情報を付加し、その検査情報に基づいて良品率を算出することができる。これにより、本開示の預り金返金システム1を容器洗浄会社30の作業効率を好適に保った状態で、導入することができる。
【0082】
また、容器洗浄会社30は、回収した容器500を洗浄し、洗浄後の容器500を内容物メーカ20に納入する。内容物メーカ20は、容器洗浄会社30から納入された容器500に内容物を充填して商品として出荷する。このため、容器500の再利用を適切に行うことができる。
【0083】
なお、本実施形態においては、二次元バーコードを情報記憶担体501として用いるものとしたが、一次元バーコードが用いられてもよく、RFID(Radio Frequency Identification)の技術が用いられてもよい。
【0084】
また、本実施形態では、内容物メーカ20からユーザ50に内容物が充填された容器500が商品600として納入されている。しかし、上述の通り、内容物メーカ20とユーザ50との間に中間業者を介在させてもよい。この場合には、中間業者にもメーカ端末200と同じ機能を担うことができる端末を設けてもよい。これにより、当該端末は、メーカ端末200と同様に、容器500の個体識別情報及び出荷先ユーザ情報の取得や、個体識別情報及び出荷先ユーザ情報の管理サーバ100への送信等の動作をすることができる。
【0085】
また、本実施形態において、容器500が回収されるごとに、ユーザ50に返却される預り金が算出され、返金処理が実施されている。しかし、これに限られたものではない。例えば、所定期間内において、ユーザ50による容器500の使用のために必要な預り金と、容器500の回収により算出される返却すべき預り金とを相殺して計算し、預り金の返金処理を所定期間後まとめて実施してもよい。これにより、返金処理に関する手間を省くことができる。なお、この場合には、返却する預り金が無い場合も発生する。
【0086】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0087】
(付記1)
内容物が充填された容器を商品として少なくとも1のユーザに出荷する商品提供者に設けられる第1端末と、
ユーザから使用済みの前記容器を回収する容器回収者に設けられる第2端末と、
前記容器が回収された場合にユーザに返金する預り金を算出する管理サーバと、
を備えており、
前記容器には、当該容器に対応付けられている個体識別情報を含んだ情報記憶担体が付されており、
前記第1端末は、前記容器に付されている前記情報記憶担体から前記個体識別情報を取得し、取得した前記個体識別情報を、出荷容器識別情報として、出荷先のユーザを特定する情報である出荷先ユーザ情報とともに前記管理サーバに送信し、
前記第2端末は、回収された前記容器に付されている前記情報記憶担体から前記個体識別情報を取得し、取得した前記個体識別情報を、回収容器識別情報として、前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、受信した前記出荷容器識別情報、前記回収容器識別情報、及び、前記出荷先ユーザ情報を、容器追跡情報として記録し、当該容器追跡情報に基づいて、ユーザに返金する預り金を算出する、預り金返金システム。
(付記2)
前記管理サーバは、前記出荷先ユーザ情報に基づいて抽出された前記出荷容器識別情報のカウント値と、前記出荷先ユーザ情報に基づいて抽出された前記回収容器識別情報のカウント値との比率である前記容器の返却率を算出し、
前記返却率に基づいて前記ユーザに返金する前記預り金を算出する、
付記1に記載の預り金返金システム。
(付記3)
前記第2端末は、前記回収された容器が検査によって良品であることが確認されたことを示す検査情報を前記回収容器識別情報に付加して前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、前記出荷容器識別情報のカウント値と前記検査情報が付加された前記回収容器識別情報のカウント値に基づいて算出される良品率を、前記返却率に含める、
付記1または付記2に記載の預り金返金システム。
(付記4)
前記良品率は、前記容器回収者が実施する前記容器の回収の工程、及び、前記回収された容器に対する洗浄の工程、の少なくともいずれかの工程の後に算出される、
付記1から付記3のいずれか一項に記載の預り金返金システム。
(付記5)
前記容器回収者は、回収した前記容器を洗浄し、洗浄後の前記容器を前記商品提供者に納入し、
前記商品提供者は、前記容器回収者から納入された前記容器に内容物を充填して商品として出荷する、
付記1から付記4のいずれか一項に記載の預り金返金システム。
(付記6)
内容物が充填された容器を商品として少なくとも1のユーザに出荷する商品提供者に設けられる第1端末から、各容器に割り振られている個体識別情報である出荷容器識別情報、及び、当該容器の出荷先のユーザを特定する情報である出荷先ユーザ情報を受信し、
ユーザから使用済みの前記容器を回収する容器回収者に設けられる第2端末から、回収された容器の個体識別情報である回収容器識別情報を受信し、
受信した前記出荷容器識別情報、前記回収容器識別情報、及び、前記出荷先ユーザ情報を、容器追跡情報として記録し、当該容器追跡情報に基づいて、ユーザに返金する預り金を算出する、管理サーバ。
(付記7)
内容物が充填された容器を商品として少なくとも1のユーザに出荷する商品提供者に設けられる第1端末から、各容器に割り振られている個体識別情報である出荷容器識別情報、及び、当該容器の出荷先のユーザを特定する情報である出荷先ユーザ情報を受信し、
ユーザから使用済みの前記容器を回収する容器回収者に設けられる第2端末から、回収された容器の個体識別情報である回収容器識別情報を受信し、
受信した前記出荷容器識別情報、前記回収容器識別情報、及び、前記出荷先ユーザ情報を、容器追跡情報として記録し、当該容器追跡情報に基づいて、ユーザに返金する預り金を算出する、預り金返金方法。
【符号の説明】
【0088】
1 預り金返金システム、10 容器管理会社、20 内容物メーカ(商品提供者)、30 容器洗浄会社(容器回収者)、40 容器製造メーカ、50 ユーザ、100 管理サーバ、110 容器管理データベース、120 演算処理部、130 通信制御部、200 メーカ端末(第1端末)、210 個体識別情報取得部、220 演算処理部、230 通信制御部、300 洗浄会社端末(第2端末)、310 個体識別情報取得部、320 演算処理部、330 通信制御部、400 広域通信網、500 容器、501 情報記憶担体、502 タックラベル、600 商品。

図1
図2
図3
図4
図5
図6