(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073755
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】ガス充填装置
(51)【国際特許分類】
F17C 13/02 20060101AFI20240523BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240523BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240523BHJP
H01M 8/0606 20160101ALI20240523BHJP
F17C 5/06 20060101ALI20240523BHJP
B60L 50/70 20190101ALN20240523BHJP
【FI】
F17C13/02 301Z
G09F9/00 362
H01M8/04 J
H01M8/0606
F17C5/06
B60L50/70
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184630
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 晃
(72)【発明者】
【氏名】永井 克海
【テーマコード(参考)】
3E172
5G435
5H125
5H127
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA09
3E172BD03
3E172DA29
3E172DA90
3E172EA02
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3E172EA35
3E172EA45
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3E172EB02
3E172EB17
3E172JA09
3E172KA03
3E172KA19
3E172KA21
5G435AA13
5G435BB00
5G435EE02
5G435EE50
5G435LL19
5H125AA01
5H125AC07
5H125FF30
5H127AB04
5H127AC14
5H127BA02
5H127EE11
5H127FF20
(57)【要約】
【課題】保守点検時に表示パネルの開閉した際に表示パネル側に飛び跳ねる雨水の排水処理を施したガス充填装置の提供。
【解決手段】本発明のガス充填装置(100)は、充填量表示器(1)を内面に配設した表示パネル(10)を側面方向に開閉するガス充填装置(100)において、ハウジング本体(101)には表示パネル(10)と接合する中間ユニット(50)が設けられ、中間ユニット(50)の少なくとも表示パネル上縁の対向箇所にはパッキンが施され、前記表示パネル(10)(の裏面)に配設された充填量表示器(1)の上方には表示パネル(10)の幅方向に延在する雨樋(12)が取り付けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填量表示器を内面に配設した表示パネルを側面方向に開閉するガス充填装置において、
ハウジング本体には表示パネルと接合する中間ユニットが設けられ、
中間ユニットの少なくとも表示パネル上縁の対向箇所にはシール機構が施され、
前記表示パネルに配設された充填量表示器の上方には表示パネルの幅方向に延在する雨樋が取り付けられていることを特徴とするガス充填装置。
【請求項2】
前記雨樋の上部を覆うようにシール機構が表示パネルに当接する請求項1のガス充填装置。
【請求項3】
前記雨樋は充填量表示器の幅より長く形成されている請求項1、請求項2の何れかに記載のガス充填装置。
【請求項4】
表示パネルの下端には孔が形成されている請求項3のガス充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス充填装置に関し、特に、表示パネルに充填量表示器を設けているガス充填機に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国は化石燃料に乏しく海外から輸入することに頼っており国際情勢の影響を受けやすいなど、近年ではさまざまな資源から作ることができる水素が環境にやさしく、エネルギー安全保障に役立つことから注目を集めている
この環境問題に対する車輌として水素ガス燃料を燃料とした燃料電池自動車、水素自動車に搭載される車載タンクに対して安定して効率良くガス燃料を充填する供給装置を本出願人も開発している。
かかる供給装置の表示器は、特開平6-179499号に示すように上部ケース内に収容されている。
上部ケースとその前面に取り付けられる表示パネルとの接合箇所は、上部ケースの表示パネル上端と接合する接合面に雨水の浸入を防止するために二重パッキン構造を設けていた。係る二重パッキンは、表示パネル内への浸水を防止するのに有効である。
しかし、表示パネルを開いた際に(例えば開いた瞬間に)上部ケースの上面に溜まっていた雨水が表示パネルの裏面側に飛び跳ねる(掛かってしまう)ことがある。雨水が表示パネルの裏面側に飛び跳ねると、表示パネル側に充填量表示器を設けている場合は、飛び散った雨水が充填量表示器に付着して故障の原因となるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、保守点検時に表示パネルを開いた際に表示パネル側に飛び跳ねる雨水の排水処理を施したガス充填装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のガス充填装置(100)は、
充填量表示器(1)を内面に配設した表示パネル(10)を側面方向に開閉するガス充填装置(100)において、
ハウジング本体(101)には表示パネル(10)と接合する中間ユニット(50)が設けられ、
中間ユニット(50)の少なくとも表示パネル上縁の対向箇所にはシール機構(例えばパッキン)が設けられ、
前記表示パネル(10)(の裏面)に配設された充填量表示器(1)の上方には表示パネル(10)の幅方向に延在する雨樋(12)が取り付けられていることを特徴としている。
本発明において、前記雨樋(12)の上部を覆うようにシール機構が表示パネル(10)に当接するのが好ましい。
【0006】
本発明において、前記雨樋(12)は充填量表示器(1)の幅より長く形成されているのが好ましい。
また、表示パネル(10)の下端には孔(13)が形成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
上述の構成を具備する本発明によれば、
中間ユニット(50)の少なくとも表示パネル上縁の対向箇所には、例えばパッキンの様なシール機構が設けられており、前記表示パネル(10)に配設された充填量表示器(1)の上方に幅方向に雨樋(12)が取り付けられているので、
表示パネル(10)を開いた際(例えば表示パネル10を開いた瞬間)に、シール機構に溜まった雨水が表示パネル(10)に飛び跳ねたとしても、前記雨樋(12)により受容される。そのため、雨水が表示パネル(10)(の裏面)に配設された充填量表示器(1)に垂れ落ちることが防止され、雨水が接触することによる充填表示器(1)の故障・不具合を払拭することができる。
ここで、前記雨樋(12)の上部を覆うようにシール機構が表示パネル(10)に当接していれば、表示パネル(10)が中間ユニット(50)に接合している状態(表示パネル10が開じている状態)では、前記シール機構により雨樋(12)上方から雨水が表示パネル(10)裏面側に浸入することが防止されるので、雨水が充填表示器(1)に接触してしまうことはない。
【0008】
本発明において、前記雨樋(12)が充填量表示器(1)の幅より長く形成されていれば、表示パネル(10)の開時に垂れ落ちた雨水を雨樋(12)の両端より下方に排水して、当該雨水が充填量表示器(1)へ付着することを防止出来る。
また、表示パネル(10)の下端に孔(13)が形成されていれば、表示パネル(10)が開いている場合に、前記孔(13)を介して雨樋(12)より排水された雨水を外部に排出することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態を示す斜視図であって、各種パネルを開放した状態を示す図である。
【
図3】表示パネル裏面の雨樋を示す部分拡大図である。
【
図6】サイドユニットにおけるホース離脱ガイドの位置を示す斜視図である。
【
図7】ホース離脱ガイドが閉鎖している状態を示す斜視図である。
【
図8】ホース離脱ガイドが開閉動作をしている状態を示す斜視図である。
【
図10】実施形態で用いられる脱圧弁を示す斜視図である。
【
図11】脱圧弁のリミットスイッチの感知部及び可動部を示す部分拡大図であり、感知部と可動部が接触している状態を示している。
【
図12】
図11と同様な部分拡大図であって、感知部と可動部が離隔した状態を示している。
【
図13】実施形態において、感知部と可動部が接触した状態の作用効果を示す説明図である。
【
図14】脱圧弁のリミットスイッチで用いられるスペーサーを示す斜視図である。
【
図15】ブラケットを脱圧弁本体部の頂部に取り付ける一態様を示す斜視図である。
【
図16】ブラケットを脱圧弁本体部の頂部に取り付ける一態様であって、
図15で示す態様とは別の態様を示す斜視図である。
【
図17】実施形態において、中間ボックス内にIRボックスを収容した状態を示す正面図である。
【
図18】
図17で示す状態から、IRボックスを引き出して保持した状態を示す正面図である。
【
図19】実施形態で用いられるハーネス安全継手の斜視図である。
【
図21】
図20と同様な縦断面図であって、ハーネス安全継手が分離した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1では実施形態に係るガス充填装置100が表示されており、
図1のガス充填装置100は各種パネルが開いた状態である。
ガス充填装置100における各種パネルとしては、表示パネル10(フロントパネル)、フロントアッパーパネル20、フロントロアーパネル(図面の煩雑化を回避するため図示せず)、フロントサイドアッパーパネル30、フロントサイドロアーパネル40がある。
図1では、表示パネル10、フロントサイドアッパーパネル30、フロントサイドロアーパネル40は側面方向に開閉し、フロントアッパーパネル20は上方に開閉する。
図1において、符号21は安全装置としての放爆扉、符号22は充填ノズル、充填ホースの操作をサポートするためのサポートアームを示している。
ガス充填装置100は、中間ユニット50、トップユニット60、下部ユニット70、両脇のサイドユニット80から構成されており、各々のユニットの内部には、水素等を充填するのに必要な機器が収容されている。表示パネル10は中間ユニット50の前面に取り付けられている。
図1のガス充填装置100において、表示パネル10にカウンター(表示部、充填量表示器)が付いている方の面が正面である。例えば両面から車両の充填が可能な充填装置であれば、カウンター(表示部、充填量表示器)は両面に付いており、何れも正面となる。
【0011】
表示パネル10の裏側(内面)を示す
図2において、表示パネル10の上方位置には左右2箇所に電子機器取付部11が設けられており、充填量表示器1(カウンター)及びそれに必要な電子機器等がそれぞれ配置されている。
図2では充填量表示器1の位置を特定せずに、破断線の引き出し線と符号1のみで示す。
図2において、電子機器取付部11の上方であって、表示パネル10の上縁部近傍の位置に、雨樋12が設けられている。雨樋12は、水平方向(幅方向、矢印A2方向)に延在しており、その寸法は、充填量表示器1の幅(
図2では左右2箇所の電子機器取付部11の幅の合計)よりも長く設定されている。
【0012】
雨樋12が電子機器取付部11の(充電用表示器1の)上方に幅方向へ延在して設けられていることにより、表示パネル10を開いた際に表示パネル10の裏面に飛び跳ねた水が、電子機器取付部11に配置される充填量表示器1等の電子機器と接触することが防止される。
図2等を参照して、係る機序を説明する。
明確には図示されていないが、中間パネル50において、
図2で示す表示パネル10(フロントパネル)の上縁部10Aと対向する部分には、図示しないシール機構が全周に設けられている(施されている)。当該シール機構は、表示パネル10が閉じられている状態では、雨樋2の少なくとも上部を覆う位置で、表示パネル10の頂面10Aに当接している。
表示パネル10が閉じている場合には、前記シール機構は表示パネル10の上縁部10Aに当接しているので、当該当接箇所からは水は浸入しない。そのため、表示パネル10が閉じられている場合には、雨水等が表示パネル10の電子機器取付部11(充填量表示器1)側に浸入することが防止される。
【0013】
しかし、表示パネル10を開いた際(例えば開いた瞬間)には、中間ユニット50(
図1)に設けられたシール機構(図示せず)に溜まっていた雨水が飛び跳ねてしまい、表示パネル10の裏面に掛かってしまう場合がある。
その様な場合であっても、
図2で示す様に、電子機器取付部11の上方には雨樋12が配置されているので、表示パネル10に飛び跳ねた雨水は、全て雨樋12に流入し、下方の電子機器取付部11に配置された電子機器(充填量表示器1等)まで到達しない。また、雨樋12に流入した水は、雨樋12の長手方向(
図2の矢印A2方向)に流れて両端(
図2で左右方向両端)から落下するため、電子機器(充填量表示器1等)に水滴が接触することは防止される。そのため、電子機器(充填量表示器1等)に雨水が接触することによる故障・不具合の原因を払拭することができる。
そして、表示パネル10の下面10B(下端)には、雨樋12からの水の落下位置に相当する箇所に貫通孔13が形成されている。そのため、(表示パネル10が開いた際に)雨樋12の両端から落下した水は、貫通孔13を介して充填装置100外に排出され、雨水が充填装置100内に留まることが防止される。
【0014】
雨樋12は、表示パネル10に取り付けられており、雨樋12と表示パネル10は水密な態様で固定されている。例えば、接着剤で固定されている。
ここで、雨樋12を表示パネル10に取り付けるには、スポット溶接は用いない。雨樋12を表示パネル10の板金にスポット溶接すると、スポットの間の領域から水が漏洩して、水滴が電子機器と接触する恐れが生じてしまうからである。
それに対して、接着剤による固定であれば、雨樋12の側面が全域に亘って表示パネル10の裏面に接触するので、雨樋12と表示パネル10が水密な態様で固定され、雨樋12と表示パネル10の間から水が下方に移動してしまうことはなく、水滴が電子機器と接触することが防止される。
ここで、雨樋12を表示パネル10に接着するのに使用される接着剤としては、金属接着用の市販の構造用接着剤(例えば、スリーエムジャパン株式会社販売の商品名「メタルグリップ」)を用いることが出来る。
【0015】
図3を参照して、表示パネル10をガス充填装置100のハウジング本体101(
図1)の側面を開放・閉鎖する機構について説明する。
図3において、支持ブラケット5は、表示パネル10から垂直方向に突出しており、案内孔5Aが形成されている。表示パネル10から突出した支持ブラケット5の案内孔5Aにロッド4を挿通することにより、ロッド4を上下方向に移動可能な態様で支持している。
ロッド4は表示パネル10の上下方向に延在しており、且つ、上下方向に移動可能である。ロッド4を上下方向に移動させて、ロッド4の上端部近傍及び下端部近傍を、充填装置100のハウジング本体101(
図1)の図示しない係止部(例えば係合孔)に係止させることにより、表示パネル10を閉鎖した状態を維持することが出来る。そして、ロッド4の上端部近傍及び下端部近傍を前記図示しない係止部から係止解除することにより、表示パネル10が閉鎖した状態から、開放可能な状態にすることが出来る。
【0016】
図4及び
図5を参照して、表示パネル10のガラス6の取付構造を説明する。
図4は、表示パネル10の前面(表示パネル10の表面:
図2、
図3で示す表示パネル裏面の反対側の面)を示している。
図4の符号R4で示す部分はガラス6が取り付けられている。ガラス6は表示パネル10に接着剤GLで取り付けられている。
図4及び
図4のA-A線断面を拡大して示す
図5において、表示パネル10はパネル枠体10-2を有しており、ガラス6は接着剤GLによりパネル枠体10-2に固定されている。
図4及び
図5において、符号9はモールであり、モール9は表示パネル10の左右縁部(
図4で)に鉛直方向に延在し、
図4における看者側(手前側)に僅かに突出している樹脂製又は板金製の部材である。
図5において、モール9は上部の黒く塗り潰した部分である。
図5において、ガラス6を嵌め込む領域R4の一部であるパネル枠体10-2の上部には、紙面に垂直方向において2箇所にガラス6を取り付ける位置を決めるための位置決めピン7が、その軸部がパネル枠体10-2を貫通して設けられている。位置決めピン7の底部(
図5で左端部)には平坦な形状の位置決め板7Aが設けられており、平坦な位置決め板7Aでガラス6を押圧することにより、ガラス6を固定して位置決めする。
【0017】
図5において、ガラス6は接着剤GLにより表示パネル10の枠体10-2に取り付けられるが、適切な接着を行うために接着剤GLの吐出量を一定にして、ガラス6の
図5における左右方向(矢印A5方向)位置を均一にする必要がある。そのため図示の実施形態では、接着剤GLの吐出量の目安として、接着剤GLの塗布厚さ(
図5の矢印A5方向の寸法)に相当する厚さのスペーサー8を、パネル枠体10-2のガラス6側に配置している。
ここで、ガラス6を表示パネル10に接着するのに使用される接着剤GLは、例えば「1成分形ポリウレタンを主成分とする接着剤」があり、市販品(例えば商品名「SikafLex」(登録商標):日本シーカ株式会社販売)がある。
【0018】
次に
図6~
図8を参照して、図示の実施形態におけるホース離脱ガイドについて説明する。
図6において、ガス充填装置100のサイドユニット80上部において、符号A6で示す箇所には、ホース離脱ガイド14が設けられている。ホース離脱ガイド14は、図示しない充填ホースに所定値を超える引張力が作用して安全継手(図示せず)が分離した際に、充填ホースが引張力を作用した側に移動するのを案内するために設けられている。
図6~
図8で示すホース離脱ガイド14には、開閉可能な板状部材15が設けられている。なお、
図6ではホース離脱ガイド14を明確に図示しておらず、破線の引き出し線と符号14のみで示している。
板状部材15は、通常は
図7で示す様に閉鎖されており、充填装置100内部は露出されていない。しかし、安全継手の脱着作業、それに伴うトルクチェックに際しては、
図8で示す様に開放して(矢印A8)、充填装置100内部に内蔵されている安全継手を露出した状態にすることが出来る。
図7で示す様に、板状部材15はヒンジ15Aにより、サイドユニット80側(或いはハウジング本体側)に取り付けられており、ヒンジ15Aにより開閉可能に構成されている。
ホース離脱ガイド14の板状部材15が開放された状態になると、内部の充填ホース、取付箇所、安全継手等が露出して、視認可能な状態になる。従って、例えば充填ホースの交換作業や、安全継手が分離した後に行われる安全継手のソケットにプラグを取り付ける作業や、それに伴うトルクチェックを行うことが容易になり、作業効率を向上させることが出来る。
【0019】
図9を参照して、図示の実施形態において充填ホースの引き出しを容易にするための構造を説明する。
ガス充填装置100の正面図である
図9において、充填装置100の下方の下部ユニット70(
図1参照)の左右両端近傍の収納箇所には、それぞれ充填ノズルN1、N2(図示せず)が配置されている。充填ノズルN1、N2を引き出すことにより、充填ノズルN1、N2の各々に接続された充填ホース(図示せず)を引き出すことが出来る。その際に、充填ホースを引き出す方向が、
図9の看者側(手前側)から左右にずれてしまうと、充填ホースが他の部材(例えばハウジング本体側の部材)と接触して摩擦抵抗が大きくなり、最悪の場合、安全継手が分離せず充填装置100が引っ張られてしまう。
それに対して図示の実施形態では、充填装置100の下方の右端近傍に配置されたノズルN1は、上下方向に延在するローラー16、ローラー17に挟まれた位置にあり、ローラー16は矢印R16方向に回転自在に構成されており、ローラー17は矢印R17方向に回転自在に構成されている。そのため、充填ノズルN1の各々に接続された充填ホースの何れかを引き出す方向が、
図9の看者側(手前側)から左右にずれたとしても、充填ホースはローラー16、17の何れかに接触するので、ローラー16、17が回転することにより、充填ホース16、17を引き出す際に生じる摩擦抵抗は小さく、充填装置100に引張力を付加することなく充填ホースを円滑に引き出すことが出来る。
【0020】
一方、
図9においてガス充填装置100の下方左端近傍に配置されたノズルN2は、上下方向に延在するローラー18、ローラー19に挟まれた位置にあり、ローラー18は矢印R18方向に回転自在に構成されており、ローラー19は矢印R19方向に回転自在に構成されている。そのため、上述のノズルN1と同様に、充填ホースを円滑に引き出すことが出来る。
【0021】
図10~
図14を参照して、図示の実施形態における脱圧弁21と、そのスイッチ部22について説明する。
図10において、実施形態に係る脱圧弁21及びそのスイッチ部22が示されており、脱圧弁21の本体部21Aの頂部にスイッチ部22が配置される。スイッチ部22は本体部22Aと感知部22Bを有し、本体部22Aにはケーブル23が接続されている。
図11で示す様に、脱圧弁21が作動すると可動部21Bが上昇して感知部22Bに接触すると、スイッチ部22の本体部22Aより脱圧弁21が作動したことを確認する信号がケーブル23を介して出力される。一方、
図12で示す様に、脱圧弁21の可動部21Bが上昇せず、可動部21Bが感知部22Cに接触しなければ、スイッチ部22は作動しない。従って、スイッチ部22は脱圧弁21の作動状況を信号として出力している。
図11、
図12において、符号24は本体部22Aをブラケット25に取り付ける取付用ネジ部である。
【0022】
図10において、ケーブル23は、例えば矢印A10-1方向に変動して、接続している本体部22Aも揺動して、スイッチ基部が誤作動する恐れや、取付用ネジ部24が緩んでしまう可能性が存在する。
それに対して図示の実施形態では、
図13で示す様に、スイッチ部22は、締結部材26により本体部22Aに締結された弾性を有するL字状の板金部材であるブラケット25を介して脱圧弁本体21Aの頂部に取り付けられている。なお、
図15、
図16で示す様に、ブラケット25はL字状の部分と、本体部21Aの頂部21ATに面接触している平坦部とを具備している。
そのため、可動部21Bが所定量以上に上昇して感知部22Bを押圧してしまった場合でも、ブラケット25のたわみにより、可動部21Bの過度の上昇が吸収され、スイッチ基部の破損、感知部取付用のネジ部24の緩みが抑制或いは防止される。
【0023】
さらに、ケーブル23を本体部21Aの頂部に取り付けられた取付金具27に固定することで、ケーブル23が激しく変動しても、スイッチ部22(スイッチ基部)の誤作動を防止でき、取付用ネジ部24も緩まない。
【0024】
図14において、スイッチ部22の感知部22Bの位置決め用に、例えば厚さが5mmのスペーサー28が、可撓性部材29(紐、チェーンなど)を介して取付金具27に取り付けられている。係るスペーサー28の厚さ(例えば5mm)は、上下方向に移動する可動部21Bのストロークと同一である。スイッチ部22の組み立てに際して、可動部21Bのストロークの調整に際しては、スペーサー28を用いれば、可動部21Bのストロークを容易に設定して、各種部品の配置や相対位置関係の調整を容易にすることが出来る。
図示の実施形態では可撓性部材29を介してスペーサー28が取付金具27に取り付けられているので、可動部21Bのストロークの調整が必要な場合に、直ちにスペーサー28を用いて調整することが出来る。そのため、組み立て時のみならず、充填装置における各種の保守点検の際にも、作業者がスペーサー28を持ち歩くことなく、また、作業に際してスペーサー28を探す手間を省いて必要な作業を実行することが出来る。そのため、作業効率が向上する。
【0025】
図15、
図16で示す様に、ブラケット25は、その平坦部(頂部21ATに面接触している部分)が2本のボルト42により、頂部21ATに取り付けられている。より詳細には、
図15で示す態様では、ブラケット25の平坦部はボルト42-1、42-4により頂部21ATに取り付けられ、
図16で示す態様では、ボルト42-1、42-2により頂部21ATに取り付けられている。
ここで、ボルト42(42-1、42-2、42-3、42-4)は4本設けられており、4本のボルト42-1、42-2、42-3、42-4は頂部21ATの中心に対して点対称に配置されており、且つ、頂部21ATの外周縁部で周方向について同一ピッチで配置されている。
【0026】
4本のボルト42-1、42-2、42-3、42-4を頂部21ATの中心に対して点対称に配置し且つ周方向について同一ピッチで配置することにより、図示の実施形態では、頂部21ATにおけるブラケット25の相対位置を調整し、以て、ブラケット25におけるL字状の部分の向き、すなわちスイッチ部22の向きを調整することが出来る。例えば、
図15の態様では、スイッチ部22は矢印RU方向(
図15の右上方向)を向いているのに対して、
図16の態様では、スイッチ部22は矢印LU方向(
図16の左上方向)を向いている。
この様にブラケット部25或いはスイッチ部22の向きを調整することにより、ブラケット25と本体部22を取付用ネジ部24により取り付ける作業(或いはネジ部24によるる調整)が容易な位置を選択して、当該取付作業(或いは調整作業)の労力を軽減することが出来る。
【0027】
図17、
図18を参照して、図示の実施形態に係るガス充填装置100における通信充填用の赤外線ボックス(IRボックス)について説明する。
IRボックス(赤外線ボックス)は、通常の充填作業の際には作業者により取り扱われる機器ではないが、例えば、プログラム更新や、ケーブルの点検結線等の保守作業(例えば結線作業)の際には、IRボックスを開いてIRボックス内部について作業が実行される。ただし、IRボックスを開いて行う作業の頻度は低い。
そのため、図示の実施形態では、通常時は、
図17で示す様に、中間ユニット50(
図1参照)上部のスペースにIRボックス31を収納している。所定の厚さを有する直方体形状のIRボックス31は、収納状態では、長手方向が
図17における紙面に垂直な方向となる様に、
図17において、中間ユニット50の左上部隅部に存在する空間に収納されている。
そして、保守作業等において、IRボックス31を開いて行う作業(頻度の低い作業)の際には、
図18で示す様に、IRボックス31を中間ユニット50の左上部の隅部の空間から引き出して、作業者側(手前側:
図18における看者側或いは手前側)に位置させる。
図18において、引き出されたIRボックス31の本体部にはハッチングを付して示している。
IRボックス31を引き出した際、IRボックス31後縁の引掛金具31Aにおけるだるま穴31Bに、中間ユニット50内の図示しないフレームから突接しているピン32或いはボルトを挿入し、以て、IRボックス31後縁の引掛金具31Aが上方になった状態で保持する。ここで、だるま穴31B、ピン32(或いはボルト)は、
図17、
図18における左右方向の2箇所に設けられている。
図18で示す様にIRボックス31を引き出して、IRボックス31の作業面が作業者側に向いて保持されれば、IRボックス31を開放した際にその内部が作業者の前面に曝されるので、プログラム更新や、ケーブルの点検結線等の保守作業(例えば結線作業)が容易である。
【0028】
図示の実施形態では、通信充填の際に信号の伝達を行うためのハーネス安全継手33が設けられている。当該ハーネスは充填ホース(図示せず)に沿って延在している。
図19~
図21を参照して、図示の実施形態で用いられるハーネス安全継手について説明する。
図19~
図21において、ハーネス安全継手33は、ガス充填装置(図示せず)側のハーネス34と、車両(図示せず)側のハーネス35と、本体部36を有しており、充填装置側のハーネス34と車両側のハーネス35が分離可能に構成されている。
本体部36は、充填装置側のハーネス34と車両側のハーネス35を接続する接続部36A、充填装置側のフランジ部36B、車両側のフランジ部36Cを有している。本体部36の接続部36Aには押圧突起部36APが設けられており、押圧突起部36APが押圧されると車両側のハーネス35と接続部36Aが分離し、以て、充填装置側のハーネス34と車両側のハーネス35に分離する様に構成されている。
図20で示す様に、車両側のフランジ部36Cにおけるハーネス貫通孔36CHは、その内壁形状が、
図20の下方に向かうにつれて滑らかに内径が小さくなる様に形成されている。
【0029】
例えば図示しない車輌が作業者や運転手の意思とは無関係に急発進した場合の様に、安全継手33が車両側に引っ張られると、ハーネス34、35、本体部36は
図19~
図21の下方(
図21の矢印A19方向)に移動する。
図20を参照して上述した様に、フランジ部36Cにおけるハーネス貫通孔36CHは、下方(A19方向)に向かうにつれて滑らかに内径が小さくなる。そのため、
図21で示す様に、フランジ部36Cの貫通孔36CHの内壁面により、接続部36Aの押圧突起部36APが押圧される。その結果、
図21で示す様に、車両側のハーネス35と接続部36Aは分離し、ハーネス安全継手33は分離する。
【0030】
図示の実施形態では明確には図示されていないが、充填装置100における各ユニット(中間ユニット50、下部ユニット70、サイドユニット80等)同士において、溶接個所は存在しない。図示の実施形態では、従来、溶接で固定していたパネルは接着剤で貼付されている。
ここで、パネルをユニットに対して溶接で固定すると、パネルを取り付けたとしても溶接痕が目立ってしまい、見た目が悪化する。そして、溶接痕を取るため、サンダーで研削するとメッキ被膜も除去してしまうので、耐食性が低下してしまう。
それに対して接着剤を用いている図示の実施形態では溶接個所が無く、ユニットに対してパネルを接着しているため溶接痕は存在せず、見た目が良いという意匠的効果を発揮する。そして、係る意匠的な効果のみならず、サンダーにより溶接痕を研削する作業が不要になるため、その分だけ組み立て作業における労力が軽減される。
さらに、溶接痕の研削除去によりメッキ被膜が除去されることがないため、耐食性が低下しない。それに加えて、溶接痕がないため、凹凸がなくなり、ユニット同士が面一になり、パネルのシール性が向上する。
【0031】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
例えば、図示の実施形態では主として水素ガス充填装置を説明しているが、その他の気体燃料の充填装置についても本発明を適用することが出来る。
【符号の説明】
【0032】
1・・・充填量表示器
10・・・表示パネル(フロントパネル)
11・・・電子機器取付部
12・・・雨樋
13・・・孔(雨水の排出孔)
100・・・ガス充填装置
101・・・ハウジング本体