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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073763
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】生産管理システム
(51)【国際特許分類】
   B65B 23/02 20060101AFI20240523BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
B65B23/02
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184645
(22)【出願日】2022-11-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・令和4年8月30日に株式会社美和ふ卵場(岐阜県岐阜市山県岩北野入会地1-1)にて販売。
(71)【出願人】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】南部 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】才田 和輝
(72)【発明者】
【氏名】福島 直人
(72)【発明者】
【氏名】中村 健人
【テーマコード(参考)】
3C100
3E043
【Fターム(参考)】
3C100AA51
3C100AA56
3C100BB12
3C100BB15
3C100BB21
3C100BB34
3C100CC02
3C100EE14
3E043BA19
3E043GA03
3E043GA04
(57)【要約】
【課題】アイテムの生産に用いられる機器に何らかの変更が行われる等の生産ラインに対するイベントが発生した場合に、その後に生産されるアイテムが正しく生産されているか否かを確実に確認できるようにする。
【解決手段】容器詰めの卵に係る生産中のアイテムWを搬送するコンベヤ11と、コンベヤ11に設けられ、アイテムWの生産に用いられる機器12とを有する生産ラインPL1~PL3に用いられる生産管理システム100であって、アイテムWの属性を取得するアイテム属性取得部5と、生産ラインPL1~PL3に対するイベントの発生時に、コンベヤ11によって搬送されるアイテムWを、当該アイテムWの属性に応じた所定位置で停止させるコンベヤ制御部4とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器詰めの卵に係る生産中のアイテムを搬送するコンベヤと、当該コンベヤに設けられ、前記アイテムの生産に用いられる機器とを有する生産ラインに用いられる生産管理システムであって、
前記アイテムの属性を取得するアイテム属性取得部と、
前記生産ラインに対するイベントの発生に伴って、前記コンベヤによって搬送される前記アイテムを当該アイテムの属性に応じた所定位置で停止させるコンベヤ制御部とを備える、生産管理システム。
【請求項2】
前記イベントの発生に伴って、前記コンベヤ上の前記アイテムを撮像した画像をユーザに提示する処理を行う処理部と、
前記画像をユーザが確認したことを示す確認信号を取得する確認信号取得部とを備え、
前記コンベヤ制御部は、前記イベント発生に伴って停止させた前記コンベヤの通常稼働を不可とし、前記確認信号を取得した場合に、前記コンベヤの通常稼働を可能とする、請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項3】
前記処理部は、前記イベントが発生する前のアイテムの画像と、前記イベントが終了した後のアイテムの画像とをユーザに提示する処理を行うものである、請求項2に記載の生産管理システム。
【請求項4】
前記所定位置は、前記イベントが終了した後にアイテムが撮像される位置である、請求項2又は3に記載の生産管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器詰めの卵の生産ラインに用いられる生産管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鶏卵を包装するGPセンター(グレーディング・アンド・パッキングセンター)には、容器詰めの卵に係る生産中のアイテムを搬送するコンベヤと、アイテムの生産に用いられる機器とを有する生産ラインが設けられている。
【0003】
そして、GPセンターでは、アイテムの切り替えに伴う設定変更等のように機器に何らかの変更が行われた場合には、その後に生産されるアイテムが正しく生産されているか否かを人が確認している。
【0004】
しかしながら、アイテムが正しく生産されているか否かを人が確認しているので、確認すべき項目を間違ったり、確認すべきアイテムを間違ったりする等の確認ミスが発生しうる。また、機器に何らかの変更が行われたにも関わらず、アイテムが正しく生産されているか否かの確認を忘れてしまう等の確認漏れも発生しうる。
【0005】
さらに近年では、アイテムの種類が増加しており、生産ラインにおけるアイテムの切り替え頻度が増えている(例えば、特許文献1を参照)。また、アイテムの生産に用いられる機器が多様化しており、使用される機器の個数も増加している。このため近年では、上述した確認ミスや確認漏れが発生しやすい状況となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-097989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、アイテムの生産に用いられる機器に何らかの変更が行われる等の生産ラインに対するイベントが発生した場合に、その後に生産されるアイテムが正しく生産されているか否かを確実に確認できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る生産管理システムは、容器詰めの卵に係る生産中のアイテムを搬送するコンベヤと、当該コンベヤに設けられ、前記アイテムの生産に用いられる機器とを有する生産ラインに用いられる生産管理システムであって、前記アイテムの属性を取得するアイテム取得部と、前記生産ラインに対するイベントの発生に伴って、前記コンベヤによって搬送される前記アイテムを当該アイテムの属性に応じた所定位置で停止させるコンベヤ制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
この生産管理システムであれば、生産ラインに対するイベントの発生に伴って、コンベヤによって搬送されるアイテムを当該アイテムの属性に応じた所定位置で停止させるので、所定位置に停止しているアイテムを確認することで、アイテムが正しく生産されているか否かを確実に確認できるようになる。その結果、商品として出荷できない容器詰めの卵の量を最小限に抑制することができる。
【0010】
本発明に係る生産管理システムは、前記イベントの発生に伴って前記コンベヤ上の前記アイテムを撮像した画像をユーザに提示する処理を行う処理部と、前記画像をユーザが確認したことを示す確認信号を取得する確認信号取得部とを備え、前記コンベヤ制御部は、前記イベント発生に伴って停止させた前記コンベヤの通常稼働を不可とし、前記確認信号を取得した場合に、前記コンベヤの通常稼働を可能とすることが望ましい。
この構成であれば、ユーザがアイテムの画像を確認しなければコンベヤを通常稼働できないので、ユーザは、アイテムが正しく生産されているか否かを確実に確認するようになり、特に確認漏れを防止することができる。
【0011】
前記処理部は、前記イベントが発生する前に撮像された一のアイテムの画像と、前記イベントが発生した後に撮像された他のアイテムの画像とをユーザに提示する処理を行うものであることが望ましい。
この構成であれば、例えばイベントが機器の設定変更であれば、設定変更前のアイテムの画像と、設定変更後のアイテムの画像とを提示することにより、機器の設定変更が正しく行われているかを確実に確認することができる。また、例えばイベントが機器の設定変更を伴わない生産の中断であれば、生産の中断前のアイテムの画像と、生産の中断後のアイテムの画像とを提示することにより、生産の中断前後においてアイテムが変わっていないか等を確認することができる。
【0012】
前記所定位置は、前記イベントが発生した後にアイテムが撮像される位置であることが望ましい。
この構成であれば、アイテムの属性に応じた停止位置とアイテムが撮像される位置とが同一位置となり、イベント発生時のコンベヤの動作を簡単にすることができる。また、イベントが発生した後に生産されたアイテムを追尾して撮像することができる。
【発明の効果】
【0013】
このように構成した本発明によれば、アイテムの生産に用いられる機器に何らかの変更が行われる等の生産ラインに対するイベントが発生した場合に、その後に生産されるアイテムが正しく生産されているか否かを確実に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る生産ラインの構成を模式的に示す平面図である。
図2】同実施形態の生産管理システムの物理構成等を示す図である。
図3】同実施形態の生産管理システムの機能構成等を示す図である。
図4】同実施形態の(a)イベント発生時のアイテムの状態、及び(b)イベント終了後のアイテムの状態を示す模式図である。
図5】同実施形態の画像確認画面の一例を示す図である。
図6】同実施形態の帳票の一例を示す図である。
図7】同実施形態の生産管理システムの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る生産管理システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0016】
<生産管理システムの基本構成>
本実施形態の生産管理システム100は、図1に示すように、容器詰めの卵に係る生産中のアイテムWを搬送するコンベヤ11と、当該コンベヤ11に設けられ、アイテムWの生産に用いられる機器12とを有する1又は複数の生産ラインPL1~PL3を管理するものである。なお、図1では、3つの生産ラインPL1~PL3を示しているが、生産ラインの数はこれに限られず、1つ又は2つの生産ラインであっても良いし、4つ以上の生産ラインであっても良い。
【0017】
ここで、生産中のアイテムWとしては、例えば、合成樹脂製のレギュラーパック(蓋に卵に対応した凹凸が形成されており、短冊状ラベルが入れられる包装容器)を用いたもの、合成樹脂製のフラットパック(蓋に平面部が形成されており、当該平面部に上貼りラベルが貼り付けられる包装容器)を用いたもの、又は、パルプモールドトレイ(古紙を原料として成形されたトレイ)を用いたもの等が挙げられる。
【0018】
また、アイテムWの生産に用いられる機器12としては、例えば、パック詰め機12a、パック卵検査装置12b、短冊状ラベルシューター12c、インラベル検査装置12d、ラベルシューター12e、ラベル検査装置12f、豆シール貼付機12g、豆シール検査装置12h、テープシーラー12i、封緘機12j、上貼りラベル貼付機12k、上貼りラベル検査装置12l、蓋閉じ後検査装置12m、振り分け機12n、ケースパッカー12o、ケース供給機12p、ケースパレタイザー12q等が用いられる。
【0019】
図1に示す生産ラインPL1~PL3は、種類の異なるアイテムWに切り替えて生産することができるように構成されている。例えば、生産ラインPL1では、短冊状ラベルシューター12c及びインラベル検査装置12dと、豆シール貼付機12g及び豆シール検査装置12hとが設けられ、レギュラーパックを用いたアイテムWと、パルプモールドトレイを用いたアイテムWとに切り替えて生産することができる。
【0020】
これら生産ラインPL1~PL3において、各検査装置は、各検査装置の検査対象に対応する機器12の下流側に配置されており、それらの間に別の機器12が配置されていても良い。ここで、インラベル検査装置12dは短冊状ラベルシューター12cに対応し、ラベル検査装置12fはラベルシューター12eに対応し、豆シール検査装置12hは豆シール貼付機12gに対応し、上貼りラベル検査装置12lは上貼りラベル貼付機12kに対応する。また、各検査装置は、各検査装置の検査対象に対応する機器12により処理されたアイテムWの全てを検査する。なお、以下では、各検査装置を区別しない場合には、単に「検査装置12Y」と記載し、検査装置12Yの検査対象に対応する機器12を単に「機器12X」と記載する。
【0021】
<生産管理システム100の具体的構成>
そして、本実施形態の生産管理システム100は、各生産ラインPL1~PL3に設けられた複数の機器12の設定を一括して行うとともに、アイテムWの生産の開始や終了等の制御を一括して行うものである。
【0022】
ここで、生産管理システム100は、図2に示すように、CPU101、メモリ102、入出力インターフェイス103、AD変換器104、ディスプレイ等の表示装置105、キーボードやマウス等の入力装置106、通信装置107等を有するコンピュータにより構成されている。そして、生産管理システム100は、メモリ102に格納された生産管理プログラムに基づいて、CPU101及び周辺機器が協働することにより、図3に示す各機能を発揮する。なお、生産管理システム100は、物理的に一体のコンピュータにより構成されたものであっても良いし、それぞれ物理的に別体をなすコンピュータにより構成されたものであっても良い。
【0023】
具体的に生産管理システム100は、図3に示すように、複数の機器12の設定を一括して行う設定部2と、アイテムWの生産の開始や終了等に伴って機器12を制御する機器制御部3と、アイテムWの生産の開始や終了等に伴ってコンベヤ11を制御するコンベヤ制御部4とを有している。
【0024】
設定部2は、ユーザにより入力されるアイテムWの生産に関する情報に基づいて、各生産ラインPL1~PL3において、生産するアイテムWに対応する複数の機器12の設定を一括して行うものである。なお、アイテムWの生産に関する情報は、入力装置106を用いて入力される。ここで、アイテムWの生産に関する情報には、例えば、アイテムWの種類、短冊状ラベル、豆シールや上貼りラベル等に印字する日付情報等が含まれる。
【0025】
機器制御部3は、ユーザにより入力される稼働指令又は停止指令に基づいて、各生産ラインPL1~PL3において、生産するアイテムWに対応した複数の機器12を制御するものである。なお、前記稼働指令又は停止指令は、例えば、入力装置106によりディスプレイ105に表示された開始ボタン又は停止ボタンを選択することにより入力される。
【0026】
コンベヤ制御部4は、ユーザにより入力される稼働指令又は停止指令に基づいて、コンベヤ11を制御するものである。なお、前記稼働指令又は停止指令は、例えば、入力装置106によりディスプレイ105に表示された開始ボタン又は停止ボタンを選択することにより入力される。
【0027】
そして、本実施形態の生産管理システム100は、図3に示すように、各生産ラインPL1~PL3において、生産されるアイテムWの属性を取得するアイテム属性取得部5を有している。
【0028】
ここで、アイテムWの属性とは、アイテムW(例えば製品名「〇〇たまご」)に紐付けられた包装容器又はトレイの種類や、そのアイテムWに使用されるラベル又はシールの種類等である。
【0029】
また、「アイテムWの属性を取得する態様」としては、例えば、以下の(1)~(3)が考えられる。
(1)包装容器又はトレイの種類や使用されるラベル又はシールの種類の情報をユーザが入力装置106により入力又は選択することで、アイテム属性取得部5がアイテムWの属性を取得する態様
(2)包装容器又はトレイの種類や使用されるラベル又はシールの種類が紐付けられたアイテムWの情報をユーザが入力装置106により入力又は選択することで、アイテム属性取得部5がアイテムWの属性を取得する態様
(3)設定部2に入力された情報又は各機器から送信される情報から、アイテム属性取得部5がアイテムWの属性を取得する態様、等
【0030】
そして、コンベヤ制御部4は、各生産ラインPL1~PL3に対するイベントの発生に伴って、コンベヤ11によって搬送されるアイテムWを当該アイテムWの属性に応じた所定位置で停止させる。また、コンベヤ制御部4は、後述する確認信号を取得するまでは、アイテムWが停止位置で停止した状態のまま、コンベヤ11の通常稼働を不可とする。
【0031】
ここで、「生産ラインPL1~PL3に対するイベント」とは、生産ラインPL1~PL3の停止を伴うものであり、例えば、機器のインク交換、機器のラベルやシールのロール交換、機器の設定変更、故障に伴う点検、生産開始、又は、昼休憩等である。
【0032】
ここで、「各イベントが発生したことを検知する方法」としては、以下が考えられる。
機器のロール交換の場合、ロール固定レバーの操作を検知すること等が考えられる。
機器のインク交換の場合、インクカートリッジの交換操作を検知すること等が考えられる。
機器の設定変更の場合、設定部2による機器12の設定変更を検知すること等が考えられる。
故障に伴う点検や昼休憩の場合、停止ボタンの操作を検知すること等が考えられる。
生産開始の場合、開始ボタンの操作を検知すること等が考えられる。
その他、各イベントの情報は、ユーザが入力装置106又は機器12から入力しても良い。なお、各イベントが発生したことを検知する方法は、上記の方法に限定されるものではない。
【0033】
また、「アイテムの属性に応じた所定位置」とは、例えば、以下の(1)~(3)が考えられる。
(1)レギュラーパックを用いたアイテムWの場合
例えば、「短冊状ラベルを入れた後」かつ「蓋を閉じる前」に、短冊状ラベルの種類や印字されている日付等を検査する検査装置(インラベル検査装置12d)の位置
(2)フラットパックを用いたアイテムWの場合
例えば、「蓋を閉じた後」かつ「蓋に上貼りラベルを貼り付けた後」に、上貼りラベルの種類や印字されている日付等を検査する検査装置(上貼りラベル検査装置12l)の位置
(3)パルプモールドトレイを用いたアイテムWの場合、
例えば、「日付が印字された豆シールを卵に貼り付けた後」で、豆シールの種類や印字されている日付等を検査する検査装置(豆シール検査装置12h)の位置、又は、豆シールを使わずに「卵殻に直接日付が印字された後」に、卵殻に印字されている日付等を検査する検査装置の位置
【0034】
上記の通りコンベヤ制御部4は、図4に示すように、イベントの終了後に、コンベヤ11によって搬送されるアイテムWを、当該アイテムWの属性に対応した検査装置12Yの位置に停止させる(図4(b)参照)。ここで、本実施形態の検査装置12Yは、アイテムWを撮像する撮像部13を有し、当該撮像部13により得られた画像を用いて検査するものである。各撮像部13は、検査装置12Yの種類に応じて、アイテムWに入れられた短冊状ラベル、卵に貼り付けられた豆シール、アイテムWに貼り付けられた上貼りラベル等を撮像する。
【0035】
つまり、本実施形態のコンベヤ制御部4は、図4に示すように、イベントの終了後にコンベヤ11を制御して、アイテムWが撮像される撮像位置でアイテムWを停止させることになる。なお、図4では、レギュラーパックを用いたアイテムWに対して短冊状ラベルを入れる処理を行う例を示している。
【0036】
ここで、検査装置12Yの位置(撮像位置)で停止されるアイテムWは、イベント発生時において検査装置12Yに対応する機器12Xにより処理がされていないアイテムW(図4(a)参照)であり、言い換えれば、イベント終了後において検査装置12Yに対応する機器12Xを最初に通過したアイテムWである。
【0037】
イベント終了後に機器12Xを最初に通過したアイテムWが、検査装置12Yの撮像部13によって撮像される。この撮像された画像は、イベントが終了した後の状態のアイテムWの画像として、処理部6に送信される。また、イベント発生前において機器12Xを最後に通過したアイテムWも検査装置12Yの撮像部13に撮像される。この撮像された画像は、イベントが発生する前の状態のアイテムWの画像として、処理部6に送信される。
【0038】
さらに、本実施形態の生産管理システム100は、各生産ラインPL1~PL3に対するイベントの発生に伴ってコンベヤ11上のアイテムWを撮像した画像をユーザに提示する処理を行う処理部6と、画像をユーザが確認したことを示す確認信号を取得する確認信号取得部7とを有している。
【0039】
本実施形態の処理部6は、イベントの発生に伴って検査装置12Yの撮像部13により撮像された画像をユーザに提示する処理を行い、ユーザに画像の確認を要求するものである。
【0040】
具体的に処理部6は、イベントが発生する前の状態のアイテムWの画像(以下、イベント発生前の画像)と、イベントが終了した後の状態のアイテムWの画像(以下、イベント終了後の画像)とをユーザに提示する処理を行う。例えば、イベントが機器12のインク交換であれば、インク交換直前の状態のアイテムWの画像と、インク交換直後の状態のアイテムWの画像とをユーザに提示する処理を行う。
【0041】
ここで、ユーザに画像を提示する処理としては、図5に示す画像確認画面W1をディスプレイ105に表示することや、例えばスマホやコンピュータ等のユーザ端末20(図2参照)の表示部21に画像確認画面W1を表示することが考えられる。なお、ユーザ端末20は、処理部6から送信された画像を表示するとともに、画像確認の入力操作を行うものであり、図2に示すように、ディスプレイ等の表示部21、入力操作部22、通信部23等を有している。
【0042】
図5に示すように、画像確認画面W1には、イベント発生前の画像X1及びイベント終了後の画像X2が表示されており、それら画像X1、X2の確認入力を行うための確認ボタン等の確認入力欄Rが表示されている。
【0043】
また、処理部6は、予め登録された1又は複数のユーザそれぞれに画像を提示する処理を行うことができる。処理部6は、例えば、権限の異なる複数のユーザそれぞれに画像を提示する処理を行うことができ、例えば、GPセンター内における作業者と、作業者による作業内容の確認を行う確認者と、各生産ラインPL1~PL3の責任者とに画像の確認要求を行うことができる。ここでは、画像確認画面W1に、作業者、確認者及び責任者それぞれの確認入力欄Rを設けている。なお、処理部6は、イベントの種類に応じて画像を提示するユーザ又はその人数を変更するようにしても良い。
【0044】
確認信号取得部7は、処理部6により画像が提示されたユーザがその画像を確認したことを示す確認信号を取得するものである。この確認信号は、ディスプレイ105又は表示部21に表示された確認入力欄Rにユーザが確認入力をすることにより生成されて確認信号取得部7に送信される。なお、確認信号は上記に限られず、ユーザが任意の入力を行うことで生成される信号であっても良い。
【0045】
本実施形態の確認信号取得部7は、イベント発生前の画像X1及びイベント終了後の画像X2の両方を確認したことを示す確認信号を取得する。確認入力欄Rは、2つの画像X1、X2に対応して2つ表示されており、確認信号取得部7は、イベント発生前の画像X1の確認信号と、イベント終了後の画像X2の確認信号とを区別して取得する構成である。なお、確認入力欄Rを2つの画像X1、X2に対して1つ表示し、イベント発生前の画像X1及びイベント終了後の画像X2の両方を確認したことを示す1つの確認信号を取得する構成としても良い。
【0046】
そして、本実施形態のコンベヤ制御部4は、確認信号取得部7が確認信号を取得した場合に、コンベヤ11の通常稼働を可能とする。コンベヤ11の通常稼働は、コンベヤ制御部4により自動的に実行されるようにしても良いし、ユーザがコンベヤ11の稼働スイッチを操作する等の稼働操作を行うことで実行されるようにしても良い。なお、コンベヤ11の通常稼働に伴って、機器12が機器制御部3により制御される。
【0047】
処理部6が複数のユーザに画像を提示する処理を行っている場合には、コンベヤ制御部4は、確認信号取得部7が複数のユーザ全員からの確認信号を取得した場合に、コンベヤ11の通常稼働を可能にする。なお、コンベヤ制御部4は、確認信号取得部7が複数のユーザの一部からの確認信号を取得した場合に、コンベヤ11の通常稼働を可能にしても良い。
【0048】
その他、生産管理システム100は、アイテムWに関する帳票を生成する帳票生成部8を備えている。この帳票生成部8は、各イベント発生に伴って検査装置12Yの撮像部13により撮像された画像と機器12X等の設定情報とを用いて、アイテムWに関する帳票を生成する。ここで、帳票には、図6に示すように、イベント発生前の画像及びイベント終了後の画像と、それら画像の確認を行ったユーザ情報等が表示される。その他、帳票には、アイテムWの情報や生産日時、使用した検査装置の情報、採卵日、賞味期限等が表示される。なお、帳票生成部8により生成された帳票データは、ユーザ端末20や発注元のコンピュータに送信される。また、帳票データを例えばクラウドストレージなどの格納部に格納しておき、ユーザ端末20や発注元のコンピュータからアクセス可能に構成してもよい。
【0049】
<生産管理システム100による生産処理>
次に、本実施形態の生産管理システム100による生産処理の一例ついて図7を参照して説明する。
【0050】
(S1:アイテムに応じた設定)
設定部2により各生産ラインPL1~PL3に対して生産するアイテムWに応じた設定が一括して行われる。そして、ユーザが開始ボタンを押すなどの生産開始操作を行うことにより、機器制御部3及びコンベヤ制御部4が、複数の機器12及びコンベヤ11を制御して、各生産ラインPL1~PL3においてアイテムWの生産が開始される。
【0051】
(S2:生産開始後の試験稼働)
コンベヤ制御部4は、コンベヤ11を制御して、コンベヤ11によって搬送されるアイテムWを、当該アイテムWの属性に対応した検査装置12Yの位置に停止させる。この状態で、コンベヤ制御部4は、コンベヤ11の通常稼働を不可とする。ここで、検査装置12Yの位置に停止されるアイテムWは、検査装置12Yに対応する機器12Xを生産開始後に最初に通過したアイテムWであり、機器12Xにより処理が行われている。
【0052】
(S3:アイテムの撮像)
そして、検査装置12Yの位置に停止されたアイテムWが、検査装置12Yの撮像部13により撮像される。この画像は、処理部6に送信される。
【0053】
(S4:画像確認処理)
次に、処理部6は、生産開始後の画像をユーザに提示する処理を行い、ユーザはその画像を確認し、ユーザ端末20に確認入力を行う。これにより、確認信号がユーザ端末20から確認信号取得部7に送信される。なお、生産開始後の画像が、機器12Xに設定された内容と異なる場合には、別途、機器12の再設定を行う。
【0054】
(S5:生産の通常稼働)
確認信号取得部7が確認信号を取得すると、コンベヤ制御部4はコンベヤ11の通常稼働を可能にする。その後、コンベヤ11が稼働されるとともに複数の機器12が制御されて、生産ラインPL1~PL3においてアイテムWの生産が行われる。
【0055】
(S6:生産中におけるイベントの発生)
アイテムWの生産中に、各生産ラインPL1~PL3に対してイベントが発生すると、機器制御部3及びコンベヤ制御部4は、複数の機器12及びコンベヤ11の稼働を停止して、イベントが発生した生産ラインPL1~PL3を停止させる(図4(a)参照)。
【0056】
(S7:イベント終了後に所定位置に停止)
そして、イベントが終了すると、ユーザが再び開始ボタンを押すなどの開始操作を行う。そうすると、コンベヤ制御部4は、コンベヤ11を制御して、コンベヤ11によって搬送されるアイテムWを、検査装置12Yの位置に停止させる(図4(b)参照)。この状態で、コンベヤ制御部4は、コンベヤ11の通常稼働を不可とする。ここで、検査装置12Yの位置に停止されるアイテムWは、イベント終了後において機器12Xを最初に通過したアイテムであり、機器12Xにより処理が行われている。
【0057】
(S8:アイテムの撮像)
検査装置12Yの撮像部13により、イベント終了後に処理されたアイテムWが撮像される。なお、イベント終了後に処理されたアイテムWが撮像される前には、イベント発生前に処理されたアイテムWが撮像されている。
【0058】
(S9:画像確認処理)
次に、処理部6は、イベント発生前の画像とイベント終了後の画像とをユーザに提示する処理を行い、ユーザはそれら画像を確認し、ユーザ端末20に確認入力を行う。これにより、確認信号がユーザ端末20から確認信号取得部7に送信される。
【0059】
(S10:コンベヤの通常稼働)
確認信号取得部7が確認信号を取得すると、コンベヤ制御部4はコンベヤ11の通常稼働を可能にする。その後、コンベヤ11が通常稼働され、イベントが終了した生産ラインPL1~PL3においてアイテムWの生産が再開される。
【0060】
(S11:生産の停止)
ユーザが停止ボタンを押すなどの生産停止操作を行うことにより、機器制御部3及びコンベヤ制御部4が、複数の機器12及びコンベヤ11の稼働を停止して、生産ラインPL1~PL3を停止させる。
【0061】
<本実施形態の効果>
本実施形態の生産管理システム100によれば、生産ラインPL1~PL3に対するイベントの発生に伴って、コンベヤ11によって搬送されるアイテムWを当該アイテムWの属性に応じた所定位置で停止させるので、所定位置に停止しているアイテムWを確認することで、アイテムWが正しく生産されているか否かを確実に確認できるようになる。その結果、商品として出荷できない容器詰めの卵の量を最小限に抑制することができる。
【0062】
特に本実施形態では、アイテムWを撮像した画像をユーザに提示する処理を行い、ユーザがアイテムWの画像を確認しなければコンベヤ11を通常稼働できない構成としているので、ユーザは、アイテムWが正しく生産されているか否かを確実に確認するようになり、特に確認漏れを防止することができる。
【0063】
また、本実施形態では、イベント発生前の画像と、イベント発生後の画像とをユーザに提示する処理を行うので、イベントの発生前後におけるアイテムWの変化を確認することができる。例えばイベントが機器12の設定変更であれば、設定変更前のアイテムWの画像と、設定変更後のアイテムWの画像とを提示することにより、機器12の設定変更(例えば日付の変更)が正しく行われているかを確実に確認することができる。また、例えばイベントが機器12の設定変更を伴わない生産の中断(例えば昼休憩)であれば、生産の中断前のアイテムWの画像と、生産の中断後のアイテムWの画像とを提示することにより、生産の中断前後においてアイテムWが変わっていないか等を確認することができる。
【0064】
さらに、本実施形態では、イベントが終了した後にアイテムWを当該アイテムの属性に応じた検査装置の位置で停止させているので、アイテムWの属性に応じた停止位置とアイテムWが撮像される位置とが同一位置となり、イベント発生に伴うコンベヤ11の動作を簡単にすることができる。また、イベントが終了した後に処理されたアイテムWを追尾して撮像することができる。
【0065】
<本発明の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0066】
例えば、前記実施形態では、イベント発生前の画像とイベント発生後の画像を撮像する構成であったが、イベント発生後の画像のみを撮像する構成としてもよい。この場合、処理部6は、イベント発生後の画像のみをユーザに提示する処理を行うことになる。
【0067】
また、前記実施形態では、イベントの発生に伴うアイテムの撮像を検査装置12Yの撮像部13により行っているが、検査装置12Yとは別に撮像装置を設けて、当該撮像装置によりイベントの発生に伴うアイテムの撮像を行ってもよい。
【0068】
さらに、イベントの発生に伴うアイテムの撮像をスマートフォン等のユーザ端末を用いて行う構成としてもよい。この場合、ユーザ端末を用いて撮像されたアイテムの画像は、生産管理システム100に送信される。そして、処理部6により、確認を行うユーザに画像を提示する処理が行われる。
【0069】
その上、ユーザに提示するイベント発生前の画像が検査装置12Yにより不良と判断された場合には、その画像の1つ前に撮像された画像をユーザに提示することが考えられる。また、イベント終了後の画像が検査装置12Yにより不良と判断された場合には、その画像の1つ後に撮像された画像をユーザに提示することが考えられる。
【0070】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0071】
100・・・生産管理システム
W ・・・アイテム
11 ・・・コンベヤ
12 ・・・機器
PL1・・・生産ライン
PL2・・・生産ライン
PL3・・・生産ライン
4 ・・・コンベヤ制御部
5 ・・・アイテム属性取得部
6 ・・・処理部
7 ・・・確認信号取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7