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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073766
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/00 20060101AFI20240523BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20240523BHJP
   G06K 13/06 20060101ALI20240523BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
G06K7/00 004
G06K7/00 056
G06K7/10 264
G06K13/06
G07G1/00 311D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184649
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】両角 真也
【テーマコード(参考)】
3E142
5B023
【Fターム(参考)】
3E142BA01
3E142FA02
3E142GA06
3E142GA07
3E142GA36
3E142KA08
5B023FA03
5B023GA02
(57)【要約】
【課題】接触でのカードの決済処理をしたい場合に、先に非接触で決済されるのを防止する情報処理装置を提供する。
【解決手段】
挿入部20は、カードが挿入される挿入口Hと、カード2を含む非接触媒体と非接触通信を行うアンテナAとを含む。搬送路Cは、挿入部20の挿入口Hから挿入されたカード2が搬送される。IC接点ブロック22は、搬送路Cを搬送されたカード2の接触ICチップ2bに接触して情報の読み書きを行う。制御部10は、カード2の挿入待ち状態において、上位装置3から決済の指示があった際に、搬送路C内にカード2が挿入されていれば、IC接点ブロック22によりICチップ2bによる情報の読み書きの処理を開始し、搬送路C内にカード2が挿入されていなければ非接触媒体との非接触通信の通信待ち状態に移行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードが挿入される挿入口と、前記カードを含む非接触媒体と非接触通信を行うアンテナとを含む挿入部と、
前記挿入部の挿入口から挿入された前記カードが搬送される搬送路と、
前記搬送路を搬送された前記カードのICチップに接触して情報の読み書きを行うIC接点ブロックと、
前記カードの挿入待ち状態において、上位装置から決済の指示があった際に、前記搬送路内に前記カードが挿入されていれば、前記IC接点ブロックにより前記ICチップによる情報の読み書きの処理を開始し、前記搬送路内に前記カードが挿入されていなければ前記非接触媒体との非接触通信の通信待ち状態に移行する制御部とを備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
非接触通信の通信待ち状態において、所定時間、前記非接触媒体との通信が行われない場合、前記カードの挿入待ち状態に再度、移行する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記カードが挿入されていない状態で前記上位装置から決済の指示があった場合、シャッタ機構によりカードを挿入させない、又は前記カードを搬送する搬送機構により前記カードを搬送させないことでカードを取り込まない
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記アンテナにて前記非接触媒体と非接触通信を行って情報が取得された場合より、
前記IC接点ブロックにより情報が取得された場合の方が制限を少なくする
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
カードが挿入される挿入口と、前記カードを含む非接触媒体と非接触通信を行うアンテナとを含む挿入部と、
前記挿入部の挿入口から挿入された前記カードが搬送される搬送路と、
前記搬送路を搬送された前記カードのICチップに接触して情報の読み書きを行うIC接点ブロックとを備える情報処理装置にて実行される情報処理方法であって、
前記カードの挿入待ち状態において、上位装置から決済の指示があった際に、前記搬送路内に前記カードが挿入されていれば、前記IC接点ブロックにより前記ICチップによる情報の読み書きの処理を開始し、前記搬送路内に前記カードが挿入されていなければ前記非接触媒体との非接触通信の通信待ち状態の処理に移行する
ことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に決済用に接触通信及び非接触通信を行う非接触式情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、IC(Integrated Circuit)チップを含むカード媒体(以下、単にカード媒体を「カード」、ICチップを含むカードを「ICカード」という。)が存在する。このICカードには、カード表面に露出した接点(外部端子)が設けられたICチップである「接触IC」を含むスマートカード等のカード媒体(以下、「接触ICカード」という。)も存在する。この接触ICカードの仕様は、ISO7816等で規定されており、外部端子と接触するIC接点ブロックを備えたカードリーダライタ(以下、単に「接触ICリーダ」という。)で情報の読み取り、書き込みが行われる。
【0003】
一方、近年、無線による非接触通信が可能なICチップ(以下、「非接触IC」という。)を内蔵した無線機能付きのICカード(以下、「非接触ICカード」という。)も存在する。この非接触ICカード等の記録媒体を用いて、非接触で決済を行うことも可能である。さらに、カードだけではなく、スマートフォン、携帯電話、スマートウォッチ、無線機能付きのICタグ(RFIDタグ、Radio Frequency Identifier Tag)等により決済を行うことも一般的になってきている(これら、非接触ICカードを含む、無線機能付きの媒体を、以下、「非接触媒体」という。)。これらの非接触媒体では、アンテナを備えた非接触通信機能付きのカードリーダライタ(以下、「非接触ICリーダ」という。)にて非接触通信を行い、情報を取得できる。
たとえば、特許文献1には、このような非接触ICリーダの一例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-114069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、接触IC用リーダと非接触ICリーダとは別々に用意され、それぞれが別々に制御されていた。
このため、ユーザが接触ICカードを用いて接触で決済処理したいときであっても、先に非接触ICリーダによる非接触通信で決済が行われてしまい、ユーザの意図しない決済結果となることがあった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザが接触ICカードを用いて接触で決済処理したい場合に、先に非接触通信で決済が行われることを防止することが可能な情報処理装置を提供し、上述の課題を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る情報処理装置は、カードが挿入される挿入口と、前記カードを含む非接触媒体と非接触通信を行うアンテナとを含む挿入部と、前記挿入部の挿入口から挿入された前記カードが搬送される搬送路と、前記搬送路を搬送された前記カードのICチップに接触して情報の読み書きを行うIC接点ブロックと、前記カードの挿入待ち状態において、上位装置から決済の指示があった際に、前記搬送路内に前記カードが挿入されていれば、前記IC接点ブロックにより前記ICチップによる情報の読み書きの処理を開始し、前記搬送路内に前記カードが挿入されていなければ前記非接触媒体との非接触通信の通信待ち状態に移行する制御部とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、ユーザが接触ICカードを用いて接触で決済処理したい場合に、先に非接触通信で決済が行われることを防止することができる。
【0008】
本発明の一形態に係る情報処理装置は、前記制御部は、非接触通信の通信待ち状態において、所定時間、前記非接触媒体との通信が行われない場合、前記カードの挿入待ち状態に再度、移行することを特徴とする。
このように構成することで、非接触媒体がかざされない場合であっても、ユーザに再度、カードを挿入させ、決済を行わせることができる。
【0009】
本発明の一形態に係る情報処理装置は、前記制御部は、前記カードが挿入されていない状態で前記上位装置から決済の指示があった場合、シャッタ機構によりカードを挿入させない、又は前記カードを搬送する搬送機構により前記カードを搬送させないことでカードを取り込まないことを特徴とする。
このように構成することで、ユーザに、非接触媒体で確実に決済させることができる。
【0010】
本発明の一形態に係る情報処理装置は、前記制御部は、前記アンテナにて前記非接触媒体と非接触通信を行って情報が取得された場合より、前記IC接点ブロックにより情報が取得された場合の方が制限を少なくすることを特徴とする。
このように構成することで、ユーザの意図に沿った決済を行うことができる。
【0011】
本発明の一形態に係る情報処理方法は、カードが挿入される挿入口と、前記カードを含む非接触媒体と非接触通信を行うアンテナとを含む挿入部と、前記挿入部の挿入口から挿入された前記カードが搬送される搬送路と、前記搬送路を搬送された前記カードのICチップに接触して情報の読み書きを行うIC接点ブロックとを備える情報処理装置にて実行される情報処理方法であって、前記カードの挿入待ち状態において、上位装置から決済の指示があった際に、前記搬送路内に前記カードが挿入されていれば、前記IC接点ブロックにより前記ICチップによる情報の読み書きの処理を開始し、前記搬送路内に前記カードが挿入されていなければ前記非接触媒体との非接触通信の通信待ち状態の処理に移行することを特徴とする。
このように構成することで、ユーザが接触ICカードを用いて接触で決済処理したい場合に、先に非接触通信で決済が行われることを防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カードの挿入待ち状態において、上位装置から決済の指示があった際に、搬送路内にカードが挿入されていれば、接触ICチップによる情報の読み書きの処理を開始し、カードが挿入されていなければ非接触通信の通信待ち状態に移行することで、ユーザが接触ICカードを用いて接触で決済処理したい場合に、先に非接触通信で決済が行われることを防止することが可能な情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係るカードリーダのシステム構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係る接触非接触情報取得処理のフローチャートである。
図3図3に示す接触非接触情報取得処理における決済指示画面の画面例である。
図4図2に示す接触非接触情報取得処理の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施の形態>
〔カードリーダ1の構成〕
まず、図1を参照して、本発明の実施の形態に係るカードリーダ1のシステム構成について説明する。本実施形態に係るカードリーダ1は、上位装置3の指示により、カード2を含む媒体との間で、情報を読み出し(リード)又は書き込み(ライト)可能な情報処理装置の一例である。
【0015】
本実施形態において、カードリーダ1は、接触IC用リーダ及び非接触ICリーダの両方の機能を含んでいる。すなわち、カードリーダ1は、接触ICリーダと非接触ICリーダとが一体となったICカードリーダである。具体的には、カードリーダ1は、非接触媒体用のアンテナAをカード2の挿入口Hの付近(ベゼル)に搭載し、接触IC用のIC接点ブロック22を装置内部に搭載している。
カードリーダ1の制御構成及び機能構成については後述する。
【0016】
カード2は、本実施形態に係る無線機能付きのICカードの一例である。本実施形態において、カード2は、接触ICであるICチップ2bとその外部端子が設けられ、更に電磁誘導アンテナを内蔵しており、接触ICカードと非接触ICカードの両方の機能をもつカードである例について説明する。カード2は、例えば、銀行等の決済に用いるEMV(Europay, MasterCard, VISA protocol)規格のICクレジットカード等であってもよい。
【0017】
具体的には、カード2は、例えば、厚さが0.7~0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカード等であってもよい。本実施形態において、カード2には、ICチップ2bと兼用されてもよい非接触ICが内蔵される。すなわち、カード2において、接触ICと非接触ICとが同一のICチップであっても、別々のICチップであってもよい。また、カード2が非接触ICカードの場合、近接型非接触ICカードであってもよく、この場合、Type A、Type B、FeliCa(登録商標)のいずれであっても、それ以外の規格のカードであってもよい。
【0018】
カード2のICチップ2bには、例えば、クレジットカードの決済、デビットカードの決済、その他のポイントの決済等を実行する各種アプリケーションソフトウェア(Application Software、以下、単に「アプリ」という。)、及び各種データがフラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の記録媒体に格納される。また、カード2のICチップ2bは、MPU(Micro Processing Unit)を含んでいてもよい。
加えて、カード2は、磁気記録媒体として、磁気信号が記憶される磁気ストライプが形成されていてもよい。
【0019】
なお、本実施形態においては、カード2の他に、非接触媒体として、他にも、スマートフォン、携帯電話、スマートウォッチ、RFIDタグ等(以下、「スマートフォン等」という。)を用いることが可能である。
また、カード2としては、厚さが0.18~0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であってもよい。
【0020】
上位装置3は、例えば、決済用のPC(Personal Computer)、キャッシュレジスター、POS(Point Of Sales)端末、ATM(Automated Teller Machine)、病院等の決済端末、店舗サーバ、その他の精算(決済)のための端末、キオスク(Kiosk)の端末、ガソリンスタンドの支払い端末、路側機器、タクシー等の車載機、交通機関のチケット発行システム、コンビニエンスストア等のポイントカード決済システム、小売店のメンバーカード発行システム、遊技機のカード発行支払システム、入退場管理システム等(以下、単に「ATM等」と省略して記載する。)である。
【0021】
上位装置3は、表示部31及び入力部32を備えている。
表示部31は、カード決済用の画面をユーザに提示するLCD(Liquid Crystal Display)や有機LED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等である。
入力部32は、テンキーやその他のボタンやタッチパネル等である。
ここで、表示部31と入力部32とは、タッチパネルディスプレイのように一体的に構成されていてもよい。
本実施形態においては、表示部31及び入力部32を用いたGUI(Graphical User Interface)で、ユーザが決済の指示を行うことが可能である。
【0022】
次に、カードリーダ1の制御構成及び機能構成について説明する。
カードリーダ1は、リーダ制御デバイス1a及び接触IC非接触ICリーダ1bから構成される。
このうち、リーダ制御デバイス1aは、接触IC非接触ICリーダ1bを制御するための制御基板、電源回路等を含むデバイスである。
接触IC非接触ICリーダ1bは、接触ICと接続する回路及び非接触媒体との非接触通信回路を含んで構成されるデバイスである。
【0023】
リーダ制御デバイス1aは、制御構成として、制御部10、記憶部11、及び接続部12を含む。
【0024】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、MPU、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit)等(以下、単に「CPU等」という。)を含む。制御部10は、クロックのカウント等により時間を計測するタイマを備えていてもよい。
【0025】
本実施形態において、制御部10は、カード2の挿入待ち状態において、上位装置3から決済の指示があった際に、搬送路C内にカード2が挿入されていれば、IC接点ブロック22によりICチップ2bによる情報の読み書きの処理を開始する。
一方、制御部10は、上位装置3から決済の指示があった際に、搬送路C内にカード2が挿入されていなければ、非接触媒体との非接触通信の待ち状態に移行する。
【0026】
さらに、制御部10は、非接触通信の通信待ち状態において、所定時間、非接触媒体との通信が行われない場合、カード2の挿入待ち状態に再度、移行する。
【0027】
ここで、制御部10は、カード2が挿入されていない状態で上位装置3から決済の指示があった場合、カード2を搬送路C内に取り込まないようにすることも可能である。この場合、制御部10は、シャッタ機構23によりカード2を挿入させない、又は搬送機構24によりカード2を搬送させないことで、カード2の挿入を阻止してもよい。
【0028】
加えて、制御部10は、非接触媒体と非接触通信を行って情報が取得された場合より、IC接点ブロック22により情報が取得された場合の方が制限を少なくする。具体的には、制限として、決済の金額を変更してもよい。
【0029】
記憶部11は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等を含むROM等の一時的でない記録媒体である。記憶部11のROMには、本実施形態において、各種設定値や制御プログラムや一時データ等が格納される。この制御プログラムは、OS(Operating System)、リーダ制御デバイス1aの制御プログラム、接触IC非接触ICリーダ1bの制御プログラム、各種アプリ等を含む。このうち、各種アプリは、接触IC用リーダ及び非接触ICリーダに関する各種処理を実行するための決済用アプリを含んでいてもよい。
【0030】
接続部12は、USB(Universal Serial Bus)、RS-232C、イーサネット(登録商標)(Ethernet)等のLAN(Local Area Network)、その他の専用インターフェイス等(以下、単に「USB等」という。)の物理層及び論理層の回路を含む。接続部12は、接触IC非接触ICリーダ1bに制御信号(以下、「コマンド」という。)を送信し、各種情報の送受信を行う。
【0031】
本実施形態の接触IC非接触ICリーダ1bは、カード2が挿入される挿入口Hと後述するアンテナAとが、接触IC非接触ICリーダ1bの筐体のうち、ATM等の外部に暴露される箇所(ベゼル)に挿入部20としてまとめられている。この挿入部20に、カード2を含む非接触媒体を近づけることで、非接触通信を行うことが可能となる。
【0032】
さらに、挿入口Hには、カード2の挿入を検出するセンサSを備えている。センサSは、光学センサ又はスイッチ等であってもよい。
加えて、接触IC非接触ICリーダ1bには、挿入部20の挿入口Hから挿入されたカード2が搬送される搬送路Cが内部に形成されている。
また、後述するシャッタ機構23も、この挿入口H付近に備えられている。
【0033】
接触IC非接触ICリーダ1bは、制御構成として、非接触通信を行うための非接触通信部21、接触ICと接続するためのIC接点ブロック22、挿入口Hを塞ぎカード2等の挿入を防止するためのシャッタ機構23、及びカード2を搬送するための搬送機構24を含む。
【0034】
非接触通信部21は、カード2を含む非接触媒体と非接触通信を行うための回路である。本実施形態においては、非接触通信部21は、NFC(Near Field Communication)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等、近距離無線による非接触通信を行うための回路を含む。非接触通信部21は、アンテナAと接続されている。
【0035】
アンテナAは、挿入部20の挿入口Hの付近に設けられた、非接触媒体と非接触通信を行うRF(Radio Frequency)アンテナ等である。このアンテナAは、印刷や巻き線で製造されたNFCのアンテナ等であってもよい。
【0036】
この非接触通信部21及びアンテナAにより、非接触媒体との非接触通信による決済用情報の送受信が可能となる。
本実施形態においては、アンテナAに対してカード2が、直接、かざされず、挿入口Hに挿入された場合であっても、非接触通信でカード2の情報が取得されてもよい。
【0037】
IC接点ブロック22は、カード2のICチップ2bの情報の読み書きを行う端子、機構、及び回路を含む。本実施形態においては、IC接点ブロック22は、搬送路Cを搬送されたカード2のICチップ2bの外部端子に接触して情報を読み書きする。
【0038】
シャッタ機構23は、カード2の挿入を防止する(取り込ませなくする)ためのシャッタ等を駆動する機構である。シャッタ機構23は、ソレノイド(図示せず)の動力によって、シャッタを、搬送路Cを塞ぐ閉位置と、搬送路Cを開放する開位置との間で移動させる。シャッタが閉位置に移動されることで、挿入口Hが封止され、カード2を挿入させないようにすることが可能となる。
【0039】
搬送機構24は、カードリーダ1の搬送路C内でカード2を搬送するモータ、プーリ、ベルト、駆動ローラ等を含む機構である。搬送機構24は、例えば、駆動ローラを、プーリ及びベルトを介して連結されたモータ等の駆動部の動力によって回動させる。搬送機構24は、この駆動ローラの回動により、カード2を搬送する。
本実施形態においては、駆動部を駆動させない状態でカード2が挿入されると、駆動ローラが回転しにくくなり、抵抗を生じるため、カード2が搬送路C内で搬送されなくなる。すなわち、この搬送機構24の制御により、カード2を搬送させないことが可能となる。
【0040】
なお、この他にも、リーダ制御デバイス1a及び接触IC非接触ICリーダ1bは、必要な回路、デバイス、機構等を含んでいる。たとえば、リーダ制御デバイス1aは、上位装置3と接続するためのインターフェイス、状態表示用のLED等を含んでいる。
【0041】
一方、接触IC非接触ICリーダ1bは、リーダ制御デバイス1aのコマンドに応答するCPU等、カード2の磁気ストライプを読み書きする磁気ヘッド等を含んでいてもよい。
また、リーダ制御デバイス1a及び接触IC非接触ICリーダ1bは一体的に形成されていても、基板を含むデバイスによりそれぞれが接続されて構成されてもよい。
【0042】
〔接触非接触情報取得処理〕
次に、図2により、本発明の実施の形態に係る接触非接触情報取得処理の説明を行う。
本実施形態に係る接触非接触情報取得処理では、カード2の挿入待ち状態において、上位装置3から決済の指示があった際に、搬送路C内にカード2が挿入されていれば、IC接点ブロック22によりICチップ2bによる情報の読み書きの処理を開始する。一方、搬送路C内にカード2が挿入されていなければ、非接触媒体との非接触通信の通信待ち状態に移行する。
本実施形態の接触非接触情報取得処理は、主に制御部10が、記憶部11に格納された制御プログラム(図示せず)を、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。この接触非接触情報取得処理は、本実施形態に係る情報処理方法を制御部10が実行するための処理となる。
以下で、図2のフローチャートにより、接触非接触情報取得処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0043】
(ステップS101)
まず、制御部10が、決済指示画面表示処理を行う。
制御部10は、支払い処理等の決済の開始前に、上位装置3の表示部31に、カード2での支払い処理等(決済)の開始操作をユーザに促す画面(以下、「決済指示画面」という。)を表示させる。
【0044】
図3に、この決済指示画面の画面例500を示す。
制御部10は、この画面例500においては、支払い指示(決済指示)として「接触ICを使用する場合は、カード2を挿入してから」等と表示し、接触ICを使用する場合は、支払い処理等の開始前にカード2を挿入するように促す。一方、制御部10は、「非接触ICを使用する場合は、カード2を挿入せずに」等と表示し、非接触媒体を使用する場合は、カード2を挿入せずに決済処理等を開始するよう促す。
【0045】
この上で、制御部10は、画面例500にて、「支払開始」のボタンBを押下するように、ユーザに指示している。
すなわち、この決済指示画面では、カード2の挿入又は非接触媒体での決済を選択させた上で、決済の開始を行うよう指示する。
【0046】
(ステップS102)
次に、制御部10が、支払い指示待ち処理を行う。
制御部10は、ユーザからの支払い処理等(決済指示)の開始待ちを行う。
ここで、非接触ICでの決済を行いたい場合、ユーザは、カードリーダ1へ、カード2やスマートフォン等のような非接触媒体を近づける。
または、ユーザは、接触ICでの決済を行いたい場合、カード2を挿入口Hから挿入する。
【0047】
図4(a)によれば、ユーザが非接触媒体を使用したい場合は、非接触ICを含む非接触媒体を、挿入部20付近に近づけ、場合によってはタッチする。
図4(b)によれば、ユーザがカード2の接触ICを使用したい場合は、ICチップ2bを含むカード2を挿入部20の挿入口Hから搬送路C内に挿入する。なお、この場合でも、カード2の非接触媒体の検出が可能であってもよい。
【0048】
本実施形態においては、この状態で、ユーザが、決済の開始の指示を行う。具体的には、ユーザは、上述のGUIにて決済の開始指示を行う。
ここで、上位装置3では、入力部32にて、上述のボタンBの押下を検出した場合、この決済開始のコマンドをリーダ制御デバイス1aへ送信する。一方、まだ上述のボタンBの押下を検出しない場合は、上位装置3は、画面例500の画面を表示したまま待つ。
さらに、本実施形態においては、制御部10は、上位装置3からの決済開始のコマンドを取得待ちする。
【0049】
(ステップS103)
次に、制御部10が、ボタン押下を検出したか否かを判定する。制御部10は、ユーザによりが指示され、ユーザによる決済開始の指示を取得した上位装置3から決済開始のコマンドを取得した場合に、Yesと判定する。制御部10は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、制御部10は、処理をステップS104に進める。
Noの場合、制御部10は、処理をステップS102に戻して、ボタンの押下の検出を待つ。なお、取得待ちの状態で、数十秒~数分程度の時間が経過した場合には、エラー処理として、接触非接触情報取得処理を終了し、上位装置3に、前の画面を表示させてもよい。
【0050】
(ステップS104)
ここで、制御部10が、カード挿入検出処理を行う。
制御部10は、接触IC非接触ICリーダ1bに対して、カード2が挿入されたか否かを問い合せるコマンドを、接続部12を介して送信する。
これに対して、接触IC非接触ICリーダ1bは、挿入部20のセンサSの信号を返信する。
これにより、制御部10は、搬送路C内にカード2が挿入されたかどうかを確認することが可能となる。
【0051】
(ステップS105)
次に、制御部10が、搬送路C内にカード2が挿入されたか否かを判定する。制御部10は、挿入部20のセンサSの信号が、挿入口Hにカード2が挿入されたものであった場合に、Yesと判定する。ここで、制御部10は、この時点で、既に搬送路C内にカード2が搬送されており、センサSの信号が検出されていなくても、既に検出されていた場合、Yesと判定してもよい。制御部10は、それ以外の場合、すなわちカード2が挿入されていない場合には、Noと判定する。
Yesの場合、制御部10は、処理をステップS112に進める。
Noの場合、制御部10は、処理をステップS106に進める。
【0052】
(ステップS106)
カード2が挿入されていない場合には、制御部10がカード挿入停止処理を行う。
制御部10は、カード2が装置内にない場合は、接触IC非接触ICリーダ1bに対して、カード2の挿入待ちをキャンセルする指示を行う。
本実施形態においては、制御部10は、搬送機構24のモータを駆動しないことで、カード2を搬送させないようにする。また、駆動ローラが回転しないことで、回転に抵抗を生じるようにする。これにより、カード2が搬送路C内に取り込まれないようにする。
この上で、制御部10は、シャッタ機構23により、シャッタを開位置から閉位置に移動させることで、シャッタ部材にて挿入口Hを封止する。これにより、ユーザに、カード2を挿入させないようにする。
【0053】
(ステップS107)
次に、制御部10が、非接触通信待ち移行処理を行う。
制御部10は、接触IC非接触ICリーダ1bに対して、非接触ICの検出待ちを指示する。これにより、制御部10は、カード2を含む非接触媒体との非接触通信の通信待ち状態に移行する。制御部10は、非接触通信の通信待ち状態に移行した後、非接触通信の検出を待機する。また、制御部10は、後述するように、IC接点ブロック22にてICチップ2bの情報の読み書きに失敗した場合も、非接触通信の検出を待機する。
【0054】
具体的には、本実施形態においては、制御部10は、非接触通信で非接触ICを検出したか問い合わせるコマンドを、接続部12を介して送信する。
これに対して、接触IC非接触ICリーダ1bは、非接触通信部21により非接触ICを検出し、非接触通信が開始されたか否かを返信する。
【0055】
(ステップS108)
次に、制御部10が、非接触媒体を検出したか否かを判定する。制御部10は、非接触通信により非接触媒体の非接触ICを検出した場合、Yesと判定する。制御部10は、それ以外の場合、すなわち非接触ICを検出していない場合、Noと判定する。
Yesの場合、制御部10は、処理をステップS110に進める。
Noの場合、制御部10は、処理をステップS109に進める。
【0056】
(ステップS109)
非接触ICを検出していない場合、制御部10が、所定時間経過したか否かを判定する。制御部10は、非接触通信の通信待ち状態に移行してから、数十秒~数分程度の所定時間、非接触媒体との通信が行われない場合に、Yesと判定する。制御部10は、まだ所定時間が経過していない場合は、Noと判定する。
Yesの場合、制御部10は、ステップS101に処理を戻して、カード挿入待ち状態に再度、移行し、上述の決済指示画面の表示を再度行う。なお、制御部10は、数回程度、この状態を繰り返した場合は、上位装置3との間でエラー処理を行って接触非接触情報取得処理を終了してもよい。
Noの場合、制御部10は、処理をステップS107に戻して非接触媒体との非接触通信待ちを続ける。
【0057】
(ステップS110)
非接触媒体を検出していた場合、制御部10が、非接触取得情報対応処理を行う。
この処理では、制御部10は、非接触通信検出後、非接触通信に対する処理を続行し、非接触ICに対応する支払い等の処理を行う。
具体的には、制御部10は、非接触通信を続け、非接触媒体から情報を取得する。そして、制御部10は、非接触媒体とEMVコンタクトレス決済方式の処理等の各種非接触通信の処理を行い、非接触ICから情報を取得し、記憶部11に格納する。そして、情報を取得完了した後、制御部10は、非接触通信を終了する。
【0058】
(ステップS111)
次に、制御部10が、低額決済処理を行う。
制御部10は、非接触媒体と非接触通信を行って情報が取得された場合における制限に応じた決済処理を行う。具体的には、制御部10は、例えば、非接触通信で設定された金額を上限とした決済を行う。このため、それ以上の決済であったら、上位装置3との間でエラー処理を行ってもよい。
その後、制御部10は、接触非接触情報取得処理を終了する。
【0059】
(ステップS112)
ここで、カード2が挿入された場合、制御部10が、接触IC読み取り処理を行う。
制御部10は、搬送路C内にカード2がある場合は、接触ICに対する支払い等の処理を続行する。
本実施形態においては、制御部10は、カード2が挿入されていれば、搬送機構24によりカード2をIC接点ブロック22の読み取り位置まで搬送する。そして、制御部10は、IC接点ブロック22を、カード2の接触ICであるICチップ2bと接触させる。これにより、制御部10は、IC接点ブロック22を介してICチップ2bとの間で、情報の読み書きの処理を開始する。
【0060】
(ステップS113)
次に、制御部10が接触IC情報を取得したか否かを判定する。
制御部10は、IC接点ブロック22にて、カード2のICチップ2bと情報の読み書きを行うことができた場合に、Yesと判定する。制御部10は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、制御部10は、処理をステップS114に進める。
Noの場合、制御部10は、処理をステップS107に戻して、非接触通信待ちに移行する処理を行う。
【0061】
(ステップS114)
接触IC情報を取得した場合、制御部10が、接触IC情報対応処理を行う。
制御部10は、接触ICに対するEMV規格の処理等を行う。制御部10は、例えば、接触IC内に格納されたアプリを選択して、この接触ICに実行させて通信し、決済用の情報を取得する。
【0062】
(ステップS115)
次に、制御部10が、決済金額増加処理を行う。
制御部10は、IC接点ブロック22により情報が取得された場合の方が制限を少なくする。具体的には、制御部10は、例えば、非接触通信で設定された金額より多い金額を上限とした決済に関する処理を行う。この場合、上限以上の決済であったら、上位装置3との間でエラー処理を行ってもよい。
以上により、本発明の実施の形態に係る接触非接触情報取得処理を終了する。
【0063】
〔本実施形態の主な効果〕
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来、接触IC用リーダと非接触ICリーダとは別々に用意され、それぞれが別々に制御されていた。このため、ユーザが接触ICカードを用いて、接触ICで決済処理したいときであっても、先に非接触ICリーダによる非接触通信で決済が行われてしまうことがあった。これにより、ユーザの意図しない決済結果となることがあった。
【0064】
これに対して、(1)本実施形態に係るカードリーダ1は、カード2が挿入される挿入口Hと、カード2を含む非接触媒体と非接触通信を行うアンテナAとを含む挿入部20と、挿入部20の挿入口Hから挿入されたカード2が搬送される搬送路Cと、搬送路Cを搬送されたカード2のICチップ2bに接触して情報の読み書きを行うIC接点ブロック22と、カード2の挿入待ち状態において、上位装置3から決済の指示があった際に、搬送路C内にカード2が挿入されていれば、IC接点ブロック22によりICチップ2bによる情報の読み書きの処理を開始し、搬送路C内にカード2が挿入されていなければ非接触媒体との非接触通信の通信待ち状態に移行する制御部10とを備えることを特徴とする。
【0065】
このように構成し、接触IC及び非接触ICの両方を含むカード2について、支払い処理の開始時のカード状態で、接触IC及び非接触媒体のどちらを使用するかを判断する。これにより、ユーザが接触ICで決済処理したい場合に、先に非接触媒体との非接触通信で決済が行われることを防止することができる。すなわち、カード2が挿入された場合には、ユーザは接触ICの処理を行うことを意図したと考えられるため、挿入されたカード2のICチップ2bによる処理を確実に優先できる。よって、ユーザの意図に沿った処理を行うことができ、ユーザの利便性を高めることができる。
【0066】
また、従来の接触ICリーダと非接触ICリーダとが一体となったICカードリーダにおいて、接触IC及び非接触ICを同時に制御する場合、非接触ICの検出後、一定時間カードの挿入を待つ必用があった。このため、非接触ICを使用したいユーザに対しては、処理が終了するまで本来必要ない待機時間が必要となっていた。
【0067】
これに対して、本実施形態に係るカードリーダ1は、カード2を挿入すれば、接触ICが使用され、挿入しなければ非接触通信で非接触ICを使用することができる。よって、非接触媒体の検知後に接触ICのためのカード2の挿入待ちを行わなくてよくなるため、余分な待ち時間を生じることがなくなる。すなわち、不必要な処理の遅延がなくなり、ユーザの利便性が高まる。
【0068】
加えて、ユーザが接触IC又は非接触ICの指定を別途しなくても、それぞれに対応した処理を実行することができる。さらに、ユーザが、接触ICの使用又は非接触ICの使用を指定する必要がなくなる。このため、ユーザがカード2による決済に戸惑うことがなくなり、ユーザフレンドリーになる。
さらに、接触ICカード及び非接触媒体を一台のカードリーダ1で扱うことができ、コストを削減できる。
【0069】
また、(2)本実施形態に係るカードリーダ1において、制御部10は、非接触通信の通信待ち状態において、所定時間、非接触媒体との通信が行われない場合、カード挿入待ち状態に再度、移行する(1)に記載の情報処理装置であることを特徴とする。
このように構成し、非接触通信の通信待ちで所定時間、非接触媒体がかざされない場合であっても、ユーザに再度、カード2を挿入させ、決済を行わせることができる。これにより、決済を最初からやり直して、ユーザの使い勝手を悪くすることを防止できる。
【0070】
また、(3)本実施形態に係るカードリーダ1において、制御部10は、カード2が挿入されていない状態で上位装置3から決済の指示があった場合、シャッタ機構23によりカード2を挿入させない、又はカード2を搬送する搬送機構24によりカード2を搬送させないことでカード2を取り込まない(1)又は(2)に記載の情報処理装置であることを特徴とする。
このように構成することで、シャッタを開けない、又はモータを駆動しないことでカード2を取り込まないようにして、ユーザに、非接触媒体で確実に決済させることができる。これにより、ユーザが勘違いによりカード2を挿入することを防止して、使い勝手をよくすることができる。
【0071】
また、(4)本実施形態に係るカードリーダ1において、制御部10は、アンテナAにて非接触媒体と非接触通信を行って情報が取得された場合より、IC接点ブロック22により情報が取得された場合の方が制限を少なくする(1)~(3)のいずれかに記載の情報処理装置であることを特徴とする。
このように構成することで、セキュリティ性が高いICチップ2bを優先し、ユーザの意図した処理を行うことができる。たとえば、挿入されたカード2のICチップ2bによる処理が、非接触通信での処理での上限金額よりも高く設定されている場合に、ユーザの意図した決済を行うことができる。すなわち、少額の決済の場合はカード2をかざすだけでよく、カード2を挿入することで、より高額の決済をすることができる。よって、ユーザの利便性を高めることができる。
【0072】
また、(5)本実施形態に係るカードリーダ1において、制御部10は、IC接点ブロック22にてICチップ2bの情報の読み書きに失敗した場合、非接触媒体と非接触通信を行う処理を実行する(1)~(4)のいずれかに記載の情報処理装置であることを特徴とする。
このように構成することで、接触ICの端子が汚れていた等の理由で通信による情報の読み書きに失敗した場合であっても、再度処理を指示せずに、非接触通信での非接触ICへの処理を行うことができる。このため、ユーザの利便性を高めることができる。
【0073】
〔他の実施の形態〕
なお、上述の実施形態では、リーダ制御デバイス1aの制御部10により、画面例500を上位装置3で表示させ、接触IC又は非接触媒体での決済の指示を行う例について記載した。
しかしながら、上位装置3の決済アプリ上で、画面例500のような画面を直接表示させて、その後にカードリーダ1の接触IC又は非接触媒体での決済の制御を行ってもよい。すなわち、上位装置3とカードリーダ1とを含むシステムを、本発明の他の実施形態に係る情報処理装置として機能させることも可能である。
【0074】
また、上述の実施形態では、リーダ制御デバイス1aにて決済の制限を変更する例について記載した。しかしながら、上位装置3にて、この決済の制限を変更し、決済金額等を変更してもよい。また、この変更について、上位装置3の表示部31に表示して、ユーザに注意を促すような構成も可能である。
このように構成することで、決済の種類や規格等に応じて、柔軟なシステム構成とすることができる。
【0075】
また、上述の実施形態においては、カード2が挿入されていた場合、接触ICによる情報の取得のみを行う例について記載した。
しかしながら、接触ICによる情報の取得を行った場合でも、非接触通信による情報の取得を行うような構成も可能である。すなわち、両方の情報が取得できた場合に、非接触通信で取得された情報を優先した処理を行うようにしてもよい。この場合、上位装置3からいずれを優先するかを選択することが可能であってもよい。
このように構成することで、柔軟な構成に対応可能となる。すなわち、ユーザが誤ってカード2を挿入した場合であっても、非接触通信で意図された非接触通信による処理を実行可能となる。たとえば、別の決済方式やポイントカード等の決済を行うことが可能となる。
【0076】
また、上述の実施形態では、非接触IC及び接触ICのいずれかから取得した情報に応じた処理を行う例について記載した。
しかしながら、これに加えて磁気カードの磁気情報についても、取得した情報に応じた処理を行ってもよい。これらも、ユーザに選択させるようにしてもよい。
このように構成することで、柔軟な構成に対応可能となる。
【0077】
上述の実施形態では、挿入部20のベゼルにかざすためのアンテナAを設けた例について記載したものの、搬送路C内に、非接触通信用のアンテナを設けることも可能である。この搬送路C内のアンテナは、アンテナAとは別途設けられていてもよい。
このように構成することで、カード2がアンテナAにかざされず、挿入口Hから挿入された場合であっても、安定して非接触通信を行って情報を取得できる。よって、もしIC接点ブロック22で接触ICとの情報の読み書きが失敗しても、非接触通信によるエラーを減らして情報を取得しやすくなる。結果として、より安定し、セキュリティ上の弱点も少なくした決済等が可能となる。
【0078】
上述の実施形態では、カード2が挿入されていない状態で上位装置3から決済の指示があった場合、搬送機構24のモータを駆動させないようにしてから、シャッタ機構23によりカード2を挿入させない例について記載した。
しかしながら、搬送機構24のモータを駆動させないことで、カード2を搬送させないようにだけすることも可能である。すなわち、本発明は、シャッタ機構23がないカードリーダ1にも適用可能である。
さらに、搬送機構24のモータをカード2の搬送方向と逆回転させて、カード2の挿入そのものを防ぐような構成も可能である。
【0079】
また、上述の実施形態においては、モータによる搬送式のカードリーダ1を用いる例について記載した。
しかしながら、ユーザがカード2の抜き差しを行うディップ式のカードリーダを用いることも可能である。
【0080】
また、上述の実施形態では、挿入部20にセンサSを設ける例について記載した。
しかしながら、搬送路C内にセンサSを設けたり、他のセンサが設けたりしてもよい。この場合、IC接点ブロック22の位置にカード2を搬送する際の位置を検出するセンサが設けられていてもよい。
さらに、IC接点ブロック22をカード2と接触させるために待機位置と接触位置との間で上下させるような機構が備えられるような構成も可能である。
このように構成することで、様々なカードリーダについて適用することが可能となる。
【0081】
加えて、上述の実施形態では、情報処理装置として、カードリーダを用いる例について説明した。
しかしながら、POS(Point Of Service)装置、券売装置、改札装置等、ゲート装置等、他の種類の装置においても、本実施形態の処理を実行可能である。
【0082】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0083】
1 カードリーダ
1a リーダ制御デバイス
1b 接触IC非接触ICリーダ
2 カード
2b ICチップ
3 上位装置
10 制御部
11 記憶部
12 接続部
20 挿入部
21 非接触通信部
22 IC接点ブロック
23 シャッタ機構
24 搬送機構
31 表示部
32 入力部
500 画面例
A アンテナ
B ボタン
C 搬送路
H 挿入口
S センサ
図1
図2
図3
図4