(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073770
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】コンクリートブロック及びその製造方法、並びに駐車場
(51)【国際特許分類】
E01C 5/06 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
E01C5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184658
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】518158651
【氏名又は名称】サンヨー宇部株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】濱邊 善朗
(72)【発明者】
【氏名】室元 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】仲渡 耕二
(72)【発明者】
【氏名】大西 利勝
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AA01
2D051AA05
2D051AC11
2D051AF02
2D051AF05
2D051AH02
2D051AH03
2D051DA02
2D051DC01
(57)【要約】
【課題】高い圧縮強度を有しつつ、ざらつき及びひび割れが十分に抑制された表面を有するコンクリートブロックを提供すること。
【解決手段】
コンクリートから製造されるコンクリートブロックであって、コンクリートは、水とセメントと高炉スラグ微粉末と電気炉スラグ細骨材とを含み、コンクリートの充填率が84~89%である、コンクリートブロックを提供する。コンクリートから製造されるコンクリートブロックであって、コンクリートは、水とセメントと高炉スラグ微粉末と電気炉スラグ細骨材と高炉スラグ細骨材を含み、電気炉スラグ細骨材と高炉スラグ細骨材の合計に対して、前記高炉スラグ細骨材の割合が20質量%以上であり、コンクリートの充填率が80~86%である、コンクリートブロックを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートから製造されるコンクリートブロックであって、
前記コンクリートは、水とセメントと高炉スラグ微粉末と電気炉スラグ細骨材とを含み、
前記コンクリートの充填率が84~89%である、コンクリートブロック。
【請求項2】
コンクリートから製造されるコンクリートブロックであって、
前記コンクリートは、水とセメントと高炉スラグ微粉末と電気炉スラグ細骨材と高炉スラグ細骨材とを含み、
前記電気炉スラグ細骨材と前記高炉スラグ細骨材の合計に対して、前記高炉スラグ細骨材の割合が20質量%以上であり、
前記コンクリートの充填率が80~86%である、コンクリートブロック。
【請求項3】
前記電気炉スラグ細骨材と前記高炉スラグ細骨材の合計に対して、前記高炉スラグ細骨材の割合が35質量%以上である、請求項2に記載のコンクリートブロック。
【請求項4】
圧縮強度が20.0N/mm2以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンクリートブロック。
【請求項5】
駐車場の緑化用であり、
前記駐車場の地中に埋設される本体部と、前記駐車場の地表に露出する複数の表面部と、を備え、
隣り合う前記複数の表面部の間に、植物が植えられる凹部が形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンクリートブロック。
【請求項6】
水、セメント、高炉スラグ微粉末、及び電気炉スラグ細骨材を含むコンクリートを調製し、前記コンクリートを型枠に入れて、加圧振動成形する成形工程と、
前記コンクリートの成形体を養生する養生工程と、を有し、
前記成形工程では、前記型枠における前記コンクリートの充填率を84~89%にする、コンクリートブロックの製造方法。
【請求項7】
水、セメント、高炉スラグ微粉末、電気炉スラグ細骨材、及び高炉スラグ細骨材を含み、前記電気炉スラグ細骨材及び前記高炉スラグ細骨材の合計に対する前記高炉スラグ細骨材の割合が20質量%以上であるコンクリートを調製し、前記コンクリートを型枠に入れて、加圧振動成形する成形工程と、
前記コンクリートの成形体を養生する養生工程を有し、
前記成形工程では、前記型枠における前記コンクリートの充填率を80~86%にする、コンクリートブロックの製造方法。
【請求項8】
前記成形工程は、前記コンクリートの一部を前記型枠に入れて加圧振動成形して前記型枠内に第1層を形成した後、前記型枠内の前記第1層の上に前記コンクリートの別の一部を入れて加圧振動成形して前記型枠内に第2層を形成することを含み、
前記養生工程では、前記第1層と前記第2層とを含む前記成形体を養生する、請求項6又は7に記載のコンクリートブロックの製造方法。
【請求項9】
複数のコンクリートブロックが水平方向に沿って並んで敷設される駐車場であって、
前記複数のコンクリートブロックが、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンクリートブロックである、駐車場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンクリートブロック及びその製造方法、並びに駐車場に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートアイランド現象の緩和や路面温度上昇の抑制のため、高保水性を有するコンクリートブロックが用いられている。特許文献1-3には、高保水性を有するコンクリートブロックが提案されている。さらに特許文献4には、ブロックの上面に溝を形成することで、ブロックの溝中で芝を養生して地面を緑化することができる舗装用ブロックが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-199805号公報
【特許文献2】特開2014-152073号公報
【特許文献3】特開2014-159680号公報
【特許文献4】特開2010-095924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンクリートブロックには、強度を確保するために細骨材が配合される。このようなコンクリートブロックを舗装用に用いる場合には、表面が平滑であることが求められる。ところが、コンクリートブロックは、細骨材の粗大粒子が浮き出て、ブロック表面が粗くなったり、表面にひび割れが生じたりする場合があることが分かった。そこで、本開示では、高い圧縮強度を有しつつ、ざらつき及びひび割れが十分に抑制された表面を有するコンクリートブロック及びその製造方法を提供する。また、このコンクリートブロックを用いた駐車場を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面は、コンクリートから製造されるコンクリートブロックであって、前記コンクリートは、水とセメントと高炉スラグ微粉末と電気炉スラグ細骨材とを含み、前記コンクリートの充填率が84~89%である、コンクリートブロックを提供する。
【0006】
上記コンクリートブロックは、高い圧縮強度を有しつつ、ざらつき及びひび割れが十分に抑制された表面を有する。このようなコンクリートブロックは、道路及び駐車場等の敷設用に好適である。
【0007】
本開示の一側面は、コンクリートから製造されるコンクリートブロックであって、前記コンクリートは、水とセメントと高炉スラグ微粉末と電気炉スラグ細骨材と高炉スラグ細骨材を含み、前記電気炉スラグ細骨材と前記高炉スラグ細骨材の合計に対して、前記高炉スラグ細骨材の割合が20質量%以上であり、前記コンクリートの充填率が80~86%である、コンクリートブロックを提供する。
【0008】
上記コンクリートブロックは、高い圧縮強度を有しつつ、ざらつき及びひび割れが十分に抑制された表面を有する。このようなコンクリートブロックは、道路及び駐車場等の敷設用に好適である。
【0009】
本開示の一側面は、水、セメント、高炉スラグ微粉末、及び電気炉スラグ細骨材を含むコンクリートを調製し、前記コンクリートを型枠に入れて、加圧振動成形する成形工程と、前記コンクリートの成形体を養生する養生工程と、を有し、前記成形工程では、前記型枠における前記コンクリートの充填率を84~89%にする、コンクリートブロックの製造方法を提供する。
【0010】
上記製造方法で得られるコンクリートブロックは、高い圧縮強度を有しつつ、ざらつき及びひび割れが十分に抑制された表面を有する。このようなコンクリートブロックは、道路及び駐車場等の敷設用に好適である。
【0011】
本開示の一側面は、水、セメント、高炉スラグ微粉末、電気炉スラグ細骨材、及び高炉スラグ細骨材を含み、前記電気炉スラグ細骨材と前記高炉スラグ細骨材との合計に対する前記高炉スラグ細骨材の割合が20質量%以上であるコンクリートを調製し、前記コンクリートを型枠に入れて、加圧振動成形する成形工程と、前記コンクリートの成形体を養生する養生工程を有し、前記成形工程では、前記型枠における前記コンクリートの充填率を80~86%にする、コンクリートブロックの製造方法を提供する。
【0012】
上記製造方法で得られるコンクリートブロックは、高い圧縮強度を有しつつ、ざらつき及びひび割れが十分に抑制された表面を有する。このようなコンクリートブロックは、道路及び駐車場等の敷設用に好適である。
【0013】
本開示の一側面は、複数のコンクリートブロックが水平方向に沿って並んで敷設される駐車場であって、前記複数のコンクリートブロックが、上述のコンクリートブロックである、駐車場を提供する。上記コンクリートブロックは、高い圧縮強度を有しつつ、ざらつき及びひび割れが十分に抑制された表面を有する。したがって、上記駐車場は、車両ユーザーの満足度が高く、且つ耐久性に優れる。
【発明の効果】
【0014】
高い圧縮強度を有しつつ、ざらつき及びひび割れが十分に抑制された表面を有するコンクリートブロック及びその製造方法を提供することができる。また、このコンクリートブロックを用いた駐車場を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】コンクリートブロック製造装置の概略図である。
【
図4】
図3のコンクリートブロック製造装置の加圧振動成形部の詳細を示す図である。
【
図5】(A)は細骨材として電気炉スラグ細骨材のみを用い、充填率を84.2%として調製したコンクリートブロックの外観写真である(実施例1-1)。(B)は(A)のコンクリートブロックを側面から見たときの外観写真である。
【
図6】細骨材として電気炉スラグ細骨材のみを用い、充填率を89.8%として調製したコンクリートブロックの外観写真である(比較例1-1)。
【
図7】細骨材として電気炉スラグ細骨材のみを用い、充填率を83.8%として調製したコンクリートブロックの外観写真である(比較例1-2)。
【
図8】(A)は細骨材を電気炉スラグ細骨材と高炉スラグ細骨材とし、電気炉スラグ細骨材と高炉スラグ細骨材の合計に対して、高炉スラグ細骨材を35質量%としたものを用い、充填率を84.1%として調製したコンクリートブロックの外観写真である(実施例3-1)。(B)は(A)のコンクリートブロックを側面から見たときの外観写真である。
【
図9】(A)は細骨材を電気炉スラグ細骨材と高炉スラグ細骨材とし、電気炉スラグ細骨材と高炉スラグ細骨材の合計に対して、高炉スラグ細骨材を35質量%としたものを用い、充填率を86.6%として調製したコンクリートブロックの外観写真である(比較例3-1)。(B)は(A)のコンクリートブロックを側面から見たときの外観写真である。(C)は(B)の囲んだ部分の拡大写真である。
【
図10】(A)はコンクリートの充填及び加圧振動成形を複数回に分けて行って得られたコンクリートブロックの外観写真(比較例4-1)である。(B)は(A)のコンクリートブロックを側面から見たときの外観写真である。
【
図11】充填及び加圧振動成形を1回のみで行った場合と複数回に分けて行った場合のコンクリートの充填率とコンクリートブロックの圧縮強度の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。本明細書に明示される数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されるいずれかの値に置き換えてもよい。また、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせてもよい。本明細書において例示する材料又は成分は特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、説明に使用される上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
【0017】
一実施形態に係るコンクリートブロックは、コンクリートから製造される。このコンクリートは、水、セメント、高炉スラグ微粉末、及び電気炉スラグ細骨材を含み、上記コンクリートの充填率が84~89%である。
【0018】
セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント、アルミナセメント、エコセメントを使用することができる。
【0019】
水/セメント比は、15~50%であってよく、20~45%であってよい。コンクリートの単位水量は、60~150kg/m3であってよく、80~130kg/m3であってもよい。
【0020】
結合材に対する水と空隙との合計量の比(((水+空隙)/結合材)×100=空隙率)は、好ましくは30~65%であり、より好ましくは40~60%である。結合材は、セメント及び高炉スラグ微粉末を含む。
【0021】
高炉スラグ微粉末はJIS A 6206「コンクリート用高炉スラグ微粉末」に規定されているものを使用することができる。高炉スラグ微粉末は、例えば、2.80~3.30g/cm3の密度を有する。比表面積は、好ましくは2750~10000cm2/gであり、より好ましくは、3500~5000cm2/gである。高炉スラグ微粉末としては、例えば、ケイメントを用いることができる。コンクリートにおける高炉スラグ微粉末の配合量は、セメント100質量部に対して、好ましくは30~50質量部であり、より好ましくは35~45質量部である。
【0022】
電気炉スラグ細骨材は、鉄鋼の製造工程における電気炉法によって、製造される細骨材である。細骨材の密度は、JIS A 1109:2020「細骨材の密度及び吸水率試験方法」に準じて測定することができる。電気炉スラグ細骨材の密度は、好ましくは2.7~3.0g/cm3であり、より好ましくは2.9~3.0g/cm3である。電気炉スラグ細骨材の密度がこの範囲であることで、コンクリートブロックの圧縮強度を十分に高くすることができる。
【0023】
細骨材の粗粒率は、JIS A 1102:2014「骨材のふるい分け試験方法」に準じて測定することができる。電気炉スラグ細骨材の粗粒率は、好ましくは2.5~3.5であり、より好ましくは3.0~3.5である。粗粒率がこの範囲であることで、コンクリートブロックの充填率を十分に高くすることができる。
【0024】
電気炉スラグ細骨材の吸水率は、JIS A 1109:2020「細骨材の密度及び吸水率試験方法」に準じて測定することができる。電気炉スラグ細骨材の吸水率は、好ましくは1%~10%であり、より好ましくは4%以上である。吸水率がこの範囲であることで、コンクリートブロックの保水量を向上させることが可能である。
【0025】
コンクリートに含まれる細骨材全体に対する電気炉スラグ細骨材の比率は80質量%以上、90質量%以上又は95質量%以上であってもよい。コンクリートは、細骨材として、電気炉スラグ細骨材のみを含んでもよい。コンクリートにおける電気炉スラグ細骨材の配合量は、セメント100質量部に対して、好ましくは200~1000質量部であり、より好ましくは、350~750質量部であってよい。
【0026】
コンクリートの充填率は84~89%である。充填率が84%より小さくなると、コンクリートブロックとして十分な圧縮強度が得られない。一方、充填率が89%より大きくなると、ブロック表面に細骨材の粗大粒子が浮き出て、表面の性状が悪くなる。コンクリートの充填率は、好ましくは84~87%であり、より好ましくは84~85%である。
【0027】
別の実施形態に係るコンクリートブロックは、水、セメント、高炉スラグ微粉末、電気炉スラグ細骨材及び高炉スラグ細骨材を含むコンクリートから製造される。すなわち、このコンクリートは、電気炉スラグ細骨材と高炉スラグ細骨材の両方を含み、上記コンクリートの充填率が80~86%である。高炉スラグ細骨材以外の成分は、上記実施形態で説明したものを用いることができる。水、セメント、高炉スラグ微粉末の配合量も上記実施形態と同様であってよい。高炉スラグ細骨材は、鉄鋼の製造工程における高炉法によって、製造されるスラグである。
【0028】
高炉水砕スラグには、スラグ温度、冷却水量、水圧をコントロールすることにより、軽質で軽いもの(軟質高炉スラグ)と硬質で重いもの(硬質高炉スラグ)がある。高炉スラグ細骨材は、軟質高炉スラグを粗粉砕して得られる軟質高炉スラグ細骨材であってもよく、硬質高炉スラグを粗粉砕して得られる硬質高炉スラグであってもよい。また、軟質高炉スラグと硬質高炉スラグを組み合わせて使用してもよい。
【0029】
高炉スラグ細骨材は、2.60g/cm3以上の絶乾密度を有する。高炉スラグ細骨材の密度は、好ましくは2.65g/cm3以上であってよく、好ましくは2.70g/cm3以上であってもよい。このような高炉スラグ細骨材は、硬質高炉スラグ細骨材に該当し、軟質高炉スラグ細骨材に比べて入手が容易であるうえに、粒度が細かく安定していることからブロックの表面性状を改善できる。高炉スラグ細骨材の密度は、3.30g/cm3以下であってよい。
【0030】
コンクリートにおける高炉スラグ細骨材と電気炉スラグ細骨材の合計の配合量は、セメント100質量部に対して、好ましくは200~1000質量部であり、より好ましくは、350~750質量部であってよい。コンクリートに含まれる細骨材全体に対する高炉スラグ細骨材と電気炉スラグ細骨材の合計比率は80質量%以上、90質量%以上又は95質量%以上であってよい。コンクリートは、細骨材として、高炉スラグ細骨材及び電気炉スラグ細骨材のみを含んでもよく、さらに再生細骨材を含んでいてもよい。
【0031】
細骨材として、電炉スラグ細骨材と高炉スラグ細骨材の両方を含む場合、コンクリートの充填率は、80~86%である。充填率が80%より小さくなると、コンクリートブロックとして十分な圧縮強度が得られない。一方、充填率が86%より大きくなると、ブロックの表面にひび割れが生じる。充填率は好ましくは、82~86%であり、より好ましくは84~86%である。
【0032】
電気炉スラグ細骨材と高炉スラグ細骨材の合計量に対して、高炉スラグ細骨材の割合は20質量%以上である。これによって、コンクリートブロックの圧縮強度を向上させることができる。当該割合は、コンクリートブロックの圧縮強度をさらに向上する観点から、好ましくは25質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは35質量%以上である。当該割合は、コンクリートの流動性を維持する観点から、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である。
【0033】
高炉スラグ細骨材の粗粒率は、2.0~3.5であり、より好ましくは、2.5~3.0である。高炉スラグ細骨材の粗粒率がこの範囲であることによって、高炉スラグ細骨材の粒子は、電気炉スラグ細骨材よりも細かい粒子となるため、成形時に細骨材のコンクリートブロック表面への浮き上がりを抑制することができる。
【0034】
上記コンクリートを成形したコンクリートブロックの圧縮強度は、JIS A5406:2017「建築用コンクリートブロック」の9.1「圧縮強さ試験」に準じて測定することができる。圧縮強度は、好ましくは20N/mm2以上であり、より好ましくは32N/mm2以上である。圧縮強度がこの範囲であることによって、舗装用コンクリートブロックとして十分な強度が得られる。また、コンクリートブロックのひび割れ抑制の観点から、圧縮強度は好ましくは60N/mm2以下であり、より好ましくは55N/mm2以下である。
【0035】
上記各実施形態のコンクリートは、上述の成分以外の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、例えば、フライアッシュ、シリカフューム、石灰石微粉末、化学混和剤等が挙げられる。
【0036】
化学混和剤としては、AE剤、高性能減水剤(分散剤)を使用することができる。AE剤としては、カチオン性、アニオン性、両性、ノニオン性の界面活性剤が挙げられる。高性能減水剤としては、ナフタレンスルホン酸系、メラミンスルホン酸系、ポリカルボン酸系、ポリエーテル系の化合物が挙げられる。
【0037】
上記各実施形態のコンクリートブロックは、高い圧縮強度を有するとともに保水性にも優れることから、緑化用ブロックとして好適に用いられる。例えば、駐車場等の舗装用に用いられてよい。このようなコンクリートブロックは、例えば、地中に埋設される本体部と、地表に露出する複数の表面部と、を備えてよい。
【0038】
図1は、コンクリートブロックの一例を示す平面図であり、
図2は当該コンクリートブロックの側面図である。
図1及び
図2に示すコンクリートブロック100は、駐車場の地中に埋設される本体部10と、駐車場の地表に露出する複数の表面部20と、を備える。コンクリートブロック100の厚さTは、90~130mmであってよく、100~120mmであってよい。このようなコンクリートブロック100は、保水性に優れるとともに、舗装に用いられたときに耐久性に優れる。
【0039】
隣り合う複数の表面部20の間に、植物が植えられる凹部30が形成されている。平面視で、凹部30は、コンクリートブロック100の表面部20を区画し縦方向に延びる第1溝部31と、第1溝部31の中央部から左方向及び右方向にそれぞれ延びる第2溝部32A及び第3溝部32Bを含む。第2溝部32Aと第3溝部32Bの内側端は、それぞれ第1溝部31の中央部に接続している。第1溝部31は第2溝部32A及び第3溝部32Bよりも深い。第1溝部31の深さは36~40mmであってよい。第2溝部32A及び第3溝部32Bの深さは25~35mmであってよい。第1溝部31、第2溝部32A及び第3溝部32Bの幅は40~80mmであってよい。第1溝部31、第2溝部32A及び第3溝部32Bには、例えば土砂(土壌)を入れて芝生を養生することができる。
【0040】
第1溝部31の両端は、それぞれ、コンクリートブロック100の厚さ方向に延びる第4の溝部34及び第5の溝部35に繋がっている。第2溝部32A及び第3溝部32Bの外側端は、それぞれ、第6の溝部36及び第7の溝部37に繋がっている。
図1に示すような平面図において、コンクリートブロック100の中央を縦断する仮想直線L1で折って左半分と右半分とを重ねると、第6の溝部36及び第7の溝部37の輪郭は一致する。コンクリートブロック100の中央を横断する仮想直線L2で折って上半分と下半分とを重ねると、第4の溝部34及び第5の溝部35の輪郭は一致する。
【0041】
複数のコンクリートブロック100を、
図1の紙面に沿って左右方向に並べると、隣り合うコンクリートブロック100の第6の溝部36と第7の溝部37とが向かい合って、左右均等な形状を有する孔が形成される。また、複数のコンクリートブロック100を、
図1の紙面に沿って上下方向に並べると、隣り合うコンクリートブロック100の第4の溝部34と第5の溝部35とが向かい合って、左右均等な形状を有する孔が形成される。このように、複数のコンクリートブロック100を水平方向に沿って並べることによって、美観に優れる緑化区画を形成することができる。
【0042】
コンクリートブロック100の側壁のうち、溝部34,35,36,37以外の側壁部分は、隣り合う側壁部分と噛み合う凹凸構造を有する。第4の溝部34で隔てられる側壁部分41,43と、第5の溝部35で隔てられる側壁部分42,44とは、互いに相補的な凹凸構造を有する。このため、仮想直線L1方向に沿って複数のコンクリートブロック100を並べると、側壁部分41と側壁部分42の凹凸構造が噛み合うように隣接し、側壁部分43と側壁部分44の凹凸構造が噛み合うように隣接して配置される。また、仮想直線L2方向に沿って複数のコンクリートブロック100を並べると、側壁部分45と側壁部分46の凹凸構造が噛み合うように隣接し、側壁部分47と側壁部分48の凹凸構造が噛み合うように隣接して配置される。このように、隣り合う側壁部分が互いに相補的な形状を有する凹凸構造を有するため、コンクリートブロック100のそれぞれの位置をずれにくくすることができる。したがって、トラック等の大きな重量を有する車両を駐車しても、コンクリートブロック100の位置を安定的に維持することができる。
【0043】
仮想直線L1に沿って測定されるコンクリートブロック100の最大長さは200~250mmであってよく、210~240mmであってもよい。仮想直線L2に沿って測定されるコンクリートブロック100の最大長さは200~250mmであってよく、210~240mmであってもよい。仮想直線L1及び仮想直線L2に沿って測定されるコンクリートブロック100の最大長さは同じであってよい。
【0044】
このような形状を有するコンクリートブロック100は、人力で円滑に敷設することができる。したがって、駐車場用のコンクリートブロック100として駐車場等の広い範囲に敷設することによって広範囲を緑化することができる。
【0045】
一実施形態に係る駐車場は、複数のコンクリートブロック100を、仮想直線L1,L2方向に沿って並べて敷設して構成される。このとき、仮想直線L1,L2方向は、水平方向と平行である。複数のコンクリートブロック100の本体部10は、駐車場の地中に埋設され、表面部20は駐車場の地表に露出する。表面部20のざらつき及びひび割れが十分に抑制されているため、車両が表面部20に乗り上げても、車両の乗り心地を良好に維持することができる。したがって、車両ユーザーの満足度を高くすることができる。また、コンクリートブロック100は表面部20を有するとともに高い圧縮強度を有する。このため、大型車両が駐車しても破損し難く、耐久性に優れる。
【0046】
一実施形態に係るコンクリートブロックの製造方法は、水とセメントと高炉スラグ微粉末と電気炉スラグ細骨材とを混合してコンクリートを調製し、上記コンクリートを型枠に入れて加圧振動成形する成形工程と、上記コンクリートの成形体を養生する養生工程を有し、上記成形工程では、型枠におけるコンクリートの充填率を84~89%にする。コンクリートの原料は、上記実施形態で説明したものを用いることができる。上記原料の配合量も上記実施形態と同様であってよい。この製造方法は、例えば
図3に示すコンクリートブロックの製造装置200を用いて行うことができる。
図4は、製造装置200に含まれる加圧振動成形部203の詳細を示している。
【0047】
コンクリートブロックの製造装置200は、第1コンクリート調製部201、第2コンクリート調製部202、加圧振動成形部203、及び養生部204を備える。上記成形工程は、第1コンクリート調製部201及び加圧振動成形部203で行うことができる。例えば、サイロ50からセメントを、サイロ51,52から、高炉スラグ微粉末,電気炉スラグ細骨材を、タンク54から水を、それぞれ第1ミキサー55に導入する。それぞれの導入量を、計量槽58A,58Bで計測して各原料の配合比を調整してもよい。第1ミキサー55でこれらの原料を練り混ぜてコンクリートを調製する。調製したコンクリートはホッパー56を通過してベルトコンベア57上に供給される。
【0048】
ベルトコンベア57によって搬送されたコンクリートは、
図4に示すように、ベルトコンベア57の下流にある給材箱58に導入される。給材箱58が型枠60の一部である雌型61の上に移動し、給材箱58内のコンクリート91を雌型61に供給する。その後、油圧プレス64によって型枠60の他部である雄型62が降下して、コンクリート91が雌型61と雄型62で形成される成形空間内において成形される。図示しない振動装置によって型枠60を振動させることによって振動締固めを行う。その後、油圧プレス64によって雄型62を雌型61に対して押圧して、型枠60内のコンクリート91の加圧を行う。このように振動締固めと加圧(プレス)を組み合わせて行うことを加圧振動プレスという。このとき、最終的な成形空間のサイズ(型枠60の内容積)を調節することによってコンクリート91の充填率を調整することができる。
【0049】
コンクリートの充填率を調整する観点から、雌型61へのコンクリートの給材時間は、2.5~10秒間であってよく、好ましくは3.0~7.0秒間であってよく、より好ましくは3.5~6.0秒間であってよい。給材時間が長いほど、コンクリートの充填率は増加する傾向がある。
【0050】
コンクリートの充填率を調整する観点から、型枠60の振動時間は、2.0~9.0秒間であってよく、好ましくは2.5~7.0秒間であってよく、より好ましくは3.0~5.0秒間であってよい。充填率を高くするために、コンクリートの給材時間を長くするほど、振動時間も長くする必要がある。
【0051】
このようにして加圧振動成形部203においてコンクリート91の成形体(コンクリート)が得られる。得られた成形体は、養生部204における養生室70内で30~50℃で養生される。これによって、コンクリートブロック100が得られる。
【0052】
型枠60に導入したコンクリート91の容積(m3)を型枠60の容積(m3)で除することで、コンクリート91の充填率を算出することができる。本実施形態において、コンクリートの充填率は84~89%である。充填率が84%より小さくなると、コンクリートブロック100として十分な圧縮強度が得られない。一方、充填率が89%よりも大きくなると、ブロック表面に細骨材の粗大粒子が浮き出て、表面がざらつく。成形体におけるコンクリートの充填率は、好ましくは84~87%であり、より好ましくは84~85%である。成形体におけるコンクリートの充填率をこのような範囲にすることによって、高い圧縮強度を有しつつ、ざらつき及びひび割れが十分に低減された良好な外観を有するコンクリートブロック100を製造することができる。
【0053】
別の実施形態に係るコンクリートブロックの製造方法は、水とセメントと高炉スラグ微粉末と電気炉スラグ細骨材と高炉スラグ細骨材を含み、上記電気炉スラグ細骨材と上記高炉スラグ細骨材の合計に対する上記高炉スラグ細骨材の割合が20質量%以上であるコンクリートを調製し、前記コンクリートを型枠に入れて、加圧振動成形する成形工程と、上記コンクリートの成形体を養生する養生工程を有し、上記成形工程では、型枠におけるコンクリートの充填率を80~86%にする。コンクリートの原料は、上記実施形態で説明したものを用いることができる。上記原料の配合量も上記実施形態と同様である。成形工程及び養生工程については、細骨材に高炉スラグ細骨材を加えたこと以外は、上記実施形態と同様の手順で行うことができる。
【0054】
この製造方法も、例えば
図3に示すコンクリートブロックの製造装置200を用いて行うことができる。すなわち、サイロ50からセメントを、サイロ51,52,53から、高炉スラグ微粉末,電気炉スラグ細骨材,高炉スラグ細骨材を、タンク54から水を、それぞれ第1ミキサー55に導入すればよい。これ以降は、製造装置200を上述した手順で使用してコンクリートブロックを製造すればよい。ただし、コンクリートの充填率は80~86%とする。コンクリートの充填率が80%より小さくなると、コンクリートブロックとして十分な圧縮強度が得られない。一方、充填率が86%よりも大きくなると、ブロック表面にひび割れが生じる。コンクリートの充填率は好ましくは、82~86%であり、より好ましくは84~86%である。
【0055】
さらに別の実施形態に係るコンクリートブロックの製造方法は、上記成形工程において、上記コンクリートの一部を上記型枠に入れて加圧振動成形して上記型枠内に第1層(基層)を形成した後、上記型枠内の上記基層の上に上記コンクリートの別の一部を入れて加圧振動成形して第2層(表層)を形成する。必要に応じて、第3層以降を順次形成して2以上の層を含む成形体を形成してもよい。このように、本実施形態の製造方法は、上記型枠内に複数の層を形成する工程を有する。この製造方法も、例えば
図3に示すコンクリートブロックの製造装置200を用いて行うことができる。
【0056】
製造装置200を用いる場合、既に説明した手順によって、第1コンクリート調製部201で調製したコンクリートを第1コンクリート91として雌型61に供給し、型枠60を振動させることによって振動締固めを行う。その後、油圧プレス64によって雄型62を雌型61に対して押圧して、型枠60内のコンクリートの加圧を行う。これによって、雌型61に第1層(基層)形成する。このように第1コンクリート91の成形体を基層ということもある。圧縮強度向上の観点から、基層が占める容積はコンクリートブロック全体の50~95%であってよく、70~95%であってもよい。その後、雄型62を雌型61から離れるように上昇させておく。
【0057】
上記操作と並行又は前後して、第2コンクリート調製部202で第2コンクリートを調製する。例えば、サイロ80からセメントを、サイロ81,82,83から、高炉スラグ微粉末,電気炉スラグ細骨材,高炉スラグ細骨材を、タンク84から水を、それぞれ第2ミキサー85に導入すればよい。導入量を計量槽88A,88Bで計測して各原料の配合比を調整してもよい。第2ミキサー85でこれらの原料を練り混ぜて第2コンクリートを調製する。調製した第2コンクリートはホッパー86を通過してベルトコンベア87上に供給される。
【0058】
図4に示すように、ベルトコンベア87によって搬送された第2コンクリート92は、ベルトコンベア87の下流にある給材箱88に導入される。給材箱88が型枠60の一部である雌型61の上に移動し、給材箱88内の第2コンクリート92を雌型61内の第1層の上に供給する。その後、油圧プレス64によって型枠60の他部である雄型62が降下して、第1層及び第2コンクリート92が雌型61と雄型62で形成される成形空間内において成形される。図示しない振動装置によって型枠60を振動させることによって振動締固めを行う。その後、油圧プレス64によって雄型62を雌型61に対して押圧して、型枠60内の第1層及び第2コンクリート92の加圧を行う。このとき、最終的な成形空間のサイズを調節することによってコンクリート全体(第1コンクリート91+第2コンクリート92)の充填率を調整することができる。すなわち、充填率は型枠60に導入される第1コンクリート91と第2コンクリート92の合計の容積(m
3)を型枠の内容積(m
3)で除することで算出することができる。このようにして、2層構造のコンクリートの成形体を得ることができる。このようにして得られた成形体を養生部204における養生室70で30~50℃で養生すれば、十分に高い圧縮強度を有しつつ、ざらつき及びひび割れが十分に抑制された表面を有するコンクリートブロックを得ることができる。
【0059】
上記コンクリートブロックは、第2コンクリートまでに限らず、型枠60の容積を超えない範囲で、第3コンクリート、第4コンクリート・・・第nコンクリートの供給及び加圧振動成形を繰り返し行って、n個の層を有する成形体を得てもよい。これにより、基層~第n-1層が繰り返し加圧振動成形されることとなり、圧縮強度を一層高くすることができる。最上面の層を表層としたとき、表層の厚みは5~15mmであることが好ましい。第1コンクリート~第nコンクリートの組成は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0060】
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本開示は、以下の内容を含む。
[1]コンクリートから製造されるコンクリートブロックであって、前記コンクリートは、水とセメントと高炉スラグ微粉末と電気炉スラグ細骨材とを含み、前記コンクリートの充填率が84~89%である、コンクリートブロック。
[2]コンクリートから製造されるコンクリートブロックであって、前記コンクリートは、水とセメントと高炉スラグ微粉末と電気炉スラグ細骨材と高炉スラグ細骨材とを含み、前記電気炉スラグ細骨材と前記高炉スラグ細骨材の合計に対して、前記高炉スラグ細骨材の割合が20質量%以上であり、前記コンクリートの充填率が80~86%である、コンクリートブロック。
[3]前記電気炉スラグ細骨材と前記高炉スラグ細骨材の合計に対して、前記高炉スラグ細骨材の割合が35質量%以上である、[2]に記載のコンクリートブロック。
[4]圧縮強度が20.0N/mm2以上である、[1]~[3]のいずれか一つに記載のコンクリートブロック。
[5]駐車場の緑化用であり、前記駐車場の地中に埋設される本体部と、前記駐車場の地表に露出する複数の表面部と、を備え、隣り合う前記複数の表面部の間に、植物が植えられる凹部が形成されている、[1]~[4]のいずれか一つに記載のコンクリートブロック。
[6]水、セメント、高炉スラグ微粉末、及び電気炉スラグ細骨材を含むコンクリートを調製し、前記コンクリートを型枠に入れて、加圧振動成形する成形工程と、前記コンクリートの成形体を養生する養生工程と、を有し、前記成形工程では、前記型枠における前記コンクリートの充填率を84~89%とする、コンクリートブロックの製造方法。
[7]水、セメント、高炉スラグ微粉末、電気炉スラグ細骨材、及び高炉スラグ細骨材を含み、前記電気炉スラグ細骨材及び前記高炉スラグ細骨材の合計に対する前記高炉スラグ細骨材の割合が20質量%以上であるコンクリートを調製し、前記コンクリートを型枠に入れて、加圧振動成形する成形工程と、前記コンクリートの成形体を養生する養生工程を有し、前記成形工程では、前記型枠における前記コンクリートの充填率を80~86%とする、コンクリートブロックの製造方法。
[8]前記成形工程は、前記コンクリートの一部を前記型枠に入れて加圧振動成形して前記型枠内に第1層を形成した後、前記型枠内の前記第1層の上に前記コンクリートの別の一部を入れて加圧振動成形して前記型枠内に第2層を形成することを含み、
前記養生工程では、前記第1層と前記第2層とを含む前記成形体を養生する、[6]又は[7]に記載のコンクリートブロックの製造方法。
[9]複数のコンクリートブロックが水平方向に沿って並んで敷設される駐車場であって、
前記複数のコンクリートブロックが上記[1]~[4]のいずれか一つに記載のコンクリートブロックである、駐車場。
【実施例0061】
以下、実施例及び比較例を挙げて本開示の内容をより具体的に説明する。なお、本開示は下記実施例に限定されるものではない。
【0062】
使用した材料を以下に示す。特別な記載がない限り、以下の材料は各実施例共通で使用した。
(1)セメント
・普通ポルトランドセメント(密度3.16g/cm3)
(2)高炉スラグ微粉末
・商品名:ケイメント(密度2.89g/cm3)、神鋼スラグ製品株式会社製
(3)水
・上水道水
(4)混和剤
・ポリカルボン酸系分散剤、GCPケミカルズ株式会社製、商品名:MSP-20
【0063】
細骨材は、以下の2種類を単体で、又は組み合わせて用いた。
・電気炉スラグ細骨材(密度2.91g/cm3、粗粒率3.41)
・硬質高炉スラグ細骨材(密度2.76g/cm3、粗粒率2.59)
【0064】
(実施例1-1)
コンクリートの原料として上記表1の配合No.1を用い、
図3及び
図4に示すような製造装置を用いて以下の手順でコンクリートブロックを製造し、各評価を行った。
【0065】
[コンクリートの配合]
上述の水、セメント、高炉スラグ微粉末、電気炉スラグ細骨材、及び硬質高炉スラグ細骨材を、表1に示す単位量となるように配合して、コンクリートを調製した。具体的には、パドルミキサ内に、電気炉スラグ細骨材及びセメントを投入して30秒間空練りした後、水及び高炉スラグ微粉末を加えて練り混ぜてコンクリートを調製した。表1の単位量は、充填率を100%とした場合の単位量である。つまり、コンクリート中に空隙がないものと仮定した場合の単位量を示している。コンクリートの空隙率は、表1の単位量を用いて、((水+空隙)/(セメント+高炉スラグ微粉末)×100)の計算式により算出した。コンクリートの空隙率は表1に示すとおりであった。
【0066】
【0067】
[供試体の作製]
上述の手順で調製したコンクリートの供試体(成形体)を作製した。加圧振動成形機にはILB成形機(株式会社タイガーマシン製作所製、型式名:PS60型成型機)のものを用いた。供試体の形状は、
図1及び
図2に示すとおりであった(L1=L2=224.3mm)。型枠内にコンクリートを導入して、上面を平坦に均した後、加圧振動成形した。コンクリートの給材時間を2~10秒間、型枠の振動時間を2~10秒間、プレス時間を0.5~1.0秒間とした。充填率は表2に示すとおりとした。コンクリートの充填率は、「型枠に導入したコンクリートの容積(m
3)/型枠の内容積(m
3)」で算定した。
【0068】
供試体を養生箱に入れて、35℃で20時間の養生を行った後、大気中で二次養生した。このようにして、
図1に示す形状を有するコンクリートブロックを作製した。
【0069】
[外観評価]
調製したコンクリートブロックの表面の状態を目視で観察し、ひび割れ及びざらつきの有無を評価した。表面にひび割れ及びざらつきがないものを「A」、表面にひび割れがあるものを「B」、表面に粗大な粒子が浮き出て、ざらつきがあるものを「C」とした。なお、表面にひび割れとざらつきの両方があるものは「B」とした。結果は表2に示すとおりであった。
【0070】
[圧縮強度試験]
調製したコンクリートブロックに対して圧縮強度試験を行った。圧縮強度試験はJIS A5406:2017「建築用コンクリートブロック」の9.1「圧縮強さ試験」に準拠して行った。圧縮強度は、コンクリートブロックを、
図1の左半分と右半分の2箇所で測定し、これらの測定値の平均値を求めた。結果は表2に示すとおりであった。
【0071】
(実施例1-2、比較例1-1~1-5)
コンクリートの充填率(型枠に導入したコンクリートの容積(m3)/型枠の内容積(m3))が表2に示す値になるように型枠の内容積を調整したこと以外は、実施例1-1と同様にして、コンクリートブロックを作製し、評価を行った。各評価結果は表2に示すとおりであった。
【0072】
【0073】
図5は実施例1-1のコンクリートブロック、
図6は比較例1-1のコンクリートブロック、
図7は比較例1-2のコンクリートブロックの外観写真である。表2の結果から、コンクリートブロックの細骨材として、電気炉スラグ細骨材を使用した場合、充填率の上昇とともに、圧縮強度も向上する傾向があることが確認された。一方、充填率が89.8%の比較例1-1は、圧縮強度は高いものの、実施例1-1及び比較例1-2よりも表面が粗く、表面にざらつきが生じることが確認された(
図5、
図6及び
図7参照)。したがって、コンクリートの充填率に上限を設けることで、表面性状を改善することができる。
【0074】
(実施例2-1)
細骨材として電気炉スラグ細骨材と硬質高炉スラグ細骨材を使用した場合のコンクリートブロックの性状を評価した。電気炉スラグ細骨材と硬質高炉スラグ細骨材の合計に対して、硬質高炉スラグ細骨材を20質量%としたものを細骨材として使用した。すなわち、コンクリートの原料として表1の配合No.2を用いたこと以外は、実施例1-1と同様の製造方法によって、コンクリートブロックを作製し、各評価を行った。結果は表3に示すとおりであった。
【0075】
(実施例2-2~2-8、比較例2-1~2-2)
コンクリートの充填率(型枠に導入したコンクリートの容積(m3)/型枠の内容積(m3))が表3に示す値になるように型枠の内容積を調整したこと以外は、実施例2-1と同様にして、コンクリートブロックを作製し、評価を行った。各評価結果は表3に示すとおりであった。
【0076】
【0077】
表2と表3の対比から、硬質高炉スラグ細骨材と電気炉スラグ細骨材とを組み合わせることで、細骨材が電気炉スラグ単独の場合よりも圧縮強度が向上することが確認された。したがって、細骨材として、電気炉スラグ細骨材と硬質高炉スラグ細骨材とを組み合わせることで、充填率がある程度低くても、高い圧縮強度を有するコンクリートブロックを得ることができた。また、表3では外観はいずれも問題なく、表面にひび割れ、及びざらつきは見られなかった。
【0078】
(実施例3-1)
電気炉スラグ細骨材と硬質高炉スラグ細骨材の合計に対して、硬質高炉スラグ細骨材を35質量%としたものを細骨材として使用した。すなわち、コンクリートの原料として、表1の配合No.3を用いたこと以外は、実施例2-1と同様の製造方法によってコンクリートブロックを作製し、各評価を行った。結果は表4に示すとおりであった。
【0079】
(実施例3-2、比較例3-1~3-4)
コンクリートの充填率(型枠に導入したコンクリートの容積(m3)/型枠の内容積(m3))が表4に示す値になるように型枠の内容積を調整したこと以外は、実施例3-1と同様にして、コンクリートブロックを作製し、評価を行った。各評価結果は表4に示すとおりであった。
【0080】
(実施例3-3~3-5)
コンクリートの原料として表1の配合No.4を用いたこと、及び、コンクリートの充填率(型枠に導入したコンクリートの容積(m3)/型枠の内容積(m3))が表4に示す値になるように型枠の内容積を調整したこと以外は、実施例3-1と同様にして、コンクリートブロックを作製し、評価を行った。各評価結果は表4に示すとおりであった。
【0081】
【0082】
表3と表4の対比から、細骨材中の硬質高炉スラグ細骨材の割合を増やすことによって、充填率80%以上の場合の圧縮強度が向上することが確認された。また、セメントの量を増やした配合No.4でも充填率80%以上で十分に高い圧縮強度を有することが確認された。
【0083】
図8は実施例3-1のコンクリートブロック、
図9は比較例3-1のコンクリートブロックの外観写真である。充填率が84.1%の実施例3-1のコンクリートブロックでは、表面にひび割れやざらつきはみられなかった。一方、充填率が86.6%の比較例3-1では、圧縮強度は高く、表面のざらつきはみられなかったものの、
図9(C)で示した部分にひび割れが生じていた。したがって、硬質高炉スラグ細骨材を用いることで、圧縮強度は向上するものの、充填率の向上に伴って、ひび割れが生じやすくなる傾向にあることが分かった。以上のことから、硬質高炉スラグ細骨材は、電気炉スラグ細骨材に比べて、充填率を高くしても表面のざらつきは生じ難い傾向にあると考えられる。ただし、硬質高炉スラグ細骨材は、電気炉スラグ細骨材よりも硬い素材であるため、充填率を上げ過ぎるとひび割れが生じやすくなると推測される。
【0084】
(実施例4-1~4-5,比較例4-1)
成形装置の型枠に組成が同一のコンクリートを2回に分けて導入し、コンクリートの導入毎に加圧振動成形をして2層構造のコンクリートブロックを作製した。コンクリートの原料としては上記表1の配合No.3を用いた。これらを実施例1-1と同様にしてそれぞれ練り混ぜて、コンクリートを調製した。実施例1-1と同じ成形装置を用い、コンクリートの一部を型枠に導入して上面を均し、加圧振動成形を行って第1層を形成した。その後、型枠内の第1層の上にコンクリートの残部を導入して上面を均し、加圧振動成形を行って第2層を形成した。各加圧振動条件は実施例1-1と同じとした。コンクリートの充填率(型枠に導入したコンクリートの合計容積(m3)/型枠の内容積(m3))は表5に示すとおりとした。第1層及び第2層を形成するために用いたコンクリートの合計に対する、第1層を形成するために用いたコンクリートの容積比は、91%であった。
【0085】
このようにして得られた供試体を用いて、実施例1-1と同様に養生を行ってコンクリートブロックを作製し、各評価を行った。結果は表5に示すとおりであった。
【0086】
【0087】
表4の実施例3-1~3-5の圧縮強度の平均値は30.2N/mm
2であった。これに対し、表5の実施例4-1~4-5の圧縮強度の平均値は31.3N/mm
2であった。これらの結果から、コンクリートの充填及び加圧振動成形を複数回に分けて行うことによって、圧縮強度を向上できることが確認された。一方で、
図10(A)及び
図10(B)に示すように、充填率87.0%の比較例4―1は表面にひび割れが生じていた。
【0088】
図11には、コンクリートの充填率とコンクリートブロックの圧縮強度の関係を示す。
図11中、黒丸のプロットは、充填及び加圧振動成形を1回のみで製造したデータ、及び、基層2層打ちで製造したデータであり、黒三角のプロットは、充填及び加圧振動成形を2回に分けて製造したデータである。実施例4-1~4-5のように、充填及び加圧振動成形を複数回に分けて行うことによって圧縮強度を高くできることが確認された。
本開示によれば、高い圧縮強度を有しつつ、ざらつき及びひび割れが十分に抑制された表面を有するコンクリートブロック及びその製造方法が提供される。また、このコンクリートブロックを用いた駐車場を提供することができる。
10…本体部、20…表面部、30…凹部、31,32A,32B,34,35,36,37…溝部、41~48…側壁部分、50,51,52,53,80,81,82,83…サイロ、54,84…タンク、55,85…第1ミキサー、56,86…ホッパー、57,87…ベルトコンベア、58,88…給材箱、58A,58B,88A,88B…計量槽、60…型枠、61…雌型、62…雄型、64…油圧プレス、70…養生室、91…コンクリート(第1コンクリート)、92…第2コンクリート、100…コンクリートブロック、200…製造装置、201…コンクリート調製部、202…コンクリート調製部、203…加圧振動成形部、204…養生部。