(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073774
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】食品移載用のハンド装置およびこのハンド装置を用いた食品群形成方法
(51)【国際特許分類】
B25J 15/00 20060101AFI20240523BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240523BHJP
【FI】
B25J15/00 Z
A23L5/00 Z
A23L5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184665
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕
【テーマコード(参考)】
3C707
4B035
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS12
3C707BT05
3C707DS01
3C707ES03
3C707ES08
3C707ES17
3C707ET08
3C707EV23
3C707EV28
3C707HT02
3C707KS09
3C707KT01
3C707KT06
3C707LV07
3C707MT04
3C707NS26
4B035LC16
4B035LP31
4B035LP46
4B035LP59
4B035LT11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】採取した食品を所定の形状に成形して適正な位置に安定した姿勢で置くことができるハンド装置を具現すること。
【解決手段】載置面上の食品を掬い上げて移載する食品移載用のハンド装置において、このハンド装置には、一方側から他方側への移動によって食品を掬い上げ、他方側から一方側への移動によってこの食品を下ろす帯状の移送部材を備え、移送部材の上面には、この移送部材と一体的に移動する突部を備え、移送部材における一方側の端部から所定距離だけ他方側へ離間した位置に、この移送部材によって掬い上げられた食品の通過を規制する一方、突部の通過を許容する規制部材を配置する。そして、移送部材の他方側から一方側への移動によって突部が規制部材から一方側へ進出し、移送部材上に停滞する食品が、突部に押されて一方側へ下ろされる構成とする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面上の食品を掬い上げて移載する食品移載用のハンド装置であって、このハンド装置には、一方側から他方側への移動によって食品を掬い上げ、他方側から一方側への移動によってこの食品を下ろす帯状の移送部材を備え、前記移送部材の上面には、この移送部材と一体的に移動する突部を備え、前記移送部材における一方側の端部から所定距離だけ他方側へ離間した位置に、この移送部材によって掬い上げられた食品の通過を規制する一方、前記突部の通過を許容する規制部材を配置したことを特徴とする食品移載用のハンド装置。
【請求項2】
前記移送部材の他方側から一方側への移動によって前記突部が規制部材から一方側へ進出し、前記移送部材上に停滞する食品が、前記突部に押されて一方側へ下ろされる構成とした請求項1に記載の食品移載用のハンド装置。
【請求項3】
前記移送部材の一方側から他方側への移動によって、掬い上げられた食品が前記規制部材に当接して移動規制され、前記移送部材の他方側への移動継続によって、この移動規制された食品の移動方向長さが短縮される構成とした請求項1に記載の食品移載用のハンド装置。
【請求項4】
前記移送部材の他方側から一方側への移動によって前記突部が規制部材から一方側へ進出し、前記規制部材との当接によって移動規制されていた食品が、前記突部に押されて一方側へ下ろされる構成とした請求項3に記載の食品移載用のハンド装置。
【請求項5】
前記移送部材の先端部またはこの先端部の周辺の部材が食品の載置面に接触した場合に、この移送部材の上昇退避を許容する融通機構を設けた請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の食品移載用のハンド装置。
【請求項6】
開閉作動する左右の指状部を備え、前記移送部材を左右の指状部の間の空間へ進退自在に備えた請求項2または請求項4に記載の食品移載用のハンド装置。
【請求項7】
前記左右の指状部のそれぞれに、上下方向に所定の長さを有する第1部材および第2部材を備え、これら左右の第1部材と左右の第2部材とを独立して開閉作動するように構成した請求項6に記載の食品移載用のハンド装置。
【請求項8】
前記移送部材が左右の指状部の間へ進入し、前記左右の第1部材および左右の第2部材が閉じる方向へ作動した状態で、前記移送部材の側端と第1部材の間に形成される第1間隙が、前記移送部材の側端と第2部材の間に形成される第2間隙よりも小さくなるように設定した請求項7に記載の食品移載用のハンド装置。
【請求項9】
前記各指状部において第1部材と第2部材を近接して配置し、前記第1部材の内側縁部が第2部材の内側縁部に対して内側方へ出没するように構成した請求項8に記載の食品移載用のハンド装置。
【請求項10】
前記左右の第1部材の下端部に、対向側へ延在する係合部を備えた請求項9に記載の食品移載用のハンド装置。
【請求項11】
前記移送部材が左右の指状部の間に進入したときに、前記左右の第1部材が前記左右の第2部材よりも先行して閉じる方向へ作動するように構成した請求項10に記載の食品移載用のハンド装置。
【請求項12】
前記移送部材が左右の指状部の間から退避する前に前記左右の第1部材が開き、前記移送部材が左右の指状部の間から退避する過程で、または、前記移送部材が左右の指状部の間から退避したときに、前記左右の第2部材が開くように構成した請求項11に記載の食品移載用のハンド装置。
【請求項13】
採取位置に位置した食品を、前記ハンド装置に備えた移送部材によって斜め上方へ掬い上げ、前記左右の第1部材と前記左右の第2部材を閉じる方向へ作動させて、前記掬い上げられた食品を平面視で略U字状に変形させた状態で採取する第1工程と、前記食品を採取したハンド装置を、前記採取位置から離間した設定領域上へ移動させる第2工程と、前記設定領域上において、前記左右の第1部材を開く方向へ作動させ、前記第2部材によって食品の端部の開きを規制しながら移送部材によって斜め下方へ降ろすことにより、前記食品を平面視で略U字状のままで前記設定領域内に載置する第3工程を含み、これら第1工程から第3工程までを自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する請求項12に記載の食品移載用のハンド装置を用いた食品群形成方法。
【請求項14】
所定の厚さに形成された食品から前記食品群を形成するにあたり、この食品群を形成する食品の数を各食品の大きさに応じて自動的に変更し、この食品群の重量を設定範囲内に調整する請求項13に記載の食品移載用のハンド装置を用いた食品群形成方法。
【請求項15】
前記設定領域内に、食品を並べて置くための複数の行と複数の列を設定し、前記各行における列の数、または、前記各行における列の数と各列の間隔を、各行の先頭に置かれる食品の大きさに応じて自動的に変更する請求項14に記載の食品移載用のハンド装置を用いた食品群形成方法。
【請求項16】
採取される前の食品を撮像する撮像手段を備え、この撮像手段による撮像結果から前記食品の大きさを得る請求項15に記載の食品群形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばロボットアーム等に備える食品移載用のハンド装置、および、このハンド装置を用いて食品群を形成する食品群形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、食品加工工場では、生肉等の塊状食品を切断装置によってその先端部から所定間隔で切断し、所定の厚さに形成された複数の食品(薄肉片等)を、手作業によってコンベア上から掬い上げ、食品用のトレーに盛り付ける作業が行われる。
トレーに盛り付けられた食品群は、このトレーごと包装され、食品の種類、計測された総重量や価格等のラベルが貼られて、商品として出荷される。
近年、このような食品群の形成を自動化する試みがなされており、特許文献1には、コンベア上の食品をロボットアームに備えた吸着ヘッドによって採取して移動させ、これを繰り返して食品群を形成する技術が開示されている。
そして、この食品群をハンド装置に備えた一対の把持部材で把持して採取し、トレーに盛り付ける技術が開示されている。
また、特許文献2には、移載用のベルトを正方向へ移動させて、このベルト上に食品を掬い上げ、ベルトを逆方向へ移動させて、このベルト上に掬い上げていた食品を下ろす装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6626411号公報
【特許文献2】特開2018-174896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術によって、例えば生肉のような油脂を含有する食品や粘着性を有する食品等を吸着ないし把持して採取した場合、この食品が吸着ヘッドや把持部材に付着する。
このため、吸着や把持を解除しても食品が脱落しにくく、この採取した食品を適切な位置に安定した姿勢で下ろすことができにくくなる問題がある。
また、特許文献2に開示された技術では、掬い上げた食品を下ろすためにベルトを逆方向へ移動させても、この食品がベルトに付着したり、ベルトの移送作用を十分に受けられずに停滞し、円滑に下ろすことができなくなる事態が生じうる。
また、特許文献1,2に開示された技術は、単に食品を採取して移動させるだけのものであり、採取した食品自体を所定の形状に変形させる(成形する)ことはできない。
【0005】
また、例えば生肉等の塊状食品は、先端部から後端部まで均一な断面形状ではなく、この断面形状は不規則に変化するため、これを均一な厚さに切断しても、切断された食品の大きさ(表面積等)や重量は均一にならない。
このため、切断された同一数の食品から群を形成した場合、この食品群ごとの重量がばらつく。
このように食品群ごとの重量がばらついた場合、商品としての表示重量帯やこれに伴う表示価格帯等を揃えることが難しくなるため、手作業での重量調整(食品片の追加等)を要することとなり、生産能率が低下するような問題が生じうる。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決し、掬い上げた食品を安定した姿勢で適切な位置に円滑に下ろすことのできる食品移載用のハンド装置、および、掬い上げた食品を所定の形状に変形させて適切な位置に円滑に下ろすことのできる食品移載用のハンド装置、および、このハンド装置を用いて形成された食品群の重量を設定範囲内に自動的に調整して生産能率を高めることのできる食品群形成方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の技術的手段を講じる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、載置面上の食品を掬い上げて移載する食品移載用のハンド装置であって、このハンド装置には、一方側から他方側への移動によって食品を掬い上げ、他方側から一方側への移動によってこの食品を下ろす帯状の移送部材を備え、前記移送部材の上面には、この移送部材と一体的に移動する突部を備え、前記移送部材における一方側の端部から所定距離だけ他方側へ離間した位置に、この移送部材によって掬い上げられた食品の通過を規制する一方、前記突部の通過を許容する規制部材を配置したことを特徴とする食品移載用のハンド装置とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記移送部材の他方側から一方側への移動によって前記突部が規制部材から一方側へ進出し、前記移送部材上に停滞する食品が、前記突部に押されて一方側へ下ろされる構成とした請求項1に記載の食品移載用のハンド装置とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記移送部材の一方側から他方側への移動によって、掬い上げられた食品が前記規制部材に当接して移動規制され、前記移送部材の他方側への移動継続によって、この移動規制された食品の移動方向長さが短縮される構成とした請求項1に記載の食品移載用のハンド装置とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記移送部材の他方側から一方側への移動によって前記突部が規制部材から一方側へ進出し、前記規制部材との当接によって移動規制されていた食品が、前記突部に押されて一方側へ下ろされる構成とした請求項3に記載の食品移載用のハンド装置とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記移送部材の先端部またはこの先端部の周辺の部材が食品の載置面に接触した場合に、この移送部材の上昇退避を許容する融通機構を設けた請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の食品移載用のハンド装置とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、開閉作動する左右の指状部を備え、前記移送部材を左右の指状部の間の空間へ進退自在に備えた請求項2または請求項4に記載の食品移載用のハンド装置とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記左右の指状部のそれぞれに、上下方向に所定の長さを有する第1部材および第2部材を備え、これら左右の第1部材と左右の第2部材とを独立して開閉作動するように構成した請求項6に記載の食品移載用のハンド装置とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、前記移送部材が左右の指状部の間へ進入し、前記左右の第1部材および左右の第2部材が閉じる方向へ作動した状態で、前記移送部材の側端と第1部材の間に形成される第1間隙が、前記移送部材の側端と第2部材の間に形成される第2間隙よりも小さくなるように設定した請求項7に記載の食品移載用のハンド装置とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、前記各指状部において第1部材と第2部材を近接して配置し、前記第1部材の内側縁部が第2部材の内側縁部に対して内側方へ出没するように構成した請求項8に記載の食品移載用のハンド装置とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、前記左右の第1部材の下端部に、対向側へ延在する係合部を備えた請求項9に記載の食品移載用のハンド装置とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、前記移送部材が左右の指状部の間に進入したときに、前記左右の第1部材が前記左右の第2部材よりも先行して閉じる方向へ作動するように構成した請求項10に記載の食品移載用のハンド装置とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、前記移送部材が左右の指状部の間から退避する前に前記左右の第1部材が開き、前記移送部材が左右の指状部の間から退避する過程で、または、前記移送部材が左右の指状部の間から退避したときに、前記左右の第2部材が開くように構成した請求項11に記載の食品移載用のハンド装置とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、採取位置に位置した食品を、前記ハンド装置に備えた移送部材によって斜め上方へ掬い上げ、前記左右の第1部材と前記左右の第2部材を閉じる方向へ作動させて、前記掬い上げられた食品を平面視で略U字状に変形させた状態で採取する第1工程と、前記食品を採取したハンド装置を、前記採取位置から離間した設定領域上へ移動させる第2工程と、前記設定領域上において、前記左右の第1部材を開く方向へ作動させ、前記第2部材によって食品の端部の開きを規制しながら移送部材によって斜め下方へ降ろすことにより、前記食品を平面視で略U字状のままで前記設定領域内に載置する第3工程を含み、これら第1工程から第3工程までを自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する請求項12に記載の食品移載用のハンド装置を用いた食品群形成方法とする。
【0020】
請求項14に記載の発明は、所定の厚さに形成された食品から前記食品群を形成するにあたり、この食品群を形成する食品の数を各食品の大きさに応じて自動的に変更し、この食品群の重量を設定範囲内に調整する請求項13に記載の食品移載用のハンド装置を用いた食品群形成方法とする。
【0021】
請求項15に記載の発明は、前記設定領域内に、食品を並べて置くための複数の行と複数の列を設定し、前記各行における列の数、または、前記各行における列の数と各列の間隔を、各行の先頭に置かれる食品の大きさに応じて自動的に変更する請求項14に記載の食品移載用のハンド装置を用いた食品群形成方法とする。
【0022】
請求項16に記載の発明は、採取される前の食品を撮像する撮像手段を備え、この撮像手段による撮像結果から前記食品の大きさを得る請求項15に記載の食品群形成方法とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明のハンド装置によれば、掬い上げた食品を安定した姿勢で適切な位置に円滑に下ろすことができる。
または、本発明のハンド装置によれば、掬い上げた食品を所定の形状に変形させて適切な位置に円滑に下ろすことができる。
または、このハンド装置を用いた食品群形成方法によれば、食品群を形成する食品の数を各食品の大きさに応じて自動的に変更し、この食品群の重量を設定範囲内に調整できるので、手作業での重量調整を少なくして生産能率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施形態の食品盛り付け装置(食品群形成方法を実施する装置)の説明用側面図。
【
図2】実施形態の食品盛り付け装置の説明用平面図。
【
図5】実施形態のハンド装置の掬い上げ部が左右の指状部の間から+Y方向へ退避した状態を示す説明用左側面図。
【
図6】実施形態のハンド装置の掬い上げ部が-Y方向へ移動して左右の指状部の間に進入した状態を示す説明用左側面図。
【
図7】実施形態のハンド装置における掬い上げ部の説明用左側面図。
【
図9】実施形態のハンド装置における開状態の指状部と掬い上げ部の説明用正面図。
【
図10】実施形態のハンド装置における閉状態の指状部と掬い上げ部の説明用正面図。
【
図12】実施形態のハンド装置における指状部の説明用左側面図。
【
図13】実施形態における指状部開閉駆動用のエアシリンダ部の説明用斜視図。
【
図14】実施形態における第1搬送装置の後端部の説明用平面図。
【
図15】実施形態における第1搬送装置の後端部の説明用右側面図。
【
図18】実施形態の食品盛り付け制御装置のブロック図。
【
図19】実施形態の食品盛り付け制御のメインフローチャート。
【
図20】実施形態の食品盛り付け制御のフローチャート。
【
図22】実施形態の制御点の軌道を左側面視した説明図。
【
図23】実施形態の制御点の軌道を平面視した説明図。
【
図24】食品の採取開始初期の状態を模式的に示す平面図、左側面図、正面図であって、(a)は待機状態の説明図、(b)は採取開始状態の説明図、(c)は掬い上げ途中状態の説明図。
【
図25】
図24(c)に続き、食品の採取完了までの状態を模式的に示す平面図、左側面図、正面図であって、(d)は掬い上げ完了状態の説明図、(e)は食品を抱え込む状態の説明図、(f)は食品を採取し移動を開始する状態の説明図。
【
図26】
図25(f)に続き、採取した食品を移動させた後に所定位置へ置くまでの状態を模式的に示す平面図、左側面図、正面図であって、(g)は食品の抱え込みを解除した状態の説明図、(h)は食品を所定位置へ置き始めた状態の説明図、(i)は食品を所定の位置へ置く直前の状態の説明図。
【
図27】
図26(i)に続き、食品を所定位置へ置いた後に、この食品から掬い上げ部を退避させた状態を模式的に示す平面図、左側面図、正面図であって、(j)は食品を置き終えた状態の説明図、(k)は食品から掬い上げ部を退避させた状態の説明図。
【
図28】(a)は実施形態における盛り付け領域(設定領域)の説明図、(b)は食品を捻って置いた状態の説明用平面図。
【
図29】(a)~(c)は、食品が盛り付け領域に行列配置されていく状態を示す説明図。
【
図30】(a)~(f)は、盛り付け領域での食品の移動状態を示す説明用平面図。
【
図31】略U字状に変形させて移載した薄肉の説明用側面図であって、(a)は高さが抑えられていない薄肉、(b)は本発明によって高さが抑えられた薄肉を示す。
【
図35】食品(薄肉)の大きさと盛り付け後の食品の総重量の関係を概念的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に詳述する実施形態において、対象とする食品を、チルド状態の塊状肉をスライサー1によってスライスした生の薄肉Eとして説明する。
また、この薄肉Eは、スライサー1によって、切断後に二つに折り畳まれたものとしてもよい。
なお、この食品は、薄肉Eに限定されず、他の食品であってもよく、柔軟性や粘着性を有する食品生地等であってもよい。
【0026】
(第1搬送装置及び第2搬送装置)
図1、
図2に示すように、スライサー1から切り出された薄肉Eは、そのX軸方向における長さ(横幅)が、そのY軸方向における長さ(縦幅)よりも長い状態で、第1搬送装置2におけるベルト3の搬送面3a上に載置される。
食品盛り付け装置(本発明の食品群形成方法を実現する装置)4は、第1搬送装置2に対して、その下流側の左側の位置に配置するが、この位置に限定されない。
第1搬送装置2は、従動ローラ群と駆動ローラ(共に図示省略)にわたって無端状のベルト3を巻回したベルトコンベアとする。
【0027】
この第1搬送装置2の終端側には、第1搬送装置2の搬送方向と平面視で直交し、左右方向に延在した第2搬送装置5を配置する。
この第2搬送装置5は、後述するように食品用のトレー6を第1搬送装置2の搬送終端に臨む待機位置へ搬送するものであり、従動スプロケットと駆動スプロケット(共に図示省略)にわたって無端状のチェーン7を巻回したチェーンコンベアとする。
なお、この第2搬送装置5を、トレー6を載置状態で搬送するベルト式のコンベアとしてもよい。
【0028】
また、第1搬送装置2のベルト3は、
図18(ブロック図)に示すサーボモータ8によって駆動される。
このサーボモータ8の回転位相は、同図に示すエンコーダ9により検出され、この検出値がスライサーコントローラ10に入力される。
このスライサーコントローラ10からの出力によってサーボモータ8を制御し、ベルト3を駆動することにより、このベルト3上の薄肉Eを
図2に示す採取位置Tまで搬送する。
ベルト3の駆動によって薄肉Eが採取位置Tまで搬送されると、このベルト3が一時的に停止し、この停止状態において、採取位置Tにある薄肉Eが採取される。
また、第2搬送装置5は、食品盛り付け装置4によって、トレー6への設定数の薄肉Eの盛り付けが完了するまで(食品群の形成が完了するまで)は、このトレー6の搬送を停止している。
そして、トレー6への薄肉Eの盛り付けが完了した後に、第2搬送装置5を駆動してこのトレー6を搬出し、次の空のトレーを上述の待機位置まで送り出すように構成する。
【0029】
(カメラ)
また、
図1及び
図2に示すように、採取位置Tよりも上流側の上方の位置に、採取位置Tに搬送される前(採取される前)の搬送面3a上の薄肉Eを撮像するカメラ(請求項の「撮像手段」)11を配置する。
【0030】
(ロボットアーム)
図1、
図2に示すように、食品盛り付け装置4は、ロボットアーム12を主体として構成される。
このロボットアーム12は、複数の能動関節の軸J1~J6を中心として、全体の旋回および各部の回動を自在とする。
図18に示すように、この能動関節の軸J1~J6の全てに、サーボモータ13~18を備え、これらのサーボモータ13~18のそれぞれに、回転位置検出器としてのエンコーダ19~23Sを備える。
【0031】
また、このロボットアーム12は、基台25、旋回ベース26、ロアアーム27、アッパアーム28、リスト29、及びハンド取付座30から構成する。
基台25は、加工工場のフロアまたはスライサー1側に連結された支持台24上に固定し、この基台25には、鉛直方向の軸J1周りに旋回ベース26を旋回自在に設ける。
この旋回ベース26には、水平方向の軸J2周りにロアアーム27を上下回動自在に軸支し、このロアアーム27の上端には、水平方向の軸J3周りにアッパアーム28の基部28aを上下方向回動自在に軸支する。
【0032】
基部28aの先端に取り付ける回転体28bは、基部28aの軸線に沿う軸J4の周りに回転自在に支持する。なお、軸J4は、軸J3と直交する。
回転体28bの先端には、リスト29を横方向の軸J5周りに回動自在に支持する。この軸J5は、軸J4と直交する。
リスト29の先端には、ハンド取付座30を上下方向の軸J6周りに旋回自在に装着する。
各軸J1~J6に備えたサーボモータ13~18は、後述する食品盛り付け制御装置31のロボットコントローラ34からの出力によって駆動する。
【0033】
(盛り付け領域R)
図2に示すように、第2搬送装置5によって搬送され、第1搬送装置2の終端よりも下流側に離間する位置に待機させたトレー6の底面上に、盛り付け領域(請求項の「設定領域」)Rを設定する。
図28(a)に示すように、この盛り付け領域Rは、Y軸方向長さをr1とし、X軸方向長さをr2とする矩形の領域として設定する。
また、この盛り付け領域Rを設定する位置は、トレー6の底面上以外に、スライサー1周辺の固定位置など、適宜の位置に設定可能とする。
この盛り付け領域R内に複数の薄肉Eが置かれることで、薄肉Eの群(請求項の「食品群」)が形成される。
【0034】
(方向の定義)
なお、上述の第1搬送装置2の搬送方向において、スライサー1側を上流側とし、その反対側を下流側とする。
図において、「-Y」は上流側の方向を示し、「+Y」は下流側の方向を示す。
「+X」はスライサー1側から下流側に向いた状態での右手側の方向を示し、「-X」はスライサー1側から下流側に向いた状態での左手側の方向を示す。
「-Z」は下方向、「+Z」は上方向を示す。
X、Y、Zで示す方向は相互に直交し、それぞれが三次元座標軸となる。
【0035】
(盛り付け領域Rにおける行と列の定義)
上述の盛り付け領域Rにおいて、薄肉Eを盛り付け領域Rの一端から他端まで連続的に盛り付けていく方向を「行」と定義し、この「行」と直交する方向を「列」と定義する。
これにより、薄肉Eが1つの行に全て置かれた後に、次の行頭への盛り付けが開始され、これを反復して、盛り付け領域R内の全ての行および全ての列に、盛り付けを完了することとなる。
なお、本実施形態においては、X軸方向に「行」を設定し、Y軸方向に「列」を設定する。これにより、複数の「行」がY軸方向に間隔をおいて平行に並ぶ。
【0036】
(ハンド装置)
図1に示すように、ハンド取付座30の下面に、採取部32を有するハンド装置33を装着する。
図3~
図6に示すように、このハンド装置33は、枠体35を支持基体として構成する。
この枠体35の上部には、ハンド取付座30の下面に装着するための取付板36を固定する。
この取付板36の上部には、ハンド取付座30の下面に着脱自在な継手部材36Tを備える。
また、枠体35におけるY軸方向の両側部には、ハンド装置33をハンド取付座30に着脱する際の把持部となる取手35T,35Tを取り付ける。
【0037】
(掬い上げ部)
図3、
図4に示すように、枠体35の内側部には、螺合部を内蔵した電動シリンダのシリンダ部37の+Y側端部を固定し、このシリンダ部37から+Y方向に伸縮作動する作動ロッド37Rの先端部に、補強部材38を介して支持枠39を取り付ける。
また、このシリンダ部37の-Y側端部には、ベルト伝動機構を内蔵した伝動ケース40の上端部を固定し、この伝動ケース40の下端部に電動モータ41を固定する。
そして、電動モータ41の出力軸と、シリンダ部37内の螺子軸とを、伝動ケース40内のベルト伝動機構を介して連動させる。
これにより、電動モータ41を駆動すると、螺子軸の回転によって作動ロッド37Rがシリンダ部37内から出入し、支持枠39が+Y方向および-Y方向へ移動する。
【0038】
さらに、支持枠39の下部における-Y側の面に、支持ケース42における+Y側の面を当接させて固定する。
図5~
図7に示すように、この支持ケース42の内側側面に、圧縮空気圧の供給を受けて回転出力するエアモータ43を固定する。
そして、
図3、
図4に示すように、エアモータ43の出力軸43Sを支持ケース42から+X側に突出させ、この出力軸43Sの突出部に回転盤44を固定する。
この回転盤44の+X側の面における外周縁部には、隣接する2本の係止ピン45A,45Bの基部を夫々固定する。
【0039】
また、回転盤44の+X側の面に、環状の回転部材46を固定する。
この回転部材46は、係止ピン45A,45Bとの干渉を避けるように外周部を切り欠いた形状(出力軸43Sの軸心方向視で略半円弧状)とし、この切り欠き部以外の外周縁部を、所定幅を有した円弧面とする。
なお、この回転部材46の外周縁における+X側の部位に、脱落防止用の鍔部を形成する。
また、
図7に示すように、テンションアーム47の中間部を、エアモータ43の出力軸43Sと同軸心上に上下回動自在に軸支する。
そして、このテンションアーム47における-Y側の端部に軸48の基部を固定し、この軸48の自由端部を支持ケース42に形成した円弧状の長孔49から+X側へ突出させる。
この軸48の突出端部に、テンションローラ50を回転自在に軸支する。
【0040】
また、テンションアーム47における+Y側端部に固定したピン47Aと、支持ケース42に固定した補強板51との間に、テンションスプリング52を掛け渡す。
なお、テンションスプリング52の下端部と補強板51との係合部には、テンション力を調節する螺合部53を設ける。
また、支持ケース42の+X側の面に軸54の基部を固定し、この軸54にガイドローラ55を回転自在に軸支する。
図3に示すように、このガイドローラ55は、上述のテンションローラ50の上側に配置される。
【0041】
そして、
図7に示すように、支持ケース42の下部に矩形の開口部56を形成し、この開口部56を介して、支持アーム57の基部と、支持ケース42内部の補強板51に沿わせて設けた支持板58とを螺子部材59で締結して一体化する。
また、支持板58の+Y側の端部に円筒状のボス部材60を固定し、このボス部材60を、補強板51に基部を固定したX軸方向の支点軸61に嵌合させる。
これによって、支持アーム57は、支点軸61を中心として上下揺動自在に支持される。
また、上述の支持板58に固定した下部板状部材62と、補強板51に固定した上部板状部材63との間に、圧縮スプリング64を設ける。
この圧縮スプリング64によって、支持アーム57の先端部が下方揺動する方向へ付勢された状態で定位置に保持される。
これにより、後述するベルト68の巻回先端部(支持部材66の先端部)が搬送面3aに接触して突き上げられた場合に、圧縮スプリング64が圧縮されることで、ベルト68の巻回先端部の上昇退避が許容される。
すなわち、この圧縮スプリング64を主体として、ベルト68の上昇退避を許容する融通機構64Fが構成される。
【0042】
そして、支持アーム57の先端部(自由端部)に形成した傾斜部57Kに対して、所定間隔をおいて傾斜片65を対向配置し、この傾斜部57Kと傾斜片65の間に支持部材66を配置して三者を一体化する。
この支持部材66は、その上面に長手方向に連続した凹部(図示省略)を形成しており、-Y方向へ下がり傾斜した姿勢で支持される。
なお、この支持部材66の先端部(傾斜下がり方向の端部)には、載置面上の食品を採取するときに、この載置面と略平行になる後退角βを有している。
また、傾斜部57Kおよび傾斜片65の各外側部には、規制部材67の下端部を、この下端部に形成した位置調節用の長孔67H,67Hに挿通する螺子部材67B,67Bによって締結固定する。
【0043】
しかして、
図3に示すように、ナイロンなどの合成繊維等で幅狭に形成したベルト(請求項の「帯状の移送部材」)68を設ける。
そして、このベルト68の長さ方向中間部に、X軸方向視でL字型に屈折形成したプレート(請求項の「突部」)69を、ベルト68の裏面に配置した補強プレート(図示省略)と共に螺子部材69Bで締結して取り付ける。
なお、この補強プレートと螺子部材69Bの端部が、上述の支持部材66に形成した凹部内を通過することになる。
そして、このベルト68を、上述の回転部材46、テンションローラ50、ガイドローラ55、支持部材66等に巻き掛けて掬い上げ部70を構成する。
【0044】
すなわち、ベルト68の一端部に形成した袋状部を上述の係止ピン45Aに係止し、このベルト68をガイドローラ55の上側周面から支持部材66の上面に配策する。
そして、このベルト68を支持部材66の先端部で折り返して支持部材66の下側へ配策し、テンションローラ50の上側周面から回転部材46の下側周面に巻き掛ける。
さらに、このベルト68の他端部に形成した袋状部を、上述の係止ピン45Bに係止して、ベルト68の装着を完了する。
なお、このようなベルト68の着脱を行なう前に、テンションローラ50を下降位置(テンションを緩める位置)に手動で引き下げると、テンションアーム47がプランジャピン71によってこの位置でロックされるように構成している。
ベルト68を着脱した後、プランジャピン71を引き抜き操作することで、テンションアーム47のロックが解除される。
【0045】
(ベルトの突部と規制部材の関係)
図7、
図8に示すように、前述の規制部材67は、X軸方向視で略矩形に形成された2つの側板部67F,67Fと、この2つの側板部67F,67Fの後半部を繋ぐ天板部67Tとから、下方を開放した断面コ字形状に形成する。
2つの側板部67F,67Fの前部間には所定幅の開放部67Sを形成する。
また、2つの側板部67F,67Fの各前縁(-Y側の端部)67E,67Eを、支持部材66の上面(または装着されたベルト68の上面)に対して側面視(X軸方向視)で略直角な姿勢に設定する。
なお、プレート69の幅は2つの前縁67E,67E間の幅よりも僅かに小さく設定している。
これによって、ベルト68の上側巻回域が-Y側から+Y側へ移動すると、このベルト68に取り付けられたプレート69は、開放部67Sすなわち2つの前縁67E,67E間の通過を許容される。
一方、このプレート69の幅よりも大きい食品がベルト68で掬い上げられてきても、この食品は規制部材67の前縁67E,67Eに当接して通過が規制される。
なお、ベルト68の上面における、ベルト68の移送始端部(一方側の端部)と規制部材67の前縁67E,67Eとの間隔は、薄肉Eの横幅方向中央部を載置状態で支持できる程度の長さに設定する。
【0046】
(掬い上げ部の作動)
薄肉Eの掬い上げは、掬い上げ部70自体の-Y方向への移動と、ベルト68の傾斜上がり方向(+Y側へ上がり傾斜した方向、請求項の「他方側」)への移動とによって行われる。
すなわち、電動モータ41の正転駆動によって掬い上げ部70を-Y方向へ移動させながら、エアモータ43の正転駆動によってベルト68を傾斜上がり方向へ移動させて、載置面上の薄肉Eの横幅方向中央部を掬い上げる。
ここで、
図3に示す掬い上げ前の初期状態では、ベルト68の他端部は回転部材46の周面に所定長さだけ巻き取られている。
この状態からエアモータ43の出力軸を正転駆動させると、回転部材46が時計方向に回転してベルト68の他端部を送り出しながら、係止ピン45Aによってこのベルト68の一端部が引かれる。
これによって、ベルト68およびこのベルト68に取り付けられたプレート69は、支持部材66に支持された状態で、この支持部材66の傾斜上がり方向へ移動する。
【0047】
これと共に、ベルト68におけるプレート69よりも移動方向上流側の部位が、支持部材66の先端部を迂回して繰り出され、この部位によって載置面上の薄肉Eの横幅方向中央部が掬い上げられる。
これによって、
図6に示すように、プレート69は、規制部材67の2つの前縁67E,67E間を通過し、規制部材67の内部に格納される。
このようなベルト68の移動中、掬い上げられた薄肉Eは、前縁部67E,67Eに当接して移動を規制される。
この状態でベルト68の移動が継続されることによって、この薄肉Eの横幅方向中央部が狭窄されるように変形し、その縦幅(移動方向の長さ)が短縮される。
これにより、後述するように薄肉Eを略U字状に成形してトレー6内に移載した場合に、この薄肉Eの高さを低く抑えることができる。
したがって、盛り付け完了後のトレー6にラップを掛けても、このラップの下面に薄肉Eが接触しにくく、薄肉Eの油脂によるラップの汚れを防止することができる。
【0048】
一方、掬い上げた薄肉Eを降ろす動作は、ベルト68の傾斜下がり方向(-Y側へ下がり傾斜した方向、請求項の「一方側」)への移動によって行われ、この後、掬い上げ部70が+Y方向へ移動する。
すなわち、エアモータ43の逆転駆動によってベルト68を傾斜下がり方向へ移動させて、薄肉Eを移載面上に下ろした後、電動モータ41の逆転駆動によって掬い上げ部70を+Y方向へ移動させる。
エアモータ43の出力軸を逆転駆動させると、回転部材46が反時計方向に回転してベルト68の他端部を巻き取りながら、係止ピン45Aの-Y方向への移動によってこのベルト68の一端部が送り出される。
これによって、ベルト68およびこのベルト68に取り付けられたプレート69は、支持部材66に支持された状態で、この支持部材66の傾斜下がり方向へ移動する。
これによって、規制部材67の内部に格納されていたプレート69は、規制部材67の内部から、2つの前縁67E,67E間を通過して-Y方向へ進出する。
このとき、ベルト68の上面に載らずに(またはベルト68の移送作用を十分に受けられずに)規制部材67の前縁67E,67E付近で停滞する薄肉Eが存在している場合がある。
このような薄肉Eが存在していたとしても、この薄肉Eはプレート69によって押され、-Y方向へ強制的に下ろされる。
【0049】
(指状部)
図3、
図5、
図6に示すように、上述の枠体35の下面に、左右の指状部80L,80Rを開閉駆動する第1エアシリンダ81および第2エアシリンダ82をY軸方向に並列させて固定する。
これにより、第1エアシリンダ81と第2エアシリンダ82は、ハンド装置33の上部に配置され、水(スライサー1洗浄時の洗浄水等)や肉屑の影響を受けにくくなる。
なお、第1エアシリンダ81と第2エアシリンダ82の構造自体は共通しているため、
図13を共用して説明する。
図12、
図13に示すように、+Y側に配置した第1エアシリンダ81は、シリンダブロック81Aの+Y側の側面に左右方向(X軸方向)のガイドレール81Bを形成する。
このガイドレール81Bに、左右一対のスライダ81L,81Rを摺動自在に嵌合する。
シリンダブロック81Aの内部には、上下のシリンダ孔を平行に穿設し、各シリンダ孔内に個別のピストン(図示省略)を往復摺動自在に内蔵し、各ピストンに左右のスライダ81L,81Rを連結する。
なお、エアの供給によって各ピストンが互いに反対方向に摺動するように構成し、これによって、各ピストンに連結された左右のスライダ81L,81Rは互いに反対方向へ摺動する。
【0050】
一方、-Y側に配置した第2エアシリンダ82は、シリンダブロック82Aの-Y側の側面に左右方向(X軸方向)のガイドレール82Bを形成する。
このガイドレール82Bに、左右一対のスライダ82L,82Rを摺動自在に嵌合する。
シリンダブロック82Aの内部には、上下のシリンダ孔を平行に穿設し、各シリンダ孔内に個別のピストン(図示省略)を往復摺動自在に内蔵し、各ピストンに左右のスライダ82L,82Rを夫々連結する。
そして、エアの供給によって各ピストンが互いに反対方向に摺動するように構成し、これによって、各ピストンに連結された左右のスライダ82L,82Rは互いに反対方向へ摺動する。
なお、左右の指状部80L,80Rには、左右の第1部材83LM,83RM、および、左右の第2部材84LM,84RMを備える。
【0051】
(第1部材)
図9~
図12に示すように、左右の第1部材83LM,83RMは、第1エアシリンダ81側の左右のスライダ81L,81Rに夫々支持する。
すなわち、左右の第1支持部材83L,83Rを左右方向に延在させ、各内側端部を左右のスライダ81L,81Rの+Y側の面に固定する。
そして、この左右の第1支持部材83L,83Rの外側端部を、下向きに屈折させて下方(-Z方向)へ延在させた後に、-Y方向へ屈折して延在させ、この延在端部を下方へ屈折させて延在させる。
さらに、この下方延在端部を左右内側方へ屈折させて延在させた後に、下方へ延在させて、左右のインナーフィンガー83IFL,83IFRを形成する。
この各インナーフィンガー83IFL,83IFRにおける下端部から所定の高さに亘る部位を左右幅広に形成する。
この左右幅広の部位を第1部材83LM,83RMと称する。
この左右の第1部材83LM,83RMの内側縁部は、その下端部付近まで略垂直な方向へ延在し、上下方向に所定の長さを有する。
そして、この左右の第1部材83LM,83RMの下端部内側縁は円弧状に内側(対向する側)へ延在させ、左右の係合部83LS,83RSを形成する。
【0052】
(第2部材)
図9~
図12に示すように、左右の第2部材84LM,84RMは、第2エアシリンダ82側の左右のスライダ82L,82Rに夫々支持する。
すなわち、第2支持部材84L,84Rの上端部を左右方に幅広に形成し、その内側端部を、左右のスライダ82L,82Rの-Y側の面に固定する。
この左右の第2支持部材84L,84Rを下方(-Z方向)へ延在させた後に、+Y方向へ屈折して延在させる。
この左右の延在端部の下面に、左右のアウターフィンガー84IFL,84IFRの上端部を固定する。
各アウターフィンガー84IFL,84IFRの下端部から上端部に亘る部位を左右幅広に形成する。この左右幅広の部位を第2部材84LM,84RMと称する。
この左右の第2部材84LM,84RMの内側縁部は、略垂直な方向(請求項の「上下方向」)に延在する。
【0053】
なお、左右の第2支持部材84L,84Rにおける+Y方向への延在端部を下方へ傾斜するように屈折させ、この屈折部にエアを噴射する噴射ノズル85,85を取り付ける。
この噴射ノズル85,85は、指状部80L,80Rの左右方向中間位置に指向する姿勢に設定し、左右の指状部80L,80Rが開放したときにエアを高圧噴射するように構成する。
これによって、ハンド装置33に保持していた薄肉Eが指状部等に付着しやすいものであっても、この薄肉Eを円滑に下ろすことができる。
【0054】
なお、
図12に示すように、上述の左側の第2部材84LMと右側の第2部材84RMを各一対設け、その上端部を、左右の第2支持部材84L,84Rの下部における+Y方向への延在部の下面に、Y軸方向の間隔をおいて夫々固定する。
これによって、左側の前後の第2部材84LM,84LMの間、および、右側の前後の第2部材84RM,84RMの間に、Y軸方向の隙間SP,SPが形成される。
この隙間SP,SPから左右の第1部材83LM,83RMの夫々が内側方へ突出し、一方、突出していた左右の第1部材83LM,83RMがこの隙間SP,SPの内部に没入する(請求項の「出没する」)ように構成する。
【0055】
(採取部)
図3に示すように、掬い上げ部70と左右の指状部80L,80Rから採取部32が形成される。
図5に示す初期状態では、掬い上げ部70が+Y方向へ離間し、ベルト68の先端部は、左右の指状部80L,80Rの間から+Y方向へ退避している。
図6に示すように、電動モータ41の駆動によって作動ロッド37Rが短縮作動し、掬い上げ部70が-Y方向へ設定距離だけ移動すると、この掬い上げ部70が左右の指状部80L,80Rの間に進入する。
この状態で、掬い上げ部70のベルト68の先端部が、左右の指状部80L,80Rよりも-Y側へ突出する。
図9に、この状態の正面図を示す。
【0056】
また、
図10には、掬い上げ部70が左右の第1部材83LM,83RMおよび左右の第2部材84LM,84RMの間へ進入した状態で、この左右の第1部材83LM,83RMおよび左右の第2部材84LM,84RMが、夫々のストローク端まで閉じる方向へ移動した状態を示す。
図11に一部拡大して示すように、この状態では、掬い上げ部70の左側端(ベルト68の左側端)と、左側の第1部材83LMの内側縁部の間に形成される第1間隙T1が、掬い上げ部70の側端と第2部材84LMの内側縁部の間に形成される第2間隙T2よりも小さくなるように、夫々のストローク端の位置関係を設定する。
図示を省略しているが、掬い上げ部70の右側端と、右側の第1部材83RMおよび右側の第2部材84RMとの各位置関係についても同様に設定する。
この第1間隙T1および第2間隙T2の設定は、上述の左右の指状部80L,80Rを構成する各部材の左右方向の延在長さ、および、第1エアシリンダ81および第2エアシリンダ82の摺動ストローク端の位置設定等によって行う。
【0057】
(第1搬送装置の一部構成)
図14~
図17に示すように、スライサー1における第1搬送装置2の後部上面を以下のように構成する。
すなわち、第1搬送装置2の後部においてベルト3を支持するフレームを、後部の固定フレーム90と後端部の可動フレーム91に分割形成する。
そして、可動フレーム91の前端部を、固定フレーム90の後端部に対して軸92を支点として上下揺動自在に取り付け、可動フレーム91を下降位置に保持する係止具93を設ける。
この可動フレーム91の後端部には、X軸方向の軸心を中心に回転する遊動ローラ94,94を軸支して設ける。
なお、後端の遊動ローラ94で折り返し移動するベルト3上から肉片等が落下するが、この肉片等を受ける受け部材95を、固定フレーム90側に支持している。
【0058】
しかして、
図16、
図17に示すように、固定フレーム90の上面から可動フレーム91の上面に亘る範囲Wを、上流側(-Y側)のフレームの上面よりも僅かに低く形成する。
これによって、
図17に示すように、固定フレーム90および可動フレーム91の上面とベルト3の下面との間に、所定上下長の隙間SBを形成する。
なお、上述の範囲Wは、ベルト3の全幅(X軸方向の幅)の内側に形成され、採取位置Tを含む。
これにより、ハンド装置33を下降させて掬い上げ部70や指状部80L,80Rがベルト3の上面に接触した場合でも、ベルト3が隙間SBだけ撓んで退避するため、衝突による両者の損傷を防ぐこと、または、損傷を少なくすることができる。
【0059】
(食品盛り付け制御装置)
図18に示すように、演算部、記憶部等を備えたロボットコントローラ34に対して、その入力側に、上述のエンコーダ19~23Sと、カメラ11を接続する。
一方、ロボットコントローラ34の出力側には、上述のサーボモータ13~18と、第1エアシリンダ81、第2エアシリンダ82、電動モータ41、エアモータ作動バルブ43Vを連繋する。
なお、図示を省略しているが、ロボットコントローラ34の出力側には、各サーボモータ13~18と電動モータ41を作動させる個別のリレー回路と、各エアシリンダ81,82を作動させる個別のバルブソレノイドと、エアモータ作動バルブ43Vを作動させるバルブソレノイドが介装されている。
なお、各エアシリンダ81,82およびエアモータ43へのエア供給源は、工場内の圧縮空気供給設備、または、スライサー1に備えたエアポンプである。
【0060】
一方、スライサー1側のスライサーコントローラ10には、その入力側に上述のエンコーダ9を接続し、その出力側は上述のサーボモータ8を接続する。
なお、スライサー1の作動制御に関する他のセンサー類およびアクチュエータ類は図示を省略している。
そして、ロボットコントローラ34とスライサーコントローラ10を、通信線SLを介して接続する。
以上により、食品盛り付け制御装置31が構成される。
【0061】
(盛り付け制御)
本発明を実施する盛り付け制御(食品群形成制御)について説明する。
図2に示すように、スライサー1によって塊状肉が所定の厚さに切断され、切断された薄肉Eが第1搬送装置2におけるベルト3の搬送面3a上に順次載置される。この薄肉Eは二つに折り畳まれたものとしてもよい。
この薄肉Eが採取位置Tに到達したときに、スライサーコントローラ10からロボットコントローラ34へ採取開始信号を出力する。
これにより、搬送面3a上に載置された薄肉Eの移動状態と、この搬送面3a上の薄肉Eを採取するタイミングとが同期する。
なお、設定数の薄肉Eを採取しその盛り付けが全て完了したときには、ロボットコントローラ34からスライサーコントローラ10へ盛付完了信号が出力される。
【0062】
以下に述べる「制御点」は、左の第1部材83LMの係合部83LSの先端(内側端)と、右の第1部材83RMの係合部83RSの先端(内側端)との間の中心位置である。
図22、
図23に示すように、ロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP0~P14、及びP14~P0の各円(または球)の中心位置に移動させる。
しかして、
図19~
図21に盛り付け制御のフローチャートを示し、
図24~
図27に、ハンド装置33によって薄肉Eを採取する状態から、略U字状に変形させた薄肉Eを載置する状態までの過程を示す。
【0063】
(S10A)
図24(a)に示すように、盛り付け制御が開始されると、S10Aにおいて、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を駆動制御し、左右の指状部80L,80Rと掬い上げ部70を、それぞれの初期位置に位置付ける。
制御点の初期位置であるポイントP0は、薄肉Eの採取位置Tから-Y側にオフセット量f(
図24(a)参照)だけ偏倚した位置において、搬送面3aから直上方へ所定距離離間した位置に設定される。
このとき、掬い上げ部70は、ポイントP0よりも所定距離+Y方向へ偏倚した位置に配置される。
なお、オフセット量fは、掬い上げ部70の先端が採取位置TからポイントP0の直下位置まで移動する間において、斜め上方へ移動する掬い上げ部70のベルト68によって、採取位置Tに位置する薄肉Eを掬い上げることのできる量に設定されている。
また、このポイントP0において、ハンド装置33の左右の指状部80L,80Rは互いに離間した開放状態となる。
【0064】
すなわち、左右のインナーフィンガー83IFL,83IFRと左右のアウターフィンガー84IFL,84IFRは、夫々最大間隔まで離間した開放状態となる。
この状態において、左右のインナーフィンガー83IFL,83IFRに備えた第1部材83LM,83RMは、左右のアウターフィンガー84IFL,84IFRに備えた第2部材84LM,84RMの隙間SP,SP内に退避している。
これによって、左右の第1部材83LM,83RMの内側縁部は、左右の第2部材84LM,84RMの内側縁部に対して外側方へ(隙間SP内へ)退避している。
【0065】
(S12)
S12では、スライサーコントローラ10によって、採取位置Tへ搬送中の薄肉Eの属性の取得を行う。
すなわち、スライサーコントローラ10には、スライサー1側に設けられ、スライス前の塊状肉の先端部の厚さ(高さ)を検出する厚さ(高さ)センサー(図示省略)から、その検出結果が入力される。
スライサー1は、横向き姿勢で供給された塊状肉を、その先端部から上下方向に切断するものであるため、この塊状肉の先端部の厚さ(高さ)は、搬送面3a上に載置される薄肉EのY軸方向での長さに近似した寸法となる。
なお、Y軸方向の中央部で折り畳まれた薄肉Eの場合、この薄肉EのY軸方向での長さは、この厚さ(高さ)の約1/2の長さとなる。
【0066】
スライサーコントローラ10は、このスライス前の塊状肉の先端部の厚さ(高さ)を、ロボットコントローラ34に送る。
また、ロボットコントローラ34では、カメラ11で撮像した薄肉Eの画像を処理し、この結果に基づいて、薄肉Eの大きさ(薄肉EのX軸方向での長さ(幅)と面積)を取得する。
そして、取得された薄肉Eの大きさから、この薄肉Eを大・中(標準)・小・採取不適の4つのクラスに分類する。
【0067】
(採取に適した薄肉Eの採取および盛り付け)
以下では、カメラ11で撮像した薄肉Eが、上述の大・中・小のいずれかのクラスに分類された場合の基本的な処理について説明する。
【0068】
(S14)
S14では、ロボットコントローラ34により、固定値として記憶された複数の所定行数Mのうち、使用するトレー6の大きさに対応する所定行数Mが選択される。
また、塊状肉の厚さ(高さ)及び画像処理に基づく薄肉Eの大きさに基づいて、所定列数Nが自動的に算出される。
これにより、
図28(a)に示すように、トレー6の内底面の盛り付け領域R内に、所定行数Mの行と、所定列数Nの列が設定される。
なお、各行および各列は、それぞれが等間隔で設定される。
以下、まず、最初に算出された所定列数Nを全ての行に適用する場合(全ての行にN列(N枚)の薄肉Eを置く場合)の処理について説明する。
なお、この所定列数Nを、行ごとに算出する処理については、後述する。
【0069】
(S16)
S16では、ロボットコントローラ34により、行カウンタのカウント値m及び列カウンタのカウント値nにそれぞれ1をセットし、S18Aの「薄肉盛り付け処理」に移行する。
【0070】
(S18A:薄肉盛り付け処理)
図20、
図21に示すS200~S234は、S18Aにおける薄肉盛り付け処理のフローチャートである。
図28(a)に示すように、トレー6の内底面は、複数の薄肉配置区画に行列状に区分される。本実施形態では、(m,n)=(1,1),(1,2),(1,3),(1,4),(2,1),(2,2),…,(M,N)のように第1行から列順に薄肉盛り付け処理され、1つの行が終了すると、隣接する次の行において同様の盛り付け処理がなされる。
第1行を意味する「m=1」は、トレー6の内底面において、最も-Y側の位置に配置される。
第1列を意味する「n=1」は、トレー6の内底面において、最も+X側の位置に配置される。
【0071】
(S200)
まず、S200において、ロボットコントローラ34は、「採取目標位置設定処理」、及び、「軌道生成処理」を行う。
【0072】
(採取目標位置設定処理)
カメラ11による撮像結果から得られた薄肉Eの大きさに基づき、薄肉EにおけるX軸方向の中央部位または中央部位の近傍の位置を被支持部B(
図2参照)として設定し、この被支持部Bの採取目標位置を算出する。
【0073】
(軌道生成処理)
軌道生成処理は、
図22、
図23に示すポイントP0からP14までの採取から盛り付け終了までの軌道、及びポイントP14からポイントP0へ戻る軌道の生成処理であり、時間毎のハンド装置33の位置および姿勢をロボットコントローラ34によって制御する。
【0074】
(制御点の移動)
図22、
図23に基づいて各ポイント間における制御点の移動について説明する。
ポイントP0は、制御点の初期位置であり、第1搬送装置2のベルト3の中心線t(
図2参照)の直上の位置に固定配置する。
ポイントP1は、ポイントP0とポイントP2の間の経路に含まれる中間点である。
ポイントP2は、左右の指状部80L,80Rの下端および掬い上げ部70のベルト68の下端(先端)が、それぞれ搬送面3aと接触しない程度の僅かな隙間を有する高さに設定する。
ポイントP9のY軸座標値は、ポイントP2から移動するハンド装置33が盛り付け領域R上に達する前の値に設定し、ポイントP9のX軸座標値は、ポイントP2のX軸座標値と同じ値に設定する。
本実施形態では、ポイントP9のZ軸座標値は、ポイントP0のZ軸座標値よりも高い値に設定し、ハンド装置33に支持された薄肉Eがトレー6の周壁6a上を通過する際に、この薄肉Eの両端(垂下端)が周壁6aに干渉しないものとする。
【0075】
ポイントP10~ポイントP14の説明において、説明の便宜上、ポイントP12から先に説明する。
ポイントP12は、前述した薄肉配置区画(m,n)毎に、盛り付け領域Rであるトレー6の内底面上に設定された肉降下点Rmnに対して直上方に配置する。
すなわち、ポイントP12のX軸座標値およびY軸座標値は、肉降下点RmnのX軸座標値およびY軸座標値と一致する。
なお、肉降下点Rmnは、薄肉配置区画(m,n)の中心点である。
後述するS20A、S24A、S28Aによって列n及び/または行mが更新される毎に、ポイントP12のX及びY軸座標値は、更新後の肉降下点RmnのX軸座標値およびY軸座標値となる。
ポイントP12のZ軸座標値は、ポイントP9のZ軸座標値よりも小さく設定し、掬い上げ部70のベルト68の下端(先端)と左右の指状部80L,80Rの下端が、盛り付け領域Rにおけるトレー6の内底面から上方へ離間する高さに設定する。
この高さは、採取部32に支持された薄肉Eが、トレー6の内底面に接触しない高さに設定する。
【0076】
ポイントP12に制御点が到達すると、薄肉Eの支持が解除されて、この薄肉Eがトレー6の内底面に降ろされる。
図23に示すように、ポイントP10のX軸座標値は、ポイントP12のX軸座標値に対して-X側に偏倚するように所定距離d2だけ離間した値に設定する。
ポイントP10のY軸座標値は、ポイントP12のY軸座標値よりも+Y側に偏倚するように所定距離d3だけ偏倚した値に設定する。
ポイントP10のZ軸座標値は、ポイントP12と同じ値に設定する。
なお、ポイントP11は、ポイントP10とポイントP12を結ぶ直線経路上の中間ポイントである。
このポイントP11の三次元座標値は、ポイントP10とポイントP12間を結ぶ直線経路上の座標値とする。
【0077】
制御点がポイントP9からポイントP10まで移動する際にロボットアーム12が姿勢制御され、ハンド装置33は、ポイントP10において、
図28(b)に示すようにY軸方向に対して捻り角θ3を有する姿勢となる。
これにより、左右の指状部80L,80Rの並ぶ方向が、X軸に沿う方向から、Y軸方向に対して捻り角θ3で交差する交差線に対して直交する方向に変更される。
この捻りにより、掬い上げ部70は、Y軸方向に対して捻り角θ3分傾いた状態で、電動モータ41による作動ロッド37Rの短縮作動によって-Y側へ移動する。
【0078】
図30の(a)~(f)に、薄肉Eが、採取位置Tからトレー6の内底面上の肉降下点Rmnに載置されるまでの状態を平面視で示す。
採取位置Tに到達した薄肉Eの形状を符号Eaで示し、この薄肉Eの肉降下点Rmnでの仮想形状を符号Ebで示す。
また、ポイントP13,P14は、ポイントP12から連続する一直線上に位置する。
図23に示すように、このポイントP13,P14のX軸座標値は、ポイントP12のX軸座標値と同じ値に設定する。
また、このポイントP13,P14のY軸座標値は、ポイントP12のY軸座標値よりも+Y側へ順次間隔をおいて偏倚した値に設定する。
図22に示すように、ポイントP13のZ軸座標値は、ポイントP12のZ軸座標値よりも大きく設定し、ポイントP14のZ軸座標値はさらに大きく設定する。
【0079】
(ハンド装置の姿勢)
本実施形態では、制御点がポイントP9~P10へ移動する時に捻り角θ3の姿勢制御を実行し、P12に移動した際に、捻り角θ3を解消する姿勢制御を実行する。
このポイントP9~P10間を除く、残りのポイント間の軌道では、左右の指状部80L,80Rの並ぶ方向がX軸方向に沿うように姿勢制御が行われる。
【0080】
(S202~S206)
ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP0からポイントP1に移動させる。
【0081】
(S202)
図24(a)における左上の平面視で示す図のように、初期状態におけるハンド装置33において、左右の指状部80L,80RはX軸方向に最大間隔を形成する位置まで開いている。
すなわち、左右の第1部材83LM,83RMおよび左右の第2部材84LM,84RMが、夫々最大位置まで開き、各第1部材83LM,83RMの内側縁部が、各第2部材84LM,84RMの内側縁部に対して外側方へ偏倚した位置へ退避している。
なお、掬い上げ部70のベルト68に取り付けられたプレート69は、規制部材67の前縁67Eから-Y側へ進出した位置にある。
このS202において、同図および
図24(a)に示すように、第1搬送装置2によって搬送される薄肉Eが採取位置Tに到達したときに、ロボットコントローラ34がスライサーコントローラ10から採取開始信号を受信(取得)する。
これによってS204に移行する。
【0082】
(S204)
S204では、ロボットコントローラ34において、ポイントP2の3次元座標のうち、X軸座標値をS200で得られた採取目標位置におけるX軸座標値に変更する。
なお、採取目標位置のY軸座標値及びZ軸座標値は変更しない。
続いてS206に移行する。
【0083】
(S206)
S206では、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点を開始位置(ポイントP0)からポイントP1へ移動させ、S208へ移行する。
【0084】
(S208)
S208では、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP1からポイントP2へ緩速で下降させる。
これにより、
図24(a)における左下の側面視で示す図のように、指状部80L,80Rの下端(第1部材83LM,83RMの下端および第2部材84LM,84RMの下端)と掬い上げ部70のベルト68の下端(先端)が、それぞれ搬送面3aに接触しない程度の僅かな隙間を残して可及的に近接する。
なお、ベルト68の下端は搬送面3aに軽く接触させてもよい。
続いてS210に移行する。
【0085】
(S210)
S210では、上述のようにして制御点がポイントP2に達した後、ロボットコントローラ34からの出力によって電動モータ41を作動させて作動ロッド37Rを短縮作動させ、掬い上げ部70を初期位置から掬い上げ位置へ(-Y方向へ)移動させる。
すなわち、掬い上げ部70を、第1搬送装置2の下流側(+Y側)から、薄肉EにおけるX軸方向の中間部(被支持部B)付近に向けて上流側(-Y側)へ移動させ、S212へ移行する。
【0086】
(S212)
S212では、掬い上げ部70の移動開始から設定時間経過後に、ロボットコントローラ34からエアモータ作動バルブ43Vのソレノイドへの出力によってエアモータ43を正転駆動する。
これによって、支持部材66上のベルト68と、このベルト68に取り付けられたプレート69とが、傾斜上がり方向へ移動(正方向移動)する。
なお、上述の設定時間は、掬い上げ部70が初期位置から採取位置Tに位置する薄肉Eに到達するまでの時間に対して、同じ時間または僅かに短い時間に設定する。
これによって、
図24の(b)から(c)に示すように、傾斜上がり方向へ移動するベルト68におけるプレート69よりも移動方向上流側の部位(傾斜下がり側の部位)によって、採取位置Tに位置する薄肉Eの幅方向(X軸方向)の中央部が斜め上方へ掬い上げられていく。
【0087】
このとき、ベルト68上に支持されていない薄肉Eの両端部が、自重によって垂れ下がり始める。
また、
図24(c)に示すように、この掬い上げられる薄肉Eの横幅方向(X軸方向)の中央部において、その傾斜上がり側の端部が、規制部材67の前縁67Eに当接して位置規制される。
そして、この状態でベルト68が更に傾斜上がり方向へ移動することによって、薄肉Eの横幅方向中央部における傾斜下がり側の部位が、前縁67E側へ押される。
これによって、この薄肉Eの横幅方向中央部が狭窄されるように変形し、その縦幅(傾斜方向の長さ)が短縮する。
また、プレート69は、規制部材67の開放部67Sからこの規制部材67の内部へ入り、格納される。
なお、掬い上げ部70におけるベルト68の斜め上方への移動速度は、掬い上げ部70の-Y方向への移動速度に対して、同速度または稍々高速に設定するのが好ましい。
このように設定することにより、搬送面3aからベルト68への薄肉Eの引き継ぎが良好に行われ、この薄肉Eに皺が形成されにくくなる。
【0088】
図25(d)に示すように、掬い上げ部70が-Y側へさらに移動すると、ベルト68によって横幅方向中央部を掬い上げられた薄肉Eの両端部が、+Y側の左右の第2部材84LM,84RMの内側縁部に当接し、この当接抵抗によって薄肉Eの姿勢がベルト68の上面に沿う姿勢に修正される。また、左右の第2部材84LM,84RMおよび左右の第1部材83LM,83RMは、共に開放した状態を維持している。
この状態で、掬い上げ部70が、薄肉Eを掬い上げたまま左右の指状部80L,80Rの間に進入する。
これによって、掬い上げ部70の先端部(ベルト68の先端部)は、左右の指状部80L,80Rの間から-Y側へ突出する。
続いて、S214へ移行する。
【0089】
(S214)
S214では、エアモータ43の正転駆動を停止させ、掬い上げ部70のベルト68の移動を停止させる。
この後、ロボットコントローラ34からの出力によって、第1エアシリンダ81の作動を開始し、左右の指状部80L,80Rにおける左右のインナーフィンガー83IFL,83IFRの内側方(互いに接近する方向)への移動を開始する。
図25(e)に示すように、左右のインナーフィンガー83IFL,83IFRが内側方へ移動開始すると、左右の第1部材83LM,83RMの内側縁部が薄肉Eの両端部に当接し、この当接部位を内側方へ押し始める。
このとき、左右の係合部83LS,83RSが薄肉Eの下側へ進入し、この薄肉Eを抱え込み始める。
そしてS216へ移行する。
【0090】
(S216)
S216では、左右のインナーフィンガー83IFL,83IFRが内側方への移動を開始してから設定時間が経過した後に、第2エアシリンダ82の作動を開始し、左右のアウターフィンガー84IFL,84IFRを内側方(互いに接近する方向)へ移動させる。
図25(f)に示すように、薄肉Eの両端部は、左右の第1部材83LM,83RMの内側縁部によってベルト68の幅方向両側端側へ押圧され、平面視で略U字状(馬蹄形に近似した形状)に変形する。
この状態で、薄肉Eは、接近した左右の係合部83LS,83RSによって掬い上げ部70の下側(ベルト68の下側)へ抱え込まれるようにして支持される。
【0091】
以上のポイントP2におけるハンド装置33によって薄肉Eを支持して採取する工程が、請求項の第1工程に相当する。
なお、このとき、
図11に示したように、左右の第1部材83LM,83RMの内側縁部と掬い上げ部70(ベルト68)の左右側端との間に第1間隙T1,T1が残るため、薄肉Eを強く挟みすぎて損傷させることはない。
また、左右の第2部材84LM,84RMの内側縁部も掬い上げ部70の左右側端に接近するが、この左右の第2部材84LM,84RMの内側縁部と掬い上げ部70の左右側端との間に、第1間隙T1,T1よりも大きい第2間隙T2,T2が残る。
この第2間隙T2,T2の存在により、左右の第2部材84LM,84RMの内側縁部を薄肉Eに積極的に当接させないようにしている。
このようにして薄肉Eを支持した後、S218へ移行する。
【0092】
(S218)
図22、
図23に示すように、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP2からポイントP9に移動させる。
このポイントP9への制御点の移動時に、薄肉Eの両端が搬送面3aから浮上し、更にトレー6の周壁6aの高さよりも高い位置を維持する。
これによって、制御点が盛り付け領域R上に移動する際に、薄肉Eと周壁6aとの干渉が防止される。
続いて、
図21に示すS220に移行する。
【0093】
(S220)
S220では、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点を、ポイントP9からトレー6の周壁6a上方を通過させて、盛り付け領域R上方のポイントP10に移動させる。
これにより、盛り付け領域Rが設定されたトレー6の内底面に対して、左右の指状部80L,80Rの下端及び掬い上げ部70のベルト68の下端(先端)が接近する。
このポイントP10は、薄肉Eが降ろされる肉降下点Rmnが属する第m番目の行よりも下流側(+Y側)に設定する。
このポイントP9からポイントP10への移動中に、ロボットコントローラ34によってロボットアーム12を制御し、ポイントP10ではハンド装置33がY軸方向に対して捻り角θ3を有する姿勢となる。
ポイントP2からポイントP10へのハンド装置33の移動が、請求項の第2工程に相当する。
続いてS222へ移行する。
【0094】
(S222)
S222では、
図22、
図23に示すように、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP10からポイントP11へ移動させる。
このポイントP10からポイントP11への移動中、薄肉Eの両端部は、トレー6の内底面上を引きずられる。
続いてS224へ移行する。
【0095】
(S224)
S224では、制御点がポイントP11への移動を開始してから予め設定された時間が経過した後、ロボットコントローラ34からの出力によって第1エアシリンダ81を逆方向へ作動させる。
これによって、
図26(g)に示すように、左右の指状部80L,80Rにおける左右のインナーフィンガー83IFL,83IFRが外側方(互いに離間する方向)へ移動する。
また、薄肉Eに対する左右の第1部材83LM,83RMの内側縁部によるベルト68の両側端側への押圧と、左右の係合部83LS,83RSによる抱え込みが解除される。
【0096】
ただし、この時点では、ロボットコントローラ34から第2エアシリンダ82へは出力がなされず、左右のアウターフィンガー84IFL,84IFRは互いに接近した位置に維持される。
これにより、薄肉Eと当接する部材が、左右の第1部材83LM,83RMの内側縁部から、左右の第2部材84LM,84RMの内側縁部に切り替わる。
すなわち、第1部材83LM,83RMの内側縁部に(押圧されることによって)付着していた薄肉Eが、第2部材84LM,84RMの内側縁部に持ち替えられるようにして、この第1部材83LM,83RMおよび第2部材84LM,84RMから離脱される。
続いてS226へ移行する。
【0097】
(S226)
S226では、
図22、
図23に示すように、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP11からポイントP12に移動させる。
この移動中に、ロボットコントローラ34からエアモータ作動バルブ43Vのソレノイドへの出力によって、エアモータ43を逆転駆動させる。
これによって、掬い上げ部70のベルト68が斜め下方(逆方向)へ移動し、
図26(h)に示すように、薄肉Eがトレー6の内底面に向けて斜め下方へ降ろされ始める。
【0098】
このとき、左右のアウターフィンガー84IFL,84IFRは互いに接近した位置に維持され、掬い上げ部70の側端(ベルト68の側端)と左右の第2部材84LM,84RMの内側縁部の間には第2間隙T2,T2が形成されている。
また、第2部材84LM,84RMの下端部には、第1部材83LM,83RMにおけるような係合部が無い。
このため、
図26(i)から
図27(j)への状態変化に示すように、斜め下方へ降ろされる薄肉Eの左右両辺部は、左右の第2部材84LM,84RMの内側縁部によって略U字状から元の形状への復元を規制されながら(請求項の「食品の端部の開きを規制しながら」)、この第2間隙T2,T2を通過して円滑に降ろされる。
【0099】
降ろされた薄肉Eは、略U字状の形状を保持した状態で、トレー6の内底面上に寝かされるように載置される。
なお、このようにして載置された薄肉Eは、前述の掬い上げ時に規制部材67との当接によって横幅方向中央部の縦幅を短縮させ、これを略U字状に成形したものであるため、そのU字状の屈曲部E1の高さが低く抑えられる。
すなわち、
図31の(a)および(b)に示すように、トレー6の内底面上に載置された薄肉Eにおける屈曲部E1の高さは、規制部材67を設けない場合(
図31(a)参照)の高さHよりも、規制部材67を設けた場合(
図31(b)参照)の高さhの方が低くなる。
これによって、屈曲部E1の高さをトレー6の周壁6aの高さよりも低くすることができ、盛り付け完了後のトレー6にラップを掛けても、このラップの下面に薄肉Eが接触しにくく、薄肉Eの油脂によるラップの汚れが防止される。
なお、規制部材67の前縁67E,67Eに付着するなどによって薄肉Eが停滞する状態や、凍結状態の薄肉Eがベルト68上にブリッジして移送作用を受けずに停滞する状態が起こりうる。
このような状態でも、掬い上げた薄肉Eは、規制部材67内から進出するプレート69によって傾斜下がり方向へ押され、トレー6の内底面上へ強制的に下ろされる。
また、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、ハンド装置33の捻り角θ3を0にして、左右の指状部80L,80Rが並ぶ方向をX軸方向に戻す。
以上、制御点をポイントP10からポイントP12へ移動させる工程が、請求項の第3工程に相当する。
この後、S228へ移行する。
【0100】
(S228)
S228では、
図22、
図23に示すように、ロボットコントローラ34からエアモータ作動バルブ43Vのソレノイドへの出力停止によって、エアモータ43の駆動を停止させる。
これによりベルト68の移動を停止させた後、ロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP12からポイントP13へ移動させる。
これにより、ハンド装置33は、ポイントP12よりも上方へかつ、+Y方向(下流側)へ移動し、降ろした薄肉Eから離間する。
続いてS230へ移行する。
【0101】
(S230)
S230では、
図27(k)に示すように、制御点がポイントP12からの移動を開始したときに、ロボットコントローラ34からの出力によって電動モータ41を逆転駆動し、作動ロッド37Rを伸長作動させて、掬い上げ部70を初期位置へ復帰移動させる。
これと共に、ロボットコントローラ34からの出力によって第2エアシリンダ82を逆方向へ作動させ、左右のアウターフィンガー84IFL,84IFRが外側方(互いに離間する方向)へ移動し、左右の第2部材84LM,84RMの内側縁部の間隔が拡大する。
続いてS232へ移行する。
【0102】
(S232)
S232では、
図22、
図23に示すように、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP13からさらに下流側(+Y側)であって、ポイントP13よりも高い位置にあるポイントP14に移動させる。
この後、S234へ移行する。
【0103】
(S234)
図22、
図23に示すように、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP14から初期位置のポイントP0に移動させる。
以上で、肉降下点Rmnに対する1枚の薄肉Eの盛り付け処理が終了し、
図19のフローにおけるS20Aへ移行する。
【0104】
(S20A)
上述のようにして肉降下点Rmnに対する1枚の薄肉Eの盛り付け処理が終了した後、S20Aで列カウンタのカウント値nをインクリメントし、S22Aへ移行する。
【0105】
(S22A)
S22Aでは、ロボットコントローラ34によって、列カウンタのカウント値nが所定列数Nを超えているか否かを判定する。
カウント値nが所定列数Nを超えていない場合には、S18Aにリターンして、現在の行mにおいて、次の列順の肉降下点Rmnに対する薄肉Eの盛り付け処理を行う。
従って、この薄肉Eの盛り付け処理は、1行当たりN回実行されることになる。
カウント値nが、所定列数Nを超えている場合には、S24Aに移行する。
【0106】
(S24A)
S24Aでは、行カウンタのカウント値mをインクリメントし、S26Aへ移行する。
【0107】
(S26A)
S26Aでは、行カウンタのカウント値mが、所定行数Mを超えていない場合には、S28Aに移行し、行カウンタのカウント値mが、所定行数Mを超えている場合には、このフローチャートの処理を一旦終了する。
【0108】
(S28A)
S28Aでは、列カウンタのカウント値nを1にセットし、S18Aにリターンする。
S18Aにリターンすると、次の行の最初の列の肉降下点Rmnに対する薄肉Eの盛り付け処理が開始される。
以上の処理を反復して実行し、所定行数M及び所定列数Nにおける全ての肉降下点Rmnへの薄肉Eの盛り付けを完了する。
【0109】
(3行4列での盛り付け例)
ここで、所定行数Mを「3」とし、かつ、所定列数Nを「4」にして、上記フローチャートを実行した場合の例を、
図28(a)および
図29の(a)~(c)に示す。
図29(a)は、第1行第1列の肉降下点Rmn(=R11)に、薄肉Eの盛り付けが終了した状態のトレー6を平面視した説明図である。
図29(b)は、第1行の全肉降下点Rmnと、第2行第1列の肉降下点Rmn(=R21)に、薄肉Eの盛り付けが終了した状態のトレー6を平面視した説明図である。
図29(c)は、第1行及び第2行の全肉降下点Rmnと、第3行第1列の肉降下点Rmn(=R31)に、薄肉Eの盛り付けが完了した状態のトレー6を平面視した説明図である。
【0110】
(所定列数Nを行ごとに算出する処理)
以上は、最初に算出された所定列数Nを全ての行に適用する場合(全ての行にN列(N枚)の薄肉Eを置く場合)の処理について説明した。
これに対し、
図32~
図34に示すように、上述のS14における所定列数Nを、各行の先頭に置かれる薄肉Eの大きさに応じ、行ごとに算出する処理としてもよい。
なお、
図32~
図34において、盛り付け領域R内に置かれる薄肉Eの位置を円で示し、この円内に、置かれる順番に番号を付している。
【0111】
(中(標準)クラスの薄肉Eが揃う場合)
S18Aの薄肉盛り付け処理において、
図32に示すように盛り付けがなされる。
すなわち、盛り付け領域R内の最も-Y側に位置する第1行において、この第1行の先頭(最も+X側の位置)に置かれる1番目の薄肉Eが「中(標準)」のクラスに分類されたものである場合、この第1行には4列(4枚)の薄肉Eを置くことが決定される。
これに従い、第1行には、1番目の薄肉Eから4番目の薄肉Eの順に(+X側から-X側へ)、4列(4枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0112】
続いて、第1行の+Y側に隣接する第2行への盛り付け処理が開始される。
そして、この第2行の先頭に置かれる5番目の薄肉Eが同じく「中」のクラスに分類されたものである場合、この第2行にも4列(4枚)の薄肉Eを置くことが決定され、5番目の薄肉Eから8番目の薄肉Eの順に、4列(4枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0113】
続いて、第2行の+Y側に隣接する第3行への盛り付け処理が開始される。
そして、この第3行の先頭に置かれる9番目の薄肉Eが同じく「中」のクラスに分類されたものである場合、この第3行にも4列(4枚)の薄肉Eを置くことが決定され、9番目の薄肉Eから12番目の薄肉Eの順に、4列(4枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0114】
以上により、盛り付け領域R内に合計12枚の薄肉Eが置かれ、1つのトレー6への盛り付け処理が終了する。
なお、スライサー1から搬送面3a上への薄肉Eの切り出し位置からして、X軸方向において、「中(標準)」のクラスに分類された薄肉Eの被支持部Bは、搬送面3aのX軸方向の幅の中心線tに略一致する。
このため、採取位置Tにおける制御点の基準位置を、X軸方向へ位置補正する必要はない。
【0115】
(中・小クラスの薄肉Eが混在する場合)
S18Aの薄肉盛り付け処理において、
図33に示すように盛り付けがなされる。
すなわち、上述の第1行において、この第1行の先頭に置かれる1番目の薄肉Eが「中」のクラスに分類されたものである場合、この第1行には、上述の場合と同様にして、1番目の薄肉Eから4番目の薄肉Eの順に、4列(4枚)の薄肉Eが置かれる。
【0116】
続いて、第2行への盛り付け処理が開始され、この第2行の先頭に置かれる5番目の薄肉Eが「小」のクラスに分類されたものである場合、この第2行には5列(5枚)の薄肉Eを置くことが決定される。
これに従い、第2行には、5番目の薄肉Eから9番目の薄肉Eの順に、5列(5枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0117】
続いて、第3行への盛り付け処理が開始され、この第3行の先頭に置かれる10番目の薄肉Eも「小」のクラスに分類されたものである場合、この第3行にも5列(5枚)の薄肉Eを置くことが決定され、10番目の薄肉Eから14番目の薄肉Eの順に、5列(5枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0118】
以上により、盛り付け領域R内に合計14枚の薄肉Eが置かれ、1つのトレー6への盛り付け処理が終了する。
なお、X軸方向において、「小」のクラスに分類された薄肉Eの被支持部Bは、搬送面3aの中心線tに対して-X側へ距離Xaだけ偏倚するため、採取位置Tにおける制御点の基準位置を、-X側へ距離Xaだけ位置補正する。
【0119】
(中・大クラスの薄肉Eが混在する場合)
S18Aの薄肉盛り付け処理において、
図34に示すように盛り付けがなされる。
すなわち、上述の第1行において、この第1行の先頭に置かれる1番目の薄肉Eが「中」のクラスに分類されたものである場合、この第1行には、上述の場合と同様にして、1番目の薄肉Eから4番目の薄肉Eの順に、4列(4枚)の薄肉Eが置かれる。
【0120】
続いて、第2行への盛り付け処理が開始され、この第2行の先頭に置かれる5番目の薄肉Eが「大」のクラスに分類されたものである場合、この第2行には3列(3枚)の薄肉Eを置くことが決定される。
これに従い、第2行には、5番目の薄肉Eから7番目の薄肉Eの順に、3列(3枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0121】
続いて、第3行への盛り付け処理が開始され、この第3行の先頭に置かれる8番目の薄肉Eも「大」のクラスに分類されたものである場合、この第3行にも3列(3枚)の薄肉Eを置くことが決定され、8番目の薄肉Eから10番目の薄肉Eの順に、3列(3枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0122】
以上により、盛り付け領域R内に合計10枚の薄肉Eが置かれ、1つのトレー6への盛り付け処理が終了する。
なお、各行における列数を自動的に変更することにより、各列の間隔も自動的に変更される。
なお、X軸方向において、「大」のクラスに分類された薄肉Eの被支持部Bは、搬送面3aの中心線tに対して+X側へ距離Xbだけ偏倚するため、採取位置Tにおける制御点の基準位置を、+X側へ距離Xbだけ位置補正する。
【0123】
(総重量の収束)
しかして、以上の盛り付け処理における盛り付け枚数の自動調整によって、
図35に示すように、トレー6内の盛り付け領域Rに盛り付けられた薄肉Eの総重量(請求項の「食品群の重量」)が設定範囲α内に収まる。
なお、この
図35において、枚数制御した場合を示す実線における垂直落下部分(段差部分)は、トレー6に盛り付けられる薄肉Eの枚数が減ったときに現出する。
すなわち、同じ枚数のまま、薄肉Eの大きさが大きくなるに従い、盛り付け後の薄肉Eの総重量は徐々に増加するが、枚数が1枚減少することで、総重量は一旦低下する。
図32~
図34に示す例では、薄肉Eの盛り付け枚数が、12枚、14枚、10枚と異なるが、このように薄肉Eの大きさに応じて盛り付け枚数を増加または減少させることで、その総重量は設定範囲内に収まる。
また、この薄肉Eの枚数制御によって、隣接する薄肉Eの間隔も自動調整され、盛り付け領域R内に整然と盛り付けられる。
【符号の説明】
【0124】
3a 搬送面(載置面)
4 食品盛り付け装置(食品群形成方法を実現する装置)
6 トレー
11 カメラ(撮像手段)
33 ハンド装置
64F 融通機構
67 規制部材
68 ベルト(移送部材)
69 プレート(突部)
70 掬い上げ部
80L 左側の指状部
80R 右側の指状部
83LM 左側の第1部材
83RM 右側の第1部材
83LS 左側の係合部
83RS 右側の係合部
84LM 左側の第2部材
84RM 右側の第2部材
E 薄肉(食品)
R 盛り付け領域(設定領域)
SP 隙間(空間部)
T 採取位置
T1 第1間隙
T2 第2間隙