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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073778
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】走査光学装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/47 20060101AFI20240523BHJP
   G02B 26/12 20060101ALI20240523BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20240523BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
B41J2/47 101D
G02B26/12
G02B26/10 Z
H04N1/113
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184671
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】横井 淳一
(72)【発明者】
【氏名】平岡 隼一
【テーマコード(参考)】
2C362
2H045
5C072
【Fターム(参考)】
2C362AA03
2C362AA10
2C362AA43
2C362AA45
2C362BA04
2C362BA90
2C362DA41
2H045AA01
2H045BA22
2H045BA34
2H045CA03
2H045CA63
2H045DA02
5C072BA12
5C072DA02
5C072DA04
5C072DA21
5C072HA02
5C072HA08
5C072XA01
5C072XA05
(57)【要約】
【課題】フレームとホルダが熱膨張した場合に回路基板にかかるストレスを抑制する。
【解決手段】走査光学装置は、半導体レーザ10と、ホルダHと、フレームFと、回路基板100と、カップリングレンズと、偏向器と、走査光学系とを備える。半導体レーザ10は、パッケージ12と、リード13と、を有する。ホルダHは、パッケージ12が固定されている。フレームFは、ホルダHと線膨張係数が異なる。フレームFは、ホルダHが固定されている。半導体レーザ10のリード13は、回路基板100に、はんだSRにより固定されている。回路基板100は、係合部(第1長孔105、第2長孔106)を有する。係合部(第1長孔105、第2長孔106)は、リード13から回路基板100の面に沿った方向に離れて位置する。係合部(第1長孔105、第2長孔106)は、フレームFに対して、半導体レーザ10の光軸方向(第3方向)に移動可能に係合する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップを収容するパッケージと、リードと、を有する半導体レーザと、
前記パッケージが固定されたホルダと、
前記ホルダと線膨張係数が異なるフレームであって、前記ホルダが固定されたフレームと、
前記半導体レーザを駆動する駆動部を有する回路基板と、
前記半導体レーザからの光をビームに変換するカップリングレンズと、
前記フレームに固定され、前記カップリングレンズからのビームを主走査方向に偏向するポリゴンミラーを有する偏向器と、
前記フレームに固定され、前記偏向器からのビームを像面に結像する走査光学系と、を備え、
前記半導体レーザの前記リードは、前記回路基板に、はんだにより固定され、
前記回路基板は、前記リードから前記回路基板の面に沿った方向に離れて位置する係合部であって、前記フレームに対して、前記半導体レーザの光軸方向に移動可能に係合する係合部を有することを特徴とする走査光学装置。
【請求項2】
前記ホルダは、前記カップリングレンズを保持することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項3】
前記フレームは、前記回路基板に向けて延びるボスを有し、
前記係合部は、前記ボスが貫通する孔を含むことを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項4】
前記回路基板は、前記光軸方向と交差する交差方向を長辺とする矩形形状であり、
前記孔は、前記リードから前記交差方向に離れて位置し、前記交差方向に長い長孔であることを特徴とする請求項3に記載の走査光学装置。
【請求項5】
前記ボスは、前記光軸方向において、前記回路基板との間に隙間を空けた状態で第1ネジが取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の走査光学装置。
【請求項6】
前記ホルダは、前記回路基板に向けて突出し、前記回路基板に接触する接触部を有することを特徴とする請求項5に記載の走査光学装置。
【請求項7】
前記ホルダは、前記光軸方向において、前記パッケージと異なる位置で前記フレームに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項8】
前記走査光学装置は、前記ホルダを複数備え、
前記回路基板は、前記光軸方向と交差する交差方向に延び、
複数の前記ホルダは、前記交差方向に並んで位置することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項9】
前記ホルダは、前記フレームに前記光軸方向に締結される第2ネジで固定され、
前記回路基板は、前記光軸方向において前記第2ネジを露出させる切欠きを有することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリゴンミラーを備える走査光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリゴンミラーにより走査された光を検知する光センサを複数備える走査光学装置が知られている(特許文献1参照)。この走査光学装置の半導体レーザは、チップを収容するパッケージと、リードと、を有する。パッケージは、ホルダに保持された状態でフレームに固定されている。リードは回路基板に固定されている。回路基板は、フレームにネジで固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-134781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の走査光学装置では、フレームとホルダが異なる線膨張係数を持つ場合には、フレームとホルダが熱膨張した場合に回路基板にストレスがかかるという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は、フレームとホルダが熱膨張した場合に回路基板にかかるストレスを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る走査光学装置は、半導体レーザと、ホルダと、フレームと、回路基板と、カップリングレンズと、偏向器と、走査光学系と、を備える。
半導体レーザは、チップを収容するパッケージと、リードと、を有する。ホルダは、パッケージが固定されている。フレームは、ホルダと線膨張係数が異なる。フレームは、ホルダが固定されている。回路基板は、半導体レーザを駆動する駆動部を有する。カップリングレンズは、半導体レーザからの光をビームに変換する。偏向器は、フレームに固定され、カップリングレンズからのビームを主走査方向に偏向するポリゴンミラーを有する。走査光学系は、フレームに固定され、偏向器からのビームを像面に結像する。
半導体レーザのリードは、回路基板に、はんだにより固定されている。回路基板は、リードから回路基板の面に沿った方向に離れて位置し、フレームに対して、半導体レーザの光軸方向に移動可能に係合する係合部を有する。
【0007】
走査光学装置は、回路基板を、フレームに対して光軸方向に移動可能に係合する係合部を有するため、線膨張係数が異なるフレームとホルダが熱膨張した場合であっても、回路基板はフレームに対して光軸方向に移動可能である。このため、フレームとホルダが熱膨張した場合に回路基板にかかるストレスを抑制できる。
【0008】
また、前記した走査光学装置において、ホルダは、カップリングレンズを保持する構成としてもよい。
【0009】
フレームと異なる線膨張係数を有するホルダがカップリングレンズを保持することで、走査光学装置の温度の変動による結像位置のずれを、線膨張係数の違いによって補償することができる。
【0010】
また、前記した走査光学装置において、フレームは、回路基板に向けて延びるボスを有し、係合部は、ボスが貫通する孔を含む構成としてもよい。
【0011】
回路基板は、フレームのボスが貫通する孔を有するため、回路基板が、回路基板の面に沿った方向に移動するのを抑制することができる。
【0012】
また、前記した走査光学装置において、回路基板は光軸方向と交差する交差方向を長辺とする矩形形状であり、孔はリードから交差方向に離れて位置し交差方向に長い長孔である構成としてもよい。
【0013】
係合部としての孔が交差方向に長い長孔である構成とすることにより、熱膨張によって回路基板にかかる交差方向のストレスを逃がすことができる。
【0014】
また、前記した走査光学装置において、ボスは、光軸方向において、回路基板との間に隙間を空けた状態で第1ネジが取り付けられている構成としてもよい。
【0015】
ボスは、光軸方向において、回路基板との間に隙間を空けた状態で第1ネジが取り付けられている構成とすることにより、第1ネジが回路基板の抜け止めとして機能する。また、回路基板との間に隙間があることで、回路基板の第3方向の移動を許容することができる。
【0016】
また、前記した走査光学装置において、ホルダは、回路基板に向けて突出し、回路基板に接触する接触部を有する構成としてもよい。
【0017】
回路基板に振動などの外力が加わったときに、リードのみで外力を受けるのではなく、リードと接触部で外力を受けることができるので、リードにかかる負荷を抑制することができる。
【0018】
また、前記した走査光学装置において、ホルダは、光軸方向において、パッケージと異なる位置でフレームに固定されている構成としてもよい。
【0019】
また、走査光学装置は、ホルダを複数備え、回路基板は、光軸方向と交差する交差方向に延び、複数のホルダは、交差方向に並んで位置する構成としてもよい。
【0020】
また、前記した走査光学装置において、ホルダは、フレームに光軸方向に締結される第2ネジで固定され、回路基板は、光軸方向において第2ネジを露出させる切欠きを有する構成としてもよい。
【0021】
回路基板は、光軸方向において第2ネジを露出させる切欠きを有する構成とすることにより、回路基板をフレームから外すことなく、フレームから第2ネジを外しやすい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、フレームとホルダが熱膨張した場合に回路基板にかかるストレスを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】走査光学装置を第1方向の他方側から見た斜視図である。
図2】走査光学装置を第1方向の一方側から見た斜視図である。
図3図1のIII-III断面図である。
図4図1のIV-IV断面図である。
図5】入射光学系を拡大して示す斜視図である。
図6】半導体レーザ、ホルダおよびフレームの関係を示す分解斜視図である。
図7図3の部分拡大図であり、半導体レーザ、ホルダ、回路基板およびフレームの関係を示す図である。
図8】フレームに取り付けられた回路基板を示す斜視図である。
図9】フレームから回路基板を取り外した状態を示す斜視図である。
図10】回路基板を示す正面図である。
図11】フレームに取り付けられた回路基板を示す正面図(a)と、回路基板を外した状態のフレームを示す正面図(b)である。
図12図11のA-A断面図(a)と、B-B断面図(b)である。
図13図11のC-C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1および図2に示すように、走査光学装置1は、フレームFと、入射光学系Liと、偏向器50と、走査光学系Loと、回路基板100と、を備える。本実施形態において、走査光学装置1は、電子写真式の画像形成装置に適用されている。画像形成装置は、4つの感光ドラム200(図4参照)を備える。
【0025】
以下の説明では、後述するポリゴンミラー51の回転軸線X1に平行な方向を、「第1方向」と称する。また、第1方向に直交する方向であって、ポリゴンミラー51と第1走査レンズ60(図4参照)が並ぶ方向を、「第2方向」と称する。また、第1方向および第2方向に直交する方向を「第3方向」と称する。第3方向は、主走査方向に相当し、第1方向は、入射光学系Liの副走査方向に相当する。図面における各方向を示す矢印は、各方向における一方側を指すこととする。
【0026】
入射光学系Liは、4つの半導体レーザ10と、4つのカップリングレンズ20と、絞り板30と、集光レンズ40とを備える。
【0027】
半導体レーザ10は、光を出射する装置である。半導体レーザ10は、走査光学装置1が走査露光する4つの感光ドラム200(図4参照)に対応して4つ設けられている。各感光ドラム200には、それぞれ異なる色のトナー像が形成される。
【0028】
なお、本実施形態では、第1色を「イエロー(Y)」、第2色を「マゼンタ(M)」、第3色を「シアン(C)」、第4色を「ブラック(K)」とする。以下の説明では、第1色に対応した部品の名称の頭に「第1」を付し、第1色に対応した部品の符号の末尾に「Y」を付して区別する場合がある。また、第2色、第3色、第4色に対応した部品ついても同様に、名称の頭に「第2」、「第3」、「第4」を付し、符号の末尾に「M」、「C」、「K」を付して区別する場合がある。
【0029】
半導体レーザ10は、イエローに対応した第1半導体レーザ10Yと、マゼンタに対応した第2半導体レーザ10Mと、シアンに対応した第3半導体レーザ10Cと、ブラックに対応した第4半導体レーザ10Kとを有する。第1半導体レーザ10Yは、第2半導体レーザ10Mに対して第1方向に間隔を空けて並んでいる。第1半導体レーザ10Yは、第2半導体レーザ10Mに対して第1方向の一方側に位置する。
【0030】
第3半導体レーザ10Cは、第2半導体レーザ10Mに対して第2方向に間隔を空けて並んでいる。第3半導体レーザ10Cは、第2半導体レーザ10Mに対して第2方向の他方側に位置する。第4半導体レーザ10Kは、第1方向において第3半導体レーザ10Cと間隔を空けて並び、かつ、第2方向において第1半導体レーザ10Yと間隔を空けて並んでいる。
【0031】
カップリングレンズ20は、半導体レーザ10からの光をビームに変換するレンズである。各色に対応した各カップリングレンズ20Y,20M,20C,20Kは、対応する半導体レーザ10Y,10M,10C,10Kと対向する位置に配置されている。
【0032】
絞り板30は、カップリングレンズ20からのビームが通過する開口絞り31を有する。本実施形態では、絞り板30は、フレームFに一体に形成されている。絞り板30は、カップリングレンズ20と集光レンズ40の間に位置している。開口絞り31は、4つの半導体レーザ10およびカップリングレンズ20に対応して4つ設けられている。
【0033】
集光レンズ40は、カップリングレンズ20からのビームを副走査方向においてポリゴンミラー51のミラー面に集光するレンズである。集光レンズ40は、絞り板30に対してカップリングレンズ20とは反対側に位置している。
【0034】
図3に示すように、偏向器50は、カップリングレンズ20からのビームを主走査方向(第3方向)に偏向する装置であり、ポリゴンミラー51と、ポリゴンモータ52と、モータ基板53とを有する。ポリゴンミラー51は、回転することでビームを主走査方向に偏向する。ポリゴンミラー51は、回転軸線X1から等距離に設けられた5つのミラー面を有している(図1も参照)。ポリゴンミラー51は、カップリングレンズ20からのビームを主走査方向に偏向する。ポリゴンモータ52は、ポリゴンミラー51を回転させるモータである。モータ基板53は、ポリゴンモータ52を有し、フレームFに固定されている。すなわち、偏向器50は、フレームFに固定されている。
【0035】
図4に示すように、走査光学系Loは、偏向器50によって偏向されたビームを、像面としての感光ドラム200の表面に結像する光学系である。走査光学系Loを構成する各部品は、フレームFに固定されている。走査光学系Loは、イエローに対応した第1走査光学系LoYと、マゼンタに対応した第2走査光学系LoMと、シアンに対応した第3走査光学系LoCと、ブラックに対応した第4走査光学系LoKとを有する。
【0036】
第1走査光学系LoYおよび第2走査光学系LoMは、第2方向において、ポリゴンミラー51の一方側に配置されている。第3走査光学系LoCおよび第4走査光学系LoKは、第2方向において、ポリゴンミラー51の他方側に配置されている。各走査光学系LoY,LoM,LoC,LoKには、偏向器50からのビームが入射する。
【0037】
第1走査光学系LoYは、第1走査レンズ60YMと、第2走査レンズ70Yと、反射ミラー81Yとを有する。第1走査レンズ60YMは、第1走査光学系LoYを構成する光学部品のうち偏向器50に最も近い光学部品である。詳しくは、第1走査光学系LoYにおいて主走査方向の中心を通るビームの光路に沿った距離で見て、第1走査レンズ60YMは、偏向器50に最も近い光学部品である。
【0038】
第1走査レンズ60YMは、偏向器50で偏向されたビームBY,BMを主走査方向に屈折させて感光ドラム200Y,200Mに結像させるレンズである。また、第1走査レンズ60YMは、偏向器50によって等角速度で走査されたビームBY,BMを、感光ドラム200Y,200Mにおいて等速度となるようにするfθ特性を有する。
【0039】
反射ミラー81Yは、第1走査レンズ60YMからのビームBYを感光ドラム200Yに向けて反射するミラーである。
【0040】
第2走査レンズ70Yは、反射ミラー81Yで反射されたビームBYを副走査方向に屈折させて感光ドラム200Yに結像させるレンズである。なお、走査光学系Loにおいて、副走査方向は、主走査方向およびビームの進行方向に直交する方向に相当する。第2走査レンズ70Yは、ポリゴンミラー51に対して第1方向の一方側の位置に配置されている。
【0041】
第2走査光学系LoMは、第1走査レンズ60YMと、第2走査レンズ70Mと、反射ミラー81Mと、ミラー82Mとを有する。第1走査レンズ60YMは、第2走査光学系LoMを構成する光学部品のうち偏向器50に最も近い光学部品である。
【0042】
第1走査レンズ60YMは、第1走査光学系LoYと共用されている。ミラー82Mは、第1走査レンズ60YMからのビームBMを反射ミラー81Mに反射するミラーである。第2走査レンズ70Mおよび反射ミラー81Mは、第1走査光学系LoYの第2走査レンズ70Yおよび反射ミラー81Yと同様の機能を有する。すなわち、反射ミラー81Mは、ミラー82Mで反射されたビームBMを感光ドラム200Mに向けて反射し、第2走査レンズ70Mは、反射ミラー81Mで反射されたビームBMを副走査方向に屈折させて感光ドラム200Mに結像させる。
【0043】
第3走査光学系LoCは、ポリゴンミラー51の回転軸線X1に対して、おおむね第2走査光学系LoMと線対称の構造となっている。具体的に、第3走査光学系LoCは、第2走査光学系LoMの各部材と同様の機能を有する、第1走査レンズ60CK、第2走査レンズ70C、反射ミラー81Cおよびミラー82Cを有する。第1走査レンズ60CKは、第3走査光学系LoCを構成する光学部品のうち偏向器50に最も近い光学部品である。
【0044】
第1走査レンズ60CKは、偏向器50で偏向されたビームBC,BKを主走査方向に屈折させて感光ドラム200C,200Kに結像させる。ミラー82Cは、第1走査レンズ60CKからのビームBCを反射ミラー81Cに反射し、反射ミラー81Cは、ミラー82Cで反射されたビームBCを感光ドラム200Cに向けて反射し、第2走査レンズ70Cは、反射ミラー81Cで反射されたビームBCを副走査方向に屈折させて感光ドラム200Cに結像させる。
【0045】
第4走査光学系LoKは、ポリゴンミラー51の回転軸線X1に対して、おおむね第1走査光学系LoYと線対称の構造となっている。具体的に、第4走査光学系LoKは、第1走査光学系LoYの各部材と同様の機能を有する、第1走査レンズ60CK、第2走査レンズ70Kおよび反射ミラー81Kを有する。第1走査レンズ60CKは、第4走査光学系LoKを構成する光学部品のうち偏向器50に最も近い光学部品である。
【0046】
反射ミラー81Kは、第1走査レンズ60CKからのビームBKを感光ドラム200Kに向けて反射し、第2走査レンズ70Kは、反射ミラー81Kで反射されたビームBKを副走査方向に屈折させて感光ドラム200Kに結像させる。
【0047】
図3に示すように、各半導体レーザ10Y,10M,10C,10Kから出射された光は、対応する各カップリングレンズ20Y,20M,20C,20Kを通ることでビームBY,BM,BC,BKに変換される。ビームBY,BM,BC,BKは、絞り板30の対応する開口絞り31Y,31M,31C,31Kを通った後、集光レンズ40を通って、ポリゴンミラー51に入射される。集光レンズ40は、ビームBY,BM,BC,BKが共通して通過するレンズであり、入射面が円筒面、出射面が平面で構成される。
【0048】
図12(a)に示すように、半導体レーザ10は、チップ11と、パッケージ12と、リード13と、を有する。チップ11は、レーザ光が出射される部分である。パッケージ12は、筒状に形成され、内側にチップ11を収容する部分である。(図6も参照)。リード13は、パッケージ12の底面12aから外側に向けて延びており、後述する回路基板100とチップ11とを電気的に接続する。本実施形態では、各半導体レーザ10にそれぞれ4本のリード13が設けられている。
【0049】
図4に示すように、ポリゴンミラー51は、ビームBY,BM,BC,BKを、対応する走査光学系LoY,LoM,LoC,LoKに向けて偏向する。第1走査光学系LoYに向かうビームBYは、第1走査レンズ60YMを通った後、反射ミラー81Yで反射され、第2走査レンズ70Yを通って第1方向の一方側の感光ドラム200Yに向けて出射される。ビームBYは、第1方向と所定の角度をなして第2走査レンズ70Yから出射される。ビームBYは、感光ドラム200Yの表面に結像され、主走査方向に走査される。
【0050】
第2走査光学系LoMに向かうビームBMは、第1走査レンズ60YMを通った後、ミラー82Mおよび反射ミラー81Mで反射され、第2走査レンズ70Mを通って第1方向の一方側の感光ドラム200Mに向けて出射される。ビームBMは、第1方向と所定の角度をなして第2走査レンズ70Mから出射される。ビームBMは、感光ドラム200Mの表面に結像され、主走査方向に走査される。ビームBC,BKも、同様に、対応する走査光学系LoC,LoKによって、第1方向の一方側の感光ドラム200C,200Kに向けて出射されて、対応する感光ドラム200C,200Kの表面に結像され、主走査方向に走査される。
【0051】
フレームFは、樹脂製であり、成形によって一体に造られている。フレームFは、図2に示す第1凹部CP1と、図1に示す第2凹部CP2とを有する。第1凹部CP1は、第1方向の一方側に開口する。第2凹部CP2は、第1方向の他方側に開口する。図4に示すように、第1凹部CP1内には、偏向器50と、走査光学系Loの一部とが配置されている。具体的には、走査光学系Loのうち各反射ミラー81を除く部材が、第1凹部CP1内に配置されている。図1に示すように、第2凹部CP2内には、カップリングレンズ20、絞り板30および集光レンズ40が配置されている。第2凹部CP2は、第1凹部CP1に対して第3方向の他方側に配置されている。
【0052】
フレームFは、第1凹部CP1の底に位置する第1ベース壁Fb1と、第2凹部CP2の底に位置する第2ベース壁Fb2とを有する。
【0053】
第1ベース壁Fb1および第2ベース壁Fb2は、第1方向に交差する壁である。詳しくは、第1ベース壁Fb1および第2ベース壁Fb2は、厚み方向が第1方向に沿っている壁である。つまり、第1ベース壁Fb1および第2ベース壁Fb2は、第1方向に直交する平面を有する壁である。
【0054】
ここで、半導体レーザ10およびカップリングレンズ20の固定方法について説明する。図5に示すように、走査光学装置1は、ホルダHをさらに備え、半導体レーザ10およびカップリングレンズ20は、ホルダHに保持された状態でフレームFに固定されている。走査光学装置1は、複数のホルダHを備え、複数のホルダHは、第2方向に並んで位置する。ホルダHは、樹脂製である。ホルダHは、フレームFとは異なる樹脂で形成されており、ホルダHとフレームFは、線膨張係数が異なる。
【0055】
図6に示すように、ホルダHは、半導体レーザ10の光軸方向(以下の説明では単に「光軸方向」という。)すなわち第3方向に締結される第2ネジN2によってフレームFに固定されている。
【0056】
図5に示すように、ホルダHは、4つの半導体レーザ10Y,10M,10C,10Kと、4つのカップリングレンズ20Y,20M,20C,20Kを保持するように複数の部材から構成されている。具体的に、ホルダHは、第1レーザホルダH11と、第2レーザホルダH12と、第1レンズホルダH21と、第2レンズホルダH22と、を有する。第1レーザホルダH11と第2レーザホルダH12は、第2方向に並んでいる。第1レンズホルダH21と第2レンズホルダH22は、第2方向に並んでいる。
【0057】
図6に示すように、第1レーザホルダH11は、第1半導体レーザ10Y、第2半導体レーザ10Mおよび第1カップリングレンズ20Yを保持する。第1レーザホルダH11は、断面視L字形状の部材である。第1レーザホルダH11は、第1部分111と、第2部分112と、2つの第3部分113と、第1ホルダ位置決め部114と、第2ホルダ位置決め部115とを有する。
【0058】
第1部分111は、第1方向に直交する平面である。第1部分111には、第1カップリングレンズ20Yが光硬化樹脂によって固定されている。
【0059】
第2部分112は、第1部分111の第3方向における他方側の端から第1方向の他方側に向けて延びている。
第2部分112は、第1保持部112Aと、第2保持部112Bと、延出部112Cと、接触部112Dと、を有する。
第1保持部112Aは、第1半導体レーザ10Yを保持する。第2保持部112Bは、第2半導体レーザ10Mを保持する。第1保持部112Aおよび第2保持部112Bは、半導体レーザ10のパッケージ12が圧入されて固定されている(図7参照)。延出部112Cは、三角形形状を有し、第2方向に延出している。接触部112Dは、延出部112Cの中央から第3方向の他方側に突出しているボスである。接触部112Dは、後述する回路基板100に向けて突出し、回路基板100に接触する部分である。フレームFは、延出部112Cが入り込む溝Fgを有する。溝Fgは、延出部112Cに対応して三角形形状を有している。これにより、第1レーザホルダH11と、第2レーザホルダH12とがフレームFに逆に取り付けられることを抑制することができるようになっている(図10も参照)。
【0060】
第3部分113は、第1部分111から第1方向の一方側に向けて延びている。第3部分113は、第1部分111の第2方向における両端に1つずつ設けられている。
【0061】
第1ホルダ位置決め部114は、第1レーザホルダH11をフレームFに対して位置決めするための部分である。第1ホルダ位置決め部114は、第1部分111から第1方向の一方側に向けて延びている。第1ホルダ位置決め部114は、2つの第3部分113の間に位置し、2つの第3部分113に接続されている。第1ホルダ位置決め部114は、第1レーザホルダH11を第3方向に位置決めするための面114Aと、第1ホルダ位置決め部114を第1方向および第2方向に位置決めするための穴114Bとを有する。
【0062】
ここで、フレームFは、第1ボスF51を有している。第1ボスF51は、第3方向の他方側に向けて突出する円筒形状を有する。第1ボスF51の先端面の中心には、第2ネジN2が挿入される穴が形成されている。第1ホルダ位置決め部114は、第3方向において、フレームFに第2ネジN2で固定されている。図7に示すように、第1ホルダ位置決め部114は、第2ネジN2の頭と第1ボスF51との間で挟まれている。このように、ホルダHは、光軸方向すなわち第3方向において、半導体レーザ10のパッケージ12およびリード13と異なる位置でフレームFに固定されている。
【0063】
図6に戻り、第2ホルダ位置決め部115は、第1レーザホルダH11が第1ボスF51を中心に回転するのを規制する部分である。第2ホルダ位置決め部115は、第2部分112の第1方向の他方側の端から第3方向の他方側に延びた後、第1方向の他方側に延びている。第2ホルダ位置決め部115は、第1レーザホルダH11の回転を規制するための溝115Aを有している。溝115Aは、第3方向に貫通するとともに、第1方向の他方側に開口する。
【0064】
ここで、フレームFは、接触リブF52を有している。接触リブF52は、第1方向の一方側に向けて突出するとともに、第3方向の他方側に向けて突出する形状を有する。第1レーザホルダH11がフレームFに取り付けられた状態において、接触リブF52は、第2ホルダ位置決め部115の溝115A内に入っている(図9も参照)。
【0065】
第2レーザホルダH12は、第3半導体レーザ10C、第4半導体レーザ10Kおよび第4カップリングレンズ20Kを保持する断面視L字形状の部材である。第4カップリングレンズ20Kは、光硬化樹脂によって第2レーザホルダH12に固定されている。なお、第2レーザホルダH12は、第1レーザホルダH11とは保持する対象が異なるだけであり、その他の点は、第1レーザホルダH11と同様に構成されるため、説明は省略する。なお、第1半導体レーザ10Yと第3半導体レーザ10Cとは、光軸を中心とした回転角度が異なるようにそれぞれ第1レーザホルダH11、第2レーザホルダH12に固定されている。また、第2半導体レーザ10Mと第4半導体レーザ10Kとは、光軸を中心とした回転角度が異なるようにそれぞれ第1レーザホルダH11、第2レーザホルダH12に固定されている。
【0066】
図5に戻り、第1レンズホルダH21は、第2カップリングレンズ20Mを保持する部材である。具体的には、第1レンズホルダH21は、第2カップリングレンズ20Mを、第1カップリングレンズ20Yに対して第1方向に並んだ位置に保持する。
【0067】
第1レンズホルダH21は、レンズ保持部211と、2つの脚部212とを有する。レンズ保持部211は、第3方向に貫通する孔と、孔の周縁から第3方向の他方側に延びる半円筒状の一対のリブとを有する。第2カップリングレンズ20は、一対のリブ間に圧入されることで、第1レンズホルダH21に保持される。2つの脚部212は、第2方向に離れて設けられ、それぞれレンズ保持部211から第1方向の一方側に延びている。2つの脚部212は、それぞれ光硬化樹脂によって第1レーザホルダH11に固定されている。
【0068】
第2レンズホルダH22は、第3カップリングレンズ20Cを保持する部材であり、第1レンズホルダH21と同様に構成されるため、説明は省略する。
【0069】
図8図9に示すように、回路基板100は、フレームFの第3方向の他方側の端部に位置する。回路基板100は、光軸方向(第3方向)と交差する交差方向(以下の説明では単に「交差方向」という。)、すなわち第2方向を長辺とする矩形形状である。
【0070】
図10に示すように、回路基板100は、第1駆動部101と、第2駆動部102と、コネクタ103と、第1長孔105と、第2長孔106と、リード孔107と、第1切欠きK1と、第2切欠きK2と、第3切欠きK3と、第4切欠きK4と、を有する。
【0071】
第1駆動部101および第2駆動部102は、半導体レーザ10を駆動する駆動部の一例である。第1駆動部101は、第1半導体レーザ10Yおよび第2半導体レーザ10Mを駆動するレーザドライバである。第2駆動部102は、第3半導体レーザ10Cおよび第4半導体レーザ10Kを駆動するレーザドライバである。第1駆動部101と第2駆動部102とは、半導体レーザ10を挟んで第2方向の異なる側に配置されている。
【0072】
コネクタ103は、回路基板100の第1方向の他端側の端部であって第2方向の他端側の端部に配置されている。コネクタ103は、ハーネスHAが接続される。ハーネスHAは、回路基板100からモータ基板53に信号を送るための5本のケーブルからなる配線である。
【0073】
図9に示すように、フレームFは、回路基板100に向けて延びるボスの一例としての第2ボスF53および第3ボスF54を有する。第2ボスF53および第3ボスF54は、フレームFにおける第3方向の他端側の端部であって、第2方向の両端部に1つずつ配置されている。
【0074】
第2ボスF53は、第3方向の他方側に向けて突出する円筒形状を有している。第2ボスF53は、基部531と突出部532とを有する。基部531は、円筒形状を有する。基部531の外径は、第1長孔105の短軸方向の大きさよりも大きい。図12(b)に示すように、基部531は、第3方向の他端に、支持面533を有する。突出部532は、支持面333から第3方向の他方側に向けて突出する円筒形状を有する。突出部532の外径は、基部531の外径よりも小さく、第1長孔105の短軸方向の大きさよりも小さい。突出部532は、第3方向の他端に座面535を有する。座面535の中央には、回路基板100をフレームFに固定するための第1ネジN1が係合する穴536が、第3方向に延びている。突出部532の突出量D1は、回路基板100の厚さD2より大きい。
【0075】
図9に戻り、第3ボスF54は、第3方向の他方側に向けて突出する円筒形状を有している。第3ボスF54は、基部541と突出部542とを有する。基部541は、円筒形状を有する。基部541の外径は、第2長孔106の短軸方向の大きさよりも大きい。図12(b)に示すように、基部541は、第3方向の他端に、支持面543を有する。突出部542は、支持面343から第3方向の他方側に向けて突出する円筒形状を有する。突出部542の外径は、基部541の外径よりも小さく、第2長孔106の短軸方向の大きさよりも小さい。突出部542は、第3方向の他端に座面545を有する。座面545の中央には、回路基板100をフレームFに固定するための第1ネジN1が係合する穴546が、第3方向に延びている。突出部542の突出量D1は、回路基板100の厚さD2より大きい。
【0076】
第1長孔105および第2長孔106は、第2ボスF53、第3ボスF54が貫通する孔であり、フレームFに対して係合する係合部の一例である。第1長孔105および第2長孔106は、それぞれ、第2ボスF53と第3ボスF54に対応して、回路基板100の第2方向における両端部に配置されている。第1長孔105および第2長孔106は、リード孔107から第2方向に離れて位置する。第1長孔105および第2長孔106は、第2方向に長い長孔である。
【0077】
図12(b)に示すように、第1長孔105には、第2ボスF53の突出部532が入り込んでいる。そして、突出部532の座面535が第1ネジN1の頭部と接触している。突出部532の突出量D1が回路基板100の厚さD2より大きいため、回路基板100は、支持面533と第1ネジN1の頭との間を移動可能である。このように、第2ボスF53は、光軸方向すなわち第3方向において、回路基板100との間に隙間を空けた状態で第1ネジN1が取り付けられている。
【0078】
第2長孔106には、第3ボスF54の突出部542が入り込んでいる。そして、突出部542の座面535が第1ネジN1の頭部と接触している。突出部542の突出量D1が回路基板100の厚さD2より大きいため、回路基板100は、支持面543と第1ネジN1の頭との間を移動可能である。このように、第3ボスF54は、光軸方向すなわち第3方向において、回路基板100との間に隙間を空けた状態で第1ネジN1が取り付けられている。
【0079】
支持面533,543は、回路基板100をフレームFに取り付ける際に、第3方向におけるおよその位置決めをする機能を有する。また、支持面533,543は、回路基板100に外力が加わった場合に、回路基板100が支持面533,543に当たることで、リード13に過大な負荷が掛かることを抑制する。
【0080】
図10に戻り、リード孔107は、半導体レーザ10のリード13が固定される孔である。回路基板100は、1つの半導体レーザ10が有する4本のリードに対応して、4つの孔を有する。本実施形態では、回路基板100は、4つの半導体レーザ10Y,10M,10C,10Kに対応して、計16個のリード孔107を有している。図12(a)に示すように、各リード13は、各リード孔107の周囲の配線パターンに、はんだSRにより固定されている。
【0081】
図13に示すように、回路基板100と半導体レーザ10が固定された状態において、ホルダHの接触部112Dは、回路基板100に接触している。
【0082】
図10に戻り、第1切欠きK1、第2切欠きK2および第3切欠きK3は、フレームFに対して移動可能に係合する部分であり、フレームFに対して第3方向に移動可能に係合する係合部の一例である。ここで、フレームFは、第1突起F55と、第2突起F56と、第3突起F57と、を有している。
【0083】
第1切欠きK1は、回路基板100における第1方向の他端側の端縁であって、第2方向の中央に配置されている。第1切欠きK1は、第1方向に延びている。第1切欠きK1には、第1突起F55が入り込み、第1方向に移動可能に係合する。
【0084】
第2切欠きK2は、回路基板100における第1方向の中央であって、第2方向の一端側の端縁に配置されている。第2切欠きK2は、第2方向に延びている。第2切欠きK2には、第2突起F56が入り込み、第2方向に移動可能に係合する。
【0085】
第3切欠きK3は、回路基板100における第1方向の中央であって、第2方向の他端側の端縁に配置されている。第3切欠きK3は、第2方向に延びている。第3切欠きK3には、第3突起F57が入り込み、第2方向に移動可能に係合する。
【0086】
第4切欠きK4は、回路基板100における第1方向の一端側の端縁であって、第2方向の中央に配置されている。第4切欠きK4は、第1方向より第2方向に長い矩形である。図11に示すように、第4切欠きK4は、第3方向において第2ネジN2を露出させる切欠きの一例である。
【0087】
以上、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
走査光学装置1では、半導体レーザ10のパッケージ12は、がホルダHに保持された状態で、フレームFに固定されている。また、半導体レーザ10のリード13は、回路基板100に、はんだSRにより固定されている。フレームFとホルダHの線膨張係数が異なるため、フレームFとホルダHが熱膨張した場合、従来の走査光学装置では、回路基板がフレームに例えばネジによって固定されていたため、回路基板にストレスがかかることがあった。
しかし、本実施形態の走査光学装置1によれば、回路基板100は、リード13から回路基板100の面に沿った方向に離れて位置する係合部としての第1長孔105および第2長孔106を有する。この第1長孔105および第2長孔106は、フレームFに対して第3方向に移動可能に係合している。このため、線膨張係数が異なるフレームFと、半導体レーザ10を保持するホルダHと、が熱膨張した場合であっても、回路基板100は、フレームFに対して第3方向に移動可能である。この結果、フレームFとホルダHが熱膨張した場合に回路基板100にかかるストレスを抑制できる。
【0088】
また、フレームFと異なる線膨張係数を有するホルダHがカップリングレンズ20を保持することで、走査光学装置1の温度の変動による結像位置のずれを、線膨張係数の違いによって補償することができる。
【0089】
また、回路基板100は、第2ボスF53および第3ボスF54が貫通する第1長孔105および第2長孔106を有することにより、回路基板100が第1方向に移動するのを抑制することができる。
同様に、回路基板100は、第1突起F55が貫通する第1切欠きK1を有することにより、回路基板100が第2方向に移動するのを抑制することができる。
同様に、回路基板100は、第2突起F56および第3突起F57が貫通する第2切欠きK2および第3切欠きK3を有することにより、回路基板100が第1方向に移動するのを抑制することができる。
【0090】
また、フレームFに係合する第1長孔105は第2ボスF53が貫通しており、第2長孔106は第3ボスF54が貫通している。第1長孔105および第2長孔106は、第2方向に長い長孔であるため、フレームFとホルダHとが熱膨張した場合であっても、回路基板100がフレームFに対して第2方向に移動可能となる。このため、熱膨張によって回路基板100にかかる第2方向のストレスを逃がすことができる。
【0091】
また、フレームFの第2ボスF53および第3ボスF54は、第3方向において、回路基板100との間に隙間を空けた状態で第1ネジN1が取り付けられている(図12(b)参照)。このため、第1ネジN1が回路基板100の抜け止めとして機能するとともに、回路基板100との間に隙間があることで、回路基板100の第3方向の移動を許容することができる。
て回路基板100にかかる第2方向のストレスを逃がすことができる。
【0092】
また、ホルダHの接触部112Dが回路基板100に接触することで、回路基板100に振動などの外力が加わったときに、リード13のみで外力を受けるのではなく、リード13と接触部112Dで外力を受けることができるので、リード13にかかる負荷を抑制することができる。
【0093】
また、回路基板100は、第3方向において第2ネジN2を露出させる第4切欠きK4を有する。このため、回路基板100をフレームFから外すことなく、フレームFから第2ネジN2を外しやすい。
【0094】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0095】
前記実施形態では、半導体レーザ10が4本のリード13を有していたが、リード13の数は特に限定されるものではない。
【0096】
前記実施形態では、集光レンズとカップリングレンズが別体であったが、集光レンズは、カップリングレンズと一体であってもよい。
【0097】
カップリングレンズ20は回折面を有してもよい。この場合、カップリングレンズ20の屈折力と回折力の温度による変動を補償するようにホルダHの線膨張係数を設定してもよい。
【0098】
前記実施形態では、カラーの画像形成装置に適用される走査光学装置を例示したが、走査光学装置は、1つのビームのみを走査するモノクロの画像形成装置に適用されるものであってもよい。
【0099】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 走査光学装置
10 半導体レーザ
11 チップ
12 パッケージ
13 リード
20 カップリングレンズ
40 集光レンズ
50 偏向器
100 回路基板
105 第1長孔
106 第2長孔
F フレーム
H ホルダ
Li 入射光学系
Lo 走査光学系
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13