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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073782
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】走査光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20240523BHJP
   G02B 26/12 20060101ALI20240523BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20240523BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
G02B26/10 Z
G02B26/12
G02B26/10 A
G02B26/10 B
B41J2/47 101D
H04N1/113
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184675
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】横井 淳一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 晃治
【テーマコード(参考)】
2C362
2H045
5C072
【Fターム(参考)】
2C362AA03
2C362AA11
2C362AA43
2C362AA46
2C362BA04
2C362BA50
2C362BA53
2C362BA89
2C362DA41
2H045BA22
2H045BA34
2H045CA03
2H045CA63
2H045CA88
2H045DA02
5C072BA12
5C072DA02
5C072DA04
5C072HA02
5C072HA08
5C072HA13
5C072XA01
5C072XA05
(57)【要約】
【課題】走査光学装置の組み立ての複雑化を抑制する。
【解決手段】走査光学装置は、第1半導体レーザ10Y,10Mと、第2半導体レーザ10C,10Kと、第1カップリングレンズ20Y,20Mと、第2カップリングレンズ20C,20Kと、偏向器50と、第1光センサ108と、第2光センサ109と、走査光学系Loと、回路基板100と、を備える。偏向器50は、第1カップリングレンズ20Y,20Mからのビームおよび第2カップリングレンズ20C,20Kからのビームを主走査方向に偏向するポリゴンミラー51を有する。第1光センサ108は、偏向器50によって偏向された第1ビームBYを検知する。第2光センサ109は、偏向器50によって偏向された第2ビームBKを検知する。第1半導体レーザ10Y,10M、第2半導体レーザ、第1光センサ108および第2光センサ109は、回路基板100に実装されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体レーザと、
第2半導体レーザと、
前記第1半導体レーザからの光を第1ビームに変換する第1カップリングレンズと、
前記第2半導体レーザからの光を第2ビームに変換する第2カップリングレンズと、
前記第1カップリングレンズからのビームおよび前記第2カップリングレンズからのビームを主走査方向に偏向するポリゴンミラーを有する偏向器と、
前記偏向器によって偏向された前記第1ビームを検知する第1光センサと、
前記偏向器によって偏向された前記第2ビームを検知する第2光センサと、
前記偏向器からの前記第1ビームおよび前記第2ビームを像面に結像する走査光学系と、
前記第1半導体レーザおよび前記第2半導体レーザを駆動する駆動部を有する回路基板と、を備え、
前記第1半導体レーザ、前記第2半導体レーザ、前記第1光センサおよび前記第2光センサは、前記回路基板に実装されていることを特徴とする走査光学装置。
【請求項2】
前記走査光学系は、前記第1ビームを像面に結像する第1走査光学系と、前記第2ビームを像面に結像する第2走査光学系と、を有し、
前記偏向器は、前記第1走査光学系と第2走査光学系と、の間に位置することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項3】
前記第1半導体レーザおよび前記第2半導体レーザは、前記回路基板上で前記第1光センサと前記第2光センサとの間に位置することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項4】
前記第1光センサは、前記第1走査光学系に走査される前記第1ビームの走査方向において、前記第1走査光学系の有効走査範囲よりも上流側で前記第1ビームを検知可能であり、
前記第2光センサは、前記第2走査光学系に走査される前記第2ビームの走査方向において、前記第2走査光学系の有効走査範囲よりも下流側で前記第2ビームを検知可能であることを特徴とする請求項2に記載の走査光学装置。
【請求項5】
前記偏向器によって偏向された前記第1ビームを反射して前記第1光センサに導く第1ミラーと、
前記偏向器によって偏向された前記第2ビームを反射して前記第2光センサに導く第2ミラーと、をさらに備え、
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーのうち少なくとも一方は、入射角が45°より大きいことを特徴とする請求項2に記載に走査光学装置。
【請求項6】
前記第1ビームの前記第1光センサの検出面に対する角度は、前記第2ビームの前記前記第2光センサの検出面に対する角度と同じであることを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項7】
前記回路基板は、前記第1半導体レーザを制御する信号と、前記第2半導体レーザを制御する信号を送るための多芯ケーブルに接続されるコネクタをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリゴンミラーを備える走査光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリゴンミラーにより走査された光を検知する光センサを複数備える走査光学装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-145569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の走査光学装置では、2つの光センサが異なる回路基板に設けられているため、走査光学装置の組み立てが複雑化するという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、走査光学装置の組み立ての複雑化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る走査光学装置は、第1半導体レーザと、第2半導体レーザと、第1カップリングレンズと、第2カップリングレンズと、偏向器と、第1光センサと、第2光センサと、走査光学系と、回路基板と、を備える。
第1カップリングレンズは、第1半導体レーザからの光を第1ビームに変換する。第2カップリングレンズは、第2半導体レーザからの光を第2ビームに変換する。偏向器は、第1カップリングレンズからのビームおよび第2カップリングレンズからのビームを主走査方向に偏向するポリゴンミラーを有する。第1光センサは、偏向器によって偏向された第1ビームを検知する。第2光センサは、偏向器によって偏向された第2ビームを検知する。走査光学系は、偏向器からの第1ビームおよび第2ビームを像面に結像する。回路基板は、第1半導体レーザおよび第2半導体レーザを駆動する駆動部を有する。
第1半導体レーザ、第2半導体レーザ、第1光センサおよび第2光センサは、回路基板に実装されている。
【0007】
走査光学装置に、第1半導体レーザ、第2半導体レーザ、第1光センサおよび第2光センサが回路基板に実装されていることで、組み立てが容易となる。
【0008】
また、前記した走査光学装置において、走査光学系は、第1ビームを像面に結像する第1走査光学系と、第2ビームを像面に結像する第2走査光学系と、を有し、偏向器は、第1走査光学系と第2走査光学系と、の間に位置する構成としてもよい。
【0009】
偏向器が、第1走査光学系と第2走査光学系と、の間に位置することで、偏向器を挟んで配置された異なる走査光学系に対応するビームを1つの回路基板で検知できる。
【0010】
また、前記した走査光学装置において、第1半導体レーザおよび第2半導体レーザは、回路基板上で第1光センサと第2光センサとの間に位置する構成としてもよい。
【0011】
第1半導体レーザおよび第2半導体レーザが回路基板上で第1光センサと第2光センサとの間に位置することにより、第1光センサおよび第2光センサに導くビームの光路が複雑化することを抑制できる。
【0012】
また、前記した走査光学装置において、第1光センサは、第1走査光学系に走査される第1ビームの走査方向において、第1走査光学系の有効走査範囲よりも上流側で第1ビームを検知可能であり、第2光センサは、第2走査光学系に走査される第2ビームの走査方向において、第2走査光学系の有効走査範囲よりも下流側で第2ビームを検知可能である構成としてもよい。
【0013】
第1光センサが第1ビームを検知し第2光センサが第2ビームを検知することで、第1光センサおよび第2光センサの検知タイミングから走査光学装置の熱膨張が算出可能となる。
【0014】
また、前記した走査光学装置において、偏向器によって偏向された第1ビームを反射して第1光センサに導く第1ミラーと、偏向器によって偏向された第2ビームを反射して第2光センサに導く第2ミラーと、をさらに備え、第1ミラーおよび第2ミラーのうち少なくとも一方は、入射角が45°より大きい構成としてもよい。
【0015】
第1ミラーおよび第2ミラーのうち少なくとも一方は、入射角が45°より大きいことで、有効走査範囲、すなわち感光体を露光するためのビームの走査範囲の近くのビームを回路基板の第1センサおよび第2センサに導くことができる。
【0016】
また、前記した走査光学装置において、第1ビームの第1光センサの検出面に対する角度は、第2ビームの第2光センサの検出面に対する角度と同じである構成としてもよい。
【0017】
第1ビームの第1光センサの検出面に対する角度は、第2ビームの第2光センサの検出面に対する角度と同じであるため、第1ビームと第2ビームの検知条件を等しくすることができる。
【0018】
また、前記した走査光学装置において、回路基板は、第1半導体レーザを制御する信号と、第2半導体レーザを制御する信号を送るための多芯ケーブルに接続されるコネクタをさらに備える構成としてもよい。
【0019】
回路基板が多芯ケーブルに接続されるコネクタを備えることで、第1半導体レーザおよび第2半導体レーザを制御するためのケーブルを1つにまとめることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、走査光学装置の組み立ての複雑化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】走査光学装置を第1方向の他方側から見た斜視図である。
図2】走査光学装置を第1方向の一方側から見た斜視図である。
図3図1のIII-III断面図である。
図4図1のIV-IV断面図である。
図5】回路基板を第1方向の他方側から見た斜視図である。
図6】回路基板を第3方向の他方側から見た正面図である。
図7】回路基板を第3方向の一方側から見た背面図である。
図8】走査光学装置を上方から見た図であり、半導体レーザから出射されたビームが光センサに到達するまでの経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1および図2に示すように、走査光学装置1は、フレームFと、入射光学系Liと、偏向器50と、走査光学系Loと、回路基板100と、第1光センサ108と、第2光センサ109と、を備える。本実施形態において、走査光学装置1は、電子写真式の画像形成装置に適用されている。画像形成装置は、4つの感光ドラム200(図4参照)を備える。
【0023】
以下の説明では、後述するポリゴンミラー51の回転軸線X1に平行な方向を、「第1方向」と称する。また、第1方向に直交する方向であって、ポリゴンミラー51と第1走査レンズ60(図4参照)が並ぶ方向を、「第2方向」と称する。また、第1方向および第2方向に直交する方向を「第3方向」と称する。第3方向は、主走査方向に相当し、第1方向は、入射光学系Liの副走査方向に相当する。図面における各方向を示す矢印は、各方向における一方側を指すこととする。
【0024】
入射光学系Liは、第1半導体レーザ10Y,10Mと、第2半導体レーザ10C,10Kと、第1カップリングレンズ20Y,20Mと、第2カップリングレンズ20C,20Kと、絞り板30と、集光レンズ40とを備える。
【0025】
半導体レーザ10は、光を出射する装置である。半導体レーザ10は、走査光学装置1が走査露光する4つの感光ドラム200(図4参照)に対応して4つ設けられている。各感光ドラム200には、それぞれ異なる色のトナー像が形成される。
【0026】
なお、本実施形態では、第1色を「イエロー(Y)」、第2色を「マゼンタ(M)」、第3色を「シアン(C)」、第4色を「ブラック(K)」とする。以下の説明では、各色に対応する部品の符号の末尾に「Y」、「M」、「C」、「K」を付して区別する場合がある。
【0027】
半導体レーザ10は、イエローおよびマゼンタに対応した2つの第1半導体レーザ10Y,10Mと、シアンおよびブラックに対応した2つの第2半導体レーザ10C,10Kとを有する。2つの第1半導体レーザ10Y,10Mは、第1方向に間隔を空けて並んでいる。第1半導体レーザ10Yは、第1半導体レーザ10Mに対して第1方向の一方側に位置する。
【0028】
第2半導体レーザ10Cは、第1半導体レーザ10Mに対して第2方向に間隔を空けて並んでいる。第2半導体レーザ10Cは、第1半導体レーザ10Mに対して第2方向の他方側に位置する。第2半導体レーザ10Kは、第1方向において第2半導体レーザ10Cと間隔を空けて並び、かつ、第2方向において第1半導体レーザ10Yと間隔を空けて並んでいる。
【0029】
第1カップリングレンズ20Y,20Mおよび第2カップリングレンズ20C,20Kは、対応する半導体レーザ10Y,10M,10C,10Kと対向する位置に配置されている。第1カップリングレンズ20Y,20Mは、第1半導体レーザ10Y,10Mからの光を第1ビームBY,BMに変換する。第2カップリングレンズ20C,20Kは、第2半導体レーザ10C,10Kからの光を第2ビームBC,BKに変換する。
【0030】
絞り板30は、カップリングレンズ20からのビームが通過する開口絞り31を有する。本実施形態では、絞り板30は、フレームFに一体に形成されている。絞り板30は、カップリングレンズ20と集光レンズ40の間に位置している。開口絞り31は、4つの半導体レーザ10およびカップリングレンズ20に対応して4つ設けられている。
【0031】
集光レンズ40は、カップリングレンズ20からのビームを副走査方向においてポリゴンミラー51のミラー面に集光するレンズである。集光レンズ40は、絞り板30に対してカップリングレンズ20とは反対側に位置している。
【0032】
図3に示すように、偏向器50は、カップリングレンズ20からのビームを主走査方向(第3方向)に偏向する装置であり、ポリゴンミラー51と、ポリゴンモータ52と、モータ基板53とを有する。ポリゴンミラー51は、回転することで、第1カップリングレンズ20Y,20Mからの第1ビームBY,BMおよび第2カップリングレンズ20C,20KからのビームBC,BKを主走査方向に偏向する。ポリゴンミラー51は、回転軸線X1から等距離に設けられた5つのミラー面を有している(図1も参照)。ポリゴンミラー51は、カップリングレンズ20からのビームを主走査方向に偏向する。ポリゴンモータ52は、ポリゴンミラー51を回転させるモータである。モータ基板53は、ポリゴンモータ52を有し、フレームFに固定されている。すなわち、偏向器50は、フレームFに固定されている。
【0033】
図4に示すように、走査光学系Loは、偏向器50によって偏向されたビームを、像面としての感光ドラム200の表面に結像する光学系である。走査光学系Loを構成する各部品は、フレームFに固定されている。走査光学系Loは、イエローおよびマゼンタに対応した第1走査光学系LoY,LoMと、シアンおよびブラックに対応した第2走査光学系LoC,LoKと、を有する。第1走査光学系LoY,LoMは、第1ビームBY,BMを像面に結像する走査光学系である。第2走査光学系LoC,LoKは、第2ビームBC,BKを像面に結像する走査光学系である。
【0034】
第1走査光学系LoY,LoMは、第2方向において、ポリゴンミラー51の一方側に配置されている。第2走査光学系LoC,LoKは、第2方向において、ポリゴンミラー51の他方側に配置されている。すなわち、偏向器50は、第1走査光学系LoY,LoMと第2走査光学系LoC,LoKと、の間に位置する。各走査光学系LoY,LoM,LoC,LoKには、偏向器50からのビームが入射する。各走査光学系LoY,LoM,LoC,LoKは、偏向器50からの第1ビームBY,BMおよび第2ビームBC,BKを像面に結像する光学系である。
【0035】
第1走査光学系LoYは、第1走査レンズ60YMと、第2走査レンズ70Yと、反射ミラー81Yとを有する。第1走査レンズ60YMは、第1走査光学系LoYを構成する光学部品のうち偏向器50に最も近い光学部品である。詳しくは、第1走査光学系LoYにおいて主走査方向の中心を通るビームの光路に沿った距離で見て、第1走査レンズ60YMは、偏向器50に最も近い光学部品である。
【0036】
第1走査レンズ60YMは、偏向器50で偏向された第1ビームBY,BMを主走査方向に屈折させて感光ドラム200Y,200Mに結像させるレンズである。また、第1走査レンズ60YMは、偏向器50によって等角速度で走査された第1ビームBY,BMを、感光ドラム200Y,200Mにおいて等速度となるようにするfθ特性を有する。
【0037】
反射ミラー81Yは、第1走査レンズ60YMからの第1ビームBYを感光ドラム200Yに向けて反射するミラーである。
【0038】
第2走査レンズ70Yは、反射ミラー81Yで反射された第1ビームBYを副走査方向に屈折させて感光ドラム200Yに結像させるレンズである。なお、走査光学系Loにおいて、副走査方向は、主走査方向およびビームの進行方向に直交する方向に相当する。第2走査レンズ70Yは、ポリゴンミラー51に対して第1方向の一方側の位置に配置されている。
【0039】
第1走査光学系LoMは、第1走査レンズ60YMと、第2走査レンズ70Mと、反射ミラー81Mと、ミラー82Mとを有する。第1走査レンズ60YMは、第1走査光学系LoMを構成する光学部品のうち偏向器50に最も近い光学部品である。
【0040】
第1走査レンズ60YMは、第1走査光学系LoYと共用されている。ミラー82Mは、第1走査レンズ60YMからのビームBMを反射ミラー81Mに反射するミラーである。第2走査レンズ70Mおよび反射ミラー81Mは、第1走査光学系LoYの第2走査レンズ70Yおよび反射ミラー81Yと同様の機能を有する。すなわち、反射ミラー81Mは、ミラー82Mで反射されたビームBMを感光ドラム200Mに向けて反射し、第2走査レンズ70Mは、反射ミラー81Mで反射されたビームBMを副走査方向に屈折させて感光ドラム200Mに結像させる。
【0041】
第2走査光学系LoCは、ポリゴンミラー51の回転軸線X1に対して、おおむね第1走査光学系LoMと線対称の構造となっている。具体的に、第2走査光学系LoCは、第1走査光学系LoMの各部材と同様の機能を有する、第1走査レンズ60CK、第2走査レンズ70C、反射ミラー81Cおよびミラー82Cを有する。第1走査レンズ60CKは、第2走査光学系LoCを構成する光学部品のうち偏向器50に最も近い光学部品である。
【0042】
第1走査レンズ60CKは、偏向器50で偏向されたビームBC,BKを主走査方向に屈折させて感光ドラム200C,200Kに結像させる。ミラー82Cは、第1走査レンズ60CKからのビームBCを反射ミラー81Cに反射し、反射ミラー81Cは、ミラー82Cで反射されたビームBCを感光ドラム200Cに向けて反射し、第2走査レンズ70Cは、反射ミラー81Cで反射されたビームBCを副走査方向に屈折させて感光ドラム200Cに結像させる。
【0043】
第2走査光学系LoKは、ポリゴンミラー51の回転軸線X1に対して、おおむね第1走査光学系LoYと線対称の構造となっている。具体的に、第2走査光学系LoKは、第1走査光学系LoYの各部材と同様の機能を有する、第1走査レンズ60CK、第2走査レンズ70Kおよび反射ミラー81Kを有する。第1走査レンズ60CKは、第2走査光学系LoKを構成する光学部品のうち偏向器50に最も近い光学部品である。
【0044】
反射ミラー81Kは、第1走査レンズ60CKからのビームBKを感光ドラム200Kに向けて反射し、第2走査レンズ70Kは、反射ミラー81Kで反射されたビームBKを副走査方向に屈折させて感光ドラム200Kに結像させる。
【0045】
図3に示すように、各半導体レーザ10Y,10M,10C,10Kから出射された光は、対応する各カップリングレンズ20Y,20M,20C,20Kを通ることでビームBY,BM,BC,BKに変換される。ビームBY,BM,BC,BKは、絞り板30の対応する開口絞り31Y,31M,31C,31Kを通った後、集光レンズ40を通って、ポリゴンミラー51に入射される。集光レンズ40は、ビームBY,BM,BC,BKが共通して通過するレンズであり、入射面が円筒面、出射面が平面で構成される。
【0046】
図4に示すように、ポリゴンミラー51は、ビームBY,BM,BC,BKを、対応する走査光学系LoY,LoM,LoC,LoKに向けて偏向する。第1走査光学系LoYに向かうビームBYは、第1走査レンズ60YMを通った後、反射ミラー81Yで反射され、第2走査レンズ70Yを通って第1方向の一方側の感光ドラム200Yに向けて出射される。ビームBYは、第1方向と所定の角度をなして第2走査レンズ70Yから出射される。ビームBYは、感光ドラム200Yの表面に結像され、主走査方向に走査される。
【0047】
第1走査光学系LoMに向かうビームBMは、第1走査レンズ60YMを通った後、ミラー82Mおよび反射ミラー81Mで反射され、第2走査レンズ70Mを通って第1方向の一方側の感光ドラム200Mに向けて出射される。ビームBMは、第1方向と所定の角度をなして第2走査レンズ70Mから出射される。ビームBMは、感光ドラム200Mの表面に結像され、主走査方向に走査される。ビームBC,BKも、同様に、対応する第2走査光学系LoC,LoKによって、第1方向の一方側の感光ドラム200C,200Kに向けて出射されて、対応する感光ドラム200C,200Kの表面に結像され、主走査方向に走査される。
【0048】
フレームFは、樹脂製であり、成形によって一体に造られている。フレームFは、図2に示す第1凹部CP1と、図1に示す第2凹部CP2とを有する。第1凹部CP1は、第1方向の一方側に開口する。第2凹部CP2は、第1方向の他方側に開口する。図4に示すように、第1凹部CP1内には、偏向器50と、走査光学系Loの一部とが配置されている。具体的には、走査光学系Loのうち各反射ミラー81を除く部材が、第1凹部CP1内に配置されている。図1に示すように、第2凹部CP2内には、カップリングレンズ20、絞り板30および集光レンズ40が配置されている。第2凹部CP2は、第1凹部CP1に対して第3方向の他方側に配置されている。
【0049】
フレームFは、第1凹部CP1の底に位置する第1ベース壁Fb1と、第2凹部CP2の底に位置する第2ベース壁Fb2とを有する。
【0050】
第1ベース壁Fb1および第2ベース壁Fb2は、第1方向に交差する壁である。詳しくは、第1ベース壁Fb1および第2ベース壁Fb2は、厚み方向が第1方向に沿っている壁である。つまり、第1ベース壁Fb1および第2ベース壁Fb2は、第1方向に直交する平面を有する壁である。
【0051】
図5図6に示すように、回路基板100は、フレームFの第3方向の他方側の端部に位置する。回路基板100は、第2方向を長辺とする矩形形状である。
【0052】
回路基板100は、第1駆動部101と、第2駆動部102と、第1コネクタ103と、第2コネクタ104と、リード孔107と、を有する。また、回路基板100は、第1光センサ108と、第2光センサ109が配置されている。すなわち、本実施形態では、第1半導体レーザ10Y,10M、第2半導体レーザ10C,10K、第1光センサ108および第2光センサ109は、回路基板100に実装されている。また、走査光学装置1は、第1ミラー111と、第2ミラー112と、をさらに備える(図8参照)。
【0053】
第2方向において、第1半導体レーザ10Y,10M、第2半導体レーザ10C,10K、第1コネクタ103、第2コネクタ104およびリード孔107は、回路基板100上で第1光センサ108と第2光センサ109との間に位置する。また、第1方向において、第1駆動部101、第2駆動部102、第1光センサ108および第2光センサ109は、第1コネクタ103と第2コネクタ104の間に位置する。
【0054】
第1駆動部101および第2駆動部102は、半導体レーザ10を駆動する駆動部である。第1駆動部101は、第1半導体レーザ10Y,10Mを駆動するレーザドライバである。第2駆動部102は、第2半導体レーザ10C,10Kを駆動するレーザドライバである。
【0055】
第1コネクタ103は、回路基板100の第1方向の他端側の端部であって第2方向の他端側の端部に配置されている。第1コネクタ103は、ハーネスHAが接続される。ハーネスHAは、回路基板100からモータ基板53に信号を送るための5本のケーブルからなる配線である。
【0056】
第2コネクタ104は、多芯ケーブル(図示省略)に接続されるコネクタの一例である。第2コネクタ104は、回路基板100の第1方向の一端側の端部であって、第2方向の他端側の端部に配置されている。多芯ケーブルは、画像形成装置の装置本体から延びており、画像形成装置の制御部から第1半導体レーザを制御する信号と、第2半導体レーザを制御する信号を送るためのケーブルである。
【0057】
リード孔107は、半導体レーザ10のリード13が通る孔である。回路基板100は、1つの半導体レーザ10が有する4本のリードに対応して、4つの孔を有する。本実施形態では、回路基板100は、4つの半導体レーザ10Y,10M,10C,10Kに対応して、計16個のリード孔107を有している。
【0058】
第1光センサ108は、偏向器50によって偏向された第1ビームBYを検知するセンサである。第1光センサ108は、第1ビームBY,BMのうち、イエローに対応する第1ビームBYを検知する。詳しくは、第1光センサ108は、第1ビームBYを検知した信号に基づき、ビームBY,BM,BC,BKの書き出しタイミングを決定するためのセンサである。
【0059】
第1光センサ108は、回路基板100の第2方向の一端側の端部に配置されている。図6図7に示すように、第1光センサ108は、回路基板100に嵌め込まれ、回路基板100の両面に露出している。図8に示すように、第1光センサ108の検出面108Aは、フレームFと向かい合っており、ポリゴンミラー51から出射され、第1ミラー111が反射した第1ビームBYを検知する。
【0060】
第1ミラー111は、フレームFに設けられ、偏向器50によって偏向された第1ビームBYを反射して第1光センサ108に導くミラーである。第1ミラー111は、第3方向において、ポリゴンミラー51と、第1光センサ108の間に位置する。第1ミラー111は、第3方向から見て、第1光センサ108と重なる位置に配置されている。
【0061】
ここで、図8に、第1ビームBYの画像形成に利用される走査範囲を第1有効走査範囲RA1として示す。第1有効走査範囲RA1は、上流端RA11から下流端RA12までの範囲である。偏向器50から第1ミラー111に向かう第1ビームBYは、第1有効走査範囲RA1の上流端RA11から第1角度θ1だけポリゴンミラー51の回転方向上流側にずれている。なお、第1角度θ1は、第1方向から見た場合の角度である(以下に説明する角度についても同様に第1方向から見た場合の角度とする。)。ここで、ポリゴンミラー51上の第1ビームBYを反射する点と第1光センサ108を結ぶ直線(図8の二点鎖線)と、第1有効走査範囲RA1の上流端RA11とがなす角度を第2角度θ2とすると、第1角度θ1は第2角度θ2より小さい。本実施形態では、第1角度θ1は、第2角度θ2の半分以下である。
【0062】
偏向器50から第1ミラー111に向かう第1ビームBYは、第1ミラー111によって、第1ミラー111に入るビームと第1ミラー111から出るビームが90°以上の角度をなすように反射されて光センサ108に到達する。すなわち、第1ミラー111は、入射角θ5が45°より大きい。
【0063】
ここで、ポリゴンミラー51は、第1方向の他方側から見て反時計回りに回転する(図8における矢印方向)。第1光センサ108は、第1走査光学系LoYに走査される第1ビームBYの走査方向において、第1走査光学系LoYの第1有効走査範囲RA1よりも上流側で第1ビームBYを検知可能である。
【0064】
第2光センサ109は、偏向器50によって偏向された第2ビームBKを検知するセンサである。第2光センサ109は、第2ビームBC,BKのうち、ブラックに対応する第2ビームBKを検知する。詳しくは、第2光センサ109は、感光ドラム200に対する第2ビームBKの書き出しが終了した後のタイミングを検知するためのセンサである。
【0065】
第2光センサ109は、回路基板100の第2方向の他端側の端部に配置されている。図6図7に示すように、第2光センサ109は、回路基板100に嵌め込まれ、回路基板100の両面に露出している。図8に示すように、第2光センサ109の検出面109Aは、フレームFと向かい合っており、ポリゴンミラー51から出射され、第2ミラー112が反射した第2ビームBKを検知する。
【0066】
第2ミラー112は、フレームFに設けられ、偏向器50によって偏向された第2ビームBKを反射して第2光センサ109に導くミラーである。第2ミラー112は、第3方向において、ポリゴンミラー51と、第2光センサ109の間に位置する。第2ミラー112は、第3方向から見て、第2光センサ109と重なる位置に配置されている。
【0067】
ここで、図8に、第2ビームBKの画像形成に利用される走査範囲を第2有効走査範囲RA2として示す。第2有効走査範囲RA2は、上流端RA21から下流端RA22までの範囲である。偏向器50から第2ミラー112に向かう第2ビームBKは、第2有効走査範囲RA2の下流端RA22から第3角度θ3だけポリゴンミラー51の回転方向下流側にずれている。ここで、ポリゴンミラー51上の第2ビームBKを反射する点と第1光センサ108を結ぶ直線(図8の二点鎖線)と、第2有効走査範囲RA2の下流端RA22とがなす角度を第4角度θ4とすると、第3角度θ3は第4角度θ4より小さい。本実施形態では、第3角度θ3は、第4角度θ4の半分以下である。なお、本実施形態では、第3角度θ3は、第1角度θ1と同じ角度である。
【0068】
偏向器50から第2ミラー112に向かう第2ビームBKは、第2ミラー112によって、90°以上に角度で反射されて第2光センサ109に到達する。すなわち、第2ミラー112は、入射角θ6が45°より大きい。
【0069】
第2光センサ109は、第2走査光学系LoKに走査される第2ビームBKの走査方向において、第2走査光学系LoKの第2有効走査範囲RA2よりも下流側で第2ビームBKを検知可能である。
【0070】
第1ビームBYの第1光センサ108の検出面108Aに対する第7角度θ7は、第2ビームの第2光センサ109の検出面109Aに対する第8角度θ8と同じである。本実施形態では、第7角度θ7および第8角度θ8は、90°である。
【0071】
以上、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
本実施形態における走査光学装置1は、第1半導体レーザ10Y,10Mと、第2半導体レーザ10C,10Kと、第1光センサ108と、第2光センサ109とを備えており、第1半導体レーザ10Y,10M、第2半導体レーザ10C,10K、第1光センサ108および第2光センサ109は、回路基板100に実装されている。このため、走査光学装置1を組み立てる場合に、第1半導体レーザ10Y,10M、第2半導体レーザ10C,10K、第1光センサ108および第2光センサ109が実装された回路基板100をフレームFに固定すればよいので、第1半導体レーザ10Y,10M、第2半導体レーザ10C,10K、第1光センサ108および第2光センサ109を別々にフレームFに固定する場合と比較して、走査光学装置1の組み立てが容易となる。
【0072】
また、偏向器50が、第1走査光学系LoY,LoMと第2走査光学系LoC,LoKとの間に位置することで、偏向器50を挟んで配置された異なる走査光学系に対応するビームを1つの回路基板100で検知できる。
【0073】
また、第1半導体レーザ10Y,10Mおよび第2半導体レーザ10C,10Kが回路基板100上で第1光センサ108と第2光センサ109との間に位置することにより、第1光センサ108および第2光センサ109に導くビームBY,BKの光路が複雑化することを抑制できる。
【0074】
また、第1光センサ108が第1ビームBYを検知し、第2光センサ109が第2ビームBKを検知することで、第1光センサ108および第2光センサ109の検知タイミングから走査光学装置1の熱膨張が算出可能となる。
【0075】
また、第1ミラー111および第2ミラー112の入射角が45°より大きいことで、第1有効走査範囲RA1、第2有効走査範囲RA2、すなわち感光ドラム200を露光するためのビームの走査範囲の近くのビームを回路基板100の第1光センサ108および第2光センサ109に導くことができる。第1ミラー111および第2ミラー112を配置しない場合には、ポリゴンミラー51から直接、第1光センサ108および第2光センサ109にビームを導くので(図8の二点鎖線参照)、ビームが第1有効走査範囲RA1、第2有効走査範囲RA2から遠くなってしまい、本実施形態と比較して検知誤差が大きくなる。
【0076】
第1ビームBYの第1光センサ108の検出面108Aに対する第7角度θ7は、第2ビームBKの第2光センサ109の検出面109Aに対する第8角度θ8と同じであるため、第1ビームBYと第2ビームBKの検知条件を等しくすることができる。さらに、本実施形態では、第1ミラー111および第2ミラー112によって、第1ビームBYの第1光センサ108の検出面108Aに対する第7角度θ7と、第2ビームBC,BKの第2光センサ109の検出面109Aに対する第8角度θ8と、がそれぞれ、90°になっている。このため、各ビームの検出面108A,108Bに入る位置が、ずれにくくなっており、第1光センサ108および第2光センサ109の検出誤差がさらに抑制されている。
【0077】
また、回路基板100が多芯ケーブルに接続される第2コネクタ104を備えることで、第1半導体レーザ10Y,10Mおよび第2半導体レーザ10C,10Kを制御するためのケーブルを1つにまとめることができる。
【0078】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0079】
前記実施形態では、集光レンズ40とカップリングレンズ20が別体であったが、集光レンズは、カップリングレンズと一体であってもよい。
【0080】
前記実施形態では、第1ミラー111の入射角θ5および第2ミラー112の入射角θ6が45°より大きい構成であったが、第1ミラー111の入射角θ5および第2ミラー112の入射角θ6のうち、一方のみが45°より大きい構成であってもよい。
【0081】
前記実施形態では、第3角度θ3は、第1角度θ1と同じ角度であったが、第3角度θ3と第1角度θ1が異なる角度であってもよい。
【0082】
前記実施形態では、第7角度θ7と第8角度θ8が同じ角度であったが、第7角度θ7と第8角度θ8が異なる角度であってもよい。また、第7角度θ7および第8角度θ8が90°でなくてもよい。
【0083】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 走査光学装置
10C,10K 第2半導体レーザ
10Y,10M 第1半導体レーザ
20Y,20M 第1カップリングレンズ
20C,20K 第2カップリングレンズ
50 偏向器
51 ポリゴンミラー
100 回路基板
101 第1駆動部
102 第2駆動部
103 第1コネクタ
104 第2コネクタ
108 第1光センサ
108A 検出面
109 第2光センサ
109A 検出面
111 第1ミラー
112 第2ミラー
BY,BM 第1ビーム
BC,BK 第2ビーム
F フレーム
HA ハーネス
Li 入射光学系
Lo 走査光学系
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8