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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073783
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】走査光学装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/47 20060101AFI20240523BHJP
   G02B 26/12 20060101ALI20240523BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20240523BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20240523BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
B41J2/47 101Z
G02B26/12
G02B26/10 Z
G03G15/04 111
G03G21/16 166
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184677
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】横井 淳一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 晃治
【テーマコード(参考)】
2C362
2H045
2H076
2H171
【Fターム(参考)】
2C362AA03
2C362AA10
2C362BA04
2C362DA02
2H045AA01
2H045BA22
2H045BA34
2H045CA03
2H045CA63
2H045DA04
2H076AB05
2H076AB08
2H076AB12
2H076EA04
2H076EA05
2H076EA11
2H171FA02
2H171FA12
2H171FA28
2H171GA13
2H171JA05
2H171JA43
2H171JA48
2H171KA04
2H171KA23
2H171WA06
2H171WA23
(57)【要約】
【課題】走査光学装置を本体筐体に対して精度よく位置決めすることができる走査光学装置を提供することを目的とする。
【解決手段】走査光学装置1は、ビームを出射する光源Lsと、光源Lsからのビームを偏向するポリゴンミラー51を有する偏向器50と、光源Lsおよび偏向器50が固定されるフレームFを備える。フレームFは、ベース壁Fbと、第1壁F11と、交差壁F12と、第2壁F13と、位置決め部F1を有する。ベース壁Fbには、偏向器50が取り付けられている。第1壁F11は、ベース壁Fbから、ポリゴンミラー51の回転軸線X1に沿った第1方向の一方側に延びる。交差壁F12は、第1壁F11から、第1方向と交差する方向に延びる。第2壁F13は、交差壁F12から、第1方向の他方側に延びる。位置決め部F1は、交差壁F12に設けられ、走査光学装置1を画像形成装置の本体筐体に位置決めする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビームを出射する光源と、
前記光源からのビームを偏向するポリゴンミラーを有する偏向器と、
前記ポリゴンミラーからのビームを像面に結像する走査光学系と、
前記光源、前記偏向器および前記走査光学系が固定されたフレームと、を備え、
前記フレームは、
前記偏向器が取り付けられたベース壁と、
前記ベース壁から、前記ポリゴンミラーの回転軸線に沿った第1方向の一方側に延びる第1壁と、
前記第1壁から、前記第1方向と交差する方向に延びる交差壁と、
前記交差壁から、前記第1方向の他方側に延びる第2壁と、
前記交差壁に設けられ、走査光学装置を画像形成装置の本体筐体に位置決めするための位置決め部と、を有することを特徴とする走査光学装置。
【請求項2】
前記位置決め部は、前記交差壁から突出するボスであることを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項3】
前記フレームは、
走査光学装置を画像形成装置の本体筐体に位置決めするため第2位置決め部であって、前記ポリゴンミラーの軸線に対して前記位置決め部とは反対に位置する第2位置決め部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項4】
前記フレームは、
前記第1壁と前記第2壁とに接続されるリブをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項5】
前記ポリゴンミラーで偏向されたビームが通る第1走査レンズであって、前記第1方向に直交する第2方向において前記ポリゴンミラーの一方側に配置される第1走査レンズと、
前記ポリゴンミラーで偏向されたビームが通る第2走査レンズであって、前記第2方向において前記ポリゴンミラーの他方側に配置される第2走査レンズと、をさらに備え、
前記位置決め部は、前記第2方向において、前記第1走査レンズと前記第2走査レンズの間に位置することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項6】
前記位置決め部は、前記第1方向および前記第2方向に直交する直線であって、前記ポリゴンミラーの回転軸線を通る直線上に位置することを特徴とする請求項5に記載の走査光学装置。
【請求項7】
前記光源は、
光を出射する半導体レーザと、
前記半導体レーザからの光をビームに変換するカップリングレンズと、を備え、
前記カップリングレンズは、前記第1壁と前記第2壁が並ぶ方向において、前記第1壁と前記第2壁の間に位置することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項8】
前記フレームは、
前記第1方向において前記本体筐体と接する座面であって、前記位置決め部から離れている座面をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリゴンミラーを備える走査光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走査光学装置として、ポリゴンミラー等を支持する底壁と、底壁の周縁から突出する側壁とを有する箱型のフレームを備えたものが知られている(特許文献1参照)。この技術では、側壁の先端に、底壁とは反対側に向けて突出する突起が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-123478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術における側壁の突起を、走査光学装置を本体筐体に取り付けるための位置決めとして利用することが考えられる。しかしながら、この場合には、位置決めの際に側壁が変形すると、走査光学装置を本体筐体に対して精度よく位置決めできなくなるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、走査光学装置を本体筐体に対して精度よく位置決めすることができる走査光学装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る走査光学装置は、光源と、偏向器と、走査光学系と、フレームと、を備える。
光源は、ビームを出射する。
偏向器は、光源からのビームを偏向するポリゴンミラーを有する。
走査光学系は、ポリゴンミラーからのビームを像面に結像する。
フレームには、光源、偏向器および走査光学系が固定される。
フレームは、ベース壁と、第1壁と、交差壁と、第2壁と、位置決め部と、を有する。
ベース壁には、偏向器が取り付けられている。
第1壁は、ベース壁から、ポリゴンミラーの回転軸線に沿った第1方向の一方側に延びる。
交差壁は、第1壁から、第1方向と交差する方向に延びる。
第2壁は、交差壁から、第1方向の他方側に延びる。
位置決め部は、交差壁に設けられ、走査光学装置を画像形成装置の本体筐体に位置決めする。
【0007】
第1壁と第2壁によって強度が高められた交差壁に、位置決め部が設けられる構成によれば、走査光学装置を本体筐体に対して精度よく位置決めすることができる。
【0008】
また、位置決め部は、交差壁から突出するボスであってもよい。
【0009】
ボスが交差壁から突出する構成によれば、交差壁から突出するボスを、本体筐体に設けた孔に係合させて位置決めすることができる。
【0010】
また、フレームは、走査光学装置を画像形成装置の本体筐体に位置決めするため第2位置決め部であって、ポリゴンミラーの軸線に対して位置決め部とは反対に位置する第2位置決め部をさらに有していてもよい。
【0011】
第2位置決め部が軸線に対して位置決め部とは反対に位置する構成によれば、走査光学装置の軸線周りの向きを、位置決め部および第2位置決め部によって規定することができる。
【0012】
また、フレームは、第1壁と第2壁とに接続されるリブをさらに有していてもよい。
【0013】
リブが第1壁と第2壁とに接続される構成によれば、リブによって第1壁と第2壁を補強することができる。
【0014】
また、走査光学装置は、ポリゴンミラーで偏向されたビームが通る第1走査レンズであって、第1方向に直交する第2方向においてポリゴンミラーの一方側に配置される第1走査レンズと、ポリゴンミラーで偏向されたビームが通る第2走査レンズであって、第2方向においてポリゴンミラーの他方側に配置される第2走査レンズと、をさらに備えていてもよい。
この場合、位置決め部は、第2方向において、第1走査レンズと第2走査レンズの間に位置していてもよい。
【0015】
位置決め部が、第2方向において、第1走査レンズと第2走査レンズの間に位置する構成によれば、フレームの熱膨張の基準を、2つの走査レンズの間とすることができる。
【0016】
また、位置決め部は、第1方向および第2方向に直交する直線であって、ポリゴンミラーの回転軸線を通る直線上に位置していてもよい。
【0017】
また、光源は、光を出射する半導体レーザと、半導体レーザからの光をビームに変換するカップリングレンズと、を備え、カップリングレンズは、第1壁と第2壁が並ぶ方向において、第1壁と第2壁の間に位置していてもよい。
【0018】
カップリングレンズが、第1壁と第2壁が並ぶ方向において、第1壁と第2壁の間に位置する構成によれば、フレームのうち第1壁と第2壁で強度が高められた部分に、カップリングレンズを配置することができる。
【0019】
また、フレームは、第1方向において本体筐体と接する座面であって、位置決め部から離れている座面をさらに有していてもよい。
【0020】
フレームが本体筐体と接する座面を有する構成によれば、座面が本体筐体と接することで、走査光学装置の本体筐体に対する第1方向の位置を決めることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、走査光学装置を本体筐体に対して精度よく位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る走査光学装置の斜視図である。
図2図1のX-X断面図である。
図3図1のY-Y断面図である。
図4】支持プレートに取り付けられた走査光学装置を示す斜視図である。
図5】走査光学装置を第1方向の一方側から見た斜視図である。
図6】支持プレートを示す斜視図である。
図7】位置決め部周りのフレーム構造を示す断面図(a)と、第2位置決め部周りのフレーム構造を示す断面図(b)である。
図8】位置決め部、第2位置決め部、ポリゴンミラー等の位置関係を示す図である。
図9】走査光学装置が取付部材によって支持プレートに取り付けられた状態を示す断面図である。
図10】フレームの第1方向の一方側の面を形成する金型を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示すように、走査光学装置1は、フレームFと、入射光学系Liと、偏向器50と、走査光学系Loとを備える。本実施形態において、走査光学装置1は、電子写真式の画像形成装置に適用されている。画像形成装置は、4つの感光ドラム200(図3参照)を備える。
【0024】
以下の説明では、後述するポリゴンミラー51の回転軸線X1に平行な方向を、「第1方向」と称する。また、第1方向に直交する方向であって、ポリゴンミラー51と第1走査レンズ60YM(図3参照)が並ぶ方向を、「第2方向」と称する。また、第1方向および第2方向に直交する方向を「第3方向」と称する。第3方向は、主走査方向に相当し、第1方向は、入射光学系Liの副走査方向に相当する。図面における各方向を示す矢印は、各方向における一方側を指すこととする。
【0025】
入射光学系Liは、4つの光源Lsと、絞り板30と、集光レンズ40とを備える。
各光源Lsは、光ビームを出射する装置であり、フレームFに固定されている。各光源Lsは、半導体レーザ10と、カップリングレンズ20とを有する。
【0026】
半導体レーザ10は、レーザ光を出射する装置である。半導体レーザ10は、走査光学装置1が走査露光する4つの感光ドラム200(図3参照)に対応して4つ設けられている。各感光ドラム200には、それぞれ異なる色のトナー像が形成される。
【0027】
なお、本実施形態では、第1色を「イエロー(Y)」、第2色を「マゼンタ(M)」、第3色を「シアン(C)」、第4色を「ブラック(K)」とする。以下の説明では、第1色に対応した部品の名称の頭に「第1」を付し、第1色に対応した部品の符号の末尾に「Y」を付して区別する場合がある。また、第2色、第3色、第4色に対応した部品ついても同様に、名称の頭に「第2」、「第3」、「第4」を付し、符号の末尾に「M」、「C」、「K」を付して区別する場合がある。
【0028】
半導体レーザ10は、イエローに対応した第1半導体レーザ10Yと、マゼンタに対応した第2半導体レーザ10Mと、シアンに対応した第3半導体レーザ10Cと、ブラックに対応した第4半導体レーザ10Kとを有する。第1半導体レーザ10Yは、第2半導体レーザ10Mに対して第1方向に間隔を空けて並んでいる。第1半導体レーザ10Yは、第2半導体レーザ10Mに対して第1方向の一方側に位置する。
【0029】
第3半導体レーザ10Cは、第2半導体レーザ10Mに対して第2方向に間隔を空けて並んでいる。第3半導体レーザ10Cは、第2半導体レーザ10Mに対して第2方向の他方側に位置する。第4半導体レーザ10Kは、第1方向において第3半導体レーザ10Cと間隔を空けて並び、かつ、第2方向において第1半導体レーザ10Yと間隔を空けて並んでいる。
【0030】
カップリングレンズ20は、半導体レーザ10からのレーザ光を光ビームに変換するレンズである。各色に対応したカップリングレンズ20Y,20M,20C,20Kは、対応する半導体レーザ10Y,10M,10C,10Kと対向する位置に配置されている。
【0031】
絞り板30は、カップリングレンズ20からの光ビームが通過する開口絞り31を有する。本実施形態では、絞り板30は、フレームFに一体に形成されている。絞り板30は、カップリングレンズ20と集光レンズ40の間に位置している。開口絞り31は、4つの光源Lsに対応して4つ設けられている。
【0032】
集光レンズ40は、カップリングレンズ20からの光ビームを副走査方向においてポリゴンミラー51のミラー面に集光するレンズである。集光レンズ40は、絞り板30に対してカップリングレンズ20とは反対側に位置している。
【0033】
図2に示すように、偏向器50は、光源Lsからの光ビームを主走査方向(第3方向)に偏向する装置であり、ポリゴンミラー51と、モータ52とを有する。ポリゴンミラー51は、回転することで光ビームを主走査方向に偏向する。ポリゴンミラー51は、回転軸線X1から等距離に設けられた5つのミラー面を有している(図1も参照)。モータ52は、ポリゴンミラー51を回転させるモータである。モータ52は、フレームFに固定されている。
【0034】
図3に示すように、走査光学系Loは、偏向器50によって偏向された光ビームを、像面としての感光ドラム200の表面に結像する光学系である。走査光学系Loを構成する各部品は、フレームFに固定されている。走査光学系Loは、イエローに対応した第1走査光学系LoYと、マゼンタに対応した第2走査光学系LoMと、シアンに対応した第3走査光学系LoCと、ブラックに対応した第4走査光学系LoKとを有する。
【0035】
第1走査光学系LoYおよび第2走査光学系LoMは、第2方向において、ポリゴンミラー51の一方側に配置されている。第3走査光学系LoCおよび第4走査光学系LoKは、第2方向において、ポリゴンミラー51の他方側に配置されている。各走査光学系LoY,LoM,LoC,LoKには、ポリゴンミラー51によって主走査方向に偏向された光ビームが入射する。
【0036】
第1走査光学系LoYは、第1走査レンズ60YMと、走査レンズ70Yと、反射ミラー81Yとを有する。
【0037】
第1走査レンズ60YMは、偏向器50で偏向された光ビームBY,BMを主走査方向に屈折させて感光ドラム200Y,200Mに結像させるレンズである。また、第1走査レンズ60YMは、偏向器50によって等角速度で走査された光ビームBY,BMを、感光ドラム200Y,200Mにおいて等速度となるようにするfθ特性を有する。
【0038】
反射ミラー81Yは、第1走査レンズ60YMからの光ビームBYを第1感光ドラム200Yに向けて反射するミラーである。
【0039】
走査レンズ70Yは、反射ミラー81Yで反射された光ビームBYを副走査方向に屈折させて第1感光ドラム200Yに結像させるレンズである。なお、走査光学系Loにおいて、副走査方向は、主走査方向および光ビームの進行方向に直交する方向に相当する。走査レンズ70Yは、ポリゴンミラー51に対して第1方向の一方側の位置に配置されている。
【0040】
第2走査光学系LoMは、第1走査レンズ60YMと、走査レンズ70Mと、反射ミラー81Mと、ミラー82Mとを有する。
【0041】
第1走査レンズ60YMは、第1走査光学系LoYと共用されている。ミラー82Mは、第1走査レンズ60YMからの光ビームBMを反射ミラー81Mに反射するミラーである。走査レンズ70Mおよび反射ミラー81Mは、第1走査光学系LoYの走査レンズ70Yおよび反射ミラー81Yと同様の機能を有する。すなわち、反射ミラー81Mは、ミラー82Mで反射された光ビームBMを第2感光ドラム200Mに向けて反射し、走査レンズ70Mは、反射ミラー81Mで反射された光ビームBMを副走査方向に屈折させて第2感光ドラム200Mに結像させる。
【0042】
第3走査光学系LoCは、ポリゴンミラー51の回転軸線X1に対して、おおむね走査光学系LoMと線対称の構造となっている。具体的に、第3走査光学系LoCは、走査光学系LoMの各部材と同様の機能を有する、第2走査レンズ60CK、走査レンズ70C、反射ミラー81Cおよびミラー82Cを有する。
【0043】
第2走査レンズ60CKは、偏向器50で偏向された光ビームBC,BKを主走査方向に屈折させて感光ドラム200C,200Kに結像させる。また、第2走査レンズ60CKは、偏向器50によって等角速度で走査された光ビームBC,BKを、感光ドラム200C,200Kにおいて等速度となるようにするfθ特性を有する。
【0044】
ミラー82Cは、第2走査レンズ60CKからの光ビームBCを反射ミラー81Cに反射し、反射ミラー81Cは、ミラー82Cで反射された光ビームBCを第3感光ドラム200Cに向けて反射する。走査レンズ70Cは、反射ミラー81Cで反射された光ビームBCを副走査方向に屈折させて第3感光ドラム200Cに結像させる。
【0045】
第4走査光学系LoKは、ポリゴンミラー51の回転軸線X1に対して、おおむね第1走査光学系LoYと線対称の構造となっている。具体的に、第4走査光学系LoKは、第1走査光学系LoYの各部材と同様の機能を有する、第2走査レンズ60CK、走査レンズ70Kおよび反射ミラー81Kを有する。
【0046】
反射ミラー81Kは、第2走査レンズ60CKからの光ビームBKを第4感光ドラム200Kに向けて反射し、走査レンズ70Kは、反射ミラー81Kで反射された光ビームBKを副走査方向に屈折させて第4感光ドラム200Kに結像させる。
【0047】
図2に示すように、各半導体レーザ10Y,10M,10C,10Kから出射されたレーザ光は、対応する各カップリングレンズ20Y,20M,20C,20Kを通ることで光ビームBY,BM,BC,BKに変換される。各光源LsY,LsM,LsC,LsKから出射された光ビームBY,BM,BC,BKは、絞り板30の対応する開口絞り31Y,31M,31C,31Kを通った後、集光レンズ40を通って、ポリゴンミラー51に入射される。集光レンズ40は、光ビームBY,BM,BC,BKが共通して通過するレンズであり、入射面が円筒面、出射面が平面で構成される。
【0048】
図3に示すように、ポリゴンミラー51は、光ビームBY,BM,BC,BKを、対応する走査光学系LoY,LoM,LoC,LoKに向けて偏向する。第1走査光学系LoYに向かう光ビームBYは、第1走査レンズ60YMを通った後、反射ミラー81Yで反射され、走査レンズ70Yを通って第1感光ドラム200Yに向けて出射される。光ビームBYは、第1方向と所定の角度をなして走査レンズ70Yから出射される。光ビームBYは、第1感光ドラム200Yの表面に結像され、主走査方向に走査される。
【0049】
第2走査光学系LoMに向かう光ビームBMは、第1走査レンズ60YMを通った後、ミラー82Mおよび反射ミラー81Mで反射され、走査レンズ70Mを通って第1方向の一方側の第2感光ドラム200Mに向けて出射される。光ビームBMは、第1方向と所定の角度をなして走査レンズ70Mから出射される。光ビームBMは、第2感光ドラム200Mの表面に結像され、主走査方向に走査される。光ビームBC,BKも、同様に、対応する走査光学系LoC,LoKによって、感光ドラム200C,200Kに向けて出射されて、対応する感光ドラム200C,200Kの表面に結像され、主走査方向に走査される。
【0050】
図4に示すように、走査光学装置1は、画像形成装置の本体筐体を構成する支持プレート300に取り付けられている。支持プレート300は、本体筐体を構成する図示せぬ2つのサイドフレームの間に配置され、2つのサイドフレームに接続されている。
【0051】
図4および図5に示すように、走査光学装置1は、第1カバーC1と、第2カバーC2とをさらに備えている。第1カバーC1は、入射光学系Liを第1方向の他方側から覆う。第2カバーC2は、偏向器50や走査光学系Loを第1方向の一方側から覆う。
【0052】
図5に示すように、フレームFは、位置決め部F1および第2位置決め部F2と、4つの座面F3とを有している。位置決め部F1および第2位置決め部F2は、走査光学装置1を支持プレート300に位置決めするためのボスである。第2カバーC2は、第2位置決め部F2が通る孔C21を有する。
【0053】
座面F3は、第1方向において支持プレート300と接する面である。各座面F3は、位置決め部F1および第2位置決め部F2から第2方向に離れている。詳しくは、座面F3は第2方向において位置決め部F1および第2位置決め部F2を挟んで2か所ずつ設けられている。
【0054】
図6に示すように、支持プレート300は、位置決め孔301と、長孔302と、4つの支持面303とを有する。フレームFの位置決め部F1は、位置決め孔301に入る。位置決め部F1は、位置決め孔301に入ることで、第2方向および第3方向への移動が規制されている。
【0055】
長孔302は、第3方向に長い。フレームFの第2位置決め部F2は、長孔302に入る。位置決め部F1が位置決め孔301に入り、第2位置決め部F2が長孔302に入ることで、フレームFは、位置決め部F1を中心に回動することが規制されるとともに、位置決め部F1を基準に第3方向に熱膨張可能となっている。
【0056】
各支持面303は、フレームFの座面F3と接する面である。各座面F3が対応する支持面303に接することで、フレームFの第1方向の位置が決まる。
【0057】
図7(a)に示すように、フレームFは、ベース壁Fbと、第1壁F11と、交差壁F12と、第2壁F13とをさらに有する。
【0058】
ベース壁Fbは、偏向器50が取り付けられる壁である。第1壁F11、交差壁F12および第2壁F13は、ベース壁Fbに対して第3方向の他方側に位置する。
【0059】
第1壁F11は、ベース壁Fbから第1方向の一方側に延びる。交差壁F12は、第1壁F11から、第1方向と交差する方向、詳しくは第3方向の他方側に延びる。第2壁F13は、交差壁F12の第3方向の他方側の端から第1方向の他方側に延びる。
【0060】
位置決め部F1は、交差壁F12に設けられている。位置決め部F1は、交差壁F12から第1方向の一方側に突出する。カップリングレンズ20は、第1壁F11と第2壁F13が並ぶ方向、つまり第3方向において、第1壁F11と第2壁F13の間に位置する。
【0061】
図7(b)に示すように、フレームFは、第1壁F21と、交差壁F22と、第2壁F23とをさらに有する。第1壁F21、交差壁F22および第2壁F23は、ベース壁Fbに対して第3方向の一方側に位置する。
【0062】
第1壁F21は、ベース壁Fbから第1方向の一方側に延びる。交差壁F22は、第1壁F21から、第1方向と交差する方向、詳しくは第3方向の一方側に延びる。第2壁F23は、交差壁F22の第3方向の一方側の端から第1方向の他方側に延びる。
【0063】
第2位置決め部F2は、交差壁F22に設けられている。第1壁F21、第2壁F23および第2位置決め部F2は、交差壁F22から第1方向の一方側に突出する。第2位置決め部F2は、第1壁F21および第2壁F23よりも第1方向の一方側に突出する。
【0064】
図7(b)および図8に示すように、フレームFは、第1壁F21と第2壁F23とに接続されるリブF30をさらに有する。リブF30は、交差壁F22から第1方向の一方側に突出し、第3方向に延びている。第2位置決め部F2は、リブF30と一体に形成され、リブF30よりも第1方向の一方側に突出する。
【0065】
図8に示すように、位置決め部F1および第2位置決め部F2は、第2方向において、第1走査レンズ60YMと第2走査レンズ60CKの間に位置する。位置決め部F1および第2位置決め部F2は、第1方向および第2方向に直交する直線L1であって、ポリゴンミラー51の回転軸線X1を通る直線L1上に位置する。第2位置決め部F2は、ポリゴンミラー51の回転軸線X1に対して位置決め部F1とは反対に位置する。言い換えると、第2位置決め部F2は、第3方向においてポリゴンミラー51の回転軸線X1を挟んで位置決め部F1とは反対に位置する。
【0066】
図9に示すように、走査光学装置1は、4つの取付部材400によって支持プレート300に取り付けられている。取付部材400は、支持プレート300の支持面303との間で、フレームFの座面F3を有する部位F4を挟む板バネ部410を有する。板バネ部410は、取付部材400がネジSCによって支持面303に固定された状態において、座面F3を支持面303に弾性力によって押し付ける。
【0067】
図10に示すように、ベース壁Fbには、偏向器50のモータ52の軸部が取り付けられる円筒状の突起Fb1が設けられている。突起Fb1は、ベース壁Fbから第1方向の一方側に突出する。
【0068】
フレームFの第1方向の一方側の面は、金型500を用いた射出成型により形成される。金型500は、位置決め部F1を形成するための第1成型面510と、第2位置決め部F2を形成するための第2成型面520と、突起Fb1を形成するための第3成型面530とを有する。つまり、フレームFの位置決め部F1、第2位置決め部F2および突起Fb1は、同一の金型500によって成型されている。
【0069】
以上、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
図7に示すように、第1壁F11,F21と第2壁F13,F23によって強度が高められた交差壁F12,F22に、位置決め部F1,F2が設けられるので、走査光学装置1を支持プレート300に対して精度よく位置決めすることができる。
【0070】
位置決め部F1,F2が交差壁F12,F22から突出するので、交差壁F12,F22から突出する位置決め部F1,F2を、支持プレート300に設けた孔301,302に係合させて位置決めすることができる。
【0071】
図8に示すように、第2位置決め部F2が回転軸線X1に対して位置決め部F1とは反対に位置するので、走査光学装置1の回転軸線X1周りの向きを、位置決め部F1および第2位置決め部F2によって規定することができる。
【0072】
リブF30が第1壁F21と第2壁F23とに接続されるので、リブF30によって第1壁F21と第2壁F23を補強することができる。
【0073】
位置決め部F1,F2が、第2方向において、第1走査レンズ60YMと第2走査レンズ60CKの間に位置するので、フレームFの熱膨張の基準を、第1走査レンズ60YMと第2走査レンズ60CKの間とすることができる。
【0074】
図7(a)に示すように、カップリングレンズ20が、第1壁F11と第2壁F13が並ぶ方向において、第1壁F11と第2壁F13の間に位置するので、フレームFのうち第1壁F11と第2壁F13で強度が高められた部分に、カップリングレンズ20を配置することができる。
【0075】
図9に示すように、フレームFが支持プレート300と接する座面F3を有するので、座面F3が支持プレート300と接することで、走査光学装置1の支持プレート300に対する第1方向の位置を決めることができる。
【0076】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0077】
前記実施形態では、光源として、半導体レーザ10とカップリングレンズ20とを有する光源Lsを例示したが、光ビームを出射する光源であれば具体的な構成は特に問わない。また、例えば、光源を構成する半導体レーザは、複数の発光点を有する半導体レーザであってもよい。この場合、光源は、1つの半導体レーザからの複数の光が、1つのカップリングレンズによって複数の光ビームに変換される構成であってもよい。
【0078】
前記実施形態では、走査光学装置として、光源Lsを複数備え、複数の光ビームを出射する走査光学装置1を例示したが、例えば、走査光学装置は、光源を1つ備え、1つの光ビームのみを出射する構成であってもよい。
【0079】
位置決め部は、ボスに限らず、例えば孔であってもよい。この場合、支持プレートに、孔に入るボスを設けてもよい。
【0080】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 走査光学装置
50 偏向器
51 ポリゴンミラー
F フレーム
F1 位置決め部
F11 第1壁
F12 交差壁
F13 第2壁
Fb ベース壁
Lo 走査光学系
Ls 光源
X1 回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10