(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073784
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】疾病リスク評価装置、疾病リスク評価システム、及び疾病リスク評価方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20240523BHJP
【FI】
G16H50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184678
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】521233943
【氏名又は名称】株式会社 SAI
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福間 康文
(72)【発明者】
【氏名】ザイシン マオ
(72)【発明者】
【氏名】塚田 央
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 徹
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】健康段階での潜在的な発病傾向を事前に検出することができ、対象疾病に対する将来の疾病リスクを定量化できる疾病リスク評価方法、疾病リスク評価システム、及び健康情報処理装置を提供すること。
【解決手段】本発明の疾病リスク評価システムは、ユーザの診断データを入力として、学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する、疾病レベル予測部と、学習済モデルと、学習済モデルに入力された診断データとを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由を出力する、予測理由解析部と、予測理由解析部から出力された疾病レベル予測理由に基づいて、疾病対策メッセージを出力する、疾病対策出力部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの診断データを入力として、学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する、疾病レベル予測部と、
前記学習済モデルと、前記学習済モデルに入力された前記診断データとを用いて、前記疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、前記疾病レベル予測理由を出力する、予測理由解析部と、
前記予測理由解析部から出力された前記疾病レベル予測理由に基づいて、疾病対策メッセージを出力する、疾病対策出力部と
を備えることを特徴とする、疾病リスク評価装置。
【請求項2】
前記学習済モデルは、ユーザの診断データを学習用診断データとして入力し、特定の疾病に関する疾病レベルごとの診断データを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項3】
前記学習用診断データが、ユーザの眼底画像、OCT(Optical Coherence Tomography)計測値、BMI(Body Mass Index)、性別、年齢、健康診断パラメータのうちのいずれか1つ以上であることを特徴とする、請求項2に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項4】
前記予測理由解析部は、前記学習済モデル内のニューラルネットワークの各層の伝播係数に関する値を抽出し、前記疾病レベル予測スコアが導出された主要因を解析することを特徴とする、請求項1に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項5】
前記予測理由解析部は、前記学習済モデル内のニューラルネットワークの各層の伝播係数の積算値を抽出し、診断データのピクセル毎又はパラメータ毎に、前記疾病レベル予測スコアが導出されたことへの貢献度を数値化することを特徴とする、請求項1に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項6】
数値化された前記貢献度をマップ又はグラフとして出力することを特徴とする、請求項5に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項7】
前記疾病対策出力部は、前記予測理由解析部から出力された前記疾病レベル予測理由に基づいて、疾病対策メッセージを選択することを特徴とする、請求項1に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項8】
前記特定の疾病が、うつ病であり、
前記学習済モデルは、ユーザの眼底画像及びOCT計測値を学習用健診データとして入力し、前記うつ病に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項2に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項9】
疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくともユーザの眼底画像及びOCT計測値を入力として、学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする、請求項8に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項10】
前記予測理由解析部は、前記学習済モデルと、前記学習済モデルに前記診断データとして入力された前記ユーザの眼底画像及び前記OCT計測値とを用いて、前記疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、前記疾病レベル予測理由として少なくともユーザの眼底画像に対応する貢献度マップを出力することを特徴とする、請求項8に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項11】
疾病対策出力部は、前記予測理由解析部から出力された前記疾病レベル予測理由に基づいて、予め定められた疾病対策メッセージを出力することを特徴とする、請求項8に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項12】
前記特定の疾病が、糖尿病であり、
前記学習済モデルは、少なくとも基本バイオ数値を学習用健診データとして入力し、糖尿病に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項2に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項13】
疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくとも基本バイオ数値を入力として、学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする、請求項12に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項14】
前記予測理由解析部は、前記学習済モデルと、前記学習済モデルに前記診断データとして入力された前記基本バイオ数値とを用いて、前記疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、前記疾病レベル予測理由として少なくとも関連する基本バイオ数値を出力することを特徴とする、請求項12に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項15】
疾病対策出力部は、前記予測理由解析部から出力された前記疾病レベル予測理由に基づいて、予め定められた疾病対策メッセージを出力することを特徴とする、請求項12に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項16】
前記特定の疾病が、HbA1C値に関する疾病であり、
前記学習済モデルは、少なくともユーザの眼底画像、OCT計測値、BMI、年齢、性別を学習用健診データとして入力し、HbA1C値を学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項2に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項17】
疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくともユーザの眼底画像、OCT計測値、BMI、年齢、性別を入力として、学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアとしてHbA1C値を出力することを特徴とする、請求項16に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項18】
前記予測理由解析部は、前記学習済モデルと、前記学習済モデルに前記診断データとして入力されたユーザの眼底画像、OCT計測値、BMI、年齢、性別とを用いて、前記疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、前記疾病レベル予測理由として少なくとも関連するパラメータを出力することを特徴とする、請求項16に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項19】
疾病対策出力部は、前記予測理由解析部から出力された前記疾病レベル予測理由に基づいて、予め定められた疾病対策メッセージを出力することを特徴とする、請求項16に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項20】
疾病リスク評価装置が更に疾病レベル再予測部を有し、
前記疾病レベル再予測部は、前記疾病レベル予測部で使用した第1の学習済モデルと異なる少なくとも1つ以上の第2の学習済モデルを用いて、疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする、請求項1に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項21】
前記疾病レベル再予測部は、前記第1の学習済モデルと異なる少なくとも1つ以上の第2の学習済モデルから、最も疾病レベルが低い疾病レベル予測スコアを出力する第2の学習済モデルを選択することを特徴とする、請求項20に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項22】
前記疾病対策出力部が、前記疾病レベル再予測部で選択した最も疾病レベルが低い疾病レベル予測スコアを出力する前記第2の学習済モデルに応じて疾病対策メッセージを出力することを特徴とする、請求項21に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項23】
疾病リスク評価装置が更に疾病レベル再予測部を有し、
前記疾病レベル再予測部は、前記予測理由解析部で出力した疾病レベル予測理由に対応する項目のデータを変更して、疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする、請求項1に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項24】
前記疾病レベル再予測部は、前記疾病レベル予測理由に対応する項目のデータの値を変更して、最も疾病レベルが低い疾病レベル予測スコアを出力する前記疾病レベル予測理由に対応する項目のデータの値を選択することを特徴とする、請求項23に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項25】
前記疾病対策出力部が、前記疾病レベル再予測部で選択した最も疾病レベルが低い疾病レベル予測スコアを出力する、疾病レベル予測理由に対応する項目のデータの値に基づいて疾病対策メッセージを出力することを特徴とする、請求項24に記載の疾病リスク評価装置。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか一項に記載の疾病リスク評価装置と、
ユーザ端末と、
前記ユーザ端末から入力されたユーザの診断データを格納する診断データデータベースと
を備え、
前記疾病レベル予測部が、前記診断データデータベースから前記ユーザの診断データを取得し、
前記疾病対策出力部が、前記疾病対策メッセージを前記ユーザ端末に送信することを特徴とする、疾病リスク評価システム。
【請求項27】
ユーザの診断データを入力として、学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力するステップと、
前記疾病レベル予測スコアと、前記学習済モデルと、前記学習済モデルに入力された前記診断データとを用いて、前記疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、前記疾病レベル予測理由を出力するステップと、
出力された前記疾病レベル予測理由に基づいて、疾病対策メッセージを出力するステップと
を含むことを特徴とする、疾病リスク評価方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康段階での特定の疾病に罹患するリスクが高いかどうかを判定する疾病リスク評価装置、疾病リスク評価システム、及び疾病リスク評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、予防医学に関する関心が高まり、疾病に罹患していない健康段階において特定の疾病に罹患するリスクが高いかどうかを判定することが求められている。また、AIによる機械学習済モデルを使用して健康診断等により得られた患者の診断データから、特定の疾病に罹患するリスクを判定することが試みられている。
【0003】
しかしながら、AIによる機械学習済モデルを使用してリスクの判定を行う際に、AIによる機械学習済モデルから出力された結果がどのような理由に基づいて判定されたものであるかについては、ユーザ側からはブラックボックスとなり、得られた結果をどのように評価し利用すれば良いのかユーザ側からは分かりづらいものとなっていた。
【0004】
そこで、AIによる機械学習済モデルを使用した疾病リスク評価システムを用いるユーザがシステムの導入を検討したり、システムからの出力結果を解釈してその結果を利用したりする際の意思決定に役立てるため、AIから出力された結果が得られた理由を明確にすることが求められている。
【0005】
また、例えば、特定の疾病に罹患するリスクが高いと判定された際に、AIから出力された結果が得られた理由を明確にすることにより、その特定の疾病に罹患するリスクが高まる理由を推定することも可能となり、疾病の予防に役立てることが期待される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Xiao Liu et al., “Development of a Novel Retina-Based Diagnostic Score for Early Detection of Major Depressive Disorder: An Interdisciplinary View”, Frontiers in Psychiatry, May 2022, Volume 13, Article 897759
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、非特許文献1では、OCTA(Optical Coherence Tomography Angiography)のデータを用いてうつ病性障害の進行度を予測することが試みられている。しかしながら、得られた予測結果がどのような理由により得られたものであるかについては、ユーザからは見えないものとなっていた。
【0008】
そこで、本発明によれば、健康段階での特定の疾病に罹患するリスクが高いかどうかを判定する疾病リスク評価システムにおいて、AIによる機械学習済モデルから出力された予測結果がどのような理由に基づいて判定されたものであるかについて予測理由を解析する疾病リスク評価装置、疾病リスク評価システム、および疾病リスク評価方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明では、ユーザの診断データを入力として、学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する、疾病レベル予測部と、学習済モデルと、学習済モデルに入力された診断データとを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由を出力する、予測理由解析部と、予測理由解析部から出力された疾病レベル予測理由に基づいて、疾病対策メッセージを出力する、疾病対策出力部とを備える疾病リスク評価装置を提供する。
【0010】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、学習済モデルは、ユーザの診断データを学習用診断データとして入力し、特定の疾病に関する疾病レベルごとの診断データを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする。
【0011】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、学習用診断データが、ユーザの眼底画像、OCT(Optical Coherence Tomography)計測値、BMI(Body Mass Index)、性別、年齢、健康診断パラメータのうちのいずれか1つ以上であることを特徴とする。
【0012】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、予測理由解析部は、学習済モデル内のニューラルネットワークの各層の伝播係数に関する値を抽出し、疾病レベル予測スコアが導出された主要因を解析することを特徴とする。
【0013】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、予測理由解析部は、学習済モデル内のニューラルネットワークの各層の伝播係数の積算値を抽出し、診断データのピクセル毎又はパラメータ毎に、疾病レベル予測スコアが導出されたことへの貢献度を数値化することを特徴とする。
【0014】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、数値化された前記貢献度をマップ又はグラフとして出力することを特徴とする。
【0015】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、疾病対策出力部は、予測理由解析部から出力された疾病レベル予測理由に基づいて、疾病対策メッセージを選択することを特徴とする。
【0016】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、特定の疾病が、うつ病であり、学習済モデルは、ユーザの眼底画像及びOCT計測値を学習用健診データとして入力し、うつ病に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする。
【0017】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくともユーザの眼底画像及びOCT計測値を入力として、学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする。
【0018】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、予測理由解析部は、学習済モデルと、学習済モデルに診断データとして入力されたユーザの眼底画像及び前記OCT計測値とを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由として少なくともユーザの眼底画像に対応する貢献度マップを出力することを特徴とする。
【0019】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、疾病対策出力部は、予測理由解析部から出力された疾病レベル予測理由に基づいて、予め定められた疾病対策メッセージを出力することを特徴とする。
【0020】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、特定の疾病が、糖尿病であり、学習済モデルは、少なくとも基本バイオ数値を学習用健診データとして入力し、糖尿病に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする。
【0021】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくとも基本バイオ数値を入力として、学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力することを特徴とする。
【0022】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、予測理由解析部は、学習済モデルと、学習済モデルに前記診断データとして入力された基本バイオ数値とを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由として少なくとも関連する基本バイオ数値を出力することを特徴とする。
【0023】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、疾病対策出力部は、予測理由解析部から出力された疾病レベル予測理由に基づいて、予め定められた疾病対策メッセージを出力することを特徴とする。
【0024】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、特定の疾病が、HbA1C値に関する疾病であり、学習済モデルは、少なくともユーザの眼底画像及びOCT計測値、BMI、年齢、性別を学習用健診データとして入力し、HbA1C値を学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものであることを特徴とする。
【0025】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、疾病レベル予測部は、ユーザの診断データとして少なくともユーザの眼底画像及びOCT計測値、BMI、年齢、性別を入力として、学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアとしてHbA1C値を出力することを特徴とする。
【0026】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、予測理由解析部は、学習済モデルと、学習済モデルに診断データとして入力されたユーザの眼底画像及びOCT計測値、BMI、年齢、性別とを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由として少なくとも関連するパラメータを出力することを特徴とする。
【0027】
本発明のある態様による疾病リスク評価装置において、疾病対策出力部は、予測理由解析部から出力された疾病レベル予測理由に基づいて、予め定められた疾病対策メッセージを出力することを特徴とする。
【0028】
また、本発明では、本発明の上記のいずれかの態様による疾病リスク評価装置と、ユーザ端末と、ユーザ端末から入力されたユーザの診断データを格納する診断データデータベースとを備え、疾病レベル予測部が、診断データデータベースから前記ユーザの診断データを取得し、疾病対策出力部が、疾病対策メッセージを前記ユーザ端末に送信することを特徴とする、疾病リスク評価システムを提供する。
【0029】
また、本発明では、ユーザの診断データを入力として、学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力するステップと、疾病レベル予測スコアと、学習済モデルと、学習済モデルに入力された診断データとを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由を出力するステップと、出力された疾病レベル予測理由に基づいて、疾病対策メッセージを出力するステップとを含むことを特徴とする、疾病リスク評価方法を提供する。
【0030】
また、本発明では、上記の疾病リスク評価方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、健康段階での特定の疾病に罹患するリスクが高いかどうかを判定する疾病リスク評価システムにおいて、AIによる機械学習済モデルから出力された予測結果がどのような理由に基づいて判定されたものであるかについて予測理由を解析することが可能となる。
【0032】
また、AIによる機械学習済モデルから出力された予測結果がどのような理由に基づいて判定されたものであるかについて解析した予測理由に基づいて疾病対策メッセージを出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態による疾病リスク評価システムの全体を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施の形態による学習済モデルの生成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施の形態による疾病レベル予測部を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施の形態による予測理由解析部を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施の形態による疾病対策出力部を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施の形態による疾病リスク評価処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0034】
図1は、本発明の一実施の形態による疾病リスク評価システムの全体を示す図である。
疾病リスク評価システム1は、疾病リスク評価装置10と、ユーザ端末50と、ユーザ端末50から入力されたユーザの診断データを格納する診断データデータベースと60を備える。疾病リスク評価装置10の疾病レベル予測部20が、診断データデータベース60からユーザの診断データを取得し、疾病対策出力部40が、疾病対策メッセージをユーザ端末に送信する。
【0035】
ここで、「診断データ」とは、健康診断や人間ドック、又は疾病に関する検査等で得たユーザの生体データのことをいう。診断データには、ユーザの性別、年齢、身長、体重、血液型、BMI、血圧等の基本的な身体データの他、一般的な健康診断や人間ドック、又は疾病に関する検査等で検査項目となり得るあらゆる任意の健康診断パラメータが含まれ得る。また、眼科検診等により得られる眼底画像等の眼に関するデータも診断データに含まれ得る。例えば、血液検査により測定される項目である白血球数、赤血球数、血小板数、コレステロール値(LDLコレステロール値、HDLコレステロール値、総コレステロール値)、ビタミンB12値、25-ヒドロキシビタミンD2値、分葉核好中球パーセント値、赤血球分布幅、赤血球葉酸値、単球パーセント値、平均血小板容積値、平均赤血球容積値、リンパ球パーセント値、ヘモグロビン値、HbA1c値、エピ-25-ヒドロキシビタミンD3値、25-ヒドロキシビタミンD3値、好塩基球パーセント値、好酸球パーセント値等が診断データに含まれる得る。また、例えば、尿検査により測定される項目であるクレアチニン値やアルブミン値等も診断データに含まれる得る。また、病状、生活条件、睡眠状態等に関する問診結果、即ち、健康状態や生活習慣等に関する質問への回答も診断データに含まれ得る。問診結果は、例えば、「近親者は糖尿病だったか?」、「喘息があると言われた?」等の質問に対して「はい」又は「いいえ」で回答した結果等も含まれ得る。
【0036】
疾病リスク評価装置10は、ユーザの診断データを入力として、学習済モデルMにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する、疾病レベル予測部20と、学習済モデルMと、学習済モデルMに入力された診断データとを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由を出力する、予測理由解析部30と、予測理由解析部30から出力された疾病レベル予測理由に基づいて、疾病対策メッセージを出力する、疾病対策出力部40とを備える。
【0037】
図2は、本発明の一実施の形態による学習済モデルの生成を示す図である。
学習済モデルMは、ユーザの診断データを学習用診断データとして入力し、特定の疾病に関する疾病レベルごとの診断データを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものである。学習用診断データは、例えば、ユーザの眼底画像、OCT計測値、BMI(Body Mass Index)、性別、年齢、その他の健康診断パラメータ等である。学習用スコアデータは、例えば、疾病レベル1、2、・・・n等、疾病レベルを複数の段階にグループ化したものである。特定の疾病に対して、疾病レベルとして一般的に用いられる指標がある場合には、その指標を疾病レベルとして用いてもよい。例えば、うつ病の場合、疾病レベルとして一般的に用いられる指標であるPHQ-9(Patient Health Questionnaire-9)の値を疾病レベルとしてもよい。例えば、PHQ-9の値は、0~27の数値で表される。
【0038】
学習用診断データは、ユーザの眼底画像、OCT計測値、BMI(Body Mass Index)、性別、年齢、健康診断パラメータのうちのいずれか1つ以上である。ここで、「健康診断パラメータ」には、一般的な健康診断や人間ドック、又は疾病に関する検査等で検査項目となり得るあらゆる任意の健康診断パラメータが含まれ得る。
【0039】
図3は、本発明の一実施の形態による疾病レベル予測部を示す図である。
疾病レベル予測部20は、ユーザの診断データを入力として、学習済モデルMにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する。ユーザの診断データは、例えば、ユーザの眼底画像、OCT計測値、BMI、性別、年齢、その他の健康診断パラメータ等である。ユーザの診断データは、実際の健康診断や人間ドック、又は疾病に関する検査等で得られたデータです。予測スコアは、疾病レベル予測部20の出力結果として得られたものであり、例えば、疾病レベル1、2、・・・n等、疾病レベルを複数の段階にグループ化したものである。特定の疾病に対して、疾病レベルとして一般的に用いられる指標がある場合には、その指標を疾病レベルとして用いてもよい。例えば、うつ病の場合、疾病レベルとして一般的に用いられる指標であるPHQ-9(Patient Health Questionnaire-9)の値を疾病レベルとしてもよい。例えば、PHQ-9の値は、0~27の数値で表される。
【0040】
図4は、本発明の一実施の形態による予測理由解析部を示す図である。
予測理由解析部30は、学習済モデルMと、学習済モデルMに入力された診断データとを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由を出力する。具体的には、予測理由解析部30は、学習済モデル内のニューラルネットワークの各層の伝播係数に関する値を抽出し、疾病レベル予測スコアが導出された主要因を解析する。
【0041】
予測理由解析部30は、学習済モデル内のニューラルネットワークの各層の伝播係数の積算値を抽出し、診断データのピクセル毎又はパラメータ毎に、疾病レベル予測スコアが導出されたことへの貢献度を数値化するようにしてもよい。
【0042】
予測理由解析部30は、疾病レベル予測理由として、例えば、ユーザの眼底画像の各ピクセルの貢献度を示す貢献度画像や健康診断項目名を出力するようにしてもよい。数値化された貢献度はマップ又はグラフとして出力されるようにしてもよい。例えば、うつ病の疾病レベルを予測する際に、入力したユーザの眼底画像のどの部分が疾病レベルの予測に貢献しているかを示すために、ユーザの眼底画像の各ピクセルの貢献度を色の変化で示す、いわゆるヒートマップを作成してもよい。また、ユーザの眼底画像のうち疾病レベルの予測への貢献度が高い部分を着色したり、丸や矩形で囲んだりして示すようにしてもよい。また、例えば、糖尿病の疾病レベルを予測する際に、入力したユーザの健康診断パラメータのうち、BMIと年齢が疾病レベルの予測に貢献していた場合には、BMIと年齢の貢献度が高いことを示すグラフを出力するようにしてもよい。グラフは、ランキングを示す棒グラフやレーダーチャート等、任意の形式のグラフを用いてよい。
【0043】
図5は、本発明の一実施の形態による疾病対策出力部を示す図である。
疾病対策出力部40は、予測理由解析部から出力された疾病レベル予測理由に基づいて、疾病対策メッセージを選択する。予測理由解析部30で得た疾病レベル予測理由は、例えば、ユーザの眼底画像の各ピクセルの貢献度を示す貢献度画像や健康診断項目名である。これらの貢献度画像や健康診断項目名と疾病対策メッセージとは予め紐づけられてデータベース(図示せず)又はテーブル等に保存されており、疾病対策出力部40は、データベース又はテーブルを参照して、疾病レベル予測理由に基づいて対応する疾病対策メッセージを出力する。疾病対策メッセージは、例えば、「うつ病のリスクが高いです。」や「BMIの数値に気を付けてください。」等のメッセージであってもよい。疾病対策メッセージは、文字のみでなく画像やグラフを含んでいてもよい。
【0044】
以下に、特定の疾病ごとの例を説明する。まず、特定の疾病がうつ病である場合の例を説明する。
特定の疾病が、うつ病である場合、学習済モデルMは、ユーザの眼底画像及びOCT計測値を学習用健診データとして入力し、うつ病に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものである。うつ病の場合、例えば、うつ病に関する疾病レベルとして一般的に用いられる指標であるPHQ-9の値を用いてもよい。例えば、PHQ-9の値は、0~27の数値で表される。このPHQ-9の0~27の数値を学習用スコアデータとして入力してもよい。
【0045】
特定の疾病が、うつ病である場合、疾病レベル予測部20は、ユーザの診断データとして少なくともユーザの眼底画像及びOCT計測値を入力として、学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する。うつ病の場合、疾病レベル予測スコアは、例えば、PHQ-9の0~27の数値であってもよい。
【0046】
特定の疾病が、うつ病である場合、予測理由解析部30は、学習済モデルMと、学習済モデルMに診断データとして入力されたユーザの眼底画像及び前記OCT計測値とを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由として少なくともユーザの眼底画像に対応する貢献度マップを出力する。ユーザの眼底画像に対応する貢献度マップは、ユーザの眼底画像の各ピクセルの貢献度を色の変化で示す、いわゆるヒートマップであってもよい。また、ユーザの眼底画像のうち疾病レベルの予測への貢献度が高い部分を着色したり、丸や矩形で囲んだりして示すようにしてもよい。
【0047】
特定の疾病が、うつ病である場合、疾病対策出力部40は、予測理由解析部30から出力された疾病レベル予測理由に基づいて、予め定められた疾病対策メッセージを出力する。うつ病の場合、疾病対策メッセージは、例えば、「PHQ-9の数値が20です。うつ病のリスクが高いです。」等のメッセージであってもよい。
【0048】
次に、特定の疾病が糖尿病である場合の例を説明する。
特定の疾病が、糖尿病である場合、学習済モデルMは、少なくとも基本バイオ数値を学習用健診データとして入力し、糖尿病に関する疾病レベルを学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものである。「基本バイオ数値」には、例えば、ユーザの性別、年齢、身長、体重、血液型、BMI、血圧等の基本的な身体データの他、一般的な健康診断や人間ドック、又は疾病に関する検査等で検査項目となり得るあらゆる任意の健康診断パラメータが含まれ得る。
【0049】
特定の疾病が、糖尿病である場合、疾病レベル予測部20は、ユーザの診断データとして少なくとも基本バイオ数値を入力として、学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する。糖尿病の場合、疾病レベル予測スコアは、糖尿病になるリスクの高さ又は既に糖尿病を罹患している可能性が高い場合はその重症度を、数値や記号等を用いて段階的に示したものであってもよい。
【0050】
特定の疾病が、糖尿病である場合、予測理由解析部30は、学習済モデルMと、学習済モデルMに診断データとして入力された基本バイオ数値とを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由として少なくとも関連する基本バイオ数値を出力する。糖尿病の場合、例えば、疾病レベル予測理由としてBMIや年齢等の健康診断の項目名を出力するようにしてもよい。また、疾病レベル予測理由として、基本バイオ数値の他に、甘い食べ物を好む、睡眠時間が短い等の生活習慣に関する問診の項目を出力するようにしてもよい。
【0051】
特定の疾病が、糖尿病である場合、疾病対策出力部40は、予測理由解析部30から出力された疾病レベル予測理由に基づいて、予め定められた疾病対策メッセージを出力する。糖尿病の場合、例えば、疾病対策メッセージは、「BMIの値に気をつけてください。」、「甘い食べ物を控えましょう。」等のメッセージであってもよい。
【0052】
次に、特定の疾病がHbA1C値に関する疾病である場合の例を説明する。
特定の疾病が、HbA1C値に関する疾病である場合、学習済モデルMは、ユーザの眼底画像及びOCT計測値、BMI、年齢、性別を学習用健診データとして入力し、HbA1C値を学習用スコアデータとして入力して機械学習を行うことにより生成されたものである。
【0053】
特定の疾病が、HbA1C値に関する疾病である場合、疾病レベル予測部20は、ユーザの診断データとして少なくともユーザの眼底画像及びOCT計測値、BMI、年齢、性別を入力として、学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアとしてHbA1C値を出力する。
【0054】
特定の疾病が、HbA1C値に関する疾病である場合、予測理由解析部30は、学習済モデルMと、学習済モデルMに診断データとして入力されたHbA1C値とを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由として少なくとも関連するパラメータを出力する。関連するパラメータは、例えば、健康診断の項目名等であってもよい。
【0055】
特定の疾病が、HbA1C値に関する疾病である場合、疾病対策出力部40は、予測理由解析部から出力された疾病レベル予測理由に基づいて、予め定められた疾病対策メッセージを出力する。例えば、疾病対策メッセージは、「HbA1C値は〇〇です。HbA1C値に気をつけてください。」等のメッセージであってもよい。
【0056】
図6は、本発明の一実施の形態による疾病リスク評価処理の流れを示す図である。
本発明による疾病リスク評価方法における疾病リスク評価処理において、まず、ステップS601にて、ユーザの診断データを入力として、学習済モデルにより疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する。次に、ステップS602において、疾病レベル予測スコアと、学習済モデルと、学習済モデルに入力された診断データとを用いて、疾病レベル予測スコアが示す疾病レベル予測理由を解析し、疾病レベル予測理由を出力する。次に、ステップS603において、出力された疾病レベル予測理由に基づいて、疾病対策メッセージを出力する。
【0057】
また、本発明では、コンピュータに本発明による疾病リスク評価方法の各ステップを実行させるプログラムを提供する。プログラムはコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されるようにしてもよい。また、プログラムはサーバー内に格納され、サーバー上で実行され、及び/又はネットワークを介してその機能を提供するようにしてもよい。
以下、実施例2として、上記実施例1で説明した疾病リスク評価装置10、疾病リスク評価システム1、及び疾病リスク評価方法において用いる学習済モデルMについて、学習済モデルMを生成する際の学習用診断データ及び学習用スコアデータを、職種や地域等のカテゴリごとに収集し、それぞれのカテゴリごとに学習済モデルMを生成する例について説明する。以下で特に説明しない点については、実施例1の疾病リスク評価装置10、疾病リスク評価システム1、及び疾病リスク評価方法と同様である。
実施例1では、学習済モデルMを生成するために収集する学習用診断データ及び学習用スコアデータについて特に制限を設けておらず、様々な職種や地域等のユーザのデータを偏りなく用いることが想定される。一方、実施例2では、例えば職種や地域等のカテゴリごとに学習用診断データ及び学習用スコアデータを収集して、学習済モデルMの生成に用いる。これにより、職種や地域等のカテゴリごとに複数の学習済モデルMが生成される。例えば、職種について営業職、事務職、研究開発職等の異なるカテゴリごとに複数の学習済モデルMa1、Ma2、Ma3を生成するようにしてもよい。また、例えば、地域について都市部等の比較的人口の多い地域と、都市部以外の自然が豊かで比較的人口の少ない地域とにカテゴリを分類し、分類したカテゴリごとに複数の学習済モデルMb1、Mb2を生成するようにしてもよい。また、例えば、1つの会社内で、部署A、部署B、部署C等の部署ごとに複数の学習済モデルMc1、Mc2、Ma3を生成するようにしてもよい。カテゴリの分類の仕方はこれらに限られず、任意のカテゴリの分類の仕方を採用してもよい。
実施例2のように、職種や地域等のカテゴリごとに学習用診断データ及び学習用スコアデータを収集して、カテゴリごとに複数の学習済モデルMの生成することにより、以下のような活用の仕方が考えられる。実施例1で説明した疾病リスク評価装置10の疾病レベル予測部20において、あるユーザについて疾病リスクが高い予測スコアが得られた場合、予測に用いたそのユーザの診断データを、他のカテゴリの複数の学習済モデルMに入力して再度、予測を行い、より疾病リスクが低い予測スコアが得られる学習済モデルMを選択する。選択された学習済モデルMは、そのユーザが疾病リスクを減らすためにより良いカテゴリを示すこととなる。例えば、あるユーザPの職種が営業職であり、営業職のユーザの学習用診断データ及び学習用スコアデータを用いて作成した学習済モデルMa1を用いて予測スコアを出力し、うつ病の疾病リスクが高い予測スコアが得られた場合、他の職種に関する学習済モデルMa2、Ma3を用いて再度、予測スコアを出力して比較すると、研究開発職に関する学習済モデルMa3を用いた場合に、より疾病リスクが低い予測スコアが得られたとする。この場合、ユーザPは、営業職から研究開発職に職種を変更することにより、将来の疾病リスクを軽減することができると推測できる。
実施例2では、疾病リスク評価装置10が更に疾病レベル再予測部22を有するようにしてもよい。疾病レベル再予測部22は、疾病レベル予測部20で使用した第1の学習済モデルM1と第1の学習済モデルM1と異なる少なくとも1つ以上の第2の学習済モデルM2を用いて、疾病レベルを予測し、疾病レベル予測スコアを出力する。疾病レベル再予測部22は、第1の学習済モデルM1と異なる少なくとも1つ以上の第2の学習済モデルM2から、最も疾病レベルが低い疾病レベル予測スコアを出力する第2の学習済モデルを選択するようにしてもよい。
実施例2では、疾病リスク評価装置10の疾病対策出力部40において、疾病レベル再予測部22で選択した最も疾病レベルが低い疾病レベル予測スコアを出力する第2の学習済モデルに応じて疾病対策メッセージを出力するようにしてもよい。例えば、上述の例のユーザPの場合、疾病対策メッセージとして、職種を営業職から研究開発職へ変更することをアドバイスするメッセージを出力するようにしてもよい。