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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073787
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/00 20210101AFI20240523BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
G02B7/00 F
G02B7/00 H
B41J2/47 101D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184681
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】横井 淳一
(72)【発明者】
【氏名】小山 芳弘
【テーマコード(参考)】
2C362
2H043
【Fターム(参考)】
2C362AA03
2C362AA43
2C362AA44
2C362BA04
2C362BA84
2C362BA90
2C362DA03
2H043AE02
2H043AE23
2H043AE24
(57)【要約】
【課題】カップリングレンズの光軸周りの向きを決めることができる光源装置を提供すること。
【解決手段】光源装置は、光学面21とフランジ部22を有するカップリングレンズ20と、カップリングレンズ20を保持するホルダ90を備える。フランジ部22は、カップリングレンズ20の光軸方向に直交する径方向に突出する。フランジ部22は、第1フランジ部24Aと、第2フランジ部25Bを有する。第1フランジ部24Aは、光軸X2を中心とする円弧面F1を有する。第2フランジ部25Bは、光軸方向に沿った平面F2を有する。ホルダ90は、第1位置決め部93Cと、第1開口H12を有する。第1位置決め部93Cは、円弧面F1に径方向で対向し、カップリングレンズ20を位置決めする。第1開口H12は、平面F2を径方向に露出させる。第1フランジ部24Aは、ホルダ90に接着される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する半導体レーザと、
前記半導体レーザからの光をビームに変換するカップリングレンズと、
前記カップリングレンズを保持するホルダと、を備え、
前記カップリングレンズは、
光学面と、
前記カップリングレンズの光軸に沿った光軸方向に直交する径方向に突出するフランジ部と、を有し、
前記フランジ部は、
前記光軸を中心とする円弧状の円弧面を有する第1フランジ部と、
前記光軸方向に沿った平面を有する第2フランジ部と、を有し、
前記ホルダは、
前記円弧面に前記径方向において対向し、前記カップリングレンズを位置決めする第1位置決め部と、
前記平面の少なくとも一部を前記径方向に露出させる第1開口と、を有し、
前記第1フランジ部の少なくとも一部は、前記ホルダに接着されていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記ホルダは、前記第1位置決め部を少なくとも2つ有し、
前記光軸は、2つの前記第1位置決め部の間に位置することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記第1位置決め部は、前記円弧面に沿った曲面を有することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項4】
前記ホルダは、
前記第2フランジ部の前記平面に対向した第2位置決め部であって、前記カップリングレンズの前記光軸周りの向きを決める第2位置決め部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項5】
前記第2位置決め部は、前記第2フランジ部の前記平面に対向した第2平面を有することを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記カップリングレンズは、前記光軸を挟むように位置する2つの部分が前記ホルダに接着されていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項7】
前記ホルダは、
前記光軸方向において前記第1フランジ部から離れる方向に凹み、前記光軸方向から見て前記第1フランジ部と重なる凹部をさらに有し、
前記第1フランジ部と前記ホルダを接着させる接着剤の少なくとも一部は、前記凹部内に位置することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項8】
前記カップリングレンズは、前記円弧面から前記径方向に突出するゲート痕をさらに有し、
前記ホルダは、前記ゲート痕を前記径方向に露出させる第2開口を有することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査光学装置に用いられる光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源装置として、カップリングレンズと、カップリングレンズを保持するホルダとを備えたものが知られている(特許文献1参照)。この技術では、カップリングレンズは、凸曲面となる光学面と、光学面の径方向において光学面から突出するフランジ部と、を備える。カップリングレンズは、フランジ部を含めて軸対称の形状となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-063925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外形が軸対称でないカップリングレンズの場合には、光軸周りの向きを規定してホルダに接着する必要がある。詳しくは、光学面が軸対称でない場合には光軸周りの向きを規定するのは必須であり、光学面が設計上軸対称な面である場合にも収差が変化する場合があるので光軸周りの向きを規定する必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、カップリングレンズの光軸周りの向きを決めることができる光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る光源装置は、半導体レーザと、カップリングレンズと、ホルダと、を備える。
半導体レーザは、光を出射する。
カップリングレンズは、半導体レーザからの光をビームに変換する。
ホルダは、カップリングレンズを保持する。
カップリングレンズは、光学面と、フランジ部と、を有する。
フランジ部は、カップリングレンズの光軸に沿った光軸方向に直交する径方向において光学面から突出する。
フランジ部は、第1フランジ部と、第2フランジ部と、を有する。
第1フランジ部は、光軸を中心とする円弧状の円弧面を有する。
第2フランジ部は、光軸方向に沿った平面を有する。
ホルダは、第1位置決め部と、第1開口と、を有する。
第1位置決め部は、円弧面に径方向において対向し、カップリングレンズを位置決めする。
第1開口は、平面の少なくとも一部を径方向に露出させる。
第1フランジ部の少なくとも一部は、ホルダに接着されている。
【0007】
第2フランジ部の平面の少なくとも一部が第1開口から露出する構成によれば、第2フランジ部の平面を治具等で操作することができるので、カップリングレンズの光軸周りの向きを決めることができる。
【0008】
また、ホルダは、第1位置決め部を少なくとも2つ有し、光軸は、2つの第1位置決め部の間に位置していてもよい。
【0009】
光軸が2つの第1位置決め部の間に位置する構成によれば、光軸を挟むように位置する2つの第1位置決め部によって、カップリングレンズを径方向に精度よく位置決めすることができる。
【0010】
また、第1位置決め部は、円弧面に沿った曲面を有していてもよい。
【0011】
第1位置決め部が円弧面に沿った曲面を有する構成によれば、円弧面と曲面を合わせることで、カップリングレンズを径方向に精度よく位置決めすることができる。
【0012】
また、ホルダは、第2フランジ部の平面に対向した第2位置決め部であって、カップリングレンズの光軸周りの向きを決める第2位置決め部をさらに有していてもよい。
【0013】
ホルダが、第2フランジ部の平面に対向した第2位置決め部を有する構成によれば、第2位置決め部によって、カップリングレンズの光軸周りの向きを決めることができる。
【0014】
また、第2位置決め部は、第2フランジ部の平面に対向した第2平面を有していてもよい。
【0015】
第2位置決め部が、第2フランジ部の平面に対向した第2平面を有する構成によれば、平面と第2平面を合わせることで、カップリングレンズの光軸周りの向きを決めることができる。
【0016】
また、カップリングレンズは、光軸を挟むように位置する2つの部分がホルダに接着されていてもよい。
【0017】
カップリングレンズの光軸を挟むように位置する2つの部分がホルダに接着される構成によれば、接着剤の硬化時における収縮によってカップリングレンズの位置が、光学面の径方向にずれるのを抑制することができる。
【0018】
また、ホルダは、光軸方向において第1フランジ部から離れる方向に凹み、光軸方向から見て第1フランジ部と重なる凹部をさらに有し、第1フランジ部とホルダを接着させる接着剤の少なくとも一部は、凹部内に位置していてもよい。
【0019】
ホルダが光軸方向から見て第1フランジ部と重なる凹部を有し、接着剤の少なくとも一部が凹部内に位置する構成によれば、光軸方向においてカップリングレンズとホルダで接着剤が挟まれるので、第1フランジ部をホルダに強固に接着させることができる。
【0020】
また、カップリングレンズは、円弧面から径方向に突出するゲート痕をさらに有し、ホルダは、ゲート痕を径方向に露出させる第2開口を有していてもよい。
【0021】
ホルダが、ゲート痕を径方向に露出させる第2開口を有する構成によれば、ゲート痕がホルダに接触しないので、カップリングレンズの光軸の位置の精度にゲート痕が影響を与えない。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、カップリングレンズの光軸周りの向きを決めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係る光源装置を備えた走査光学装置の斜視図である。
図2図1のX-X断面図である。
図3図1のY-Y断面図である。
図4】光源装置を構成する光源ユニットを示す斜視図である。
図5】ホルダとカップリングレンズを分解して示す斜視図である。
図6】ホルダを第3方向の一方側から見た図である。
図7】カップリングレンズが取り付けられた状態のホルダを第3方向の一方側から見た図である。
図8】変形例に係るホルダを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示すように、走査光学装置1は、フレームFと、入射光学系Liと、偏向器50と、走査光学系Loとを備える。本実施形態において、走査光学装置1は、電子写真式の画像形成装置に適用されている。画像形成装置は、4つの感光ドラム200(図3参照)を備える。
【0025】
以下の説明では、後述するポリゴンミラー51の回転軸線X1に平行な方向を、「第1方向」と称する。また、第1方向に直交する方向であって、ポリゴンミラー51と第1走査レンズ60(図3参照)が並ぶ方向を、「第2方向」と称する。また、第1方向および第2方向に直交する方向を「第3方向」と称する。第3方向は、主走査方向に相当し、第1方向は、入射光学系Liの副走査方向に相当する。図面における各方向を示す矢印は、各方向における一方側を指すこととする。
【0026】
入射光学系Liは、光源装置LMと、絞り板30と、集光レンズ40とを備える。光源装置LMは、4つの光源Lsを主に備える。
各光源Lsは、光ビームを出射する装置であり、半導体レーザ10と、カップリングレンズ20とを有する。
【0027】
半導体レーザ10は、レーザ光を出射する装置である。半導体レーザ10は、走査光学装置1が走査露光する4つの感光ドラム200(図3参照)に対応して4つ設けられている。各感光ドラム200には、それぞれ異なる色のトナー像が形成される。
【0028】
なお、本実施形態では、第1色を「イエロー(Y)」、第2色を「マゼンタ(M)」、第3色を「シアン(C)」、第4色を「ブラック(K)」とする。以下の説明では、第1色に対応した部品の名称の頭に「第1」を付し、第1色に対応した部品の符号の末尾に「Y」を付して区別する場合がある。また、第2色、第3色、第4色に対応した部品ついても同様に、名称の頭に「第2」、「第3」、「第4」を付し、符号の末尾に「M」、「C」、「K」を付して区別する場合がある。
【0029】
半導体レーザ10は、イエローに対応した第1半導体レーザ10Yと、マゼンタに対応した第2半導体レーザ10Mと、シアンに対応した第3半導体レーザ10Cと、ブラックに対応した第4半導体レーザ10Kとを有する。第1半導体レーザ10Yは、第2半導体レーザ10Mに対して第1方向に間隔を空けて並んでいる。第1半導体レーザ10Yは、第2半導体レーザ10Mに対して第1方向の一方側に位置する。
【0030】
第3半導体レーザ10Cは、第2半導体レーザ10Mに対して第2方向に間隔を空けて並んでいる。第3半導体レーザ10Cは、第2半導体レーザ10Mに対して第2方向の他方側に位置する。第4半導体レーザ10Kは、第1方向において第3半導体レーザ10Cと間隔を空けて並び、かつ、第2方向において第1半導体レーザ10Yと間隔を空けて並んでいる。
【0031】
カップリングレンズ20は、半導体レーザ10からのレーザ光を光ビームに変換するレンズである。各色に対応したカップリングレンズ20Y,20M,20C,20Kは、対応する半導体レーザ10Y,10M,10C,10Kと対向する位置に配置されている。
【0032】
絞り板30は、カップリングレンズ20からの光ビームが通過する開口絞り31を有する。本実施形態では、絞り板30は、フレームFに一体に形成されている。絞り板30は、カップリングレンズ20と集光レンズ40の間に位置している。開口絞り31は、4つの光源Lsに対応して4つ設けられている。
【0033】
集光レンズ40は、カップリングレンズ20からの光ビームを副走査方向においてポリゴンミラー51のミラー面に集光するレンズである。集光レンズ40は、絞り板30に対してカップリングレンズ20とは反対側に位置している。
【0034】
図2に示すように、偏向器50は、光源Lsからの光ビームを主走査方向(第3方向)に偏向する装置であり、ポリゴンミラー51と、モータ52とを有する。ポリゴンミラー51は、回転することで光ビームを主走査方向に偏向する。ポリゴンミラー51は、回転軸線X1から等距離に設けられた5つのミラー面を有している(図1も参照)。モータ52は、ポリゴンミラー51を回転させるモータである。モータ52は、フレームFに固定されている。
【0035】
図3に示すように、走査光学系Loは、偏向器50によって偏向された光ビームを、像面としての感光ドラム200の表面に結像する光学系である。走査光学系Loを構成する各部品は、フレームFに固定されている。走査光学系Loは、イエローに対応した第1走査光学系LoYと、マゼンタに対応した第2走査光学系LoMと、シアンに対応した第3走査光学系LoCと、ブラックに対応した第4走査光学系LoKとを有する。
【0036】
第1走査光学系LoYおよび第2走査光学系LoMは、第2方向において、ポリゴンミラー51の一方側に配置されている。第3走査光学系LoCおよび第4走査光学系LoKは、第2方向において、ポリゴンミラー51の他方側に配置されている。各走査光学系LoY,LoM,LoC,LoKには、ポリゴンミラー51によって主走査方向に偏向された光ビームが入射する。
【0037】
第1走査光学系LoYは、第1走査レンズ60YMと、第2走査レンズ70Yと、反射ミラー81Yとを有する。
【0038】
第1走査レンズ60YMは、偏向器50で偏向された光ビームBY,BMを主走査方向に屈折させて感光ドラム200Y,200Mに結像させるレンズである。また、第1走査レンズ60YMは、偏向器50によって等角速度で走査された光ビームBY,BMを、感光ドラム200Y,200Mにおいて等速度となるようにするfθ特性を有する。
【0039】
反射ミラー81Yは、第1走査レンズ60YMからの光ビームBYを第1感光ドラム200Yに向けて反射するミラーである。
【0040】
第2走査レンズ70Yは、反射ミラー81Yで反射された光ビームBYを副走査方向に屈折させて第1感光ドラム200Yに結像させるレンズである。なお、走査光学系Loにおいて、副走査方向は、主走査方向および光ビームの進行方向に直交する方向に相当する。第2走査レンズ70Yは、ポリゴンミラー51に対して第1方向の一方側の位置に配置されている。
【0041】
第2走査光学系LoMは、第1走査レンズ60YMと、第2走査レンズ70Mと、反射ミラー81Mと、ミラー82Mとを有する。
【0042】
第1走査レンズ60YMは、第1走査光学系LoYと共用されている。ミラー82Mは、第1走査レンズ60YMからの光ビームBMを反射ミラー81Mに反射するミラーである。第2走査レンズ70Mおよび反射ミラー81Mは、第1走査光学系LoYの第2走査レンズ70Yおよび反射ミラー81Yと同様の機能を有する。すなわち、反射ミラー81Mは、ミラー82Mで反射された光ビームBMを第2感光ドラム200Mに向けて反射し、第2走査レンズ70Mは、反射ミラー81Mで反射された光ビームBMを副走査方向に屈折させて第2感光ドラム200Mに結像させる。
【0043】
第3走査光学系LoCは、ポリゴンミラー51の回転軸線X1に対して、おおむね第2走査光学系LoMと線対称の構造となっている。具体的に、第3走査光学系LoCは、第2走査光学系LoMの各部材と同様の機能を有する、第1走査レンズ60CK、第2走査レンズ70C、反射ミラー81Cおよびミラー82Cを有する。
【0044】
第1走査レンズ60CKは、偏向器50で偏向された光ビームBC,BKを主走査方向に屈折させて感光ドラム200C,200Kに結像させる。また、第1走査レンズ60CKは、偏向器50によって等角速度で走査された光ビームBC,BKを、感光ドラム200C,200Kにおいて等速度となるようにするfθ特性を有する。
【0045】
ミラー82Cは、第1走査レンズ60CKからの光ビームBCを反射ミラー81Cに反射し、反射ミラー81Cは、ミラー82Cで反射された光ビームBCを第3感光ドラム200Cに向けて反射する。第2走査レンズ70Cは、反射ミラー81Cで反射された光ビームBCを副走査方向に屈折させて第3感光ドラム200Cに結像させる。
【0046】
第4走査光学系LoKは、ポリゴンミラー51の回転軸線X1に対して、おおむね第1走査光学系LoYと線対称の構造となっている。具体的に、第4走査光学系LoKは、第1走査光学系LoYの各部材と同様の機能を有する、第1走査レンズ60CK、第2走査レンズ70Kおよび反射ミラー81Kを有する。
【0047】
反射ミラー81Kは、第1走査レンズ60CKからの光ビームBKを第4感光ドラム200Kに向けて反射し、第2走査レンズ70Kは、反射ミラー81Kで反射された光ビームBKを副走査方向に屈折させて第4感光ドラム200Kに結像させる。
【0048】
図2に示すように、各半導体レーザ10Y,10M,10C,10Kから出射されたレーザ光は、対応する各カップリングレンズ20Y,20M,20C,20Kを通ることで光ビームBY,BM,BC,BKに変換される。各光源LsY,LsM,LsC,LsKから出射された光ビームBY,BM,BC,BKは、絞り板30の対応する開口絞り31Y,31M,31C,31Kを通った後、集光レンズ40を通って、ポリゴンミラー51に入射される。集光レンズ40は、光ビームBY,BM,BC,BKが共通して通過するレンズであり、入射面が円筒面、出射面が平面で構成される。
【0049】
図3に示すように、ポリゴンミラー51は、光ビームBY,BM,BC,BKを、対応する走査光学系LoY,LoM,LoC,LoKに向けて偏向する。第1走査光学系LoYに向かう光ビームBYは、第1走査レンズ60YMを通った後、反射ミラー81Yで反射され、第2走査レンズ70Yを通って第1感光ドラム200Yに向けて出射される。光ビームBYは、第1方向と所定の角度をなして第2走査レンズ70Yから出射される。光ビームBYは、第1感光ドラム200Yの表面に結像され、主走査方向に走査される。
【0050】
第2走査光学系LoMに向かう光ビームBMは、第1走査レンズ60YMを通った後、ミラー82Mおよび反射ミラー81Mで反射され、第2走査レンズ70Mを通って第1方向の一方側の第2感光ドラム200Mに向けて出射される。光ビームBMは、第1方向と所定の角度をなして第2走査レンズ70Mから出射される。光ビームBMは、第2感光ドラム200Mの表面に結像され、主走査方向に走査される。光ビームBC,BKも、同様に、対応する走査光学系LoC,LoKによって、感光ドラム200C,200Kに向けて出射されて、対応する感光ドラム200C,200Kの表面に結像され、主走査方向に走査される。
【0051】
図4に示すように、光源装置LMは、光源ユニットUを備えている。光源ユニットUは、2つの光源Lsを第1方向に並べて保持するユニットである。図1に示すように、光源装置LMは、第2方向に並ぶ2つの光源ユニットUを備えている。2つの光源ユニットUは、略同一の構造であるため、以下の説明では、1つの光源ユニットUを代表して説明する。
【0052】
光源ユニットUは、ホルダ90と、レーザホルダ100とを備えている。ホルダ90は、第1方向に並ぶ2つのカップリングレンズ20Y,20Mのうち第1方向の他方側に位置するカップリングレンズ20Mを保持する部材である。
【0053】
レーザホルダ100は、第1部分110と、第2部分120とを有する。第1部分110は、厚み方向が第1方向に沿った板状の部位である。第1部分110は、第1座面111と、2つの第2座面112とを有する。
【0054】
第1座面111は、第1方向に並ぶ2つのカップリングレンズ20Y,20Mのうち第1方向の一方側に位置するカップリングレンズ20Yを保持するための面である。カップリングレンズ20Yは、光硬化樹脂からなる接着剤BDによって第1座面111に固定される。第1座面111は、第2方向において、2つの第2座面112の間に位置する。
【0055】
第2座面112は、ホルダ90を保持するための面である。ホルダ90は、接着剤BDによって各第2座面112に固定される。
【0056】
第2部分120は、第1部分110の第3方向の他方側の端から第1方向の他方側に延びる。第2部分120は、2つの半導体レーザ10Y,10Mを第1方向に並んだ状態で保持する。図2に示すように、レーザホルダ100は、ネジSCによってフレームFに固定される。
【0057】
図5に示すように、カップリングレンズ20は、光学面21と、フランジ部22と、ゲート痕23とを有する。
光学面21は、カップリングレンズの光軸X2に沿った光軸方向から見て円形となっている。
【0058】
フランジ部22は、光軸方向に直交する径方向において光学面21の径方向の端部から突出している。言い換えると、フランジ部22は、光学面21の周囲、詳しくは径方向の端に位置する。フランジ部22は、3つの第1フランジ部24A,24B,24Cと、3つの第2フランジ部25A,25B,25Cとを有する。第1フランジ部24A,24B,24Cは、光軸X2を中心とする円弧状の円弧面F1を有する。第2フランジ部25A,25B,25Cは、光軸方向に沿った平面F2を有する。
【0059】
第2フランジ部25Aは、カップリングレンズ20の第2方向の一端に位置する。第2フランジ部25Bは、カップリングレンズ20の第2方向の他端に位置する。第2フランジ部25A,25Bの各平面F2は、第2方向に直交する。第2フランジ部25A,25Bは、光軸X2に対して軸対称となっている。
【0060】
第2フランジ部25Cは、カップリングレンズ20の第1方向の一端に位置する。第2フランジ部25Cの平面F2は、第2フランジ部25A,25Bの各平面F2対して直交する。
【0061】
第1フランジ部24Aは、カップリングレンズ20の第1方向の他端に位置する。第1フランジ部24Aは、第2方向の一方側の第2フランジ部25Aから第2方向の他方側の第2フランジ部25Bまで延びている。第1フランジ部24Bは、第2フランジ部25Aと第2フランジ部25Cの間に位置する。第1フランジ部24Cは、第2フランジ部25Bと第2フランジ部25Cの間に位置する。
【0062】
ゲート痕23は、カップリングレンズ20を射出成型する際にカップリングレンズ20と一体に形成される部位であり、第1フランジ部24Aの円弧面F1から径方向に突出する。ゲート痕23は、光軸X2に対して第2フランジ部25Cとは反対に位置する。
【0063】
カップリングレンズ20は、第1角部26Aと第2角部26Bとをさらに有する。第1角部26Aは、第2フランジ部25Aの平面F2と第1フランジ部24Bの円弧面F1とで形成される角部である。第2角部26Bは、第2フランジ部25Bの平面F2と第1フランジ部24Aの円弧面F1とで形成される角部である。第1角部26Aと第2角部26Bは、光軸X2を挟むように位置する。
【0064】
ホルダ90は、ベース部91と、2つの脚部92と、4つの第1位置決め部93A,93B,93C,93Dと、2つの第2位置決め部94A,94Bとを有する。ベース部91は、第3方向の一方側の端に、カップリングレンズ20のフランジ部22と第3方向で接触するレンズ座面91Aを有する。
【0065】
2つの脚部92は、ベース部91から第1方向の一方側に延びる。図4に示すように、各脚部92は、レーザホルダ100の対応する第2座面112に、接着剤BDによって固定される。
【0066】
図5に戻って、第1位置決め部93A,93B,93C,93Dおよび第2位置決め部94A,94Bは、レンズ座面91Aから第3方向の一方側に突出する。第1位置決め部93A,93B,93C,93Dは、カップリングレンズ20を径方向に位置決めするための部位である。
【0067】
図7に示すように、第1位置決め部93Aは、第1フランジ部24Aの円弧面F1のうち第2方向の一方側の部位に径方向において対向する。第1位置決め部93Bは、第1フランジ部24Cの円弧面F1に径方向において対向する。
【0068】
第1位置決め部93Cは、第1フランジ部24Aの円弧面F1のうち第2方向の他方側の部位に径方向において対向する。第1位置決め部93Dは、第1フランジ部24Bの円弧面F1に径方向において対向する。
【0069】
光軸X2は、2つの第1位置決め部93A,93Bの間に位置する。また、光軸X2は、2つの第1位置決め部93C,93Dの間に位置する。言い換えると、2つの第1位置決め部93A,93Bは、光軸X2に直交する第1径方向においてカップリングレンズ20を挟む。また、2つの第1位置決め部93C,93Dは、光軸X2に直交する第2径方向であって、第1径方向とは異なる第2径方向においてカップリングレンズ20を挟む。
【0070】
図6および図7に示すように、第1位置決め部93Aは、第1フランジ部24Aの円弧面F1に沿った曲面F3を有する。第1位置決め部93Bは、第1フランジ部24Cの円弧面F1に沿った曲面F3を有する(図5も参照)。第1位置決め部93Cは、第1フランジ部24Aの円弧面F1に沿った曲面F3を有する。第1位置決め部93Dは、第1フランジ部24Bの円弧面F1に沿った曲面F3を有する(図5も参照)。
【0071】
第2位置決め部94A,94Bは、カップリングレンズ20の光軸X2周りの向きを決めるための部位である。第2位置決め部94Aは、第1位置決め部93Aの第2方向の一方側の端から第1方向の一方側に延びる。第2位置決め部94Bは、第1位置決め部93Bの第2方向の他方側の端から第1方向の他方側に延びる。
【0072】
第2位置決め部94Aは、カップリングレンズ20の第2フランジ部25Aの平面F2に対向する。第2位置決め部94Aは、第2フランジ部25Aの平面F2に対向した第2平面F4を有する。
【0073】
第2位置決め部94Bは、カップリングレンズ20の第2フランジ部25Bの平面F2に対向する。第2位置決め部94Bは、第2フランジ部25Bの平面F2に対向した第2平面F4を有する(図5も参照)。
【0074】
ホルダ90は、3つの第1開口H11,H12,H13と、第2開口H2とをさらに有する。第1開口H11は、カップリングレンズ20の第2フランジ部25Aの平面F2の一部と第1フランジ部24Bの円弧面F1の一部とを、径方向に露出させるための開口である。第1開口H11は、第2位置決め部94Aと第1位置決め部93Dの間に位置する。3つの第1開口H11,H12,H13と、第2開口H2とは、第1位置決め部93A,93B,93C,93Dから第3方向の他方側に向けて凹んでいる。
【0075】
第1開口H12は、第2フランジ部25Bの平面F2の一部と第1フランジ部24Aの円弧面F1の一部とを、径方向に露出させるための開口である。第1開口H12は、第1位置決め部93Cと第2位置決め部94Bの間に位置する。
【0076】
第1開口H13は、第2フランジ部25Cの平面F2の略全体を径方向に露出させるための開口である。第1開口H13は、第1位置決め部93Dと第1位置決め部93Bの間に位置する。
【0077】
第2開口H2は、ゲート痕23を径方向に露出させる。第2開口H2は、第1位置決め部93Aと第1位置決め部93Cの間に位置する。
【0078】
図5および図6に示すように、ホルダ90は、2つの凹部C1,C2をさらに有する。凹部C1,C2は、レンズ座面91Aから第3方向の他方側に向けて凹んでいる。凹部C1は、第2位置決め部94Aと第1位置決め部93Dの間に位置する。凹部C2は、第1位置決め部93Cと第2位置決め部94Bの間に位置する。
【0079】
図7に示すように、ホルダ90にカップリングレンズ20が取り付けられた状態において、凹部C1,C2は、光軸方向において、第1フランジ部24A,24Bから離れる方向に凹む。ホルダ90にカップリングレンズ20が取り付けられた状態において、凹部C1は、光軸方向から見て第1フランジ部24B、詳しくは第1角部26Aと重なる。ホルダ90にカップリングレンズ20が取り付けられた状態において、凹部C2は、光軸方向から見て第1フランジ部24A、詳しくは第2角部26Bと重なる。
【0080】
第1フランジ部24Bとホルダ90を接着させる接着剤BDは、凹部C1内に位置する。第1フランジ部24Aとホルダ90を接着させる接着剤BDは、凹部C2内に位置する。これにより、カップリングレンズ20のうち光軸X2を挟むように位置する2つの部分(第1角部26Aおよび第2角部26B)が、ホルダ90に接着される。
【0081】
以上、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
第2フランジ部25A~25Cの平面F2の少なくとも一部が第1開口H11~H13から露出することで、第2フランジ部25A~25Cの平面F2のいずれかに治具等を接触させることができるので、カップリングレンズ20の光軸周りの向きを決めることができる。また、第2フランジ部25A~25Cの平面F2の少なくとも一部が第1開口H11~H13から露出することで、カップリングレンズ20の光軸周りの向きを調整しやすい。
【0082】
光軸X2が2つの第1位置決め部(例えば、93A,93B)の間に位置することで、光軸X2を挟むように位置する2つの第1位置決め部によって、カップリングレンズ20を径方向に精度よく位置決めすることができる。
【0083】
第1位置決め部93A~93Dが円弧面F1に沿った曲面F3を有するので、円弧面F1と曲面F3を合わせることで、カップリングレンズ20を径方向に精度よく位置決めすることができる。
【0084】
ホルダ90が、第2フランジ部25A,25Bの平面F2に対向した第2位置決め部94A,94Bを有することで、第2位置決め部94A,94Bによって、カップリングレンズ20の光軸周りの向きを決めることができる。
【0085】
第2位置決め部94A,94Bが、第2フランジ部25A,25Bの平面F2に対向した第2平面F4を有するので、平面F2と第2平面F4を合わせることで、カップリングレンズ20の光軸周りの向きを決めることができる。
【0086】
カップリングレンズ20の光軸X2を挟むように位置する第1角部26Aおよび第2角部26Bがホルダ90に接着されるので、接着剤BDの硬化時における収縮によってカップリングレンズ20の位置が、光学面21の径方向にずれるのを抑制することができる。
【0087】
ホルダ90が光軸方向から見て第1フランジ部24A,24Bと重なる凹部C1,C2を有し、接着剤BDが凹部C1,C2内に位置することで、光軸方向においてカップリングレンズ20とホルダ90で接着剤BDが挟まれるので、第1フランジ部24A,24Bをホルダ90に強固に接着させることができる。
【0088】
ホルダ90が、ゲート痕23を径方向に露出させる第2開口H2を有することで、ゲート痕23がホルダ90に接触しないので、カップリングレンズ20の光軸X2の位置の精度にゲート痕23が影響を与えない。
【0089】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0090】
第2位置決め部94A,94Bは必ずしも必要ではない。例えば、図8に示すように、前記実施形態に係るホルダ90から、第2位置決め部94A,94Bを取り除いてもよい。この場合でも、例えば、治具によってカップリングレンズ20の第2フランジ部25A,25Bの各平面F2を挟んで保持し、治具の角度を調整することによって、カップリングレンズ20の光軸周りの向きを決定することができる。
【0091】
前記実施形態では、カップリングレンズ20のフランジ部22とレンズ座面91Aとが第3方向において接触する構成としたが、カップリングレンズ20のフランジ部22とレンズ座面91Aとが接触せず、カップリングレンズ20がホルダ90に対して第3方向において位置が調整された後に接着される構成でもよい。
【0092】
前記実施形態では、第1フランジ部の一部をホルダに接着させたが、例えば、第1フランジ部の全体を、ホルダに接着させてもよい。
【0093】
前記実施形態では、接着剤BDの全体が凹部C1,C2内に入るようにしたが、例えば、接着剤の一部が凹部内に位置し、他部が凹部外に位置していてもよい。
【0094】
光学面は、光軸方向から見て円形でなくてもよい。光学面は、完全な軸対称でなくてもよい。
【0095】
前記実施形態では、光源として、半導体レーザ10とカップリングレンズ20とを有する光源Lsを例示したが、光ビームを出射する光源であれば具体的な構成は特に問わない。また、例えば、光源を構成する半導体レーザは、複数の発光点を有する半導体レーザであってもよい。この場合、光源は、1つの半導体レーザからの複数の光が、1つのカップリングレンズによって複数の光ビームに変換される構成であってもよい。
【0096】
前記実施形態では、走査光学装置として、光源Lsを複数備え、複数の光ビームを出射する走査光学装置1を例示したが、例えば、走査光学装置は、光源を1つ備え、1つの光ビームのみを出射する構成であってもよい。
【0097】
第1フランジ部および第2フランジ部の数は、前記実施形態に限定されず、いくつであってもよい。
【0098】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0099】
10 半導体レーザ
20 カップリングレンズ
21 光学面
22 フランジ部
24A~24C 第1フランジ部
25A~25C 第2フランジ部
90 ホルダ
93A~93D 第1位置決め部
F1 円弧面
F2 平面
H11~H13 第1開口
LM 光源装置
X2 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8