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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073793
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】フィルム巻取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/26 20060101AFI20240523BHJP
   B65H 18/10 20060101ALI20240523BHJP
   B65H 18/26 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
B65H19/26
B65H18/10
B65H18/26
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184692
(22)【出願日】2022-11-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000154130
【氏名又は名称】株式会社不二鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】楠山 哲則
【テーマコード(参考)】
3F055
3F064
【Fターム(参考)】
3F055AA05
3F055DA01
3F055EA02
3F064AA03
3F064BB24
3F064CA10
3F064DA01
(57)【要約】
【課題】フィルムが薄く伸びやすい場合の巻取品質の向上を図ることが可能なフィルム巻取装置を提供する。
【解決手段】フィルム巻取装置100は、巻芯51を回転可能に支持する巻取アーム13と、巻取アーム13が着脱可能に装着される上流側巻取ベース11および下流側巻取ベース12と、フィルム150を巻芯51に押圧するタッチローラ16aを回転可能に支持するタッチローラアーム16と、タッチローラアーム16が着脱可能に装着される上流側タッチローラベース14および下流側タッチローラベース15と、巻芯51の切替時にフィルム150を切断するための切断機構17とを備える。切断機構17は、フィルム150を切断する切断部と、切断部が設けられたリンク機構と、リンク機構を揺動させるエアシリンダとを含む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯にフィルムを巻き取るとともに、その巻芯を切り替え可能に構成されたフィルム巻取装置であって、
巻芯を回転可能に支持する巻取アームと、
前記巻取アームが着脱可能に装着される上流側巻取ベースおよび下流側巻取ベースと、
フィルムを巻芯に押圧するタッチローラを回転可能に支持するタッチローラアームと、
前記タッチローラアームが着脱可能に装着される上流側タッチローラベースおよび下流側タッチローラベースと、
巻芯の切替時にフィルムを切断するための切断機構とを備え、
前記上流側巻取ベースおよび前記下流側巻取ベースは、装着された前記巻取アームを垂直方向に移動させるとともに、装着された前記巻取アームを互いに受け渡すように構成され、
前記上流側タッチローラベースおよび前記下流側タッチローラベースは、装着された前記タッチローラアームを垂直方向に移動させるとともに、装着された前記タッチローラアームを互いに受け渡すように構成され、
前記上流側巻取ベース、前記下流側巻取ベースおよび前記下流側タッチローラベースは、水平方向に移動可能に設けられ、
前記切断機構は、フィルムを切断する切断部と、前記切断部が設けられたリンク機構と、前記リンク機構を揺動させる動力源とを含み、
フィルムの巻取時に、前記上流側タッチローラベースに装着された前記タッチローラアームのタッチローラによりフィルムを押圧しながら、前記上流側巻取ベースに装着された前記巻取アームの巻芯によりフィルムを巻き取るように構成され、
巻芯の切替時に、前記上流側巻取ベースおよび前記下流側巻取ベースが装着された前記巻取アームを互いに受け渡すとともに、前記上流側タッチローラベースおよび前記下流側タッチローラベースが装着された前記タッチローラアームを互いに受け渡し、前記下流側巻取ベースおよび前記下流側タッチローラベースを下流側に水平方向に移動させ、前記上流側巻取ベースに受け渡された前記巻取アームを垂直方向に移動させるとともに、前記上流側タッチローラベースに受け渡された前記タッチローラアームを垂直方向に移動させた後に、前記動力源により前記リンク機構を揺動させてから、前記切断部によりフィルムを切断して前記上流側巻取ベースの巻芯に巻き付けるように構成されていることを特徴とするフィルム巻取装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルム巻取装置において、
前記切断部は、フィルムを切断する切断刃と、前記切断刃をフィルムの幅方向に移動させるロッドレスシリンダとを有しており、前記上流側巻取ベースの巻芯から前記下流側タッチローラベースのタッチローラに向けて斜めに搬送されるフィルムを切断するように構成されていることを特徴とするフィルム巻取装置。
【請求項3】
請求項2に記載のフィルム巻取装置において、
前記リンク機構は、第1アームとシャフトと第2アームとが左右一対で設けられ、一対の第2アームを連結するステーを有し、
前記第1アームは、一方端部が第1固定フレームに回動可能に設けられ、他方端部に前記第2アームが回動可能に連結され、
前記シャフトは、一方端部が前記第1固定フレームに回動可能に設けられ、他方端部に前記第2アームが回動可能に連結され、
前記第2アームは上下方向に延びるように形成され、前記第2アームの間の前記ステーに前記ロッドレスシリンダが設けられ、
前記リンク機構は、前記第2アームの向きを保った状態で前記第2アームが揺動されるように構成されていることを特徴とするフィルム巻取装置。
【請求項4】
請求項3に記載のフィルム巻取装置において、
前記動力源は、シリンダ本体およびピストンロッドを有するエアシリンダであり、
前記シリンダ本体が第2固定フレームに連結され、前記ピストンロッドが前記第1アームに連結されていることを特徴とするフィルム巻取装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載のフィルム巻取装置において、
前記切断機構は、前記上流側巻取ベースの巻芯に巻き掛けられたフィルムを帯電させる帯電部と、前記切断刃により切断されるフィルムにエアを吹き付けるエア吐出部とを含み、
前記帯電部および前記エア吐出部が前記ステーに設けられており、前記帯電部が前記切断刃に対して上流側に配置され、前記エア吐出部が前記切断刃に対して下流側に配置されていることを特徴とするフィルム巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの巻芯を水平方向および垂直方向に移動可能に構成された直動型のフィルム巻取装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のフィルム巻取装置は、巻芯を回転可能に支持する巻取アームと、巻取アームが着脱可能に装着される上流側巻取ベースおよび下流側巻取ベースと、タッチローラを回転可能に支持するタッチローラアームと、タッチローラアームが着脱可能に装着される上流側タッチローラベースおよび下流側タッチローラベースとを備えている。
【0004】
上流側巻取ベースおよび下流側巻取ベースは、水平方向に移動するように構成されている。また、上流側巻取ベースおよび下流側巻取ベースは、装着された巻取アームを垂直方向に移動可能であり、かつ、装着された巻取アームを互いに受け渡し可能に構成されている。上流側タッチローラベースは固定され、下流側タッチローラベースは水平方向に移動するように構成されている。また、上流側タッチローラベースおよび下流側タッチローラベースは、装着されたタッチローラアームを垂直方向に移動可能であり、かつ、装着されたタッチローラアームを互いに受け渡し可能に構成されている。
【0005】
このフィルム巻取装置では、フィルムの巻取時に、上流側タッチローラベースに装着されたタッチローラアームのタッチローラによりフィルムを押圧しながら、上流側巻取ベースに装着された巻取アームの巻芯によりフィルムが巻き取られる。そして、巻芯の切替時には、上流側巻取ベースおよび下流側巻取ベースが装着された巻取アームを互いに受け渡すとともに、上流側タッチローラベースおよび下流側タッチローラベースが装着されたタッチローラアームを互いに受け渡し、下流側巻取ベースおよび下流側タッチローラベースが下流側に水平方向に移動される。すなわち、巻き取りを行っている巻芯およびその巻芯にフィルムを押圧するタッチローラが下流側に水平方向に移動される。その後、上流側巻取ベースに受け渡された巻取アームが垂直方向に移動されるとともに、上流側タッチローラベースに受け渡されたタッチローラアームが垂直方向に移動され、その移動された新しい巻芯およびタッチローラがフィルムに接触された状態で、フィルムが切断されて新しい巻芯に巻き付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5997354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上記した従来のフィルム巻取装置では、切断部がアームに設けられており、巻き取りを行っている巻芯(下流側に退避された巻芯)と上流側の新しい巻芯との間の空間に切断部を進入させてフィルムの切断が行われるが、巻き取りを行っている下流側の巻芯と上流側の新しい巻芯との間の距離(空中に浮かせて搬送されるフィルムの長さ)が大きくなると、フィルムが薄く伸びやすい場合に巻取品質が低下するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、フィルムが薄く伸びやすい場合の巻取品質の向上を図ることが可能なフィルム巻取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるフィルム巻取装置は、巻芯にフィルムを巻き取るとともに、その巻芯を切り替え可能に構成されており、巻芯を回転可能に支持する巻取アームと、巻取アームが着脱可能に装着される上流側巻取ベースおよび下流側巻取ベースと、フィルムを巻芯に押圧するタッチローラを回転可能に支持するタッチローラアームと、タッチローラアームが着脱可能に装着される上流側タッチローラベースおよび下流側タッチローラベースと、巻芯の切替時にフィルムを切断するための切断機構とを備える。上流側巻取ベースおよび下流側巻取ベースは、装着された巻取アームを垂直方向に移動させるとともに、装着された巻取アームを互いに受け渡すように構成されている。上流側タッチローラベースおよび下流側タッチローラベースは、装着されたタッチローラアームを垂直方向に移動させるとともに、装着されたタッチローラアームを互いに受け渡すように構成されている。上流側巻取ベース、下流側巻取ベースおよび下流側タッチローラベースは、水平方向に移動可能に設けられている。切断機構は、フィルムを切断する切断部と、切断部が設けられたリンク機構と、リンク機構を揺動させる動力源とを含む。フィルム巻取装置は、フィルムの巻取時に、上流側タッチローラベースに装着されたタッチローラアームのタッチローラによりフィルムを押圧しながら、上流側巻取ベースに装着された巻取アームの巻芯によりフィルムを巻き取るように構成されている。フィルム巻取装置は、巻芯の切替時に、上流側巻取ベースおよび下流側巻取ベースが装着された巻取アームを互いに受け渡すとともに、上流側タッチローラベースおよび下流側タッチローラベースが装着されたタッチローラアームを互いに受け渡し、下流側巻取ベースおよび下流側タッチローラベースを下流側に水平方向に移動させ、上流側巻取ベースに受け渡された巻取アームを垂直方向に移動させるとともに、上流側タッチローラベースに受け渡されたタッチローラアームを垂直方向に移動させた後に、動力源によりリンク機構を揺動させてから、切断部によりフィルムを切断して上流側巻取ベースの巻芯に巻き付けるように構成されている。
【0010】
このように構成することによって、リンク機構の揺動で切断部が進退されることにより、アームの回動で切断部が進退される場合に比べて、切断部を進退させる際の移動経路の省スペース化を図ることができる。これにより、巻き取りを行っている下流側の巻芯と上流側の新しい巻芯との間の距離を短くすることができるので、フィルムが薄く伸びやすい場合の巻取品質の向上を図ることができる。
【0011】
上記フィルム巻取装置において、切断部は、フィルムを切断する切断刃と、切断刃をフィルムの幅方向に移動させるロッドレスシリンダとを有しており、上流側巻取ベースの巻芯から下流側タッチローラベースのタッチローラに向けて斜めに搬送されるフィルムを切断するように構成されていてもよい。
【0012】
上記切断部がロッドレスシリンダを有するフィルム巻取装置において、リンク機構は、第1アームとシャフトと第2アームとが左右一対で設けられ、一対の第2アームを連結するステーを有し、第1アームは、一方端部が第1固定フレームに回動可能に設けられ、他方端部に第2アームが回動可能に連結され、シャフトは、一方端部が第1固定フレームに回動可能に設けられ、他方端部に第2アームが回動可能に連結され、第2アームは上下方向に延びるように形成され、第2アームの間のステーにロッドレスシリンダが設けられ、リンク機構は、第2アームの向きを保った状態で第2アームが揺動されるように構成されていてもよい。
【0013】
上記リンク機構に第1アームが設けられたフィルム巻取装置において、動力源は、シリンダ本体およびピストンロッドを有するエアシリンダであり、シリンダ本体が第2固定フレームに連結され、ピストンロッドが第1アームに連結されていてもよい。
【0014】
上記リンク機構がステーを有するフィルム巻取装置において、切断機構は、上流側巻取ベースの巻芯に巻き掛けられたフィルムを帯電させる帯電部と、切断刃により切断されるフィルムにエアを吹き付けるエア吐出部とを含み、帯電部およびエア吐出部がステーに設けられており、帯電部が切断刃に対して上流側に配置され、エア吐出部が切断刃に対して下流側に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のフィルム巻取装置によれば、フィルムが薄く伸びやすい場合の巻取品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態によるフィルム巻取装置の概略を示した模式図である。
図2図1のフィルム巻取装置の切断機構を示した図である。
図3図2の切断機構を説明するための図である。
図4図1のフィルム巻取装置において巻き径が増大した状態を示した図である。
図5図4のフィルム巻取装置において下流側巻取ベースおよび下流側タッチローラベースが上流側に移動した状態を示した図である。
図6図5のフィルム巻取装置において、上流側巻取ベースおよび下流側巻取ベースが巻取アームを互いに受け渡すとともに、上流側タッチローラベースおよび下流側タッチローラベースがタッチローラアームを互いに受け渡した状態を示した図である。
図7図6のフィルム巻取装置において下流側巻取ベースおよび下流側タッチローラベースが下流側に移動した状態を示した図である。
図8図7のフィルム巻取装置において、上流側巻取ベースの巻取アームが下降するとともに、上流側タッチローラベースのタッチローラアームが上昇した状態を示した図である。
図9図8のフィルム巻取装置において切断機構が上昇した状態を示した図である。
図10図9のフィルム巻取装置の切断機構の周囲を拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
【0018】
-構成-
まず、図1を参照して、本実施形態によるフィルム巻取装置100の概略構成について説明する。
【0019】
フィルム巻取装置100は、図1に示すように、製膜ライン(上流側)から供給されるフィルム150を巻き取るとともに、そのフィルム150を巻き取る巻芯51を切り替え可能に構成されている。フィルム巻取装置100は、2つの巻芯51を水平方向および垂直方向に移動可能な直動型であり、フィルム150を巻き取りながら巻芯51を切り替え可能である。なお、フィルム150は、たとえばポリウレタンなどの樹脂製であり、帯状に形成され、薄く伸びやすい。
【0020】
フィルム巻取装置100は、上流側巻取ベース11および下流側巻取ベース12と、上流側巻取ベース11および下流側巻取ベース12にそれぞれ着脱可能に装着される巻取アーム13と、上流側タッチローラベース14および下流側タッチローラベース15と、上流側タッチローラベース14および下流側タッチローラベース15にそれぞれ着脱可能に装着されるタッチローラアーム16と、巻芯51の切替時にフィルム150を切断するための切断機構17とを備えている。
【0021】
上流側巻取ベース11、下流側巻取ベース12、巻取アーム13、上流側タッチローラベース14、下流側タッチローラベース15、および、タッチローラアーム16は、フィルム150の幅方向(巻芯51の軸方向)の両端にそれぞれ設けられている。すなわち、これらは、フィルム150の幅方向(X1およびX2方向)において対向するように設けられているが、図1では片側のみを示している。なお、切断機構17の詳細については後述する。
【0022】
上流側巻取ベース11は、水平方向(Y1およびY2方向)に移動可能に設けられている。この上流側巻取ベース11は、装着された巻取アーム13を垂直方向(Z1およびZ2方向)に移動可能であり、装着された巻取アーム13を下流側巻取ベース12に受け渡し可能に構成されている。
【0023】
下流側巻取ベース12は、上流側巻取ベース11よりも下流側(Y1方向側)に配置され、水平方向に移動可能に設けられている。この下流側巻取ベース12は、装着された巻取アーム13を垂直方向に移動可能であり、装着された巻取アーム13を上流側巻取ベース11に受け渡し可能に構成されている。
【0024】
巻取アーム13は、巻取軸50を回転可能に支持するように構成されている。この巻取軸50には、円筒状の巻芯51が嵌め込まれており、その巻芯51が巻取軸50に保持されている。すなわち、巻取軸50が回転されると、巻取軸50とともに巻芯51が回転されるようになっている。つまり、巻取アーム13は、巻取軸50を回転させることにより、フィルム150を巻芯51に巻き取るように構成されている。なお、本実施形態では、巻取軸50が図1において反時計回りに回転されることにより、フィルム150の上面が内側に配置されるように巻き取る下巻取りが行われる。
【0025】
上流側タッチローラベース14は、上流側巻取ベース11および下流側巻取ベース12の下方に配置されている。この上流側タッチローラベース14は、装着されたタッチローラアーム16を垂直方向に移動可能であり、装着されたタッチローラアーム16を下流側タッチローラベース15に受け渡し可能に構成されている。なお、上流側タッチローラベース14は、水平方向に移動しないように固定されている。
【0026】
下流側タッチローラベース15は、上流側巻取ベース11および下流側巻取ベース12の下方に配置されている。この下流側タッチローラベース15は、上流側タッチローラベース14よりも下流側に配置され、水平方向に移動可能に設けられている。また、下流側タッチローラベース15は、装着されたタッチローラアーム16を垂直方向に移動可能であり、装着されたタッチローラアーム16を上流側タッチローラベース14に受け渡し可能に構成されている。
【0027】
タッチローラアーム16は、タッチローラ16aを回転可能に支持するように構成されている。このタッチローラ16aは、フィルム150の下面に接触され、そのフィルム150を巻芯51に押圧するために設けられている。
【0028】
また、フィルム巻取装置100には、フィルム150を搬送するための複数のローラ18が設けられるとともに、フィルム150の巻き取りが終了された巻取ロール151を排出するための荷台(図示省略)が設けられている。
【0029】
[切断機構]
次に、図2図3および図10を参照して、本実施形態によるフィルム巻取装置100の切断機構17の構成について説明する。なお、図3は、切断機構17の各部の接続関係を説明するためのものであり、実際の構造とは異なる部分がある。たとえば、図3では、後述する切断刃1711の図示を省略している。
【0030】
切断機構17は、図2に示すように、フィルム150を切断する切断部171と、切断部171が設けられたリンク機構172と、リンク機構172を揺動させるエアシリンダ173と、フィルム150を巻芯51に吸着させる帯電部174と、切断されたフィルム150を巻芯51に吹き付けるためのエア吐出部175とを備えている。なお、エアシリンダ173は、本発明の「動力源」の一例である。
【0031】
リンク機構172は、第1アーム1721と、シャフト1722と、第2アーム1723と、ステー172aとを含んでいる。第1アーム1721、シャフト1722および第2アーム1723は、図3に示すように、左右一対で設けられている。すなわち、第1アーム1721、シャフト1722および第2アーム1723は、フィルム150の幅方向において対向するように設けられている。
【0032】
第1アーム1721は、一方端部1721aが第1固定フレーム17aに回動可能に設けられ、他方端部1721bに第2アーム1723が回動可能に連結されている。シャフト1722は、一方端部1722aが第1固定フレーム17aに回動可能に設けられ、他方端部1722bに第2アーム1723が回動可能に連結されている。
【0033】
第1固定フレーム17aは、ステー17cを介して第2固定フレーム17bに連結されている。第1固定フレーム17a、第2固定フレーム17bおよびステー17cは、左右一対で設けられている。一対の第1固定フレーム17aはシャフト172bによって連結され、第1アーム1721がシャフト172bを介して第1固定フレーム17aに接続されている。なお、第1固定フレーム17aおよび第2固定フレーム17bは移動不能に設けられている。
【0034】
図2および図10に示すように、シャフト1722の一方端部1722aが第1アーム1721の一方端部1721aの真下に配置され、シャフト1722の他方端部1722bが第1アーム1721の他方端部1721bの真下に配置されている。また、第1アーム1721の一方端部1721aとシャフト1722の一方端部1722aとの間の距離と、第1アーム1721の他方端部1721bとシャフト1722の他方端部1722bとの間の距離とが同じに設定されている。このため、シャフト1722が第1アーム1721の下方に配置され、第1アーム1721およびシャフト1722が平行に配置されている。
【0035】
第2アーム1723は上下方向に延びるように形成され、一対の第2アーム1723がステー172aによって連結されている。ステー172a(図3参照)は、フィルム150の幅方向(巻芯51の軸方向)に延びるように形成され、第2アーム1723の上端部に設けられている。ステー172aには、切断部171、帯電部174およびエア吐出部175が取り付けられている。このリンク機構172は、第2アーム1723の向きを保った状態で第2アーム1723が揺動されるように構成されている。
【0036】
エアシリンダ173は、シリンダ本体173aと、シリンダ本体173aから延びるピストンロッド173bとを有する。シリンダ本体173aが第2固定フレーム17b(図3参照)に連結され、ピストンロッド173bが第1アーム1721に連結されている。このため、図2に示すようなエアシリンダ173の縮小時には第2アーム1723が下方に退避され、図10に示すようなエアシリンダ173の伸長時には第2アーム1723が上方に進出されるようになっている。なお、エアシリンダ173は、第1アーム1721などと同様に左右一対で設けられている。
【0037】
切断部171は、フィルム150を切断する切断刃1711と、切断刃1711をフィルム150の幅方向に移動させるロッドレスシリンダ1712とを有する。ロッドレスシリンダ1712は、図3に示すように、フィルム150の幅方向に延びるシリンダ本体1712aと、シリンダ本体1712aに設けられたスライダ1712bとを有する。シリンダ本体1712aは、ステー172aの上側に取り付けられている。スライダ1712bは、シリンダ本体1712aの上側に配置され、シリンダ本体1712aに沿って移動可能に設けられている。スライダ1712bには、ホルダ1711aを介して切断刃1711(図2参照)が取り付けられている。図2に示すように、ホルダ1711aはスライダ1712bから上方に延びるように形成され、ホルダ1711aの上端部に切断刃1711が取り付けられている。このため、切断部171は、スライダ1712bの移動によって切断刃1711がフィルム150を切断するように構成されている。
【0038】
帯電部174は、巻芯51に巻き掛けられたフィルム150を帯電させるために設けられている。帯電部174は、フィルム150の幅方向に延びるように形成され、ブラケット174aを介してステー172aに取り付けられている。帯電部174は、ロッドレスシリンダ1712の上方に配置されるとともに、切断刃1711に対して上流側(Y2方向側)に配置されている。
【0039】
エア吐出部175は、切断刃1711により切断されるフィルム150にエアを吹き付けるために設けられている。エア吐出部175は、ブラケット175aを介してステー172aに取り付けられ、切断刃1711に対して下流側(Y1方向側)に配置されている。たとえば、エア吐出部175は、フィルム150の幅方向に延びるパイプを有する。パイプには、エアが吐出される吐出孔が複数形成され、複数の吐出孔は、フィルム150の幅方向に間隔を隔てて配置されている。
【0040】
-動作-
次に、図1図10を参照して、本実施形態によるフィルム巻取装置100の動作について説明する。
【0041】
なお、フィルム巻取装置100によるフィルム150の巻取時には、図1に示すように、上流側巻取ベース11が上流側(Y2方向側)に配置され、下流側巻取ベース12および下流側タッチローラベース15が下流側(Y1方向側)に配置されている。上流側巻取ベース11に装着された巻取アーム13が下側に配置され、上流側タッチローラベース14に装着されたタッチローラアーム16が上側に配置され、下流側巻取ベース12に装着された巻取アーム13が上側に配置され、下流側タッチローラベース15に装着されたタッチローラアーム16が下側に配置されている。また、切断機構17(図2参照)では、エアシリンダ173が縮小されており、第2アーム1723が下方に退避されている。
【0042】
まず、製膜ライン(上流側)から供給されるフィルム150が複数のローラ18により、上流側巻取ベース11に装着された巻取アーム13の巻取軸50に嵌め込まれた巻芯51と、上流側タッチローラベース14に装着されたタッチローラアーム16のタッチローラ16aとの間に搬送される。そして、上流側タッチローラベース14のタッチローラ16aがフィルム150を上流側巻取ベース11の巻芯51に押圧した状態で巻芯51が回転されることにより、その巻芯51にフィルム150が巻き取られる。具体的には、フィルム150の下面がタッチローラ16aに接触された状態で、巻芯51が図1において反時計回りに回転されており、フィルム150の上面が内側に配置されるように巻き取られる。すなわち、フィルム巻取装置100では下巻取りが行われる。
【0043】
そして、図4に示すように、フィルム150の巻き取りによって形成される巻取ロール151の巻き径の増大に応じて、上流側巻取ベース11が下流側(Y1方向側)に移動される。
【0044】
その後、巻芯51の切り替えが開始されると、まず、図5に示すように、下流側巻取ベース12および下流側タッチローラベース15が上流側(Y2方向側)に移動される。これにより、上流側巻取ベース11に装着された巻取アーム13が下流側巻取ベース12に隣接配置されるとともに、下流側巻取ベース12に装着された巻取アーム13が上流側巻取ベース11に隣接配置される。また、上流側タッチローラベース14に装着されたタッチローラアーム16が下流側タッチローラベース15に隣接配置されるとともに、下流側タッチローラベース15に装着されたタッチローラアーム16が上流側タッチローラベース14に隣接配置される。
【0045】
次に、図6に示すように、上流側巻取ベース11に装着されていた巻取アーム13(下側の巻取アーム13)が下流側巻取ベース12に受け渡されるとともに、下流側巻取ベース12に装着されていた巻取アーム13(上側の巻取アーム13)が上流側巻取ベース11に受け渡される。また、上流側タッチローラベース14に装着されていたタッチローラアーム16(上側のタッチローラアーム16)が下流側タッチローラベース15に受け渡されるとともに、下流側タッチローラベース15に装着されていたタッチローラアーム16(下側のタッチローラアーム16)が上流側タッチローラベース14に受け渡される。
【0046】
そして、図7に示すように、下流側タッチローラベース15に受け渡されたタッチローラ16aにより押圧されるフィルム150が下流側巻取ベース12に受け渡された巻芯51により巻き取られながら、下流側巻取ベース12および下流側タッチローラベース15が下流側に移動される。これにより、フィルム150の巻き取りを行っている巻芯51およびタッチローラ16aが下流側に退避される。また、上流側巻取ベース11が上流側に移動される。
【0047】
その後、図8に示すように、上流側巻取ベース11に装着された巻取アーム13が下降されるとともに、上流側タッチローラベース14に装着されたタッチローラアーム16が上昇される。このため、上流側タッチローラベース14のタッチローラ16aによりフィルム150が上流側巻取ベース11の新しい巻芯51に押圧される。このとき、巻き取りを行っている下流側の巻芯51と、上流側の新しい巻芯51との間の距離(空中に浮かせて搬送されるフィルム150の長さ)が小さくされており、上流側巻取ベース11の巻芯51から下流側タッチローラベース15のタッチローラ16aに向かうフィルム150が斜め上方に搬送される。なお、上流側巻取ベース11の新しい巻芯51にはフィルム150が巻き掛けられ、その巻芯51の周方向において135度程度の角度範囲でフィルム150が接触されている。
【0048】
そして、図9に示すように、切断機構17が上昇される。具体的には、図10に示すように、エアシリンダ173が伸長されることにより、リンク機構172が揺動されて第2アーム1723が上方に進出される。このとき、切断刃1711は、上流側巻取ベース11の新しい巻芯51と下流側タッチローラベース15のタッチローラ16aとの間に配置されるとともに、フィルム150の幅方向における外側に配置されている。帯電部174は、上流側巻取ベース11の新しい巻芯51の下方に配置され、上流側巻取ベース11の新しい巻芯51に巻き掛けられるフィルム150を帯電させている。エア吐出部175は、上流側巻取ベース11の新しい巻芯51と下流側タッチローラベース15のタッチローラ16aとの間の下方に配置され、切断刃1711が走行する領域に対して上流側に位置するフィルム150にエアを吹き付けるようになっている。
【0049】
次に、ロッドレスシリンダ1712のスライダ1712b(図3参照)がシリンダ本体1712a(図3参照)に沿って移動されることにより、切断刃1711がフィルム150の幅方向に走行される。このため、上流側巻取ベース11の巻芯51から下流側タッチローラベース15のタッチローラ16aに向けて斜め上方に搬送されるフィルム150が、走行する切断刃1711により幅方向の一方端部から他方端部に向けて切断される。このとき、帯電部174により、上流側巻取ベース11の新しい巻芯51にフィルム150が吸着され、エア吐出部175により、フィルム150の上流側の切断端が上流側巻取ベース11の新しい巻芯51に吹き付けられる。
【0050】
これにより、切断されたフィルム150が上流側巻取ベース11の新しい巻芯51に巻き付けられる。なお、新しい巻芯51は反時計回りに回転されており、新しい巻芯51によってフィルム150が巻き取られる。このようにして、フィルム150を巻き取りながら、フィルム150を巻き取る巻芯51が切り替えられる。すなわち、このフィルム巻取装置100では、巻芯51が切り替えられる際に、フィルム150の巻き取りが停止されることなく行われるようになっている。
【0051】
その後、フィルム150の巻き取りが終了された巻取ロール151が荷台に排出される。また、切断機構17、下流側巻取ベース12および下流側タッチローラベース15が元の状態に戻される。
【0052】
以上の動作が繰り返し行われることにより、巻芯51の切り替えを行いながら、フィルム150が連続的に巻き取られる。
【0053】
-効果-
本実施形態では、上記のように、切断部171がリンク機構172に設けられることによって、リンク機構172の揺動で切断部171が進退されることにより、アームの回動で切断部が進退される場合に比べて、切断部171を進退させる際の移動経路の省スペース化を図ることができる。これにより、巻き取りを行っている下流側の巻芯51と上流側の新しい巻芯51との間の距離を短くすることができるので、フィルム150が薄く伸びやすい場合の巻取品質の向上を図ることができる。
【0054】
また、本実施形態では、巻き取りを行っている下流側の巻芯51と上流側の新しい巻芯51との間の距離が短くされることによって、上流側巻取ベース11の新しい巻芯51に巻き掛けられるフィルム150の角度範囲が大きくなり、切断されたフィルム150が新しい巻芯51に巻き付きやすくすることができる。
【0055】
また、本実施形態では、帯電部174およびエア吐出部175が設けられることによって、切断されたフィルム150が新しい巻芯51に巻き付きやすくすることができる。
【0056】
-他の実施形態-
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0057】
たとえば、本実施形態では、上流側タッチローラベース14および下流側タッチローラベース15が上流側巻取ベース11および下流側巻取ベース12の下方に配置され、下巻取りを行うフィルム巻取装置100に本発明を適用する例を示したが、これに限らず、上流側タッチローラベースおよび下流側タッチローラベースが上流側巻取ベースおよび下流側巻取ベースの上方に配置され、上巻取りを行うフィルム巻取装置に本発明を適用してもよい。
【0058】
また、本実施形態では、巻き取りを行っているときに下流側タッチローラベース15が下流側(Y1方向側)に配置され、巻芯51の切り替え時に下流側タッチローラベース15が上流側(Y2方向側)に移動する例を示したが、これに限らず、下流側タッチローラベース15が予め上流側に配置されていてもよい。
【0059】
また、上記実施形態において、切断刃1711を走行させてフィルム150が切断される前に、フィルム150の巻き取りを行っている巻芯51(下流側巻取ベース12の巻芯51)と、その巻芯51にフィルム150を押圧するタッチローラ16a(下流側タッチローラベース15のタッチローラ16a)とが上昇されるようにしてもよい。このようにすれば、上流側巻取ベース11の新しい巻芯51に巻き掛けられるフィルム150の角度範囲をより大きくすることができる。
【符号の説明】
【0060】
11 上流側巻取ベース
12 下流側巻取ベース
13 巻取アーム
14 上流側タッチローラベース
15 下流側タッチローラベース
16 タッチローラアーム
16a タッチローラ
17 切断機構
17a 第1固定フレーム
17b 第2固定フレーム
51 巻芯
100 フィルム巻取装置
150 フィルム
171 切断部
1711 切断刃
1712 ロッドレスシリンダ
172 リンク機構
172a ステー
1721 第1アーム
1722 シャフト
1723 第2アーム
173 エアシリンダ(動力源)
173a シリンダ本体
173b ピストンロッド
174 帯電部
175 エア吐出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10